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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-27
(45)【発行日】2022-07-05
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/338 20060101AFI20220628BHJP
   H01L 29/812 20060101ALI20220628BHJP
   H01L 29/06 20060101ALI20220628BHJP
   H01L 29/778 20060101ALI20220628BHJP
   H01L 21/28 20060101ALI20220628BHJP
   H01L 29/41 20060101ALI20220628BHJP
【FI】
H01L29/80 F
H01L29/06 301F
H01L29/80 H
H01L21/28 301B
H01L29/44 Y
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017235389
(22)【出願日】2017-12-07
(65)【公開番号】P2019102756
(43)【公開日】2019-06-24
【審査請求日】2020-08-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000154325
【氏名又は名称】住友電工デバイス・イノベーション株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100136722
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼木 邦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100174399
【弁理士】
【氏名又は名称】寺澤 正太郎
(72)【発明者】
【氏名】水江 千帆子
(72)【発明者】
【氏名】吉田 智洋
【審査官】杉山 芳弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-123432(JP,A)
【文献】特開2017-107942(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 29/778
H01L 29/812
H01L 21/338
H01L 29/41
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1領域と、第1方向における前記第1領域の一端側に位置する第1部分及び他端側に位置する第2部分を含む第2領域とを有する窒化物半導体層と、
前記第1領域上に設けられて前記第1方向と交差する第2方向に並ぶソース電極、ゲート電極、及びドレイン電極と、
前記ゲート電極と前記ドレイン電極との間に位置する部分を含むフィールドプレートと、
前記第2領域の前記第1部分上に設けられ前記ドレイン電極と電気的に接続されたドレイン配線と、
前記第2領域の前記第2部分上に設けられ前記ソース電極と電気的に接続されたソース配線と、
前記第2領域の前記第2部分上に設けられ前記ゲート電極の一端と電気的に接続されたゲート配線と、
前記第2領域の前記第2部分上に設けられ、前記ゲート配線と交差し、前記ソース配線若しくは前記ソース電極と前記フィールドプレートの一端とを接続するフィールドプレート接続配線と、
を備え、
前記フィールドプレート接続配線は、前記ゲート配線と前記窒化物半導体層との間を通過し、
前記第2領域の前記第1部分上における前記フィールドプレートの他端と前記第1領域との距離は、前記第2領域の前記第1部分上における前記ゲート電極の他端と前記第1領域との距離より短い、半導体装置。
【請求項2】
第1領域と、第1方向における前記第1領域の一端側に位置する第1部分及び他端側に位置する第2部分を含む第2領域とを有する窒化物半導体層と、
前記第1領域上に設けられて前記第1方向と交差する第2方向に並ぶソース電極、ゲート電極、及びドレイン電極と、
前記ゲート電極と前記ドレイン電極との間に位置する部分を含むフィールドプレートと、
前記第2領域の前記第1部分上に設けられ前記ドレイン電極と電気的に接続されたドレイン配線と、
前記第2領域の前記第2部分上に設けられ前記ソース電極と電気的に接続されたソース配線と、
前記第2領域の前記第2部分上に設けられ前記ゲート電極の一端と電気的に接続されたゲート配線と、
前記第2領域の前記第2部分上に設けられ、前記ゲート配線と交差し、前記ソース配線若しくは前記ソース電極と前記フィールドプレートの一端とを接続するフィールドプレート接続配線と、
を備え、
前記フィールドプレート接続配線は、前記ゲート配線と前記窒化物半導体層との間を通過する、半導体装置。
【請求項3】
前記フィールドプレート接続配線は、前記フィールドプレートから延びる部分と、前記ゲート配線と前記窒化物半導体層との間を通過する部分とを含み、これらの部分が絶縁膜に形成されたビアホールを介して互いに接続する、請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記ゲート配線は、
前記第2領域の前記第2部分上に設けられた外部接続パッドと、
前記第1方向に沿って延び、前記外部接続パッドと前記ゲート電極とを接続するゲート接続配線と、を含み、
前記フィールドプレート接続配線は、前記ゲート接続配線と交差しつつ前記第1方向における前記ソース電極の端部外方へ延在し、該端部外方において前記ソース配線と接続する、請求項1~3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記ゲート配線は、
前記第2領域の前記第2部分上において前記第2方向に沿って延びるゲートバスラインと、
前記第1方向に沿って延び、前記ゲートバスラインと前記ゲート電極とを接続するゲート接続配線と、を含み、
前記フィールドプレート接続配線は、前記ゲートバスラインと交差しつつ前記第1方向に沿って延在し、前記ゲートバスラインを挟んで前記フィールドプレートとは反対側に位置する部分において前記ソース配線と接続する、請求項1~4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、フィールドプレート電極を有する電界効果トランジスタが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-277604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電界効果トランジスタ等の半導体装置において、半導体層の動作領域以外の部分はイオン注入等により不活性化される。これにより、半導体層には、活性領域(動作領域)と、活性領域を囲む不活性領域とが形成される。ソース電極、ゲート電極、及びドレイン電極は、活性領域上においてこの順に並んで設けられる。そして、不活性領域上には、ソース電極と電気的に接続されたソース配線、ゲート電極と電気的に接続されたゲート配線、及び、ドレイン電極と電気的に接続されたドレイン配線が設けられる。ソース電極、ゲート電極、及びドレイン電極の並び方向と交差する方向において、一般的に、ソース配線及びゲート配線は、活性領域に対して互いに同じ側に配置され、ドレイン配線は、活性領域に対してソース配線及びゲート配線とは反対側に配置される。
【0005】
窒化物半導体を主な構成材料とする電界効果トランジスタ等の半導体装置においては、ゲート端等に加わる電界を緩和するため、ゲート電極とドレイン電極との間の絶縁膜上にフィールドプレートが設けられることがある。フィールドプレートを設けることにより、電流コラプス現象によるドレイン電流の減少等が抑制される。また、フィールドプレートは、ドレイン電極とゲート電極との間のカップリングを遮蔽する効果も有する。通常、フィールドプレートは、ソース電極と電気的に接続されてソース電極と同電位とされる。そのために、フィールドプレートとソース電極とを電気的に接続するための配線(以下、フィールドプレート接続配線と称する)が設けられる。通常、この配線は、ゲート電極との交差を避けるために、ゲート電極のゲート配線に接続される一端とは反対側の他端を回り込んで配設される(例えば特許文献1を参照)。しかしながら、活性領域に対してゲート配線とは反対側に位置する不活性領域上には、前述したようにドレイン配線が設けられているので、フィールドプレート接続配線がドレイン配線に近づくこととなる。従って、フィールドプレート接続配線とドレイン配線との間の寄生容量によってドレイン-ソース容量Cdsが増大し、半導体装置の動作に影響を及ぼすおそれがある。
【0006】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、フィールドプレート接続配線に起因するドレイン-ソース容量の増大を抑制できる半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、一実施形態に係る半導体装置は、第1領域と、第1方向における第1領域の一端側に位置する第1部分及び他端側に位置する第2部分を含む第2領域とを有する窒化物半導体層と、第1領域上に設けられて第1方向と交差する第2方向に並ぶソース電極、ゲート電極、及びドレイン電極と、ゲート電極とドレイン電極との間に位置する部分を含むフィールドプレートと、第2領域の第1部分上に設けられドレイン電極と電気的に接続されたドレイン配線と、第2領域の第2部分上に設けられソース電極と電気的に接続されたソース配線と、第2領域の第2部分上に設けられゲート電極と電気的に接続されたゲート配線と、第2領域の第2部分上に設けられ、ゲート配線と交差し、ソース配線若しくはソース電極とフィールドプレートとを接続するフィールドプレート接続配線と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明による半導体装置によれば、フィールドプレート接続配線に起因するドレイン-ソース容量の増大を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る半導体装置としてのトランジスタ1Aを示す平面図である。
図2図2の(a)~(c)は、それぞれ図1に示されたトランジスタ1AのIIa-IIa線、IIb-IIb線、及びIIc-IIc線に沿った断面図である。
図3図3は、トランジスタ1Aの製造工程を示す平面図である。
図4図4の(a)~(c)は、それぞれ図3に示されたIVa-IVa線、IVb-IVb線、及びIVc-IVc線に沿った断面図である。
図5図5は、トランジスタ1Aの製造工程を示す平面図である。
図6図6の(a)~(c)は、それぞれ図5に示されたVIa-VIa線、VIb-VIb線、及びVIc-VIc線に沿った断面図である。
図7図7は、トランジスタ1Aの製造工程を示す平面図である。
図8図8の(a)~(c)は、それぞれ図7に示されたVIIIa-VIIIa線、VIIIb-VIIIb線、及びVIIIc-VIIIc線に沿った断面図である。
図9図9は、トランジスタ1Aの製造工程を示す平面図である。
図10図10の(a)~(c)は、それぞれ図9に示されたXa-Xa線、Xb-Xb線、及びXc-Xc線に沿った断面図である。
図11図11は、本実施形態によるトランジスタ1Aのドレイン-ソース容量Cdsと、図28に示されたトランジスタ100のドレイン-ソース容量Cdsとの比較を示すグラフである。
図12図12は、上記実施形態の第1変形例に係る半導体装置としてのトランジスタ1Bを示す平面図である。
図13図13は、図12の一部を拡大して示す平面図である。
図14図14は、上記実施形態の第2変形例に係る半導体装置としてのトランジスタ1Cを示す平面図である。
図15図15は、上記実施形態の第3変形例に係る半導体装置としてのトランジスタ1Dを示す平面図である。
図16図16は、上記実施形態の第4変形例に係る半導体装置としてのトランジスタ1Eを示す平面図である。
図17図17は、上記実施形態の第5変形例に係る半導体装置としてのトランジスタ1Fを示す平面図である。
図18図18の(a)~(c)は、それぞれ図17に示されたトランジスタ1FのXVIIIa-XVIIIa線、XVIIIb-XVIIIb線、及びXVIIIc-XVIIIc線に沿った断面図である。
図19図19は、トランジスタ1Fの製造工程を示す平面図である。
図20図20の(a)~(c)は、それぞれ図19に示されたXXa-XXa線、XXb-XXb線、及びXXc-XXc線に沿った断面図である。
図21図21は、トランジスタ1Fの製造工程を示す平面図である。
図22図22の(a)~(c)は、それぞれ図21に示されたXXIIa-XXIIa線、XXIIb-XXIIb線、及びXXIIc-XXIIc線に沿った断面図である。
図23図23は、トランジスタ1Fの製造工程を示す平面図である。
図24図24の(a)~(c)は、それぞれ図23に示されたXXIVa-XXIVa線、XXIVb-XXIVb線、及びXXIVc-XXIVc線に沿った断面図である。
図25図25は、トランジスタ1Fの製造工程を示す平面図である。
図26図26の(a)~(c)は、それぞれ図25に示されたXXVIa-XXVIa線、XXVIb-XXVIb線、及びXXVIc-XXVIc線に沿った断面図である。
図27図27の(a)及び(b)は、本変形例による更なる効果を説明するための模式図である。
図28図28は、トランジスタ100の構成を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態に係る半導体装置の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。以下の説明では、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態に係る半導体装置としてのトランジスタ1Aを示す平面図である。図2の(a)は、図1に示されたトランジスタ1AのIIa-IIa線に沿った断面図である。図2の(b)は、図1に示されたトランジスタ1AのIIb-IIb線に沿った断面図である。図2の(c)は、図1に示されたトランジスタ1AのIIc-IIc線に沿った断面図である。なお、説明のため、図1においては絶縁膜21~23の図示が省略されている。
【0012】
図1及び図2の(a)に示されるように、本実施形態のトランジスタ1Aは、基板11と、基板11上に設けられた窒化物半導体層18と、窒化物半導体層18上に設けられたドレイン電極31、ソース電極32、及びゲート電極33とを備える。基板11は、平坦な表面を有する結晶成長用の基板である。基板11として、例えばSi基板、SiC基板、サファイア基板、又はダイヤモンド基板が挙げられる。基板11の厚さは、例えば500μmである。
【0013】
本実施形態のトランジスタ1Aは、高電子移動度トランジスタ(HEMT)である。すなわち、窒化物半導体層18は、チャネル層12及び電子供給層13を少なくとも有する。チャネル層12と電子供給層13との界面に2次元電子ガス(2DEG)が生じることにより、チャネル領域が形成される。チャネル層12は、基板11の表面からエピタキシャル成長した層である。チャネル層12における電子供給層13との界面近傍の領域は、チャネル領域として機能する。チャネル層12は、例えばGaN層である。チャネル層12の厚さは、例えば1μmである。電子供給層13は、チャネル層12上にエピタキシャル成長した層である。電子供給層13の厚さは、例えば20nmである。電子供給層13は、例えばAlGaN層、InAlN層、又はInAlGaN層等である。一実施例では、電子供給層13はAl0.25Ga0.75Nからなる。電子供給層13は、n型化していてもよい。なお、窒化物半導体層18は、電子供給層13上に、図示しないキャップ層を更に有してもよい。その場合、キャップ層の厚さは例えば5nmである。キャップ層は例えばGaN層であり、n型化していてもよい。
【0014】
図1に示されるように、窒化物半導体層18は、活性領域(第1領域)A1と不活性領域(第2領域)B1とを有する。活性領域A1は、トランジスタとして動作する領域である。不活性領域B1は、窒化物半導体層18に例えばアルゴン(Ar)等のイオンが注入されることによって不活性化された領域である。不活性領域B1は、活性領域A1を囲み、互いに隣り合うトランジスタ1A同士の電気的な分離、及びトランジスタ1Aの動作領域の限定のために設けられる。不活性領域B1は、第1部分B11及び第2部分B12を含む。第1部分B11は、窒化物半導体層18の表面に沿った方向D1(第1方向)における活性領域A1の一端A1aの外側に位置する。第2部分B12は、方向D1における活性領域A1の他端A1bの外側に位置する。一端A1a及び他端A1bは、方向D1と交差(例えば直交)する方向D2(第2方向)に沿って互いに並行に延びている。第1部分B11及び第2部分B12は、それぞれ一端A1a及び他端A1bに沿って延在している。
【0015】
ドレイン電極31及びソース電極32は、窒化物半導体層18の活性領域A1上に設けられ、活性領域A1と接触している。本実施形態では、1つのドレイン電極31と、1つのソース電極32とが、1つの活性領域A1上に設けられる。ドレイン電極31及びソース電極32は、方向D2に沿って並んでおり、方向D1を長手方向とする長方形状といった平面形状をそれぞれ有する。ドレイン電極31及びソース電極32は、オーミック電極であり、例えばチタン(Ti)層とアルミニウム(Al)層との積層構造を有する。Al層は、窒化物半導体層18の厚さ方向において、Ti層によって挟まれていてもよい。この積層構造は、熱処理により合金化されている。Ti層の厚さは例えば10nmであり、Al層の厚さは例えば200nmである。
【0016】
ドレイン電極31及びソース電極32は、電子供給層13と接触してもよく、電子供給層13上に設けられたキャップ層と接触してもよい。或いは、ドレイン電極31及びソース電極32は、電子供給層13の一部が除去されることにより露出したチャネル層12上に設けられ、電子供給層13とチャネル層12との界面付近と接触してもよい。
【0017】
トランジスタ1Aは、導電性のドレイン配線41を更に備える。ドレイン配線41は、複数のトランジスタ1Aにわたってドレイン電極31同士を接続するとともに、トランジスタ1Aの外部回路と電気的に接続される。ドレイン配線41は、バスライン41a及びドレイン接続配線41bを含む。バスライン41aは、不活性領域B1の第1部分B11上に設けられ、方向D2に沿って延びる。ドレイン接続配線41bは、バスライン41aから活性領域A1のドレイン電極31上にわたって設けられ、ドレイン電極31の長手方向(方向D1)に沿って延びている。ドレイン接続配線41bは、ドレイン電極31の表面(上面)と接触するとともに、ドレイン電極31の表面上からドレイン電極31の第1部分B11側の端部外方に延出し、バスライン41aとドレイン電極31とを電気的に接続する。ドレイン配線41は、例えばAuめっきによって形成され、その厚さは例えば5μmである。
【0018】
トランジスタ1Aは、導電性のソース配線42を更に備える。ソース配線42は、複数のトランジスタ1Aにわたってソース電極32同士を接続するとともに、トランジスタ1Aの外部回路と電気的に接続される。ソース配線42は、図示しない外部接続パッドと、ソース接続配線42bとを含む。ソース配線42の外部接続パッドは、不活性領域B1の第2部分B12上に設けられる。ソース接続配線42bは、ソース配線42の外部接続パッドから活性領域A1のソース電極32上にわたって設けられ、ソース電極32の長手方向(方向D1)に沿って延びている。ソース接続配線42bは、ソース電極32の表面(上面)と接触するとともに、ソース電極32の表面上からソース電極32の第2部分B12側の端部外方に延出し、ソース配線42のバスラインとソース電極32とを電気的に接続する。ソース配線42は、例えばAuめっきによってドレイン配線41と同時に形成され、その厚さは例えば5μmである。
【0019】
ゲート電極33は、窒化物半導体層18の活性領域A1上に設けられている。ゲート電極33は、方向D2においてドレイン電極31とソース電極32との間に位置する。ゲート電極33は、方向D1を長手方向として延びている。一例では、ゲート電極33は、例えばニッケル(Ni)層、パラジウム(Pd)層、及び金(Au)層の積層構造を有する。Ni層の厚さは例えば100nmであり、Pd層の厚さは例えば50nmであり、Au層の厚さは例えば500nmである。また、他の一例では、ゲート電極33は、例えばNi層、白金(Pt)層、及びAu層の積層構造を有する。Ni層の厚さは例えば20nmであり、Pt層の厚さは例えば20nmであり、Au層の厚さは例えば600nmである。Ni層は、窒化物半導体層18とショットキ接触をなす。ゲート電極33全体の厚さ(高さ)は、各層それぞれの膜厚均一性を考慮すると300nm以上が好ましく、絶縁膜22でゲート電極33を十分に覆うことを考慮すると700nm以下が好ましい。
【0020】
トランジスタ1Aは、導電性のゲート配線43を更に備える。ゲート配線43は、複数のトランジスタ1Aにわたってゲート電極33同士を接続するとともに、トランジスタ1Aの外部回路と電気的に接続される。ゲート配線43は、外部接続パッド43aと、ゲート接続配線43bとを含む。外部接続パッド43aは、不活性領域B1の第2部分B12上に設けられ、外部回路とのワイヤボンディングのための領域を提供する。ゲート接続配線43bは、方向D1に沿って、外部接続パッド43aからゲート電極33の第2部分B12側の一端まで延びている。ゲート接続配線43bは、外部接続パッド43aとゲート電極33とを電気的に接続する。ゲート接続配線43bは、ゲート電極33と同時に形成され、ゲート電極33と同じ材料からなる。
【0021】
トランジスタ1Aは、絶縁膜21~24及びフィールドプレート34を更に備える。図2の(a)~(c)に示される絶縁膜21~24は、窒化物半導体層18、ドレイン電極31、ソース電極32、ゲート電極33、及びフィールドプレート34を保護する。
【0022】
絶縁膜21は、窒化物半導体層18上に設けられ、窒化物半導体層18と接しており、ドレイン電極31、ソース電極32、及びゲート電極33から露出した窒化物半導体層18の表面を少なくとも覆う。絶縁膜21には窒化物半導体層18を露出させる3つの開口(ドレイン開口、ソース開口、及びゲート開口)が設けられており、ドレイン開口内にはドレイン電極31の一部が埋め込まれ、ソース開口内にはソース電極32の一部が埋め込まれ、ゲート開口内にはゲート電極33の一部が埋め込まれている。ドレイン電極31、ソース電極32、及びゲート電極33は、これらの開口を介して窒化物半導体層18と接触している。方向D2におけるゲート開口の長さ(ゲート長)は、例えば0.4μmである。絶縁膜21は、例えば絶縁性のSi化合物膜であり、一例ではSiN膜である。絶縁膜21の厚さは例えば60nmである。
【0023】
絶縁膜22は、絶縁膜21上に設けられ、絶縁膜21に接している。絶縁膜22は、絶縁膜21、ドレイン電極31、ソース電極32、及びゲート電極33を覆う。絶縁膜22は、ドレイン電極31上に開口を有しており、該開口上にはドレイン配線41のドレイン接続配線41bが設けられている。ドレイン接続配線41bは、該開口を介してドレイン電極31の上面と接触することによりドレイン電極31と導通している。また、絶縁膜22は、ソース電極32上にも開口を有しており、該開口上にはソース配線42のソース接続配線42bが設けられている。ソース接続配線42bは、該開口を介してソース電極32の上面と接触することによりソース電極32と導通している。絶縁膜22は、例えば絶縁性のSi化合物膜であり、一例ではSiN膜である。絶縁膜22の厚さは、例えば100nm~1000nmの範囲内であり、一例では100nmである。
【0024】
絶縁膜23は、絶縁膜22上に設けられ、絶縁膜22に接している。絶縁膜23は、絶縁膜22、フィールドプレート34を覆う。絶縁膜23は、例えば絶縁性のSi化合物膜であり、一例ではSiN膜である。絶縁膜23の厚さは、例えば100nmである。絶縁膜23によって、フィールドプレート34とドレイン配線41及びソース配線42との短絡、及びフィールドプレート34の酸化等が抑制される。絶縁膜24は、絶縁膜23上に設けられ、絶縁膜23に接している。絶縁膜24は、ドレイン配線41及びソース配線42を覆う。
【0025】
フィールドプレート34は、絶縁膜22上に設けられた導電膜である。フィールドプレート34は、例えば金属膜であり、基板11側からNi層とAu層との積層構造、又は基板11側からTi層とAu層との積層構造を有する。フィールドプレート34は、少なくとも、ゲート電極33とドレイン電極31との間に位置する部分を含む。本実施形態のフィールドプレート34は、図2の(a)に示されるように、ゲート電極33上に位置する部分34aと、ゲート電極33とドレイン電極31との間に位置する部分34bとを含む。すなわち、フィールドプレート34は、その一部がゲート電極33に乗り上げた構造を有する。
【0026】
フィールドプレート34が設けられることによって、ゲート電極33とドレイン電極31との間のカップリングが遮蔽される。また、フィールドプレート34が設けられることによって、ゲート電極33の端部における電界集中を緩和することができ、電流コラプス現象によるドレイン電流の減少等が抑制される。フィールドプレート34は、ゲート電極33よりも薄く形成される。フィールドプレート34のNi層(またはTi層)の厚さは例えば2nm~100nmの範囲内であり、一例では10nmである。フィールドプレート34のAu層の厚さは例えば50nm~500nmの範囲内であり、一例では200nmである。
【0027】
トランジスタ1Aは、導電性のフィールドプレート接続配線35を更に備える。フィールドプレート接続配線35は、不活性領域B1の第2部分B12上に設けられ、ソース配線42とフィールドプレート34とを電気的に接続する。フィールドプレート接続配線35は、フィールドプレート34から、方向D1におけるソース電極32の第2部分B12側の端部外方へ延在しており、該端部外方においてソース接続配線42bと接続する。フィールドプレート接続配線35は、フィールドプレート34の第2部分B12側の一端から方向D1に沿って延びる部分35aと、屈曲後にゲート配線43のゲート接続配線43bと交差しつつ方向D2に沿って延びる部分35bとを含む。フィールドプレート接続配線35は、フィールドプレート34と同時に形成され、フィールドプレート34と同じ材料からなる。
【0028】
図2の(b)に示されるように、フィールドプレート接続配線35の部分35aは、ゲート接続配線43b上に位置する部分と、ゲート接続配線43bに対してソース接続配線42bとは反対側に位置する部分とを含む。また、フィールドプレート接続配線35の部分35bは、部分35aからゲート接続配線43bの長手方向と交差する方向に延びており、ソース電極32の第2部分B12側の端部外方においてソース接続配線42bと接続する。従って、フィールドプレート接続配線35は、ゲート接続配線43bとの絶縁を保ちながらゲート接続配線43bと立体的に交差する。本実施形態では、フィールドプレート接続配線35は、ゲート接続配線43bの上側、すなわちゲート接続配線43bに対して窒化物半導体層18とは反対側であって絶縁膜22と絶縁膜23との間を通ってゲート接続配線43bと交差している。そして、フィールドプレート接続配線35の部分35bは、不活性領域B1の第2部分B12とソース接続配線42bとの間に位置する。図2の(c)に示されるように、ソース接続配線42bとフィールドプレート接続配線35の部分35bとは、絶縁膜23に形成されたビアホール23aを介して接続している。これにより、フィールドプレート接続配線35とソース配線42とが互いに導通し、フィールドプレート34がソース電極32と同電位となる。
【0029】
本実施形態における寸法例を示す。活性領域A1とドレイン配線41のバスライン41aとの距離L1は、例えば20μmである。ドレイン電極31とソース電極32との距離L2は、例えば5μmである。ゲート電極33とソース電極32との距離L3は、例えば1μmである。方向D2におけるフィールドプレート34及びフィールドプレート接続配線35の部分35aの幅W1は、例えば1μmである。方向D1におけるフィールドプレート接続配線35の部分35bの幅W2は、例えば1μmである。
【0030】
ここで、上述した本実施形態のトランジスタ1Aを製造する方法について図3図10を参照しながら説明する。
【0031】
図3は、トランジスタ1Aの製造工程を示す平面図である。図4の(a)~(c)は、それぞれ図3に示されたIVa-IVa線、IVb-IVb線、及びIVc-IVc線に沿った断面図である。これらの図に示されるように、まず、チャネル層12及び電子供給層13を基板11上に順にエピタキシャル成長させることにより、窒化物半導体層18を形成する。この成長は、例えば有機金属気相成長法(Organometallic Vapor Phase Epitaxy;OMVPE)によって行われる。次に、活性領域A1(図1を参照)となる窒化物半導体層18の領域上にレジストマスクを形成し、該レジストマスクから露出した窒化物半導体層18の領域にイオン(例えばArイオン)を注入することにより、第1部分B11及び第2部分B12を含む不活性領域B1(図1を参照)を活性領域A1の周囲に形成する。続いて、窒化物半導体層18上に絶縁膜21を形成する。絶縁膜21の形成は、例えば化学気相成長(Chemical Vapor Deposition;CVD)法によって行われる。絶縁膜21に一対の開口を形成したのち、該一対の開口を埋め込むようにドレイン電極31及びソース電極32を窒化物半導体層18上に形成する。ドレイン電極31及びソース電極32の形成は、例えば真空蒸着法により行われる。
【0032】
図5は、トランジスタ1Aの製造工程を示す平面図である。図6の(a)~(c)は、それぞれ図5に示されたVIa-VIa線、VIb-VIb線、及びVIc-VIc線に沿った断面図である。次に、フォトリソグラフィ技術若しくは電子ビーム露光技術を用いて形成されたレジストマスクを介して絶縁膜21をエッチングすることにより、絶縁膜21にゲート開口21a(図6の(a)を参照)を形成する。その後、ゲート開口21aを塞ぐゲート電極33を絶縁膜21上に形成するとともに、外部接続パッド43a及びゲート接続配線43bを含むゲート配線43を第2部分B12上に形成する。ゲート電極33及びゲート配線43の形成は、例えば真空蒸着法により行われる。ゲート開口21aは活性領域A1のみに形成されているので、ゲート配線43は絶縁膜21上に形成される。そして、図6の(a)~(c)に示されるように、絶縁膜22によって、ドレイン電極31、ソース電極32、ゲート電極33、及びゲート配線43を含む窒化物半導体層18上の全面を覆う。絶縁膜22の形成は、例えばCVD法によって行われる。
【0033】
図7は、トランジスタ1Aの製造工程を示す平面図である。図8の(a)~(c)は、それぞれ図7に示されたVIIIa-VIIIa線、VIIIb-VIIIb線、及びVIIIc-VIIIc線に沿った断面図である。続いて、フィールドプレート34及びフィールドプレート接続配線35を形成する。フィールドプレート34の形成は、例えば次のようにして行われる。まず、フィールドプレート34及びフィールドプレート接続配線35に対応する開口パターンを有するレジストマスクを絶縁膜22上に形成する。次に、例えば真空蒸着法によって蒸着源である金属材料を蒸発させ、絶縁膜22上に金属材料を被着させる。これにより、絶縁膜22上にフィールドプレート34及びフィールドプレート接続配線35が形成される。このとき、金属材料はレジストマスク上にも堆積するが、レジストマスク上の金属材料は、レジストマスクと共に除去(リフトオフ)される。
【0034】
図9は、トランジスタ1Aの製造工程を示す平面図である。図10の(a)~(c)は、それぞれ図9に示されたXa-Xa線、Xb-Xb線、及びXc-Xc線に沿った断面図である。続いて、図10の(a)及び(b)に示されるように、フィールドプレート34及びフィールドプレート接続配線35を覆う絶縁膜23を形成する。そして、この絶縁膜23のうちフィールドプレート接続配線35の部分35b上に位置する箇所にビアホール23aを形成し、同時に絶縁膜23、絶縁膜22の一部を連続的に除去することによってドレイン電極31及びソース電極32を露出させる。そして、ドレイン電極31上にドレイン接続配線41bを形成し、ソース電極32上にソース接続配線42bを形成する。このとき、ドレイン配線41及びソース配線42の他の部分(バスライン41a等)も同時に形成する。ドレイン配線41及びソース配線42は、例えばAuめっきにより形成される。ソース配線42は、ビアホール23aを介してフィールドプレート接続配線35と接続する。また、このビアホール23a以外ではフィールドプレート34及びフィールドプレート接続配線35は何れにも接続されない。最後に、絶縁膜24によって絶縁膜23、ドレイン配線41及びソース配線42を覆う。絶縁膜23,24の形成は、例えばプラズマCVD法によって行われる。以上の工程を経て、本実施形態のトランジスタ1Aが作製される。
【0035】
以上に説明した本実施形態によるトランジスタ1A及びその製造方法によって得られる効果について、従来の課題と共に説明する。一般的に、ソース配線42及びゲート配線43は、活性領域A1に対して互いに同じ側に配置され、ドレイン配線41は、活性領域A1に対してソース配線42及びゲート配線43とは反対側に配置される。図28は、或るトランジスタ100の構成を示す平面図である。このトランジスタ100においては、フィールドプレート接続配線135が、ドレイン配線41のバスライン41a側のフィールドプレート34の一端から延びており、不活性領域B1の第1部分B11上に配置されている。また、ソース接続配線42bが第1部分B11上に延在しており、第1部分B11上においてフィールドプレート接続配線135と接続している。しかしながら、このような構成では、フィールドプレート接続配線135がドレイン配線41のバスライン41aに近づくこととなる。従って、フィールドプレート接続配線35とドレイン配線41との間の寄生容量によってドレイン-ソース容量Cdsが増大し、トランジスタ100の動作に影響を及ぼすおそれがある。
【0036】
そこで、本実施形態では、ソース配線42とフィールドプレート34とを接続するフィールドプレート接続配線35が、不活性領域B1の第2部分B12上に設けられ、ゲート接続配線43bと交差してソース配線42の直下(方向D1におけるソース電極32の端部外方)に延びている。これにより、フィールドプレート接続配線35とドレイン配線41との近接を回避し、フィールドプレート接続配線35に起因するドレイン-ソース容量の増大を抑制できる。
【0037】
図11は、本実施形態によるトランジスタ1Aのドレイン-ソース容量Cds(図中の点Pa)と、図28に示されたトランジスタ100のドレイン-ソース容量Cds(図中の点Pb)との比較を示すグラフである。図11に示されるように、トランジスタ100ではCdsが約0.211pF/mmであるのに対し、本実施形態のトランジスタ1AではCdsが0.205pF/mmとなっており、トランジスタ100と比べて約3%減少している。このように、本実施形態によれば、ドレイン-ソース容量Cdsを効果的に低減できる。
【0038】
また、本実施形態のように、フィールドプレート接続配線35は、ゲート接続配線43bと交差しつつ方向D1におけるソース電極32の端部外方へ延在し、該端部外方においてソース配線42と接続してもよい。例えばこのような構成により、フィールドプレート接続配線35とソース配線42とを接続することができる。
【0039】
(第1変形例)
図12は、上記実施形態の第1変形例に係る半導体装置としてのトランジスタ1Bを示す平面図である。図13は、図12の一部を拡大して示す平面図である。なお、説明のため、図12及び図13においても絶縁膜21~24の図示が省略されている。図12及び図13に示されるように、本変形例のトランジスタ1Bは、複数のドレイン電極31と、複数のソース電極32とを備えており、方向D2においてドレイン電極31及びソース電極32が交互に並んで配置されている。そして、ドレイン電極31とソース電極32との間の各領域には、ゲート電極33が配置されている。更に、各ゲート電極33に沿って、フィールドプレート34が設けられている。
【0040】
本変形例では、上記実施形態のゲート配線43に代えて、ゲート配線43Aが設けられている。ゲート配線43Aは、上記実施形態の外部接続パッド43a及びゲート接続配線43bに加えて、ゲートバスライン43cを更に含む。ゲートバスライン43cは、不活性領域B1の第2部分B12上において方向D2に沿って延びている。各ゲート電極33の一端から不活性領域B1の第2部分B12上に延在するゲート接続配線43bは、ゲートバスライン43cと一体的に接続している。また、方向D2に沿って延びる窒化物半導体層18の縁18aに沿って複数の外部接続パッド43aが並んでおり、これらの外部接続パッド43aはゲートバスライン43cと一体的に接続している。
【0041】
図12及び図13には、ソース配線42の外部接続パッド42a及びソース接続配線42bが示されている。外部接続パッド42aは、ソース電極32の個数に応じて複数設けられている。複数の外部接続パッド42aは、窒化物半導体層18の縁18aに沿って、ゲート配線43Aの外部接続パッド43aと交互に並んでいる。各外部接続パッド42aの方向D2における幅はソース接続配線42bの同方向における幅よりも広く、ソース配線42は略T字状といった平面形状を有する。
【0042】
本変形例では、ソース電極32を挟む一対のフィールドプレート34が、フィールドプレート接続配線35を介して相互に接続している。具体的には、方向D1に沿って延びる一対の部分35aをフィールドプレート接続配線35が有しており、各部分35aの一端は、ソース電極32を挟む一対のフィールドプレート34のそれぞれと接続している。そして、各部分35aの他端は、方向D2に沿って延びる部分35bと接続している。部分35bは、各フィールドプレート34に沿って配置されたゲート電極33から延びるゲート接続配線43bと交差し、ソース接続配線42bと窒化物半導体層18との間を通り、ソース接続配線42bと接続している(図2の(c)を参照)。なお、部分35bとゲート接続配線43bとの交差の態様は上記実施形態と同様である。
【0043】
本変形例に係るトランジスタ1Bのように、ドレイン電極31、ソース電極32、ゲート電極33、及びフィールドプレート34がそれぞれ複数設けられてもよい。このような構成においても、上記実施形態に係るトランジスタ1Aと同様の効果を奏することができる。
【0044】
(第2変形例)
図14は、上記実施形態の第2変形例に係る半導体装置としてのトランジスタ1Cを示す平面図である。説明のため、図14においても絶縁膜21~24の図示が省略されている。本変形例のトランジスタ1Cと第1変形例のトランジスタ1Bとの相違点は、フィールドプレート接続配線の形状である。本変形例のトランジスタ1Cは、第1変形例のフィールドプレート接続配線35に代えて、フィールドプレート接続配線35Aを備える。フィールドプレート接続配線35Aは、不活性領域B1の第2部分B12上に設けられ、ソース配線42とフィールドプレート34とを電気的に接続する。フィールドプレート接続配線35Aは、フィールドプレート34からゲート接続配線43bに沿って延在する部分35aと、ゲート接続配線43bから離れる方向に延在したのち、ゲート接続配線43bに沿う方向に屈曲する部分35cとを含む。部分35cは、方向D1に沿って延在し、ゲートバスライン43cと交差して、ソース配線42の外部接続パッド42aに達する。例えば、部分35cはゲートバスライン43cの上方(絶縁膜22と絶縁膜23との間)を通過する。部分35cの端部は、ゲートバスライン43cを挟んでフィールドプレート34とは反対側に位置する。フィールドプレート接続配線35Aは、部分35cの端部において外部接続パッド42aと接続する。
【0045】
本変形例に係るトランジスタ1Cのように、フィールドプレート接続配線はゲートバスライン43cと交差してソース配線42と接続してもよい。このような構成においても、上記実施形態に係るトランジスタ1Aと同様の効果を奏することができる。
【0046】
(第3変形例)
図15は、上記実施形態の第3変形例に係る半導体装置としてのトランジスタ1Dを示す平面図である。説明のため、図15においても絶縁膜21~24の図示が省略されている。本変形例のトランジスタ1Dと第1変形例のトランジスタ1Bとの相違点は、フィールドプレート接続配線の形状である。本変形例のトランジスタ1Dは、第1変形例のフィールドプレート接続配線35に代えて、フィールドプレート接続配線35Bを備える。フィールドプレート接続配線35Bは、第1変形例に示された部分35a及び35bと、第2変形例に示された部分35cとを含む。このような構成においても、上記実施形態に係るトランジスタ1Aと同様の効果を奏することができる。
【0047】
(第4変形例)
図16は、上記実施形態の第4変形例に係る半導体装置としてのトランジスタ1Eを示す平面図である。説明のため、図16においても絶縁膜21~24の図示が省略されている。本変形例のトランジスタ1Eと第1変形例のトランジスタ1Bとの相違点は、フィールドプレート接続配線の形状である。本変形例のトランジスタ1Eは、第1変形例のフィールドプレート接続配線35に代えて、フィールドプレート接続配線35Cを備える。フィールドプレート接続配線35Cは、不活性領域B1の第2部分B12上に設けられ、ソース配線42とフィールドプレート34とを電気的に接続する。フィールドプレート接続配線35Cは、フィールドプレート34からゲート接続配線43bに沿って延在する部分35aと、部分35aから方向D1に沿って延在し、ゲートバスライン43cと交差してソース配線42の外部接続パッド42aに達する部分35dとを含む。例えば、部分35dはゲートバスライン43cの上方(絶縁膜22と絶縁膜23との間)を通過する。部分35dの端部は、ゲートバスライン43cを挟んでフィールドプレート34とは反対側に位置する。フィールドプレート接続配線35Cは、部分35dの端部において外部接続パッド42aと接続する。
【0048】
本変形例に係るトランジスタ1Eのように、フィールドプレート接続配線はゲートバスライン43cと交差してソース配線42と接続してもよい。このような構成においても、上記実施形態に係るトランジスタ1Aと同様の効果を奏することができる。
【0049】
(第5変形例)
図17は、上記実施形態の第5変形例に係る半導体装置としてのトランジスタ1Fを示す平面図である。図18の(a)は、図17に示されたトランジスタ1FのXVIIIa-XVIIIa線に沿った断面図である。図18の(b)は、図17に示されたトランジスタ1AのXVIIIb-XVIIIb線に沿った断面図である。図18の(c)は、図17に示されたトランジスタ1AのXVIIIc-XVIIIc線に沿った断面図である。説明のため、図17においても絶縁膜21~25の図示が省略されている。
【0050】
本変形例のトランジスタ1Fと上記実施形態のトランジスタ1Aとの相違点は、フィールドプレート接続配線の形態である。本変形例のトランジスタ1Fは、上記実施形態のフィールドプレート接続配線35に代えて、フィールドプレート接続配線35Dを備える。フィールドプレート接続配線35Dは、不活性領域B1の第2部分B12上に設けられ、ソース配線42とフィールドプレート34とを電気的に接続する。フィールドプレート接続配線35Dは、フィールドプレート34からゲート接続配線43bに沿って延在する部分35aと、部分35aから方向D2に沿って延在し、ソース配線42のソース接続配線42bに達する部分35eとを含む。部分35eは、部分35aからゲート接続配線43bの長手方向と交差する方向に延びており、ソース電極32の第2部分B12側の端部外方においてソース接続配線42bと接続する。従って、フィールドプレート接続配線35Dは、ゲート接続配線43bとの絶縁を保ちながらゲート接続配線43bと立体的に交差する。
【0051】
本変形例では、フィールドプレート接続配線35の部分35eは、ゲート接続配線43bの下側、すなわちゲート接続配線43bと窒化物半導体層18との間(正確には絶縁膜と窒化物半導体層18との間)を通ってゲート接続配線43bと交差している。そして、図18の(b)及び(c)に示されるように、部分35eの端部は、方向D1におけるソース電極32の端部外方へ延在し、窒化物半導体層18とソース接続配線42bとの間に位置する。また、図18の(b)に示されるように、フィールドプレート接続配線35Dの部分35aと部分35eとは、絶縁膜22,25を貫通するビアホール26aを介して、部分35eとソース配線42とは絶縁膜22,23,25を貫通するビアホール26bを介して、それぞれ互いに接続している。ビアホール26a,26bの平面形状は例えば四角形である。
【0052】
ここで、本変形例のトランジスタ1Dを製造する方法について、図19図26を参照しながら説明する。
【0053】
図19は、トランジスタ1Fの製造工程を示す平面図である。図20の(a)~(c)は、それぞれ図19に示されたXXa-XXa線、XXb-XXb線、及びXXc-XXc線に沿った断面図である。これらの図に示されるように、まず、チャネル層12及び電子供給層13を基板11上に順にエピタキシャル成長させることにより、窒化物半導体層18を形成する。次に、第1部分B11及び第2部分B12を含む不活性領域B1(図17を参照)を活性領域A1の周囲に形成する。次に、エピタキシャル層上に絶縁膜21を形成する。続いて、ドレイン電極31及びソース電極32を窒化物半導体層18上に形成する。これらの工程の詳細は、前述した実施形態と同様である。
【0054】
続いて、方向D2に沿って延在するフィールドプレート接続配線35Dの部分35eを絶縁膜21上に形成する。部分35eの厚さはドレイン電極31及びソース電極32よりも薄く、例えば100nmである。部分35eの厚さは、例えばTi/Pt/Au/Pt/Tiの積層構造を有し、各層の厚さは、例えばそれぞれ10nm/10nm/60nm/10nm/10nmである。その後、図20の(a)~(c)に示されるように、ドレイン電極31、ソース電極32、及び部分35eを覆う絶縁膜25を絶縁膜21上に形成する。絶縁膜25の厚さは例えば60nmである。
【0055】
図21は、トランジスタ1Fの製造工程を示す平面図である。図22の(a)~(c)は、それぞれ図21に示されたXXIIa-XXIIa線、XXIIb-XXIIb線、及びXXIIc-XXIIc線に沿った断面図である。次に、フォトリソグラフィ技術若しくは電子ビーム露光技術を用いて形成されたレジストマスクを介して絶縁膜21,25を連続的にエッチングすることにより、絶縁膜21,25にゲート開口21a(図22の(a)を参照)を形成する。その後、ゲート開口21aを塞ぐゲート電極33を絶縁膜25上に形成するとともに、外部接続パッド43a及びゲート接続配線43bを含むゲート配線43を第2部分B12上に形成する。そして、図22の(a)~(c)に示されるように、絶縁膜22によって、ゲート電極33及びゲート配線43を含む窒化物半導体層18上の全面を覆う。
【0056】
図23は、トランジスタ1Fの製造工程を示す平面図である。図24の(a)~(c)は、それぞれ図23に示されたXXIVa-XXIVa線、XXIVb-XXIVb線、及びXXIVc-XXIVc線に沿った断面図である。続いて、フォトリソグラフィ技術若しくは電子ビーム露光技術を用いて形成されたレジストマスクを介して絶縁膜25,22をエッチングすることにより、図24の(b)に示されるように、絶縁膜25,22を貫通するビアホール26aを形成して部分35eを露出させる。その後、フィールドプレート34と、フィールドプレート接続配線35Dの部分35aとを形成する。まず、フィールドプレート34及び部分35aに対応する開口パターンを有するレジストマスクを絶縁膜22上に形成する。次に、例えば真空蒸着法によって蒸着源である金属材料を蒸発させ、絶縁膜22上に金属材料を被着させる。これにより、絶縁膜22上にフィールドプレート34及び部分35aが形成されるとともに、部分35aによってビアホール26aが埋め込まれ、部分35aと部分35eとが互いに導通する。レジストマスク上の金属材料は、レジストマスクと共に除去(リフトオフ)される。その後、絶縁膜23を全面に形成する。
【0057】
図25は、トランジスタ1Fの製造工程を示す平面図である。図26の(a)~(c)は、それぞれ図25に示されたXXVIa-XXVIa線、XXVIb-XXVIb線、及びXXVIc-XXVIc線に沿った断面図である。続いて、図26の(a)及び(b)に示されるように、絶縁膜25,22,23の一部を除去することによってドレイン電極31及びソース電極32を露出させる。さらに、同時にビアホール26bを絶縁膜25,22,23に形成してフィールドプレート接続配線35Dを露出させる。そして、ドレイン電極31上にドレイン接続配線41bを形成し、ソース電極32上にソース接続配線42bを形成する。ソース接続配線42bは、フィールドプレート接続配線35Dをソース電極32に接続する。このとき、ドレイン配線41及びソース配線42の他の部分(バスライン41a等)も同時に形成する。最後に、絶縁膜24によって絶縁膜23、ドレイン配線41及びソース配線42を覆う。以上の工程を経て、本実施形態のトランジスタ1Fが作製される。
【0058】
本変形例のように、フィールドプレート接続配線は、ゲート配線43の下方(ゲート配線43と窒化物半導体層18との間)を通過してもよい。このような構成においても、上記実施形態に係るトランジスタ1Aと同様の効果を奏することができる。また、図27の(a)及び(b)は、本変形例による更なる効果を説明するための模式図である。図27の(a)に示されるように、フィールドプレート接続配線35がゲート配線43の上方を通過する場合、ゲート電極33の断面積の増大によってゲート配線43の断面積が増すと、ゲート配線43と対向する面積が増えてゲート-ソース容量Cgsが増加する。一方、図27の(b)に示されるように、フィールドプレート接続配線35Dがゲート配線43の下方を通過する場合、ゲート電極33の断面積の増大によってゲート配線43の断面積が増しても、ゲート配線43と対向する面積は増えず、ゲート-ソース容量Cgsの増加が抑えられる。
【0059】
また、上述したように、部分35eの厚さはドレイン電極31及びソース電極32よりも薄いことが好ましい。部分35eが薄く形成されることによって、部分35e上を通過するゲート接続配線43bの形成面を平坦に近づけることができる。
【0060】
なお、本変形例ではフィールドプレート接続配線35Dの部分35eを形成した後に絶縁膜25を形成しているが、ドレイン電極31及びソース電極32の形成後、先に絶縁膜25を形成し、ソース電極32上に絶縁膜25の開口を形成してソース電極32を露出させたのち、該開口を覆うように部分35eを形成してもよい。その場合、部分35eは、絶縁膜25と絶縁膜22との間に形成される。ソース接続配線42bは部分35e上に形成され、ソース接続配線42bとソース電極32とは部分35eを介して互いに接続する。部分35aと部分35eとを相互に接続させるビアホール26aは、絶縁膜22のみを貫通する。
【0061】
本発明による半導体装置は、上述した実施形態に限られるものではなく、他に様々な変形が可能である。例えば、上述した実施形態では半導体装置としてGaN系HEMTを例示したが、本発明は、フィールドプレートを有する横型デバイスであれば、GaN系HEMT以外の様々なデバイスに適用され得る。また、上述した実施形態では第1領域及び第2領域の例として活性領域及び不活性領域を示したが、第1領域及び第2領域はこれに限られず、例えば第1領域が第2領域に対して高低差を有するメサ状部分であってもよい。
【符号の説明】
【0062】
1A~1F…トランジスタ、11…基板、12…チャネル層、13…電子供給層、18…窒化物半導体層、21~25…絶縁膜、21a…ゲート開口、23a,26a,26b…ビアホール、31…ドレイン電極、32…ソース電極、33…ゲート電極、34…フィールドプレート、35,35A~35D…フィールドプレート接続配線、41…ドレイン配線、41a…バスライン、41b…ドレイン接続配線、42…ソース配線、42a…外部接続パッド、42b…ソース接続配線、43,43A…ゲート配線、43a…外部接続パッド、43b…ゲート接続配線、43c…ゲートバスライン、100…トランジスタ、135…フィールドプレート接続配線、A1…活性領域、B1…不活性領域、D1,D2…方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28