(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-27
(45)【発行日】2022-07-05
(54)【発明の名称】アミド及びニトリル化合物並びにその生成及び使用方法
(51)【国際特許分類】
C07C 231/12 20060101AFI20220628BHJP
C07C 255/08 20060101ALI20220628BHJP
C07C 233/09 20060101ALI20220628BHJP
C07C 253/20 20060101ALI20220628BHJP
C07C 231/10 20060101ALI20220628BHJP
C07B 61/00 20060101ALN20220628BHJP
【FI】
C07C231/12
C07C255/08
C07C233/09 B
C07C253/20
C07C231/10
C07C233/09
C07B61/00 300
(21)【出願番号】P 2020513756
(86)(22)【出願日】2018-09-07
(86)【国際出願番号】 US2018049890
(87)【国際公開番号】W WO2019051184
(87)【国際公開日】2019-03-14
【審査請求日】2020-04-27
(32)【優先日】2017-09-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2018-06-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511046391
【氏名又は名称】ノボマー, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】リー,ハン
(72)【発明者】
【氏名】ウィルソン,ボブ
(72)【発明者】
【氏名】リウ,イン
(72)【発明者】
【氏名】ポクロフスキー,コンスタンティン
(72)【発明者】
【氏名】マクレナン,イアン
(72)【発明者】
【氏名】スクラジ,サデシュ・エイチ
【審査官】小路 杏
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第02375005(US,A)
【文献】国際公開第2003/018540(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C
CAplus/REGISTRY/CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(3-I)の化合物及び/若しくは式(3)の化合物:
【化1】
【化2】
(式中、R
1は、H若しくはアルキルである)
又はその幾何異性体の生成方法であって、
式(1)の化合物を、初めにアンモニアと組み合わせて反応させ、次いで脱水剤と反応させて、前記式(3-I)の化合物及び/若しくは前記式(3)の化合物、又はそれらの幾何異性体を、中間体を単離することなく生成するステップを含み、
前記式(1)の化合物は、
【化3】
(式中、R
1は、式(3-I)及び(3)について上記で定義した通りである)
であり、
前記脱水剤は、五酸化リン、有機リン化合物、カルボジイミド化合物、トリアジン化合物、有機ケイ素化合物、混合酸化物、遷移金属錯体若しくはアルミニウム錯体、又はそれらの任意の組合せを含む;或いは
前記脱水剤は、固体金属酸化物、固体酸、酸、弱酸、強酸、イオン交換樹脂、アルミノケイ酸塩、又はそれらの任意の組み合わせを含む、方法。
【請求項2】
R
1がHである、又は
R
1がアルキルである、又は
R
1がメチル若しくはエチルである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
脱水剤が、ハイドロタルサイトの固体担体をさらに含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
気相の式(2)の化合物を、脱水剤を含む加熱された反応器に通すことにより、前記式(2)の化合物が脱水して式(3-1)の化合物及び/又は式(3)の化合物を生成する、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法であって、
前記式(2)の化合物が、
【化4】
(式中、R
1は、H又はアルキルである)
である、方法。
【請求項5】
式(1)の化合物及びアンモニアを反応器内で組み合わせて、式(2)の化合物及び過剰のアンモニアを含む溶液を、第1の反応器に生成するステップ、並びに、中間体を単離することなく、前記溶液と触媒を組み合わせて、式(3-I)の化合物及び/若しくは式(3)の化合物、又はそれらの幾何異性体(場合に応じて)を、50%を超える選択性で、第2の反応器に形成するステップを含む方法であって、
前記式(1)の化合物は、
【化5】
であり、
前記式(2)の化合物は、
【化6】
であり、
前記式(3-I)の化合物は、
【化7】
であり、
前記式(3)の化合物は、
【化8】
である、
(式中、R
1は、H又はアルキルである)
方法。
【請求項6】
前記第1又は第2の反応器の温度が、式(2)の化合物、式(3-I)の化合物及び/若しくは式(3)の化合物、又はそれらの幾何異性体(場合に応じて)を、50%を超える選択性で生成するのに適した平均温度に維持される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記触媒が、金属酸化物、塩基性ゼオライト、アルカリ金属交換ゼオライト、塩基修飾アルミナ、又は固体「超塩基」を含む、不均一触媒床である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
式(2)の化合物が、無水で生成される、請求項
4~
7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
式(3-I)の化合物がアクリルアミドであり、式(3)の化合物がアクリロニトリルである、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
請求項9の方法に従ってアクリルアミドを生成するステップと、
前記アクリルアミドを重合させてポリアクリルアミドを生成するステップと
を含む、ポリアクリルアミドの生成方法。
【請求項11】
請求項9の方法に従ってアクリロニトリルを生成するステップと、
前記アクリロニトリルを重合させてポリアクリロニトリルを生成するステップと
を含む、ポリアクリロニトリルの生成方法。
【請求項12】
連続撹拌槽反応器を含むシステムであって、
前記連続撹拌槽反応器は、
式(1)の化合物:
【化9】
(式中、R
1は、H又はアルキルである)
を受容するように構成された第1の入口と;
アンモニアを受容するように構成された第2の入口であって、
前記反応器が、前記式(1)の化合物を前記アンモニアに添加して、前記アンモニアが過剰に存在するような式(1)の化合物に対する前記アンモニアの比を達成するように構成され、
前記反応器が、温度を維持するのに適した速度で式(1)の化合物を前記アンモニアに添加するように構成され、
前記反応器が、液体形態の前記アンモニア及び前記式(1)の化合物を受容するように構成される、第2の入口と;
前記反応器内の温度を一定に保つように構成されたジャケットと;
過剰なアンモニアを前記反応器から放出するように構成されたベントと;
前記式(1)の化合物及び前記アンモニアから生成された式(2):
【化10】
(式中、R
1は、式(1)について上記で定義された通りである)
の化合物を含む生成物ストリームを放出するように構成された出口と;並びに
式(3-I)の化合物及び/若しくは式(3)の化合物:
【化11】
【化12】
(式中、R
1は上記で定義したとおりである)
又はその幾何異性体を生成するための触媒を含む、固定床不均一反応器と;
を備える、システム。
【請求項13】
反応器を含むシステムであって、
前記反応器は、
アンモニア及び式(1)の化合物を受容するように構成された入口であって、前記アンモニアは気体状であり、前記式(1)の化合物は液体状であり、
前記式(1)の化合物は、
【化13】
(式中、R
1は、H又はアルキルである)である、入口と;
不均一触媒床であって、
前記反応器が、前記アンモニア及び前記式(1)の化合物を前記不均一触媒床に同時供給するように構成され、
前記反応器が、前記アンモニア及び前記式(1)の化合物の流速を別々に制御するように構成され、
前記反応器が、前記式(1)の化合物を前記アンモニアに添加して、前記アンモニアが過剰に存在するような式(1)の化合物に対する前記アンモニアの比を達成するように構成される、不均一触媒床と;
前記反応器内の温度を一定に維持するように構成されたジャケットと;
過剰なアンモニアを前記反応器から放出するように構成されたベントと;
前記式(1)の化合物及び前記アンモニアから生成された式(2):
【化14】
(式中、R
1は、式(1)について上記で定義された通りである)
の化合物を含む生成物ストリームを放出するように構成された出口と;並びに
式(3-I)の化合物及び/若しくは式(3)の化合物:
【化15】
【化16】
(式中、R
1は上記で定義したとおりである)
又はその幾何異性体を生成するための触媒を含む、固定床不均一反応器と;
を備える、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
<関連出願の相互参照>
本出願は、2017年9月9日に出願された米国仮特許出願第62/556,355号、及び2018年6月27日に出願された米国仮特許出願第62/690,783号の優先権を主張し、これらはそれぞれ参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、アミド生成物及び/又はニトリル生成物の生成に関し、より詳細には、少なくともエポキシド、ベータラクトン及び/又はベータヒドロキシアミドからの生成に関する。
【背景技術】
【0003】
アミド及びニトリル等の窒素含有化合物は、様々な商業及び産業用途に使用され得る貴重な化合物である。例えば、アクリロニトリルは、ポリマー及びモノマー前駆体の生成における出発物質として使用され得る。アクリロニトリルの工業生産のための様々な方法が当技術分野で知られている。例えば、アクリロニトリルは、プロピレンの触媒的アンモ酸化により調製され得るが、この場合、プロピレン、アンモニア及び空気は、高温及び高圧で触媒と接触する。しかしながら、この工程では一般に、厳しい反応条件及び高価な試薬を使用する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、部分的又は完全に再生可能資源からの、ある特定のニトリルを作製するための前駆体及びニトリルから作製される誘導体を含むニトリルの工業生産のためのシステム及び方法、並びに当技術分野において望ましい他の化合物を生成するためのシステム及び方法を含むそのような化合物の工業生産のためのシステム及び方法を提供することにより、従来技術の問題を解決する。
【0005】
本明細書では、アミド生成物及び/又はニトリル生成物を生成するための方法及びシステムが提供される。有利には、提供される特定の好ましい方法及びシステムは、コスト削減及び環境への害の低減を伴ってニトリル及びアミドを生成するための従来の方法及びシステムのバイオベースの代替策である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の好ましい実施形態は、エポキシド及び/又はベータラクトンからアミド生成物及び/又はニトリル生成物を生成するためのシステム及び方法に関する。特定の好ましい実施形態において、本発明のシステム及び方法は、バイオベースのエポキシド及び/又はバイオベースのベータラクトンからアミド生成物及び/又はニトリル生成物を生成し得る。特定の実施形態において、システム及び方法は、好ましいアミド生成物又はニトリル生成物を1種以上の他の生成物よりも高い収率で選択的に生成するように修正され得る。有利には、本発明のシステム及び方法を従来のシステム及び工程に統合することによって、多くの市販製品を生産することによる環境への影響を低減することができる。
【0007】
例えば、いくつかの態様では、式(3-I)のアミド化合物及び/若しくは式(3)のニトリル化合物
【0008】
【0009】
【化2】
(式中、R
1は、H又はアルキルである)又はその異性体の生成方法が提供され、
この方法は、
式(2)のアミド化合物を脱水剤と組み合わせて、式(3-I)のニトリル化合物及び/若しくは式(3)のアミド化合物、又はそれらの異性体を生成するステップを含み、
式(2)のアミド化合物は、
【0010】
【化3】
(式中、R
1は、式(3-I)及び式(3)について上記で定義した通りである)である。
【0011】
上記のある特定の実施形態において、方法は、式(1)のベータラクトン化合物をアンモニアと組み合わせて、式(2)のアミド化合物を生成するステップをさらに含み、
式(1)のベータラクトン化合物は、
【0012】
【化4】
(式中、R
1は、式(3-I)及び式(3)について上記で定義した通りである)である。
【0013】
上記方法のいくつかの変形形態において、脱水剤は、五酸化リン、有機リン化合物、カルボジイミド化合物、トリアジン化合物、有機ケイ素化合物、混合酸化物、遷移金属錯体若しくはアルミニウム錯体、又はそれらの任意の組合せを含む。一変形形態において、脱水剤は、五酸化リン、有機リン化合物、カルボジイミド化合物、トリアジン化合物、有機ケイ素化合物、遷移金属錯体若しくはアルミニウム錯体、又はそれらの任意の組合せを含む。
【0014】
上記方法のいくつかの変形形態において、脱水剤は、チタン酸、金属酸化物水和物、金属サルフェート、金属酸化物サルフェート、金属ホスフェート、金属酸化物ホスフェート、鉱酸、カルボン酸若しくはその塩、酸性樹脂、酸性ゼオライト、粘土、又はそれらの任意の組合せを含む。上記方法及びシステムのある特定の変形形態において、脱水剤はゼオライトを含む。
【0015】
他の態様において、
反応器内で式(1)の化合物及びアンモニアを組み合わせて、式(2)の化合物を生成するステップ
を含む方法が提供され、
式(1)の化合物は、
【0016】
【0017】
【化6】
であり、
式中、R
1は、H又はアルキルである。
【0018】
上記のある特定の変形形態において、式(2)の選択性は、10%超、20%超、30%超、40%超、50%超、60%超、70%超、80%超、又は90%超である。
【0019】
いくつかの実施形態において、
反応器内で式(1)の化合物及びアンモニアを組み合わせて、式(2)の化合物、式(3-I)の化合物及び/又は式(3)の化合物を生成するステップ
を含む方法が提供され、
式(1)の化合物は、
【0020】
【0021】
【0022】
【0023】
【化10】
であり、
式中、R
1は、H又はアルキルである。
【0024】
上記のある特定の変形形態において、式(2)の選択性は、10%超、20%超、30%超、40%超、50%超、60%超、70%超、80%超、若しくは90%超である、又は、式(3)の選択性は、10%超、20%超、30%超、40%超、50%超、60%超、70%超、80%超、若しくは90%超である、又は、式(3-I)の選択性は、10%超、20%超、30%超、40%超、50%超、60%超、70%超、80%超、若しくは90%超である。
【0025】
上記のいくつかの変形形態において、式(3-I)の化合物は、アクリルアミド等のアミドであり、式(3)の化合物は、アクリロニトリル等のニトリルである。ある特定の態様において、本明細書の方法のいずれかに従ってアクリルアミド等のアミドを生成するステップと、アミドを重合させるステップとを含む方法が提供される。アミドがアクリルアミドである一変形形態において、ポリマーは、ポリアクリルアミドである。他の態様において、本明細書の方法のいずれかに従ってアクリロニトリル等のニトリルを生成するステップと、ニトリルを重合させるステップとを含む方法が提供される。ニトリルがアクリロニトリルである一変形形態において、ポリマーは、ポリアクリロニトリルである。さらに他の態様において、本明細書の方法のいずれかに従ってポリアクリロニトリルを生成するステップと、ポリアクリロニトリルから炭素繊維を生成するステップとを含む、炭素繊維を生成する方法が提供される。
【0026】
他の態様において、少なくともベータラクトン及び/又はベータヒドロキシアミドからアミド生成物及び/又はニトリル生成物を生成するためのシステムが提供される。ある特定の実施形態において、提供されるシステムは、アミド生成物及び/又はニトリル生成物を提供するようなサイズ、形状及び構成の1つ以上の反応器を含む。ある特定の実施形態において、1つ以上の反応器は、連続撹拌槽反応器、固定触媒床反応器、流動触媒床反応器として構成されてもよい。ある特定の実施形態において、システムは、不均一触媒と共に使用するように構成されてもよい。他の実施形態において、システムは、均一触媒と共に使用するように構成されてもよい。
【0027】
上記のいくつかの変形形態において、本発明の化合物は、0%超及び100%未満のバイオベース含有量を有する。上記のある特定の変形形態において、本発明の化合物は、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも50%、少なくとも70%、少なくとも95%、又は100%のバイオベース含有量を有する。
【0028】
いくつかの変形形態において、バイオベース含有量は、以下に基づいて決定され得る:ASTM D6866(放射性炭素分析を使用した固体、液体及び気体試料のバイオベース含有量の決定のための標準試験法)により決定される、%バイオベース含有量=[バイオ(有機)炭素]/[全(有機)炭素]×100%。
【0029】
本発明の組成物のバイオベースの含有量は、使用されるベータラクトンのバイオベース含有量に依存し得る。例えば、本明細書に記載の方法のいくつかの変形形態において、本明細書に記載のアミド生成物及び/又はニトリル生成物を生成するために使用されるベータラクトンは、0%超及び100%未満のバイオベース含有量を有し得る。本明細書に記載の方法のある特定の変形形態において、本明細書に記載のアミド生成物及び/又はニトリル生成物を生成するために使用されるベータラクトンは、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、少なくとも99.9%、少なくとも99.99%、又は100%のバイオベース含有量を有し得る。ある特定の変形形態において、再生可能資源から得られたベータラクトンが使用される。他の変形形態において、使用されるベータラクトンの少なくとも一部は再生可能資源から得られ、ベータラクトンの少なくとも一部は再生不可能な資源から得られる。
【0030】
ベータラクトンのバイオベース含有量は、例えば、使用されるエポキシド及び一酸化炭素のバイオベース含有量に依存し得る。いくつかの変形形態において、エポキシド及び一酸化炭素の両方が再生可能資源から得られる。
【0031】
本出願は、添付の図面と併せて以下の説明を参照することにより最もよく理解することができ、図面では、同様の部分は同様の数字で参照され得る。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】式(3)の化合物を生成するための例示的な反応スキームである。
【
図2】式(3)の化合物を生成するための例示的な反応スキームである。
【
図3】式(3)の化合物を生成するための例示的な反応スキームである。
【
図4】式(3)の化合物を生成するための例示的な反応スキームである。
【
図6】式(3)の化合物を生成するための例示的な反応スキームである。
【
図5】式(3-I)の化合物を生成するための例示的な反応スキームである。
【
図7A】アンモニア水がアンモニアガス/水及びアンモニウムの動的平衡混合物をどのように含むかを示す反応スキームである。
【
図7B】ベータプロピオラクトン及びアンモニウム/アンモニアが関与する例示的な反応スキームである。
【
図8】アルミナ(Al
2O
3)を使用した3-ヒドロキシプロパンアミド(「3-HPアミド」と略される)の脱水によるアクリロニトリルの生成を含む、実施例9で行われた実験の結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下の説明は、例示的な方法、パラメータ等を示している。しかしながら、そのような説明は、本開示の範囲を限定することを意図するものではなく、代わりに例示的な実施形態の説明として提供されることを認識されたい。
【0034】
本明細書では、少なくともベータラクトン及び/又はベータヒドロキシアミドからアミド生成物及び/又はニトリル生成物を生成する方法及びシステムが提供される。ある特定の好ましい実施形態において、アミド生成物はアクリルアミドを含み、ニトリル生成物はアクリロニトリルを含む。ある特定の変形形態において、ベータラクトンは、一酸化炭素によるエポキシドのカルボニル化により生成され得る。
【0035】
いくつかの態様において、ベータヒドロキシアミドからアクリロニトリル化合物及び他のニトリル化合物を生成する方法が提供される。例えば、
図1を参照すると、式(2)のベータヒドロキシアミドは、脱水剤と組み合わされて、アクリロニトリル化合物若しくは式(3)の他のニトリル化合物、又はその異性体を生成する。
【0036】
他の態様において、ラクトンからアクリロニトリル化合物及び他のニトリル化合物を生成する方法が提供される。例えば、
図2を参照すると、式(1)のベータ-ラクトンは、アンモニアと組み合わされて式(2)のベータヒドロキシアミドを生成し、次いで
図1に示される例示的な反応を経て式(3)の化合物、又はその異性体を生成し得る。
【0037】
別の例において、
図3を参照すると、式(1)のベータラクトンは、水中のアンモニア(アンモニア水とも呼ばれる)及び脱水剤と組み合わされて、アクリロニトリル化合物若しくは他の式(3)のニトリル化合物、又はその異性体を生成し得る。
【0038】
さらに別の例において、
図4を参照すると、式(1)のベータラクトンから式(3)のニトリル化合物又はその異性体への変換が示されており、式(2)及び(3-I)の中間化合物が脱水を経てニトリルを生成し得る。一態様において、式(1)の化合物及びアンモニアを反応器内で組み合わせて、それぞれ80%を超える選択性で式(2)の化合物を生成するステップを含む方法が提供される。別の態様において、式(1)の化合物及びアンモニアを反応器内で組み合わせて、80%を超える選択性で式(2)の化合物、式(3-I)の化合物及び/又は式(3)の化合物を生成するステップを含む方法が提供される。
【0039】
上記のいくつかの変形形態において、選択性は、10%超、20%超、30%超、40%超、50%超、60%超、70%超、80%超、85%超、90%超、95%超、96%超、97%超、98%超、又は99%超である。選択性は、1つ以上のパラメータにより制御され得る。例えば、いくつかの変形形態において、反応器の温度は、-20℃~50℃の間、又は10℃~35℃の間の平均温度に維持される。他の変形形態において、式(1)の化合物は、アンモニアを含む反応器に滴下により添加される。別の変形形態において、式(1)の化合物は、アンモニアを含む反応器への単回注入により添加される。
【0040】
さらに別の変形形態において、式(1)の化合物の第1の部分を反応器に提供するステップと、アンモニアを添加するステップと、反応器の平均温度を維持して、式(2)の化合物を生成するステップとを含む方法が提供される。一変形形態において、この方法は、式(2)の化合物を単離することをさらに含む。ある特定の実施形態において、平均温度を維持するステップは、-20℃~50℃の間で行われる。
【0041】
さらに別の変形形態において、式(1)の化合物及びアンモニアを反応器に同時供給するステップと、反応器の平均温度を維持して、式(2)の化合物を生成するステップとを含む方法が提供される。一変形形態において、この方法は、式(2)の化合物を単離することをさらに含む。ある特定の実施形態において、式(1)の化合物は、不均一触媒と接触する液体として反応器に供給される。ある特定の変形形態において、式(1)の化合物及びアンモニアの流量は、別々に制御される。ある特定の変形形態において、アンモニアは、反応器内に過剰に存在する。他の実施形態において、方法は、式(2)の化合物及び過剰のアンモニアを含む生成物ストリームを反応器から収集するステップをさらに含む。一変形形態において、式(2)の化合物は、液体形態で収集される。さらに他の実施形態において、方法は、生成物ストリームから過剰なアンモニアを分離するステップと、分離されたアンモニアを反応器にリサイクルするステップとをさらに含む。他の変形形態において、不均一触媒床は、本明細書に記載の不均一脱水剤のいずれかを含む。例えば、一変形形態において、不均一触媒床は、金属酸化物、塩基性ゼオライト、アルカリ金属交換ゼオライト、塩基修飾アルミナ、又は固体「超塩基」を含む。他の変形形態において、反応器の温度は、10℃~100℃若しくは65℃~75℃の範囲内、又は室温に維持される。一変形形態において、反応器は、式(2)の化合物が気体である温度に維持される。別の変形形態において、式(2)の化合物は、無水で生成される。
【0042】
上記のいくつかの変形形態において、式(1)の化合物は、液体アンモニアと組み合わされる。上記の他の変形形態において、式(1)の化合物は、溶媒の非存在下でアンモニアと組み合わされる。ある特定の変形形態において、式(1)の化合物は、水中のアンモニア(又は水酸化アンモニウム)と組み合わされる。換言すれば、ある特定の変形形態において、アンモニアは、アンモニア水である。
図7Aを参照すると、一般的に、アンモニア水は、アンモニアガス/水及び水酸化アンモニウムの動的平衡混合物を含むことを理解されたい。他の変形形態において、式(1)の化合物は、無水アンモニアと組み合わされる。一変形形態において、アンモニアは、無水気体アンモニアである。
図7Bを参照すると、無水アンモニアが使用される場合、少なくとも1つのステップ(水和反応の前の水の除去等)が回避され得る。アンモニアは、商業的に入手可能な供給源から入手するか、又は当技術分野で知られている任意の方法に従って生成することができる。
【0043】
他の変形形態において、式(1)の化合物は、高温でアンモニアと組み合わされる。他の変形形態において、式(1)の化合物は、アンモニア及び追加の塩基性化合物と組み合わされる。
【0044】
上記のある特定の変形形態において、
図3に示されるように、アンモニアは、本明細書に記載の脱水剤のいずれかと共に、式(1)の化合物と組み合わされる。他の変形形態において、
図2及び
図4に示されるように、アンモニアは、式(1)の化合物と組み合わされてまず式(2)のベータ-ヒドロキシアミドを生成し、次いで本明細書に記載の脱水剤のいずれかが式(2)のベータ-ヒドロキシアミドと組み合わされて、式(3-I)の化合物及び/若しくは式(3)の化合物、又はそれらの異性体を生成する。
【0045】
他の態様において、
図5を参照すると、式(2)のベータヒドロキシアミドから式(3-I)のアミド又はその異性体を生成する方法が提供される。さらに他の態様において、
図6を参照すると、式(3-I)のアミド又はその異性体から式(3)のニトリル又はその異性体を生成する方法が提供される。
図5及び
図6に示される例示的な反応により、本明細書に記載される脱水剤のいずれかを使用し得る脱水反応が含まれる。
【0046】
ある特定の好ましい実施形態において、式(1)、(2)、(3-I)及び(3)に関して、R1は、Hである。そのような実施形態において、アクリロニトリルは、ベータプロピオラクトンから、3-ヒドロキシプロピアミド及びアクリルアミドを介して生成され得る。ある特定の変形形態において、3-ヒドロキシプロピアミド及び/又はアクリルアミドを単離し、任意選択でさらに精製することができる。
【0047】
本明細書の方法及びシステムに従って生成されたアミド生成物及び/又はニトリル生成物は、様々な下流工程で使用することができる。例えば、ある変形形態において、アクリルアミドを重合させてポリアクリルアミドを形成してもよく、また、アクリロニトリルを重合させてポリアクリロニトリルを形成してもよい。得られたポリアクリロニトリルは、炭素繊維等を含む様々な用途に適切となり得る。
【0048】
アクリルアミド及びアクリロニトリル化合物、並びに生成され得る他の化合物、並びに使用され得るアミド、ラクトン及び脱水剤を含む方法を以下でさらに詳細に検討する。
【0049】
<アクリロニトリル化合物及び他のニトリル化合物>
一態様において、アクリロニトリル及び他のニトリル化合物をそれぞれベータプロピオラクトン及び他のラクトンから生成する方法が提供される。例えば、一変形形態において、ベータプロピオラクトンをアンモニア水と反応させて、粗3-ヒドロキシプロパンアミド水溶液を得てもよい。次いで、粗溶液を樹脂で精製して不純物を除去し、次いで水を除去して固体形態の純粋な3-ヒドロキシプロパンアミドを得る。次いで、純粋な3-ヒドロキシプロパンアミドを、脱水触媒が充填された固定床反応器に連続的に供給することができる。3-ヒドロキシプロパンアミド固体は、その融点を超える温度まで温められ、次いで、触媒床を通過する前に、予熱ゾーンで窒素掃引ガスとさらに混合/気化され得る。水の存在下での3-ヒドロキシプロパンアミドのアクリロニトリルへの脱水反応は、触媒の表面で生じ得る。
【0050】
いくつかの実施形態において、本明細書の方法に従って生成されるアクリロニトリル化合物及び他のニトリル化合物は、式(3)の化合物:
【0051】
【化11】
(式中、R
1は、H、アルキル、アルケニル、シクロアルキル若しくはアリールである)又はその異性体である。
【0052】
「アルキル」は、モノラジカルの非分岐又は分岐飽和炭化水素鎖を指す。いくつかの実施形態において、アルキルは、1~10個の炭素原子(すなわちC1-10アルキル)、1~9個の炭素原子(すなわちC1-9アルキル)、1~8個の炭素原子(すなわちC1-8アルキル)、1~7個の炭素原子(すなわちC1-7アルキル)、1~6個の炭素原子(すなわちC1-6アルキル)、1~5個の炭素原子(すなわちC1-5アルキル)、1~4個の炭素原子(すなわちC1-4アルキル)、1~3個の炭素原子(すなわちC1-3アルキル)、又は1~2個の炭素原子(すなわちC1-2アルキル)を有する。アルキルの例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、2-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、2-ヘキシル、3-ヘキシル、3-メチルペンチル等を含む。特定の数の炭素原子を有するアルキル残基が命名される場合、その数の炭素原子を有する全ての幾何異性体が包含され得る。したがって、例えば、「ブチル」は、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル及びt-ブチルを含み得、「プロピル」は、n-プロピル及びイソプロピルを含み得る。
【0053】
「アルケニル」は、少なくとも1つのオレフィン性不飽和部位を有する(すなわち、式C=Cの少なくとも1つの部分を有する)不飽和の直鎖又は分岐鎖一価炭化水素鎖又はその組合せを指す。いくつかの実施形態において、アルケニルは、2~10個の炭素原子を有する(すなわちC2-10アルケニル)。アルケニル基は、「シス」若しくは「トランス」配置、又は「E」若しくは「Z」配置であってもよい。アルケニルの例は、エテニル、アリル、プロパ-1-エニル、プロパ-2-エニル、2-メチルプロパ-1-エニル、ブタ-1-エニル、ブタ-2-エニル、ブタ-3-エニル、それらの異性体等を含む。
【0054】
「シクロアルキル」は、環炭素原子を介して結合している炭素環式非芳香族基を指す。シクロアルキルの例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル等を含む。
【0055】
「アリール」は、単環又は複数の縮合環を有する環系を有する6~18個の環状炭素原子の一価の芳香族炭素環式基を指す。アリールの例は、フェニル、ナフチル等を含む。
【0056】
いくつかの変形形態において、R1のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、又はアリールは、任意選択で置換されていてもよい。「任意選択で置換された」という用語は、指定された基が非置換であるか、又は1つ以上の置換基で置換されていることを意味する。ある特定の変形形態において、任意選択の置換基は、ハロ、-OSO2R2、-OSiR4、-OR、C=CR2、-R、-OC(O)R、-C(O)OR及び-C(O)NR2を含んでもよく、式中、Rは、独立して、H、任意選択で置換されたアルキル、任意選択で置換されたアルケニル、又は任意選択で置換されたアリールである。いくつかの実施形態において、Rは、独立して、非置換アルキル、非置換アルケニル、又は非置換アリールである。いくつかの実施形態において、Rは、独立して、H、メチル(Me)、エチル(Et)、プロピル(Pr)、ブチル(Bu)、ベンジル(Bn)、アリル、フェニル(Ph)、又はハロアルキルである。ある特定の実施形態において、置換基は、F、Cl、-OSO2Me、-OTBS(「TBS」はtert-ブチル(ジメチル)シリルである)、-OMOM(「MOM」はメトキシメチルアセタールである)、-OMe、-OEt、-OiPr、-OPh、-OCH2CHCH2、-OBn、-OCH2(フリル)、-OCF2CHF2、-C=CH2、-OC(O)Me、-OC(O)nPr、-OC(O)Ph、-OC(O)C(Me)CH2、-C(O)OMe、-C(O)OnPr、-C(O)NMe2、-CN、-Ph、-C6F5、-C6H4OMe及び-OHを含み得る。
【0057】
ある特定の好ましい実施形態において、R1は、H又はアルキルである。
【0058】
いくつかの変形形態において、R1は、Hであり、式(3)の化合物は、
【0059】
【化12】
(当技術分野ではアクリロニトリルとしても知られている)である。
【0060】
他の変形形態において、R1は、アルキルである。ある特定の変形形態において、R1は、C1-6アルキルである。一変形形態において、R1は、メチル又はエチルである。R1がメチルである場合、式(3)の化合物は
【0061】
【化13】
又はその異性体(当技術分野ではクロトノニトリルとしても知られている)である。R
1がエチルである場合、式(3)の化合物は
【0062】
【化14】
又はその異性体(当技術分野では2-ペンテンニトリルとしても知られている)である。
【0063】
「アルキル」は、モノラジカルの非分岐又は分岐飽和炭化水素鎖を指す。いくつかの実施形態において、アルキルは、1~6個の炭素原子(すなわちC1-6アルキル)、1~5個の炭素原子(すなわちC1-5アルキル)、1~4個の炭素原子(すなわちC1-4アルキル)、1~3個の炭素原子(すなわちC1-3アルキル)、又は1~2個の炭素原子(すなわちC1-2アルキル)を有する。他の実施形態において、アルキル基は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、2-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、2-ヘキシル、3-ヘキシル及び3-メチルペンチルを含み得る。特定の数の炭素を有するアルキル残基が命名される場合、その数の炭素を有する全ての幾何異性体が包含され得る。したがって、例えば、「ブチル」は、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル及びt-ブチルを含み得、「プロピル」は、n-プロピル及びイソプロピルを含み得る。
【0064】
さらに、値の範囲が列挙されている場合、各値及びその範囲内の部分範囲を包含することを意図していることを理解されたい。例えば、「C1-6アルキル」(1-6Cアルキル、C1-C6アルキル、又はC1-6アルキルとも呼ばれ得る)は、C1、C2、C3、C4、C5、C6、C1-6、C1-5、C1-4、C1-3、C1-2、C2-6、C2-5、C2-4、C2-3、C3-6、C3-5、C3-4、C4-6、C4-5及びC5-6アルキルを包含することを意図している。
【0065】
<アクリルアミド及び他のアミド>
いくつかの実施形態において、アクリルアミド又は他のアミドを使用して、アクリロニトリル化合物及び他のニトリル化合物を生成することができる。いくつかの変形形態において、そのようなアミドは式(3-I)
【0066】
【化15】
(式中、R
1は、H、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、又はアリールである)の化合物である。
【0067】
ある特定の好ましい実施形態において、R1は、H又はアルキルである。
【0068】
いくつかの変形形態において、R1は、Hであり、式(3-I)の化合物は、
【0069】
【化16】
(又はアクリルアミド)である。他の変形形態において、R
1は、アルキルである。ある特定の変形形態において、R
1は、C
1-6アルキルである。一変形形態において、R
1は、メチル又はエチルである。R
1がメチルである場合、式(3-I)の化合物は、
【0070】
【0071】
【化18】
(当技術分野ではブタ-2-エンアミドとしても知られている)である。R
1がエチルである場合、式(2)の化合物は、
【0072】
【0073】
【化20】
(当技術分野ではペンタ-2-エンアミドとしても知られている)である。
【0074】
一般に、式(3-I)の化合物又はその異性体を使用して式(3)の化合物又はその異性体を生成する場合、式(3-I)のR1は、式(3)について定義した通りであることを理解されたい。
【0075】
式(3-I)の化合物等のアクリルアミド及び他のアミドは、本明細書に記載の方法、若しくは任意の市販の供給源から得ることができるか、又は当技術分野で知られている任意の方法に従って生成することができる。
【0076】
ある特定の態様において、本明細書の方法に従って生成される式(3-I)の化合物は、単離されてもよい。いくつかの変形形態において、本明細書の方法に従って生成される式(3-I)の化合物は、単離及び精製されてもよい。本明細書の方法に従って生成された式(3-I)の化合物は、単離されてもよい。
【0077】
<ベータヒドロキシアミド及び他のヒドロキシアミド>
いくつかの実施形態において、本明細書の方法に従ってアクリロニトリル化合物及び他のニトリル化合物を生成するために使用され得るベータヒドロキシアミド及び他のヒドロキシアミドは、式(2)の化合物:
【0078】
【化21】
(式中、R
1は、H、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、又はアリールである)である。
【0079】
ある特定の好ましい実施形態において、R1は、H又はアルキルである。
【0080】
いくつかの変形形態において、R1は、Hであり、式(2)の化合物は、
【0081】
【化22】
(又は3-ヒドロキシプロパンアミド)である。他の変形形態において、R
1は、アルキルである。ある特定の変形形態において、R
1は、C
1-6アルキルである。一変形形態において、R
1は、メチル又はエチルである。R
1がメチルである場合、式(2)の化合物は、
【0082】
【化23】
(又は3-ヒドロキシブタンアミド)である。R
1がエチルの場合、式(2)の化合物は、
【0083】
【化24】
(又は3-ヒドロキシペンタンアミド)である。
【0084】
一般に、式(2)の化合物を使用して式(3)の化合物又はその異性体を生成する場合、式(2)のR1は、式(3)について定義した通りであることを理解されたい。
【0085】
式(2)の化合物等のベータヒドロキシアミド及び他のアミドは、本明細書に記載の方法、若しくは任意の市販の供給源から得ることができるか、又は当技術分野で知られている任意の方法に従って生成することができる。
【0086】
ある特定の態様において、本明細書の方法に従って生成された式(2)の化合物は、単離されてもよい。いくつかの変形形態において、本明細書の方法に従って生成される式(2)の化合物は、単離及び精製されてもよい。本明細書の方法に従って生成された式(2)の化合物は、単離されてもよい。
【0087】
<ベータラクトン及び他のラクトン>
いくつかの実施形態において、ベータラクトンを使用して、本明細書の方法に従ってベータヒドロキシアミド、アクリルアミド、アクリロニトリル及び他の化合物を生成することができる。ある特定の実施形態において、ベータラクトンは、式(1):
【0088】
【化25】
(式中、R
1は、H、アルキル、アルケニル、シクロアルキル、又はアリールである)の化合物である。
【0089】
ある特定の好ましい実施形態において、R1は、H又はアルキルである。
【0090】
いくつかの変形形態において、R1は、Hであり、式(1)の化合物は、
【0091】
【化26】
(当技術分野ではベータプロピオラクトンとしても知られている)である。
【0092】
他の変形形態において、R1は、アルキルである。ある特定の変形形態において、R1は、C1-6アルキルである。一変形形態において、R1は、メチル又はエチルである。R1がメチルである場合、式(1)の化合物は、
【0093】
【化27】
(当技術分野ではベータブチロラクトンとしても知られている)である。R
1がエチルである場合、式(1)の化合物は、
【0094】
【化28】
(当技術分野ではベータバレロラクトンとしても知られている)である。
【0095】
一般に、式(1)の化合物を使用して式(2)の化合物若しくは式(3)の化合物、又はそれらの異性体を生成する場合、式(1)のR1は、式(2)又は式(3)について定義した通りであることを理解されたい。
【0096】
式(1)の化合物等のベータラクトンは、任意の商業的に入手可能な供給源から入手することができるか、又は当技術分野で知られている任意の方法に従って生成することができる。例えば、ベータプロピオラクトンは、適切な条件下でエチレンオキシド及び一酸化炭素を反応させることにより得ることができる。いくつかの変形形態において、アミド生成物及び/又はニトリル生成物は、以下の表Aの列Bに提供されているベータラクトンのいずれかから生成され得る。表Aに示されるように、列Bのそのようなベータラクトンは、表の列Aの対応するエポキシドから生成され得る。
【0097】
表A.
【0098】
【0099】
式(1)の化合物等のベータラクトンは、再生可能原料から得ることができる。例えば、ベータプロピオラクトンがエチレンオキシド及び一酸化炭素から生成される場合、エチレンオキシド及び一酸化炭素のいずれか又は両方は、当技術分野で知られている方法を使用して再生可能原料から得ることができる。式(1)の化合物等のベータラクトンが部分的に又は完全に再生可能原料から得られる場合、そのようなベータラクトンから本明細書に記載の方法に従って生成されたポリアミドは、0%を超えるバイオ含有量を有する。
【0100】
材料のバイオ含有量を決定するための様々な技術が当技術分野で知られている。例えば、いくつかの変形形態において、ASTM D6866法を使用して材料のバイオ含有量が測定され得るが、これにより、加速器質量分析、液体シンチレーションカウント及び同位体質量分析による放射性炭素分析を使用した材料のバイオ含有量の決定が可能となる。バイオ含有量の結果は、100%を107.5pMC(パーセントモダンカーボン)に割り当て、0%を0pMCに割り当てることで導出され得る。例えば、99pMCを測定する試料では、93%の同等のバイオ含有量結果が得られる。一変形形態において、バイオ含有量は、ASTM D6866revision12(すなわち、ASTM D6866-12)に従って決定されてもよい。別の変形形態において、バイオ含有量は、ASTM-D6866-12の方法Bの手順に従って決定されてもよい。材料のバイオ含有量を評価するための他の技術は、米国特許第3,885,155号、第4,427,884号、第4,973,841号、第5,438,194号及び第5,661,299号、並びにWO2009/155086に記載されている。
【0101】
<脱水剤>
脱水は、一般に、炭素-炭素単結合から炭素-炭素二重結合への変換が関与し、水分子を生成する。本明細書に記載の脱水反応は、適切な均一又は不均一触媒の存在下で生じ得る。
【0102】
いくつかの実施形態において、適切な脱水触媒は、酸、塩基及び酸化物を含み得る。適切な酸の例は、H2SO4、HCl、チタン酸、金属酸化物水和物、金属サルフェート(MSO4、式中、Mは、Zn、Sn、Ca、Ba、Ni、Co、又は他の遷移金属であってもよい)、金属酸化物サルフェート、金属ホスフェート(例えば、M3(PO4)2、式中、Mは、Ca、Baであってもよい)、金属ホスフェート、金属酸化物ホスフェート、炭素(例えば、炭素担体上の遷移金属)、鉱酸、カルボン酸、その塩、酸性樹脂、酸性ゼオライト、粘土、SiO2/H3PO4、フッ素化Al2O3、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、ケイモリブデン酸、ケイタングステン酸及び二酸化炭素を含み得る。適切な塩基の例は、NaOH、アンモニア、ポリビニルピリジン、金属水酸化物、Zr(OH)4及び置換アミンを含み得る。適切な酸化物の例は、Nb2O5、TiO2、ZrO2、Al2O3、SiO2、ZnO2、SnO2、WO3、MnO2、Fe2O3及びV2O5を含み得る。
【0103】
いくつかの実施形態において、本明細書に記載の方法で使用される脱水剤は、五酸化リン、有機リン化合物、カルボジイミド化合物、トリアジン化合物、有機ケイ素化合物、混合酸化物、遷移金属錯体、又はアルミニウム錯体を含む。
【0104】
ある特定の実施形態において、本明細書に記載の方法で使用される脱水剤は、固体担体をさらに含んでもよい。適切な固体担体は、例えば、ハイドロタルサイトを含み得る。
【0105】
脱水剤は、商業的に入手可能な供給源から入手するか、又は当技術分野で知られている方法に従って調製することができる。
【0106】
<リン化合物>
ある特定の実施形態において、本明細書に記載の方法で使用される脱水剤は、リン化合物を含む。
【0107】
一変形形態において、脱水剤は、五酸化リンを含む。
【0108】
いくつかの変形形態において、脱水剤は、有機リン化合物を含む。ある特定の変形形態において、有機リン化合物は、有機ホスフェートである。ある特定の変形形態において、有機リン化合物は、アルキルハロホスフェート又はシクロアルキルハロホスフェートである。一変形形態において、アルキルハロホスフェートは、アルキルジハロホスフェート又はジアルキルハロホスフェートである。別の変形形態において、シクロアルキルハロホスフェートは、シクロアルキルジハロホスフェート、又はジシクロアルキルハロホスフェートである。上記有機リン化合物のいくつかの変形形態において、アルキルは、C1-C10アルキルである。上記有機リン化合物の他の変形形態において、シクロアルキルは、C3-C10シクロアルキルである。
【0109】
「シクロアルキル」は、環炭素原子を介して結合している炭素環式の非芳香族基を指し、非置換の場合はC及びHのみを含む。シクロアルキルは、1つの環又は複数の環からなり得る。いくつかの変形形態において、2つ以上の環を有するシクロアルキルは、C-C結合、融合、スピロ若しくは架橋、又はそれらの組合せによって一緒に連結され得る。いくつかの実施形態において、シクロアルキルは、C3-C10シクロアルキルである。シクロアルキル基の例は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、ビシクロヘキシル、アダマンチル及びデカヒドロナフタレニルを含む。
【0110】
上記有機リン化合物のさらに他の変形形態において、ハロホスフェートは、クロロホスフェートである。上記有機リン化合物のさらに他の変形形態において、ハロホスフェートは、フルオロホスフェートである。
【0111】
本明細書に記載の方法で使用される適切な有機リン化合物は、例えば、エチルジクロロホスフェート、ジエチルクロロホスフェート、メチルジクロロホスフェート、ジメチルクロロホスフェート、エチルジフルオロホスフェート、ジエチルフルオロホスフェート、メチルジフルオロホスフェート若しくはジメチルフルオロホスフェート、又はそれらの任意の組合せを含み得る。
【0112】
<カルボジイミド化合物>
ある特定の実施形態において、脱水剤は、カルボジイミド化合物を含む。
【0113】
いくつかの変形形態において、カルボジイミド化合物は、
【0114】
【化29】
であり、式中、各R
4及びR
5は、独立して、アルキル又はシクロアルキルである。上記のある特定の変形形態において、R
4及びR
5は異なる。上記の他の変形形態において、R
4及びR
5は同じである。他の変形形態において、各R
4及びR
5は、独立してシクロアルキルである。
【0115】
ある特定の変形形態において、各R4及びR5は、独立してアルキルである。ある特定の変形形態において、各R4及びR5は、独立して独立してC1-6アルキルである。一変形形態において、各R4及びR5は、独立して、メチル、エチル又はプロピルである。別の変形形態において、R4及びR5は、両方ともメチル、エチル又はプロピルである。別の変形形態において、R4及びR5は、両方ともシクロヘキシルである。さらに他の変形形態において、R4はアルキルであり、R5はシクロアルキルである。
【0116】
本明細書に記載の方法で使用される適切なカルボジイミド化合物は、例えば、
【0117】
【化30】
(当技術分野ではN、N’-ジシクロヘキシルカルボジイミドとしても知られている)を含み得、式中、R
4及びR
5は、両方ともシクロヘキシルである。
【0118】
<トリアジン化合物>
ある特定の実施形態において、脱水剤は、トリアジン化合物を含む。一変形形態において、トリアジン化合物は、1,3,5-トリアジンであり、次の構造を有する:
【0119】
【0120】
本明細書に記載のトリアジン化合物は、1つ以上の置換基で任意選択で置換されてもよい。いくつかの変形形態において、トリアジン化合物は1、2又は3個の置換基で置換されている。ある特定の変形形態において、置換基は、ハロ基であってもよい。例えば、ある特定の変形形態において、トリアジン化合物は、ハロ置換トリアジン化合物である。ある特定の変形形態において、トリアジン化合物は、1、2、又は3個のハロ基で置換された1,3,5-トリアジンである。一変形形態において、トリアジン化合物は、ハロ置換された1,3,5-トリアジンである。
【0121】
本明細書に記載の方法で使用される適切なトリアジン化合物は、例えば、
【0122】
【化32】
(当技術分野では塩化シアヌルとしても知られている)を含み得る。
【0123】
<有機ケイ素化合物>
ある特定の実施形態において、脱水剤は、有機ケイ素化合物を含む。いくつかの変形形態において、有機ケイ素化合物は、シラザンである。シラザンは、非置換でも置換されていてもよい。一変形形態において、シラザンは、アリール、ハロ、アルキル、アルコキシ又はアミノ基で置換されている。
【0124】
ある特定の実施形態において、有機ケイ素化合物は、
【0125】
【化33】
であり、式中、各R
6、R
7、R
8及びR
9は、(各出現で)独立して、H、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、アミノ、又はアルコキシである。
【0126】
他の変形形態において、有機ケイ素化合物は、シランである。シランは、非置換(例えばヒドロシラン)でも置換されていてもよい。いくつかの変形形態において、シランは、1、2、3又は4個の置換基で置換されている。一変形形態において、シランは、アリール、ハロ、アルキル、アルコキシ又はアミノ基で置換されている。
【0127】
ある特定の実施形態において、有機ケイ素化合物は、
【0128】
【化34】
であり、各R
6、R
7、R
8及びR
9は、独立して、H、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、アミノ又はアルコキシである。
【0129】
一実施形態において、有機ケイ素化合物は、アリールシランである。いくつかの変形形態において、アリールシランは、1、2又は3個のアリール基を含む。上記の変形形態において、アリール基は、フェニルである。適切なアリールシランは、例えば、ジフェニルシラン及びフェニルシランを含み得る。一変形形態において、有機ケイ素化合物は、Ph2SiH2である。別の変形形態において、有機ケイ素化合物は、PhSiH3である。
【0130】
他の実施形態において、有機ケイ素化合物は、ハロシラン、アルコキシシラン、又はアミノシランである。一実施形態において、有機ケイ素化合物は、ハロシランである。いくつかの変形形態において、ハロシランは、1、2又は3個のハロ基を含む。ある特定の変形形態において、ハロシランは、1つ以上の置換基(ハロ以外)でさらに置換されてもよい。一変形形態において、ハロシランは、1、2又は3個の置換基(ハロ以外)でさらに置換されている。上記の変形形態において、ハロシランの置換基は、独立してアルキル又はアリールである。上記の一変形形態において、ハロシランのアルキル置換基は、C1-6アルキルである。別の変形形態において、ハロシランの置換基は、独立してメチル又はフェニルである。適切なハロシランは、例えば、ジアルキルジハロシラン、アリールトリハロシラン、アリールアルキルジハロシラン、又はアリールトリハロシランを含み得る。ある特定の変形形態において、ハロシランは、クロロシランである。適切なクロロシランは、例えば、ジメチルジクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、又はフェニルメチルジクロロシランを含み得る。
【0131】
別の実施形態において、有機ケイ素化合物は、アルコキシシランである。ある特定の変形形態において、アルコキシシランは、アルキルシリケートを含む。一変形形態において、アルコキシシランは、C1-6アルキルシリケートを含む。適切なアルキルシリケートは、例えば、n-ブチルシリケートを含む。他の変形形態において、アルコキシシランは、1、2又は3個のアルコキシ基を含む。上記のある特定の変形形態において、アルコキシシランは、1、2又は3個の置換基(アルコキシ以外)でさらに置換されていてもよい。一変形形態において、アルコキシシランの置換基は、独立して、アルキル又はアリールである。上記の一変形形態において、アルコキシシランのアルキル置換基は、C1-6アルキルである。別の変形形態では、アルコキシシランの置換基は、独立して、メチル又はフェニルである。適切なアルコキシシランは、例えば、ジメトキシ(メチル)フェニルシランを含み得る。
【0132】
さらに別の実施形態において、有機ケイ素化合物は、アミノシランである。ある特定の変形形態において、アミノシランは、アルキルアミノシランである。上記のある特定の変形形態において、アミノシランは、1、2又は3個の置換基(例えば、アルキルアミノ基を含むアミノ基以外)でさらに置換されていてもよい。一変形形態において、アミノシランの置換基は、アルコキシ基である。上記の一変形形態において、アミノシランのアルコキシ置換基は、C1-6アルコキシである。別の変形形態において、アミノシランの置換基は、独立して、メトキシ又はエトキシである。適切なアミノシランは、例えば、(3-アミノプロピル)トリエトキシシランを含み得る。
【0133】
他の実施形態において、有機ケイ素化合物は、ビス(トリアルキルシリル)アミンである。一変形形態において、有機ケイ素化合物は、ビス(トリメチルシリル)アミンである。
【0134】
上記のいくつかの変形形態において、本明細書に記載のシランは、脱水剤としてハロゲン化アルキルアンモニウムと組み合わせて使用され得る。一変形形態において、ハロゲン化アルキルアンモニウムは、塩化テトラブチルアンモニウム又はフッ化テトラブチルアンモニウム等のハロゲン化テトラブチルアンモニウムである。ある特定の変形形態において、有機ケイ素化合物及びハロゲン化アルキルアンモニウムは、混合物として(例えば溶媒中で)又は別々に組み合わされて提供される。
【0135】
<遷移金属錯体>
ある特定の実施形態において、脱水剤は、遷移金属錯体を含む。いくつかの変形形態において、遷移金属錯体は、少なくとも1つのハロゲン化物又は酸化物配位子を含む。ハロゲン化物又は酸化物配位子は、遷移金属と結合又は錯化されていてもよい。
【0136】
上記のある特定の変形形態において、遷移金属錯体は、溶媒中で提供される。他の変形形態において、遷移金属錯体は、水若しくはアセトニトリル、又はそれらの混合物中で提供される。
【0137】
一実施形態において、遷移金属錯体は、金属ハロゲン化物である。いくつかの変形形態において、金属ハロゲン化物は、10族金属又は12族金属を含む。ある特定の変形形態において、金属ハロゲン化物は、パラジウム又は亜鉛を含む。ある特定の変形形態において、金属ハロゲン化物は、クロロを含む。適切な金属ハロゲン化物は、例えば、塩化パラジウム又は塩化亜鉛を含み得る。
【0138】
上記のいくつかの変形形態において、金属ハロゲン化物は、溶媒中で提供される。一変形形態において、金属ハロゲン化物は、水、アセトニトリル、又はそれらの混合物中で提供される。例えば、本明細書に記載の方法で使用される遷移金属錯体は、水、アセトニトリル又はそれらの混合物中で提供される塩化パラジウム又は塩化亜鉛であってもよい。
【0139】
別の実施形態において、遷移金属錯体は5族金属を含む。いくつかの変形形態において、遷移金属錯体は、酸化バナジウムを含む。一変形形態において、酸化バナジウムは、単量体の酸化バナジウムである。ある特定の変形形態において、脱水剤は、酸化バナジウム及びハイドロタルサイトを含む。一変形形態において、脱水剤は、単量体の酸化バナジウム及びハイドロタルサイトを含む。酸化バナジウム(例えば単量体の酸化バナジウムを含む)は、ハイドロタルサイトの表面に組み込まれてもよい。
【0140】
<アルミニウム錯体>
ある特定の実施形態において、脱水剤は、アルミニウム錯体を含む。いくつかの変形形態において、アルミニウム錯体は、ハロゲン化アルミニウムを含む。ある特定の変形形態において、アルミニウム錯体は、水、アセトニトリル若しくはアルカリ金属塩、又はそれらの混合物と錯化される。いくつかの変形形態において、アルカリ金属塩は、ナトリウム塩又はカリウム塩である。いくつかの変形形態において、アルカリ金属塩は、アルカリ金属ハロゲン化物塩である。いくつかの変形形態において、アルカリ金属ハロゲン化物塩は、アルカリ金属ヨウ化物塩である。いくつかの変形形態において、アルカリ金属ハロゲン化物塩は、ヨウ化ナトリウム又はヨウ化カリウムである。いくつかの変形形態において、アルミニウム錯体は、AlCl3・H2O/KI/H2O/CH3CNである。いくつかの変形形態において、アルミニウム錯体は、AlCl3・NaIである。
【0141】
<他の不均一脱水剤>
いくつかの変形形態において、脱水剤は不均一である。例えば、ある特定の変形形態において、脱水剤は、固体金属酸化物、固体酸、酸、弱酸、強酸、イオン交換樹脂、アルミノケイ酸塩、又はそれらの任意の組合せを含む。
【0142】
ある特定の変形形態において、脱水剤は、固体金属酸化物を含む。一変形形態において、脱水剤は、TiO2、ZrO2、Al2O3、SiO2、ZnO2、SnO2、WO3、MnO2、Fe2O3、SiO2/Al2O3、ZrO2/WO3、ZrO2/Fe2O3、又はZrO2/MnO2、又はそれらの任意の組合せを含む。
【0143】
ある特定の変形形態において、脱水剤は、チタン酸、金属酸化物水和物、金属サルフェート、金属酸化物サルフェート、金属ホスフェート、金属酸化物ホスフェート、鉱酸、カルボン酸若しくはその塩、酸性樹脂、酸性ゼオライト、粘土、又はそれらの任意の組合せを含む。ある特定の変形形態において、脱水剤は、H3PO4/SiO2、フッ素化Al2O3、Nb2O3/PO4
-3、Nb2O3/SO4
-2、Nb2O5、H3PO4、リン酸塩、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、ケイモリブデン酸、ケイタングステン酸、Mg2P2O7、MgHPO4、又はそれらの任意の組合せを含む。
【0144】
いくつかの変形形態において、脱水剤は、ゼオライトを含む。ある特定の変形形態において、ゼオライトは水素型若しくはアンモニア型であるか、又は金属交換ゼオライトである。一変形形態において、金属交換ゼオライトは、Li、Na、K、Ca、Mg、又はCuを含む。別の変形形態において、ゼオライトは、直径1~10オングストロームの範囲の細孔径を有する。一変形形態において、ゼオライトは、中孔径ゼオライトである。いくつかの変形形態において、ゼオライトは、約5~6オングストローム、又は約5.6*6.0オングストローム、又は約5.1*5.5~5.3*5.6オングストロームの細孔径を有する。別の変形形態において、ゼオライトは、大孔径ゼオライトである。適切なゼオライトは、例えば、ZSM-12、ZSM-5、モルデナイト、フォージャサイト、又はゼオライトYを含み得る。
【0145】
上述のような不均一な脱水剤が使用される変形形態において、気相の式(2)の化合物を、脱水剤を含む加熱された反応器に通すことにより、式(2)の化合物は、脱水して式(3-I)の化合物若しくは式(3)の化合物、又はそれらの組合せを生成する。一変形形態において、反応器は、充填床反応器、流動床反応器、又は移動床反応器である。
【0146】
<脱水剤の組合せ>
いくつかの変形形態において、「脱水剤」という用語は、薬剤の組合せを含み得ることを理解されたい。本明細書に記載の方法のいくつかの変形形態において、本明細書に記載の脱水剤の組合せが使用されてもよい。
【0147】
いくつかの実施形態において、脱水剤は、有機ケイ素化合物及び遷移金属錯体の組合せを含む。上記の組合せのある特定の変形形態において、有機ケイ素化合物は、N-メチル-N-(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミドである。上記の組合せのいくつかの変形形態において、遷移金属錯体は、金属トリフラート又は金属ハロゲン化物である。一変形形態において、金属トリフラートは、亜鉛トリフラートである。別の変形形態において、金属ハロゲン化物は、塩化銅である。
【0148】
他の実施形態において、脱水剤は、シラン及び遷移金属錯体の組合せを含む。上記の組合せのある特定の変形形態において、遷移金属錯体は、鉄錯体である。一変形形態において、脱水剤は、シラン及び鉄錯体の組合せを含む。
【0149】
シラン及び遷移金属錯体の組合せの他の変形形態において、遷移金属錯体は、金属カーボネートである。ある特定の変形形態において、金属カーボネートは、鉄を含む。ある特定の変形形態において、金属カーボネートは、炭酸鉄である。適切な金属カーボネートは、例えば、Fe2(CO)9を含む。上記の組合せのいくつかの変形形態において、有機ケイ素化合物は、アルコキシアルキルシランである。ある特定の変形形態において、アルコキシアルキルシランは、ジエトキシメチルシランである。一変形形態において、脱水剤は、炭酸鉄及びアルコキシアルキルシランの組合せを含む。
【0150】
本明細書に記載の方法で使用され得る脱水剤の例示的な組合せは、亜鉛トリフラート及びN-メチル-N-(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド;塩化銅及びN-メチル-N-(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド;鉄錯体及びシラン;並びに炭酸鉄及びジエトキシメチルシランを含む。
【0151】
<下流での使用>
本明細書に記載の方法に従って生成されたアクリルアミド、アクリロニトリル及び他の化合物は、いくつかの変形形態において、ポリマーの工業生産用のモノマーとして使用され得る。
【0152】
本明細書の方法に従って生成される式(3-I)の化合物は、1種以上の下流生成物を生成するために使用され得る。例えば、
図8Bを参照すると、本明細書に記載の方法に従って生成されたアクリルアミドは、ポリアクリルアミドの生成に使用され得る。したがって、ある特定の態様において、本明細書の方法のいずれかに従って式(3-I)の化合物を生成するステップと、式(3-I)の化合物を重合させるステップとを含む方法が提供される。一変形形態において、本明細書の方法のいずれかに従ってアクリルアミドを生成するステップと、アクリルアミドを重合させてポリアクリルアミドを生成するステップとを含む、ポリアクリルアミドを生成する方法が提供される。
【0153】
本明細書の方法に従って生成される式(2)の化合物は、1種以上の下流の生成物を生成するために使用され得る。例えば、再び
図8Bを参照すると、本明細書に記載の方法に従って生成されたアクリロニトリルは、ポリアクリロニトリルの生成に使用され得る。したがって、ある特定の態様において、本明細書の方法のいずれかに従って式(2)の化合物を生成するステップと、式(2)の化合物を重合させるステップとを含む方法が提供される。一変形形態において、本明細書の方法のいずれかに従ってアクリロニトリルを生成するステップと、アクリロニトリルを重合させてポリアクリロニトリルを生成するステップとを含む、ポリアクリロニトリルを生成する方法が提供される。ポリアクリロニトリルは、炭素繊維を含む様々な用途に適切となり得る。
【0154】
他の態様において、本明細書に記載の方法に従って生成されたアクリロニトリルは、アクリル酸及び/又はアクリルアミドの生成に使用され得る。
【0155】
<組成物>
いくつかの態様において、
式(2)の化合物:
【0156】
【化35】
(式中、R
1は、H又はアルキルである)と;
脱水剤と
を含む組成物が提供される。
【0157】
ある特定の態様において、組成物は、式(3)の化合物:
【0158】
【化36】
(式中、R
1は、式(2)について上記で定義された通りである)又はその異性体をさらに含む。
【0159】
上記のいくつかの変形形態において、組成物は、
式(1)の化合物:
【0160】
【化37】
(式中、R
1は、式(2)について上記で定義された通りである)と;
アンモニアとをさらに含む。
【0161】
他の態様において、
式(1)の化合物
【0162】
【化38】
(式中、R
1は、H又はアルキルである)と;
アンモニアと;
脱水剤と
を含む組成物が提供される。
【0163】
上記のいくつかの変形形態において、組成物は、式(3-I)の化合物及び/若しくは式(3)の化合物:
【0164】
【化39】
(式中、R
1は、式(1)について上記で定義された通りである)又はそれらの異性体をさらに含む。
【0165】
上記のある特定の変形形態において、組成物中に存在する化合物、脱水剤(脱水剤の組合せを含む)及びアンモニアは、方法について本明細書に記載されている通りである。
【0166】
<システム>
いくつかの態様において、連続撹拌槽反応器であって、式(1)の化合物:
【0167】
【化40】
(式中、R
1は、H又はアルキルである)を受容するように構成された第1の入口と;
アンモニアを受容するように構成された第2の入口であって、反応器が、式(1)の化合物をアンモニアに添加して、アンモニアが過剰に存在するような式(1)の化合物に対するアンモニアの比を達成するように構成され、反応器が、温度を維持するのに適した速度で式(1)の化合物をアンモニアに添加するように構成され、反応器が、液体形態のアンモニア及び式(1)の化合物を受容するように構成される、第2の入口と;
反応器内の温度を一定に保つように構成されたジャケットと;
過剰なアンモニアを反応器から放出するように構成されたベントと;
式(1)の化合物及びアンモニアから生成された式(2)の化合物を含む生成物ストリームを放出するように構成された出口と
を備え、式(2)の化合物は、
【0168】
【化41】
(式中、R
1は、式(1)について上記で定義された通りである)である連続撹拌槽反応器を含むシステムが提供される。
【0169】
他の態様において、反応器であって、
アンモニア及び式(1)の化合物を受容するように構成された入口であって、アンモニアは気体状であり、式(1)の化合物は液体状であり、式(1)の化合物は、
【0170】
【化42】
(式中、R
1は、H又はアルキルである)である、入口と;
不均一触媒床であって、
反応器が、アンモニア及び式(1)の化合物を不均一触媒床に同時供給するように構成され、
反応器が、アンモニア及び式(1)の化合物の流速を別々に制御するように構成され、
反応器が、式(1)の化合物をアンモニアに添加して、アンモニアが過剰に存在するような式(1)の化合物に対するアンモニアの比を達成するように構成される、不均一触媒床と;
反応器内の温度を一定に維持するように構成されたジャケットと;
過剰なアンモニアを反応器から放出するように構成されたベントと;
式(1)の化合物及びアンモニアから生成された式(2)の化合物を含む生成物ストリームを放出するように構成された出口と
を備え、式(2)の化合物は、
【0171】
【化43】
(式中、R
1は、式(1)について上記で定義された通りである)である反応器を含むシステムが提供される。
【0172】
さらに他の態様において、
チューブシェル反応器であって、
触媒粒子が1つ以上のチューブの間及びその周囲に充填された1つ以上のチューブであって、気体形態のアンモニアを受容するように構成される1つ以上のチューブと;
液体形態の式(1)の化合物を受容するように構成された反応器のシェル側の入口であって、反応器が、式(1)の化合物と比較して反応器内に過剰のアンモニアを維持するように構成され、
反応器が、式(1)の化合物及びアンモニアから式(2)の化合物を生成する温度に構成される、入口と;
式(2)の化合物及び過剰のアンモニアを含む生成物ストリームを放出するように構成された出口と
を備える、チューブシェル反応器を含むシステムが提供される。
【0173】
上記のいくつかの変形形態において、式(2)の化合物は、溶融形態で提供される。
【0174】
<列挙された実施形態>
以下に列挙される実施形態は、本発明のいくつかの態様の代表例である。
【0175】
1.式(3-I)の化合物及び/若しくは式(3)の化合物:
【0176】
【0177】
【化45】
(式中、R
1は、H若しくはアルキルである)又はその異性体の生成方法であって、
式(2)の化合物を脱水剤と組み合わせて、式(3)の化合物又はその異性体を生成するステップを含み、
式(2)の化合物は、
【0178】
【化46】
(式中、R
1は、式(3-I)及び(3)について上記で定義した通りである)であり、
脱水剤は、五酸化リン、有機リン化合物、カルボジイミド化合物、トリアジン化合物、有機ケイ素化合物、混合酸化物、遷移金属錯体若しくはアルミニウム錯体、又はそれらの任意の組合せを含む;又は
脱水剤は、固体金属酸化物、固体酸、酸、弱酸、強酸、イオン交換樹脂、アルミノケイ酸塩、又はそれらの任意の組合せを含む方法。
【0179】
2.式(1)の化合物をアンモニアと組み合わせて、式(2)の化合物を生成するステップをさらに含み、
式(1)の化合物は、
【0180】
【化47】
(式中、R
1は、式(3-I)及び(3)について上記で定義した通りである)である、実施形態1の方法。
【0181】
3.式(1)の化合物をアンモニアと組み合わせるステップが、式(2-I)の化合物:
【0182】
【化48】
(式中、R
1は、式(3-I)及び(3)について上記で定義した通りである)をさらに生成する、実施形態2の方法。
【0183】
4.式(2-I)の化合物を単離するステップをさらに含む、実施形態1~3のいずれか1つの方法。
【0184】
5.式(3-I)の化合物及び/若しくは式(3)の化合物:
【0185】
【0186】
【化50】
(式中、R
1は、H若しくはアルキルである)又はその異性体の生成方法であって、
式(1)の化合物をアンモニア及び脱水剤と組み合わせて、式(3-I)の化合物及び/若しくは式(3)の化合物、又はそれらの異性体を生成するステップを含み、
式(1)の化合物は、
【0187】
【化51】
(式中、R
1は、式(3-I)及び(3)について上記で定義した通りである)であり、
脱水剤は、五酸化リン、有機リン化合物、カルボジイミド化合物、トリアジン化合物、有機ケイ素化合物、混合酸化物、遷移金属錯体若しくはアルミニウム錯体、又はそれらの任意の組合せを含む;又は
前記脱水剤は、固体金属酸化物、固体酸、酸、弱酸、強酸、イオン交換樹脂、アルミノケイ酸塩、又はそれらの任意の組み合わせを含む方法。
【0188】
6.アンモニアが、アンモニア水である、又は
アンモニアが、液体アンモニアである、又は
アンモニアが、無水アンモニアである、又は
無水気体アンモニアである、実施形態2又は3の方法。
【0189】
7.R1が、Hである、又は
R1が、アルキルである、又は
R1が、メチル又はエチルである、実施形態1~5のいずれか1つの方法。
【0190】
8.式(3-I)の化合物若しくは式(3)の化合物、又はその両方を単離するステップをさらに含む、実施形態1~7のいずれか1つの方法。
【0191】
9.脱水剤が、五酸化リンを含む、実施形態1~8のいずれか1つの方法。
【0192】
10.脱水剤が、有機リン化合物を含む、実施形態1~8のいずれか1つの方法。
【0193】
11.有機リン化合物が、有機ホスフェートである、実施形態10の方法。
【0194】
12.有機リン化合物が、アルキルハロホスフェート又はシクロアルキルハロホスフェートである、実施形態10の方法。
【0195】
13.有機リン化合物が、エチルジクロロホスフェート、ジエチルクロロホスフェート、メチルジクロロホスフェート、ジメチルクロロホスフェート、エチルジフルオロホスフェート、ジエチルフルオロホスフェート、メチルジフルオロホスフェート若しくはジメチルフルオロホスフェート、又はそれらの任意の組合せである、実施形態10の方法。
【0196】
14.脱水剤が、カルボジイミド化合物を含む、実施形態1~8のいずれか1つの方法。
【0197】
15.カルボジイミド化合物が、
【0198】
【化52】
(式中、各R
4及びR
5は、独立して、アルキル又はシクロアルキルである)である、実施形態14の方法。
【0199】
16.カルボジイミド化合物が、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミドである、実施形態14の方法。
【0200】
17.脱水剤が、トリアジン化合物を含む、実施形態1~8のいずれか1つの方法。
【0201】
18.トリアジン化合物が、ハロ置換トリアジン化合物である、実施形態17の方法。
【0202】
19.トリアジン化合物が、1,3,5-トリアジンである、実施形態17又は18の方法。
【0203】
20.トリアジン化合物が、塩化シアヌルである、実施形態17又は18の方法。
【0204】
21.脱水剤が、有機ケイ素化合物を含む、実施形態1~8のいずれか1つの方法。
【0205】
22.有機ケイ素化合物が、シラザン又はシランである、実施形態21の方法。
【0206】
23.有機ケイ素化合物が、ビス(トリメチルシリル)アミンである、実施形態21の方法。
【0207】
24.有機ケイ素化合物が、
【0208】
【化53】
(式中、各R
6、R
7、R
8及びR
9は、独立して、H、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、アミノ、又はアルコキシである)である、実施形態21の方法。
【0209】
25.有機ケイ素化合物が、ヒドロシランである、実施形態21の方法。
【0210】
26.脱水剤が、ハロゲン化アルキルアンモニウムをさらに含む、実施形態25の方法。
【0211】
27.ハロゲン化アルキルアンモニウムが、フッ化テトラブチルアンモニウムである、実施形態26の方法。
【0212】
28.有機ケイ素化合物が、シランである、実施形態21の方法。
【0213】
29.シランが、ハロシラン、アルコキシシラン、又はアミノシランである、実施形態28の方法。
【0214】
30.脱水剤が、遷移金属錯体を含む、実施形態1~8のいずれか1つの方法。
【0215】
31.遷移金属錯体が、少なくとも1つのハロゲン化物又は酸化物配位子を含む、実施形態30の方法。
【0216】
32.遷移金属錯体が、パラジウム又は亜鉛を含む、実施形態30又は31の方法。
【0217】
33.遷移金属錯体が、水、アセトニトリル又はそれらの混合物中で提供される塩化パラジウム又は塩化亜鉛である、実施形態30又は31の方法。
【0218】
34.遷移金属錯体が、酸化バナジウムを含む、実施形態30又は31の方法。
【0219】
35.脱水剤が、有機ケイ素化合物及び遷移金属錯体を含む、実施形態1~8のいずれか1つの方法。
【0220】
36.有機ケイ素化合物が、N-メチル-N-(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミドである、実施形態35の方法。
【0221】
37.遷移金属錯体が、金属トリフラート又は金属ハロゲン化物である、実施形態35又は36の方法。
【0222】
38.有機ケイ素化合物が、シランを含む、実施形態35の方法。
【0223】
39.遷移金属錯体が、鉄錯体である、実施形態35又は38の方法。
【0224】
40.有機ケイ素化合物が、アルコキシアルキルシランである、実施形態35の方法。
【0225】
41.遷移金属錯体が、金属カーボネートである、実施形態35又は40の方法。
【0226】
42.金属カーボネートが、炭酸鉄である、実施形態41の方法。
【0227】
43.脱水剤が、
(i)亜鉛トリフラート及びN-メチル-N-(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド;又は
(ii)塩化銅及びN-メチル-N-(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド;又は
(iii)鉄錯体及びシラン;又は
(iv)炭酸鉄及びジエトキシメチルシラン
を含む、実施形態1~8のいずれか1つの方法。
【0228】
44.脱水剤が、アルミニウム錯体を含む、実施形態1~8のいずれか1つの方法。
【0229】
45.アルミニウム錯体が、ハロゲン化アルミニウムを含む、実施形態44の方法。
【0230】
46.アルミニウム錯体が、水、アセトニトリル若しくはアルカリ金属塩、又はそれらの混合物と錯化されている、実施形態44又は45の方法。
【0231】
47.脱水剤が、AlCl3・H2O/KI/H2O/CH3CN系又はAlCl3・NaIを含む、実施形態1~8のいずれか1つの方法。
【0232】
48.脱水剤が、固体担体をさらに含む、実施形態1~47のいずれか1つの方法。
【0233】
49.固体担体が、ハイドロタルサイトである、実施形態48の方法。
【0234】
50.脱水剤が、単量体の酸化バナジウム及びハイドロタルサイトを含む、実施形態1~8のいずれか1つの方法。
【0235】
51.脱水剤が、TiO2、ZrO2、Al2O3、SiO2、ZnO2、SnO2、WO3、MnO2、Nb2O5、P2O5、Fe2O3、SiO2/Al2O3、ZrO2/WO3、ZrO2/Fe2O3若しくはZrO2/MnO2、又はそれらの任意の組合せを含む、実施形態1~8のいずれか1つの方法。
【0236】
52.脱水剤が、チタン酸、金属酸化物水和物、金属サルフェート、金属酸化物サルフェート、金属ホスフェート、金属酸化物ホスフェート、鉱酸、カルボン酸若しくはその塩、酸性樹脂、酸性ゼオライト、粘土、又はそれらの任意の組合せを含む、実施形態1~8のいずれか1つの方法。
【0237】
53.脱水剤が、H3PO4/SiO2、フッ素化Al2O3、Nb2O3/PO4
-3、Nb2O3/SO4
-2、Nb2O5、H3PO4、リン酸塩、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、ケイモリブデン酸、ケイタングステン酸、Mg2P2O7、MgHPO4、又はそれらの任意の組合せを含む、実施形態1~8のいずれか1つの方法。
【0238】
54.脱水剤が、ゼオライトを含む、実施形態1~8のいずれか1つの方法。
【0239】
55.ゼオライトが、水素型若しくはアンモニア型であるか、又は金属交換ゼオライトである、実施形態54の方法。
【0240】
56.金属交換ゼオライトが、Li、Na、K、Ca、Mg、又はCuを含む、実施形態54の方法。
【0241】
57.ゼオライトが、直径1~10オングストロームの範囲の細孔径を有する、実施形態54の方法。
【0242】
58.ゼオライトが、中孔径ゼオライトである、実施形態54の方法。
【0243】
59.ゼオライトが、約5~6オングストローム、又は約5.6*6.0オングストローム、又は約5.1*5.5~5.3*5.6オングストロームの細孔径を有する、実施形態54の方法。
【0244】
60.ゼオライトが、大孔径ゼオライトである、実施形態54の方法。
【0245】
61.ゼオライトが、ZSM-12、ZSM-5、モルデナイト、フォージャサイト、又はゼオライトYである、実施形態54の方法。
【0246】
62.気相の式(2)の化合物を、脱水剤を含む加熱された反応器に通すことにより、式(2)の化合物が脱水して式(3-1)の化合物及び/又は式(3)の化合物を生成する、実施形態1~61のいずれか1つの方法。
【0247】
63.反応器が、充填床反応器、流動床反応器、又は移動床反応器である、実施形態62の方法。
【0248】
64.式(1)の化合物及びアンモニアを、反応器内で、50%を超える選択性で式(2)の化合物を生成するのに適した平均温度で組み合わせるステップを含む方法であって、
式(1)の化合物は、
【0249】
【0250】
【化55】
であり、式中、R
1は、H又はアルキルである方法。
【0251】
65.式(1)の化合物及びアンモニアを反応器内で組み合わせて、式(2)の化合物、式(3-I)の化合物及び/若しくは式(3)の化合物、又はそれらの任意の異性体(場合に応じて)を、50%を超える選択性で生成するステップを含む方法であって、
式(1)の化合物は、
【0252】
【0253】
【0254】
【0255】
【化59】
である、
(式中、R
1は、H又はアルキルである)
方法。
【0256】
66.反応器の温度が、式(2)の化合物、式(3-I)の化合物及び/若しくは式(3)の化合物、又はそれらの異性体(場合に応じて)を、50%を超える選択性で生成するのに適した平均温度に維持される、実施形態64又は65の方法。
【0257】
67.式(1)の化合物が、アンモニアを含む反応器に滴下により添加される、実施形態64~66のいずれか1つの方法。
【0258】
68.式(1)の化合物が、アンモニアを含む反応器への単回注入により添加される、実施形態64~66のいずれか1つの方法。
【0259】
69.アンモニアを反応器に提供するステップと、
式(1)の化合物の第1の部分を反応器に添加するステップであって、
式(1)の化合物は、
【0260】
【化60】
(式中、R
1は、H又はアルキルである)であるステップと、
式(1)の化合物の第1の部分の添加後、反応器の温度を制御するステップと、
式(1)の化合物の第2の部分を反応器に添加するステップと、
式(1)の化合物の第2の部分の添加後、反応器の温度を制御するステップと
を含む方法であって、式(I)の化合物の第1の部分及び第2の部分の添加により、式(2)の化合物:
【0261】
【化61】
(式中、R
1は、上記で定義した通りである)が生成され、
反応器の温度は、式(2)の化合物を生成するのに適した平均温度に制御される方法。
【0262】
70.式(1)の化合物及びアンモニアを不均一触媒床に同時供給して、式(2)の化合物を生成するステップを含む方法であって、
式(1)の化合物は、
【0263】
【0264】
【化63】
である、
(式中、R
1は、H又はアルキルである)
方法。
【0265】
71.式(1)の化合物が、液体として反応器に供給される、実施形態70の方法。
【0266】
72.式(1)の化合物及びアンモニアの流量が、別々に制御される、実施形態70又は71の方法。
【0267】
73.アンモニアが反応器中に過剰に存在する、実施形態70~72のいずれか1つの方法。
【0268】
74.式(2)の化合物及び過剰のアンモニアを含む生成物ストリームを反応器から収集するステップをさらに含む、実施形態70~73のいずれか1つの方法。
【0269】
75.式(2)の化合物が、液体形態で収集される、実施形態74の方法。
【0270】
76.生成物ストリームが、収集フラスコに収集される、実施形態74又は75の方法。
【0271】
77.収集フラスコの温度が、式(2)の化合物の沸点未満である、実施形態76の方法。
【0272】
78.生成物ストリームから過剰なアンモニアを分離するステップをさらに含む、実施形態70~77のいずれか1つの方法。
【0273】
79.分離されたアンモニアを反応器にリサイクルするステップをさらに含む、実施形態78の方法。
【0274】
80.不均一触媒床が、金属酸化物、塩基性ゼオライト、アルカリ金属交換ゼオライト、塩基修飾アルミナ、又は固体「超塩基」を含む、実施形態70~79のいずれか1つの方法。
【0275】
81.反応器が、式(2)の化合物が気体である温度に維持される、実施形態70~80のいずれか1つの方法。
【0276】
82.式(2)の化合物が、無水で生成される、実施形態70~81のいずれか1つの方法。
【0277】
83.アンモニアが、アンモニア水である、又は
アンモニアが、液体アンモニアである、又は
アンモニアが、無水アンモニアである、又は
アンモニアが、無水気体アンモニアである、実施形態70~82のいずれか1つの方法。
【0278】
84.式(3-I)の化合物が、アクリルアミドであり、式(3)の化合物が、アクリロニトリルである、実施形態1~83のいずれか1つに記載の方法。
【0279】
85.実施形態84の方法に従ってアクリルアミドを生成するステップと、
アクリルアミドを重合させてポリアクリルアミドを生成するステップと
を含む、ポリアクリルアミドの生成方法。
【0280】
86.実施形態84の方法に従ってアクリロニトリルを生成するステップと、
アクリロニトリルを重合させてポリアクリロニトリルを生成するステップと
を含む、ポリアクリロニトリルの生成方法。
【0281】
87.実施形態86の方法に従ってポリアクリロニトリルを生成するステップと、
ポリアクリロニトリルから炭素繊維を生成するステップと
を含む、炭素繊維の生成方法。
【0282】
88.連続撹拌槽反応器を含むシステムであって、
前記連続槽反応器は、
式(1)の化合物:
【0283】
【化64】
(式中、R
1は、H又はアルキルである)を受容するように構成された第1の入口と;
アンモニアを受容するように構成された第2の入口であって、反応器が、式(1)の化合物をアンモニアに添加して、アンモニアが過剰に存在するような式(1)の化合物に対するアンモニアの比を達成するように構成され、
反応器が、温度を維持するのに適した速度で式(1)の化合物をアンモニアに添加するように構成され、
反応器が、液体形態のアンモニア及び式(1)の化合物を受容するように構成される、第2の入口と;
反応器内の温度を一定に保つように構成されたジャケットと;
過剰なアンモニアを反応器から放出するように構成されたベントと;
式(1)の化合物及びアンモニアから生成された式(2)の化合物を含む生成物ストリームを放出するように構成された出口と
を備え、式(2)の化合物は、
【0284】
【化65】
(式中、R
1は、式(1)について上記で定義された通りである)である、システム。
【0285】
89.反応器であって、
アンモニア及び式(1)の化合物を受容するように構成された入口であって、アンモニアは気体状であり、式(1)の化合物は液体状であり、式(1)の化合物は、
【0286】
【化66】
(式中、R
1は、H又はアルキルである)である、入口と;
不均一触媒床であって、反応器が、アンモニア及び式(1)の化合物を不均一触媒床に同時供給するように構成され、
反応器が、アンモニア及び式(1)の化合物の流速を別々に制御するように構成され、
反応器が、式(1)の化合物をアンモニアに添加して、アンモニアが過剰に存在するような式(1)の化合物に対するアンモニアの比を達成するように構成される、不均一触媒床と;
反応器内の温度を一定に維持するように構成されたジャケットと;
過剰なアンモニアを反応器から放出するように構成されたベントと;
式(1)の化合物及びアンモニアから生成された式(2)の化合物を含む生成物ストリームを放出するように構成された出口と
を備え、
前記式(2)の化合物は、
【0287】
【化67】
(式中、R
1は、式(1)について上記で定義された通りである)である、システム。
【0288】
90.式(2)の化合物が、溶融形態で提供される、実施形態88又は89のシステム。
【0289】
91.式(3)の化合物:
【0290】
【化68】
(式中、R
1は、H若しくはアルキルである)又はその異性体の生成方法であって、
式(2)の化合物を脱水剤と組み合わせて、式(3)の化合物又はその異性体を生成するステップを含み、
式(2)の化合物は、
【0291】
【化69】
(式中、R
1は、式(3)について上記で定義した通りである)であり、
脱水剤は、五酸化リン、有機リン化合物、カルボジイミド化合物、トリアジン化合物、有機ケイ素化合物、遷移金属錯体若しくはアルミニウム錯体、又はそれらの任意の組合せを含む方法。
【0292】
92.式(1)の化合物をアンモニアと組み合わせて、式(2)の化合物を生成するステップをさらに含み、
式(1)の化合物は、
【0293】
【化70】
(式中、R
1は、式(3)について上記で定義した通りである)である、実施形態91の方法。
【0294】
93.式(3)の化合物:
【0295】
【化71】
(式中、R
1は、H若しくはアルキルである)又はその異性体の生成方法であって、
式(1)の化合物をアンモニア及び脱水剤と組み合わせて、式(3)の化合物又はその異性体を生成するステップを含み、
式(1)の化合物は、
【0296】
【化72】
(式中、R
1は、式(3)について上記で定義した通りである)であり、
脱水剤は、五酸化リン、有機リン化合物、カルボジイミド化合物、トリアジン化合物、有機ケイ素化合物、遷移金属錯体若しくはアルミニウム錯体、又はそれらの任意の組合せを含む方法。
【0297】
94.アンモニアが、水酸化アンモニウム又はアンモニア水である、実施形態92又は93の方法。
【0298】
95.式(1)の化合物が、室温でアンモニアと組み合わされる、実施形態92~94のいずれか1つの方法。
【0299】
96.R1が、Hである、実施形態91~95のいずれか1つの方法。
【0300】
97.R1が、アルキルである、実施形態91~95のいずれか1つの方法。
【0301】
98.R1が、メチル又はエチルである、実施形態91~95のいずれか1つの方法。
【0302】
99.脱水剤が、五酸化リンを含む、実施形態91から98のいずれか1つの方法。
【0303】
100.脱水剤が、有機リン化合物を含む、実施形態91~98のいずれか1つの方法。
【0304】
101.有機リン化合物が、有機ホスフェートである、実施形態100の方法。
【0305】
102.有機リン化合物が、アルキルハロホスフェート又はシクロアルキルハロホスフェートである、実施形態100の方法。
【0306】
103.有機リン化合物が、エチルジクロロホスフェート、ジエチルクロロホスフェート、メチルジクロロホスフェート、ジメチルクロロホスフェート、エチルジフルオロホスフェート、ジエチルフルオロホスフェート、メチルジフルオロホスフェート若しくはジメチルフルオロホスフェート、又はそれらの任意の組合せである、実施形態100の方法。
【0307】
104.脱水剤が、カルボジイミド化合物を含む、実施形態91~98のいずれか1つの方法。
【0308】
105.カルボジイミド化合物が、
【0309】
【化73】
(式中、各R
4及びR
5は、独立して、アルキル又はシクロアルキルである)である、実施形態104の方法。
【0310】
106.カルボジイミド化合物が、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミドである、実施形態104の方法。
【0311】
107.脱水剤が、トリアジン化合物を含む、実施形態91~98のいずれか1つの方法。
【0312】
108.トリアジン化合物が、ハロ置換トリアジン化合物である、実施形態107の方法。
【0313】
109.トリアジン化合物が、1,3,5-トリアジンである、実施形態107又は108の方法。
【0314】
110.トリアジン化合物が、塩化シアヌルである、実施形態107又は108の方法。
【0315】
111.脱水剤が、有機ケイ素化合物を含む、実施形態91~98のいずれか1つの方法。
【0316】
112.有機ケイ素化合物が、シラザン又はシランである、実施形態111の方法。
【0317】
113.有機ケイ素化合物が、ビス(トリメチルシリル)アミンである、実施形態111の方法。
【0318】
114.有機ケイ素化合物が、
【0319】
【化74】
(式中、各R
6、R
7、R
8及びR
9は、独立して、H、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ハロ、アミノ、又はアルコキシである)である、実施形態111の方法。
【0320】
115.有機ケイ素化合物が、ヒドロシランである、実施形態111の方法。
【0321】
116.脱水剤が、ハロゲン化アルキルアンモニウムをさらに含む、実施形態115の方法。
【0322】
117.ハロゲン化アルキルアンモニウムが、フッ化テトラブチルアンモニウムである、実施形態116の方法。
【0323】
118.有機ケイ素化合物が、シランである、実施形態111の方法。
【0324】
119.シランが、ハロシラン、アルコキシシラン、又はアミノシランである、実施形態118の方法。
【0325】
120.脱水剤が、遷移金属錯体を含む、実施形態91~98のいずれか1つの方法。
【0326】
121.遷移金属錯体が、少なくとも1つのハロゲン化物又は酸化物配位子を含む、実施形態120の方法。
【0327】
122.遷移金属錯体が、パラジウム又は亜鉛を含む、実施形態120又は121の方法。
【0328】
123.遷移金属錯体が、水、アセトニトリル又はそれらの混合物中で提供される塩化パラジウム又は塩化亜鉛である、実施形態120又は121の方法。
【0329】
124.遷移金属錯体が、酸化バナジウムを含む、実施形態120又は121の方法。
【0330】
125.脱水剤が、有機ケイ素化合物及び遷移金属錯体を含む、実施形態91~98のいずれか1つの方法。
【0331】
126.有機ケイ素化合物が、N-メチル-N-(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミドである、実施形態125の方法。
【0332】
127.遷移金属錯体が、金属トリフラート又は金属ハロゲン化物である、実施形態125又は126の方法。
【0333】
128.有機ケイ素化合物が、シランを含む、実施形態125の方法。
【0334】
129.遷移金属錯体が、鉄錯体である、実施形態125又は128の方法。
【0335】
130.有機ケイ素化合物が、アルコキシアルキルシランである、実施形態125の方法。
【0336】
131.遷移金属錯体が、金属カーボネートである、実施形態125又は130の方法。
【0337】
132.金属カーボネートが、炭酸鉄である、実施形態131の方法。
【0338】
133.脱水剤が、
(i)亜鉛トリフラート及びN-メチル-N-(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド;又は
(ii)塩化銅及びN-メチル-N-(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド;又は
(iii)鉄錯体及びシラン;又は
(iv)炭酸鉄及びジエトキシメチルシランを含む、実施形態91~98のいずれか1つの方法。
【0339】
134.脱水剤が、アルミニウム錯体を含む、実施形態91~98のいずれか1つの方法。
【0340】
135.アルミニウム錯体が、ハロゲン化アルミニウムを含む、実施形態134の方法。
【0341】
136.アルミニウム錯体が、水、アセトニトリル若しくはアルカリ金属塩、又はそれらの混合物と錯化されている、実施形態134又は135の方法。
【0342】
137.脱水剤が、AlCl3・H2O/KI/H2O/CH3CN系又はAlCl3・NaIを含む、実施形態91~98のいずれか1つの方法。
【0343】
138.脱水剤が、固体担体をさらに含む、実施形態91~137のいずれか1つの方法。
【0344】
139.固体担体が、ハイドロタルサイトである、実施形態138の方法。
【0345】
140.脱水剤が、単量体の酸化バナジウム及びハイドロタルサイトを含む、実施形態91~98のいずれか1つの方法。
【0346】
141.式(2)の化合物:
【0347】
【化75】
(式中、R
1は、H又はアルキルである)と;
五酸化リン、有機リン化合物、カルボジイミド化合物、トリアジン化合物、有機ケイ素化合物、遷移金属錯体若しくはアルミニウム錯体、又はそれらの任意の組合せを含む脱水剤と
を含む組成物。
【0348】
142.式(3)の化合物:
【0349】
【化76】
(式中、R
1は、式(2)について上記で定義した通りである)
又はその異性体
をさらに含む、実施形態141の組成物。
【0350】
143.式(1)の化合物:
【0351】
【化77】
(式中、R
1は、式(2)について上記で定義された通りである)と;
アンモニアと
をさらに含む、実施形態141又は142に記載の組成物。
【0352】
144.式(1)の化合物:
【0353】
【化78】
(式中、R
1は、H又はアルキルである)と;
アンモニアと;
五酸化リン、有機リン化合物、カルボジイミド化合物、トリアジン化合物、有機ケイ素化合物、遷移金属錯体若しくはアルミニウム錯体、又はそれらの任意の組合せを含む脱水剤と
を含む組成物。
【0354】
145.式(3)の化合物:
【0355】
【化79】
(式中、R
1は、式(1)について上記で定義した通りである)
又はその異性体
をさらに含む、実施形態144の組成物。
【実施例】
【0356】
以下の実施例は単に例示的なものであり、本開示のいかなる態様も決して限定するものではない。
【0357】
[実施例1]
<3-ヒドロキシプロパンアミド(3-HPアミド)の無水合成>
この例は、ベータプロピオラクトン(BPL)から3-ヒドロキシプロパンアミド(3-HPアミド)を合成するための工程に関する。この工程は、水で汚染されていない3-HPアミドを生成するように極めて選択的である。
【0358】
合成は、BPLを制御された様式でアンモニアの液体プールに添加することにより行われる。これは、アンモニア及びBPLを液体として添加できるように構成されたParr型反応器に、ベータプロピオラクトン及び液体アンモニア(無水)を添加することにより実行される。また、反応器は、反応条件において、及び反応中に生成される可能性のある圧力を含むように構成され、一定の温度を維持するためにジャケットが付けられている。又は、反応器は、圧力下で動作し、反応工程中に沸騰するアンモニアを凝縮して反応器に戻すことにより反応器内の温度を制御するのに適した凝縮器を備えてもよい。BPLは、温度が所望の設定値に制御される速度で液体アンモニアに添加される。BPLに対するアンモニアの比率は、アンモニアが常に極めて過剰になるように維持される。
【0359】
所望量のBPLを添加し、完全な変換に十分な時間を与えた後、アンモニアを排出させることにより反応を停止させ、アンモニアを回収して次の反応にリサイクルする。反応器内の残りの材料は、ほとんどが3-HPアミドであり、これを収集及び精製する。
【0360】
この工程のいくつかの変形形態において、この反応の温度は、33℃から室温の範囲内である。水性反応は室温で生じる。反応に必要な圧力は、最適な反応温度でのアンモニアの蒸気圧によって設定される。
【0361】
[実施例2]
<3-HPアミドの生産のための不均一触媒工程>
この例は、BPLから3-HPアミドを合成する別の工程に関する。この工程は極めて選択的であり、不均一塩基触媒上で継続的に実行される。
【0362】
合成は、BPL及びアンモニアを不均一触媒床に同時供給することにより行われる。BPLは液体として反応器に供給され、アンモニアはガスとして反応器に供給される。この反応器構成は、「トリクルベッド反応器」と呼ばれる場合がある。液体BPL及び気体アンモニアの流量は、別々に制御される。比率は、アンモニアが常に過剰になるように制御される。触媒床での滞留時間は、BPLの完全な変換が確実に行われるように制御される。生成物3-HPアミドは、反応器の出口で、液体形態で収集され、気体の過剰なアンモニアは分離されて反応器にリサイクルされる。
【0363】
工程のいくつかの変形形態において、使用される塩基触媒は、金属酸化物(例えばMgO、ZrO)、塩基性ゼオライト(例えばアンモニア形態のゼオライト前駆体NH4ZSM5)、アルカリ金属交換ゼオライト、他の修飾ゼオライト、塩基修飾アルミナ、固体の「超塩基」(例えばゼオライト上のランタニドイミド及び窒化物、金属酸窒化物、並びにKNH2/Al2O3)を含み得る。
【0364】
この工程のいくつかの変形形態において、この反応の温度は、10℃~100℃の範囲内である。水性反応は室温で生じる。ある特定の変形形態において、この工程は、3-HPアミドが気体である温度で実行される。一変形形態において、この工程は、65~75℃で実行される。
【0365】
生成物収集フラスコは、3-HPアミドの沸点より低いが、アンモニアの沸点より高い。いくつかの変形形態において、収集温度は、-30℃~65℃である。一変形形態において、収集温度は、約0℃である。
【0366】
[実施例3]
<3-HPアミドの不均一触媒生成のための反応器設計>
この例は、上記の例2で説明した工程のように、BPLから高度の選択性で3-HPアミドを生成する工程に適した反応器の設計について説明する。この反応器は、アンモニア及びBPLが不均一触媒床でのみ接触するように設計されている。
【0367】
この例では、シェル反応器内のチューブが使用される。触媒粒子は、チューブ間及びチューブの周りに充填される。アンモニア等の1つの反応物が、シェル側に触媒床を介して供給される。次いで、ベータプロピオラクトン等の第2の反応物がチューブを通して供給され、2つの様式のいずれかでチューブがその反応物に対して多孔質となる。一変形形態において、触媒床に埋め込まれたチューブの長さを通して管に穴を開けることができる。又は、別の変形形態において、チューブは、埋め込まれたチューブの長さを通して多孔質金属チューブで作製されてもよい。チューブは、触媒床まで、又は触媒床内に延在する、中実の非多孔質金属ヘッダーを有してもよい。これらのチューブは、ステンレス鋼、ハステロイ、インコネル及びチタンを含む、様々な非反応性金属で作製されてもよい。
【0368】
上記の一変形形態において、気体アンモニアがチューブを通して供給され、液体BPLがシェル側の触媒床を通して滴下される。この構成では、焼結金属チューブが使用されてもよく、細孔径を制御することにより後方拡散がほぼゼロになるように構成されてもよい。
【0369】
[実施例4A]
<3-HPアミドを介したアクリロニトリル又はアクリルアミドの生成の統合された工程>
この例は、単離されていない3-HPアミドを介してアクリロニトリル、アクリルアミド、又はそれらの組合せを生成する統合された工程について説明する。この例で説明される統合された工程は、(1)無水条件下でBPLから3-HPアミドを合成する工程、及び(2)3-HPアミドからアクリロニトリル又はアクリルアミド、又はその組合せを合成する工程の2つの工程を組み合わせ、BPLをアクリロニトリル又はアクリルアミド、又はそれらの組合せに変換する1つの連続ユニット操作にするものである。
【0370】
次のシステムには、上記の実施例1で説明された3-HPアミド生成工程が組み込まれている。3-HPアミドの無水合成は、連続撹拌槽反応器(CSTR)で行われ、反応の最後にアンモニア中の3-HPアミドの溶液を生成する。この溶液は、CSTRから保持槽に排出される。保持槽から、アンモニア中の3-HPアミドが、アクリロニトリル又はアクリルアミドのいずれかの所望の生成物の生成に望ましい触媒を含む固定床不均一反応器に連続的に供給され、所望の反応温度に加熱される。不均一反応器では、高い変換率及び高い選択性で3-HPアミドが所望の生成物へ変換される。結果として生じるアクリロニトリル/アンモニア又はアクリルアミド/アンモニアの混合物は、反応器を出て、生成物回収容器に収集され、そこでアンモニアが生成物から分離され、凝縮され、3-HPアミド合成容器にリサイクルされる。重合を防ぐために、この段階で抑制剤が添加されてもよい。一変形形態において、アンモニアが除去される前に抑制剤が添加される。別の変形形態において、アンモニアが除去された後に抑制剤が添加される。
【0371】
このアプローチの利点の1つは、アクリロニトリル及び/又はアクリルアミドが、中間の分離及び精製工程なしでBPLから無溶媒で連続的に生成されることである。
【0372】
[実施例4B]
<3-HPアミドを介したアクリロニトリル又はアクリルアミドの生成の統合された工程>
この例は、単離されていない3-HPアミドを介してアクリロニトリル、アクリルアミド、又はそれらの組合せを生成する統合された工程について説明する。この例で説明される統合された工程は、(1)無水条件下でBPLから3-HPアミドを合成する工程、及び(2)3-HPアミドからアクリロニトリル又はアクリルアミド、又はその組合せを合成する工程の2つの工程を組み合わせ、BPLをアクリロニトリル又はアクリルアミド、又はそれらの組合せに変換する1つの連続ユニット操作にするものである。
【0373】
次のシステムには、上記の実施例2及び/又は実施例3で説明された3-HPアミド生成工程が組み込まれている。実施例2及び3に記載された工程に関して、トリクルベッド反応器の反応器出口での3-HPアミド合成反応器からの出力は、3-HPアミドの最適な収率に必要な過剰のアンモニアと混合された3-HPアミドの気相ストリームである。次いで、この気相混合物は、所望の生成物、アクリロニトリル又はアクリルアミドの生成のための所望の触媒を含む固定床不均一反応器に直接供給され、所望の反応温度に加熱される。不均一反応器では、高い変換率及び高い選択性で3-HPアミドが所望の生成物へ変換される。工程の残りは、上記の実施例4Aで説明した通りである。
【0374】
この統合アプローチの重要な利点の1つは、未反応アンモニアの量がより少なく、必要な過剰量を両方の工程ステップ(3-HPアミド合成及びその後の脱水生成物であるアクリロニトリル又はアクリルアミドへの変換)に対して同時に最適化でき、必要なリサイクルアンモニアの量を最小限に抑えられることである。さらに、この場合の3-HPアミド合成反応器への供給物は気体であるため、リサイクルアンモニアを凝縮する必要がない。さらに、アクリロニトリル及び/又はアクリルアミドは、中間の分離及び精製工程なしでBPLから無溶媒で連続的に生成される。
【0375】
[実施例5]
<3-ヒドロキシプロパンアミド合成>
この例は、3-HPアミドの生成における添加順序及び溶媒の影響を検討する。
【0376】
【0377】
以下の表1に示される説明に従って、BPL及びアンモニアを組み合わせた。3-HPアミドの収率を、1H NMR及びLC-MSで測定した。
【0378】
【0379】
[実施例6]
<3-ヒドロキシプロパンアミド合成>
この例は、追加されたBPLと比較した、使用された水酸化アンモニウムの量の影響を検討する。
【0380】
BPL及び水酸化アンモニウムを、以下の表2に示されるNH4OH:BPLモル比で、5L反応器内で組み合わせた。3つの実験のそれぞれで同じ温度及びBPL供給速度を使用した。反応混合物の粗試料に基づく3-HPアミドの収率を、1H NMRにより測定した。次いで、反応を実行させた。反応が停止した後、粗反応測定物をイオン交換樹脂に通した。3-HPアミドをイオン交換(IX)樹脂から回収し、3-HPアミドの全体的な収率(合成及び樹脂精製から)を決定した。3-HPアミドの収率を以下の表2にまとめる。
【0381】
【0382】
[実施例7]
<BPLとアンモニア水との反応による3-HPアミド合成>
この例は、BPLとアンモニア水との反応による3-HPアミドの合成を示し、3-HPアミドへの選択性に対する反応条件の影響を評価する。
【0383】
反応は、撹拌付きの温度制御反応器で行った。BPLは、ステンレス鋼シリンダーから定量ポンプを使用して供給した。反応システムには、BPL供給容器の内容物全体を中和するように設計された硫酸溶液スクラバーが装備された。
【0384】
反応器に2955グラムの29wt%アンモニア溶液を充填し、次いでN2で40psigに加圧した(BPL定量ポンプ全体で正圧差を提供するため)。撹拌機を約400rpmでオンにし、9℃に冷却した。535グラムのBPLを供給システムに接続し、N2で16psigに加圧した。BPL供給速度を増加させた。連続BPL供給の期間中(120分)、反応器の温度を9~10℃に維持した。全てのBPLが反応器に供給されたら、供給を脱イオン水に切り替えた。約100グラムの水を反応器に供給して、供給ライン及び供給ポンプのBPLを除去した。反応物はBPL添加の90分後にサンプリングされ、残留BPLはNMR分析により検出されなかった。最終生成物の回収のために、反応混合物を反応器から排出した。
【0385】
<結果>
定量BPL添加により、反応温度が適切に制御された。BPLと濃アンモニア水溶液とのほぼ瞬時の反応が観察された。BPL供給速度の増加後の僅かな反応器温度の上昇(約1℃)は、CTBセットポイントの減少により補償された。反応器は、BPL供給を停止してから数分以内に約9~10℃から約7℃に冷却された。
【0386】
表3A及び3Bは、反応条件、並びに3-HPアミド及び生成された他の化合物に対する選択性を示している。3-HPアミドに対する選択性は89%であり、3-ヒドロキシプロピオン酸が検出された。
【0387】
【0388】
【0389】
反応温度及びBPL添加速度等、十分制御された条件でBPLとアンモニア水との反応を行うと、3-HPアミド生成物に対する選択性が高くなった。
【0390】
[実施例8]
<3-HPアミド合成に対するNH4OH:BPL比の影響>
この例は、3-HPアミドへの選択性に対するNH4OH:BPL比の影響を評価する。この例では、以下を除いて、上記の実施例7と同じ材料及び手順を使用した:2891グラムの29wt%アンモニアを反応器に投入し、704グラムのBPLを5.2g/時間の速度で供給した。
【0391】
定量BPL添加により、反応温度が適切に制御された。上記の実施例7と同様に、BPLと濃アンモニア水溶液とのほぼ瞬時の反応が観察された。表4A及び4Bは、反応条件、並びに3-HPアミド及び生成された他の化合物に対する選択性を示している。3-HPアミドに対する選択性は89%であった。
【0392】
【0393】
【0394】
反応温度及びBPL添加速度等、十分制御された条件でBPLとアンモニア水との反応を行うと、3-HPアミドに対する選択性が高くなった。実施例7における3.3:1からこの例における2.4:1へのNH4OH:BPLの減少は、3-HPアミドに対する選択性に影響しなかった(アンモニア使用量を25%削減)。775グラムの粗3-HPアミドが生成された。
【0395】
[実施例9]
<Al2O3を使用したアクリロニトリル合成>
この例は、アルミナ(Al2O3)を使用した3-ヒドロキシプロパンアミドの脱水によるアクリロニトリルの生成を示す。
【0396】
<反応器構成>
3-ヒドロキシプロパンアミドの脱水によるアクリロニトリルの生成には、連続管型反応器を使用した。この例は、均一に加熱できるGC注入ポートを使用して行われた。GCのガラスライナーは、管状反応器の代わりに使用された。両側に不活性グラスウールを詰めたライナーに少量の触媒を入れた。
【0397】
<触媒の調製>
使用したAl2O3触媒は、1/8インチのペレットの形態で入手した。これを粉砕して篩にかけ(250~600μm)、反応器に装填した。
【0398】
<原料の調製>
原料の3-HPアミドを脱イオン水に溶解し、マイクロシリンジで注入ポートに注入した。供給液は、反応温度下で蒸発することが観察され、Heキャリアガス下で触媒床に押し通された。触媒量及び/又はキャリアガス流量の調整により、異なる滞留時間を実現できた。注入ポートは、400℃の加熱能力で加熱され得る。反応からの流出液は、分離及び定量分析のためにGCカラムに直接送出された。
【0399】
<一般手順>
3-HPアミドを計量してオートサンプラーバイアルミニインサートに入れ、蒸留水を加えた。3-HPアミドが溶解し、11.08%溶液(w/w)が得られた。GC注入ポートライナー(逆カップデザイン)には、Al2O3粒子を支持するためにカップのすぐ上にグラスウールの小さなプラグを詰めた。篩にかけたAl2O3を添加して、長さ0.2cmの床を得た。Al2O3床の上にグラスウールを追加して、所定の位置に保持した。グラスウールのみを含む不活性化オープンチューブライナーもブランクテストに使用した。FID検出器と結合したGCを生成物分析に使用した。ライナーを通るヘリウムの総流量は、400℃のライナーで42mL/分に保持した。使用したGCカラムの寸法は、15メートル×0.32mm×0.25umであった。
【0400】
<結果>
3-HPアミドの熱安定性を、触媒の非存在下で調査した。3-HPアミドは、短時間で400℃までの高温下でかなりの安定性を示すことが観察された。アクリルアミドの形成は1%未満であり、3-HPアミド又はアンモニアはGCでは検出されなかった。
【0401】
その後、3-HPアミド水溶液を400℃で充填Al
2O
3触媒床(0.2cm)で反応に注入した。15回の注入の元のGCデータを以下の表5に列挙し、コンパイルした結果を
図9に示す。3-HPアミドの変換は、各注入で100%であることが観察された。生成物中に見られる主な種は、アクリロニトリル(50%)であった。
【0402】
【0403】
<結論>
Al2O3触媒を使用した3-HPアミド脱水のこの例は、3-HPアミドのアクリロニトリルへの変換を実証した。アクリロニトリルは、GCで検出された主要な生成物であった。
【0404】
[実施例10]
<Nb2O5を使用したアクリロニトリル合成>
この例は、Nb2O5を使用した3-ヒドロキシプロパンアミドの脱水によるアクリロニトリルの生成を実証する。この例は、上記の実施例9で説明したように、GC注入ポートを使用して行われた。
【0405】
【0406】
【0407】
[実施例11]
<アクリロニトリル合成>
この例は、アルミナを使用したアクリロニトリルの生成を実証し、ここでは、溶融3-HPアミドが連続モードで垂直管状反応器に供給された。
【0408】
気相触媒反応システムを、次のように構成した:30gの3-ヒドロキシプロパンアミド(99%)を調製し、反応容器に加えた。触媒反応器に、1gの30~60メッシュAl2O3触媒と、触媒床の前後に不活性担体として20gの炭化ケイ素とを充填した。原料を80℃未満まで温め、定量ポンプにより約10WHSVの速度で固定床反応器に供給した。反応器の温度を350℃に維持した。試料を約30分刻みで1時間収集した。試料を、アクリロニトリル、アクリルアミド、アクリル酸、3-ヒドロキシプロパンアミド及び他の潜在的な生成物についてNMR及びGC-FIDで分析した。変換及び選択性の結果を、以下の式を使用して計算した。
【0409】
【0410】
【0411】
結果は、3-HPアミド酸の全変換率が100%であることを示した。アクリロニトリルの選択性は13%であった。試料から検出された他の生成物は、アクリルアミド及びポリアミドを含む。