(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-27
(45)【発行日】2022-07-05
(54)【発明の名称】蒸発濃縮装置
(51)【国際特許分類】
C02F 1/04 20060101AFI20220628BHJP
B01D 1/14 20060101ALI20220628BHJP
B01D 3/00 20060101ALI20220628BHJP
【FI】
C02F1/04 Z
B01D1/14 Z
B01D3/00 Z
(21)【出願番号】P 2018052278
(22)【出願日】2018-03-20
【審査請求日】2020-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000004400
【氏名又は名称】オルガノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】中森 理
(72)【発明者】
【氏名】大橋 伸一
(72)【発明者】
【氏名】梅本 昭吾
(72)【発明者】
【氏名】田熊 康秀
【審査官】目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0061958(US,A1)
【文献】特開2005-349299(JP,A)
【文献】特開平05-104076(JP,A)
【文献】特開2012-217963(JP,A)
【文献】特開平09-262401(JP,A)
【文献】特開平08-057202(JP,A)
【文献】特開平03-072988(JP,A)
【文献】特開平11-207102(JP,A)
【文献】特表平04-504524(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0263616(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0137996(US,A1)
【文献】特公昭14-003111(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 1/02-1/18
B01D 1/00-8/00
B01B 1/00-1/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
混入成分を含む被処理水が供給されて前記被処理水に対して蒸発濃縮処理を行なう蒸発濃縮装置であって、
キャリアガスが供給されて前記キャリアガスと前記被処理水とを気液接触させ、前記キャリアガスを加湿して排出する加湿塔と、
前記加湿されたキャリアガスと冷却水とを気液接触させて前記加湿されたキャリアガスを冷却し、水分の少なくとも一部を凝縮させることにより、除湿されたキャリアガスを生成して排出する除湿塔と、
前記加湿塔に対して前記被処理水を循環させる第1の循環経路と、
前記第1の循環経路に設けられて前記被処理水を加温する加温手段と、
前記加温手段とは別個に設けられ、前記除湿塔で発生した熱を回収して前記第1の循環経路を流れる前記被処理水に熱を与えるヒートポンプと、
前記冷却水を前記除湿塔に対して循環させる第2の循環経路と、
前記第2の循環経路を流れる前記冷却水と、前記第1の循環経路において前記加湿塔の出口と前記加温手段の入口との間を流れる前記被処理水との間で熱交換を行なう熱交換器と、
を有し、
前記除湿塔から排出される前記冷却水の一部が、前記混入成分が除去された処理水として回収され、
前記加湿塔から流出する水の少なくとも一部を、前記混入成分を含む濃縮水として排出する、蒸発濃縮装置。
【請求項2】
前記ヒートポンプは、前記除湿塔から排出される前記除湿されたキャリアガスから熱を回収して前記第1の循環経路を流れる前記被処理水に対して熱を与える、請求項
1に記載の蒸発濃縮装置。
【請求項3】
前記ヒートポンプで発生した凝縮水が前記処理水として回収される、請求項
2に記載の蒸発濃縮装置。
【請求項4】
前記ヒートポンプによって熱が回収された前記除湿されたキャリアガスを前記加湿塔に供給する配管を備える、請求項
2または3に記載の蒸発濃縮装置。
【請求項5】
前記ヒートポンプは、前記第2の循環経路を流れる前記冷却水から熱を回収して、前記第1の循環経路を流れる前記被処理水に対して熱を与える、請求項
1に記載の蒸発濃縮装置。
【請求項6】
前記ヒートポンプが前記被処理水に熱を与える位置は、前記第1の循環経路において前記加湿塔の出口と前記加温手段の入口との間の位置である、請求項1乃至
5のいずれか1項に記載の蒸発濃縮装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、混入成分を含む被処理水に対して蒸発濃縮処理を行って混入成分が濃縮された濃縮水を生成する蒸発濃縮装置に関し、特に、キャリアガス式蒸発装置による蒸発濃縮装置に関する。
【背景技術】
【0002】
各産業のさまざまなプロセスにおいて、酸、アルカリ、金属塩などの各種の成分が混入した排水が発生する。最近では、水質汚染の防止や水資源の有効利用の観点から、海外を中心に液体廃棄物の量をゼロとするZLD(Zero Liquid Discharge)規制が適用されることが多くなってきている。そのため、各種の成分を含む排水である被処理水から混入成分が濃縮された濃縮水を生成する蒸発濃縮技術が必要とされるようになってきた。被処理水に対して蒸発濃縮処理を行ったのち、例えば濃縮水からは混入成分が分離される。蒸発濃縮処理により混入成分を含まない処理水も発生するが、処理水は再利用することができる。蒸発濃縮装置としては、多重効用缶式や多段蒸留式、機械的圧縮式などが知られているが、より温和な条件で被処理水に対して蒸発濃縮処理を行うことができるキャリアガス式蒸発装置が注目されている。特許文献1,2は、キャリアガス式蒸発装置の例を示している。
【0003】
キャリアガス式蒸発装置とは、加湿塔において沸点以下の比較的温度の高い条件で被処理水とキャリアガスとを気液接触させて被処理水中の水分を水蒸気としてキャリアガスに移行させてキャリアガスを加湿し、次に、水蒸気を含むキャリアガスを除湿塔において冷却し、キャリアガス中の水蒸気の少なくとも一部を凝縮させるものである。加湿塔内の被処理水中の水分が除湿塔における凝縮水に移行するので、加湿塔側では被処理水中の混入成分が濃縮されたことになる。除湿塔では凝縮水を処理水として取り出すことができる。キャリアガス式蒸発装置では、加湿塔側において加温し、除湿塔では冷却を行うが、特許文献3,4は、加温と冷却とを行うためにヒートポンプを用いることを開示している。また、気液接触により気体を加湿する際に気液接触の効率を高めるものとして、特許文献5は、バブリングカラムを多段に設けることを開示している。また気液接触により気体を冷却し気体中の水分を凝縮させる際に気液接触の効率を高めるものとして、特許文献6は、バブリングカラムを多段に設けることを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特表2015-527930号公報
【文献】特表2016-530096号公報
【文献】特許第4319958号公報
【文献】米国特許出願公開第2016/0251235号明細書
【文献】米国特許第9120033号明細書
【文献】米国特許出願公開第2015/0129410号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
キャリアガス式蒸発装置を用いる蒸発濃縮装置では、例えば熱効率の点で改善の余地が残されている。
【0006】
本発明の目的は、改善されたキャリアガス式蒸発装置を備える蒸発濃縮装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の蒸発濃縮装置は、混入成分を含む被処理水が供給されて被処理水に対して蒸発濃縮処理を行なう蒸発濃縮装置であって、キャリアガスが供給されてキャリアガスと被処理水とを気液接触させ、キャリアガスを加湿して排出する加湿塔と、加湿されたキャリアガスと冷却水とを気液接触させて加湿されたキャリアガスを冷却し、水分の少なくとも一部を凝縮させることにより、除湿されたキャリアガスを生成して排出する除湿塔と、加湿塔に対して被処理水を循環させる第1の循環経路と、第1の循環経路に設けられて被処理水を加温する加温手段と、加温手段とは別個に設けられ、除湿塔で発生した熱を回収して第1の循環経路を流れる被処理水に熱を与えるヒートポンプと、を有し、加湿塔から流出する水の少なくとも一部を、混入成分を含む濃縮水として排出する。
【発明の効果】
【0008】
加湿されたキャリアガスを除湿塔に導いて冷却水と気液接触させ、キャリアガス中の水分の少なくとも一部を凝縮させれば、凝縮熱が発生する。本発明によれば、第1の循環経路において被処理水を加温する加温手段とは別個に、キャリアガスにより除湿塔に持ち込まれた熱や除湿塔で発生した凝縮熱を回収して第1の循環経路を流れる被処理水に熱を与えるヒートポンプを設けることにより、系全体としての熱効率を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】キャリアガス式蒸発装置による蒸発濃縮装置の一例を示す図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態の蒸発濃縮装置を示す図である。
【
図3】第1の実施形態の蒸発濃縮装置の別の例を示す図である。
【
図4】第2の実施形態の蒸発濃縮装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。本発明に基づく蒸発濃縮装置のよりよい理解のために、最初に、キャリアガス式蒸発装置による一般的な蒸発濃縮装置について、
図1を用いて説明する。
【0011】
図1に示す蒸発濃縮装置は、大別すると、加湿塔10と、除湿塔20と、加湿塔10の側で循環する被処理水と除湿塔20の側で循環する冷却水との間で熱交換を行う熱交換器30と、を備えている。加湿塔10と除湿塔20とによってキャリアガス式蒸発装置が構成されている。加湿塔10は、キャリアガスが供給されてキャリアガスを被処理水とを気液接触させ、キャリアガスを加湿するものである。キャリアガスとしては、例えば空気や窒素などが用いられる。加湿されたキャリアガスは、加湿塔10の上部に接続した配管41を介して加湿塔10から排出される。加湿塔10には、キャリアガスに対して被処理水を噴霧する噴霧器16が設けられている。加湿塔10の内部には、気液接触を促進するための充填物を設置してもよい。また加湿塔10の内部は、特許文献5に開示されているような、バブリングカラムを必要に応じて多段に設けたような構造であっても構わない。加湿塔10の下部には被処理水を一時的に貯える貯水部11が形成され、さらに、被処理水を排出する配管12が接続している。配管12は、熱交換器30の二次側の入口に接続する。熱交換器30の二次側の出口には、被処理水を加湿塔10に循環させるための循環配管13が接続する。循環配管13には、外部から熱媒が供給されて被処理水を加温するための熱交換器15が設けられている。循環配管13の先端は上述した噴霧器16に接続している。配管12、熱交換器30の二次側、循環配管13及び熱交換器15によって、被処理水を加温しつつ加湿塔10に対して被処理水を循環させる第1の循環経路が構成されている。さらに配管12には、後述する濃縮水として被処理水を排出する配管14も接続している。そして配管12において、配管14への分岐点よりも下流側の位置に、被処理水を第1の循環経路に供給するための配管17が接続している。この蒸発濃縮装置に外部から供給される被処理水が十分に高温である場合には、加湿塔10に配管17を接続して外部からの被処理水が加湿塔10に直接供給されるようにしてもよい。
【0012】
除湿塔20は、加湿塔10から加湿されたキャリアガスが配管41を介して供給され、このキャリアガスを噴霧器26から噴霧される冷却水と気液接触させることによってキャリアガス中の水分を凝縮させるものである。水分の一部が凝縮除去されたキャリアガスは、除湿されたキャリアガスとして、除湿塔20の上部に接続した配管42を介して除湿塔20から外部に排出される。除湿塔20の内部には、気液接触を促進するための充填物を設置してもよい。また除湿塔20の内部は、特許文献6に開示されているような、バブリングカラムを必要に応じて多段に設けたような構造であっても構わない。除湿塔20の下部には冷却水を一時的に貯える貯水部21が形成され、さらに、冷却水を排出する配管22が接続している。配管22は、熱交換器30の一次側の入口に接続している。熱交換器30の一次側の出口には、冷却水を除湿塔20に循環させるための循環配管23が接続し、循環配管23の先端は上述した噴霧器26に接続している。循環配管23には、処理水として冷却水を排出する配管24も接続している。配管22、熱交換器30の一次側、及び循環配管23によって、冷却水を冷却しつつ除湿塔20に対して冷却水を循環させる第2の循環経路が構成されている。
【0013】
次に、
図1に示した蒸発濃縮装置による蒸発濃縮処理について説明する。混入成分を含む被処理水は、配管17を介して第1の循環経路に供給され、熱交換器15,30によって加温され、噴霧器16から加湿塔10内に噴霧される。加湿塔10では、キャリアガスが供給されるとともに第1の循環経路を介して加温された被処理水が噴霧されるので、キャリアガスと被処理水との気液接触により、被処理水の水分の一部が水蒸気としてキャリアガスに移行する。このようにして加湿されたキャリアガスは、配管41を介して除湿塔20に送られる。被処理水の加温及び循環と、被処理水とキャリアガスとの気液接触を継続すると、水分がキャリアガスに継続的に移行するので、第1の循環経路内を循環する被処理水中の混入成分濃度が上昇する。蒸発濃縮装置の起動時には混入成分を含まない被処理水が第1の循環経路内を循環していたとしても、混入成分を含む被処理水を配管17を介して供給することにより、蒸発濃縮装置の運転を継続するにつれて配管17からの被処理水における混入成分濃度よりも循環する被処理水中の混入成分濃度が高くなる。被処理水中の混入成分濃度が所定の値よりも高くなったら、被処理水の一部を、混入成分濃度が高められた濃縮水として配管14から外部に排出する。排出した濃縮水に対しては、必要に応じて適切な排水処理を行なえばよい。
【0014】
除湿塔20では、加湿塔10から配管41を介して加湿されたキャリアガスが供給されるとともに、第2の循環経路を介して冷却水が循環し、キャリアガスと噴霧器26から噴霧される冷却水との接触により、キャリアガス中の水分の少なくとも一部が凝縮して冷却水に移行する。水分の凝縮によりキャリアガスは除湿されたことになり、除湿されたキャリアガスは配管42を介して外部に排ガスとして排出される。配管22から排出された冷却水は熱交換器30を通過するときに被処理水に熱を与え、それによって冷却され、除湿塔20に循環することになる。冷却水の冷却及び循環と、冷却水とキャリアガスとの気液接触を継続すると、キャリアガス中の水分が冷却水に継続的に移行するので、冷却水の量が増加する。キャリアガスからの凝縮水には混入成分はほとんど含まれていないので、増大した冷却水も混入成分をほとんど含んでいないことになる。冷却水がある程度まで増加したら、冷却水の一部を、混入成分が除去された処理水として、配管14を介して外部に排出する。
【0015】
ここで
図1に示す蒸発濃縮装置における熱の移動について説明する。配管内を移動する際の伝熱等による温度変化は考えないものとする。熱交換器15の二次側の出口での被処理水の温度、すなわち噴霧器16から噴霧される被処理水の温度をT
1とする。加湿塔11において被処理水を噴霧し、被処理水中の水分の一部をキャリアガスに移行することにより、蒸発潜熱およびキャリアガスとの熱交換、配管17から供給される新たな被処理水との混合のために被処理水の温度は低下する。配管12での被処理水の温度をT
2とすると、T
1>T
2である。この被処理水は熱交換器30によって加温される。熱交換器30の二次側出口での被処理水の温度をT
3とすれば、T
1>T
3>T
2である。一方、冷却水について、熱交換器30の一次側の出口での冷却水の温度をT
4とする。温度T
4は除湿塔20でキャリアガスに対して噴霧される冷却水の温度である。除湿塔20では、キャリアガスを冷却することによってキャリアガス中の水分が凝縮するので、除湿塔20から配管22に流れ出る冷却水の温度をT
5とすれば、加湿塔10からキャリアガスが持ち込んだ顕熱と凝縮潜熱とにより、T
5>T
4となる。また、熱交換器30の一次側と二次側との間で、T
5>T
3かつT
4>T
2が成り立つ。
【0016】
図2は、本発明の第1の実施形態の蒸発濃縮装置を示している。
図1に示す蒸発濃縮装置では、加温手段である熱交換器15に対し系外から熱エネルギーを供給して被処理水を加温しているので、熱効率を向上させるためには、除湿塔20側から熱エネルギーをさらに回収し、被処理水の加温に用いればよいことになる。
図1に示す蒸発濃縮装置を検討すると、配管42を介して除湿塔20から排出される排ガスの熱エネルギーが利用されていないことがわかる。そこで
図2に示す第1の実施形態の蒸発濃縮装置では、
図1に示す装置において、排ガスから熱を回収するヒートポンプ31を設け、回収した熱で被処理水を加熱するようにしたものである。具体的には、排ガスの配管42をヒートポンプ31の低温側の入口に接続し、循環配管13を流れる被処理水が、熱交換器15で加温される前にヒートポンプ31の高温側を通過して加温されるようにしている。
【0017】
図2に示す蒸発濃縮装置では、配管42を介してヒートポンプ31の低温側に供給される排ガスは、その温度において飽和湿度のものである。この排ガスは、ヒートポンプ31を通過することによって冷却されるともに、凝縮水を発生する。凝縮水はヒートポンプ31から処理水として回収される。一方、被処理水は、ヒートポンプ31の高温側を通過することによって、温度がT
3からT
6(ただし、T
1>T
6>T
3)まで加温されることになる。
図2に示す蒸発濃縮装置では、熱交換器15は、被処理水を温度T
6からT
1まで昇温すればよいことになるから、
図1に示す装置に比べ、加温手段である熱交換器15での加熱負荷を抑えることができ、ランニングコストを低下させることができる。また、ヒートポンプ31で凝縮水を回収できるので、被処理水からの全体としての水の回収率が向上する。
【0018】
図3は、第1の実施形態の蒸発濃縮装置の別の構成を示している。
図2に示す蒸発濃縮装置において、ヒートポンプ31の低温側の出口から加湿塔10に接続する配管43を設け、ヒートポンプ31の低温側の出口から排出される排ガスをキャリアガスとして加湿塔10に循環させるようにしたものである。ヒートポンプ31の低温側の出口からの排ガスは、ヒートポンプ31において凝縮水が分離されたことから明らかなように、低温かつ水分含有量が少ない気体である。この気体を加湿塔10に戻すことによって、キャリアガスの循環使用が可能になる。
【0019】
なお、ヒートポンプ31を設けずに排ガスをキャリアガスとして使用することで、排ガスの熱エネルギーを加湿塔10側で回収することになるため、エネルギーの回収の観点で考えるとヒートポンプ31を設ける必要がなくなるが、その場合、キャリアガスがかなりの水分を含んでいるため、加湿塔10内で被処理水からキャリアガスに移行する水分量が少なくなり、全体としてみると被処理水からの水の回収率が低下する。水の回収率を上げるためには排ガスを冷却して凝縮水として回収する必要があるから、結局、ヒートポンプ31を設けることが必要となる。
【0020】
次に、本発明の第2の実施形態の蒸発濃縮装置について、
図4を用いて説明する。
図2及び
図3に示した第1の実施形態の蒸発濃縮装置は、除湿塔20の排ガスから熱を回収しているが、除湿塔20側からの熱の回収元は排ガスに限られるものではない。第2の循環経路を流れる処理水からも熱を回収することができる。
図4に示した蒸発濃縮装置では、
図1に示す蒸発濃縮装置において、第2の循環経路を流れる処理水から熱を回収するヒートポンプ32を設け、回収した熱で被処理水を加熱するようにしたものである。具体的には、熱交換器30の一次側の出口とヒートポンプ32の低温側の入口とを接続し、ヒートポンプ32の低温側の出口から処理水が循環配管23に流れ、循環配管13を流れる被処理水が、熱交換器15で加温される前にヒートポンプ31の高温側を通過して加温されるようにしたものである。この構成では、
図1に示した装置に比べ、熱交換器15の入口温度を高くすることができるので熱交換器15での加熱負荷を小さくすることができ、また、除湿塔20で噴霧される冷却水の温度を低くできるので、キャリアガスからの凝縮水の量を多くできて水の回収率が向上する。
【符号の説明】
【0021】
10 加湿塔
16,26 噴霧器
20 除湿塔
15,30 熱交換器
31,32 ヒートポンプ