(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-27
(45)【発行日】2022-07-05
(54)【発明の名称】通信端末、処理方法、および、プログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 36/08 20090101AFI20220628BHJP
H04W 28/18 20090101ALI20220628BHJP
H04W 36/30 20090101ALI20220628BHJP
H04W 84/12 20090101ALI20220628BHJP
【FI】
H04W36/08
H04W28/18 110
H04W36/30
H04W84/12
(21)【出願番号】P 2019084389
(22)【出願日】2019-04-25
【審査請求日】2021-11-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500112146
【氏名又は名称】サイレックス・テクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】下地 龍二
(72)【発明者】
【氏名】川嵜 雅央
(72)【発明者】
【氏名】唐鎌 大兒
(72)【発明者】
【氏名】辻 和輝
【審査官】松野 吉宏
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2006/0153151(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0156148(US,A1)
【文献】特開2008-227642(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0123254(US,A1)
【文献】特開2008-109300(JP,A)
【文献】特開2011-010102(JP,A)
【文献】特表2007-510358(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信端末であって、
無線通信をする通信インタフェースと、
前記通信インタフェースが第一基地局と通信リンクを確立している状態において、第二基地局が前記通信端末以外の装置を宛先として送信した無線通信の電波を前記通信インタフェースにより傍受し、傍受した前記電波に含まれている信号点のエラーベクトルである第一ベクトルを算出する算出部と、
前記通信インタフェースと前記第二基地局との無線通信に用いられ得る複数の変調符号化方式のうち、当該変調符号化方式について予め定められているエラーベクトルの許容範囲に前記第一ベクトルが属している変調符号化方式を、前記通信インタフェースと前記第二基地局との無線通信に用いる変調符号化方式として決定する決定部とを備
え、
前記決定部は、
(c)過去の時点における前記通信インタフェースによる無線通信の品質と、前記時点において傍受した前記電波に基づいて取得された前記第一ベクトルとの対応関係を学習して学習データを作成し、
(d)前記複数の変調符号化方式それぞれについて予め定められた前記許容範囲を前記学習データに基づいて変更し、
(e)変更した前記許容範囲を用いて前記変調符号化方式を決定する
通信端末。
【請求項2】
前記算出部は、
前記状態において、前記第二基地局が送信した無線通信の電波を繰り返し傍受し、傍受するたびに、傍受した前記電波に基づいて前記第一ベクトルを算出し、
前記決定部は、
前記算出部が前記第一ベクトルを算出するたびに、前記第二基地局との通信に用いる変調符号化方式を決定する
請求項1に記載の通信端末。
【請求項3】
前記通信端末は、さらに、
(a)前記通信インタフェースと前記第一基地局との通信リンクを切断し、
(b)前記通信インタフェースと前記第二基地局との通信リンクを確立し、前記決定部が決定した前記変調符号化方式を用いて、前記通信インタフェースに、前記第二基地局との通信をさせる制御をする制御部を備える
請求項1又は2に記載の通信端末。
【請求項4】
前記決定部は、前記複数の変調符号化方式それぞれについて規定されている前記許容範囲を用いて前記変調符号化方式を決定する
請求項1~3のいずれか1項に記載の通信端末。
【請求項5】
前記算出部は、さらに、
前記第一基地局から受信した電波に含まれている信号点のエラーベクトルである第二ベクトルを算出し、
前記制御部は、前記第二ベクトルと前記第一ベクトルとの比較に基づいて、前記(a)に係る切断と、前記(b)に係る確立とを行うタイミングを制御する
請求項3に記載の通信端末。
【請求項6】
無線通信をする通信インタフェースを備える通信端末が実行する処理方法であって、
前記通信インタフェースが第一基地局と通信リンクを確立している状態において、第二基地局が前記通信端末以外の装置を宛先として送信した無線通信の電波を前記通信インタフェースにより傍受し、傍受した前記電波に含まれている信号点のエラーベクトルである第一ベクトルを算出する算出ステップと、
前記通信インタフェースと前記第二基地局との無線通信に用いられ得る複数の変調符号化方式のうち、当該変調符号化方式について予め定められているエラーベクトルの許容範囲に前記第一ベクトルが属している変調符号化方式を、前記通信インタフェースと前記第二基地局との無線通信に用いる変調符号化方式として決定する決定ステップとを含
み、
さらに前記決定ステップは、
(c)過去の時点における前記通信インタフェースによる無線通信の品質と、前記時点において傍受した前記電波に基づいて取得された前記第一ベクトルとの対応関係を学習して学習データを作成し、
(d)前記複数の変調符号化方式それぞれについて予め定められた前記許容範囲を前記学習データに基づいて変更し、
(e)変更した前記許容範囲を用いて前記変調符号化方式を決定する
処理方法。
【請求項7】
請求項
6に記載の処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信端末、処理方法、および、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の無線基地局(単に基地局ともいう)を配置することで、比較的広いエリアに存在する通信端末による無線通信を可能とする通信システムがある。
【0003】
このような通信システムでは、通信端末は、複数の基地局のいずれかと通信リンクを確立する。また、通信端末は、移動する場合には、移動しながら適切な基地局との間で順次に通信リンクの確立(ローミングともいう)をする。通信端末が基地局との間で新たな通信リンクを確立するときには、その通信リンクで使用する通信レートを無線通信の品質に基づいて決定する。具体的には、無線通信の品質を維持するための適切な通信レート(変調符号化方式)を求めるために複数の変調符号化方式での通信を試行し、その結果をもとに適切な通信レートを使用して無線通信が行われる。
【0004】
特許文献1は、無線通信の品質を測定する方法を開示しており、より具体的には、無線通信の品質としてEVM(Error Vector Magnitude)を測定する方法を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ローミングのときには、通信端末は、新たな通信リンクでの通信に使用する変調符号化方式を決定する必要がある。新たな通信リンクでの通信に使用する変調符号化方式を、ローミングの後に決定するとすれば、その決定までの間には適切な変調符号化方式での通信がなされず、通信品質又は通信速度などが適切でない通信がなされ得るという問題がある。
【0007】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、基地局間のローミングに際して、基地局との無線通信に適した変調符号化方式をローミング開始前に決定できる通信端末などを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る通信端末は、無線通信をする通信インタフェースと、前記通信インタフェースが第一基地局と通信リンクを確立している状態において、第二基地局が送信した無線通信の電波を前記通信インタフェースにより傍受し、傍受した前記電波に含まれている信号点のエラーベクトルである第一ベクトルを算出する算出部と、前記通信インタフェースと前記第二基地局との無線通信に用いられ得る複数の変調符号化方式のうち、当該変調符号化方式について予め定められているエラーベクトルの許容範囲に前記第一ベクトルが属している変調符号化方式を、前記通信インタフェースと前記第二基地局との無線通信に用いる変調符号化方式として決定する決定部とを備える。
【0009】
これによれば、通信端末は、第一基地局との通信リンクを確立したまま、第二基地局からの電波のエラーベクトルを用いて、第二基地局との通信に適切な変調符号化方式を予め決定する。このように決定しておけば、その後に第二基地局と通信するときには、適切な変調符号化方式を決めるための処理を行うことなく、予め決定した適切な変調符号化方式を使用して通信を行うことができる。このように、通信端末は、基地局間のローミングに際して、基地局との無線通信に適した変調符号化方式をローミング開始前に決定できる。
【0010】
また、前記算出部は、前記状態において、前記第二基地局が送信した無線通信の電波を繰り返し傍受し、傍受するたびに、傍受した前記電波に基づいて前記第一ベクトルを算出し、前記決定部は、前記算出部が前記第一ベクトルを算出するたびに、前記第二基地局との通信に用いる変調符号化方式を決定してもよい。
【0011】
これによれば、通信端末は、第二基地局との通信に適切に利用できる変調符号化方式を繰り返し決定している。そのため、通信端末は、周囲の無線環境が変動しているときであっても、比較的新しい環境に適合した変調符号化方式を決定することができる。よって、通信端末は、周囲の無線環境に適合した、基地局との無線通信に適した変調符号化方式を適切に決定できる。
【0012】
また、前記通信端末は、さらに、(a)前記通信インタフェースと前記第一基地局との通信リンクを切断し、(b)前記通信インタフェースと前記第二基地局との通信リンクを確立し、前記決定部が決定した前記変調符号化方式を用いて、前記通信インタフェースに、前記第二基地局との通信をさせる制御をする制御部を備えてもよい。
【0013】
これによれば、通信端末は、第一基地局から第二基地局へのローミングのあとに、予め決定しておいた変調符号化方式で通信をする。仮に変調符号化方式が予め決定されていないとすれば、通信端末は、適切な変調符号化方式が決定するまでの間、第二基地局との無線通信に適切でない通信品質又は通信速度での通信をすることになる。よって、通信端末は、基地局との無線通信に適した変調符号化方式を適切に決定し、通信品質等が適切でない通信を行うことを抑制できる。
【0014】
また、前記決定部は、前記複数の変調符号化方式それぞれについて規定されている前記許容範囲を用いて前記変調符号化方式を決定してもよい。
【0015】
これによれば、通信端末は、変調符号化方式について規定された許容範囲を用いて、より容易に、変調符号化方式を決定する。通信端末は、基地局間のローミングに際して、基地局との無線通信に適した変調符号化方式を、より容易に決定できる。
【0016】
また、前記決定部は、(c)過去の時点における前記通信インタフェースによる無線通信の品質と、前記時点において傍受した前記電波に基づいて取得された前記第一ベクトルとの対応関係を学習して学習データを作成し、(d)前記複数の変調符号化方式それぞれについて予め定められた前記許容範囲を前記学習データに基づいて変更し、(e)変更した前記許容範囲を用いて前記変調符号化方式を決定してもよい。
【0017】
これによれば、通信端末は、変調符号化方式について予め定められた許容範囲を過去の実際の通信品質に基づく学習の結果を反映させて、より容易に、変調符号化方式を決定する。通信端末は、基地局間のローミングに際して、基地局との無線通信に適した変調符号化方式を、より容易に決定できる。
【0018】
また、前記算出部は、さらに、前記第一基地局から受信した電波に含まれている信号点のエラーベクトルである第二ベクトルを算出し、前記制御部は、前記第二ベクトルと前記第一ベクトルとの比較に基づいて、前記(a)に係る切断と、前記(b)に係る確立とを行うタイミングを制御してもよい。
【0019】
これによれば、通信端末は、ローミング前の基地局との通信の通信品質と、ローミング後の基地局との通信の品質とを比較し、適切なタイミングでローミングを行うことができる。よって、通信端末は、基地局間のローミングに際して、基地局との無線通信に適した変調符号化方式を適切に決定し、適切なタイミングでローミングをすることができる。
【0020】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る処理方法は、無線通信をする通信インタフェースを備える通信端末が実行する処理方法であって、前記通信インタフェースが第一基地局と通信リンクを確立している状態において、第二基地局が送信した無線通信の電波を前記通信インタフェースにより傍受し、傍受した前記電波に含まれている信号点のエラーベクトルである第一ベクトルを算出する算出ステップと、前記通信インタフェースと前記第二基地局との無線通信に用いられ得る複数の変調符号化方式のうち、当該変調符号化方式について予め定められているエラーベクトルの許容範囲に前記第一ベクトルが属している変調符号化方式を、前記通信インタフェースと前記第二基地局との無線通信に用いる変調符号化方式として決定する決定ステップとを含む。
【0021】
これによれば、上記通信端末と同様の効果を奏する。
【0022】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係るプログラムは、上記の処理方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0023】
これによれば、上記通信端末と同様の効果を奏する。
【0024】
なお、本発明は、装置として実現できるだけでなく、その装置を構成する処理手段をステップとする方法として実現したり、それらステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現したり、そのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体として実現したり、そのプログラムを示す情報、データ又は信号として実現したりすることもできる。そして、それらプログラム、情報、データ及び信号は、インターネット等の通信ネットワークを介して配信してもよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明により、通信端末は、基地局間のローミングに際して、基地局との無線通信に適した変調符号化方式をローミング開始前に決定できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る通信システムの構成を示す説明図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る通信端末の構成を示す説明図である。
【
図4】
図4は、実施の形態に係る通信IF(インタフェース)が傍受した電波に含まれる信号点と、エラーベクトルの許容範囲との第一の説明図である。
【
図5】
図5は、実施の形態に係る通信IFが傍受した電波に含まれる信号点と、エラーベクトルの許容範囲との第二の説明図である。
【
図6】
図6は、実施の形態に係る基地局ごとの適切な通信レートを示すテーブルを示す説明図である。
【
図7】
図7は、実施の形態に係る通信端末の処理を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0028】
以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、より好ましい形態を構成する任意の構成要素として説明される。なお、同一の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0029】
(実施の形態)
本実施の形態において、基地局間のローミングに際して、基地局との無線通信に適した変調符号化方式を適切に決定する通信端末などについて説明する。
【0030】
図1は、本実施の形態に係る通信システム1の構成を示す説明図である。
【0031】
図1に示されるように、通信システム1は、基地局A1およびA2(基地局A1等ともいう)を備える。基地局A1およびA2は、ネットワークNにより通信可能に接続されている。また、通信端末S1およびS2(通信端末S1等ともいう)が、それぞれ、基地局A1及びA2に通信可能に接続されている。なお、本実施の形態に係る通信システム1では、基地局A1等が2台である場合を例として説明するが、3台以上である場合でも同様の説明が成立する。なお、ネットワークN、並びに、通信端末S1およびS2は、通信システム1に含まれているとしてもよいし、含まれていないとしてもよい。
【0032】
基地局A1は、無線通信の基地局(例えばアクセスポイントなど)である。基地局A1は、通信端末S1との間で、無線通信の通信リンクL1を確立し、通信リンクL1を通じて通信端末S1と通信可能である。基地局A1の無線通信の規格は、例えば、IEEE802.11シリーズ(IEEE802.11a、b、g、nなど)である。また、基地局A1は、ネットワークNによって基地局A2に通信可能に接続されている。なお、ネットワークNには、他のネットワーク(不図示)が接続されていてもよい。この場合、基地局A1に接続している通信端末S1は、基地局A1及び他のネットワークを介した通信をすることができる。他のネットワークには、オフィス若しくは工場等のローカルエリアネットワーク、又は、インターネットなどが含まれ得る。
【0033】
基地局A2は、基地局A1と同様の機能を有する基地局であり、基地局A1とは独立に動作する。基地局A2の通信可能エリアは、基地局A1の通信可能エリアと隣接していて、また、一部で重複していてもよい。
【0034】
通信端末S1等は、基地局A1等のいずれかと通信リンクを確立し、通信リンクを通じて基地局A1等と通信する通信端末である。通信端末S1が利用可能な通信規格は、基地局A1等の通信規格と同じである。
【0035】
図1には、通信端末S1が基地局A1と通信リンクL1を確立しており、通信端末S2が基地局A2と通信リンクL2を確立している状態が示されている。この状態において、通信端末S1が通信リンクL1を切断し、基地局A2との新たな通信リンクL3を確立する場合を想定して、通信端末S1の構成及び処理を説明する。
【0036】
図2は、本実施の形態に係る通信端末S1の構成を示す説明図である。
【0037】
図2に示されるように、通信端末S1は、通信IF(インタフェース)11と、算出部12と、決定部13と、制御部14とを備える。なお、算出部12と、決定部13と、制御部14とは、プロセッサがメモリを用いて所定のプログラムを実行することで実現され得る。
【0038】
通信IF11は、基地局A1等のいずれかと無線通信をする通信インタフェースである。通信IF11の通信規格は、例えば、IEEE802.11シリーズ(IEEE802.11a、b、g、nなど)である。通信IF11は、当初、基地局A1との間で通信リンクL1を確立しており、その後、通信リンクL1を切断し、基地局A2との間で通信リンクL3を確立することが想定される(
図1参照)。なお、基地局A1は第一基地局に相当し、基地局A2は第二基地局に相当する。
【0039】
算出部12は、通信IF11が基地局A1と通信リンクL1を確立している状態において、基地局A2が送信した無線通信の電波を通信IF11により傍受し、傍受した電波に含まれている信号点のエラーベクトル(第一ベクトルともいう)を算出する処理部である。基地局A2が送信した無線通信の電波は、例えば、無線通信の通信フレーム(制御フレーム又はデータフレームなど)に係る電波である。その通信フレームの宛先は、例えば通信端末S2であるが、これに限られない。信号点のエラーベクトルについては後で詳しく説明する。
【0040】
なお、基地局A1の無線通信の通信チャネル(単にチャネルともいう)と、基地局A2のチャネルが同じである場合には、算出部12は、通信IF11が基地局A1と通信しているときに受信した電波を解析することで、基地局A2が送信した電波を取得することができ、この処理が上記の傍受に相当する。一方、基地局A1のチャネルと、基地局A2のチャネルとが異なる場合には、算出部12は、通信リンクL1を確立した状態を維持したまま、通信IF11のチャネルを基地局A2のチャネルに一時的に設定することで基地局A2が送信した電波を受信することができる。そして、このように受信した電波を解析することで、基地局A2が送信した電波を取得することができ、この処理が上記の傍受に相当する。
【0041】
なお、本実施の形態に係る通信端末では、通信IF11は1つであることを前提に説明するが、2つ以上の通信IFを備えていてもよい。この場合には、基地局A1のチャネルと、基地局A2のチャネルとが異なる場合であっても、1つの通信IFは基地局A1のチャネルと通信リンクを確立した状態を維持しつつ、他方の通信IFは基地局A2のチャネルで基地局A2が送信した電波を取得することができる(傍受できる)。つまり、通信端末は、基地局A2のチャネルに一時的に設定することなく、常時、基地局A2が送信した電波を受信することができる。
【0042】
決定部13は、通信IF11と基地局A2との無線通信に用いられ得る複数の変調符号化方式のうち、当該変調符号化方式について予め定められているエラーベクトルの許容範囲に第一ベクトルが属している変調符号化方式を、通信IF11と基地局A2との無線通信に用いる変調符号化方式として決定する処理部である。変調符号化方式は、一般にMCS(Modulation and Coding Scheme)ともよばれ、変調方式及び符号化レート等の組み合わせで規定される、通信の方式を示している。変調方式には、例えばQPSK(Quadrature Phase shift Keying)、8PSK(Phase Shift Keying)、16QAM(Quadrature Amplitude Modulation)などがあり、符号化レートには、例えば1/2、2/3、3/4、5/6などがある。
【0043】
制御部14は、通信IF11による通信リンクの確立および切断を制御する処理部である。具体的には、制御部14は、通信IF11と基地局A1との通信リンクL1を切断させる制御をする。また、制御部14は、通信リンクL1の切断の後に、通信IF11と基地局A2との通信リンクL3を確立し、決定部13が決定した変調符号化方式を用いて、通信IF11に、基地局A2との通信をさせる制御をする。
【0044】
また、制御部14は、通信IF11による通信リンクの確立および切断(つまりローミング)を制御するタイミングを制御することもできる。例えば、制御部14は、基地局A1から受信した電波に含まれている信号点のエラーベクトルである第二ベクトルを算出部12によって算出し、算出された第二ベクトルと第一ベクトルとの比較に基づいて、基地局A1との通信リンクL1の切断と、基地局A2との通信リンクL3の確立とを行うタイミングを制御する。より具体的には、制御部14は、第二ベクトルのEVMと、第一ベクトルのEVMとを比較し、第一ベクトルのEVMの方が小さいときにローミングをするように制御してもよい。また、さらに第二ベクトルのEVMが所定値以下である場合にローミングをするように制御してもよいし、又は、さらに第一ベクトルのEVMが所定値以上である場合にローミングをするように制御してもよい。EVMについては、
図3の説明の中で詳細に述べる。
【0045】
なお、算出部12は、基地局A1との間で通信リンクL1を確立している状態において、基地局A2が送信している無線通信の電波を繰り返し傍受し、傍受するたびに、傍受した電波に基づいて第一ベクトルを算出してもよい。その場合、決定部13は、算出部12が第一ベクトルを算出するたびに、基地局A2との通信に用いる変調符号化方式を決定する。傍受の間隔は、例えば100m秒~数秒程度であるがこれに限定されない。
【0046】
次に、
図3を参照しながらエラーベクトルについて説明する。
【0047】
図3において、コンスタレーション空間である複素平面上に、エラーベクトルが表現されている。エラーベクトルとは、一般に、コンスタレーション空間において、変調方式について規定された信号点から、実際の無線通信で受信した信号に係る信号点に至るベクトルを意味する。ここで、変調方式について規定された信号点とは、その変調方式での理想的な信号点であり、
図3に示される参照信号点に相当する。また、実際の無線通信で受信した信号に係る信号点は、
図3に示される測定信号点に相当する。
【0048】
エラーベクトルの大きさは一般にEVMと呼ばれ、無線通信の信号の品質の指標として用いられ得る。EVMは、実際の無線通信で受信した信号又は信号点が、理想的な信号又は信号点から乖離している度合いを示す指標である。エラーベクトルが大きいほど、測定信号点の参照信号点からの乖離が大きいことが示され、反対に、エラーベクトルが小さいほど、測定信号点の参照信号点からの乖離が小さいことが示される。実際の無線通信で受信した信号は、ノイズの混入又は遅延などにより、理想的な信号から変形しており、その変形の度合いがEVMにより示されているといえる。
【0049】
無線通信に係る通信フレームは、ノイズの混入又は遅延などの量が所定以下であれば、正常に受信される。このとき、受信した通信フレームに対応する無線通信のEVMには、実際の無線通信で受信した信号が、理想的な信号からどの程度変形しているかが示されている。そのため、通信フレームが正常に受信されたときでも、その通信フレームごとの無線通信の品質の良し悪しがEVMによって評価され得る。つまり、EVMの大きさが、小さければ小さいほど、実際に無線通信で使用されている変調方式が周囲の無線環境において、より適した変調方式で無線通信できると評価され得る。
【0050】
図4は、本実施の形態に係る通信IF11が傍受した電波に含まれる信号点と、エラーベクトルの許容範囲との第一の説明図である。ここでは、通信IF11と基地局A2との無線通信に3つの変調符号化方式が用いられ得るとする。3つの変調符号化方式は、変調方式がいずれもQPSKであり、符号化レートが3種類あるとする。
【0051】
図4において、コンスタレーション空間である複素平面上に、信号点31及び32と、エラーベクトル33と変調符号化方式ごとの許容範囲35、36及び37とが示されている。
【0052】
信号点31は、QPSKについて規定されている信号点であり、
図3における参照信号点に相当する。
【0053】
信号点32は、算出部12が算出する、通信IF11により傍受した電波に含まれている信号点であり、
図3における測定信号点に相当する。
【0054】
エラーベクトル33は、信号点31を始点とし、信号点32を終点とするベクトルであり、
図3におけるエラーベクトルに相当する。
【0055】
許容範囲35、36及び37は、それぞれ、3つの変調符号化方式について予め定められているエラーベクトルの許容範囲を示している。許容範囲35、36及び37は、符号化レートが小さい変調符号化方式ほど、つまり、通信速度が遅い変調符号化方式ほど、コンスタレーション空間上での寸法がより大きい。許容範囲35、36及び37それぞれは、一般にコンスタレーション空間上で円として示され、その場合、許容範囲を示す円の半径により上記寸法が表現され得る。なお、予め定められているエラーベクトルの許容範囲とは、具体的には(1)通信規格(例えば、IEEE802.11a、b、g、nなど)により規定されてもよいし、(2)基地局との間で行う無線通信の品質とエラーベクトルとの対応を学習した結果にもとづくものであってもよい。なお、エラーベクトルの許容範囲が定められる時期は、上記(1)の場合は工場出荷時あるいはネットワーク管理者が当該通信端末の使用開始以前に定めてもよいし、上記(2)の場合は通信端末と基地局との間で通信が一定期間行われた後に定められてもよい。
【0056】
より具体的には、許容範囲35は、3つの変調符号化方式のうちでは符号化レートが最も小さい、つまり、通信速度が最も遅い符号化方式に相当する変調符号化方式についてのエラーベクトルの許容範囲である。ここでは、許容範囲35に対応する変調符号化方式を例えばMCS1ともいう。許容範囲35は、コンスタレーション空間上において、信号点31を中心とした円で示されており、その円の半径は、上記3つの許容範囲のうちで最も大きい。
【0057】
許容範囲36は、3つの変調符号化方式のうちでは符号化レートが中程度、つまり、通信速度が中程度である符号化方式に相当する変調符号化方式についての、エラーベクトルの許容範囲である。許容範囲36に対応する変調符号化方式を例えばMCS2ともいう。許容範囲36は、コンスタレーション空間上において、信号点31を中心とした円で示されており、その円の半径は、上記3つの許容範囲のうちで中程度である。
【0058】
許容範囲37は、3つの変調符号化方式のうちでは符号化レートが最も大きい、つまり、通信速度が最も速い符号化方式に相当する変調符号化方式についてのエラーベクトルの許容範囲である。許容範囲37に対応する変調符号化方式を例えばMCS3ともいう。許容範囲37は、コンスタレーション空間上において、信号点31を中心とした円で示されており、その円の半径は、上記3つの許容範囲のうちで最も小さい。
【0059】
算出部12は、通信IF11により傍受した、基地局A2からの電波に含まれている信号点のコンスタレーション空間における位置を算出し、その位置が、許容範囲35、36及び37に属しているか否か、すなわち許容範囲領域内にあるか否かを判定する。
【0060】
例えば、算出部12は、許容範囲35、36及び37それぞれについて、当該許容範囲にエラーベクトル33が属しているか否かを判定する。
図4に示される例では、算出部12は、エラーベクトル33が許容範囲35、36及び37のいずれにも属していると判定する。このことは、通信端末S1と基地局A2との通信には、許容範囲35、36又は37に対応する変調符号化方式での通信が適していることに対応している。このように考える場合には、さらに、許容範囲35、36及び37のうちでは通信速度が最も大きい許容範囲37に対応する変調符号化方式での通信が最も適しているということもできる。
【0061】
また、算出部12は、許容範囲が小さい方から順に、当該許容範囲にエラーベクトルが属しているか否かを判定してもよい。具体的には、算出部12は、許容範囲35、36及び37のうちで最も小さい許容範囲37にエラーベクトルが属しているか否かを判定する。算出部12は、その判定の結果、許容範囲37にエラーベクトルが属していると判定する。このことは、通信端末S1と基地局A2との通信には、許容範囲37に対応する変調符号化方式での通信が最も適していることに対応している。
【0062】
なお、決定部13は、変調符号化方式について予め定められているエラーベクトルの許容範囲として、複数の変調符号化方式それぞれについて規定されている許容範囲を用いて変調符号化方式を決定してもよい。具体的には、許容範囲35、36及び37は、3つの変調符号化方式それぞれについて通信規格により規定された許容範囲を利用してもよい。通信規格により規定された許容範囲は、例えば、時間的に変動しない固定的な範囲であってもよい。これにより、変調符号化方式について規定された標準的な許容範囲を利用して、決定部13が、適切な変調符号化方式を決定できる。
【0063】
また、決定部13は、(a)過去の時点における通信IF11による無線通信の品質と、その時点において傍受した電波に基づいて取得された第一ベクトルとの対応関係を学習して学習データを作成し、(b)複数の変調符号化方式それぞれについて予め定められた許容範囲を学習データに基づいて変更し、(c)変更した許容範囲を用いて変調符号化方式を動的に決定してもよい。これにより、変調符号化方式についての標準的な許容範囲に対して、過去の実際の通信品質を反映させた許容範囲を利用して、決定部13が、適切な変調符号化方式を決定できる。
【0064】
図5は、本実施の形態に係る通信IF11が傍受した電波に含まれる信号点と、エラーベクトルの許容範囲との第二の説明図である。
【0065】
図5では、
図4の場合と比較して、第一象限における信号点32aが許容範囲37に属さず、許容範囲37の外側に位置している。信号点32aは、許容範囲35及び36に属している。
【0066】
この場合、算出部12は、エラーベクトル33aが許容範囲35及び36のいずれにも属していると判定する。このことは、通信端末S1と基地局A2との通信には、許容範囲35又は36に対応する変調符号化方式での通信が適していることに対応している。このように考える場合には、さらに、許容範囲35及び36のうちでは通信速度が最も大きい許容範囲36に対応する変調符号化方式での通信が最も適しているということもできる。
【0067】
また、算出部12は、許容範囲が小さい方から順に、当該許容範囲にエラーベクトルが属しているか否かを判定する場合には、許容範囲37にエラーベクトル33aが属しておらず、許容範囲36にエラーベクトル33aが属していると判定する。このことは、通信端末S1と基地局A2との通信には、許容範囲36に対応する変調符号化方式での通信が最も適していることに対応している。
【0068】
図6は、本実施の形態に係る基地局ごとの適切な変調符号化方式を示すテーブルを示す説明図である。
【0069】
図6に示されるテーブルにおいて、基地局と、変調符号化方式とが対応付けられている。上記テーブルに示される変調符号化方式は、その基地局と通信IF11との通信に適していると決定部13により決定された変調符号化方式である。なお、上記テーブルに示される基地局には、通信IF11が通信リンクを確立している相手である基地局(例えば基地局A1)と、通信リンクを確立していない基地局(例えば基地局A2)とが示されている。
【0070】
具体的には、基地局A1との通信には、変調符号化方式としてMCS3を使用するのが適切であることが示されている。これは、通信IF11が基地局A1から受信した無線通信の電波から算出されたエラーベクトルにより定められ得る。
【0071】
また、基地局A2との通信には、変調符号化方式としてMCS2を使用するのが適切であることが示されている。これは、通信IF11が基地局A1との通信リンクL1を維持したまま、基地局A2から傍受した無線通信の電波から算出されたエラーベクトルにより定められ得る。
【0072】
制御部14は、基地局A2と通信リンクL3を確立するときには、
図6に示されるテーブルを参照して、その確立後にすぐにMCS2を使用して通信をすることができる。これにより、通信IF11と基地局A2との通信リンクL3が確立した後に、適切な変調符号化方式を求めるために複数の変調符号化方式での通信を試行するなど、通信品質等が適切でない通信を行うことを抑制できる。
【0073】
図7は、本実施の形態に係る通信端末S1の処理を示すフロー図である。
【0074】
ステップS101において、通信IF11は、基地局A1との通信リンクL1を確立する。
【0075】
ステップS102において、通信IF11は、通信IF11が基地局A1と通信リンクL1を確立している状態において、基地局A2が送信した無線通信の電波を傍受する。
【0076】
ステップS103において、算出部12は、ステップS102で傍受した電波に含まれている信号点のエラーベクトルである第一ベクトルを算出する。
【0077】
ステップS104において、通信IF11と基地局A2との無線通信に用いられ得る複数の変調符号化方式のうち、当該変調符号化方式について予め定められているエラーベクトルの許容範囲にステップS103で算出した第一ベクトルが属している変調符号化方式を、通信IF11と基地局A2との無線通信に用いる変調符号化方式として決定する。
【0078】
ステップS105において、通信IF11は、制御部14による制御のもとで、基地局A1との通信リンクL1を切断し、基地局A2との通信リンクL3を確立し、ステップS104で決定した変調符号化方式を用いて、基地局A2との通信をする。なお、ステップS105の実行は必須ではない。ステップS105が実行されなくても、基地局との無線通信に適した変調符号化方式がローミング開始前に決定されるという効果が奏されるからである。
【0079】
このようにして、通信端末S1は、基地局間のローミングに際して、基地局との無線通信に適した変調符号化方式を適切に決定できる。また、決定した、適切な変調符号化方式を用いて基地局と無線通信することができる。
【0080】
以上のように本実施の形態に係る通信端末は、第一基地局との通信リンクを確立したまま、第二基地局からの電波のエラーベクトルを用いて、第二基地局との通信に適切な変調符号化方式を予め決定する。このように決定しておけば、その後に第二基地局との通信リンクを確立するときには、適切な変調符号化方式を決めるための通信の試行などの処理を行うことなく、予め決定した適切な変調符号化方式を使用して通信を行うことができる。このように、通信端末は、基地局間のローミングに際して、基地局との無線通信に適した変調符号化方式をローミング開始前に決定できる。
【0081】
また、通信端末は、第二基地局との通信に適切に利用できる変調符号化方式を繰り返し決定している。そのため、通信端末は、周囲の無線環境が変動しているときであっても、比較的新しい環境に適合した変調符号化方式を決定することができる。よって、通信端末は、周囲の無線環境を考慮しながら、基地局との無線通信に適した変調符号化方式を適切に決定できる。
【0082】
また、通信端末は、第一基地局から第二基地局へのローミングのあとに、予め決定しておいた変調符号化方式で通信をする。仮に変調符号化方式が予め決定されていないとすれば、通信端末は、適切な変調符号化方式が決定するまでの間、第二基地局との無線通信に適切でない通信品質又は通信速度での通信をすることになる。よって、通信端末は、基地局との無線通信に適した変調符号化方式を適切に決定し、通信品質等が適切でない通信を行うことを抑制できる。
【0083】
また、通信端末は、変調符号化方式について規定された許容範囲を用いて、より容易に、変調符号化方式を決定する。通信端末は、基地局間のローミングに際して、基地局との無線通信に適した変調符号化方式を、より容易に決定できる。
【0084】
また、通信端末は、変調符号化方式について予め定められた許容範囲を過去の実際の通信品質に基づく学習の結果を反映させて、より容易に、変調符号化方式を決定する。通信端末は、基地局間のローミングに際して、基地局との無線通信に適した変調符号化方式を、より容易に決定できる。
【0085】
また、通信端末は、ローミング前の基地局との通信の通信品質と、ローミング後の基地局との通信の品質とを比較し、適切なタイミングでローミングを行うことができる。よって、通信端末は、基地局間のローミングに際して、基地局との無線通信に適した変調符号化方式を適切に決定し、適切なタイミングでローミングをすることができる。
【0086】
なお、本発明は、装置として実現できるだけでなく、その装置を構成する処理手段をステップとする方法として実現したり、それらステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現したり、そのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体として実現したり、そのプログラムを示す情報、データ又は信号として実現したりすることもできる。そして、それらプログラム、情報、データ及び信号は、インターネット等の通信ネットワークを介して配信してもよい。
【0087】
以上、本発明の通信端末等について、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明は、コンピュータ、スマートフォン、タブレットなどの通信端末に利用され得る。
【符号の説明】
【0089】
1 通信システム
11 通信IF
12 算出部
13 決定部
14 制御部
31、32、32a 信号点
33、33a エラーベクトル
35、36、37 許容範囲
A1、A2 基地局
L1、L2、L3 通信リンク
N ネットワーク
S1、S2 通信端末