(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-27
(45)【発行日】2022-07-05
(54)【発明の名称】サッシ
(51)【国際特許分類】
E06B 1/36 20060101AFI20220628BHJP
【FI】
E06B1/36 Z
(21)【出願番号】P 2018184003
(22)【出願日】2018-09-28
【審査請求日】2021-08-02
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 ▲1▼開催日:平成30年7月20日、開催場所:大和リース株式会社 関西工場 ▲2▼メール送信日:平成30年9月12日、メール送信相手先:ナブコシステム株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】391008582
【氏名又は名称】昭和フロント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085394
【氏名又は名称】廣瀬 哲夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165456
【氏名又は名称】鈴木 佑子
(74)【代理人】
【識別番号】100206106
【氏名又は名称】廣瀬 郁夫
(72)【発明者】
【氏名】阿部 功
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3031673(JP,U)
【文献】特開2003-148053(JP,A)
【文献】実開昭53-091240(JP,U)
【文献】特開2003-003758(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対向する開口溝を有した左右一対の支柱間に落とし込んで組み付けられるサッシであって、該サッシは、前記一対の支柱開口溝に支持される左右の縦枠と、これら左右の縦枠間に組み込まれるパネル体とを備え、前記縦枠は、支柱の開口溝に嵌入して上下方向スライド移動自在に支持されるスライド部を有した第一縦枠部材と、パネル体の左右縦縁部が嵌合されるパネル嵌合溝を有した第二縦枠部材とを組み付けて構成されるとともに、前記第一縦枠部材のスライド部は、支柱の見付け方向を向き、支柱開口溝に嵌入して上下スライド移動自在に支持される前後一対のスライド面部と、これら前後一対のスライド面部同士を支柱開口溝内で連結する連結部とを備える一方、第二縦枠部材のパネル嵌合溝は、溝底部が支柱開口溝内に入り込んで連結部に止着されることを特徴とするサッシ。
【請求項2】
請求項1において、第一、第二縦枠部材同士は、支柱の開口溝外で係合する係合部を有し、該係合部にシール材を配したことを特徴とするサッシ。
【請求項3】
請求項1または2において、縦枠の前後の見付け面部は、支柱の前後の見込み面部と面一状になっていることを特徴とするサッシ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、左右一対の支柱間に落とし込んで組み付けられるサッシに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、組立ハウスや店舗等に用いられるサッシのなかには、相対向する開口溝を有した左右一対の支柱間に落とし込んで組み付けられるサッシがある。このようなサッシにおいて、サッシ枠内にガラス板や樹脂板等のパネル体を嵌め殺し状に組み込んでFIX部とする場合に、サッシの左右の縦枠を、支柱の開口溝に嵌入して上下方向スライド移動自在に支持されるスライド部を有する第一の縦枠部材と、パネル体の左右縦縁部が嵌合するパネル嵌合溝を有した第二の縦枠部材とを用いて構成したものが知られている(例えば、特許文献1の
図6参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記特許文献1のものでは、スライド部が支柱の開口溝に支持されている状態で、パネル嵌合溝の溝底部が、支柱の左右外方側に位置するように設けられている。このため、パネル嵌合溝全体が支柱の左右外方側に位置することになって、支柱の開口溝から左右外方に突出する部分の縦枠の見付け寸法が大きくなり、その分パネル体の実質的な左右幅(縦枠で覆蓋される部分を除いたパネル体の左右幅)が短くなって、パネル体としての有効面積が減少してしまうという問題がある。例えば、パネル体として透光性のあるガラス板が用いられている場合、ガラス板の左右幅が短くなった分だけ透光面積が狭くなって、その分採光性が損なわれることになる。
さらに特許文献1のものでは、スライド部が形成される第一の縦枠部材(特許文献1におけるアタッチメント1)と、パネル嵌合溝が形成される第二の縦枠部材(特許文献1におけるサッシユニット3の縦枠材)とを取付ねじを用いて固定する構成になっているが、この場合に、第一、第二縦枠部材の見付け面部同士(特許文献1におけるアタッチメント1のフランジ部1dとサッシユニット3の側縁3a)を支柱の開口溝外で重ね合わせ、該重ね合わせた部分を見付け面部の前後外方側から螺入される取付ねじ5で止着するようになっているから、取付ねじが外部から視認されることになって意匠性に劣るという問題もあり、これらに本発明の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記の如き実情に鑑みこれらの課題を解決することを目的として創作されたものであって、請求項1の発明は、相対向する開口溝を有した左右一対の支柱間に落とし込んで組み付けられるサッシであって、該サッシは、前記一対の支柱開口溝に支持される左右の縦枠と、これら左右の縦枠間に組み込まれるパネル体とを備え、前記縦枠は、支柱の開口溝に嵌入して上下方向スライド移動自在に支持されるスライド部を有した第一縦枠部材と、パネル体の左右縦縁部が嵌合されるパネル嵌合溝を有した第二縦枠部材とを組み付けて構成されるとともに、前記第一縦枠部材のスライド部は、支柱の見付け方向を向き、支柱開口溝に嵌入して上下スライド移動自在に支持される前後一対のスライド面部と、これら前後一対のスライド面部同士を支柱開口溝内で連結する連結部とを備える一方、第二縦枠部材のパネル嵌合溝は、溝底部が支柱開口溝内に入り込んで連結部に止着されることを特徴とするサッシである。
請求項2の発明は、請求項1において、第一、第二縦枠部材同士は、支柱の開口溝外で係合する係合部を有し、該係合部にシール材を配したことを特徴とするサッシである。
請求項3の発明は、請求項1または2において、縦枠の前後の見付け面部は、支柱の前後の見込み面部と面一状になっていることを特徴とするサッシである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1の発明とすることにより、支柱の開口溝から左右外方に突出する部分の縦枠の見付け寸法を小さく設定でき、その分、縦枠に覆蓋されない部分のパネル体の左右幅を広くできる。しかも、パネル嵌合溝の溝底部を連結部に止着するための止着部材は、バネル嵌合溝にパネル体が嵌合された後では外部から視認されることなく、意匠性に優れる。
請求項2の発明とすることにより、支柱の開口溝外における第一、第二縦枠部材の係合部間のシール性を確保することができる。
請求項3の発明とすることにより、支柱と縦枠との見付け面部同士が段差のない連続した状態として視認されることになって、意匠性に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図において、1は建物の開口部に基礎部材2を介して立設される支柱であって、該支柱1は、左右に間隔を存する状態で複数配設されている。各支柱1は、本実施の形態では、前後の見付け面部1aと、これら前後の見付け面部1aの左右方向中間部同士を連結するウエブ1bと、前後の見付け面部1aの左右外方側端部から前後内方側に延びる前後のリップ片1cとを備え、これら前後のリップ片1c間にリップ溝状の開口溝1dが形成された左右対称状の溝形鋼であって、左右に隣接する一対の支柱1の開口溝1d同士が相対向する状態となるように配置されている。
【0009】
一方、3、4は前記左右に隣接する一対の支柱1間に落とし込んで組み付けられるサッシであって、
図1において左側に位置するサッシ3は、上枠5、下枠6および左右の縦枠7により形成されるサッシ枠内に、ガラス板や樹脂板等のパネル体8が組み込まれてFIX部を形成するようになっている。
【0010】
前記左右の縦枠7は、前記支柱1の開口溝1dに嵌入して上下方向スライド移動自在に支持されるスライド部9を有する第一縦枠部材10と、前記パネル体8の左右縦縁部が嵌合されるパネル嵌合溝11を有する第二縦枠部材12とを組み付けて構成されている。
【0011】
前記第一縦枠部材10のスライド部9は、該スライド部9が支柱1の開口溝1dに支持された状態で、支柱1の見付け方向を向き、支柱1の開口溝1dに嵌入して前後のリップ片1cの先端部に上下スライド移動自在に支持される前後一対のスライド面部9aと、これら前後一対のスライド面部9a同士を開口溝1d内で連結する連結部9bとを備えて構成されている。さらに、第一縦枠部材10は、スライド部9が支柱1の開口溝1dに支持された状態で支柱1の左右外方側において前後のリップ片1cに僅かな間隙を存して対向して第一縦枠部材10の左右方向の移動規制をする前後の見込み面部10aと、該見込み面部10aの前後外方側端部から見付け方向に延びる前後の見付け面部10bと、該前後の見付け面部10bの先端部から前後内方側に延びる前後の見込み片10cと、前後の見込み面部10aの前後方向中間部から見付け方向に突出する前後の突片10dと、見込み片10cの先端部と突片10dの先端部との間に形成される前後の係合孔(本発明の第一縦枠部材の係合部に相当する)10eとを備えている。前記第一縦枠部材10の前後の見付け面部10bは、第一縦枠部材10と第二縦枠部材12とにより縦枠7が形成された状態で、該縦枠7の見付け面部7aを構成するとともに、縦枠7のスライド部9が支柱開口溝1dに支持された状態で、支柱1の前後の見付け面部1aと面一状となるように設計されている。
【0012】
一方、第二縦枠部材12は、パネル体8の左右縦縁部が嵌合するパネル嵌合溝11と、該パネル嵌合溝11の溝開口側縁部から見込み方向に延びる前後の見込み面部12aと、これら前後の見込み面部12aの先端部(前後外方側端部)に形成され、前記第一縦枠部材10の前後の係合孔10eにそれぞれ係合する前後の係合フック部(本発明の第二縦枠部材の係合部に相当する)12bとを備えて構成されている。
【0013】
そして、前記第一縦枠部材10と第二縦枠部材12とを固定する場合には、第二縦枠部材12のパネル嵌合溝11を溝底部11a側から第一縦枠部材10の前後のスライド面部9a間に嵌入して溝底部11aを連結部9bに当接させる。この状態で、第一縦枠部材10の前後の見込み片10cと第二縦枠部材12の前後の見込み面部12aとは面一状になるとともに、第一縦枠部材10の係合孔10eに第二縦枠部材12の係合フック部12bが係合するようになっている。そして、前記当接させたパネル嵌合溝11の溝底部11aと連結部9bとを、溝底部11a側から連結部9bに螺入される螺子13で止着することで、第一縦枠部材10と第二縦枠部材12とは固定された状態で組み付けられて縦枠7を形成するようになっている。さらに、前記係合孔10eと係合フック部12bとの係合部にはシール材14が配されており、これにより第一、第二縦枠部材10、12の係合部間のシール性が確保されている。
【0014】
また、前記サッシ3の上枠5は、パネル体8の上縁部が嵌合されるパネル嵌合溝5aと、該パネル嵌合溝5aの溝開口側縁部から見込み方向に延びる前後の見込み面部5bとを有しており、前記左右の第二縦枠部材12の上端部間に、第二縦枠部材12の見込み面部12a側から螺入されて上枠5に形成のビスポケット5cに螺入される螺子15を介して組み付けられるようになっている。また、サッシ3の下枠6は、下枠本体部6aと押縁部材6bを用いて構成されており、これら下枠本体部6aと押縁部材6bとによってパネル体8の下縁部が嵌合するパネル嵌合溝6cが形成されているとともに、左右の第二縦枠部材12の下端部間に、第二縦枠部材12の見込み面部12a側から螺入されて下枠6(下枠本体部6a)に形成のビスポケット6dに螺入される螺子15を介して組み付けられるようになっている。そして、これら上枠5および下枠6(下枠本体部6a)は、前述した第一縦枠部材10と第二縦枠部材12とが固定される前の段階で、左右の第二縦枠部材12に前記螺子15を介して組み付けられる。つまり、左右の第二縦枠部材12に上枠5および下枠6を組み付けて枠組み形成した状態で、左右の第二縦枠部材12に第一縦枠部材10を固定して縦枠7を形成し、このようにして上枠5、下枠6、左右の縦枠7からなるサッシ枠が形成されるようになっている。
【0015】
そして、前述したようにして形成されたサッシ枠は、左右に隣接する支柱1間に落とし込んで組み付けられるが、この場合に、相対向する支柱1の開口溝1dに上方から左右の縦枠7のスライド部9を嵌入し、そのまま下方にスライド移動させて、予め左右の支柱1の下端部間に配設されたベースパネル16上に載置する。この状態で、スライド部9の前後のスライド面部9aは、支柱1の開口溝1dに嵌入して前後のリップ片1cの先端部に上下方向スライド移動自在に支持されるとともに、これら前後のスライド面部9a同士を連結する連結部9bは、開口溝1d内に位置している。そしてこの開口溝1d内に位置している連結部9bには、パネル嵌合溝11の溝底部11aが止着されており、これにより、パネル嵌合溝11の溝底部11aは支柱1の開口溝1d内に入り込む状態となっている。そして、このようにパネル嵌合溝11の溝底部11aを支柱1の開口溝1d内に入り込ませることで、支柱1から左右外方側に突出する部分の縦枠7の見付け寸法Lを小さく設定できるようになっている。
【0016】
ここで、パネル体8は、前述したようにしてサッシ枠が形成された後、支柱1間に落とし込まれる前(あるいは支柱1間に落とし込まれた後)に、上枠5、下枠本体部6aおよび第二縦枠部材12に形成のパネル嵌合溝5a、6c、11に図示しないビードやシーリング材等を介して嵌合支持されるが、この場合に、第二縦枠部材10を第一縦枠部材10に固定するための螺子13は、前述したようにパネル嵌合溝11の溝底部11a側から螺入される構成になっているから、パネル体8がパネル嵌合溝11に嵌合された状態では該パネル体8(およびパネル体8を支持するためのビードやシーリング材等)によって覆われた状態となって外部から視認されないようになっている。尚、下枠6の押縁部材6bは、パネル体8がパネル嵌合溝5a、6c、11に嵌合されてから下枠本体部6aに組み付けられる。
【0017】
一方、
図1において右側に位置するサッシ4は、上枠5、下枠6、左右の縦枠7、および中間枠20によって上下に区画されたサッシ枠が形成されており、上側のサッシ枠内には後述するように排煙窓21が組み込まれ、また、下側のサッシ枠内には、前述した左側のサッシ3と同様にパネル体8が組み込まれてFIX部を形成するようになっている。
【0018】
前記右側のサッシ4の上枠5は、前述した左側のサッシ3の上枠5と同形状のものが用いられていて、パネル嵌合溝5aや、該パネル嵌合溝5aの溝開口側縁部から見込み方向に延びる前後の見込み面部5b等を有しているが、右側のサッシ4の上枠5のパネル嵌合溝5aは、溝開口側が上枠5の見込み面部5bと面一状となる蓋体22によって覆蓋されている。
【0019】
また、右側のサッシ4の左右の縦枠7は、前述した左側のサッシ3の左右の縦枠7と同様に、支柱1の開口溝1dに嵌入して上下方向スライド移動自在に支持されるスライド部9を有する第一縦枠部材10と、パネル嵌合溝11を有する第二縦枠部材12とを組み付けて構成されているが、これら第一、第二縦枠部材10、12は左側のサッシ3の第一、第二縦枠部材10、12と同形状のものが用いられているとともに、スライド部9を支柱1の開口溝1dに支持せしめた状態で、パネル嵌合溝11の溝底部11aが支柱1の開口溝1d内に入り込んでスライド部9の連結部9bに螺子13を介して止着されている。そして、下側のサッシ枠を構成する部分のパネル嵌合溝11にはパネル体8が組み込まれる一方、上側のサッシ枠を構成する部分のパネル嵌合溝11は、溝開口側が第二縦枠部材12の見込み面部12aと面一状となる蓋体23によって覆蓋されている。
【0020】
また、右側のサッシ4の中間枠20は、下側のサッシ枠内に組み付けられるバネル体8の上縁部が嵌合されるパネル嵌合溝20aと、上側のサッシ枠内に組み付けられる排煙窓21が丁番24を介して開閉揺動自在に支持される排煙窓支持部20bとを備えて構成されている。尚、右側のサッシ4の下枠6は、左側のサッシ3の下枠6と同様のものであるため説明を省略する。
【0021】
一方、前記排煙窓21は、換気等のために開閉自在に設けられるものであって、本実施の形態では、窓枠25内にガラス板等のパネル体26を組み込んで形成されている。そして該排煙窓21は、前述したように、右側のサッシ4において上枠5、左右の縦枠7、中間枠20によって区画される上側のサッシ枠内に組み込まれるとともに、中間枠20の排煙窓支持部20bに丁番24を介して開閉自在に支持されるが、このように上側のサッシ枠内に排煙窓21が組み込まれるとともに、下側のサッシ枠内にパネル体8が組み込まれる場合においても、これら上側および下側のサッシ枠に亘って、支柱1の開口溝1dに嵌入して上下方向スライド移動自在に支持されるスライド部9を有する第一縦枠部材10と、パネル嵌合溝11を有する第二縦枠部材12とを組み付けて構成される縦枠7を用いることができて、部材の兼用化、意匠の統一化が図れる。そして、このように排煙窓21が組み込まれるサッシ枠の縦枠として、パネル体8が組み込まれるサッシ枠と同様にパネル嵌合溝11を有する縦枠7を用いても、該パネル嵌合溝11の溝底部11aは支柱1の開口溝1d内に入り込む状態となっていて、支柱1の左右外方に突出する部分の縦枠の見付け寸法Lを小さく設定できるため、その分排煙窓21の左右幅を大きく設計できる。尚、本実施の形態では上側のサッシ枠内に排煙窓が組み付けられている場合を例示したが、下側のサッシ枠や、上下中間位置に設けられるサッシ枠に排煙窓が設けられている場合、あるいは排煙窓に限らず、サッシ枠内に引違い式の開閉窓等が組み付けられる場合であっても、同様に、本発明の左右の縦枠を用いることができる。
【0022】
叙述の如く構成された本発明の実施の形態において、サッシ3、4は、相対向する開口溝1dを有した左右一対の支柱1間に落とし込んで組み付けられるものであって、一対の支柱1の開口溝1dに支持される左右の縦枠7と、これら左右の縦枠7間に組み込まれるパネル体8とを備えて構成されるとともに、前記左右の縦枠7は、支柱1の開口溝1dに嵌入して上下方向スライド移動自在に支持されるスライド部9を有した第一縦枠部材10と、パネル体8の左右縦縁部が嵌合されるパネル嵌合溝11を有した第二縦枠部材12とを組み付けて構成されている。このものにおいて、前記第一縦枠部材10のスライド部9は、該スライド部9を支柱1の開口溝1dに支持せしめた状態で、支柱1の見付け方向を向き、支柱1の開口溝1dに嵌入して上下スライド移動自在に支持される前後一対のスライド面部9aと、これら前後一対のスライド面部9a同士を支柱1の開口溝1d内で連結する連結部9bとを備える一方、第二縦枠部材12のパネル嵌合溝11は、溝底部11aが支柱1の開口溝1d内に入り込んで連結部9bに止着されていることになる。
【0023】
而して、左右一対の支柱1間に落とし込んで組み付けられるサッシ3、4の左右の縦枠7は、支柱1の開口溝1dに嵌入して上下方向スライド移動自在に支持されるスライド部9と、パネル体8の左右縦縁部が嵌合されるパネル嵌合溝11とを備えて構成されるが、該パネル嵌合溝11は、溝底部11aが支柱1の開口溝1d内に入り込んだ状態で設けられることになる。この結果、支柱1の開口溝1dから左右外方に突出する部分の縦枠7の見付け寸法Lを小さく設定でき、その分、縦枠7に覆蓋されない部分のパネル体8の左右幅を大きく採ることができることになって、パネル体としての有効面積を広く使えることになる。例えば、パネル体8として透光性のあるガラス板を用いた場合、該ガラス板の左右幅を広くできることで、サッシの採光性向上に貢献できることになる。
【0024】
しかも、前記パネル嵌合溝11の溝底部11aがスライド部9の連結部9bに止着されることで、スライド部9が設けられる第一縦枠部材10とパネル嵌合溝11が設けられる第二縦枠部材12とが組み付けられることになるが、パネル嵌合溝11の溝底部11aを止着するための止着部材(本実施の形態では螺子13)は、パネル嵌合溝11にパネル体8の左右縦縁部が嵌合された後では該パネル体8によって覆われた状態となって外部から視認されることがないから、意匠性にも優れることになる。さらに、パネル嵌合溝11の溝底部11aが止着されることで、スライド面部9a同士を連結する連結部9bの強度アップも図れる。
【0025】
さらにこのものにおいて、第一、第二縦枠部材10、12同士は、支柱1の開口溝1d外で係合する係合部(本実施の形態では、第一縦枠部材10の係合孔10eおよび第二縦枠部材12の係合部12b)を有しているが、該係合部間にはシール材14が配されており、これにより、支柱1の開口溝1d外における第一、第二縦枠部材10、12の係合部間のシール性を確保することができる。
【0026】
また、前記縦枠7の前後の見付け面部7a(本実施の形態では、第一縦枠部材10の見付け面部10b)は、支柱1の前後の見込み面部1aと面一状になっているから、支柱1と縦枠7との見付け面部1a、7a同士が段差のない連続した状態で視認されることになって、意匠性に優れる。
【0027】
次に、
図7に基づいて、他例を説明する。該他例のサッシ30は、前述した実施の形態のサッシ3、4と同様に、相対向する開口溝1dを有した左右一対の支柱1間に落とし込んで組み付けられるものであって、一対の支柱1の開口溝1dに支持される左右の縦枠31と、これら左右の縦枠31間に組み込まれるパネル体8とを備えて構成されているとともに、左右の縦枠31は、支柱1の開口溝1dに嵌入して上下方向スライド移動自在に支持されるスライド部31aと、パネル体8の左右縦縁部が嵌合されるパネル嵌合溝31bとを備えているが、他例の左右の縦枠31は、前記実施の形態のようにスライド部9を有する第一縦枠部材10とパネル嵌合溝11を有する第二縦枠部材12とを組み付けて形成されるものではなく、スライド部31aとパネル嵌合溝31bとが一体形成された一部材で形成されている。そしてこのようにスライド部31aとパネル嵌合溝31bとが一体形成された他例においても、スライド部31aが支柱1の開口溝1dに支持された状態で、パネル嵌合溝31bは、溝底部31dが支柱1の開口溝1d内に入り込む構成となっている。尚、他例の説明および
図7において、縦枠31以外については前記実施の形態と同様であるため、同一の符号を付すとともに説明を省略する。
【0028】
前記他例の左右の縦枠31について詳細に説明すると、該縦枠31は、パネル体8の左右縦縁部が嵌合するパネル嵌合溝31bと、該パネル嵌合溝31bの開口側縁部から見込み方向に延びる前後の見込み面部31cと、該見込み面部31cの見込み方向中間部から見付け方向に延びる前後のスライド部31aとが一体形成されている。そして、該前後のスライド部31aは、支柱1の開口溝1dに嵌入して前後のリップ片1cの先端部に上下スライド移動自在に支持されるように構成されているとともに、該スライド部31aが支柱1の開口溝1dに支持された状態で、前後の見込み面部31cの見込み方向外側半部は、支柱1の左右外方側において前後のリップ片1cに僅かな間隙を存して対向して縦枠31の左右方向の移動規制をするようになっている。さらに、前後のスライド部31aが支柱1の開口溝1dに支持された状態で、パネル嵌合溝31bは、溝底部31dが支柱1の開口溝1d内に入り込むように構成されている。尚、この他例においても、前述した実施の形態と同様に、左右の縦枠31と上枠5および下枠6とは、縦枠31の見込み面部31cから螺入される螺子15により組み付けられる。
【0029】
この様に、他例の縦枠31は、スライド部31aとパネル嵌合溝31bとが一体形成されたものであるが、このものにおいても、パネル嵌合溝31bは、溝底部31dが支柱1の開口溝1d内に入り込むように構成されているから、前述した実施の形態と同様に、支柱1の開口溝1dから左右外方に突出する部分の縦枠31の見付け寸法Lを小さく設定でき、その分、縦枠31に覆蓋されない部分のパネル体8の左右幅を大きく採ることができるという作用効果を奏することになる。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明は、左右一対の支柱間に落とし込んで組み付けられるサッシの縦枠に利用することができる。
【符号の説明】
【0031】
1 支柱
1a見付け面部
1d 開口溝
3 サッシ
4 サッシ
7 左右の縦枠
7a 見付け面部
8 パネル体
9 スライド部
9a スライド面部
9b 連結部
10 第一縦枠部材
10b 見付け面部
10e 係合孔
11 パネル嵌合溝
11a 溝底部
12 第二縦枠部材
12b 係合部
13 螺子
14 シール材