(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-27
(45)【発行日】2022-07-05
(54)【発明の名称】タンパク質汚れの迅速検出のための方法及び組成物
(51)【国際特許分類】
G01N 33/68 20060101AFI20220628BHJP
G01N 21/78 20060101ALI20220628BHJP
【FI】
G01N33/68
G01N21/78 Z
(21)【出願番号】P 2018560737
(86)(22)【出願日】2017-02-08
(86)【国際出願番号】 US2017017036
(87)【国際公開番号】W WO2017139390
(87)【国際公開日】2017-08-17
【審査請求日】2020-02-05
【審判番号】
【審判請求日】2021-10-01
(32)【優先日】2016-02-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515050220
【氏名又は名称】エコラブ ユーエスエイ インク
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】特許業務法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フィニソン ジェレミー ブレント
(72)【発明者】
【氏名】バベキア アマニ
(72)【発明者】
【氏名】スタロビン アンナ
【合議体】
【審判長】三崎 仁
【審判官】伊藤 幸仙
【審判官】石井 哲
(56)【参考文献】
【文献】特表2002-513947(JP,A)
【文献】特表2014-514547(JP,A)
【文献】特開平11-281577(JP,A)
【文献】島崎豊,「洗浄評価におけるアミドブラック10Bの有効性と強固なタンパク質汚れの除去方法」,医療機器学,2012年4月1日,Vol.82,No.2,p.184
【文献】P.K.Smith,”Measurement of protein using bicinchoninic acid”,Analytical Biochemistry,米国,1985年,Vol.150,p.76-85
【文献】M.E.Anderson,”A simple qualitative method for detecting cleanliness of food contact surfaces”,Journal of Food Protection,1986年5月,Vol.49,No.5,p.342-346
【文献】一般社団法人日本医療機器学会 滅菌技士認定委員会 洗浄評価判定の指針を調査・作成するための検討WG,洗浄評価判定ガイドライン,2012年8月15日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48 - 33/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面上のタンパク質または生物膜の存在を検出するための方法であって、
(a)組成物を前記表面上に噴霧することであって、前記組成物が、
i.0.01~0.5重量%の
水和硫酸銅
(II)を含む第1の部分と、
ii.タンパク質または生物膜と接触したときに、Cu
1+イオンと反応して着色生成物を生成し、可視呈色反応を引き起こす0.2~3.0重量%のビシンコニン酸を含む第2の部分と、を含み、
前記組成物が、10~11.5のpHを有
し、
(b)前記組成物の噴霧から120秒以内に前記表面のあらゆる呈色反応を視覚的に観察することと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記組成物が、前記表面の少なくとも75%を被覆するように適用される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記組成物が、10.5~11.4のpHを有する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の部分及び前記第2の部分が、噴霧時に合わせて混合される別々の溶液として提供される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の部分及び前記第2の部分が、噴霧前に合わせて混合される別々の溶液として提供される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の部分及び前記第2の部分が、1液型使用溶液として提供される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記表面が、プラスチック表面である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記表面が、金属表面である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記表面が、食品調理表面である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記呈色反応が、タンパク質または生物膜が存在する場合に、前記組成物を噴霧してから10秒以内に発生する、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記呈色反応が、タンパク質または生物膜が存在する場合に、前記組成物を噴霧してから5秒以内に発生する、請求項1~9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記タンパク質または生物膜が、前記組成物を噴霧する前に不可視である、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記組成物が、訓練プログラムの一部として噴霧される、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記組成物が、評価プログラムの一部として噴霧される、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記呈色反応の結果をモバイルアプリケーションまたはソフトウェアプログラムに入力することをさらに含む、請求項13または14に記載の方法。
【請求項16】
前記モバイルアプリケーションまたはソフトウェアプログラムが、日付、時間、場所、現場、色の結果、是正措置、またはそれらの組み合わせのデータフィールドを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
表面上のタンパク質または生物膜の存在を検出するための方法であって、
(a)組成物を前記表面上に噴霧することであって、前記組成物が、
i.0.01~0.5重量%の水和硫酸銅(II)を含む第1の部分と、
ii.タンパク質または生物膜と接触したときに、Cu
1+イオンと反応して着色生成物を生成し、可視呈色反応を引き起こす0.2~3.0重量%のビシンコニン酸を含む第2の部分と、を含み、
前記水和硫酸銅(II)及び前記ビシンコニン酸が、5:1~1:15の比率で適用され、前記組成物が、10~11.5のpHを有し、
(b)前記組成物を噴霧してから30秒以内に前記表面のあらゆる呈色反応を視覚的に観察することと、
を含む、方法。
【請求項18】
前記第1の部分及び前記第2の部分が、噴霧前に合わせて混合される別々の溶液として提供される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記表面が、調理台、テーブル、棚、トレイ、まな板、容器、保冷容器、冷蔵庫、冷凍庫、調理表面、ディスプレイ場所、食肉解体場所、食肉解体清掃場所、流し台、器具、カッター、ミキサー、タンク、押し出し機、コンベヤー、ヒーター、乾燥機、オーブン、床、排水管、壁のタイル、ドア、ドアノブ、ベッド、ベッドの柵、家具、手すり、医療または歯科用設備、医療または歯科用器具、トイレ、便器、シャワー室、洗浄用具、電話、呼び出しボタン、リモートコントロールの群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記表面が、トレイ、流し台、壁、床、排水管、ドア、ドアノブ、手すりの群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記表面が、レストラン、カフェテリア、家庭用キッチン、食肉加工工場、食品調理表面、食品サービス施設、食品保管場所、食品保管表面、食品提供表面、食料品店、デリカテッセン、ディスプレイ場所、ディスプレイ表面、食品工場、病院、医療現場、待合室、病室、準備室、または手術室に位置する、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記第1の部分及び前記第2の部分が、3:1~1:1の体積比で適応される、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、PCT国際出願として2017年2月8日に提出され、2016年2月9日に提出された米国仮出願第62/293,118号に対する優先権の利益を主張し、該米国仮出願はその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、タンパク質系の汚れ及び生物膜の検出のための組成物及び方法に関する。具
体的には、本開示は、表面上のタンパク質汚れまたは生物膜の迅速な検出に使用され得る
組成物及び方法に関する。本開示は、さらに、洗浄方法を改善及び開発し、かつ洗浄方法
について人員を訓練するために本開示の組成物を使用するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
洗浄手順の有効性は、例えば、食料サプライチェーン及び医療施設において、効果的に
殺菌するため、かつ微生物汚染を削減するために重要である。例えば、食品調理及び食品
保管場所または患者の治療場所で使用する洗浄手順は、細菌、ウイルス、及び他の微生物
を寄生させ得る、または害虫を引き付け得る様々な汚れを除去するために十分であるべき
である。
【0004】
汚れの存在が自動的に病原菌の存在を意味するものではないが、汚れた表面は、清潔な
表面よりも病原菌を寄生させやすく、害虫を引き付ける場合がある。しかしながら、洗浄
方法は、表面上の全ての汚れを除去するのに常に完全に効果的であるとは限らない。洗浄
方法が、いくつかの汚れを除去するのに非効率的である可能性があり、洗浄スタッフが、
洗浄手順に従わない場合があり、または本方法で使用する用具もしくは化学薬品が、非効
率的である場合がある。
【0005】
本開示は、この背景に照らしてなされるものである。
【発明の概要】
【0006】
表面上のタンパク質または生物膜の存在を検出するための方法は、組成物を表面に適用
することと、タンパク質または生物膜が表面上に存在する場合に、呈色反応を観察するこ
ととを含む。組成物は、硫酸銅を含む第1の部分と、タンパク質または生物膜と接触した
ときに、硫酸銅と反応して可視呈色反応を引き起こすことのできる試薬を含む第2の部分
とを含む。組成物は、11.5未満のpHを有する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
様々な汚れ及び/または病原菌の存在について試験するためのいくつかの方法が存在す
る。しかしながら、これらの方法の多くは、訓練を受けた研究員、高額もしくは複雑な設
備、及び/または結果を受け取るまでの長い待ち時間を必要とする。ATP(アデノシン
三リン酸)及び細菌培養等のいくつかの方法は、表面を試験するためにスワブに依存する
。しかしながら、これらの試験方法は、スワブ塗布(swabbed)された場所を試験
するだけであるため、表面全体の有機物または細菌についての標示を提供しない。さらに
、これらの試験は、偽陽性を提供すること、ならびに誤った結果を提供する一般的に使用
される洗浄化学薬品及び用具と相互関係を有することが知られている。さらに、スワブま
たは培養による結果は、スワブを行う人が使用する特有の技術に応じて変化し得る。大き
な表面積を被覆するためには、多数のスワブが必要となり、これにより試験方法が極めて
高額になる。
【0008】
生物膜の存在を検出するために使用するいくつかの方法は、過酸化水素を含有する液体
組成物を噴霧することによって数分以内に結果を提供する。過酸化水素は、Staphy
lococcus、ListeriaまたはE.coli等のカタラーゼ酵素に陽性であ
る微生物と反応して、微生物が十分なレベルで存在する場合に気体を生成し得る。しかし
ながら、試験は、StreptococciまたはEnterococci等のカタラー
ゼ陰性の有機体を検出することができない。
【0009】
ビウレット反応に基づく様々なアッセイ(例えば、スミスアッセイ、ローリータンパク
質アッセイ、ブラッドフォードタンパク質アッセイ、PIERCE(商標)BCAタンパ
ク質アッセイ)は、液体試料中のタンパク質を定量的に測定するための確実な方法として
知られている。ビウレット反応は、Cu2+からCu1+への還元、ならびに銅と着色複合体
を形成する化合物とのCu1+の反応を伴う。例えば、アッセイのうちのいくつかは、ビシ
ンコニン酸(BCA)塩、銅(II)塩、及び酒石酸ナトリウムの強アルカリ性溶液を使
用し、これらは、タンパク質の存在下で紫色を発生させる。しかしながら、そのアッセイ
を使用することは、訓練を受けた研究員及び比色デバイス(例えば、UV-VISリーダ
)を備えた研究所を必要とする。アッセイは、一般的には、呈色反応が生じるまでの潜伏
時間(例えば、30分以上)を含む。ビウレットアッセイキットは、例えば、Walth
am,MAのThermo Fisher Scientific Inc.より市販さ
れている。
【0010】
本開示は、表面上のタンパク質または生物膜の存在について迅速に試験するための組成
物及び方法を提供し、その結果として、タンパク質含有の汚れまたは生物膜で表面が汚れ
ているか否かに関する標示を提供する。また、組成物及び方法は、タンパク質及び生物膜
を適正洗浄で除去するべきであることから、洗浄有効性の監視の一部としても使用され得
る。洗浄プログラムの一部として使用する場合、組成物及び方法は、表面上のタンパク質
及び生物膜の存在の監視、洗浄手順の有効性に関するフィードバックの提供、洗浄手順の
開発または改善、及び適正洗浄手順における洗浄人員の訓練に適切である。
【0011】
実施形態によると、方法は、組成物を表面上に適用することと、呈色反応を観察するこ
ととを含む。組成物は、概して、噴霧、霧化、スワブ塗布(swabbing)、スポン
ジ塗布(sponging)、滴下、注出、拭き取り、または任意の他の適切な方法によ
って適用され得る。組成物は、適用時に混合される2液型溶液、または適用前に調製され
る1液型溶液であってもよい。1液型溶液は、適用前(例えば、数分以内または最大1週
間以内)に現場で調製され得るか、または調製済み溶液であり得る。
【0012】
方法及び組成物は、処理工場、商業用キッチン、企業用キッチン、食品保管場所、フル
サービス及び迅速サービスのレストラン、カフェテリア、食料品店、ならびに家庭用キッ
チン及び食品保管場所等の食品及び飲料処理施設ならびにサービス機関で使用され得る。
例えば、方法及び組成物は、食肉加工工場、レストランのキッチン、または食料品店のデ
リカデッセン(「デリ」)における洗浄手順を監視するために使用され得る。方法及び組
成物は、さらに、病院、診療所、ならびに他の医療及び長期ケア施設等の医療背景におい
て使用され得る。例えば、方法及び組成物は、手術室、緊急治療室、病室、または他の場
所におけるタンパク質及び生物膜を検出するために使用され、その結果として、表面が汚
れているという標示を提供し得る。
【0013】
組成物は、硬表面及びいくつかの多孔質表面または軟表面を含む様々な表面に適用され
得る。表面は、粗面、平滑面、または研摩面を含み得る。組成物が適用され得る表面の例
として、金属、硬質プラスチック、柔軟なプラスチック、木材、処理木材、複合材、石材
、ゴム、及び繊維が挙げられる。
【0014】
ある実施形態によると、組成物がタンパク質または生物膜と反応すると、組成物は、組
成物の表面への適用の約60秒以下以内、約10秒以内、約5秒以内、約3秒以内、約2
秒以内、または約0.5~約45秒、または約1~約30秒、もしくは約1~約10秒以
内に色を発生させる。組成物は、表面に適用され得、呈色反応は、タンパク質または生物
膜が存在する場所に発生する。実施形態の少なくともいくつかでは、その色は、ヒトの目
に可視的であり、経時的により強くなってもよい(例えば、より暗くまたはより濃くもし
くはより飽和した)。例えば、その色は、約2~3秒で可視的になり始めてもよく、次の
10秒~120秒の間にわたって濃さが増してもよい。
【0015】
実施形態では、組成物は、表面上に存在するタンパク質または生物膜と接触したときに
呈色反応を発生させる活性成分を含む。組成物は、第1の部分及び第2の部分を含んでも
よく、これらは、タンパク質または生物膜の存在下で呈色反応を形成する。第1の部分及
び第2の部分は、適用時または適用直前に混合される2液型溶液として別々に提供され得
るか、または1液型溶液として提供され得る。組成物は、さらに、濃縮液としてまたは使
用溶液として提供されてもよい。水または別の水溶液等の適切な希釈剤で濃縮組成物(1
液型または2液型に関わらず)を希釈して、使用前に使用溶液を形成してもよい。いくつ
かの実施形態では、組成物は、水性溶媒等の適切な溶媒に粉末を溶解することによって調
製され得る粉末濃縮物として提供される。
【0016】
いくつかの実施形態では、第1の部分は、水和硫酸銅(II)(例えば、硫酸銅(II
)五水和物または別の適切な水和物)の水溶液を含む。1液型使用溶液は、約0.005
~1.0重量%、約0.01~0.5重量%、約0.02~0.2重量%、または約0.
05~0.1重量%の水和硫酸銅(II)を含んでもよい。組成物が2液型溶液として提
供される場合、硫酸銅を含む第1の部分は、約0.01~0.5重量%、約0.05~0
.3重量%、約0.10~0.25重量%、または約0.12~0.18重量%の水和硫
酸銅(II)を含んでもよい。第1の部分は、さらに、酒石酸もしくはその塩(例えば、
酒石酸ナトリウム)、ヨウ化物(例えば、ヨウ化カリウム)、金属水酸化物または炭酸塩
等のアルカリ性供給源等の安定剤、ならびに緩衝剤(例えば、水酸化ナトリウム、炭酸ナ
トリウム、及び重炭酸ナトリウム、またはクエン酸及びクエン酸ナトリウム)を含んでも
よい。
【0017】
第2の部分は、ビシンコニン酸(BCA)もしくはその塩、サリチル酸もしくはその塩
、3-ヒドロキシフラボン、またはある特定の有機酸及びその塩等の、Cu1+と反応し、
かつ着色生成物を形成することのできる試薬の水溶液を含んでもよい。適切な有機酸の例
として、アスコルビン酸、クエン酸、またはベンゼン環構造を有する有機酸が挙げられる
。一実施形態では、有機酸は、銅イオンをキレートすることができる。Cu1+と反応する
ように意図される試薬の量は、硫酸銅(II)の量に基づいて調整され得る。また、第2
の部分と混合される第1の部分の量も、調整され得る。2液型溶液の第1の部分は、硫酸
銅の銅隔離剤(例えば、BCA)に対する比率が重量基準で約10:1~1:20、約5
:1~1:15、約1:1~1:10、または約1:3~1:7になるように、第2の部
分と混合される。好適な実施形態では、硫酸銅の銅隔離剤(例えば、BCA)に対する比
率は、約1:3~1:4.5である。いくつかの実施形態では、2液型溶液の第2の部分
は、約0.2~約3.0重量%、約0.4~約2.0重量%、または約0.5~約1.5
重量%の、Cu1+と反応できる試薬を含んでもよい。第2の部分は、さらに、金属水酸化
物または炭酸塩、酒石酸またはその塩(例えば、酒石酸ナトリウム)等のアルカリ性供給
源、ならびに緩衝剤(例えば、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、及び重炭酸ナトリウ
ム、またはクエン酸及びクエン酸ナトリウム)を含んでもよい。組成物が1液型溶液とし
て調製される場合、組成物は、約0.05~約3.0重量%、約0.1~約2.0重量%
、または約0.2~約1.5重量%の、Cu1+と反応できる試薬を含んでもよい。
【0018】
組成物が噴霧のために2液型溶液として提供される実施形態では、第1の部分及び第2
の部分の相対量を調整して、呈色反応の速度を調整することができる。
【0019】
一例示的実施形態では、第1の部分は、約0.15重量%のビウレットで調製され、第
2の部分は、約1.0重量%のBCAで調製される。第1の部分及び第2の部分は、2チ
ャンバ式噴霧ボトルを使用して適用され、この場合、第1の部分は一方のチャンバにあり
、第2の部分は別のチャンバにある。第1の部分及び第2の部分は、組成物がボトルから
噴霧されるときに、適用時に混合される。噴霧ボトルは、約50:1~約1:3、または
1:1、1.5:1、1.85:1、2:1、2.25:1、2.5:1、3:1、4:
1等のその間の任意の比率で、第1の部分及び第2の部分を引き込むように調整される。
一実施形態では、噴霧比率は、約1.85:1に調整される。別の実施形態では、噴霧比
率は、約1.5:1に調整され、さらに別の実施形態では、約2.2:1に調整される。
例示的実施形態における溶液及び活性成分(硫酸銅及び銅隔離剤、例えば、BCA)の量
を、以下の表1に示す。
【0020】
組成物(例えば、第1の部分及び第2の部分、またはその混合配合)のpHは、約8以
上、例えば、約8~約13.5、約8.5~約13、約9~約12.5、約9.5~約1
2、約10~約11.5、または約10.5~約11.4の範囲であってもよい。好まし
くは、組成物のpHは、手袋、ゴーグル、保護衣服等の個人用保護具(「PPE」)無し
で組成物を使用することができるようにするものである。PPEは、一般的に、約pH1
1.5以上の溶液を取り扱う場合に必要とされる。ゆえに、ある実施形態によると、組成
物のpHは、11.5未満である。一実施形態では、組成物のpHは、約10.8~11
.4である。組成物のpHは、酸または塩基等の一般的なpH調整剤を含むことによって
調整され得る。適切な酸は、カルボン酸(例えば、ギ酸、酢酸、プロパン酸、ブタン酸、
ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸
、ドデカン酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、アセチルサリチル酸、マンデル酸等)
等の有機酸、及び鉱酸(例えば、リン酸、硝酸、塩酸、硫酸)等の無機酸を含む。適切な
塩基は、例えば、アルカリ金属水酸化物(例えば、NaOH、KOH)、炭酸塩(例えば
、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム)を含む。
【0021】
いくつかの実施形態では、組成物は、追加の薬剤を含んでもよい。例えば、組成物は、
希釈剤、可溶化剤、安定剤、界面活性剤、発泡剤、乳化剤、レオロジー改質剤、着色剤、
香料等を含んでもよい。
実施形態によると、組成物は、1つ以上の希釈剤を含む。適切な希釈剤は、例えば、水、
アルコール、グリコールエーテル、または他の水溶性有機溶媒を含む。適切なアルコール
の例として、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、
グリコール、プロパンジオール、及びブタンジオールが挙げられる。希釈剤は、可溶化剤
としての役割も果たしてもよい。
【0022】
適切な安定剤の例として、重炭酸、炭酸塩、酒石酸カリウムナトリウム及びその水和物
(有機酸塩)、ヨウ化カリウム、二塩基酸、ならびにそれらの組み合わせ等のアルカリ金
属塩、水酸化カリウムまたは水酸化ナトリウム及びそれらの組み合わせ等のアルカリ金属
水酸化物が挙げられる。
【0023】
また、組成物は、非イオン性、アニオン性、または両性界面活性剤等の適切な界面活性
剤も含んでもよい。アニオン性界面活性剤には、親水性基上に負電荷を持つもの、または
、pHが中性以上に上昇されない限り分子の疎水性区分が電荷を担持しない界面活性剤(
例えばカルボン酸)が含まれる。アニオン性界面活性剤は、屈水性効果のため、または雲
り点制御のために、洗浄界面活性剤、ゲル化系または増粘系の一部としてのゲル化剤、可
溶化剤として使用され得る。大規模な商業用のアニオン性界面活性剤の大部分は、当業者
に既知であり、“Surfactant Encyclopedia,”Cosmeti
cs&Toiletries,Vol.104(2)71-86(1989)に記載され
ている、5つの主要な化学的クラス及びさらなる下位群に細分され得る。第1のクラスは
、アシルアミノ酸(及び塩)、例えば、アシルグルアメート(acylglutamat
es)、アシルペプチド、サルコシネート(例えば、N-アシルサルコシネート)、タウ
レート(例えば、N-アシルタウレート、及びメチルタウリド(methyl taur
ide)の脂肪酸アミド)等を含む。第2のクラスは、カルボン酸(及び塩)、例えば、
アルカン酸(及びアルカノエート)、エステルカルボン酸(例えば、コハク酸アルキル)
、エーテルカルボン酸等を含む。第3のクラスは、リン酸エステル及びそれらの塩を含む
。第4のクラスは、スルホン酸(及び塩)、例えば、イセチオナート(例えば、アシルイ
セチオナート)、アルキルアリールスルホナート、アルキルスルホナート、スルホスクシ
ナート(例えば、スルホスクシナートのモノエステル及びジエステル)等を含む。第5の
クラスは、硫酸エステル(及び塩)、例えば、硫酸アルキルエーテル、硫酸アルキル等を
含む。
【0024】
有用な非イオン界面活性剤は、概して、有機疎水性基及び有機親水性基の存在を特徴と
し、一般的には、有機脂肪族、アルキル芳香族、またはポリオキシアルキレン疎水性化合
物と、一般的には、エチレンオキシドまたはその多水和生成物(polyhydrati
on product)、例えば、ポリエチレングリコールである親水性アルカリ性オキ
シド部分との縮合によって生成される。適切な非イオン性界面活性剤の例としては、アル
キル-、アリール-、及びアリールアルキル-アルコキシレート、アルキルポリグリコシ
ド及びこれらの誘導体、アミン及びこれらの誘導体、ならびにアミド及びこれらの誘導体
が挙げられる。さらなる有用な非イオン性界面活性剤としては、界面活性剤分子の一部と
してポリアルキレンオキシドポリマーを有するものが挙げられる。このような非イオン性
界面活性剤としては、例えば、塩素、ベンジル、メチル、エチル、プロピル、ブチル、及
び他のアルキルでキャップされた、脂肪アルコールのポリオキシエチレン及び/またはポ
リオキシプロピレングリコールエーテル;アルキルポリグリコシド等のポリアルキレンオ
キシド不含非イオン性物質;ソルビタン及びスクロースのエステルならびにそれらのエト
キシレート;アルコキシル化エチレンジアミン;例えばアルコールエトキシレートプロポ
キシレート、アルコールプロポキシレート、アルコールプロポキシレートエトキシレート
プロポキシレート、アルコールエトキシレートブトキシレート等のアルコールアルコキシ
レート;グリセロールエステル、ポリオキシエチレンエステル、脂肪酸のエトキシル化及
びグリコールエステル等のカルボン酸エステル;ジエタノールアミン縮合物、モノアルカ
ノールアミン縮合物、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド等のカルボン酸アミド;ならびに
エトキシル化アミン及びエーテルアミン、ならびに他の同様の非イオン性化合物が挙げら
れる。シリコーン界面活性剤も使用され得る。ポリアルキレンオキシドポリマー部分を有
する非イオン性界面活性剤としては、1~約20個のエチレンオキシド基を有するC6~
C24アルコールエトキシレートの非イオン性界面活性剤;1~約100個のエチレンオ
キシド基を有するC6~C24アルキルフェノールエトキシレート;1~約20個のグリ
コシド基を有するC6~C24アルキルポリグリコシド;C6~C24脂肪酸エステルエ
トキシレート、プロポキシレート、またはグリセリド;及びC4~C24モノまたはジア
ルカノールアミドが挙げられる。
【0025】
両性及び双性界面活性剤としては、第二級及び第三級アミンの誘導体、複素環式第二級
及び第三級アミンの誘導体、または第四級アンモニウムの誘導体、第四級ホスホニウムも
しくは第三級スルホニウム化合物が挙げられる。アンモニウム、ホスホニウム、またはス
ルホニウム化合物は、脂肪族置換基、例えば、アルキル、アルケニル、もしくはヒドロキ
シアルキル;アルキレンまたはヒドロキシアルキレン;またはカルボキシレート、スルホ
ネート、サルフェート、ホスホネート、もしくはホスフェート基で置換され得る。
【0026】
組成物は、腐食防止剤を含んでもよい。例えば、組成物は、アルミニウム表面の保護に
役立つように、アルカリ金属ケイ酸塩等のケイ酸塩、またはリン酸エステルを含んでもよ
い。
【0027】
溶液は、任意選択で、1つ以上のレオロジー改質剤(例えば、増粘剤またはゲル化剤)
を含んでもよい。適切な無機増粘剤は、概して、コロイド状ケイ酸アルミニウムマグネシ
ウム、コロイド粘土(Bentonites)、またはヒュームドシリカ等の化合物であ
る。適切な天然ヒドロゲル増粘剤は、トラガカント、カラヤ、及びアカシアゴム等の錯ア
ニオン性多糖類の塩、ならびにカラギーナン、ローカストビーンガム、グアーガム、及び
ペクチン等の抽出物、またはキサンタンガム等の純培養発酵生成物を含む。適切な合成天
然系の増粘剤は、アルキル及びヒドロキシルアルキルセルロース、具体的には、メチルセ
ルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、
ヒドロキシブチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエ
チルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、及びカルボキシメチルセルロース等の
セルロース誘導体を含む。増粘剤としての使用に適切な合成石油系の水溶性ポリマーは、
ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリル酸及びポリメタクリル
酸、ポリアクリルアミド、ポリエチレンオキシド、ならびにポリエチレンイミンを含む。
【0028】
組成物は、任意選択で、様々な染料、香料、及び他の美観向上剤を含んでもよい。好適
な染料は、FD&C染料、D&C染料等を含む。
【0029】
いくつかの実施形態によると、組成物は、適用時に混合される2液型溶液であってもよ
く、第1の部分及び第2の部分を含む。2つの部分は、使用前に容器中(例えば、ボトル
)で混合され得るか、または2チャンバ式噴霧ボトルのノズルもしくは噴霧ノズル等のア
プリケータ自体で混合され得る。代替として、組成物は、適用前(例えば、適用前最大1
または2週間)に調製される1液型溶液として提供され得るか、または調製済み溶液であ
り得る。
【0030】
組成物は、噴霧ボトルに提供され、噴霧によって適用されてもよい。いくつかの実施形
態では、組成物は、2チャンバ式噴霧ボトルに提供され、この場合、第1の部分は一方の
チャンバにあり、第2の部分は別のチャンバにある。第1の部分及び第2の部分は、組成
物がボトルから噴霧されるときに、適用時に混合される。また、組成物は、単一チャンバ
式噴霧ボトルにも提供されてもよく、この場合、第1の部分及び第2の部分は混合される
。組成物は、代替として、ワイプ、ドロッパー、アプリケータ先端(例えば、スポンジ先
端)付きのアンプル、試験ストリップ、またはより大きい面積への適用のためのポンプ及
び噴霧ノズル付きの容器に提供されてもよい。
【0031】
組成物は、概して、噴霧、霧化、発泡、スポット適用、滴下、注出、拭き取り、スワブ
塗布、または任意の他の適切な方法によって適用され得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、組成物は、スワブとの使用のために提供され得る。例えば、
2液型溶液のうちの一方の部分は、スワブ上に含浸され、他方の部分は、別々に提供され
得る(例えば、ボトル、噴霧ボトル、ドロッパー、または事前に湿らせたパッドに)。次
いで、組成物は、試験表面をスワブでスワブ塗布し、かつ他方の部分をスワブに適用する
ことによって、または他方の部分を試験表面上に噴霧し、かつ噴霧された試験表面をスワ
ブでスワブ塗布することによって使用され得る。
【0033】
いくつかの実施形態では、組成物を訓練プログラムの一部として使用して、洗浄手順を
改善してもよい。適正な洗浄化学薬品、用具、及び技術を使用して表面を洗浄する場合、
その表面には、洗浄後、タンパク質または生物膜が表面上にないはずである。ゆえに、表
面がちょうど洗浄されたところで、表面上のタンパク質または生物膜の存在を標示する変
色を本開示の組成物が示す場合、その表面は、洗浄化学薬品、用具、または技術の不良に
より、部分的に適切に洗浄されていなかった。
【0034】
本開示の組成物を使用して、訓練プログラムの一部として使用する場合に、全体的な洗
浄を改善することができる。例えば、洗浄スタッフは、どの化学薬品をどの適用に使用す
るか、使用するのに適切な化学的濃度及び量、化学薬品の概算の保存可能期間、及び洗浄
溶液を取り替えるべき時期または新しい溶液を使用すべき時期等の、洗浄化学薬品の適正
使用について教育を受けることができる。レストラン及び食品工場等のある特定の場所で
は、洗浄化学薬品は、現場で希釈して溶液を使用する濃縮液として提供されてもよい。使
用溶液は、ボトル、バケツ、または噴霧ボトル等の容器に保存されてもよい。経時的に、
これらの使用溶液は、溶液が汚れで汚染され、または空気にさらされるためにその有効性
を失い得る。さらに、過度に汚れた使用溶液は、実際には、表面の汚染源になり得る。使
用溶液を効果的にするために、時々、古い溶液を廃棄し、新しい溶液を調製及び/または
使用するべきである。訓練プログラムを使用して、洗浄手順の有効性に関する情報を提供
することができる。洗浄用具に関し、洗浄スタッフは、どの適用にどの洗浄用具を使用す
るかについて、及び洗浄用具をいつ取り替えるかについて教育を受けることができる。レ
ストラン及び食品工場では、一般的に使用される洗浄用具は、洗浄用クロス及びタオル(
例えば、マイクロファイバークロス及びタオル)、スクイージー、ブラシ、モップ、バケ
ツ、スクレーパー、スポンジ、及びワイプを含む。経時的に、クロス、タオル、及びワイ
プ等の洗浄用具は、汚れて汚染源になる場合があり、取り替えるべきである。他の洗浄用
具(例えば、スクイージー、スクレーパー)は、損傷する場合があり、効果的にするため
に取り替える必要がある。洗浄技術に関し、洗浄スタッフは、適正洗浄技術、汚染源、タ
ンパク質及び生物膜汚れ等の教育を受けることができる。
【0035】
いくつかの実施形態では、本開示の組成物及び方法は、監査プログラムと併用して使用
することができる。このような監査プログラムは、表面の洗浄後に表面(例えば、表面の
既定のリスト上の表面)がタンパク質または生物膜を表面上に有するかを決定し得る。監
査プログラムは、合格/不合格点数に基づくシステム等の採点システムを利用し得る。例
えば、タンパク質または生物膜の不在は、表面が適切に洗浄されたために「合格」が与え
られることを標示し得る。反対に、タンパク質または生物膜の存在は、表面が適切に洗浄
されておらず、表面が「不合格」を与えられ得ることを標示し得る。様々な表面に関する
合格/不合格点数を集計及び使用して、英数字の等級、点数、または合格/不合格格付け
を提供し得る。このような等級、点数、または格付けを個々の洗浄スタッフのメンバーに
ついて収集するか、またはシフト、場所(レストランの場所等)、地形、または企業によ
って集約し得る。このような等級、点数、または格付けをベースライン点数と比較して傾
向を決定し得るか、または他の地形もしくは場所または集約ベンチマークと比較して、同
様の設定との比較を提供し得る。手動的に紙を使用して、または電気的にコンピュータア
プリケーションを使用して、またはその組み合わせを使用して、点数を収集しかつ集約し
得る。
【0036】
レストランでは、タンパク質または生物膜の存在を決定するための例示的表面として、
食品調理表面、食品保管場所及び表面、ならびに食品提供表面が挙げられる。食料品店ま
たはデリでは、タンパク質または生物膜の存在を決定するための例示的表面として、食品
調理表面、食品保管場所及び表面、食品提供表面、ならびにディスプレイ場所及び表面が
挙げられる。食品工場では、タンパク質または生物膜の存在を決定するための例示的表面
として、調理及び食肉解体場所及び設備、製造場所及び設備、梱包場所及び設備の中及び
それに接する表面が挙げられる。食品サービス施設における表面、構造、及びデバイスの
例として、調理台、テーブル、棚、トレイ、まな板、容器、冷却器、冷蔵庫、冷凍庫、調
理表面、ディスプレイ場所及びケース、食肉解体及び清掃場所、流し台及び周辺の場所、
カッター、ミキサー、タンク、押し出し機、コンベヤー、ヒーター、乾燥機、オーブン等
の設備、床、排水管、壁のタイル等が挙げられる。病院または医療背景では、タンパク質
または生物膜の存在を決定するための例示的表面として、待合室、病室、準備室、手術室
の中及びそれに接する表面が挙げられる。医療背景における表面、構造、及びデバイスの
例として、調理台、テーブル、棚、トレイ、容器、病室、手術室、準備場所、待合場所、
ドア、ドアノブ、ベッド、ベッドの柵、他の家具、手すり、医療及び歯科用設備及び器具
、流し台及び周辺の場所、トイレ、便器、シャワー室、床、壁、排水管、洗浄用具、電話
、呼び出しボタン、リモートコントロール等が挙げられる。
【0037】
訓練プログラムまたは評価の一部として使用する場合、ベースライン点数を最初に収集
することが望ましい場合がある。ベースライン点数を収集することは、洗浄手順を変更せ
ずに、タンパク質または生物膜の存在に基づいて、対象場所の清浄度を評価及び採点する
ことを伴ってもよい。ベースライン点数を収集した後、正式な訓練プログラムを実施し、
洗浄化学薬品、用具、及び/または技術について洗浄人員を訓練してもよい。その後、洗
浄点数を再び収集して、洗浄後のタンパク質及び生物膜の汚れの保有率を決定してもよい
。進行中の継続的改善工程の一部として、及び新しいスタッフメンバーの訓練の一部とし
て本工程を繰り返して、その表面が洗浄後に汚れたままではないことを確実にすることが
できる。
【0038】
訓練プログラムまたは評価の一例示的実施形態では、洗浄された表面は、従業員、管理
者、品質保証人員、監査機関、または業者によって試験される。表面は、洗浄毎に、及び
/またはランダムな間隔で試験され得る。試験された値を採点して、または閾値と比較し
て、合格/不合格点数を付けることができ、経時的に監視することができる。洗浄手順に
関する訓練は、試験に合格しない場所について、その場所が洗浄しにくい、または不十分
に洗浄していたという理由で、繰り返される。試験結果を使用して、洗浄手順及び衛生手
順、化学薬品、または設備を調整することもできる。例えば、試験結果の長期監視によっ
て、既存の手順、化学薬品、または設備が所望の結果を達成するには不十分である場所が
明らかになり得る。追加の訓練機会を、試験結果の記録に基づいて特定することができる
。試験結果を従業員評価の一部として含めてもよく、試験結果を使用して報酬または補償
を調整し、洗浄手順及び衛生手順の適正使用を奨励し、かつ肯定的なフィードバックを提
供して洗浄人員の士気を高めてもよい。
【0039】
いくつかの実施形態では、ホーソン効果(監視されているという意識に応じた行動変化
)を回避するために、監査を極秘に行うことが望ましい場合がある。いくつかの実施形態
では、タンパク質及び生物膜汚れを完全に除去するにはどこの表面をさらに洗浄すること
ができるかに関する視覚的標示をスタッフメンバーに提供するために、洗浄スタッフと共
に監査を行うことが望ましい場合がる。例えば、表面の90%が適切に洗浄されているが
、ある場所(隅または届きにくい場所)が日常的に見逃されていることもある。いくつか
の実施形態では、極秘及び公然の監査の組み合わせを使用することが望ましい場合があり
、この監査では、洗浄スタッフメンバーは洗浄前に監査を受けることに気付いていないが
、洗浄が完了すると、洗浄によってタンパク質及び生物膜汚れが効果的に除去されたこと
を確認するためにスタッフメンバーと監査を行う。
【0040】
いくつかの実施形態では、組成物は、表面を被覆するように、または試験される表面の
かなりの部分(例えば、約75%以上、または約90%以上)を被覆するように適用され
る。組成物は、噴霧、霧化、拭き取り、注出、または場所への適用に適切な任意の他の方
法によって適用することができる。一実施形態では、組成物は、表面上のタンパク質また
は生物膜を阻害(例えば、除去、移動、または再分配)しないように噴霧することによっ
て適用される。呈色反応は、タンパク質または生物膜が表面上に存在する場合に、表面へ
の組成物の適用から約1~120秒以内、または約2~約60秒以内、約3~約45秒以
内、または約3~約30秒以内、または約5~約20秒以内に観察されてもよい。色は、
経時的に暗くなる場合がある。呈色反応は、視覚的に、または色検出器具(例えば、比色
計)を使用して観察することができる。
【0041】
一実施形態では、組成物は、アプリケータ先端、スポンジ、もしくはドロッパーを有す
る、またはスワブを有するアンプルから組成物を適用することによって、汚れまたは生物
膜について表面を抽出検査するように添加される。別の実施形態では、組成物は、組成物
で湿らせたワイプで拭き取ることによって適用される。色は、表面上またはワイプ上のい
ずれかで観察されてもよい。
【0042】
いくつかの実施形態では、洗浄点数は、データベースに収集され、ベースライン点数と
比較した、表面、スタッフメンバー、シフト、場所、企業単位、またはその組み合わせの
経時的な洗浄点数を示すレポートを作成するために使用される。これらのレポートを、訓
練プログラムの一部として洗浄スタッフと共有することができる。点数は、データベース
に手動で入力され得るか、またはスマートフォンのアプリケーション、タブレット、もし
くはコンピュータを使用して収集され得る。データ収集のための情報フィールドは、アプ
リケーションを使用する環境及び収集したいデータに基づいて調整することができる。例
えば、アプリケーションまたはソフトウェアプログラムは、従業員、日付、時間、場所、
部屋、表面識別、現場、色の結果、是正措置等のデータフィールドを含むことができる。
【0043】
好適な実施形態では、PPE無しで組成物を使用することができるように、かつ水洗浄
または簡単な洗い流しで表面から組成物を除去することができるように、組成物は、安全
かつ無毒である。
【0044】
一態様では、本開示の方法は、組成物を表面上に適用することと、呈色反応を観察する
こととを含む。組成物は、適用時に混合される2液型溶液、または適用前に調製される1
液型溶液であってもよい。1液型溶液は、適用前(例えば、数分以内または最大1週間以
内)に現場で調製され得るか、または調製済み溶液であり得る。組成物の第1の部分及び
第2の部分は、適用時または適用直前に混合される2液型溶液として別々に提供され得る
か、または1液型溶液として提供され得る。組成物は、概して、噴霧、霧化、スワブ塗布
、スポンジ塗布、滴下、注出、拭き取り、または任意の他の適切な方法によって適用され
得る。組成物は、2チャンバ式噴霧ボトルのノズルまたは噴霧ノズル等のアプリケータで
混合され得る。第1の部分は、水和硫酸銅(II)(例えば、硫酸銅(II)五水和物ま
たは別の適切な水和物)の水溶液を含んでもよい。1液型使用溶液は、約0.005~1
.0重量%、約0.01~0.5重量%、約0.02~0.2重量%、または約0.05
~0.1重量%の水和硫酸銅(II)を含んでもよい。組成物が2液型溶液として提供さ
れる場合、硫酸銅を含む第1の部分は、約0.01~0.5重量%、約0.05~0.3
重量%、約0.10~0.25重量%、または約0.12~0.18重量%の水和硫酸銅
(II)を含んでもよい。第1の部分は、さらに、酒石酸またはその塩(例えば、酒石酸
ナトリウム)、ヨウ化物(例えば、ヨウ化カリウム)、金属水酸化物または炭酸塩等のア
ルカリ性供給源等の安定剤、ならびに緩衝剤(例えば、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウ
ム、及び重炭酸ナトリウム、またはクエン酸及びクエン酸ナトリウム)を含んでもよい。
第2の部分は、ビシンコニン酸(BCA)もしくはその塩、サリチル酸もしくはその塩、
3-ヒドロキシフラボン、またはある特定の有機酸及びその塩等の、Cu1+と反応し、か
つ着色生成物を形成することのできる試薬の水溶液を含んでもよい。適切な有機酸の例と
して、アスコルビン酸、クエン酸、またはベンゼン環構造を有する有機酸が挙げられる。
2液型溶液の第1の部分は、硫酸銅の銅隔離剤(例えば、BCA)に対する比率が重量基
準で約10:1~1:20、約5:1~1:15、約1:1~1:10、または約1:3
~1:7になるように、第2の部分と混合される。2液型溶液の第2の部分は、約0.2
~約3.0重量%、約0.4~約2.0重量%、または約0.5~約1.5重量%の、C
u1+と反応できる試薬を含んでもよい。第2の部分は、さらに、金属水酸化物または炭酸
塩、酒石酸またはその塩(例えば、酒石酸ナトリウム)等のアルカリ性供給源、ならびに
緩衝剤(例えば、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、及び重炭酸ナトリウム、またはク
エン酸及びクエン酸ナトリウム)を含んでもよい。組成物が1液型溶液として調製される
場合、組成物は、約0.05~約3.0重量%、約0.1~約2.0重量%、または約0
.2~約1.5重量%の、Cu1+と反応できる試薬を含んでもよい。組成物(例えば、第
1の部分及び第2の部分、またはその混合配合)のpHは、約8~約13.5、約8.5
~約13、約9~約12.5、約9.5~約12、約10~約11.5、または約10.
5~約11.4であってもよい。組成物のpHは、カルボン酸(例えば、ギ酸、酢酸、プ
ロパン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デ
カン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、アセチルサリチ
ル酸、マンデル酸等)、鉱酸(例えば、リン酸、硝酸、塩酸、硫酸)等の無機酸、アルカ
リ金属水酸化物(例えば、NaOH、KOH)、及び炭酸塩(例えば、炭酸ナトリウム、
重炭酸ナトリウム)等の一般的なpH調整剤を含むことによって調整され得る。組成物は
、希釈剤(例えば、水、アルコール、グリコールエーテル、または他の水溶性有機溶媒)
、可溶化剤、安定剤(例えば、重炭酸、炭酸塩、酒石酸カリウムナトリウム及びその水和
物、ヨウ化カリウム、二塩基酸、及びそれらの組み合わせ等のアルカリ金属塩)、界面活
性剤(例えば、非イオン性、アニオン性、または両性界面活性剤)、発泡剤、乳化剤、レ
オロジー改質剤、着色剤、香料等の追加の薬剤も含んでもよい。表面上のタンパク質また
は生物膜に適用されるとき、組成物は、約60秒以下以内、約10秒以内、約5秒以内、
約3秒以内、約2秒以内、または約0.5~約45秒、または約1~約30秒、もしくは
約1~約10秒以内に色を発生させる。本開示の組成物を使用して、訓練プログラムまた
は監査プログラムの一部として使用する場合に、全体的な洗浄を改善することができる。
プログラムは、採点システムを利用することができる。組成物は、安全かつ無毒であり、
かつPPE無しで使用することができるように調製され得る。
【0045】
【実施例】
【0046】
実施例1
タンパク質で汚れた表面への組成物の適用について、2重チャンバ式噴霧ボトル(Me
rlin,ORのDeardorff Fitzsimmons Corp.より入手可
能)を使用して試験した。噴霧ヘッドは、チャンバの各々から引き出される体積の比率を
変化させるように構成され得る。各トリガープルは、約0.5~1.5gの噴霧を送る。
ボトルの一方のチャンバは、組成物の部分Aを含有し、他方のチャンバは、部分Bを含有
した。部分A及び部分Bの組成を表3A及び3Bに示す。
【0047】
プラスチック(HDPE)のまな板を、まな板表面の半分に大豆タンパク質を付けて汚
した。タンパク質をその表面上で乾燥させた。次いで、1:1、1.51:1、1.84
:1、2.21:1、及び1:50の部分A対部分Bの体積比を使用して、まな板表面を
組成物で噴霧した。4~5回のトリガープルを使用して、表面全体を被覆した。
【0048】
活性成分の濃度は、部分A中の0.15%の硫酸銅五水和物及び部分B中の1%のBC
Aであった。ゆえに、噴霧中の活性成分の比率は、それぞれ、1:6.58、1:4.4
3、1:3,67、1:3.05、及び7.13:1であった。
【0049】
比率の各々によって、変色が引き起こされた。タンパク質で汚したまな板の側面に紫色
が確認された。呈色反応は、1:1の比率を使用して噴霧した後に約10秒、1.51:
1、1.84:1、2.21:1、及び1:50の比率を使用して噴霧した後に約3秒で
開始した。
【0050】
実施例2
実施例1の組成物の適用について、様々な汚れに関して試験した。2:1の部分A対部
分Bの比率で、組成物を調製表面上に噴霧した。変色を視覚的に観察し、「+」(変色発
生)または「-」(変色無し)として記録した。汚れの種類及び結果を表4に示す。
【0051】
調理済みの鶏肉及びチーズは、基質を表面に擦り付けることによって適用した。パン及
びチーズは、パン及びチーズの試料の表面上に組成物の滴を適用することによって、試験
した。液体試料(ジュース、殺菌剤、ハンドソープ)を表面上に適用し、試験前に乾燥さ
せた。
【0052】
調理済みの鶏肉、ジュース、細菌コロニー、パン、チーズ、及び生物膜の全てが陽性結
果をもたらしたことが観察された。殺菌剤及びハンドソープは組成物に反応しなかった。
【0053】
実施例3
実施例1(部分A及び部分B)の組成物を、異なる種類の汚れの検出について試験した
。2:1(部分A対部分B)に設定した噴霧比で、2チャンバ式噴霧ボトルを使用して組
成物を噴霧した。プラスチック表面及びステンレス鋼表面の両方で試験を行い、可視汚れ
及び不可視汚れの両方について試験した。汚れの種類及び試験結果を以下の表5A及び5
Bに示す。
【0054】
微陽性変色の結果となった揚げ油以外の全ての汚れの種類について、組成物が陽性結果
(観察可能な変色)をもたらしたことが観察された。変色は、不可視汚れについて約3秒
後に、可視汚れについて噴霧適用ほぼ直後に観察された。
【0055】
実施例4
実施例1(部分A及び部分B)の組成物を、機械洗浄後のミルクセーキ機の様々な表面
に関してATP試験と比較した。市販のATPスワブ試験を使用した(Lawrence
,MAのCharm Sciences,Inc.より入手可能なPOCKETSWAB
(登録商標)Plus)。ATP試験の結果を相対発光量(RLU)で示し、より高い測
定値がより多い量のATPに相関することになる。ATP、つまりアデノシン三リン酸の
存在を使用して、生物学的汚れの存在を標示することができる。
【0056】
試験した表面には、機械の内壁及び外壁、ならびにミキサーのシャフト及びノズルが含
まれた。製造会社の説明書に従ってATP試験を実施した。実施例1(部分A及び部分B
)の試験組成物を、スワブを使用して適用した。スワブを組成物の部分Aで湿らせ、それ
を使用して試験表面にスワブ塗布した。組成物の部分Bで湿らせたパッドから部分Bをス
ワブに適用した。
【0057】
【0058】
ATP測定値にもかかわらず、表面の各々上に組成物が観察可能な変色を引き起こした
ことが観察された。試験組成物の変色は、スワブ上及びパッド上の両方で約3秒後に可視
的であった。
【0059】
本発明のある特定の実施形態を説明してきたが、他の実施形態も存在し得る。本明細書
は詳細な説明を含むが、本発明の範囲は以下の特許請求の範囲によって示される。上記の
特定の特徴及び行為は、本発明の例示的な態様及び実施形態として開示される。様々な他
の態様、実施形態、修正、及びそれらの等価物が、本明細書の説明の読後、本発明の主旨
または特許請求される主題の範囲から逸脱することなく当業者には想起され得る。