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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-27
(45)【発行日】2022-07-05
(54)【発明の名称】配管接続構造
(51)【国際特許分類】
   F16L 19/025 20060101AFI20220628BHJP
【FI】
F16L19/025
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019190158
(22)【出願日】2019-10-17
(65)【公開番号】P2021063583
(43)【公開日】2021-04-22
【審査請求日】2020-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】302047927
【氏名又は名称】新郊パイプ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】特許業務法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 雄次郎
【審査官】竹下 和志
(56)【参考文献】
【文献】実公昭30-003400(JP,Y1)
【文献】特開2018-184968(JP,A)
【文献】特開昭53-041816(JP,A)
【文献】実開昭58-084486(JP,U)
【文献】米国特許第05415439(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 19/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状の第1配管本体部、前記第1配管本体部の先端に配され前記第1配管本体部の外周面よりも外側に向かって隆起した隆起部を含む第1配管部と、
管状の第2配管本体部、前記第2配管本体部の先端に配され前記第2配管本体部の外周面よりも外側に向かって隆起し、かつ先端に前記隆起部の先端面と密着する受け面を含む環状の受け部を有する第2配管部と、
前記第1配管部の外側に装着される筒状をなし、外周面に配される結合部、及び先端に配され前記隆起部の後端部と係止可能な第1係止部を有する第1装着部と、
先側に突出するように前記第2配管部の外側に装着される筒状をなし、内周面に配され前記結合部と結合可能な被結合部、前記被結合部の後側に配され前記内周面よりも内側に向かって隆起し、前記受け部の後端部と係止可能な第2係止部、及び前記第2係止部の後側に配され、前記受け部に接続する根元側の前記第2配管本体部を挿通させる挿通部を有する第2装着部とを備える配管接続構造であって、
前記隆起部の前記先端面は、先側に向かって凸状に膨らんだ環状の凸球面を含み、
前記受け部の前記受け面は、後側に向かって凹状に窪んだ環状の凹球面を含み、
前記挿通部は、前記第1配管部に対して前記第2配管部が傾斜した状態において、前記根元側の前記第2配管本体部を挿通できるように、先側から後側に向かって広がるように傾斜した傾斜内周面を含み、
前記受け部は、前記傾斜内周面の内側において前記第2配管部の傾く向きが変更されても、前記挿通部側へ抜け出さないような大きさを有し、
前記第1装着部の前記結合部と、前記第2装着部の前記被結合部とが互いに結合されると、前記第1係止部と前記第2係止部との間で、前記隆起部及び前記受け部が挟み込まれ、かつ前記隆起部の先端面の前記凸球面と、前記受け部の前記受け面の前記凹球面とが互いに密着する、溶接技術を利用しない配管接続構造。
【請求項2】
前記第2係止部は、先側から後側に向かって徐々に内径が小さくなるように凹球面状に傾斜した環状の係止面を含み、
前記受け部の後端部は、先側から後側に向かって徐々に外径が小さくなるように凸球面状に傾斜した環状の被係止面を含む請求項1に記載の配管接続構造。
【請求項3】
前記第1装着部は、前記結合部が前記第2装着部の前記被結合部と結合されていない状態において、前記第1配管部に対して着脱可能な状態で装着されており、
前記第2装着部は、前記被結合部が前記第1装着部の前記結合部と結合されていない状態において、前記第2配管部に対して着脱可能な状態で装着されている請求項1又は請求項2に記載の配管接続構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管接続構造に関する。

【背景技術】
【0002】
特許文献1に示されるように、溶接技術を利用することなく、金属製の配管同士を圧接させて接続する配管接続構造が知られている。この種の配管接続構造では、互いに接続を行う2つの配管のうち、一方の配管に、外周面に雄ネジを有する筒状の第1装着部が外嵌されると共に、他方の配管に、内周面に雌ネジを有するナット(袋ナット)状の第2装着部が外嵌されている。そして、その他方の配管側の第2装着部を、上記一方の配管の雄ネジにねじ込むことで、2つの配管の先端部同士が圧接されて互いに接続される。
【0003】
このような配管接続構造において、前記一方の配管の先端部には、外側に向かって環状に隆起した隆起部が設けられている。これに対して、前記他方の配管の先端部には、外側に向かって環状に隆起しつつ、前記隆起部の先端面と密着する受け面を含む受け部が設けられている。このような受け部と隆起部の先端面とが互いに軸方向に圧接されることで、配管接続構造のシール性が確保される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-184968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の配管接続構造は、配管の端部同士を直線状に接続するものであり、配管の端部同士を接続する角度を自由に調整できるものではなかった。
【0006】
本発明の目的は、溶接技術を利用しない配管接続構造において、シール性を確保しつつ配管の端部同士を接続する角度を調整可能な技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る配管接続構造は、管状の第1配管本体部、前記第1配管本体部の先端に配され前記第1配管本体部の外周面よりも外側に向かって隆起した隆起部を含む第1配管部と、管状の第2配管本体部、前記第2配管本体部の先端に配され前記第2配管本体部の外周面よりも外側に向かって隆起し、かつ先端に前記隆起部の先端面と密着する受け面を含む環状の受け部を有する第2配管部と、前記第1配管部の外側に装着される筒状をなし、外周面に配される結合部、及び先端に配され前記隆起部の後端部と係止可能な第1係止部を有する第1装着部と、先側に突出するように前記第2配管部の外側に装着される筒状をなし、内周面に配され前記結合部と結合可能な被結合部、前記被結合部の後側に配され前記内周面よりも内側に向かって隆起し、前記受け部の後端部と係止可能な第2係止部、及び前記第2係止部の後側に配され、前記受け部に接続する根元側の前記第2配管本体部を挿通させる挿通部を有する第2装着部とを備える配管接続構造であって、前記隆起部の前記先端面は、先側に向かって凸状に膨らんだ環状の凸球面を含み、前記受け部の前記受け面は、後側に向かって凹状に窪んだ環状の凹球面を含み、前記挿通部は、前記第1配管部に対して前記第2配管部が傾斜した状態において、前記根元側の前記第2配管本体部を挿通できるように、先側から後側に向かって広がるように傾斜した傾斜内周面を含む。
【0008】
前記配管接続構造において、前記第1装着部の前記結合部と、前記第2装着部の前記被結合部とが互いに結合されると、前記第1係止部と前記第2係止部との間で、前記隆起部及び前記受け部が挟み込まれ、かつ前記隆起部の先端面と、前記受け部の前記受け面とが互いに密着することが好ましい。
【0009】
前記配管接続構造において、前記第2係止部は、先側から後側に向かって徐々に内径が小さくなるように凹球面状に傾斜した環状の係止面を含み、前記受け部の後端部は、先側から後側に向かって徐々に外径が小さくなるように凸球面状に傾斜した環状の被係止面を含むことが好ましい。
【0010】
前記配管接続構造において、前記第1装着部は、前記結合部が前記第2装着部の前記被結合部と結合されていない状態において、前記第1配管部に対して着脱可能な状態で装着されており、前記第2装着部は、前記被結合部が前記第1装着部の前記結合部と結合されていない状態において、前記第2配管部に対して着脱可能な状態で装着されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、溶接技術を利用しない配管接続構造において、シール性を確保しつつ配管の端部同士を接続する角度を調整可能な技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態1に係る配管接続構造の斜視図
図2】配管接続構造の断面図
図3】実施形態1の第1配管端末構造の側面図
図4】第1配管部の側面図
図5】第1配管部の断面図
図6】第1装着部の斜視図
図7】実施形態1の第1配管端末構造の断面図
図8】実施形態1の第2配管端末構造の側面図
図9】第2配管部の側面図
図10】第2配管部の断面図
図11】第2装着部の斜視図
図12】実施形態1の第2配管端末構造の断面図
図13】第1配管部及び第2配管部が直線状に接続された配管接続構造のシール部の拡大断面図
図14】第1配管部に対して傾斜した状態で第2配管部が接続された配管接続構造のシール部の拡大断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施形態1>
(配管接続構造X1)
本発明の実施形態1を、図1図14を参照しつつ説明する。図1は、本発明の実施形態1に係る配管接続構造X1の斜視図であり、図2は、配管接続構造X1の断面図である。配管接続構造X1は、第1配管端末構造1と、第2配管端末構造2とを備えている。配管接続構造X1は、第1配管端末構造1と第2配管端末構造2とを互いに着脱可能な状態で接続し、かつ互いに接続する角度を調整可能な構造である。図1及び図2には、互いに直線状に接続された第1配管端末構造1及び第2配管端末構造2からなる配管接続構造X1が示されている。また、図2には、各配管を長手方向に沿って切断した状態の断面図が示されている。配管接続構造X1は、例えば、フォークリフトのフォークの駆動に用いられる油圧経路の一部として利用されるものである。
【0014】
(第1配管端末構造1)
図3図7を参照しつつ、第1配管端末構造1について説明する。図3は、実施形態1の第1配管端末構造1の側面図である。図3に示されるように、第1配管端末構造1は、第1配管部11と、第1装着部12とを備えている。図4は、第1配管部11の側面図であり、図5は、第1配管部11の断面図である。なお、図5には、第1配管部11を長手方向に沿って切断した状態の断面図が示されている。各図において、第1配管端末構造1の先側(前側)は右側に示され、後側は左側に示されている。
【0015】
(第1配管部11)
第1配管部11は、全体的には概ね、一方向に沿って細長く延びた管状(筒状)をなしており、第1装着部12よりも長い。第1配管部11は、主として、細長く延びた管状(筒状)の第1配管本体部110と、この第1配管本体部110の先端に配され、第1配管本体部110の外周面110aよりも外側に向かって隆起した隆起部111とを備えている。また、第1配管部11は、内側を前後方向に貫通する孔部からなる流路(第1流路)112を備えている。第1配管部11は、後述する金属製のパイプ基材を塑性加工等したものからなる。第1配管本体部110の内周面110bは、流路112の周りを取り囲む形となっている。第1配管部11内の流路112は、作動油の通路として利用される。
【0016】
隆起部111の先端面111aは、第1配管端末構造1と第2配管端末構造2とが互いに接続される際に、第2配管端末構造2が備える第2配管部21の先端(つまり、受け面211a)と圧接される部分である。隆起部111の先端面111aは、先側に向かって凸状に膨らんだ環状の凸球面からなる。先端面(凸球面)111aは、先側から後側に向かって徐々に外径が大きくなるように球面状に傾斜しており、相手側の受け面211aと隙間なく密着し易くなっている。
【0017】
また、隆起部111は、第1配管部11(第1配管本体部110)に外嵌する形で装着された第1装着部12と係止する。具体的には、隆起部111の後端部111bが、第1装着部12の先端にある第1係止部124と係止する。
【0018】
第1配管部11は、金属製のパイプ基材(油圧配管用精密炭素鋼鋼管)を塑性加工することで得られる。具体的には、パイプ基材の先端部分を、特許文献1に示されるような公知の押圧装置を利用して押圧することにより、パイプ基材の先端部分が、外周面から外側に円環状に盛り上がるように塑性変形(厚肉化)される。そして、円環状に盛り上がった部分の先端面が、前記押圧装置で押圧等されることにより、凸球面状に加工される。その結果、パイプ基材の先端部分に隆起部111が形成されて、第1配管部11が得られる。
【0019】
(第1装着部12)
図6は、第1装着部12の斜視図である。第1装着部12は、全体的には概ね、一方向に延びた筒状をなし、第1配管部11の先側に外嵌する形で装着される。第1装着部12の長さは、第1配管部11の長さよりも短く設定されている。第1装着部12の内径は、第1配管部11の第1配管本体部110の直径よりも大きく設定されている。第1装着部12の先端寄りの箇所に、結合部121が設けられている。結合部121は、雄ネジからなり、第1装着部12の外周面上に形成されている螺旋状のネジ山121aを備えている。第1装着部12の後方部分には、外側に張り出した形のフランジ部122が設けられている。本実施形態の場合、外周面120aからのフランジ部122の高さは、外周面120aから結合部121(ネジ山121a)の高さよりも、高くなるように設定されている。つまり、フランジ部122における外径が、結合部121における外径よりも大きく設定されている。なお、結合部121とフランジ部122との間には、これらよりも高さが低い円柱状の部分120が形成されており、その円柱状の部分120の表面が、外周面120a(高さの基準面)となっている。
【0020】
第1装着部12の内側には、内周面123aで囲まれる前後方向に貫通する貫通孔部123が設けられている。そして、第1装着部12の先端は、第1配管部11の隆起部111の後端と係止可能な第1係止部124となっている。第1装着部12は、貫通孔部123の中に第1配管部11の先端側が挿通される形で第1配管部11に装着されている。このような第1装着部12は、第1配管部11の第1配管本体部110に対して外側から装着された状態となっている。第1配管部11に装着されている第1装着部12の内周面123aと、第1配管本体部110の外周面とは略隙間なく密着しているものの、第1装着部12は、第1配管部11に対して、着脱可能な状態で外嵌される。つまり、第1装着部12を第1配管部11に装着した状態において、第1装着部12を、第1配管部11上で周方向、及び前後方向に独立して移動させることができる。
【0021】
図7は、実施形態1の第1配管端末構造1の断面図である。なお、図7には、図3に示される第1配管端末構造1を長手方向に沿って切断した状態の断面図が示されている。第1装着部12を第1配管部11に装着する際、第1装着部12の貫通孔部123の前側(先側)から、第1配管部11(第1配管本体部110)の後端側が挿入される。第1装着部12は、先端の第1係止部124が、隆起部111の後端部111bと当接するように第1配管部11の第1配管本体部110に装着される。第1係止部124の先端面は、環状の平坦面となっている。また、第1係止部124と接触する隆起部111の後端部111bの表面も、環状の平坦面となっている。
【0022】
図7に示されるように、隆起部111の外径(最大外径)は、結合部121が形成されて部分の第1装着部12の外径よりも小さくされている。
【0023】
本実施形態の第1装着部12は、金属製であり、例えば、六角柱状の部材に対して、適宜、切削加工等を施すことで製造される。後述するように、第1装着部12は、第2配管端末構造2の第2装着部22と螺着される。
【0024】
(第2配管端末構造2)
次いで、第2配管端末構造2について、図8図12を参照しつつ説明する。図8は、実施形態1の第2配管端末構造2の側面図である。図8に示されるように、第2配管端末構造2は、第2配管部21と、第2装着部22とを備えている。図9は、第2配管部21の側面図であり、図10は、第2配管部21の断面図である。なお、図10には、第2配管部21を長手方向に沿って切断した状態の断面図が示されている。各図において、第2配管端末構造2の先側(前側)は左側に示され、後側は右側に示されている。
【0025】
(第2配管部21)
第2配管部21は、上述した第1配管部11と同様、全体的には概ね、一方向に沿って細長く延びた管状(筒状)をなしており、第2装着部22よりも長い。第2配管部21は、主として、細長く延びた管状(筒状)の第2配管本体部210と、この第2配管本体部210の先端に接続し、第2配管本体部210の外周面210aよりも外側に向かって隆起する環状の受け部211とを備えている。受け部211の先端には、第1配管端末構造1の隆起部111の先端面111aと密着する受け面211aが設けられている。
【0026】
第2配管部21は、内側を前後方向に貫通する孔部からなる流路(第2流路)212を備えている。第2配管部21は、上述した第1配管部11と同様、金属製のパイプ基材を塑性加工等したものからなる。第2配管本体部210の内周面210bは、流路212の周りを取り囲む形となっている。第2配管部21内の流路212は、第1配管端末構造1と第2配管端末構造2とが互いに接続された際に、第1配管部11内の流路112と繋がり、流路112と共に、作動油の通路として利用される。
【0027】
受け部211の受け面211aは、後側に向かって凹状に窪んだ環状の凹球面からなる。受け面(凹球面)211aは、先側から後側に向かって徐々に内径が小さくなるように球面状に傾斜しており、相手側の先端面(凸球面)111aと隙間なく密着し易くなっている。また、受け面211aは、先端面(凸球面)111aに沿って、先端面(凸球面)111a上を移動することができる。
【0028】
また、受け部211は、第2配管部21(第2配管本体部210)に外嵌する形で装着された第2装着部22と係止する。具体的には、受け部211の後端部211bが、第2装着部22にある第2係止部222と係止する。後端部211bは、先側から後側に向かって徐々に外径が小さくなるように凸球面状に傾斜する環状の被係止面211b1を備えている。
【0029】
第2配管部21は、上述した第1配管部11と同種のパイプ基材を、押圧成形(塑性加工)することで製造される。第2配管部21は、公知の押圧装置を利用して、パイプ基材の先端を押圧することで製造される。また、本実施形態の場合、第2配管部21の内径(第2配管本体部210の内径)は、第1配管部11の内径(第1配管本体部110の内径)と同じに設定されている。
【0030】
(第2装着部22)
図11は、第2装着部22の斜視図であり、図12は、実施形態1の第2配管端末構造2の断面図である。なお、図12には、図8に示される第2配管端末構造2を長手方向に沿って切断した状態の断面図が示されている。第2装着部22は、全体的には概ね、一方向に延びた筒状をなし、第2配管部21の先側に外嵌する形で装着される。第2装着部22の長さは、第2配管部21の長さよりも短く設定されている。なお、第2装着部22は、受け部211よりも先側に突出する形で第2配管21に外嵌される。
【0031】
第2装着部22は、第2配管部21の受け部211と、第1配管端末構造1の先端部分(第1配管部11の先端部分、及び第1装着部12の先端部分)を収容可能な筒状の収容部221と、収容部221の後側に接続し、第2配管部21の受け部211の後端部211bと係止する環状の第2係止部222と、第2係止部222の後側に接続し、第2配管部21が挿通される挿通部224とを備えている。収容部221の内側にある空間223は、環状の第2係止部222の内側の空間222a及び挿通部224と繋がっている。図12に示されるように、収容部221内に第2配管部21の受け部211が収容されると、受け部211によって、第2係止部222の内側にある空間222aが塞がれる。
【0032】
挿通部224は、前後方向に貫通する孔であり、先側から後側に向かって広がるように傾斜した傾斜内周面224aを備えている。挿通部224は、このような傾斜内周面224aを備えているため、第1配管部11に対して第2配管部21が傾斜した状態において、第2配管部21(具体的には、受け部211に接続する根元側の第2配管本体部210)を挿通させることができる。
【0033】
第2装着部22の先側の内周面(つまり、収容部221の内周面221a)には、第1配管端末構造1側の結合部121と結合可能な被結合部225が形成されている。被結合部225は、雌ネジ225aからなり、結合部121と螺着できる。被結合部225は、収容部221の内周面221aのうち、前側寄りの部分に形成されている。なお、収容部221の後側寄りの部分は、第2配管部21の受け部211と、受け部211に接続する根元側の第2配管本体部210を収容する部分となっており、被結合部225は形成されていない。
【0034】
第2係止部222は、被結合部225の後側に配され、内周面221aよりも内側に向かって円環状に隆起した形状となっている。そして、第2係止部222の表面222bは、受け部211の後端部211b(被係止面211b1)が密着しつつ係止される部分であり、先側から後側に向かって徐々に内径が小さくなるように凹球面状に傾斜した環状の係止面からなる。このような第2係止部222の表面(係止面)222bが、受け部211の後端部211bの被係止面211b1と係止する。なお、被係止面211b1は、係止面222bに沿って、係止面222b上を移動することができる。
【0035】
第2装着部22の外観は、図11に示されるように、六角柱状をなしている。本実施形態の場合、第2装着部22の外径は、第1配管端末構造1のフランジ122の外径と同じになるように設定されている。
【0036】
第2装着部22は、内側の空間223に受け部211を収容しつつ、受け部211よりも先側に突出する形で、第2配管部21の先側に外嵌される。このような第2装着部22は、第2配管部21の第2配管本体部210に対して外側から装着された状態となっている。第2装着部22は、第2配管部21に対して、着脱可能な状態で外嵌される。つまり、第2装着部22を第2配管部21に装着した状態において、第2装着部22を、第2配管部21上で周方向、及び前後方向に独立して移動させることができる。
【0037】
また、第2配管部21は、第2装着部22が外嵌された状態で、受け部211側を中心(起点)としつつ、第2装着部22の軸線L22方向に対して、第2配管部21の軸線L21方向が傾斜するように、移動させることができる。例えば、第2装着部22を、軸線L22方向から見た際、第2配管部21は、軸線L22に対して上下左右の何れの方向にも傾けることができる。つまり、第2配管部21は、第2装着部22を、軸線L22方向から見た際、軸線L22を中心として、何れの方位に向かって第2配管部21を傾けることが可能である。第2配管部21は、挿通部224の傾斜内周面224a内において、第2配管部21の向き(長手方向の向き、軸線L21方向の向き)を自由に設定することができる。挿通部224の傾斜内周面224a内において、第2配管部21の向きを変更しても、受け部211が、第2係止部222の内側から挿通部224側へ抜け出さないように、受け部211の大きさ及び第2係止部222の大きさ等が設定されている。
【0038】
第2装着部22を第2配管部21に装着する際、第2装着部22の前側(先側)から、第2配管部21(第2配管本体部210)の後端側が挿入される。第2装着部22は、収容部221の後側に配される第2係止部222が、受け部211の後端部211bと当接するように第2配管部21の第2配管本体部210に装着される。
【0039】
本実施形態の第2装着部22は、上述した第1装着部12と同様、金属製であり、例えば、六角柱状の部材に対して、適宜、切削加工等を施すことで製造される。
【0040】
(第1配管端末構造1と第2配管端末構造2との接続)
次いで、図2等を参照しつつ、第1配管端末構造1と第2配管端末構造2とを接続して、配管接続構造X1が構成される工程を説明する。先ず、第1配管端末構造1の第1配管部11と第2配管端末構造2の第2配管部21とが互いに繋がるように、第1配管部11の先端と第2配管部21の先端とが突き合せられる。具体的には、第1配管部11の先端にある隆起部111の先端面(凸球面)111aと、第2配管部21の先端にある受け部211の受け面(凹球面)211aとが互いに突き合せられる。本実施形態の場合、受け部211の受け面211aを、隆起部111の先端面111aに載せた状態(密着させた状態)で、第1配管部11に対する第2配管部21の角度を適宜、調整することができる。ここでは、先ず、第1配管部11及び第2配管部21が直線状に繋がる場合を説明する。
【0041】
上記のように、隆起部111の先端面111aと、受け部211の受け面211aとが互いに突き合せられた状態において、第2配管部21に装着されている第2装着部22を、周方向に回転させながら、第2装着部22の被結合部255(雌ネジ225a)を、第1配管部11に装着されている第1装着部12の結合部(雄ネジ)121に螺着させる。その際、先ず、第1配管部11の先端(隆起部111)が受け部211に宛がわれた状態で、第2装着部22の収容部221内に挿入される。次いで、隆起部111の後側に隣接する第1装着部12の結合部121が、被結合部225に螺合しながら、収容部221内に挿入される。
【0042】
図13は、第1配管部11及び第2配管部21が直線状に接続された配管接続構造X1のシール部Sの拡大断面図である。隆起部111は、第1配管部11の外周面よりも外側に向かって環状に隆起し、また、受け部211は、第2配管部21の外周面よりも外側に向かって環状に隆起している。第1装着部12の結合部121が、収容部221の奥側(後側)に進入するように締め込まれると、第1配管部11の隆起部111と第2配管部21の受け部211とは、軸方向において、互いに近付き、その後、互いに突き合せられた状態となる。そして更に締め込まれると、隆起部111及び受け部211は、第1配管部11に装着されている第1装着部12の第1係止部124と、第2配管本体部210に装着されている第2装着部22の第2係止部222との間で、第1装着部12及び第2装着部22の各軸方向(前後方向)で締め込まれる。その結果、第1配管部11の先端面(凸球面)111aと、第2配管部21の受け面(凹球面)211aとが互いに隙間なく密着した状態となる。
【0043】
要するに、第1装着部12を第2装着部22に対して締め込むと(つまり、第1装着部12の結合部121と、第2装着部22の被結合部225とが互いに結合されると)、第1係止部124と第2係止部222との間で、隆起部111及び受け部211が挟み込まれ、かつ隆起部111の先端面111aと、受け部211の受け面211aとが互いに密着した状態となる。
【0044】
図13に示されるように、第1配管部11の先端面111aと、第2配管部21の受け面211aとが密着した部分からなるシール部Sの位置は、第1配管部11の内周面(第1配管本体部110の内周面110b)の位置、及び第2配管部21の内周面(第2配管本体部210の内周面210b)の位置よりも、外側に配されている。なお、前記シール部Sの位置は、第1配管部11の外周面(第1配管本体部110の外周面110a)の位置、及び第2配管部21の外周面(第2配管本体部210の外周面210a)の位置よりも外側に配されてもよい。前記シール部Sの位置がこのように設定されると、シール性が確保される。
【0045】
このように、第1配管端末構造1の第1装着部12が第2配管端末構造2の第2装着部22に締め込まれることで、第1配管部11と第2配管部21との間のシール性が確保されつつ互いに繋がった状態の配管接続構造X1が構成される。なお、図13には、第1配管端末構造1の第1配管部11と、第2配管端末構造2の第2配管部21とが直線状に接続された状態が示されている。第1配管部11の軸線L11と、第2配管部21の軸線L21とは互いに同一直線上にある。また、第1配管端末構造1の第1装着部12の軸線L12と、第2配管端末構造2の第2装着部22の軸線L22も、互いに同一直線上になる。なお、第1配管端末構造1における第1配管部11及び第1装着部12は、同軸上にあり、第2配管端末構造2における第2配管部21及び第2装着部22も、同軸上にある。
【0046】
(第1配管部11と第2配管部21とを接続する角度の調整)
図14は、第1配管部11に対して傾斜した状態で第2配管部21が接続された配管接続構造X1のシール部Sの拡大断面図である。本実施形態の配管接続構造X1では、第1装着部12が第2装着部22に対して、完全に締め込まれる前の状態において、第1配管部11に対する第2配管部21の角度を調整することができる。第2配管部21は、挿通部224の傾斜内周面224a内において、角度を自由に調整(変更)することができる。このように、第2配管部21の角度を適宜、調整(変更)しても、受け部211の受け面(凹球面)222aは、第1配管部11(隆起部111)の先端面(凸球面)111aに対して密着することができる。
【0047】
第1配管部11に対して第2配管部21を傾斜させた状態において、第1装着部12を第2装着部22に締め込んでも(つまり、第1装着部12の結合部121と、第2装着部22の被結合部225とが互いに結合されると)、第1係止部124と第2係止部222との間で、隆起部111及び受け部211が挟み込まれ、かつ隆起部111の先端面111aと、受け部211の受け面211aとが互いに密着した状態となる。
【0048】
第2係止部222は、先側から後側に向かって徐々に内径が小さくなるように凹球面状に傾斜した環状の係止面222bを含んでいる。また、受け部211の後端部211bは、先側から後側に向かって徐々に外径が小さくなるように凸球面状に傾斜し、かつ係止面222bに沿って移動可能な環状の被係止面211b1を含んでいる。そのため、第1配管部11に対して第2配管部21を傾斜させた状態であっても、受け部211の後端部211b(被係止面211b1)と、第2係止部222の表面(係止面222b)とが互いに密着することができる。なお、上述したように、挿通部224の傾斜内周面224a内において、第2配管部21の向きを変更しても、受け部211が、第2係止部222の内側から挿通部224側へ抜け出さないように、受け部211の大きさ及び第2係止部222の大きさ等が設定されている。
【0049】
図14には、第1配管部11の軸線L11に対して、第2配管部21の軸線L21が傾斜した状態が示されている。第1装着部12の軸線L12と、第2装着部22の軸線L22とは、互いに同一直線上にある。
【0050】
なお、本実施形態の配管接続構造X1では、第2装着部22の被結合部225(雌ネジ225a)を、接続時とは逆向きに周方向に回転させると、第1装着部12と第2装着部22とが互いに離れるように移動して、第1装着部12の第1係止部124と第2装着部22の第2係止部222との間での挟み込みが解消され、その後、第2装着部22の被結合部225と、第1装着部12の結合部121との螺着が解消される。そして、最終的に、配管接続構造X1を、第1配管端末構造1と第2配管端末構造2とに分離することができる。
【0051】
このように、本実施形態の配管接続構造X1は、必要に応じて、第1配管端末構造1と第2配管端末構造2とに分解することができ、しかも、必要に応じて、更に第1配管端末構造1を、第1配管部11と第1装着部12、及び第2配管端末構造2を、第2配管部21と第2装着部22に分解することができる。したがって、本実施形態の配管接続構造X1は、シール性を損なうことなく、分解、及び組立を繰り返し行い易い構成になっている。
【0052】
また、本実施形態の配管接続構造X1は、シール性を確保しつつ、流路(第1流路)112と流路(第2流路)212との接続を確保した状態で、第1配管部11の端部(先端部)と第2配管部21の端部(先端部)とを接続する角度を、必要に応じて、調整することができる。このような配管接続構造X1は、設置の自由度が高く好ましい。
【0053】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0054】
(1)上記実施形態では、第1配管端末構造が備える第1配管部と、第2配管端末構造が備える第2配管部は、共に真っ直ぐに延びた構成となっているが、本発明はこれに限られず、他の実施形態においては、第1配管部及び/又は第2配管部に対して、適宜、曲げ加工が施されて、曲線状の配管部とされてもよい。
【0055】
(2)上記実施形態では、第1装着部及び第2装着部は、共に金属製であったが、本発明はこれに限られず、他の実施形態においては、例えば、第1装着部及び第2装着部のうち、何れか一方がプラスチック製であり、他方が金属製であってもよいし、双方がプラスチック製であってもよい。
【0056】
(3)第1配管部、第2配管部、第1装着部及び第2装着部に使用される金属としては、ステンレス等の合金であってもよい。
【0057】
(4)上記実施形態の配管接続構造X1は、フォークリフトのフォークの駆動に用いられる油圧経路の一部として利用されるものであったが、本発明はこれに限られるものではなく、他の実施形態においては、他の用途に用いられるものであってもよい。
【符号の説明】
【0058】
X1…配管接続構造、1…第1配管端末構造、11…第1配管部、110…第1配管本体部、111…隆起部、111a…先端面(凸球面)、12…第1装着部、121…結合部、122…フランジ部、124…第1係止部、2…第2配管端末構造、21…第2配管部、210…第2配管本体部、211…受け部、211a…受け面(凹球面)、22…第2装着部、221…収容部、222…第2係止部、224…挿通部、225…被結合部
図1
図2
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図13
図14