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  • 特許-スラブ支持構造、及びスラブ施工方法 図1
  • 特許-スラブ支持構造、及びスラブ施工方法 図2
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  • 特許-スラブ支持構造、及びスラブ施工方法 図4
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  • 特許-スラブ支持構造、及びスラブ施工方法 図6
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-27
(45)【発行日】2022-07-05
(54)【発明の名称】スラブ支持構造、及びスラブ施工方法
(51)【国際特許分類】
   E02D 27/00 20060101AFI20220628BHJP
   E02D 27/12 20060101ALI20220628BHJP
   E02D 27/01 20060101ALI20220628BHJP
【FI】
E02D27/00 Z
E02D27/12 A
E02D27/01 D
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018208716
(22)【出願日】2018-11-06
(65)【公開番号】P2020076218
(43)【公開日】2020-05-21
【審査請求日】2020-12-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】大野 正人
(72)【発明者】
【氏名】河野 隆史
(72)【発明者】
【氏名】大堀 太志
(72)【発明者】
【氏名】野澤 裕和
(72)【発明者】
【氏名】田中 弘臣
(72)【発明者】
【氏名】松塚 弘文
(72)【発明者】
【氏名】山田 幸保
(72)【発明者】
【氏名】山崎 裕昭
【審査官】小倉 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-008543(JP,A)
【文献】特開2013-217182(JP,A)
【文献】特開平08-105066(JP,A)
【文献】特開平08-041899(JP,A)
【文献】特開平07-003813(JP,A)
【文献】特公昭47-035805(JP,B1)
【文献】特開平10-299008(JP,A)
【文献】特開昭60-080627(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 27/00
E02D 27/12
E02D 27/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤に設けられ、柱と接合されない複数の杭と、
前記杭の杭頭部の周囲に設置される架台と、
隣り合う前記架台に地盤から離れた状態で架設される架設材と、
前記杭頭部、前記架台、及び前記架設材上に設けられるスラブと、
を備えるスラブ支持構造。
【請求項2】
前記杭頭部を囲む前記架台内に充填され、該杭頭部と前記スラブとを接合する充填コンクリートを備える、
請求項1に記載のスラブ支持構造。
【請求項3】
前記スラブは、前記架設材上に設置されるプレキャスト床版を有する、
請求項1又は請求項2に記載のスラブ支持構造。
【請求項4】
地盤に設けられ、柱と接合されない複数の杭の杭頭部の周囲に架台をそれぞれ設置する架台設置工程と、
隣り合う前記架台に地盤から離れた状態で架設された架設材上に、底型枠及びプレキャスト床版の少なくとも一方を設置し、コンクリートを打設してスラブを施工するスラブ施工工程と、
を備えるスラブ施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スラブ支持構造、及びスラブ施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スラブを地盤や基礎から浮かした状態で、杭で支持するスラブ支持構造がある(例えば、特許文献1,2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-107208号公報
【文献】特開2016-089455号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなスラブ支持構造では、スラブから地盤等を介して周辺建物に伝達される振動が低減されるものの、施工が難しい点で改善の余地がある。
【0005】
本発明は、上記の事実を考慮し、スラブ支持構造の施工性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様に係るスラブ支持構造は、地盤に設けられる複数の杭と、前記杭の杭頭部の周囲に設置される架台と、隣り合う前記架台に地盤から離れた状態で架設される架設材と、前記杭頭部、前記架台、及び前記架設材上に設けられるスラブと、を備える。
【0007】
第1態様に係るスラブ支持構造によれば、地盤には、複数の杭が設けられる。杭の杭頭部の周囲には、架台が配置される。また、隣り合う架台には、架設材が地盤から離れた状態で架設される。これらの杭頭部、架台、及び架設材上にスラブが設けられる。
【0008】
ここで、スラブは、架台に架設された架設材によって、地盤から離れた状態で支持される。したがって、スラブから地盤を介して周辺建物へ伝達される振動を低減される。
【0009】
また、スラブの施工時には、隣り合う架台に架設された架設材上に、スラブの底型枠やプレキャスト床版を設置することができる。したがって、スラブの施工性が向上する。
【0010】
このように本発明では、スラブから地盤を介して周辺建物へ伝達される振動を低減しつつ、スラブの施工性を向上させることができる。
【0011】
第2態様に係るスラブ支持構造は、第1態様に係るスラブ支持構造において、前記杭頭部を囲む前記架台内に充填され、該杭頭部と前記スラブとを接合する充填コンクリートを備える。
【0012】
第2態様に係るスラブ支持構造によれば、架台は、杭の杭頭部を囲む。架台内には、充填コンクリートが充填される。この充填コンクリートによって、スラブと杭頭部とが接合される。
【0013】
これにより、スラブから杭頭部に伝達される振動の伝達効率が向上する。この結果、スラブの振動を、杭を介して地盤の深層部により効率的に伝達することができる。したがって、スラブから地盤を介して周辺建物へ伝達される振動がさらに低減される。
【0014】
第3態様に係るスラブ支持構造は、第1態様又は第2態様に係るスラブ支持構造において、前記スラブは、前記架設材上に設置されるプレキャスト床版を有する。
【0015】
第3態様に係るスラブ支持構造によれば、スラブは、架設材上に設置されるプレキャスト床版を有する。このようにプレキャスト床版を用いることにより、スラブを施工する際に、型枠の設置作業やコンクリートの打設作業が低減される。したがって、スラブの施工性が向上する。
【0016】
第4態様に係るスラブ施工方法は、地盤に設けられた複数の杭の杭頭部の周囲に架台をそれぞれ設置する架台設置工程と、隣り合う前記架台に地盤から離れた状態で架設された架設材上に、底型枠及びプレキャスト床版の少なくとも一方を設置し、コンクリートを打設してスラブを施工するスラブ施工工程と、を備える。
【0017】
第4態様に係るスラブ施工方法によれば、先ず、架台設置工程において、地盤に設けられた複数の杭の杭頭部の周囲に架台をそれぞれ設置する。次に、スラブ施工工程において、隣り合う架台に地盤から離れた状態で架設された架設材上に、底型枠及びプレキャスト床版の少なくとも一方を設置し、コンクリートを打設してスラブを施工する。
【0018】
このように施工されたスラブは、架台に架設された架設材によって、地盤から離れた状態で支持される。したがって、スラブから地盤を介して周辺建物へ伝達される振動を低減される。
【0019】
また、本発明では、前述したように、スラブ施工工程において、隣り合う架台に架設された架設材上に、底型枠及びプレキャスト床版の少なくとも一方を設置することができる。したがって、スラブの施工性が向上する。
【0020】
このように本発明では、スラブから地盤を介して周辺建物へ伝達される振動を低減しつつ、スラブの施工性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0021】
以上説明したように、本発明によれば、スラブ支持構造の施工性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】一実施形態に係るスラブ支持構造が適用された構造物を示す立面図である。
図2図1に示されるマットスラブの中央スラブを支持する架台及び架設材を示す平面図である。
図3図2に示される架台及び架設材上に底型枠及びプレキャスト床版を載置した状態を示す平面図である。
図4】(A)は、図3の4-4線断面図であり、(B)は、マットスラブの中央スラブを示す図4(A)に対応する断面図である。
図5】(A)は、図3の5-5線断面図であり、(B)は、マットスラブの中央スラブを示す図5(A)に対応する断面図である。
図6】(A)は、図3の6-6線断面図であり、(B)は、マットスラブの中央スラブを示す図6(A)に対応する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら、一実施形態に係るスラブ支持構造、及びスラブ支持構造の施工方法について説明する。
【0024】
(構造物)
図1には、本実施形態に係るスラブ支持構造50が適用された構造物10が示されている。構造物10は、杭基礎されている。この構造物10は、複数の杭20と、上部構造体30とを有している。複数の杭20は、各々の杭頭部20Hを地盤面12Aから突出させた状態で地盤12に埋設されている。これらの杭20上に、上部構造体30が設けられている。
【0025】
上部構造体30は、柱32及び梁34で構成された複数の架構を有し、複数層で構成されている。この上部構造体30は、マットスラブ40と、マットスラブ40上に設けられた吹抜け部36とを有している。
【0026】
マットスラブ40は、鉄筋コンクリート造とされており、上部構造体30の一階の床を形成している。このマットスラブ40は、外周スラブ42及び中央スラブ44を有している。なお、外周スラブ42は、第一スラブの一例である。また、中央スラブ44は、第二スラブの一例である。
【0027】
外周スラブ42は、マットスラブ40の外周部を形成している。この外周スラブ42は、地盤面12Aに接触した状態で、複数の杭20に支持されている。つまり、外周スラブ42は、地盤面12A及び杭20によって直接的に支持されている。この外周スラブ42の内側に、中央スラブ44が設けられている。
【0028】
中央スラブ44は、マットスラブ40の中央部を形成している。また、中央スラブ44上には、吹抜け部36が設けられている。この中央スラブ44上は、振動が発生し易いコンサートホールや、ダンスホール等の多目的ホールとされている。そのため、構造物10では、中央スラブ44から外周スラブ42に振動が伝達されないように、中央スラブ44と外周スラブ42との縁が、構造的に切られている。より具体的には、中央スラブ44と外周スラブ42との間に、隙間Dが形成されている。
【0029】
なお、中央スラブ44と外周スラブ42とは、図示しないエキスパンジョイント等によって適宜連結されている。
【0030】
中央スラブ44には、当該中央スラブ44の振動が地盤12の表層部を介して外周スラブ42や周辺建物に伝達されないように、本実施形態に係るスラブ支持構造50が適用されている。つまり、中央スラブ44は、地盤面12Aから浮いた状態で複数の杭20に支持されている。
【0031】
(スラブ支持構造)
図2に示されるように、スラブ支持構造50は、複数の架台52と、複数組の架設材60,62とを有している。架台52は、平面視にて矩形の枠状に形成されている。この架台52は、4本の枠材54を有し、千鳥状に配列された杭20の杭頭部20Hの周囲にそれぞれ設置されている。
【0032】
図4(A)に示されるように、枠材54は、断面矩形の筒状に形成されている。また、枠材54は、捨てコンクリート22を介して地盤面12A上に設置されている。さらに、枠材54(架台52)の上端は、杭頭部20Hの上端と略同じ高さに配置されている。
【0033】
図4(B)に示されるように、架台52内には、充填コンクリート56が充填されている。この充填コンクリート56によって、杭頭部20H、架台52、及び中央スラブ44が接合されている。
【0034】
図2に示されるように、矢印X方向に隣り合う架台52には、一対の架設材60が架設されている。一対の架設材60は、平面視にて、互いに間隔を空けて配置され、隣り合う架台52の角部にそれぞれ架設されている。
【0035】
また、矢印Y方向に隣り合う架台52には、一対の架設材62が架設されている。一対の架設材62は、平面視にて、互いに間隔を空けて配置され、隣り合う架台52の角部にそれぞれ架設されている。
【0036】
一対の架設材60と一対の架設材62とは、交差部64において互いに交差されている。図4(A)及び図4(B)に示されるように、架設材60と架設材62との交差部64は、ジャッキ66によって下から支持されている。これにより、架設材60と架設材62との交差部64のたわみ量が低減される。
【0037】
なお、矢印X方向及び矢印Y方向は、互いに直交する水平二方向を示している。また、一対の架設材60と一対の架設材62とは、同様の構成とされている。そのため、以下では、一対の架設材62の構成について説明し、一対の架設材60の構成の説明は適宜省略する。
【0038】
図5(A)及び図5(B)に示されるように、一対の架設材62は、断面矩形の筒状に形成されている。この一対の架設材62は、捨てコンクリート22(地盤面12A)から浮いた状態で、架台52の上部に支持されている。つまり、一対の架設材62と捨てコンクリート22との間には、隙間Sが形成されている。
【0039】
図3に示されるように、一対の架設材60,62には、複数の底型枠70が渡されている。底型枠70は、例えば、フラットデッキや、デッキプレート等の鋼製型枠とされる。そして、図4(B)及び図5(B)に示されるように、複数の底型枠70の上に、スラブ筋46を適宜配筋した状態でコンクリートを打設することにより、中央スラブ44の一部が形成される。
【0040】
図3に示されるように、一対の架設材60と、隣り合う他の一対の架設材60とには、プレキャスト床版80が架設されている。プレキャスト床版80は、プレキャストコンクリートによって形成されている。
【0041】
図6(A)に示されるように、プレキャスト床版80には、イナズマ筋82及びスラブ筋84が適宜埋設されている。そして、図6(B)に示されるように、プレキャスト床版80の上に、スラブ筋46を適宜配筋した状態でコンクリートを打設することにより、中央スラブ44の一部が形成される。
【0042】
(スラブ施工方法)
次に、本実施形態に係るスラブ施工方法の一例について説明する。
【0043】
(架台設置工程)
先ず、架台設置工程について説明する。図2及び図4(A)に示されるように、架台設置工程では、地盤12の地盤面12Aから突出する複数の杭20の杭頭部20Hの周囲に、架台52をそれぞれ設置する。
【0044】
なお、本実施形態では、地盤12の地盤面12Aに捨てコンクリート22を敷設し、この捨てコンクリート22を介して地盤12に架台52を設置している。また、杭20は、新設杭であっても良いし、既存杭であっても良い。また、捨てコンクリート22は、適宜省略可能である。
【0045】
(架設材設置工程)
次に、架設材設置工程について説明する。図2に示されるように、架設材設置工程では、矢印X方向に隣り合う架台52に、一対の架設材60を地盤12(捨てコンクリート22)から浮いた状態で架設するとともに、矢印Y方向に隣り合う架台52に、一対の架設材62を地盤12(捨てコンクリート22)から浮いた状態で架設する。
【0046】
また、図5(A)に示されるように、架設材60と架設材62とが交差する交差部64の下にジャッキ66を設置し、ジャッキ66によって交差部64を支持する。これにより、架設材60と架設材62との交差部64のたわみ量が低減される。
【0047】
(スラブ施工工程)
次に、スラブ施工工程について説明する。図3に示されるように、スラブ施工工程では、一対の架設材60,62上に複数の底型枠70、及び複数のプレキャスト床版80を設置する。
【0048】
次に、図4(B)、図5(B)、及び図6(B)に示されるように、底型枠70及びプレキャスト床版80上にスラブ筋46を適宜配筋した状態でコンクリートを打設する。これにより、杭頭部20H、架台52、及び架設材60,62上に中央スラブ44が形成される。
【0049】
また、底型枠70上にコンクリートを打設する際には、図4(B)に示されるように、架台52内にも充填コンクリート56を打設(充填)する。これにより、充填コンクリート56を介して中央スラブ44と杭頭部20Hとが接合される。なお、架台52は、充填コンクリート56用の型枠としても機能する。
【0050】
その後、図5(B)に示されるジャッキ66を下げ(ジャッキダウン)、架設材60と架設材62との交差部64の支持を解除する。これにより、中央スラブ44から、ジャッキ66を介して捨てコンクリート22及び地盤12に伝達される振動が低減される。
【0051】
このように施工された中央スラブ44は、架台52に架設された複数の架設材60,62によって、地盤12から離れた状態で支持される。したがって、中央スラブ44から地盤12を介して周辺建物へ伝達される振動を低減される。
【0052】
なお、図1に示されるように、マットスラブ40の中央スラブ44と外周スラブ42との間には、隙間Dを形成する。これにより、中央スラブ44と外周スラブ42との縁を切る。この結果、中央スラブ44から外周スラブ42に伝達される振動が低減される。
【0053】
(作用及び効果)
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0054】
本実施形態に係るスラブ支持構造50によれば、図2に示されるように、地盤12に複数の杭20が設けられている。これらの杭20の杭頭部20Hの周囲には、架台52がそれぞれ配置されている。また、矢印X方向に隣り合う架台52には、一対の架設材60が地盤12から離れた状態で架設され、矢印Y方向に隣り合う架台52には、一対の架設材60,62が地盤12から離れた状態で架設されている。
【0055】
図3に示されるように、一対の架設材60,62上には、底型枠70及びプレキャスト床版80が設置されている。そして、図4(B)、図5(B)、及び図6(B)に示されるように、底型枠70及びプレキャスト床版80上に、スラブ筋46を適宜配筋した状態でコンクリートを打設することにより、中央スラブ44が形成されている。つまり、中央スラブ44は、架台52に架設された一対の架設材60,62によって、地盤12から離れた状態で支持されている。したがって、中央スラブ44から地盤12を介して周辺建物へ伝達される振動を低減される。
【0056】
また、中央スラブ44の施工時には、隣り合う架台52に架設された一対の架設材60,62上に、中央スラブ44の底型枠70やプレキャスト床版80を設置することができる。したがって、中央スラブ44の施工性が向上する。
【0057】
このように本実施形態では、中央スラブ44から地盤12を介して周辺建物へ伝達される振動を低減しつつ、中央スラブ44の施工性を向上させることができる。
【0058】
また、図4(B)に示されるように、架台52は、杭20の杭頭部20Hを囲んでいる。この架台52内には、充填コンクリート56が充填されている。この充填コンクリート56によって、中央スラブ44と杭頭部20Hとが接合されている。これにより、中央スラブ44から杭頭部20Hに伝達される振動の伝達効率が向上する。この結果、中央スラブ44の振動を、杭20を介して地盤12の深層部により効率的に伝達することができる。したがって、中央スラブ44から地盤12を介して周辺建物へ伝達される振動がさらに低減される。
【0059】
さらに、中央スラブ44は、複数の架設材60,62上に設置されるプレキャスト床版80を有している。このようにプレキャスト床版80を用いることにより、中央スラブ44を施工する際に、底型枠の設置作業やコンクリートの打設作業が低減される。したがって、中央スラブ44の施工性がさらに向上する。
【0060】
また、中央スラブ44と外周スラブ42との間には隙間Dが形成されており、中央スラブ44と外周スラブ42との縁が切られている。これにより、中央スラブ44から、外周スラブ42に伝達される振動が低減される。
【0061】
(変形例)
次に、上記実施形態の変形例について説明する。
【0062】
上記実施形態のプレキャスト床版80は、ハーフプレキャスト床版とされるが、プレキャスト床版は、フルプレキャスト床版であっても良い。
【0063】
また、上記実施形態では、一対の架設材60,62の上に底型枠70及びプレキャスト床版80が設置されるが、上記実施形態はこれに限らない。一対の架設材60の上には、底型枠70及びプレキャスト床版80の少なくとも一方を設置することができる。
【0064】
また、上記実施形態では、杭20の杭頭部20Hを囲む架台52内に充填コンクリート56を充填したが、充填コンクリート56は適宜省略可能である。また、架台は、杭20の杭頭部20Hの周囲で、架設材60,62を支持可能であれば良く、必ずしも杭20の杭頭部20Hを囲む必要はない。
【0065】
また、上記実施形態では、一対の架設材60と一対の架設材62との交差部64をジャッキ66によって支持するが、ジャッキは、必要に応じて設ければ良く、適宜省略可能である。
【0066】
また、上記実施形態では、外周スラブ42と中央スラブ44との縁を切るが、外周スラブ42と中央スラブ44は、必ずしも縁を切らなくても良い。
【0067】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に限定されるものでなく、一実施形態及び各種の変形例を適宜組み合わせて用いても良いし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0068】
12 地盤
20 杭
20H 杭頭部
44 中央スラブ(スラブ)
50 スラブ支持構造
52 架台
56 充填コンクリート
60 架設材
62 架設材
70 底型枠
80 プレキャスト床版
図1
図2
図3
図4
図5
図6