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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-27
(45)【発行日】2022-07-05
(54)【発明の名称】不織装飾積層体及びその形成方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/30 20060101AFI20220628BHJP
   B60R 13/02 20060101ALI20220628BHJP
   B63B 29/02 20060101ALI20220628BHJP
   B64D 11/00 20060101ALI20220628BHJP
【FI】
B32B27/30 D
B60R13/02 Z
B63B29/02 Z
B64D11/00
【請求項の数】 8
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2015120975
(22)【出願日】2015-06-16
(65)【公開番号】P2016068555
(43)【公開日】2016-05-09
【審査請求日】2018-06-14
【審判番号】
【審判請求日】2020-06-10
(31)【優先権主張番号】14/496,469
(32)【優先日】2014-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 晋平
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(72)【発明者】
【氏名】ジェイソン・ダブリュー・ドレクスラー
(72)【発明者】
【氏名】サマンサ・エル・ブロナー
【合議体】
【審判長】山崎 勝司
【審判官】久保 克彦
【審判官】稲葉 大紀
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-175270(JP,A)
【文献】特開昭61-277436(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B 27/30,B60R 13/02,B63B 29/02,B64D 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造的構成要素(28)に貼り付けるための装飾積層体(10)において、前記装飾積層体(10)は、
難燃材料(70)を伴う不織布材料(68)を備える基板層(64)であって、前記不織布材料(68)は、以下のうちの1つ以上、すなわち、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポチトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリアミド(PA)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、アラミド、及び、コポリエステルから成るグループから選択されるポリマーから少なくとも一部が形成される合成ポリマー繊維、グラスファイバを含むガラス繊維、及び炭素繊維のうちの1つ以上から構成されており、前記不織布材料(68)は、前記装飾積層体(10)の形成中に高温で歪まない非配向繊維を備える、基板層(64)と、
前記基板層(64)上に配置されるエンボス加工可能層(78)であって、前記エンボス加工可能層(78)がエンボス樹脂材料(82)と難燃材料(70)とを備える、エンボス加工可能層(78)と、
前記エンボス加工可能層(78)上に配置される保護層(84)であって、前記保護層(84)は、ポリビニルフッ化物系材料(88)を備えるとともに、前記エンボス加工可能層(78)と対向する前記保護層(84)の第1の側面(86a)上に装飾材料(90)が印刷される、保護層(84)と、
を備え、
前記装飾材料は、前記保護層を通じて視認可能であり、
前記装飾積層体(10)は、前記基板層(64)が前記構造的構成要素(28)の結合面(62)と対向する状態で、及び、接着層(63)が前記装飾積層体(10)と前記構造的構成要素(28)の前記結合面(62)との間に塗布される状態で、前記構造的構成要素(28)に貼り付けられ、
前記不織布材料(68)は、光が通過する表面界面の数を増大させる複数のマイクロファイバ及び繊維を有し、それにより、前記装飾積層体(10)の不透明性の増大をもたらし、それによって、前記装飾積層体(10)下の前記構造的構成要素(28)が視覚から隠されることができ、
前記不織布材料(68)は、繰り返しパターンを有さず、それ故に、前記繰り返しパターン及び前記装飾材料の組み合わせに起因する重ね合わせパターンの形成を避ける、装飾積層体(10)。
【請求項2】
難燃材料側面(76)を形成するべく前記基板層(64)の第1の側面(66a)に加えられる難燃材料層(72)を更に備え、前記難燃材料側面(76)は、前記装飾積層体(10)が形成されて前記構造的構成要素(28)に貼り付けられる時点で前記接着層(63)を受けて前記構造的構成要素(28)の結合面(62)と対向するように構成される、請求項1に記載の装飾積層体(10)。
【請求項3】
前記不織布材料(68)は、多孔質であり、前記難燃材料(70)が膨張性又は非膨張性である、請求項1又は請求項2に記載の装飾積層体(10)。
【請求項4】
前記不織布材料(68)は、前記エンボス加工可能層(78)の前記エンボス樹脂材料(82)を機械的に補強するように構成される、請求項1から3のいずれか一項に記載の装飾積層体(10)。
【請求項5】
前記構造的構成要素(28)は、航空機構造的構成要素(28a)、回転翼航空機構造的構成要素、宇宙船構造的構成要素、船舶構造的構成要素、自動車構造的構成要素、又は、トラック構造的構成要素を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の装飾積層体(10)。
【請求項6】
胴体(14)と、
前記胴体(14)に結合される少なくとも1つの翼(18)と、
装飾積層体(10)を有する少なくとも1つの航空機構造的構成要素(28a)と、
を備える航空機(12a)において、前記装飾積層体(10)は、
難燃材料(70)を伴う或いは伴わない不織布材料(68)を備える基板層(64)であって、前記不織布材料(68)は、以下のうちの1つ以上、すなわち、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポチトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリアミド(PA)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、アラミド、及び、コポリエステルから成るグループから選択されるポリマーから少なくとも一部が形成される合成ポリマー繊維、グラスファイバを含むガラス繊維、及び炭素繊維のうちの1つ以上から構成されており、前記不織布材料(68)は、前記装飾積層体(10)の形成中に高温で歪まない非配向繊維を備える、基板層(64)と、
前記基板層(64)上に配置されるエンボス加工可能層(78)であって、前記エンボス加工可能層(78)がエンボス樹脂材料(82)と難燃材料(70)とを備える、エンボス加工可能層(78)と、
前記エンボス加工可能層(78)上に配置される保護層(84)であって、前記保護層(84)は、ポリビニルフッ化物系材料(88)を備えるとともに、前記エンボス加工可能層(78)と対向する前記保護層(84)の第1の側面(86a)上に装飾材料(90)が印刷される、保護層(84)と、
を備え、
前記装飾材料は、前記保護層を通じて視認可能であり、
前記装飾積層体(10)は、前記基板層(64)が前記少なくとも1つの航空機構造的構成要素(28a)の結合面(62)と対向する状態で、及び、接着層(63)が前記装飾積層体(10)と前記少なくとも1つの航空機構造的構成要素(28a)の結合面(62)との間に塗布される状態で、前記少なくとも1つの航空機構造的構成要素(28a)に貼り付けられ、
前記不織布材料(68)は、光が通過する表面界面の数を増大させる複数のマイクロファイバ及び繊維を有し、それにより、前記装飾積層体(10)の不透明性の増大をもたらし、それによって、前記装飾積層体(10)下の前記少なくとも1つの航空機構造的構成要素(28a)が視覚から隠されることができ、
前記不織布材料(68)は、繰り返しパターンを有さず、それ故に、前記繰り返しパターン及び前記装飾材料の組み合わせに起因する重ね合わせパターンの形成を避ける、航空機(12a)。
【請求項7】
装飾積層体(10)は、難燃材料側面(76)を形成するべく前記基板層(64)の第1の側面(66a)に加えられる難燃材料層(72)を更に備え、前記難燃材料側面(76)は、前記装飾積層体(10)が形成されて前記航空機構造的構成要素(28a)に貼り付けられる時点で前記接着層(63)を受けて前記航空機構造的構成要素(28a)の結合面(62)と対向するように構成される、請求項6に記載の航空機(12a)。
【請求項8】
前記不織布材料(68)は、多孔質であり、前記難燃材料が膨張性又は非膨張性(70)である、請求項6又は請求項7に記載の航空機(12a)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、装飾積層体及びその形成方法に関し、特に、航空機内部構造的構成要素などの構造的構成要素で不織装飾積層体が使用される、不織装飾積層体及びその形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
装飾積層体は、壁の表面のため、調理台のため、及び、航空機の内部構造的構成要素などの他の構造体のため、を含む多種多様な用途で使用される。例えば、装飾積層体は、そのような航空機内部構造的構成要素の表面に、客室内部側壁及び天井パネル、床パネル、手荷物棚、トイレ及び調理室のパネル及び構造、バルクヘッド隔壁、及び、他の航空機内部構造的構成要素として貼り付けられてもよい。
【0003】
装飾積層体は、一般に、テクスチャを伴う装飾積層体を与えるためにエンボス加工可能であってもよい基板層又は支持層と、基板層上に横たわる装飾層と、装飾層上に横たわる保護層とを含む。特定の装飾積層体では、使用される材料の性質及び所望の積層体特性に応じて、基板層、装飾層、及び、保護層の間に他の層が含まれてもよい。装飾層は、該装飾層に対して装飾効果を与えるために、様々なパターン及び色を伴って印刷されてもよい。
【0004】
装飾積層体は、高温高圧積層・エンボス加工成形プロセスを使用して装飾積層体の層を印刷し、エンボス加工し、成形し、及び/又は、積層することによって製造されてもよい。形成された装飾積層体は、その後、接着剤又は他の結合剤により、航空機内部構造的構成要素の表面に結合されてもよい。
【0005】
1つの既知の装飾積層体及び該装飾積層体を製造する方法は、様々な層に結合される接着剤ベースのエンボス樹脂を伴うポリビニルフッ化物(PVF)膜の基板層を使用することを含む。しかしながら、この既知の装飾積層体及び方法で使用されるそのような基板層膜は、2軸配向される(すなわち、膜が2つの異なる方向に伸ばされる)とともに、高い処理温度に晒されるときに歪む或いは収縮する場合がある。これは、装飾積層体の皺をもたらす場合があり、ひいては、品質要求に基づく生産中に装飾積層体の不良をもたらし得る。
【0006】
また、この既知の装飾積層体及び方法で使用されるそのような基板層膜は、印刷することが難しい場合があり、また、バッチ生産によって製造される場合がある(すなわち、物品をグループ又はバッチで処理する。この場合、それぞれの物品に固有のプロセスが物品のバッチに関して同時に行われ、また、そのバッチは、バッチ全体が完了するまで生産の次の段階又は検査へ移行しない)。装飾積層体のバッチ処理は、時間がかかり、非常に変わりやすいとともに、製造コスト及び人件費の増大をもたらし、また、品質の一貫性がなくなる場合がある。
【0007】
更に、この既知の装飾積層体及び方法で使用されるそのような基板層膜は、光が通過する表面界面の数が減少する場合があり、そのため、装飾積層体の不透明性が低下する場合がある。不透明性の低下により、下層の航空機内部構造的構成要素を見ることができる場合がある。これは、下層の航空機内部構造的構成要素の見た目が悪い或いはさもなければ魅力がない場合には、望ましくない場合がある。
【0008】
他の既知の装飾積層体及び該装飾積層体を製造する方法は、エンボス加工可能層及び保護層を伴う織り繊維材料の基板層を使用することを含む。しかしながら、この既知の装飾積層体で使用されるそのような織り繊維基板層は、繰り返しパターンを有する場合がある。そのような繰り返しパターンが織り繊維基板層の上側に横たわるエンボス加工可能層上又は保護層上の印刷デザイン又は装飾デザインと組み合わされると、繰り返しパターン及び印刷デザイン又は装飾デザインは、装飾積層体の外観全体に影響を及ぼす重ね合わせパターンを形成する場合がある。これは、外観要求又は審美的要求に基づく生産中に装飾積層体の不良をもたらし得る。
【0009】
したがって、当該技術分野においては、既知の装飾積層体及び方法に優る利点を与える、改良された装飾積層体及びその形成方法の必要性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本開示の実施例は、改良された装飾積層体及び該装飾積層体を形成する方法を提供する。以下の詳細な説明で述べられるように、改良された装飾積層体及び該装飾積層体を形成する方法の実施形態は、既存の装飾積層体及び方法に優る大きな利点を与えることができる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示の一実施形態では、構造的構成要素に貼り付けるための装飾積層体が提供される。装飾積層体は、難燃材料を伴う或いは伴わない不織布材料を備える基板層を備える。
【0012】
装飾積層体は、基板層上に配置されるエンボス加工可能層を更に備える。エンボス加工可能層はエンボス樹脂材料と難燃材料とを備える。
【0013】
装飾積層体は、エンボス加工可能層上に配置される保護層を更に備える。保護層は、ポリビニルフッ化物系材料を備えるとともに、エンボス加工可能層と対向する保護層の第1の側面上に装飾材料が印刷される。装飾積層体は、基板層が構造的構成要素の結合面と対向する状態で、及び、接着層が装飾積層体と構造的構成要素の結合面との間に塗布される状態で、構造的構成要素に貼り付けられる。
【0014】
本開示の他の実施形態では、航空機が提供される。航空機は、胴体と、胴体に結合される少なくとも1つの翼とを備える。航空機は、装飾積層体を有する少なくとも1つの航空機構造的構成要素を更に備える。
【0015】
装飾積層体は、難燃材料を伴う或いは伴わない不織布材料を備える基板層を備える。装飾積層体は、基板層上に配置されるエンボス加工可能層を更に備える。エンボス加工可能層はエンボス樹脂材料と難燃材料とを備える。
【0016】
装飾積層体は、エンボス加工可能層上に配置される保護層を更に備える。保護層は、ポリビニルフッ化物系材料を備えるとともに、エンボス加工可能層と対向する保護層の第1の側面上に装飾材料が印刷される。装飾積層体は、基板層が少なくとも1つの航空機構造的構成要素の結合面と対向する状態で、及び、接着層が装飾積層体と少なくとも1つの航空機構造的構成要素の結合面との間に塗布される状態で、少なくとも1つの航空機構造的構成要素に貼り付けられる。
【0017】
本開示の他の実施形態では、構造的構成要素に貼り付けるための装飾積層体を形成する方法が提供される。方法は、印刷装飾材料側面を形成するべく保護層の第1の側面上に装飾材料を印刷するステップを備える。保護層はポリビニルフッ化物系材料を備える。
【0018】
方法は、難燃材料を伴う或いは伴わない不織布材料を備える基板層を設けるステップを更に備える。方法は、エンボス樹脂材料及び難燃材料を備えるエンボス加工可能層を設けるステップを更に備える。
【0019】
方法は、保護層の印刷装飾材料側面がエンボス加工可能層に隣接する状態で、基板層、基板層上にわたってエンボス加工可能層、エンボス加工可能層上にわたって保護層を順次に層状にして積層することによって装飾積層体を形成するステップを更に備える。方法は、形成された装飾積層体の基板層に接着層を加えるステップを更に備える。方法は、構造的構成要素に装飾積層体を貼り付けるステップであって、基板層上の接着層が構造的構成要素上の結合面に隣接するステップを更に備える。
【0020】
論じてきた特徴、機能、及び、利点は、本開示の様々な実施形態では独立に達成され得る、或いは、更なる他の実施形態では組み合わされてもよく、それらの更なる詳細は、以下の説明及び図面に関連して分かる。
【0021】
添付図面と併せて解釈される以下の詳細な説明を参照すると、本開示をより良く理解することができ、添付図面は、好ましい典型的な実施形態を示すが、必ずしも原寸に比例して描かれていない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本開示の装飾積層体の1つ以上の実施形態を組み入れる飛行体の斜視図の例示である。
図2】航空機の製造及び保守点検方法の一実施形態のフロー図の例示である。
図3】航空機の一実施形態の機能ブロック図の例示である。
図4A】本開示の装飾積層体の一実施形態の分解側面図の例示である。
図4B図4Aの装飾積層体の組み立て側面図の例示である。
図5A】本開示の装飾積層体の他の実施形態の分解側面図の例示である。
図5B図5Aの装飾積層体の組み立て側面図の例示である。
図6】本開示の方法の一実施形態のフロー図の例示である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
ここで、以下、添付図面を参照して、開示された実施形態を更に十分に説明するが、図面には、開示された実施形態の一部が示されており、全てが示されているとは限らない。確かに、幾つかの異なる実施形態が与えられてもよく、また、それらの実施形態は、本明細書中に記載される実施形態に限定されるように解釈されるべきでない。むしろ、これらの実施形態は、この開示が完全であって開示範囲を当業者へ十分に伝えることができるように与えられる。
【0024】
ここで、図を参照すると、図1は、本開示の装飾積層体10の1つ以上の実施形態を組み入れる例えば航空機12aの形態を成す飛行体12の斜視図の例示である。図1に更に示されるように、例えば航空機12aの形態を成す飛行体12は、胴体14と、機首16と、翼18と、エンジン20と、水平安定板24及び垂直安定板26を備える尾翼22とを備える。
【0025】
図1に更に示されるように、例えば航空機12aの形態を成す飛行体12は、本明細書中に開示される1つ以上の装飾積層体10で覆われてもよい例えば航空機構造的構成要素28aの形態を成す1つ以上の構造的構成要素28を備える。例えば航空機構造的構成要素28aの形態を成す1つ以上の構造的構成要素28は、1つ以上の装飾積層体10で覆われてもよい内部航空機構造的構成要素、例えば、内部天井及び側壁装飾パネル、客室内部側壁及び天井パネル、床パネル、手荷物棚、トイレ及び調理室のパネル及び構造、バルクヘッド隔壁、貨物ビンライナー、窓の遮光板、絶縁バリア、水分バリア、複合機首パネル、及び、他の適した航空機構造的構成要素28aであることが好ましい。
【0026】
典型的な実施形態において、構造的構成要素28(図1参照)は、航空機12a(図1参照)などの飛行体12上の航空機構造的構成要素28a(図1参照)を備える。他の実施形態(図示せず)において、構造的構成要素28(図1参照)は、回転翼航空機上の回転翼航空機構造的構成要素、宇宙船上の宇宙船構造的構成要素、船舶上の船舶構造的構成要素、自動車上の自動車構造的構成要素、トラック上のトラック構造的構成要素、又は、他の適した構造的構成要素28を備えてもよい。
【0027】
図2は、航空機の製造及び保守点検方法30の一実施形態のフロー図の例示である。図3は、航空機46の一実施形態の機能ブロック図の例示である。図2及び図3を参照すると、本開示の一実施形態は、図2に示される航空機の製造及び保守点検方法30及び図3に示される航空機46との関連で説明されてもよい。生産前の間にわたって、典型的な航空機の製造及び保守点検方法30(図2参照)は、航空機46(図3参照)の仕様及び設計32(図2参照)と、材料調達34(図2参照)とを含んでもよい。製造中、構成要素及び部分組立品の製造36(図2参照)と航空機46(図3参照)のシステム統合38(図2参照)とが行われる。その後、航空機46(図3参照)は、就航42(図2参照)するために認証及び搬送40(図2参照)を経由してもよい。取引先による就航42(図2参照)の間、航空機46(図3参照)は、変更、再構成、改修、及び、他の適した保守点検を含んでもよい定期的な整備及び保守点検44(図2参照)の予定が組まれる。
【0028】
航空機の製造及び保守点検方法30(図2参照)のプロセスのそれぞれは、システム統合者、第三者、及び/又は、オペレータ(例えば、取引先)によって実行され或いは行われてもよい。この説明の目的のため、システム統合者は、制限なく、任意の数の航空機製造業者及び主要システム下請業者を含んでもよく、第三者は、制限なく、任意の数のベンダー、下請業者、及び、サプライヤーを含んでもよく、また、オペレータは、航空会社、リース会社、軍事企業、保守点検機関、及び、他の適したオペレータを含んでもよい。
【0029】
図3に示されるように、典型的な航空機の製造及び保守点検方法30によって生産される航空機46は、複数のシステム50及び内部52を有する機体48を含んでもよい。図3に更に示されるように、システム50の例は、推進システム54、電気システム56、油圧システム58、及び、環境システム60のうちの1つ以上を含んでもよい。任意の数の他のシステムが含まれてもよい。航空宇宙の例が示されるが、本開示の原理は、自動車産業などの他の産業に適用されてもよい。
【0030】
本明細書中に具現化される方法及びシステムは、航空機の製造及び保守点検方法30(図2参照)の任意の1つ以上の段階中に使用されてもよい。例えば、構成要素及び部分組立品の製造36(図2参照)に対応する構成要素又は部分組立品は、航空機46(図3参照)が就航42(図2参照)中にある間に生産される構成要素又は部分組立品と同様の態様で作られ或いは製造されてもよい。また、1つ以上の装置実施形態、方法実施形態、又は、これらの組み合わせは、組み立てを実質的に促進させることによって或いは航空機46(図3参照)のコストを低減することによって、例えば構成要素及び部分組立品の製造36(図2参照)中及びシステム統合38(図2参照)中に利用されてもよい。同様に、装置実施形態、方法実施形態、又は、これらの組み合わせのうちの1つ以上は、例えば制限なく、航空機46(図3参照)が就航42(図2参照)~整備及び保守点検44(図2参照)中にある間に利用されてもよい。
【0031】
図4A及び図4Bを参照すると、本開示の実施形態では、例えば航空機構造的構成要素28aの形態を成す構造的構成要素28に貼り付けるように構成される例えば装飾積層体10aの形態を成す装飾積層体10が提供される。図4Aは、本開示の例えば装飾積層体10aの形態を成す装飾積層体10の一実施形態の分解側面図の例示である。図4Bは、図4Aの例えば装飾積層体10aの形態を成す装飾積層体10の組み立て側面図の例示である。
【0032】
図5A及び図5Bを参照すると、本開示の他の実施形態では、例えば航空機構造的構成要素28aの形態を成す構造的構成要素28に貼り付けるように構成される例えば装飾積層体10bの形態を成す装飾積層体10が提供される。図5Aは、本開示の例えば装飾積層体10bの形態を成す装飾積層体10の他の実施形態の分解側面図の例示である。図5Bは、図5Aの例えば装飾積層体10bの形態を成す装飾積層体10の組み立て側面図の例示である。
【0033】
好ましくは、以下で更に詳しく論じられる装飾積層体10(図1図4A図5B参照)は、硬化される繊維強化複合積層体である。好ましくは、装飾積層体10(図1図4A図5B参照)は、連邦航空局(FAA)の重量及び難燃性の規則及び基準を満たしつつ、耐久性があり、汚れにくいとともに、耐摩耗性及び耐衝撃性がある。
【0034】
図4A図5Bに示されるように、例えば装飾積層体10a又は装飾積層体10bの形態を成す装飾積層体10は、基板層64を備える。基板層64(図4A図5B参照)は第1の側面66a(図4A図5A参照)及び第2の側面66b(図4A図5A参照)を有する。
【0035】
基板層64(図4A図5B参照)は、難燃材料(図4A図5B参照)70を伴う或いは伴わない不織布材料68(図4A図5B参照)を備える。図4A図4Bに示されるように、不織布材料68は難燃材料70を含む。好ましくは、難燃材料70(図4A図5B参照)は、不織布材料68(図4A図5B参照)の開放多孔質構造に組み込まれてもよく、そのため、基板層64(図4A図5B参照)に対して更なる厚さを加えない。図5A図5Bに示されるように、不織布材料68は難燃材料70(図4A参照)を含まない。
【0036】
不織布材料68(図4A参照)は、好ましくは多孔質であり、パターン又は繰り返しパターンを有さない。不織布材料68(図4A参照)の多孔性に起因して、不織布材料は、該不織布材料68(図4A参照)の全体にわたって難燃材料70(図4A参照)を容易に組み込むことができる。
【0037】
好ましくは、不織布材料68(図4A参照)は、以下のうちの1つ以上、すなわち、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポチトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリアミド(PA)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、アラミド、及び、コポリエステルから成るグループから選択されるポリマーから少なくとも一部が形成される合成ポリマー繊維、グラスファイバを含むガラス繊維、炭素繊維、及び、難燃材料が膨張性又は非膨張性である難燃材料充填不織布材料のうちの1つ以上を備える。したがって、難燃材料70(図4A参照)は膨張性難燃材料又は非膨張性難燃材料であってもよい。しかしながら、不織布材料68(図4A参照)は他の適した不織布材料を備えてもよい。不織布材料68の合成ポリマー繊維(図4A図5B参照)はそれぞれ約1mm(ミリメートル)~約12mmの範囲の繊維長を有することが好ましい。不織布材料68(図4A図5B参照)の合成ポリマー繊維は、短繊維を伴って或いは長繊維又は他の適した繊維を伴って形成されてもよい。ガラス繊維は、短鎖マットから形成されてもよく、また、約1mm~約32mmの繊維長を有してもよい。
【0038】
本明細書中で使用される「膨張性難燃材料」は、熱への暴露の結果として、例えば炎又は火によって、その当初の厚さの何倍にも膨らんで拡張する難燃材料を意味する。膨張性難燃材料は、基板層64(図4A図5B参照)及び航空機構造的構成要素28a(図1図4A図5B参照)などの下層の構造的構成要素28(図1図4A図5B参照)を保護する絶縁泡状コーティング又は「炭化物」を備える。
【0039】
好ましくは、不織布材料68は、装飾積層体10の形成中に高温で歪まない非配向繊維を備える。好ましくは、不織布材料68(図4A参照)は複数の繊維又はマイクロファイバを備える。そのような繊維又はマイクロファイバの存在、及び、パターン又は繰り返しパターンを有さない不織布材料68(図4A参照)の存在は、好ましくは、基板層膜又は織り繊維基板層を有する既存の装飾積層体と比べて、光が通過する装飾積層体10(図4A図5B参照)中の表面界面の数を増大させることができる。これは、ひいては、装飾積層体10(図4A図5B参照)の不透明性を高めることができ、結果として、下層の航空機構造的構成要素28a(図1図4A図5B参照)などの下層の構造的構成要素28(図1図4A図5B参照)の任意の人目を引かない或いはさもなければ魅力のない特徴を視界から効果的に隠すことができる。
【0040】
難燃材料70(図4A参照)は、リン難燃剤、エチレングリコール及びテレフタル酸で重合されたリン難燃剤、又は、他の適した難燃材料70(図4A参照)を備えることが好ましい。好ましくは、難燃材料70(図4A参照)は、連邦航空局(FAA)の難燃性の規則及び基準を満たす。
【0041】
装飾積層体10(図4B、5B参照)が形成された後で且つ装飾積層体10(図4B図5B参照)が航空機構造的構成要素28a(図4A図5B参照)などの構造的構成要素28(図4A図5B参照)に貼り付けられる前に、接着層63(図4A図5B参照)が基板層64(図4A図5B参照)と航空機構造的構成要素28a(図4A図5B参照)などの構造的構成要素28(図4A図5B参照)との間に塗布されることが好ましい。好ましくは、接着層63(図4A図5B参照)は、感圧接着剤、ホットメルト接着剤、噴霧接着剤、又は、他の適した接着剤を備える。
【0042】
1つの実施形態では、装飾積層体10(図4B参照)が形成された時点で、接着層63(図4A図5B参照)は、装飾積層体10(図4B参照)が航空機構造的構成要素28a(図4B参照)などの構造的構成要素28(図4B参照)に貼り付けられる前に、装飾積層体10(図4A図5A参照)の基板層64(図4A図5A参照)の第1の側面66a(図4A図5A参照)に塗布されてもよい。装飾積層体10(図4A図5B参照)は、航空機構造的構成要素28a(図4A図5B参照)などの構造的構成要素28(図4A図5B参照)の結合面62(図4A図5B参照)に隣接する基板層64(図4A図5B参照)上の接着層63(図4A図5B参照)を用いて、航空機構造的構成要素28a(図4A図5B参照)などの構造的構成要素28(図4A図5B参照)に貼り付けられる。
【0043】
他の実施形態では、以下で論じられる随意的な難燃材料層72(図4A図5A参照)が装飾積層体10(図4A図5A参照)の基板層64(図4A図5A参照)の第1の側面66a(図4A図5A参照)に加えられる場合には、装飾積層体10(図4B参照)が形成された時点で、該装飾積層体が航空機構造的構成要素28a(図4B参照)などの構造的構成要素28(図4B参照)に貼り付けられる前に、接着層63(図4A図5B参照)が基板層64(図4A図5A参照)の以下で論じられる難燃材料側面76(図4A図5A参照)に塗布されてもよい。
【0044】
随意的に、装飾積層体10(図4A図5B参照)は難燃材料層72(図4A図4B参照)を更に備えてもよい。装飾積層体10(図4A図5B参照)が形成される前に、難燃材料側面76(図4A参照)を形成するべく難燃材料層72(図4A図4B参照)が基板層64(図4A参照)(難燃材料70(図4A図5B参照)を伴う或いは伴わない不織布材料68(図4A図5B参照))の第1の側面66a(図4A参照)に加えられてもよい。随意的な難燃材料層72(図4A図5B参照)が装飾積層体10(図4A図5B参照)内に含まれる場合、難燃材料側面76(図4A参照)は、装飾積層体10(図4B参照)が形成されて航空機構造的構成要素28a(図4B参照)などの構造的構成要素28(図4B参照)に貼り付けられる時点で、接着層63(図4A図5B参照)を受けて航空機構造的構成要素28a(図4A参照)などの構造的構成要素28(図4A参照)の結合面62(図4A参照)と対向するように構成されることが好ましい。
【0045】
基板層64(図4A図5B参照)(難燃材料70(図4A図5B参照)を伴う或いは伴わない及び難燃材料層72(図4A図4B参照)を伴う或いは伴わない不織布材料68(図4A図5B参照))は、好ましくは、約1.0ミル(ミル=1インチの1000分の1)~約40.0ミルの範囲内の厚さを有する。より好ましくは、基板層64(図4A図5B参照)は約10.0ミル~約30.0ミルの範囲内の厚さを有する。最も好ましくは、基板層64(図4A図5B参照)は約15.0ミルの厚さを有する。
【0046】
図4A図5Bに更に示されるように、例えば装飾積層体10a又は装飾積層体10bの形態を成す装飾積層体10は、基板層64の第2の側面66b上に配置されるエンボス加工可能層78を備える。エンボス加工可能層78(図4A参照)は第1の側面80a(図4A参照)及び第2の側面80b(図4A参照)を有する。好ましくは、不織布材料68(図4A参照)は、エンボス加工可能層78(図4A参照)のエンボス樹脂材料82(図4A参照)を機械的に補強するように構成される。
【0047】
エンボス加工可能層78(図4A参照)は、エンボス樹脂材料82(図4A参照)及び更なる難燃材料70(図4A参照)を備える。エンボス樹脂材料82(図4A参照)は、ポリエステル、ポリウレタン、フェノール、エポキシ、これらの組み合わせ、又は、他の適した熱硬化性樹脂のうちの1つ以上を備える熱硬化性樹脂を備えてもよい。また、エンボス樹脂材料82(図4A参照)は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポチトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリアミド(PA)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリカーボネート、ナイロン、これらの組み合わせ、又は、他の適した熱可塑性樹脂のうちの1つ以上を備える熱可塑性樹脂を備えてもよい。
【0048】
エンボス加工可能層78(図4A図4B参照)は、好ましくは、約2.0ミル(ミル=1インチの1000分の1)~約8.0ミルの範囲内の厚さを有する。より好ましくは、エンボス加工可能層78(図4A図4B参照)は約3.0ミル~約6.0ミルの範囲内の厚さを有する。最も好ましくは、エンボス加工可能層78(図4A図4B参照)は約5.0ミルの厚さを有する。
【0049】
図4A図5Bに更に示されるように、例えば装飾積層体10a又は装飾積層体10bの形態を成す装飾積層体10は、エンボス加工可能層78上に配置される保護層84を備える。保護層84(図4A図5A参照)は第1の側面86a(図4A図5A参照)及び第2の側面86b(図4A図5A参照)を有する。保護層84(図4A図4B参照)は、好ましくは、エンボス加工可能層78(図4A図5B参照)及び基板層64(図4A図5B参照)を覆って保護する光学的に透明な或いは半透明な外層である。好ましくは、保護層84(図4A図5B参照)は高い光沢又は中程度の光沢を有する。
【0050】
保護層84(図4A図5B参照)はポリビニルフッ化物系材料88(図4A図5B参照)を備えることが好ましい。好ましくは、保護層84(図4A図5B参照)は、ポリビニルフッ化物の物理的靱性、化学的不活性、摩耗及び土壌の耐性、及び、温度変化とは無関係な特性の一貫性に起因するポリビニルフッ化物系材料88(図4A図5B参照)を備える。また、ポリビニルフッ化物は、図形を印刷するために使用される多種多様なインクを受けることもできる。
【0051】
本明細書中で使用される用語「ポリビニルフッ化物系材料」とはポリビニルフッ化物ポリマー(すなわち、フッ化ビニルから形成されるポリマー)のことである。フッ素化ポリマーは、一般に、フッ化ビニルのポリマー、コポリマー、又は、ターポリマーである。好ましいポリビニルフッ化物ポリマーはポリビニルフッ化物(PVF)及びポリビニリデンフッ化物(PVDF)である。PVFはTEDLARとして市販されている(TEDLARは、デラウェア州のウィルミントンにあるE.I. DuPont de Nemours and Companyの登録商標である)。PVDFはKYNARとして市販されている(KYNARは、ペンシルバニア州のプロシアにあるArkema, Inc.の登録商標である)。
【0052】
保護層84(図4A図5B参照)は、好ましくは、約0.2ミル(ミル=1インチの1000分の1)~約3.0ミルの範囲内の厚さを有する。より好ましくは、保護層84(図4A図5B参照)は約0.7ミル~約2.5ミルの範囲内の厚さを有する。最も好ましくは、保護層84(図4A図5B参照)は約0.7ミルの厚さを有する。保護層84(図4A図5B参照)は、鋳造、押し出し成形、又は、他の既知の適した成形プロセス又は方法によって形成されてもよい。
【0053】
保護層84(図4A図5B参照)は、該保護層84(図4A図5A参照)の第1の側面86a(図4A図5A参照)上に印刷される装飾材料90(図4A図5B参照)を更に有し、この装飾材料90は、保護層84(図4A図5B参照)の印刷装飾材料側面92(図4A図5A参照)を形成する。装飾積層体10(図4A図5B参照)の形成積層時、印刷装飾材料側面92(図4A図5A参照)は、エンボス加工可能層78(図4A図5A参照)に隣接して対向する。印刷装飾材料側面92(図4A図5A参照)は、エンボス加工可能層78(図4A図5A参照)の第2の側面80b(図4A図5A参照)に対して積層されることが好ましい。
【0054】
保護層84(図4A図5A参照)の印刷装飾材料側面92(図4A図5A参照)は、主に、装飾効果、例えば、木理、大理石、ソリッドカラー、パターン効果、又は、他の適した装飾効果を装飾積層体10(図4A図5A参照)に与えるために使用される。好ましくは、装飾材料90(図4A図5A参照)は、印刷インク、着色インク又は染色液を含む色素媒体、シルクスクリーン印刷、デジタル印刷、塗装、又は、他の適した装飾材料90(図4A図5A参照)のうちの1つ以上を備える。
【0055】
装飾材料90(図4A図5B参照)を保護層84(図4A図5A参照)の第1の側面86a(図4A図5A参照)に印刷する或いは塗布する好ましいプロセス又は方法は、スクリーン印刷、シルクスクリーニング、フレキソ印刷シルクスクリーニング、インクジェット印刷、レーザースクリーン印刷、デジタル印刷、紫外線・電子ビーム印刷、塗装、又は、他の適した印刷又は塗布のプロセス或いは方法を備えてもよい。
【0056】
保護層84(図4A図5A参照)の第2の側面86b(図4A図5A参照)は、好ましくは、航空機12a(図1参照)の内部環境に対向して晒される。保護層84(図4A図5B参照)は好ましくは光学的に透明又は半透明な層であるため、装飾材料90(図4A図5B参照)が保護層84(図4A図5A参照)の第1の側面86a(図4A図5A参照)上に印刷されると、装飾材料90(図4A図5A参照)は、積層及び処理の後、保護層84(図4A図5A参照)を通じて目に見える。
【0057】
本開示の他の実施形態では、航空機12a(図1参照)が提供される。航空機12a(図1参照)は、胴体14(図1参照)と、胴体14(図1参照)に結合される少なくとも1つの翼18(図1参照)とを備える。航空機12a(図1参照)は、装飾積層体10(図1図4A図5B参照)を有する少なくとも1つの航空機構造的構成要素28a(図1参照)を更に備える。
【0058】
より詳しく前述したように、装飾積層体10(図4A図5B参照)は、難燃材料70(図4A図5B参照)を伴う或いは伴わない不織布材料68(図4A図5B参照)を備える基板層64(図4A図5B参照)を備える。装飾積層体10(図4A図5B参照)は、基板層64(図4A図5B参照)上に配置されるエンボス加工可能層78(図4A図5B参照)を更に備える。エンボス加工可能層78(図4A図5B参照)は、エンボス樹脂材料82(図4A図5B参照)及び難燃材料70(図4A図5B参照)を備える。
【0059】
より詳しく前述したように、装飾積層体10(図4A図5B参照)は、エンボス加工可能層78(図4A図5B参照)上に配置される保護層84(図4A図5B参照)を更に備える。保護層84(図4A図5B参照)は、ポリビニルフッ化物系材料88(図4A図5B参照)を備えるとともに、エンボス加工可能層78(図4A図5B参照)と対向する保護層84(図4A図5B参照)の第1の側面86a(図4A参照)上に印刷される装飾材料90(図4A図5B参照)を有する。
【0060】
装飾積層体10(図4A図5B参照)は、基板層64(図4A図5B参照)が航空機構造的構成要素28a(図4A図5B参照)の結合面62(図4A図5B参照)に対向する状態、1つの実施形態では隣接する状態で、また、接着層63(図4A図5B参照)が装飾積層体10(図4A図5B参照)と少なくとも1つの航空機構造的構成要素28a(図4A図5B参照)の結合面62(図4A図5B参照)との間に塗布される状態で、少なくとも1つの航空機構造的構成要素28a(図4A図5B参照)に貼り付けられる。
【0061】
より詳しく前述したように、装飾積層体10(図4A図5B参照)は、随意的に、難燃材料側面76(図4A図5A参照)を形成するべく基板層64(図4A図5B参照)の第1の側面66a(図4A図5A参照)に加えられる難燃材料層72(図4A図5B参照)を更に備えてもよい。難燃材料側面76(図4A図5A参照)は、好ましくは、装飾積層体10(図4A図5B参照)が形成されて航空機構造的構成要素28a(図4A図5B参照)に貼り付けられる時点で、接着層63(図4A図5B参照)を受けて航空機構造的構成要素28a(図4A図5A参照)の結合面62(図4A図5A参照)と対向するように構成される。
【0062】
より詳しく前述したように、不織布材料68(図4A図5B参照)は、多孔質であるとともに、以下のうちの1つ以上、すなわち、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポチトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリアミド(PA)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、アラミド、及び、コポリエステルから成るグループから選択されるポリマーから少なくとも一部が形成される合成ポリマー繊維、グラスファイバを含むガラス繊維、炭素繊維、及び、難燃材料が膨張性又は非膨張性である難燃材料充填不織布材料のうちの1つ以上から構成される。したがって、難燃材料70(図4A参照)は膨張性難燃材料又は非膨張性難燃材料であってもよい。
【0063】
より詳しく前述したように、不織布材料68(図4A図5B参照)は、好ましくは、光が装飾積層体10(図4A図5B参照)を通過する表面界面の数を増大させる複数の繊維又はマイクロファイバを有する。これは、装飾積層体10(図4A図5B参照)及び装飾積層体10(図4A図5B参照)下の航空機構造的構成要素28a(図4A図5B参照)の不透明性の増大をもたらし得る。好ましくは、不織布材料68(図4A図5B参照)は、装飾積層体10(図4A図5B参照)の形成中に高温で歪まない非配向繊維を備える。
【0064】
図6を参照すると、本開示の他の実施形態では、航空機構造的構成要素28a(図1図4A図4B参照)などの構造的構成要素28(図4A図5B参照)に貼り付けるための装飾積層体10(図4A図5B参照)を形成する方法200が提供される。図6は、本開示の方法200の一実施形態のフロー図の例示である。
【0065】
図6に示されるように、方法200は、印刷装飾材料側面92(図4A図5A参照)を形成するべく保護層84(図4A図5A参照)の第1の側面86a(図4A図5A参照)上に装飾材料90(図4A図5B参照)を印刷するステップ202を備える。保護層84(図4A図5A参照)はポリビニルフッ化物系材料88(図4A図5A参照)を備える。
【0066】
図6に示されるように、方法200は、基板層64(図4A図5B参照)を設けるステップ204を更に備える。基板層64(図4A図5B参照)は、難燃材料70を伴う(図4A図4B参照)或いは難燃材料70を伴わない(図5A図5B参照)不織布材料68(図4A図5B参照)を備える。基板層64を設けるステップ204は、装飾積層体10の形成中に高温で歪まない非配向繊維として不織布材料68を形成することを含む。
【0067】
基板層64を設けるステップ204は、以下のうちの1つ以上、すなわち、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポチトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリアミド(PA)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、アラミド、及び、コポリエステルから成るグループから選択されるポリマーから少なくとも一部が形成される合成ポリマー繊維、グラスファイバを含むガラス繊維、炭素繊維、及び、難燃材料が膨張性又は非膨張性である難燃材料充填不織布材料のうちの1つ以上から構成される不織布材料68を設けることを更に含む。したがって、難燃材料70(図4A参照)は膨張性難燃材料又は非膨張性難燃材料であってもよい。
【0068】
図6に示されるように、方法200は、エンボス加工可能層78(図4A図5B参照)を設けるステップ206を更に備える。エンボス加工可能層78(図4A図5B参照)はエンボス樹脂材料82(図4A図5B参照)及び難燃材料70(図4A図5B参照)を備える。
【0069】
図6に示されるように、方法200は、基板層64(図4A図5B参照)、基板層(図4A図5B参照)上にわたってエンボス加工可能層78(図4A図5B参照)、エンボス加工可能層78(図4A図5B参照)上にわたって保護層84(図4A図5A参照)を順次に層状にして積層することによって装飾積層体10(図4A図5B参照)を形成するステップ208を更に備える。保護層84(図4A図5A参照)の印刷装飾材料側面92(図4A図5A参照)がエンボス加工可能層78(図4A図5B参照)に隣接する。
【0070】
装飾積層体10(図4A図5B参照)を形成するステップ208は、好ましくは、プレス成形プロセスを使用して、装飾積層体10(図4A図5B参照)を形成するべく効果的な期間にわたって効果的な高温及び効果的な圧力で基板層64、エンボス加工可能層78、及び、保護層84を加熱して硬化させることを含む。基板層64、エンボス加工可能層78、及び、保護層84は、好ましくは、例えば5フィート×8フィートの大型シート成す平坦な金属当て板等の平坦構造上で層状にされてレイアップされる。大型シートは、好ましくは、例えばプレス成形プロセスで使用される平坦なプラテンを用いて、複数の開放プレスで加熱されて硬化される。
【0071】
基板層64、エンボス加工可能層78、及び、保護層84を加熱して硬化させるための効果的な高温は、好ましくは、約300°F(華氏温度)~約330°F(華氏温度)の範囲内であり、より好ましくは約320°F(華氏温度)の温度にある。基板層64、エンボス加工可能層78、及び、保護層84を加熱して硬化させるための効果的な期間は、好ましくは、約10(十)分~約30(三十)分の範囲内であり、より好ましくは約20(二十)分である。基板層64、エンボス加工可能層78、及び、保護層84を加熱して硬化させるための効果的な圧力は、好ましくは高圧、例えば100psi(ポンド/平方インチ)にある。加熱及び硬化のために選択される温度、圧力、及び、時間は、好ましくは、装飾積層体10(図4A図5B参照)の形成で使用されるエンボス樹脂材料82(図4A図5B参照)のタイプ、例えば、使用される熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂、又は、使用される熱硬化性樹脂のタイプ或いは熱硬化性樹脂のタイプに基づいて選択される。
【0072】
好ましくは、レイアップされた基板層64、エンボス加工可能層78、及び、保護層84の大型シートは、約20(二十)分間にわたって100psi(ポンド/平方インチ)で且つ約320°F(華氏温度)で複数の開放プレスにおいて加熱されて硬化される。装飾積層体10(図4A図5B参照)は、好ましくは、複数の開放プレスにおいて周囲温度まで冷却され、その後、航空機構造的構成要素28a(図1図4A図5B参照)などの構造的構成要素28(図1図4A図5B参照)に貼り付けるために除去される。また、装飾積層体10は、他の既知のプレス成形プロセスを用いて形成されてもよい。
【0073】
図6に示されるように、方法200は、形成された装飾積層体10(図4A図5B参照)の基板層64(図4A図5B参照)に対して接着層63(図4A図5B参照)を加えるステップ210を更に備える。好ましくは、接着層63(図4A図5B参照)は、感圧接着剤、ホットメルト接着剤、噴霧接着剤、又は、他の適した接着剤を備える。
【0074】
図6に示されるように、方法200は、航空機構造的構成要素28a(図1図4A図5B参照)などの構造的構成要素28(図1図4A図5B参照)に対して装飾積層体10(図4A図5B参照)を貼り付けるステップ212を更に備える。基板層64(図4A図5B参照)上の接着層63(図4A図5B参照)は、航空機構造的構成要素28a(図1図4A図5B参照)などの構造的構成要素28(図1図4A図5B参照)の結合面62(図4A図5B参照)に隣接する。
【0075】
構造的構成要素28(図1図4A図5B参照)に対して装飾積層体10(図4A図5B参照)を貼り付けるステップ212は、構造的構成要素28(図4A図5B参照)に対して装飾積層体10(図4A図5B参照)を貼り付けるステップであって、構造的構成要素28(図4A図5B参照)が、航空機構造的構成要素28a(図4A図5B参照)、回転翼航空機構造的構成要素、宇宙船構造的構成要素、船舶構造的構成要素、自動車構造的構成要素、トラック構造的構成要素、又は、他の適した構造的構成要素を備える。
【0076】
航空機構造的構成要素28a(図4A図5B参照)などの構造的構成要素28(図1図4A図5B参照)に対して装飾積層体10(図4A図5B参照)を貼り付けるステップ212は、航空機構造的構成要素28a(図4A図5B参照)などの構造的構成要素28(図1図4A図5B参照)の平坦面、湾曲面、輪郭面、又は、他の適した表面のうちの1つ以上に対して装飾積層体10(図4A図5B参照)を貼り付けることを更に含む。
【0077】
図6に示されるように、方法200は、装飾積層体10(図4A図5B参照)を形成するステップ208の前に、難燃材料側面76(図4A図5A参照)を形成するべく基板層64(図4A図5A参照)の第1の側面66a(図4A図5A参照)に対して難燃材料層72(図4A図5B参照)を加える随意的なステップ214を更に備える。難燃材料側面76(図4A図5A参照)は、装飾積層体10(図4A図5B参照)が形成されて航空機構造的構成要素28a(図1図4A図5B参照)などの構造的構成要素28(図1図4A図5B参照)に貼り付けられる時点で、接着層63(図4A図5B参照)を受けて航空機構造的構成要素28a(図1図4A図5B参照)などの構造的構成要素28(図1図4A図5B参照)の結合面62(図4A図5B参照)と対向するように構成される。
【0078】
1つの実施形態では、装飾積層体10(図4B参照)が形成された時点で、接着層63(図4A図5B参照)は、装飾積層体10(図4B参照)が航空機構造的構成要素28a(図4B参照)などの構造的構成要素28(図4B参照)に貼り付けられる前に、装飾積層体10(図4A図5A参照)の基板層64(図4A図5A参照)の第1の側面66a(図4A図5A参照)に塗布されてもよい。他の実施形態では、装飾積層体10(図4A図5B参照)の形成前に随意的な難燃材料層72(図4A図5A参照)が装飾積層体10(図4A図5A参照)の基板層64(図4A図5A参照)の第1の側面66a(図4A図5A参照)に加えられる場合には、装飾積層体10(図4B参照)が形成された時点で、該装飾積層体が航空機構造的構成要素28a(図4B参照)などの構造的構成要素28(図4B参照)に貼り付けられる前に、接着層63(図4A図5B参照)が基板層64(図4A図5A参照)の難燃材料側面76(図4A図5A参照)に塗布されてもよい。
【0079】
装飾積層体10は、熱成形、真空成形、又は、装飾積層体10(図4A図5B参照)を航空機構造的構成要素28a(図4B参照)などの構造的構成要素28(図4B参照)に貼り付けるための他の適した既知の貼り付けプロセスなどの既知のプロセスを使用して、航空機構造的構成要素28a(図4B図5B参照)などの構造的構成要素28(図4B図5B参照)に貼り付けられてもよい。
【0080】
装飾積層体10(図4A図5B参照)、方法200(図6参照)の開示された実施形態は、既知の装飾積層体及び該装飾積層体を形成する方法に優る、特に様々な層に結合する接着剤ベースのエンボス樹脂を伴うポリビニルフッ化物(PVF)の基板層を使用する既知の装飾積層体及び方法と比べて優る多くの利点を与える。そのような利点としては、高い強度、高い引裂強度及び引張強度、及び、装飾積層体10(図4A図5B参照)の処理中に高い処理温度に晒されるときの歪み或いは収縮の減少を挙げることができる。処理中に高い処理温度に晒されるときの歪み或いは収縮のそのような減少は、品質要求に基づく生産中の装飾積層体10(図4A図5B参照)の不良の減少をもたらし得る。
【0081】
また、装飾積層体10(図4A図5B参照)において不織布材料68(図4A図5B参照)を使用することにより、不織布材料68(図4A図5B参照)中の繊維及びマイクロファイバ並びにパターン又は繰り返しパターンがないことに起因して、難燃特性を向上できるとともに、不透明性を高めることができ、その結果、光が不織布材料68(図4A図5B参照)中を通過するための表面界面の数を増大させることができる。そのような不透明性の増大は、新たな装飾積層体10(図4A図5B参照)を使用する際、又は、装飾積層体10(図4A図5B参照)を改装する際に、航空機構造的構成要素28a(図1図4A図5B参照)などの下層の構造的構成要素28(図1図4A図5B参照)の人目を引かない或いはさもなければ魅力のない特徴の隠蔽を容易にする。
【0082】
加えて、装飾積層体10(図4A図5B参照)及び方法200(図6参照)の開示された実施形態は、既知の装飾積層体及び該装飾積層体を形成する方法に優る、特に例えばエンボス加工可能層及び保護層を伴う織り繊維材料の基板層を使用する既知の装飾積層体及び方法と比べて優る利点を与える。不織布材料68(図4A図5B参照)のそのような利点としては、パターン又は繰り返しパターンを有さないことを挙げることができ、それにより、装飾積層体10(図4A図5B参照)の全体の外観に影響を与える場合がある重ね合わせパターンを減らすことができ或いは重ね合わせパターンの形成をなくすことができる。これは、ひいては、外観要求又は審美的要求に基づく生産中の装飾積層体10(図4A図5B参照)の不良の減少をもたらし得る。
【0083】
項1.構造的構成要素に貼り付けるための装飾積層体において、装飾積層体は、
難燃材料を伴う或いは伴わない不織布材料を備える基板層と、
基板層上に配置されるエンボス加工可能層であって、エンボス加工可能層がエンボス樹脂材料と難燃材料とを備える、エンボス加工可能層と、
エンボス加工可能層上に配置される保護層であって、保護層は、ポリビニルフッ化物系材料を備えるとともに、エンボス加工可能層と対向する保護層の第1の側面上に装飾材料が印刷される、保護層と、を備え、
装飾積層体は、基板層が構造的構成要素の結合面と対向する状態で、及び、接着層が装飾積層体と構造的構成要素の結合面との間に塗布される状態で、構造的構成要素に貼り付けられる、装飾積層体。
項2.難燃材料側面を形成するべく基板層の第1の側面に加えられる難燃材料層を更に備え、難燃材料側面は、装飾積層体が形成されて構造的構成要素に貼り付けられる時点で接着層を受けて構造的構成要素の結合面と対向するように構成される項1の装飾積層体。
項3.不織布材料は、多孔質であるとともに、以下のうちの1つ以上、すなわち、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポチトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリアミド(PA)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、アラミド、及び、コポリエステルから成るグループから選択されるポリマーから少なくとも一部が形成される合成ポリマー繊維、グラスファイバを含むガラス繊維、炭素繊維、及び、難燃材料が膨張性又は非膨張性である難燃材料充填不織布材料のうちの1つ以上から構成される、項1の装飾積層体。
項4.不織布材料は、繰り返しパターンを有さないとともに、エンボス加工可能層のエンボス樹脂材料を機械的に補強するように構成される、項1の装飾積層体。
項5.構造的構成要素は、航空機構造的構成要素、回転翼航空機構造的構成要素、宇宙船構造的構成要素、船舶構造的構成要素、自動車構造的構成要素、又は、トラック構造的構成要素を備える、項1の装飾積層体。
項6.難燃材料は、リン難燃剤、及び、エチレングリコール及びテレフタル酸で重合されたリン難燃剤を備える、項1の装飾積層体。
項7.エンボス樹脂材料は、ポリエステル、ポリウレタン、フェノール、エポキシ、及び、これらの組み合わせのうちの1つ以上を備える熱硬化性樹脂を備え、又は、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポチトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリアミド(PA)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリカーボネート、ナイロン、及び、これらの組み合わせのうちの1つ以上を備える熱可塑性樹脂を備える、項1の装飾積層体。
項8.ポリビニルフッ化物系材料は、ポリビニルフッ化物(PVF)及びポリビニリデンフッ化物(PVDF)から成るグループから選択される熱可塑性フルオロポリマーを備える、項1の装飾積層体。
項9.装飾材料は、印刷インク、着色インク又は染色液を含む色素媒体、シルクスクリーン印刷、デジタル印刷、及び、塗装のうちの1つ以上を備える項1の装飾積層体。
項10.胴体と、
胴体に結合される少なくとも1つの翼と、
装飾積層体を有する少なくとも1つの航空機構造的構成要素と、
を備えている航空機において、装飾積層体は、
難燃材料を伴う或いは伴わない不織布材料を備える基板層と、
基板層上に配置されるエンボス加工可能層であって、エンボス加工可能層がエンボス樹脂材料と難燃材料とを備える、エンボス加工可能層と、
エンボス加工可能層上に配置される保護層であって、保護層は、ポリビニルフッ化物系材料を備えるとともに、エンボス加工可能層と対向する保護層の第1の側面上に装飾材料が印刷される、保護層と、
を備え、
装飾積層体は、基板層が少なくとも1つの航空機構造的構成要素の結合面と対向する状態で、及び、接着層が装飾積層体と少なくとも1つの航空機構造的構成要素の結合面との間に塗布される状態で、少なくとも1つの航空機構造的構成要素に貼り付けられる、航空機。
項11.装飾積層体は、難燃材料側面を形成するべく基板層の第1の側面に加えられる難燃材料層を更に備え、難燃材料側面は、装飾積層体が形成されて航空機構造的構成要素に貼り付けられる時点で接着層を受けて航空機構造的構成要素の結合面と対向するように構成される、項10の航空機。
項12.不織布材料は、多孔質であるとともに、以下のうちの1つ以上、すなわち、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポチトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリアミド(PA)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、アラミド、及び、コポリエステルから成るグループから選択されるポリマーから少なくとも一部が形成される合成ポリマー繊維、グラスファイバを含むガラス繊維、炭素繊維、及び、難燃材料が膨張性又は非膨張性である難燃材料充填不織布材料のうちの1つ以上から構成される、項10の航空機。
項13.不織布材料は、光が通過する表面界面の数を増大させる複数のマイクロファイバ及び繊維を有し、それにより、装飾積層体及び装飾積層体下の少なくとも1つの航空機構造的構成要素の不透明性の増大をもたらす、項10の航空機。
項14.不織布材料は、装飾積層体の形成中に高温で歪まない非配向繊維を備える、項10の航空機。
項15.構造的構成要素に貼り付けるための装飾積層体を形成する方法において、
印刷装飾材料側面を形成するべく保護層の第1の側面上に装飾材料を印刷するステップであって、保護層がポリビニルフッ化物系材料を備える、ステップと、
難燃材料を伴う或いは伴わない不織布材料を備える基板層を設けるステップと、
エンボス樹脂材料及び難燃材料を備えるエンボス加工可能層を設けるステップと、
保護層の印刷装飾材料側面がエンボス加工可能層に隣接する状態で、基板層、基板層上にわたってエンボス加工可能層、エンボス加工可能層上にわたって保護層を順次に層状にして積層することによって装飾積層体を形成するステップと、
形成された装飾積層体の基板層に接着層を加えるステップと、
構造的構成要素に装飾積層体を貼り付けるステップであって、基板層上の接着層が構造的構成要素上の結合面に隣接するステップと、を備える方法。
項16.装飾積層体を形成するステップの前に、難燃材料側面を形成するべく基板層の第1の側面に難燃材料層を加えるステップを更に備え、難燃材料側面は、装飾積層体が形成されて構造的構成要素に貼り付けられる時点で接着層を受けて構造的構成要素の結合面と対向するように構成される、項15の方法。
項17.装飾積層体を形成するステップは、プレス成形プロセスを使用して、装飾積層体を形成するべく効果的な期間にわたって効果的な高温及び効果的な圧力で基板層、エンボス加工可能層、及び、保護層を加熱して硬化させることを含む、項15の方法。
項18.基板層を設けるステップは、以下のうちの1つ以上、すなわち、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポチトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、ポリアミド(PA)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、アラミド、及び、コポリエステルから成るグループから選択されるポリマーから少なくとも一部が形成される合成ポリマー繊維、グラスファイバを含むガラス繊維、炭素繊維、及び、難燃材料が膨張性又は非膨張性である難燃材料充填不織布材料のうちの1つ以上から構成される不織布材料を設けることを含む、項15の方法。
項19.構造的構成要素に対して装飾積層体を貼り付けるステップは、航空機構造的構成要素、回転翼航空機構造的構成要素、宇宙船構造的構成要素、船舶構造的構成要素、自動車構造的構成要素、又は、トラック構造的構成要素を備える構造的構成要素に対して装飾積層体を貼り付けることを含む、項15の方法。
項20.構造的構成要素に対して装飾積層体を貼り付けるステップは、構造的構成要素の平坦面、湾曲面、及び、輪郭面のうちの1つ以上に対して装飾積層体を貼り付けることを含む、項15の方法。
【0084】
本開示の多くの改変及び他の実施形態は、前述の説明及び関連図面で与えられる教示内容の利益を有するこの開示が関連する技術分野における当業者が想起できる。本明細書中に記載される実施形態は、例示的であるように意図されており、限定的又は包括的であるように意図されていない。特定の用語が本明細書中で使用されるが、これらの用語は、一般的及び記述的な意味でのみ使用され、限定を目的としていない。
【符号の説明】
【0085】
10,10a,10b 装飾積層体
12 飛行体
12a 航空機
14 胴体
16 機首
18 翼
20 エンジン
22 尾翼
24 水平安定板
26 垂直安定板
28 構造的構成要素
28a 航空機構造的構成要素
30 航空機の製造及び保守点検方法
32 仕様及び設計
34 材料調達
36 構成要素及び部分組立品の製造
38 システム統合
40 認証及び搬送
42 就航
44 整備及び保守点検
46 航空機
48 機体
50 システム
52 内部
54 推進システム
56 電気システム
58 油圧システム
60 環境システム
62 結合面
63 接着層
64 基板層
66a 第1の側面
66b 第2の側面
68 不織布材料
70 難燃材料
72 難燃材料層
76 難燃材料側面
78 エンボス加工可能層
80a 第1の側面
80b 第2の側面
82 エンボス樹脂材料
84 保護層
86a 第1の側面
86b 第2の側面
88 ポリビニルフッ化物系材料
90 装飾材料
92 印刷装飾材料側面
202 ステップ
204 ステップ
206 ステップ
208 ステップ
210 ステップ
212 ステップ
214 ステップ
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6