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特許7096157多重パルスLIDARに基づく三次元撮像
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-27
(45)【発行日】2022-07-05
(54)【発明の名称】多重パルスLIDARに基づく三次元撮像
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/484 20060101AFI20220628BHJP
   G01S 7/497 20060101ALI20220628BHJP
   G01S 17/894 20200101ALI20220628BHJP
   G01C 3/06 20060101ALN20220628BHJP
【FI】
G01S7/484
G01S7/497
G01S17/894
G01C3/06 120Q
G01C3/06 140
【請求項の数】 27
(21)【出願番号】P 2018540039
(86)(22)【出願日】2017-01-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-03-14
(86)【国際出願番号】 US2017015869
(87)【国際公開番号】W WO2017132703
(87)【国際公開日】2017-08-03
【審査請求日】2020-01-30
(31)【優先権主張番号】62/289,277
(32)【優先日】2016-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/339,790
(32)【優先日】2016-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518183103
【氏名又は名称】ベロダイン ライダー ユーエスエー,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100067736
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 晃
(74)【代理人】
【識別番号】100192212
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 貴明
(74)【代理人】
【識別番号】100204032
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100200001
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 明彦
(72)【発明者】
【氏名】ホール,デイビッド エス.
(72)【発明者】
【氏名】ケルステンス, ピーター ジェイ.
【審査官】九鬼 一慶
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0045965(US,A1)
【文献】特開平04-301784(JP,A)
【文献】特開平09-097925(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0101234(US,A1)
【文献】米国特許第05309212(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0346325(US,A1)
【文献】米国特許第04944036(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48 - 7/51
G01S 17/00 -17/95
G01B 11/00 -11/30
G01C 3/00 - 3/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光検出及び測距(LIDAR)装置であって、前記LIDAR装置は、
前記LIDAR装置から三次元環境内に照射光の第1の多重パルスビームを出射、照射光の多重パルスを含む照射光の第1の測定パルスシーケンスにより、前記三次元環境内の特定位置を照射する多重パルス照射源と、
照射光の前記第1の多重パルスビームにより照射された前記三次元環境内の前記特定位置から反射された前記第1の測定パルスシーケンスの量を検出し、検出された光量を示す出力信号を発生する感光検出器と、
計算システムと、
を有し、
前記計算システムは、
前記検出された光量を示す前記出力信号を受信し、
前記出力信号をデジタル信号に変換し、
前記デジタル信号に基づいて前記LIDAR装置から前記三次元環境内の前記特定位置そして前記特定位置から前記LIDAR装置に戻るまでの前記第1の測定パルスシーケンスの飛行時間を測定し、そして、
前記感光検出器により発生された前記出力信号内のノイズの測定に応じて、前記多重パルス照射源が、第2の測定パルスシーケンスを含む照射光の第2の多重パルスビームを出射するように構成し、前記第2の測定パルスシーケンスが、前記第1の測定パルスシーケンスと相違し、そして、前記LIDAR装置の他の多重パルス照射源に対応する第3の測定パルスシーケンスと相違することを特徴とするLIDAR装置。
【請求項2】
前記多重パルス照射源が、
パルス発光装置と、
前記パルス発光装置に選択的に結合された複数の電気エネルギー蓄積素子と、
前記パルス発光装置に前記複数の電気エネルギー蓄積素子のそれぞれを選択的に結合するように構成された複数のスイッチ素子と、
前記複数の電気エネルギー蓄積素子に電気的に結合する電気エネルギー源と、
を有し、
前記電気エネルギー源は、前記複数の電気エネルギー蓄積素子に電気エネルギーを供給することを特徴とする請求項1に記載のLIDAR装置。
【請求項3】
前記計算システムはさらに、前記複数のスイッチ素子のそれぞれに制御信号を伝達するように構成されており、前記制御信号が、前記複数のスイッチ素子の1つ以上のスイッチ素子を、実質的に非導電性の状態から実質的に導電性の状態に変化させることを特徴とする請求項2に記載のLIDAR装置。
【請求項4】
前記制御信号が、前記複数の電気エネルギー蓄積素子の1つ以上の電気エネルギー蓄積素子から前記パルス発光装置への一連の放電を引き起こし、そして、前記パルス発光装置が、前記一連の放電を受電し、照射光の前記第1の多重パルスビームを発生することを特徴とする請求項3に記載のLIDAR装置。
【請求項5】
照射光の前記第1の多重パルスビームが、第1の振幅を有する第1のパルスと、前記第1の振幅より大きな又は小さな第2の振幅を有する第2のパルスと、を含むことを特徴とする請求項4に記載のLIDAR装置。
【請求項6】
照射光の前記第1の多重パルスビームが、第1の持続時間を有する第1のパルスと、前記第1の持続時間より長い又は短い第2の持続時間を有する第2のパルスと、を含むことを特徴とする請求項4に記載のLIDAR装置。
【請求項7】
照射光の前記第1の多重パルスビームが、第1の振幅及び第1の持続時間を有する第1のパルスと、第2の振幅及び第2の持続時間を有する第2のパルスと、を含み、前記第2の振幅は前記第1の振幅より大きく、そして、前記第2の持続時間は前記第1の持続時間より長いことを特徴とする請求項4に記載のLIDAR装置。
【請求項8】
照射光の前記第1の多重パルスビームが、符号ダイバーシティ方式、振幅ダイバーシティ方式、及び時間ダイバーシティ方式のいずれかにより符号化されることを特徴とする請求項4に記載のLIDAR装置。
【請求項9】
前記計算システムがさらに、閾値を超えた前記出力信号の複数の連続するインスタンスのそれぞれに関する検出の時間を測定し、そして、複数の連続する前記インスタンスのそれぞれの間の時間が、照射光の前記第1の多重パルスビームの多重パルスの間の時間と実質的に同じであるか測定するように構成されており、
照射光の前記第1の多重パルスビームの前記飛行時間は、前記LIDAR装置から前記第1の多重パルスビームが出射された時間、及び前記閾値を超えた前記出力信号の複数の連続する前記インスタンスのそれぞれに関する検出の時間の間の差に基づいて測定されることを特徴とする請求項1に記載のLIDAR装置。
【請求項10】
前記計算システムがさらに、前記出力信号をフィルタリングし、そして、フィルタリングされた前記出力信号が閾値を超えた時のインスタンスを測定するように構成されており、
照射光の前記第1の多重パルスビームの前記飛行時間は、前記LIDAR装置から前記第1の多重パルスビームが出射された時間、及びフィルタリングされた前記出力信号が前記閾値を超えた時の前記インスタンスに関する検出の時間の間の差に基づいて測定されることを特徴とする請求項1に記載のLIDAR装置。
【請求項11】
前記フィルタリングが、シグネチャ検出フィルタにより実施されることを特徴とする請求項10に記載のLIDAR装置。
【請求項12】
前記LIDAR装置の測定範囲の2倍の距離にわたる光の飛行時間を超える存続期間を有する測定窓の間、前記検出された光量を示す前記出力信号が発生されることを特徴とする請求項1に記載のLIDAR装置。
【請求項13】
光検出及び測距(LIDAR)装置であって、前記LIDAR装置は、
前記LIDAR装置から三次元環境内に照射光の第1の多重パルスビームを出射、照射光の多重パルスを含む照射光の第1の測定パルスシーケンスにより、前記三次元環境内の特定位置を照射する多重パルス照射源と、
照射光の前記第1の多重パルスビームにより照射された前記三次元環境内の前記特定位置から反射された前記第1の測定パルスシーケンスの量を検出し、検出された光量を示す出力信号を発生する感光検出器と、
一定量のプログラムコードを記憶している非一時的なコンピュータ可読媒体と、
を有し、
前記プログラムコードが計算システムにより実行されると、前記プログラムコードにより、前記計算システム
前記検出された光量を示す前記出力信号を受信
前記出力信号をデジタル信号に変換
前記デジタル信号に基づいて前記LIDAR装置から前記三次元環境内の前記特定位置そして前記特定位置から前記LIDAR装置に戻るまでの前記第1の測定パルスシーケンスの飛行時間を測定そして、
前記感光検出器により発生された前記出力信号内のノイズの測定に応じて、前記多重パルス照射源が、第2の測定パルスシーケンスを含む照射光の第2の多重パルスビームを出射するように構成し、前記第2の測定パルスシーケンスが、前記第1の測定パルスシーケンスと相違し、そして、前記LIDAR装置の他の多重パルス照射源に対応する第3の測定パルスシーケンスと相違することを特徴とするLIDAR装置。
【請求項14】
照射光の前記第1の多重パルスビームが、第1の振幅を有する第1のパルスと、前記第1の振幅より大きな又は小さな第2の振幅を有する第2のパルスと、を含むことを特徴とする請求項13に記載のLIDAR装置。
【請求項15】
照射光の前記第1の多重パルスビームが、第1の持続時間を有する第1のパルスと、前記第1の持続時間より長い又は短い第2の持続時間を有する第2のパルスと、を含むことを特徴とする請求項13に記載のLIDAR装置。
【請求項16】
照射光の前記第1の多重パルスビームが、符号ダイバーシティ方式、振幅ダイバーシティ方式、及び時間ダイバーシティ方式のいずれかにより符号化されることを特徴とする請求項13に記載のLIDAR装置。
【請求項17】
一定量の前記プログラムコードがさらに、前記計算システムに、前記出力信号をフィルタリングさせ、そして、フィルタリングされた前記出力信号が閾値を超えた時のインスタンスを測定させ、
照射光の前記第1の多重パルスビームの前記飛行時間は、前記LIDAR装置から前記第1の多重パルスビームが出射された時間、及びフィルタリングされた前記出力信号が前記閾値を超えた時の前記インスタンスに関する検出の時間の間の差に基づいて測定されることを特徴とする請求項13に記載のLIDAR装置。
【請求項18】
前記LIDAR装置の測定範囲の2倍の距離にわたる光の飛行時間を超える存続期間を有する測定窓の間、検出された光量を示す前記出力信号が発生されることを特徴とする請求項13に記載のLIDAR装置。
【請求項19】
LIDAR装置から三次元環境内に照射光の第1の多重パルスビームを出射し、照射光の前記第1の多重パルスビームが、照射光の多重パルスを含む照射光の第1の測定パルスシーケンスにより、前記三次元環境内の特定位置を照射し、照射光の前記第1の多重パルスビームが、前記LIDAR装置の多重パルス照射源から出射され、
照射光の前記第1の多重パルスビームにより照射された前記三次元環境内の前記特定位置から反射された前記第1の測定パルスシーケンスの量を検出し、
検出された光量を示す出力信号を発生し、
前記出力信号をデジタル信号に変換し、
前記デジタル信号に基づいて前記LIDAR装置から前記三次元環境内の前記特定位置そして前記特定位置から前記LIDAR装置に戻るまでの前記第1の測定パルスシーケンスの飛行時間を測定し、そして、
前記出力信号内のノイズの測定に応じて、前記多重パルス照射源が、第2の測定パルスシーケンスを含む照射光の第2の多重パルスビームを出射するように構成し、前記第2の測定パルスシーケンスが、前記第1の測定パルスシーケンスと相違し、そして、前記LIDAR装置の他の多重パルス照射源に対応する第3の測定パルスシーケンスと相違することを特徴とする方法。
【請求項20】
照射光の前記第1の多重パルスビームが、第1の振幅を有する第1のパルス及び前記第1の振幅より大きな又は小さな第2の振幅を有する第2のパルス、第1の持続時間を有する第1のパルス及び前記第1の持続時間より長い又は短い第2の持続時間を有する第2のパルス、又はその組み合わせを含むことを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項21】
照射光の前記第1の多重パルスビームが、符号ダイバーシティ方式、振幅ダイバーシティ方式、及び時間ダイバーシティ方式のいずれかにより符号化されることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項22】
さらに、前記出力信号をフィルタリングし、そして、フィルタリングされた前記出力信号が閾値を超えた時のインスタンスを測定し、
前記第1の測定パルスシーケンスの前記飛行時間は、前記LIDAR装置から前記第1の測定パルスシーケンスが出射された時間、及びフィルタリングされた前記出力信号が前記閾値を超えた時の前記インスタンスに関する検出の時間の間の差に基づいて測定されることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項23】
前記LIDAR装置の測定範囲の2倍の距離にわたる光の飛行時間を超える存続期間を有する測定窓の間、照射光の前記第1の多重パルスビームにより照射された前記三次元環境内の前記特定位置から反射された前記第1の測定パルスシーケンスの量が検出されることを特徴とする請求項19に記載の方法。
【請求項24】
前記出力信号内のノイズの測定が閾値を超えることを特徴とする請求項に記載のLIDAR装置。
【請求項25】
前記多重パルス照射源が、第2の測定パルスシーケンスを含む照射光の第2の多重パルスビームを出射するように構成し、前記第2の測定パルスシーケンスが、前記第1の測定パルスシーケンスと相違することにより、前記第2の測定パルスシーケンスの飛行時間の測定工程への外因性ノイズ源の影響を減少することを特徴とする請求項に記載のLIDAR装置。
【請求項26】
前記複数のスイッチ素子が、1以上の前記電気エネルギー蓄積素子を前記パルス発光装置に選択的に結合することにより、前記第1の測定パルスシーケンスを発生するように構成されることを特徴とする請求項に記載のLIDAR装置。
【請求項27】
前記LIDAR装置の前記多重パルス照射源が、パルス発光装置と、前記パルス発光装置に選択的に結合された複数の電気エネルギー蓄積素子と、前記パルス発光装置に前記複数の電気エネルギー蓄積素子のそれぞれを選択的に結合するように構成された複数のスイッチ素子と、前記複数の電気エネルギー蓄積素子に電気的に結合して前記複数の電気エネルギー蓄積素子に電気エネルギーを供給する電気エネルギー源と、を有することを特徴とする請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2016年10月31日に出願された、「多重パルスLIDARに基づく三次元撮像」という名称の米国特許出願15/339,790の優先権を主張するものであり、同様に、2016年1月31日に出願された、「多重パルスLIDARに基づく三次元撮像」という名称の米国仮出願62/289,277の優先権を主張するものであり、これらの出願は参照されることにより、本出願に援用される。
【技術分野】
【0002】
本発明は、LIDARに基づく三次元ポイントクラウド測定システムに関する。
【背景技術】
【0003】
LIDARシステムは光パルスを使用し、各光パルスの飛行時間(TOF)に基づいて物体への距離を測定するものである。LIDARシステムの光源から出射された光パルスは遠位の物体と相互に作用する。光の一部が物体から反射され、LIDARシステムの検出器に戻る。光パルスの出射から戻り光パルスの検出までに経過した時間に基づいて、距離が推定される。いくつかの例においては、光パルスはレーザー発光器により発生される。光パルスはレンズ又はレンズアセンブリを通して集束される。レーザー光パルスがレーザー発光器の近くに設置された検出器に戻るまでの時間が測定され、高精度の時間測定から距離が得られる。
【0004】
いくつかのLIDARシステムは、単一のレーザー発光器/検出器並びに回転ミラーの組み合わせを使用して、平面を横切って効果的に走査する。そのようなLIDARシステムにより実施された距離測定は実際上二次元(即ち、平面状)であり、捕捉された距離点は二次元(即ち、単一面)のポイントクラウドとして描画される。いくつかの例において、回転ミラーは非常に速い速度(例えば、数千rpm)で回転する。
【0005】
しかしながら、多くの動作シナリオにおいて、三次元のポイントクラウドを求められることが多い。三次元で周囲環境に問合せするいくつかの方式が採用されている。いくつかの例においては、二次元装置が、多くの場合ジンバル上で、上下及び/又は前後に作動される。このことは、センサのノッディング又はウィンキングとして当業者には知られている。したがって、単一ビームLIDARユニットを使用して、一度に一点であるにもかかわらず、三次元の距離点列全体を捕捉することができる。関連する例においては、レーザーパルスを多層に分割するためにプリズムが使用され、各層はわずかに異なる鉛直角を有する。これは、センサ自体が作動することはないが、上述のノッディング効果をシミュレートする。
【0006】
全ての上記の例において、単一レーザー発光器/検出器の組み合わせの光路が、広い視野を達成するためにどうにかして変更されている。しかし、単一レーザーのパルス繰返し数が限定されていることにより、そのような装置が単位時間毎に発生することができるピクセル数は本質的に限定されている。ミラー、プリズム、又は装置の作動のいずれによるものであっても、より広いカバー領域を達成するためのビーム経路の変更は、ポイントクラウド密度の減少を伴うものである。
【0007】
上述のように、いくつかの構成において三次元ポイントクラウドシステムが存在する。しかしながら、多くの用途において、広い視野にわたって距離測定を収集する必要がある。例えば、自立走行車両用途において、縦視野は車両の前方の地面まで下に伸びているべきである。また、道路内のくぼみに車両が進入した場合、縦視野は水平線より上に伸びているべきである。また、現実世界で起きている行動とこれらの行動の画像化の間の遅れは最小限である必要がある。いくつかの例においては、毎秒少なくとも5回の完全な画像の更新を提供することが望ましい。これらの要求に応えるために、多重レーザー発光器アレイ及び検出器アレイを備える三次元LIDARシステムが開発された。このシステムは2011年6月28日付で発行された米国特許7969558号に記載されており、この特許は参照されることにより、本出願に援用する。
【0008】
多くの用途において、一連のパルスが出射される。各パルスの方向は、連発で順次変更される。これらの例において、個々のパルスのそれぞれに関連する距離測定はピクセルとみなすことができ、連発して出射されて捕捉されたピクセルの集合(即ち、ポイントクラウド)は、画像とみなすことができ、又は、他の理由(例えば、障害物の検出)により分析される。いくつかの例において、結果的に得られたポイントクラウドを使用者に三次元の画像として描画するために閲覧ソフトウェアが使用されている。実写カメラで撮影されたような三次元画像として距離測定を描くために異なる方式を使用することができる。
【0009】
いくつかの例において、連続発光パルスのタイミングは、特定の出射パルスに関連する戻り信号が後続の出射パルスが発射される前に検出されるように設定されている。このことは、検出された戻り信号が、検出された戻り信号を発生させた特定の出射パルスに適切に関連付けられることを確実にする。
【0010】
いくつかの他の例においては、多重パルスの戻り信号がいずれも検出される前に、周囲環境内に多重パルスが出射される。伝統的に、この方法は、検出信号間でクロストークが生じる可能性を増加させる。即ち、多重パルスの戻り信号がいずれも検出される前に周囲環境内に多重パルスが出射されると、検出された戻り信号は、検出された戻り信号を発生させた特定の出射パルスとは異なる出射パルスに間違って関連付けられる可能性がある。このことは、距離測定にエラーを引き起こす可能性がある。
【0011】
伝統的に、多重パルス間のクロストークを避けるために、多重パルスのそれぞれが異なる方向に出射される。多重パルスのそれぞれを異なる方向に出射することにより、多重パルスのそれぞれにより問合せされるそれぞれの空間体積は、多重パルスの他のパルスにより問合せされるどの空間体積からも完全に分離される。同時に問合せされた空間の分離が増加すると、クロストークにより測定エラーを引き起こす可能性が減少する。
【0012】
連続パルス技術が使用されても、又は空間分離を伴う多重パルス技術が使用されても、性能の課題が残っている。
【0013】
戻り信号の検出は、測定ノイズの大きな原因を含んでいる。いくつかの例においては、太陽光、太陽フレア又は宇宙線による光パルスが検出され、特定の出射パルスと間違って関連付けられる。このことは間違った距離測定という結果をもたらす。いくつかの他の例においては、他のLIDARシステムからの出射パルスが検出され、特定の出射パルスと間違って関連付けられる。このこともまた間違った距離測定という結果をもたらす。レーザーパルス強度を増加することなくLIDARシステムの測定範囲が拡張されるにつれて、これらの問題は悪化する。
【0014】
既存のLIDARシステムは、所定の時間で周囲環境の特定体積を問合せする単一光パルスを使用している。これらのシステムは、太陽光、宇宙線又は他のLIDARベースの撮像システムのような外部ノイズ源からの信号混入が生じやすい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
測定範囲を拡張し、このLIDARシステムと関連付けされていない照明源と関連する検出信号を除去するような、ノイズ除去の改良が望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0016】
ここに、多重パルスLIDAR測定を実施するシステム及び方法を提供する。1つの側面において、各LIDAR測定ビームは、照射光の一連の多重パルスにより、三次元環境内の位置を照射する。各測定パルスシーケンスは、照射光の多重パルスを含み、三次元LIDARシステム及び特定位置間の距離の推定が結果として得られる。特定位置から反射された光は、LIDARシステムからLIDARシステムのプログラムされた範囲に出射され、LIDARシステムに戻るまでの光の飛行時間以上の存続期間を有する測定窓の間、LIDARシステムの感光検出器により検出される。
【0017】
更なる側面において、LIDAR装置は、LIDAR装置から三次元環境の特定照射点に出射され、特定照射点からLIDAR装置に戻るまでの多重パルス測定ビームの飛行時間を測定する。
【0018】
いくつかの実施形態において、各LIDAR測定間の遅延時間は、LIDAR装置の最大範囲に位置する物体へ向かい、物体からLIDAR装置に戻るまでの測定パルスシーケンスの飛行時間よりも長く設定されている。この方法により、LIDARシステムの異なるチャンネル間でクロストークが生じない。
【0019】
いくつかの他の実施形態において、1つの多重パルス照射システムから出射された測定パルスシーケンスがLIDAR装置まで戻る時間が経過する前に、他の多重パルス照射システムから測定パルスシーケンスを出射することができる。いくつかの実施形態において、クロストークを避けるために、各ビームにより問合せされる周囲環境の領域の間が十分に空間的に分離されることを確実にするように注意が払われている。いくつかの実施形態において、特定の測定チャンネルに関連付けられた多重パルス照射は、他のどの測定チャンネルにより発生された他のどの多重パルス照射とも異なるように符号化されている。
【0020】
多重パルス照射ビームは、符号ダイバーシティ方式、振幅ダイバーシティ方式、時間ダイバーシティ方式、又はこれらの組み合わせにより符号化されることができる。測定パルスシーケンスを符号化し、戻り測定パルスシーケンスを復号化することにより、測定パルスシーケンスによる照射に関連付けられた反射信号を外因性信号から区別することができる。
【0021】
いくつかの実施例において、多重パルス照射ビームの符号化は疑似ランダムにより実施することができる。いくつかの実施例において、多重パルスビームの符号化は、戻り信号内のチャンネルノイズの測定に対応して変更することができる。例えば、もし戻り信号が閾値を超えるノイズを含んでいる場合、他のコードが選択される。この方法により、他のLIDARシステムのような外因性ノイズ源の影響を最小化する符号化を選択することができる。
【0022】
一般的に、測定パルスシーケンスの一連のパルスは、大きさ及び持続時間を変更することができる。さらに、各測定パルスシーケンスのパルス数及びパルス間の遅延も変更することができる。
【0023】
上記は概要であり、したがって、必要に応じて簡略化、一般化、及び詳細の省略を含み、結果として、概要は単に説明的なものであり、限定的なものではないことは当業者には理解できるであろう。ここに記載の装置及び/又は方法の他の側面、発明の特徴、及び利点は、以下に記載の非限定的な詳細な説明により明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】ここに記載の多重パルス測定方法を実施するために使用される三次元LIDARシステム100の1つの実施形態を示す簡略図である。
図2】ここに記載の多重パルス測定方法を実施するために使用される三次元LIDARシステム10の他の実施形態を示す簡略図である。
図3】1つの例示的実施形態における三次元LIDARシステム100の分解図である。
図4】三次元LIDARシステム100の発光・集光エンジン112を示す図である。
図5】三次元LIDARシステム100の集光光学系116の詳細図である。
図6】集光された光118の各ビームの形状を示す三次元LIDARシステム100の集光光学系116の断面図である。
図7】多重パルス照射システム130、光検出システム150、及び制御装置140を含む三次元LIDARシステムの構成要素を示す図である。
図8】多重パルス測定ビームの出射及び戻り測定パルスシーケンスの捕捉のタイミングを示す図である。
図9】フィルタリング前後の戻り測定パルスシーケンスを示す図である。
図10】時間区分を含む戻り測定パルスシーケンスを示す図である。
図11図10に示す戻り測定パルスシーケンスの各ピークに関連付けられた時間及び隣接するピーク間の時間を示す表170である。
図12】比較的小さな振幅で短い持続時間の4つのパルスと、その後に続く比較的大きな振幅で長い持続時間の第5のパルスを含む測定パルスシーケンス167を示す図である。
図13】16個の多重パルス照射サブシステムの発光のタイミングを示す図である。
図14】少なくとも1つの新しい側面における多重パルスLIDAR測定を実施する方法200を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明のいくつかの実施形態と添付の図面に図示されている背景的実施例の詳細について説明する。
【0026】
図1は、1つの例示的動作シナリオにおける三次元LIDARシステム100の実施形態を示す図である。三次元LIDARシステム100は、下部ハウジング101及び赤外光(例えば、700~1700nmのスペクトル領域内の波長を有する光)を透過させる材料から成るドーム状シェル要素103を含む上部ハウジング102を有する。1つの実施例において、ドーム状シェル要素103は、905nmを中心とする波長を有する光を透過させる。
【0027】
図1に図示されているように、三次元LIDARシステム100から複数の光パルスビーム105が、ドーム状シェル要素103を通って、中心軸104から測定して角度範囲αにわたって、出射される。図1に図示されている実施形態においては、各光ビームの主光線が図示されている。各光ビームの各主光線は、X軸及びY軸により規定された平面上に互いに間隔を置いて複数の異なる位置に投射される。例えば、ビーム106はXY平面上の位置107に投射される。
【0028】
図1に図示されている実施形態において、三次元LIDARシステム100は、中心軸104の周りの複数の光ビーム105のそれぞれを走査するように構成される。XY平面状に投射された各光ビームは、中心軸104とXY平面の交点を中心とする円形パターンを描く。例えば、XY平面上に投射されるビーム106の主光線は、時間とともに、中心軸104を中心とする円形軌跡108を描く。XY平面は、三次元LIDARシステム100から出射されるビームの空間的分離を示すために図1に図示されている。一般的に、三次元LIDARシステム100から出射されたビームは、周辺環境内に投射され、各ビームの経路内の物体上に投射する。
【0029】
図2は、1つの例示的動作シナリオにおける三次元LIDARシステム10の他の実施形態を示す図である。三次元LIDARシステム10は、下部ハウジング11及び赤外光(例えば、700~1700nmのスペクトル領域内の波長を有する光)を透過させる材料から成る円筒形シェル要素13を含む上部ハウジング12を有する。1つの実施例において、円筒形シェル要素13は、905nmを中心とする波長を有する光を透過させる。
【0030】
図2に図示されているように、三次元LIDARシステム10から複数の光ビーム15が、円筒形シェル要素13を通って、角度範囲βにわたって、出射される。図2に図示されている実施形態においては、各光ビームの主光線が図示されている。各光ビームは周囲環境内の異なる方向に外向きに投射される。例えば、ビーム16は周囲環境内の位置17上に投射される。いくつかの実施形態において、三次元LIDARシステム10から出射された各光ビームは少しずつ広がる。1つの実施例において、三次元LIDARシステム10から出射された光ビームは、三次元LIDARシステム10から100mの距離において直径20cmのスポットサイズを照射する。この方法において、各照射光ビームは、三次元LIDARシステム10から出射された照射光錐である。
【0031】
図2に図示されている実施形態において、三次元LIDARシステム10は、中心軸14の周りを角速度ωで、複数の光ビーム15のそれぞれを走査するように構成されている。説明の目的で、光ビーム15が、三次元LIDARシステム10の非回転座標枠に関連する1つの角度配向に図示されており、そして、光ビーム15’が、上記非回転座標枠に関連する他の角度配向に図示されている。光ビーム15は中心軸14の周りを回転するので、周囲環境内に投射された各光ビーム(例えば、各ビームに関連した各照射光錐)は、中心軸14の周りを通過するので、円錐形照射ビームに対応する体積の環境を照射する。
【0032】
図3は、1つの例示的実施形態における三次元LIDARシステム100の分解図である。三次元LIDARシステム100はさらに、中心軸104の周りを回転する発光・集光エンジン112を有する。図3に図示されているように、発光・集光エンジン112の中心光軸117は、中心軸104に対して角度θで傾斜している。三次元LIDARシステム100は、下部ハウジング101に対して固定位置に取り付けられた固定電子基板110を有する。固定電子基板110の上方に回転電子基板111が配置され、回転電子基板111は、固定電子基板110に対して所定の回転速度(例えば、200rpmより速い速度)で回転するように構成されている。電力信号及び電子信号が、固定電子基板110と回転電子基板111の間で、1つ以上のトランス素子、容量素子又は光学素子を通して通信され、これらの信号の非接触送信をもたらす。発光・集光エンジン112は回転電子基板111に対して固定的に配置され、したがって、中心軸104の周りを所定の角速度ωで回転する。
【0033】
図3に図示されているように、発光・集光エンジン112は、発光素子アレイ114及び光検出素子アレイ113を有する。各発光素子から出射された光は、(図示しない)ミラーに向かっていく。ミラーから反射した光は、一連の照明光学系115を通過し、一連の照明光学系115が、出射光を図1に図示されている三次元LIDARシステム100から出射される光ビームアレイ105にコリメートする。一般的に、三次元LIDARシステム100から任意の数の光ビームを同時に、又は実質的に同時に出射するために任意の数の発光素子を配置することができる。また、三次元LIDARシステム100から任意の数の光ビームを連続的に出射するために任意の数の発光素子を配置することができる。1つの実施形態において、2つ以上の発光素子が実質的に同時に光を出射するように作動され、そして、プログラムされた期間経過後、次の2つ以上の発光素子が実質的に同時に光を出射するように作動される。環境内の物体から反射された光は、集光光学系116により集光される。各照射ビームに関連付けられた集光された光は集光光学系116を通過し、光検出素子アレイ113の各光検出素子上に集束される。集光光学系116を通過後、集光された光は(図示しない)ミラーから各光検出素子上に反射される。実際には、各測定チャンネル間のクロストークにより同時に作動できるチャンネル数が限定される。しかしながら、撮像解像度を最大化するためには、可能な限り多くのチャンネルを同時に作動することが望ましく、それにより、飛行時間の測定が多くのチャンネルから、連続的にではなく、同時に得られる。
【0034】
図4は、発光・集光エンジン112を示すもう1つの図である。1つの側面において、発光・集光エンジン112は、発光・集光エンジン112の様々な構成要素と回転電子基板111の間の電気的接続性及び機械的支持を提供する中間電子基板121、122及び123を有する。例えば、光検出素子アレイ113の各光検出素子は中間電子基板121に取り付けられる。次に、中間電子基板121は回転電子基板111に機械的及び電気的に結合される。同様に、発光素子アレイ114の各発光素子は中間電子基板123に取り付けられる。次に、中間電子基板123は回転電子基板111に機械的及び電気的に結合される。もう1つの実施例において、照明光学系115及び集光光学系116は、中間電子基板122に機械的に取り付けられる。この実施例において、中間電子基板122は、照明光学系115を集光光学系116から空間的及び光学的に分離し、集光された光への照射光の混入を防止する。次に、中間電子基板122は、回転電子基板111に機械的及び電気的に結合される。この方法により、中間電子基板は、機械的及び電気的接続性を提供し、三次元LIDARシステム100の動作に必要な電気部品を取り付け可能な追加基板領域を提供する。
【0035】
図5は、集光光学系116の詳細図である。図5に図示されているように、集光光学系116は、光検出素子アレイ113の各光検出素子上に集光された光118を集束するように配置された4つのレンズ素子116A~116Dを有する。集光光学系116を通過した光は、ミラー124により反射され、光検出素子アレイ113の各光検出素子上に配向される。もう1つの側面において、集光光学系116の1つ以上の光学素子は、発光素子アレイ114の各発光素子により出射された光の波長を含む所定の波長範囲外の光を吸収する1つ以上の材料から構成される。1つの実施例において、1つ以上のレンズ素子は、発光素子アレイ114の各発光素子により発生された赤外光より低い波長を有する光を吸収する着色剤添加剤を含むプラスチック材料から構成される。1つの実施例において、プラスチック材料は、発光素子アレイ114の各発光素子により発生された赤外光より低い波長を有する光の少なくとも90%を吸収する。1つの実施例において、着色剤は、Aako BV(オランダ)から入手可能なEpolight 7276Aである。一般的に、望まないスペクトルの光を除去するために、集光光学系116の任意のプラスチックレンズ素子に任意の数の異なる着色剤を添加することができる。
【0036】
図6は、集光された光118の各ビームの湾曲を示す集光光学系116の断面図である。
【0037】
上述のように、集光光学系116の1つ以上の光学素子は、発光素子アレイ114の各発光素子により出射された光の波長を含む所定の波長範囲外の光を吸収する1つ以上の材料から構成される。しかしながら、一般的に、照明光学系115の1つ以上の光学素子も、発光素子アレイ114の各発光素子により出射された光の波長を含む所定の波長範囲外の光を吸収する1つ以上の材料から構成されることができる。
【0038】
図1に図示されている三次元LIDARシステム100、及び図2に図示されている三次元LIDARシステム10のようなLIDARシステムは、LIDAR装置から周囲環境内に照射光のパルスビームを出射するパルス照射源を有している。いくつかの実施形態において、パルス照射源はレーザーベースである。いくつかの実施例において、パルス照射源は1つ以上の発光ダイオードベースである。一般的に、どんな適切なパルス照射源を検討してもよい。
【0039】
1つの側面において、各測定ビームが、照射光の一連の多重パルスにより三次元環境(例えば、ピクセル)の特定位置を照射する。したがって、各測定パルスシーケンスは、周囲環境内の1つの位置を問合せする照射光の多重パルスを有し、その結果として、三次元LIDARシステムからその位置までの距離を推定する。その位置から反射された光は、LIDARシステムからLIDARシステムのプログラムされた範囲に出射され、LIDARシステムに戻るまでの光の飛行時間以下の存続期間を有する測定窓の間、三次元LIDARシステムの感光検出器により検出される。感光検出器は、三次元周囲環境内の特定位置から反射された測定パルスシーケンスを検出する。この方法により、測定パルスシーケンスの各パルスの特定測定位置からの反射が三次元LIDARシステムにより捕捉される。
【0040】
更なる側面において、三次元LIDARシステムは、LIDAR装置から三次元環境内の特定照射位置そして特定照射位置からLIDAR装置へ戻るまでの多重パルス測定ビームの飛行時間を測定する。飛行時間は、測定窓の間に検出された反射光に基づいて測定される。LIDAR装置と照射光の多重パルスビームにより照射された三次元環境内の特定位置の間の距離は、飛行時間及び既知の光の速度に基づいて測定される。
【0041】
図7は、1つの実施形態における多重パルス照射システム130、光検出システム150、及び制御装置140を含む三次元LIDARシステムの構成要素を示す図である。図7に図示されている実施形態は、非限定的な実施例として提供されており、本出願書類の範囲内で、ここに記載の多重パルスLIDAR測定を実施するための多くの他の適切な実施形態を検討することができる。
【0042】
多重パルス照射システム130は、パルス発光装置137を有する。パルス発光装置137は、パルス発光装置137に提供されるパルス電気信号136に応答してパルス発光を発生する。パルス発光装置137により発生された光は、三次元LIDARシステムの1つ以上の光学素子により、集束されて周辺環境内の特定位置138上に測定パルスシーケンスとして投射される。1つの実施例において、パルス発光装置137により出射された光は、出射光を図2に図示される三次元LIDARシステム10から出射される多重パルス光ビーム16にコリメートする照明光学系115により、集束されて特定位置上に投射される。
【0043】
多重パルス照射システム130は、パルス発光装置137に選択的に結合された任意の数の電気エネルギー蓄積素子(ESE)を有する。例示する目的で、図7にはN個の電気エネルギー蓄積素子の3つの電気エネルギー蓄積素子(ESE132A~C)が描かれており、Nは任意の整数である。いくつかの実施例において、各電気エネルギー蓄積素子はコンデンサである。電気エネルギー源131(例えば、電圧源)は、各電気エネルギー蓄積素子に電気的に結合され、各電気エネルギー蓄積素子に電気エネルギーを供給する。各電気エネルギー蓄積素子は、スイッチ素子によりパルス発光装置137に選択的に結合している。また、例示する目的で、図7にはN個のスイッチ素子の3つのスイッチ素子(139A~C)が描かれている。各スイッチ素子は、制御信号(例えば、デジタル制御信号MPC)の状態に応じて、2つの状態の間を切り替えるように構成されている。第1の状態において、スイッチ素子は実質的に非導電性である。第1の状態において、対応する電気エネルギー蓄積素子はパルス発光装置137から効果的に切断されている。第1の状態において、電気エネルギー源131から対応する各電気エネルギー蓄積素子へ電気エネルギーが流れ、電気エネルギー蓄積素子を効果的に充電する。第2の状態において、スイッチ素子は実質的に導電性である。第2の状態において、対応する電気エネルギー蓄積素子はパルス発光装置137に電気的に結合する。第2の状態において、電気エネルギー蓄積素子からパルス発光装置137へ電気エネルギーが流れる。
【0044】
図7に図示されているように、任意の電気エネルギー蓄積素子によりパルス発光装置137に同時に供給される電流のいずれも効果的に付加的である。この方法により、パルス発光装置137に提供された電流信号136は、制御信号MPCにより効果的に整形される。例えば、制御信号MPC[N]がスイッチ素子139Cを制御して実質的に非導電状態から実質的に導電状態に切り替えた時に、電流133のパルスがパルス発光装置137に提供される。同様に、電流134及び135のパルスを電気エネルギー蓄積素子132B及び132Aからパルス発光装置137へそれぞれ提供することができる。
【0045】
図7に図示されているように、制御装置140は制御信号MPCを発生し、制御信号MPCはパルス発光装置137に電流パルスを提供するタイミングを制御し、それにより、LIDAR装置から出射される光パルスのタイミングを制御する。
【0046】
一般的に、制御装置140により指令された一連のパルスのそれぞれは、大きさ及び持続時間を変更することができる。さらに、各測定パルスシーケンスのパルス数及びパルス間の遅延時間も変更することができる。いくつかの実施例において、測定パルスシーケンスの1つのパルスは、同じ測定パルスシーケンスのもう1つのパルスよりも大きな振幅を有する。いくつかの実施例において、測定パルスシーケンスの1つのパルスは、同じ測定パルスシーケンスのもう1つのパルスよりも長い持続時間を有する。いくつかの実施例において、測定パルスシーケンスの1つのパルスは、同じ測定パルスシーケンスのもう1つのパルスよりも大きな振幅及び長い持続時間を有する。
【0047】
1つの実施形態において、多重パルス照射システム130は、図7を参照して記載されている方法により、パルス発光装置に選択的に結合された8つの電気エネルギー蓄積素子を有する。一般的に、光エネルギーの8つの利用可能なパルスが所望のタイミングに合わせられ、結合される。図12に図示する1つの実施例においては、測定パルスシーケンスは、比較的小さい振幅で短い持続時間の4つのパルスと、その後に続く、比較的大きな振幅で長い持続時間の第5のパルスを有している。最初の4つのパルスのそれぞれは、1つの電気エネルギー蓄積素子の放電を作動することにより発生される。第5のパルスは、残りの4つの電気エネルギー蓄積素子を同時に作動してパルス発光装置内に電流を供給することにより発生される。もう1つの実施形態において、第5のパルスは、より大きなエネルギー蓄積能力を有する単一の電気エネルギー蓄積素子により発生することもできる。この方法により、測定パルスシーケンスは比較的小さい振幅の4つのパルスと、その後に続く、大きな振幅の1つのパルスを有する。最初の4つのパルスは短距離の測定に適しており、大きな振幅のパルスは比較的長距離の測定に適しているので、このことが望ましい。一般的に、電気エネルギー蓄積素子は任意の適切な方法で大きさを設定することができ、多重パルス照射シーケンス内で所望のパルス振幅を得るために任意の数の電気エネルギー蓄積素子を同時に作動することができる。
【0048】
一般的に、多重パルス照射システム130は、パルス発光装置に選択的に直列に結合された任意の数の電気エネルギー蓄積素子を有することができる。さらに、1つ以上の電気エネルギー蓄積素子は、1つ以上の他の電気エネルギー蓄積素子と異なるエネルギー蓄積能力を有することができる。
【0049】
更なる実施形態において、三次元LIDARシステム、例えば図2に図示されている三次元LIDARシステム10は、共通の制御装置(例えば、制御装置140)と一体となって作動する16個の多重パルス照射システムを有する。図13は、16個の多重パルス照射システムの各々の発光のタイミングを示す図180である。
【0050】
図13に図示されているように、測定パルスシーケンスは第1の多重パルス照射システムから出射される。遅延時間T遅延経過後に、LIDAR装置の第2の多重パルス照射システムから測定パルスシーケンスが出射される。この方法により、測定期間T測定の間に、LIDAR装置から異なる方向に一連の16個の測定パルスシーケンスが出射される。16個の多重パルス照射システムの各々の電気エネルギー蓄積素子は、測定期間後に充電期間T充電の間充電される。充電期間後に、その次の測定期間にわたって、もう1つの測定パルスシーケンスが各多重パルス照射システムから出射される。
【0051】
いくつかの実施形態において、遅延時間T遅延は、LIDAR装置の最大範囲に位置する物体へ向かい、該物体から戻ってくるまでの測定パルスシーケンスの飛行時間よりも長く設定されている。この方法により、16個の多重パルス照射システムのいずれの間にもクロストークが生じない。
【0052】
いくつかの他の実施形態において、1つの多重パルス照射システムから出射された測定パルスシーケンスがLIDAR装置に戻るまでの時間が経過する前に、もう1つの多重パルス照射システムから測定パルスシーケンスを出射することができる。いくつかのこれらの実施形態において、クロストークを避けるために、各ビームにより問合せされた周囲環境の領域の間が十分に空間的に分離されることを確実にするように注意が払われている。いくつかのこれらの実施形態において、LIDARシステムに使用された任意の多重パルス照射システムにより発生された多重パルス照射は、他の任意の多重パルス照射システムにより発生された他の任意の多重パルス照射と異なるように符号化される。この方法により、各多重パルス照射ビームに関連付けられた戻り信号は、もしビーム間で空間的重なりがあっても、他の任意の集光された光と区別することができる。
【0053】
図7に図示されているように、特定位置138から反射された光は、光検出器155により検出される。光検出器155は、アナログ相互インピーダンス増幅器152により増幅される出力信号151を発生する。一般的に、出力信号151の増幅は、複数の増幅段階を有することができる。この場合、アナログ相互インピーダンス増幅器152は非限定的な実施例として提供されており、多くの他のアナログ信号増幅構成が本出願書類の範囲内に含まれると考えることができる。
【0054】
増幅信号153は、制御装置140に伝達される。制御装置140のアナログ/デジタル変換器(ADC)144が、アナログ信号153を更なる処理において使用されるデジタル信号に変換するために使用される。制御装置140は、多重パルス制御信号MPCと共同してADC144によるデータ取得のタイミングを制御するために使用されるイネーブル/ディスエーブル信号145を発生する。
【0055】
図8は、測定パルスシーケンスの出射及び戻り測定パルスシーケンスの捕捉に関わるタイミングを示す図である。図8に図示されているように、測定は、制御装置140により発生された多重パルス発射信号161(例えば、MPC[1])とともに始まる。内部システムの遅延により、多重パルス発射信号161から時間遅延Tによりずれているインデックス信号162が測定される。時間遅延は、LIDARシステムからの発光に関する既知の遅延(例えば、信号通信遅延及びスイッチ素子、エネルギー蓄積素子及びパルス発光装置に関する待機時間)と、集光と集光された光を示している信号発生に関する既知の遅延(例えば、増幅器の待機時間、アナログ/デジタル変換遅延等)と、を含んでいる。インデックス信号162は、図8に図示されているように多重パルス信号であってもよく、又は、単一パルス信号であってもよい。インデックス信号は、システム内の時間遅延を測定するために発生される。そして、インデックス信号は、システム動作中の任意の適切な時間において再発生することができる。また、インデックス信号は、1つ以上の測定チャンネルに関する時間遅延を推定するために使用される。
【0056】
図8に図示されているように、戻り信号163は、特定位置の照射に対応してLIDARシステムにより検出される。測定窓(例えば、収集された戻り信号データが特定測定パルスシーケンスに関連付けられている期間)は、光検出素子150からのイネーブルデータ取得により開始される。制御装置140は、測定パルスシーケンスの出射に対応する戻り信号が予期される時間の窓に対応するように測定窓のタイミングを制御する。いくつかの実施例において、測定窓は、測定パルスシーケンスが出射された時点で作動され、LIDARシステムの範囲の2倍の距離にわたる光の飛行時間に対応する時点において停止される。この方法により、測定窓は、LIDARシステムに近接する物体からの戻り光(わずかな飛行時間)からLIDARシステムの最大範囲に位置する物体からの戻り光までを集光するために開かれている。この方法により、有効な戻り信号として貢献することができない他の全ての光は除外される。
【0057】
図8に図示されているように、戻り信号163は、出射された測定パルスシーケンスに対応する2つの戻り測定パルスシーケンスを有する。一般的に、信号検出は、全ての検出された測定パルスシーケンスに実施される。さらに、信号分析が、最も近い信号(例えば、戻り測定パルスシーケンスの最初のインスタンス)、最も強い信号及び最も遠い信号(例えば、測定窓における戻り測定パルスシーケンスの最後のインスタンス)を特定するために実施される。これらのインスタンスはどれも、LIDARシステムによる潜在的に有効な距離測定として報告することができる。例えば、図8に図示されているように、飛行時間TOFは、出射された測定パルスシーケンスに対応する最も近い(例えば、最も早い)戻り測定パルスシーケンスから計算することができる。
【0058】
LIDARシステム及び周囲環境内の特定位置の間の距離測定における測定パルスシーケンスの出射及び集光は、ノイズ除去のためのいくつかの構成の実施を可能にする。このことは、達成可能な範囲の増大及び不要信号(例えば、太陽雑音、太陽フレア、他のLIDAR装置からのクロストーク等)に対する感度の減少をもたらす。多重パルス照射ビームは、符号ダイバーシティ方式、振幅ダイバーシティ方式、時間ダイバーシティ方式、又はこれらの組み合わせにより符号化されることができる。測定パルスシーケンスを符号化し、戻り測定パルスシーケンスを復号化することにより、測定パルスシーケンスによる照射に関連付けられた反射信号を外因性信号から区別することができる。
【0059】
いくつかの実施例において、多重パルス照射ビームの符号化は疑似ランダムにより実施することができる。いくつかの実施例において、多重パルスビームの符号化は、戻り信号内のチャンネルノイズの測定に対応して変更することができる。例えば、もし戻り信号が閾値を超えるノイズを含んでいる場合、他のコードが選択される。この方法により、他のLIDARシステムのような外因性ノイズ源の影響を最小化する符号化を選択することができる。
【0060】
図9に図示されている1つの実施例において、戻り測定パルスシーケンス163は、例えば、シグネチャ検出フィルタによりフィルタリングされる。1つの実施例において、シグネチャ検出フィルタは、自己相関フィルタである。フィルタリングされた信号165も図9に図示されている。これらの実施例において、フィルタリングされた出力信号が閾値を超える場合、収集された信号は正当な戻り測定パルスシーケンスであると決定される。
【0061】
図10及び11に図示されているもう1つの実施例において、戻り測定パルスシーケンス163の複数のピークの時間的間隔が測定される。例えば、図11に図示されているように、表170は、戻り測定パルスシーケンス163の各ピークに関する時間及び隣接するピーク間の時間を示している。連続するインスタンスのそれぞれの間の時間が、出射された測定パルスシーケンスの各パルス間の時間と実質的に同じである場合、戻り測定パルスシーケンスは正当であると決定される。したがって、照射光の多重パルスビームの飛行時間は、多重パルスビームがLIDAR装置から出射された時間及び閾値を超えた出力信号の複数の連続するインスタンスに関する検出の時間の間の差に基づいて測定される。
【0062】
更なる側面において、LIDARシステム及び周囲環境内の特定位置の間の距離測定における多重パルスシーケンスの出射及び集光は、LIDARシステム及び検出された物体の間の相対速度の推定を可能にする。
【0063】
図14は、少なくとも1つの新しい側面における多重パルスLIDAR測定を実施する方法200を示す図である。方法200は、本発明の図1及び2にそれぞれ図示されているLIDARシステム100及び10のようなLIDARシステムにより実施するのに適している。1つの側面において、方法200のデータ処理ブロックは、制御装置140の1つ以上のプロセッサにより、又は他の汎用計算システムにより、実行される事前にプログラムされたアルゴリズムによって実行することができる。ここで、LIDARシステム100及び10の特定構成は限定を示しているものではなく、単なる実例として解釈されるべきである。
【0064】
ブロック201において、照射光の多重パルスビームが、LIDAR装置から三次元環境内に出射される。照射光の多重パルスビームが、照射光の測定パルスシーケンスにより、三次元環境内の特定位置を照射する。
【0065】
ブロック202において、測定窓の間、照射光の多重パルスビームにより照射された三次元環境内の特定位置から反射された測定パルスシーケンスの量が検出される。測定窓は、LIDAR装置の測定範囲の2倍の距離にわたる光の飛行時間を超える存続期間を有する。
【0066】
ブロック203において、検出された光量を示す出力信号が発生される。
【0067】
ブロック204において、出力信号は、例えば図7に図示されている制御装置140のアナログ/デジタル変換器により、デジタル信号に変換される。
【0068】
ブロック205において、デジタル信号に基づいて、LIDAR装置から三次元環境内の特定位置そして特定位置からLIDAR装置に戻るまでの測定パルスシーケンスの飛行時間が測定される。
【0069】
1つ以上の例示的な実施形態において、記載されている機能は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はそれらの組み合わせにおいて実施することができる。ソフトウェアにおいて実施される場合、機能は、コンピュータ可読媒体上の1つ以上の指令又はコードとして伝達又は記憶されることができる。コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体及び通信媒体を含み、1つの場所から他の場所へのコンピュータプログラムの転送を容易にするどの媒体も含むことができる。記憶媒体は、汎用コンピュータ又は専用コンピュータによりアクセスすることができる任意の利用可能な媒体を使用することができる。限定としてではなく、例として、コンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD-ROM又は他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置又は他の磁気記憶装置、又は、汎用コンピュータ又は専用コンピュータにより、又は汎用プロセッサ又は専用プロセッサによりアクセスすることができ、データ構造又は指令の形の所望のプログラムコードを記憶又は保持するために使用することができる他の任意の媒体を含むことができる。また、任意の接続もコンピュータ可読媒体と呼ぶのにふさわしい。例えば、同軸ケーブル、光ファイバーケーブル、ツイストペアケーブル、デジタル加入者回線(DSL)、又は赤外線通信、無線通信、及びマイクロ波通信等の無線技術を使用して、ウェブサイト、サーバー、又は他の遠隔供給源からソフトウェアが伝送された場合、同軸ケーブル、光ファイバーケーブル、ツイストペアケーブル、デジタル加入者回線(DSL)、又は赤外線通信、無線通信、及びマイクロ波通信等の無線技術は、媒体の定義内に含まれる。ここで使用されるディスクは、コンパクトディスク(CD)、レーザーディスク、光ディスク、デジタルバーサタイルディスク(DVD)、フロッピーディスク及びブルーレイディスクを含み、ディスクは通常データを磁気的に再生し、また、ディスクはデータをレーザーにより光学的に再生する。上記の組み合わせもコンピュータ可読媒体の範囲内に含まれるものである。
【0070】
説明の目的で特定実施形態が上述されているが、この特許出願書類の教示は汎用性を有し、上記の特定実施形態に限定されるものではない。したがって、特許請求の範囲に記載の本発明の範囲から逸脱することなく、様々な改良、適応、及び上記実施形態の様々な構成の組み合わせを実行することができる。
【符号の説明】
【0071】
10 三次元LIDARシステム
11 下部ハウジング
12 上部ハウジング
13 円筒形シェル要素
14 中心軸
15 複数の光ビーム
16 ビーム
17 位置
100 三次元LIDARシステム
101 下部ハウジング
102 上部ハウジング
103 ドーム状シェル要素
104 中心軸
105 複数の光ビーム
106 ビーム
107 XY平面上の位置
108 円形軌跡
110 固定電子基板
111 回転電子基板
112 発光・集光エンジン
113 光検出素子アレイ
114 発光素子アレイ
115 照明光学系
116 集光光学系
116A レンズ素子
116B レンズ素子
116C レンズ素子
116D レンズ素子
117 112の中心光軸
118 集光された光
121 中間電子基板
122 中間電子基板
123 中間電子基板
124 ミラー
130 多重パルス照射システム
131 電気エネルギー源
132A 電気エネルギー蓄積素子
132B 電気エネルギー蓄積素子
132C 電気エネルギー蓄積素子
133 電流
134 電流
135 電流
136 パルス電気信号、電流信号
137 パルス発光装置
138 特定位置
139A スイッチ素子
139B スイッチ素子
139C スイッチ素子
140 制御装置
144 アナログ/デジタル変換器
145 イネーブル/ディスエーブル信号
150 光検出システム
151 出力信号
152 アナログ相互インピーダンス増幅器
153 増幅信号、アナログ信号
155 光検出器
161 多重パルス発射信号
162 インデックス信号
163 戻り信号、戻り測定パルスシーケンス
165 フィルタリングされた信号
167 測定パルスシーケンス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図14