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特許7096228情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-27
(45)【発行日】2022-07-05
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G09G 5/00 20060101AFI20220628BHJP
   G09G 5/36 20060101ALI20220628BHJP
【FI】
G09G5/00 X
G09G5/36 510M
G09G5/36 520P
G09G5/36 520F
G09G5/00 550C
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019201538
(22)【出願日】2019-11-06
(65)【公開番号】P2021076646
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2021-01-06
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】504050275
【氏名又は名称】株式会社 ミックウェア
(74)【代理人】
【識別番号】100149870
【弁理士】
【氏名又は名称】芦北 智晴
(72)【発明者】
【氏名】藤井 猛
【審査官】越川 康弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-228810(JP,A)
【文献】特開2015-232916(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 5/00
G09G 5/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動作情報に基づいて対象機器が表示部に表示させる動画像を取得する取得部と、
前記取得部が取得した取得動画像と、動画像である正解動画像との差分を抽出する抽出部と、
前記抽出部が抽出した差分に関する情報を出力する出力部と、を備える情報処理装置であって、
前記取得動画像は、複数の取得静止画像から構成されており、
前記抽出部は、
前記取得動画像を構成する複数の前記取得静止画像のうち、時間的に前の前記取得静止画像と時間的に後の前記取得静止画像とについて相関関数の一致率を算出し、一致率が所定の第1閾値よりも低い前記取得静止画像の時間的に後の前記取得静止画像を、前記取得動画像を構成する複数の取得静止画像から選出し、
前記正解動画像を構成する複数の正解静止画像のうち、時間的に前の前記正解静止画像と時間的に後の前記正解静止画像とについての相関関数の一致率を算出し、一致率が所定の第1閾値よりも低い前記正解静止画像の時間的に後の前記正解静止画像を、前記正解動画像を構成する複数の正解静止画像から選出し、
選出した前記取得静止画像と、該取得静止画像と時間的に対応する、選出した正解静止画像との差分を抽出する情報処理装置。
【請求項2】
前記対象機器の動作を検証する検証情報を記憶した記憶装置と、
前記検証情報に基づいて前記正解動画像を生成する正解動画像生成部と、を備える請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記取得動画像及び前記正解動画像にアニメーション動画像が含まれている請求項に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記出力部は、前記取得動画像と前記正解動画像とを対比して表示する表示装置であり、
前記表示装置は、前記取得静止画像において、前記抽出部が抽出した差分の領域を特定可能に表示する画面を表示する請求項1から請求項のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記抽出部は、前記取得静止画像と前記正解静止画像の相関関数の一致率が、所定の第2閾値よりも低い場合に、前記表示装置に、前記画面を表示させる請求項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記抽出部は、選出した前記取得静止画像と該取得静止画像と時間的に対応する前記正
解静止画像との相関関数の一致率を算出し、一致率が第3閾値より低い場合、選出した前記取得静止画像との相関関数の一致率が第3閾値又は第3閾値よりも高くなる、選出した前記正解静止画像を時間的に対応する前記正解静止画像とみなして、以後の前記取得動画像と前記正解動画像の時間的なずれを補正する請求項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記抽出部は、選出した前記取得静止画像と選出した前記正解静止画像それぞれをグレースケール画像に変換し、画素の濃淡値を非線形化することにより特徴点を強調し、強調した特徴点同士をパターンマッチングすることで、選出した前記取得静止画像と選出した前記正解静止画像について相関関数の一致率を判定する請求項から請求項のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記抽出部は、抽出した前記取得静止画像と前記正解静止画像との差分が、同じ画像の差分であるか異なる画像の差分であるかを、機械学習により判定する請求項1から請求項のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記抽出部は、選出した前記取得静止画像と選出した前記正解静止画像との相関関数の一致率が第4閾値よりも低い場合、注意喚起を通知する請求項から請求項の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記抽出部は、選出した前記取得静止画像と選出した前記正解静止画像との相関関数の一致率を複数のブロックごとに判定する請求項1から請求項の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記取得部は、前記表示部を撮像する撮像装置である請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項12】
動作情報に基づいて対象機器が表示部に表示させる動画像を取得する取得ステップと、
前記取得ステップで取得した取得動画像と、動画像である正解動画像との差分を抽出する抽出ステップと、
前記抽出ステップで抽出した差分に関する情報を出力する出力ステップと、を含む情報処理方法であって、
前記取得動画像は、複数の取得静止画像から構成されており、
前記抽出ステップにおいて、複数の前記取得静止画像のうち、時間的に前の前記取得静止画像と時間的に後の前記取得静止画像とについて相関関数の一致率を算出し、一致率が所定の第1閾値よりも低い前記取得静止画像の時間的に後の前記取得静止画像を前記複数の取得静止画像から選出し、前記正解動画像を構成する複数の正解静止画像のうち、時間的に前の前記正解静止画像と時間的に後の前記正解静止画像とについての相関関数の一致率を算出し、一致率が所定の第1閾値よりも低い前記正解静止画像の時間的に後の前記正解静止画像を前記複数の正解静止画像から選出し、選出した前記取得静止画像と、該取得静止画像と時間的に対応する、選出した正解静止画像との差分を抽出する情報処理方法。
【請求項13】
コンピュータを
動作情報に基づいて対象機器が表示部に表示させる動画像を取得する取得部と、
前記取得部が取得した取得動画像と、動画像である正解動画像との差分を抽出する抽出部と、
前記抽出部が抽出した差分に関する情報を出力する出力部と、して機能させるためのプログラムであって、
前記取得動画像は、複数の取得静止画像から構成されており、
前記抽出部は、複数の前記取得静止画像のうち、時間的に前の前記取得静止画像と時間的に後の前記取得静止画像とについて相関関数の一致率を算出し、一致率が所定の第1閾値よりも低い前記取得静止画像の時間的に後の前記取得静止画像を前記複数の取得静止画像から選出し、前記正解動画像を構成する複数の正解静止画像のうち、時間的に前の前記正解静止画像と時間的に後の前記正解静止画像とについての相関関数の一致率を算出し、一致率が所定の第1閾値よりも低い前記正解静止画像の時間的に後の前記正解静止画像を前記複数の正解静止画像から選出し、選出した前記取得静止画像と、該取得静止画像と時間的に対応する、選出した正解静止画像との差分を抽出するプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、機器が設計通りの処理を行うか否かを評価するために用いられる情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器のソフトウェアの評価を自動的に行うシステムが開発されている(例えば特許文献1参照。)。特許文献1のシステムは、外部からの入力に対応して外部に対して表出させる形態や動作が変化する検査対象機器の設定操作、動作を不具合なく行えるか否かを検査、判定、確認する。特許文献1のシステムは、検査対象機器の画像データのうち、動画を1コマずつ切りだした静止画の集合体として扱うことで、自動でテスト結果を判定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-10309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、対象機器となる電子機器では、設計通りの動作を行うかを、より簡便に評価することが求められている。特に、電子機器においても、電子機器の表示部が設計通りの動画像を表示するか否かの評価を、より簡便に行えることが求められている。
【0005】
本願の目的は、対象機器が設計通りの処理を行うか否かの評価をより簡便に行える情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第一態様に係る情報処理装置は、取得部と、抽出部と、出力部と、を備える。上記取得部は、動画像を取得する。上記動画像は、動作情報に基づいて対象機器が表示部に表示させる。上記抽出部は、上記取得部が取得した取得動画像と、正解画像との差分を抽出する。上記出力部は、上記抽出部が抽出した差分に関する情報を出力する。上記取得動画像は、複数の取得静止画像から構成されている。上記抽出部は、複数の上記取得静止画像のうち、時間的に前の上記取得静止画像と時間的に後の上記取得静止画像とについて相関関数の一致率を算出する。上記抽出部は、算出した上記一致率が所定の第1閾値よりも低く、かつ時間的に後の上記取得静止画像と、上記正解画像との差分を抽出する。
【0007】
本開示の第二態様に係る情報処理装置は、第一態様に係る情報処理装置において、記憶装置と、正解動画像生成部とを備える。上記正解画像は、動画像である正解動画像である。上記記憶装置は、上記対象機器の動作を検証する検証情報を記憶している。上記正解動画像生成部は、上記検証情報に基づいて上記正解動画像を生成する。
【0008】
本開示の第三態様に係る情報処理装置は、第一態様又は第二態様に係る情報処理装置において、上記正解画像は、動画像である正解動画像である。上記抽出部は、上記取得静止画像と、上記正解動画像か取り出した正解静止画像との差分を抽出する。
【0009】
本開示の第四態様に係る情報処理装置は、第三態様に係る情報処理装置において、上記抽出部は、時間的に前の上記取得静止画像と時間的に後の上記取得静止画像とについての相関関数の一致率を算出する。上記抽出部は、算出した上記一致率が所定の第1閾値よりも低い上記取得静止画像の時間的に後の上記取得静止画像を選出する。上記抽出部は、選出した上記取得静止画像と、該取得静止画像と時間的に対応する上記正解静止画像との差分を抽出する。
【0010】
本開示の第五態様に係る情報処理装置は、第三態様又は第四態様に係る情報処理装置において、上記抽出部は、時間的に前の上記正解静止画像と時間的に後の上記正解静止画像とについての相関関数の一致率を算出する。上記抽出部は、算出した上記一致率が所定の第1閾値よりも低い上記正解静止画像の時間的に後の上記正解静止画像を選出する。上記抽出部は、選出した上記正解静止画像と、該正解静止画像と時間的に対応する上記取得静止画像との差分を抽出する。
【0011】
本開示の第六態様に係る情報処理装置は、第三態様から第五態様の何れか1態様に係る情報処理装置において、上記取得動画像及び上記正解動画像にアニメーション動画像が含まれている。
【0012】
本開示の第七態様に係る情報処理装置は、第一態様から第六態様の何れか1態様に係る情報処理装置において、上記出力部は、表示装置である。上記表示装置は、上記取得動画像と上記正解画像とを対比して表示する。上記表示装置は、上記取得静止画像において、上記抽出部が抽出した差分の領域を特定可能に表示する画面を表示する。
【0013】
本開示の第八態様に係る情報処理装置は、第七態様に係る情報処理装置において、上記抽出部は、上記取得静止画像と上記正解画像の相関関数の一致率が、所定の第2閾値よりも低い場合に、上記表示装置に、上記画面を表示させる。
【0014】
本開示の第九態様に係る情報処理装置は、第五態様に係る情報処理装置において、上記抽出部は、選出した上記取得静止画像と該取得静止画像と時間的に対応する上記正解静止画像との相関関数の一致率を算出する。上記抽出部は、算出した上記一致率が第3閾値より低い場合、選出した上記取得静止画像との相関関数の一致率が第3閾値又は第3閾値よりも高くなる、選出した上記正解静止画像を時間的に対応する上記正解静止画像とみなして、以後の上記取得動画像と上記正解動画像の時間的なずれを補正する。
【0015】
本開示の第十態様に係る情報処理装置は、第四態様から第九態様の何れか1態様に係る情報処理装置において、上記抽出部は、選出した上記取得静止画像と選出した上記正解画像それぞれをグレースケール画像に変換する。上記抽出部は、上記グレースケール画像の画素の濃淡値を非線形化することにより特徴点を強調する。上記抽出部は、強調した上記特徴点同士をパターンマッチングすることで、選出した上記取得静止画像と選出した上記正解画像について相関関数の一致率を判定する。
【0016】
本開示の第十一態様に係る情報処理装置は、第一態様から第七態様の何れか1態様に係る情報処理装置において、上記抽出部は、抽出した上記取得静止画像と上記正解画像との差分が、同じ画像の差分であるか異なる画像の差分であるかを、機械学習により判定する。
【0017】
本開示の第十二態様に係る情報処理装置は、第四態様から第九態様の何れか1態様に係る情報処理装置において、上記抽出部は、選出した上記取得静止画像と選出した上記正解画像との相関関数の一致率が第4閾値よりも低い場合、注意喚起を通知する。
【0018】
本開示の第十三態様に係る情報処理装置は、第一態様から第十二態様の何れか1態様に係る情報処理装置において、上記抽出部は、選出した上記取得静止画像と選出した上記正解画像との相関関数の一致率を複数のブロックごとに判定する。
【0019】
本開示の第十四態様に係る情報処理装置は、第一態様から第十三態様の何れか1態様に係る情報処理装置において、上記取得部は、上記表示部を撮像する撮像装置である。
【0020】
本開示の第十五態様に係る情報処理方法は、取得ステップと、抽出ステップと、出力ステップと、を含む。上記取得ステップは、動作情報に基づいて対象機器が表示部に表示させる動画像を取得する。上記抽出ステップは、上記取得ステップで取得した取得動画像と、正解画像との差分を抽出する。上記出力ステップは、上記抽出ステップで抽出した差分に関する情報を出力する。上記取得動画像は、複数の取得静止画像から構成されている。上記抽出ステップにおいて、複数の上記取得静止画像のうち、時間的に前の上記取得静止画像と時間的に後の上記取得静止画像とについて相関関数の一致率を算出する。算出した一致率が所定の第1閾値よりも低く、かつ時間的に後の上記取得静止画像と、上記正解画像との差分を抽出する。
【0021】
本開示の第十六態様に係るプログラムは、コンピュータを取得部と、抽出部と、出力部として機能させる。上記取得部は、動画像を取得する。上記動画像は、動作情報に基づいて対象機器が表示部に表示させる。上記抽出部は、取得動画像と正解画像との差分を抽出する。上記取得動画像は、上記取得部が取得する。上記出力部は、上記抽出部が抽出した差分に関する情報を出力する。上記取得動画像は、複数の取得静止画像から構成されている。上記抽出部は、複数の上記取得静止画像のうち、時間的に前の前記取得静止画像と時間的に後の上記取得静止画像とについて相関関数の一致率を算出する。上記抽出部は、算出した一致率が所定の第1閾値よりも低く、かつ時間的に後の上記取得静止画像と、上記正解画像との差分を抽出する。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、対象機器が設計通りの処理を行うか否かの評価をより簡便に行える。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本実施形態に係る情報処理システム及び対象機器の構成を示すブロック図である。
図2】静止画像同士の一致率の算出手法の一例を示す図である。
図3A】複数の取得静止画像と複数の正解静止画像から動きのある画像を選出する処理を示す図である。本図は図3Bとともに1つの状態を示す。
図3B】複数の取得静止画像と複数の正解静止画像から動きのある画像を選出する処理を示す図である。本図は図3Aとともに1つの状態を示す。
図4A】複数の取得静止画像と複数の正解静止画像から選出された画像に対する処理を示す図である。本図は図4Bとともに1つの状態を示す。
図4B】複数の取得静止画像と複数の正解静止画像から選出された画像に対する処理を示す図である。本図は図4Aとともに1つの状態を示す。
図5A】複数の取得静止画像と複数の正解静止画像から選出された画像同士の相関関数の一致率を算出した後の処理を説明する図である。本図は図5Bとともに1つの状態を示す。
図5B】複数の取得静止画像と複数の正解静止画像から選出された画像同士の相関関数の一致率を算出した後の処理を説明する図である。本図は図5Aとともに1つの状態を示す。
図6】取得静止画像と正解静止画像の差分を抽出する際に実行する画像処理の一例を示す図である。
図7】対象機器の表示部に表示される複数種類の画面の例を示す図である。
図8】出力部に表示される再生画面の一例を示す図である。
図9】出力部に表示される別の再生画面の一例を示す図である。
図10】出力部に表示される不具合表示画面の一例を示す図である。
図11】本実施形態に係る情報処理装置及び対象機器において実行される処理動作を示すフローチャートである。
図12】本実施形態に係る情報処理装置において実行される処理動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本実施形態に係る情報処理装置について、図面を参照しつつ説明する。情報処理装置1は、評価対象となる対象機器2が表示部3に表示する動画像が設計通りの表示を行うか否かを評価するために用いられる。対象機器2は、動作情報に基づいて表示部3に動画像を表示する。動作情報は、対象機器2を動作させる情報である。動作情報として、例えば、対象機器2に対して疑似的又は実際的に行われる操作により入力される情報、対象機器2が外部から受信する交通情報、対象機器2に入力される電源信号情報、対象機器2が外部から受信する車両信号情報が挙げられる。
【0025】
本実施形態では、対象機器2として車載装置を例に挙げて説明する。車載装置は、一例として、ナビゲーション装置が挙げられる。但し、対象機器2は、車載装置に限定されない。例えば、対象機器2は、ゲーム機、スマートフォン、携帯電話機又はタブレット端末であってもよい。
【0026】
情報処理装置1は、図1に示すように、取得部5、記憶装置6、情報処理部7、及び出力部8を備えている。
【0027】
取得部5は、対象機器2の表示部3に表示される動画像を取得する。取得部5は、例えば、表示部3を撮像する撮像装置を用いて構成される。取得部5は、撮像装置の代わりに、対象機器2の映像出力端子から出力される動画像を記録する動画像記録装置を用いて構成してもよい。映像出力端子として、例えば、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)出力端子が挙げられる。取得部5は、対象機器2からの動画像を通信により取得してもよい。言い換えれば、取得部5は、通信装置であってもよい。
【0028】
記憶装置6は、例えば、不揮発性メモリを用いて構成される。不揮発性メモリとして、例えば、フラッシュメモリが挙げられる。フラッシュメモリとして、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリが挙げられる。本実施形態では、対象機器2と情報処理部7が、記憶装置6に対して情報の書き込み及び読み出しができるように接続されている。
【0029】
記憶装置6には、対象機器2によって書き込まれる検証情報11が記憶される。検証情報11は、情報処理装置1が対象機器2の動作を検証するために用いる。検証情報11として、例えば、対象機器2に対して疑似的又は実際的に行われた操作に関する操作情報と、対象機器2が受信した交通情報と、対象機器2が車載ネットワークを通じて受信した車両情報と、供給電源に関する情報と、車両信号情報とが挙げられる。交通情報として、例えば、ITS(Intelligent Transport Systems)情報が挙げられる。供給電源に関する情報としては、例えば、アクセサリ電源のオンとオフとの情報が挙げられる。車両信号情報として、例えば、車両の速度を示す車速信号と、パーキングブレーキの状態を示すパーキングブレーキ信号と、シフトがリバース状態にあることを示すリバース信号と、イルミネーション電源信号とが挙げられる。
【0030】
情報処理部7は、例えば、正解画像生成プログラム、差分抽出プログラム、及び画像再生プログラムがインストールされたコンピュータを用いて構成される。コンピュータとして、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及びHDD(Hard Disk Drive)を備えたパーソナルコンピュータを用いることができる。
【0031】
情報処理部7は、正解画像生成プログラムを実行することにより、正解画像生成部12として機能する。正解画像生成部12は、検証情報11に基づいて正解画像を生成する。正解画像は、対象機器2の表示部3が設計通りに表示する場合の画像に相当する。本実施形態では、正解画像は、動画像である。以下では、正解画像の動画像を正解動画像という。正解画像生成部12が生成した正解動画像は、記憶部19に記憶される。なお、正解画像生成部12が検証情報11に基づいて生成した正解動画像に代えて、情報処理装置1の外部で生成された正解動画像を、情報処理装置1が対象機器2の動作を検証するために用いることも可能である。
【0032】
情報処理部7は、差分抽出プログラムを実行することにより、抽出部15として機能する。抽出部15は、取得部5が取得した取得動画像を構成する取得静止画像と、正解動画像を構成する正解静止画像との差分を抽出する。抽出部15は、抽出した画像の差分を記憶部19に記憶させる。以下、抽出部15が取得動画像と正解動画像の差分を抽出する差分抽出処理について具体的に説明する。
【0033】
抽出部15は、取得動画像を構成する複数の取得静止画像のうち、時間的に前の取得静止画像と時間的に後の取得静止画像とについて相関関数の一致率をそれぞれ算出する。抽出部15は、算出した一致率が所定の第1閾値よりも低い取得静止画像の対を特定する。抽出部15は、特定した取得静止画像の対の時間的に後の取得静止画像を選出する。
【0034】
また、抽出部15は、正解動画像を構成する複数の正解静止画像のうち、時間的に前の正解静止画像と時間的に後の正解静止画像とについても相関関数の一致率を算出する。抽出部15は、算出した一致率が所定の第1閾値よりも低い正解静止画像の対を特定する。抽出部15は、特定した正解静止画像の対の時間的に後の正解静止画像を選出する。
【0035】
図2に示すよう本実施形態では、抽出部15は、時間的に前の静止画像と時間的に後の静止画像との相関関数の一致率を算出するために、各静止画像の色情報のヒストグラムを作成する。ヒストグラムは、各色が何画素であるかの数を示す。
例えば、RGB画像のヒストグラムを作成する場合、赤色、緑色、及び青色それぞれについてヒストグラムを作成してもよい。赤色、緑色、及び青色それぞれについてのヒストグラムを作成する場合、例えば、256階調の濃度値がそれぞれ何画素あるかの数を示すヒストグラムを作成してもよい。
例えばグレースケール画像のヒストグラムを作成する場合、256階調の濃度値がそれぞれ何画素あるかの数を示すヒストグラムを作成してもよい。
抽出部15は、作成したヒストグラムのうち、時間的に前のヒストグラムと時間的に後のヒストグラムとの一致率を算出する。抽出部15は、算出した一致率が第1閾値よりも低い場合、時間的に後のヒストグラムの基礎となった静止画像を選出する。一致率の計算式を次の数1及び数2に示す。計算式において、d(H,H)は、一致率を示す。H(I)は、正解静止画像のヒストグラムの値を示し、H(I)は、取得静止画像のヒストグラムの値を示す。数3は、正解静止画像のヒストグラムの平均値を示し、数4は、取得静止画像のヒストグラムの平均値を示す。Nは、正解静止画像又は取得静止画像に含まれる総画素数を示す。Jは、特定画素を示す。kは、正解静止画像か取得静止画像の別を示している。なお、相関関数の一致率を算出する手法は一例に過ぎず、別の算出手法を用いることも可能である。
【0036】
【数1】
【数2】
【数3】
【数4】
【0037】
次に、図3Aから図5Bを参照しながら、抽出部15が取得静止画像及び正解静止画像を選出する際に実行する処理の内容を説明する。同図の上側に並んだ多数の四角形は時系列順に並んだ正解静止画像を示す。同図の下側に並んだ多数の四角形は時系列順に並んだ取得静止画像を示す。各取得静止画像には、文字A及び番号が付されている。各正解静止画像には、文字B及び番号が付されている。文字A又は文字Bの後に記載された数字は、時系列順を示す。以下、A*番の取得静止画像を単に「A*番」、B*番の正解静止画像を単に「B*番」ともいう。「*」は任意の数字を示す。
【0038】
図3A及び図3Bに示す例では、正解動画像は、例えば、B2番とB3番、B42番からB46番までの各々、B55番とB56番、及びB63番とB64番とで画像が変化する。B42番からB46番まではアニメーション動画像を形成している。取得動画像は、例えば、A2番とA3番、A12番とA13番、A42番からA46番までの各々、A53番とA54番、及びA61番とA62番とで画像が変化する。A14番及びA54の取得静止画像には、正解静止画像に存在しない画像が含まれている。正解静止画像に存在しない画像として、例えば、チラつきを生じる画像が挙げられる。A42番からA46番まではアニメーション動画像を形成している。
【0039】
先ず、抽出部15は、取得動画像を構成する複数の取得静止画像のうち、時間的に前の正解静止画像と時間的に後の取得静止画像とについて相関関数の一致率をそれぞれ算出する。抽出部15は、算出した一致率が所定の第1閾値よりも低い取得静止画像の対を特定する。図3A及び図3Bに示す例では、抽出部15は、一致率が第1閾値よりも低い取得静止画像の対として、A2番とA3番、A13番とA14番、A42番とA43番、A43番とA44番、A44番とA45番、A45番とA46番、A53番とA54番、及びA61番とA62番を特定する。
【0040】
また、抽出部15は、正解動画像を構成する複数の正解静止画像のうち、時間的に前の正解静止画像と時間的に後の正解静止画像とについて相関関数の一致率をそれぞれ算出する。抽出部15は、算出した一致率が第1閾値よりも低い正解性画像の対として、B2番とB3番、B42番とB43番、B43番とB44番、B44番とB45番、B45番とB46番、B55番とB56番、及びB63番とB64番を特定する。
【0041】
つぎに、抽出部15は、特定した各対の時間的に後の取得静止画像である、A3番、A14番、A43番、A44番、A45番、A46番、A54番、及びA62を選出する。また、抽出部15は、特定した各対の時間的に後の正解静止画像である、B3番、B43番、B44番、B45番、B46番、B56番、及びB64番を選出する。
【0042】
抽出部15は、取得静止画像及び正解静止画像を選出した後、図4A及び図4Bに示すように、選出した取得静止画像と、該取得静止画像と時間的に対応する、選出した正解静止画像との相関関数の一致率を算出する。図4A及び図4Bに示す例では、抽出部15は、A3番の取得静止画像とB3番の正解静止画像との相関関数の一致率を算出する。また、抽出部15は、A43番からA46番の取得静止画像とB43番からB46番の正解静止画像の相関関数の一致率をそれぞれ算出する。抽出部15は、算出した一致率が所定の第2閾値よりも低くなった場合、一致率が第2閾値よりも低くなった取得静止画像と正解静止画像の差分を抽出する。抽出部15は、抽出した差分を記憶部19に記憶させる。本実施形態では、抽出部15は、算出した一致率が第2閾値以上の場合、一致率が第2閾値以上となった取得静止画像と正解静止画像の差分を抽出しない。
【0043】
抽出部15は、取得静止画像と正解静止画像の差分を抽出する際に、画像の不一致箇所を視覚的に明確にするための画像処理を行う。不一致箇所を視覚的に明確にするための画像処理としては、例えば、図6に示すように、取得静止画像と正解静止画像をそれぞれをグレースケール画像に変換し、画素の濃淡値を非線形化することにより特徴点を強調し、強調した特徴点同士をパターンマッチングすることが挙げられる。
【0044】
再び図3A及び図3Bを参照して、図3Aでは、A14番の取得静止画像のように、抽出部15は、選出された静止画像と時間的に対応させる。図3Bでは、A54番及びA62番の取得静止画像と、B56番及びB64番の正解静止画像のように、抽出部15は、選出された静止画像と時間的に対応させる。選出された静止画像が相手側に存在しない場合、抽出部15は、選出された静止画像と対応する時間から所定の時間内に選出された相手側の静止画像があるか検索する。抽出部15は、例えば図4Bに示すように、A54番の取得静止画像とB56番の正解静止画像、あるいは、A62番の取得静止画像とB64番の正解静止画像のように、所定の時間内に選出された相手側の静止画像がある場合は、それら取得静止画像と正解静止画像の相関関数の一致率を算出する。所定の時間は、例えば、所定のコマ数以内とすることができる。本実施形態では、所定のコマ数は、2コマとしている。
【0045】
抽出部15は、A62番の取得静止画像とB64番の正解静止画像のように、互いの一致率が所定の第3閾値以上の場合、それら取得静止画像と正解静止画像を時間的に対応する静止画像とみなして、以後の取得動画像と正解動画像の時間的なずれを補正する。抽出部15は、時間的なずれを補正するため、例えば、取得静止画像のA61番の後にA61′番、A61′′番を追加することができる。A61′番とA61′′番とは、A61番と同じ画像である。また、抽出部15は、時間的なずれを補正するため、例えば、正解静止画像のB61番と、B62番を削除してもよい。抽出部15は、時間的なずれを補正した後の取得動画像を補正後取得動画像19cとして記憶部19に記憶する。
【0046】
一方、抽出部15は、A54番の取得静止画像とB56番の正解静止画像のように、互いの一致率が第3閾値未満の場合、図5Bに示すように、A54番の取得静止画像と時間的に対応するB54番の正解静止画像を事後的に選出し、B56番の正解静止画像と時間的に対応するA56番の取得静止画像を事後的に抽出する。そして、抽出部15は、先に選出した静止画像と事後的に選出した相手側の静止画像との差分を抽出する。抽出部15は抽出した差分を記憶部19に記憶させる。
【0047】
抽出部15は、図4Aに示すA14番の取得静止画像のように、時間的に対応する選出された静止画像が相手側の正解静止画像に存在せず、かつ、対応する時間から所定の時間内に選出された静止画像が相手側の正解静止画像に存在しない場合も、選出した静止画像と時間的に対応する相手側の正解静止画像の静止画像を事後的に選出する。そして、抽出部15は、先に選出した静止画像と事後的に選出した相手側の静止画像との差分を抽出する。抽出部15は、抽出した差分を記憶部19に記憶させる。図5Aに示す例では、抽出部15は、先に選出したA14番の取得静止画像と時間的に対応するB14番の正解静止画像を事後的に選出している。そして、抽出部15は、先に選出したA14番の取得静止画像と事後的に選出したB14番の正解静止画像との差分を抽出している。
【0048】
次に、抽出部15が、取得静止画像及び正解静止画像に対して、一致率の算出を行う範囲を説明する。
【0049】
本実施形態における対象機器2では、表示部3に表示される動画像は、情報の種別ごとに複数のブロックで構成されている。抽出部15が、時間的に前後の静止画像の相関関数の一致率の算出、及び取得静止画像と正解静止画像の相関関数の一致率の算出を行うか否かは、ブロックごとに定められている。本実施形態では、抽出部15は、一致率の算出を行わないブロックについては、差分の抽出も行わない。情報処理装置1は、抽出部15が所定のブロック以外の時間的に前後の静止画像の相関関数の一致率の算出、及び取得静止画像と正解静止画像の相関関数の一致率の算出を行わないことで、処理負担を低減することができる。
【0050】
図7に対象機器2が表示部3に表示する動画像の画面21の例を示す。画面21は、主に第1画面21A、第2画面21B、及び第3画面21Cの間で互いに遷移する。
【0051】
第1画面21Aは、地図表示ブロック24、操作用アイコンブロック25、情報表示ブロック26、時計表示ブロック27を含む。操作用アイコンブロック25は、1又は複数の操作用アイコンを表示する。操作用アイコンは、例えば、図8に示すように、ルートを再探索する再探索アイコン25a、表示を変更する表示変更アイコン25b、地点を登録する登録アイコン25c、地図の拡大縮小アイコン25dを表示する。情報表示ブロック26は1又は複数の情報を表示する。情報表示ブロック26に表示される情報として、例えば、図8に示すように、地図の縮尺を示すスケール情報26a、VICS(登録商標)更新情報26b、目的地到着予想時刻及び目的地までの距離情報26c、地図の方位情報26dが挙げられる。
【0052】
第2画面21Bは、リスト表示ブロック28、タイトル表示ブロック29、及び時計表示ブロック27を含む。リスト表示ブロック28は、例えば、メニュー、各種情報又は検索結果のリストを表示する。例えば、図9に示すように、点検情報を点検項目ごとに一覧表示する形態の画面も第2画面21Bの1種として含まれる。タイトル表示ブロック29は、リスト表示ブロック28に表示されたリストに関するタイトルを表示する。表示部3において、第1画面21Aと第2画面21Bが互いに切り替わるとき、アニメーション動画像が表示される。
【0053】
第3画面21Cは、第1画面21A上に重ねて通知メッセージブロック30を表示する。通知メッセージブロック30は、各種の通知メッセージを表示する。表示部3において、第1画面21Aと第3画面21Cが互いに切り替わるとき、アニメーション動画像が表示される。
【0054】
本実施形態では、抽出部15は、地図表示ブロック24、操作用アイコンブロック25、情報表示ブロック26、時計表示ブロック27、リスト表示ブロック28、タイトル表示ブロック29、及び通知メッセージブロック30ごとに、一致率を算出するか否かが設定されている。
【0055】
地図表示ブロック24は、自車の位置を画面の中心として表示されるが、自車の位置の誤差は、一般に、10m~50mあり、その誤差により、取得静止画像と正解静止画像の地図表示ブロック24に表示される地図にずれが生じる場合がある。このため、取得静止画像の地図表示ブロック24と正解静止画像の地図表示ブロック24との一致率を算出する場合は、抽出部15が取得静止画像の地図表示ブロック24と正解静止画像の地図表示ブロック24に対して地図の位置及び方位を合わせるための画像処理を行ったうえで一致率を算出することが好ましい。抽出部15は、地図の位置及び方位を合わせるための画像処理として、例えば、取得静止画像及び正解静止画像それぞれをグレースケール画像に変換し、画素の濃淡を非線形化することにより特徴点を強調し、双方の画像の特徴点同士をパターンマッチングすることにより行うことができる。
【0056】
情報表示ブロック26は、下地を透過して表示される透過表示部分がある場合は、透過表示部分を含まない範囲で一致率の算出を行うことが望ましい。
【0057】
時計表示ブロック27は、一致率の算出を行わないことが望ましい。時計の場合、正解静止画像に表示される時刻と、取得静止画像に表示される時刻が通常ずれているため、一致率を算出しても有用な一致率が得られないためである。
【0058】
次に、情報処理装置1の出力部8が出力する情報について説明する。本実施形態では、出力部8は、表示装置を用いて構成されている。情報処理部7は、画像再生プログラムを実行することにより、画像再生部20として機能する。但し、出力部8は表示装置に限定さない。出力部8は、例えば、記録紙への出力、又は音声による出力であってもよい。
【0059】
画像再生部20は、再生画面35を出力部8に表示させる。再生画面35は、記憶部19に記憶された正解動画像19aと、取得動画像19b又は補正後取得動画像19cを表示する。
【0060】
図8に出力部8が表示する再生画面35の一例を示す。再生画面35は、取得動画像19b又は補正後取得動画像19cと、正解動画像19aとを対比して表示する。取得動画像19bと補正後取得動画像19cが記憶部19に記憶されている場合、補正後取得動画像19cが再生画面35に表示される。再生画面35は、例えば、操作ボタン群38を表示する。操作ボタン群38には、例えば、再生ボタン39、一時停止ボタン40、及び停止ボタン41が含まれている。ユーザーが再生ボタン39を選択すると、取得動画像19b又は補正後取得動画像19c、及び正解動画像19aが再生される。ユーザーが一時停止ボタン40を選択すると、再生中の取得動画像19b又は補正後取得動画像19c、及び正解動画像19aが一時停止して、各動画像の1コマである取得静止画像及び正解静止画像が表示される。
【0061】
再生画面35には、その他に、不具合発生時間と現在の再生位置を示す再生位置表示バー42が表示されている。また、再生画面35には、対象機器2においてタッチ入力による操作があった場合に、タッチ箇所を特定するタッチ表示34が表示される。このタッチ表示34は、不具合表示と識別できるように表示される。タッチ表示34は、例えば、不具合表示と識別できるように特定の色を用いて表示されることが望ましい。
【0062】
図9に出力部8が表示する再生画面35Aの別の一例を示す。再生画面35Aは、点検情報に関する取得動画像19b又は補正後取得動画像19cと、正解動画像19aとを対比して表示する。再生画面35Aは、複数の点検項目ボタン54を表示する。ユーザが実物の対象機器2において、点検項目ボタン54の何れかを選択すると、その点検項目ボタン54に対応付けられた点検情報を表示する画面に遷移する。図9に示す再生画面35Aにも、図8に示した再生画面35と同様に、操作ボタン群38、再生位置表示バー42が表示されている。
【0063】
次に、出力部8が表示する不具合表示画面50について説明する。不具合表示画面50は、抽出部15が抽出した差分に関する情報を表示する。
【0064】
図10に出力部8が表示する不具合表示画面50の一例を示す。不具合表示画面50は、例えば、出力部8が再生画面35又は再生画面35Aを再生中に、再生時間が不具合画像が表示される時間に到達したときに、画像再生部20によって自動的に出力部8に表示される。不具合表示画面50は、ユーザが情報処理部7に対して所定操作を行った場合に出力部8に表示されるように構成されていてもよい。
【0065】
図10に示す不具合表示画面50は、取得静止画像を表示する取得静止画像表示部51と、正解静止画像を表示する正解静止画像表示部52と、不具合対比表示部53とを有する。取得静止画像表示部51と正解静止画像表示部52は、上下に対比して表示されている。不具合対比表示部53は、例えば、不具合画像拡大表示56と、正解画像拡大表示57とで構成される。不具合画像拡大表示56は、取得静止画像に、抽出部15が抽出した差分56aの領域を特定可能に表示する。差分56aの領域を特定可能に表示するため手法として、例えば、差分56aの領域を不具合画像拡大表示56の中央に配置すること、差分56aの領域内を周囲と異なる色彩若しくは輝度で表示すること、又は差分56aの領域の輪郭を周囲と異なる色彩若しくは輝度で表示することが挙げられる。正解画像拡大表示57は、正解静止画像において、不具合画像拡大表示56が拡大表示する部分に対応する部分を拡大表示する。ユーザは、正解画像拡大表示57と不具合画像拡大表示56を見比べることで容易に不具合箇所を見つけることができる。
【0066】
つぎに、本実施形態に係る情報処理装置1及び対象機器2において実行される処理動作について図11及び図12のフローチャートに基づき説明する。
【0067】
先ず、取得部5が対象機器2の表示部3に表示される動画像を取得する。一方、対象機器2は、表示部3に動画像を表示しながら、検証情報11を記憶装置6に書き込む(ステップ1)。以下では、ステップをSと称する。
【0068】
正解画像生成部12は、記憶装置6に書き込まれた検証情報11に基づいて正解動画像を生成する(S2)。
【0069】
次に、抽出部15は、図3Aから図5Bに基づいて説明した差分抽出処理を実行する(S3)。抽出部15は、差分抽出処理において、一致率が第2閾値より低い第4閾値未満となる取得静止画像と正解静止画像の組み合わせを検出した場合(S4及びS5でYesの場合)、その取得静止画像と正解静止画像の一致率が第4閾値未満であることを示す不具合画像情報を記憶部19に記憶する(S6)。
【0070】
抽出部15は、不具合画像情報を記憶部19に記憶した後、取得静止画像と正解静止画像の差分を抽出する。抽出部15は抽出した差分を記憶部19に記憶する(S7)。また、抽出部15は、一致率が第4閾値以上第2閾値未満となる取得静止画像と正解静止画像の組み合わせを検出した場合(S4でYes、S5でNoの場合)、取得静止画像と正解静止画像の差分を抽出し、抽出した差分を記憶部19に記憶する(S7)。
【0071】
抽出部15は、一致率が第2閾値未満となる取得静止画像と正解静止画像の組み合わせを検出しなかった場合(S4でNoの場合)、取得動画像に不具合が存在しない旨の情報を記憶する。
【0072】
つぎに、ユーザが情報処理部7において所定操作を行うことにより、画像再生部20が出力部8に、図9に示す再生画面35Aを表示させる。再生画面35Aにおいて、ユーザの操作により、再生ボタン39が選択されると、画像再生部20は、記憶部19から取得動画像19b及び正解動画像19aを読み出す。画像再生部20は、読み出した取得動画像19b及び正解動画像19aを再生画面35A内で再生する(S51)。
【0073】
画像再生部20は、記憶部19に取得静止画像と正解静止画像の差分が記憶されているか否か判定する(S52)。画像再生部20は、記憶部19に差分が記憶されていると判定した場合(S52でYesの場合)、一致率が第4閾値未満の取得静止画像と正解静止画像が再生中の動画に含まれているか否かを判定する(S53)。画像再生部20は、一致率が第4閾値未満の取得静止画像と正解静止画像が再生中の動画に含まれていると判定した場合(S53でYesの場合)、動画再生時間が、一致率が第4閾値未満の取得静止画像を再生する時間に到達したときに、図10に示すような、不具合表示画面50を表示する。併せて、画像再生部20は、ユーザに対して注意喚起を通知する(S54)。注意喚起の通知として、例えば、警告音を発生すること、不具合表示画面50に注意喚起するための文字を表示すること、又は不具合表示画面50の全体の配色を特別な色にすることが挙げられる。
【0074】
画像再生部20は、一致率が第4閾値未満の取得静止画像と正解静止画像が再生中の動画に含まれていないと判定した場合(S53でNoの場合)、動画再生時間が、一致率が第4閾値以上第2閾値未満の取得静止画像を再生する時間に到達したときに、図10に示すような、不具合表示画面50を表示する(S55)。この場合、画像再生部20は、ユーザに対する注意喚起の通知は行わない。
【0075】
画像再生部20は、記憶部19に取得静止画像と正解静止画像の差分が記憶されていないと判断した場合(S52でNoの場合)、不具合画像が存在しない旨の通知を行う(S56)。不具合画像が存在しない旨の通知として、例えば、不具合画像が存在しない旨を表す文字列を再生画面35A上に表示することが挙げられる。
【0076】
画像再生部20は、S54又はS55で不具合表示画面50を表示して一定時間が経過した後、記憶部19に他の差分が記憶されているか否かを判定する(S57)。また、画像再生部20は、ユーザが不具合表示画面50を終了させるための所定操作を行った場合も、不具合表示画面50を閉じて、記憶部19に他の差分が記憶されているか否かを判定する(S57)。
【0077】
画像再生部20は、記憶部19に他の差分が記憶されていると判定した場合(S57でYesの場合)、処理をS53に戻す。一方、画像再生部20は、記憶部19に他の差分が記憶されていないと判定した場合(S57でNoの場合)、再生画面35Aにおける取得動画像19b及び正解動画像19aを最後まで再生した後、動画再生を終了する(S58)。或いは、ユーザが再生画面35Aに対して所定の終了操作をすることにより、動画再生を終了する(S58)。
【0078】
<画像の比較のアルゴリズムに機械学習を用いる場合について>
抽出部15は、選出した取得静止画像と選出した正解静止画像の差分が同じ画像の差分であるか、異なる画像の差分であるかを機械学習により判定してもよい。抽出部15が機械学習により、異なる画像の差分と判断した場合は、一致率が第2閾値未満又は第4閾値未満の取得静止画像と正解静止画像との組み合わせに対する処理と同様の処理を行ってもよい。機械学習としては、例えば、ディープラーニングを用いることができる。具体的には、抽出部15は、過去に抽出した差分を教師データとして機械学習を行う。抽出部15は、機械学習の結果に基づき、新たに抽出した差分が同じ画像の差分であるか異なる画像の差分であるかを判定する。
【0079】
なお、画像の比較のアルゴリズムは一般に多種存在し、機械学習を用いる方法のほか、色情報ごとに特徴点を抽出する方法もある。
【0080】
以上に説明した情報処理装置1によれば、全ての取得静止画像と全ての正解静止画像を対比させて一致率を判定するのではなく、変化のあった取得静止画像と正解静止画像のみを対比させて一致率を判定するので、取得動画像における画像の不具合を効率良く抽出することができる。
【0081】
本発明は、その精神や主旨または主要な特徴から逸脱することなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。
【符号の説明】
【0082】
1 情報処理装置
2 対象機器
3 表示部
5 取得部
6 記憶装置
7 情報処理部
8 出力部
11 検証情報
12 正解画像生成部
15 抽出部
19 記憶部
19a 正解動画像
19b 取得動画像
20 画像再生部
24 地図表示ブロック
25 操作用アイコンブロック
26 情報表示ブロック
27 時計表示ブロック
28 リスト表示ブロック
29 タイトル表示ブロック
30 通知メッセージブロック
35,35A 再生画面
50 不具合表示画面
51 取得静止画像表示部
52 正解静止画像表示部
53 不具合対比表示部
56 不具合画像拡大表示部
56a 差分
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12