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特許7095872インターロイキン-33産生抑制剤並びにインターロイキン-33の増加に関連するアレルギー疾患の予防、治療又は抑制用の医薬品、医薬部外品、化粧料及び飲食品組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-27
(45)【発行日】2022-07-05
(54)【発明の名称】インターロイキン-33産生抑制剤並びにインターロイキン-33の増加に関連するアレルギー疾患の予防、治療又は抑制用の医薬品、医薬部外品、化粧料及び飲食品組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/352 20060101AFI20220628BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20220628BHJP
   A61P 37/08 20060101ALI20220628BHJP
   A61K 8/49 20060101ALI20220628BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20220628BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20220628BHJP
【FI】
A61K31/352
A61P43/00 111
A61P37/08
A61K8/49
A61Q19/00
A23L33/105
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018178728
(22)【出願日】2018-09-25
(65)【公開番号】P2020050593
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】591046892
【氏名又は名称】富士産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【弁護士】
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】草野 崇一
(72)【発明者】
【氏名】小林 憲正
【審査官】福山 則明
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2007/109071(WO,A2)
【文献】特開2017-226612(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107334762(CN,A)
【文献】J. Agric. Food Chem.,2015年,Vol. 63,pp. 10921-10927
【文献】JOURNAL OF FUNCTIONAL FOODS,2015年,Vol. 19,pp. 278-287
【文献】Bioorg. Med. Chem. Lett.,2007年,Vol. 17,pp. 5177-5181
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-31/80
A61K 8/00- 8/99
A23L 33/00-33/29
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
PubMed
Google Scholar
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
4’-デメチルノビレチンを有効成分として含有するインターロイキン-33産生抑制剤。
【請求項2】
4’-デメチルノビレチンを有効成分として含有する、インターロイキン-33の増加に関連するアレルギー疾患の予防、治療又は抑制用の医薬品、医薬部外品又は化粧料。
【請求項3】
4’-デメチルノビレチンを有効成分として含有する、インターロイキン-33の増加に関連するアレルギー疾患の予防又は抑制用の飲食品組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、4’-デメチルノビレチンを有効成分として含有し、インターロイキン-33(IL-33)産生抑制作用を有することにより、花粉症、通年性アレルギー性鼻炎及びアトピー性皮膚炎といったIL-33の増加に関連するアレルギー疾患に対して優れた予防、治療又は抑制効果を有する医薬品、医薬部外品、化粧料、及び飲食品組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
花粉症は国民のおよそ3割が罹患していると言われ、ハウスダスト等が原因の通年性鼻炎も含め、アレルギー性鼻炎は、医療費、労働生産性の面からも大きな社会問題である。また、アレルギー性鼻炎は体質的なものであり、薬で治る病気ではない。
【0003】
このような観点から、食品として摂取可能な植物エキスを対象として、アレルギーの発症を抑制する物質のスクリーニングも多く行われている。
例えば、βヘキソサミニダーゼはマスト細胞の顆粒中に豊富に存在し、マスト細胞が活性化された場合に、ヒスタミンのようなかゆみを誘発するケミカルメディエーターと共に放出される(脱顆粒)。それゆえ、βヘキソサミニダーゼは便宜的に脱顆粒の指標として頻繁に用いられるが、それに対する阻害作用のあるエキス類が多数報告されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、現在、アトピー性皮膚炎を含めて、花粉症による季節性およびハウスダスト等による通年性のアレルギー性鼻炎などのアレルギー疾患に対して十分満足できる改善効果を有する物質、エキス類は見つかっていない。
【0005】
最近、花粉症や通年性鼻炎等のアレルギー性鼻炎の発症機序として、鼻粘膜上皮から産生されるIL-33が必須であることが明らかにされた(例えば、非特許文献1参照)。IL-33は、2型ヘルパーT(Th2)細胞、好塩基球、マスト細胞、好酸球のようなアレルギー関連の細胞に作用し、アレルギーのシグナルを伝達する。
【0006】
また、アトピー性皮膚炎患者の皮膚においては、健常者に比べて角化細胞からのIL-33の産生が促進されていることが明らかとなっており(例えば、非特許文献2参照)、IL-33がマスト細胞を活性化することでヒスタミンが分泌される。
一方では、IL-33によるII型自然リンパ球活性化を介した好酸球の増殖により慢性の湿疹が惹起され、アトピーの発症につながることが示されている(例えば、非特許文献3参照)。
【0007】
このように、花粉症や通年性のアレルギー性鼻炎及びアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患の抑制メカニズムにおいて、IL-33の産生抑制はマスト細胞からの脱顆粒抑制剤よりも上流側に関与していることから、上記疾患に対して抗アレルギー作用をより効果的に発揮する可能性が高く、新規機序での治療薬のターゲットとして開発が進められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特許第5403320号公報
【非特許文献】
【0009】
【文献】武藤陽子、アレルギー、63(8) :1119-1125 (2014).
【文献】Du HY et al., J. Interferon Cytokine Res., 36(9):552-62 (2016).
【文献】Imai, Y. et al., PNAS, 110(34):13921-13926 (2013).
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記課題を解決し、4’-デメチルノビレチンを有効成分として含有し、IL-33産生抑制作用を有することにより、花粉症、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎といったIL-33の増加に関連するアレルギー疾患に対して優れた予防、治療又は抑制効果を有する医薬品、医薬部外品、化粧料、および飲食品組成物を開発することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
ポリメトキシフラボノイドであるノビレチンは、カンキツ特有のフラボノイドであるが、近年、がん予防、老化抑制、抗動脈硬化作用等さまざまな生理作用が知られるようになってきた。
【0012】
本発明者は、ノビレチンを多く含有するカンキツ類の果皮を用い、特定種類の麹菌で発酵することにより、主成分のノビレチンが4’-デメチルノビレチンに変換することを明らかにした。また、本発明者らは、4’-デメチルノビレチンが、優れた記憶改善作用を有することも見出した(特許第5667561号公報参照)。
【0013】
本発明者は、さらに4’-デメチルノビレチンの機能性について検討を重ねた結果、花粉症、アレルギー性鼻炎やアトピー性皮膚炎等のアレルギー疾患の発症に関わるIL-33の産生抑制作用を有することを認めた。さらに、実際に人においてその有効性を認め、本発明を完成するに至った。
【0014】
即ち、本発明に係るインターロイキン-33産生抑制剤は、4’-デメチルノビレチンを有効成分として含有することを特徴とする。
本発明に係るインターロイキン-33の増加に関連するアレルギー疾患の予防、治療又は抑制用の医薬品、医薬部外品又は化粧料は、4’-デメチルノビレチンを有効成分として含有することを特徴とする。
本発明に係るインターロイキン-33の増加に関連するアレルギー疾患の予防又は抑制用の飲食品組成物は、4’-デメチルノビレチンを有効成分として含有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、4’-デメチルノビレチンを有効成分として含有し、IL-33産生抑制作用を有することにより、花粉症、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎といったIL-33の増加に関連するアレルギー疾患に対して優れた予防、治療又は抑制効果を有する医薬品、医薬部外品、化粧料、および飲食品組成物を提供することを可能とする。
【0016】
また、4’-デメチルノビレチンはカンキツ果皮成分のノビレチンから麹菌発酵法により変換して得ることができるため、本発明の内服剤及び飲食品組成物は食経験が豊富で副作用の心配がない。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】4’-デメチルノビレチン単離物のLPS誘発IL-33産生に対する抑制作用を示す図である。棒グラフは左からコントロール(無添加)、LPSのみ添加、LPS+4’-デメチルノビレチン5μM, 10μM添加、LPS+ノビレチン5μM, 10μM添加、LPS+トラニラスト30μM, 61μM, 92μM添加、の結果を示す。縦軸は培養液中のIL-33含量(pg/mL)を示す。バーは標準偏差を示す。
図2】4’-デメチルノビレチン含有組成物のLPS誘発IL-33産生に対する抑制作用を示す図である。棒グラフは左からコントロール(無添加)、LPSのみ添加、LPS+4’-デメチルノビレチン含有組成物5μg/mL, 10μg/mL, 20μg/mL添加、の結果を示す。縦軸は培養液中のIL-33含量(pg/mL)を示す。バーは標準偏差を示す。
図3】4’-デメチルノビレチン含有組成物のLPS誘発TNF-α産生に対する抑制作用を示す図である。棒グラフは左からコントロール(無添加)、LPSのみ添加、LPS+4’-デメチルノビレチン含有組成物5μg/mL, 10μg/mL添加、の結果を示す。縦軸は培養液中のTNF-α含量(pg/mL)を示す。バーは標準偏差を示す。
図4】4’-デメチルノビレチン含有組成物のLPS誘発IL-6産生に対する抑制作用を示す図である。棒グラフは左からコントロール(無添加)、LPSのみ添加、LPS+4’-デメチルノビレチン含有組成物5μg/mL, 10μg/mL添加、の結果を示す。縦軸は培養液中のIL-6含量(pg/mL)を示す。バーは標準偏差を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明の実施形態は、4’-デメチルノビレチンを有効成分として含有するIL-33産生抑制剤である。
本発明のもう一つの実施形態は、4’-デメチルノビレチンを有効成分として含有する、IL-33の増加に関連するアレルギー疾患の予防、治療又は抑制用の医薬品、医薬部外品、化粧料又は飲食品組成物に関する。
【0019】
〔4’-デメチルノビレチン〕
4’-デメチルノビレチン(式1)は市販されていないが、合成品を用いることができる。あるいは、先に報告した特許第5667561号公報に記載の方法により、ノビレチンを含有するカンキツ類、特に果皮を用いた麹菌発酵により得られた4’-デメチルノビレチン純品(単離物)または4’-デメチルノビレチン含有組成物を用いることができる。合成品よりも、麹菌発酵によるノビレチンの生物変換を利用する特許第5667561号公報に記載の方法の方が簡便なため、好適である。
【0020】
【化1】
【0021】
4’-デメチルノビレチンは、ノビレチンが体内で吸収された後にできる代謝産物の一つでもある。カンキツ果皮はマーマレード、砂糖煮などのお菓子の原料として利用され、また、ノビレチン含量の高いマンダリンオレンジ(Citrus reticulata)はチンピとして長年の食経験があるため、4’-デメチルノビレチンおよびその含有組成物は、副作用の心配がなく、安心して経口摂取することができる。
【0022】
特許第5667561号公報に記載された方法に準じた、4’-デメチルノビレチンおよびその含有組成物の製造方法について、以下に説明する。
当該製造方法は、下記の発酵原料を麹菌発酵させる工程からなる。
【0023】
〔発酵原料〕
麹菌発酵の原料は、ポリメトキシフラボノイドであるノビレチンを含有するカンキツ類の‘果実’(果皮、果汁、果肉、種子などを含む果実全体)であるが、特には、ノビレチンの含有率、廃棄物の有効利用の観点から、‘果皮’を用いることが望ましい。
【0024】
また、カンキツ類の種類としては、ノビレチンを含有するカンキツ類であれば、如何なる品種、系統のもの(例えば、ポンカン、シークワーシャ、タンジェリン、タチバナなど)も用いることもできる。
【0025】
なお、発酵原料としては、カンキツ類の植物体の他の部分(例えば、葉、芽、茎、花、など)を含むものを用いてもよいが、ノビレチンの含有率の点でこれらを含まないものであることが望ましい。
【0026】
上記カンキツ類は、好ましくは、収穫・採取した生のもの、水洗いしたもの、を用いることが望ましいが、乾燥、凍結、長期保存したものなどであっても用いることができる。
また、カンキツ類はそのままの形態で用いてもよいが、刻むか、砕片化するか、擂潰するかのいずれかの破砕処理を行うことが望ましい。
【0027】
当該破砕処理は、カンキツ類をいくつかの破片に大きめに刻むこと、細かい小片に細断すること、破砕すること、擂り潰すこと、粉末状にすること、等、幅広い行為を含むものである。好ましくは、1~数cm程度に大きめに刻んだ状態にすることによって、行うことができる。
【0028】
またさらには、これら発酵原料から、予めノビレチンを抽出して得た抽出物(エキス、乾燥物)や、純品のノビレチンとして単離したものを用いることもできる。
なお、これら発酵原料は、後記の麹菌発酵を行う前に、加熱処理を行って、原料中の雑菌を殺菌しておくことが好ましい。
【0029】
〔麹菌発酵工程〕
前記発酵原料を発酵させる麹菌としては、例えばアスペルギルス・カワチ(Aspergillus kawachii)、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス・ソーヤ(Aspergillus sojae)、アスペルギルス サイトイ(Aspergillus saitoi)、アスペルギルス・ウサミ(Aspergillus usamii)、リゾプス属糸状菌(別名クモノスカビ)、などを用いることができる。また、これらを混合させて用いてもよい。
【0030】
前記麹菌のうち好ましくは、アスペルギルス・カワチ(Aspergillus kawachii)、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)、アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、を用いると、4’-ノビレチンを高い含有率で得ることができる。
【0031】
発酵原料へ前記麹菌を接種する方法としては、麹菌の胞子を発酵原料に直接振りかけて付着させることができる。また、予め前記麹菌を液体培養により予備発酵した培地を、発酵原料全体に行き渡るように接種してもよい。
【0032】
前記麹菌を発酵原料に接種する場合の微生物発酵条件としては、好気的条件で行うことが望ましいことから、例えば有底円筒状の底部が広く深さが浅い容器が好適である。
このような容器の底部に、発酵原料を万遍なく広げ、空気との接触面積が大きくなるようにするとよい。
【0033】
発酵温度としては、前記麹菌の生育に好適な条件として、好ましくは10~40℃、より好ましくは20~40℃、さらに好ましくは25~32℃で行われる。加えて、前記麹菌の生育に好適な条件として、暗所で発酵させるのが好ましい。また、原料中に十分な水分が含まれている状態であることが好ましい。
【0034】
4’-デメチルノビレチンを多量に得るための微生物発酵の発酵期間としては、1~14日間とすることができ、好ましくは2~14日間、より好ましくは2~10日間、さらに好ましくは2~4日間である。
この発酵期間が1日間未満の場合には、前記麹菌による微生物発酵がほとんど進行していないことから十分な4’-デメチルノビレチンが得られない。また、逆に14日間を超える場合には、微生物変換により生成された4’-デメチルノビレチンの分解が進み、またカンキツ由来の好ましい芳香が消失する。
【0035】
また、当該麹菌発酵においては、麹菌から分泌される酵素によって、ノビレチンがデメチル化され、4’-デメチルノビレチンへと変換させるものである。
従って、麹菌発酵を行う代わりに、当該麹菌もしくは発酵後に得られる発酵物から溶液抽出を行ってノビレチンをデメチル化する酵素を含む酵素液を得、当該酵素を用いて前記原料と酵素反応を行って反応物を得ることで、4’-デメチルノビレチンを得ることも可能である。
具体的には、当該麹菌発酵後の発酵物からの水溶解物を回収し、粗酵素液として用いることで、酵素反応を行うことができる。
【0036】
上記の麹菌発酵を行うことによって、前記カンキツ原料に含有されるポリメトキシフラボノイドであるノビレチンは、すべて4’-デメチルノビレチンに変換される。
具体的には、前記カンキツ原料を麹菌発酵することによって、4’-デメチルノビレチンが乾燥質量あたり約0.5~1.5質量%(具体的には、約1質量%)という、高い含有率の麹菌発酵物を得ることができる。
従って、ここで得られた麹菌発酵物を、得られたそのままの形態で、もしくは、加工(例えば、細片化、擂潰、粉末化、乾燥、など)して、本実施形態のIL-33産生抑制剤並びに医薬品、医薬部外品、化粧料又は飲食品組成物の有効成分として用いることができる。
【0037】
〔溶液抽出工程〕
なお、純度の点を鑑みると、本実施形態のIL-33産生抑制剤並びに医薬品、医薬部外品、化粧料又は飲食品組成物の製造においては、前記麹菌発酵の後に得られる発酵物から溶液抽出を行って、抽出物を得ることが望ましい。
【0038】
当該溶液抽出工程は、前記麹菌発酵物に対して直接行うこともできるが、前記麹菌発酵物について、さらに細片化、破砕、擂潰、粉末化等のいずれかの処理を行った後に得られたものに対して行うことが望ましい。
【0039】
溶液抽出工程に用いる溶媒は、水、緩衝液、有機溶媒、またはそれらの含水溶媒を用いることができる。有機溶媒としては、例えば、エタノール、メタノール、イソプロパノール、ブタノールのような低級脂肪族アルコールや、アセトン、酢酸エチル、クロロホルム等が挙げられる。
これらの溶媒の中でも、水、エタノールあるいは含水エタノールが抽出効率や取り扱いやすさ、安全性の面で特に好ましい。
【0040】
含水エタノールを用いる場合には、終濃度20%以上、さらに好ましくは終濃度30%以上(いずれもv/v)の含水エタノールを用いて抽出を行うことで、4’-デメチルノビレチンの抽出効率を向上できるため好ましい。
【0041】
抽出条件としては、前記原料(好ましくは砕片化物)に対して、前記溶媒を、1から20倍量、好ましくは2~10倍量(いずれも質量比)加え、0℃~溶媒の沸点の温度条件、好ましくは室温~溶媒の沸点以下の温度で、5分間~1ヶ月間、好ましくは20分間~1週間、浸漬もしくは振盪することにより、抽出することが可能である。
【0042】
得られた抽出液は、凍結乾燥やエバポレーター等を用いて乾燥させることで、濃縮乾固物とすることができる。
また、溶液抽出工程は、異なる複数の溶媒で、複数回行うこともできる。
【0043】
上記により得られた抽出物(前記抽出液や濃縮乾固物)は、優れたIL-33産生抑制作用及び花粉症や通年性のアレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎といったアレルギー疾患の予防、治療又は抑制作用を有するため、そのまま本実施形態のIL-33産生抑制剤並びに医薬品、医薬部外品、化粧料又は飲食品組成物の有効成分として用いることができる。
【0044】
〔精製工程〕
また、上記抽出物に対して、精製工程を行うことによって、4’-デメチルノビレチン含有量をさらに高めることができる。
精製工程としては、液-液分離抽出や、シリカゲル、化学修飾シリカゲル、活性炭、合成吸着樹脂担体等によるカラム精製により、高含有組成物を得ることができる。以下に好適な精製条件の一例を示す。
【0045】
まず、熱水抽出により得られた抽出液を、水で平衡化した多孔性合成吸着樹脂(具体的には、ダイヤイオンHP20(三菱化学社製))のカラムに供した後、39~41%(v/v)エタノール(具体的には40%(v/v)エタノール)で溶出される液を除去する。
次に、44~46%(v/v)エタノール(具体的には45%(v/v)エタノール)で溶出される成分を回収することにより、4’-デメチルノビレチンを選択的に分離し、4’-デメチルノビレチン高含有組成物を得ることができる。
【0046】
また、上記のように得られた4’-デメチルノビレチン含有組成物は、さらにODSカラムクロマトグラフィー(具体的には60%(v/v)メタノール溶出)、薄層クロマトグラフィー(TLC)(具体的にはヘキサン/エタノール(7:3))、ODS-HPLC(具体的には33%(v/v)アセトニトリル・水の混合溶媒)に供し、目的ピークを採取することで、4’-デメチルノビレチンの純品を単離することができる。
【0047】
上記により得られる4’-デメチルノビレチンは、4’位が脱メチル化したノビレチンのモノデメチル体である。4’-デメチルノビレチンは脱メチル化により極性が高くなり、ノビレチンに比べてアルコール、水への溶解性に優れる。
【0048】
また、4’-デメチルノビレチンは、ノビレチンに比べて優れたIL-33産生抑制作用を有する。
さらに、4’-デメチルノビレチンは、花粉症や通年性のアレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎などのIL-33の増加に関連するアレルギー疾患に対する優れた予防、治療又は抑制作用を有する。
【0049】
したがって、4’-デメチルノビレチンは、IL-33産生抑制剤、並びに、花粉症や通年性のアレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎などのIL-33の増加に関連するアレルギー疾患に対する優れた予防、治療又は抑制剤として、本実施形態の医薬品、医薬部外品、化粧料又は飲食品組成物に添加することができる。
【0050】
〔医薬品、医薬部外品、化粧料及び飲食品組成物〕
本実施形態は、4’-デメチルノビレチンを有効成分として含有するIL-33産生抑制剤に関する。
本実施形態は、4’-デメチルノビレチンを有効成分として含有する、IL-33の増加に関連するアレルギー疾患の予防、治療又は抑制用の医薬品、医薬部外品、化粧料又は飲食品組成物に関する。
【0051】
上記の4’-デメチルノビレチンは、純品(単離物)や、上記の方法により得られる発酵生成物やその粗精製物(‘溶液抽出物’、‘高含有組成物’など)として各種原料に混合することで、医薬品、医薬部外品、化粧料及び飲食品組成物の有効成分として用いることができる。
ここにおいて、「飲食品組成物」には一般的な飲食品と機能性食品、機能性飲料が含まれる。
また、前記医薬品、医薬部外品は内服剤、外用剤のいずれの形態であってもよい。
【0052】
内服剤や飲食品組成物として経口摂取する場合の4’-デメチルノビレチンの有効摂取量としては、体重60kgの成人1日あたり、1mg以上、好ましくは5mg以上経口摂取することにより、優れたIL-33産生抑制作用、並びに花粉症、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎などのIL-33の増加に関連するアレルギー疾患に対する優れた予防、治療又は抑制作用を得ることができる。
【0053】
あるいは外用剤、化粧料として外用する際は、4’-デメチルノビレチンを0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上を含む外用剤、化粧料により、優れたIL-33産生抑制作用、並びに花粉症、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎などのIL-33の増加に関連するアレルギー疾患に対する優れた予防、治療又は抑制作用が得られる。
【0054】
従って、この必要量を確保できる形態や摂取方法(回数、量)で、本実施形態の医薬品、医薬部外品、化粧料又は飲食品組成物を摂取または塗布することで、上記薬理作用が得られることが期待される。ただし、対象の年齢、体重、症状、摂取スケジュール、製剤形態などにより、摂取量や塗布量を適宜決定することが望ましい。
【0055】
また、内服剤の形態としては、例えば、粉末状、細粒状、顆粒状、などとすることができ、カプセルに充填する形態の他、水に分散した溶液の形態、クリーム状、賦形剤等と混和して得られる錠剤の形態とすることもできる。
外用剤や化粧料など外用する場合の形態としては、液体状やジェル状、クリーム状、軟膏などの形態とすることができる。
【0056】
本実施形態の医薬品、医薬部外品又は化粧料には、4’-デメチルノビレチンまたはその含有組成物以外にも、本発明の効果を奏する範囲内で、各種担体や添加剤、他の薬効成分などが含まれていても良い。
【0057】
また、飲食品組成物の形態としては、種々の食品原料や添加剤などと混合して、例えば、ビスケット、スナック菓子、ガム、チュアブル錠、清涼飲料水、ドリンク、スープ、ゼリー、キャンディ等の形態とすることができる。
【0058】
内服剤や飲食品組成物における4’-デメチルノビレチンの含有量としては、上記の有効摂取量を担保できるような量であればよいが、具体的には、0.001質量%以上、好ましくは0.01質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上となるように含有させることができる。また、上限としては、20質量%以下を挙げることができる。
【0059】
なお、上記の飲食品組成物、化粧料、医薬部外品、医薬品は、スキンケアとして外用、内服両方を併用することもできる。
【実施例
【0060】
以下、実施例を挙げて本発明の実施形態を説明するが、本発明の範囲はこれらにより限定されるものではない。
【0061】
<実施例1> 4’-デメチルノビレチン含有組成物の調製
特許第5667561号公報に記載の方法に準じて、ポンカン果皮を麹菌発酵することによりノビレチン変換物4’-デメチルノビレチン含有組成物を調製した。
【0062】
すなわち、ポンカン果皮50kgを刻んで細片化し、蒸煮処理により滅菌処理を行った。得られたポンカン果皮に、全体に行き渡るようにアスペルギルス・アワモリ((株)ビオック製)を接種した。そして、30℃の恒温室内にて発酵処理(麹菌発酵)を好気的に5日間行うことで、麹菌発酵物を得た。
【0063】
得られた麹菌発酵物30kgに対して水180Lを添加し、100℃において2時間熱水抽出した後、連続遠心によりエキスを得た。当該エキスを、あらかじめ水で平衡化したダイヤイオンHP20(多孔性合成吸着樹脂カラム)に供し、10Lの水で非吸着成分を除いた後、さらに10Lの40%(v/v)エタノールで溶出する成分を除いた。次いで、10Lの45%(v/v)エタノールで溶出する成分を回収した。当該回収物をロータリーエバポレーターで濃縮乾固することにより、4’-デメチルノビレチン含有組成物(4’-デメチルノビレチン含有量32%)を得た。
【0064】
<実施例2> 4’-デメチルノビレチン純品の調製
上記実施例1で得られた4’-デメチルノビレチン含有組成物1.5gを20%(v/v)メタノールに溶解し、ODSカラムクロマトグラフィー(内径20mmφ、長さ30cmのカラムに和光ゲル50C18を30g詰めた)に供した。40%(v/v)メタノールで溶出する成分を除去し、60%(v/v)メタノールで溶出する成分を得た。
【0065】
次いで、得られた成分について、展開溶媒ヘキサン/エタノール7:3の条件で分取TLCクロマトグラフィー(シリカゲル70PF254プレートワコー、膜厚0.75mm、和光純薬製)を行い、4’-デメチルノビレチンを含む画分を、UVランプを用いて確認しながら採取した。
【0066】
そして、得られた画分を、分取HPLCカラム(TSK GEL ODS、東ソー社製、4.6mm×25cm)に供し、33%(v/v)アセトニトリルの移動層によって、純品の4’-デメチルノビレチン25mgを得た。
【0067】
<試験例1> IL-33産生抑制効果の測定
実施例1で得られた4’-デメチルノビレチン含有組成物と実施例2で得られた4’-デメチルノビレチン単離物を用い、IL-33産生抑制作用を調べた。IL-33産生細胞としてマウスマクロファージ由来RAW264細胞(理研バイオリソース研究センター)を用いた。
【0068】
細胞は5%CO2存在下、37℃のインキュベータ中で、10%牛胎児血清を含むDMEM培地にて培養し、0.1%EDTAを含む0.25%トリプシン処理により3日~4日毎に継代を行った。
【0069】
RAW264細胞を96ウエルプレートに播種(4×104cell/well)し、5時間後に4’-デメチルノビレチン含有組成物(実施例1製造物)あるいは単離物(実施例2製造物)を添加した。また、4’-デメチルノビレチンの比較対照として、ノビレチン又は抗アレルギー剤のトラニラスト(富士フィルム和光純薬(株)製)を添加した。そして、その30分後にリポポリサッカリド(LPS)をIL-33産生促進剤として添加した。
【0070】
さらにその18時間後に、ELISAキット(IL-33 Quantikine ELISA Kit、富士フィルム和光純薬(株)製)を用いて450nmにおける吸光度を測定することにより、培養液中のIL-33 量を測定し、LPS誘発のIL-33産生に対する抑制効果を評価した。
【0071】
まず、4’-デメチルノビレチン単離物(実施例2製造物)のIL-33産生抑制作用を検討した。
図1は、4’-デメチルノビレチン単離物のLPS誘発IL-33産生に対する抑制作用を示す。図1において、棒グラフは左からコントロール(無添加)、LPSのみ添加、LPS+4’-デメチルノビレチン5μM, 10μM添加、LPS+ノビレチン5μM, 10μM添加、LPS+トラニラスト30μM, 61μM, 92μM添加、の結果を示す。縦軸は培養液中のIL-33含量(pg/mL)を示す。バーは標準偏差を示す。
【0072】
図1に示されるように、4’-デメチルノビレチン(4'-DeNob)は5μM~10μMにおいて、ノビレチンに比べ、濃度依存的に極めて強いIL-33産生抑制作用を示した。
一方、陽性対照として用いたトラニラストはアレルギー性鼻炎やアトピー性皮膚炎の治療薬として用いられているが、その作用機序としてIL-33産生抑制作用が寄与していることが最近報告された(Hiraide S., et. al., Eur. J. Pharmacol., 818(2018):235-240.参照)。
しかしながら、本結果によれば、4’-デメチルノビレチン5μMとトラニラスト61μMにおけるIL-33産生抑制効果が同程度であり、トラニラストと比較して10倍以上強いIL-33抑制作用が示された(図1)。尚、上記文献においてもトラニラストの効果は30μM以上の濃度で示されており、本結果とも一致した。
【0073】
次に、4’-デメチルノビレチン含有組成物(実施例1製造物)のIL-33産生抑制作用を検討した。
図2は、4’-デメチルノビレチン含有組成物のLPS誘発IL-33産生に対する抑制作用を示す。図2において、棒グラフは左からコントロール(無添加)、LPSのみ添加、LPS+4’-デメチルノビレチン含有組成物5μg/mL, 10μg/mL, 20μg/mL添加、の結果を示す。縦軸は培養液中のIL-33含量(pg/mL)を示す。バーは標準偏差を示す。
図2に示されるように、4’-デメチルノビレチン(4'-DeNob)組成物もまた、5μg/mL~20μg/mLにおいて濃度依存的に顕著にIL-33産生抑制作用を示した。
【0074】
以上の結果から、4’-デメチルノビレチン及びそれを含有する組成物は、極めて強いIL-33産生抑制作用を示すのに対し、ノビレチン及びトラニラストは弱いIL-33産生抑制作用しか示さないことが分かった。
【0075】
<試験例2> TNF-α及びIL-6産生抑制効果の測定
そこで、1型ヘルパーT(Th1)、2型ヘルパーT(Th2)サイトカインの代表例として各々、腫瘍壊死因子(TNF-α)、インターロイキン-6(IL-6)の産生抑制作用について検討した。
すなわち、被験物質として4’-デメチルノビレチン含有組成物(実施例1製造物)を添加し、TNF-αの測定にはELISAキット(Murine TNFα ELISA KIT、diaclone製)を用い、IL-6の測定にはELISAキット(Mouse IL-6 Assay kit- IBL、タカラバイオ製)を用いたこと以外は、試験例1と同様にして、培養液中のサイトカイン量を測定した。
【0076】
その結果を図3図4に示す。
図3は、4’-デメチルノビレチン含有組成物のLPS誘発TNF-α産生に対する抑制作用を示す。図3において、棒グラフは左からコントロール(無添加)、LPSのみ添加、LPS+4’-デメチルノビレチン含有組成物5μg/mL, 10μg/mL添加、の結果を示す。縦軸は培養液中のTNF-α含量(pg/mL)を示す。バーは標準偏差を示す。
【0077】
図4は、4’-デメチルノビレチン含有組成物のLPS誘発IL-6産生に対する抑制作用を示す。図4において、棒グラフは左からコントロール(無添加)、LPSのみ添加、LPS+4’-デメチルノビレチン含有組成物5μg/mL, 10μg/mL添加、の結果を示す。縦軸は培養液中のIL-6含量(pg/mL)を示す。バーは標準偏差を示す。
【0078】
図3に示すように、4’-デメチルノビレチン含有組成物は、TNF-αに対して、10μg/mLの濃度で弱い産生抑制作用を示した。
これに対して、IL-6に対しては、5μg/mL~10μg/mLにおいて濃度依存的に強い産生抑制作用が示された。
【0079】
以上の結果から、4’-デメチルノビレチン及びそれを含有する組成物は、従来から知られているアレルギーの原因となるTh1/Th2バランスの低下を防ぎ、なお且つ、花粉症、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎といったアレルギー疾患の原因となるIL-33については極めて強く抑制することが明らかとなった。
【0080】
<試験例3> ヒトに対する経口投与試験
4’-デメチルノビレチン含有錠剤をヒトに経口投与して、アレルギー疾患に対する有効性を調べた。
【0081】
はじめに、実施例1で得られた4’-デメチルノビレチン含有組成物を用いて、下記表1の処方により錠剤(実施例3)とした。
【0082】
(処方例:実施例3)4’-デメチルノビレチン含有(2.5mg/錠)錠剤
【表1】
【0083】
対象者は花粉症やアレルギー症状のある男女とし、服用期間は2週間から1ヶ月間とした。4’-デメチルノビレチン含有錠剤の服用者12名(男8名、女4名)は1日1回2錠を摂取した。4’-デメチルノビレチンは2錠中に5mg含まれていた。プラセボ群では4’-デメチルノビレチン含有組成物の代わりにデキストリンを処方した。
【0084】
症状と体感の聞き取り調査の結果の詳細を下記表2及び表3に示した。
対象者には、花粉症の他に、通年性のアレルギー性鼻炎やアトピー性皮膚炎の症状を持つ者も含まれていた。
4’-デメチルノビレチン含有錠剤を摂取した対象者は、症状のひどかった1名(No.9)を除いては、ほとんどの対象者が何らかの改善効果を体感した。一方、プラセボ錠を摂取した対象者は、ほとんどが改善効果は体感できなかった。
【0085】
(表2)アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎の症状のある被験者への4’-デメチルノビレチン含有錠剤の効果
【表2】
【0086】
(表3)アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎の症状のある被験者へのプラセボ錠(デキストリン含有錠剤)の効果
【表3】
【0087】
以上の結果から、実施例3の4’-デメチルノビレチン含有製剤を経口摂取することにより、花粉症や通年性のアレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎といったアレルギー症状に対する改善・抑制効果が示され、アレルギーに対する有効性が示された。
【0088】
<処方例1> 外用クリーム
以下の質量比で各原料を配合し、4’-デメチルノビレチン0.1mg/g 配合のクリームを製造した。
【0089】
4’-デメチルノビレチン含有組成物(実施例1) 0.03%
プロパンジオール 6.0 %
パームリーム 5.0 %
SEPIGEL305(ゲル化剤) 2.0 %
水 86.47%
フェノキシエタノール 0.5 %
【0090】
<処方例2> 機能性食品(サプリメント)
以下の質量比で各原料を配合し、常法により200mg錠剤を製造した。本錠剤は2錠/日、4’-デメチルノビレチンとして約7mg/日摂取されるものである。
【0091】
4’-デメチルノビレチン含有組成物(実施例1) 5.5 %
デキストリン 35.0 %
結晶セルロース 25.0 %
乳糖 18.0 %
乳清カルシウム 14.5 %
ショ糖エステル 2.0 %
【0092】
<処方例3> 機能性飲料
以下の質量比で各原料を配合し、常法により100mL/ボトルの機能性飲料を製造した。本飲料は1本/日、4’-デメチルノビレチンとして約7mg/日摂取されるものである。
【0093】
4’-デメチルノビレチン含有組成物(実施例1) 0.02 %
フルクトース 6.0 %
リンゴ酸 5.0 %
ビタミンC 0.1 %
香料 0.1 %
水 88.78 %
【0094】
<処方例4> 内服剤(医薬品)
以下の質量比で各原料を配合し、常法により100mg錠剤を製造した。本錠剤は1錠/日、4’-デメチルノビレチンとして約8mg/日摂取されるものである。
【0095】
4’-デメチルノビレチン(実施例2) 8.0 %
結晶セルロース 77.0 %
乳糖 11.0 %
無水ケイ酸 2.0 %
ショ糖エステル 2.0 %
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明は、食経験が豊富で副作用の心配がない原料である4’-デメチルノビレチンを有効成分原料として含有する、インターロイキン-33(IL-33)産生抑制剤、並びに、アレルギー性鼻炎・アトピー性皮膚炎などのIL-33の増加に関連するアレルギー疾患に対して予防、治療又は抑制効果のある内服剤、外用剤、化粧品、または飲食品に利用されることが期待される。
図1
図2
図3
図4