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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-27
(45)【発行日】2022-07-05
(54)【発明の名称】車両搭載用路面高さ計測装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/30 20060101AFI20220628BHJP
【FI】
G01B11/30 W
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018153645
(22)【出願日】2018-08-17
(65)【公開番号】P2020027086
(43)【公開日】2020-02-20
【審査請求日】2021-07-16
(73)【特許権者】
【識別番号】501497264
【氏名又は名称】西日本高速道路エンジニアリング四国株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松田 靖博
(72)【発明者】
【氏名】橋本 和明
(72)【発明者】
【氏名】橋爪 謙治
【審査官】櫻井 仁
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-170809(JP,A)
【文献】特開平11-223525(JP,A)
【文献】特開2006-214854(JP,A)
【文献】特開昭62-215816(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0076871(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
G01B 21/00
G01C 3/06
G01C 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に取り付けられ、前記路面に対して水平な方向あるいは略水平な方向に向けて、前記路面の横断方向に拡がるスリット光を投光するスリット光投光部と、
前記車両に取り付けられ、前記スリット光投光部から投光されたスリット光を下方に反射させて、前記路面の横断方向に拡がるスリット光を、前記路面に照射する第1のミラーと、
前記第1のミラーの取り付け位置に対して前記車両の後方あるいは前方に取り付けられ、前記路面に照射されたスリット光の像を映す第2のミラーと、
前記車両に取り付けられ、前記第2のミラーに映されたスリット光の像を、前記路面に対して水平な方向あるいは略水平な方向から撮影する撮影部と備えた車両搭載用路面高さ計測装置。
【請求項2】
前記車両のルーフに装着されるフレームを備え、
前記スリット光投光部と前記第1のミラーと前記第2のミラーと前記撮影部は、前記フレームの外枠内に収まるように当該フレームに取り付けられている請求項1に記載の車両搭載用路面高さ計測装置。
【請求項3】
前記フレームは、前記車両のルーフキャリアに装着される請求項1または2に記載の車両搭載用路面高さ計測装置。
【請求項4】
前記スリット光投光部は、前記車両の後方に向けてスリット光を投光するように前記車両に取り付けられ、
前記第1のミラーは、スリット光を、前記路面に対して垂直に上方から照射するように前記車両に取り付けられ、
前記第2のミラーは、 前記第1のミラーの取り付け位置に対して前記車両の後方に位置するように前記車両に取り付けられ、
前記撮影部は、前記第2のミラーの取り付け位置に対して前記車両の前方に位置するように前記車両に取り付けられている請求項1から3のいずれか一項に記載の車両搭載用路面高さ計測装置。
【請求項5】
前記フレームの高位置および低位置のうちいずれか一方の位置に、前記スリット光投光部と前記第1のミラーの組が取り付けられ、記フレームの高位置および低位置の他方の位置に、前記第2のミラーと前記撮影部の組が取り付けられている請求項1から4のいずれか一項に記載の車両搭載用路面高さ計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載され、光切断法により前記車両が走行する路面の各部の高さを計測するための車両搭載用路面高さ計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両に搭載された路面高さ計測装置によって路面の各部の高さを計測することが実施されている。この種の車両搭載用路面高さ計測装置では、光切断法によって路面各部の高さが計測される。
【0003】
本出願人は、特開2015-49086号(特許文献1)に、車両搭載用路面高さ計測装置を開示している。
【0004】
この特許文献1に示される車両搭載用路面高さ計測装置を図10図11に示す。図10は車両の側面図で、図11は車両の背面図である。
【0005】
図10図11に示すように、車両1´´が走行中に、車両1´´の後部にあって車体の幅方向の左右の作業腕10、11にそれぞれ取り付けられたスリット光投光部100、110から、測定対象である路面に対して垂直にスリットレーザ100a、110aを投光する。これにより路面上には、スリットレーザ100a、110aの照射によって、路面の横断方向に平行な光切断線としての線状のマーカ112が形成される。2台のスリット光投光部100、110によって、路面の横断方向に沿って、所定の幅の光切断線としての線状のマーカ112の照射範囲が確保される。
【0006】
一方で、車両1´´の後部のスリット光投光部100、110の取り付け位置よりも更に後方にあって車体の幅方向の左右それぞれには、エリアカメラで構成される撮影部101、111が取り付けられている。車両1´´が走行中に、左右の撮影部101、111によって、光切断線としての線状のマーカ112を撮影する。左右の撮影部101、111はそれぞれ、撮影範囲101a、111aをもって測定対象である光切断線としての線状のマーカ112の左側、右側を撮影する。2台の撮影部101、111によって、路面の横断方向に沿って、所定の幅の撮影範囲が確保される。
【0007】
路面上に生じた光切断線としての線状のマーカ112は、測定対象である路面の高さに応じて位置が水平方向(路面の縦断方向)に変位するという特性を有している。したがって、撮影画像内の光切断線としての線状のマーカ112の変位プロファイルに基づいて、光切断線としての線状のマーカ112に対応する路面横断方向の高さ分布を算出することができる。車両1´´を走行させつつ測定対象である路面の縦断方向位置を少しずつ動かしながら光切断線としての線状のマーカ112の変位プロファイルを繰り返し測定することで、測定対象である路面内の高さ分布を得ることができる。
【0008】
特許第5823021号(特許文献2)には、モービルマッピングシステムに関して、複数のレーザスキャナと、複数のカメラを、車両のルーフ上に取り付けるという構成が示されている。カメラの撮影方向およびレーザの発振方向が水平方向に向かうようにカメラおよびレーザスキャナがルーフ上に取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2015-49086号公報
【文献】特許第5823021号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献1(特開2015-49086号)に示されるように、車両1´´の後部には、所定の幅の光切断線としての線状のマーカ112の照射範囲を確保するために、スリット光投光部100、110が複数台(2台)取り付けられている。また、路面の横断方向に沿って、所定の幅の撮影範囲を確保するために、撮影部101、111が複数台(2台)取り付けられている。
【0011】
図8図9は、一台のスリット光投光部100および一台の撮影部101によって路面高さ計測装置を構成した場合を示す。図8は車両の側面図で、図9は車両の背面図である。
【0012】
図8図9に示すように、一台のスリット光投光部100だけで、路面の横断方向に沿って、幅Dの光切断線としての線状のマーカ112を確保するためには、一台のスリット光投光部100を、車両1´のルーフ上の高い位置に取り付けざるを得ない。同様に一台の撮影部101だけで、路面の横断方向に沿って、幅DLの撮影範囲を確保するためには、一台の撮影部101を、車両1´のルーフ上の高い位置に取り付けざるを得ない。
【0013】
これは、スリットレーザの拡がり角(発散角)を同じとすると、一台のスリット光投光部だけで、路面の横断方向に沿って、同じ幅の光切断線としての線状のマーカ112を確保するためには、一台のスリット光投光部を、車両上のより高い位置に取り付けざるを得ないからである。同様に、撮影部(カメラ)のレンズの画角を同じとすると、一台の撮影部だけで、路面の横断方向に沿って、同じ幅の撮影範囲を確保するためには、一台の撮影部を、車両上のより高い位置に取り付けざるを得ないからである。
【0014】
撮影部(カメラ)のレンズの画角を広角にし、スリットレーザの拡がり角(発散角)を広角にしたならば、車両上の低い位置に、一台の撮影部および一台のスリット光投光部を取り付けて必要となる撮影範囲、レーザ照射範囲を確保することは可能である。
【0015】
しかし、撮影部(カメラ)のレンズの画角を広角にすると、像の歪みや、周辺光量の低下というデメリットがある。またスリットレーザの拡がり角(発散角)を広角にすると、レーザ端部の路面への入射角が浅くなり、反射光が弱くなるデメリットがある。
【0016】
スリット光投光部100、撮影部101を、車両1´のルーフ上の低位置に取り付けることができないと、車両搭載の自由度が制限される。また車両1´のルーフ上で、スリット光投光部100、撮影部101を支持するためのフレーム90の高さが高くなり、フレーム90の場積が大きくなるという問題が生じる。これにより車両1´の走行に支障を来すおそれが生じる。
【0017】
本発明は、こうした事情に鑑みなされたものであり、路面高さ計測装置を構成するスリット光投光部、撮影部を、車両のルーフ上の低位置に取り付けることができるようにして、車両搭載の自由度を向上させることを課題とする。また車両のルーフ上で、スリット光投光部、撮影部を支持するためのフレームの高さを低くし、フレームの場積を小さくすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
第1発明は、車両に取り付けられ、前記路面に対して水平な方向あるいは略水平な方向に向けて、前記路面の横断方向に拡がるスリット光を投光するスリット光投光部と、前記車両に取り付けられ、前記スリット光投光部から投光されたスリット光を下方に反射させて、前記路面の横断方向に拡がるスリット光を、前記路面に照射する第1のミラーと、前記第1のミラーの取り付け位置に対して前記車両の後方あるいは前方に取り付けられ、前記路面に照射されたスリット光の像を映す第2のミラーと、前記車両に取り付けられ、前記第2のミラーに映されたスリット光の像を、前記路面に対して水平な方向あるいは略水平な方向から撮影する撮影部と備えた車両搭載用路面高さ計測装置であることを特徴とする。
【0019】
第2発明は、第1発明において、前記車両のルーフに装着されるフレームを備え、前記スリット光投光部と前記第1のミラーと前記第2のミラーと前記撮影部は、前記フレームの外枠内に収まるように当該フレームに取り付けられていることを特徴とする。
【0020】
第3発明は、第1発明または第2発明において、前記フレームは、前記車両のルーフキャリアに装着されることを特徴とする。
【0021】
第4発明は、第1発明から第3発明のいずれかにおいて、前記スリット光投光部は、前記車両の後方に向けてスリット光を投光するように前記車両に取り付けられ、前記第1のミラーは、スリット光を、前記路面に対して垂直に上方から照射するように前記車両に取り付けられ、前記第2のミラーは、 前記第1のミラーの取り付け位置に対して前記車両の後方に位置するように前記車両に取り付けられ、前記撮影部は、前記第2のミラーの取り付け位置に対して前記車両の前方に位置するように前記車両に取り付けられていることを特徴とする。
【0022】
第5発明は、第1発明から第4発明のいずれかにおいて、前記フレームの高位置および低位置のうちいずれか一方の位置に、前記スリット光投光部と前記第1のミラーの組が取り付けられ、前記フレームの高位置および低位置の他方の位置に、前記第2のミラーと前記撮影部の組が取り付けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、一台のスリット光投光部を、車両のルーフ上の低位置に取り付けることができる。しかも従来技術と同じ幅の光切断線としての線状のマーカの照射範囲を確保することができる。同様に一台の撮影部を、車両1のルーフ上の低位置に取り付けることができる。しかも従来技術と同じ幅の撮影範囲を確保することができる。
【0024】
スリット光投光部、撮影部を、車両のルーフ上の低位置に取り付けることができるために、車両搭載の自由度が格段に向上する。
【0025】
車両のルーフ上で、スリット光投光部、撮影部を支持するためのフレームの高さを低くでき、フレームの場積を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は、実施形態の車両搭載用路面高さ計測装置を示す図で、車両の側面図である。
図2図2は、実施形態の車両搭載用路面高さ計測装置を示す図で、車両の背面図である。
図3図3は、フレームを下面からみた図で、高位置のフレーム部を省略して低位置のフレーム部を下面からみた図である。
図4図4は、フレームを下面からみた図で、低位置のフレーム部を省略して高位置のフレーム部を下面からみた図である。
図5図5は、スリット光投光部と第1のミラーと路面との位置関係を示す斜視図である。
図6図6は、撮影部と第2のミラーと路面との位置関係を示す斜視図である。
図7図7は、他の実施形態を示す図で、車両の側面図である。
図8図8は、従来技術を説明する図で、車両の側面図である。
図9図9は、従来技術を説明する図で、車両の背面図である。
図10図10は、従来技術を説明する図で、車両の側面図である。
図11図11は、従来技術を説明する図で、車両の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して本発明に係る車両搭載用路面高さ計測装置の実施の形態について説明する。
【0028】
実施形態の車両搭載用路面高さ計測装置を図1図2に示す。図1は車両の側面図で、図2は車両の背面図である。
【0029】
図1図2に示すように、路面高さ計測装置20は、車両1に搭載されている。路面高さ計測装置20は、光切断法により車両1が走行する路面の各部の高さを計測するための装置である。
【0030】
路面高さ計測装置20は、フレーム80と、スリット光投光部100と、第1のミラー30と、第2のミラー40と、撮影部101とを含んで構成される。
【0031】
フレーム80は、車両1のルーフに装着されており、車両1の上面からみて矩形状に形成されている。フレーム80は、車両1のルーフキャリア13に装着されている。フレーム80は、車両1のルーフキャリア13に装着された状態で、横幅が車両1の車幅程度に収まっている。またフレーム80は、車両1のルーフキャリア13に装着された状態で、少なくとも中心よりも前側が車両1のルーフ上にあり、その余の後ろ側が車両1のルーフから後方へ張り出している。
【0032】
ルーフキャリア13は、たとえば車両1のルーフの左右両端それぞれの雨ドイに挟み込むタイプの市販品を使用することができる。
【0033】
フレーム80は、たとえば市販のアルミ角パイプをボルト、ナット、ブラケット等の締結固定部材を用いて、組み立てることができる。フレーム80は、高位置のフレーム部81と、低位置のフレーム部82とを含んで構成される。高位置のフレーム部81と、低位置のフレーム部82とは、たとえばブラケットによって連結されている。
【0034】
図3図4は、フレーム80を下面からみた図である。図3は、高位置のフレーム部81を省略して低位置のフレーム部82を下面からみた図である。図4は、低位置のフレーム部82を省略して高位置のフレーム部81を下面からみた図である。
【0035】
スリット光投光部100と第1のミラー30と第2のミラー40と撮影部101は、フレーム80の外枠内に収まるようにフレーム80に取り付けられている。
【0036】
フレーム80のうち低位置のフレーム部82に、スリット光投光部100と第1のミラー30の組が取り付けられ、フレーム80のうち高位置のフレーム部81に、第2のミラー40と撮影部101の組が取り付けられている。
【0037】
図3に示すように、低位置のフレーム部82には、車両1の車幅方向が長手方向である横フレーム部材83が架け渡されている。
【0038】
スリット光投光部100は、横フレーム部材83に取り付けられている。
【0039】
低位置のフレーム部82には、横フレーム部材83の取り付け位置よりも車両1の後方の位置で、車両1の車幅方向が長手方向である角パイプ84が左右のブラケット85L、85Rを介してフレーム部82の左右内側に連結されている。
【0040】
角パイプ84の各外面のうち、車両1の前側下方に向いた外面84aには、車両1の車幅方向が長手方向である長方形状の第1のミラー30が装着されている。すなわちフレーム部82には、第1のミラー30が、スリット光投光部100の取り付け位置よりも車両1の後方位置に取り付けられている。
【0041】
図4に示すように、高位置のフレーム部81には、角パイプ84の取り付け位置よりも車両1の後方の位置で、車両1の車幅方向が長手方向である角パイプ86が左右のブラケット87L、87Rを介してフレーム部81の左右内側に連結されている。
【0042】
角パイプ86の各外面のうち、車両1の前側下方に向いた外面86aに、車両1の車幅方向が長手方向である長方形状の第2のミラー40が装着されている。すなわちフレーム部81には、第2のミラー40が、第1のミラー30の取り付け位置に対して車両1の後方の位置に取り付けられている。
【0043】
高位置のフレーム部81には、角パイプ86の取り付け位置よりも車両1の前方の位置で、車両1の車幅方向が長手方向である横フレーム部材88が架け渡されている。
【0044】
横フレーム部材88には、撮影部101が取り付けられている。すなわち高位置のフレーム部81には、撮影部101が、第2のミラー40の取り付け位置よりも車両1の前方位置に取り付けられている。
【0045】
図5は、スリット光投光部100と第1のミラー30と路面との位置関係を示す斜視図である。図6は、撮影部101と第2のミラー40と路面との位置関係を示す斜視図である。
【0046】
図5に示すように、スリット光投光部100は、車両1の後方に向けて、スリット光としてのスリットレーザ100aを投光する。スリット光投光部100は、路面に対して水平な方向に向けて、路面の横断方向に拡がるスリット光としてのスリットレーザ100aを投光する。路面の横断方向とは、車両1の進行方向に対して直交する方向として定義される。このような投光が実現されるようにスリット光投光部100の横フレーム部材83への取り付け姿勢、取り付け位置が調整されている。なお、スリットレーザ100aの投光方向としては、必ずしも完全な水平方向でなくともよく略水平な方向であってもよい。
【0047】
またスリット光投光部100は、スリット光を投光できるものであればよく、必ずしもレーザ光でなくてもよい。
【0048】
第1のミラー30は、スリット光投光部100から水平方向に投光されるスリットレーザ100aを、路面に対して垂直に上方から照射する。第1のミラー30は、スリット光投光部100から投光されたスリットレーザ100aを下方に反射させて、路面の横断方向に拡がるスリットレーザ100aを、路面に照射する。このようなレーザ照射が実現されるように角パイプ84のフレーム部82への取り付け姿勢および取り付け位置が調整されている。
【0049】
これにより路面上には、スリットレーザ100aの照射によって、路面の横断方向に平行な光切断線としての線状のマーカ112が形成される。1台のスリット光投光部100によって、従来技術と同様に、路面の横断方向に沿って、所定の幅Dの光切断線としての線状のマーカ112が確保される。
【0050】
図6において、撮影部101の撮影範囲を破線101aで示す。図6に示すように、第2のミラー40は、路面の横断方向に平行な光切断線としての線状のマーカ112、つまり路面に照射されたスリット光の像112´を映す。第2のミラー40は、路面に対して斜め後方からスリット光の像112´を映す。このような鏡像が実現されるように角パイプ86のフレーム部81への取り付け姿勢、取り付け位置が調整されている。
【0051】
撮影部101は、第2のミラー40に映されたスリット光の像112´を、路面に対して水平な方向から撮影する。このような撮影が実現されるように撮影部101の横フレーム部材88への取り付け姿勢、取り付け位置が調整されている。なお、撮影部101の撮影方向としては、必ずしも完全な水平方向でなくともよく略水平な方向であってもよい。
【0052】
撮影部101は、第2のミラー40に映されたスリット光の像112´を撮影できるものであればよく、たとえばエリアカメラを使用することができる。
【0053】
したがって光切断法の原理にしたがい、撮影部101は、路面の横断方向に沿って路面が平坦であれば、線状のマーカ112を直線として撮影し、路面の横断方向に沿って路面に凹凸であれば、線状のマーカ112を凹凸がある歪んだものとして撮影する。
【0054】
1台の撮影部101によって、従来技術と同様に路面の横断方向に沿って所定の幅DLの撮影範囲が確保される。
【0055】
図示しない計測部は、撮影部101から撮影データを取り込むとともに、車両1の位置および車速のデータを取り込み、路面の高さ分布を計測する。
【0056】
路面上に生じた光切断線としての線状のマーカ112は、測定対象である路面の高さに応じて位置が水平方向(路面の縦断方向)に変位するという特性を有している。したがって、撮影部101が撮影した撮影画像内の光切断線としての線状のマーカ112の変位プロファイルに基づいて、光切断線としての線状のマーカ112に対応する路面横断方向の高さ分布を算出することができる。撮影部101から取得した撮影データから、路面横断方向の高さ分布を算出することができる。
【0057】
車両1を走行させつつ測定対象である路面の縦断方向位置を少しずつ動かしながら光切断線としての線状のマーカ112の変位プロファイルを繰り返し測定することで、測定対象である路面内の高さ分布を得ることができる。路面の縦断方向位置は、車両1に搭載されたGPS(グローバル・ポジショニング・システム)から取得した位置データと、車速センサから取得した車速に基づき算出することができる。路面の縦断方向位置と路面横断方向の高さ分布とを突き合わせることで測定対象である路面内の高さ分布を算出することができる。
【0058】
上記した計測部は、車両1に搭載してもよく、車両1の外部に設けてもよい。
【0059】
図1図2に示される実施形態の路面高さ計測装置20と、図8、9、10で説明した従来技術とを対比すると、以下のような実施形態の効果が得られる。
【0060】
本実施形態によれば、一台のスリット光投光部100を、車両1のルーフ上の低位置に取り付けることができる。しかも従来技術と同じ幅Dの光切断線としての線状のマーカ112の照射範囲を確保することができる。同様に一台の撮影部101を、車両1のルーフ上の低位置に取り付けることができる。しかも従来技術と同じ幅DLの撮影範囲を確保することができる。
【0061】
スリット光投光部100、撮影部101を、車両1のルーフ上の低位置に取り付けることができるために車両搭載の自由度が格段に向上する。
【0062】
車両1のルーフ上で、スリット光投光部100、撮影部101を支持するためのフレーム80の高さを低くでき、フレーム80の場積を小さくすることができる。一台のスリット光投光部100を設置するだけでよく複数台のスリット光投光部の設置を要しない。同様に一台の撮影部101を設置するだけでよく複数台の撮影部の設置を要しない。このため複数台の機器間で調整が不要となるなど装置構成を簡易なものとすることができる。
【0063】
本実施形態では、第2のミラー40を、第1のミラー30の取り付け位置に対して車両1の後方に取り付け、路面に照射されたスリット光の像112´を路面に対して斜め後方から映すようにしている。
【0064】
しかし、図7に示すように、第2のミラー40を、第1のミラー30の取り付け位置に対して車両1の前方に取り付け、路面に照射されたスリット光の像を前方から映す実施形態も可能である。
【0065】
また本実施形態では、フレーム80を、車両1のルーフから後方へ張り出すように車両1に取り付けて、スリット光投光部100と第1のミラー30と第2のミラー40と撮影部101とを車両1の後方に配置している。
【0066】
しかし、車両の種類によっては、フレーム80を、車両1のルーフから前方へ張り出すように車両1に取り付けて、スリット光投光部100と第1のミラー30と第2のミラー40と撮影部101とを車両1の前方に配置する実施形態も可能である。
【符号の説明】
【0067】
1 車両
20 路面高さ計測装置
30 第1のミラー
40 第2のミラー
80 フレーム
100 スリット光投光部
101 撮影部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11