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特許7095899結合部位を決定するための方法およびキット
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  • 特許-結合部位を決定するための方法およびキット 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-27
(45)【発行日】2022-07-05
(54)【発明の名称】結合部位を決定するための方法およびキット
(51)【国際特許分類】
   G01N 33/68 20060101AFI20220628BHJP
   G01N 27/62 20210101ALI20220628BHJP
   C12Q 1/37 20060101ALI20220628BHJP
【FI】
G01N33/68
G01N27/62 V
C12Q1/37 ZNA
【請求項の数】 49
(21)【出願番号】P 2019552873
(86)(22)【出願日】2018-03-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-05-28
(86)【国際出願番号】 GB2018050707
(87)【国際公開番号】W WO2018178629
(87)【国際公開日】2018-10-04
【審査請求日】2021-01-26
(31)【優先権主張番号】1704823.2
(32)【優先日】2017-03-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】517298220
【氏名又は名称】ユニバーシティ オブ レスター
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】八田国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ピレツキー,セルゲイ
(72)【発明者】
【氏名】ピレツカ,エレナ
(72)【発明者】
【氏名】キャンファロッタ,フランチェスコ
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ,ドン
【審査官】中村 直子
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2004/0058006(US,A1)
【文献】特開2002-286724(JP,A)
【文献】Detlev Suckau et al.,Molecular epitope identification by limited proteolysis of an immobilized antigen-antibody complex and mass spectrometric peptide mapping,Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America,1990年,87(24),9848-9852
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/68
G01N 27/62
C12Q 1/37
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンパク質上で、結合パートナーの結合部位を決定するための方法であって、
(i)前記タンパク質を複数のモノマーと接触させ、前記モノマーを重合させて、タンパク質:ポリマー複合体を作るステップと、
(ii)前記複合体中の前記タンパク質を消化して、ペプチド:ポリマー複合体を生成するステップと、
(iii)前記ペプチド:ポリマー複合体を単離するステップと
含み、
前記ペプチドは、結合パートナーの結合部位に対応する、方法。
【請求項2】
前記ペプチドの配列を決定するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記タンパク質は、折り畳みタンパク質であり、かつ/または前記結合部位は、新規な結合部位である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記結合部位は、抗体が結合するエピトープである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記タンパク質は、酵素阻害剤、薬物分子または他のタンパク質との複合体である、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記タンパク質と分子インプリントポリマー(MIP)との間の複合体が、ステップ(i)によって作られる、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記複数のモノマーは、架橋モノマーを含む、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記複数のモノマーは、磁性ナノ粒子をさらに含む、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
ステップ(i)は、タンパク質を複数のモノマーと接触させることを含み、前記タンパク質は、溶液中のものであるか、または固体表面上に固定化されたものである、請求項1~のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記固体表面は、多糖、シリカ、有機もしくは無機ポリマー、金属、またはそれらの組み合わせを含む表面から選択される、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記固体表面の形態は、ビーズ、磁気ビーズ、アレイ、導波管の表面、繊維、膜、または毛管から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
重合は、化学的、熱的、または光学的に開始される、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
ポリマー生成物は、磁気コアを有する、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
ポリマー生成物は、線形であるか、または架橋されている、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
ポリマー生成物は、標的タンパク質に共有結合されている、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
ポリマー生成物は、可溶性またはコロイド状の形態である、請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記タンパク質:ポリマー複合体を単離するステップをさらに含む、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記タンパク質:ポリマー複合体の単離は、限外濾過、超遠心分離、電気泳動、音波処理、クロマトグラフ分離、洗浄、尿素の添加、グアニジン、磁力、もしくは任意のそれらの組み合わせの使用を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記タンパク質またはポリマーは、前記タンパク質:ポリマー複合体の単離を促進するために固体支持体に結合されている、請求項17または18に記載の方法。
【請求項20】
消化ステップ(ii)は、部分タンパク質分解反応であり、それによって、前記タンパク質の前記ポリマーに結合されていない部分が、前記ポリマーとの前記複合体から分離される、請求項1~19のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
消化ステップ(ii)は、1つまたは複数のタンパク質切断試薬の使用を含む、請求項1~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
ステップ(iii)は、前記ペプチド:ポリマー複合体を未結合のタンパク質および/または未結合のペプチドから分離することを含む、請求項1~21のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
ステップ(iii)は、限外濾過、超遠心分離、電気泳動、音波処理、クロマトグラフ分離、洗浄、尿素の添加、グアニジン、磁力、もしくは任意のそれらの組み合わせの使用を含む、請求項1~22のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
結合ペプチドを前記ペプチド:ポリマー複合体から放出するステップをさらに含む、請求項1~23のいずれか1項に記載の方法。
【請求項25】
ステップ(iv)は、エドマン分解、質量分析、マトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)、エレクトロスプレーイオン化(ESI)源、大気圧イオン化技術もしくはタンデム質量分析(MS/MS)を用いた質量分析、または任意のそれらの組み合わせの使用を含む、請求項1~24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
タンパク質上で結合パートナーの新規な結合部位を決定するのに適切な組成物を生成するための分子インプリントポリマー(MIP)の使用。
【請求項27】
前記結合部位は、抗体が結合するエピトープである、請求項26に記載の使用。
【請求項28】
前記使用は、
(i)タンパク質:MIP複合体を形成するステップと、
(ii)前記複合体中の前記タンパク質を消化して、ペプチド:MIP複合体を生成するステップと、
(iii)前記ペプチド:MIP複合体を単離するステップと、を含み、
前記ペプチドは、結合パートナーの結合部位に対応する、請求項26または27に記載の使用。
【請求項29】
前記複合体は、事前形成されたMIPと前記タンパク質との間に形成される、請求項26~28のいずれか1項に記載の使用。
【請求項30】
前記タンパク質:MIP複合体は、前記タンパク質を複数のモノマーと接触させ、前記モノマーの重合を開始することによって、形成される、請求項26~28のいずれか1項に記載の使用。
【請求項31】
ステップ(ii)の前に前記タンパク質:MIP複合体を単離するステップを含む、請求項26~30のいずれか1項に記載の使用。
【請求項32】
前記タンパク質:MIP複合体中の前記タンパク質の消化は、前記複合体中の前記タンパク質の部分タンパク質分解を含み、それによって、前記ポリマーに結合されていない前記タンパク質の部分が、前記ポリマーとの前記複合体から分離される、請求項26~31のいずれか1項に記載の使用。
【請求項33】
前記消化は、1つまたは複数のタンパク質切断試薬の使用を含む、請求項32に記載の使用。
【請求項34】
前記タンパク質切断試薬は、プロテアーゼを含む、請求項33に記載の使用。
【請求項35】
前記結合ペプチドを前記ペプチド:MIP複合体から放出するステップを含む、請求項26~34のいずれか1項に記載の使用。
【請求項36】
前記結合ペプチドの配列を決定するステップを含む、請求項26~35のいずれか1項に記載の使用。
【請求項37】
タンパク質上で、結合パートナーの結合部位を決定するためのキットであって、
(i)複数のモノマーであって、タンパク質:ポリマー複合体を作るために標的タンパク質に接触し、前記モノマーを重合させるのに適切である、複数のモノマーと、
(ii)1つまたは複数のタンパク質切断試薬と、を含む、キット。
【請求項38】
前記複数のモノマーは、標的タンパク質との複合体中にMIPを形成するのに適切である、請求項37に記載のキット。
【請求項39】
重合を開始するのに適切な1つまたは複数の開始剤をさらに含む、請求項37または38に記載のキット。
【請求項40】
磁性ナノ粒子をさらに含む、請求項37~39のいずれか1項に記載のキット。
【請求項41】
標的タンパク質の固定化に適切な固体表面を含む材料をさらに含む、請求項37~40のいずれか1項に記載のキット。
【請求項42】
タンパク質:ポリマー複合体の単離に使用されるか、または、ペプチド:ポリマー複合体の単離に使用される材料をさらに含む、請求項37~41のいずれか1項に記載のキット。
【請求項43】
前記材料は、限外濾過および/または遠心分離のためのものである、請求項42に記載のキット。
【請求項44】
前記1つまたは複数のタンパク質切断試薬は、酵素を含む、請求項37~43のいずれか1項に記載のキット。
【請求項45】
前記酵素は、プロテアーゼである、請求項44に記載のキット。
【請求項46】
1つまたは複数の緩衝剤をさらに含む、請求項37~45のいずれか1項に記載のキット。
【請求項47】
前記複数のモノマーは、ビニルモノマー、アリルモノマー、アセチレン、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、クロロアクリレート、イタコネート、トリフルオロメチルアクリレート、アミノ酸の誘導体、ヌクレオシド、ヌクレオチド、炭水化物、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジビニルベンゼン、メチレンビスアクリルアミド、エチレンビスアクリルアミド、およびN,N’-ビスアクリロイルピペラジン、N-イソプロピルアクリルアミド(NIPAM)、tert-ブチルアクリルアミド、アクリル酸、3-アミノプロピルメタクリレート、メタクリル酸、または任意のそれらの組み合わせからなる群から選択される、1つまたは複数のモノマーを含む、請求項1~25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
前記複数のモノマーは、ビニルモノマー、アリルモノマー、アセチレン、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、クロロアクリレート、イタコネート、トリフルオロメチルアクリレート、アミノ酸の誘導体、ヌクレオシド、ヌクレオチド、炭水化物、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジビニルベンゼン、メチレンビスアクリルアミド、エチレンビスアクリルアミド、およびN,N’-ビスアクリロイルピペラジン、N-イソプロピルアクリルアミド(NIPAM)、tert-ブチルアクリルアミド、アクリル酸、3-アミノプロピルメタクリレート、メタクリル酸、または任意のそれらの組み合わせからなる群から選択される、1つまたは複数のモノマーを含む、請求項30および請求項30に従属する場合の請求項31~36のいずれか1項に記載の使用。
【請求項49】
前記複数のモノマーは、ビニルモノマー、アリルモノマー、アセチレン、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、クロロアクリレート、イタコネート、トリフルオロメチルアクリレート、アミノ酸の誘導体、ヌクレオシド、ヌクレオチド、炭水化物、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジビニルベンゼン、メチレンビスアクリルアミド、エチレンビスアクリルアミド、およびN,N’-ビスアクリロイルピペラジン、N-イソプロピルアクリルアミド(NIPAM)、tert-ブチルアクリルアミド、アクリル酸、3-アミノプロピルメタクリレート、メタクリル酸、または任意のそれらの組み合わせからなる群から選択される、1つまたは複数のモノマーを含む、請求項37~46のいずれか1項に記載のキット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タンパク質上で、結合パートナーの結合部位を決定する分野に関する。本発明は、結合パートナーの結合部位を決定するための方法、およびそのような方法を実行するためのキットを提供する。
【背景技術】
【0002】
プロテオミクスは、細胞および組織によって発現されるタンパク質の構造および機能の研究であり、タンパク質は、小薬物分子(small drug molecules)および治療用抗体の主要標的であるので、実用的見地から重要である[1]。抗体に対するタンパク質の結合部位の同定は、新たな診断の確立を助けることができる[2]。FDAおよびEMEAガイドラインでは、薬物とその標的との間の相互作用部位の分子分析を、規制当局への提出に必要としている[3]。さらに、結合部位の理解は、市販製品を特許で保護するのに有用である。残念ながら、分子細部におけるタンパク質構造を定義し、結合部位を同定することは、特に困難なタスクを成す。
【0003】
抗体、B細胞、またはT細胞に特異的に結合するタンパク質の部分は、エピトープと呼ばれる。抗体は、抗体およびエピトープのアミノ酸配列間の非共有相互作用によってエピトープと相互作用し、対応する抗体のエピトープを同定するプロセスは、エピトープマッピングと呼ばれる。タンパク質-抗体複合体の構造を解くことによるエピトープのマッピングは、X線結晶解析およびNMR分析によって達成され得る[4,5,米国特許出願公開第2004185506号(HEAVNER GEORGE A)]。しかしながら、これらの技術は、非常に困難かつ高価であり、それは、結晶解析には、構造が既知でなければならない抗体が多量に必要であり、NMR分析には、抗原の構造の知識が必要であるためである[2]。さらに、多くのタンパク質-タンパク質複合体は、NMRおよびX線分析には適していないことが証明されており、タンパク質-抗体およびペプチド-抗体の結晶を作るのはしばしば困難である[2,6]。
【0004】
あるいは、エピトープマッピングは、標識抗体が各ペプチド配列に結合したペプチドアレイを用いて達成され得る、組み合わせアプローチによって、実行され得る。タンパク質加水分解物からの未知の(標的)エピトープの存在下では、抗体が移動され、アレイの事後分析により、どの抗体が移動したかを同定することができ、そのため、ペプチド配列を決定することができる(国際公開第2001088538号、DUMAS DAVID P)。他の組み合わせアプローチとしては、タンパク質の予測結合領域すべてをカバーするようにデザインされたペプチドの大きな集合をスクリーニングすること、および免疫反応を引き出すペプチドを見つけることが含まれる(米国特許出願公開第2009226471号、BENAROYA RES INST AT VIRGINIA)。同様のアプローチでは、標的タンパク質に結合し得る、固定化抗体を使用する。溶液中のペプチドのライブラリーを次に固定化抗体に加え、いったん、固定化抗体に結合するペプチドを同定したら、その配列を標的タンパク質全体の配列と計算的に整列させる(国際公開第2004092741号、UNIV MONTANA STATE)。一般的に使用される他の実験方法としては、質量分析法と組み合わせた、タンパク質-抗体複合体のタンパク質分解およびファージディスプレイが含まれる[2,7]。潜在的なエピトープマッピングに対する既存の実験的アプローチすべてに関する問題は、利用可能でないかもしれない、または、品質および性能がマッピングに十分でないかもしれない、抗体が必要となることである。
【0005】
抗体-抗原間の相互作用を予測し、したがって、潜在的なエピトープを決定することを可能にする他の方法は、米国特許出願公開第2014100834号(MACROMOLTEK)に記載されるもののような、分子モデルおよびコンピュータシミュレーションに基づく。エピトープスクリーニングのための広範なインシリコ製品が最近出現しており[2]、これは、遺伝子プロファイルに基づいて抗原をスクリーニングするソフトウェア[8]およびB細胞エピトープデータベースに基づくタンパク質-タンパク質ドッキング方法[9,10]を、1構造に基づく予測ツール(one-structure-based prediction tools)[11]と共に含む。追加のアプローチは、全抗原(whole antigen)をスキャンし、最も可能性の高いエピトープ領域を予測し得る、ウェブに基づくツールを含む[12]。
【0006】
しかしながら、これらの方法は、常に正確なわけではなく、タンパク質構造に関する詳細な情報を必要とする。代替案として、分子インプリンティング法が、ペプチドの小さいライブラリーがタンパク質(クレアチンキナーゼ)のコンフォメーションエピトープであるかどうかを評価するのに使用されており、この方法は依然として、タンパク質に関する情報および候補となるエピトープ配列の予備知識を必要としてきた[13]。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】米国特許出願公開第2004185506号
【文献】国際公開第2001088538号
【文献】米国特許出願公開第2009226471号
【文献】国際公開第2004092741号
【文献】米国特許出願公開第2014100834号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、タンパク質標的上で、結合パートナーの結合部位またはエピトープ、例えば抗体またはその抗原結合断片を決定するのに使用され得る、改善された方法および材料を提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、タンパク質の特徴づけおよび分析のための方法、組成物、およびキットを提供する。
【0010】
よって、本発明の第1の態様では、タンパク質上で、結合パートナーの結合部位を決定するための方法が提供され、この方法は、
タンパク質を複数のモノマーと接触させ、モノマーを重合させて、タンパク質:ポリマー複合体を作るステップと、
複合体中のタンパク質を消化して、ペプチド:ポリマー複合体を生成するステップと、
ペプチド:ポリマー複合体を単離するステップと、必要に応じて、ペプチドの配列を決定するステップと、を含み、ペプチドは、結合パートナーの結合部位に対応する。
【0011】
有利には、第1の態様の方法は、結合部位候補であるペプチド配列の実験的同定のための抗体の利用可能性またはタンパク質構造に関する情報を必要としない。特徴づけおよび分析は、タンパク質表面上に露出されるアミノ酸配列に関連する情報を入手するためであってよい。導き出される情報は、抗体、アプタマー、アフィマー、小薬物分子、MIP、または他の天然もしくは合成レセプターなどの、結合パートナーの結合に適し得る、タンパク質上の結合部位の同定に有用である。これらの配列に関する情報は、分子インプリンティングおよび配列決定技術を用いて入手することができる。これらのアミノ酸配列に関する知識は、研究、診断、または治療適用のために、高親和性抗体または他の天然もしくは合成レセプターなどの結合パートナーを生成するのに使用され得る。
【0012】
本発明の方法を実施する、標的タンパク質と呼ばれ得る、タンパク質は、アミノ酸モノマー鎖またはペプチドを含む構成要素を含む任意の分子または組成物であってよい。タンパク質は、単一またはマルチドメインタンパク質であってよい。タンパク質は、核酸(DNAおよび/もしくはRNA)、補助因子、補欠分子族、補助基質、無機イオン、ビタミン、または糖などの他の構成要素と共に、複合体中にあってよい。タンパク質は、天然起源の標準アミノ酸、天然起源の非標準アミノ酸、または非天然起源のアミノ酸を含み得る。タンパク質は、翻訳後修飾、または合成修飾などの修飾を含み得る。タンパク質は、天然起源のタンパク質であってよく、または、自然界に見られないタンパク質であってもよい。タンパク質は、細胞表面上に露出したタンパク質、細胞外タンパク質、細胞内タンパク質、抗体、非免疫グロブリンタンパク質、糖タンパク質、リン酸化タンパク質、核タンパク質、リポタンパク質、グルコサミノグリカン、ムコタンパク質、合成タンパク質、またはタンパク質-DNAおよびタンパク質-糖複合体からなる群から選択され得る。タンパク質は、病理または病態のバイオマーカーであってよい。いくつかの実施形態では、2つまたは3つ以上のタンパク質が、混合物中で、または別々に使用され得る。他の実施形態は、2つまたは3つ以上のタンパク質のアレイを含み得る。
【0013】
好適な実施形態では、タンパク質は、タンパク質表面に露出された1つまたは複数の配列および露出されない埋め込み配列(buried sequence)を含む折り畳みタンパク質である。
【0014】
いくつかの実施形態では、タンパク質は、多糖、シリカ、有機もしくは無機ポリマー、金属、またはそれらの組み合わせを含む表面などの固体表面上で固定化され得る。例えば、固体表面は、ビーズ、磁気ビーズ、アレイ、導波管の表面、繊維、膜、毛管、または意図した適用に適した任意の他の表面の形態であってよい。固定化は、続く単離ステップ、例えば本明細書に開示するタンパク質:ポリマー複合体の単離を助けるためであってよい。
【0015】
決定される結合部位は、標的タンパク質の表面上に露出されるアミノ酸配列に対応し得る。結合部位は、抗体、アプタマー、アフィマー、小薬物分子、MIP、天然レセプター、合成レセプター、またはそれらの任意の組み合わせによって結合され得る、標的タンパク質の領域に対応し得る。結合部位は、エピトープ、例えば、抗体(すなわち、結合パートナー)が結合することができるエピトープ、またはB細胞と相互作用するエピトープであってよく、よって、この場合、方法は、エピトープマッピングの方法として説明され得る。結合部位は、結合部位が本発明の方法により同定されるのに、結合部位および/またはタンパク質の予備知識が必要ないので、新規な結合部位となり得る。
【0016】
結合パートナーは、標的タンパク質に結合することができる任意の分子または組成物であってよい。可能な結合パートナーは、抗体、アプタマー、アフィマー、小薬物分子、MIP、天然レセプター、合成レセプター、またはそれらの任意の組み合わせを含むが、これらに制限されない。
【0017】
本発明の方法は、標的タンパク質を複数のモノマーと接触させるステップを含む。複数のモノマーは、1種類のモノマー、またはさまざまな種類のモノマーの混合物であってよい。モノマーを重合すると、分子インプリントポリマー(MIP)が生成され得る。複数のモノマーまたはモノマー混合物は、分子インプリントポリマーの形成に適した任意の形態または組成物を呈することができる。接触させるステップは、分子インプリントポリマーの形成に適した、いかなる方法であっても、またはいかなる条件下であってもよい。複数のモノマーは、ビニルモノマー、アリルモノマー、アセチレン、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、クロロアクリレート、イタコネート、トリフルオロメチルアクリレート、アミノ酸の誘導体、ヌクレオシド、ヌクレオチド、炭水化物、またはそれらの任意の組み合わせの群から選択されたモノマーを含み得る。標的タンパク質は、複数のモノマーと接触させるときに、溶液中のものであるか、または固体表面上で固定化されたものであり得る。標的タンパク質を固定化するための固体表面は、本明細書に開示されるような任意の組成物または形態であってよい。
【0018】
複数のモノマーは、必要に応じて架橋モノマーを含み得る。架橋モノマーは、結果として得られるポリマーの構造を固定化するのに必要に応じて使用され、それによって、タンパク質標的の構造に結合したままとなる。ポリマーの合成に適した架橋剤の典型的な例としては、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジビニルベンゼン、メチレンビスアクリルアミド、エチレンビスアクリルアミド、およびN,N’-ビスアクリロイルピペラジンが含まれるが、これらに制限されない。架橋物質の機能は、二重結合を含む粒子もしくは前駆体ポリマー、または、機能性モノマーに結合し得る、複数の官能基が付着した粒子もしくはポリマーによって発揮され得る。当業者は、特定の系に適したモノマーおよび架橋剤を選択することができる。
【0019】
ここに開示する方法と共に使用されるのに適した、可能な濃度のモノマーおよびモノマーの組み合わせは広範に存在する。可能な範囲および部分的範囲が本明細書に開示されるが、当業者は、これらの範囲が単に指針であり、ここで特許請求する方法と共に使用するのに適した任意の複数のモノマーが適切であろうことを認識するであろう。例えば、複数のモノマーまたはモノマー混合物は、分子インプリントポリマーの形成に適した任意の形態または組成物を呈することができる。
【0020】
モノマーは、約0.01~80重量%、必要に応じて約0.1~80重量%の量で、重合混合物中に存在し得る。
【0021】
モノマー混合物は、水溶液中で、または適切な有機溶媒中で調製され得る。溶液または溶媒は、開始剤を含んでもよく、必要に応じて緩衝塩を含み得る。
【0022】
各種のモノマーの濃度は、反応混合物中の意図する最終濃度に応じて変化され得る。N-イソプロピルアクリルアミド(NIPAM)、メチレンビスアクリルアミド(MBAA)、tert-ブチルアクリルアミド、アクリル酸、または3-アミノプロピルメタクリレートについて説明される以下の濃度は、例えば、標的タンパク質を含む0.7mLの混合物との、10mLのモノマー混合物の組み合わせによって反応混合物を形成するのに使用され得、この例は、単に例示的なものであり、最終反応体積における許容可能な濃度を示すことを意図している。
【0023】
複数のモノマーは、NIPAMを含み得る。NIPAMは、0.001mg/mL~100mg/mL、0.01mg/mL~10mg/mL、0.05mg/mL~5mg/mL、または0.1mg/mL~1mg/mLで存在し得る。
【0024】
複数のモノマーは、メチレンビスアクリルアミド(MBAA)を含み得る。MBAAは、0.0001mg/mL~10mg/mL、0.001mg/mL~5mg/mL、0.005mg/mL~0.5mg/mL、または0.01mg/mL~0.1mg/mLで存在し得る。
【0025】
複数のモノマーは、tert-ブチルアクリルアミドを含み得る。tert-ブチルアクリルアミドは、0.001mg/mL~100mg/mL、0.01mg/mL~10mg/mL、0.05mg/mL~5mg/mL、または0.1mg/mL~1mg/mLで存在し得る。
【0026】
複数のモノマーは、アクリル酸またはメタクリル酸を含み得る。アクリル酸またはメタクリル酸は、0.001mg/mL~100mg/mLで存在し得る。
【0027】
複数のモノマーは、3-アミノプロピルメタクリレートを含み得る。3-アミノプロピルメタクリレートは、0.0001mg/mL~10mg/mL、0.001mg/mL~5mg/mL、0.005mg/mL~0.5mg/mL、または0.01mg/mL~0.1mg/mLで存在し得る。
【0028】
ある実施形態では、複数のモノマーは、リン酸緩衝食塩水(PBS)、ギ酸アンモニウム、またはアセテートを含む、溶液中にある。この混合物は、必要に応じて窒素でパージされ得る。窒素でのパージは、1分~10時間、2分~1時間、または約5分~20分であってよい。
【0029】
特定の実施形態では、複数のモノマーは、NIPAM、メチレンビスアクリルアミド(MBAA)、tert-ブチルアクリルアミド、アクリル酸、3-アミノプロピルメタクリレート、およびPBSを含む、脱酸素化モノマー混合物に含まれる。
【0030】
多くの可能な混合物およびモノマーの組み合わせが可能であり、本発明は、前述したものに制限されない。分子インプリントポリマーを形成するのに適切であろう、モノマーの任意の混合物、および濃度の任意の組み合わせは、本発明での使用に適しているであろう。
【0031】
いくつかの実施形態では、モノマー混合物は、好ましくは、ポリマーに組み込まれる磁性ナノ粒子を含有する。いくつかの実施形態では、標的タンパク質の存在下でのポリマーは、指定された固体表面上へのグラフティングによって形成される[14]。グラフティングは、任意の固体表面、例えば、多糖、シリカ、有機もしくは無機ポリマー、金属、またはそれらの組み合わせを含む表面への付着を含み得る。固体表面は、任意の形態、例えば、ビーズ、磁気ビーズ、アレイ、導波管の表面、繊維、膜、または毛管から選択され得る、固体表面の形態であってよい。
【0032】
別の実施形態では、標的タンパク質は、好ましくは、標的タンパク質への親和性を有する、事前形成されたポリマーと接触される。この場合、追加の重合は必要ない。事前形成されたポリマーは、異なるタンパク質、リガンド、またはタンパク質-タンパク質もしくはタンパク質-リガンド複合体の一部について形成されたMIPであってよい。リガンドは、小薬物分子、ペプチド、糖、タンパク質、または当技術分野で既知の他の標的であってよい。
【0033】
モノマーは、標的タンパク質とタンパク質:ポリマー複合体を作るように重合される。モノマーの重合は、化学的、熱的、または光学的に開始され得る。熱的開始は、熱を加えることであってよい。光学的開始は、光開始であってよい。光学的開始は、UVまたは可視光の使用であってよい。ポリマーは、フリーラジカル重合、リビング重合、イオン重合、または重縮合によって合成され得る。バルク重合、懸濁液およびエマルション中の重合(polymerisation in suspension and emulsion)、沈殿重合、リビング重合、グラフティング、または当技術分野の専門家に既知の任意の他の形態を含む、いくつかの異なる形態の重合が、本発明での使用に適している。合成されたポリマーの物理的形態は、固体の微粒子、層またはコーティング、粉末またはモノリス、微小粒子またはナノ粒子であってよい。
【0034】
モノマー混合物の最適な組成および重合反応条件は、タンパク質標的の天然構造を保護するものである。リビング重合のいくつかの例としては、イニファーター重合、窒素酸化物媒介性重合、原子移動ラジカル重合、および可逆的な付加-開裂連鎖移動重合が含まれるが、これらに制限されない。リビング重合の利点は、従来のラジカル重合とは対照的に、前者が、タンパク質と相互作用する大きな接触面積で、低速でのナノ粒子の生成を進める点である。
【0035】
重合反応を終了させ、ポリマーナノおよび微小粒子の形成を引き起こすための、ここに開示する方法と使用するのに適した反応条件は、(i)開始剤とモノマーとの化学量論比の使用;(ii)冷却反応またはUVもしくは他の照射の停止;(iii)例えば濾過もしくはクロマトグラフィーによる、成長ポリマー鎖とモノマーの接触解除;(iv)反応への阻害剤の添加;(v)希釈溶液中での重合の実施を含むが、これらに制限されない。
【0036】
従来のフリーラジカルを発生させる重合開始剤は、重合を開始させるために使用され得る。適切な開始剤の例としては、過酸化物、例えばOO-t-アミル-O-(2エチルヘキシル)モノペルオキシカーボネート、ジプロピルペルオキシジカーボネート、および過酸化ベンゾイル、ならびにアゾ化合物、例えばアゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’-アゾビス(イソブチルアミド)二水和物、および1,1’-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)が含まれる。開始剤の例としては、ジチオカルバミル基を有する光イニファーター、またはアゾ化合物が含まれる。適切な開始剤の他の例としては、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチルジエチレントリアミンと複合体形成したCu(I)Brを含む2-ブロモプロピオニトリル、Cu(I)Cl/PMDETAを含むポリスチレンブロモマクロ開始剤(polystyrene bromo macroinitiator);CuCl/ビピリジンを含むエチル2-ブロモイソブチレート;1,4-ビス(2,6-ジイソプロピルフェニル)アセナファテンジイミンニッケル(II)ジブロミド;テトラエチルチウラムジスルフィドと結合した2,2-ジメトキシ-2-フェニルエースフェノン;テトラフェニルビホスフィン;ジ-tert-ブチルペルオキシドなどの3級過酸化物;SmMe(CMe(THF);TiClと連結したスチレン系エポキシド;メチルスチレン4量体ジナトリウム;MoOCl-n-BuSn-EtOH;HCl/ZnCl;メチルp-トルエンスルホナート;2,10,15,20-テトラフェニルポルフィナトアルミニウムメチル;3-メチル-1,1-ジフェニルペンチルリチウム;THF中のブチルリチウム;モリブデンアルキリジン化合物;2官能性有機ランタノイド(III);Mo(CH-t-Bu)(NAr)(OCMe3)およびMo(CHCPhMe)(NAr)(OCMe(CF;HI/I;メチルアルミノキサンまたはフェニルボレートと結合したZr、TiおよびHf複合体;Pd、Ni、FeまたはCoのジイミド複合体;均一なTa、Ti、Mo、Wカルベン複合体;メタロセン型または非メタロセン型複合体から構成される希土類金属複合体;カチオン性モノシクロペンタジエニルジルコニウムアセトアミジナート複合体;銅媒介リビング重合用の開始剤として1つまたは2つの水酸基を有するエステル型フッ化テロマー;Yb[C(SiMeが含まれるが、これらに制限されない。
【0037】
開始剤は、モノマーの約0.01~20重量%、好ましくは0.05~15%、またはより好ましくはモノマーの0.1~10重量%の量で重合混合物中に存在し得る。開始剤は、好ましくは、モノマーの約0.2~5重量%の量で重合混合物中に存在し得る。
【0038】
特定の実施形態では、開始溶液が、複数のモノマーの重合を開始するのに使用され得る。この溶液は、TEMEDおよび/または過硫酸アンモニウム(APS)を含み得る。TEMEDは、開始溶液中、0.001μg/mL~1mg/mLの濃度であってよい。APSは、開始溶液中、0.1μg/μL~1000μg/μLの濃度であってよい。
【0039】
開始溶液は、PBSまたは他の緩衝塩を含み得る。緩衝剤の役割は、重合中にタンパク質標的の意図する構造を維持または制御することである。
【0040】
ポリマー生成物は、少なくとも100Da、500Da、または1000Daの質量を有する粒子を含み得る。ポリマー生成物は、少なくとも10kDa、50kDa、または100kDaの質量を有する粒子を含み得る。
【0041】
ポリマー生成物は、10nm~100μm、1μm~100μm、5μm~50μm、10μm~30μm、または15μm~25μmのサイズを有する粒子を含み得る。ポリマー生成物の好適な形態は、可溶性またはコロイド状の形態で存在し得る、500Da~20μmのサイズを有する粒子である。
【0042】
いくつかの実施形態では、ポリマー生成物は磁気コアを有し得る。いくつかの実施形態では、合成されたポリマーは、線形であるか、または架橋されている。いくつかの実施形態では、ポリマーは、標的タンパク質に共有結合している。
【0043】
ある実施形態では、方法は、タンパク質:ポリマー複合体中のタンパク質を消化してペプチド:ポリマー複合体を生成する前に、タンパク質:ポリマー複合体を単離するステップを必要に応じてさらに含み得る。
【0044】
この単離ステップは、反応混合物中のタンパク質:ポリマー複合体の純度または濃度の増加を伴い得る。あるいは、単離ステップは、タンパク質:ポリマー複合体を汚染物質から分離することを含み得る。いくつかの実施形態では、単離ステップは、1つまたは複数の洗浄ステップを含み得る。単離ステップは、タンパク質:ポリマー複合体を未反応のモノマーから、および/または遊離タンパク質(free protein)から分離することを含み得る。他の実施形態では、単離ステップが実行されないか、または、単離ステップは、タンパク質:ポリマー複合体を未反応のモノマーから、および/もしくは遊離タンパク質から分離することを含まない。
【0045】
いくつかの実施形態では、合成されたポリマーとのタンパク質の複合体は、限外濾過、超遠心分離、電気泳動、音波処理、クロマトグラフ分離、洗浄、尿素の添加、グアニジンによって、磁力の使用、または任意のそれらの組み合わせによって、任意の先行反応の未反応のモノマーおよび他の構成要素または生成物から分離される。未結合のモノマーからのポリマー-タンパク質複合体の分離を容易にするため、タンパク質またはポリマーは、固体支持体(マイクロアレイもしくはマルチウェルプレートなどの、ビーズもしくはマトリクスなど)(米国特許第6365418号、ZYOMYX INC)、および[15]または当技術分野で既知の任意の他の物質に結合され得る。結合は、共有結合または非共有結合であってよい。ポリマーまたはタンパク質を固体支持体に結合させる方法は、当技術分野で周知である。いくつかの実施形態では、分離ステップは必要ない。
【0046】
本発明の方法は、複合体中のタンパク質を消化してペプチド:ポリマー複合体を生成するステップを含む。消化は、その後の分析に適切なペプチド断片(例えばエピトープ)を生成し得、例えば、ペプチド断片は、その後の配列決定に適切となり得る。消化は、複合体を未反応のモノマーから分離して、またはその分離なしで、タンパク質:ポリマー複合体に対して実行され得る。消化は、部分消化であってよい。部分消化は、ポリマーに結合されたペプチドが消化されないようなものであってよい。部分消化は、ポリマーに結合されていないタンパク質の部分が、ポリマーとの複合体から分離されるようなものであってよい。消化ステップは、1つもしくは複数のタンパク質切断試薬の添加を含み得、またはタンパク質切断処理を含み得る。いくつかの実施形態では、消化は、化学的に、または酵素的に実行され得る。消化は、タンパク質分解を含み得、1つまたは複数のプロテアーゼなどの、1つまたは複数のタンパク質分解触媒によって媒介され得る。消化は、部分タンパク質分解であってよい。
【0047】
タンパク質切断試薬として使用され得るプロテアーゼの例としては、キモトリプシン、トリプシン、サーモリシン、V8プロテアーゼ、エンドプロテアーゼの第Xa因子プロテアーゼ、トロンビン、エンテロキナーゼ、V5プロテアーゼ、またはタバコエッチ病ウイルスプロテアーゼが含まれるが、これらに制限されない。タンパク質切断試薬は、ポリペプチドおよびペプチド結合を切断する化学物質または化合物などの化学的切断試薬であってよい。化学的切断試薬の非限定的な例としては、臭化シアンおよびヒドロキシルアミンが含まれる。なおさらなる実施形態では、ホスファターゼ(例えば、アルカリホスファターゼ、酸性ホスファターゼ、タンパク質セリンホスファターゼ、タンパク質チロシンホスファターゼ、タンパク質スレオニンホスファターゼなど)、リパーゼ、および他の酵素が、タンパク質切断試薬に加えて使用され得る。
【0048】
マイクロ波も、タンパク質切断を開始するのに使用され得る。いくつかの実施形態では、1つのタンパク質切断試薬を使用する。他の実施形態では、2種類以上のタンパク質切断試薬が、単一タンパク質(例えば、2または3種類以上のプロテアーゼまたは化学的切断試薬)に対して使用され、これは、前述した切断試薬または処理の任意の組み合わせを含み得る。
【0049】
消化ステップの形態および条件は、選択されたタンパク質切断試薬によって決まる。各タンパク質切断試薬に必要な反応条件は、当技術分野で既知である。温度およびインキュベーション時間は、当技術分野における標準的技術に従って調節され得る。
【0050】
方法は、ペプチド:ポリマー複合体を単離するステップを含む。この単離ステップは、反応混合物中のペプチド:ポリマー複合体の純度または濃度の増加を伴い得る。あるいは、単離ステップは、ペプチド:ポリマー複合体を汚染物質から分離することを含み得る。いくつかの実施形態では、単離ステップは、1つまたは複数の洗浄ステップを含み得る。単離ステップは、ペプチド:ポリマー複合体を、未結合のタンパク質、未結合のペプチド、または切断試薬から分離することを含み得る。単離ステップは、消化ステップの他の構成要素または生成物から分離することを含み得る。
【0051】
いくつかの実施形態では、ペプチド断片との合成されたポリマーの複合体は、限外濾過、超遠心分離、電気泳動、音波処理、クロマトグラフ分離、洗浄、尿素の添加、グアニジンによって、磁力の使用、または任意のそれらの組み合わせによって、未結合のペプチドおよび切断試薬ならびに消化ステップの他の構成要素または生成物から分離される。
【0052】
好適な実施形態では、方法は、ペプチド:ポリマー複合体の単離後に、結合ペプチドをペプチド:ポリマー複合体から放出するステップをさらに含み得る。放出ステップは、結合ペプチドをポリマーから溶出することを含み得る。結合ペプチドの放出方法の例としては、温度、pH、イオン強度、洗剤、または任意のそれらの組み合わせの変更など、従来の溶出条件を使用することが含まれる。必要に応じて、ペプチドは、利用されるその後の配列決定技術に応じて、その後の配列決定分析のために脱塩され得る。
【0053】
いくつかの実施形態では、分離ステップは必要ない。例えば、ペプチド:ポリマー複合体は、ペプチド配列の決定のステップにおいて直接使用され得る。他の実施形態では、放出されたペプチドは、配列決定ステップでの使用に適切となり得るか、または、配列決定ステップでの使用に適切となるように処理され得る。
【0054】
いくつかの実施形態では、遊離タンパク質は、タンパク質切断試薬で処理され、これにより、ペプチド断片が生成される。これらの断片は、合成されたポリマーと接触され、ポリマー-ポリペプチド複合体の形成を可能にする。未結合の断片は、限外濾過、超遠心分離、電気泳動、音波処理、クロマトグラフ分離、洗浄、尿素の添加、グアニジンによって、磁力の使用、または任意のそれらの組み合わせによって、ポリマーから除去される。結合ペプチドは、温度、pH、イオン強度、洗剤、または任意のそれらの組み合わせの変更など、従来の溶出条件を使用して、ポリマー-ペプチド複合体から放出され得る。一般的に、ペプチドは、その後の配列決定分析のために脱塩され得る。
【0055】
本発明の方法は、ペプチドを配列決定するステップを含み得る。この配列決定ステップは、ペプチド配列決定技術が当業者に周知であるので、任意の適切な方法によって実行され得る。いくつかの実施形態では、ペプチドは、エドマン分解、質量分析、マトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)、エレクトロスプレーイオン化(ESI)源、任意の大気圧イオン化技術もしくはタンデム質量分析(MS/MS)を用いた質量分析、任意の他の適切な方法、または任意のそれらの組み合わせによって、配列決定され得る。
【0056】
いくつかの実施形態では、ペプチド配列は、分離ステップおよび/または放出ステップなしで、ペプチドとのポリマーの複合体から直接導き出される。他の実施形態では、ペプチドの配列は、ペプチド:ポリマー複合体からの放出後に決定される。
【0057】
好適な実施形態では、タンパク質上で、結合パートナーの結合部位を決定するための方法が提供され、この方法は、
タンパク質を複数のモノマーと接触させ、モノマーを重合させて、タンパク質:ポリマー複合体を作るステップと、
複合体中のタンパク質を消化して、ペプチド:ポリマー複合体を生成するステップと、
ペプチド:ポリマー複合体を単離するステップと、を含む。単離されたペプチド:ポリマー複合体は、結合パートナーのためのタンパク質の結合部位を決定するのに適切な複合体である。
【0058】
最も好適な実施形態では、タンパク質上で、結合パートナーの結合部位を決定するための方法が提供され、この方法は、
タンパク質を複数のモノマーと接触させ、モノマーを重合させて、タンパク質:ポリマー複合体を作るステップと、
タンパク質:ポリマー複合体を単離するステップと、
複合体中のタンパク質を消化して、ペプチド:ポリマー複合体を生成するステップと、
ペプチド:ポリマー複合体を単離するステップと、
結合ペプチドをペプチド:ポリマー複合体から放出するステップと、
放出されたペプチドの配列決定をするステップと、を含み、放出されたペプチドは、結合パートナーの結合部位に対応する。
【0059】
本発明の第2の態様では、タンパク質上で結合パートナーの新規な結合部位を決定するのに適切な組成物を生成するための分子インプリントポリマー(MIP)の使用が提供され、必要に応じて、結合部位は、抗体が結合するエピトープである。
【0060】
第2の態様の使用は、好ましくは、
タンパク質:MIP複合体を形成するステップと、
複合体中のタンパク質を消化して、ペプチド:MIP複合体を生成するステップと、
ペプチド:MIP複合体を単離するステップと、を含む。
【0061】
ペプチドは、結合パートナーの結合部位に対応する。
【0062】
タンパク質は、溶液中のものであるか、または固体表面上で固定化されたものであり得る、本明細書に開示されるような任意のもの、例えば折り畳みタンパク質であってよい。固体表面は、本明細書に開示されるような任意の組成物または形態であってよい。例えば、多糖、シリカ、有機もしくは無機ポリマー、金属、またはそれらの組み合わせを含む表面から選択される。固体表面は、任意の形態、または、ビーズ、磁気ビーズ、アレイ、導波管の表面、繊維、膜、もしくは毛管から選択された形態であってよい。
【0063】
ある実施形態では、複合体は、事前形成されたMIPとタンパク質との間に形成され得る。事前形成されたポリマーは、異なるタンパク質、リガンド、またはタンパク質-タンパク質もしくはタンパク質-リガンド複合体の一部について形成されたMIPであってよい。リガンドは、小薬物分子、ペプチド、糖、タンパク質、または当技術分野で既知の他の標的であってよい。
【0064】
好適な実施形態では、タンパク質:MIP複合体は、タンパク質を複数のモノマーと接触させ、その後、モノマーの重合を開始することによって、形成される。複数のモノマーは、本明細書に開示されるような任意の組成物であってよく、好ましくは、架橋モノマーおよび/または磁性ナノ粒子を含み得る。
【0065】
開始方法、および開始のために必要とされる任意の試薬は、本明細書に開示されるような任意のものであってよい。例えば、モノマーの重合は、化学的に、熱的に、例えば熱の使用によって、または光学的に、例えばUVもしくは可視光の使用によって、開始され得る。
【0066】
ある実施形態では、タンパク質:MIP複合体は、消化ステップの前に単離され得る。単離方法は、本明細書に開示されるような任意のものであってよい。例えば、限外濾過、超遠心分離、電気泳動、音波処理、クロマトグラフ分離、洗浄、尿素の添加、グアニジンによるか、磁力の使用、または任意のそれらの組み合わせによる。
【0067】
ある実施形態では、タンパク質:MIP複合体中のタンパク質の消化は、複合体中のタンパク質の部分タンパク質分解を含み得、それによって、ポリマーに結合されていないタンパク質の部分が、ポリマーとの複合体から分離される。消化ステップ、および任意の必要な試薬は、本明細書に開示されるような任意の形態をとり得る。例えば、消化ステップは、プロテアーゼなどの、1つまたは複数のタンパク質切断試薬の使用を含み得る。
【0068】
ペプチド:MIP複合体は、消化ステップ後に単離される。単離方法は、本明細書に開示されるような任意のものであってよい。例えば、限外濾過、超遠心分離、電気泳動、音波処理、クロマトグラフ分離、洗浄、尿素の添加、グアニジンによるか、磁力の使用、または任意のそれらの組み合わせによる。
【0069】
ある実施形態では、結合ペプチドは、ペプチド:MIP複合体から放出され得る。この放出は、本明細書に開示されるような任意の方法または形態によるものであってよい。例えば、放出ステップは、温度、pH、イオン強度、洗剤、または任意のそれらの組み合わせの変更などの溶出条件を使用して、結合ペプチドを放出することを含み得る。
【0070】
ある実施形態では、ペプチド:MIPまたは放出されたペプチドは、結合ペプチドの配列を決定するためのステップで利用され得る。このステップは、本明細書に記載するような任意の配列決定方法を含み得る。例えば、配列決定ステップは、エドマン分解、質量分析、マトリックス支援レーザー脱離イオン化(MALDI)、エレクトロスプレーイオン化(ESI)源、大気圧イオン化技術もしくはタンデム質量分析(MS/MS)を用いた質量分析、または任意のそれらの組み合わせの使用を含み得る。
【0071】
好適な実施形態では、タンパク質上で、結合パートナーの新規な結合部位を決定するのに適切な組成物を生成するための分子インプリントポリマー(MIP)の使用が提供され、この使用は、
標的タンパク質を複数のモノマーと接触させ、モノマーの重合を開始して、タンパク質:MIP複合体を形成するステップと、
タンパク質:MIP複合体を単離するステップと、
複合体中のタンパク質を消化して、ペプチド:MIP複合体を生成するステップと、
ペプチド:MIP複合体を単離するステップと、
結合ペプチドをペプチド:MIP複合体から放出するステップと、必要に応じて、放出されたペプチドの配列決定をするステップと、を含み、放出されたペプチドは、結合パートナーの結合部位に対応する。
【0072】
特定の実施形態では、タンパク質上で、結合パートナーの新規な結合部位を決定するのに適切な組成物を生成するための事前形成された分子インプリントポリマー(MIP)の使用が提供され、この使用は、
標的タンパク質またはタンパク質-リガンド複合体を事前形成されたMIPと接触させ、タンパク質:MIPまたはタンパク質-リガンド-MIP複合体を形成するステップと、
複合体を単離するステップと、
複合体中のタンパク質を消化して、ペプチド:MIP複合体を生成するステップと、
ペプチド:MIP複合体を単離するステップと、
結合ペプチドをペプチド:MIP複合体から放出するステップと、必要に応じて、放出されたペプチドの配列決定をするステップと、を含み、放出されたペプチドは、結合パートナーの結合部位に対応する。
【0073】
本発明の第3の態様では、タンパク質上で、結合パートナーの結合部位を決定するためのキットが提供され、このキットは、
複数のモノマーであって、タンパク質:ポリマー複合体を作るために標的タンパク質に接触し、モノマーを重合させるのに適切である、複数のモノマーと、
1つまたは複数のタンパク質切断試薬と、を含む。
【0074】
別の実施形態では、タンパク質上で、結合パートナーの結合部位を決定するためのキットが提供され、このキットは、本開示の方法のいずれで使用されるのにも適切な構成要素を含む。
【0075】
例えば、キットは、ユーザが、本明細書に開示されるような、タンパク質上で、結合パートナーの結合部位を決定するための任意の方法を実行するのを可能にする、構成要素を含み得る。
【0076】
本発明のキットは、好ましくは、タンパク質:ポリマー複合体を作るために標的タンパク質に接触し、モノマーを重合させるのに適切なモノマー混合物を含む。モノマー混合物は、1種類のモノマー、2種類もしくは3種類以上のモノマー、架橋モノマー、または任意のそれらの組み合わせを含み得る。モノマー混合物は、本明細書に開示される複数のモノマーのうちの任意のものを含み得る。
【0077】
必要に応じて、モノマー混合物は、磁性ナノ粒子を含み得るか、または磁性ナノ粒子は、キットの別個の構成要素であってよい。モノマー混合物は、標的タンパク質との複合体において分子インプリントポリマーを形成するための適切な混合物であってよい。複数のモノマーは、使用前に1つまたは複数の溶媒、溶液、または緩衝剤と組み合わせられるように、安定した形態で供給され得る。1つまたは複数の溶媒、溶液、または緩衝剤は、キットに含まれてもよく、あるいは、キットの一部を形成しなくてもよい。
【0078】
必要に応じて、モノマー混合物は、重合を開始するための1つもしくは複数の開始剤を含み得、または、1つもしくは複数の開始剤は、キットの別個の構成要素を形成し得る。1つまたは複数の開始剤は、本明細書に開示される、任意の開始剤または開始剤の混合物であってよい。開始剤は、使用前に1つまたは複数の溶媒、溶液、または緩衝剤と組み合わせられるように、安定した形態で供給され得る。1つまたは複数の溶媒、溶液、または緩衝剤は、キットに含まれてもよく、あるいは、キットの一部を形成しなくてもよい。
【0079】
キットは、必要に応じて、標的タンパク質の固定化に適切な固体表面を含む材料を含み得る。固体表面は、本明細書に開示されるような任意の組成物であってよい。例えば、多糖、シリカ、有機もしくは無機ポリマー、金属、またはそれらの組み合わせを含む表面から選択される。固体表面は、本明細書に開示されるような任意の形態であってよい。例えば、ビーズ、磁気ビーズ、アレイ、導波管の表面、繊維、膜、もしくは毛管から選択された形態である。
【0080】
本発明のキットは、必要に応じて、1つまたは複数のタンパク質切断試薬を含み得る。タンパク質切断試薬は、本明細書に開示されるタンパク質切断試薬、例えば、1つもしくは複数の酵素または1つもしくは複数の化学的切断試薬のうちのいずれかであってよい。1つもしくは複数の酵素は、プロテアーゼ、例えばトリプシンであってよい。
【0081】
タンパク質切断試薬は、1つもしくは複数の適切な緩衝剤、溶媒、または溶液を含み得る。1つもしくは複数の溶媒、溶液、または緩衝剤は、タンパク質切断試薬のその他の構成要素とは別個であってよく、例えば、酵素および適切な緩衝剤は、キットの別個の構成要素を形成し得る。あるいは、1つもしくは複数の溶媒、溶液、または緩衝剤は、キットと共に供給されなくてもよい。
【0082】
キットは、必要に応じて、単離または精製のための材料をさらに含み得る。キットは、タンパク質:ポリマー複合体の単離での使用のため、または、ペプチド:ポリマー複合体の単離での使用のための材料を含み得る。キットは、必要に応じて、限外濾過および/または遠心分離のための材料を含み得る。例えば、キットは、1つまたは複数のフィルタまたは遠心分離フィルタ(例えば、適切な濾過膜を備えた遠心分離カートリッジ)を含み得る。1つまたは複数のフィルタは、20kDa~1μmの遠心分離フィルタ、または好ましくは50kDaの遠心分離フィルタであってよい。キットは、カラム、例えば、組成物の精製もしくは脱塩に使用されるカラム、または分析カラムを含み得る。
【0083】
キットは、必要に応じて、組成物の磁気分離もしくは組成物の磁気精製に適した磁石および/または容器を含み得る。
【0084】
キットは、本発明の方法で使用される緩衝剤または溶液を含み得る。例えば、キットは、タンパク質:ポリマー複合体を作るために、標的タンパク質を複数のモノマーと接触させ、モノマーを重合させるのに適切な条件を形成するのに適した、1つまたは複数の溶液または緩衝剤を含み得る。キットは、ペプチド:ポリマー複合体を生成するために、タンパク質:ポリマー複合体中のタンパク質の消化を実行するのに適切な1つまたは複数の溶液または緩衝剤を含み得る。キットは、タンパク質:ポリマー複合体を単離させるのに適切な1つまたは複数の溶液または緩衝剤を含み得る。キットは、ペプチド:ポリマー複合体を単離させるのに適切な1つまたは複数の溶液または緩衝剤を含み得る。キットは、ペプチド:ポリマー複合体からペプチドを溶出させるのに適切な1つまたは複数の溶液または緩衝剤を含み得る。キットは、その後の配列決定のために放出されたペプチドまたはペプチド:ポリマー複合体を調製するのに適切な1つまたは複数の溶液または緩衝剤を含み得る。
【0085】
溶液または緩衝剤のうちの1つまたは複数は、アンモニウム、およびギ酸など、タンパク質標的の意図する構造を維持し、ペプチド配列を妨げないのに有用な塩を含むか、それらから本質的になるか、またはそれらからなることができる。溶液または緩衝剤のうちの1つまたは複数は、PBS、ギ酸アンモニウム、またはアセテートを含むか、それから本質的になるか、またはそれからなることができる。溶液または緩衝剤のうちの1つまたは複数は、水、例えば超純水、および/またはLC-MSグレードの水を含むか、それから本質的になるか、またはそれからなることができる。溶液または緩衝剤のうちの1つまたは複数は、ギ酸を含み得、ギ酸は、0.01%~1%、0.05%~0.5%、または好ましくは約0.1%の濃度であってよい。ギ酸緩衝剤のうちの1つまたは複数は、LC-MSグレードの水を含み得る。ギ酸緩衝剤のうちの1つまたは複数は、アセトニトリルを含み得る。
【0086】
いくつかの実施形態では、キットは、本明細書に開示される本発明の方法のいずれかによるキット構成要素の使用のための取扱説明書を含み得る。キットは、適切な包装に入っていてよい。適切な包装としては、バイアル、ビン、ジャー、可撓性の包装(例えば、密封されたマイラーまたはプラスチックバッグ)などが含まれるが、これらに制限されない。いくつかの実施形態では、キットは、容器と、容器上の、または容器と関連付けられた、ラベルまたはパッケージインサートを含む。キットは、本明細書に開示される方法ステップのいずれかのために反応器として使用されるのに適切な1つまたは複数の容器を含み得る。
【0087】
好適な実施形態では、キットは、
複数のモノマーであって、タンパク質:ポリマー複合体を作るために標的タンパク質に接触し、モノマーを重合させるのに適切である、複数のモノマーと、
重合を開始させるのに適切な開始剤と、
1つまたは複数の酵素を含む、1つまたは複数のタンパク質切断試薬と、
単離ステップで使用されるのに適切な1つまたは複数のカートリッジと、を含み得る。
【0088】
キットは、必要に応じて、1つまたは複数の緩衝剤をさらに含み得る。
【0089】
キットは、必要に応じて、ラベルおよび使用説明書をさらに含み得る。
【0090】
本発明の第4の態様では、ペプチド配列決定から導き出された情報を用いて設計される組成物および製品が提供される。
【0091】
いったん潜在的な結合部位が同定されたら、結合パートナーは、既知の技術を用いて設計され生成され得る。例えば、本発明の方法は、潜在的な抗体の結合に適切なエピトープの同定をもたらし得、この部位への抗体は、ルーチン手技を用いて生成され得る。あるいは、同定された結合部位に結合するMIPが生成され得る。標的タンパク質は、医学関連タンパク質であってよく、よって、新たに設計された結合パートナーは、薬剤での使用に関連し得る。
【0092】
一実施形態では、同定されたペプチド配列は、免疫原、例えば4~20のアミノ酸を含む免疫原を設計するのに使用される。いくつかの実施形態では、同定されたペプチド配列は、抗体(例えば、ヒト、ヒト化、マウス、ウサギ、キメラなど)を生成するのに使用される。抗体は、例えば、ハイブリドーマによる生成、組み換え生成、または動物の使用を含む、当技術分野で既知のいくつかの方法によって、生成され得る。免疫原は、当技術分野で周知の方法を用いて、化学合成によって生成され得る。いくつかの実施形態では、ペプチドは、MIP、アプタマー、アフィマー、または他の天然もしくは合成レセプターを生成するのに使用される。本発明のいくつかの実施形態では、ペプチド配列に関する情報またはペプチド配列自体が、限定するものではないが、診断および治療適用、個別化医療、撮像、薬物送達、ワクチン開発、またはプロテオミクス研究に使用される。
【0093】
本明細書に記載する特徴はすべて(任意の添付の特許請求の範囲、要約、および図面も含む)および/またはそうして開示される任意の方法もしくはプロセスのステップすべては、そのような特徴および/またはステップの少なくともいくつかが互いに排他的となる組み合わせを除き、任意の組み合わせで、前述した態様のうちのいずれとも組み合わせられ得る。
【0094】
本発明をより良く理解するため、また、本発明の実施形態がいかにして実施され得るかを示すため、一例として、添付図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0095】
図1】本発明の方法の実施形態の概略表示を示す。
【発明を実施するための形態】
【0096】
図示する実施形態は、タンパク質表面上に露出されるペプチド配列を特定するための分子インプリンティングおよび質量分析法を用いる。
【実施例
【0097】
本発明について、特に、以下の非限定的な実施例、および図1を参照して、さらに説明する。
【0098】
[実施例1]
分子インプリントポリマーを用いたエピトープマッピング
図1を参照すると、タンパク質またはポリペプチドなどの任意のタンパク質性物質であってよい、抗原2が示されている。抗原2は、2つのエピトープ4、6を有し、これらは、内側領域14の表面上に露出され、抗体、アプタマー、アフィマー、小薬物分子、MIP、または他の天然もしくは合成レセプターなどの、結合パートナーの結合部位として方法で同定しようとするのは、これらのエピトープ4、6である。これらのエピトープ4、6の配列情報は、分子インプリンティングおよび配列決定技術を用いて得ることができる。これらのアミノ酸配列に関する知識は、研究、診断、または治療適用のため、高親和性抗体、または他の天然もしくは合成レセプターなどの結合パートナーを生成するためにその後使用され得る。
【0099】
方法の一実施形態では、抗原2は、複数のモノマーと接触させられ、これらのモノマーは、その後、重合されて、分子インプリントポリマー(MIP)ナノ粒子8を作り、これは、エピトープ4と複合体形成され、それによって、エピトープ6が露出される(図1の上部を参照)。結果として得られる複合体は、MIPナノ粒子8として示されている。同じ反応器において、抗原2はまた、複数のモノマーと接触させられ、これらのモノマーは、その後、重合されて、分子インプリントポリマー(MIP)ナノ粒子10を作り、これは、エピトープ6と複合体形成され、それによって、エピトープ4が露出される(図1の下部を参照)。結果として得られる複合体は、MIPナノ粒子10として示されている。
【0100】
2つのMIPナノ粒子8、10が作られた後、抗原2は、酵素で消化され、酵素は、内側領域14およびエピトープ6を消化して、MIPナノ粒子8と複合体形成されたエピトープ4のみを残す(図1の上部を参照)か、または内側領域14およびエピトープ4を消化して、MIPナノ粒子10と複合体形成されたエピトープ6のみを残す(図1の下部を参照)。エピトープ:MIP複合体8、10は次に、質量分析法を用いて分析され、エピトープ4およびエピトープ6の配列を決定することができる。
【0101】
[実施例2]
AChEのエピトープマッピング
実施例1に記載する方法を証明するため、タンパク質表面上におけるペプチドエピトープ配列を同定するための標的は、デンキウナギからのアセチルコリンエステラーゼ(AChE)酵素(Sigma、C-3389)とした。4.4mgのAChEを2mLのPBSに溶解させた。0.7mLのサンプルを、10mLの脱酸素化モノマー混合物(19.5mgのNIPAM、3mgのメチレンビスアクリルアミド(MBAA)、15mgのtert-ブチルアクリルアミド、1mLのHO中にアクリル酸22μLの溶液50μL、および50mLのリン酸緩衝食塩水(PBS)に溶解させ窒素で20分間パージした3-アミノプロピルメタクリレート3mg)と混合し、12mgの過硫酸アンモニウム(APS)と6μLのTEMEDを400μLのPBSに溶解させて新たに調製した溶液を100μL添加することによって重合を開始した。重合は、室温(20℃)で1時間実行した。未反応の官能性モノマーおよび低親和性粒子を除去するために、重合したサンプルを、30分間、3500rpmで50kDaの遠心分離フィルタを通して濾過した。10mLのPBSを添加し、10分間インキュベートし、前述したように、遠心分離フィルタを通過させた。
【0102】
タンパク質に結合したMIPナノ粒子は、0.5mgのトリプシン(ウシ膵臓、Sigma、T9201)を含有する5mLのPBS中で再構成し、室温で36時間インキュベートした。消化されたAChEおよびトリプシンの遊離断片は、50kDaの遠心分離カートリッジを用いて、15分間3500rpmでサンプルを遠心分離した後、PBS5mLで2回の洗浄を行うことで、除去した。MIPに結合したペプチドは、1mLの湯を2回用いてポリマーから分離し、凍結乾燥させて、0.1%のギ酸中で再構成させた。ペプチドは、最初、Waters 2G-V/M Symmetry C18トラップカラム(180μm×20mm、5μm)上に装填され、Waters Acquity HSS T3分析UPLCカラム(75μm×250mm、1.8μm)上へ溶出させる前に、ペプチドを脱塩し、ペプチドにクロマトグラフィーの焦点を合わせる。単一のポンプトラップ(Single pump trapping)を、3分間、5μL/分の流速で99.9%の溶媒Aおよび0.1%の溶媒Bと共に使用した。溶媒Aは、0.1%のギ酸を含有するLC-MSグレードの水であり、溶媒Bは、0.1%のギ酸を含有するアセトニトリルであった。
【0103】
分析カラムでは、流速は、0.3μL/分に設定し、温度は40℃に維持した。50分のランタイム勾配溶出は、ペプチドがトラップカラムから溶出されるにつれて、開始した。以下の勾配を使用した:0分-3% B、30分-40% B、32分-85% B、40分-85% B、41分-3% B。NanoAcquity UPLCを、Waters Synapt G2 HDMS質量分析計に連結した。この器具は、陽性エレクトロスプレーイオン化(ESI)モードで動作させた。キャピラリー電圧は、2.4kVに設定し、コーン電圧は30Vに設定した。PicoTipエミッタ(New Objective、米国、内径10μm)を、ナノステージプローブ(nanostage probe)のために使用した。ヘリウムガス流180mL/分およびイオン移動度セパレータの窒素ガス流90mL/分を、2.5mbarの圧力で使用した。IMS波速度は650m/秒に設定し、IMS波高は40Vに設定した。
【0104】
HDMSEの取得中、低衝突で誘発される分離(CID)エネルギー4Vを、移動イオンガイド全体に印加した。高いCIDエネルギーを取得するため、20~40Vのランプを適用した。アルゴンをCIDガスとして使用した。Locksprayは、785.8427m/zの[Glu1]-フィブリノペプチド(GFP)を使用してクロマトグラフの実行中にわたり、質量精度を提供した。データは、MassLynx 4.1を使用して取得した。すべての生データは、ProteinLynx Global SERVER(PLGS)(Waters Corporation、米国マサチューセッツ州ミルフォード)を用いて処理した。PLGSは、アライメント、ピークピック、ペプチドおよびタンパク質同定、ならびに限られた上流統計のためにデータを組み立てるのに使用した。データは、Uniprotのデンキウナギデータベース(2016年12月ダウンロード)に対してサーチした。
【0105】
表1は、分子インプリンティングおよび質量分析法を用いて見られたI-TASSERモデル[16]において最も多い(≧40%のピーク強度)ペプチド配列を示す。ここで同定された配列は、免疫エピトープデータベースおよび分析リソース(IEDB)のサーチツールhttp://www.iedb.org[17]を用いて発見されたものと一致する。インプリント方法により、3つの既知のエピトープのうち2つを正しく同定した。4つの他の配列は、アセチルコリンエステラーゼのエピトープとして以前に同定されていなかった。
【0106】
表1 分子インプリンティングおよび質量分析法を用いて見られたI-TASSERモデルにおいて最も多い(≧40%のピーク強度)ペプチド配列ならびに免疫エピトープデータベースおよび分析リソース(IEDB)を用いて発見されたペプチド配列
【0107】
【表1】
【0108】
[実施例3]
磁気ビーズを用いたAChEのエピトープマッピング
19.5mgのNIPAM、3mgのメチレンビスアクリルアミド(MBAA)、15mgのtert-ブチルアクリルアミド、HO1mL中にアクリル酸22μLの溶液50μL、3mgの3-アミノプロピルメタクリレートを、50mLのリン酸緩衝食塩水(PBS)に溶解させ、窒素で20分間パージした。重合前、3-(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレートで修飾した、10mgの酸化鉄ナノ粒子(10~30nm直径)を、10mLのモノマー混合物に添加し、窒素で5分間パージした。5mgのAChE(Sigma、C-3389)を、10mLのモノマー混合物中で可溶化し、窒素で5分間パージした。重合は、12mgの過硫酸アンモニウム(APS)と6μLのTEMEDを400μLのPBS中に溶解させた、新たに調製した溶液100μLを添加することによって開始した。重合は、室温(20℃)で1時間実行した。
【0109】
磁石を用いて磁性材料を集め、10mLのPBSで3回洗浄した。集められた、AChEが結合した磁性材料を、1mgのトリプシン(ウシ膵臓、Sigma、T9201)のPBS溶液10mLを添加し、室温(20℃)で3日間インキュベートすることによって処理した。ペプチドに結合した磁性粒子は、磁石を用いて集め、10mLの冷水で3回洗浄した。特異ペプチドを、1mLの湯(90℃)を3回用いて磁性粒子から溶出させた。溶出したペプチドは、実施例1に記載するように配列決定した。
【0110】
[実施例4]
分子インプリンティングによって同定したAChEエピトープの配列の分析
デンキウナギ(Ee)AChE配列のうち4つのみ:200-217 LALQWVQDNIHFFGGNPK(配列番号:1)、218-243 QVTIFGESAGAASVGMHLLSPDSRPK(配列番号:3)、313-320 FRFSFVPV(配列番号:2)、および526-532 YWANFAR(配列番号:9)が、ヒト(h)AChEとのマッチを有する。これらの配列の一部が、抗AChE抗体の既知のエピトープである[18~20]。
【0111】
以下の配列:209-215(hAChE)LALQWVQ(配列番号:10)、231-247(hAChE)FGESAGAASVGMHLLSP(配列番号:11)、326-333(hAChE)FRFSFVPV(配列番号:7)、および526-532(hAChE)YWANFAR(配列番号:9)が、EeAChEおよびhAChEの両方で同定される。
【0112】
表2 MIPで同定されたペプチド配列、および既知のエピトープとそれらの相関性
【0113】
【表2】
【0114】
[実施例5]
AChEについて同定されたエピトープのMIPナノ粒子の合成および特徴づけ
まず、2つのグリシン残基および末端システインからなるリンカーを含む対応するペプチドを、テンプレートとして使用するために合成し、アミン誘導体化ガラスビーズの表面上に固定化した。Canfarotta他[21]が記載する固相アプローチは、MIPナノ粒子合成に適していた。AChEの各エピトープに対してインプリントされたナノMIPの親和性は、表面プラズモン共鳴(SPR)装置(MP-SPR Navi 220A NAALI)を用いて評価した。これらの実験では、MIPナノ粒子は、センサー表面上に共有結合で固定化し、動的滴定(kinetic titration)を実行し、注入ごとにタンパク質の濃度を上昇させた。すべてのMIPは、AChEに対して優れた親和性を示し、K値は低ナノモル範囲であった(表3)。重要なことに、主に変性AChEに存在するエピトープのために合成されたMIPナノ粒子は、天然のAChEに結合することができた(表3)。
【0115】
表3 AChEについて同定されたエピトープを用いて合成したMIPナノ粒子の親和性
【0116】
【表3】
【0117】
結論
本発明の利点は、タンパク質、タンパク質構造、または任意の候補結合部位に関する予備知識なしで、結合部位であるペプチド配列を実験的に決定する能力にある。よって、方法は、完全に新規な結合部位を同定するのに使用され得る。さらに、本発明は、複雑さ、費用、および/または必要な時間により利用できないか、または生成するのが困難となり得る、抗体などの複合体試薬の使用を必要としない。
【0118】
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図1
【配列表】
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