(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-27
(45)【発行日】2022-07-05
(54)【発明の名称】二酸化炭素とオキシランとの共重合を介してポリカーボネートポリオールを作製するためのセミバッチプロセス
(51)【国際特許分類】
C08G 64/34 20060101AFI20220628BHJP
【FI】
C08G64/34
(21)【出願番号】P 2019522315
(86)(22)【出願日】2017-11-09
(86)【国際出願番号】 US2017060754
(87)【国際公開番号】W WO2018089568
(87)【国際公開日】2018-05-17
【審査請求日】2020-11-02
(32)【優先日】2016-12-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2016-11-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128484
【氏名又は名称】井口 司
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ニマ・ニクビン
(72)【発明者】
【氏名】デイヴィッド・エイ・バブ
【審査官】飛彈 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-519770(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0190462(US,A1)
【文献】特表2010-516796(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0048935(US,A1)
【文献】特表2015-533915(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0299374(US,A1)
【文献】特表2014-526572(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0249279(US,A1)
【文献】特表2015-502449(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0051369(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 64/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリカーボネートポリオールを作製するためのセミバッチプロセスであって、
a)ヒドロキシル含有出発化合物、
少なくとも1つの複金属シアン化物触媒を含むカーボネート触媒、
マグネシウム、第3族~第15族金属、またはランタニド系列金属イオンが、少なくとも1つのアルコキシド、アリールオキシ、カルボキシレート、アシル、ピロホスフェート、ホスフェート、チオホスフェート、ジチオホスフェート、ホスフェートエステル、チオホスフェートエステル、アミド、シロキシド、ヒドリド、カルバメート、または炭化水素アニオンに結合されている、少なくとも1つの促進剤、および前記ヒドロキシル含有出発化合物1モル当たり0.25~5モルのアルキレンオキシドを反応容器中で合わせるステップと、
b)二酸化炭素を前記反応容器に導入するステップと、
c)前記反応容器中の前記ヒドロキシル含有出発化合物、カーボネート触媒、
促進剤、アルキレンオキシド、および二酸化炭素を、少なくとも40℃の温度および少なくとも138kPaゲージ(20psig)の圧力を含む重合条件に供することにより、前記二酸化炭素とアルキレンオキシドとの重合を開始するステップと、
d)前記ポリカーボネートを形成するために、前記アルキレンオキシドおよび二酸化炭素が共重合するように、生成物を除去せずに、最大150℃までの温度を含む重合条件下で追加のアルキレンオキシドおよび二酸化炭素を前記反応容器に連続的または断続的に供給するステップと、
e)全ての前記アルキレンオキシドが前記反応容器に供給された後、前記反応容器からポリカーボネートポリオール生成物を回収するステップと、を含む、セミバッチプロセス。
【請求項2】
前記促進剤がアルミニウムイソプロポキシドである、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
ステップb)が前記反応容器を二酸化炭素で加圧することにより行われる、請求項1
または2に記載のセミバッチプロセス。
【請求項4】
ステップd)において、前記アルキレンオキシドおよび二酸化炭素が同時に前記反応容器に供給され、アルキレンオキシドが、アルキレンオキシド1モル当たり0.005~1.0モルの二酸化炭素の比率で前記反応容器に供給される、
請求項1~3のいずれかに記載のプロセス。
【請求項5】
ステップd)において、前記アルキレンオキシドおよび二酸化炭素が同時に前記反応容器に供給され、アルキレンオキシドが、アルキレンオキシド1モル当たり0.25~1.0モルの二酸化炭素の比率で前記反応容器に供給される、請求項
4に記載のプロセス。
【請求項6】
ステップd)の間の前記温度が40~110℃である、請求項1~
5のいずれかに記載のプロセス。
【請求項7】
ステップd)の間の前記温度が50~90℃である、請求項1~
6のいずれかに記載のプロセス。
【請求項8】
ステップd)の間の前記圧力が275kPa~1.1MPaゲージである、請求項1~
7のいずれかに記載のプロセス。
【請求項9】
ステップd)の間の前記圧力が275kPa~965kPaゲージである、請求項1~
8のいずれかに記載のプロセス。
【請求項10】
前記アルキレンオキシドがプロピレンオキシドである、請求項1~
9のいずれかに記載のプロセス。
【請求項11】
前記アルキレンオキシドが、少なくとも50モル%の二酸化炭素および10モル%以下の窒素である雰囲気を有するコンテナ容器に貯蔵され、そこから前記反応容器に供給される、請求項
10に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーボネートポリオールを作製するためのセミバッチプロセスに関する。
【0002】
ポリカーボネートポリオールは、ヒドロキシル官能性開始剤およびある触媒の存在下で二酸化炭素とオキシランとを共重合することによって作製され得る。
【0003】
様々の方法がこれまでに記載されている。米国特許第6,762,278号、同第7,977,501号、および同第9,062,156号に記載されているものなどのプロセスでは、二酸化炭素およびオリキサンは、亜鉛ヘキサシアノコバルテート錯体などの複金属シアン化物触媒錯体を用いて重合される。
【0004】
WO2010/028362、WO2010/071505、およびWO2012/071505には、ある配位触媒を用いてポリカーボネートポリオールを形成するためのプロセスが記載されている。US9,006,347、WO2014/184578、およびWO2016/012786には、ポリカーボネートを作製するためのある複金属配位触媒が記載されている。これらのプロセスは、反応の開始時にオキシランの全てが反応容器に装入されるバッチまたはセミバッチプロセスである。大規模なスケールでは、反応容器中の高い初期濃度のオキシランは、温度が注意深く制御されていないと非常に発熱的で潜在的に爆発的な暴走反応が起こり得るため、重大な安全上の問題を表す。
【0005】
本発明は、ポリカーボネートポリオールを作製するためのセミバッチプロセスである。本プロセスは、
a)ヒドロキシル含有出発化合物、カーボネート触媒、およびヒドロキシル含有出発化合物1モル当たり0.25~5モルのアルキレンオキシドを反応容器中で合わせるステップと、
b)二酸化炭素を反応容器に導入するステップと、
c)反応容器中のヒドロキシル含有出発化合物、カーボネート触媒、アルキレンオキシド、および二酸化炭素を、少なくとも40℃の温度および少なくとも138kPaゲージ(20psig)の圧力を含む重合条件に供することにより、二酸化炭素とアルキレンオキシドとの重合を開始するステップと、
d)アルキレンオキシドと二酸化炭素が共重合して、ポリカーボネートを形成するように、生成物を除去せずに、最大150℃の温度を含む重合条件下で追加のアルキレンオキシドと二酸化炭素を反応容器に連続的または断続的に供給するステップと、
e)全てのアルキレンオキシドが反応容器に供給された後、反応容器からポリカーボネートポリオール生成物を回収するステップと、を含む。
【0006】
このセミバッチプロセスは、高い割合のカーボネート単位および低い割合の単独重合オキシランを有するポリカーボネートポリオールを生成する。本プロセスは、中程度の温度および圧力で運転され得る。これは、反応容器が高圧運転用に設計される必要がないため、重要な利点である。
【0007】
アルキレンオキシドは、例えば、エチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド、1,2-ブチレンオキシド、2,3-ブチレンオキシド、1,2-ヘキサンオキシド、スチレンオキシドなどであってもよい。上記の任意の2つ以上の混合物が使用され得る。アルキレンオキシドは、好ましくはそれ自体が1,2-プロピレンオキシドであるか、または少なくとも50モル%の1,2-プロピレンオキシドと最大50モル%のエチレンオキシドとの混合物である。1,2-プロピレンオキシドそれ自体が、最も好ましい。
【0008】
開始剤は、少なくとも1つのヒドロキシル基を有する1つ以上の有機化合物である。開始剤は、例えば、1分子当たり少なくとも1.5、少なくとも2.0、少なくとも2.2、少なくとも2.5、少なくとも2.8、または少なくとも3つのヒドロキシル基の数平均を有してもよい。開始剤は、1分子当たり最大8つ、最大6つ、または最大4つのヒドロキシル基の数平均を有してもよい。開始剤は、例えば、最大で3000、最大で1500、最大で1000、最大で750、および最大で500、最大で350または最大で250のヒドロキシル当量を有してもよい。
【0009】
有用なモノアルコール開始剤の例には、例えば、最大30個、最大20個、または最大12個の炭素原子を有する不飽和または飽和脂肪族モノアルコール、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-プロパノール、n-ブタノール、t-ブタノール、1-ヘキサノール、1-オクタノール、1-デカノール、1-ドセカノール、ビニルアルコール、1-プロペン-3-オール、1-ブテン-4-オール、1-ヘキセン-6-オール、1-ヘプテン-7-オール、1-オクテン-8-オール、1-ノネン-9-オール、1-デセン-10-オール、1-ウンデセン-11-オール、1-ドデセン-12-オール、アリルアルコール、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレートなどが含まれる。多官能性開始剤の例には、水、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、エリトリトールなどが含まれる。開始剤は、最大1000、特に最大500g/モルの数平均分子量を有する、前述の2つの文で述べた化合物のうちのいずれかのアルコキシレート、例えば、プロポキシレートおよび/またはエトキシレートであってもよい。特に好ましい開始剤は、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン、および/またはトリメチロールプロパン、ならびに1分子当たり2~4個のヒドロキシル基および125~500、特に125~350または125~250のヒドロキシル当量を有する、それらのアルコキシレートである。
【0010】
本発明のプロセスでは、出発化合物を、反応容器中で、カーボネート触媒、ヒドロキシル含有出発化合物1モル当たり0.25~5モルのアルキレンオキシド、およびあれば溶媒と合わせる。添加の順序は、特に重要ではない。
【0011】
反応を開始する前に反応容器のヘッドスペースをパージして酸素、水、および他の反応種(二酸化炭素以外)を除去することが一般に好ましい。これは、例えば、二酸化炭素を導入し、重合反応を開始する前に、ヘッドスペースを窒素、アルゴン、および/もしくは二酸化炭素で1回以上フラッシュする、ならびに/または容器のヘッドスペースを真空引きすることによって行われ得る。
【0012】
次いで、二酸化炭素が反応容器に導入される。それは、一般にガスの形態で導入される。二酸化炭素の添加は、一般に反応容器を加圧する(反応容器の内部圧力を増加させる)。
【0013】
この二酸化炭素は、反応器内容物(開始剤、触媒、およびアルキレンオキシド)が既に重合を開始するのに十分な温度にある間に添加されてもよい。そのような場合、開始ステップに関して以下に示すように反応器圧力を達成するのに十分な二酸化炭素を導入することが望ましい。
【0014】
あるいは、二酸化炭素は、反応器内容物が、重合を開始するのに必要な温度より低い温度にある間に添加され得る。そのような場合、反応器内容物が開始温度に加熱されたときに反応器圧力が開始ステップに関して以下に示されるようになるように、十分な二酸化炭素が添加される。
【0015】
重合は、開始剤、触媒、ステップa)の間に添加されたアルキレンオキシド、およびステップb)の間に添加された二酸化炭素を含有する反応容器を、少なくとも40℃の温度および少なくとも138kPaゲージ(20psig)の圧力を含む重合条件に供することによって開始される。そのような条件は、ステップb)において反応器に二酸化炭素を添加した直後に存在してもよい。重合開始ステップ中の温度は、少なくとも50℃、少なくとも80℃、少なくとも100℃、または少なくとも120℃であってもよく、例えば、最大200℃、最大180℃、最大160℃であってもよい。重合開始ステップの開始時(すなわち、重合の開始直前)の反応器圧力は、例えば、少なくとも275kPaゲージ(40psig)、少なくとも345kPaゲージ(50psig)、少なくとも550kPaゲージ(80psig)、または少なくとも690kPaゲージ(100psig)であってもよく、例えば、最大5.2MPa(750psig)、最大1.73MPaゲージ(250psig)、最大1MPaゲージ(150psig)、または最大965kPaゲージ(140psig)であってもよい。重合の開始(したがって開始ステップの完了)は、通常、アルキレンオキシドおよび/または二酸化炭素の消費による反応器圧力の低下によって示される。
【0016】
重合が開始した後、追加のプロピレンオキシドおよび二酸化炭素が反応条件下で反応容器に連続的または断続的に供給される。適切な反応条件としては、触媒の存在、少なくとも20℃で150℃以下の温度、および少なくとも138kPaゲージ(20psig)の圧力が挙げられる。このステップd)中の圧力条件は、重合開始ステップc)に関して記載した範囲内であり得る。本発明の利点は、中程度の圧力条件を採用できることである。ステップd)の間の好ましい圧力は、少なくとも275kPaゲージ(40psig)~1.1MPaゲージ(165psig)、または少なくとも275kPaゲージ(40psig)~965MPaゲージ(140psig)である。本発明の別の利点は、中程度の温度条件が使用できることである。温度は、少なくとも25℃または少なくとも30℃以上であるが、120℃以下、110℃以下、または100℃以下であることが好ましい。特に好ましい温度範囲は、50~90℃である。特に複金属シアン化物錯体が触媒である場合、ステップd)中のより低い温度は、ポリマー中へのより高いレベルの二酸化炭素の取り込みをもたらすことが見出された。
【0017】
ステップd)の間に、二酸化炭素およびアルキレンオキシドが連続的にまたは断続的に反応器に供給される。それらは、別々にまたは混合物として供給され得る。別々に供給される場合、それらは同時に供給されることが好ましい。ステップd)の全過程の間に、下記のように反応器内で二酸化炭素とアルキレンオキシドの所定のモル比を維持するように、二酸化炭素およびアルキレンオキシドを同時に供給することが好ましい。
【0018】
二酸化炭素および/またはアルキレンオキシドが連続的に添加される場合、これらの各々の添加速度は、ステップd)の過程の間、一定であってもよい。あるいは、連続的に添加される材料の添加速度は、ステップd)の間に変化してもよい。
【0019】
二酸化炭素およびアルキレンオキシドのいずれかまたは両方が断続的に添加される場合、場合によっては、合計量の二酸化炭素またはアルキレンオキシドの25%以下の任意の単一の増分で任意の単一の増分で添加することが好ましい。増分で添加される場合、これらの材料のいずれかは、少なくとも4、少なくとも6、少なくとも10、または少なくとも20の増分から任意のより多くの増分で添加されてもよい。様々の増分は、同じ量である必要はないが、同じ量であってもよい。
【0020】
一方または両方が、一定の内部反応器圧力を維持する速度でそれらを供給することによって要求に応じて供給されてもよい。いくつかの実施形態では、二酸化炭素は、要求に応じて連続的に供給され、プロピレンオキシドは、連続的または断続的に添加される流れとして別々に添加される。特定の実施形態では、二酸化炭素は、要求に応じて連続的に供給され、アルキレンオキシドは、二酸化炭素の添加速度に比例して定率で添加される。別の特定の実施形態では、二酸化炭素は、要求に応じて連続的に供給され、アルキレンオキシドは、一定の速度で連続的に供給される。
【0021】
ステップd)の間に供給される二酸化炭素とアルキレンオキシドとのモル比は、例えば、0.005:1(アルキレンオキシド1モル当たり0.005モルの二酸化炭素)~1:1であってもよい。モル比は、少なくとも0.01:1、少なくとも0.05:1、少なくとも0.1:1、少なくとも0.25:1、少なくとも0.6:1、または少なくとも0.8:1であってもよい。二酸化炭素およびアルキレンオキシドの添加の速度および様式は、二酸化炭素およびアルキレンオキシドの供給が中断されるときまで、これらのモル比がステップd)を通して維持されるようなものであることが好ましい。ステップd)の間に、二酸化炭素およびアルキレンオキシドを上記の比率で同時に供給することが最も好ましい。
【0022】
二酸化炭素とアルキレンオキシドとの合計量は、所望の分子量の生成物を生成するように選択される。
【0023】
いくつかの実施形態では、アルキレンオキシドは、プロピレンオキシドであり、これは、二酸化炭素で充填された、すなわち少なくとも50モル%、好ましくは少なくとも90モル%、または少なくとも95モル%の二酸化炭素である雰囲気を有するコンテナ容器に貯蔵され、そこからプロセスへ供給される。コンテナ容器内の雰囲気は、10モル%以下、5モル%以下、または2モル%以下の窒素を含有してもよい。コンテナ容器が窒素、または有意な割合の窒素を含有するガスで充填されると、窒素の一部がプロピレンオキシドに溶解され、それがヘッドスペースの一部を占める反応容器中に運ばれることが見出された。この窒素源を除去または減少させると、(プロピレンオキシドと共に持ち込まれる窒素が存在しないために)反応容器内のより低い操作圧力が可能になり、および/または同等の圧力でより高い二酸化炭素濃度が存在できるようになる。これにより、より効率的な二酸化炭素の取り込みおよびポリカーボネート中のより高い二酸化炭素含有量がもたらされる。
【0024】
本プロセスのステップd)は、生成物を除去せずに行われ、それは、セミバッチ式の操作をもたらす。
【0025】
二酸化炭素およびアルキレンオキシドの全てが供給された後、得られた反応混合物は、重合条件下で温浸されて、未反応モノマーの一部または全部を消費してもよい。反応混合物が0.5重量%以下、0.25重量%以下、または0.1重量%以下の未反応アルキレンオキシドを含有するまで、混合物を温浸することが一般に好ましい。
【0026】
生成物は、ステップd)の後に反応容器から回収される。任意選択な温浸ステップが実施される場合、生成物は、温浸ステップが完了した後に回収される。生成物の回収は、反応容器からの生成物の除去、および少なくともいくつかの未反応モノマーからのポリマー生成物の分離を含む。未反応ガス状モノマーを生成物から分離するために、容器は、排気されてもよい。生成物は、窒素またはアルゴンなどの不活性ガスでストリッピングされ、残留未反応モノマー、および/または二酸化炭素とアルキレンオキシドとの反応を介して形成し得るアルキレンカーボネートなどの反応副生成物を除去してもよい。生成物は、代替的にまたは追加的に、薄膜蒸発、液-液抽出、洗浄などの方法を用いて処理されてもよい。必要であれば、触媒残渣は、除去および/または中和され得る。1以上の安定剤、酸化防止剤、および/または保存剤が生成物に添加され得る。生成物は、好ましくは、窒素またはアルゴンなどの不活性雰囲気下などの湿気のない、非酸化性環境で保存される。
【0027】
重合反応の生成物は、ポリカーボネートまたはポリエーテル-ポリカーボネートである。米国特許第9,062,156号に記載されているようなNMR法を用いて測定した生成物のカーボネート含有量は、例えば、ポリマーの重量に基づいて、少なくとも0.5重量%、少なくとも5重量%、少なくとも10重量%、少なくとも20重量%、または少なくとも30重量%であってもよく、最大約40重量%であってもよい。カーボネート含有量は、使用される特定の触媒に依存し得ることが見出された。複金属シアン化物触媒錯体は、0.5~30重量%または5~25重量%のカーボネート含有量を有するポリマーを形成する傾向があるが、下記構造Iを有する触媒の存在下または四座配位子の金属錯体の存在下で生成されるポリマーは、10~40重量%または25~40重量%などのより高い範囲のカーボネート含有量を有する傾向がある。
【0028】
生成物ポリマーは、1つ以上のヒドロキシル基を含有し、その数は、開始剤のヒドロキシル基の平均数に密接に対応する。開始剤のヒドロキシル基の平均数は、生成物ポリマーの「公称官能価」と呼ばれる。重合中に起こる副反応のために少量の不飽和モノアルコールが形成する可能性があるため、生成物の実際のヒドロキシル官能価は、開始剤が多官能価である場合の公称官能価より幾分低いことが多い。実際の官能価は、周知の滴定法を用いて当量を測定し、ゲル浸透クロマトグラフィーにより数平均分子量を決定し、当量を数平均分子量で割ることにより決定される。実際の官能価は、例えば、1.0~8、1.8~4、または1.8~3であってもよい。
【0029】
生成物の数平均分子量は、例えば、700~10,000、1000~5000、1000~3500、または1000~2500g/モルであってもよい。ヒドロキシル当量は、例えば、233~10,000、400~2000、または400~1000であってもよい。
【0030】
カーボネート触媒は、二酸化炭素とアルキレンオキシドとの共重合のための触媒である。適切な触媒の例には、参照により本明細書に組み込まれるWO2009/130470および米国特許第9,006,347号に記載されているものが含まれる。そのような触媒には、構造Iを有するものが含まれ、
【0031】
【0032】
式中、R1およびR2は、独立して、水素、ハロゲン化物、ニトロ基、ニトリル基、イミン、アミン、エーテル基、シリルエーテル基、もしくはアセチリド基、または任意選択に置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、脂環式もしくはヘテロ脂環式基であり、R3は、独立して、任意選択に置換されたアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレン、ヘテロアルキニレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、またはシクロアルキレンであり、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレン、およびヘテロアルキニレンは、アリール、ヘテロアリール、脂環式もしくはヘテロ脂環式により任意選択に中断されてもよく、R4は、独立してH、または任意選択に置換された脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂環式、ヘテロ脂環式、アリール、ヘテロアリール、アルキルヘテロアリール、もしくはアルキルアリールであり、R5は、H、または任意選択に置換された脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂環式、ヘテロ脂環式、アリール、ヘテロアリール、アルキルヘテロアリール、またはアルキルアリールであり、E1は、Cであり、E2は、O、S、もしくはNHであるか、またはE1がNであり、E2がOであり、Xは、独立して、OC(O)Rx、OSO2Rx、OSORx、OSO(Rx)2、ORx、ホスフィネート、ハロゲン化物、ニトレート、ヒドロキシル、カーボネート、アミド、または任意選択に置換された脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂環式、ヘテロ脂環式、アリール、もしくはヘテロアリールであり、Rxは、独立して、水素、または任意選択に置換された脂肪族、ハロ脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂環式、ヘテロ脂環式、アリール、アルキルアリール、もしくはヘテロアリールであり、Gは、存在しないか、または独立して、ルイス塩基である中性もしくはアニオン性ドナー配位子であり、Mは、独立して、Zn(II)、Cr(II)、Co(II)、Mn(II)、Ti(II)、Mg(II)、Fe(II)、Cr(III)-X、Co(III)-X、Mn(III)-X、Fe(III)-X、Ca(II)、Ge(II)、Al(III)-X、Ti(III)-X、V(III)-X、Ge(IV)-(X)2、またはTi(IV)-(X)2である。
【0033】
他の適切な触媒としては、例えば、すべて参照により組み込まれるWO2010/028362、WO2010/062703、およびWO2012/071505に記載されているような四座配位子の金属錯体が挙げられる。そのような触媒としては、例えば、金属サレン錯体、金属サラン錯体、金属ビス-2-ヒドロキシベンズアミド錯体、トロスト配位子との金属錯体、金属ポルフィリン錯体、金属テトラベンゾプロフィリン錯体、金属コロール錯体、金属フタロシアニネート錯体、または金属ジベンゾテトラメチルテトラアザ[14]アヌレンが挙げられる。
【0034】
他の適切な触媒としては、例えば、米国特許第3,278,457号、同第3,278,458号、同第3,278,459号、同第3,404,109号、同第3,427,256号、同第3,427,334号、同第3,427,335号、および同第5,470,813号に記載されている複金属シアン化物(DMC)錯体が挙げられる。例示的なDMC触媒は、式1によって表され得る。
【0035】
【0036】
式中、MおよびM3は、各々金属であり、M1は、Mとは異なる遷移金属であり、各Xは、M1イオンと配位するシアン化物以外の基を表し、M2は、遷移金属であり、Aは、アニオンを表し、b、c、およびdは、静電的に中性の錯体を示す数字であり、rは、4~6であり、tは、0~2であり、xおよびyは、金属塩M3
xAy中の電荷を平衡させる整数であり、nは、ゼロまたは正の整数である。上記の式は、DMC触媒錯体中にしばしば存在するt-ブタノールなどの中性錯化剤の存在を示さない。例示的な実施形態では、rは、4または6であり、tは、0である。場合によっては、r+tは、6に等しい。
【0037】
例えば、MおよびM3は、各々、Zn2+、Fe2+、Co+2+、Ni2+、Mo4+、Mo6+、Al+3+、V4+、V5+、Sr2+、W4+、W6+、Mn2+、Sn2+、Sn4+、Pb2+、Cu2+、La3+、およびCr3+の群から独立して選択される金属イオンであってもよい。M1およびM2は、各々、Fe3+、Fe2+、Co3+、Co2+、Cr2+、Cr3+、Mn2+、Mn3+、Ir3+、Ni2+、Rh3+、Ru2+、V4+、V5+、Ni2+、Pd2+、およびPt2+の群から選択されてもよい。上記のうち、プラス3の酸化状態にあるものは、M1およびM2金属(例えば、Co+3およびFe+)として使用されてもよい。適切なアニオンAとしては、これらに限定されないが、ハロゲン化物、例えば、クロライド、ブロマイド、およびイオダイド、ニトレート、サルフェート、カーボネート、シアン化物、オキサレート、チオシアネート、イソシアネート、過塩素酸塩、イソチオシアネート、アルカンスルホネート、例えば、メタンスルホネート、アリレンスルホネート、例えば、p-トルエンスルホネート、トリフルオメタンスルホネート(トリフレート)、およびC1-4カルボキシレートが挙げられる。
【0038】
DMC触媒の例示的な種類は、亜鉛ヘキサシアノコバルテートであり、これは、t-ブタノールと錯体を形成していてもよい。
【0039】
DMC触媒は、促進剤と一緒に使用されてもよい。適切な促進剤には、参照により組み込まれるWO2012/091968に記載されているものが含まれる。これらの促進剤は、化合物を含み、それは、少なくとも1つのアルコキシド、アリールオキシ、カルボキシレート、アシル、ピロホスフェート、ホスフェート、チオホスフェート、ジチオホスフェート、ホスフェートエステル、チオホスフェートエステル、アミド、シロキシド、ヒドリド、カルバメート、または炭化水素アニオンに結合されたマグネシウム、第3族~第15族金属、またはランタニド系列金属イオン。触媒促進剤は、ハロゲン化物およびシアン化物イオンを含まない。促進剤化合物は、サルフェート、亜硫酸塩、過硫酸塩、ニトレート、亜硝酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩、次亜塩素酸塩、カーボネート、クロム酸塩、スルホネート(例えば、トリフルオロメチルスルホネートおよびメチルスルホネート)、および水酸化物アニオンを含まなくてもよい。
【0040】
促進剤化合物の金属は、元素の2010IUPAC周期律表の第III族~第15族を含めるか、またはランタニド系列のいずれかに含まれるいかなるものであってもよい。金属は、例えば、スカンジウム、イットリウム、ランタン、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、タンタル、クロム、モリブデン、タングステン、マンガン、レニウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀、金、亜鉛、カドミウム、水銀、アルミニウム、ガリウム、インジウム、テルル、ゲルマニウム、スズ、鉛、アンチモン、ビスマス、および58(セリウム)~71(ルテチウム)を含めた原子番号を有するものを含むランタニド系列の金属であってもよい。
【0041】
ポリマー生成物は、スラブストックフォーム、成形フォーム、軟質フォーム、粘弾性フォーム、燃焼改質フォーム、硬質フォーム、エラストマー、接着剤、シーラント、および/またはコーティングなどの多種多様のポリウレタン生成物を作製するために有用である。ポリウレタン生成物は、様々の包装用途、快適用途(マットレス、マットレストッパー、枕、家具、座席クッションなど)、緩衝装置用途(バンパーパッド、スポーツおよび医療機器、ヘルメットライナーなど)、断熱用途、電子製品の静電防止包装のための導電性、ならびに騒音および/または振動を減衰させる用途(耳栓、自動車パネルなど)において有用であり得る。
【0042】
ポリウレタン生成物は、イソシアネート成分およびイソシアネート反応性成分を含むポリウレタン形成配合物の反応において調製されてもよい。イソシアネート成分は、1つ以上のポリイソシアネート、1つ以上のイソシアネート末端プレポリマー、および/またはそれらの組み合わせを含んでもよい。生成物ポリマーは、イソシアネート反応性成分の全部もしくは一部を形成してもよく、および/またはイソシアネート成分の全部もしくは一部を形成するイソシアネート末端プレポリマーを作製するために使用されてもよい。
【0043】
イソシアネート成分に関して、例示的なイソシアネートとしては、芳香族、脂環式、および脂肪族イソシアネート、ならびに芳香族、脂環式、および脂肪族イソシアネートの群から選択される少なくとも1つから誘導されるイソシアネート末端プレポリマーが挙げられる。ポリウレタン生成物を作製する際に使用されるイソシアネート成分の量は、通常、イソシアネートインデックスで表される。イソシアネートインデックスは、イソシアネート反応性基の数で割った、配合物中のイソシアネート基の数の100倍である。実施形態において、イソシアネートインデックスは、約70~400の範囲であってもよい。
【0044】
様々の添加剤が、得られる生成物の特性を調整するために、ポリウレタン生成物を形成するための反応混合物に添加されてもよく、例えば、当業者に知られている添加剤が使用されてもよい。添加剤は、イソシアネート成分および/またはイソシアネート反応性成分の一部として添加されてもよい。例示的な添加剤としては、触媒、接着促進剤、界面活性剤、水分捕捉剤、気泡開放剤、酸化防止剤、硬化剤、pH中和剤、UV安定剤、帯電防止剤、可塑剤、相溶化剤、充填剤、強化剤、難燃剤、顔料/染料、離型剤、および/または架橋剤が挙げられる。
【0045】
以下の実施例は、本発明を説明するために提供されるが、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。すべての部およびパーセンテージは、特に指示がない限り重量による。
【0046】
実施例1
5グラムの金属含有カーボネート触媒を25.4gの400分子量ポリ(プロピレンオキシド)ジオールと乾燥条件下で混合する。約15mLの無水溶媒を添加し、固体が溶解するまで反応器内容物を混合する。得られた溶液を、さらに140.1gの無水溶媒と一緒に圧力反応器に装入する。反応器を二酸化炭素で550kPaゲージに加圧し、3回排気し、密封し、70℃に加熱し、次に、二酸化炭素で620kPaゲージ(90psig)に加圧する。51.3mL(42.6g)のプロピレンオキシドを反応器に供給する。反応器内圧力が低下したら(重合が始まったことを示す)、反応器内圧力を965kPaゲージ(140psig)以下に維持しながら、二酸化炭素およびプロピレンオキシドを1:1モル比で24時間、反応器に要求に応じて供給する。次いで、反応器を冷却し排気する。生成物を窒素でストリッピングし、8.17gのリン酸を30分間撹拌してから生成物を容器に移し、次いでそれを密封する。生成物は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)による1175g/モルの数平均分子量および1.12の多分散性(数平均分子量で割った重量平均分子量)を有する。
【0047】
実施例2
6.5グラムの金属含有カーボネート触媒を340gの無水溶媒と乾燥条件下で混合し、続いて123.46gの400分子量のポリ(プロピレンオキシド)ジオールを混合する。得られた溶液を圧力反応器に装入する。反応器を二酸化炭素で550kPaゲージに加圧し、3回排気し、密封する。142.4mL(118.1g)のプロピレンオキシドを反応器に供給する。反応器を70℃に加熱し、次いで二酸化炭素で620kPaゲージに加圧する。反応器内圧力が低下したら(重合が始まったことを示す)、反応器内圧力を965kPaゲージ以下に維持しながら、二酸化炭素およびプロピレンオキシドを1:1のモル比で24時間、反応器に要求に応じて供給する。次いで、反応器を冷却し、排気する。生成物を窒素でストリッピングし、8.17gのリン酸を30分間撹拌してから生成物を容器に移し、次いでそれを密封する。生成物は、GPCによる1299g/モルの数平均分子量および1.10の多分散性を有する。
【0048】
実施例3
0.05グラムの亜鉛ヘキサシアノコバルテート触媒錯体および0.5グラムのアルミニウムイソプロポキシドを、99.6グラムの700分子量三官能性ポリ(プロピレンオキシド)に溶解する。混合物を130℃で窒素パージすることにより1リットル反応器中で乾燥させる。次に、反応器を150℃に加熱し、18.4mL(15.3g)のプロピレンオキシドの初期装填量を添加して、触媒を活性化する。反応器内圧が低下し、触媒が活性化したことを示したら、反応器を100℃に冷却し、毎回排気しながら480kPaゲージに3回加圧する。次いで、反応器を、プロピレンオキシドと二酸化炭素との混合物で725kPaゲージに加圧する。プロピレンオキシドおよび二酸化炭素は、75.9gのプロピレンオキシドおよび12.5gの二酸化炭素が100℃で2.5時間にわたって添加されるまで、要求に応じて供給される。次いで、反応器内の一定圧力が、重合が停止したことを示すまで、反応器内容物を100℃で温浸する。反応器を冷却し、排気する。次いで、反応器の内容物を撹拌しながら30分間、窒素でパージし、容器に移し、次いでそれを密封する。生成物は、1227の数平均分子量を有し、3.4モル%の重合二酸化炭素を含有する。
【0049】
実施例4~6
実施例4:0.015グラムの亜鉛ヘキサシアノコバルテート触媒錯体および0.056グラムのアルミニウムイソプロポキシドを144.2グラムの700分子量三官能性ポリ(プロピレンオキシド)に溶解する。混合物を130℃で窒素パージすることにより1リットル反応器中で乾燥させる。次いで、反応器を150℃に加熱し、26.7mL(22.2g)のプロピレンオキシドの初期装填量を添加して、触媒を活性化する。反応器内圧力が低下し、触媒が活性化したことを示したら、反応器を90℃に冷却し、毎回排気しながら480kPaゲージに3回加圧する。次いで、反応器を二酸化炭素で825kPaゲージに加圧する。13.4gのプロピレンオキシドを添加する。その後、合計227.8グラムが供給されるまで、プロピレンオキシドを1mL/分(0.83g/分)の速度で反応器に供給する。同時に、二酸化炭素を要求に応じて供給して、反応器内圧力を825±2.5kPaゲージに維持する。反応器温度を終始90℃に維持する。次いで、反応器内の一定圧力が、重合が停止したことを示すまで、反応器内容物を90℃で温浸する。反応器を冷却し、排気する。次いで、反応器の内容物を撹拌しながら30分間、窒素でパージし、容器に移し、次いでそれを密封する。生成物は、1395g/モルの数平均分子量を有し、7.9モル%の重合二酸化炭素を含有する。
【0050】
実施例5は、温度が120℃であり、圧力が620kPaゲージであることを除いて同じ様式で作製する。生成物は、2重量%の重合二酸化炭素しか含有しない。温度をさらに150℃に上げ、圧力を415kPaに下げると、生成物(実施例6)は、0.2重量パーセントの重合二酸化炭素しか含有しない。
本願発明には以下の態様が含まれる。
項1.
ポリカーボネートポリオールを作製するためのセミバッチプロセスであって、
a)ヒドロキシル含有出発化合物、カーボネート触媒、および前記ヒドロキシル含有出発化合物1モル当たり0.25~5モルのアルキレンオキシドを反応容器中で合わせるステップと、
b)二酸化炭素を前記反応容器に導入するステップと、
c)前記反応容器中の前記ヒドロキシル含有出発化合物、カーボネート触媒、アルキレンオキシド、および二酸化炭素を、少なくとも40℃の温度および少なくとも138kPaゲージ(20psig)の圧力を含む重合条件に供することにより、前記二酸化炭素とアルキレンオキシドとの重合を開始するステップと、
d)前記ポリカーボネートを形成するために、前記アルキレンオキシドおよび二酸化炭素が共重合するように、生成物を除去せずに、最大150℃までの温度を含む重合条件下で追加のアルキレンオキシドおよび二酸化炭素を前記反応容器に連続的または断続的に供給するステップと、
e)全ての前記アルキレンオキシドが前記反応容器に供給された後、前記反応容器からポリカーボネートポリオール生成物を回収するステップと、を含む、セミバッチプロセス。
項2.
ステップb)が前記反応容器を二酸化炭素で加圧することにより行われる、項1に記載のセミバッチプロセス。
項3.
ステップd)において、前記アルキレンオキシドおよび二酸化炭素が同時に前記反応容器に供給され、アルキレンオキシドが、アルキレンオキシド1モル当たり0.005~1.0モルの二酸化炭素の比率で前記反応容器に供給される、項1または2に記載のプロセス。
項4.
ステップd)において、前記アルキレンオキシドおよび二酸化炭素が同時に前記反応容器に供給され、アルキレンオキシドが、アルキレンオキシド1モル当たり0.25~1.0モルの二酸化炭素の比率で前記反応容器に供給される、項3に記載のプロセス。
項5.
前記カーボネート触媒が構造Iに対応する少なくとも1つの化合物を含み、
【化1】
式中、R
1およびR
2は、独立して、水素、ハロゲン化物、ニトロ基、ニトリル基、イミン、アミン、エーテル基、シリルエーテル基、もしくはアセチリド基、または任意選択に置換されたアルキル、アルケニル、アルキニル、ハロアルキル、アリール、ヘテロアリール、脂環式もしくはヘテロ脂環式基であり、R
3は、独立して、任意選択に置換されたアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレン、ヘテロアルキニレン、アリーレン、ヘテロアリーレン、またはシクロアルキレンであり、アルキレン、アルケニレン、アルキニレン、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニレン、およびヘテロアルキニレンは、アリール、ヘテロアリール、脂環式、またはヘテロ脂環式によって任意選択に中断されてもよく、R
4は、独立して、H、または任意選択に置換された脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂環式、ヘテロ脂環式、アリール、ヘテロアリール、アルキルヘテロアリール、もしくはアルキルアリールであり、R
5は、H、または任意選択に置換された脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂環式、ヘテロ脂環式、アリール、ヘテロアリール、アルキルヘテロアリール、もしくはアルキルアリールであり、E
1は、Cであり、E
2は、O、S、もしくはNHであるか、またはE
1がNであり、E
2がOであり、Xは、独立して、OC(O)R
x、OSO
2R
x、OSOR
x、OSO(R
x)
2、OR
x、ホスフィネート、ハロゲン化物、ニトレート、ヒドロキシル、カーボネート、アミド、または任意選択に置換された脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂環式、ヘテロ脂環式、アリール、もしくはヘテロアリールであり、R
xは、独立して、水素、または任意選択に置換された脂肪族、ハロ脂肪族、ヘテロ脂肪族、脂環式、ヘテロ脂環式、アリール、アルキルアリール、もしくはヘテロアリールであり、Gは、存在しないか、または独立して、ルイス塩基である中性もしくはアニオン性ドナー配位子であり、Mは、独立して、Zn(II)、Cr(II)、Co(II)、Mn(II)、Ti(II)、Mg(II)、Fe(II)、Cr(III)-X、Co(III)-X、Mn(III)-X、Fe(III)-X、Ca(II)、Ge(II)、Al(III)-X、Ti(III)-X、V(III)-X、Ge(IV)-(X)
2、またはTi(IV)-(X)
2である、項1~4のいずれかに記載のプロセス。
項6.
前記カーボネート触媒が四座配位子の少なくとも1つの金属錯体を含む、項1~4のいずれかに記載のプロセス。
項7.
前記カーボネート触媒が少なくとも1つの複金属シアン化物錯体を含む、項1~4のいずれかに記載のプロセス。
項8.
ステップc)およびステップd)の間に、前記反応容器が、マグネシウム、第3族~第15族金属、またはランタニド系列金属イオが、少なくとも1つのアルコキシド、アリールオキシ、カルボキシレート、アシル、ピロホスフェート、ホスフェート、チオホスフェート、ジチオホスフェート、ホスフェートエステル、チオホスフェートエステル、アミド、シロキシド、ヒドリド、カルバメート、または炭化水素アニオンに結合されている、少なくとも1つの化合物をさらに含有する、項7に記載のプロセス。
項9.
ステップd)の間の前記温度が40~110℃である、項1~8のいずれかに記載のプロセス。
項10.
ステップd)の間の前記温度が50~90℃である、項1~9のいずれかに記載のプロセス。
項11.
ステップd)の間の前記圧力が275kPa~1.1MPaゲージである、項1~10のいずれかに記載のプロセス。
項12.
ステップd)の間の前記圧力が275kPa~965kPaゲージである、項1~11のいずれかに記載のプロセス。
項13.
前記アルキレンオキシドがプロピレンオキシドである、項1~12のいずれかに記載のプロセス。
項14.
前記アルキレンオキシドが、少なくとも50モル%の二酸化炭素および10モル%以下の窒素である雰囲気を有するコンテナ容器に貯蔵され、そこから前記反応容器に供給される、項13に記載のプロセス。