(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-27
(45)【発行日】2022-07-05
(54)【発明の名称】工作機械、ねじ転造工具およびねじ転造方法
(51)【国際特許分類】
B21H 3/04 20060101AFI20220628BHJP
【FI】
B21H3/04 C
(21)【出願番号】P 2018179514
(22)【出願日】2018-09-25
【審査請求日】2021-06-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000137856
【氏名又は名称】シチズンマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002343
【氏名又は名称】特許業務法人 東和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】千田 国秀
【審査官】石川 健一
(56)【参考文献】
【文献】独国実用新案第29717292(DE,U1)
【文献】米国特許第3681802(US,A)
【文献】特開昭62-028037(JP,A)
【文献】実開平03-081235(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21H 3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状のワークを同軸上で把持して回転する主軸と、前記ワークにネジ部を形成するねじ転造工具とを備え、前記ねじ転造工具が、前記ネジ部の加工に関して、前記ワークに対して作用する状態である閉状態と非作用な状態である開状態とに切り替え可能に構成され、前記ワークを、前記ねじ転造工具と同心の状態で回転させながら、前記閉状態のねじ転造工具に挿入することによって前記ネジ部を形成する工作機械であって、
前記ねじ転造工具の前記開状態と前記閉状態との切り替えを操作する操作部と相互に係合する係合部を前記主軸側に設け、
前記係合部が、前記ワークと前記ねじ転造工具との同心の状態で前記操作部と係合可能に配置され、
前記操作部と前記係合部との係合状態で前記主軸を回転させることによって、前記ねじ転造工具の前記開状態と前記閉状態とが切り替えられる、工作機械。
【請求項2】
前記操作部が、前記主軸に向かって突出するピンからなり、
前記係合部が、前記ピンと嵌合するピン穴からなり、
前記ピンと前記ピン穴とが、前記主軸の回転軸から偏心した位置に配置されている、請求項1に記載の工作機械。
【請求項3】
前記ピンが、前記ねじ転造工具の外周面に設けられた開閉レバーに形成された、請求項2に記載の工作機械。
【請求項4】
前記ピンが、前記主軸と対向する前記ねじ転造工具の対向面に形成された、請求項2に記載の工作機械。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の工作機械に用いる、ねじ転造工具。
【請求項6】
棒状のワークを同軸上で把持して回転する主軸と、前記ワークにネジ部を形成するねじ転造工具とを備えた工作機械において、前記ねじ転造工具が、前記ネジ部の加工に関して、前記ワークに対して作用する状態である前記ネジ部を形成する前の閉状態と、非作用な状態である前記ネジ部を形成した後の開状態とに切り替え可能に構成され、前記ワークを、前記ねじ転造工具と同心の状態で回転させながら、前記閉状態のねじ転造工具に挿入することによって前記ネジ部を形成するねじ転造方法であって、
前記ネジ部を形成するねじ転造工程の後に前記ねじ転造工具と前記ワークとを離反させる工具離反工程と、
前記工具離反工程の後に前記ネジ部が形成された前記ワークを切り落とすワーク突っ切り工程と、
前記ワーク突っ切り工程の後に前記ねじ転造工具と前記主軸とを接近移動させて、前記ねじ転造工具の前記開状態と前記閉状態との切り替えを操作する操作部と該操作部と相互に係合する前記主軸側に設けられた係合部とを相互に係合させる係合工程と、
前記係合工程の後に前記ねじ転造工具を前記開状態から前記閉状態へ前記主軸を回転させることによって切り替える工具閉工程とを備えている、ねじ転造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工作機械、ねじ転造工具およびねじ転造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、工作機械のタレットに装着するねじ転造ヘッドとして、パレットに取り付けられた平板状のワークに対して雄ネジを形成するものが知られている(例えば、特許文献1)
【0003】
また、タレットに装着するねじ転造ヘッドのうち、丸棒状のワークに対して雄ネジを形成するねじ転造ヘッドとして、
図7に示すねじ転造工具500が知られている。
転造工具500は、雄ネジ部を形成する際にワークと当接するロール510と、クラッチを開放してワークとロール510との当接を解除するクラッチ機構と、クラッチを閉じて雄ネジ部を形成する際にワークとロール510とを当接させるハンドル520とを備えている。
【0004】
このねじ転造工具500を用いてワークに雄ネジ部を形成する場合、クラッチを閉じた状態(閉状態)で、前記ワークを、前記ねじ転造工具500と同心の状態で回転させ、ねじ転造工具500をワークに向けて直線移動することで、前記閉状態のねじ転造工具500にワークを挿入すると、ワークとロール510とが当接し、ワークに雄ネジ部が形成される。
そして、所定長さに亘って雄ネジ部が形成された段階でクラッチが自動的に開放され(開状態)、ワークとロール510との当接が解除され、ワークをねじ転造工具500から取り出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このようなねじ転造工具500において、閉状態から開状態になった後、再度閉状態に戻すためにはハンドル520を都度手動で操作する必要があるため、この度重なる手動操作が面倒であり、ねじ転造加工の効率化が望めないという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、前述したような従来技術の問題を解決するものであって、すなわち、本発明の目的は、開状態から閉状態への切替を自動的に行えるねじ転造工具およびこれを備える工作機械を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、第1に、棒状のワークを同軸上で把持して回転する主軸と、前記ワークにネジ部を形成するねじ転造工具とを備え、前記ねじ転造工具が、前記ネジ部の加工に関して、前記ワークに対して作用する状態である閉状態と非作用な状態である開状態とに切り替え可能に構成され、前記ワークを、前記ねじ転造工具と同心の状態で回転させながら、前記閉状態のねじ転造工具に挿入することによって前記ネジ部を形成する工作機械であって、前記ねじ転造工具の前記開状態と前記閉状態との切り替えを操作する操作部と相互に係合する係合部を前記主軸側に設け、前記係合部が、前記ワークと前記ねじ転造工具との同心の状態で前記操作部と係合可能に配置され、前記操作部と前記係合部との係合状態で前記主軸を回転させることによって、前記ねじ転造工具の前記開状態と前記閉状態とが切り替えられることを特徴とする。
【0009】
第2に、前記操作部が、前記主軸に向かって突出するピンからなり、前記係合部が、前記ピンと嵌合するピン穴からなり、前記ピンと前記ピン穴とが、前記主軸の回転軸から偏心した位置に配置されていることを特徴とする。
【0010】
第3に、前記ピンが、前記ねじ転造工具の外周面に設けられた開閉レバーに形成されたことを特徴とする。
【0011】
第4に、前記ピンが、前記主軸と対向する前記ねじ転造工具の対向面に形成されたことを特徴とする。
【0012】
第5に、上記いずれかの工作機械に用いるねじ転造工具であることを特徴とする。
【0013】
第6に、棒状のワークを同軸上で把持して回転する主軸と、前記ワークにネジ部を形成するねじ転造工具とを備えた工作機械において、前記ねじ転造工具が、前記ネジ部の加工に関して、前記ワークに対して作用する状態である前記ネジ部を形成する前の閉状態と、非作用な状態である前記ネジ部を形成した後の開状態とに切り替え可能に構成され、前記ワークを、前記ねじ転造工具と同心の状態で回転させながら、前記閉状態のねじ転造工具に挿入することによって前記ネジ部を形成するねじ転造方法であって、前記ネジ部を形成するねじ転造工程の後に前記ねじ転造工具と前記ワークとを離反させる工具離反工程と、前記工具離反工程の後に前記ネジ部が形成された前記ワークを切り落とすワーク突っ切り工程と、前記ワーク突っ切り工程の後に前記ねじ転造工具と前記主軸とを接近移動させて、前記ねじ転造工具の前記開状態と前記閉状態との切り替えを操作する操作部と該操作部と相互に係合する前記主軸側に設けられた係合部とを相互に係合させる係合工程と、前記係合工程の後に前記ねじ転造工具を前記開状態から前記閉状態へ前記主軸を回転させることによって切り替える工具閉工程とを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、複数個のワークのそれぞれに対してネジ部を形成する場合において、1個のワークに対してネジ部の形成が終わった段階で、ねじ転造工具の開状態から閉状態への切替を自動的に行えることが可能となるため、ねじ転造加工の効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の第1実施例である工作機械を示す斜視図。
【
図3A】本発明の第1実施例であるねじ転造工具を示す斜視図。
【
図3B】本発明の第1実施例であるねじ転造工具を示す正面図。
【
図4A】ワークに雄ネジ部を加工する手順を示す図。
【
図4B】ワークに雄ネジ部を加工する手順を示す図。
【
図4C】ワークに雄ネジ部を加工する手順を示す図。
【
図5】本発明の第2実施例であるねじ転造工具を示す斜視図。
【
図6】本発明の第3実施例であるねじ転造工具を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、棒状のワークを同軸上で把持して回転する主軸と、ワークにネジ部を形成するねじ転造工具とを備え、ねじ転造工具が、ネジ部の加工に関して、ワークに対して作用する状態である閉状態と非作用な状態である開状態とに切り替え可能に構成され、ワークを、ねじ転造工具と同心の状態で回転させながら、閉状態のねじ転造工具に挿入することによってネジ部を形成する工作機械であって、ねじ転造工具の開状態と閉状態との切り替えを操作する操作部と相互に係合する係合部を主軸側に設け、係合部が、ワークとねじ転造工具との同心の状態で操作部と係合可能に配置され、操作部と係合部との係合状態で主軸を回転させることによって、ねじ転造工具の開状態と閉状態とが切り替えられることにより、ワークに対する開状態から閉状態への切替を自動的に行えるものであれば、その具体的な実施態様は、如何なるものであっても構わない。
【実施例1】
【0017】
以下、
図1乃至
図4Gに基づいて、本発明の第1実施例である工作機械100について説明する。
【0018】
まず、
図1および
図2に基づいて、本発明の第1実施例である工作機械100の概要について説明する。
図1は本発明の第1実施例である工作機械を示す斜視図であり、
図2は本発明の第1実施例である主軸の正面図である。
【0019】
工作機械100は、丸棒状のワークWを把持して回転する主軸110と、この主軸110に対向配置されたタレット120とを備えている。
主軸110とタレット120とは、制御装置によって制御されている。
【0020】
主軸110は、
図2に示す回転軸Osを中心に回転する。
主軸110には、主軸110と同心でチャックが設けられている。
ワークWは、チャックによって把持されている。
主軸110の回転軸Osと、ワークWの回転軸とは一致する。
また、主軸110には、正面視で円形のピン穴111が形成されている。
このピン穴111の中心軸Csは、その軸線方向が主軸110の回転軸Osの軸線方向と同じで、回転軸Osから距離Lsだけ離間している。
【0021】
タレット120は正面視において八角形状であり、その旋回軸の軸線方向は主軸110の回転軸Osの軸線方向と同じである。
また、タレット120には、主軸110に把持されたワークWを加工する工具が着脱可能に装着されている。
本実施例では、工具として、ねじ転造工具130が装着されている。
【0022】
次に、
図3Aおよび
図3Bに基づいて、ねじ転造工具について説明する。
図3Aは本発明の第1実施例であるねじ転造工具を示す斜視図であり、
図3Bは本発明の第1実施例であるねじ転造工具を示す正面図である。
【0023】
ねじ転造工具130は、ワークに雄ネジ部を形成する際にワークと当接する3個のロール131と、クラッチを開放してワークとロール131との当接を解除するクラッチ機構と、ワークに雄ネジ部を形成しない開状態からクラッチを閉じてワークに雄ネジ部を形成可能な閉状態へ切り替える開閉レバー132とを有した従来公知の構造である。
【0024】
開閉レバー132は、ねじ転造工具130の外周面に設けられている。
そして、開閉レバー132の主軸110と対向する面には、主軸110に向かって突出する円柱状のピン132aが形成されている。
このピン132aの中心軸Ctは、その軸線方向がねじ転造工具130の回転軸Otの軸線方向と同じで、回転軸Otから距離Ltだけ偏心した位置に配置されている。
また、ピン132aの直径φtは主軸110のピン穴111の直径φsよりもやや小さくなっており、主軸110の回転軸Osからピン穴111の中心軸Csまでの距離Lsとねじ転造工具130の回転軸Otからピン132aの中心軸Ctまでの距離Ltとはほぼ等しくなっている。
これにより、ピン132aは、ピン穴111に嵌合自在となっている。
【0025】
次に
図4A乃至
図4Gに基づいて、ワークに対するねじ転造方法について説明する。
図4A乃至
図4Cはワークに雄ネジ部を加工する手順を示す図であり、
図4Dはワークを突っ切る手順を示す図であり、
図4E乃至
図4Gはねじ転造工具を閉状態にする手順を示す図である。
【0026】
ワークWに雄ネジ部を形成する際、まず
図4Aに示すように、主軸110の回転軸Osとねじ転造工具130の回転軸Otとを一致させる。
そして、主軸110を回転してワークWを回転させる。
この状態でタレット120を主軸110に向けて直線移動させることで、ねじ転造工具130が主軸110に向けて直線移動する。
なお、このとき、ねじ転造工具130はワークWに対して作用する閉状態になっており、開閉レバー132の位置はA(
図3B参照)となっている。
【0027】
ねじ転造工具130を主軸110に向けて直線移動させていくと、ねじ転造工具130が閉状態であるため、ワークWが閉状態のねじ転造工具130に挿入され、ロール131がワークWと当接して雄ネジ部が形成されていく(ねじ転造工程)。
ねじ転造工具130の直線移動が進み、ワークWへの雄ネジ部の形成が完了すると、従来と同様にねじ転造工具130が自動的にワークWに対して作用しない非作用な開状態になる(
図4B)。
ねじ転造工具130が開状態になると、開閉レバー132が
図3に示すAの位置からBの位置へと回転軸Otに対して回動する。
【0028】
ねじ転造工具130が開状態になった後、主軸110の回転を止める。
そして、タレット120を主軸110(回転軸Os)の軸線方向に沿って主軸110から離反する方向に移動させ、ねじ転造工具130をワークWから離反させる(工具離反工程;
図4C)。
【0029】
ねじ転造工具130がワークWから十分に離反した後、
図4Dに示すように、主軸110を回転させつつ突っ切り工具TをワークWの軸線に垂直な方向に突っ切るように移動させ、ワークWを主軸110から切り落とす(ワーク突っ切り工程)。
【0030】
ワークWを主軸110から切り落とした後、主軸110を回転させて主軸110のピン穴111の中心軸Csとねじ転造工具130のピン132aの中心軸Ctとを一致させる(
図4E)。
【0031】
この状態でタレット120を主軸110(回転軸Os)の軸線方向に沿って主軸110に近接する方向に接近移動させ、ねじ転造工具130を主軸110に向けて接近移動させて、ねじ転造工具130のピン132aを主軸110のピン穴111に挿入する(
図4F)。
これにより、ねじ転造工具130の開状態と閉状態との切り替えを操作する操作部となるピン132aと、係合部となるピン穴111とが相互に係合される(係合工程)。
【0032】
この状態で、主軸110を所定角度だけ回転させて、ねじ転造工具130の開閉レバー132の位置をBからAにする(
図4G)。
これにより、ねじ転造工具130が、開状態から閉状態へ切り替えられる(工具閉工程)。
なお、本実施例において、主軸110を時計回りに回転させることによりねじ転造工具130は閉状態に切り替えられるが、工具閉工程における主軸110の回転方向はねじ転造工具130に応じて、反時計回りであってもよい。
【0033】
この状態で、ねじ転造工具130を主軸110から離反させて、ワークWを主軸110から繰り出す。
【0034】
以上説明したように、主軸110とねじ転造工具130とが、ピン132aとピン穴111を介して係合した状態で主軸110がねじ転造工具130を操作することで、ワークWに雄ネジ部を形成しない開状態からワークWに雄ネジ部を形成可能な閉状態へ切り替えられる。
【0035】
なお、ピン132aとピン穴111が係合した状態で主軸110の回転を固定し、タレット120の移動によりねじ転造工具130を主軸110に対して回転させることによって、相対的に主軸110をねじ転造工具130に対して回転させ、ねじ転造工具130を開状態から閉状態に切り替えてもよい。
【0036】
上述した本発明の第1実施例である工作機械100によれば、複数個のワークWのそれぞれに対して雄ネジ部ETを形成する場合において、1個のワークWに対して雄ネジ部ETの形成が終わった段階で、ワークWに対する開状態から閉状態への切替を自動的に行えることが可能となるため、ワークWに対するねじ転造加工の効率を向上させることができる。
【0037】
また、距離Ls分だけねじ転造工具130に加えるトルクを大きくできるため、主軸110によって、比較的低トルクでねじ転造工具130の状態を切り替えることができることができる。
【0038】
また、突っ切り工程後に、主軸110がねじ転造工具130に近接して、ねじ転造工具130を開状態から閉状態に切替操作するため、切削工具とピン132aとの接触を回避することができる。
なお、ねじ転造工具130をワークWから離反させる際、タレット120を主軸110(回転軸Os)の軸線方向に直交する方向に沿って移動させることもできる。
【実施例2】
【0039】
次に、本発明の第2実施例であるねじ転造工具を示す斜視図である
図5に基づいて本発明の第2実施例であるねじ転造工具230について説明する。
第2実施例のねじ転造工具230は、第1実施例のねじ転造工具130における開閉レバー132の内部構造を変更したものであり、多くの要素について第1実施例のねじ転造工具130と共通するので、共通する事項については詳しい説明を省略し、下2桁が共通する200番台の符号を付すのみとする。
【0040】
図5に示すように、開閉レバー232は、主軸110のピン穴111に挿入されるピン232aと、ピン232aを収容する側面視L字状で中空のハウジング232bと、ハウジング232b内に挿入されてピン232aを付勢するバネ232cと、ハウジング232bに螺合されてバネ232cを固定する封止栓232dとを備えている。
このように開閉レバー232が構成されていることにより、ピン232aが前後方向に移動可能となり、バネ232cが収縮してピン232aが後退するため、ピン232aの損傷を防ぐことができる。
【実施例3】
【0041】
次に、本発明の第3実施例であるねじ転造工具を示す斜視図である
図6に基づいて本発明の第3実施例であるねじ転造工具330について説明する。
第3実施例のねじ転造工具330は、第1実施例のねじ転造工具130におけるピン132aの位置を変更したものであり、多くの要素について第1実施例のねじ転造工具130と共通するので、共通する事項については詳しい説明を省略し、下2桁が共通する300番台の符号を付すのみとする。
【0042】
図6に示すように、ねじ転造工具330では、ワークWに雄ネジ部ETを形成する際に主軸110と対向する対向面333にピン333aが設けられている。
【0043】
上述した本発明の第3実施例であるねじ転造工具330によれば、ピンをねじ転造工具の側方に設けた場合に比べてねじ転造工具の中心軸からピンの中心軸までの距離を短くすることができるため、比較的小径な主軸であってもワークWに対する開状態から閉状態への切替を行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0044】
100 ・・・ 工作機械
110 ・・・ 主軸
111 ・・・ ピン穴(係合部)
120 ・・・ タレット
130、 230、 330 ・・・ ねじ転造工具
131、 331 ・・・ ロール
132、 232 ・・・ 開閉レバー
132a、232a、 ・・・ ピン(操作部)
232b ・・・ ハウジング
232c ・・・ バネ
232d ・・・ 封止栓
333 ・・・ 対向面
333a ・・・ ピン(操作部)
500 ・・・ ねじ転造工具
510 ・・・ ロール
520 ・・・ ハンドル
W ・・・ ワーク
ET ・・・ 雄ネジ部(ネジ部)
T ・・・ 突っ切り工具
Os ・・・ 主軸の回転軸
Cs ・・・ ピン穴の長手方向の中心軸
φs ・・・ ピン穴の直径
Ls ・・・ 回転軸から中心軸までの距離
Ot ・・・ ねじ転造工具の回転軸
Ct ・・・ ピンの長手方向の中心軸
φt ・・・ ピンの直径
Lt ・・・ 回転軸から中心軸までの距離