IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社マツシマメジャテックの特許一覧

<>
  • 特許-マイクロ波レベル計 図1
  • 特許-マイクロ波レベル計 図2
  • 特許-マイクロ波レベル計 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-27
(45)【発行日】2022-07-05
(54)【発明の名称】マイクロ波レベル計
(51)【国際特許分類】
   C21C 1/06 20060101AFI20220628BHJP
   C21B 7/14 20060101ALI20220628BHJP
【FI】
C21C1/06
C21B7/14
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021206105
(22)【出願日】2021-12-20
【審査請求日】2022-02-18
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000146238
【氏名又は名称】株式会社マツシマメジャテック
(74)【代理人】
【識別番号】100104776
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100119194
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 明夫
(72)【発明者】
【氏名】中村 公朋
(72)【発明者】
【氏名】岩本 隆志
(72)【発明者】
【氏名】井上 大輔
【審査官】松岡 徹
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-177182(JP,A)
【文献】特開2015-081258(JP,A)
【文献】特開昭58-097670(JP,A)
【文献】特開2007-178207(JP,A)
【文献】特開2015-172184(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C21C 1/00- 3/00
G01S 7/00- 7/42
G01S 13/00- 13/95
G01F 23/00
G01C 3/00- 3/32
G01V 1/00- 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高炉内で鋳床の下方に配置されるトピードカー若しくは溶銑鍋の受銑量、又は鉱滓鍋の鉱滓量を検出するために使用されるマイクロ波レベル計であって、
前記鋳床の内部又は下面に配設され、マイクロ波の発信と該マイクロ波の反射波の受信を制御するマイクロ波制御部と、
前記鋳床の内部又は下面に配設され、直線部及び該直線部の先端に下方に90°折曲されたベンド部とを有し、その内部空間に前記マイクロ波を伝送させる導波管と、
前記導波管のベンド部の下方先端に下向きの状態で、前記トピードカー、前記溶銑鍋、又は前記鉱滓鍋の液面に対して前記マイクロ波を放射するとともに、放射した前記マイクロ波の反射波を受けるアンテナ部と、を備え、
前記マイクロ波制御部から送信された前記マイクロ波を前記導波管により案内され、前記アンテナ部から前記トピードカー、前記溶銑鍋、又は前記鉱滓鍋の前記液面に向けて放射され、該放射により反射した前記マイクロ波を前記導波管によって前記マイクロ波制御部に導くことによって、前記高炉内で前記鋳床の下方に配置される前記トピードカー若しくは前記溶銑鍋の前記受銑量、又は前記鉱滓鍋の前記鉱滓量を検出し、
前記導波管の周囲に、前記マイクロ波制御部と前記直線部との接続部分から前記ベンド部の下方の先端までを保護する保護パイプと、
前記アンテナ部の下方に着脱可能に配設され、前記アンテナ部の開口部を閉塞した状態で前記アンテナ部を熱並びに粉塵及び溶銑飛散の直撃から保護する防熱板と、
空気を圧縮することによって前記空気を冷却し、冷風を供給するエアクーラーと、
前記マイクロ波制御部を密閉して囲むように備え付けられ、前記エアクーラーから前記冷風が供給される冷却ボックスと、を備え、
前記導波管には開口が形成され、
前記エアクーラーから供給された前記冷風が前記冷却ボックスに導かれ、さらに、前記冷却ボックスから前記保護パイプの内部へ供給された前記冷風が、前記開口を通じて前記保護パイプの内部から前記導波管の内部に導かれ、前記導波管の内部を通じて前記アンテナ部へ導かれ、前記アンテナ部の前記開口部の隙間から前記冷風が開放されることにより前記アンテナ部の内部への粉塵の侵入を防ぐように構成されている
ことを特徴とするマイクロ波レベル計
【請求項2】
前記保護パイプの長手方向途中に前記導波管を下方から支える支持部が設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載のマイクロ波レベル計
【請求項3】
前記保護パイプの長手方向途中に前記導波管の点検をするための点検窓が設けられている
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のマイクロ波レベル計
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ波を発信してから、発信したマイクロ波の反射波を受信するまでに要した時間に基づいて測定物までの距離を換算し、換算した距離から測定物の量を計測するマイクロ波レベル計に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の発明のように、高炉においてトピードカーや溶銑鍋、鉱滓鍋の上方に位置する床面に配設されるマイクロ波距離計における、作業用車両や作業員の往来の妨げを解消し、保守時の分解や組み直し作業を軽減でき、さらに検出精度の向上を図る技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-178207号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、高炉などにおけるマイクロ波距離計について、作業用車両や作業員の往来の妨げを解消することはできるが、作業の軽減や検出精度の向上を図ることが困難である。すなわち、マイクロ波送受信機から発信されるマイクロ波は、反射板で反射されてトピードカーや溶銑鍋へと送られるが、反射板とガイドパイプとに間隙が設けられていることもあり、高温や水蒸気、粉塵などの外部環境の影響を受け外乱が生じやすく、適切に被検出物を検出することが難しい。また、反射板によってマイクロ波が適切に反射されるように、ガイドパイプに配設されている反射板の傾きを調整する必要があり、この調整には多くの時間を要し、作業員の負担も大きくなる。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、高炉などにおいて、作業用車両や作業員の往来の妨げを解消するだけでなく、作業員の作業負担の軽減を図り、測定の精度をより向上させたマイクロ波レベル計を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、高炉内で鋳床の下方に配置されるトピードカー若しくは溶銑鍋の受銑量、又は鉱滓鍋の鉱滓量を検出するために使用されるマイクロ波レベル計であって、前記鋳床の内部又は下面に配設され、マイクロ波の発信と該マイクロ波の反射波の受信を制御するマイクロ波制御部と、前記鋳床の内部又は下面に配設され、直線部及び該直線部の先端に下方に90°折曲されたベンド部とを有し、その内部空間に前記マイクロ波を伝送させる導波管と、前記導波管のベンド部の下方先端に下向きの状態で、前記トピードカー、前記溶銑鍋、又は前記鉱滓鍋の前記液面に対して前記マイクロ波を放射するとともに、放射した前記マイクロ波の反射波を受けるアンテナ部と、を備え、前記マイクロ波制御部から送信された前記マイクロ波を前記導波管により案内され、前記アンテナ部から前記トピードカー、前記溶銑鍋、又は前記鉱滓鍋の液面に向けて放射され、該放射により反射した前記マイクロ波を前記導波管によって前記マイクロ波制御部に導くことによって、前記高炉内で前記鋳床の下方に配置される前記トピードカー若しくは前記溶銑鍋の前記受銑量、又は前記鉱滓鍋の前記鉱滓量を検出し、前記導波管の周囲に、前記マイクロ波制御部と前記直線部との接続部分から前記ベンド部の下方の先端までを保護する保護パイプと、前記アンテナ部の下方に着脱可能に配設され、前記アンテナ部の開口部を閉塞した状態で前記アンテナ部を熱並びに粉塵及び溶銑飛散の直撃から保護する防熱板と、空気を圧縮することによって前記空気を冷却し、冷風を供給するエアクーラーと、前記マイクロ波制御部を密閉して囲むように備え付けられ、前記エアクーラーから前記冷風が供給される冷却ボックスと、を備え、前記導波管には開口が形成され、前記エアクーラーから供給された前記冷風が前記冷却ボックスに導かれ、さらに、前記冷却ボックスから前記保護パイプの内部へ供給された前記冷風が、前記開口を通じて前記保護パイプの内部から前記導波管の内部に導かれ、前記導波管の内部を通じて前記アンテナ部へ導かれ、前記アンテナ部の前記開口部の隙間から前記冷風が開放されることにより前記アンテナ部の内部への粉塵の侵入を防ぐように構成されていることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の構成に加えて、前記保護パイプの長手方向途中に前記導波管を下方から支える支持部が設けられていることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の構成に加えて、前記保護パイプの長手方向途中に前記導波管の点検をするための点検窓が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、作業用車両や作業員の往来の妨げを解消するのはもちろんのこと、マイクロ波レベル計に反射板を用いず、導波管の先端にある90°ベンドが接続されているため、外部環境の影響を受けにくく外乱が生じにくいので、検出精度の向上を図ることができるだけでなく、反射板の傾きを調整する必要がないため、作業員の作業負担を軽減することができる。
【0012】
請求項2の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加えて、アンテナ部の下方に配設され、前記マイクロ波レベル計の開口部を閉塞する防熱板が備えられているため、高温度である溶銑の影響によって計測の誤作動を防止できるとともに、高温によるアンテナ部の故障や誤検知などを防止することによって、高い精度での検出を維持することができる。
【0013】
請求項3の発明によれば、請求項1又は請求項2に記載の発明の効果に加えて、導波管の周囲に保護パイプを備えているため、導波管及びアンテナ部に対して熱から保護したり、粉塵や溶銑飛散等の異物の直撃から保護することができるだけでなく、マイクロ波制御部からアンテナ部に対して冷風を供給することができる。
【0014】
請求項4の発明によれば、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、前記保護パイプの長手方向途中に前記導波管を下方から支える支持部が設けられているため、導波管や導波管に用いられているネジなどの取付部材の負担を軽減することができる。
【0015】
請求項5の発明によれば、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の発明の効果に加えて、保護パイプの長手方向途中に導波管の点検をするための点検窓が設けられているため、保護パイプの撓みなどの状況を確認することができ、作業員が導波管や保護パイプの点検、保守などにおける作業の負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】この発明の実施の形態に係るマイクロ波レベル計1の全体構造と、マイクロ波レベル計1が鋳床41に配設されていることを示す模式図である。
図2】この発明の実施の形態に係るマイクロ波レベル計1に備えられている防熱板5の取り外し方のフローの例を示す図である。
図3】この発明の実施の形態に係るマイクロ波レベル計1が備える支持部21の構造を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
この発明の実施の形態について、図1から図3までを用いて説明する。
【0018】
図1は、この発明の実施の形態に係るマイクロ波レベル計1の全体構造と、マイクロ波レベル計1が鋳床41に配設されていることを示す模式図である。
【0019】
マイクロ波レベル計1は、鋳床41の内部に配設され、マイクロ波の発信とマイクロ波の反射波の受信を制御するマイクロ波制御部2と、鋳床41の内部に配設され、直線部3a及び直線部3aの先端に下方に90°折曲されたベンド部3bとを有し、その内部空間にマイクロ波を伝送させる導波管3と、ベンド部3bの下方先端に下向きの状態で、トピードカー42、溶銑鍋又は鉱滓鍋の液面43に対してマイクロ波を放射するとともに、放射した前記マイクロ波の反射波を受けるアンテナ部4と、を備えている。マイクロ波レベル計1によって、マイクロ波制御部2から送信されたマイクロ波が導波管3により案内され、アンテナ部4からトピードカー42、溶銑鍋又は鉱滓鍋の液面43に向けて放射され、放射により反射したマイクロ波を導波管3によってマイクロ波制御部2に導くことによって、高炉内で鋳床41の下方に配置されるトピードカー42若しくは溶銑鍋の受銑量、又は鉱滓鍋の鉱滓量を検出することを特徴とする。
【0020】
そのマイクロ波レベル計1には、アンテナ部4の下方に配設され、マイクロ波レベル計1の開口部4aを閉塞する防熱板5を備えている。
【0021】
そのマイクロ波レベル計1は、導波管3を熱などから保護するために導波管3の周囲に保護パイプ6を備えている。保護パイプ6は、中間保護パイプ6aと先端保護パイプ6bとを有している。
【0022】
中間保護パイプ6aの長手方向途中に導波管3を点検するための点検窓部7と、導波管3を下方から支える支持部21が設けられている。点検窓部7と支持部21の詳細は、後述する。
【0023】
さらに、マイクロ波レベル計1は、マイクロ波制御部2を密封して囲むように備え付けられている冷却ボックス8と、冷却ボックス8に冷却された空気を供給するエアクーラー9を備えている。
【0024】
マイクロ波制御部2は、マイクロ波の発信と反射されたマイクロ波の受信を制御する。具体的には、マイクロ波制御部2から発信されるマイクロ波は、水平方向に設置されている直線部3aを伝送し、ベンド部3bによって90°下方に伝送し、防熱板5を透過して、アンテナ部4によってトピードカー42、溶銑鍋又は鉱滓鍋の液面43に向けて放射される。放射され、液面43で反射されたマイクロ波は、防熱板5を透過して、ベンド部3b及び直線部3aを通じて伝送され、導波管3によってマイクロ波制御部2に導かれて、マイクロ波制御部2が受信する。
【0025】
導波管3は、一般には、中空の金属の管で、この中をマイクロ波が伝送する。導波管3は、直線部3aとベンド部3bとを有し、ベンド部3bは、直線部3aの先端が下方に90°折曲されている。
【0026】
直線部3aは、マイクロ波制御部2から発信されるマイクロ波がアンテナ部4から放射されるよう、ベンド部3bに対して、伝送するとともに、液面43によって反射されたマイクロ波が、ベンド部3bから直線部3aを通じてマイクロ波制御部2で受信されるように伝送する。直線部3aは、一本の長い直線状の導波管を用いてもよいし、複数の直線状の導波管を接続することによって構成されてもよい。
【0027】
ベンド部3bは、直線部3aの先端が下方に90°折曲された構成となっており、直線部3aと同様、マイクロ波制御部2から発信されるマイクロ波がアンテナ部4から放射されるよう、直線部3aから伝送されるとともに、反射されたマイクロ波が、直線部3aを通じてマイクロ波制御部2で受信されるように伝送する。
【0028】
アンテナ部4の材質は、錆に強い金属、たとえばステンレスが好ましく、安全性が高くさらに耐食性も高いSUS316L(オーステナイト系ステンレスの一種)を用いることが好ましい。
【0029】
アンテナ部4は、アンテナ部4の下方に開口部4aが形成され、導波管3を通じて伝送されたマイクロ波をトピードカー42、溶銑鍋又は鉱滓鍋の液面43に向けて放射する。この際、マイクロ波は、防熱板5を透過してトピードカー42、溶銑鍋又は鉱滓鍋の液面43に向けて放射される。図1に示すアンテナ部4は、ホーンアンテナの形状となっているが、パラボラアンテナなどでもよい。
【0030】
防熱板5は、生体溶解性繊維(たとえば、アルカリアースシリケートウール(AESウール))を真空成形した高温用断熱ボードからなる板状のものである。
【0031】
防熱板5は、アンテナ部4を熱から保護したり、粉塵の付着防止や測定物からの遮熱、粉塵や溶銑飛散等の異物の直撃から保護する。
【0032】
上記のとおり、アンテナ部4から放射されるマイクロ波は、防熱板5を透過するが、防熱板の成分、密度によりマイクロ波の透過率が異なり、溶銑44などの計測に影響を及ぼす可能性があるため、最適な素材を選定する必要がある。たとえば、ガラス入り繊維が含有された素材は、防熱板5には適さない。これらの防熱板5の機能を有するのであれば、上記のような材質や構造に限られない。
【0033】
防熱板5は、アンテナ部4を熱などから保護するために開口部4aを閉塞している。本明細書においては、防熱板5が脱着可能なものとして説明する。なお、防熱板5をメンテナンスする際には防熱板5を取り外して、アンテナ部4の開口部4aを開放する必要があるので、その詳細を図2において説明する。
【0034】
図2は、この発明の実施の形態に係るマイクロ波レベル計1に備えられている防熱板5の取り外し方のフローの例を示す図である。
【0035】
マイクロ波レベル計1は、アンテナ部4の下方に備えられている開口部4aを防熱板5によって閉塞している。これは、上記のとおり、アンテナ部4を熱から保護したり、粉塵や溶銑飛散等の異物の直撃から保護するためである。
【0036】
防熱板5は、定期的にメンテナンスを行う必要があり、その際には防熱板5を取り外して行う場合がある。これは、測定場所の環境によって多くの粉塵が舞い、液面43からの飛散があることによって、防熱板5の表面が粉塵や飛散物で汚損、損傷してしまった結果、防熱板5のマイクロ波の透過率が下がり、マイクロ波レベル計1が受銑量などを正確に検出する際に影響を及ぼすことがあるためである。
【0037】
そこで、防熱板5の取り外し方の例について、図2を用いて説明をする。まず、図2(a)に示すとおり、ロック片5aがスリット41aに挿入されているので、取外し治具31を防熱板5と一体に形成されている筒状部5bの上方から差し込み、下方に嵌入する。
【0038】
次に、図2(b)に示すとおり、取外し治具31を筒状部5bに嵌入させた後に、取外し治具31を筒状部5bが有する溝状部5cに沿って回転させ、取外し治具31を筒状部5bに咬合させる。
【0039】
図2(c)に示すとおり、取外し治具31を筒状部5bに咬合させた後、取外し治具31を持ち上げることによって、ロック片5aがスリット41aから上方に上げられることによって係止状態が解除され、図2(c)の矢印に示すように横にスライドすることによって、筒状部5bと一体になっている防熱板5を持ち上げることができる。防熱板5が持ち上げられた状態のまま筒状部5bに嵌入された取外し治具31を引き抜くことによって、防熱板5も同時に引き抜くことができる。
【0040】
防熱板5のメンテナンスが完了した際には、上記とは逆の手順に従って、アンテナ部4の開口部4aを閉塞すればよい。
【0041】
図1に示す保護パイプ6は、中間保護パイプ6aと先端保護パイプ6bとを有している。保護パイプ6は、SS400(一般構造用圧延鋼板の一種)やSUS304(オーステナイト系ステンレスの一種)を用いた薄板溶接構造とすることが好ましい。
【0042】
保護パイプ6は、熱や粉塵、溶銑飛散等の異物から導波管3を保護するほか、マイクロ波レベル計1の構造全体の剛性を確保する。また、保護パイプ6は、アンテナ部4の冷却や外気を舞う粉塵のアンテナ部4内への侵入を防止することを目的として、マイクロ波制御部2からアンテナ部4に対して冷風を送るための通路を確保している。なお、これらの保護パイプ6の機能を有するのであれば、上記のような材質や構造に限られない。
【0043】
点検窓部7は、中間保護パイプ6aの長手方向途中に設けられている。点検窓部7は、開閉可能で鋼板製の板状の部材が、板状の鋼板の枠体によって囲まれていることにより構成されている。点検窓部7は、中間保護パイプ6aの長手方向に向かって側面に設けられており、点検窓部7を開放することによって、中間保護パイプ6aの内部を目視できる。たとえば、直線部3aが一本の長い直線状の導波管から構成されている場合には、導波管3の撓みや、ネジなどの取付部材などの状況を確認する際に使用することができる。また、直線部3aが複数の直線状の導波管から構成されている場合には、一の導波管と他の導波管とがネジなどの取付部材で接続されているため、点検窓部7によって点検時などにネジなどの取付部材の緩みが確認できれば、点検窓部7を開放して、ネジなどの取付部材の調整を行うことができ、容易に保守をすることができる。点検窓部7を備えることによって、直線部3aの保守の負担を軽減するだけでなく、直線部3aの経年劣化の早期発見や、直線部3aの接続状況などを定期的に点検することができるため、事故を未然に防ぐことが可能になる。
【0044】
なお、図1において、マイクロ波レベル計1には2つの点検窓部7が設けられているが、直線部3aが複数の直線状の導波管から構成さている場合には、一の直線状の導波管と他の直線状の導波管との接続部分と同数の点検窓部7を備えてもよいし、同数を超える点検窓部7を備えてもよい。
【0045】
図3を用いて、支持部21の構造について説明をする。
【0046】
支持部21は、SS400(一般構造用圧延鋼板の一種)やSUS304(オーステナイト系ステンレスの一種)を用いた薄板溶接構造とすることが好ましい。支持部21は、板状の鋼板と、鋼板からなる逆L字状の支持部材21aとが、一体的に構成されている。
【0047】
支持部21は、支持部21が備えている逆L字状の支持部材21aが直線部3aを下面から支持するとともにバンド等で固定することによって導波管3及び導波管3に用いられているネジなどの取付部材の負担の軽減を図る部材であり、支持部21が中間保護パイプ6aを貫通して直線部3aを固定することによって、導波管3を支持することができる。また、直線部3aは、上記のとおり、支持部21によって下面から指示して固定されているため、側面に備えられている点検窓部7を開放して、中間保護パイプ6aを目視し、点検をすることができる。支持部21は、直線部3aが複数の直線状の導波管が接続されていることにより構成されている場合には、一の導波管と他の導波管とを接続しているネジなどの取付部材の負担の軽減も図っている。支持部21は、これらの機能を有するのであれば上記のような材質や構造に限られない。
【0048】
図1に示す冷却ボックス8は、マイクロ波制御部2を密封して囲むように備え付けられ、エアクーラー9から冷却された空気が供給され、マイクロ波制御部2を冷却し放熱を促す。さらに、マイクロ波制御部2に案内された冷風は、保護パイプ6との間に設けられている冷却ボックス8が有する空気穴(図示せず)から保護パイプ6へ案内される。保護パイプ6に案内された冷風は、導波管3を冷却し放熱を促す。冷風は、さらに保護パイプ6から直線部3a又はベンド部3bの側面に備えられた直径4mmから6mm程度の、高温や水蒸気、粉塵などの外部環境の影響を受けて外乱が生じない程度の大きさの開口を通じて、アンテナ部4から開放される。アンテナ部4の開口部4aは、防熱板5によって閉塞されているため、開口部4aと、防熱板5との間の隙間から冷風が外部に開放される。冷風がアンテナ部4から開放されることによって、アンテナ部4の冷却を図るだけでなく、外気を舞う粉塵のアンテナ部4内への侵入を防熱板5とともに防止することができる。冷却ボックス8は、これらの機能を有するものであれば、公知のものでよい。
【0049】
エアクーラー9は、供給口(図示せず)から供給された空気を圧縮することによって空気を冷却し、冷却された空気を冷却ボックス8に供給する。エアクーラー9は、供給された空気を冷却し、冷却された空気を冷却ボックス8に供給することができる機能があれば、公知のものでよい。
【0050】
鋳床41は、溶銑樋等を設置した作業床であり、図1に示すマイクロ波レベル計1は、鋳床41の内部に配設されているが、鋳床41の下面に配設をしてもよい。
【0051】
トピードカー42には、傾注樋45を介して、溶銑樋(図示せず)から溶銑44が供給されている。液面43は、溶銑44の表面をいう。なお、図1には、トピードカー42が記載されているが、トピードカー42に代えて、溶銑鍋などの受銑容器や鉱滓鍋を用いてもよい。
【0052】
ここで、マイクロ波レベル計1の作用について説明をする。マイクロ波制御部2が発信したマイクロ波は、直線部3aを伝送し、ベンド部3bによって90°下方に伝送し、アンテナ部4を通じて、防熱板5を透過し、トピードカー42の液面43に向けて放射される。アンテナ部4を通じて放射されたマイクロ波は、液面43によって反射し、反射したマイクロ波は、防熱板5を透過し、アンテナ部4から導波管3を通じて伝送され、マイクロ波制御部2が受信する。マイクロ波制御部2は、マイクロ波の発信から反射されたマイクロ波の受信までに要した時間に基づいて、アンテナ部4から液面43までの距離を計測し、計測した距離に基づいて、受銑量を検出することができる。
【0053】
なお、マイクロ波レベル計1は、上記と同様の手段によって、トピードカー42の受銑量だけでなく、溶銑鍋の受銑量や鉱滓鍋の鉱滓量を検出することができる。
【0054】
次に、マイクロ波レベル計1の効果について説明をする。マイクロ波レベル計1によって、作業用車両や作業員の往来の妨げを解消することができる。
【0055】
導波管3は、マイクロ波が外部空間に放散することなく伝送するため、同軸ケーブル等で伝送する方法を除き、伝送損失がほかの伝送線路に比べて小さい。また、図1に示しているとおり、マイクロ波レベル計1は、反射板を用いず、直線部3aとベンド部3bとからなる導波管3によってマイクロ波が伝送されているため、外部環境の影響を受けにくく外乱が生じにくい。そのため、マイクロ波レベル計1は、溶銑44の検出精度の向上を図ることができる。
【0056】
また、マイクロ波レベル計1は、直線部3aとベンド部3bとからなる導波管3を用いていて、ベンド部3bが下方に90°折曲している。そのため、マイクロ波レベル計1は、マイクロ波制御部2から発信されたマイクロ波がベンド部3bによって下方90°に伝送するため、反射板を備える必要がなく、反射板の傾きを調整するなどの作業が生じないので、マイクロ波レベル計1のメンテナンスの負担が軽減される。
【0057】
マイクロ波レベル計1のアンテナ部4の開口部4aを閉塞する防熱板5を備えているため、アンテナ部4を熱から保護したり、高温である溶銑44によってアンテナ部4の故障や誤検知を防止することができる。
【0058】
マイクロ波レベル計1は、導波管3の周囲に保護パイプ6を備えているため、導波管3やアンテナ部4に対する熱や異物の直撃から保護することができる。さらには、冷却ボックス8から供給された冷風によってマイクロ波制御部2は冷却される。そして、マイクロ波制御部2から保護パイプ6を通じてアンテナ部4に対して冷風を供給することによって、導波管3を冷却し放熱を促すだけでなく、アンテナ部4の冷却を図り、外気を舞う粉塵のアンテナ部4内への侵入を防熱板5とともに防止することができる。
【0059】
また、マイクロ波レベル計1は、中間保護パイプ6aの長手方向途中に支持部21が設けられているため、支持部21と一体的に構成されている逆L字状の支持部材21aが直線部3aを下面から支持するとともにバンド等で固定することによって導波管3や導波管3に用いられているネジなどの取付部材の負担の軽減を図ることができる。
【0060】
さらには、マイクロ波レベル計1は、中間保護パイプ6aの長手方向途中に点検窓部7が設けられているため、点検窓部7を開放することによって、保護パイプ6の点検、保守が容易にできる。
【0061】
上記実施の形態は本発明の例示であり、本発明が上記実施の形態のみに限定されることを意味するものではないことは、いうまでもない。
【符号の説明】
【0062】
1・・・マイクロ波レベル計
2・・・マイクロ波制御部
3・・・導波管
3a・・・直線部
3b・・・ベンド部
4・・・アンテナ部
4a・・・開口部
5・・・防熱板
5a・・・ロック片
5b・・・筒状部
5c・・・溝状部
6・・・保護パイプ
6a・・・中間保護パイプ
6b・・・先端保護パイプ
7・・・点検窓部
8・・・冷却ボックス
9・・・エアクーラー
21・・・支持部
21a・・・支持部材
31・・・取外し治具
41・・・鋳床
41a・・・スリット
42・・・トピードカー
43・・・液面
44・・・溶銑
45・・・傾注樋
【要約】
【課題】高炉等において、作業員の作業負担の軽減を図るとともに、計測の精度をより向上させたマイクロ波レベル計を提供する。
【解決手段】マイクロ波レベル計であって、鋳床の内部等に配設され、マイクロ波の発信とマイクロ波の反射波の受信を制御するマイクロ波制御部と、鋳床の内部等に配設され、直線部及び直線部の先端に下方に90°折曲されたベンド部とを有し、その内部空間にマイクロ波を伝送させる導波管と、導波管のベンド部の下方先端に下向きの状態で、トピードカー等の液面に対してマイクロ波を放射するとともに、放射したマイクロ波の反射波を受けるアンテナ部と、を備え、マイクロ波制御部から送信されたマイクロ波を導波管により案内され、アンテナ部からトピードカー等の液面に向けて放射され、放射により反射したマイクロ波を導波管によってマイクロ波制御部に導くことによって、高炉内で鋳床の下方に配置されるトピードカー等の受銑量等を検出することを特徴とする。
【選択図】図1
図1
図2
図3