(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-27
(45)【発行日】2022-07-05
(54)【発明の名称】車両に搭載される水溶液を貯蔵するためのシステム
(51)【国際特許分類】
F02M 25/028 20060101AFI20220628BHJP
F02B 47/02 20060101ALI20220628BHJP
【FI】
F02M25/028
F02B47/02
(21)【出願番号】P 2019526227
(86)(22)【出願日】2017-11-17
(86)【国際出願番号】 EP2017079641
(87)【国際公開番号】W WO2018091670
(87)【国際公開日】2018-05-24
【審査請求日】2020-11-09
(32)【優先日】2016-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】515269659
【氏名又は名称】プラスチック・オムニウム・アドヴァンスド・イノベーション・アンド・リサーチ
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ジョエル・オプ・ドゥ・べーク
(72)【発明者】
【氏名】フランク・ドシー
(72)【発明者】
【氏名】ステファン・レオナール
【審査官】池田 匡利
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0047880(US,A1)
【文献】特表2013-517408(JP,A)
【文献】特開2006-299862(JP,A)
【文献】特開平11-082182(JP,A)
【文献】特開2005-282413(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0035832(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102007061808(DE,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02918813(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 25/028
F02B 47/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水溶液を貯蔵する車両システムであって、前記車両システムは、
水溶液(L)を貯蔵するための第1区画(100)と、
水溶液(L)を貯蔵するための第2区画(200)と、
前記第2区画から水溶液を受け入れるよう配置された吸引ライン(290)と、
吸込口(310)、圧力入口(320)および出口(330)を有するジェットポンプ(300)と、
モジュール(400)であって、
前記第1区画から供給出口(181)へ水溶液をポンプ送りするために接続された供給ポンプユニット(110)であって、前記供給ポンプユニットは、前記第1区画から前記供給ポンプユニットを通り、前記ジェットポンプの前記圧力入口を通り、前記ジェットポンプの前記出口
までの流路(111,112,190,320,330)に沿って水溶液をポンプ送りするためにさらに接続されている、供給ポンプユニット(110)と、
前記流路を加熱するよう構成および配置され
、前記第1区画(100)を画定する壁に配置された第1ヒーター(120)と、
を備えるモジュール(400)と、
を備え、
前記吸込口(310)は、前記吸引ライン(290)に接続され、前記ジェットポンプの前記出口は、前記吸込口および前記圧力入口から前記第1区画に水溶液を戻すように配置されている、車両システム。
【請求項2】
前記ジェットポンプが前記第1区画内に少なくとも部分的に配置されている、請求項1に記載の車両システム。
【請求項3】
前記ジェットポンプが前記モジュールに一体化されている、請求項1または2に記載の車両システム。
【請求項4】
逆止弁(160)が前記供給ポンプユニットの下流の前記流路に含まれている、請求項1~3のいずれか一項に記載の車両システム。
【請求項5】
前記逆止弁(160)が前記供給ポンプユニットの出口および前記ジェットポンプの前記圧力入口の間のラインに配置されている、請求項4に記載の車両システム。
【請求項6】
前記ジェットポンプ(300)が前記モジュールにおいて上方に延在するラインに配置されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の車両システム。
【請求項7】
前記第2区画(200)がタンクであり、前記第1区画(100)は、前記第2区画内に位置するように前記モジュールに一体化されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の車両システム。
【請求項8】
前記第2区画がタンクであり、前記第1区画が前記タンク内に配置され、かつ前記タンクに一体化されている、請求項1~6のいずれか一項に記載の車両システム。
【請求項9】
前記モジュール(400)が前記タンクの壁の開口部に配置されている、請求項7または8に記載の車両システム。
【請求項10】
前記タンク(200)にフィラーパイプ(240)が設けられている、請求項7~9のいずれか一項に記載の車両システム。
【請求項11】
前記タンク(200)が底壁(201)、上壁(202)および前記底壁を前記上壁に
接続する側壁(203)を有し、開口部が前記底壁に配置され、前記タンクの取付位置において、前記底壁は、前記タンクの最下面に対応し、前記モジュール(400)は、前記タンクの前記底壁の前記開口部に取り付けられている、請求項7~10のいずれか一項に記載の車両システム。
【請求項12】
前記第1区画が第1タンク(100)であり、前記第2区画が第2タンク(200)である、請求項1~6のいずれか一項に記載の車両システム。
【請求項13】
オーバーフローライン(210)が前記第1タンクおよび前記第2タンクの間に延在し、前記第1および第2タンクの一方が前記第1および第2タンクの他方よりも高いレベルにあり、高いレベルにある一方のタンクには、フィラーパイプが設けられている、請求項12に記載の車両システム。
【請求項14】
前記第1タンク(100)にフィラーパイプ(140)が設けられており、フィラーライン(220)が前記フィラーパイプ(140)および前記第2タンク(200)の間に延在する、請求項12または13に記載の車両システム。
【請求項15】
前記第1タンクが底壁(101)、上壁(102)、および前記底壁(101)を前記上壁(102)に接続する側壁(103)を有し、開口部が前記底壁(101)に配置され、前記第1タンク(100)の取付位置において、前記底壁は、前記第1タンクの最下面に対応し、前記モジュール(400)が前記第1タンクの前記底壁の前記開口部に取り付けられている、請求項12~14のいずれか一項に記載の車両システム。
【請求項16】
内燃機関の燃焼室(700)の上流の吸気ライン(710)と、
水溶液を前記吸気ラインまたは前記燃焼室に注入するよう構成されたインジェクタ(600)と、
前記第1区画(100)から出た水溶液を前記インジェクタに供給するための、前記供給出口および前記インジェクタの間の供給ライン(180)と、
をさらに備える、請求項1~15のいずれか一項に記載の車両システム。
【請求項17】
前記第1区画内の前記水溶液のレベルが所定のレベルを下回った場合に、前記第2区画から前記第1区画に水溶液をポンプ送りするために、前記供給ポンプユニットを制御するよう構成されたコントローラ(500)をさらに備える、請求項1~16のいずれか一項に記載の車両システム。
【請求項18】
前記ジェットポンプの前記出口から出る前記水溶液の品質を検出するために、前記ジェットポンプの下流に配置された品質センサをさらに備える、請求項1~17のいずれか一項に記載の車両システム。
【請求項19】
前記モジュール(400)が、レベルセンサ、フィルター、バイオ除染装置の1または複数の構成要素をさらに備える、請求項18に記載の車両システム。
【請求項20】
前記吸引ラインの少なくとも一部分を加熱するよう構成された吸引ライン加熱システムをさらに備える、請求項1~19のいずれか一項に記載の車両システム。
【請求項21】
前記吸引ライン加熱システムが、前記吸引ラインの一部分、好ましくは、前記第1区画の内部空間および前記第2区画の底壁の間の前記吸引ラインの少なくとも一部分の周りに配置された第2ヒーターを備える、請求項20に記載の車両システム。
【請求項22】
第1および/または第2ヒーターが電気ヒーター、好ましくは可撓性電気ヒーターであ
る、請求項21に記載の車両システム。
【請求項23】
前記第1ヒーターが前記第2ヒーターに接続されている、請求項21または22に記載の車両システム。
【請求項24】
前記吸引ライン加熱システムがエンジン冷却剤を循環するためのチューブを備え、好ましくは、前記チューブが前記吸引ラインの一部分から5cmより小さい距離で配置されている、請求項20~23のいずれか一項に記載の車両システム。
【請求項25】
前記吸引ラインが200mmより長い、好ましくは300mmより長い、より好ましくは400mmより長い長さを有する、請求項1~24のいずれか一項に記載の車両システム。
【請求項26】
前記吸引ラインの一部分および前記第2区画の底壁の間の距離が5cmより小さく、好ましくは3cmより小さく、好ましくは前記吸引ラインの前記一部分の長さが200mmより長い、請求項1~25のいずれか一項に記載の車両システム。
【請求項27】
前記第1区画が直径100mm~200mm、最大高さ50mm~100mmの略円筒形であり、および/または前記第2区画の容積が5リットル~15リットル、好ましくは8リットル~13リットルである、請求項1~26のいずれか一項に記載の車両システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水溶液、好ましくは脱塩水を車両に搭載するためのシステムに関し、より詳細には、水溶液を燃焼室の上流の吸気口にまたは燃焼室内に直接注入するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両のエンジンの負荷が高い場合に、燃焼室の上流の吸気口に、または燃焼室内に直接水を注入することが知られている。空気流に水を注入することで、空気が冷却され、密度が高くなり、単位体積あたりの空気量が増え、燃焼が促進される。このようにして、より多くのパワーが得られる、すなわち性能が高められる。注入用の水は、車内に貯めておく必要があり、車の運転中に利用可能である必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の例示的な実施形態の第1の目的は、車両に搭載される水溶液を貯蔵するための車両システムを提供することであり、よりコンパクトであり、様々な動作条件下で、特に水溶液が凍結する低温において、始動直後にある量の水溶液がすぐに利用可能であることを保証することができる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の態様によれば、水溶液を貯蔵するための車両システムが提供される。車両システムは、水溶液を貯蔵するための第1区画、水溶液を貯蔵するための第2区画、ジェットポンプ、吸引ライン、およびモジュールを備える。モジュールは、供給ポンプユニットおよびヒーターを備える。ジェットポンプは、吸込口、圧力入口、出口を有する。供給ポンプユニットは、第1区画から水溶液を、第1区画から送り出すための供給出口にポンプ送りするように接続され、また第1区画から供給ポンプユニットを通り、ジェットポンプの圧力入口を通ってジェットポンプの出口へ流れる流路に沿って水溶液をポンプ送りするように接続される。ヒーターは、上記流路を加熱するように構成および配置されている。吸込口は、吸引ラインに接続されている。吸引ラインは、第2区画から水溶液を受け取るように配置されている。前記ジェットポンプの出口は、水溶液を吸込口および圧力入口から第一区画に戻すように配置されている。
【0005】
供給ポンプユニットおよびジェットポンプを通る流路がヒーターによって加熱されるように、供給ポンプユニットおよびヒーターを同じモジュールに含めることによって、水溶液が凍結し、ヒーターが作動する場合に、ヒーターを作動させた直後に供給ポンプユニットを作動させることが可能であり、水溶液の循環によって除霜がさらに改善される。
【0006】
好ましくは、ジェットポンプは、少なくとも部分的に第1区画内に配置されている。より好ましくは、ジェットポンプは、モジュールに統合される。モジュールは、車両システムから1つのユニットとして取り外すことができるようなものとすることができる。ジェットポンプを供給ポンプユニットおよびヒーターと統合することで、接続ラインを短くすることができ、加熱効率を向上させることができる。
【0007】
好ましくは、逆止弁、典型的にはチェックバルブが、通常の供給モードでは供給ポンプユニットの下流の前記流路に含まれる。逆止弁は、水溶液が供給ポンプユニットの出口に向かって流路を通って逆方向に流れることを回避する。より好ましくは、逆止弁は、供給ポンプユニットの出口とジェットポンプの圧力入口との間に配置される。このようにして逆止弁は、ジェットポンプ内の水溶液が供給ポンプユニットの出口に戻ることを回避する。
【0008】
例示的な実施形態では、ジェットポンプは、好ましくはジェットポンプの出口よりも低い圧力入口を有し、モジュール内で上方に延びるラインに配置される。このようにして水溶液は上向きに循環する。これは、モジュールが第1または第2区画の底壁に取り付けられ、供給ポンプユニットの入口が第1または第2区画の最低液面より下に好ましく位置する場合、例えば第1または第2区画の底壁の平面から10cm未満である場合に特に有利である。
【0009】
例示的な実施形態では、第1区画はモジュールに一体化されており、第2区画はタンクである。他の例示的な実施形態では、第2区画はタンクであり、第1区画はタンクに一体化されている。
【0010】
次いで、第1区画は、第2区画内、好ましくは第2区画の底部に配置されたボウルまたは渦巻き状ポットの形態をとり得る。好ましくは、モジュールは、前記タンクの壁の開口部に配置される。好ましくは、タンクは、第1区画と第2区画の両方がフィラーパイプを通って流れる水溶液で満たされることができるように配置されたフィラーパイプを備える。タンクは底壁、上壁、および底壁と上壁を接続する側壁を有することができる。開口部が底壁に配置されてもよく、タンクの取付位置では、底壁は、タンクの最も低い面に対応し、モジュールは、第1区画がタンク内に位置した状態でタンクの底壁の開口部に取り付けられる。別の例示的な実施形態では、第1区画は、第1タンクであり、第2区画は、第2タンクである。好ましくは、オーバーフローラインが第1タンクと第2タンクとの間に延び、前記第1タンクと前記第2タンクのうちの一方が前記第1タンクと前記第2タンクの他方よりも高い位置にあってもよく、高い法にフィラーパイプが設けられている。他の可能な実施形態では、第1タンクにはフィラーパイプが設けられ、フィラーラインはフィラーパイプと第2タンクとの間に延在する。その好ましい実施形態では、第1タンクは底壁、上壁、および底壁と上壁を接続する側壁を有し、開口部が底壁に配置され、第1タンクの取付位置では、底壁は第1タンクの最下面に対応し、モジュールは第1タンクの底壁の開口部に取り付けられる。
【0011】
例示的な実施形態では、供給出口への接続が第1区画の外側から行われ得るように供給出口がモジュール内に配置される。言い換えれば、そのような供給出口は、第1区画から供給出口を通り供給ラインへ水溶液を供給するための供給ラインとの便利な接続を可能にすることができる。
【0012】
例示的な実施形態では、車両システムは、吸気ラインと、インジェクタと、供給ラインとをさらに備える。吸気ラインは、内燃機関の燃焼室の上流にある。インジェクタは、吸気ラインまたは燃焼室に水溶液を注入するように構成されている。供給ラインは、水溶液を第1区画からインジェクタに送り出すためのものである。供給ポンプユニットは、水溶液を供給ラインにポンプ送りするようにさらに構成されている。
【0013】
例示的な実施形態では、車両システムは、水溶液を第2区画から第1区画にポンプで送り、水溶液を供給ラインにポンプで送るように供給ポンプユニットを制御するように構成されたコントローラをさらに備える。言い換えれば、供給ポンプユニットは、注入のために必要に応じて供給ラインを通して水溶液を供給すると同時に、水溶液を第2区画から引き出すためにジェットポンプを含む経路に沿って水溶液をポンプ送りするために作動させることができる。ポンプがオンのとき、水溶液はジェットポンプを含む経路を通って循環し続ける。コントローラはさらに、第1区画内の水溶液のレベルに基づいて供給ポンプユニットを制御するように構成されてもよい。例えば、レベルが最小閾値レベルを下回った場合、または水溶液をインジェクタで注入する必要がある場合に、コントローラがポンプをオンにすることがある。
【0014】
例示的な実施形態では、車両システムは、ジェットポンプの出口を出る水溶液の品質を感知するためにジェットポンプの下流に配置された品質センサをさらに備える。例示的な実施形態では、モジュールは、以下の構成要素のうちの任意の1つ以上をさらに含む:レベルセンサ、フィルター、バイオ除染装置。レベルセンサは、モジュールの下部に配置することができ、どんな既知のタイプのものでもよい。フィルターは、通常の供給モードでは、供給ポンプユニットの上流に配置され、第1区画からの水溶液が供給ポンプユニットに入る前に最初にフィルターを通過するようにしてもよい。バイオ除染装置は、例えば、供給ポンプユニットおよびジェットポンプを含む前述の流路において、ジェットポンプの下流または上流のいずれかに配置することができる。水溶液は、好ましくは少なくとも90%の水、より好ましくは少なくとも95%の水、最も好ましくは少なくとも98%の水を含有する溶液である。水溶液は、例えば純水である。他の実施形態では、氷点を下げるために、ある量のメタノールが水溶液に添加されてもよい。供給ポンプユニットは、モーター付きギアポンプでもよい。ジェットポンプは、モーターを備えず、ジェットポンプの圧力入口と出口の間にベンチュリ装置を備えるポンプである。
【0015】
例示的な実施形態では、ヒーターは、電気ヒーターを備える。電気ヒーターを使用すると、すぐにヒーター出力を使用することができ、低温時の起動時間を短縮できるという利点がある。選択的に、ヒーターは、エンジン冷却液を循環させるためのチューブをさらに含んでもよい。チューブのヒーター出力は、エンジンの加熱速度に依存し、電気ヒーターがないと起動時間はより長くなる。電気ヒーターは、モジュールの上または中に、例えば実質的にジェットポンプおよび供給ポンプユニットの周りに、第1区画の壁に隣接してまたはその中に配置することができる。好ましくは、電気ヒーターは、可撓性電気ヒーターである。これにより、電気ヒーターをタンクのかなり小さい開口部に通すことができる一方で、開口部の表面よりも大きい表面を占有することができる。可撓性ヒーターは、例えば供給ポンプユニットの下に延在する、及び/又は供給ポンプユニットに隣接する、及び/又は第1区画の側壁を通って延在する、及び/又は第1区画の側壁若しくは底壁に内の、及び/又は第1区画の側壁または底壁に固定された部分を備えることができる。
【0016】
車両システムは、例えばエンジン温度の関数として、またはエンジンが作動していた時間の関数として、電気ヒーターを制御するためのコントローラをさらに含むことができる。このようにして、加熱は適切に制御され最適化される。例示的な実施形態によれば、車両システムは、吸引ラインの少なくとも一部を加熱するように構成された吸引ライン加熱システムをさらに備える。このようにして、吸引ラインが非常に長い場合でも、凍結した水溶液を加熱して第2区画から吸い出すことができることを保証することができる。
【0017】
吸引ライン加熱システムは、吸引ラインの一部、好ましくは第1区画の内部空間と第2区画の底壁との間の吸引ラインの少なくとも一部の周りに配置された第2ヒーターを備えることができる。第1および/または第2ヒーターは、電気ヒーター、好ましくは可撓性電気ヒーターとすることができる。第1ヒーターを第2ヒーターに接続することができる。
【0018】
代替的に又は付加的に、吸引ライン加熱システムは、エンジン冷却剤を循環させるためのチューブを備えることができ、好ましくは、チューブは、吸引ラインの区間から5cmより短い距離に配置される。
【0019】
好ましくは、吸引ラインは、200mmより長い、より好ましくは300mmより長い、さらにより好ましくは400mmより長い長さを有する。このようにして、吸引ラインは第2区画のさまざまな場所に達することができる。
【0020】
好ましくは、吸引ラインの区間と第2区画の底壁との間の距離は5cmより短く、好ましくは3cmより短く、好ましくは、吸引ラインの前記区間の長さは、200mmより長い。このようにして、第二区画の下部の水溶液を第二区画から吸い出すことができる。
【0021】
例示的な実施形態によれば、第1区画は、直径100mm~200mm、最大高さ50mm~100mmの略円筒形の形状を有し、および/または第2区画の容積は、5リットル~15リットルの間、好ましくは8リットル~13リットルの間である。これらの寸法は、車両が丘を走っている場合でも、第1区画に十分な量の水溶液を許容するだろう。
【0022】
本発明は、ガソリン車に特に有利であるが、ディーゼル車にも有用であり得る。
【0023】
本発明の第2の態様によれば、水溶液を貯蔵する車両システムが提供される。車両システムは、水溶液を貯蔵するための第1タンクと、水溶液を貯蔵するための第2タンクと、供給ポンプユニットと、吸込口、圧力入口および出口を有するジェットポンプとを備える。供給ポンプユニットは、水溶液を第1タンクからジェットポンプの圧力入口へ、そして水溶液を第1タンクから送り出すための供給出口へポンプ送りするために接続されている。吸込口は、第2タンクから水溶液を受け取るために配置されている。ジェットポンプの出口は、水溶液を吸込口と圧力入口から第1タンクに戻すために配置されている。このようにして、1つの供給ポンプのみを必要としながら、車両内の異なる位置に2つのタンクを有することを可能にするシステムが提供される。実際に、供給ポンプユニットは、水溶液をジェットポンプを介して第1タンクから供給ラインへ、そして第2タンクから第1タンクへ同時にポンプ送りするために使用することができる。
【0024】
第2の実施形態の好ましい実施形態では、第1タンクと第2タンクとの間にオーバーフローラインが設けられ、第1タンク内の水溶液のレベルがあるレベルを超えると、水溶液がオーバーフローラインを通り第1タンクから第2タンクに流れることができる。
【0025】
第2の態様の有利な実施形態は次のいずれかの条項に定義されている。
1.水溶液を貯蔵する車両システムであって、前記車両システムは、
水溶液(L)を貯蔵するための第1タンク(100)と、
水溶液(L)を貯蔵するための第2タンク(200)と、
供給ポンプユニット(110)と、
吸込口(310)、圧力入口(320)および出口(330)を有するジェットポンプ(300)と、
を備え、
前記供給ポンプユニットは、水溶液を第1タンクからジェットポンプの圧力入口に送り、水溶液を第1タンクから送り出すための供給出口に送るように接続され、
前記吸込口は、第2タンクから水溶液を受け取るように配置され、前記出口は、水溶液を吸込口および圧力入口から第1タンクに戻すように構成されている、車両システム。
2.ジェットポンプ(300)が第1タンク内に配置されている、条項1に記載の車両システム。
3.ジェットポンプ(300)が第2タンク内に配置されている、条項1に記載の車両システム。
4.供給ポンプユニットが第1タンク内に配置されている、条項1~3のいずれか一項に記載の車両システム。
5.ジェットポンプおよび供給ポンプユニットが、第1タンクの壁の開口部に配置されたモジュール(400)内に配置されている、条項1または2に記載の車両システム。
6.ジェットポンプが、第2タンクの壁の開口部に配置されたモジュール(500)内に配置されている、条項1または3に記載の車両システム。
7.オーバーフローライン(210)が第1タンクと第2タンクとの間に延びる、条項1~6のいずれか一項に記載の車両システム。
8.ジェットポンプが第1タンク内で上方に延びるラインに配置され、吸引ライン(290)が第2タンクとジェットポンプの吸込口との間に配置される、条項1~7のいずれか一項に記載の車両システム。
9.内燃機関の燃焼室(700)の上流の吸気ライン(710)と、
吸気ラインまたは燃焼室に水溶液を注入するように構成されたインジェクタ(600)と、
供給出口とインジェクタとの間に接続され、第1タンク(100)から出る水溶液をインジェクタに供給する供給ライン(180)と、
をさらに備える、条項1~8のいずれか一項に記載の車両システム。
10.供給ラインとタンクの内部とを接続する戻りライン(190)をさらに備える、条項9に記載の車両システム。
11.ジェットポンプが戻りラインに配置され、吸引ライン(290)が第2タンクとジェットポンプの吸込口との間に配置される、条項10に記載の車両システム。
12.第1タンク内のレベルが所定の閾値を下回った場合に、第2タンクから第1タンクへ水溶液をポンプ送りするように主ポンプを制御するように構成されたコントローラ(500)をさらに備える、条項1~11のいずれか一項に記載の車両システム。
13.ジェットポンプの出口を出る水溶液の品質を感知するためにジェットポンプの下流に配置された品質センサをさらに含む、条項1~12のいずれか一項に記載の車両システム。
14.第1タンクが第2タンクよりも高いレベルに配置されている、条項1~13のいずれか一項に記載の車両システム。
15.第1タンクに水溶液を充填するためのフィラーパイプ(190)が第1タンクに設けられている、条項1~14のいずれか一項に記載の車両システム。
16.フィラーライン(220)がフィラーパイプと第2タンクとの間に延びる、条項14に記載の車両システム。
17.第1タンクは、底壁(101)と、上壁(102)と、前記底壁(101)と前記上壁(102)とを接続する側壁(103)とを有し、開口部が底壁(101)に配置され、第1タンク(100)の取付位置では、底壁は、タンクの最も低い面に対応し、供給ポンプユニットを担持するモジュール(400)は、第1タンクの底壁の開口部に取り付けられている、条項16に記載の車両システム。
18.モジュール(400)が、ヒーター、レベルセンサ、品質センサ、フィルター、バイオ除染装置、ジェットポンプのうちの任意の1つまたは複数の構成要素をさらに含む、条項17に記載の車両システム。
19.水溶液が少なくとも90%の水を含む、条項1~18のいずれか一項に記載の車両システム。
20.供給ポンプユニットがギアポンプである、条項1~19のいずれか一項に記載の車両システム。
【0026】
添付の図面は、本発明の装置の好ましい非限定的な例示的実施形態を説明するために使用されている。本発明の上記および他の有利な特徴および目的は、添付の図面と併せて読む場合、以下の詳細な説明からより明らかになり、本発明はよりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】第1区画が第2区画の内側に配置された車両システムの例示的実施形態の断面図を概略的に示す。
【
図2】車両システムで使用するためのモジュールの例示的実施形態の断面図である。
【
図3】第1区画としての第1タンクと第2区画としての第2タンクとを有する車両システムの例示的な実施形態の断面図を概略的に示す。
【
図4】第1区画としての第1タンクと第2区画としての第2タンクとを有する車両システムの別の例示的な実施形態の断面図を概略的に示す。
【
図5】車両システムで使用するための第1タンクの例示的実施形態の断面を概略的に示す。
【
図6】車両システムのさらなる例示的実施形態を概略的に示す。
【
図7】車両システムのさらなる例示的実施形態を概略的に示す。
【
図8】車両システムの例示的な実施形態の斜視図を示す。
【
図9】車両システムの例示的な実施形態のジェットポンプを通る断面を有する部分斜視図を示す。
【
図10】車両システムの例示的な実施形態の詳細上面図を示す。
【
図11】例示的実施形態で使用するためのモジュールの底部を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、水溶液Lを貯蔵する車両システムを示す。車両システムは、水溶液Lを貯蔵するための第1区画100と、水溶液Lを貯蔵するための第2区画200と、モジュール400とを備える。この実施形態では、第2区画200はタンクであり、第1区画100はモジュール400に一体化されたボウルであり、ボウルは第2区画200内に配置される。モジュール400は、タンク200の壁の開口部に配置されている。タンク200には、タンク200、したがって区画100に水溶液Lを充填するためのフィラーパイプ240が設けられている。タンク200は、底壁201、上壁202、および底壁201と上壁202を接続する側壁203を有する。底壁201には開口部が設けられている。タンク200の取付位置では、底壁201は、タンク200の最も低い面に対応する。モジュール400は、例えば溶接またはリングナットシステムを使用してタンク200上のねじにねじ込むか、またはバヨネットタイプの閉鎖システムを使用する他の適切な接続手段によって、タンク200の底壁201の開口部に取り付けられる。図示されていない別の実施形態では、開口部は、タンク200の下半分の側壁203に配置される。
【0029】
モジュール400は、供給ポンプユニット110、ジェットポンプ300、およびヒーター120を備える。供給ポンプユニット110は、水溶液Lを第1区画100から供給出口181にポンプ送りするために接続されている。供給出口181は、例えば内燃機関の燃焼室700の上流の吸気ライン710内にあるインジェクタ600によって水溶液Lを注入するための供給ライン180に接続されるように意図されている。あるいは、水溶液を内燃機関の燃焼室700に直接注入することができる。より一般的には、記載された用途では、水溶液は、燃焼室700内に注入された空気が冷却されるような注入である限り、どこにでも注入することができる。供給ライン180は、第1区画100から水溶液をインジェクタ600に供給するために、供給出口181とインジェクタ600との間に延在する。
【0030】
ジェットポンプ300は、吸込口310、圧力入口320、および出口330を有する。供給ポンプユニット110はさらに、流路Pに沿って水溶液をポンプ送りするために接続されている。流路Pは、供給ポンプユニット110の入口111から供給ポンプユニット110の出口112まで、出口112とジェットポンプ300の圧力入口320との間のライン190を通り、ジェットポンプ300の出口330まで延在する。吸込口310は、第2区画200から水溶液を受け取るように構成された吸引ライン290に接続されている。ジェットポンプ300の出口330は、水溶液を吸込口310および圧力入口320から第1区画100に戻すように配置されている。車両システムはさらに、供給ポンプユニット110を制御するように構成されたコントローラ500を含む。コントローラ500は、第1区画100内の水溶液のレベルが所定のレベルを下回る場合に、水溶液を第2区画200から第1区画100にポンプ送りするように構成されてもよい。コントローラ500は、モジュール400に取り付けられて示されているが、当業者はモジュール400から離れて配置されてもよいことを理解するだろう。ヒーター120は、少なくとも前記流路Pを加熱するように構成され配置されている。ヒーター120は、供給ポンプユニット110とジェットポンプ300との間、および/または供給ポンプユニット110とジェットポンプ300との周りに配置されてもよい。好ましくは、ヒーター120は、部分的にまたは完全に第1区画100の内側、または第1区画100を画定する壁のいずれかに配置される。典型的にはチェックバルブである逆止弁160は、供給ポンプユニット110の下流の流路P、好ましくは供給ポンプユニット110の出口112とジェットポンプ300の圧力入口320との間のラインセクションに含まれてもよい。供給ポンプユニット110の出口112は、供給ポンプユニット110の底部に配置されるのが好ましい。さらに、水溶液が上方に再循環され、ポンプ出口112よりも高い位置、好ましくはポンプ入口111よりも高い位置で第1区画100に戻されるように、好ましくはジェットポンプ300は、モジュール400の上方に延びるラインセクションに配置される。ここで、モジュール400のより詳細な例示的実施形態が
図2を参照して説明される。モジュール400は、タンクの底壁の開口部に取り付けるのに適している。モジュール400は、ボウルの形状、例えば部分的に円筒形のボウルの、水溶液Lを収容するための一体型の第1区画100を有する。ボウル100の側壁には、ボウルの底部から距離を置いて1つ以上の凹部が設けられてもよいが、凹部は、タンクが空にならないようボウル100内に常に最小量の水溶液が存在するように、低すぎてはならない。モジュール400は、モーター117(例えばBLDCモーター)およびギアポンプ115を有する供給ポンプユニット110と、ジェットポンプ300と、ヒーター121,122,123とを備える。ジェットポンプ300は、吸込口310、圧力入口320および出口330を有する。供給ポンプユニット110はさらに、流路に沿って水溶液をポンプ送りするために接続されている。流路は、供給ポンプユニット110の入口111から供給ポンプユニット110の出口112へ、出口112とジェットポンプ300の圧力入口320との間のライン190を通ってジェットポンプ300の出口330まで延在する。吸込口310は、第2区画200から水溶液を受け取るように構成された吸引ライン290に接続されている。ジェットポンプ300の出口330は、水溶液を吸込口310および圧力入口320から第1区画100に戻すように配置されている。
【0031】
供給ポンプユニット110は、供給ポンプユニット110の底部側に入口111を有し、同様に供給ポンプユニット110の底部側に、ギアポンプ115の下方に出口112を有する。出口112は、供給出口181と、逆止弁160に向かって部分的にポンプユニット110の下方で横方向に延びる戻りラインセクション190とに接続されている。逆止弁160およびジェットポンプ300は、モジュール400の上方に延びるラインセクションに配置されており、水溶液は、上方に再循環され、ポンプ出口112よりも高い位置、好ましくはポンプ入口111よりも高い位置で第1区画100に戻される。ラインセクション190は、モジュール400に組み込まれており、部分的に供給ポンプユニット110の下に位置している。ジェットポンプ300は、供給ポンプユニット110に隣接して配置され、水溶液を第1区画100に戻す。ヒーターは、第1区画100の内壁に隣接して設けられる加熱部分121を含む。ヒーターは、電気ヒーターが好ましい。図示の実施形態では、ヒーターは、任意選択で第1区画100の様々な領域内および/または周りに延びる可撓性触手123を有する可撓性ヒーター部分121を備える。ボウル100は、そこを通って触手123が延びる凹部を備えていてもよい。しかし、第1区画の内側および/または外側、あるいは第1区画100の壁要素に取り付けられるなど、モジュール400に取り付けられたまたはモジュール400に一体化された、例えばPTC加熱要素などの非可撓性電気加熱要素(図示せず)を設けることも可能である。供給ポンプユニット110の下の第1区画の底部、任意選択でフィルター150の下にも、さらなるヒーター部分122を設けることができる。
【0032】
フィルター150は、通常の供給モードで、すなわち水溶液が供給ポンプユニット110によって供給出口181からポンプ送りされる場合に、供給ポンプユニット110の上流のモジュール400に組み込まれる。図示の実施形態では、モジュール400は、モーター117用の上部密閉区画410と、ギアポンプ115およびフィルター150用の下部区画420とを含む。水溶液は、底部で下部区画420に入り(入口421参照)、フィルター150を通過し、出口112で下部区画を出る。
【0033】
第1区画100は、供給ポンプユニット110およびジェットポンプ300を受容するための内部容積が形成されるような形状を有する外壁と、レベルセンサを受容するための小さな外部容積とを有してもよい。第1区画100の外壁は、第1区画の外側に配置されたレベルセンサを部分的に囲むように形作られてもよい。このようにして、レベルセンサの損傷を避けることができる。
【0034】
図示されていないが、モジュール400は、例えば、水溶液の品質を感知するために、ライン190に、またはジェットポンプ300を含む上方に延びるラインに配置される品質センサをさらに含むことができる。好ましくは、品質センサは、ジェットポンプ300の下流に配置されて、出口330を出る水溶液の品質、すなわち第2区画200と第1区画100からの水溶液の混合物の品質を感知する。また、モジュール400は、レベルセンサおよび/またはバイオ除染装置、紫外線バイオ除染装置を備えることが好ましい。好ましくは、バイオ除染装置は、ジェットポンプ300の下流に配置されて、出口330を出る水溶液、すなわち第2区画200および第1区画100からの水溶液の混合物をバイオ除染する。
【0035】
図3は、水溶液Lを貯蔵する他の車両システムを示す。車両システムは、水溶液Lを貯蔵するための第1タンク100、水溶液Lを貯蔵するための第2タンク200、およびモジュール400を備える。モジュール400は、第1タンク100の壁の開口部に配置されている。第1タンク100には、第1タンク100を、またオーバーフローライン210を介して第2タンク200を水溶液Lで充填するためのフィラーパイプ140が設けられている。第1タンク100は、底壁101と、上壁102と、底壁101と上壁102とを連結する側壁103とを有する。底壁101には開口部が設けられている。第1タンク100の取付位置において、底壁101は、第1タンク100の最下面に対応する。モジュール400は、例えば溶接または他の適切な接続手段によって、第1タンク100の底壁101の開口部に取り付けられている。別の図示されていない実施形態では、開口部は、タンク100の下半分の側壁103に配置されてもよい。
【0036】
モジュール400は、供給ポンプユニット110と、ジェットポンプ300と、必要に応じてヒーター120(
図3には図示せず)とを含む。供給ポンプユニット110は、
図1の実施形態のように、供給ライン180に接続されるように意図された供給出口181に第1区画100から水溶液Lをポンプ送りするために接続される。ジェットポンプ300は、吸込口310、圧力入口320および出口330を有する。供給ポンプユニット110はさらに、流路に沿って水溶液をポンプ送りするために接続されている。流路は、供給ポンプユニット110の入口111から供給ポンプユニット110の出口112へ、出口112とジェットポンプ300の圧力入口320との間のライン190を通って、ジェットポンプ300の出口330まで延びる。吸込口310は、第2タンク200から水溶液を受け取るように構成された吸引ライン290に接続されている。ジェットポンプ300の出口330は、水溶液を吸込口310からおよび圧力入口320から第1タンク100に戻すように配置されている。車両システムは、供給ポンプユニット110を制御するように構成されたコントローラ(図示せず)をさらに含むことができる。コントローラは、第1タンク100内の水溶液のレベルが所定のレベルを下回った場合に、第2タンク200から第1タンク100へ水溶液を送り出すように構成されてもよい。
【0037】
任意のヒーター(図示せず)は、少なくとも前記流路を加熱するように構成および配置されてもよい。ヒーターは、
図1および
図2に関連して上述したように配置および構成することができる。さらに、逆止弁(図示せず)を
図1および
図2に関して上述したのと同様の方法で流路に含めることができる。
【0038】
第1タンク100は、第2タンク200よりも高いレベルで車両内に配置されてもよい。代替実施形態では、第1タンク100と第2タンク200とがほぼ同じ高さに配置され、第1タンク100のフィラーパイプ140と第2タンク200との間にフィラーライン220が設けられてもよい。
【0039】
図4は、ジェットポンプ300がモジュール400内に配置されておらず、第2タンク200の底壁201の開口部に取り付けられている別個のモジュール500内に配置されているという違いを除いて
図3の実施形態と同様の実施形態を示す。ラインセクション190および190’は、供給ポンプユニット110の出口112と圧力入口320との間に延びる。ラインセクション190は、モジュール400に一体化されており、ラインセクション190’は、第1タンク100の外側に配置されている。さらなるラインセクション190”がジェットポンプ300の出口330を第1タンク100に接続して、水溶液をジェットポンプ300から第1タンク100に戻す。ラインセクション190には逆止弁160が配置されている。
図1~
図3の実施形態のように、モジュール400は、ヒーター、レベルセンサ、品質センサ、バイオ除染装置、フィルターなどの追加の構成要素を含むことができる。
【0040】
図5は、
図3の車両システムで使用するためのモジュール400の例示的実施形態をより詳細に示す。図示のように、ヒーター120を供給ポンプユニット110の周りに、およびジェットポンプ300に隣接して配置することができる。この実施形態では、吸引ライン290は、モジュール400の底部を通って第1タンク100から出る。任意選択で、チェックバルブをラインセクション190に含めることができる。
【0041】
図6は、本発明の第2の態様による他の例示的実施形態を示す。車両システムは、水溶液Lを貯蔵するための第1タンク100、水溶液Lを貯蔵するための第2タンク200、およびモジュール400を備える。モジュール400は、第1タンク100の壁の開口部に配置されている。第1タンク100には、第1タンク100を、またオーバーフローライン210を介して第2タンク200を水溶液Lで充填するためのフィラーパイプ140が設けられている。車両システムは、供給ポンプユニット110、ジェットポンプ300、および任意選択でヒーター(
図6には図示せず)を備える。供給ポンプユニット110は、
図1の実施形態と同様に、水溶液Lを第1区画100から供給出口181にポンプ送りするために接続されている。ジェットポンプ300は、吸込口310、圧力入口320、および出口330を有する。供給ポンプユニット110はさらに、流路に沿って水溶液をポンプ送りするために接続されている。流路は、第1タンク100から、供給ポンプユニット110の入口111、供給ポンプユニット110の出口112、出口112とジェットポンプ300の圧力入口320との間のライン190を通ってジェットポンプ300の出口330まで延在する。吸込口310は、第2タンク200から水溶液を受け取るように構成された吸引ライン290に接続されている。ジェットポンプ300の出口330は、水溶液を吸込口310および圧力入口320から第1タンク100に戻すように配置されている。車両システムはさらに、供給ポンプユニット110を制御するように構成されたコントローラ(図示せず)を含むことができる。コントローラは、第1タンク100内の水溶液のレベルが所定のレベルを下回った場合に、第2タンク200から第1タンク100へ水溶液をポンプ送りするように構成されてもよい。少なくとも前記流路を加熱するために任意のヒーター(図示せず)を構成し配置することができる。ヒーターは、例えば第1タンク100内では、入口111の近くに、および/または流路のラインの周りに、および/または供給ポンプユニットの周りに、および/またはジェットポンプ300の周りに配置することができる。さらに、
図1~
図5に関して上述したのと同様の方法で、逆止弁(図示せず)を流路に含めることができる。第1タンク100は、第2タンク200よりも高いレベルで車両内に配置されてもよい。代替実施形態では、第1タンク100と第2タンク200とがほぼ同じ高さに配置され、第1タンク100のフィラーパイプ140と第2タンク200との間にフィラーライン220が設けられてもよい。
【0042】
図7は、水溶液Lを貯蔵する他の車両システムを示す。車両システムは、水溶液Lを貯蔵するための第1タンク100、水溶液Lを貯蔵するための第2タンク200、およびモジュール400を備える。モジュール400は、第1タンク100内に配置されている。第2タンク200には、第2タンク200を、およびオーバーフローライン210’を介して第1タンク100を水溶液Lで充填するためのフィラーパイプ240が設けられている。モジュール400は、供給ポンプユニット110と、ジェットポンプ300と、任選択でヒーター(
図7には図示せず)とを備える。供給ポンプユニット110は、
図1の実施形態のように供給ライン180に接続されるように意図された供給出口181に第1タンク100から水溶液Lをポンプ送りするために接続される。ジェットポンプ300は、吸込口310、圧力入口320および出口330を有する。供給ポンプユニット110はさらに、流路に沿って水溶液をポンプ送りするために接続されている。流路は、供給ポンプユニット110の入口111から供給ポンプユニット110の出口112へ、出口112とジェットポンプ300の圧力入口320との間のライン190を通ってジェットポンプ300の出口330まで延びる。吸込口310は、第2タンク200から水溶液を受け取るように構成された吸引ライン290に接続されている。ジェットポンプ300の出口330は、水溶液を吸込口310からおよび圧力入口320から第1タンク100に戻すように配置されている。車両システムは、供給ポンプユニット110を制御するように構成されたコントローラ(図示せず)をさらに含むことができる。コントローラは、第1タンク100内の水溶液のレベルが所定のレベルを下回った場合に、第2タンク200から第1タンク100へ水溶液をポンプ送りするように構成されてもよい。少なくとも前記流路を加熱するために任意のヒーター(図示せず)を構成し配置することができる。ヒーターは、
図1および
図2に関連して上述したように配置および構成することができる。さらに、逆止弁(図示せず)を
図1および
図2に関して上述したのと同様の方法で流路に含めることができる。第1タンク100は、第2タンク200よりもわずかに低いレベルで車両内に配置することができる。代替実施形態では、第1タンク100と第2タンク200をほぼ同じ高さに配置し、第2タンク200のフィラーパイプ240と第1タンク100との間にフィラーライン220’を設けることができる。
【0043】
水溶液は、好ましくは少なくとも90%の水、より好ましくは少なくとも95%の水、最も好ましくは少なくとも98%の水を含有する溶液である。水溶液は、例えば純水である。他の実施形態では、氷点を下げるために、ある量のメタノールが水溶液に添加されてもよい。
【0044】
本発明の例示的実施形態では、好ましくは、供給ポンプユニット110は、供給ライン180を通って60~100kg/hの流れを生成することができるように構成されている。さらに、コントローラは、エンジンの負荷に応じてポンプユニット110を制御するように構成されていることが好ましい。負荷が所定の閾値に達すると、供給ポンプユニット110を所定の範囲内の流速でポンプ送りさせる。ギアポンプが例示的な実施形態での使用に有利であるが、ジェローターポンプ、タービンポンプ、メンブレンポンプ、ピストンポンプなどの他のポンプも使用することができる。
【0045】
本発明の例示的な実施形態では、ヒーターは、統合された電気トラックを有する可撓性シートを含む可撓性電気ヒーターなどの電気ヒーターとすることができる。可撓性シートは、2つの可撓性フィルムを含み、少なくとも1つの電気トラックが2つの可撓性フィルムの間に配置される。シートは、中央部分を有するシートとすることができ、少なくとも1つのフラップおよび/または複数の可撓性触手がタンク内またはモジュール上/モジュール内の中央部分から延びることができる。電気ヒーターを使用すると、すぐにヒーター出力を供給できるため、低温での起動時間が短縮される。電気ヒーターによる溶融水溶液の供給量は、150~350g/hである。電気ヒーターは、エンジン温度が低すぎる場合はより多く加熱し、エンジン温度が上昇している場合はより少なく加熱するために、エンジン温度に応じてコントローラによって制御することができる。本発明の例示的実施形態では、タンク100、200は、底部シェルと上部シェルとを含むことができる。タンク100、200は、プラスチック材料、好ましくはポリオレフィン材料、例えばPEまたはPPを含む材料から作られる。
【0046】
図8~
図10は、水溶液を貯蔵するための車両システムを示す。車両システムは、水溶液を貯蔵するための第1区画100、水溶液を貯蔵するための第2区画(第2区画の底部シェル200aのみが示されている)、およびモジュール400を備える。この実施形態では、第2区画はタンクであり、第1区画100は、モジュール400に一体化されたボウルであり、ボウルは、第2区画の底部シェル200a内に配置されている。モジュール400は、底部シェル200aの壁の開口部に配置されている。上部シェル(図示せず)には、タンク、したがって区画100に水溶液を充填するためのフィラーパイプを設けることができる。
図11に概略的に示されているように、第1区画100の開口部に、好ましくは第1区画100の底壁101の開口部に、アンブレラバルブまたはディスクバルブなどの充填バルブ105を設けることができる。充填バルブ105は、タンクの第1の充填中に水溶液Lが第1区画100に入ることを可能にする一方、水溶液が第1区画100を出ることを可能にしないように構成される。
【0047】
底部シェル200aは、底壁201および上部シェル(図示せず)に接続するための側壁203aを有する。開口部が底壁201に設けられている。タンクの取付位置では、底壁201は、タンクの最も低い面に対応する。モジュール400は、溶接、またはタンク上のねじにねじ込まれるリングナットシステムを使用するか、またはバヨネットタイプの閉鎖システムを使用する他の適切な接続手段によって、タンクの底壁201の開口部に取り付けられる。モジュール400は、供給ポンプユニット110、ジェットポンプ300(
図9および
図10参照)、およびヒーター120を含む。供給ポンプユニット110は、水溶液Lを第1区画100から供給出口(図示しないが、
図2の実施形態と同様であり得る)にポンプ送りするために接続される。供給口は、インジェクタで水溶液を注入するための供給ラインに接続することを意図されており、内燃機関の燃焼室の上流の吸気ライン内にある。あるいは、水溶液を内燃機関の燃焼室に直接注入することもできる。
【0048】
ジェットポンプ300は、吸込口310、圧力入口320、および出口330を有する。供給ポンプユニット110はさらに、供給ポンプユニット110の入口から供給ポンプユニット110の出口まで延びる流路に沿って、ジェットポンプ300を通ってジェットポンプ300の出口330まで水溶液をポンプ送りするために接続されている。吸込口310は、第2区画から水溶液を受け取るように配置された吸引ライン290に接続されている。ジェットポンプ300の出口330は、水溶液を吸込口310からおよび圧力入口320から第1区画100に戻すように配置されている。車両システムは、供給ポンプユニット110を制御するように構成されたコントローラ(図示せず)をさらに備える。コントローラは、第1区画100内の水溶液のレベルが所定のレベルを下回った場合に、水溶液を第2区画から第1区画100にポンプ送りするように構成されてもよい。コントローラは、モジュール400に取り付けられてもよいが、当業者はモジュール400から離して配置することができることを理解するだろう。
【0049】
供給ポンプユニット110のポンプ出口(図示せず)は、供給ポンプユニット110の底部に配置されるのが好ましい。さらに好ましくは、ジェットポンプ300は、モジュール400内を上方に延び、水溶液は上方に再循環され、ポンプ出口よりも高い位置、好ましくはポンプ入口よりも高い位置で第1区画100内に戻される。
【0050】
好ましくは、第1区画100は、ボウル形状、略円筒形のボウル形状を有する。ボウルの直径は、100mm~200mm、例えば120~180mmとすることができる。ボウルの最大高さは、50~100mm、例えば60mm~90mmのとすることができる。底部シェル200aと上部シェルとによって形成されるタンクの容積は、5~15リットル、例えば8~13リットルとすることができる。
【0051】
供給ポンプユニット110は、モーター117(例えばBLDCモーター)およびギアポンプ115を含むことができる。
【0052】
ヒーター120は、第1区画100の内壁に隣接して設けられる加熱部分を含む。ヒーターは、電気ヒーターが好ましい。図示の実施形態では、ヒーター120は、第1区画の内壁に対して、好ましくは略円筒形の内壁全体に沿って配置された可撓性ヒーター部分を含み、任意選択で第1区画100のさまざまな領域内および/または周りに延在する可撓性触手(図示せず)を有する。ボウル100は、そこを通って触手123が延びる凹部を備えていてもよい。しかし、第1区画の内側および/または外側に、あるいは第1区画100の壁要素に取り付けられて、モジュール400に取り付けられるか、またはモジュール400に一体化された、PTC加熱要素などの非可撓性電気加熱要素(図示せず)を設けることも可能である。さらなるヒーター部分(図示せず)を、供給ポンプユニット110の下の第1区画の底部に設けることができる。
【0053】
図2に示すように、供給ポンプユニット110の上流で、フィルターをモジュール400に一体化することができる。
【0054】
図8~
図10の車両システムは、吸引ライン290の少なくとも一部を加熱するように構成された吸引ライン加熱システム800をさらに備える。吸引ライン加熱システム800は、吸引ライン290の一部、好ましくは第1区画100の内部空間の近くおよび/または内部空間内の少なくとも1つの吸引ライン290の一部の周りに配置された第2のヒーター800aを備える。図示の実施形態では、第2のヒーター800aは、第1区画の上側から第2区画の底壁201まで下方に延びる吸引ラインの一部分の周りに延びる。第1のヒーター120および/または第2のヒーター800aは、可撓性電気ヒーターとすることができ、第1のヒーター120は、第2のヒーター800aに接続され得る。吸引ライン加熱システム800は、エンジン冷却剤を循環させるためのチューブ800bをさらに含み、好ましくは、チューブ800bは、吸引ライン290の一部分から5cm未満の距離で、より好ましくは吸引ライン290の一部分に直接隣接して配置される。例えば、チューブ800bは、吸引ライン290の一部分に沿って200mmより長い距離にわたって延びてもよい。
【0055】
吸引ライン加熱システム800はまた、単に電気的であってもよく、または単にエンジン冷却剤による加熱に基づいてもよいことに留意されたい。
【0056】
好ましくは、吸引ライン290は、200mmより長い、より好ましくは300mmより長い、さらにより好ましくは400mmより長い長さを有する。好ましくは、吸引ライン290の部分と第2区画の底壁201との間の距離は5cmより小さく、より好ましくは3cmより小さく、好ましくは、吸引ライン290の前記部分の長さは200mmより長い。本発明の原理は特定の実施形態に関連して上述されたが、この説明は単に例としてなされたものであり、添付の特許請求の範囲によって決定される保護の範囲を限定するものではない。
【符号の説明】
【0057】
100 第1区画
101 底壁
102 上壁
103 側壁
105 充填バルブ
110 供給ポンプユニット
111 ポンプ入口
112 ポンプ出口
115 ギアポンプ
117 モーター
120 第1のヒーター
121,122,123 ヒーター
140 フィラーパイプ
150 フィルター
160 逆止弁
180 供給ライン
181 供給出口
200 第2区画
201 底壁
202 上壁
203 側壁
210 オーバーフローライン
220 フィラーライン
240 フィラーパイプ
290 吸引ライン
300 ジェットポンプ
310 吸込口
320 圧力入口
330 出口
400 モジュール
500 コントローラ
600 インジェクタ
700 燃焼室
710 吸気ライン
800 吸引ライン加熱システム