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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-27
(45)【発行日】2022-07-05
(54)【発明の名称】直線作動用の把持装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/08 20060101AFI20220628BHJP
【FI】
B25J15/08 C
【請求項の数】 12
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018005094
(22)【出願日】2018-01-16
(65)【公開番号】P2018118373
(43)【公開日】2018-08-02
【審査請求日】2020-12-25
(31)【優先権主張番号】1750528
(32)【優先日】2017-01-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】514289975
【氏名又は名称】インターサイエンス
(74)【代理人】
【識別番号】110002398
【氏名又は名称】特許業務法人小倉特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャランク,エマニュエル
【審査官】神山 貴行
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-285878(JP,A)
【文献】特開昭61-004631(JP,A)
【文献】実開昭61-005587(JP,U)
【文献】米国特許第04707013(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00-21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持ケース(99)と,
少なくとも1つのガイド手段(4,5)と,
少なくとも2つの把持アーム(2,3)であって,少なくとも1つの前記ガイド手段(4,5)によって,少なくとも,前記把持アーム(2,3)が閉じる,「締め付け位置」と呼ばれる第1の位置から,少なくとも前記把持アーム(2,3)が広がる「弛緩位置」と呼ばれる第2の位置へと,互いに対して,かつ前記支持ケース(99)に対して移動可能であり,その逆の移動もまた可能な,少なくとも2つの把持アーム(2,3)と,
前記第1の位置から前記第2の位置へと,前記把持アーム(2,3)を互いに対して駆動させるモータ駆動機構とを備え,
前記モータ駆動機構は,
前記2つの把持アーム(2,3)の間にある結合機構と,
前記2つの把持アーム(2,3)のうち,「動作アーム」(2a)と呼ばれる一方のアームのみに作用する動作部材(10)とを含み,
前記結合機構により,前記動作アーム(2a)の動きに対し,前記2つの把持アーム(2,3)のうちの他方の把持アーム(3)の同時かつ逆方向への動きが誘発されるよう構成されており,
前記動作部材(10)が,前記ガイド手段(4,5)に摺動可能に取り付けられた第1の部品(12)を含み,
前記第1の部品(12)は,前記把持アーム(2,3)を前記第2位置から前記第1位置へと移動させるとき,該第1の部品(12)と前記動作アーム(2a)間の前記ガイド手段(4,5)に外嵌された圧縮ばねから成る締め付け制限手段(15)を介して前記動作アーム(2a)を押圧するよう構成されている共に,
前記第1の部品(12)は,前記把持アーム(2,3)を前記第1位置から前記第2位置へと移動させるとき,該第1の部品(12)に一端が連結されていると共に他端にフランジ(51)を有するドラッグリンク(50)を介して前記動作アーム(2a)を牽引するよう構成されており,
前記ドラッグリンク(50)が,前記動作アーム(2a)を貫通すると共に,前記動作アーム(2a)の牽引時,前記フランジ(51)が前記他方の把持アーム(3)に面した前記動作アーム(2a)の表面と当接するよう構成されており,
前記締め付け制限手段(15)の圧縮を測定する検出手段(40)を更に設け,該検出手段(40)によって前記締め付け制限手段(15)が所定長さ圧縮されたことが測定されたとき,締め付け動作を停止することを特徴とする把持装置(1)。
【請求項2】
前記結合機構が,
前記支持ケース(99)に回転可能に取り付けられたはめ歯歯車(8)と,
それぞれ前記把持アーム(2,3)に取り付けられた,少なくとも2つの結合歯付ラック(6,7)を含み,
前記はめ歯歯車(8)が,噛み合いによって前記2つの結合歯付ラック(6,7)と協働することを特徴とする請求項1記載の装置(1)。
【請求項3】
前記はめ歯歯車(8)が,前記支持ケース(99)に対して静止している回転軸の周りを回転自在に取り付けられることを特徴とする請求項2記載の装置(1)。
【請求項4】
前記動作部材(10)が,前記ガイド手段(4,5)に沿って平行移動するように,前記動作アーム(2a)を直線的に作動させることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項記載の装置(1)。
【請求項5】
前記動作部材(10)が,前記第1の部品(12)と,該第1の部品(12)と相互作用する第2の部品(13)から成るねじナット機構を含み,前記第1の部品(12)が,前記少なくとも1つのガイド手段(4,5)によって回転に対して静止しており,前記第2の部品(13)が,モータ(11)によって回転され,その結果,前記第2の部品(13)が,前記第1の部品(12)を前記少なくとも1つのガイド手段(4,5)に沿って平行移動させ,かつ前記第1の部品(12)が,前記動作アーム(2a)に結合されて,前記動作アーム(2a)を直線的に平行移動するように動かすことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項記載の装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つのガイド手段が,前記支持ケース(99)に取り付けられた1つ又は複数のガイドロッド(4,5)を含み,前記動作部材(10)の前記第1の部品(12)がその上を摺動して進退移動可能であることを特徴とする請求項5記載の装置(1)。
【請求項7】
前記第1の部品が,前記ガイド手段上で摺動するナット(12)を含み,その平行移動によって前記動作アーム(2a)が動き,かつ前記第2の部品が,動作ねじ(13)を含むことを特徴とする請求項5又は6記載の装置(1)。
【請求項8】
前記検出手段(40)が,光学センサ(41)と,タング(42)とを有し,前記光学センサ(41)が,前記第1の部品(12)又は前記動作アーム(2a)のいずれか一方に取り付けられると共に,前記第1の部品(12)又は前記動作アーム(2a)のいずれか他方に取り付けられたタング(42)の有無を検出し,
前記光学センサ(41)は,前記締め付け制限手段(15)が光学センサ(41)および/またはタング(42)の取り付け位置の平行移動によって調節された所定の長さ圧縮されたときに前記タング(42)を検出するよう構成されていることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項記載の装置(1)。
【請求項9】
前記検出手段(40)が,
前記第1の部品(12)に取り付けられた,光学センサ(41)と,
前記光学センサ(41)と相互作用すると共に,前記動作アーム(2a)に取り付けられたタング(42)に配置されて前記第1の部品(12)に向かって延びる,少なくとも1つのマーカー(42a)を含み,
前記光学センサ(41)が,前記マーカー(42a)の位置を判定して,少なくとも1つの前記締め付け制限手段(15)の圧縮を推測することを特徴とする請求項1~8のいずれか1項記載の装置(1)。
【請求項10】
前記ドラッグリンク(50)が,前記ナット(12)に取り付けられ,前記動作ねじ(13)及びその周囲に,同心円状に配置された管からなることを特徴とする請求項7記載の装置(1)。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか1項記載の把持装置(1)を備えるロボットアーム(100)。
【請求項12】
細菌培養容器を掴むように構成された請求項1~10のいずれか1項記載の把持装置(1),又は請求項11記載のロボットアームを備える,細菌培養器。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は,ペトリ皿等の軽量の物体を把持するように設計されたロボットアーム用の締め付け把持装置に関し,これは,支持ケースと,ケースに対して平行移動する把持アーム又は顎部と,「動作アーム」と呼ばれる1つの把持アームのみを動作させる直線的な駆動機構とを含む把持アーム用の駆動システムからなり,動作アームは,他方のアームを反対方向へ同時作動させる結合機構によって,他方の把持アームを動作させる。
【0002】
動作アームは,圧縮ばねによって動作され,加えられる締め付け力を制限するために,圧縮ばねのひずみが測定される。
【技術分野】
【0003】
本発明は,ロボットアームを用いた,小型の物体,例えば,ペトリ皿の把持及び操作の分野に属する。本発明は,細菌の成長を観察するために設計された培養器又は恒温室或いは人工気候室(etuves)に装備されるロボットアームに特に適している。例えば,この種の装置は,農業食品,医療,化粧品,化学及び医薬品産業の研究室で実施することができる。
【背景技術】
【0004】
駆動機構に結合された平行なアームを有する把持装置が知られており,これは,両方のアームを互いに近づけたり,遠ざけたりするように動かすことができる。この動作装置は,2つのラックに同時に係合するピニオンを有し,各ラックはアームに結合される。電気モータの同軸上に結合されたピニオンが回転作動することによって,平行移動ガイド手段を用いたアームの平行移動が可能になる。細菌培養器では,ペトリ皿用の締め付け把持装置は,ロボットアームの端部に配置される。このような締め付け把持装置を培養器のロボットアームに適用することの欠点は,片持ち(porte-a-faux)質量が大きくなること,すなわちかなりのモーメントがロボットアームの基部に加わることである。
【0005】
本発明の目的は,従来技術の欠点を部分的に,又は完全に補うことであり,具体的には,直径が異なる壊れやすい物体を掴むことを可能にし,かつ締め付け力を監視しながら,寸法又は設置面積(encombrement)を低減することが可能な,平行なアームを有するクランプを提案することである。
【発明の概要】
【0006】
少なくとも1つの目的は,
支持ケースと,
少なくとも1つのガイド手段と,
少なくとも2つの把持アームであって,少なくとも1つの前記ガイド手段によって,少なくとも両方の前記アームが閉じる「締め付け位置」と呼ばれる第1の位置から,少なくとも両方の前記アームが広がる「弛緩位置」と呼ばれる第2の位置へと,互いに対して,かつ前記支持ケースに対して移動可能であり,その逆の移動もまた可能な,少なくとも2つの把持アームと,
前記第1の位置から前記第2の位置へと,前記把持アームを互いに対して駆動させる,モータ駆動機構とを備える把持装置により達成される。
【0007】
支持ケースとは,把持装置のフレーム又はシャーシのことをいう。支持ケースは,把持装置が固定されるロボットアームの支持ケース又はフレームと一体成形されてもよい。
【0008】
本発明によると,前記駆動機構は「動作アーム」と呼ばれる1つのアームのみに作用する動作部材を備える。前記把持装置は,前記2つのアーム同士の間にある結合機構を備える。前記動作アームは,前記他方のアームの逆方向への同期した動きを誘発する前記結合機構によって,前記動作アームが,前記他方の把持アームに作用し,これらの動作は例えば支持ケースに対して行われる。前記結合機構は機械的のみであることが好ましい。
【0009】
本発明によると,この装置の利点は,特に垂直方向に寸法を低減することが可能である。この装置は,締め付け力を監視しながら,直径が異なる壊れやすく柔らかい物体を掴むときにも有利である。更に,例えばひずみゲージに取り付けられた装置よりも物体を速く掴むことができる利点がある。更に、前記把持装置がロボットアームの端部に位置する場合には,このような配置は,この端部に位置する質量を制限し、したがって、前記ロボットアームに関連する機械的ひずみを制限することを可能にする。
【0010】
一実施形態によると,前記結合機構が,
前記支持ケースに対して,回転移動できるように取り付けられた,はめ歯歯車と,
少なくとも2つの結合歯付ラックであって,前記はめ歯歯車が,噛み合いによって前記2つの結合歯付ラックと協働するように前記把持アームにそれぞれ取り付けられる,少なくとも2つの結合歯付ラックとを少なくとも含む。
【0011】
駆動機構には,把持アームを同時かつ正確に動かすことが可能になるという利点がある。
【0012】
その軸,例えば定置回転シャフトに,ホイール等が自在に取り付けられる。
【0013】
ホイール回転軸は,支持ケースに対して固定され,歯付ラックは,同一の歯を有し,かつ/又は同一のホイール歯と係合することが好ましい。
【0014】
ラックは,その両方が,他方に対して直線的に平行移動するように把持アームに配置され,その結果,動作アームの直線運動が,他方の把持アームの同時かつ逆の直線運動を誘発する。動作アームの動きは,はめ歯歯車及びラックを用いて結合することによって,第2のアームの動きにつながる。ラックはそれぞれ,把持アームの1つに固定されて,噛み合いによってはめ歯歯車と相互作用し,その結果,ラックは,はめ歯歯車が回転している間は反対方向に移動する。結合機構によって,2つのアームが,はめ歯歯車に対して対称運動することが可能になる。
【0015】
結合機構の別の実施形態によれば,例えば,はめ歯歯車及びラックが置き換えられる場合は,
-アームの運動平面に垂直な軸の周囲に,支持ケースに対して回転可能に取り付けられ,かつ,軸の両側に長孔を有するレバーであって,回転軸が,例えば,レバーのほぼ中央に配置されるレバーと,
-少なくとも2つのガイドピン又はスラグであって,レバーの長孔に各ガイドピンが挿入されて,レバーの回転と,アームの対称な平行移動との間に結合を生成するために,カム作用によって相互作用するように把持アームにそれぞれ固定された,少なくとも2つのガイドピン又はスラグと,
を含む結合機構が提供される。
【0016】
レバーは,直線的な形状を有することが好ましい。これは,N形又はZ形であってもよい。長孔は,直線状であることが好ましい。長孔は湾曲していてもよい。長孔の長さは,把持アームが締め付け位置から弛緩位置へと平行移動したときに,各ガイドピンが長孔に滑り込むことができ,逆の動きもまた可能なように,各把持アームの軌道に基づいて決定される。
【0017】
結合機構の別の実施形態によれば,例えば,はめ歯歯車及びラックが置き換えられる場合は,
-自在に回転するように支持ケースに取り付けられた,少なくとも2つのプーリと,
-把持アームにそれぞれ固定された,少なくとも2つのガイドピン又はスラグであって,ベルトが配置されて,プーリ同士の間で反対方向に動いている間は,2つの平行なストランドを形成するようにプーリと協働し,各ストランドがガイドピンに固定される,少なくとも2つのガイドピン又はスラグと,
を含む結合機構が提供される。
【0018】
プーリの回転軸は,アームが弛緩位置に広げられたときは,2つのアーム同士の間にある区域の外側に配置されることが好ましい。各ガイドピンは,フランジ,例えばピンによってベルトに結合される。
【0019】
それぞれの場合において,結合機構は,好ましくはアームの動きが反対方向に,かつ等距離で進むように,2つのアームの動きを同期(又は連動)させることを可能にする。
【0020】
任意の実施形態と互換性があると思われる好ましい態様によれば,把持装置は,少なくとも1つのガイド手段を備え,これは,把持アームが支持ケースに対して,かつ少なくとも1つのガイド手段に沿って,平行移動するのをガイドするように構成される。例えば,少なくとも1つのガイド手段は,支持ケースと一体化される。
【0021】
駆動機構は,把持アームが,直線的な平行移動によって弛緩位置から締め付け位置に切り替わる場合,あるいはその逆の場合に,動作アームがガイド手段に沿って平行移動するように直線的に作動させる,動作部材を含むことが好ましい。
【0022】
好ましい方法において,動作部材は,ロボットアームに配置され,かつ例えば,アームの長手方向と平行な方向に配置される。動作部材は,平行移動する方向に動作アームを作動させる。動作アームは,結合機構によって,対向する把持アームに作用する。この特徴により,駆動機構の質量をロボットアームに沿って分散させることが可能になる。
【0023】
動作部材は,第1の部品と第2の部品との相互作用によって形成される,ねじナット機構を含むことが好ましく,第1の部品は,少なくともガイド手段により固定され,第2の部品は,第1の部品を少なくとも1つのガイド手段に沿って平行移動させるように,モータによって回転駆動される。第1の部品は,少なくとも1つのガイド手段上で,又はその周囲で摺動する。第1の部品は,動作アームに結合されて,直線的に平行移動する動作アームの動きを誘発する。ねじナット機構には,小型で回転モータに容易に結合できるという利点がある。
【0024】
モータは,駆動機構を作動させるように構成され,かつ形成される。モータは,ステップモータであることが好ましい。モータは,ロボットアームの内部,例えば,把持装置を支えるアームの端部の反対側にある,アームの一端に取り付けられることが好ましい。
【0025】
一実施形態によれば,ガイド手段は,支持ケースに固定された1つ又は複数のガイドロッドを含み,この上で動作部材の第1の部品を摺動させ,その逆もまた可能である。1つ又は複数のガイドロッドは,把持アームの平行移動をガイドするように構成される。ロッドは,互いに平行に配置されることが好ましい。例えば,ガイドロッドは,支持ケースに固定される。別の実施形態によれば,ロッドは,ロボットアームのフレームを形成することができる。
【0026】
ガイドロッドは,把持アームが支持ケースに対して,かつガイドロッドに沿って,平行移動するのをガイドするように構成される。例えば,(複数の)ガイドロッドは,円筒形である。把持アームが少なくとも1つのガイドロッドで直線的に摺動するように,少なくとも1つのガイドロッドが把持アームと交差する。ガイドロッドにより,把持アームを保持し,かつその平行移動をガイドすることの両方が可能になる。
【0027】
動作部材の第1の部品は,1つ又は複数のガイドロッド上で摺動する。
【0028】
別の実施形態によれば,動作部材の第1の部品は,1つ又は複数のガイドロッドに固定され,この組み合わせが,ケースに対して摺動する。
【0029】
本明細書で前述した結合機構の第1の実施形態を参照すると,ラックは,例えば,少なくともガイドロッド上で,平行に配置されている。
【0030】
ねじナット機構の第1の部品は,ガイド手段上で摺動し,その平行移動によって動作アームを作動させるナットを含むことが好ましい。ガイド手段が,1つ又は複数のガイドロッドによって実行される場合は,ナットは,例えばロッド上で摺動する。ねじナット機構の第2の部品は,動作ねじを含む。動作ねじは,任意に,ガイドロッド同士の間に配置され,ガイドロッドと平行である。この構成には,小型な装置を形成するという利点がある。
【0031】
把持装置は,任意に,これから説明するいずれの実施形態とも潜在的に互換性がありながら,締め付け力制限手段を備える。好ましい実施形態によれば,動作部材は,締め付け力制限手段によって「動作アーム」を動かす。この例では,動作部材の第1の部品が,締め付け力制限手段によって「動作アーム」を動かす。動作部材の第1の部品は,ナットであることが好ましい。
【0032】
締め付け力制限手段は,締め付け位置に向かう動作アームの動きを制限するため,かつ物体がアームによって,過度に締め付けられて掴まれるのを避けるように加えられた,伝達された力を測定することによって動作する。加えられた力を測定することは,例えば,締め付け力制限手段内で加えられて伝達された力から生じる,例えば直線的なひずみを測定することである。
【0033】
締め付け力制限手段は,締め付けられている間に,破損,変形,又はいくつかの箇所に跡がつくなどして,物体が劣化するのを制限又は防止する。
【0034】
例えば,締め付け力制限手段は,掴まれる物体にかけれた締め付け力で変形する,ばねを含む。加えられた力の測定値は,この場合は,ばねの変形を測定することによって得られ,特に,ばねの剛性定数としての圧縮率は,既に知られている。ばねは,ガイドロッドに同心円状に配置されることが好ましい。ばねは,ガイドロッド及びその周囲に同心円状に配置される。この構成には,小型の装置を形成するという利点がある。締め付け力制限手段は,各ばねがガイドロッドに同心円状に配置されるように構成された,1つ又は複数のばねを含むことが好ましい。
【0035】
ばねは,動作アームを締め付け位置に向かって動かすために動作部材が平行移動するときに,動作アームが掴む物体に接触するとばねが圧縮するような方法で,動作部材の軸受表面,及び動作アームの動作表面に押圧又は当接するように構成される。動作部材の軸受表面は,動作アームに向けられる。動作アームの動作表面は,動作部材の第1の部品に向けられる。各ガイドロッドの周囲に,1つのばねがあることを想定するのが好ましい。
【0036】
弛緩位置にある間は,把持アームは,掴むべき物体に接触しない。締め付け制限手段は動作しないので,第1の部品と,動作アームとの間の距離は,ほぼ一定である。
【0037】
本装置は,任意に,いずれの実施形態とも互換性がありながら,掴まれる物体に加えられた締め付け力の評価を提供するために,締め付け制限手段のひずみを検出又は測定する検出手段を備える。例えば,検出手段は,第1の部品,又は動作アームのいずれかに配置された部品に固定された光学センサを含む。センサは,第1の部品,及び動作アームのうちの他方の部品に固定された金属タング(languette)又はフィンガの有無を検出する。この実施形態には,簡素で手頃な価格になるという利点がある。センサと金属タングとは,ばねが圧縮されると互いに近づき,センサ及び/又は金属タングの位置を平行移動して調節することによって,締め付け力閾値の調節が可能になる。この実施形態には,簡素で,アームの締め付け力の正確な調節が可能になるという利点がある。
【0038】
締め付け検出手段は,第1の部品に取り付けられて,光学センサを含むことが好ましく,その結果,締め付け検出手段は,動作アームに装着され,第1の部品に向かって延びる少なくとも1つのマーカーと相互作用し,光学センサは,マーカーの位置を決定し,少なくとも1つのばねの圧縮率を決定する。例えば,マーカーには目盛が付いている。光学センサは,フォークセンサであって,金属タングは,少なくとも1つのばねが圧縮されたときに,センサの送信器と受信器との間で動くように配置され構成されることが好ましい。
【0039】
装置は任意に,動作アームを弛緩位置へと引っ張るために,ドラッグリンクを備える。例えば,ドラッグリンクは,動作アームと交差しており,動作アームを弛緩位置に向かって動かすために,弛緩位置に向かって作動されると,他方のアームに面している動作アームの表面に当接する,フランジ(肩部; epaulement)を有する。ドラッグリンクは,動作部材のねじナット機構のナットに装着されることが好ましい。ドラッグリンクは,装置を容易かつ迅速に弛緩位置に戻すことを可能にする。ドラッグリンクは,具体的には円筒形のロッドである。
【0040】
本発明の別の態様によれば,前述の特徴の1つ又は複数に従った把持装置を備える,ロボットアームが提案される。
【0041】
本発明のさらに別の態様によれば,前述の特徴の1つ又は複数に従った把持装置,あるいは前述の態様に従い,細菌培養容器を掴むように構成されたロボットアームを備える細菌培養器が提案される。
【0042】
本発明のさらなる特徴及び利点は,これに限定されることのない実施及び実施形態,並びに添付の図面の詳細な説明に記載されている。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1】本発明の把持装置を備える,ロボットアームの斜視図。
図2図1による把持装置を下から見た図であって,本装置が完全に開示されており,弛緩位置にある装置を示す。
図3図1による把持装置を下から見た図であって,本装置が完全に開示されており,掴む物体と接触した位置にある装置を示す。
図4図1による把持装置を下から見た図であって,本装置が完全に開示されており,締め付け位置にある装置を示す。
図5】装置の複数のアームを同時に動かせるようにし,把持アームの位置が図2とほぼ同じになる1つの実施形態に従った,把持装置の2つの把持アームの間にある,はめ歯歯車とラックとの結合機構を示す,斜視図による概略図。
図6図1から図4に従い,かつ1つの実施形態に従った装置の概略図であり,1つの動作部材の回転軸を通って長手方向に切断された,1つの把持アームのドラッグリンクを詳細に示す。
図7図1による把持装置を下から見た図であり,概略的に示されて締め付け制限手段も検出手段もない,図2図3図4とは異なる結合機構の,カム効果によって力を伝達する一実施形態を示す。
図8図1による把持装置を下から見た図であり,概略的に示されて締め付け制限手段も検出手段もない,図2図3図4とは異なる結合機構の,プーリ及びベルトで力を伝達する一実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
これらの実施形態は,決して限定的なものではなく,説明される他の特徴とは別に,後述する特徴から選択した1つの特徴のみを含む,本発明の変形例が特に考えられてもよく,これは,この特徴の選択が,技術的利点をもたらすことを証明し,あるいは本発明を現在の技術水準に対して区別するためである。この選択は,構造特異性を有さない,あるいはこの単一の部分が技術的利点をもたらし,又は本発明を従来技術と区別するのに十分な場合は構造細部の一部のみを有する,少なくとも1つの好ましい機能的な特徴を含む。
【0045】
特に,説明される変形例及び実施形態は全て,技術的観点から,これに反するものがないように組み合わされてもよい。
【0046】
図1は,当業者が知るところの,アクチュエータによって水平及び/又は垂直に動くように配置され構成されたロボットアーム100を示す。ロボットアーム100は,アームの一端に取り付けられた把持装置1を備える。この例では,把持装置は把持クランプである。
【0047】
ここで,把持装置は,2つの把持アーム2,3を備え,第1の把持アーム2と第2の把持アーム3とは,一方が他方に向かって平行移動するように配置され構成されている。把持アーム2,3のうちの一方は,他方のアーム,及び支持ケース99に対して,アーム2,3が互いに閉じる,「締め付け位置」(図4を参照)とも呼ばれる少なくとも1つの第1の位置から,アーム2,3が広がる,「弛緩位置」(図2を参照)とも呼ばれる少なくとも1つの第2の位置へと平行移動可能であり,逆の移動も可能である。
【0048】
図2図3図4,及び図5を参照すると,把持アーム2,3は,互いに動く方向に対して垂直に延びており,ここでは,この同じ平行移動方向に垂直な線に対して対称的な形状になっている。
【0049】
図1から図4までを参照すると,各把持アーム2,3は,掴むべき物体Pに接触するように設計された,円弧又は凹型の形状の把持面21,31をそれぞれ有する。円弧形状によって,凸形又は円筒形の物体をより容易に掴むことが可能になる。図1を参照すると,把持アーム2と3との間に物体が置かれていないときは,第1のアーム2の把持面21は,第2のアーム3の把持面31に面する。
【0050】
各把持面21,31には,突出部,膨出部,又は隆起部をそれぞれ設けることが好ましい。図2図3図4を参照すると,把持面21には2つの突出部22が設けられ,把持面31には2つの突出部32が設けられている。各アームにおいて,突出部は,物体Pがアームで掴まれると,把持面の内側部分の代わりに突出部が接触するような距離で,把持面に沿って配置されて互いに広がっている。図3及び図4に示すように,アームが掴むべき物体に近づいたとき,すなわち,物体Pがアームによって把持されたときに,突出部によって,該突出部の間で掴まれている物体Pを中央に位置決めすることが可能になる。アームが動いて,1つ又は複数の突出部を介して物体と接触したときに,突出部は,物体が4つの突出部の間で中央に位置決めされるように作用する。
【0051】
図2図3,及び図4を参照すると,把持装置は2つのガイドロッド4,5を含み,該ガイドロッド4,5は,把持アーム2,3がケース99に対して,ロッド4,5に沿って摺動するのをガイドするように配置される。ガイドロッド4,5は,それぞれ平行に配置されてケース99に取り付けられる。ガイドロッドは円筒形で,把持アーム2,3と交差することが好ましい。
【0052】
把持装置1は,把持アームを第1の位置から第2の位置へと,一方のアームを他方のアームに対して両方向に駆動させる駆動機構を備える。駆動機構は,結合機構を含む。図2及び図5を参照すると,結合機構は,支持ケース99に対して,固定回転軸8rの周囲で移動可能かつ回転可能に取り付けられた,はめ歯歯車8を含み,これはここでは,ケースに取り付けられたシャフト上にある(図5ではケースは見えない)。回転軸8rは,把持アーム間に配置される。結合機構は,把持アーム2に取り付けられた第1のラック6,及び把持アーム3に取り付けられた第2のラック7の,2つの結合歯付ラックを含む。ラック6,7は,互いに平行で,噛み合いによってはめ歯歯車8と相互作用する。把持アーム2,3が,ガイドロッド4,5に沿って摺動できるように,ラックは,はめ歯歯車8の回転中は反対方向に移動する。図5は,例えば,図2に示す弛緩位置にあるときの機構を示す。図2を参照すると,ラックは,ガイドロッドと平行に配置されている。はめ歯歯車とラックとの機構によって,好ましくはアームの動きが支持ケースに対して対称になるような方法で,2つのアーム2,3の動きを同期(又は結合)させることが可能になる。それぞれのラックの長さは,アームが弛緩位置(図2を参照)から締め付け位置(図4を参照)まで移動する距離とほぼ等しいか,あるいはこれをわずかに上回っていることが好ましい。例えば,各ラック6,7は,5センチメートル~10センチメートルの長さとされる。
【0053】
図7を参照すると,結合機構の代替実施形態が想定されている。この機構は,支持ケース99に対して,固定回転軸8rの周囲で移動可能かつ回転可能に取り付けられたレバー80を有し,この軸は,把持アーム2と3との間に配置される。レバー80は直線状の棒の形状を有し,その長さの中央に配置される回転軸8rを受けるように孔が設計される。レバー80は,それぞれの端部に長孔82,83を有する。結合機構は,2本のガイドピンを含み,第1のガイドピン86は,第1の把持アーム2に固定され,第2のガイドピン87は,第2の把持アーム3に固定される。各ガイドピンは,レバーにおいて,1つの長孔の長手方向縁部と相互作用することが想定される。ガイドピン86は長孔82に適合し,ガイドピン87は長孔83に適合する。締め付け位置に向かって作動されると,レバー80は時計回りに回転し,各ガイドピンが,軸8rに向かってその長孔に滑り込んでアームを互いに近づけ,弛緩するときは,その逆の動きを行う。あるいは,いずれかの長孔が端部で開いていてもよく,それによってガイドピンを囲むフォーク形を形成してもよい。
【0054】
図8を参照すると,結合機構の第2の代替実施形態が想定されている。この機構は,支持ケース99に対して,固定回転軸8rの周囲で移動可能かつ回転可能に取り付けられた,第1のプーリ92,及び第2のプーリ93の,2つのプーリ92,93を含む。プーリは,弛緩位置にある間は,把持アーム同士の間にある区域の外側に取り付けられる。第1のプーリ92は,把持アーム2から少し離して取り付けられ,第2のプーリ93は,把持アーム3から少し離して,あるいは把持アーム3から遠い位置に取り付けられる。例えば,各アームの外面と,プーリの外周との間の距離は,約数ミリメートルから数センチメートル,例えば5センチメートルまでである。図8を参照すると,プーリ93は,支持ケース99の遠位端,すなわち2つの把持アームを越えて,例えば,(図の右側部分の)ガイドロッド4及び5の端部に配置される。プーリ92は,ちょうどモータ11の端部(図の左側の部分)で,支持ケース自体に配置される。結合機構は,2本のガイドピンを有し,第1のガイドピン96は,第1の把持アーム2に固定され,第2のガイドピン97は,第2の把持アーム3に固定される。この機構は,プーリ同士の間に,プーリの各側に1つずつの(図では,1つが上,もう1つが下に)2つのストランドを形成するようにプーリ92,93を囲む,張架ベルト90をさらに有する。把持アームの距離にプーリを配置することによって,把持アームがとる任意の位置で,ベルトのストランドを引っ張ることが可能になる。各ストランドは,動かないようにガイドピンに結合される。ガイドピンが対向するストランドに配置されると仮定すると,一方の任意の動きが,他方の反対方向への動きにつながる。ここで,ねじナット機構10を用いて動作アーム2aを動かすことによって駆動が達成される。他の実施形態では,この駆動は,例えばプーリ92によって,ベルト90を駆動させるモータを用いて達成される。
【0055】
装置1は,駆動機構を作動させるモータ11を備える。モータは,電気モータであり,電気ステップモータであることが好ましい。ここでは,モータ11は,ケース99に固定される。
【0056】
図2図3,及び図4を参照すると,把持装置は,モータと,「動作アーム2a」とも呼ばれる第1のアーム2との両方に結合された,ねじナット機構10を備える。ねじナット機構及びモータは,駆動機構によってアーム2,3の動きを作動させることを可能にする。
【0057】
ねじナット機構は,その回転を防止するために2つのガイドロッド4,5に対して摺動結合されるナット12を含む。2つのガイドロッドに結合することにより,1つのロッドのみに結合される場合に対して,ナットが1つのガイドロッド上できつく締まる危険性を制限することも可能になる。ナット12は,動作アーム2aに結合される。
【0058】
ねじナット機構は,ナット12と協働する動作ねじ13を含み,ねじ13は,モータ11によって,ナット12をガイドロッド4,5に沿って直線的に平行移動させるように回転駆動される。動作ねじ13は,ガイドロッドと平行な方向に延びている。ねじ13のねじ山は,本明細書で後述する手段によって物体を締め付けることができるように,動作アーム2aの弛緩位置から締め付け位置への移動長よりも長くする必要がある。例えば,動作ねじは,5センチメートル~15センチメートルのねじ山を有する。
【0059】
装置を作動させると,どちらの方向であっても,ナット12の動きが動作アーム2aを動かし,駆動機構によって,第2の把持アーム3の動きがこれに同期される。
【0060】
結合機構の第1の実施形態によれば,動作アーム2aの第1のラック6が駆動して,アーム3の第2のラック7にこの作動を伝達し,はめ歯歯車8によって,アーム3を締め付け位置に向かって,又は弛緩位置に向かって駆動させる。
【0061】
図7に示す,結合機構の第1の代替実施形態によれば,動作アーム2aの第1のガイドピン86が駆動しており,この作動を把持アーム3の第2のガイドピン87に伝達し,把持アーム3は,レバー80によって,締め付け位置に向かって,又は弛緩位置に向かって駆動される。例えば,締め付け位置に向かって作動しているときは,第1のガイドピン86がレバー80を押し,レバー80は,長孔82によって,ガイドピン86の半径方向表面上で摺動する。同時に,レバー80は,把持アーム3の第2のガイドピン87を引っ張り,レバー80は,長孔83によって,ガイドピン87の半径方向表面上で摺動する。
【0062】
図8に示す結合機構の第2の代替実施形態によれば,動作アーム2aの第1のガイドピン96が駆動し,この作動を把持アーム3の第2のガイドピン97に伝達し,把持アーム3は,プーリ92,93,及びベルト90によって,締め付け位置に向かって,又は弛緩位置に向かって駆動される。例えば,締め付け位置に向かって動作しているときは,第1のガイドピン96がベルトを引っ張り,ベルトは,プーリ92,93によって,平行移動運動を反時計回りの回転運動へと伝達する。同時に,ベルト90は,アーム3の第2のガイドピン97を引っ張り,その結果,両方のアームが互いに近づく。
【0063】
把持装置は,アームで掴まれた物体の過剰な締め付けを避けるために配置され構成された,締め付け制限手段15を備える。締め付け制限手段15は,締め付け位置に向かう動作アーム2aの動きを制限するように加えられた力を測定することによって動作する。例えば,手段15は,締め付け力が閾値に到達したときに締め付けを止めるために,この手段で加えられた力によって生じた直線ひずみを測定することによって動作する。図2図3図4,及び図6を参照すると,締め付け制限手段15は,ナット12と,動作アーム2aとの間に配置されている。ナット12は,締め付け制限手段によって動作アーム2aを動かす。締め付け制限手段15に伝達される力は,ナット12によって与えられた力と一致し,この力は,把持アーム2,3が掴むべき物体と接触したときに,把持アーム2,3の動きを中断することによって生じる。締め付け制限手段は,2つのばね15を備えることが好ましく,これは,掴むべき物体にかけられた締め付け力の影響でひずむ。ばね15はそれぞれ同心円状に,ガイドロッドの周囲に取り付けられる。ばね15は,螺旋形である。この配置は,小型化されるという利点がある。ばねはそれぞれ,ナット12の軸受表面14と,動作アーム2aの動作表面25とに当接している。ナット12が,動作アームを締め付け位置に向かって動かすように平行移動したときに,動作アーム2a,又はアーム2a,3が物体に接触すると,ばねは圧縮する。
【0064】
把持装置は,その間でばね15が圧縮される表面14,25が接合している間に,掴んだ物体に加わった締め付け力の評価を提供するために,ばね15のひずみを検出して測定する検出手段40を備えることが好ましい。例えば,検出手段40は,ナット12に取り付けられた光学センサ41を含み,これは,動作アーム2aに固定され,ばね15が圧縮されるとセンサ41に近づく,フィンガ又は金属タング42等の有無を検出する。図2図3,及び図4を参照すると,タング42は,ナット12に向かってガイドロッド4と平行に延びている。タング又はフィンガは,少なくとも1つの表面に1つ又は複数のマーカーを有し,その結果,センサ41は,動作アーム2aに対するナット12の相対位置を決定して,ばね15の圧縮を測定する。センサ41は,(複数の)マーカーがセンサの前でスクロールして,センサに検出されるように,タング42に対して位置決めされる。タング長さは,静止時のばねの長さとほぼ等しいことが好ましい。この特徴により,圧縮力,特に低圧縮力を広範囲に検出することが可能になり,締め付け力を0.1N~5Nにすることによって,柔らかい,弾性の,又は極度に壊れやすい物体に対する締め付け力を制御するときに有利である。好ましくは,光学センサ41はフォーク形であり,タングは,ばねが圧縮している間に,センサ送信器及びセンサ受信器から移動するように配置され構成される。任意で図には示されていないが,ナット12は,ばねが圧縮しているときにタング42をナットに導入できるように,孔が設けられてもよい。
【0065】
好適には,締め付け力の閾値設定は,センサ及び/又はタングの位置を平行移動して調節することによって得られる。センサが,ばねの設定された圧縮率と一致する位置をタングで検出すると,締め付け装置の作動が,例えば電子的に中断される。この仕組みにより,物体に加わる締め付け力を調節することが可能になる。
【0066】
把持装置は,動作アーム2aを弛緩位置に向けて牽引する,ドラッグリンク(拘束ロッド;tige de rappel)50を含むことが好ましい。ドラッグリンク50は,動作アーム2aと交差しており,フランジ51を有する。図4及び図6を参照すると,フランジ51は,弛緩するように作動されたときに,動作アーム2aを弛緩位置に向かって動かすために,第2のアーム3に面する配置で,動作アーム2aの表面に当接している。図6を参照すると,ドラッグリンク50は,ナット12に取り付けられており,動作ねじ及びその周囲に同心円状に配置された管からなる。この特徴には,装置が小型化されると共に,接触位置に向かって動くときに,動作アーム2aをばね自体が可能なよりも速く弛緩位置に動かし,また,ばねの範囲より遠く,かつこれを越えて弛緩位置に達するという利点がある。
【0067】
ここで,把持装置1の動作原理について説明する。まず,把持装置は,図1に示すものと同一の構成であり,これを弛緩位置と呼ぶ。把持アーム2と3との間には物体は置かれていない。把持アーム2,3は互いに広げられ,物体を囲むことができるようになっている。次に,把持装置1は,ロボットアーム100によって,図2に見られるように,把持アーム2,3が掴むべき物体を囲むように動かされる。
【0068】
把持装置は,物体を掴むために,把持アーム2,3を互いに近づくように移動させることを命じられる。モータ11は,ねじナット機構の動作ねじ13を回転させ,ナット12をガイドロッド4,5に沿って平行移動させる。ナット12は,次に,ばね15によって動作アーム2aを押し,ばね15は,平行移動中は,2つのアーム2,3が掴む物体に接触するまで,長さはほぼ変わらないままである。平行移動中は,ばねはひずまない。図3は,2つの把持アーム2,3が物体に接触した瞬間を示す。
【0069】
アームと物体とが接触すると,図4に見られるように,把持アーム2,3は,締め付け位置に達するまで,最小距離で互いに近づく。把持アーム2,3は数ミリメートルまで近づき,各アームは,例えば3ミリメートル~10ミリメートルに等しい距離で物体に向かって動く。そのために,動作ねじ13が回転駆動され,その結果,ナット12がばね15を圧縮し,ばねはナット12と動作アーム2aとの間で圧縮された状態になる。把持アームは,掴まれる物体に締め付け力を加え,これは,ばねの復元力に比例する。例えば,壊れやすく,かつ/又はひずみが生じやすいペトリ皿では,2ニュートンの締め付け力が必要とされるが,これを大きく上回ってはならない。本明細書で説明する検出手段により,物体に加えられる締め付け力を決定及び/又は調節することが可能になる。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8