(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-27
(45)【発行日】2022-07-05
(54)【発明の名称】サイディング出隅定規
(51)【国際特許分類】
B28D 1/04 20060101AFI20220628BHJP
B26D 7/01 20060101ALI20220628BHJP
B27B 27/10 20060101ALI20220628BHJP
B26B 29/06 20060101ALI20220628BHJP
B26D 7/20 20060101ALI20220628BHJP
【FI】
B28D1/04 B
B26D7/01 C
B27B27/10
B26B29/06
B26D7/20
(21)【出願番号】P 2021098634
(22)【出願日】2021-06-14
【審査請求日】2021-06-14
(73)【特許権者】
【識別番号】521259574
【氏名又は名称】秋元 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100129056
【氏名又は名称】福田 信雄
(72)【発明者】
【氏名】秋元 隆
【審査官】豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-131282(JP,A)
【文献】特開2010-105265(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0221329(US,A1)
【文献】特開2003-105941(JP,A)
【文献】特開平10-175206(JP,A)
【文献】実開平4-118999(JP,U)
【文献】特開平9-207123(JP,A)
【文献】米国特許第5472029(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B28D 1/04
B26D 7/01
B28D 7/00
B26B 29/06
B26D 7/20
B27B 11/02
B27B 27/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略矩形状の板体から成る定規本体と、該定規本体の上面に備えられるガイドレール及びカッター刃調整部とで構成されるサイディング出隅定規であって、
定規本体における所定中央箇所には、長手方向に延伸して貫通した所要幅・長さを有するガイドスリットを備えると共に、該ガイドスリットの長手方向両側には略L字状のガイドレールが対向して備えられ、
カッター刃調整部は、一方のガイドレールの外側長手方向両端部に夫々備えられる調整板と、該調整板間に架渡される調整バーとから成り、
調整板は、切断幅を決定する調整メモリと、調整バーの各端部に備えられ下方へ延伸するスライド固定具をスライド可能に挿通し得る調整スリットが夫々備えられており、
サイディング材の内側面を調整バーに当接した状態で、ガイドレールに沿って電動カッターをスライドさせることで、サイディング材を所望幅で切断可能なことを特徴とするサイディング出隅定規。
【請求項2】
前記調整メモリが、位置調整可能であることを特徴とする請求項1に記載のサイディング出隅定規。
【請求項3】
前記ガイドレールに、スライド加工が施されていることを特徴とする請求項1及び請求項2に記載のサイディング出隅定規。
【請求項4】
前記調整バーの両端部に、水平方向に移動可能であってサイディング材の両端近傍を支持可能な支持体が遊嵌されて成ることを特徴とする請求項1乃至3に記載のサイディング出隅定規。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家屋の壁材として形成されるサイディング材の切断時に使用する定規に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、家屋の外壁に使用されるサイディング材を切断する際は、定規や墨つぼを使用してサイディング材の切断線を予め線引きし、その後線引きされた切断線に沿って丸鋸等で直接切断する作業を行っていた。
その際、全ての作業を手作業で行うため、同じ幅のサイディング材に対しても再度同様の線引きをする必要があり、また、場合によっては線引きした切断線から切断面が途中で曲がって切断されてしまう可能性もあって、作業効率の悪化を招く要因の一つとなっていた。
【0003】
この様な問題を解決すべく、特許第5221296号公報(特許文献1)や登録実用新案第3215031号公報(特許文献2)に記載の技術提案がされている。具体的には、特許文献1において、サイディング材の切断予定箇所を、機械的な加工装置にて完全に切り離さないよう予め切削加工を行う技術提案がなされている。また、特許文献2では、岩綿吸音材を切断するために、スライドガイドを備えた定規を使用する技術提案がなされている。
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術提案では、加工装置自体が大型に成りかねず、また、切削された状態のサイディング材を使用することになるため、作業現場にて発生する突発的な要求に対し柔軟な対応ができない、といった問題があった。
さらに、特許文献2に記載の技術提案では、直角的な切断にしか対応できず、斜角的な切断時にスライドガイドが使用できない、といった問題もあった。
【0005】
本出願人は、従来におけるサイディング材の切断作業の煩雑さに着目し、複数のサイディング材に対し同じ幅での切断作業が可能であって、現場にて切断幅の微調整が簡単に行える道具を提供できないものかとの着想のもと、切断幅の調整が簡単にでき、且つ、複数のサイディング材を設定された同じ切断幅で容易に切断可能であって、しかも斜角的な切断にも対応し得る定規を開発し、本発明にかかる「サイディング出隅定規」の提案に至るものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第5221296号公報
【文献】登録実用新案第3215031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記問題に鑑み、複数のサイディング材に対し同じ幅での切断作業が可能であって、現場にて切断幅の微調整が簡単に行える定規を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題を解決するため、本発明は、略矩形状の板体から成る定規本体と、該定規本体の上面に備えられるガイドレール及びカッター刃調整部とで構成されるサイディング出隅定規であって、定規本体における所定中央箇所には、長手方向に延伸して貫通した所要幅・長さを有するガイドスリットを備えると共に、該ガイドスリットの長手方向両側には略L字状のガイドレールが対向して備えられ、カッター刃調整部は、一方のガイドレールの外側長手方向両端部に夫々備えられる調整板と、該調整板間に架渡される調整バーとから成り、調整板は、切断幅を決定する調整メモリと、調整バーの各端部に備えられ下方へ延伸するスライド固定具をスライド可能に挿通し得る調整スリットが夫々備えられており、サイディング材の内側面を調整バーに当接した状態で、ガイドレールに沿って電動カッターをスライドさせることで、サイディング材を所望幅で切断可能なことが可能な手段を採用する。
【0009】
また、本発明は、前記調整メモリが、位置調整可能である手段を採用する。
【0010】
さらに、本発明は、前記ガイドレールに、スライド加工が施されている手段を採用する。
【0011】
さらにまた、本発明は、前記調整バーの両端部に、水平方向に移動可能であってサイディング材の両端近傍を支持可能な支持体が遊嵌されて成る手段を採用する。
【発明の効果】
【0012】
本発明にかかるサイディング出隅定規によれば、調整メモリを使って調整バーの位置を調整し、サイディング材の内側面を調整バーに当接した状態で、ガイドレールに沿って電動カッターをスライドさせることにより、複数のサイディング材を設定された同じ切断幅で容易に切断することが可能である、といった優れた効果を奏するものである。
【0013】
また、本発明にかかるサイディング出隅定規によれば、調整バーの位置調整が容易であり、しかも調整バーを斜角的に固定することも可能であるため、必要に応じて所望する切断幅の設定が随時可能であって、作業現場にて発生する突発的な要求に対し柔軟に対応することができると共に、サイディング材の内側面に対し平行だけでなく斜角的な切断も可能であって、設置形状に沿った適切な切断を可能にする、といった優れた効果を奏するものである。
【0014】
さらに、本発明にかかるサイディング出隅定規によれば、調整メモリの位置を調整可能とすることで、メーカーによって異なる電動カッターのカッター刃の位置に応じて、調整バーとカッター刃との距離を調整することが可能であって、それにより正確な切断幅を設定でき、電動カッターの選択の幅を拡げると共に、正確な切断作業に資する、といった優れた効果を奏するものである。
【0015】
またさらに、本発明にかかるサイディング出隅定規によれば、ガイドレールにスライド加工を施すことで、切断作業において電動カッターのスライド移動をスムーズに行うことが可能となり、且つ、電動カッターとガイドレールとの接地面にて発生する摩耗をも軽減することが可能となって、切断作業における作業負担の軽減に資する、といった優れた効果を奏するものである。
【0016】
さらにまた、本発明にかかるサイディング出隅定規によれば、調整バーの両端部に水平方向に移動可能なサイディング材を支持し得る支持体が遊嵌されることにより、サイディング材の縦幅や内側面の形状を問わず、基準となる内側面との当接を安定させ、正確な切断作業を可能にする、といった優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明にかかるサイディング出隅定規の実施形態を示す分解斜視図である。
【
図2】本発明にかかるサイディング出隅定規の実施形態を示す全体斜視図である。
【
図3】本発明にかかるサイディング出隅定規の使用態様を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明にかかるサイディング出隅定規1は、出隅用のサイディング材Sの内側面をカッター刃調整部3における調整バー34に当接した状態で、ガイドレール2に沿って電動カッターCをスライドさせることで、サイディング材Sを所望幅で切断可能であることを最大の特徴とする。
以下、本発明にかかるサイディング出隅定規1の実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0019】
尚、本発明にかかるサイディング出隅定規1は、以下に述べる実施形態に特に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内、すなわち同一の作用効果を発揮できる形状や寸法、材質等の範囲内で適宜変更することができるものである。
【0020】
図1及び
図2は、本発明にかかるサイディング出隅定規1の実施形態を示すもので、
図1は調整バー34を取り外した分解斜視図、
図2(a)は使用状態の全体斜視図、
図2(b)は使用状態の端面図である。また、
図3は、本発明にかかるサイディング出隅定規1の使用態様を示す説明図あり、(a)はサイディング材Sの内側面と略水平に切断する場合を示し、(b)はサイディング材Sの内側面に対し斜角的に切断する場合を示している。
本発明にかかるサイディング出隅定規1は、主に定規本体10とガイドレール2及びカッター刃調整部3にて構成されている。
【0021】
定規本体10は、略矩形状の板体にて成形されており、該定規本体における所定中央箇所には、長手方向に延伸して貫通した所要幅・長さを有するガイドスリット11が備えられている。そして、定規本体10の上面における該ガイドスリット11の長手方向両側には、略L字状のガイドレール2が対向して備えられている構成となっている。
【0022】
定規本体10の具体的形状については、略矩形状の板体である以外は特に限定するものではないが、サイディング材Sの切断時にガイドスリット2にて電動カッターCが水平方向へ往復移動するため、例えば縦800~1000mm、横200~400mm程度の大きさを有して成形される。
尚、切断対象であるサイディング材Sの大きさに合わせ、定規本体10の長さを伸縮可能な態様も考え得る。
定規本体10の素材についても、特に限定されるものではないが、耐久性や形状の安定性、運搬性といった点から、例えばステンレスやアルミといった軽量の金属素材で成形される態様が好適である。
【0023】
ガイドスリット11は、定規本体10の所定中央箇所において、長手方向に延伸して貫通した所要幅・長さを有するスリットである。このスリット内に電動カッターCのカッター刃が挿通され、サイディング材Sの切断が行われる。ガイドスリット11にカッター刃を挿通した状態で、電動カッターCの電源操作を行うことにより、ヒューマンエラーによる怪我や事故を防ぐことが可能となり、切断作業の安全性に資することとなる。
【0024】
ガイドレール2は、定規本体10の上面において、ガイドスリット10の長手方向両側に備えられるもので、略L字状に成形され、ガイドスリット10を挟んでL字の内側が対向するように備えられている。このガイドレール2は、電動カッターCの底面両側部を支持しつつスライド移動させる機能を有し、切断作業時に電動カッターCが長手方向へスライド移動する際のガイドの役割を果たすと共に、電動カッターCが不必要に短手方向へズレ動くのを防止する役目も果たす。
ガイドレール2の素材については、特に限定するものではなく、例えば定規本体10と同素材のステンレスやアルミといった軽量の金属素材で成形される態様が好適である。
【0025】
尚、ガイドレール2の一方について、短手方向へスライドすることで位置調整可能な態様も考え得る。この態様では、メーカーや種類によって異なる電動カッターCの横幅に対応することが可能となって、各種電動カッターCの横幅に合わせて対向するガイドレール2同士の間隔を調整することで、あらゆる電動カッターCに最適な支持態様を提供し、短手方向へのズレ動きの抑制及び作業効率の向上に資することとなる。
【0026】
ガイドレール2において、電動カッターCとの接触面に、長手方向へスライド加工21が施されている態様が好適である。かかるスライド加工21が施されることにより、ガイドレール2と電動カッターCとの接触面における摩擦抵抗が低減され、電動カッターCのスライド移動をスムーズにさせると共に、スライド移動によって生じる電動カッターCやガイドレール2の摩耗をも軽減することが可能となる。
尚、図面では、ガイドレール2の上方面にのみスライド加工21を施した場合について図示しているが、電動カッターCと接触可能性のあるガイドレール2の側方面にもスライド加工21を施す態様も可能である。
【0027】
カッター刃調整部3は、電動カッターCによるサイディング材Sの切断幅を決定するためのものであって、主に調整板31と調整バー34とで構成され、調整バー34の位置を調整することで、サイディング材Sの内側面からの切断距離が調整されることとなる。
カッター刃調整部3の素材については、特に限定するものではなく、例えば調整板31や調整バー34については、定規本体10やガイドレール2と同素材のステンレスやアルミといった軽量の金属素材で成形される態様が好適である。 また、調整メモリ32やスライド固定具35については、ステンレスやアルミといった軽量の金属素材のほか、樹脂製等も考え得る。
【0028】
調整板31は、ガイドレール2の一方の外側において、その長手方向両端部に夫々備えられるもので、サイディング材Sの切断幅を決定する調整メモリ32と、調整バー34をスライド可能に支持する調整スリット33が各々備えられている。調整メモリ32の数値を基に調整バー34の位置を調整することで、該調整バー34に当接したサイディング材Sの内側面と電動カッターCのカッター刃との距離を調整することが可能で、その距離がサイディング材Sの切断幅となる。
【0029】
調整メモリ32は、調整板31の上面所定箇所に備えられるもので、サイディング材Sにおける内側面からの切断幅を表示するメモリである。必要切断幅のメモリに合わせて調整バー34をスライドさせて固定することで、該調整バー34の外側面側に当接したサイディング材Sにおける内側面から切断位置までの距離が決定されることとなる。
かかる調整メモリ32の具体的態様について、特に表示数値等を限定するものではないが、調整バー34を最内で固定した場合における電動カッターCのカッター刃から調整バー34の外側面までの距離(以下、最低切断幅とする。)を、調整メモリ32の起点となる最内の数値として表示することを要する。例えば、最低切断幅が30mmの場合、調整メモリ32の起点数値は30mmから始まることとなる。また、調整メモリ32の終点数値は、起点数値及び調整板31における調整スリット33の長さを考慮しつつ、調整バー34の最外固定可能位置に鑑みて決定される
【0030】
また、調整メモリ32は、スライドによる位置調整可能な態様が望ましい。メーカーや種類によって電動カッターCにおけるカッター刃の位置が異なるため、使用する各種電動カッターCによって最低切断幅に違いが生じることが想定される。そこで、調整バー34とカッター刃との距離を表示する調整メモリ32の位置について、使用する電動カッターCごと調整可能とすることで、調整メモリ32の表示と実際の切断幅との整合性を担保することができ、正確な切断幅による切断作業を可能にする。調整メモリ32をスライド可能とした場合における固定手段については、特に限定はなく、調整板31に対し位置調整後の調整メモリ32を螺着により固定する手段等が考え得る。
【0031】
調整スリット33は、調整板31における所定中央箇所に備えられ、ガイドレール2の長手方向と直行する方向に延伸したスリットである。該調整スリット33には、調整バー34の各端部において下方へ延伸する様に備えられるスライド固定具35が挿通され、該スライド固定具35が調整スリット33内をスライド移動することで、調整バー34の位置調整が行われる。かかる調整スリット33は、その長さが調整バー34の移動可能距離と直結することとなるため、その点を考慮してスリット長さが決定される。また、調整スリット33のスリット幅は、スライド固定具35との挿通関係に応じ適宜決定される。
【0032】
調整バー34は、ガイドレール2の外側長手方向両端部に夫々備えられた調整板31の間に架渡され、該調整板31上をスライドすることで位置調整が可能になっている。調整バー34の各端部には、スライド固定具35が下方へ延伸する様に備えられており、該スライド固定具35が調整板31に存する調整スリット33へスライド可能に挿通されることで、調整バー34のスライドが可能になっている。調整メモリ32を基に調整バー34をスライドさせ、適当な位置で固定することにより、サイディング材Sの切断幅が決定されることとなる。調整バー34には、サイディング材Sの内側面が当接され、決められた切断幅での切断を可能にする。
【0033】
スライド固定具35は、調整バー34の各端部において下方へ延伸する様に備えられるもので、調整スリット33に挿通されることで、調整板31の間に架渡された状態の調整バー34をスライド可能に支持するものである。また、調整メモリ32を基に位置決めされた調整バー34を固定する機能も有している。
かかるスライド固定具35の具体的構造については、調整バー34をスライド可能に支持し且つ適当な位置で固定可能であれば特に限定するものではないが、例えば図示の様に、上端に回転ノブを備えるネジ切りされた棒体と、該棒体の先端に螺合されるナットとから成り、棒体を調整バー34の各端部に穿孔された孔を介して上方から調整スリット33へ挿通し、該調整スリット33の下方側にて棒体の先端にナットを螺合させる態様が考え得る。かかる態様により、回転ノブを回転させることで、スライド固定具35の固定状態と移動可能状態とを簡単に操作することが可能となる。
スライド固定具35のその他の態様として、図示していないが、例えば歯車式スライド構造が考え得る。すなわち、スライド固定具35について上端に回転ノブを備え且つ下端に円筒歯車を備える軸構造とし、併せて調整スリット33に円筒歯車のピッチと噛み合うラック(棒状歯車)を配する態様である。かかる態様により、回転ノブの回転と連動した調整バー34のスライド移動が行われることになるため、簡単な操作で精密的な位置決めが可能となる。
【0034】
ところで、調整バー34にサイディング材Sの内側面を当接した際、両者は略平行状となる。したがって、調整バー34をガイドレール2と略平行状に固定することで、調整バー34と当接したサイディング材Sの内側面に対し、切断面を略平行に切断することができる(
図3(a))。これに対し、調整バー34をガイドレール2に対し斜角的に固定することで、切断面を斜角的に切断することも可能である(
図3(b))。
尚、斜角的な切断を行う際の調整バー34の位置調整については、調整メモリ32の表示態様として角度的要素を含ませる態様や、一方の調整メモリ32の数値と他方の調整メモリ32の数値をズラす態様(例えば一方を50mmに合わせ、他方を52mmに合わせる態様)が考え得る。
【0035】
調整バー34において、その両端部に支持体36が遊嵌されている態様が好適である。すなわち、該支持体36は、調整バー34においてサイディング材Sとの当接面方向へやや面状突出する様に備えられるもので、該調整バー34の両端部に夫々備えられて水平方向へ摺動可能になっており、サイディング材Sの両端近傍を夫々の支持体36によって二点(二面)で支持するためのものである。かかる支持体36が存することで、仮にサイディング材Sの内側面に湾曲や凹凸部分があった場合、そのまま調整バー34とサイディング材Sとを当接させると、切断に際しサイディング材Sが安定せずに動いてしまい、切断面がブレて不正確となることが想定されるが、サイディング材Sの両端近傍に支持体36を移動させて当接させることにより、内側面の湾曲や凹凸に関係なく、当接箇所を基準面とする正確な切断距離にてブレることなく切断することが可能となって、切断作業の精度上昇に資することとなる。
【0036】
以上の各構成要素により構成される本発明にかかるサイディング出隅定規1の使用態様について説明する。
(0)事前準備として、必要に応じてガイドレール2や調整メモリ32の適正位置への調整を行う。
(1)先ず、サイディング材Sの内側面からの切断距離に相応する位置に、調整バー34を移動する。その際、調整メモリ32を参考に調整バー34を移動し、スライド固定具35により調整バー34を固定する。
(2)次に、サイディング材Sの内側面を調整バー34に当接させる。すると、ガイドスリット11からサイディング材Sの切断面が出現する。
(3)そして、電動カッターCをガイドレール2に載置し、カッター刃を回転させ、ガイドレール2に沿って長手方向へスライドさせることで、サイディング材Sを切断する。
その後、同幅のサイディング材Sの切断がある場合は、上記(2)以降を繰り返し行い、切断幅が異なる場合には、(1)から改めて作業を行う。
【0037】
以上の通り、本発明にかかるサイディング出隅定規1によれば、調整メモリ32を使って調整バー34の位置を調整し、サイディング材Sの内側面を調整バー34に当接した状態で、ガイドレール2に沿って電動カッターCをスライドさせることにより、サイディング材を設定された切断幅で容易に切断することが可能であって、サイディング材Sの内側面に対し平行だけでなく斜角的な切断も可能であり、作業現場にて発生する突発的な要求や設置形状に合わせて柔軟に対応することができると共に、正確且つ効率的な切断作業を実現することとなる。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明にかかるサイディング出隅定規は、サイディング材への利用のみならず、防音ボードなど板状の室内壁材やその他の建材も切断可能であり、且つ、カッターの種類を変更すれば金属切断等にも利用可能である。すなわち、簡単な操作にて正確な切断ができることから、建築業界のみならず切断を要する様々な資材に対し応用し得るもので、本発明にかかる「サイディング出隅定規」の産業上の利用可能性は大きいものと思料する。
【符号の説明】
【0039】
1 サイディング出隅定規
10 定規本体
11 ガイドスリット
2 ガイドレール
21 スライド加工
3 カッター刃調整部
31 調整板
32 調整メモリ
33 調整スリット
34 調整バー
35 スライド固定具
36 支持体
C 電動カッター
S サイディング材
【要約】 (修正有)
【課題】複数のサイディング材に対し同じ幅での切断作業が可能であって、現場にて切断幅の微調整が簡単に行える定規を提供する。
【解決手段】定規本体10と、定規本体の上面に備えられるガイドレール2及びカッター刃調整部とで構成されるサイディング出隅定規1であり、長手方向に延伸して貫通したガイドスリット11の長手方向両側には略L字状のガイドレールが対向して備えられ、カッター刃調整部は、一方のガイドレールの外側長手方向両端部に夫々備えられる調整板31と、調整板間に架渡される調整バー34とから成り、調整板は、切断幅を決定する調整メモリ32と、調整バーの各端部に備えられ下方へ延伸するスライド固定具35をスライド可能に挿通し得る調整スリット33が夫々備えられており、サイディング材の内側面を調整バーに当接した状態で、ガイドレールに沿って電動カッターをスライドさせることで、サイディング材を所望幅で切断可能とする。
【選択図】
図1