(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-27
(45)【発行日】2022-07-05
(54)【発明の名称】印刷システム
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20220628BHJP
B41M 3/14 20060101ALI20220628BHJP
【FI】
B41J2/01 201
B41J2/01 401
B41M3/14
(21)【出願番号】P 2022025995
(22)【出願日】2022-02-22
(62)【分割の表示】P 2021200454の分割
【原出願日】2021-12-09
【審査請求日】2022-02-22
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】514015019
【氏名又は名称】エレファンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162341
【氏名又は名称】瀬崎 幸典
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 衛
(72)【発明者】
【氏名】杉本 雅明
【審査官】上田 正樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/022872(WO,A1)
【文献】特表2019-530008(JP,A)
【文献】特開昭57-004778(JP,A)
【文献】特開平10-235874(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0178579(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01
B41M 3/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吐出された液滴が着弾した対象物の個別性を示す画像を撮像可能な撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された前記画像を示す基準画像を格納する格納手段と、
前記個別性を増長するように前記基準画像となる前記画像を形成する領域において通常よりも吐出する液滴を小さくして前記液滴の着弾位置を変化させる制御手段と、
前記液滴の吐出制御、前記画像の撮像及び前記基準画像の格納に関する情報を送信する送信手段と、を備えた、
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項2】
吐出された液滴が着弾した対象物の個別性を示す画像を撮像可能な撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された前記画像を示す基準画像を格納する格納手段と、
前記基準画像となる前記画像を形成する領域において通常よりも吐出する液滴の吐出速度を大きくしてサテライト液滴を含む前記液滴の着弾数を変化させる制御手段と、
前記液滴の吐出制御、前記画像の撮像及び前記基準画像の格納に関する情報を送信する送信手段と、を備えた、
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項3】
吐出された液滴が着弾した対象物の個別性を示す画像を撮像可能な撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された前記画像を示す基準画像を格納する格納手段と、
前記基準画像となる前記画像を形成する領域において通常よりも前記対象物と前記液滴を吐出するヘッドとの距離を大きくしてサテライト液滴を含む前記液滴の着弾位置及び着弾数を変化させる制御手段と、
前記液滴の吐出制御、前記画像の撮像及び前記基準画像の格納に関する情報を送信する送信手段と、を備えた、
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項4】
吐出された液滴が着弾した対象物の個別性を示す画像を撮像可能な撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された前記画像を示す基準画像を格納する格納手段と、
前記液滴を吐出するヘッドと前記対象物との間の距離であるヘッドギャップが通常よりも大きいヘッドを更に備え、
前記ヘッドギャップが通常よりも大きいヘッドを駆動して前記基準画像となる前記画像を形成する印刷手段と、
前記液滴の吐出制御、前記画像の撮像及び前記基準画像の格納に関する情報を送信する送信手段と、を備えた、
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項5】
吐出された液滴が着弾した対象物の個別性を示す画像を撮像可能な撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された前記画像を示す基準画像を格納する格納手段と、
前記基準画像となる前記画像を形成する領域において前記液滴を吐出するヘッドに振動を与えてサテライト液滴を含む前記液滴の着弾位置及び着弾数を変化させる制御手段と、
前記液滴の吐出制御、前記画像の撮像及び前記基準画像の格納に関する情報を送信する送信手段と、を備えた、
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項6】
吐出された液滴が着弾した対象物の個別性を示す画像を撮像可能な撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された前記画像を示す基準画像を格納する格納手段と、
前記基準画像となる前記画像を形成する領域において前記液滴を吐出するヘッドの隣り合うノズルを同時に駆動してサテライト液滴を含む前記液滴の着弾位置及び着弾数を変化させる制御手段と、
前記液滴の吐出制御、前記画像の撮像及び前記基準画像の格納に関する情報を送信する送信手段と、を備えた、
ことを特徴とする印刷システム。
【請求項7】
前記送信手段は、前記画像の利用の履歴を管理している装置を宛先として、前記液滴の吐出制御、前記画像の撮像及び前記基準画像の格納に関する情報を送信する、
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の印刷システム。
【請求項8】
前記送信手段は、ブロックチェーンを構成する他の装置に対して、自装置までの前記液滴の吐出制御、前記画像の撮像及び前記基準画像の格納に関する情報を暗号化した情報を送信する、
ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の印刷システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
インクを吐出する複数のノズルを有し、複数のノズルが列状に配設された記録ヘッドと、記録ヘッドを支持するヘッド支持部材と、を有し、記録媒体上に画像を形成する画像記録装置における、ヘッド支持部材に対す記録ヘッドの取り付け方法であって、記録ヘッドをヘッド支持部材に対して仮位置決めし、一時的に固定する仮位置決め工程と、複数のノズルのうちの一部のノズルからなる特定ノズルもしくは一部の複数のノズルからなる特定ノズル群に対して所定の位置関係で設けられた基準マークを撮像することで、基準マークの位置を検出する基準マーク位置検出工程と、基準マークの位置を、記録ヘッドのノズル面上のヘッド支持部材に関連づけられて予め決められる設計位置に、一致させるように、記録ヘッドをヘッド支持部材に対して位置合わせを行う第1の位置調整工程と、特定ノズルもしくは特定ノズル群からインクを吐出させ、その吐出された飛行中のインク滴を撮像することで、インク滴の飛行特性を検出する飛行特性検出工程と、飛行特性検出工程で検出された飛行特性に基づいて、記録媒体上のインク着弾位置ずれ量を推定するインク着弾位置ずれ量推定工程と、インク着弾位置ずれ量推定工程によって求められたインク着弾位置ずれ量を補正するように、基準マークの位置を移動させる第2の位置調整工程と、第2の位調整工程後にヘッド支持部材に記録ヘッドを固定する固定工程と、を有する記録ヘッドの取り付け方法が知られている(特許文献1)。
【0003】
コンテンツを利用した情報処理を行うユーザ端末が接続可能なネットワーク上に情報収集手段を配備する段階と、ユーザ端末にコンテンツの利用状況を表すコンテンツ利用履歴をネットワークに接続されている所定のタイミングで情報収集手段宛に送出させるためのデジタル情報を当該コンテンツに埋め込んで配布する段階と、情報収集手段を通じて収集したコンテンツ利用履歴に基づいてどのコンテンツがどの程度利用されたかを表す利用情報を生成する段階とを有する、コンテンツの利用状況監視方法も知られている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2012-135990号公報
【文献】特開2002-175387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、吐出する液滴のランダム性のある着弾位置による対象物の個別性を示す画像を記録し、対象物が真正であることの証明を可能にする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の印刷システムは、
吐出された液滴が着弾した対象物の個別性を示す画像を撮像可能な撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された前記画像を示す基準画像を格納する格納手段と、
前記個別性を増長するように前記基準画像となる前記画像を形成する領域において通常よりも吐出する液滴を小さくして前記液滴の着弾位置を変化させる制御手段と、
前記液滴の吐出制御、前記画像の撮像及び前記基準画像の格納に関する情報を送信する送信手段と、を備えた、
ことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の印刷システムにおいて、
吐出された液滴が着弾した対象物の個別性を示す画像を撮像可能な撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された前記画像を示す基準画像を格納する格納手段と、
前記基準画像となる前記画像を形成する領域において通常よりも吐出する液滴の吐出速度を大きくしてサテライト液滴を含む前記液滴の着弾数を変化させる制御手段と、
前記液滴の吐出制御、前記画像の撮像及び前記基準画像の格納に関する情報を送信する送信手段と、を備えた、
ことを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の印刷システムにおいて、
吐出された液滴が着弾した対象物の個別性を示す画像を撮像可能な撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された前記画像を示す基準画像を格納する格納手段と、
前記基準画像となる前記画像を形成する領域において通常よりも前記対象物と前記液滴を吐出するヘッドとの距離を大きくしてサテライト液滴を含む前記液滴の着弾位置及び着弾数を変化させる制御手段と、
前記液滴の吐出制御、前記画像の撮像及び前記基準画像の格納に関する情報を送信する送信手段と、を備えた、
ことを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の印刷システムにおいて、
吐出された液滴が着弾した対象物の個別性を示す画像を撮像可能な撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された前記画像を示す基準画像を格納する格納手段と、
前記液滴を吐出するヘッドと前記対象物との間の距離であるヘッドギャップが通常よりも大きいヘッドを更に備え、前記ヘッドギャップが通常よりも大きいヘッドを駆動して前記基準画像となる前記画像を形成する印刷手段と、
前記液滴の吐出制御、前記画像の撮像及び前記基準画像の格納に関する情報を送信する送信手段と、を備えた、
ことを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の印刷システム置において、
吐出された液滴が着弾した対象物の個別性を示す画像を撮像可能な撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された前記画像を示す基準画像を格納する格納手段と、
前記基準画像となる前記画像を形成する領域において前記液滴を吐出するヘッドに振動を与えてサテライト液滴を含む前記液滴の着弾位置及び着弾数を変化させる制御手段と、
前記液滴の吐出制御、前記画像の撮像及び前記基準画像の格納に関する情報を送信する送信手段と、を備えた、
ことを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の印刷システムにおいて、
吐出された液滴が着弾した対象物の個別性を示す画像を撮像可能な撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された前記画像を示す基準画像を格納する格納手段と、
前記基準画像となる前記画像を形成する領域において前記液滴を吐出するヘッドの隣り合うノズルを同時に駆動してサテライト液滴を含む前記液滴の着弾位置及び着弾数を変化させる制御手段と、
前記液滴の吐出制御、前記画像の撮像及び前記基準画像の格納に関する情報を送信する送信手段と、を備えた、
ことを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の印刷システムにおいて、
前記送信手段は、前記画像の利用の履歴を管理している装置を宛先として、前記液滴の吐出制御、前記画像の撮像及び前記基準画像の格納に関する情報を送信する、
ことを特徴とする。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれか1項に記載の印刷システム置において、
前記送信手段は、ブロックチェーンを構成する他の装置に対して、自装置までの前記液滴の吐出制御、前記画像の撮像及び前記基準画像の格納に関する情報を暗号化した情報を送信する、
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載の発明によれば、吐出する液滴のランダム性のある着弾位置による対象物の個別性を示す画像を記録し、対象物が真正であることの証明を可能とすることができる。
【0019】
請求項2に記載の発明によれば、サテライト液滴を含む液滴の着弾数のランダム性を増長することができる。
【0020】
請求項3に記載の発明によれば、サテライト液滴を含む液滴の着弾位置及び着弾数のランダム性を増長することができる。
【0021】
請求項4に記載の発明によれば、液滴の着弾位置及び着弾数のランダム性を増長することができる。
【0022】
請求項5に記載の発明によれば、サテライト液滴を含む液滴の着弾位置及び着弾数のランダム性を増長することができる。
【0023】
請求項6に記載の発明によれば、液滴の着弾位置及び着弾数のランダム性を増長することができる。
【0024】
請求項7、8に記載の発明によれば、一連の画像の利用に関する情報を一元的に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本実施形態に係る印刷システムの構成例を示す図である。
【
図2】
図1に示す印刷装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図1に示す端末装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】コンテンツサーバの制御構成を示すブロック図である。
【
図5】本実施形態で利用するコンテンツファイルのデータ構造の一例を示す図である。
【
図6】(a)は液滴の記録材への着弾状態を説明する模式図、(b)はメイン液滴及びサテライト液滴を有する液滴の記録材への着弾状態を説明する模式図である。
【
図7】(a)は造形物の表面に現れるバンディングテクスチャの例を示す模式図、(b)は造形物の表面に現れる規則的または不規則なテクスチャーの例を示す模式図である。
【
図8】プリントヘッドのまわりで発生する気流を説明する模式図である。
【
図9】駆動波形によって液滴を小さくする方法を示す図である。
【
図10】駆動波形により液滴の吐出速度を大きくする方法を示す図である。
【
図11】ヘッドギャップを変更する昇降駆動部を説明する図である。
【
図12】吐出信号を隣り合うノズルに送信し液滴の着弾位置及び着弾数を変化させる方法を示す図である。
【
図13】(a)はヘッドギャップを変更して特定の画像を印刷した実施例のインクジェット印刷機に模式的に示す図、(b)はヘッドギャップを変更して特定の画像を印刷した実施例における特定の画像を示す図である。
【
図14】ヘッドギャップを変更して特定の画像を印刷した画像の一例を示す図である。
【
図15】ヘッドギャップを変更して印刷した画像を複写機で複写して画像のランダム性が維持されるか確認した結果を示す図である。
【
図16】ヘッドギャップを変更して印刷した画像をカラー複写機で複写して画像のランダム性が維持されるか確認した結果を示す図である。
【
図17】ヘッドギャップを変更して特定の画像を印刷する試験を同一の条件で繰り返しそれぞれで液滴の着弾点が異なるか確認した結果を示す図である。
【
図18】本実施形態における端末装置の制御部及び印刷装置の制御部によって実行される処理動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に図面を参照しながら、本発明の実施形態の具体例を説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
尚、以下の図面を使用した説明において、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【0027】
(1)印刷システムの全体構成
図1は本実施形態に係る印刷システム100の構成例を示す図、
図2は
図1に示す印刷装置10のハードウェア構成の一例を示すブロック図、
図3は
図1に示す端末装置20のハードウェア構成の一例を示すブロック図、
図4はコンテンツサーバ30の制御構成を示すブロック図、
図5は本実施形態で利用するコンテンツファイルのデータ構造の一例を示す図である。
以下、図面を参照しながら、本実施形態に係る画像形成システムの構成について説明する。
【0028】
印刷システム100は、液滴を吐出可能な印刷装置10と、送信手段として機能する端末装置20と、コンテンツファイル50を配信するコンテンツサーバ30と、台帳データベース41を管理する管理サーバ40とから構成され、吐出するランダム性のある液滴が着弾した被印刷物の個別性を示す画像を記録し、被印刷物が真正であることの証明を可能にする印刷システムである。
本実施形態の印刷システム100では、印刷装置10、端末装置20、コンテンツサーバ30及び管理サーバ40は、ネットワークNWを介して接続され、印刷装置10、端末装置20、コンテンツサーバ30及び管理サーバ40が、ピアツーピア(Peer to Peer)ネットワークで接続可能である。
【0029】
(1-1)印刷装置
印刷装置10は、装置の全体を制御する制御部11と、外部装置との通信に使用される通信部12と、操作画面等を表示するとともに利用者の操作を受け付ける操作表示部13と、例えばインクジェット方式で被印刷物のひとつである記録材Sに画像を印刷する印刷機構14と、記録材Sに印刷された画像を撮像する撮像手段の一例としてのカメラ15と、カメラ15で撮像された画像を基準画像として格納する記憶部16と、を有している。制御部11と上記各部は、バスBを通じて接続されている。
尚、本実施形態において、記録材Sとしては、記録媒体として用いられるものに限られず、例えば、壁紙、床材、タイル等の建材、Tシャツ等の衣料用布、テキスタイル、皮革、材料を問わず3次元曲面を有する物体などを適宜使用することができる。
【0030】
制御部11は、プログラムの実行を通じて各種の管理機能を提供するCPU(Central Processing Unit)と、BIOS(Basic Input Output System)等を格納する記憶領域としてのROM(Read Only Memory)と、プログラムの実行領域として使用されるRAM(Random Access Memory)とからなるプロセッサを有している。プログラムには、ファームウェアやオペレーティングシステム(OS)が含まれる。尚、CPU、ROM、RAMは一つでも複数を備えていてもよい。
【0031】
通信部12は、例えばLAN(Local Area Network)インターフェースやIOT(Internet of Things)インターフェースで構成され、ネットワーク上に存在する他の機器とピアツーピア方式で通信する。ここでの通信には例えばイーサネット(登録商標)インターフェース、Wifi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)などを使用する。
操作表示部13は、いわゆるユーザインタフェースに相当するもので、具体的には液晶ディスプレイパネルや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイパネル、各種操作ボタン、タッチパネル等を組み合わせて構成され、各種の設定や指示の入力及び情報表示に用いられる。
【0032】
印刷機構14は、インクジェット方式のプリンタで、CMYK(C:シアン、M:マゼンタ、Y:イエロー、K:ブラック)の4種類のインクを液滴として吐出するプリントヘッド141(
図11 参照)と、プリントヘッド141に供給されるCMYK各色のインクのインクタンク142(不図示)とを備えている。なお、CMYKに加えて、金、銀等の金属色(M)、白色(W)等の特色のプリントヘッド141を備えていてもよい。
プリントヘッド141は、キャリッジ143(
図11 参照)の移動方向と直交する方向に並ぶ複数個の吐出ノズルを備えており、制御部11は、各吐出ノズルからのインク吐出量や吐出タイミング等を制御する。
【0033】
また、印刷機構14は、いわゆる付加製造に用いられる3D物体プリンタであってもよい。3D物体プリンタとしての印刷機構14は、プリントヘッド141A(不図示)、プラテン145(不図示)、および表面処理モジュール146(不図示)を含んで構成されている。プリントヘッド141A及び表面処理モジュール146は、制御部11に動作可能に接続されている。
【0034】
プリントヘッド141Aは、材料源に流体的に接続され、かつ、プラテン145に向かってこれらの材料の液滴を射出して、1層ずつ造形物としての3D物体を形成するようになっている。本実施形態におけるプリントヘッド141Aは、吐出後、紫外線等で硬化する材料の液滴を射出するように構成されている。なお、プリントヘッド141Aから粉末を成形するための材料の液滴を射出し、粉末を一層ずつ固めて造形物としての3D物体を形成してもよい。
【0035】
印刷機構14では、1つ以上のプリントヘッド141Aが造形材料の液滴を射出するように構成され、1つ以上のプリントヘッドが支持材料の液滴を射出するように構成される。造形材料は、形成されている3D物体の一部を維持する材料であり、一方、支持材料は、3D物体の造形中に3D物体の特徴である重量を支える材料であるが、3D物体が完全に形成された時点で除去される。
【0036】
制御部11は、プリントヘッド141Aに動作可能に接続され、かつプリントヘッド141A内のエジェクタを動作させ物体を層ごとに形成するために造形される3D物体に対応するデータを使用するプログラムされた命令で構成されている。3D物体プリンタにおいては、コンテンツファイル50は、造形される3D物体のCADデータである。
【0037】
カメラ15は、投影レンズ151(不図示)および対物レンズ152(不図示)と、撮像素子153(不図示)と、光源154(不図示)とを有する顕微鏡カメラであり、内蔵されたCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどの撮像素子153によって、投影レンズ151および対物レンズ152を介して顕微鏡の視野内に位置する画像を撮像する。
カメラ15は、印刷機構14のプリントヘッド141に対して主走査方向に並べられた状態でキャリッジ143に備えられている。従って、制御部11は、キャリッジ143を移動させることにより、カメラ15を主走査方向に移動させることができる。このような構成により、本実施形態においては、カメラ15が移動して、主走査方向における被印刷物上の印刷可能範囲の全てを視野に含めることができ、主走査方向のいずれの位置であっても印刷された画像を撮像することができる。カメラ15が撮像した画像データは無加工であるいは圧縮して記憶部16に送られる。
【0038】
なお、カメラ15としては、特に限定されず、例えば、1つの撮像素子を用いた2Dカメラであってもよく、2つの撮像素子を用い、これらの画像の視差から対象物までの距離を計測可能な3Dカメラであってもよい。カメラ15を3Dカメラとすることにより、例えば、プリントヘッドから吐出された液滴が堆積して造形された造形物の表面に表出する造形状態を示す3次元画像を取得することができ、造形物の真偽判定の精度を向上させることができる。なお、カメラ15は、同様の機能を発揮することができるセンサー等に置き換えてもよい。
【0039】
記憶部16は、ハードディスク装置や半導体メモリなどの記憶装置により構成される。本実施形態における記憶部16には、カメラ15で撮像された画像の他、コンテンツファイル50も記録される。
【0040】
(1-2)端末装置
端末装置20は、ノート型コンピュータ、タブレット型コンピュータ、スマートフォン、業務用端末、専用端末等の端末である。
端末装置20は、装置の全体を制御する制御部21と、コンテンツファイル50等の記憶に用いられる記憶部22と、画像の表示に使用される表示部23と、利用者の操作を受け付ける操作受付部24と、外部装置との通信に用いられる通信部25とを有している。
制御部21と上記各部はバスBを通じて相互に接続されている。
【0041】
制御部21は、プログラムの実行を通じ、情報の取得、保存、表示、送信等の処理も実行する。本実施形態においては、コンテンツサーバ30から受信するコンテンツを利用して所定のワークフロー処理を実行する。
記憶部22は、ハードディスク装置や半導体メモリなどの記憶装置により構成され、コンテンツファイル50の他、画像の利用の履歴に関する情報(台帳データベース22A)も記録される。
【0042】
表示部23は、各種の情報を表示するディスプレイ装置であり、例えば液晶ディスプレイパネルや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイパネルで構成される。
操作受付部24は、利用者からの操作を受け付けるデバイスであり、例えばキーボード、ボタン、スイッチ、タッチパッド、タッチパネル等で構成される。
通信部25は、例えばLAN(Local Area Network)インターフェースやIOT(Internet of Things)インターフェースで構成され、ネットワーク上に存在する他の機器とピアツーピア方式で通信する。通信部25は受信手段及び送信手段の一例である。ここでの通信には例えばイーサネット(登録商標)インターフェース、Wifi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)などを使用する。
【0043】
(1-3)コンテンツサーバ
コンテンツサーバ30は、いわゆるコンピュータとして構成され、端末装置20からのコンテンツ要求、管理サーバ40からのコンテンツの利用の履歴に関する情報等を受け付ける受付処理部31、端末装置20にコンテンツを配信する配信制御部32、コンテンツファイル50を蓄積するコンテンツデータベース(DB)33、画像の利用の履歴に関する情報を管理する台帳データベース34を有している。
【0044】
(1-4)管理サーバ
管理サーバ40(不図示)は、いわゆるコンピュータとして構成され、ネットワークNWに接続される印刷装置10、端末装置20、コンテンツサーバ30との間で双方向に通信を行う機能を有し、画像の利用の履歴に関する情報を管理する台帳データベース(DB)41(不図示)を有している。
【0045】
(1-5)コンテンツファイル
コンテンツファイル50は、コンテンツの属性情報51と、イメージデータ52または3Dデータ53からなる。
コンテンツの属性情報51としては、コンテンツとしての画像や3D物体に関する情報であり、例えば、画像や3D物体を創作したオリジネータを識別するための識別コード、画像及び3Dデータのサイズ、画像のフォーマット、CADデータのフォーマット、コンテンツに関連するリンク情報等を含んでいる。
【0046】
(2)プリントヘッドによる液滴の吐出
図6(a)は液滴の記録材への着弾状態を説明する模式図、
図6(b)はメイン液滴及びサテライト液滴を有する液滴の記録材への着弾状態を説明する模式図である。
【0047】
印刷装置10には、例えば記録材Sに対する液滴の設計上の位置である設計位置が記憶され、記録材Sに対する設計位置に液滴を着弾させるように液滴を吐出し、画像処理などを利用して、記録材Sに対する液滴の着弾位置である実位置を算出する。そして、設計位置と実位置とを比較して、補正値を算出し、その補正値に基づいてインクの吐出タイミングを制御する。
【0048】
一方、印刷時、プリントヘッド141は主走査方向に移動しながら液滴を吐出する。例えば、
図6(a)に示すように、液滴P1は、プリントヘッド141のノズル141aから吐出される。
液滴P1は、液滴P1の表面張力、および液滴P1の落下速度などに影響され、液滴本体P11から吐出方向と逆方向(図中、Z方向)にインク尾P12を引く。インク尾P12の上端には、液滴本体P11よりも小径のサブ液滴本体P13が形成される。
【0049】
この液滴P1が記録材Sに着弾する際に、液滴本体P11とサブ液滴本体P13とがマージしない場合、
図6(b)に示すように、メイン液滴P110とサテライト液滴P111とが記録材Sの表面に形成されることになる。液滴本体P11とサブ液滴本体P13との落下速度の差が大きいほど、サテライト液滴P111は、メイン液滴P110よりも主走査方向Y側に離れて形成される。
【0050】
サテライト液滴P111の着弾数、サテライト液滴P111の大きさ、メイン液滴P110に対する着弾位置等は、印刷時の気流、プリントヘッド141と記録材Sとの距離(ヘッドギャップ)、液滴の吐出速度、液滴の吐出量、液滴の状態等によって、ランダムに変化し不規則であることが知られている。
また、記録材Sの表面が固有の立体形状である場合、メイン液滴P110及びサテライト液滴P111の着弾状態が変わる。例えば記録媒体も、用紙の繊維の重なり形状等が一定でなく個別の微細表面形状を持つために、液滴が着弾後に染み込んだ状態は個別の形状を示す。
【0051】
図7(a)は造形物の表面に現れるバンディングテクスチャの例を示す模式図、
図7(b)は造形物の表面に現れる規則的または不規則なテクスチャーの例を示す模式図である。
プリントヘッド141Aから吐出する液滴を一層ずつ積層させて3D物体を造形する場合、造形物の表面には
図11(a)に示すような、固有のバンディングテクスチャが表出することが知られている。
【0052】
バンディングテクスチャは、プリントヘッド141Aのノズル形状、3D物体プリンタの筐体の振動、プリントヘッド141Aを駆動する駆動モータ(不図示)の回転精度、溶融した造形材料を含む液滴の吐出速度、液滴の吐出量、液滴の状態等によって、ランダムに変化し不規則であることが知られている。
【0053】
本実施形態に係る印刷装置10においては、コンテンツサーバ30からダウンロードされたコンテンツファイル50に含まれるイメージデータ52を記録材Sに印刷し、その印刷した画像について、個別性を示す画像として記録材Sの微細表面形状及び不規則に着弾したサテライト液滴P111を含む画像をカメラ15で撮像する。特に、被印刷物が造形物である場合、造形物の造形状態を示す3次元画像をカメラ15で撮像する。
カメラ15で撮像した画像は基準画像として記憶部16に格納され、照合対象となる照合画像と比較照合して照合画像が真正か否かを判定する基準画像となる。
【0054】
上述のように、サテライト液滴P111の着弾数、サテライト液滴P111の大きさ、メイン液滴P110に対する着弾位置等は、ランダムに変化し不規則であるために、照合対象となる照合画像において、サテライト液滴P111及びメイン液滴P110の印刷状態が異なっていれば、照合画像は、基準画像を含む画像とは相違すると判定することができる。すなわち、吐出するランダム性のある液滴による被印刷物の個別性を示す画像を記録することで、対象物である被印刷物が真正であることの証明を可能とすることができる。
【0055】
(2.2)吐出制御
図8はプリントヘッド141のまわりで発生する気流を説明する模式図である。
印刷機構14は、キャリッジ143に、プリントヘッド141、カメラ15とともに気流発生部17を備えている。
気流発生部17は、ダクト171と、排気ファン172とを有する。ダクト171は、排気ファン172と、プリントヘッド141との間に位置し、気体が吸い込まれる吸込み口171aがプリントヘッド141側に面している。
【0056】
印刷機構14による印刷時には、
図3に模式的に示すように、プリントヘッド141から液滴P1が吐出されることで、プリントヘッド141から記録材Sへ向かう自己気流R1が発生する。自己気流R1は、液滴P1の記録材Sに向かう直進性を高め、液滴P1の着弾ずれを少なくするように作用する。
この自己気流R1は、主走査方向において連続する複数のノズルが液滴をそれぞれ吐出していると、より強い流れとなる。また、同じノズルが連続する複数ラインのドットに対して液滴の吐出を繰り返す場合にも高くなる。さらに、自己気流R1は、同じノズルが同じドットに対して液滴の吐出を繰り返す場合にも高くなる。
【0057】
したがって、この自己気流R1が高くなる場合は、液滴本体P11に対してサブ液滴本体P13がマージしやすくなり、サテライト液滴P111が記録材Sの表面に形成されにくくなる。
本実施形態に係る印刷装置10においては、制御部11が気流発生部17の排気ファン172を動作させることで、プリントヘッド141と記録材Sとの間(ヘッドギャップ)に主走査方向Yに沿う引き込み流R2を発生させる。引き込み流R2は、自己気流R1の記録材Sに向かう直進性を弱めるように作用する。これにより、液滴本体P11に対してマージしないサブ液滴本体P13が増加して記録材Sの表面に形成されるサテライト液滴P111の着弾位置が変化し、液滴の着弾位置のランダム性を増長することができる。
【0058】
カメラ15は、気流発生部17の排気ファン172が動作して着弾位置が変化したサテライト液滴P111を含む領域を撮像して基準画像とすることで、吐出するランダム性のある液滴による被印刷物の個別性を示す画像を記録し、被印刷物が真正であることの証明を可能とすることができる。
【0059】
「変形例1」
図9は駆動波形によって液滴を小さくする方法を示す図である。
変形例1に係る印刷装置10は、基準画像となる画像を形成する領域において、通常よりも吐出する液滴が小さくなるように制御する。
具体的には、
図9(a)に模式的に示すように、制御部11は、基準画像となる画像を形成する領域においては、吐出パルス信号の電圧値を通常よりも低くして、吐出する液滴の体積を相対的に小さくする。これにより、記録材Sの表面に形成されるサテライト液滴P111の着弾位置が変化して液滴の着弾位置のランダム性を増長することができる。
【0060】
また、
図9(b)に模式的に示すように、基準画像となる画像を形成する領域においては、吐出パルス信号のパルス幅を通常よりも狭くして、吐出する液滴の体積を相対的に小さくしてもよい。パルス幅を変えて、吐出する液滴体積を相対的に小さくしており、これにより上記と同様の作用が得られる。
図9(c)は、制御用のパルスを付加するものであり、通常の吐出パルス信号に、通常の吐出パルス信号よりもパルス幅の小さい非吐出のパルスを付加してもよい。この非吐出パルスの付加によって、その液滴を小さくすることができる。
【0061】
図9(d)に模式的に示すように、パルスの立ち上がり/立ち下がり時間を変えてもよい。具体的には、液滴を小さくしたいドットのパルスの立ち上がりを緩やかにすることで、その液滴を小さくすることができる。なお、上記の電圧値、パルス幅、非噴射の付加パルス、パルスの立ち上がり/立ち下がり時間を単独で設定するだけでなく、これらを組合わせて液滴の体積を制御してもよい。
【0062】
図10には駆動波形により液滴の吐出速度を大きくする方法を示す。
基準画像となる画像を形成する領域においては、制御部11は、通常吐出の場合よりも液滴の吐出速度を大きくした吐出を行うよう制御してもよい。
具体的には、制御部11は、液滴の大きさ(液適量)および吐出速度のうちの少なくともいずれか一方を、通常吐出の場合よりも大きくするよう制御する。そのために、例えば、制御部11は、
図10(a)に示す通常波形に対し、駆動電圧Vおよびパルス幅Lのうちの少なくともいずれか一方を変更した駆動波形を、ノズルに対応する電極(不図示)に印加させる。駆動電圧Vおよびパルス幅Lのうちの少なくともいずれか一方を変更することで、1ドロップの液適量および吐出速度のうちの少なくとも一方を変更することができる。
【0063】
また、例えば、
図10(b)に示す駆動波形により、
図10(a)に示す通常波形の場合より、液滴の吐出速度を大きくすることができる。
図10(b)の駆動波形では、インク室(不図示)の容積を拡張させる拡張パルスPS1を印加する駆動電圧V1が大きいため、吐出圧力が
図10(a)に示す場合に対して大きくなる。これにより、
図10(a)に示す通常波形よりも吐出タイミングでのインク室内の圧力を高め、液滴の吐出速度を大きくすることができる。これにより、記録材Sの表面に形成される液滴の着弾数のランダム性を増長することができる。
【0064】
「変形例2」
図11はプリントヘッド141と記録材Sの表面との距離であるヘッドギャップを変更する昇降駆動部18を説明する図である。
変形例2に係る印刷装置10の印刷機構14は、キャリッジ143に、プリントヘッド141、カメラ15とともに昇降駆動部18を備えている。
昇降駆動部18は、プリントヘッド141を鉛直方向であるZ方向に移動させる。昇降駆動部18は、プリントヘッド141に設けられたナット18aと、ナット18aとネジ接合されたリードスクリュー18bとを有する。リードスクリュー18bは、モータM等の回転駆動源に接続され、リードスクリュー18bが回転することにより、リードスクリュー18bとネジ接合されたナット18aが鉛直方向に移動するようになっている。
【0065】
変形例2に係る印刷装置10は、基準画像となる画像を形成する領域において、通常よりも記録材Sの表面と液滴を吐出するプリントヘッド141の距離が大きくなるように制御する。
具体的には、制御部11は、基準画像となる画像を形成する領域においては、ヘッドギャップGを通常よりも大きくして液滴を吐出する。これにより、記録材Sの表面に形成されるメイン液滴P110の着弾位置、及びサテライト液滴P111の着弾位置及び着弾数が変化して液滴の着弾位置及び着弾数のランダム性を増長することができる。
【0066】
なお、昇降駆動部18に代えて、又はこれとともに、キャリッジ143に予めヘッドギャップが他のプリントヘッド141よりも大きいプリントヘッド141B(不図示)を備えて、基準画像となる画像を形成する領域においては、ヘッドギャップが大きいプリントヘッド141AI(不図示)を駆動して液滴を吐出してもよい。
【0067】
「変形例3」
変形例3に係る印刷装置10の印刷機構14は、キャリッジ143に、プリントヘッド141、カメラ15とともに加振部19(不図示)を備えている。
加振部19は、プリントヘッド141に設けられており、プリントヘッド141に水平方向の振動を付与(加振)するためのデバイス(例えばピエゾ素子)が内蔵されている。
制御部11は、基準画像となる画像を形成する領域においては、加振部19に電圧を印加して液滴を吐出するプリントヘッド141に振動を付与する。これにより、記録材Sの表面に形成されるメイン液滴P110の着弾位置、及びサテライト液滴P111の着弾位置及び着弾数が変化して液滴の着弾位置及び着弾数のランダム性を増長することができる。
【0068】
「変形例4」
変形例4に係る印刷装置10の印刷機構14は、キャリッジ143に、プリントヘッド141、カメラ15とともに音波発信部19A(不図示)を備えている。
音波発信部19Aは、プリントヘッド141に設けられており、プリントヘッド141と記録材Sとの間の空間に超音波を発振するための超音波スピーカが内蔵されている。
制御部11は、基準画像となる画像を形成する領域においては、音波発信部19Aの超音波スピーカを駆動してプリントヘッド141と記録材Sとの間の空間に指向性の高い超音波を発振する。これにより、プリントヘッド141から記録材Sへ向かう自己気流R1に乱れが発生し、記録材Sの表面に形成されるメイン液滴P110の着弾位置、及びサテライト液滴P111の着弾位置及び着弾数が変化して液滴の着弾位置及び着弾数のランダム性を増長することができる。
【0069】
「変形例5」
図12には吐出信号を隣り合うノズルに送信し液滴の着弾位置及び着弾数を変化させる方法を示す。
変形例5に係る印刷装置10は、通常印刷においては、
図12(a)に示すように、吐出ノズル同士の距離を維持するために、一つおきにノズルを駆動して液滴を吐出するように制御する。
これに対して、基準画像となる画像を形成する領域においては、
図12(b)に示すように、プリントヘッド141の複数のノズルのうち、隣り合うノズルに同時に噴射パルス信号を送り隣り合うノズルを駆動して液滴を吐出するように制御する。これにより、プリントヘッド141から記録材Sへ向かう自己気流R1同士が互いに影響し合ってそれぞれの飛翔方向の直進性が弱くなり、記録材Sの表面に形成されるメイン液滴P110の着弾位置、及びサテライト液滴P111の着弾位置及び着弾数が変化して液滴の着弾位置及び着弾数のランダム性を増長することができる。
【0070】
「変形例6」
変形例6に係る印刷装置10の印刷機構14は、CMYK(C:シアン、M:マゼンタ、Y:イエロー、K:ブラック)のインクを液滴として吐出するプリントヘッド141に加えて、特色のプリントヘッド141B(不図示)を備えている。特色のプリントヘッド141BにはCMYK各色のインクとは異なる特色のインクタンク142B(不図示)が接続されている。
ここで、特色のインクは、含まれる粒子の含有量がK色のインクとは異なっている。一例として、特色のインクには微量のニッケルナノ粒子が含まれ、目視上は通常のK色インクと変わらないが、原子吸光分析することでNiのピークを検出することができる。
【0071】
変形例6に係る印刷装置10は、基準画像となる画像を形成する領域において、通常のK色に代えて特色で印刷することで、被印刷物の真偽判定の精度を向上させることができる。
【0072】
「実施例」
図13(a)はヘッドギャップを変更して特定の画像を印刷した実施例のインクジェット印刷機に模式的に示す図、(b)はヘッドギャップを変更して特定の画像を印刷した実施例における特定の画像を示す図、
図14はヘッドギャップを変更して特定の画像を印刷した画像の一例を示す図、
図15はヘッドギャップを変更して印刷した画像を複写機で複写して画像のランダム性が維持されるか確認した結果を示す図、
図16はヘッドギャップを変更して印刷した画像をカラー複写機で複写して画像のランダム性が維持されるか確認した結果を示す図、
図17はヘッドギャップを変更して特定の画像を印刷する試験を同一の条件で繰り返しそれぞれで液滴の着弾点が異なるか確認した結果を示す図である。
印刷装置10として、商業印刷分野に用いられるフラットベッドタイプのインクジェット印刷機を用いて、ヘッドギャップを変更して特定の画像を印刷した。
【0073】
印刷は、
図13(a)に模式的に示すように、フラットベッド101上に高さの異なる記録材Sの支持台102を載置し、プリントヘッド141の吐出面141bと記録材Sとのヘッドギャップがそれぞれ、1.5mm、6.5mm、11.5mmとなるようにして、同時に液滴を吐出して印刷を行った。画像としては、
図13(b)に示すように、直径5mmの円に十字と斜め線を入れている。また、円の下方の数字は、画像の線幅(0.025mm、0.05mm、0.1mm)を示している。
【0074】
印刷結果は
図14に示す。これによると、ヘッドギャップが拡大するほど、液滴の着弾点が散らばる様子が示されている。すなわち、ヘッドギャップを大きくすることで、液滴の着弾位置と着弾数が変化する結果となった。
【0075】
次に、ヘッドギャップを変更して印刷した画像を複写機で複写して、画像、特にサテライト液滴を含む画像のランダム性が維持されるか確認した。
複写結果は
図15に示す。これによると、複写された画像は、特に線幅が小さい画像(0.025mm、0.05mm)で線が途切れ気味になり、サテライトやチリが飛んでいる様子が示されている。すなわち、インクジェット印刷機で液滴の同じ着弾点を再現するのは困難であるが、複写機で複写しても複写画像は、オリジナル画像からは変化し、再現は困難である結果となった。かかる結果は、
図16に示すように、複写再現性が高いカラー複写機を用いても同様であった。
【0076】
次に、ヘッドギャップを変更して特定の画像を印刷する試験を、同一の条件で10回繰り返し、それぞれで液滴の着弾点が異なるか確認した。
印刷結果は
図17に示す(第1回と第10回を示す)。これによると、10回ともヘッドギャップが拡大するほど、液滴の着弾点が散らばり、それぞれの回で着弾点の散らばり具合が異なる様子が示されている。すなわち、ヘッドギャップを大きくすることで、液滴の着弾位置と着弾数が変化し、同一条件であっても、印刷するたびに液滴の着弾位置と着弾数が変化する結果となった。
【0077】
(3)基準画像
本実施形態においては、印刷した画像について、個別性を示す画像として不規則に着弾したサテライト液滴P111を含む画像を被印刷物の特定の領域においてカメラ15で撮像し、照合対象となる照合画像と比較照合して照合画像が真正か否かを判定するための基準画像として記憶部16に格納される。
【0078】
基準画像は、複数種類のプロセスカラーインクを含み、少なくとも2種類のプロセスカラーインクが着弾して形成されたドットを含むことが対象物の真偽判定の精度を向上させることができる点で好ましい。また、少なくとも2種類のプロセスカラーインクが重なって着弾して形成されたドットを含むことがより好ましい。
【0079】
基準画像は、印刷した画像に対して複数箇所で撮像され複数の基準画像として記憶部16に格納されることが好ましい。複数の基準画像が記憶部16に格納されることで、画像の一部が劣化していても対象物の真偽判定を行うことができる。
【0080】
基準画像は、印刷した画像に対して端部領域で撮像され基準画像として記憶部16に格納されることが好ましい。端部領域で撮像された基準画像が記憶部16に格納されることで、対象物の真偽判定の精度を向上させることができる。
【0081】
基準画像は、印刷した画像に対して所定の範囲を走査して撮像された動画として記憶部16に格納されてもよい。動画として記憶部16に格納されることで、対象物の画像の一部が劣化していても対象物の真偽判定を行うことができる。
【0082】
基準画像は、印刷した画像に対して、その位置を示すマークを含むことが好ましい。マークにより、基準画像の照合位置を示すことができる。
【0083】
また、これら基準画像は、その表面に画像を観察可能な透明材料で覆われた保護層を有することが好ましい。保護層により基準画像の劣化を抑制することができる。
【0084】
(4)印刷システムの処理動作
図18は本実施形態における端末装置20の制御部21及び印刷装置10の制御部11によって実行される処理動作の一例を示すフローチャートである。
以下では、印刷システム100を構成する印刷装置10及び端末装置20で実行される処理動作について説明する。
【0085】
本実施形態における印刷装置10、端末装置20、コンテンツサーバ30、管理サーバ40は、画像の利用の履歴に関する情報(台帳データベース)を共有している。
すなわち、印刷装置10の台帳データベース16A(
図2 参照)と、端末装置20の台帳データベース22A(
図3 参照)と、コンテンツサーバ30の台帳データベース34と、管理サーバ40の台帳データベース41と、には共通の情報が保持されている。
【0086】
本実施形態においては、画像の利用に関する情報(ブロック)が新たに発生されるたびに、該当する画像の履歴を正しく引き継いでいるか否かを複数の台帳データベース間で検証し、正当性が検証できた場合に個々の台帳データベースを更新する、いわゆるブロックチェーンと呼ばれる方式を採用する。
【0087】
まず、制御部21は、利用の対象としてコンテンツサーバ30(
図1 参照)からコンテンツファイル50をダウンロード(S11)し、印刷装置10で印刷するイメージデータ52を記憶部22に格納する(S12)。尚、印刷装置10の印刷機構14が3D物体プリンタである場合、造形される3D物体のCADデータを記憶部22に格納する(S12)。
続いて、制御部21は、利用の態様を記録する(S13)。この段階における利用の態様は、印刷対象となる画像のダウンロードである。
【0088】
この後、制御部21は、新たに発生した利用の態様の情報(画像のダウンロード)を含むブロックを生成する(S14)。ここで、制御部21は、端末装置20に蓄積されている利用の履歴を管理する台帳データベース22A(
図3 参照)に記録されている直前回のブロックの内容のハッシュ値と、新たに発生した利用の内容をコンテンツサーバ30(
図1 参照)の公開鍵を用いて暗号化したデータとを含むブロックBC1を生成する。
【0089】
そして、制御部21は、ブロックBC1を印刷装置10へ送信する(S15)。この後、制御部21は、利用の態様を記録する(S16)。この段階における利用の態様は、印刷対象となる画像を含むブロックの印刷装置10への送信である。そして、制御部21は、新たに発生した利用の態様の情報(ブロックの印刷装置への送信)を含むブロックを生成する(S17)。ここで、制御部21は、端末装置20に蓄積されている利用の履歴を管理する台帳データベース22A(
図3 参照)に記録されている直前回のブロックの内容のハッシュ値と、新たに発生した利用の内容をコンテンツサーバ30(
図1 参照)の公開鍵を用いて暗号化したデータとを含むブロックBC2を生成する。
【0090】
続いて、制御部21は、生成されたブロックBC1、BC2をピアツーピア方式でコンテンツサーバ30を宛先として送信する(S18)。コンテンツサーバ30は受信したブロックBC1、BC2をピアツーピア方式で台帳データベースDBを保持する他の装置に通知する。
この後、制御部21は、他のノード(印刷装置10、コンテンツサーバ30、管理サーバ40)との間で新たなブロックBC1、BC2の正当性が検証されるのを待って、台帳データベース22A(
図3 参照)を更新する(S19)。
【0091】
なお、台帳データベース12A(
図2 参照)を管理する印刷装置10(
図2 参照)、台帳データベース34(
図4 参照)を管理するコンテンツサーバ30(
図4 参照)、台帳データベース41を管理する管理サーバ40(
図1 参照)のそれぞれは、端末装置20(
図1 参照)から新しいブロックを受信すると、ブロックに含まれている直前回のブロックのハッシュ値が正しいか、過去の履歴を引き継いでいるか等を検証し、検証の結果について他のノードとの間で合意が形成されると、個々の台帳データベースをそれぞれ更新する。
【0092】
ステップS15で、端末装置20が送信したブロックBC1については、印刷装置10の制御部11が処理を実行する。制御部11は、ブロックBC1に含まれるイメージデータ52を記憶部16に格納(S21)するとともに、印刷機構14を駆動して、記録材Sに画像としてのイメージデータ52を印刷する(S22)。印刷にあたっては、制御部11は、基準画像となる画像を形成する領域においては、気流発生部17の排気ファン172を動作させる、プリントヘッド141の駆動波形を変更して液滴を小さくする、吐出速度を大きくする、ヘッドギャップを通常よりも大きくする、プリントヘッド141に振動を付与する、隣り合うノズルを同時に駆動する、特色インクを使用する、等の液滴の吐出制御を行う。
【0093】
この後、制御部11は、利用の態様を記録する(S23)。この段階における利用の態様は、液滴の吐出制御を含む画像の記録材Sへの印刷である。そして、制御部11は、新たに発生した利用の態様の情報(液滴の吐出制御を含む画像の記録材Sへの印刷)を含むブロックを生成する(S24)。ここで、制御部11は、印刷装置10に蓄積されている利用の履歴を管理する台帳データベース12B(
図2 参照)に記録されている直前回のブロックの内容のハッシュ値と、新たに発生した利用の内容をコンテンツサーバ30(
図1 参照)の公開鍵を用いて暗号化したデータとを含むブロックBC3を生成する。
【0094】
次に、制御部11は、カメラ15を起動して、画像が印刷された記録材Sの基準画像となる画像が形成された領域を撮像する(S25)。
この後、制御部11は、利用の態様を記録する(S26)。この段階における利用の態様は、基準画像の撮像である。そして、制御部11は、新たに発生した利用の態様の情報(基準画像の撮像)を含むブロックを生成する(S27)。ここで、制御部11は、印刷装置10に蓄積されている利用の履歴を管理する台帳データベース12A(
図2 参照)に記録されている直前回のブロックの内容のハッシュ値と、新たに発生した利用の内容をコンテンツサーバ30(
図1 参照)の公開鍵を用いて暗号化したデータとを含むブロックBC4を生成する。
【0095】
そして制御部11は、カメラ15で撮像した基準画像となる画像データを記憶部16に格納する(S28)。
この後、制御部11は、利用の態様を記録する(S29)。この段階における利用の態様は、カメラ15で撮像した画像データの格納である。そして、制御部11は、新たに発生した利用の態様の情報(画像データの格納)を含むブロックを生成する(S30)。ここで、制御部11は、印刷装置10に蓄積されている利用の履歴を管理する台帳データベース12A(
図2 参照)に記録されている直前回のブロックの内容のハッシュ値と、新たに発生した利用の内容をコンテンツサーバ30(
図1 参照)の公開鍵を用いて暗号化したデータとを含むブロックBC5を生成する。
【0096】
続いて、制御部11は、生成されたブロックBC3、BC4、BC5をピアツーピア方式でコンテンツサーバ30を宛先として送信する(S31)。コンテンツサーバ30は受信したブロックBC3、BC4、BC5をピアツーピア方式で台帳データベースDBを保持する他の装置に通知する。
この後、制御部11は、他のノード(端末装置20、コンテンツサーバ30、管理サーバ40)との間で新たなブロックBC3、BC4、BC5の正当性が検証されるのを待って、台帳データベース16A(
図2 参照)を更新する(S32)。
【0097】
ここで、台帳データベース22A(
図3 参照)を管理する端末装置20(
図3 参照)、台帳データベース34(
図4 参照)を管理するコンテンツサーバ30(
図4 参照)、台帳データベース41を管理する管理サーバ40(
図1 参照)のそれぞれは、印刷装置10(
図2 参照)から新しいブロックを受信すると、ブロックに含まれている直前回のブロックのハッシュ値が正しい、過去の履歴を引き継いでいるか等を検証し、検証の結果について他のノードとの間で合意が形成されると、個々の台帳データベースをそれぞれ更新する。
【0098】
(5)印刷システムの作用及び効果
本実施形態の印刷システム100では、コンテンツファイル50に含まれるイメージデータや3Dデータが利用されると、利用に関する情報がブロックとしてコンテンツサーバ30に送信される。
このため、コンテンツファイル50を操作するノード(端末装置20、印刷装置10)によらず、コンテンツの利用、例えば、画像のダウンロード、画像の被印刷物への印刷、基準画像の撮像、基準画像の格納等の履歴をコンテンツサーバ30で漏れなく管理できる。
また、コンテンツの利用の履歴の管理にブロックチェーンの技術を採用することで、情報の改ざんを防ぎ、画像が印刷された被印刷物が真正であることの証明を可能とすることができる。
【0099】
画像を印刷する印刷装置10は、基準画像となる画像を形成する領域において、記録材Sに着弾する液滴の不規則性を増長するような吐出制御を行って被印刷物の個別性を示す画像を形成する。形成した画像はカメラ15で撮像し、基準画像として記憶部16に格納し、照合対象となる照合画像との対比に用いられる。
そして、照合画像と格納された基準画像との印刷状態が異なっていれば、照合画像は、基準画像を含む画像とは相違すると判定される。
【0100】
以上のように、本実施形態の印刷システム100によれば、オリジナル画像データに基づき正式な手続きで印刷されたことを記録し、証明できるとともに、画像が印刷された被印刷物が真正であることの証明を可能にすることができる。
【0101】
以上、本実施形態においては、画像の利用に関する情報は、ブロックを生成して、コンテンツサーバ30を宛先として送信し、コンテンツサーバ30は、受信したブロックをピアツーピア方式で台帳データベースDBを保持する他のノードに通知するブロックチェーン方式の例を示したが、画像の利用に関する情報は、オフチェーン方式として、それぞれの端末装置20の台帳データベース22A、印刷装置10の台帳データベース16Aに蓄積するとともに、コンテンツサーバ30へ送信して、コンテンツサーバ30で一元的に管理してもよい。また、画像の利用に関する情報をコンテンツサーバ30に送信することなく、自装置内の台帳データベースを送信先としてもよい。
【0102】
また、本実施形態において、印刷装置10における液滴の吐出制御はインクジェット方式の印刷機構14を中心に説明したが、印刷機構14としては主として付加製造に用いられる3D物体プリンタであっても適用することができる。3D物体プリンタにおいては、造形物の表面に表出する固有のバンディングテクスチャをカメラ15で撮像して基準画像データとして記憶部16に格納する。係る基準画像は、対象物としての造形物の表面状態と照合することで、造形物が真正であることの証明を可能とすることができる。
【符号の説明】
【0103】
100・・・印刷システム
10・・・印刷装置
11・・・制御部、12・・・通信部、13・・・操作表示部、14・・・印刷機構、141、141A、141B・・・プリントヘッド、15・・・カメラ、16・・・記憶部、16A・・・台帳データベース、17・・・気流発生部、18・・・昇降駆動部、19・・・加振部、19A・・・音波発生部
20・・・・端末装置
21・・・制御部、22・・・記憶部、22A・・・台帳データベース
30・・・コンテンツサーバ
31・・・受付処理部、32・・・配信制御部、33・・・コンテンツデータベース、34・・・台帳データベース
40・・・管理サーバ
41・・・台帳データベース
50・・・コンテンツファイル
51・・・属性情報、52・・・イメージデータ
【要約】
【課題】吐出する液滴のランダム性のある着弾状態による対象物の個別性を示す画像を記録し、対象物が真正であることの証明を可能にする。
【解決手段】吐出された液滴が着弾した被印刷物の個別性を示す画像の個別性を増長するように液滴の着弾位置及び/又は着弾数を変化させる制御手段と、画像を撮像可能な撮像手段と、撮像手段により撮像された画像を示す基準画像を格納する格納手段と、画像の利用の指示を受け付けたことに応じて、画像の利用に関する情報を送信する送信手段と、を備えた。
【選択図】
図18