(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-27
(45)【発行日】2022-07-05
(54)【発明の名称】容態変化表示装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/00 20060101AFI20220628BHJP
【FI】
A61B5/00 102E
(21)【出願番号】P 2018064841
(22)【出願日】2018-03-29
【審査請求日】2021-01-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000230962
【氏名又は名称】日本光電工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉山 貴之
(72)【発明者】
【氏名】藤沼 敏弘
(72)【発明者】
【氏名】小林 誠
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 義純
(72)【発明者】
【氏名】芳村 明彦
【審査官】高田 亜希
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-219867(JP,A)
【文献】特表2017-508532(JP,A)
【文献】特表2015-522822(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0216556(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00 - 5/01
A61G 9/00 -99/00
G06Q 50/22
G16H 10/00 -80/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と、
患者の生体情報を取得するための取得部と、
前記取得部が取得した生体情報と、患者の容態変化を判別する複数の判別方法とに基づいて、患者の容態変化を判別する判別部と、
前記複数の判別方法による各判別結果を、所定の規格化条件で規格化された表示態様で前記表示部に表示させることが可能な表示制御部と、
を備
え、
前記規格化条件は、前記患者の容態を示す複数のグループの中から前記各判別結果に対応する一のグループを特定することで、前記複数の判別方法による各判別結果を評価するための規格化テーブルである、
容態変化表示装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、
前記取得部が取得した生体情報の数値と、前記数値のトレンドを示す記号とを並べて前記表示部に表示させるとともに、
前記数値と前記記号の少なくとも一方を、前記規格化条件で規格化された表示態様で前記表示部に表示させる、
請求項1に記載の容態変化表示装置。
【請求項3】
前記判別部は、前記取得部が取得した生体情報と前記各判別方法とに基づいて、患者の容態変化に対する応対の緊急性を示す総合スコアを算出しており、
前記表示制御部は、前記総合スコアの数値を、前記規格化条件で規格化された表示態様で前記表示部に表示させる、
請求項1または請求項2に記載の容態変化表示装置。
【請求項4】
前記判別部は、複数の患者の容態変化を判別することが可能であり、
前記表示制御部は、複数の患者の各判別結果を、前記規格化条件で規格化された表示態様で前記表示部に一覧的に表示させる、
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の容態変化表示装置。
【請求項5】
前記判別部は、複数の患者の容態変化を判別することが可能であり、
前記表示制御部は、複数の患者をそれぞれ特定可能な患者特定情報を、前記表示態様毎に並べ替えた状態で前記表示部に表示させる、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の容態変化表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容態変化表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、院内の患者の容態が急変した場合、例えば、心拍数が一定値よりも低下した場合、アラームセンサが作動することにより、医療従事者に通知されていた。
【0003】
しかし、アラームセンサによって患者の容態変化を医療従事者に通知する方法では、既に病気が発症した段階で医療従事者に通知されることになるため、病気を予防することができない。病気の予防という観点からすると、容態が急変する前兆の段階で病気を察知できるのが望ましい。そのような患者の容態変化を捉える方法としては、例えば、NEWS(National Early Warning Score)、EWS(Early Warning Score)、SOFA(Sequential Organ Failure Assessment)、qSOFA(quick SOFA)、APACHE2など、複数の手法が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、患者の容態変化を判別する方法としては、例えば、EWS、SOFA、qSOFAなど、複数の判別方法が知られている。
しかしながら、各判別方法は、3段階評価、5段階評価、7段階評価等のそれぞれ独自の判別基準を採用している。このため、医療従事者が複数の判別方法を用いて患者の容態変化を総合的に判断したい場合、各判別結果を一律に扱うことはできず、各判別方法の判別基準をそれぞれ考慮して各判別結果の妥当性を検証する必要があり、医療従事者に過度の負担がかかってしまっていた。
【0006】
本発明は、患者の容態変化を判別する判別方法を複数用いる場合に医療従事者にかかる負荷を軽減することが可能な容態変化表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る容態変化表示装置は、
表示部と、
患者の生体情報を取得するための取得部と、
前記取得部が取得した生体情報と、患者の容態変化を判別する複数の判別方法とに基づいて、患者の容態変化を判別する判別部と、
前記複数の判別方法による各判別結果を、所定の規格化条件で規格化された表示態様で前記表示部に表示させることが可能な表示制御部と、
を備える。
【0008】
表示部に、複数の判別方法による各判別結果が、所定の規格化条件で規格化された表示態様で表示される。このため、医療従事者は、規格された表示態様で表示部に表示された各判別結果を確認することで、各判別結果を一律に評価することができる。
このように、上記構成によれば、医療従事者が複数の判別方法を用いて患者の容態変化を総合的に判断したい場合に医療従事者にかかる負荷を軽減することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、患者の容態変化を判別する判別方法を複数用いる場合に医療従事者にかかる負荷を軽減することが可能な容態変化表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る容態変化表示装置の機能ブロック図である。
【
図2】判別方法の一つであるNEWSの基準値を示す図である。
【
図3】判別方法の一つであるSOFAの基準値を示す図である。
【
図4】判別方法の一つであるqSOFAの基準値を示す図である。
【
図5A】判別方法の一つであるAPACHE2における基準値を示す図である。
【
図5B】判別方法の一つであるAPACHE2における基準値を示す図である。
【
図6】各判別方法における規格化テーブルを示す図である。
【
図7】各判別方法を構成するパラメータを規格化するための規格化テーブルを示す図である。
【
図8】患者の容態変化を表示する画面に関する図である。
【
図9】ある時点における患者の容態変化を表示する画面に関する図である。
【
図10】色グループごとに患者を並べた状態の画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態の一例について図面を参照しながら説明する。
【0012】
図1は、本実施形態に係る容態変化表示装置1の機能ブロック図を示している。
図1に示すように、容態変化表示装置1は、制御部2と、入力操作部3と、取得部4と、記憶部5と、表示部7と、備える。これらはバス9を介して互いに通信可能に接続されている。
【0013】
制御部2は、判別部6と、表示制御部8と、を含む。また、制御部2は、ハードウェア構成として、メモリと、プロセッサと、を備えている。メモリは、例えば、各種プログラム等が格納されたROM(Read Only Memory)やプロセッサにより実行される各種プログラム等が格納される複数ワークエリアを有するRAM(Random Access Memory)等から構成される。プロセッサは、例えばCPU(Central Processing Unit)であって、ROMに組み込まれた各種プログラムから指定されたプログラムをRAM上に展開し、RAMとの協働で各種処理を実行するように構成されている。例えば、制御部2は、RAMとの協働でプログラムを実行することで、判別部6又は表示制御部8の処理を実現するよう制御する。また、制御部2は、取得部4を介して取得した生体情報が、判別部6で処理されることを可能にするよう制御する。
【0014】
入力操作部3は、容態変化表示装置1を操作する医療従事者の入力操作を受け付けると共に、当該入力操作に対応する指示信号を生成するように構成されている。入力操作部3は、例えば、表示部7上に重ねて配置されたタッチパネル、筐体に取り付けられた操作ボタン、イベントスイッチ等である。入力操作部3は、生体情報の取得を開始するための入力操作や、表示部7の画面を切り換えるための入力操作等を受け付けて、当該入力操作に対応する操作信号を生成する。生成された指示信号は、バス9を介して制御部2に送信される。制御部2は、指示信号に基づいて、容態変化表示装置1の動作を制御するように構成されている。
【0015】
取得部4は、患者の生体情報を取得可能に構成されている。取得部4は、例えば、患者に装着される複数の電極やカフ等が接続されるインターフェースである。生体情報としては、例えば、呼吸数、血圧、体温、心拍数等である。尚、本明細書では、数値化可能な生体情報を、測定値と呼ぶことがある。
【0016】
また、取得部4は、入力操作部3に入力された内容から、生体情報を取得することもできる。例えば、医療従事者は、患者の意識がないことを確認したとき、患者の意識がないことを示す情報を入力操作部3に入力する。入力操作部3は、入力された情報を取得部4に送信する。
【0017】
記憶部5は、患者の容態変化を判別する判別方法、容態変化判別方法に関する医療ガイドライン等で定められた基準値や許容範囲、各判別結果を規格化するための規格化テーブル(規格化条件の一例)を記憶するためのメモリを有している。容態変化判別方法としては、例えば、NEWS、SOFA、qSOFA、APACHE2(Acute Physiology and Chronic Health Evaluation 2)、BSAS(Bedside Shivering Assessment Scale)、NIHSS(National Institutes of Health Stroke Scale)等である。
【0018】
図2は、判別方法の一つであるNEWSの基準値を示す図である。NEWSは、敗血症の判別方法である。
図2に示すように、NEWSで用いられる評価項目(パラメータ)は、呼吸数、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO
2)、酸素補助、体温、収縮期血圧、心拍数、意識レベルである。NEWSを用いて敗血症の判別を行う場合、例えば、取得部4により取得された一分間当たりの呼吸数が8回以下又は25回以上のとき、呼吸数に関するスコアは3である。当該呼吸数が21回以上24回以下の場合、呼吸数に関するスコアは2である。当該呼吸数が9回以上11回以下の場合、呼吸数に関するスコアは1である。当該呼吸数が12回以上20回以下の場合、呼吸数に関するスコアは0である。残りのパラメータについても、医療ガイドライン等で定められた基準値等に基づいてスコアが算出される。算出されたスコアは合算される。本明細書では、この合計スコアを総合スコアAと呼ぶ。
【0019】
図3は、判別方法の一つであるSOFAの基準値を示す図である。SOFAは、敗血症の判別方法である。SOFAは、特に臓器障害があるか否かを判別する際に用いられる。SOFAで用いられる評価項目(パラメータ)は、意識、呼吸、循環、血漿ビリルビン値、血漿クレアチニン値、凝固血小板数である。例えば、取得部4により取得された凝固血小板数が20未満のとき、凝固血小板数に関するスコアは4である。当該凝固血小板数が20以上50未満の場合、凝固血小板数に関するスコアは3である。当該凝固血小板数が50以上100未満の場合、凝固血小板数に関するスコアは2である。当該凝固血小板数が100以上150未満の場合、凝固血小板数に関するスコアは1である。当該凝固血小板数が150以上の場合、凝固血小板数に関するスコアは0である。残りの項目についても、医療ガイドライン等で定められた基準値等に基づいてスコアが算出される。算出されたスコアは合算される。本明細書では、この合計スコアを総合スコアBと呼ぶ。
【0020】
図4は、判別方法の一つであるqSOFAの基準値を示す図である。qSOFAは、敗血症の判別方法である。qSOFAは、特に感染症に罹患しているか否かを判別する際に用いられる。
図4に示すように、qSOFAで用いられる評価項目(パラメータ)は、呼吸数、収縮期血圧、意識である。例えば、取得部4により取得された一分間当たりの呼吸数が22回以上のとき、呼吸数に関するスコアは1である。これに該当しない場合のスコアは0である。また、取得部4により取得された収取期血圧が100mmHg以下のとき、収縮期血圧に関するスコアは1である。これに該当しない場合のスコアは0である。さらに、患者の意識がない場合、意識に関するスコアは1である。一方、患者の意識がある場合、意識に関するスコアは0である。算出されたスコアは合算される。本明細書では、この合計スコアを総合スコアCと呼ぶ。
【0021】
図5A及び
図5Bは、判別方法の一つであるAPACHE2の基準値を示す図である。APACHE2は、患者の重症度評価の判別方法である。
図5Aに示すように、APACHE2で用いられる評価項目(パラメータ)は、体温、平均血圧、心拍数、呼吸数、酸素化、動脈血PH、血清Na、血清K、血漿Cre、ヘマトクリット(Ht)、白血球数(WBC)、グラスゴー・コーマ・スケール(GCS)である。例えば、取得部4により取得された平均血圧が160以上又は49以下の場合、平均血圧に関するスコアは4である。当該平均血圧が130以上159以下の場合、平均血圧に関するスコアは3である。当該平均血圧が110以上129以下、又は50以上69以下の場合、平均血圧に関するスコアは2である。当該平均血圧が70以上109以下の場合、平均血圧に関するスコアは0である。残りの項目についても、医療ガイドライン等で定められた基準値等に基づいてスコアが算出される。算出されたスコアは合算される。本明細書では、この合計値を合計値Xと呼ぶ。
【0022】
図5Bに示すように、APACHE2を用いる場合、合計値Xに年齢ポイントと慢性病態ポイントを加算する。例えば、患者が45歳で、かつ緊急手術後の患者である場合、年齢ポイントとして2点、慢性病態ポイントとして5点が、それぞれ合計値Xに加算される。本明細書では、この値をアパッチスコアと呼ぶ。判別部6は、アパッチスコアに基づき、所定の計算を行うことで、重症度死亡率を算出する。
【0023】
尚、本明細書中では、総合スコアA、総合スコアB、総合スコアC、重症度死亡率のように、取得部4により取得された生体情報と記憶部5に記憶された各判別方法に基づいて、判別部6が算出する値やパーセント等を、総合スコアと呼ぶ。
【0024】
このように、例えば、敗血症に関する判別方法であっても、判別方法ごとに、基準値や総合スコアの値の医学的意味が異なっている。
【0025】
図6は、各判別方法における規格化テーブルPを示す図である。規格化テーブルPは、各判別方法ごとに、患者の容態レベルを四つの色グループに分類して表示させるためのテーブルである。本実施例における四つの色グループは、白色グループ、緑色グループ、オレンジ色グループ、赤色グループである。白色グループは、患者が正常状態であるという容態レベルに対応している。赤色グループは、患者が異常状態であり、危険な状態であるという容態レベルに対応している。オレンジ色グループは、赤色グループの患者ほどではないものの、患者が正常状態ではないという容態レベルに対応している。緑色グループは、オレンジ色グループの患者ほどではないものの、患者が正常状態ではないという容態レベルに対応している。つまり、白色グループ以外の患者の容態レベルは、緑色グループ、オレンジ色グループ、赤色グループの順で悪い。尚、ここで示した色グループの分類は一例に過ぎない。色グループの分類は、この例に限られないことは勿論である。
【0026】
例えば、NEWSについては、総合スコアAが0のとき、色グループは白色グループに分類される。総合スコアAが1以上4以下のとき、色グループは緑色グループに分類される。総合スコアAが5以上6以下、又はNEWSにおける評価項目の少なくとも一つがスコア3であるとき、色グループはオレンジ色グループに分類される。総合スコアAが7以上のとき、色グループは赤色グループに分類される。
【0027】
SOFAについては、総合スコアBが0のとき、色グループは白色グループに分類される。総合スコアBが1のとき、色グループはオレンジ色グループに分類される。総合スコアBが2以上のとき、色グループは赤色グループに分類される。
【0028】
qSOFAについては、総合スコアCが0のとき、色グループは白色グループに分類される。総合スコアCが1のとき、色グループはオレンジ色グループに分類される。総合スコアCが2以上のとき、色グループは赤色グループに分類される。
【0029】
APACHE2については、重症度死亡率が0%のとき、色グループは白色グループに分類される。重症度死亡率が1%よりも大きいが50%以下のとき、色グループは緑色グループに分類される。重症度死亡率が50%よりも大きいが75%以下のとき、色グループはオレンジ色グループに分類される。重症度死亡率が75%より大きいとき、色グループは赤色グループに分類される。
【0030】
図7は、各判別方法を構成するパラメータを規格化するための規格化テーブルQを示す図である。
図7に示すように、例えば、一分間当たりの呼吸数が12回以上20回以下のとき、色グループは白色グループに分類される。当該呼吸数が9回以上11回以下のとき、色グループは緑色グループに分類される。当該呼吸数が21回以上24回以下のとき、色グループはオレンジ色グループに分類される。当該呼吸数が8回以下又は25回以上のとき、色グループは赤色グループに分類される。
【0031】
図7に示すように、酸素補助については、酸素補助が必要な場合、色グループはオレンジ色グループに分類され、必要がない場合には、白色グループに分類される。また、尿量については、一日あたりの尿量が500mL以上のとき、色グループは白色グループに分類される。一日あたりの尿量が200mL以上500mL未満のとき、色グループはオレンジ色グループに分類される。一日あたりの尿量が200mL未満のとき、色グループは赤色グループに分類される。なお、その他のパラメータについては、四つの段階に分類され、各段階に一つずつ色グループが紐付いている。
【0032】
図1に戻って容態変化表示装置1の構成を説明する。判別部6は、取得部4が取得した生体情報と、記憶部5に記憶された判別方法とに基づいて、患者の容態変化を判別するように構成されている。例えば、ある患者が敗血病であるか否かを判別するために、NEWSとSOFAが用いられる場合、判別部6は、取得部4が取得した生体情報と記憶部5に記憶されたNEWSとSOFAの基準値に基づき、総合スコアAと総合スコアBを算出する。判別部6は、総合スコアAと総合スコアBを、記憶部5に記憶された規格化テーブルPに基づき、上述した四つの色グループのいずれに該当するのかを判別し、分類する。
【0033】
また、判別部6は、ある時点における測定値又は総合スコアが、直前の測定値又は総合スコアと比べて、上昇又は下降しているかどうか、又は変化していないかどうか(トレンド)についても判別可能である。判別部6は、当該判別結果に基づき、トレンド情報信号を生成する。当該信号は、制御部2に送信される。
【0034】
表示部7は、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等のディスプレイであって、判別部6による判別結果が表示されるように構成されている。
【0035】
表示制御部8は、表示部7に対し、判別部6による判別結果を、記憶部5に記憶された規格化テーブルP又は規格化テーブルQに基づき規格化された表示態様で表示するように制御可能である。本実施例における規格化の方法は、所定の箇所に色を付す方法である。
【0036】
表示制御部8は、判別部6から受信したトレンド情報信号に基づいて、表示部7に対し、ある時点における測定値又は総合スコアが、直前の測定値又は総合スコアと比べて、上昇又は下降しているかどうか、又は変化していないかどうかを示す記号を表示するよう制御する。
【0037】
表示制御部8は、表示部7に対し、判別部6が判別した色グループに基づき、当該記号に色を付すよう制御してもよい。
【0038】
図8は、患者の容態変化を表示する画面に関する図である。
図8に示すように、表示部7には、患者の容態変化が、規格化、すなわち色付けされた表示態様で表示される。尚、
図8から
図10に示す実施態様では、色の代わりにハッチングが付されている。白色グループに対応するハッチングは、無地である。緑色グループに対応するハッチングは、左上から右下に傾斜する斜線である。オレンジ色グループに対応するハッチングは、横線である。赤色グループに対応するハッチングは、縦線である。
図8に示す画面は、四つの区画に区切られている。各区画には、各患者に関する情報が表示される。
図8に示す画面例では、四名の患者の容態変化が一覧的に確認できる。
【0039】
各区画の上部中央には、患者名が表示されている。患者名の左側には、患者に対応した識別番号が表示されている。識別番号の左側には、患者に対応した部屋番号が表示されている。尚、本明細書では、患者名、識別番号、部屋番号を含む情報を患者特定情報と呼ぶことがある。部屋番号には、最新の時点(2017年7月10日10:00)における総合スコア又は数値に基づいて分類される色グループに対応する色が付される。部屋番号の下方には、医療従事者によって任意に選択された各判別方法名又はパラメータ名が表示されている。各判別方法名又はパラメータ名の右側には、各判別方法又はパラメータに対応する判別結果が表示されている。当該判別結果は時系列で表示されている。当該判別結果は、縦棒グラフ又は横棒グラフで表示されている。当該判別結果は、判別方法又はパラメータに対応する総合スコア又は測定値に基づき、規格化、すなわち色付けされる。このため、判別結果は視覚的に区別される。
【0040】
光電太郎に着目して、
図8に示す画面について詳細に説明する。光電太郎に関する情報は、左上の区画に表示されている。当該区画には、NEWS、SOFA、ラクテートに関する情報が、横棒グラフで表示されている。NEWSに関する横棒グラフに着目する。例えば、2017年7月10日4:00から同日5:40までの光電太郎のNEWSの総合スコアが0のとき、判別部6は、当該時間帯での光電太郎のNEWSの総合スコアを、白色グループに分類する。したがって、当該時間帯における横棒グラフには白色が付される。同日5:40から7:20までの光電太郎のNEWSの総合スコアが1~4のとき、判別部6は、当該時間帯での光電太郎のNEWSの総合スコアを、緑色グループに分類する。したがって、当該時間帯における横棒グラフには緑色が付される。同日7:20以降の光電太郎のNEWSの総合スコアが5~6のとき、判別部6は、当該時間帯での光電太郎のNEWSの総合スコアを、オレンジ色グループに分類する。したがって、当該時間帯における横棒グラフにはオレンジ色が付される。
【0041】
SOFAに関する横棒グラフに着目する。例えば、2017年7月10日4:00から同日6:40までの光電太郎のSOFAの総合スコアが0のとき、判別部6は、当該時間帯での光電太郎のSOFAの総合スコアを、白色グループに分類する。同日6:40以降の光電太郎のSOFAの総合スコアが1のとき、判別部6は、当該時間帯での光電太郎のNEWSの総合スコアを、オレンジ色グループに分類する。
【0042】
ラクテートに関する横棒グラフに着目する。例えば、2017年7月10日4:00から同日4:40までの光電太郎のラクテートの数値が1mmol/l未満のとき、判別部6は、当該時間帯での光電太郎のラクテートの数値を、白色グループに分類する。同日4:40から7:00までの光電太郎のラクテートの数値が1mmol/lのとき、判別部6は、当該時間帯での光電太郎のラクテートの数値を、緑色グループに分類する。同日7:00以降の光電太郎のラクテートの数値が2mmol/l~4mmol/lのとき、判別部6は、当該時間帯での光電太郎のラクテートの数値を、オレンジ色グループに分類する。
【0043】
次に、光電三郎に着目して、
図8に示す画面について詳細に説明する。光電三郎に関する情報は、左下の区画に表示されている。当該区画には、NEWSに関する情報が、縦棒グラフと横棒グラフで表示されている。横棒グラフは縦棒グラフの上に位置する。縦棒グラフに示すように、2017年7月10日4:00から同日5:20までの光電三郎のNEWSの総合スコアは1~4で推移している。このため、判別部6は、当該時間帯での光電三郎のNEWSの総合スコアを、緑色グループに分類する。したがって、当該時間帯における縦棒グラフと横棒グラフには、緑色が付される。同日5:20から8:40までの光電三郎のNEWSの総合スコアは5~6で推移している。このため、判別部6は、当該時間帯での光電三郎のNEWSの総合スコアを、オレンジ色グループに分類する。したがって、当該時間帯における縦棒グラフと横棒グラフには、オレンジ色が付される。同日8:40から9:00までの光電三郎のNEWSの総合スコアは7である。このため、判別部6は、当該時間帯での光電三郎のNEWSの総合スコアを、赤色グループに分類する。したがって、当該時間帯における縦棒グラフと横棒グラフには、赤色が付される。同日9:00から9:20までの光電三郎のNEWSの総合スコアは6である。このため、判別部6は、当該時間帯での光電三郎のNEWSの総合スコアを、オレンジ色グループに分類する。同日9:20以降の光電三郎のNEWSの総合スコアは7である。このため、判別部6は、当該時間帯での光電三郎のNEWSの総合スコアを、赤色グループに分類する。
【0044】
また、表示制御部8は、表示部7に対し、最新の時点(2017年7月10日10:00)における総合スコア又は測定値に係る色グループのうち、最も患者の容態レベルが悪いことを示す色グループに対応する色が付された部屋番号を表示するよう制御する。光電久美子を例にとって説明すると、最新の時点における、光電久美子の総合スコア又は測定値が属する色グループは、緑色グループと赤色グループである。赤色グループの方が緑色グループよりも患者の容態レベルは悪いので、光電久美子の部屋番号は、赤色グループに対応する色、すなわち赤色が付された状態で表示部7に表示される。
【0045】
光電太郎の区画には、判別方法(NEWS、SOFA)と、パラメータ(ラクテート)に関する情報が表示されているが、光電四郎の区画における表示態様のように、判別方法のみが表示されてもよい。
【0046】
図9は、ある時点における患者の容態変化を表示する画面に関する図である。
図9に示す画面は、四つの区画に区切られている。各区画には、各患者に関する情報が表示される。このため、
図9に示す画面例では、四名の患者の容態変化が一覧的に確認できる。
【0047】
図9に示すように、表示部7には、判別方法名又はパラメータ名と、現時点で得られている最新の総合スコア又は測定値と、総合スコア又は測定値の上昇若しくは下降、又は変化がないことを示す記号と、が表示されている。各区画の上部中央には、患者名が表示されている。患者名の左側には、患者に対応した識別番号が表示されている。識別番号の左側には、患者に対応した部屋番号が表示されている。部屋番号には、総合スコア又は数値に基づいて分類された色グループに対応する色が付される。各区画の上下方向中央には、医療従事者によって任意に選択された各判別方法名又はパラメータ名が表示されている。各判別方法名又はパラメータ名の下方には、各判別方法又はパラメータに対応する、総合スコア又は数値が表示されている。総合スコア又は数値には、総合スコア又は数値に基づいて分類された色グループに対応する色が付される。総合スコア又は数値の右側には、矢印形の記号(矢印記号とも呼ぶ。)が表示されている。
【0048】
総合スコア又は測定値は、上述した色グループに応じて色付けされる。このため、総合スコア又は測定値は視覚的に区別される。
【0049】
矢印記号について説明する。上向きの矢印記号は、現時点で得られている最新の総合スコア又は測定値が、当該時点に対して直前の総合スコア又は測定値よりも高いことを示している。反対に、下向きの矢印記号は、現時点で得られている最新の総合スコア又は測定値が、当該時点に対して直前の総合スコア又は測定値よりも低いことを示している。また、横向きの矢印記号は、現時点で得られている最新の総合スコア又は測定値が、当該時点に対して直前の総合スコア又は測定値と等しいことを示している。
【0050】
光電太郎に着目して、
図9に示す画面について詳細に説明する。光電太郎に関する区画は、左上の区画である。
図9に示す例では、光電太郎のNEWSの総合スコアは6である。この場合、判別部6は、当該NEWSの総合スコアをオレンジ色グループに分類する。光電太郎の呼吸に関する測定値は290であるため、判別部6は、当該測定値をオレンジ色グループに分類する。光電太郎の最高血圧に関する測定値は120mmHgであるため、判別部6は、当該測定値を白色グループに分類する。
【0051】
次に、光電太郎に着目して、矢印記号について詳細に説明する。例えば、現時点に対して直前の光電太郎のNEWSの総合スコアが5である場合、現時点における光電太郎のNEWSの総合スコアは直前の総合スコアよりも高い。このため、判別部6は、光電太郎のNEWSの総合スコアは上昇したと判別する。判別部6は、当該判別結果に基づいて生成された信号を制御部2に送信する。当該信号は、光電太郎のNEWSの総合スコアが上昇したことを示す信号であるため、制御部2の一部である表示制御部8は、表示部7に対し、上向きの矢印記号を表示させるよう制御する。
【0052】
例えば、現時点に対して直前の光電太郎の呼吸が300である場合、現時点における光電太郎の呼吸は直前の数値よりも低い。このため、判別部6は、光電太郎の呼吸は下降したと判別する。判別部6は、当該判別結果に基づいて生成された信号を制御部2に送信する。この場合、当該信号は、光電太郎の呼吸が下降したことを示す信号であるため、制御部2の一部である表示制御部8は、表示部7に対し、下向きの矢印記号を表示させるよう制御する。
【0053】
例えば、現時点に対して直前の光電太郎の最高血圧が120mmHgである場合、現時点における光電太郎の最高血圧は、直前の最高血圧と等しい。このため、判別部6は、光電太郎の最高血圧は変化していないと判別する。判別部6は、当該判別結果に基づいて生成された信号を制御部2に送信する。この場合、当該信号は、光電太郎の最高血圧は変化していないことを示す信号であるため、制御部2の一部である表示制御部8は、表示部7に対し、横向きの矢印記号を表示させるよう制御する。
【0054】
また、表示制御部8は、表示部7に対し、総合スコア又は測定値に係る色グループのうち、最も患者の容態が悪いことを示す色グループに基づいて色付けされた部屋番号を表示するよう制御する。光電太郎を例にとって説明すると、現時点における光電太郎の総合スコア又は測定値が属する色グループは、白色グループとオレンジ色グループである。オレンジ色グループの方が白色グループよりも患者の容態レベルは悪いので、光電太郎の部屋番号は、オレンジ色グループに対応する色、すなわちオレンジ色が付された状態で表示部7に表示される。
【0055】
図8及び
図9に示す画面には、四人の患者に関する情報が一つの画面に表示されているが、この例に限られない。例えば、一人の患者に関する情報のみ、一つの画面に表示されてもよい。
【0056】
図8及び
図9に示す画面は、横2列、縦2行に区分されているがこの例に限られない。例えば、横1列、縦4行に区分されてもよい。また、表示部7の表示態様は、表示制御部8によって、表示部分の大きさ等に基づき、適宜変更されるように構成されてもよい。
【0057】
図10は、色グループごとに患者を並べた状態の画面を示す図である。
図10に示す画面には、複数の患者名と、各患者に対応した複数の識別番号と、各患者に対応した複数の部屋番号と、が表示されている。当該画面において表示される複数の患者は、ある特定の判別方法又はパラメータに基づいて容態を判別された患者である。患者名は、当該画面の左右方向における略中央に表示されている。患者名の左側には、患者の識別番号が表示されている。患者の識別番号の左側には、患者に対応する部屋番号が表示されている。部屋番号は、当該特定の判別方法又はパラメータによって判別部6が分類した色グループに基づき、色付けされる。本実施例では、容態が悪い患者順に、上から下へ患者特定情報が並んでいる。
【0058】
表示部7の画面を切り換えるための入力操作が入力操作部3に入力されると、操作信号が制御部2に送信される。制御部2の一部である表示制御部8は、表示部7に対し、当該操作信号に基づき、
図8から
図10に示す画面を相互に切り替えるよう制御する。
【0059】
上記構成によれば、表示部7に、複数の判別方法による各判別結果が、判別部6によって分類された色グループに基づき色づけされて表示される。このため、医療従事者は、表示部7に表示された各判別結果を一見するだけで、各判別結果を迅速にかつ一律に評価することができる。このように、上記構成によれば、医療従事者が複数の判別方法を用いて患者の容態変化を総合的に判断したい場合に医療従事者にかかる負荷を軽減することができる。
【0060】
また、上記構成によれば、各判別方法のパラメータである生体情報のトレンド(傾向)を一律に把握しつつ評価することができる。
【0061】
また、上記構成によれば、医療従事者は、総合スコアの数値とその表示態様を確認することで、患者の応対の緊急性を定量的かつ定性的に把握することができる。
【0062】
また、上記構成によれば、医療従事者は、複数の患者の容態変化を規格化された表示態様にて一覧的に確認することができる。
【0063】
上記構成によれば、医療従事者は、優先的に対応すべき患者を容易に把握することができる。
【0064】
図8から
図10に示す画面は、例えば、表示部7とは別の装置(パソコンや移動通信端末等)のディスプレイに表示されてもよい。
【0065】
本実施例では、視覚的に区別するための方法としては、色を付す方法を用いて説明したが、この例に限られない。例えば、任意のハッチングを付すことによって、視覚的に区別する方法を用いてもよい。
【0066】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されず、適宜、変形、改良等が自在である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数値、形態、数、配置場所等は、本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【符号の説明】
【0067】
1:容態変化表示装置、2:制御部、3:入力操作部、4:取得部、5:記憶部、6:判別部、7:表示部、8:表示制御部、9:バス