(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-27
(45)【発行日】2022-07-05
(54)【発明の名称】ポリベンゾオキサジンの合成における使用のための硫化ベンゾオキサジン
(51)【国際特許分類】
C07D 265/16 20060101AFI20220628BHJP
C08G 14/073 20060101ALI20220628BHJP
C09J 179/04 20060101ALN20220628BHJP
【FI】
C07D265/16 CSP
C08G14/073
C09J179/04 Z
(21)【出願番号】P 2019569378
(86)(22)【出願日】2018-06-12
(86)【国際出願番号】 FR2018051367
(87)【国際公開番号】W WO2018229415
(87)【国際公開日】2018-12-20
【審査請求日】2021-06-09
(32)【優先日】2017-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】514326694
【氏名又は名称】コンパニー ゼネラール デ エタブリッスマン ミシュラン
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100168631
【氏名又は名称】佐々木 康匡
(72)【発明者】
【氏名】フェデュルコ ミラン
(72)【発明者】
【氏名】リベッツォ マルコ
【審査官】高橋 直子
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第105315221(CN,A)
【文献】特開平5-043864(JP,A)
【文献】特表2015-533843(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0207847(US,A1)
【文献】Progress in Organic Coatings ,2016年,97,99-109
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 265/16
C08G 14/073
C09J 179/04
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(A)に対応する硫化ベンゾオキサジン化合物。
[式中、
-2つのオキサジン環の各ベンゼン核は、「G」として表される少なくとも1つのラジカルを保持し、
-2つのオキサジン環は、中央の芳香族基を介して一緒に接続されており、
前記中央の芳香族基のベンゼン環は、1、2、3または4つの式-S
x-Rの基(式中、「x」は1~8の整数であり、Rは、水素
を表すか、または1~10個の炭素原子を含み
且つO、S、NおよびPから選択されるヘテロ原子を含んでもよい炭化水素ベースの基を表す)を保持し
ており、
且つ前記中央の芳香族基のベンゼン環は、-S
x
-R以外の置換基を更に保持していてもよく、
-少なくとも2つのラジカルGは、同じでも異なっていてもよく、以下からなる群から選択される:
- ハロゲン;
- -OR
1、-SR
1、-NR
2R
3基;ここで、R
1、R
2およびR
3は、同じでも異なっていてもよく、1~4個の炭素原子を含有するアルキルを表す;
- 1~8個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素ベースの基、または3~8個の炭素原子を含む環状脂肪族の炭化水素ベースの基、または6~12個の炭素原子を含む芳香族炭化水素ベースの基;ここで、これらの炭化水素ベースの基はまた、O、S、NおよびPから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含んでもよい]。
【請求項2】
オキサジン環の2個の窒素原子が、互いに対して、これらを分離するベンゼン環上でメタ位にある、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
中央のベンゼン環が、式-S
x-Rの2つの基を保持する、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
式-S
x-Rの2つの基が、互いに対して、中央のベンゼン環上のメタ位にある、請求項3に記載の化合物。
【請求項5】
2つのオキサジン環の各ベンゼン核がラジカルGを1つのみ保持する、請求項1から
4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
以下の式(A-7)または(A-7ビス)の1つに対応する、請求項
1から5のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項7】
請求項1から
6のいずれか1項に記載の少なくとも1つの化合物から誘導されるポリベンゾオキサジン。
【請求項8】
請求項1から
6のいずれか1項に記載の化合物の重縮合による、ポリベンゾオキサジンを合成するための方法。
【請求項9】
第1のモノマーとしての請求項1から
6のいずれか1項に記載の化合物を、第2のモノマーとしての
少なくとも1つの芳香族ジオールまたはチオール化合物と重縮合することによる、請求項
8に記載の方法。
【請求項10】
芳香族ジオールまたはチオール化合物が式(B)に対応する、請求項
9に記載の方法。
(式中、
- X
1およびX
2は、同じでも異なっていてもよく、OまたはSを表し、
- Ar
1およびAr
2は、同じでも異なっていてもよく、芳香族基を表し、好ましくはフェニレンを表し、
- Zは、Oまたは(S)
nを表し、記号「n」は1以上の整数を表す)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
1.発明の分野
本発明は、接着剤系、特に金属の、ゴムへの接着接合を可能にする接着剤系を特に目的とする熱硬化性樹脂の合成のために使用することができるモノマーに関する。
本発明は、より具体的には、車両用空気入りまたは非空気入りタイヤなどのゴム製品の製造を目的とする金属/ゴム複合体における接着剤層として特に使用することができるポリベンゾオキサジンの合成に対して適切なベンゾオキサジン化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
2.従来技術
特に自動車タイヤ用の金属/ゴム複合体が周知である。これらの金属/ゴム複合体は普通、不飽和ゴム、一般的にジエンゴム(硫黄と架橋することができる)で作製されたマトリックスで構成され、金属の補強要素(または「補強材」)例えば、カーボンスチールで作製された糸、フィルム、テープまたはコードなどを含む。
これらの複合体は、タイヤの回転中、非常に高い応力、とりわけ、繰り返される圧縮作用、曲げまたは曲率の変化の対象下におかれるため、これらは、公知の方式で、時には矛盾する多くの技術的基準、例えば、均一性、柔軟性、曲げ強度および圧縮強度、引張り強度、耐摩耗性および耐食性などを満たさなくてはならず、これらの性能品質を非常に高レベルでできるだけ長期間維持しなければならない。
【0003】
ゴムと補強材との間の接着性界面相は、これらの性能品質の耐久性において主要な役割を果たしていることは容易に理解される。ゴム組成物をカーボンスチールに接続するための従来のプロセスは、スチールの表面を黄銅(ブラス・brass(銅/亜鉛合金))でコーティングすること、スチールとゴムマトリックスとの間の接合が、加硫またはゴム硬化中の黄銅の硫化により提供されることにある。加えて、接着性を改善するために、有機酸塩または金属錯体、例えば、コバルト塩などを、接着促進添加物としてこれらのゴム組成物に使用することが一般的に行われている。
しかし、遭遇する様々な応力、とりわけ機械的応力および/または熱応力の作用下で形成される硫化物のゆっくりとした発生の結果、カーボンスチールとゴムマトリックスとの間の接着は時間の経過と共に弱まる傾向があり、上記分解プロセスは水分の存在下で加速される可能性があることは公知である。さらに、コバルト塩の使用は、酸化および経年劣化に対するゴム組成物の感受性をより高め、そのコストを有意に増加させる。このタイプの金属塩に関する欧州の規制が最近変更されたことにより、長期的には、ゴム組成物におけるこのようなコバルト塩の使用は排除されることが望ましいことは言うまでもない。
上記に提示されたすべての理由により、金属/ゴム複合体の製造業者、特に自動車タイヤ製造業者は、上記弱点を少なくとも部分的に克服しながら、金属補強材をゴム組成物に接着接合させるための新規接着溶液を探し求めている。
【0004】
よって、本出願法人により出願された、最近公開の特許出願WO2014/063963、WO2014/063968、WO2014/173838およびWO2014/173839は、ウレア、ウレタンまたはチオウレア単位を保持する新規ポリマー、さらに上記目的を満たすこれらの出発モノマーについて記載している。とりわけ、金属/ゴム複合体において金属上の接着プライマーとして使用される場合、これらのポリマーは、その後、「RFL」(レゾルシノール/ホルムアルデヒドラテックス)接着剤などの単純な繊維接着剤または他の同等の接着組成物などを使用することによって、金属をゴムマトリックスに接着接合すること、さもなければこれらのゴムマトリックスが、例えばエポキシ化エラストマーなどの適当な官能化不飽和エラストマーを含有する場合、これらのゴムマトリックスに直接(すなわち、このような接着剤を利用することなく)接着接合することを非常に有利にする。よって、とりわけ、コバルト塩(または他の金属塩)は、黄銅コーティングされた金属補強材に接続させることを目的としたゴム組成物から外すことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
出願法人の継続した研究において、本出願法人は、金属およびゴムに関して、室温で上記ポリマーと同じ接着性能を有し、しかも、一度熱硬化(架橋)すると、さらに改善された熱的および化学的安定性を有し、その特定のミクロ構造により、標的とする特定の用途に応じて分子の柔軟性を非常に有利に調節することがさらに可能となる、ポリベンゾオキサジンの合成のためのモノマーとして使用することができる、熱硬化タイプの新規ベンゾオキサジン化合物を見出した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
3.発明の簡単な説明
本発明は、式(A)に対応する硫化ベンゾオキサジンに関する。
【0007】
【化1】
[式中、
-2つのオキサジン環の各ベンゼン核は、「G」として表される少なくとも1つのラジカルを保持し、
-2つのオキサジン環は、中央の芳香族基を介して一緒に接続されており、そのベンゼン環は、1、2、3または4つの式-Sx-Rの基(式中、「x」は1~8の整数であり、Rは、水素、または1~10個の炭素原子を含み、ならびにO、S、NおよびPから選択されるヘテロ原子を含んでもよい炭化水素ベースの基を表す)を保持し、
-少なくとも2つのラジカルGは、同じでも異なっていてもよく、以下からなる群から選択される:
- ハロゲン;
- -OR
1、-SR
1、-NR
2R
3基;R
1、R
2およびR
3は、同じでも異なっていてもよく、1~4個の炭素原子を含有するアルキルを表す;
- 1~8個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素ベースの基、または3~8個の炭素原子を含む環状脂肪族の炭化水素ベースの基、または6~12個の炭素原子を含む芳香族炭化水素ベースの基;これらの飽和したまたはエチレン性不飽和の炭化水素ベースの基はまた、O、S、NおよびPから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含んでもよい]。
【0008】
この特定のベンゾオキサジンの手段により、高温で、これらのオキサジン環を開環し、よって熱硬化性ポリフェノールの樹脂構造をもたらす注目すべき能力を有するベンゾオキサジンポリマーまたは「ポリベンゾオキサジン」を調製することが可能である。これは、本発明の明細書の序文に記載されている他の公知のポリマーと比較して、より良い熱安定性をポリマーに付与する。その特定のミクロ構造は、最後に、非常に有利なことに、標的とする特定の用途により、ポリベンゾオキサジンの柔軟性を調節することを可能にする。
本発明はまた、ポリベンゾオキサジン、さらに、本発明による少なくとも1つのベンゾオキサジン化合物から誘導される任意のポリベンゾオキサジンの合成のための、本発明による化合物の使用に関する。
本発明はまた、とりわけ、第2のモノマーとしての芳香族ジオールまたはチオール化合物との、本発明による化合物の重縮合によりポリベンゾオキサジンを合成するための任意の方法に関する。
本発明およびその利点は、以下に続く詳細な説明および実施例、さらに、以下を表すまたは描写する
図1~11を考慮して、容易に理解されよう:
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】3種の化合物、すなわち、フェノール、ホルムアルデヒドおよびアミン(R=アミン残基)から出発する、ベンゾオキサジン化合物の合成に対する一般的原理である(
図1a);加熱インプットにより、このようなベンゾオキサジン化合物のオキサジン環を開環する(開環)ための機序である(
図1b);
【
図2】特定のフェノール(記号「G」は後で詳細に記載される)、パラホルムアルデヒドおよび特定の芳香族硫化ジアミンから出発する、ポリベンゾオキサジンスルフィドの合成に使用することができる本発明による式(A-0)のベンゾオキサジン(「M-0」で表されるモノマー)の合成に対する一般スキームである;
【
図3】ハロゲン化フェノール(記号「Hal」はハロゲンを表す)、p-ホルムアルデヒドおよび先行する特定の芳香族硫化ジアミンから出発する、ポリベンゾオキサジンの合成に使用することができる本発明による式(A-1)の特定のハロゲン化ベンゾオキサジン(M-1で表されるモノマー)の合成に対する可能なスキームである;
【
図4】別の特定のフェノール(記号「A」は後で詳細に記載される)、p-ホルムアルデヒドおよび先行する特定の芳香族硫化ジアミンから出発する、本発明による式(A-2)の別のベンゾオキサジン(M-2で表されるモノマー)の合成に対する別の可能なスキームである;
【
図5】ハロゲン化フェノール、p-ホルムアルデヒドおよび芳香族硫化ジアミンの特定の例から出発する、本発明による式(A-3)の特定のハロゲン化ベンゾオキサジンの別の例(M-3で表されるモノマー)の合成に対する別の可能なスキームである;
【
図6】別の特定のフェノール、p-ホルムアルデヒドおよび芳香族硫化ジアミンの先行する具体例から出発する、本発明による式(A-4)のベンゾオキサジンの別の例(M-4で表されるモノマー)の合成に対する別の可能なスキームである;
【
図7】フェノールの特定の例(化合物1:エチレン性不飽和を保持するメトキシフェノール)、p-ホルムアルデヒド(化合物2)および芳香族ジアミンジスルフィドの先行する特定の例(化合物3)から出発する、本発明による式(A-5)のベンゾオキサジンの別の例(M-5で表されるモノマー)の合成に対する別の可能なスキームである;
【
図8】本発明による式(A-6)の先行するハロゲン化ベンゾオキサジン(モノマーM-6)から、および芳香族ジオールまたはチオールタイプの一般式(B)の別のモノマー(Nで表されるモノマー)から出発する、ポリベンゾオキサジンスルフィドの例(P-1で表されるポリマー)の一般的合成に対するスキームであり、さらにポリマーP-1の加熱処理後にそのオキサジン環が開環している、このポリベンゾオキサジンスルフィドの例(ここではP-1’で表されるポリマー)である;
【
図9】式(A-5)の特定のハロゲン化ベンゾオキサジン(モノマーM-5)の単独重合から得た、そのオキサジン環が開環している、別のポリベンゾオキサジン(ポリマーP-2’)の合成に対するスキームである;
【
図10】臭素化フェノール(化合物4)、p-ホルムアルデヒド(化合物2)および特定の芳香族ジアミンジスルフィド(化合物3)から出発する、ポリベンゾオキサジン(
図11のポリマーP-3およびP-3’)の合成に使用することができる式(A-7)の特定の臭素化ベンゾオキサジン(M-7で表されるモノマー)の合成の例である;
【
図11】最後に、本発明による式(A-7)の先行する特定のハロゲン化ベンゾオキサジン(モノマーM-7)から、および硫黄ベースの芳香族ジオールタイプ(チオエーテル官能基を保持)の式(B-1)の別の特定のモノマー(モノマーN-1)から出発する、ポリベンゾオキサジンスルフィド(P-3によるポリマー)の合成の例であり、さらにそのオキサジン環が開環してからのこのポリマーの構造(P-3’で表されるポリマー)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
4.発明の詳細な説明
最初に、ベンゾオキサジンが一般式:
【化2】
の化合物であることに注目されたい。
付随する
図1aは、この事例では、2個の水分子の脱離を伴う、1個のフェノール分子から、2個のホルムアルデヒド分子から、およびアミンから(Rはアミンの残基を意味する)出発する(縮合反応)、ベンゾオキサジンの合成の一般的原理に注目するものである。
図1bは、この部分について、加熱インプット(記号Δで表される)中のこのような化合物のオキサジン環を開環する(開環)ための機序に注目するものである。
よって、多くのベンゾオキサジン化合物またはモノマーは、これらの置換基のタイプに従い様々なフェノールおよびアミンを使用して合成することができる。これらの置換基は、重合可能な部位をその後提供することができ、様々なベンゾオキサジンポリマー(またはポリベンゾオキサジン)の合成を可能にすることができる。
【0011】
それから生成されるベンゾオキサジンおよびポリベンゾオキサジンは、現在では当業者に周知の生成物であり、いくつかの刊行物の例を言及すると、論文"Polybenzoxazines - New high performance thermosetting resins: synthesis and properties"; N.N. Ghosh et al., Prog. Polym. Sci., 32 (2007), 1344-1391、または"Recent Advancement on Polybenzoxazine - A Newly Developed High Performance Thermoset", Y. Yaggi et al., J. Polym. Sci. Part A: Polym. Chem.: Vol. 47 (2009), 5565-5576、さらに、例えば、US5543516およびWO2013/148408の特許または特許出願を挙げることができる。
【0012】
上記文献で詳細に説明されているように、ポリベンゾオキサジンは、高温(例えば、これらの特定のミクロ構造に応じて、通常150℃より高い、または200℃よりさらに高い)で、これらのオキサジン環を開環し、よって熱硬化性ポリフェノール樹脂構造をもたらす顕著な能力を有する。
本発明の対象である特定のベンゾオキサジン(本出願ではモノマーMと呼ばれている)は、ベンゾオキサジンスルフィドタイプのものである。これは、以下の一般式(A)に対応する。
【0013】
【化3】
(式中、2つのオキサジン環の各ベンゼン核は、少なくとも1つの(すなわち、1つまたは複数の)ラジカルGを保持し、よって、ベンゾオキサジンそれ自体は、少なくとも2つのラジカルGを保持する)
【0014】
(少なくとも)2つのラジカルGは、同じでも異なっていてもよく、以下からなる群から選択される:
- ハロゲン;
- -OR1、-SR1、-NR2R3基;R1、R2およびR3は、同じでも異なっていてもよく、1~4個の炭素原子を含有するアルキルを表す;ならびに
- 1~8個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素ベースの基、または3~8個の炭素原子を含む環状脂肪族の炭化水素ベースの基、または6~12個の炭素原子を含む芳香族炭化水素ベースの基;これらの飽和またはエチレン性不飽和の炭化水素ベースの基はまた、O、S、NおよびPから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含んでもよい。
この式(A)において、2つのオキサジン環は、中央の芳香族基を介して一緒に接続されており、そのベンゼン環または核(中央のベンゼン環または核とも呼ばれる)は、1、2、3または4つの式-Sx-Rの基(式中、「x」は、1~8の整数であり、Rは、水素、または1~10個の炭素原子を含み、ならびにO(酸素)、S(硫黄)、N(窒素)およびP(リン)から選択されるヘテロ原子を含んでもよい炭化水素ベースの基を表す)を保持する。
【0015】
同様に、この式(A)において、オキサジン環の2個の窒素原子が、互いに対して、中央のベンゼン核上の任意の位置(すなわちオルト、メタまたはパラ)にあることに注目することができる。しかし、好ましくは、これらの2個の窒素原子は、互いに対してメタ位にある。よって、言い換えると、本発明のベンゾオキサジン(この場合M-0で表されるモノマー)は、以下の一般式(A-0)に優先的に対応する:
【0016】
【化4】
付随する
図2は、加熱インプットおよび水の脱離を伴う、少なくとも1つの(すなわち1つまたは複数の)G基を保持する特定のフェノール、パラホルムアルデヒドおよび、最後に、式:
【0017】
【化5】
(式中、言うまでもなく、ベンゼン環は、1、2、3または4つの式-S
x-Rの基(前に定義された通り)を保持し、他の任意選択の置換基(例として、メチルまたはエチル基)を保持してもよい)の特定の芳香族硫化ジアミンから出発する、この式(A-0)のベンゾオキサジンの一般的合成に対するスキームを付与している。
【0018】
優先的には、式(A)または(A-0)のこのベンゾオキサジンにおいて、中央のベンゼン核は、2つの式-Sx-Rの基を保持し、これらの2つの基は、この中央のベンゼン核上で互いに対してより優先的にはメタ位にある。別の優先的な実施形態によると、「x」は1~4の範囲内にあり、より優先的には1または2と等しい。Rは、優先的にアルキルであり、より優先的には1~5個の炭素原子を含有し、さらにより優先的にはメチルまたはエチルであり、特にメチルである。
よって、以前に記載した式(A)の本発明のベンゾオキサジンから誘導される、ポリベンゾオキサジン(ポリマーP)は、この部分について、以下の式(I)(オキサジン環の開環前)または式(II)(開環後)に対応する少なくとも1個の単位を含む構造的繰返し単位を含むという主要な特徴を有する。
【0019】
【化6】
「ポリマー」という用語は、本特許出願において、上記式(I)または(II)の少なくとも1個の単位を含む構造的繰返し単位を有する任意のホモポリマーまたはコポリマー、とりわけブロックコポリマーを意味し、言うまでもなく、ポリマーは式(I)の単位と式(II)の単位の両方を含んでもよいことを理解されたい。
【0020】
上記式(II)において、2つの記号「*」(同じでも異なっていてもよい)は、炭素原子またはヘテロ原子(好ましくはO、S、NおよびPから選択される)への単位の任意の結合を表し、この結合または接合は、十分な加熱インプット(Δ)中にオキサジン環の開環から生成したものであることを当業者は直ちに理解する。
加えて、上記式(I)および(II)において、式(A)のモノマーの場合のように、2つのオキサジン環の少なくとも1つのまたはそれぞれのベンゼン核の1個または複数の水素原子、さらに中央のベンゼン環のものはまた、様々な置換基(例としてメチルまたはエチル基)で置換されていてもよく、とりわけポリマーの、金属および/またはゴムへの接着を促進することが可能な官能基(例としてビニル基)で置換されていてもよい。
同様に、式(A)の先行するモノマーの場合のように、式(I)および(II)のオキサジン環の2個の窒素原子は、それらを分離する中央のベンゼン核上の互いに対して任意の位置(すなわちオルト、メタまたはパラ)にあってもよいことに注目することができる。
【0021】
しかし、好ましくは、これらの2個の窒素原子は、互いに対して、中央のベンゼン核上でメタ位にある。よって、言い換えると、本発明のベンゾオキサジン化合物から誘導されるポリベンゾオキサジンは、以下の式(I-ビス)(オキサジン環の開環前)または式(II-ビス)(環の開環後)に対応する(少なくとも)1個の単位を含む少なくとも構造的繰返し単位を含む。
【0022】
【0023】
本発明の化合物の先行する式(A)または(A-0)において、好ましくは、2つのオキサジン環の各ベンゼン核は、ラジカルGを1つのみまたは最大でも2つ、より優先的にはラジカルGを1つのみ保持する。
このラジカル(単一のラジカルG)はさらにより優先的には、オキサジン環の酸素に対してパラ位に位置する。よって、この場合、本発明のベンゾオキサジンは、以下の式(付随する
図8の中で(A-6)で表されている)に対応する。
【0024】
【化8】
よって、その一方で、このような場合、本発明の化合物から誘導されるポリベンゾオキサジンは、以下の式(I-a)(オキサジン環の開環前)または式(II-a)(開環後)に対応する(少なくとも)1個の単位を含む少なくとも構造的繰返し単位を含むという主要な特徴を有することを理解されたい。
【0025】
【化9】
さらにより優先的に、「x」は1と等しく、Rはメチルを表す。
【0026】
よって、本発明による式(A)または(A-0)(式中、特に優先的な実施形態によると、「x」は1と等しく、Rはメチルを表す)のベンゾオキサジンの合成に対して適切な芳香族硫化ジアミンの例として、特に、以下の式(a)および(b)にそれぞれ対応する化合物3,5-ビス(メチルチオ)-2,4-トルエンジアミン、3,5-ビス(メチルチオ)-2,6-トルエンジアミンおよびその混合物が記載される。
【0027】
【0028】
言い換えると、特に優先的な実施形態によると、式(A-0)のベンゾオキサジンが、上記2つの異性体の少なくとも1つからまたはその混合物から誘導される場合、本発明の化合物から誘導されるポリベンゾオキサジンは、以下の式(I-a-1)または(I-b-1)(オキサジン環の開環前)、(II-a-1)または(II-b-1)(開環後)に対応する少なくとも1個の単位を含む繰返し単位を含む。
【化11】
本発明の優先的な実施形態によると、(少なくとも2つの)ラジカルGは、同じでも異なっていてもよく、ハロゲン、例えば、臭素、塩素、フッ素またはヨウ素などを表す。
【0029】
付随する
図3は、少なくとも1つの(すなわち1個または複数の)ハロゲン(記号「Hal」で表される)を保持するハロゲン化フェノール、p-ホルムアルデヒドおよび先行する
図2の特定の芳香族硫化ジアミンから出発する、加熱の供給および水の脱離を伴う、ポリベンゾオキサジンの合成に使用することができる本発明による式(A-1)の特定のハロゲン化ベンゾオキサジン(M-1で表されるモノマー)の一般的合成のスキームである。このハロゲン(Hal)はより優先的には臭素または塩素であり、さらにより優先的には臭素であり、後者はさらにより優先的には各オキサジン環の酸素に対してパラ位にある。
【0030】
別の優先的な実施形態によると、(少なくとも2つの)ラジカルGは、同じでも異なっていてもよく、-OR1、-SR1、-NR2R3から選択される基を表し、R1、R2およびR3は、同じでも異なっていてもよく、1~4個の炭素原子を含有するアルキルを表す。
【0031】
別の優先的な実施形態によると、(少なくとも2つの)ラジカルGは、同じでも異なっていてもよく、1~8個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素ベースの基(記号「A」で表される)、または3~8個の炭素原子を含む環状脂肪族の炭化水素ベースの基、または6~12個の炭素原子を含む芳香族炭化水素ベースの基を表し、この飽和したまたはエチレン性不飽和の炭化水素ベースの基「A」は、O、S、NおよびPから選択される(少なくとも1個の)ヘテロ原子を含んでもよい。
【0032】
付随する
図4は、少なくとも1個の(すなわち1個または複数の)このような基「A」を保持するハロゲン化フェノール、パラホルムアルデヒドおよび先行する
図2および3の特定の芳香族硫化ジアミンから出発する、加熱の供給および水の脱離を伴う、ポリベンゾオキサジンの合成に使用することができる式(A-2)の本発明による特定のベンゾオキサジン(M-2で表されるモノマー)の一般的合成のスキームである。
図5は、ハロゲン化フェノール、パラホルムアルデヒドおよび芳香族ジアミンジスルフィドの具体例、すなわち、先行する式(b)の3,5-ビス(メチルチオ)-2,6-トルエンジアミンから出発する、ポリベンゾオキサジンの合成に使用することができる式(A-3)の本発明による特定のハロゲン化ベンゾオキサジンの別の例(M-3で表されるモノマー)の合成に対する別の可能なスキームである。
【0033】
図6は、別のフェノール(記号「A」は以前に記載した)、パラホルムアルデヒドおよび先行する式(b)の3,5-ビス(メチルチオ)-2,6-トルエンジアミンから出発する、ポリベンゾオキサジンの合成に使用することができる式(A-4)のベンゾオキサジンの別の例(M-4で表されるモノマー)の合成に対する別の可能なスキームである。
優先的実施形態によると、(少なくとも2つの)基「A」は、同じでも異なっていてもよく、1~6個、特に1~4個の炭素原子を含む飽和したまたはエチレン性不飽和の脂肪族炭化水素ベースの基を表し、これは、O、S、NおよびPから選択される少なくとも1個の(すなわち1個または複数の)ヘテロ原子を含んでもよい。
【0034】
よって、別の特定のおよび優先的な実施形態によると、本発明のベンゾオキサジンジスルフィドは、以下の2つの式(A-5)および(A-5ビス)(それぞれ、M-5およびM-5ビスで表されるモノマー)の1つに少なくとも部分的に対応する:
【0035】
【化12】
図7は、今回は、このような優先的な定義に対応するフェノールの特定の例(化合物1)(この場合、エチレン性不飽和およびメトキシル基を保持するフェノール)、パラホルムアルデヒド(化合物2)および先行する芳香族ジアミンジスルフィドの特定の例(化合物3)から出発する、特にポリベンゾオキサジンスルフィドの合成に使用することができる、本発明による式(A-5)のベンゾオキサジンの別の例(M-5で表されるモノマー)の合成に対する別のスキームを記載している
図6の特定の事例である。
【0036】
当業者であれば、フェノール(ラジカル(複数可)Gを保持する)および硫化ジアミン(式-Sx-Rの基(複数可)を保持する)の式をとりわけ変化させることにより、ポリベンゾオキサジンの合成に対する出発モノマーとしての役割を果たす、本発明の特定の式(A)または(A-0)のベンゾオキサジンをどのように幅広く適応させるか十分認識している。
優先的な芳香族硫化ジアミンの例として、とりわけ化合物3,5-ビス(メチルチオ)-2,4-トルエンジアミン、3,5-ビス(メチルチオ)-2,6-トルエンジアミン、およびその混合物についての記載がすでになされている。
【0037】
1~6個、特に1~4個の炭素原子を含み、O、S、NおよびPから選択される少なくとも1個の(すなわち1個または複数の)ヘテロ原子を含んでもよい、飽和したまたはエチレン性不飽和の脂肪族炭化水素ベースタイプの基「A」を保持するフェノール化合物(この場合、例えば、メトキシフェノール)の例として、言及され得る例は、以下の化合物を含む。
【0038】
【化13】
以前に記載した本発明による式(A)のベンゾオキサジンは、重縮合による、特に第2のモノマー(「モノマーN」)としての少なくとも1つの芳香族ジオールまたはチオール化合物との重縮合による、ポリベンゾオキサジンの合成を特に目的とする(モノマーM)。
この芳香族ジオールまたはチオール化合物は、式(B)により優先的に対応する。
【0039】
【化14】
(式中、
- X
1およびX
2は、同じでも異なっていてもよく、OまたはSを表し、
- Ar
1およびAr
2は、同じでも異なっていてもよく、芳香族基を表し、好ましくはフェニレンを表し、
- Zは、Oまたは(S)
nを表し、記号「n」は1より大きいまたは等しい整数を表す)
よって、1つの特に好ましい実施形態によると、本発明のベンゾオキサジンスルフィドから誘導されるポリベンゾオキサジンは、特定の式(I-1)(オキサジン環の開環前)または(II-1)(開環後)に対応する少なくとも1個の単位を含む繰返し単位を特徴とする。
【0040】
【化15】
またこの場合、上記式において、オキサジン環の2個の窒素原子は、互いに対して、それらを分離する中央のベンゼン核上の任意の位置(すなわちオルト、メタまたはパラ)にあることが明確に指摘されている。
【0041】
しかし、さらにより優先的には、上記式(I-1)および上記(II-1)において、それらの2個の窒素原子は、互いに対して、それらを分離する中央のベンゼン核上のメタ位にある。よって、言い換えると、本発明のベンゾオキサジンから誘導されるポリベンゾオキサジンは、以下の式(I-1ビス)(オキサジン環の開環前)または式(II-1ビス)(開環後)に対応する(少なくとも)1個の単位を含む構造的繰返し単位を含む。
【0042】
【0043】
上記式(I-1)、(II-1)、(I-1ビス)および(II-1ビス)において、少なくとも1つのまたはそれぞれの芳香族核Ar1およびAr2の1個または複数の水素原子は、様々な置換基(同じでも異なっていてもよい)、例えば、ポリマーの、金属および/またはゴムへの接着を促進することが可能な官能基で置換することができる。
【0044】
図8は、芳香族ジオールまたはチオールタイプの一般式(B)の別のモノマー(「N」で表されるモノマー)との、本発明による式(A-6)の先行するハロゲン化ベンゾオキサジン(モノマーM-6)の重縮合による、本発明の方法による上記式(I-1ビス)のポリベンゾオキサジンスルフィド(P-1で表されるポリマー)の一般的合成に対するスキームであり、さらに、ポリマーP-1の加熱処理後にそのオキサジン環が開環している、このポリベンゾオキサジンスルフィドの例(ここでは式II-1ビスのP-1’で表されるポリマー)である。
【0045】
上記一般式(I-1)、(II-1)、(I-1ビス)または(II-1ビス)において、以下の特徴の少なくとも1つが優先的に満たされる:
- Ar1およびAr2は、非置換のフェニレン基をそれぞれ表す;
- X1およびX2は、硫黄原子、または酸素原子のいずれかをそれぞれ表す;
- Zは、OまたはSを表し(すなわち「n」は1と等しい)、より優先的にはSを表す。
より優先的には、上記特徴のすべては、同時に満たされる優先的特徴である。
優先的な例として、先行する式(B)の化合物は、以下の特定の式(B-1)、(B-2)または(B-3)の少なくとも1つに対応する。
【0046】
【化17】
別の特定のおよび優先的な実施形態によると、ポリベンゾオキサジンポリマーは、上に記載されているような式(A)または(A-0)のベンゾオキサジンの単独重合により得ることができる。
よって、
図9は、先行する式(A-5)の本発明による特定のハロゲン化ベンゾオキサジン(モノマーM-5)の単純な単独重合により今回得られた、別のポリベンゾオキサジン(式II-2のポリマーP-2’)の、そのオキサジン環の開環を伴う合成に対するスキームを例示している。
【0047】
別の特定のおよび優先的な実施形態によると、本発明のベンゾオキサジンは、以下の2つの式(A-7)および(A-7ビス)(それぞれ、M-7およびM-7ビスにより表されるモノマー)の1つに少なくとも部分的に対応する臭素化ベンゾオキサジンジスルフィドである。
【化18】
【0048】
図10は、臭素化フェノール(化合物4)、p-ホルムアルデヒド(化合物2)および3,5-ビス(メチルチオ)-2,6-トルエンジアミン(化合物3)から出発する、本発明の方法によるポリベンゾオキサジン(
図11のポリマーP-3およびP-3’)の合成に使用することができる式(A-7)のこの臭素化ベンゾオキサジンジスルフィド(M-7で表されるモノマー)の合成の例を正確に付与する。
図10のこれらの例において、先行する
図7~9の場合のように、特に、すでに示された、本発明の特に優先的な実施形態によると、式(A)のベンゾオキサジンの2つのオキサジン環の各ベンゼン核は、ハロゲン(Hal)を1つのみ保持し、より優先的には、オキサジン環の酸素に対してパラ位に位置する臭素を保持することが指摘される。
【0049】
最後に、
図11は、上記式(A-7)の特定のハロゲン化ベンゾオキサジン(モノマーM-7)から、および硫黄ベースの芳香族ジオールタイプ(チオエーテル官能基を保持する)の式(B-1)の別の特定のモノマー(モノマーN-1)から出発する、ポリベンゾオキサジンスルフィド(ポリマーP-3)の合成、さらにそのオキサジン環が開環してしまってからのこのポリマーの構造(P-3’で表されるポリマー)について記載している。
図7、10および11の合成は、以下に続く実施例においてより詳細に記載される。
通常、本発明のベンゾオキサジン化合物から誘導されるポリベンゾオキサジンは、式(I)および/または(II)の単位を保持する、十から数百の構造単位、好ましくは50~300の構造単位、特に
図8、9および11の例として表された構造単位を含むことができる。
【0050】
本発明のベンゾオキサジンから誘導されるこのポリベンゾオキサジンは、まさに少なくとも、金属基材、すなわち少なくともその表面が少なくとも部分的に金属性である基材をコーティングするための、および後者をゴムに接着するための接着プライマーまたは唯一の接着剤層として有利に使用可能である。このポリベンゾオキサジンは特に、天然ゴムなどの不飽和ゴムマトリックスの補強の目的のために、任意のタイプの金属性補強、例えば、スチールで作製された、とりわけ、カーボンスチールで作製された、ワイヤー、フィルムまたはケーブルに対して最も特に使用可能である。ゴムをポリベンゾオキサジン層に接着するために、任意の公知の接着剤系、例えば、「RFL」(レゾルシノール-ホルムアルデヒド-ラテックス)などの従来の繊維接着剤を使用することができる。当業者であれば、そのポリベンゾオキサジン層を備えた金属基材と、これが接触しているゴム層との間の接続は、対象のゴム製品の最終硬化(架橋)中に明確に提供されることを容易に理解している。
【実施例】
【0051】
5.発明の実施例
本特許出願において、他に明示的に示されていない限り、示されているすべてのパーセンテージ(%)は質量パーセンテージである。
以下の試験は、最初に、本発明によるベンゾオキサジン化合物(モノマーM-5およびM-7)の2つの合成例、次いで、モノマーM-7から出発する、ポリベンゾオキサジン(ポリマーP-3)の合成例について記載している。最後に、接着試験を実施して、本発明の化合物から誘導されるポリベンゾオキサジンの優れた接着性能を例示する。
【0052】
5.1.本発明によるベンゾオキサジンスルフィド(モノマーM-5)の合成
この合成に対して、温度計、窒素注入口、磁気撹拌機および冷却器を備えた、100mlの3口丸底フラスコを準備する。
合成は、
図7に示されている手順により、以下に詳細に説明されているように、2種の溶媒(無水トルエンおよび無水エタノール)の存在下で、3種の化合物から出発して実施する:メトキシル基を保持する特定のエチレン性不飽和フェノール(化合物1;オイゲノール;Aldrich製品E51791)、パラホルムアルデヒド(化合物2;Aldrich製品158127)および芳香族ジアミンジスルフィド(化合物3;3,5-ビス(メチルチオ)-2,6-トルエンジアミン)。
化合物3は、茶色がかった色の比較的に粘性の液体の形態で入手可能な、製品Ethacure300(製造元:Albemarle、Belgium)からシリカゲル上でのクロマトグラフィーにより単離した。これは、およそ96%まで、3,5-ビス(メチルチオ)-2,4-トルエンジアミンおよび3,5-ビス(メチルチオ)-2,6-トルエンジアミン異性体の混合物で構成されている(クロマトグラフィー分析による質量比はおよそ4/1)。
【0053】
化合物1(2当量、4.93g、すなわち30mmol)、次いでエタノール(51ml)を、丸底フラスコに注ぎ入れる。不安定なトリアジン-タイプの中間体生成物の形成を阻止するエタノールの存在はこの事例に重要である。化合物3(1当量、3.215g、すなわち15mmol)、化合物2(4当量、1.80g、すなわち60mmol)および最後にトルエン(102ml)を撹拌しながら引き続いて導入する。反応媒体を4時間加熱還流し(およそ75℃)、エタノールを約100℃で16時間にわたり蒸留した後、次いで溶媒および揮発性残渣を最後に40℃(20mbarの真空下)で蒸留して、蒸発させる。次いで、最終生成物を(100mlのメタノール)で洗浄し、乾燥させる。
この粉末をメタノール(粉末4g当たり50ml)に入れ、混合物を(65℃)で30分間加熱還流する。次いで、溶液を室温(およそ20℃)に冷却させて、モノマーを結晶化する。得た固体生成物を濾過(ブフナーフィルター)で単離する。真空オーブン内で、50℃で終夜乾燥した後、粉末をこうして得る。その1H NMRスペクトル(500MHz)(溶媒:d8-THF)により、こうして合成したモノマーM-5の化学構造を確認した。以下が結果である:
2.07 (s, 3H), 2.38 (s, 6H), 3.25 (t, 4H), 3.71 (s, 6H), 3.94-4.01 (t, 2H), 4.58-4.64 (dd, 2H), 4.81-4.86 (dd, 2H), 4.96-5.05 (m, 6H), 5.85-5.97 (m, 2H), 6.37-6.40 (d, 2H), 6.55 (s, 2H), 6.72 (s, 1H).
【0054】
5.2.本発明による別のベンゾオキサジンスルフィド(モノマーM-7)の合成
以前と同様に、この合成に対して、温度計、窒素注入口、磁気撹拌機および冷却器を備えた100mlの3口丸底フラスコを準備する。
合成は、
図10に示されている手順により、以下に詳細に説明されているように、2種の溶媒(無水トルエンおよび無水エタノール)の存在下で、3種の化合物から出発して実施する:ハロゲン化フェノール(化合物4;4-ブロモフェノール;Aldrich製品B75808)、p-ホルムアルデヒド(化合物2;Aldrich製品158127)および芳香族ジアミンジスルフィド(化合物3;3,5-ビス(メチルチオ)-2,6-トルエンジアミン)、Ethacure製品300から以前の通り単離。
【0055】
化合物4(2当量、2.6g、すなわち15mmol)、次いでエタノール(23ml)を丸底フラスコに注ぎ入れる。不安定なトリアジン-タイプの中間体生成物の形成を阻止するエタノールの存在はこの事例に重要である。化合物3(1当量、1.6g、すなわち7.5mmol)、化合物2(4当量、0.90g、すなわち30mmol)および最後にトルエン(46ml)を撹拌しながら続いて導入する。反応媒体を(およそ75℃)で16時間加熱還流し、次いで、溶媒および揮発性残渣を減圧下(1mbar)、110℃で蒸留して、蒸発させる。
次いで、最終生成物をメタノール(生成物4.5g当たり50ml)中に入れ、混合物を還流(65℃)で30分間加熱する。次いで、溶液を室温(およそ20℃)に冷却させて、モノマーを結晶化させる。得た固体生成物を濾過(ブフナーフィルター)で単離する。真空オーブン内で、50℃で終夜乾燥させた後、黄色の粉末をこうして得る(反応収率はおよそ82%と等しい)。
【0056】
重水素化溶媒に溶解した、こうして合成したモノマーM-7の1H NMRスペクトル(500MHz)により、その化学構造を確認した。以下が結果である:
-d8-THF中:
2.06 (s, 3H), 2.39 (s, 6H), 4.03-4.14 (t, 2H), 4.59-4.63 (d, 2H), 4.87-4.91 (dd, 2H), 5.01-5.05 (dd, 2H), 6.71-6.74 (d, 2H), 6.81 (s, 1H), 7.15-7.21 (m, 4H) ;
-CD2Cl2中:
2.06 (s, 3H), 2.39(s, 6H), 4.03-4.14 (t, 2H), 4.53-4.58 (dd, 2H), 4.92-4.95 (dd, 2H), 5.00-5.04 (dd, 2H), 6.68 (s, 1H), 6.74-6.77(d, 2H), 7.14-7.15 (d, 2H), 7.21-7.24 (dd, 2H).
【0057】
5.3.ポリベンゾオキサジンポリスルフィド(ポリマーP-3)の合成
この合成は、
図11に示されている手順により、以下に詳細に記載されているように、2種のモノマーから出発して実施する:先行するステップで得たベンゾオキサジン(モノマーM-7)および式(B-1)の硫黄を保持する芳香族ジオール(4,4’-チオジフェノール;モノマーN-1)。この合成は、炭酸ナトリウム(Na
2CO
3;SIGMA Aldrich製品13418)、および(無水)溶媒DMA(N,N-ジメチルアセトアミド;SIGMA Aldrich製品38839)およびトルエン(Acros Organics製品番号364411000)の存在下で行う。これらの2種のモノマー(M-7およびN-1)は、事前に減圧下(10mbar)、60℃で終夜乾燥させ、炭酸ナトリウムに対しても同様に、ただし、150℃の温度で乾燥させる。
【0058】
合成は、窒素注入口、温度計、磁気撹拌機、ならびに冷却器および蒸留ブリッジ(加熱マントルを備えた)を搭載したDean-Stark分離体を備えた100mlの4口丸底フラスコで実施する。熱風ガンを使用して、温度計が反応フラスコ内で少なくとも100℃の温度に到達するまで、装置を減圧下で乾燥させる。システムを室温(20℃)に冷却させ、次いで、装置を、合成全体を通して窒素流下に置く。
最初に、式(A-7)のモノマーM-7(1当量、1.5g、すなわち2.79mmol)、次いで式(B-1)のモノマーN-1(1当量、0.61g、すなわち2.79mmol)を丸底フラスコに次いで導入する。これに続いて、20mlのDMA(両方のモノマーの溶媒)を加え、次いで、塩基として、トルエン4ml中に懸濁したNa
2CO
3(3当量、0.89g、すなわち8.36モル)を加える。システムをN
2下で5分間パージし、次いで反応媒体を105℃に加熱する。この温度に到達したら(およそ115℃の加熱マントル温度)、Dean-Stark装置の蒸留ブリッジを110℃(加熱マントルで)に加熱して、およそ90分間実施する共沸蒸留(水/トルエン蒸留)を促進させる。次いで、30分ごとに10℃の段階で、130℃に到達するまで反応媒体の温度を徐々に増加させる。反応媒体をこの温度で17時間放置し、次いで室温(20℃)まで冷却させる。反応混合物を90℃(真空3mbar)で続いて蒸留して、溶媒および揮発性残渣を除去し、こうして得た固体沈殿物を次いで250mlの蒸留水で洗浄する。この洗浄中に、カーボネートを抽出するため、中性のpHに到達するまで、酸(1%の水性HCl)を滴下添加する。沈殿物を100mlの蒸留水で再度洗浄し、減圧下、80℃で終夜(およそ12時間)乾燥させる。
1H NMR分析(500MHz)により証明されたように、
図11のポリマーP-3をこうして得た。
1H NMR分析(500MHz)により証明されたように、溶媒d8-THF中の
図11のポリマーP-3をこうして得た。これによって、以下の結果が得られた:
1.92 (s, 3H), 2.26 (s, 6H), 3.74-3.81 (m, 4H), 4.01-4.03 (t, 2H), 4.75-5.01 (m, 2H), 6-15-6.75 (m, 4H), 6.90-7.45 (br, 11H).
【0059】
薄黄色の粉末の形態のこのポリマーP-3はまた、10℃/分のつり上げを用いて(Mettler Toledo DSC「822-2」機器;窒素大気)、-80℃~+350℃の間のDSC(示差走査熱量測定)で分析した。分析は、初回通過(-80℃~+350℃の間)において、163℃での明らかなガラス転移(Tg)を示し、これに続いて200℃より上での発熱性(オキサジン環の開環およびポリマーの架橋に対応)、およそ270℃および299℃での2つの最高点を示した。第2のおよび第3のDSC通過は、-80℃~+350℃の間で実施し、明らかなガラス転移は目視で確認できなかった。
【0060】
5.4.金属/ゴム複合体における接着試験
上記で調製したポリマーP-3の一部分(325mg)を、8mlのDMPU(1,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロ-2(1H)-ピリミジノン;SIGMA Aldrich製品41661)に、10質量%の「DY 9577 ES」促進剤(Huntsman製品)と共に溶解し、これによって、溶液を形成し、続いてその1画分(0.6ml)を寸法10cm×2.5cmおよび厚さ0.5mmの黄銅テープ(フィルム)上に均一に堆積させた。この集合体を175℃(空気換気)のオーブン内に5分間、次いで減圧下、230℃で追加の5分間配置して、第1に、任意の微量の溶媒を除去し、第2に、ポリマーのオキサジン環を少なくとも部分的に(すなわち、完全にまたは部分的に)開環させたが、この最後のステップは、ポリマーの顕著な変色を伴い、色が暗いオレンジ色に変化している。
【0061】
室温まで冷却後、こうして形成されたポリベンゾオキサジンのその薄い(厚さ5~10μm)層の表面上に提供されたテープを、続いて、慣例的な2段階接着コーティング作業(2つの槽の接着コーティング)の対象下においた。最初に、エポキシ樹脂(ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、およそ1%)およびイソシアネート化合物(カプロラクタム遮断したイソシアネート化合物、およそ5%)に基づく第1の水槽(およそ94%水)内に浸し、この第1の接着コーティングステップの後に、乾燥(100℃で2分間)および次いで加熱処理(200℃で5分間)が続いた。次いで、こうして処理されたテープを、レゾルシノール(およそ2%)、ホルムアルデヒド(およそ1%)およびゴムラテックス(およそ16%のNR、SBRおよびVP/SBRゴム)に基づくRFL接着剤の第2の水槽(およそ81質量%の水)に浸した。最後に、これを乾燥器内で、130℃で2分間乾燥させ、次いで200℃で5分間加熱処理した。
【0062】
ポリベンゾオキサジンフィルムをこうしてコーティングし、次いで接着剤でコーティングされた黄銅テープを、続いて乗客車両タイヤのベルト補強用の従来のゴム組成物の2つの層の間に配置した。この組成物は、天然ゴム、充填剤としてカーボンブラックおよびシリカ、ならびに加硫系(硫黄およびスルフェンアミド促進剤)に基づくものであった。この組成物はコバルト塩を含まなかった。よって、こうして調製した金属/ゴム複合体試験試料をプレスの下に置き、全体を20barの圧力下、150℃で30分間硬化した(加硫処理した)。
ゴムマトリックス中にコバルト塩が含まれていなかったにもかかわらず、ゴムの加硫後、ゴムマトリックスと金属テープとの間の優れた接着接合を得た。これは、剥離試験(20℃で)中に、金属とゴムとの界面相間ではなく、ゴムマトリックスそれ自体に系統的に不具合が生じたことが判明したからである。他の接着接合試験をブライト(コーティングされてない)スチールテープ上で実施した。これらもまたゴムへの優れた接着を示した(ゴムマトリックスにおける系統的不具合)。
【0063】
結論として、本発明によるベンゾオキサジンは、金属補強材を提供するポリマーの合成を可能にし、主要な利点は、RFL接着剤などの単純な繊維接着剤を使用して、ゴムマトリックスに続いて接着接合できること、またはさもなければこれらのゴムマトリックスが、例えばエポキシ化エラストマーなどの適当な官能化不飽和エラストマーを含有する場合、これらのゴムマトリックスに直接(すなわち、このような接着剤を利用することなく)接着接合できることである。よって、黄銅などの接着金属層、さらに金属塩、特にコバルト塩を含まない周囲ゴムマトリックスでコーティングされていてもよい金属補強材を使用することができる。
【0064】
さらに、これは、本発明の文書の序文記載されている他の公知のポリマーと比較して、著しい利点を構成する、つまり、本発明のベンゾオキサジンから誘導されるポリベンゾオキサジンは、高温で、これらのオキサジン環を開環し、よって熱硬化性ポリフェノールの樹脂構造を付与する注目すべき能力を有する。これは、ポリマーにより良い加熱安定性を付与する。最後に、これらの特定のミクロ構造は、非常に有利なことに、標的とする特定の用途により、分子の柔軟性を調節することを可能にする。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕式(A)に対応する硫化ベンゾオキサジン化合物。
[式中、
-2つのオキサジン環の各ベンゼン核は、「G」として表される少なくとも1つのラジカルを保持し、
-2つのオキサジン環は、中央の芳香族基を介して一緒に接続されており、そのベンゼン環は、1、2、3または4つの式-S
x
-Rの基(式中、「x」は1~8の整数であり、Rは、水素、または1~10個の炭素原子を含み、ならびにO、S、NおよびPから選択されるヘテロ原子を含んでもよい炭化水素ベースの基を表す)を保持し、
-少なくとも2つのラジカルGは、同じでも異なっていてもよく、以下からなる群から選択される:
- ハロゲン;
- -OR
1
、-SR
1
、-NR
2
R
3
基;ここで、R
1
、R
2
およびR
3
は、同じでも異なっていてもよく、1~4個の炭素原子を含有するアルキルを表す;
- 1~8個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素ベースの基、または3~8個の炭素原子を含む環状脂肪族の炭化水素ベースの基、または6~12個の炭素原子を含む芳香族炭化水素ベースの基;ここで、これらの炭化水素ベースの基はまた、O、S、NおよびPから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含んでもよい]。
〔2〕オキサジン環の2個の窒素原子が、互いに対して、これらを分離するベンゼン環上でメタ位にある、前記〔1〕に記載の化合物。
〔3〕中央のベンゼン環が、式-S
x
-Rの2つの基を保持する、前記〔1〕または〔2〕に記載の化合物。
〔4〕式-S
x
-Rの2つの基が、互いに対して、中央のベンゼン環上のメタ位にある、前記〔3〕に記載の化合物。
〔5〕「x」が1~4の範囲内にあり、好ましくは1または2と等しい、前記〔1〕から〔4〕のいずれか1項に記載の化合物。
〔6〕Rが好ましくは1~5個の炭素原子を含有するアルキルである、前記〔1〕から〔5〕のいずれか1項に記載の化合物。
〔7〕Rが、メチルまたはエチルであり、好ましくはメチルである、前記〔6〕に記載の化合物。
〔8〕「x」が1と等しく、Rがメチルである、前記〔5〕および〔7〕に記載の化合物。
〔9〕2つのオキサジン環の各ベンゼン核がラジカルGを1つのみ保持する、前記〔1〕から〔8〕のいずれか1項に記載の化合物。
〔10〕2つのオキサジン環の各ベンゼン核により保持されるラジカルGが、オキサジン環の酸素に対してパラ位に位置する、前記〔9〕に記載の化合物。
〔11〕ラジカルGが、同じでも異なっていてもよく、ハロゲンを表す、前記〔1〕から〔10〕のいずれか1項に記載の化合物。
〔12〕ハロゲンが臭素または塩素であり、好ましくは臭素である、前記〔11〕に記載の化合物。
〔13〕以下の式(A-7)または(A-7ビス)の1つに対応する、前記〔10〕および〔12〕に記載の化合物。
〔14〕ラジカルGが、同じでも異なっていてもよく、-OR
1
、-SR
1
、-NR
2
R
3
から選択される基を表し、R
1
、R
2
およびR
3
が、同じでも異なっていてもよく、1~4個の炭素原子を含有するアルキルを表す、前記〔1〕から〔10〕のいずれか1項に記載の化合物。
〔15〕ラジカルGが、同じでも異なっていてもよく、1~8個の炭素原子を含む脂肪族炭化水素ベースの基、または3~8個の炭素原子を含む環状脂肪族の炭化水素ベースの基、または6~12個の炭素原子を含む芳香族炭化水素ベースの基を表し、この飽和したまたはエチレン性不飽和の炭化水素ベースの基が、O、S、NおよびPから選択される少なくとも1個のヘテロ原子を含んでもよい、前記〔1〕から〔10〕のいずれか1項に記載の化合物。
〔16〕ラジカルGが、同じでも異なっていてもよく、1~6個の炭素原子、好ましくは1~4個の炭素原子を含む飽和したまたはエチレン性不飽和の脂肪族炭化水素ベースの基を表す、前記〔15〕に記載の化合物。
〔17〕以下の式(A-5)または(A-5ビス)の1つに対応する、前記〔10〕および〔16〕に記載の化合物。
〔18〕ポリベンゾオキサジンの合成のための、前記〔1〕から〔17〕のいずれか1項に記載の化合物の使用。
〔19〕前記〔1〕から〔17〕のいずれか1項に記載の少なくとも1つの化合物から誘導されるポリベンゾオキサジン。
〔20〕前記〔1〕から〔17〕のいずれか1項に記載の化合物の重縮合による、ポリベンゾオキサジンを合成するための方法。
〔21〕第1のモノマーとしての前記〔1〕から〔17〕のいずれか1項に記載の化合物を、少なくとも、第2のモノマーとしての1つの芳香族ジオールまたはチオール化合物と重縮合することによる、前記〔20〕に記載の方法。
〔22〕芳香族ジオールまたはチオール化合物が式(B)に対応する、前記〔21〕に記載の方法。
(式中、
- X
1
およびX
2
は、同じでも異なっていてもよく、OまたはSを表し、
- Ar
1
およびAr
2
は、同じでも異なっていてもよく、芳香族基を表し、好ましくはフェニレンを表し、
- Zは、Oまたは(S)
n
を表し、記号「n」は1以上の整数を表す)
〔23〕芳香族ジオールまたはチオール化合物が、以下の式(B-1)、(B-2)または(B-3)の1つに対応する、前記〔22〕に記載の方法。