(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-27
(45)【発行日】2022-07-05
(54)【発明の名称】掘削作業機械の油圧駆動装置
(51)【国際特許分類】
E02F 9/20 20060101AFI20220628BHJP
E02F 9/22 20060101ALI20220628BHJP
【FI】
E02F9/20 M
E02F9/20 N
E02F9/22 K
(21)【出願番号】P 2018156096
(22)【出願日】2018-08-23
【審査請求日】2021-04-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(73)【特許権者】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067828
【氏名又は名称】小谷 悦司
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100109058
【氏名又は名称】村松 敏郎
(72)【発明者】
【氏名】前川 智史
(72)【発明者】
【氏名】野木 俊宏
(72)【発明者】
【氏名】藤原 翔
【審査官】小倉 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-219727(JP,A)
【文献】特開2015-206415(JP,A)
【文献】国際公開第2018/051511(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/056678(WO,A1)
【文献】特開2018-053675(JP,A)
【文献】特開平05-321297(JP,A)
【文献】特開2016-205495(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0172037(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/20
E02F 9/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
機体及びこれに取付けられる作業装置を備えた作業機械であって前記作業装置が当該機体に起伏可能に支持されるブームと当該ブームの先端部に回動可能に連結されるアームと当該アームの先端部に取付けられて施工面に押付けられるバケットとを含む作業機械に設けられ、前記ブーム、前記アーム及び前記バケットを油圧により駆動するための油圧駆動装置であって、
駆動源により駆動されることにより作動油を吐出する少なくとも一つの油圧ポンプを含む作動油供給装置と、
前記作動油供給装置からの作動油の供給を受けることにより伸縮して前記ブームを起伏させる少なくとも一つのブームシリンダと、
前記作動油供給装置からの作動油の供給を受けることにより伸縮して前記アームを回動させるアームシリンダと、
前記作動油供給装置からの作動油の供給を受けることにより伸縮して前記バケットを回動させるバケットシリンダと、
前記作動油供給装置と前記少なくとも1つのブームシリンダとの間に介在し、当該作動油供給装置から前記少なくとも一つのブームシリンダに供給される作動油の流量であるブームシリンダ供給流量及び当該ブームシリンダから排出される作動油の流量であるブームシリンダ排出流量を変化させるように開閉動作することが可能なブーム流量制御弁と、
前記バケットによる施工対象の目標形状を特定する目標施工面を設定する目標施工面設定部と、
前記作業装置の姿勢を特定するための情報である姿勢情報を検出する作業姿勢検出部と、
前記少なくとも一つのブームシリンダのヘッド側室及びロッド側室のそれぞれの圧力であるヘッド圧及びロッド圧を検出するブームシリンダ圧検出器と、
前記作業姿勢検出部により検出される前記姿勢情報に基づいて前記ブームシリンダ、前記アームシリンダ及び前記バケットシリンダのそれぞれの作動速度であるシリンダ速度を演算するシリンダ速度算定部と、
前記シリンダ速度算定部により算定されるそれぞれのシリンダ速度に基づいて、前記アームシリンダの伸縮による前記アームの動きに伴って前記バケットにより施工される面を前記目標施工面に近づけるための前記ブームシリンダの作動速度の目標値である目標ブームシリンダ速度を算定する目標ブームシリンダ速度算定部と、
前記目標ブームシリンダ速度が得られるように前記ブーム流量制御弁を作動させるブーム流量操作部と、を備え、
前記ブーム流量操作部は、前記目標シリンダ速度算定部により算定される前記目標ブームシリンダ速度の方向が前記ブームシリンダ圧検出器により検出される前記ヘッド圧及び前記ロッド圧により特定される前記ブームシリンダの推力であるシリンダ推力の方向と一致するときには、前記ブームシリンダ供給流量が前記目標ブームシリンダ速度に対応した目標供給流量になるように前記ブーム流量制御弁を作動させ、前記目標ブームシリンダ速度の方向が前記シリンダ推力の方向と反対の方向であるときには、前記ブームシリンダ排出流量が前記目標ブームシリンダ速度に対応した目標排出流量になるように前記ブーム流量制御弁を作動させる、油圧駆動装置。
【請求項2】
請求項1記載の油圧駆動装置であって、前記ブーム流量制御弁は、ブーム上げパイロットポート及びブーム下げパイロットポートを有するパイロット操作式の方向切換弁であって、前記ブーム上げパイロットポートにブーム上げパイロット圧が入力されるときには前記ブームシリンダが前記ブームを起立させる方向に作動するように前記ブーム上げパイロット圧の大きさに対応した開度で開く一方、前記ブーム下げパイロットポートにブーム下げパイロット圧が入力されるときには前記ブームシリンダが前記ブームを倒伏させる方向に作動するように前記ブーム下げパイロット圧の大きさに対応した開度で開くものであり、前記ブーム流量操作部は、パイロット油圧源と前記ブーム上げパイロットポートとの間に介在し、かつ、ブーム上げ流量指令信号の入力を受けることにより前記ブーム上げパイロットポートに入力される前記ブーム上げパイロット圧を前記ブーム上げ流量指令信号に対応した大きさのパイロット圧にするように開閉作動するブーム上げ流量操作弁と、前記パイロット油圧源と前記ブーム下げパイロットポートとの間に介在し、かつ、ブーム下げ流量指令信号の入力を受けることにより前記ブーム下げパイロットポートに入力される前記ブーム上げパイロット圧を前記ブーム下げ流量指令信号に対応した大きさのパイロット圧にするように開閉作動するブーム下げ流量操作弁と、前記目標ブームシリンダ速度の方向が前記シリンダ推力の方向と一致するときには前記ブームシリンダ供給流量が前記目標ブームシリンダ速度に対応した目標供給流量になるように前記ブーム上げ流量操作弁及び前記ブーム下げ流量操作弁のうち前記ブーム流量制御弁の供給側の開口を操作する流量操作弁に対して前記目標供給流量に対応した前記ブーム上げ流量指令信号または前記ブーム下げ流量指令信号を入力し、前記目標ブームシリンダ速度の方向が前記シリンダ推力の方向と反対の方向であるときには、前記ブームシリンダ排出流量が前記目標ブームシリンダ速度に対応した目標排出流量になるように前記ブーム上げ流量操作弁及び前記ブーム下げ流量操作弁のうち前記ブーム流量制御弁の排出側の開口を操作する流量操作弁に対して前記目標排出流量に対応した前記ブーム上げ流量指令信号または前記ブーム下げ流量指令信号を入力するブーム流量指令部と、を有する、油圧駆動装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の油圧駆動装置であって、前記バケットを施工面に対して押付けるための押付け力の目標値である目標押付け力を設定する目標押付け力設定部と、前記シリンダ推力に基づいて前記押付け力を算定する押付け力算定部と、前記目標押付け力と算定された前記押付け力との偏差に基づいて当該偏差を0に近づける方向に前記目標ブームシリンダ速度を補正する目標速度補正部と、をさらに備え、前記ブーム流量操作部は、前記目標速度補正部により補正された後の前記目標ブームシリンダ速度が得られるように前記ブーム流量制御弁を作動させる、油圧駆動装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかに記載の油圧駆動装置であって、前記作動油供給装置に含まれる前記少なくとも一つの油圧ポンプのうち前記少なくとも一つのブームシリンダに接続される油圧ポンプであるブーム駆動油圧ポンプは可変容量型油圧ポンプにより構成され、前記油圧駆動装置は、前記ブーム駆動油圧ポンプから吐出される作動油の圧力であるポンプ圧を検出するポンプ圧検出器と、前記ブーム駆動油圧ポンプのポンプ容量を変化させるポンプ容量制御部と、前記ブーム駆動油圧ポンプの回転数であるポンプ回転数を検出するポンプ回転数検出器と、をさらに備え、前記ポンプ容量制御部は、前記目標ブームシリンダ速度の方向と前記シリンダ推力の方向とが一致しているときには、前記ブーム駆動油圧ポンプから吐出される作動油の流量が前記目標供給流量と前記ブームシリンダ以外の対象に供給すべき作動油の流量であるブームシリンダ外流量との和に相当する流量となるように、前記ポンプ回転数検出器により検出される前記ポンプ回転数に基づいて前記ブーム駆動油圧ポンプのポンプ容量を変化させ、前記目標ブームシリンダ速度の方向が前記シリンダ推力の方向と反対の方向であるときには、前記ブームシリンダ圧検出器により検出される前記ヘッド圧または前記ロッド圧と前記ポンプ圧検出器により検出される前記ポンプ圧と前記ブーム流量制御弁が形成する開口のうち前記ブーム駆動油圧ポンプから前記ブームシリンダへの作動油の供給を許容する開口である供給側開口の開度である供給側絞り開度とに基づいて、前記供給側開口を通過して前記少なくとも一つのブームシリンダに吸収される作動油の流量であるブームシリンダ吸収流量を演算し、前記ブーム駆動油圧ポンプから吐出される作動油の流量が前記ブームシリンダ吸収流量と前記ブームシリンダ外流量との和に相当する流量となるように、前記ポンプ回転数に基づいて前記ブーム駆動油圧ポンプのポンプ容量を変化させる、油圧駆動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブーム、アーム及びバケットを有する掘削装置を備えた掘削作業機械に設けられ、当該掘削装置を油圧によって駆動するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ショベル等の掘削作業機械は、一般に、起伏可能なブームと、その先端に回動可能に連結されるアームと、このアームの先端に装着されるバケットと、を含む掘削装置を有する。このような掘削装置を油圧で駆動するための装置は、一般に、油圧ポンプと、当該油圧ポンプに接続される複数の油圧シリンダと、コントロールバルブと、を備える。前記複数の油圧シリンダは、ブーム駆動用のブームシリンダ、アーム駆動用のアームシリンダ及びバケット駆動用のバケットシリンダを含む。前記コントロールバルブは、前記ブームシリンダ、前記アームシリンダ及び前記バケットシリンダにそれぞれ接続される。前記コントロールバルブは、例えばパイロット操作式の切換弁により構成され、入力されるパイロット圧に応じて当該コントロールバルブに対応する油圧アクチュエータへの作動油の供給の方向及び流量を変化させるように開弁作動する。
【0003】
さらに近年は、オペレータの負担を軽減すべく、オペレータが簡単な操作を行うだけで前記バケットが予め設定された目標軌跡に沿って動くように前記ブーム及び前記アームの作業装置の駆動を制御する自動制御機能を備えた油圧駆動装置の開発が進められている。
【0004】
例えば特許文献1は、ブーム、アーム(特許文献1では「スティック」)及びバケットを備えた油圧ショベルに設けられる油圧駆動装置であって、アーム操作レバー(特許文献1ではスティック操作レバー)の操作に応じて前記バケットの刃先が目標の軌跡に沿って動くように各油圧シリンダの目標位置及び目標速度を演算して当該速度を制御するものが開示されている。
【0005】
さらに、当該特許文献1では、ブームシリンダの負荷圧にシリンダ内の実質的な受圧面積を乗ずることにより転圧力を演算し、この転圧力を予め設定された目標転圧力に近づけるように前記バケットの高さ位置を自動調整すること(具体的にはバケットの位置を上げることにより掘削面の転圧力を下げ、またはバケット位置を下げることにより転圧力を上げること)が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記特許文献1に記載される装置によれば、前記ブーム等に作用する負荷の方向や大きさによっては当該ブーム等の速度を高精度で制御することが困難な場合がある。具体的に、前記ブームには、当該ブームを含む作業装置全体の自重による下向きの荷重と、バケットが施工面から受ける反力による上向きの荷重と、の双方が作用し、これらの荷重のバランスによってブームシリンダの駆動状態が大きく変動する可能性がある。このような課題の解決は、バケットの刃先を目標軌跡に沿って正確に移動させることや、当該バケットから地面に与える押付け力(前記特許文献1にいう転圧力)を正確に制御することに直結するものであり、きわめて重要である。
【0008】
本発明は、ブーム、アーム及びバケットを含む作業装置を備えた作業機械に設けられる油圧駆動装置であって、前記ブームに作用する荷重にかかわらず、前記バケットによる施工面を目標施工面に近づけるように前記アームの動きに応じてブームの動きを高精度で制御することが可能な油圧駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記制御の精度を高めるため、本発明者らは、前記ブームを動かすためのアクチュエータであるブームシリンダの作動速度について演算される目標ブームシリンダ速度の方向と、実際にブームシリンダに生じているシリンダ推力と、の関係に着目した。具体的に、前記目標ブームシリンダ速度の方向が前記シリンダ推力の方向と一致している場合、つまり、前記ブームに作用する荷重に抗して前記シリンダ推力によって当該シリンダ推力の向きにブームシリンダを作動させる必要がある場合、には、通常の制御と同様、油圧ポンプからブームシリンダに押し込まれる作動油の流量を制御すればよいが、逆に前記目標ブームシリンダ速度の方向が前記シリンダ推力の方向と反対の方向である場合、つまり、前記ブームに作用する荷重の向きと同じ向きであって前記シリンダ推力の方向とは逆の向きにブームシリンダを作動させる必要がある場合、には、ブームシリンダから排出される作動油の圧力が保持圧となるので、その排出される作動油の流量を制御することが、ブームシリンダ速度の正確な制御を可能にする。
【0010】
本発明はこのような観点からなされたものである。提供されるのは、機体及びこれに取付けられる作業装置を備えた作業機械であって前記作業装置が当該機体に起伏可能に支持されるブームと当該ブームの先端部に回動可能に連結されるアームと当該アームの先端部に取付けられて施工面に押付けられるバケットとを含む作業機械に設けられ、前記ブーム、前記アーム及び前記バケットを油圧により駆動するための油圧駆動装置であって、駆動源により駆動されることにより作動油を吐出する少なくとも一つの油圧ポンプを含む作動油供給装置と、前記作動油供給装置からの作動油の供給を受けることにより伸縮して前記ブームを起伏させる少なくとも一つのブームシリンダと、前記作動油供給装置からの作動油の供給を受けることにより伸縮して前記アームを回動させるアームシリンダと、前記作動油供給装置からの作動油の供給を受けることにより伸縮して前記バケットを回動させるバケットシリンダと、前記作動油供給装置と前記少なくとも1つのブームシリンダとの間に介在し、当該作動油供給装置から前記少なくとも一つのブームシリンダに供給される作動油の流量であるブームシリンダ供給流量及び当該ブームシリンダから排出される作動油の流量であるブームシリンダ排出流量を変化させるように開閉動作することが可能なブーム流量制御弁と、前記バケットによる施工対象の目標形状を特定する目標施工面を設定する目標施工面設定部と、前記作業装置の姿勢を特定するための情報である姿勢情報を検出する作業姿勢検出部と、前記少なくとも一つのブームシリンダのヘッド側室及びロッド側室のそれぞれの圧力であるヘッド圧及びロッド圧を検出するブームシリンダ圧検出器と、前記作業姿勢検出部により検出される前記姿勢情報に基づいて前記ブームシリンダ、前記アームシリンダ及び前記バケットシリンダのそれぞれの作動速度であるシリンダ速度を演算するシリンダ速度算定部と、前記シリンダ速度算定部により算定されるそれぞれのシリンダ速度に基づいて、前記アームシリンダの伸縮による前記アームの動きに伴って前記バケットにより施工される面を前記目標施工面に近づけるための前記ブームシリンダの作動速度の目標値である目標ブームシリンダ速度を算定する目標ブームシリンダ速度算定部と、前記目標ブームシリンダ速度が得られるように前記ブーム流量制御弁を作動させるブーム流量操作部と、を備える。前記ブーム流量操作部は、前記目標シリンダ速度算定部により算定される前記目標ブームシリンダ速度の方向が前記ブームシリンダ圧検出器により検出される前記ヘッド圧及び前記ロッド圧により特定される前記ブームシリンダの推力であるシリンダ推力の方向と一致するときには、前記ブームシリンダ供給流量が前記目標ブームシリンダ速度に対応した目標供給流量になるように前記ブーム流量制御弁を作動させ、前記目標ブームシリンダ速度の方向が前記シリンダ推力の方向と反対の方向であるときには、前記ブームシリンダ排出流量が前記目標ブームシリンダ速度に対応した目標排出流量になるように前記ブーム流量制御弁を作動させる。
【0011】
このように、前記ブーム流量操作部は、前記目標ブームシリンダ速度の方向と前記シリンダ推力の方向との一致/不一致に基づいて、ブームシリンダ供給流量及びブームシリンダ排出流量のうち調節すべき流量を選択することにより、ブーム及びこれを動かすブームシリンダに作用している荷重の変動にかかわらず、精度の高いブームシリンダ速度の制御の実現を可能にする。このことは、前記バケットによる施工面を精度よく前記目標施工面に近づけることを可能にする。
【0012】
例えば、前記ブーム流量制御弁が、ブーム上げパイロットポート及びブーム下げパイロットポートを有するパイロット操作式の方向切換弁であって、前記ブーム上げパイロットポートにブーム上げパイロット圧が入力されるときには前記ブームシリンダが前記ブームを起立させる方向に作動するように前記ブーム上げパイロット圧の大きさに対応した開度で開く一方、前記ブーム下げパイロットポートにブーム下げパイロット圧が入力されるときには前記ブームシリンダが前記ブームを倒伏させる方向に作動するように前記ブーム下げパイロット圧の大きさに対応した開度で開くものである場合、前記ブーム流量操作部は、パイロット油圧源と前記ブーム上げパイロットポートとの間に介在し、かつ、ブーム上げ流量指令信号の入力を受けることにより前記ブーム上げパイロットポートに入力される前記ブーム上げパイロット圧を前記ブーム上げ流量指令信号に対応した大きさのパイロット圧にするように開閉作動するブーム上げ流量操作弁と、前記パイロット油圧源と前記ブーム下げパイロットポートとの間に介在し、かつ、ブーム下げ流量指令信号の入力を受けることにより前記ブーム下げパイロットポートに入力される前記ブーム下げパイロット圧を前記ブーム下げ流量指令信号に対応した大きさのパイロット圧にするように開閉作動するブーム下げ流量操作弁と、前記目標ブームシリンダ速度の方向が前記シリンダ推力の方向と一致するときには前記ブームシリンダ供給流量が前記目標ブームシリンダ速度に対応した目標供給流量になるように前記ブーム上げ流量操作弁及び前記ブーム下げ流量操作弁のうち前記ブーム流量制御弁の供給側の開口を操作する流量操作弁に対して前記目標供給流量に対応した前記ブーム上げ流量指令信号または前記ブーム下げ流量指令信号を入力し、前記目標ブームシリンダ速度の方向が前記シリンダ推力の方向と反対の方向であるときには、前記ブームシリンダ排出流量が前記目標ブームシリンダ速度に対応した目標排出流量になるように前記ブーム上げ流量操作弁及び前記ブーム下げ流量操作弁のうち前記ブーム流量制御弁の排出側の開口を操作する流量操作弁に対して前記目標排出流量に対応した前記ブーム上げ流量指令信号または前記ブーム下げ流量指令信号を入力するブーム流量指令部と、を有するものが、好適である。
【0013】
前記油圧駆動装置は、前記バケットを施工面に対して押付けるための押付け力の目標値である目標押付け力を設定する目標押付け力設定部と、前記シリンダ推力に基づいて前記押付け力を算定する押付け力算定部と、前記目標押付け力と算定された前記押付け力との偏差に基づいて当該偏差を0に近づける方向に前記目標ブームシリンダ速度を補正する目標速度補正部と、をさらに備え、前記ブーム流量操作部は、前記目標速度補正部により補正された後の前記目標ブームシリンダ速度が得られるように前記ブーム流量制御弁を作動させることが、好ましい。
【0014】
前記目標速度補正部による前記押付け力に基づく目標ブームシリンダ速度の補正、すなわち、前記目標押付け力を基準とした前記押付け力の偏差を0に近づけるような補正は、前記バケットによる施工面を前記目標施工面に近づけるのに加え、当該バケットを当該施工面に押付けるための前記押付け力を前記目標押付け力に近づけるようなブームシリンダの駆動の制御を可能にする。そして、前記のような目標ブームシリンダ速度の方向と前記シリンダ推力の方向との一致/不一致に基づく調節対象流量(ブームシリンダ供給流量またはブームシリンダ排出流量)の選択は、前記押付け力の大小によって前記ブームに作用する荷重が変動するにもかかわらず前記ブームシリンダの作動速度の制御の精度を高めることにより、結果的に前記押付け力の制御の精度も高めることを可能にする。
【0015】
前記作動油供給装置に含まれる前記少なくとも一つの油圧ポンプのうち前記少なくとも一つのブームシリンダに接続される油圧ポンプであるブーム駆動油圧ポンプは可変容量型油圧ポンプにより構成されることが好ましい。このことは、前記ブームシリンダの作動状態にかかわらず当該ブームシリンダへの供給流量を含む必要供給流量に対応した適正な流量で前記ブーム駆動油圧ポンプが作動油を吐出することを可能にする。具体的に、前記油圧駆動装置は、前記ブーム駆動油圧ポンプから吐出される作動油の圧力であるポンプ圧を検出するポンプ圧検出器と、前記ブーム駆動油圧ポンプのポンプ容量を変化させるポンプ容量制御部と、前記ブーム駆動油圧ポンプの回転数であるポンプ回転数を検出するポンプ回転数検出器と、をさらに備え、前記ポンプ容量制御部は、前記目標ブームシリンダ速度の方向と前記シリンダ推力の方向とが一致しているときには、前記ブーム駆動油圧ポンプから吐出される作動油の流量が前記目標供給流量と前記ブームシリンダ以外の対象に供給すべき作動油の流量であるブームシリンダ外流量との和に相当する流量となるように、前記ポンプ回転数検出器により検出される前記ポンプ回転数に基づいて前記ブーム駆動油圧ポンプのポンプ容量を変化させ、前記目標ブームシリンダ速度の方向が前記シリンダ推力の方向と反対の方向であるときには、前記ブームシリンダ圧検出器により検出される前記ヘッド圧または前記ロッド圧と前記ポンプ圧検出器により検出される前記ポンプ圧と前記ブーム流量制御弁が形成する開口のうち前記ブーム駆動油圧ポンプから前記ブームシリンダへの作動油の供給を許容する開口である供給側開口の開度である供給側絞り開度とに基づいて、前記供給側開口を通過して前記少なくとも一つのブームシリンダに吸収される作動油の流量であるブームシリンダ吸収流量を演算し、前記ブーム駆動油圧ポンプから吐出される作動油の流量が前記ブームシリンダ吸収流量と前記ブームシリンダ外流量との和に相当する流量となるように、前記ポンプ回転数に基づいて前記ブーム駆動油圧ポンプのポンプ容量を変化させるものが、好ましい。
【0016】
この構成によれば、通常のように前記少なくとも一つのブームシリンダに供給される作動油の流量が制御される場合だけでなく、当該ブームシリンダから排出される作動油の流量が制御される場合(つまり目標ブームシリンダ速度の方向がシリンダ推力の方向と逆である場合)にも、前記ブーム駆動用ポンプについて適正なポンプ容量の制御を行うことができる。すなわち、前記目標ブームシリンダ速度の方向が前記シリンダ推力の方向と逆であることから前記ブームシリンダから排出される作動油の流量が制御されるときでも、前記ブーム駆動油圧ポンプから吐出される作動油の一部は前記ブームシリンダの作動に伴い前記ブーム流量制御弁の供給側開口を通じて前記ブームシリンダに吸収されるため、この吸収される作動油の流量を見越して前記ブーム駆動油圧ポンプのポンプ容量を増加させることが、当該ブーム駆動油圧ポンプから前記ブームシリンダ以外の対象に供給される作動油の流量を十分に確保することができる。より具体的には、前記供給側開口等の開度に基づいて当該供給側開口を通過する作動油の流量である前記ブームシリンダ吸収流量を算定し、前記ブーム駆動油圧ポンプから吐出される作動油の流量が前記ブームシリンダ吸収流量と前記ブームシリンダ外流量との和に相当する流量となるように当該ブーム駆動油圧ポンプのポンプ容量を操作することにより、前記ブームシリンダによる前記作動油の吸収にかかわらず、前記他の油圧アクチュエータに供給すべき作動油の流量を確保することができる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明によれば、ブーム、アーム及びバケットを含む作業装置を備えた作業機械に設けられて当該作業装置を油圧により動かす油圧駆動装置であって、前記ブームに作用する荷重にかかわらず、前記バケットによる施工面を目標施工面に近づけるように前記アームの動きに応じてブームの動きを高精度で制御することが可能な油圧駆動装置が、提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施の形態に係る油圧式作業機械である油圧ショベルを示す側面図である。
【
図2】前記油圧ショベルに搭載される油圧駆動装置の構成要素を含む油圧回路及びコントローラを示す図である。
【
図3】前記油圧駆動装置に含まれるコントローラの主要な機能を示すブロック図である。
【
図4】前記コントローラが実行する演算制御動作を示すフローチャートである。
【
図5】前記油圧駆動装置に含まれる一対のブームシリンダについて算定された目標ブームシリンダ速度の方向及び当該ブームシリンダのシリンダ推力の方向がともに伸長方向である場合に操作されるべき開口及び設定されるポンプ容量を示す図である。
【
図6】前記目標ブームシリンダ速度の方向が伸長方向であるのに対して当該ブームシリンダのシリンダ推力の方向が収縮方向である場合に操作されるべき開口及び設定されるポンプ容量を示す図である。
【
図7】前記目標ブームシリンダ速度の方向が収縮方向であるのに対して当該ブームシリンダのシリンダ推力の方向が伸長方向である場合に操作されるべき開口及び設定されるポンプ容量を示す図である。
【
図8】前記目標ブームシリンダ速度の方向及び前記シリンダ推力の方向がともに収縮方向である場合に操作されるべき開口及び設定されるポンプ容量を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の好ましい実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0020】
図1は、前記実施の形態に係る油圧ショベルを示す。この油圧ショベルは、地面Gの上を走行可能な下部走行体10と、前記下部走行体10に搭載される上部旋回体12と、上部旋回体12に搭載される作業装置14と、当該作業装置14を油圧により駆動する油圧駆動装置と、を備える。
【0021】
前記下部走行体10及び前記上部旋回体12は、前記作業装置14を支持する機体を構成する。前記上部旋回体12は、旋回フレーム16と、その上に搭載される複数の要素と、を有する。当該複数の要素は、エンジンを収容するエンジンルーム17や運転室であるキャブ18を含む。
【0022】
前記作業装置14は、掘削作業その他の必要な作業のための動作を行うことが可能であり、ブーム21、アーム22及びバケット24を含む。前記ブーム21は、前記旋回フレーム16の前端に起伏可能すなわち水平軸回りに回動可能に支持される基端部と、その反対側の先端部と、を有する。前記アーム22は、前記ブーム21の先端部に水平軸回りに回動可能に取付けられる基端部と、その反対側の先端部と、を有する。前記バケット24は、前記アーム22の先端部に回動可能に取付けられる。
【0023】
前記油圧駆動装置は、前記ブーム21、前記アーム22及び前記バケット24のそれぞれについて設けられる複数の伸縮可能な油圧シリンダ、具体的には、少なくとも一つのブームシリンダ26、アームシリンダ27及びバケットシリンダ28を含む。
【0024】
前記少なくとも一つのブームシリンダ26は、前記上部旋回体12と前記ブーム21との間に介在し、当該ブーム21に起伏動作を行わせるように伸縮する。当該ブームシリンダ26は、
図2に示されるヘッド側室26h及びロッド側室26rを有し、当該ヘッド側室26hに作動油が供給されることにより伸長して前記ブーム21をブーム上げ方向に動かすとともに前記ロッド側室26r内の作動油を排出する一方、前記ロッド側室26rに作動油が供給されることにより収縮して前記ブーム21をブーム下げ方向に動かすとともに前記ヘッド側室26h内の作動油を排出する。
【0025】
前記少なくとも一つのブームシリンダ26は、単一でもよいが、この実施の形態では互いに左右方向に並列に配置された一対のブームシリンダ26を含む。なお、
図5~
図8では、便宜上、前記一対のブームシリンダ26が前後方向(紙面の左右方向)に並ぶように表示されている。
【0026】
前記アームシリンダ27は、前記ブーム21と前記アーム22との間に介在し、当該アーム22に回動動作を行わせるように伸縮するアームアクチュエータである。具体的に、当該アームシリンダ27は、
図2に示されるヘッド側室27h及びロッド側室27rを有し、当該ヘッド側室27hに作動油が供給されることにより伸長して前記アーム22をアーム引き方向(当該アーム22の先端がブーム21に近づく方向)に動かすとともに前記ロッド側室27r内の作動油を排出する一方、前記ロッド側室27rに作動油が供給されることにより収縮して前記アーム22をアーム押し方向(当該アーム22の先端がブーム21から離れる方向)に動かすとともに前記ヘッド側室27h内の作動油を排出する。
【0027】
前記バケットシリンダ28は、前記アーム22と前記バケット24との間に介在し、当該バケット24に回動動作を行わせるように伸縮する。具体的に、当該バケットシリンダ28は、伸長することにより前記バケット24を掬い方向(当該バケット24の先端25がアーム22に近づく方向)に回動させる一方、収縮することにより前記バケット24を開き方向(当該バケット24の先端25がアーム22から離れる方向)に回動させる。
【0028】
図2は、前記油圧ショベルに搭載される油圧回路及びこれに電気的に接続されるコントローラ100を示す。前記コントローラ100は、例えばマイクロコンピュータからなり、前記油圧回路に含まれる各要素の作動を制御する。
【0029】
前記油圧回路は、前記シリンダ26~28に加え、第1油圧ポンプ31及び第2油圧ポンプ32を含む作動油供給装置と、ブーム流量制御弁36と、アーム流量制御弁37と、バケット流量制御弁38と、パイロット油圧源40と、ブーム操作器46と、アーム操作器47と、バケット操作器48と、を含む。
【0030】
前記第1油圧ポンプ31及び第2油圧ポンプ32は、駆動源である図略のエンジンに接続され、当該エンジンが出力する動力により駆動されて作動油を吐出する。第1及び第2油圧ポンプ31,32のそれぞれは可変容量型ポンプである。具体的に、当該第1及び第2油圧ポンプ31,32はそれぞれ容量操作弁31a,32aを有し、前記コントローラ100から前記容量操作弁31a,32aに入力されるポンプ容量指令によって前記第1及び第2油圧ポンプ31,32の容量が操作される。
【0031】
前記ブーム流量制御弁36は、前記第1油圧ポンプ31と前記ブームシリンダ26との間に介在し、ブーム流量、すなわち、当該第1油圧ポンプ31から当該ブームシリンダ26に供給される作動油の流量及び当該ブームシリンダ26からタンクに排出される作動油の流量、を変化させるように開閉動作する。具体的に、当該ブーム流量制御弁36は、ブーム上げパイロットポート36a及びブーム下げパイロットポート36bを有するパイロット操作式の3位置方向切換弁からなり、前記第1油圧ポンプ31に接続された第1センターバイパスラインCL1の途中に配置される。
【0032】
前記ブーム流量制御弁36は、図略のケーシングとこれにストローク可能に装填されるスプールとを有する。当該スプールは、前記ブーム上げ及びブーム下げパイロットポート36a,36bのいずれにもパイロット圧が入力されないときは中立位置に保持され、前記第1センターバイパスラインCL1を閉じるとともに前記第1油圧ポンプ31と前記ブームシリンダ26との間を遮断することにより、前記ブームシリンダ26を停止状態に保持する。このとき、前記第1ポンプ31から吐出される作動油は図示されないアンロード弁を通じてタンクに逃がされる。
【0033】
前記ブーム上げパイロットポート36aにブーム上げパイロット圧が入力されると、前記ブーム流量制御弁36の前記スプールは、そのブーム上げパイロット圧の大きさに対応したストロークで前記中立位置からブーム上げ位置にシフトされる。これにより、当該ブーム流量制御弁36は、前記第1センターバイパスラインCL1から分岐する第1供給ラインSL1を通じて前記第1油圧ポンプ31から前記ブームシリンダ26のヘッド側室26hに前記ストロークに応じた流量(ブーム上げ流量)で作動油が供給されることを許容する開口を形成するとともに、当該ブームシリンダ26のロッド側室26rからタンクに作動油が戻ることを許容する開口を形成するように、開弁する。これにより、前記ブームシリンダ26は前記ブーム上げ方向(この実施の形態では伸長方向)に駆動される。
【0034】
前記ブーム流量制御弁36は、逆に、前記ブーム下げパイロットポート36bにブーム下げパイロット圧が入力されるとそのブーム下げパイロット圧の大きさに対応したストロークで前記中立位置からブーム下げ位置に切換えられ、前記第1供給ラインSL1を通じて前記第1油圧ポンプ31から前記ブームシリンダ26のロッド側室26rに前記ストロークに応じた流量(ブーム下げ流量)で作動油が供給されることを許容する開口を形成するとともに、当該ブームシリンダ26のヘッド側室26hからタンクに作動油が戻ることを許容する開口を形成するように、開弁する。これにより、前記ブームシリンダ26は前記ブーム下げ方向(この実施の形態では収縮方向)に駆動される。
【0035】
換言すれば、前記ブーム流量制御弁36は、前記ブーム上げ位置及び前記ブーム下げ位置において
図5~
図8に示すように前記ブームシリンダ26のヘッド側室26h及びロッド側室26rにそれぞれ通ずるヘッド側開口36h及びロッド側開口36rを同時に形成し、かつ、これらの開口(絞り開口)36h,36rの面積である絞り開口面積(絞り開度)を前記ブーム上げ及びブーム下げパイロット圧に対応する前記スプールのストロークによって変化させる。
【0036】
従って、この実施の形態では、前記第1及び第2油圧ポンプ31,32のうちの第1油圧ポンプ31がブームシリンダ26に供給されるべき作動油を吐出する「ブーム駆動油圧ポンプ」に相当する。
【0037】
前記アーム流量制御弁37は、前記第2油圧ポンプ32と前記アームシリンダ27との間に介在し、当該第2油圧ポンプ32から当該アームシリンダ27に供給される作動油の流量であるアーム流量を変化させるように開閉動作する。具体的に、当該アーム流量制御弁37は、アーム引きパイロットポート37a及びアーム押しパイロットポート37bを有するパイロット操作式の3位置方向切換弁からなり、前記第2油圧ポンプ32に接続された第2センターバイパスラインCL2の途中に配置される。
【0038】
前記アーム流量制御弁37は、図略のケーシング及びこれにストローク可能に装填されるスプールを有する。当該スプールは、前記アーム引き及びアーム押しパイロットポート37a,37bのいずれにもパイロット圧が入力されないときは中立位置に切換えられ、前記第2センターバイパスラインCL2を閉じるとともに前記第2油圧ポンプ32と前記アームシリンダ27との間を遮断する。これにより、前記アームシリンダ27は停止状態に保持される。このとき、前記第2ポンプ32から吐出される作動油は図示されないアンロード弁を通じてタンクに逃がされる。
【0039】
前記アーム引きパイロットポート37aにアーム引きパイロット圧が入力されると、前記アーム流量制御弁37の前記スプールは、そのアーム引きパイロット圧の大きさに対応したストロークで前記中立位置からアーム引き位置にシフトされる。これにより、当該アーム流量制御弁37は、前記第2センターバイパスラインCL2から分岐する第2供給ラインSL2を通じて前記第2油圧ポンプ32から前記アームシリンダ27のヘッド側室27hに前記ストロークに応じた流量(アーム引き流量)で作動油が供給されることを許容するとともに、当該アームシリンダ27のロッド側室27rからタンクに作動油が戻ることを許容するように、開弁する。この開弁に伴い、前記アームシリンダ27は前記アーム引きパイロット圧に対応した速度で前記アーム引き方向に駆動される。
【0040】
前記アーム流量制御弁37は、逆に、前記アーム押しパイロットポート37bにアーム押しパイロット圧が入力されるとそのアーム押しパイロット圧の大きさに対応したストロークで前記中立位置からアーム押し位置に切換えられ、前記第2供給ラインSL2を通じて前記第2油圧ポンプ32から前記アームシリンダ27のロッド側室27rに前記ストロークに応じた流量(アーム押し流量)で作動油が供給されることを許容するとともに、当該アームシリンダ27のヘッド側室27hからタンクに作動油が戻ることを許容するように、開弁する。これにより、前記アームシリンダ27は前記アーム押しパイロット圧に対応した速度で前記アーム押し方向に駆動される。
【0041】
前記バケット流量制御弁38は、前記ブーム流量制御弁36とパラレルに配置されて前記第1油圧ポンプ31と前記バケットシリンダ28との間に介在し、当該第1油圧ポンプ31から当該バケットシリンダ28に供給される作動油の流量であるバケット流量を変化させるように開閉動作する。具体的に、当該バケット流量制御弁38は、バケット掬いパイロットポート38a及びバケット開きパイロットポート38bを有するパイロット操作式の3位置方向切換弁からなり、前記第1油圧ポンプ31に接続された第1センターバイパスラインCL1の途中に配置される。
【0042】
前記バケット流量制御弁38は、図略のケーシング及びこれにストローク可能に装填されるスプールを有する。当該スプールは、前記バケット掬い及びバケット開きパイロットポート38a,38bのいずれにもパイロット圧が入力されないときは中立位置に切換えられ、前記第1センターバイパスラインCL1を閉じるとともに前記第1油圧ポンプ31と前記バケットシリンダ28との間を遮断する。これにより、前記バケットシリンダ28は停止状態に保持される。
【0043】
前記バケット掬いパイロットポート38aにバケット掬いパイロット圧が入力されると、前記バケット流量制御弁38の前記スプールは、そのバケット掬いパイロット圧の大きさに対応したストロークで前記中立位置からバケット掬い位置にシフトされる。これにより、当該バケット流量制御弁38は、前記第1供給ラインSL1を通じて前記第1油圧ポンプ31から前記バケットシリンダ28のヘッド側室28hに前記ストロークに応じた流量(バケット掬い流量)で作動油が供給されることを許容するとともに、当該バケットシリンダ28のロッド側室28rからタンクに作動油が戻ることを許容するように、開弁する。この開弁に伴い、前記バケットシリンダ28は前記バケット掬いパイロット圧に対応した速度で前記バケット掬い方向に駆動される。
【0044】
前記バケット流量制御弁38は、逆に、前記バケット開きパイロットポート38bにバケット開きパイロット圧が入力されるとそのバケット開きパイロット圧の大きさに対応したストロークで前記中立位置からバケット開き位置に切換えられ、前記第1供給ラインSL1を通じて前記第1油圧ポンプ31から前記バケットシリンダ28のロッド側室28rに前記ストロークに応じた流量(バケット開き流量)で作動油が供給されることを許容するとともに、当該バケットシリンダ28のヘッド側室28hからタンクに作動油が戻ることを許容するように、開弁する。これにより、前記バケットシリンダ28は前記バケット開きパイロット圧に対応した速度で前記バケット開き方向に駆動される。
【0045】
前記ブーム操作器46は、前記ブーム21を動かすためのブーム操作を受け、当該ブーム操作に対応したブーム上げパイロット圧またはブーム下げパイロット圧が前記ブーム流量制御弁36に入力されることを許容する。具体的に、当該ブーム操作器46は、前記運転室内において前記ブーム操作に相当する回動操作を受けることが可能なブームレバー46aと、当該ブームレバー46aに連結されたブームパイロット弁46bと、を有する。
【0046】
前記ブームパイロット弁46bは、前記パイロット油圧源40と前記ブーム流量制御弁36の両パイロットポート36a,36bとの間に介在する。当該ブームパイロット弁46bは、前記ブームレバー46aに与えられる前記ブーム操作に連動して開弁し、前記両パイロットポートのうち前記ブーム操作の方向に対応するパイロットポートに対して当該ブーム操作の大きさに対応した大きさのブーム上げパイロット圧またはブーム下げパイロット圧が前記パイロット油圧源40から入力されることを許容するように開弁する。例えば、当該ブームパイロット弁46bは、前記ブームレバー46aにブーム上げ動作に対応した方向のブーム操作が与えられると、前記ブーム上げパイロットポート36aに対して前記ブーム操作の大きさに対応したブーム上げパイロット圧が供給されるのを許容するように開弁する。
【0047】
前記アーム操作器47は、前記アーム22を動かすためのアーム操作を受け、当該アーム操作に対応したアーム引きパイロット圧またはアーム押しパイロット圧が前記アーム流量制御弁37に入力されることを許容する。具体的に、当該アーム操作器47は、前記運転室内において前記アーム操作に相当する回動操作を受けることが可能なアームレバー47aと、当該アームレバー47aに連結されたアームパイロット弁47bと、を有する。
【0048】
前記アームパイロット弁47bは、前記パイロット油圧源40と前記アーム流量制御弁37の両パイロットポート37a,37bとの間に介在する。当該アームパイロット弁47bは、前記アームレバー47aに与えられる前記アーム操作に連動して開弁し、前記両パイロットポートのうち前記アーム操作の方向に対応するパイロットポートに対して当該アーム操作の大きさに対応した大きさのアーム引きパイロット圧またはアーム押しパイロット圧が前記パイロット油圧源40から入力されることを許容するように開弁する。例えば、当該アームパイロット弁47bは、前記アームレバー47aにアーム引き動作に対応した方向のアーム操作が与えられると、前記アーム引きパイロットポート37aに対して前記アーム操作の大きさに対応したアーム引きパイロット圧が供給されるのを許容するように開弁する。
【0049】
前記バケット操作器48は、前記バケット24を動かすためのバケット操作を受け、当該バケット操作に対応したバケット掬いパイロット圧またはバケット開きパイロット圧が前記バケット流量制御弁38に入力されることを許容する。具体的に、当該バケット操作器48は、前記運転室内において前記バケット操作に相当する回動操作を受けることが可能なバケットレバー48aと、当該バケットレバー48aに連結されたバケットパイロット弁48bと、を有する。
【0050】
前記バケットパイロット弁48bは、前記パイロット油圧源40と前記バケット流量制御弁38の両パイロットポート38a,38bとの間に介在する。当該バケットパイロット弁48bは、前記バケットレバー48aに与えられる前記バケット操作に連動して開弁し、前記両パイロットポートのうち前記バケット操作の方向に対応するパイロットポートに対して当該バケット操作の大きさに対応した大きさのバケット掬いパイロット圧またはバケット開きパイロット圧が前記パイロット油圧源40から入力されることを許容するように開弁する。例えば、当該バケットパイロット弁48bは、前記バケットレバー48aにバケット掬い動作に対応した方向のバケット操作が与えられると、前記バケット掬いパイロットポート38aに対して前記バケット操作の大きさに対応したバケット掬いパイロット圧が供給されるのを許容するように開弁する。
【0051】
前記油圧駆動装置は、さらに、第1ポンプ圧センサ51、第2ポンプ圧センサ52、エンジン回転数センサ53、ブームシリンダヘッド圧センサ56H、ブームシリンダロッド圧センサ56R、作業装置姿勢検出部60、及びモード切換スイッチ120を備える。
【0052】
前記第1ポンプ圧センサ51は、前記第1油圧ポンプ31の吐出圧である第1ポンプ圧P1を検出するポンプ圧検出器に相当する。前記第2ポンプ圧センサ52は、前記第2油圧ポンプ32の吐出圧である第2ポンプ圧P2を検出する。
【0053】
前記エンジン回転数センサ53は、前記第1及び第2油圧ポンプ31,32を駆動する前記エンジンの回転数を検出するものであり、本発明にいうブーム駆動用油圧ポンプの回転数であるポンプ回転数を検出するポンプ回転数検出器に相当する。この実施の形態では、前記エンジンの回転数が前記ブーム駆動用油圧ポンプである前記第1油圧ポンプ31の回転数と同等であるため、前記エンジン回転数センサ53により検出されるエンジン回転数がそのまま前記ポンプ回転数として採用される。
【0054】
しかし、前記の「ポンプ回転数検出器」は前記エンジン回転数センサ53に限定されない。当該ポンプ回転数検出器は、ブーム駆動用油圧ポンプの回転数を直接検出するものであってもよい。あるいは、前記エンジンをはじめとする動力源とブーム駆動用油圧ポンプとの間に減速機が介在する場合には、当該動力源の回転数を検出する回転数センサが生成する検出信号と前記減速機における減速比とに基づいてポンプ回転数が算定されてもよい。すなわち、動力源の回転数とブーム駆動用油圧ポンプの回転数とが異なる場合でも、両者の回転数の関係が特定されるのであれば、当該動力源の回転数を検出する回転数センサが「ポンプ回転数検出器」を構成することが可能である。
【0055】
また、ブーム駆動用油圧ポンプを駆動するための「動力源」はエンジンに限定されない。当該動力源は、例えば電動機であってもよい。また本発明は、ハイブリッド建設機械のように前記動力源としてエンジンと電動機とが併用される態様も包含する。
【0056】
前記ブームシリンダへッド圧センサ56H及び前記ブームシリンダロッド圧センサ56Rは、ブームシリンダ圧検出器を構成する。具体的に、前記ブームシリンダヘッド圧センサ56Hは、前記ブームシリンダ26のヘッド側室26hにおける作動油の圧力であるブームシリンダヘッド圧Phを検出し、前記ブームシリンダロッド圧センサ56Rは、前記ブームシリンダ26のロッド側室26rにおける作動油の圧力であるブームシリンダロッド圧Prを検出する。
【0057】
前記センサ51,52,56H及び56Rのそれぞれは、その検出した物理量をこれに対応する電気信号である検出信号に変換して前記コントローラ100に入力する。
【0058】
前記作業装置姿勢検出部60は、前記作業装置14の姿勢を特定するための情報である姿勢情報を検出する。具体的に、当該作業装置姿勢検出部60は、
図1に示すようなブーム角度センサ61、アーム角度センサ62、バケット角度センサ64及び車体傾斜センサ65を含む。前記ブーム角度センサ61は、前記機体に対する前記ブーム21の起伏角度であるブーム角度を検出し、前記アーム角度センサ62は、前記ブーム21に対する前記アーム22の回動角度であるアーム角度を検出し、前記バケット角度センサ64は前記アーム22に対する前記バケット24の回動角度であるバケット角度を検出し、前記車体傾斜センサ65は前記上部旋回体12の傾斜角度を検出する。これらのセンサ61,62,64,65により生成される電気信号である角度検出信号も、前記コントローラ100に入力される。
【0059】
前記モード切換スイッチ120は、運転室内に配置されるとともに、前記コントローラ100に電気的に接続される。当該モード切換スイッチ120は、前記コントローラ100の制御モードを手動操作モードと自動制御モードとに切換えるための操作を受けて当該操作に対応するモード指令信号を前記コントローラ100に入力する。
【0060】
前記コントローラ100は、前記モード切換スイッチ120から入力されるモード指令信号に応じて前記手動操作モードと前記自動制御モードとに切換えられる。当該コントローラ100は、前記手動操作モードでは、作業者によって前記ブーム操作器46、前記アーム操作器47及び前記バケット操作器48にそれぞれ与えられる前記ブーム操作、前記アーム操作及び前記バケット操作に対応して前記ブーム流量、前記アーム流量及び前記バケット流量がそれぞれ変化するように前記ブーム流量制御弁36、前記アーム流量制御弁37及び前記バケット流量制御弁38が作動するのを許容する。一方、当該コントローラ100は、前記自動制御モードでは、前記アーム操作に対応した前記アーム22の動きに伴って前記バケット24により施工される施工面が予め設定された目標施工面に近づくように前記アームシリンダ27の伸縮に応じて前記ブームシリンダ26(この実施の形態ではブームシリンダ26及びバケットシリンダ28)の作動を自動制御するように構成されている。
【0061】
具体的に、前記油圧駆動装置は、前記コントローラ100による前記ブームシリンダ26及び前記バケットシリンダ28の自動制御を可能にするための手段として、
図3に示すようなブーム上げ流量操作弁76A、ブーム下げ流量操作弁76B、バケット開き流量操作弁78、シャトル弁71A,71B及びシャトル弁72をさらに備える。
【0062】
前記ブーム上げ流量操作弁76Aは、前記ブーム操作器46とはパラレルに配置されながら前記パイロット油圧源40と前記ブーム上げパイロットポート36aとの間に介在し、前記パイロット油圧源40から前記ブーム上げパイロットポート36aに入力されるパイロット圧を前記コントローラ100から入力されるブーム流量指令信号に応じて(前記ブーム操作器46とは独立して)減圧することにより、前記ブーム上げパイロットポート36aに入力されるパイロット圧を前記コントローラ100が当該ブーム上げ流量操作弁76Aを通じて自動操作することを可能にする。前記シャトル弁71Aは、前記ブーム操作器46及び前記ブーム上げ流量操作弁76Aと前記ブーム上げパイロットポート36aとの間に介在し、前記ブーム操作器46の二次圧及び前記ブーム上げ流量操作弁76Aの二次圧のうち高い方の二次圧が最終的に前記ブーム上げパイロット圧として前記ブーム上げパイロットポート36aに入力されることを許容するように開弁する。
【0063】
同様に、前記ブーム下げ流量操作弁76Bは、前記ブーム操作器46とはパラレルに配置されながら前記パイロット油圧源40と前記ブーム下げパイロットポート36bとの間に介在し、前記パイロット油圧源40から前記ブーム下げパイロットポート36bに入力されるパイロット圧を前記コントローラ100から入力されるブーム流量指令信号に応じて(前記ブーム操作器46とは独立して)減圧することにより、前記ブーム下げパイロットポート36bに入力されるパイロット圧を前記コントローラ100が当該ブーム下げ流量操作弁76Bを通じて自動操作することを可能にする。前記シャトル弁71Bは、前記ブーム操作器46及び前記ブーム下げ流量操作弁76Bと前記ブーム下げパイロットポート36bとの間に介在し、前記ブーム操作器46の二次圧及び前記ブーム下げ流量操作弁76Bの二次圧のうち高い方の二次圧が最終的に前記ブーム下げパイロット圧として前記ブーム下げパイロットポート36bに入力されることを許容するように開弁する。
【0064】
また、前記バケット開き流量操作弁78は、前記バケット操作器48とはパラレルに配置されながら前記パイロット油圧源40と前記バケット開きパイロットポート38bとの間に介在し、前記パイロット油圧源40から前記バケット開きパイロットポート38bに入力されるパイロット圧を前記コントローラ100から入力されるバケット開き流量指令信号に応じて(前記バケット操作器48とは独立して)減圧することにより、前記バケット開きパイロットポート38bに入力されるパイロット圧を前記コントローラ100が当該バケット開き流量操作弁78を通じて自動操作することを可能にする。前記シャトル弁72は、前記バケット操作器48及び前記バケット開き流量操作弁78と前記バケット開きパイロットポート38bとの間に介在し、前記バケット操作器48の二次圧及び前記バケット開き流量操作弁78の二次圧のうち高い方の二次圧が最終的に前記バケット開きパイロット圧として前記バケット開きパイロットポート38bに入力されることを許容するように開弁する。
【0065】
前記流量操作弁76A,76B及び78のそれぞれは、電磁弁(例えば電磁比例減圧弁や電磁逆比例減圧弁)からなり、前記コントローラ100から入力される流量指令信号に対応して開度が変化するように開閉動作することにより、当該流量指令に対応した大きさのパイロット圧を生成する。
【0066】
前記コントローラ100は、前記手動操作モードでは、前記流量操作弁76A,76B,78のそれぞれを実質上全閉の状態にすることにより前記ブーム、アーム及びバケット流量制御弁36,37,38がそれぞれ前記ブーム、アーム及びバケット操作器46,47,48に与えられる操作に連動して開閉することを許容する。一方、前記コントローラ100は、前記自動制御モードでは、前記流量操作弁76A,76B,78のそれぞれに流量指令信号を入力することにより、アームシリンダ27の収縮動作によるアーム22のアーム引き動作に前記ブームシリンダ26及び前記バケットシリンダ28の動作を追従させる自動制御を実行する。
【0067】
具体的に、前記コントローラ100は、前記自動制御を実行するための機能として、
図2に示すような目標施工面設定部101、シリンダ長さ演算部102、シリンダ速度演算部103、目標シリンダ速度演算部104、バケット開き流量指令部105、重心位置演算部106、シリンダ推力演算部107、押付け力演算部108、目標押付け力設定部109、目標速度補正部110、ブーム流量指令部111、供給側絞り開度演算部112及びポンプ容量指令部113を有する。
【0068】
前記目標施工面設定部101は、前記キャブ18内に設けられた目標施工面入力部122により入力された施工面を記憶し、これを目標施工面として目標シリンダ速度演算部104に入力する。この目標施工面は、掘削対象である地盤の目標形状であって3次元の設計地形を特定する面である。当該目標施工面は、CIMなどの外部データによって特定されてもよいし、機体位置を基準にして設定されたものでもよい。
【0069】
前記シリンダ長さ演算部102は、前記作業装置姿勢検出部60により検出される前記姿勢情報に基づいて、前記ブームシリンダ26、前記アームシリンダ27及び前記バケットシリンダ28のシリンダ長さをそれぞれ演算する。前記シリンダ速度演算部103は、各シリンダ長さの時間微分によって前記ブームシリンダ26、前記アームシリンダ27及び前記バケットシリンダ28の伸縮速度であるシリンダ速度を演算する。つまり、この実施の形態に係る前記シリンダ長さ演算部102及び前記シリンダ速度演算部103は、前記姿勢情報に基づいて各シリンダ速度を算定するシリンダ速度算定部を構成する。
【0070】
前記目標シリンダ速度演算部104は、前記目標施工面設定部101により設定される前記目標施工面に基づき、当該目標施工面に沿ってバケット24の先端25を動かすために当該バケットの特定部位(例えば当該バケット24の先端部位またはアーム22の先端部に連結される部位)を動かす方向を特定する目標方向ベクトルを演算するとともに、当該目標方向ベクトルと、前記シリンダ速度演算部103により演算される前記シリンダ速度のそれぞれと、に基づき、目標ブームシリンダ速度Vboと、目標バケットシリンダ速度Vkoと、を演算する。
【0071】
前記目標ブームシリンダ速度Vboは、前記アームシリンダ27の伸長による前記アーム22の引き方向の動作に伴って前記バケット24が施工する面である施工面を前記目標施工面に近づけるための前記ブームシリンダ26のブーム上げ方向のシリンダ速度(この実施の形態では伸長方向の速度)の目標値であり、前記アームシリンダ27のシリンダ速度(伸長速度)に対応する速度値である。従って、前記目標ブームシリンダ速度Vboの方向が伸長方向である場合に当該目標ブームシリンダ速度Vboの値が正(+)に設定される。前記目標バケットシリンダ速度Vkoは、前記アーム22の引き方向の動作にかかわらず前記バケット24の姿勢を一定に保つ(つまり目標施工面に沿ってバケット24を平行移動させる)ための前記バケットシリンダ28のバケット開き方向のシリンダ速度(この実施の形態では収縮方向の速度)の目標値である。
【0072】
従って、前記目標シリンダ速度演算部104は、本発明に係る目標ブームシリンダ速度算定部を構成する。一方、前記目標バケットシリンダ速度Vkoの算定は必ずしも要しない。例えば、バケットシリンダ28が静止していること、すなわちアーム22に対するバケット24の角度が固定されていること、を前提に前記目標ブームシリンダ速度Vboが算定されてもよい。
【0073】
前記バケット開き流量指令部105は、前記目標バケットシリンダ速度Vkoを得るための目標バケット開き流量、つまり前記バケットシリンダ28のロッド側室28rに供給されるべき作動油の流量、を演算し、当該目標バケット開き流量を実現するためのバケット開き流量指令信号を生成して前記バケット開き流量操作弁78に入力する。当該バケット開き流量操作弁78は、当該バケット開き流量指令信号に対応した開度で開弁することにより、前記バケット流量制御弁38のバケット開きパイロットポート38bに入力されるパイロット圧を前記目標バケット開き流量を実現するようなパイロット圧に調節する。
【0074】
なお、前記目標シリンダ速度演算部104において前記目標バケットシリンダ速度Vkoが演算されない形態、つまりバケットシリンダ28の自動制御が省略される形態、においては、前記バケット開き流量指令部105及び前記バケット開き流量操作弁78は不要である。
【0075】
一方、前記シリンダ長さ演算部102は、前記重心位置演算部106、前記シリンダ推力演算部107及び前記押付け力演算部108とともに、前記バケット24を施工面に対して押付ける力である押付け力Fpを算定する押付け力算定部を構成する。
【0076】
具体的に、前記重心位置演算部106は、前記シリンダ長さ演算部102により演算される前記シリンダ長さのそれぞれに基づき、前記ブーム21、前記アーム22及び前記バケット24のそれぞれの重心位置を演算する。
【0077】
前記シリンダ推力演算部107は、前記ブームシリンダヘッド圧センサ56H及び前記アームシリンダロッド圧センサ56Rによりそれぞれ検出される前記ヘッド圧Ph及び前記ロッド圧Prに基づき、前記ブームシリンダ26のシリンダ推力Fctを演算する。当該シリンダ推力Fctは、ブームシリンダ26の伸長方向の推力を正とすると次式で表される。
【0078】
Fct=Ph*Ah-Pr*Ar
ここにおいて、Ahはブームシリンダ26のヘッド側室26hの断面積、Arはロッド側室26rの断面積であり、当該ロッド側室26rの断面積Arは、一般には、シリンダロッドの断面積の分だけヘッド側室26hの断面積Ahよりも小さい。
【0079】
前記押付け力演算部108は、前記重心位置演算部106により演算される前記ブーム21、前記アーム22及び前記バケット24のそれぞれの重心位置に基づき、当該作業装置14の回動支点であるブーム21のブームフットを中心とする前記作業装置14の自重による下向きのモーメントMwを演算するとともに、前記シリンダ推力Fctによるモーメント(シリンダ推力Fctが正の場合は上向きのモーメント)Mctと、を演算し、両モーメントMw,Mctに基づいて、前記バケット24の先端25を前記施工面に押付ける力である前記押付け力Fpを演算する。
【0080】
前記目標押付け力設定部109は、前記キャブ18内に設けられた目標押付け力入力部124により入力された押付け力を記憶してこれを目標押付け力Fpoとして目標速度補正部110に入力する。当該目標押付け力Fpoの値は、例えば、作業者のテンキー等の操作によって入力された値でもよいし、作業者が実際に作業装置14を操作してバケット24を地面に押付けた状態で設定スイッチを操作した時点で前記押付け力演算部108により演算される押付け力Fpが前記目標押付け力Fpoに設定されてもよい。
【0081】
前記目標速度補正部110は、前記押付け力演算部108により演算された前記押付け力Fpの前記目標押付け力Fpoに対する偏差ΔFp(=Fp-Fpo)を演算し、当該偏差ΔFpを0に近づける方向に前記目標ブームシリンダ速度Vboを補正する。つまり、前記押付け力Fpを前記目標押付け力Fpoに近づけるような前記目標ブームシリンダ速度Vboの補正を行う。
【0082】
前記ブーム流量指令部111は、前記ブーム上げ流量操作弁76A及び前記ブーム下げ流量操作弁76Bとともに、前記目標速度補正部110により補正された後の目標ブームシリンダ速度Vboが得られるように前記ブーム流量制御弁36を作動させるブーム流量操作部を構成する。具体的に、当該ブーム流量指令部111は、前記補正後の目標ブームシリンダ速度Vboを得るための目標ブーム上げ流量または目標ブーム下げ流量を演算し、当該目標ブーム上げ流量を実現するためのブーム上げ流量指令信号を生成して前記ブーム上げ流量操作弁76Aに入力するか、あるいは、当該目標ブーム下げ流量を実現するためのブーム下げ流量指令信号を生成して前記ブーム下げ流量操作弁76Bに入力する。
【0083】
この装置の特徴として、前記ブーム流量指令部111は、次のような演算制御動作を行う。
【0084】
(a)前記目標ブームシリンダ速度Vboの方向が前記シリンダ推力Fctの方向と一致するとき(すなわち両方向がいずれもシリンダ伸長方向またはシリンダ収縮方向であるとき;この実施の形態では目標ブームシリンダ速度Vbo及びシリンダ推力Fctの値がともに正、またはともに負であるとき)、前記ブーム流量指令部111は、前記第1油圧ポンプ31から前記ブームシリンダ26に供給される作動油の流量が前記目標ブームシリンダ速度Vboに対応した目標供給流量になるように、前記ブーム上げ流量操作弁76A及び前記ブーム下げ流量操作弁76Bのうち前記ブーム流量制御弁36の供給側の開口を操作する流量操作弁に対して前記目標供給流量に対応した前記ブーム上げ流量指令信号または前記ブーム下げ流量指令信号を入力する。
【0085】
具体的に、この実施の形態において「ブーム流量制御弁36の供給側の開口を操作する流量操作弁」に該当するのは、
図5に示すように目標ブームシリンダ速度Vbo及びシリンダ推力Fctの値がともに正であるときは、ブーム流量制御弁36が形成する開口のうちブーム上げ流量を特定する開口すなわちヘッド側室26hに通ずるヘッド側開口36hを操作するブーム上げ流量操作弁76Aであり、
図8に示すように目標ブームシリンダ速度Vbo及びシリンダ推力Fctの値がともに負であるときはブーム下げ流量を特定する開口すなわちロッド側室26rに通ずるロッド側開口36rを操作するブーム下げ流量操作弁76Bである。
【0086】
(b)前記目標ブームシリンダ速度Vboの方向が前記シリンダ推力Fctの方向と反対の方向であるとき(すなわち両方向のうちの一方がシリンダ伸長方向で他方がシリンダ収縮方向であるとき;この実施の形態では目標ブームシリンダ速度Vbo及びシリンダ推力Fctの値の一方が正で他方が負であるとき)、前記ブーム流量指令部111は、前記ブームシリンダ26から排出される作動油の流量が前記目標ブームシリンダ速度Vboに対応した目標排出流量になるように前記ブーム上げ流量操作弁76A及び前記ブーム下げ流量操作弁76Bのうち前記ブーム流量制御弁36の排出側の開口を操作する流量操作弁に対して前記目標排出流量に対応した前記ブーム上げ流量指令信号または前記ブーム下げ流量指令信号を入力する。具体的に、この実施の形態において「ブーム流量制御弁36の排出側の開口を操作する流量操作弁」に該当するのは、
図6に示すように目標ブームシリンダ速度Vboの値が正でシリンダ推力Fctの値が負であるときは、前記ブーム流量制御弁36が形成する開口のうちブーム下げ流量を特定する開口すなわちロッド側室26rに通ずるロッド側開口36rを操作するブーム下げ流量操作弁76Bであり、
図7に示すように目標ブームシリンダ速度Vboの値が負でシリンダ推力Fctの値が正であるときはブーム上げ流量を特定する開口すなわちヘッド側室26hに通ずるヘッド側開口36hを操作するブーム上げ流量操作弁76Aである。
【0087】
前記ブーム上げ及びブーム下げ流量操作弁76A,76Bは、いずれも、前記ブーム上げ流量指令信号またはブーム下げ流量指令信号の入力を受けるとその流量指令信号に対応した開度で開弁し、これにより、前記ブーム流量制御弁36のブーム上げ及びブーム下げパイロットポート36a,36bのうち対応するパイロットポートに入力されるパイロット圧を前記目標供給流量または前記目標排出流量を実現するようなパイロット圧に調節する。
【0088】
前記供給側絞り開度演算部112は、前記(b)のとき、すなわち、前記ブーム流量指令部111が前記ブームシリンダ26から排出される作動油の流量を制御するとき、において前記ブーム流量制御弁36が形成する開口のうち前記第1油圧ポンプ31から前記ブームシリンダ26への作動油の供給を許容する開口である供給側開口(すなわちメータイン開口)の面積に相当する供給側絞り開度を演算する。前記供給側開口(メータイン開口)は、
図6に示されるように目標ブームシリンダ速度Vboが正のときは前記ヘッド側開口36hであり、
図7に示されるように目標ブームシリンダ速度Vboが負のときは前記ロッド側開口36rである。
【0089】
前記ポンプ容量指令部113は、前記ポンプ容量操作弁31a,31bと協働して前記第1及び第2油圧ポンプ31,32のポンプ容量を変化させるものであり、前記供給側絞り開度演算部112及び前記ポンプ容量操作弁31bととともに、ブーム駆動油圧ポンプである前記第1油圧ポンプ31の容量を制御する「ポンプ容量制御部」を構成する。具体的に、当該ポンプ容量指令部113は、前記第1ポンプ31のポンプ容量について次のような演算制御動作を行う。
【0090】
(A)
図5及び
図8に示されるように前記目標ブームシリンダ速度Vboの方向が前記シリンダ推力Fctの方向と一致しているとき、前記ポンプ容量指令部113は、前記第1油圧ポンプ31から吐出される作動油の流量である第1ポンプ流量Qp1が前記目標供給流量とブームシリンダ外流量Qetとの和に相当する流量となるように前記第1油圧ポンプ31のポンプ容量を変化させるようなポンプ容量指令信号を前記エンジン回転数センサ53により検出されるエンジン回転数(すなわちポンプ回転数)に基づいて演算し、当該ポンプ容量指令信号を前記ポンプ容量操作弁31bに入力する。
【0091】
ここにおいて、前記目標供給流量は、
図5に示すように目標ブームシリンダ速度Vboが正のときは前記ブーム上げ流量操作弁76Aによって操作される前記ヘッド側開口36hを通過するヘッド側メータイン流量Qhmiであり、
図8に示すように目標ブームシリンダ速度Vboが負のときは前記ブーム下げ流量操作弁76Bによって操作される前記ロッド側開口36rを通過するロッド側メータイン流量Qrmiである。また、前記ブームシリンダ外流量Qetは、前記第1油圧ポンプ31から前記ブームシリンダ26以外の対象に供給されるべき作動油の流量であり、当該ブームシリンダ外流量Qetには、ブームシリンダ26を除く他の油圧アクチュエータ(この実施の形態では前記バケットシリンダ28を含む1または複数の油圧アクチュエータ)に供給すべき作動油の流量や、アンロード流量、油圧ポンプのリーク量等が含まれる。
【0092】
(B)前記目標ブームシリンダ速度Vboの方向が前記シリンダ推力Fctの方向と反対の方向であるときには、前記供給側絞り開度演算部112により演算される供給側絞り開度すなわちメータイン開口の開口面積に基づき、前記メータイン開口を通過して前記一対のブームシリンダ26に吸収される作動油の流量であるブームシリンダ吸収流量を演算し、前記第1ポンプ流量Qp1が前記ブームシリンダ吸収流量と前記ブームシリンダ外流量Qetとの和に相当する流量となるように前記第1油圧ポンプ31のポンプ容量を変化させるためのポンプ容量指令信号を前記エンジン回転数センサ53により検出されるエンジン回転数(すなわちポンプ回転数)に基づいて演算し、当該ポンプ容量指令信号を前記ポンプ容量操作弁31bに入力する。ここにおいて、「ブームシリンダ吸収流量」とは、
図6に示されるように目標ブームシリンダ速度Vboが正のときは、前記ヘッド側開口36hを通過して前記ヘッド側室26hに吸収されるヘッド側メータイン流量Qhmiであり、
図7に示されるように目標ブームシリンダ速度Vboが負のときは、前記ロッド側開口36rを通過して前記ロッド側室26rに吸収されるロッド側メータイン流量Qrmiである。
【0093】
次に、前記自動制御モードにおいて前記コントローラ100が前記ブームシリンダ26の駆動について行う演算制御動作及びこれに伴う油圧駆動装置の作用を、
図4のフローチャート及び
図5~
図8を併せて参照しながら説明する。
【0094】
コントローラ100は、当該コントローラ100に入力される信号、具体的には各センサの検出信号や指定信号を取り込む(
図4のステップS0)。指定信号には、オペレータによる目標施工面入力部122の操作により指定される目標施工面についての信号や、目標押付け力入力部124の操作により指定される目標押付け力Fpoについての信号が含まれる。これらの指定信号に基づき、前記コントローラ100の目標施工面設定部101及び目標押付け力設定部109はそれぞれ目標施工面及び目標押付け力Fpoの設定を行う(ステップS1)。
【0095】
次に、前記コントローラ100の目標シリンダ速度演算部104は、前記目標施工面と、シリンダ長さ演算部102及びシリンダ速度演算部103により算出される実際のシリンダ速度と、に基づき、アームシリンダ27のシリンダ速度に対応する目標ブームシリンダ速度Vboを算定する(ステップS2)。前記目標ブームシリンダ速度Vboは、上述のように、バケット24による施工面を前記目標施工面に近づけるように前記アーム22の引き方向の動作にブーム21の上げ方向の動作を連動させるために必要なブームシリンダ26の上げ方向の速度である。換言すれば、作業者によるアームレバー47の引き方向の操作に伴ってバケット24の特定部位(例えば当該バケット24の先端25、あるいは、アーム22の先端部に支持される基端部)が前記目標施工面に沿って移動するようにブームシリンダ26を作動させるべき速度である。従って、当該目標シリンダ速度Vboは、伸長方向のときは正の値、収縮方向のときは負の値、にそれぞれ設定される。
【0096】
一方、前記コントローラ100の押付け力算定部は、前記バケット24の先端25を施工面に対して押付ける押付け力Fpを算定する(ステップS3)。具体的には、前記シリンダ長さ演算部102により演算された各シリンダ長さに基づいて前記重心位置演算部106がブーム21、アーム22及びバケット24のそれぞれの重心位置を演算する。一方、前記ブームシリンダヘッド圧センサ56H及びロッド圧センサ56Rがそれぞれ検出するブームシリンダ26のヘッド圧Ph及びロッド圧Prに基づいてシリンダ推力演算部107が当該ブームシリンダ26のシリンダ推力Fct(=Ph*Ah-Pr*Ar)を演算する。当該シリンダ推力Fctの値は、当該シリンダ推力Fctの方向が前記アーム22の引き方向の動作に連動して前記ブーム21を動かすべき上げ方向(シリンダ伸長方向)である場合に正とされる。そして、前記押付け力演算部108は、前記各重心位置に基づいて前記作業装置14全体の自重による前記ブームフット回りの下向きのモーメントMwと、前記シリンダ推力Fctによる前記ブームフット回りの上向きのモーメントMctと、を演算し、両モーメントMw,Mctの差に基づいて前記押付け力Fpを算定する。
【0097】
さらに、前記コントローラ100の目標速度補正部110は、前記目標押付け力Fpoに対する前記押付け力Fpの偏差ΔFp(=Fp-Fpo)を演算し、当該偏差ΔFpを0に近づけるような前記目標ブームシリンダ速度Vboの補正を行う(ステップS4)。この補正は、例えば、前記偏差ΔFpに特定のゲインを乗じた補正量を前記目標ブームシリンダ速度Vboから差し引くことにより、行われる。
【0098】
次に、前記コントローラ100のブーム流量指令部111は、前記目標ブームシリンダ速度Vboの方向(つまり当該目標ブームシリンダ速度Vboの値の正負)と、前記シリンダ推力Fctの方向(つまり当該シリンダ推力Fctの値の正負)と、を判断し(ステップS5~S7)、当該判断に基づき、前記のように補正された目標ブームシリンダ速度Vboを得るようなブーム上げ流量指令信号またはブーム下げ指令信号を生成することにより、前記ブーム流量制御弁36の特定の絞り開口の制御を行う(ステップS8~S11)。さらに、当該絞り開口の制御に対応して、当該コントローラ100のポンプ容量指令部113はブーム駆動油圧ポンプである第1油圧ポンプ31のポンプ容量の制御を行う(ステップS12~S15)。
【0099】
具体的に、前記コントローラ100がブーム上げ流量またはブーム下げ流量及びポンプ容量について行う演算制御動作は次のとおりである。
【0100】
(I)
図5に示されるように、目標ブームシリンダ速度Vboが正であり(ステップS5でYES)かつシリンダ推力Fctも正である場合(ステップS6でYES)、前記ブーム流量指令部111は、ブーム流量制御弁36において制御されるべき絞り開口として、作動油がヘッド側室26hに供給されることを許容する開口であるヘッド側メータイン絞り開口(つまりヘッド側開口36h)を選定し、その制御を行う(ステップS8)。
【0101】
この場合に前記ヘッド側メータイン絞り開口を制御対象に選定する理由は次のとおりである。前記シリンダ推力Fctが正である状態、つまり、前記ブームシリンダ26のヘッド圧Phによる推力がロッド圧Prによる推力を上回っている状態は、バケット24の押付け力Fpの反力による上向きのモーメントに対して作業装置14の自重による下向きのモーメントが大きい状態であり、この状態において前記自重によるモーメントに抗して前記ブームシリンダ26を伸長させるには、前記シリンダ推力Fctをさらに大きくするようにブームシリンダ26のヘッド側室26hに作動油を積極的に押し込む必要がある。従って、この状態では当該ヘッド側室26hに供給される作動油の流量を決定するヘッド側メータイン絞り開口であるヘッド側開口36hの開度を調節することが、ブームシリンダ26の伸長速度を高精度で制御することを可能にする。
【0102】
そこで前記ブーム流量指令部111は、前記ヘッド側メータイン絞り開口(ヘッド側開口36h)の開度(開口面積)Ahmiを次式(1)に基づいて算定し、当該開度が得られるようなブーム上げ流量指令信号を生成してブーム上げ流量操作弁76Aに入力する。
【0103】
Ahmi=Qhmi/(C*√ΔPhmi) …(1)
この式(1)において、Qhmiは前記目標ブームシリンダ速度Vboを得るためにヘッド側室26hに供給されるべき作動油の流量であるヘッド側目標供給流量(へッド側目標メータイン流量)、Cは流量係数、ΔPhmiは前記ヘッド側開口36hの前後差圧であって前記第1ポンプ圧P1と前記ヘッド圧Phとの差に相当する(ΔPhmi=P1-Ph)。
【0104】
前記ブーム上げ流量操作弁76Aは、前記ブーム上げ流量指令信号に対応する大きさのブーム上げパイロット圧が当該ブーム上げ流量操作弁76Aを通じてブーム流量制御弁36のブーム上げパイロットポート36aに入力されるように開弁する。これにより、前記ブーム流量制御弁36は前記ヘッド側メータイン絞り開口面積Ahmiをもつヘッド側開口36hを形成するように開弁する。このようにして前記ブームシリンダ26のメータイン流量が制御される。
【0105】
さらに、前記コントローラ100のポンプ容量指令部113は、前記絞り開口制御に対応した第1ポンプ流量Qp1の制御を行う(ステップS12)。具体的に、当該ポンプ容量指令部113は、当該第1ポンプ流量Qp1が前記ヘッド側目標メータイン流量Qhmiと前記ブームシリンダ26以外の対象に供給すべき作動油の流量であるブームシリンダ外流量Qetとの和に相当する流量となるように、つまりQp1=Qhmi+Qetとなるように、前記第1油圧ポンプ31のポンプ容量を変化させるためのポンプ容量指令信号を生成し、これを前記第1油圧ポンプ31のポンプ容量操作弁31aに入力する。
【0106】
(II)
図6に示されるように、目標ブームシリンダ速度Vboは正であるが(ステップS5でYES)シリンダ推力Fctが負である場合(ステップS6でNO)、前記ブーム流量指令部111は、ブーム流量制御弁36において制御されるべき絞り開口として、ロッド側室26rから作動油が排出されるのを許容する開口であるロッド側メータアウト絞り開口(つまりロッド側開口36r)を選定し、その制御を行う(ステップS9)。
【0107】
この場合に制御対象として前記ロッド側メータアウト絞り開口が選定される理由は次のとおりである。前記シリンダ推力Fctが負である状態、つまり、前記ロッド圧Prによる推力が前記ヘッド圧Phによる推力を上回っている状態は、バケット24の押付け力Fpの反力による上向きのモーメントが大きくてブーム21にその自重に抗して上向きの荷重が働いている状態であり、この状態では前記シリンダ推力Fctの方向とは逆に前記荷重の向きに前記ブームシリンダ26が伸長する速度を制御する必要がある。この状態では、前記ロッド側室26rから排出される作動油の圧力が保持圧となるので、その排出される作動油の流量を決定するロッド側メータアウト絞り開口であるロッド側開口36rの開度を調節することが、前記ブームシリンダ26の伸長速度を高精度で制御することを可能にする。
【0108】
そこで、前記ブーム流量指令部111は、前記ロッド側メータアウト絞り開口(ロッド側開口36r)の開度(開口面積)Armoを次式(2)に基づいて算定し、当該開度が得られるようなブーム下げ流量指令信号を生成してブーム下げ流量操作弁76Bに入力する。
【0109】
Armo=Qrmo/(C*√ΔPrmo) …(2)
この式(2)において、Qrmoは前記目標ブームシリンダ速度Vboを得るために制限されるべき、前記ロッド側室26rから排出される作動油の流量である、ロッド側目標排出流量(目標メータアウト流量)である。ΔPrmoは前記ロッド側開口36rの前後差圧であり、前記ロッド圧Prと前記タンク圧Poとの差に相当する(ΔPrmo=Pr-Po)。
【0110】
前記ブーム下げ流量操作弁76Bは、前記ブーム下げ流量指令信号に対応する大きさのブーム下げパイロット圧が当該ブーム下げ流量操作弁76Bを通じてブーム流量制御弁36のブーム下げパイロットポート36bに入力されるように開弁する。これにより、前記ブーム流量制御弁36は前記ロッド側メータアウト絞り開口面積Armoをもつロッド側開口36rを形成するように開弁する。このようにして前記ブームシリンダ26のメータアウト流量が制御される。
【0111】
さらに、この場合には、前記コントローラ100の供給側絞り開度演算部112が供給側開口(ヘッド側メータイン絞り開口)であるヘッド側開口36hの開口面積であるヘッド側メータイン開口面積Ahmiを演算し、ポンプ容量指令部113は、当該開口面積Ahmiに基づいて当該ヘッド側開口36hを通じて前記一対のブームシリンダ26に吸収される作動油の流量(ブームシリンダ吸収流量)であるヘッド側メータイン流量Qhmiを演算し、これに基づいて第1ポンプ流量Qp1の制御を行う(ステップS13)。
【0112】
その理由は以下のとおりである。前記のように目標ブームシリンダ速度Vboの方向が前記シリンダ推力Fctの方向と逆である場合、前記第1油圧ポンプ31から吐出される作動油の一部は前記ブームシリンダ26の作動(伸長方向の作動)に伴い前記ブーム流量制御弁36のメータイン開口であるヘッド側開口36hを通じて前記ブームシリンダ26に吸収される。従って、この吸収される作動油の流量を見越して前記第1油圧ポンプ31のポンプ容量を設定することが、当該第1油圧ポンプ31からブームシリンダ26以外の対象に供給される作動油の流量を適正に確保することを可能にする。ここにおいて、制御対象となっているのは前記ヘッド側開口36hではなくロッド側開口36rであるが、当該ロッド側開口36rの開口面積(ロッド側メータアウト開口面積Armo)に対応するブーム流量制御弁36のスプールのストロークは特定されるので、当該ストロークに基づいて前記ヘッド側開口36hの開口面積(ヘッド側メータイン開口面積Ahmi)を演算することが可能である。
【0113】
そこで、前記供給側絞り開度演算部112は、前記ロッド側メータアウト開口面積Armoに基づいて前記ヘッド側開口36hの開口面積であるヘッド側メータイン開口面積Ahmiを演算し、前記ポンプ容量指令部113は、当該メータイン開口面積Ahmiに基づいてブームシリンダ吸収流量である前記ヘッド側メータイン流量Qhmiを演算するとともに、前記第1ポンプ流量Qp1が前記ヘッド側メータイン流量Qhmiと前記ブームシリンダ外流量Qetとの和に相当する流量となるように、つまりQp1=Qhmi+Qetとなるように、前記第1油圧ポンプ31のポンプ容量についてのポンプ容量指令信号を前記エンジン回転数センサ53により検出されるエンジン回転数(すなわちポンプ回転数)に基づいて生成し、これを前記第1油圧ポンプ31のポンプ容量操作弁31aに入力する。
【0114】
ここで、前記ヘッド側メータイン流量(ブームシリンダ吸収流量)Qhmiは次式(2A)により求められる。
【0115】
Qhmi=C*Ahmi*√ΔPhmi …(2A)
(III)
図7に示されるように、目標ブームシリンダ速度Vboは負であるが(ステップS5でNO)シリンダ推力Fctが正である場合(ステップS6でYES)、前記ブーム流量指令部111は、ブーム流量制御弁36において制御されるべき絞り開口として、ヘッド側室26hから作動油が排出されるのを許容するヘッド側メータアウト絞り開口(つまりヘッド側開口36h)を選定し、その制御を行う(ステップS10)。
【0116】
この場合に前記ヘッド側メータアウト絞り開口が制御対象に選定される理由は、前記(II)の場合と同様である。すなわち、前記シリンダ推力Fctが正である状態、つまり、バケット24の押付け力Fpの反力による上向きのモーメントよりも作業装置14の自重による下向きのモーメントが上回っている状態では、前記(II)の場合と同じく、前記シリンダ推力Fctの方向とは逆に前記ブーム21に作用する下向きの外力によって前記ブームシリンダ26が収縮する速度を制御する必要がある。この状態では、前記ヘッド側室26hから排出される作動油の圧力が保持圧となるので、その排出される作動油の流量を決定するヘッド側メータアウト絞り開口であるヘッド側開口36hの開度を調節することが、ブームシリンダ26の収縮速度を高精度で制御することを可能にする。
【0117】
そこで、前記ブーム流量指令部111は、前記ヘッド側メータアウト絞り開口の開度(ヘッド側開口36hの開口面積)Ahmoを次式(3)に基づいて算定し、当該開度が得られるブーム上げ流量指令信号を生成してブーム上げ流量操作弁76Aに入力する。
【0118】
Ahmo=Qhmo/(C*√ΔPhmo) …(3)
この式(3)において、Qhmoは前記目標ブームシリンダ速度Vboを得るために制限されるべき、前記ヘッド側室26hから排出される作動油の流量、つまりヘッド側目標排出流量(目標メータアウト流量)である。ΔPhmoは前記ヘッド側開口36hの前後差圧であり、前記ヘッド圧Phと前記タンク圧Poとの差に相当する(ΔPhmo=Ph-Po)。
【0119】
前記ブーム上げ流量操作弁76Aは、前記ブーム上げ流量指令信号に対応する大きさのブーム上げパイロット圧が当該ブーム上げ流量操作弁76Aを通じてブーム流量制御弁36のブーム上げパイロットポート36aに入力されるように開弁する。これにより、前記ブーム流量制御弁36は前記ヘッド側メータアウト絞り開口面積Ahmoをもつヘッド側開口36hを形成するように開弁する。このようにして前記ブームシリンダ26のメータアウト流量が制御される。
【0120】
さらに、この場合には、前記コントローラ100の供給側絞り開度演算部112が供給側開口すなわちロッド側メータイン絞り開口であるロッド側開口36rの開口面積であるロッド側メータイン開口面積Armiを演算するとともに、ポンプ容量指令部113は、当該開口面積Armiに基づいて当該ロッド側開口36rを通じて前記一対のブームシリンダ26に吸収される作動油の流量(ブームシリンダ吸収流量)であるロッド側メータイン流量Qrmiを演算し、これに基づいて第1ポンプ流量Qp1の制御を行う(ステップS14)。
【0121】
その理由は前記(II)の場合と同様である。すなわち、前記第1油圧ポンプ31から吐出される作動油の一部は前記ブームシリンダ26の作動(収縮方向の作動)に伴い前記ブーム流量制御弁36のメータイン開口であるロッド側開口36rを通じて前記ブームシリンダ26に吸収されるので、この吸収される作動油の流量を見越して前記第1油圧ポンプ31のポンプ容量を設定することが、当該第1油圧ポンプ31からブームシリンダ26以外の対象に供給される作動油の流量を十分に確保することを可能にする。また、制御対象であるヘッド側開口36hの開口面積(ヘッド側メータアウト開口面積Ahmo)に対応するブーム流量制御弁36のスプールのストロークは特定されるので、当該ストロークから前記ロッド側開口36rの開口面積(ロッド側メータイン開口面積Armi)を演算することが可能である。
【0122】
そこで、前記供給側絞り開度演算部112は、前記ヘッド側メータアウト開口面積Ahmoに基づいて前記ロッド側開口36rの開口面積であるロッド側メータイン開口面積Armiを演算し、前記ポンプ容量指令部113は、当該メータイン開口面積Armiに基づいてブームシリンダ吸収流量である前記ロッド側メータイン流量Qrmiを演算するとともに、前記第1ポンプ流量Qp1が前記ロッド側メータイン流量Qrmiと前記ブームシリンダ外流量Qetとの和に相当する流量となるように、つまりQp1=Qrmi+Qetとなるように、前記第1油圧ポンプ31のポンプ容量についてのポンプ容量指令信号を前記エンジン回転数(すなわちポンプ回転数)に基づいて生成し、これを前記第1油圧ポンプ31のポンプ容量操作弁31aに入力する。
【0123】
ここで、前記ロッド側メータイン流量(ブームシリンダ吸収流量)Qrmiは次式(3A)により求められる。
【0124】
Qrmi=C*Armi*√ΔPrmi …(3A)
(IV)
図8に示されるように、目標ブームシリンダ速度Vboが負であり(ステップS5でNO)かつシリンダ推力Fctも負である場合(ステップS6でNO)、前記ブーム流量指令部111は、ブーム流量制御弁36において制御されるべき絞り開口として、作動油がロッド側室26rに供給されることを許容する開口であるロッド側メータイン絞り開口(つまりロッド側開口36r)を選定し、その制御を行う(ステップS11)。
【0125】
この場合に前記ヘッド側メータイン絞り開口が制御対象に選定される理由は前記(I)の場合と同様である。すなわち、前記シリンダ推力Fctが負である状態、つまり、バケット24の押付け力Fpの反力による上向きのモーメントが大きい状態では、当該上向きのモーメントに抗して前記ブームシリンダ26を収縮させるべく、前記シリンダ推力Fctの絶対値がさらに大きくなるようにブームシリンダ26のロッド側室26rに作動油を積極的に押し込む必要があるので、当該ロッド側室26rに供給される作動油の流量を決定するロッド側メータイン絞り開口であるロッド側開口36rの開度を調節することが、前記ブームシリンダ26の収縮速度を高い精度で制御することを可能にする。
【0126】
そこで、前記ブーム流量指令部111は、前記ロッド側メータイン絞り開口(ロッド側開口36r)の開度(開口面積)Armiを次式(4)に基づいて算定し、当該開度が得られるブーム下げ流量指令信号を生成してブーム下げ流量操作弁76Bに入力する。
【0127】
Armi=Qrmi/(C*√ΔPrmi) …(1)
この式(1)において、Qrmiは前記目標ブームシリンダ速度Vboを得るためにロッド側室26rに供給されるべき作動油の流量であるロッド側目標供給流量(目標メータイン流量)であり、ΔPrmiは前記ロッド側開口36rの前後差圧であって前記第1ポンプ圧P1と前記ロッド圧Prとの差に相当する(ΔPhmi=P1-Ph)。
【0128】
前記ブーム下げ流量操作弁76Bは、前記ブーム下げ流量指令信号に対応する大きさのブーム下げパイロット圧が当該ブーム下げ流量操作弁76Bを通じてブーム流量制御弁36のブーム下げパイロットポート36bに入力されるように開弁する。これにより、前記ブーム流量制御弁36は前記ロッド側メータイン絞り開口面積Armiをもつロッド側開口36rを形成するように開弁する。このようにして前記ブームシリンダ26のメータイン流量が制御される。
【0129】
さらに、前記コントローラ100のポンプ容量指令部113は、前記絞り開口制御に対応した第1ポンプ流量Qp1の制御を行う(ステップS15)。具体的に、当該ポンプ容量指令部113は、当該第1ポンプ流量Qp1が前記ロッド側目標メータイン流量Qrmiと前記ブームシリンダ外流量Qetとの和に相当する流量となるように、つまりQp1=Qrmi+Qetとなるように、前記第1油圧ポンプ31のポンプ容量を変化させるためのポンプ容量指令信号を生成し、これを前記第1油圧ポンプ31のポンプ容量操作弁31aに入力する。
【0130】
本発明は、以上説明した実施の形態に限定されない。本発明は、例えば次のような態様を含むことが可能である。
【0131】
(1)押付け力の算定及びその偏差に基づく目標ブームシリンダ速度の補正について
本発明において、押付け力Fpの算定及びその偏差ΔFpに基づく目標ブームシリンダ速度の補正は必須ではなく、省略されてもよい。また、当該偏差に基づく目標ブームシリンダ速度の補正が行われる場合にも、押付け力の算定は上述したものに限定されない。例えば、作業装置14の自重によるモーメントはその姿勢によらず一定とみなしてブームシリンダ26のシリンダ推力Fctのみに基づいて押付け力Fpの算定が簡易的に行われてもよい。また、算定された後の目標ブームシリンダ速度を補正するのではなく、当該目標ブームシリンダ速度を算定するための前記目標方向ベクトルが補正されてもよい。
【0132】
(2)ブーム流量制御弁について
本発明に係るブーム流量制御弁の具体的な構成は限定されない。前記実施の形態に係るブーム流量制御弁36は、単一のスプールのストロークによってヘッド側開口36h及びロッド側開口36rの双方の開口面積を変化させるパイロット操作式の3位置方向切換弁により構成されるが、本発明に係るブーム流量制御弁は、例えば、
図5に示されるヘッド側開口36h及びロッド側開口36rをそれぞれ互いに独立して形成するヘッド側流量制御弁及びロッド側流量制御弁の組合せであってもよい。その場合も、本発明に係るブーム流量操作部は、目標ブームシリンダ速度の方向とシリンダ推力の方向とに基づいて前記ヘッド側制御弁及びロッド側制御弁の中から操作すべき制御弁を選定することにより、前記実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0133】
(3)目標ブームシリンダ速度の算定について
目標ブームシリンダ速度の算定手法は、前記実施の形態における算定手法に限定されない。当該目標ブームシリンダ速度は、例えば、作業装置の姿勢を特定する姿勢情報と目標ブームシリンダ速度との関係について予め用意されたマップに基づき、実際の姿勢情報に対応して特定されてもよい。
【0134】
(4)アームの作動方向について
前記実施の形態は、アーム22のアーム引き方向の動きに対応してブームシリンダ26のシリンダ速度を制御するものであるが、本発明は、アームのアーム押し方向の動きやアーム引き方向及びアーム押し方向の往復動作に追従したブームシリンダの制御にも適用されることが可能である。例えば、アームの押し方向の動きに伴ってブームシリンダの収縮方向のシリンダ速度の制御が行われる場合でも、その目標ブームシリンダ速度の方向とシリンダ推力の方向とに基づいてブーム上げ流量及びブーム下げ流量のうち制御すべき流量(供給側流量または排出側流量)を選定することにより、前記と同様の効果を得ることが可能である。
【符号の説明】
【0135】
10 下部走行体(機体)
12 上部旋回体(機体)
14 作業装置
21 ブーム
22 アーム
24 バケット
26 ブームシリンダ
26h ヘッド側室
26r ロッド側室
27 アームシリンダ
28 バケットシリンダ
31 第1油圧ポンプ(ブーム駆動油圧ポンプ)
31a ポンプ容量操作弁(ポンプ容量制御部を構成)
36 ブーム流量制御弁
40 パイロット油圧源
46 ブーム操作器
47 アーム操作器
48 バケット操作器
52 ポンプ圧センサ
53 エンジン回転数センサ(ポンプ回転数検出器)
56H ブームシリンダヘッド圧センサ(ブームシリンダ圧検出器)
56R ブームシリンダロッド圧センサ(ブームシリンダ圧検出器)
60 作業装置姿勢検出部
76A ブーム上げ流量操作弁(ブーム流量操作部)
76B ブーム下げ流量操作弁(ブーム流量操作部)
100 コントローラ
101 目標施工面設定部
102 シリンダ長さ演算部(目標シリンダ速度算定部及び押付け力算定部)
103 シリンダ速度演算部(目標シリンダ速度算定部)
104 目標シリンダ速度演算部(目標シリンダ速度算定部)
106 重心位置演算部(押付け力算定部)
107 シリンダ推力演算部(押付け力算定部)
108 押付け力演算部(押付け力算定部)
109 目標押付け力設定部
110 目標速度補正部
111 ブーム流量指令部(ブーム流量操作部)
112 供給側絞り開度演算部
113 ポンプ容量指令部(ポンプ容量制御部)