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特許7096294繊維から不織布を製造するための装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-27
(45)【発行日】2022-07-05
(54)【発明の名称】繊維から不織布を製造するための装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   D04H 3/16 20060101AFI20220628BHJP
   D01D 5/098 20060101ALI20220628BHJP
   D01D 5/08 20060101ALI20220628BHJP
【FI】
D04H3/16
D01D5/098
D01D5/08 C
【請求項の数】 20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020120531
(22)【出願日】2020-07-14
(65)【公開番号】P2021025187
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2021-03-22
(31)【優先権主張番号】19189208
(32)【優先日】2019-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】505313830
【氏名又は名称】ライフェンホイザー・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング・ウント・コンパニー・コマンデイトゲゼルシャフト・マシイネンファブリーク
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100139527
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 克礼
(74)【代理人】
【識別番号】100164781
【弁理士】
【氏名又は名称】虎山 一郎
(72)【発明者】
【氏名】トビアス・ヴァーグナー
(72)【発明者】
【氏名】ゼバスティアン・ゾンマー
(72)【発明者】
【氏名】パトリック・ボール
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス・レスナー
(72)【発明者】
【氏名】ハンス-ゲオルク・ゴイス
【審査官】大▲わき▼ 弘子
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-057233(JP,A)
【文献】特開2003-268619(JP,A)
【文献】特開2001-098456(JP,A)
【文献】特公昭49-006786(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D04H1/00-18/04、D01D1/00-13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維から不織布(1)を製造するための装置であって、
繊維を紡糸するための少なくとも一つの紡糸デバイス(10)、及び繊維を堆積して不織布ウェブまたは不織布(1)にするための空気透過性堆積コンベアが設けられており、
少なくとも一つの吸引デバイスが存在し、それを用いて、繊維の堆積領域(26)で、主吸引領域(27)において空気またはプロセス空気を堆積コンベアに通して吸引することができ、主吸引領域(27)は、堆積コンベアの下方で、堆積コンベアの搬入領域及び堆積コンベアの搬出領域においてそれぞれ吸引仕切り壁(28.1、28.2)によって画定されており、
及び、少なくとも一つの吸引仕切り壁(28.1、28.2)のコンベア側端部は、または堆積コンベアまで最も短い垂直距離をもって配置されている、関連する吸引仕切り壁(28.1、28.2)の部分は、堆積コンベアまでの垂直距離Aが、10mmと250mmとの間であり
及び少なくとも一つの吸引仕切り壁(28.1、28.2)が、それのコンベア側端部において、残りの吸引仕切り壁(28.1、28.2)から角度付けされた、スポイラ部分(30)として形成された仕切り壁部分を含み、及びスポイラ部分(30)のコンベア側端部が、または堆積コンベアまで最も短い垂直距離を持って配置されている、スポイラ部分(30)の箇所が、堆積コンベアまで前記垂直距離Aを有し、
及びスポイラ部分(30)が、
-堆積コンベア面Fに対して垂直に配向した垂直Vに関して、他のまたは反対側の吸引仕切り壁(28.1、28.2)の堆積コンベア側の仕切り壁部分よりも、強く角度付けされており、
-及び/または堆積コンベア面Fへの投影で、他のまたは反対側の吸引仕切り壁(28.1、28.2)の堆積コンベア側の、角度付けもしくは曲げられた仕切り壁部分の対応する投影よりも、大きい長さLを有し、
-及び/またはそれのコンベア側の端部に関して、他のまたは反対側の吸引仕切り壁(28.1、28.2)の堆積コンベア側仕切り壁部分のコンベア側端部よりも、堆積コンベアまでより長い距離Aを有する、
前記装置。
【請求項2】
少なくとも一つの吸引仕切り壁(28.1、28.2)が、それのコンベア側端部において、互いに対して角度付けして配置された少なくとも二つのスポイラコンポネント(34、35)を有する角度要素の形のスポイラ部分(30)を含み、及びこのスポイラ部分(30)のコンベア側端部が、または堆積コンベアまで最も短い垂直距離を持って配置されている、スポイラ部分(30)の箇所が、堆積コンベアまで前記垂直距離Aを有する、請求項に記載の装置。
【請求項3】
スポイラ部分(30)がスポイラコンポネント(34)を有し、このスポイラコンポネント(34)が、堆積コンベア面Fに対して横断的に配向されており、及びスポイラ部分(30)が、更に、スポイラコンポネント(35)を有し、このスポイラコンポネント(35)が、堆積コンベア面Fに対して平行にまたは本質的に平行に配向されている、請求項に記載の装置。
【請求項4】
一つの吸引仕切り壁(28.1、28.2)のみが、それのコンベア側端部において、スポイラ部分(30)を有する、請求項のいずれか一つに記載の装置。
【請求項5】
スポイラ部分(30)が、関連する吸引仕切り壁(28.1、28.2)の、主吸引領域(27)の中央とは反対側の方に配向または角度付けされているか、またはスポイラ部分(30)が、主吸引領域(27)の中央の方に配向または角度付けされている、請求項のいずれか一つに記載の装置。
【請求項6】
繊維を紡糸するための少なくとも二つの紡糸デバイス(10)または紡糸ビームが設けられており、ここで各々の紡糸デバイス(10)または各々の紡糸ビームには主吸引領域(27)が割り当てられており、主吸引領域(27)では、空気またはプロセス空気を堆積コンベアを通して吸引可能であり、ここで、これらの主吸吸引領域(27)は、それぞれ二つの吸引仕切り壁(28.1、28.2)によって画定されており、及び各々の主吸引領域(27)の少なくとも一つの吸引仕切り壁(28.1、28.2)がスポイラ部分(30)を有し、
及び、堆積コンベアの搬送方向に関して第一の主吸引領域(27)の第一のスポイラ部分(30)が、接続された吸引仕切り壁(28.1、28.2)の、この第一の主吸引領域(27)の中央とは反対側の方に方向付けまたは角度付けされており、
及び、堆積コンベアの搬送方向に関して下流に配置された第二の主吸引領域(27)の第二のスポイラ部分(30)が、この第二の主吸引領域(27)の中央の方に方向付けまたは角度付けされている、
請求項のいずれか一つに記載の装置。
【請求項7】
エンドレスフィラメント(2)からスパンボンド不織布を製造するためのスパンボンド装置として構築されている、請求項1~のいずれか一つに記載の装置。
【請求項8】
紡糸デバイス(10)の後に接続された少なくとも一つの冷却デバイス(11)、及び冷却デバイス(11)の後に接続された少なくとも一つの延伸デバイス(16)を備え、並びに延伸デバイス(16)の後に接続された少なくとも一つのディフュザー(19)を備える、請求項に記載の装置。
【請求項9】
冷却デバイス(11)及び延伸デバイス(16)からなる連結機械が閉じられた連結機械として構成されており、及び冷却デバイス(11)中への冷却空気の供給の他には、この連結機械中への外部からの他の空気供給は行われない、請求項に記載の装置。
【請求項10】
請求項1~のいずれか一つに記載の装置であって、堆積コンベアの上に直接配置されたディフューザ(19)が、二つの相対するディフューザ壁を備え、ここで、二つの下方に末広がりに延びるディフューザ壁部分(21、22)が設けられている、前記装置。
【請求項11】
堆積コンベアの上に直接配置されたディフューザ(19)が、二つの相対するディフューザ壁を備え、ここで、ディフューザ(19)の流入箇所(23)に、少なくとも二つの相対する二次空気入口間隙(24、25)が設けられており、これらの間隙(24、25)は、相対する両ディフューザ壁の一つにそれぞれ配置されている、請求項1~10のいずれか一つに記載の装置。
【請求項12】
主吸引領域(27)の後に、堆積コンベアの搬送方向において第二の吸引領域(29)が接続され、この第二の吸引領域(29)において、空気またはプロセス空気を堆積コンベアを通して吸引可能であり、及び/または主吸引領域(27)の前に、堆積コンベアの搬送方向に関して上流の吸引領域(33)が接続されており、吸引領域(33)において、空気またはプロセス空気を堆積コンベアを通して吸引可能である
請求項1~11のいずれか一つに記載の装置。
【請求項13】
主吸引領域(27)の少なくとも一つの吸引仕切り壁(28.1、28.2)の少なくとも一つのスポイラ部分(30)が、主吸引領域(27)の吸引速度vから第二の吸引領域(29)の吸引速度vへの連続的な絶え間のない遷移が起こり及び/または上流に接続された吸引領域(33)の吸引速度vから主吸引領域(27)の吸引速度vまでの連続的な絶え間のない遷移が起こることを条件に設計及び/または配置/及び/または方向付けされている、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
第二の吸引領域(29)にまたはその上に、不織布(1)の予固定のための予固定化デバイスが配置されている、請求項12または13に記載の装置。
【請求項15】
ディフューザ(19)の中央平面Mと予固定化デバイスとの間の距離Bが、100mm~1,000mmである、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
繊維から不織布(1)を製造する方法であって、繊維を紡糸し、そして空気透過性堆積コンベア上に堆積して不織布ウェブまたは不織布(1)とし、ここで、繊維の堆積領域(26)では、主吸引領域(27)において空気またはプロセス空気が下方から堆積コンベアを通して吸引され、そして主吸引領域(27)は、二つの吸引仕切り壁(28.1、28.2)によって画定され、
堆積コンベアの搬送方向に関して主吸引領域(27)または搬入側の吸引仕切り(28.1)の上流に接続された吸引領域(33)が設けられており、及び/または主吸引領域(27)または搬出側の吸引仕切り壁(28.2)の下流に接続された第二の吸引領域(29)が設けられており、
及び、上流に接続された吸引領域(33)において及び/または下流に接続された第二の吸引領域(29)において、主吸引領域(27)と比べて、空気が、より遅い吸引速度で堆積コンベアを通して吸引され
引仕切り壁(28.1、28.2)の少なくとも一つのコンベア側仕切り壁部分が、次を条件に、すなわち
堆積コンベアを通して吸引された空気の吸引速度が、上流に接続された吸引領域(33)から主吸引領域(27)まで、連続的に絶え間なく増加し、及び/または主吸引領域(27)から下流に接続された第二の吸引領域(29)まで連続的に絶え間なく減少することを条件に、
方向付けまたは角度付けされ、
及び主吸引領域(27)における吸引速度v が、上流に接続された吸引領域(33)における吸引速度v よりも及び/または下流に接続された第二の吸引領域(29)における吸引速度v よりも、1.5~4倍速い、
前記方法。
【請求項17】
エンドレスフィラメント(2)からなるスパンボンド不織布が製造される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
からvへの吸引速度の低下が、機械方向(MD)でまたは不織布(1)の搬送方向で、10cm当たり1~8m/sの勾配を有する、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
吸引速度が、主吸引領域(27)における吸引速度vから下流に接続される第二の吸引領域(29)における吸引速度vまで、少なくとも10cmの長さの遷移領域において連続的に絶え間なくまたは線状に絶え間なく減少する、請求項1618のいずれか一つに記載の方法。
【請求項20】
吸引速度が、上流に接続された吸引領域(33)における吸引速度vから主吸引領域(27)における吸引速度vまで、少なくとも10cmの長さの遷移領域において連続的に絶え間なく増加する、請求項1619のいずれか一つに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、繊維から、特に熱可塑性プラスチック製の繊維から不織布を製造するための装置であって、繊維の紡糸のための少なくとも一つの紡糸デバイス、及び繊維を堆積して不織布ウェブまたは不織布にするための空気透過性堆積コンベア、特に堆積スクリーンベルトが設けられている装置に関する。更に、本発明は、繊維からこのような不織布を製造するための対応する方法に関する。不織布を形成する繊維は、本発明の非常に好ましい実施形態ではエンドレスフィラメントである。エンドレスフィラメントは、それらのほぼ無限の長さの点で、例えば10mm~60mmのかなりより短い長さを有する短繊維とは異なる。本発明に従い製造される不織布は、好ましくはこのようなエンドレスフィラメントから構成され、そして特に好ましくは、本発明よる装置または本発明による方法を用いて製造される不織布は、スパンボンド不織布である。
【0002】
冒頭に述べたタイプの不織布を製造するための装置及び方法は、プラクチスから及び従来技術から様々な態様で知られている。多くの用途には、大きい厚さ及び高い柔軟性を有する不織布が必要とされる。不織布の大きな厚さは、一般的に、倦縮またはクリンプ加工されたフィラメントを使用した時に達成される。このためには、中でも、サイド・バイ・サイド構成または偏心的なコア-シース構成を有する多成分フィラメントまたは二成分フィラメントが使用される。大きな厚さ及び高い柔軟性の提供には、一般的に、不織布の比較的低い強度が伴う。これは、機械方向(MD)の引っ張り強度にも、不織布表面の耐摩耗性にも該当する。不織布の固定化による強度の増加も、不織布の厚さの減少及び/または柔軟性の低下を招く。その点で、目的間の対立がある。他の問題の一つは、堆積された不織布ウェブが、特にそれらの表面に関して多くの場合に望ましくない均一さを有する点にある。多くの場合に、不織布面または不織布表面中に欠陥箇所が確認できる。このような欠陥箇所は、中でも、逆流効果(いわゆるブローバック効果)によって引き起こされる。堆積コンベア上に堆積された不織布ウェブが、堆積コンベアの吸引力が比較的強い領域から堆積コンベアの吸引力の比較的低い領域に移る時に、フィラメントまたは不織布構成分が、吸引が比較的低い領域から、吸引が比較的強い領域へといわば引き戻される(ブローバック効果)。これから、乱れの要因となる欠陥箇所または塊が不織布ウェブ中にまたは不織布表面中に生じる。これは、最適な製品品質に関して非常に不利である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
応じて、本発明は、大きい厚さ及び高い柔軟性の不織布を製造できるが、それにも関わらず満足な強度または耐摩耗性も特色としそして中でもほぼ欠陥のない、特に塊がない、不織布を繊維から製造するための装置を提供するという技術的課題に基づくものである。更に、本発明は、このような不織布を製造するための対応する方法を提供するという技術的課題に基づく。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の技術的課題を解決するために、本発明は、繊維、特に熱可塑性プラスチック製の繊維から不織布を製造するための装置であって、繊維を紡糸するための少なくとも一つの紡糸デバイス、及び繊維を堆積して不織布ウェブまたは不織布にするための空気透過性堆積コンベア、特にエンドレスに回転する堆積スクリーンベルトが設けられており、
少なくとも一つの吸引デバイスが存在し、それを用いて、繊維の堆積領域または繊維の主堆積領域では、主吸引領域において、空気またはプロセス空気を下から堆積コンベアを通して吸引でき、主吸引領域は、堆積コンベアの下方で、堆積コンベアの搬入領域(搬入側)において及び堆積コンベアの搬出領域(搬出側)においてそれぞれ少なくとも一つの吸引仕切り壁によって画定されており、
及び少なくとも一つ、特に一つの吸引仕切り壁のコンベア側の端部、または堆積コンベアまでの最も短い距離で配置された、対応する吸引仕切り壁の部分は、10mmと250mmとの間、とりわけ25mmと200mmとの間、特に29mmと140mmとの間、好ましくは30mmと120mmとの間の堆積コンベアまでの垂直距離Aを有する、装置を教示するものである。垂直距離Aとは、特に、吸引仕切り壁のコンベア側端部を通って伸び及び堆積コンベア面に対して垂直に配向した垂直に沿って測定される距離Aを意味する。
【0005】
ここで及び以下に記載する幾何学的パラメータ及び幾何学的関係は、特に、空気を供給していない状態の装置、すなわち空気もしくはプロセス空気吸引無しの及び熱風の供給無しの状態の装置に関する。しかし、本発明による装置は、好ましくは、幾何学的パラメータ及び関係が、空気が供給された状態にも該当しまたは少なくとも殆ど該当するように設計される。-吸引領域とスポイラコンポネントとの間の吸引仕切り壁または仕切り壁が、流動技術的な観点に従い構成されることは本発明の枠内である、というのも、このコンポネントは、流れを方向付ける機能を果たすためである。
【0006】
本発明の好ましい実施形態によれば、垂直距離Aは、20mm~160mm、特に20mm~150mm、好ましくは25mm~150mm、とりわけ30mm~150mmである。-本発明の特に好ましい実施形態の一つによれば、少なくとも一つの、特に一つの吸引仕切り壁は、それのコンベア側端部に、残りの吸引仕切り壁から角度付けされたスポイラ部分として形成された仕切り壁部分を含む。この際、このスポイラ部分のコンベア側端部は、または堆積コンベアまで最も短い垂直距離を持って配置されたこのスポイラ部分の箇所は、堆積コンベアまで垂直距離Aを有する。本発明のこの推奨される実施形態では、スポイラ部分または仕切り壁の角度付けされた端部は、好ましくは、堆積コンベアに対してもしくは堆積コンベア面Fに対して垂直に配向された垂直Vとまたは当該装置の垂直中央平面Mと角度αを囲む。この角度αは、有利には、90°よりも小さく、好ましくは85°より小さい。この推奨される実施形態では、スポイラ部分は、線形のまたは本質的には線形の横断面を有する傾斜して角度付けられたスポイラ部分として有効に形成されている。
【0007】
本発明の他の変形の一つでは、少なくとも一つの、特に一つの吸引仕切り壁は、それのコンベア側端部において、互いに対して角度付けされて配置された二つのスポイラコンポネントを有する角度要素の形のスポイラ部分を含み、及びこのスポイラ部分のコンベア側端部はまたは堆積コンベアまで最も短い垂直距離を持って配置された、このスポイラ部分の箇所は、堆積コンベアまで垂直距離Aを有する。スポイラ部分または角度要素が、堆積コンベア面Fに対して横断的に、特に垂直もしくは本質的に垂直に方向付けされたスポイラコンポネントを有することが推奨される。更に、スポイラ部分または角度要素が、堆積コンベア面Fに対して平行にまたは本質的に平行に配向されたスポイラコンポネントを有することも本発明の枠内である。有利には、両スポイラコンポネントは、角度要素に対して直接に一緒に接続している。
【0008】
スポイラ部分の折り曲げられた箇所もしくは角度付けされた箇所及び/またはスポイラ部分の平行なスポイラコンポネントの接続点が、堆積コンベアまでまたは堆積スクリーンベルトまで、20mm~200mm、特に30mm~190mmの垂直距離を有することは本発明の枠内である。
【0009】
繊維の主堆積領域の下方の二つの吸引仕切り壁によって画定された主吸引領域において、空気またはプロセス空気の最大吸引が起こることは本発明の枠内である。本発明による装置の他の吸引領域において、空気またはプロセス空気が堆積コンベアを通して吸引される時は、この好ましい実施形態では、主吸引領域で吸引された空気またはプロセス空気は、最も高い吸引速度vを有する。主吸引領域の上流に他の吸引領域が接続できること及び/または主吸引領域の下流に他の吸引領域を接続できることは以下に更に説明する。堆積コンベアを通したまたは堆積スクリーンベルトを通した吸引に関する空気またはプロセス空気の吸引速度は、本発明の枠内では、特に、堆積コンベアまたは堆積スクリーンベルトの上で直接測定され、詳しくは、有利には、堆積コンベアまたは堆積スクリーンベルトまで0mm~5mmの距離で測定される。
【0010】
従来技術からは、繊維の主堆積領域の下の二つの吸引仕切り壁によって画定された吸引領域は基本的に既知である。これらの両吸引仕切り壁のコンベア側端部は、従来技術から既知の幾つもの装置においても、多かれ少なかれ曲げて形成されている。しかし、この吸引仕切り壁のコンベア側端部は堆積コンベアまでもしくは堆積スクリーンベルトまで達し、そして吸引仕切り壁のコンベア側端部と、堆積コンベアもしくは堆積スクリーンベルトとの間には、非常に短い距離しか形成されていないかまたは距離がない。それ故、本発明によれば、少なくとも一つの吸引仕切り壁のコンベア側端部と堆積コンベアもしくは堆積スクリーンベルトとの間に比較的大きな距離Aが保持される点で、本発明による装置は前記の既知の装置とは既に明らかに異なっている。
【0011】
本発明の枠内で非常に特に重要な好ましい実施形態の一つは、主吸引領域の一つの吸引仕切り壁のみが、堆積コンベアまで垂直距離Aを保持し、そして好ましくは、それのコンベア側端部にまたはそれのコンベア側領域にスポイラ部分を有することを特徴とする。この際、この吸引仕切り壁が、堆積コンベアの搬送方向に関して搬出側の吸引仕切り壁であることが推奨される。この実施形態を用いることにより、本発明の技術的課題は格別効果的に解消できる。
【0012】
本発明の推奨される実施形態の一つでは、残りの吸引仕切り壁から角度付けされたスポイラ部分は、横断面が線形または本質的に線形に形成されており、そしてこのスポイラ部分の面は、平面としてまたは本質的に平らな面として設計されている。この点で、コンベア側端部の構成のこの好ましい実施形態は、コンベア側領域において湾曲もしくは連続的に湾曲されて形成されている従来技術から既知の吸引仕切り壁とは異なっている。-角度付けされたスポイラ部分が、堆積コンベア面Fに対して垂直に配向した垂直に関してまたは当該装置の垂直な中央平面Mに関して、角度αで角度付けされていることは本発明の枠内である。有利には、この角度αは、10°より大きく、特に15°より大きく、好ましくは20°より大きく、非常に好ましくは25°より大きい。本発明の推奨される実施形態の一つによれば、角度αは30°より大きい。本発明の更に別の好ましい実施形態の一つは、角度αが35°より大きいこと、及びとりわけ40°より大きいことを特徴とする。-この角度付けされたスポイラ部分が、堆積コンベア面Fに対して垂直に配向された垂直Vに関してまたは当該装置の垂直中央平面Mに関して、主吸引領域の他のもしくは反対側の吸引仕切り壁の堆積コンベア側の仕切り壁部分よりも、強く角度付けされていることは本発明の枠内である。この際、本発明によるこのスポイラ部分が、主吸引領域の他のまたは反対側の吸引仕切り壁の堆積コンベア側の仕切り壁部分よりも、少なくとも5°、特に少なくとも10°、好ましくは15°強く角度付けされていることが本発明の枠内で好ましい。
【0013】
本発明の非常に推奨される実施形態の一つは、角度付けされたこのスポイラ部分が、堆積コンベア面Fへのそれの投影として、主吸引領域の他のまたは反対側の吸引仕切り壁の、堆積コンベア側の角度付けされたもしくは湾曲された仕切り壁部分の対応する投影よりも、より長い長さLを有することを特徴とする。特に、堆積コンベア面Fへの角度付けされたスポイラ部分の投影の長さLは、30mm~200mm、好ましくは35mm~180mm、特に好ましくは40mm~150mmである。本発明の実施形態の一つでは、長さLは50mm~150mmである。本発明の実施形態の一つは、長さLが、堆積コンベアまでの距離Aよりも長いかまたは距離Aと同じであることを特徴とする。-有利には、角度付けされたスポイラ部分の垂直高さh、特に当該装置の中央平面Mへの投影における角度付けされたスポイラ部分の垂直高さhは、5mm~300mm、好ましくは10mm~150mm、とりわけ15mm~100mmである。
【0014】
スポイラ部分が、それのコンベア側端部に関して、他のまたは反対側の吸引仕切り壁の堆積コンベア側の仕切り壁部分のコンベア側端部よりも、堆積コンベアまでより長い垂直距離Aを保持することは本発明の枠内である。有利には、スポイラ部分のコンベア側端部の距離Aは、主吸引領域の他のまたは反対側の吸引仕切り壁の堆積コンベア側の仕切り壁部分のコンベア側端部の対応する距離Aよりも、少なくとも0.8倍、とりわけ少なくとも1.5倍、特に少なくとも2倍長い。-スポイラ部分が、堆積コンベアまたは堆積スクリーンベルトの幅の少なくとも80%にわたって、特に少なくとも85%にわたって、好ましくは少なくとも90%にわたって、非常に好ましくは少なくとも95%にわたって、機械方向(MD)に対して横断方向または垂直に延在することは本発明の枠内である。ここで及び以下において、機械方向(MD)とは、堆積コンベアの搬送方向または堆積された不織布ウェブの搬送方向を意味する。
【0015】
本発明の実施形態の一つによれば、スポイラ部分は、関連する吸引仕切り壁の、主吸引領域の中央または中央平面Mとは反対側の方に配向または角度付けされている。それ故、この実施形態では、スポイラ部分は、堆積コンベアの搬送方向に配向または角度付けされている。本発明の他の実施形態の一つでは、スポイラ部分は、主吸引領域の中央または中央平面Mの方に配向または角度付けされている。それ故、後者のこの実施形態では、スポイラ部分は、堆積コンベアの搬送方向とは反対方向に配向または角度付けされている。本発明によるスポイラ部分は、有利には、繊維の紡糸のための二つ以上の紡糸デバイスまたは紡糸ビームを備えた二ビーム型設備または多ビーム型設備において使用できる。
【0016】
本発明の特に好ましい実施形態の一つは、繊維を紡糸するための少なくとも二つの紡糸デバイスまたは紡糸ビームが設けられ、ここで、各々の紡糸デバイスまたは各々の紡糸ビームに主吸引領域が割り当てられ、これらの主吸引領域では、空気またはプロセス空気を、堆積コンベアを通してまたは堆積スクリーンベルトを通して吸引可能であり、及びこれらの主吸引領域はそれぞれ二つの吸引仕切り壁によって画定されており、
及び、各々の主吸引領域の少なくとの一つはスポイラ部分を備え、ここで堆積コンベアの搬送方向に関して第一の主吸引領域の第一のスポイラ部分、特に、第一の主吸引領域の搬出側の吸引仕切り壁に接続されたスポイラ部分は、接続された吸引仕切り壁の、この第一の主吸引領域の中央または中央平面Mとは反対側に向けて配向または角度付けされており、
及び、堆積コンベアの搬送方向に関して第二の下流に割り当てられた主吸引領域の第二のスポイラ部分、特に、この第二の主吸引領域の搬出側吸引仕切り壁に接続されたスポイラ部分は、この第二の主吸引領域の中央または中央平面Mの方に配向または角度付けされている、
ことを特徴とする。
【0017】
上流に接続された少なくとも一つの吸引領域及び/または下流に接続された少なくとも一つの吸引領域に関して、最も速い吸引速度vを有する最大吸引は、この実施形態の少なくとも二つの主吸引領域のそれぞれにおいて起こることは本発明の枠内である。先に説明した実施形態では、搬送方向で第一の紡糸ビームに割り当てられたスポイラ部分は、堆積コンベアの搬送方向に方向付けまたは角度付けされており、他方、搬送方向で第二の紡糸ビームに割り当てられたスポイラ部分は、堆積コンベアの搬送方向とは反対の方に方向付けまたは角度付けされている。少なくとも二つの紡糸ビームから生成された繊維堆積物または不織布ウェブが、同じ堆積コンベア上にまたは同じ堆積スクリーンベルト上に堆積されることは本発明の枠内である。その他の点では、特に二ビーム型設備または多ビーム型設備の少なくとも二つのスポイラ部分については、先にスポイラ部分について説明した好ましい実施形態及び設計が該当する。
【0018】
本発明の枠内において就中特に重要な推奨される実施形態の一つは、本発明による装置は、エンドレスフィラメントからスパンボンド不織布の製造のためのスパンボンド装置として構築されることを特徴とする。この際、二ビーム型設備または多ビーム型設備を用いて作業する場合には、この設備が、少なくとも二つの本発明によるスパンボンド装置コンポネントまたは少なくとも二つの相前後して接続されたスパンボンド装置コンポネントを有することは本発明の枠内である。特に好ましくは、本発明による装置は、倦縮したエンドレスフィラメントからスパンボンド不織布を製造するためのスパンボンド装置として構築されている。この際、当該スパンボンド装置を用いて、多成分フィラメントまたは二成分フィラメントが生成され、このフィラメントが、有利には、偏心的なコア-シース構成またはサイド・バイ・サイド構成を有することは本発明の枠内である。本発明による装置またはスパンボンド装置は、偏心的なコア-シース構成を有する倦縮したエンドレスフィラメントの生成のために特に有効であることが判明した。このためには、特に好ましい実施形態は、以下に更に詳しく説明する。
【0019】
本発明による装置またはスパンボンド装置コンポネントが、紡糸デバイスの後に接続された少なくとも一つの冷却デバイス、及び前記冷却デバイスの後に接続された少なくとも一つの延伸デバイスを有することは本発明の枠内である。特に、前記延伸デバイスの後に接続された少なくとも一つのディフューザが設けられている。-本発明の就中特に好ましい実施形態の一つは、冷却デバイスと延伸デバイスとの連結機械を閉鎖系連結機械として構成すること、及び冷却デバイス中への冷却用空気の供給は除いて、該連結機械中への外部からの更なる空気供給は行われないことを特徴とする。ディフューザまたは繊維の流れ方向で最後のディフューザを離れる繊維またはエンドレスフィラメントは、堆積コンベアまたは堆積スクリーンベルト上に堆積される。
【0020】
本発明の非常に有効であることが判明した実施形態の一つは、堆積コンベアまたは堆積スクリーンベルトの上に直接配置されたディフューザが、二つの相対するディフューザ壁を有し、ここで下方に末広がりに伸びる二つのディフューザ壁部分が設けられることを特徴とする。好ましくは、該ディフューザの下方に末広がりに伸びる両ディフューザ壁部分は、ディフューザの中央平面Mに関して非対称的に配置されている。この際、堆積コンベアに関して搬入側のディフューザ壁部分が、搬出側のディフューザ壁部分と比べて、ディフューザの中央平面Mとより小さな角度βを囲むことが推奨される。有利には、搬入側のディフューザ壁部分が中央平面Mと囲む角度βは、搬出側のディフューザ壁部分が中央平面Mと囲む対応する角度よりも少なくとも1°小さい。中央平面Mに関してのディフューザの非対称的な設計は、本発明による技術的課題の解決策に関して特に有効であることが判明した。末広がりに伸びるディフューザ壁部分の堆積コンベア側の端部は、当該装置の中央平面Mに対して様々な距離eを有することは本発明の枠内である。好ましくは、搬入側のディフューザ部分のコンベア側端部の距離eは、当該装置の中央平面Mに対する搬出側のディフューザ壁部分のコンベア側端部の距離eよりも短い。距離e:eの比率は、有利には0.6~0.95、好ましくは0.65~0.9、とりわけ0.7~0.9である。-本発明の実施形態の一つでは、堆積コンベアまでの距離Aは、距離e及びeの合計(e+e)の10~200%である。
【0021】
本発明の好ましい実施形態の一つは、末広がりに伸びるディフューザ壁部分の堆積コンベア側端部は、堆積コンベアまでまたは堆積スクリーンベルトまで様々な垂直距離を有することを特徴とする。この際、搬入側のディフューザ部分のコンベア側端部は、有利には、搬出側のディフューザ部分のコンベア側端部よりも、堆積コンベアまでまたは堆積スクリーンベルトまでより短い距離を有する。好ましくは、搬入側のディフューザ部分のコンベア側端部の距離は、堆積コンベアまでの搬出側ディフューザ部分のコンベア側端部の距離の20%~60%、特に20%~40%である。この実施形態では、距離e及びeは、有利には、堆積コンベアに対してまたは堆積スクリーンベルトに対して水平または平行に測定される。上記の実施形態は、二ビーム型設備または多ビーム型設備では、特に第二のビーム設備のディフューザのために適している。
【0022】
本発明の推奨される実施形態の一つは、堆積コンベアの上にまたは堆積スクリーンベルトの上に直接配置されたディフューザが、相対する二つのディフューザ壁を有し、ここで、ディフューザの流入部には、相対する少なくとも二つの二次空気入口間隙が設けられ、これらの間隙は、それぞれ、相対する両ディフューザ壁の一つに配置されている。ここで、ディフューザの流入部は、延伸された繊維またはフィラメントが入るディフューザの端部を意味する。好ましくは、堆積コンベアの搬送方向で搬入側にある二次空気入口間隙によって、搬出側二次空気入口間隙と比べてより少ない二次空気体積流量を導入可能である。そのためには、本発明による装置の設計の一つによれば、搬入側の二次空気入口間隙は、搬出側の二次空気入口間隙と比べて、機械方向(MD)でより狭く設計されている。搬入側の二次空気入口間隙の幅及び/または搬出側の二次空気入口間隙の幅が調節可能であることは本発明の枠内である。搬入側の二次空気入口間隙の二次空気体積流量が、搬出側の二次空気入口間隙による二次空気体積流量よりも、少なくとも5%、好ましくは少なくとも10%、とりわけ少なくとも15%少ないことが推奨される。搬入側二次空気入口間隙及び搬出側二次空気入口間隙で異なる二次空気体積流量を用いる実施形態は、本発明による技術的課題の解決に関して特に有効であることが判明した。
【0023】
本発明による装置またはスパンボンド装置の主吸引領域には、堆積コンベアまたは堆積スクリーンベルトの搬送方向で下流に第二の吸引領域が接続され、そこで、空気またはプロセス空気が堆積コンベアを通してまたは堆積スクリーンベルトを通して吸引されることは本発明の枠内である。この際、この第二の吸引領域において堆積コンベアまたは堆積スクリーンベルトを通るプロセス空気の吸引速度vは、主吸引領域における吸引速度vよりも遅いことが好ましい。更に、紡糸ビームの主吸引領域には、前記の第二の吸引領域の他に、堆積コンベアの搬送方向で下流に更なる吸引領域が接続されることは本発明の枠内である。この際、本発明の好ましい実施形態の一つは、堆積コンベアまたは堆積スクリーンベルトを通る空気またはプロセス空気の吸引速度が、搬送方向で主吸引速度から前記の更なる吸引領域にかけて低下し、そうして、主吸引領域が最大の吸引速度vを有し、そして第二の吸引領域が二番目に高い吸引速度vを有し、そしてこの第二の吸引領域に接続された前記の更なる吸引領域が、第二の吸引領域の吸引速度vよりも遅い吸引速度を有することを特徴とする。
【0024】
本発明の推奨される実施形態の一つによれば、主吸引領域の前に、堆積コンベアの搬送方向に関して上流に接続された吸引領域が接続され、そこで、空気またはプロセス空気が、堆積コンベアまたは堆積スクリーンベルトを通して吸引される。この際、この上流に接続された吸引領域において堆積コンベアまたは堆積スクリーンベルトを通るプロセス空気の吸引速度vは、主吸引領域における吸引速度vよりも遅いことが好ましい。吸引速度vが、第二の吸引領域における吸引速度vよりも速いことが有利である。このような上流に接続された吸引領域は、特に、後に続く主吸引領域が、二ビーム型設備または多ビーム型設備において少なくとも一つの第一の紡糸ビームの後に続く紡糸ビームに設置される場合に設けられる。上流に接続された吸引領域を備えたこの後者の実施形態では、搬出側の吸引仕切り壁に接続されたスポイラ部分が、主吸引領域の中央または中央平面Mに向けて角度付けされることが有利である。しかし、他の実施変形の一つでは、このスポイラ部分は、堆積コンベアの搬送方向にも方向付けまたは角度付けされていることができる。-二ビーム型設備または多ビーム型設備において、第一の紡糸ビームの第一の主吸引領域の搬出側の吸引仕切り壁に接続されたスポイラ部分が、接続された吸引仕切り壁の、この第一の主吸引領域の中央とは反対側の方に向けて、それ故、堆積コンベアの搬送方向に方向付けまたは角度付けされることが推奨される。
【0025】
本発明の特に好ましい実施形態の一つは、主吸引領域の少なくとも一つの吸引仕切り壁の少なくとも一つのスポイラ部分及びとりわけ搬出側吸引仕切り壁のスポイラ部分が、
主吸引領域の吸引速度vから第二の吸引領域の吸引速度vまでの連続的で絶え間のない遷移が起こり、
及び/または、上流に接続された吸引領域の吸引速度vから主吸引領域の吸引速度vまでの連続的で絶え間のない遷移が起こることを条件に、
設計及び/または配置及び/または方向付けされることを特徴とする。
【0026】
この際、吸引速度が、主吸引領域における吸引速度vから下流に接続された第二の吸引領域における吸引速度vに至るまで、少なくとも14cm、特に少なくとも16cm、好ましくは少なくとも18cmの長さの遷移領域にわたって、絶え間なくかつ連続的に低下することが特に好ましい。更に、上流に接続された吸引領域の場合には、吸引速度が、上流に接続された吸引領域における吸引速度vから主吸引領域における吸引速度vに至るまで、少なくとも10cm、特に少なくとも16cm、好ましくは少なくとも18cmの長さの遷移領域にわたって絶え間なくかつ連続的に増加することが好ましい。-両ケースの場合、前記遷移領域は、有利には最大40cm、とりわけ最大35cm、好ましくは最大30cmの長さである。-従来技術から既知の装置では、吸引速度の上記の低下または吸引速度の上記の増加は多かれ少なかれ急激に起こる。これに対して、本発明によれば、吸引速度の連続的な遷移のために少なくとも10cmの遷移領域が作り出される。
【0027】
本発明の特に推奨される実施形態の一つは、第二の(主吸引領域の後に接続された)吸引領域の上に、不織布の予固定化のための少なくとも一つの、特に一つの予固定化デバイスが配置されることを特徴とする。有利には、この予固定化デバイスは、熱風式予固定化デバイス、特に熱風ナイフである。ここで基本的には、熱風炉も、熱風式予固定化デバイスとして使用することができる。原理的には、予固定化は、圧密化ロール及び/またはカレンダーを用いても可能である。-本発明の有効であることが判明した実施形態の一つは、当該装置またはディフューザの中央平面Mと予固定化デバイスとの間の距離Bが、100mm~1,000mm、とりわけ110mm~600mm、好ましくは120mm~550mmであることを特徴とする。この際、距離Bは、とりわけ、上記の中央平面Mと、予固定化デバイスの搬送方向で後続する第一のコンポネントまたは構成コンポネントとの間で測定される。
【0028】
本発明による技術的課題を解決するために、本発明は、更に、繊維から、とりわけ熱可塑性プラスチック製繊維から不織布を製造する方法であって、繊維が紡糸され、そして空気透過性堆積コンベア上に、とりわけ空気透過性堆積スクリーンベルト上に堆積されて不織布ウェブまたは不織布とされ、ここで、繊維の堆積領域では、主吸引領域において、空気またはプロセス空気が、下方から堆積コンベアを通してまたは堆積スクリーンベルトを通して吸引され、ここで主吸引領域は、機械方向(MD)で相前後して配置された二つの吸引仕切り壁によって画定され、
及び、堆積コンベアの搬送方向に関して主吸引領域または搬入側の吸引仕切り板の上流に接続された吸引領域が設けられており、及び/または主吸引領域または搬出側の吸引仕切り壁の下流に接続された第二の吸引領域が設けられており、
及び、上流に接続された吸引領域において及び/または下流に接続された第二の吸引領域において、主吸引領域の場合と比べて、空気が、より遅い吸引速度で堆積コンベアまたは堆積スクリーンベルトを通して吸引され、
及び、吸引仕切り壁のコンベア側の少なくとも一つの仕切り壁部分が、次を条件に、
堆積コンベアを通して吸引される空気の吸引速度が、上流に接続された吸引領域から主吸引領域に至るまで連続的に絶え間なく増加し、及び/または堆積コンベアまたは堆積スクリーンベルトを通して吸引される空気の吸引速度が、主吸引領域から下流に接続された第二の吸引領域に至るまで連続的に絶え間なく低下することを条件に、
方向付けまたは角度付けされる、とりわけ吸引仕切り壁のコンベア側端部の角度付けされたスポイラ部分が、上記を条件として配置または方向付けされる、
上記方法を教示するものである。
【0029】
本発明の推奨される実施形態によれば、主吸引領域における吸引速度vは、上流に接続された吸引領域における吸引速度vよりも及び/または下流に接続された第二の吸引領域における吸引速度vよりも、1.2~5倍、特に1.5~4倍、好ましくは2~4倍、非常に好ましくは2.5~3.5倍速い。この際、有利には、吸引速度は、主吸引領域における吸引速度vから下流に接続される第二の吸引領域における吸引速度vに至るまで、少なくとも10cm、とりわけ少なくとも14cm、特に少なくとも16cm、好ましくは少なくとも18cmの長さの遷移領域において連続的に絶え間なく低下する。上記遷移領域の長さは、好ましくは最大40cm、特に最大30cmである。この点で、上記の吸引速度が主吸引領域における吸引速度vから急激により遅い吸引速度vに低下する従来技術から既知の方法との相違点がある。
【0030】
主吸引領域の上流に接続された吸引領域の場合は、吸引速度が、上流に接続された吸引領域における吸引速度vから主吸引領域における吸引速度vに至るまで、少なくとも10cm、とりわけ少なくとも14cm、特に少なくとも16cm、好ましくは少なくとも18cmの長さの遷移領域で連続的に絶え間なく増加することが推奨される。前記遷移領域は、有利には最大40cm、好ましくは最大30cmである。
【0031】
本発明による方法では、エンドレスフィラメントから、特に捲縮エンドレスフィラメントからスパンボンド不織布が製造されることは本発明の枠内である。エンドレスフィラメントとは、有利には、二成分フィラメントまたは多成分フィラメントであり、詳しくは好ましくは、偏心的なコア-シース構成を有する二成分フィラメントまたは多成分フィラメントである。この際、非常に好ましくは、偏心的なコア-シース構成を有する二成分フィラメントまたは多成分フィラメントが使用され、ここで、コアは、フィラメント断面で、フィラメント周囲の少なくとも20%にわたって、とりわけ少なくとも25%にわたって、特に少なくとも30%にわたって、好ましくは少なくとも35%にわたって、非常好ましくは少なくとも40%にわたって、一定の厚さdまたは本質的に一定の厚さdを有する。この際、フィラメントのコアが、フィラメントのフィラメント横断面の50%超、とりわけ55%超、特に60%超、好ましくは65%超、非常に好ましくは70%超を占めることが推奨される。有利には、フィラメントのコアは、フィラメント断面で見て、弧形に形成されており、そしてそれの周囲に関して円弧形のまたは本質的に円弧形の周囲部分と、線形のまたは本質的に線形の周囲部分とを有する。この際、好ましくは、コアの円弧形周囲部分は、コアの周囲の50%超、とりわけ55%超、好ましくは60%超、非常に好ましくは65%超を占める。フィラメントのシースが、(フィラメント横断面で見て)一定の厚さdを有するシース領域以外の部分は孤形に形成されており、この際、この孤形部は、それの周囲に関して円弧形のまたは本質的に円弧形の周囲部分と、線形のまたは本質的に線形の周囲部分とを有することが推奨されることは本発明の枠内である。本発明の特に好ましい実施形態によれば、フィラメントのシースは、(フィラメント横断面で見て)フィラメント周囲の45%超、とりわけ50%超、特に55%超、好ましくは60%超が、一定の厚さdまたは本質的に一定の厚さdを有する。一定のまたは本質的に一定の厚さdの領域におけるシースの厚さが、フィラメント直径Dまたは最大フィラメント直径Dの10%未満、とりわけ8%未満、好ましくは3%未満であることが推奨される。特に、一定のもしくは本質的に一定の厚さdの範囲のシースの厚さは、0.05μm~5μm、とりわけ0.1μm~4μm、特に0.1μm~3μm、好ましくは0.1μm~2μmである。本発明の非常に好ましい実施形態の一つは、フィラメント横断面に関して、シースの面重心からのコアの面重心の距離aは、フィラメント直径Dまたは最大フィラメント直径Dの5%~45%、とりわけ6%~40%、特に6%~36%であることを特徴とする。
【0032】
本発明による方法の枠内において、少なくとも一種のポリオレフィンからなるかまたは本質的になる繊維またはエンドレスフィラメントが特に有効であることが判明した。有利には、繊維またはエンドレスフィラメントは、ポリエチレン及び/またはポリプロピレンからなる。コア-シース構成または偏心的コア-シース構成を有するフィラメントが使用される場合には、繊維またはフィラメントのコア及び/またはシースが、少なくとも一種のポリオレフィンからまたは本質的に少なくとも一種のポリオレフィンからなることが有利である。この際、フィラメントのコアも、シースも、少なくとも一種のポリオレフィンからなるかまたは本質的になることが特に好ましい。とりわけ、シースは、ポリエチレンからなるかまたは本質的にポリエチレンからなり、そしてコアは、好ましくはポリプロピレンからなるかまたは本質的にポリプロピレンからなる。-基本的に、フィラメントのコア及び/またはシースが、少なくとも一種のポリエステル及び/またはコポリエステルからなるかまたは本質的になることも本発明の枠内である。本発明の一実施変形は、フィラメントのコアがポリエステル及び/またはコポリエステルからなるかまたは本質的になること及びフィラメントのシースがポリオレフィンからなることを特徴とする。他の実施変形の一つは、フィラメントのコアがポリエステルからなるかまたは本質的になること、及びシースが、コア成分と比べてより低い融点を有するポリエステル及び/またはコポリエステルからなるかまたは本質的になることを特徴とする。
【0033】
本発明の推奨される実施形態の一つは、フィラメントの成分または偏心的コア-シース構成を持つフィラメントのコア及び/もしくはシースが、“ポリオレフィン、ポリオレフィン-コポリマー、とりわけポリエチレン、ポリプロピレン、PEコポリマー、PPコポリマー;ポリエステル、ポリエステルコポリマー、とりわけポリエチレンテレフタレート(PET)、PETコポリマー、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、PBTコポリマー、ポリラクチド(PLA)、PLAコポリマー”の群からの少なくとも一種のポリマーからなるかまたは本質的になることを特徴とする。上記の成分またはコア及び/もしくはシースが、これらのポリマーの混合物またはブレンドからなるかまたは本質的になることも可能である。
【0034】
本発明に従い使用される偏心的コア-シース構成を有するフィラメントにおいて、シースのプラスチックが、コアのプラスチックよりも低い融点を有することは本発明の枠内である。-有利には、本発明による方法の枠内では、1denと12denとの間、非常に好ましくは1.0denと2.5denとの間の繊度を有する繊維またはフィラメントが使用される。本発明の非常に推奨される実施形態の一つは、1.7den~2.3den、特に1.8den~2.2denの繊度を有する繊維またはフィラメントを使用することを特徴とする。
【0035】
更に、主堆積領域において及び主吸引領域上で堆積された不織布ウェブは、主堆積領域に次いで予固定化デバイスで予固定化され、詳しくは好ましくは熱風ナイフを用いて予固定化されることは本発明の枠内である。この際、予固定化デバイスまたは熱風式予固定化デバイスは、有利には、第二の吸引領域の上に存在し、そこでは、好ましくはプロセス空気が、吸引速度vで堆積コンベアを通して吸引される。本発明の一実施形態によれば、不織布ウェブは、上記の第一の予固定化デバイスの後に、堆積コンベアにより第二の予固定化デバイスに案内され、これは、有利には同様に熱風式予固定化デバイスとして構成される。この第二の予固定化デバイスの領域でまたはその下で、プロセス熱風が堆積コンベアを通して吸引され、詳しくは、吸引速度vで吸引され、この吸引速度vは、主吸引領域の吸引速度vよりも遅く、また第二の吸引領域の吸引速度vよりも遅い。両予固定化または熱風を用いた両予固定化が、同じ堆積コンベア上で行われることは本発明の範囲内である。一つの推奨される実施形態によれば、第一の予固定化デバイスは熱風ナイフとして構成されており、そして第二の予固定化デバイスは熱風炉として構成されている。基本的に、予固定化デバイスまたは熱風式予固定化デバイスの他の組み合わせも使用することができる。
【0036】
本発明は、本発明による装置及び本発明による方法を用いることにより、殆ど欠陥無く形成されておりそして均一な不織布面または不織布表面を有する不織布、特にスパンボンド不織布を生成できるという知見に基づく。本発明は更に、中でも、有害な逆流効果(フローバック効果)を、主堆積領域と堆積コンベアの後続の領域との間の遷移領域において殆ど排除することができ、そしてそれに伴う欠陥、特に繊維の集塊を殆ど避けることができるという知見にも基づいている。追加的に、本発明による装置及び本発明による方法は、中でも、捲縮した繊維またはフィラメントからなる不織布のために適しているという知見に基づく。ここで、大きい厚さ及び高い柔軟性を有する不織布を、何ら問題なく、また中でも欠陥無く及び乱れの要因となる繊維の塊を形成することなく製造することができる。これに関連して、偏心的なコア-シース構成を有するエンドレスフィラメント、中でも、偏心的なコア-シース構成を持つ先に記載した好ましいフィラメントがとりわけ有効であることが判明した。本発明に従い生成された不織布は、簡単かつ的確に固定化することができ、しかも、この際、厚さまたは柔軟性の望ましくない損失を甘受する必要もない。一方で不織布の十分な強度(MD方向)を達成でき、他方で、十分な耐磨耗性も達成できる。また同時に、望ましい厚さ及び柔軟性を問題なく、中でも、不織布面中に乱れの要因となる欠陥無く、維持することができる。この点で、厚さ、柔軟性、強度及び欠陥の無さの最適な組み合わせを達成でき、そして中でも、望ましい特性を、パラメータの然るべき選択によって簡単にかつ機能的に安全に調節することができる。本発明に従い生成された不織布は、ハイロフト不織布の全ての要求を満たす。更に、これらの有利な特性は、比較的少ない労力で達成できる。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下には、本発明を、一つのみの実施例を示す図面に基づいてより詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1図1は、不織布を製造するための本発明の装置の垂直断面を示す。
図2図2は、堆積コンベアの領域における図1の拡大図を示す。
図3図3は、代替的な実施形態における図2による物を示す。
図4図4は、主吸領域と第二の吸引領域との間の遷移領域における位置に対する吸引速度の依存性を図示する。
図5図5は、不織布を製造するための、二つの本発明による装置コンポネントを備えた2ビーム型設備または多ビーム型設備の垂直断面図を示す。
図6図6は、本発明に従い製造される不織布のために好ましく使用される、偏心的なコア-シース構成を有するフィラメントの断面を示す。
【0039】
図1は、熱可塑性プラスチック製の繊維から不織布1を製造するための本発明による装置を示し、ここで、前記繊維は、好ましくは及び当該実施例においては、エンドレスフィラメント2であり、詳しくは、推奨されるところでは及び当該実施例においては、偏心的なコア-シース構造を持つ二成分フィラメントである。本発明の枠内において特に好ましい、偏心的なコア-シース構成を持つエンドレスフィラメント2は、以下でより詳しく説明する。推奨されるところでは及び当該実施例においては、本発明による装置は、スパンボンド不織布を製造するためのスパンボンド装置として構成されている。
【0040】
図1は、エンドレスフィラメント2の紡糸のための防止装置10を示す。好ましくは及び当該実施例においては、紡糸されたエンドレスフィラメント2は、冷却室12を備えた冷却デバイス11に導入される。有利には及び当該実施例においては、冷却室12の二つの相対する側面には、上下に重ねて配置された空気供給キャビン13、14が配置されている。これらの上下に重ねて配置された空気供給キャビン13、14からは、有利には、異なる温度の空気が冷却室12中に導入される。-推奨される実施形態によれば及び当該実施形態においては、紡糸デバイス10と冷却デバイス11との間に、モノマー吸引デバイス15が配置されている。このモノマー吸引デバイス15を用いて、紡糸プロセス中に生じる障害となるガスを装置から除去することができる。これらのガスは、例えばモノマー、オリゴマーまたは分解生成物及び類似の物質であることができる。
【0041】
フィラメントの流れ方向において、冷却デバイス11の後に、エンドレスフィラメント2の延伸のための延伸デバイス16が接続されている。好ましくは及び当該実施例において、延伸デバイス16は、中間チャネル17を有し、これは、冷却デバイス11を、延伸デバイス16の延伸シャフト18と接続する。特に好ましい実施形態によれば及び当該実施例において、冷却デバイス11及び延伸デバイス16からなる連結機械または冷却デバイス11、中間チャネル17及び延伸シャフト18からなる連結機械は、閉じられた連結機械として構成されており、そして冷却デバイス11中への冷却空気の供給の他は、この連結機械への外部からの更なる空気供給は行われない。
【0042】
推奨されるところでは及び当該実施例では、フィラメントの流れ方向において、延伸デバイス16にはディフューザ19が接続され、それを通してエンドレスフィラメント2が案内される。ディフューザ19を通過した後、エンドレスフィラメントは、好ましくは及び当該実施例においては、堆積スクリーンベルト20として構成された堆積コンベア上に堆積される。堆積スクリーンベルト20は、好ましくは及び当該実施例においては、エンドレスに走行する堆積スクリーンベルト20として構成されている。堆積スクリーンベルト20が空気透過性に設計されており、そうして堆積スクリーンベルト20を通した下からのプロセス空気の吸引が可能となっていることは本発明の枠内である。
【0043】
推奨される実施形態によれば及び当該実施例においては、ディフューザ19、または堆積スクリーンベルト20の上に直接配置されたディフューザ19は、相対する二つのディフューザ壁を有し、ここで、二つの下方に末広がりに延びるディフューザ壁部分21、22が設けられており、これらは、好ましくは及び当該実施例では、ディフューザ20の中央平面Mに対して非対称的に構成されている。有利には及び当該実施例では、搬入側のディフューザ壁部分21、または搬入側ディフューザ部分21のスクリーンベルト側端部は、ディフューザ19のまたは当該装置の中央平面Mまでの距離e1を有し、この距離eは、搬出側ディフューザ壁部分22のまたは搬出側ディフューザ部分22のスクリーンベルト側端部の距離eよりも比較的短い。推奨されるところでは及び当該実施例では、搬入側ディフューザ部分21は、ディフューザ19または当該装置の中央平面Mと角度βを囲い、これは、反対側にある搬出側ディフューザ壁部分22が中央平面Mと囲う角度よりも小さい。
【0044】
本発明の推奨される実施形態の一つによれば、ディフューザ19の流入箇所23には、相対する二つの二次空気入口間隙24、25が設けられており、これらはそれぞれ、相対する両ディフューザ壁の一方に配置されている。好ましくは、堆積スクリーンベルト20の搬送方向で搬入側にある二次空気入口間隙24によって、搬出側二次空気入口間隙25と比べてより少ない二次空気体積流量を導入可能である。
【0045】
好ましくは及び当該実施例においては、少なくとも一つの吸引デバイスが存在し、それを用いることにより、堆積領域またはフィラメント2の主堆積領域26では、主吸引領域27において空気またはプロセス空気が堆積スクリーンベルト20を通して吸引される。主吸引領域27は、堆積スクリーンベルト20の下方で、堆積スクリーンベルト20の搬入領域及び堆積スクリーンベルト20の搬出領域において、それぞれ吸引仕切り壁28.1、28.2によって画定されている。
【0046】
少なくとも一つの、特に一つの吸引仕切り壁28.1、28.2が、それのコンベア側端部において、スポイラ部分30として形成された仕切り壁部分を有することは本発明の枠内である。-図1及び2による実施例では、搬出側の吸引仕切り壁28.2は、それのコンベア側端部において、残りの吸引仕切り壁28.2から角度付けられた、スポイラ部分30として形成された隔離壁部分を有する。図1及び2に示されたこの実施例では、スポイラ部分30は、搬出側吸引仕切り壁28.2のほぼ一体化された構成部分であり、そして単に、この吸引仕切り壁28.2の角度付けされた仕切り壁部分として形成されている。好ましくは及び当該実施例において、堆積スクリーンベルト20までのスポイラ部分30のコンベア側端部の垂直距離Aは、10mmと250mmとの間、より好ましい実施形態では18mmと120mmとの間である。スポイラ部分30は、好ましくは並びに図1及び2による実施例では、関連する吸引仕切り壁28.2の、主吸引領域27の中央とは反対側の面に対して角度付けされている。
【0047】
図3は、スポイラ部分30の更なる実施形態を示す。ここでは、スポイラ部分30は、搬出側の吸引仕切り壁28.2に別個の角度要素として接続されている。この角度要素は、好ましくは及び当該実施例においては、単に、二つの互いに対して角度付けされて配置されたスポイラコンポネント34、35から構成されている。有利には及び当該実施例において、両方のスポイラコンポネント34、35は、互いに直角に配向している。好ましくは、スポイラ部分30のスポイラコンポネント34は、堆積スクリーンベルト20の堆積コンベア面Fに対して垂直に方向付けされており、そして他のスポイラコンポネント35は、堆積コンベア面Fに対して並行に配向している。ここで、スポイラ部品30のコンベア側端部は、同様に、堆積コンベアまたは堆積スクリーンベルト20まで本発明による距離Aを有する。
【0048】
好ましくは及び図1による実施例では、主吸引領域27には、堆積スクリーンベルト20の搬送方向に第二の吸引領域29が続いて接続されており、この領域では、空気またはプロセス空気が堆積スクリーンベルト20を通して吸引される。好ましくは及び当該実施例においては、第二の吸引領域29において堆積スクリーンベルト20を通るプロセス空気の吸引速度vは、主吸引領域27における吸引速度vよりも遅い。
【0049】
不織布ウェブの搬送方向で、堆積領域26の後にまたは主吸引領域27の後に、不織布ウェブを熱的に予固定化するための少なくとも一つの熱的予固定化デバイスが設けられることは本発明の枠内である。更に、この熱的予固定化デバイスが、第二の吸引領域29に接してまたはその上方に配置されることも本発明の枠内である。特に好ましい実施形態によれば、該熱的予固定化デバイスは熱風で作動し、そして主吸引領域27の後に接続されたこの熱的予固定化デバイスは、特に好ましくは熱風ナイフ31である。しかし、基本的に、他の予固定化デバイスまたは熱風式予固定化デバイスも使用することができる。熱的予固定化デバイスまたは熱風式予固定化デバイスを用いて、不織布ウェブのフィラメント2間の接合点を簡単に実現することができる。有利には、ディフューザ19または当該装置の中央平面Mと、(特に熱風ナイフ31の形の)第一の熱風式予固定化デバイスとの間の間隔B(図2及び3)は、120mm~550mmである。
【0050】
本発明の一つの実施形態によれば、不織布ウェブの予固定化のために少なくとも二つの熱的予固定化デバイスが設けられている。ここで図1は、好ましい実施形態の一つを示す。不織布ウェブの搬送方向で第一の熱的予固定化デバイスは、熱風ナイフ31であり、好ましくは、この熱風ナイフ31の後には、堆積スクリーンベルト20の搬送方向に熱風炉32の形の第二の熱的予固定化デバイスが接続されている。熱風炉32の領域においても、堆積スクリーンベルト20を通して空気が吸引されることは本発明の枠内である。更に、堆積スクリーンベルト20を通して吸引される空気の吸引速度は、堆積スクリーンベルト20の搬送方向で、主吸引領域27から更に別の吸引領域に至るまで減少することは本発明の枠内である。
【0051】
本発明によるスポイラ部分30を用いることで、主吸吸引領域27から第二の吸引領域29に至るまでの吸引速度の連続的でいわば緩やかな遷移が生じることが達成される。スポイラ部分30は、図1~3による実施形態では、主吸引領域27の中央に対し、または関連する吸引仕切り壁28.2の、中央平面Mとは反対側の面に対し、方向付けされるかまたは角度付けされている。
【0052】
スポイラ部分30の図2に示される好ましい実施形態では、スポイラ部分30は、他の反対側の吸引仕切り壁28.1の、堆積スクリーンベルト20の方を向いた仕切り壁部分よりも、堆積コンベア面Fに対して垂直に配向する垂直Vに対してより強く角度付けされている。また図2は、好ましい実施形態では、スポイラ部分30は、堆積コンベア面F上への投影において、堆積スクリーンベルト20側の方を向いた、角度付けされたもしくは曲げられた他の反対側の吸引仕切り壁28.1の仕切り壁部分の対応する投影よりも、長い長さLを有することも示す。更に、図2は、特に好ましい実施形態では、スポイラ部分30は、それのスクリーンベルト側の端部に関して、他の反対側の吸引仕切り壁28.1の仕切り板部分の、堆積スクリーンベルト20の方を向いた端部と比べて、堆積スクリーンベルト20までのより長い垂直距離Aを有することを示す。スポイラ部分30の垂直高さh(中央平面Mに対する投影)は、好ましくは5mmから110mm、特に15mm~100mmである。
【0053】
本発明によるスポイラ部分30が、主吸引領域27から、堆積スクリーンベルト20の搬送方向で後に続く領域までの、特に第二の吸引領域29までの吸引速度の非常に均一でかつ連続的な遷移を保証することは既に説明した。スポイラ部分30の配置によって、吸引速度を徐々に連続的に絶え間なく低下させることができる。この点を、図4に基づいて以下に更に説明する。吸引速度が徐々に連続的に低下することによって、吸引速度の突然な変化によって生じる虞のある、不織布ウェブ中のまたは本発明によるスパンボンド不織布1中の欠陥を回避することができる。中でも、従来技術から既知の装置では不織布ウェブの不利な不均一さ、特に乱れの要因であるフィラメントの塊を招く、主吸引領域27と第二の吸引領域29との間の遷移領域におけるいわゆるブローバック効果を避けることができる。
【0054】
図4は、主吸引領域27と第二の吸引領域29との間の遷移領域における、堆積スクリーンベルト20に沿った様々な位置での堆積スクリーンベルト20を貫通する吸引速度vを図解するものである。図示したプロフィルに関しては、吸引速度を直径80mmのベーン式風速計を用いて、10cmずつ移動させて、詳しくは堆積スクリーンベルト20の上で直接(スクリーンベルト20まで0mmから5mmの距離)測定した。左側の最大値は、主吸引領域27における高吸引速度vに相当し、そして右側の多かれ少なかれ水平に広がる曲線は、第二の吸引領域29における吸引速度vを示す。最大値と平行な広がりとの間の曲線の傾斜は、主吸引領域27と第二の吸引領域29との間の吸引速度vの遷移に相当する。この際、曲線K1及びK2は、本発明によるスポイラ部分30を備えない慣用のスパンボンド装置での吸引速度の低下に相当する。曲線K3は、スポイラ部分30を備えた本発明によるスパンボンド装置の場合の吸引速度の低下、詳しくは異なる吸引速度vでの吸引速度の低下を示す。この場合、図2に相当する角度付けされたスポイラ部分30を使用した。主吸引領域27と第二の吸引領域29との間の遷移領域における慣用のスパンボンド装置の場合の吸引速度(曲線K1及びK2)が非常に急速に低下することが分かる。それに対して、スポイラ部分30を備えた本発明によるスパンボンド装置での吸引速度は、それほど急速には低下せず、本実施例では、遷移領域中でまたは約20cmのスクリーンベルト距離にわたってむしろ少しずつ連続的に低下する。それ故、スポイラ部分30を備えない慣用のスパンボンド装置と比べて、吸引速度の遙かにより緩やかで連続的な低下が起こる。本発明は、主吸引領域27と第二の吸引領域29との間の遷移領域における不利なブローバック効果をほぼ避けることができるという顕著な利点と結びつくという知見に基づく。それ故、慣用のスパンボンド装置と比較して、本発明によれば、面または表面が非常により均質に形成されており、特に乱れの要因となるフィラメントの塊を持たない不織布ウェブを製造することができる。この点で、スポイラ部分30を備えた本発明によるスパンボンド装置は顕著な利点を特徴とする。
【0055】
図5は、連結された二つの本発明によるスパンボンド装置を備えた二ビーム型設備を示し、これは、好ましくは及び当該実施例では、それぞれ、エンドレスフィラメント2を、同じ堆積スクリーンベルト20上で堆積して不織布ウェブにする。それ故、この設備を用いることにより、二つの不織布ウェブまたは二つのスパンボンド不織布1からなる積層体が製造される。基本的に、この設備は、更に別の紡糸デバイス10を備え得た多ビーム型設備の一部であることもできる。
【0056】
簡潔さのために、図5には、完全なスパンボンド装置は示さず、スクリーンベルト20の上に配置されたディフューザ19を備えた下側の部分のみを示した。両方のスパンボンド装置が、堆積スクリーンベルト20の上に、図1に従うスパンボンド装置に相当する構成を有することは本発明の枠内である。-図5の左側の第一のビームまたは第一の紡糸デバイス10では、第一のスポイラ部分30は、主吸引領域27の搬出側の吸引仕切り壁28.2に接続されており、そして好ましくは及び本実施例では、このスポイラ部分30は、接続された吸引仕切り壁28.2の、この左側の主吸引領域27の中央とは反対側の方に向けて角度付けされている。これによって、主吸引領域における吸引速度vから第二の吸引領域29における吸引速度vに至るまでの吸引速度の緩やかで連続的な遷移が達成される。-この際、第一の堆積された不織布ウェブは、好ましくは二つの熱的熱風式予固定化デバイスを通過し、これら予固定化デバイスは、好ましくは、熱風ナイフ31として及びこの熱風ナイフ31の下流の熱風炉31として構成されている。予固定化デバイスは、図5には示されていない。
【0057】
それに次いで、右側の第二のビームまたは第二の紡糸デバイス10での他の不織布ウェブの堆積が行われる。この第二の不織布ウェブは、第一の不織布ウェブ上に堆積される。この第二のビームでは、スポイラ部分30の配置は、第一のビームとは異なっている。この場合、第二のスポイラ部分30は、同様に、主吸引領域27の搬出側吸引仕切り壁28.2に接続されている。しかし、第二のビームの第二のスポイラ部分30は、第一のビームとは異なり、第二の主吸引領域27の中央に向けて角度付けされている。ここで、主吸引領域27の上流には、更なる吸引領域33が接続されており、この吸引領域33では、プロセス空気は、吸引速度vで堆積スクリーンベルト20を通して吸引される。上流に接続された吸引領域33のこの吸引速度vは、下流の主吸引領域27の吸引速度vよりも遅いかまたはかなり遅い。ここで、上流の吸引領域33から主吸引領域27への吸引速度の連続的な遷移を確実にするために、この第二のビームでのスポイラ部分30が、記載のように、主吸引領域27の中央に向けて角度付けされている。それよって、同様に、上流の吸引領域33から主吸引領域27への吸引速度の緩やかで連続的な遷移が保証される。
【0058】
図6は、特定のコア-シース構成を持つエンドレスフィラメント2の断面を示す。このエンドレスフィラメント2からの不織布1の生成は、本発明による装置及び本発明による方法に関連して特に有用であることが判明している。これらのエンドレスフィラメント2では、シース3は、フィラメント断面において、好ましくは及び当該実施例では、フィラメント周囲の50%超にわたって、好ましくは55%超にわたって一定の厚さdを有する。好ましくは及び当該実施例において、フィラメント2のコア4は、フィラメント2のフィラメント断面の面積の65%超を占める。推奨されるところでは及び当該実施例において、コア4は、フィラメント断面で見て、弧形に形成されている。有利には及び当該実施例では、このコア4は、それの周囲に関して、円弧形の周囲部分5と線形の周囲部分6とを有する。好ましくは及び当該実施例において、コア4の円弧形周囲部分は、コア4の周囲の50%超、好ましくは55%超を占める。有利には及び当該実施例においては、フィラメント2のシース3は、フィラメント断面で見て、一定の厚さdのシース領域以外の部分は、円弧形に形成されている。シース3のこの円弧7は、推奨されるところでは及び当該実施例では、それの周囲に関して、円弧形の周囲部分8並びに線形の周囲部分9を有する。好ましくは、シース3の厚さdまたは平均厚さdは、それの一定の厚さの範囲内で、フィラメント直径Dの1%~8%、特に2%~10%である。当該実施例では、シース3の厚さdは、それの一定の厚さの範囲内で0.2μm~3μmであってよい。
【0059】
図6は、エンドレスフィラメント2のシース3の面重心からのコア4の面重心の距離aを示す。コア4及びシース3の面重心のこの距離aは、コア材料及びシース材料の所与の質量比において、ここで好ましいエンドレスフィラメント2の場合は、偏心的コア-シース構成を有する従来のエンドレスフィラメント2よりも通常長い。シース3の面重心からのコア4の面重心の距離aは、ここで存在するフィラメント2の場合は、好ましくは、フィラメント直径Dのまたは最も大きいフィラメント直径Dの5%~40%である。
本願は特許請求の範囲に記載の発明に係るものであるが、本願の開示は以下も包含する:
1.
繊維から、特に熱可塑性プラスチック製繊維から不織布(1)を製造するための装置であって、
繊維を紡糸するための少なくとも一つの紡糸デバイス(10)、及び繊維を堆積して不織布ウェブまたは不織布(1)にするための空気透過性堆積コンベア、特に堆積スクリーンベルト(20)が設けられており、
少なくとも一つの吸引デバイスが存在し、それを用いて、繊維の堆積領域(26)で、主吸引領域(27)において空気またはプロセス空気を堆積コンベアに通して吸引することができ、主吸引領域(27)は、堆積コンベアの下方で、堆積コンベアの搬入領域及び堆積コンベアの搬出領域においてそれぞれ吸引仕切り壁(28.1、28.2)によって画定されており、
及び、少なくとも一つの、特に一つの吸引仕切り壁(28.1、28.2)のコンベア側端部は、または堆積コンベアまで最も短い垂直距離をもって配置されている、関連する吸引仕切り壁(28.1、28.2)の部分は、堆積コンベアまでの垂直距離Aが、10mmと250mmとの間、とりわけ25mmと200mmとの間、特に28mmと150mmとの間、好ましくは29mmと120mmとの間、非常に好ましくは30mmと120mmとの間である、
前記装置。
2.
少なくとも一つ、特に一つの吸引仕切り壁(28.1、28.2)が、それのコンベア側端部において、残りの吸引仕切り壁(28.1、28.2)から角度付けされた、スポイラ部分(30)として形成された仕切り壁部分を含み、及びスポイラ部分(30)のコンベア側端部が、または堆積コンベアまで最も短い垂直距離を持って配置されている、スポイラ部分(30)の箇所が、堆積コンベアまで前記垂直距離Aを有する、前記1.に記載の装置。
3.
少なくとも一つの、特に一つの吸引仕切り壁(28.1、28.2)が、それのコンベア側端部において、互いに対して角度付けして配置された少なくとも二つのスポイラコンポネント(34、35)を有する角度要素の形のスポイラ部分(30)を含み、及びこのスポイラ部分(30)のコンベア側端部が、または堆積コンベアまで最も短い垂直距離を持って配置されている、スポイラ部分(30)の箇所が、堆積コンベアまで前記垂直距離Aを有する、前記1.または2.に記載の装置。
4.
スポイラ部分(30)がスポイラコンポネント(34)を有し、このスポイラコンポネント(34)が、堆積コンベア面Fに対して横断的に、特に垂直にもしくは本質的に垂直に配向されており、及びスポイラ部分(30)が、更に、スポイラコンポネント(35)を有し、このスポイラコンポネント(35)が、堆積コンベア面Fに対して平行にまたは本質的に平行に配向されている、前記3.に記載の装置。
5.
一つの吸引仕切り壁(28.1、28.2)のみが、それのコンベア側端部において、スポイラ部分(30)を有し、及び好ましくは、このスポイラ部分(30)が、搬出側吸引仕切り壁(28.2)に設けられている、前記2.~4.のいずれか一つに記載の装置。
6.
スポイラ部分(30)が、
-堆積コンベア面Fに対して垂直に配向した垂直Vに関して、他のまたは反対側の吸引仕切り壁(28.1、28.2)の堆積コンベア側の仕切り壁部分よりも、強く角度付けされており、
-及び/または堆積コンベア面Fへの投影で、他のまたは反対側の吸引仕切り壁(28.1、28.2)の堆積コンベア側の、角度付けもしくは曲げられた仕切り壁部分の対応する投影よりも、大きい長さLを有し、
-及び/またはそれのコンベア側の端部に関して、他のまたは反対側の吸引仕切り壁(28.1、28.2)の堆積コンベア側仕切り壁部分のコンベア側端部よりも、堆積コンベアまでより長い距離Aを有する、
前記2.~5.のいずれか一つに記載の装置。
7.
スポイラ部分(30)が、関連する吸引仕切り壁(28.1、28.2)の、主吸引領域(27)の中央とは反対側の方に配向または角度付けされているか、またはスポイラ部分(30)が、主吸引領域(27)の中央の方に配向または角度付けされている、前記2.~6.のいずれか一つに記載の装置。
8.
繊維を紡糸するための少なくとも二つの紡糸デバイス(10)または紡糸ビームが設けられており、ここで各々の紡糸デバイス(10)または各々の紡糸ビームには主吸引領域(27)が割り当てられており、主吸引領域(27)では、空気またはプロセス空気を堆積コンベアを通して吸引可能であり、ここで、これらの主吸吸引領域(27)は、それぞれ二つの吸引仕切り壁(28.1、28.2)によって画定されており、及び各々の主吸引領域(27)の少なくとも一つの吸引仕切り壁(28.1、28.2)がスポイラ部分(30)を有し、
及び、堆積コンベアの搬送方向に関して第一の主吸引領域(27)の第一のスポイラ部分(30)、好ましくはこの第一の主吸引領域(27)の搬出側の吸引仕切り壁(28.2)に接続されたスポイラ部分(30)が、接続された吸引仕切り壁(28.1、28.2)の、この第一の主吸引領域(27)の中央とは反対側の方に方向付けまたは角度付けされており、
及び、堆積コンベアの搬送方向に関して下流に配置された第二の主吸引領域(27)の第二のスポイラ部分(30)、好ましくはこの第二の主吸引領域(27)の搬出側の吸引仕切り壁(28.2)に接続されたスポイラ部分(30)が、この第二の主吸引領域(27)の中央の方に方向付けまたは角度付けされている、
前記2.~7.のいずれか一つに記載の装置。
9.
エンドレスフィラメント(2)から、特に倦縮されたエンドレスフィラメント(2)からスパンボンド不織布を製造するためのスパンボンド装置として構築されている、前記1.~8.のいずれか一つに記載の装置。
10.
紡糸デバイス(10)の後に接続された少なくとも一つの冷却デバイス(11)、及び冷却デバイス(11)の後に接続された少なくとも一つの延伸デバイス(16)を備え、並びに延伸デバイス(16)の後に接続された少なくとも一つのディフュザー(19)を備える、前記9.に記載の装置。
11.
冷却デバイス(11)及び延伸デバイス(16)からなる連結機械が閉じられた連結機械として構成されており、及び冷却デバイス(11)中への冷却空気の供給の他には、この連結機械中への外部からの他の空気供給は行われない、前記10.に記載の装置。
12.
前記1.~11.のいずれか一つに記載の装置であって、堆積コンベアの上に直接配置されたディフューザ(19)が、二つの相対するディフューザ壁を備え、ここで、二つの下方に末広がりに延びるディフューザ壁部分(21、22)が設けられており、これらは、特に、ディフューザ(19)のまたは当該装置の中央平面Mに関して非対称的に配置されており、及びとりわけ、搬入側のディフューザ壁部分(21)が、搬出側のディフューザ壁部分(22)と比べて、ディフューザ(19)のまたは当該装置の中央平面Mと小さい角度βを囲う、前記装置。
13.
堆積コンベアの上に直接配置されたディフューザ(19)が、二つの相対するディフューザ壁を備え、ここで、ディフューザ(19)の流入箇所(23)に、少なくとも二つの相対する二次空気入口間隙(24、25)が設けられており、これらの間隙(24、25)は、相対する両ディフューザ壁の一つにそれぞれ配置されており、及び特に、堆積コンベアの搬送方向に関して搬入側の二次空気入口間隙(24)によって、搬出側の二次空気入口間隙(25)によるよりも、より少ない二次空気堆積流量が導入可能である、前記1.~12.のいずれか一つに記載の装置。
14.
主吸引領域(27)の後に、堆積コンベアの搬送方向において第二の吸引領域(29)が接続され、この第二の吸引領域(29)において、空気またはプロセス空気を堆積コンベアを通して吸引可能であり、及び/または主吸引領域(27)の前に、堆積コンベアの搬送方向に関して上流の吸引領域(33)が接続されており、吸引領域(33)において、空気またはプロセス空気を堆積コンベアを通して吸引可能であり、
及び特に、第二の吸引領域(29)が、第二の吸引領域において堆積コンベアを通るプロセス空気の吸引速度v が、主吸引領域(27)における吸引速度v よりも遅くなることを条件に構築されており、
及び/または特に、上流に接続された吸引領域(33)が、この上流に接続された吸引領域(33)において堆積コンベアを通るプロセス空気の吸引速度v が主吸引領域(27)における吸引速度v よりも遅くなることを条件に、構築されている、
前記1.~13.のいずれか一つに記載の装置。
15.
主吸引領域(27)の少なくとも一つの吸引仕切り壁(28.1、28.2)の少なくとも一つのスポイラ部分(30)、とりわけ搬出側の吸引仕切り壁(28.2)のスポイラ部分(30)が、主吸引領域(27)の吸引速度v から第二の吸引領域(29)の吸引速度v への連続的な絶え間のない遷移が起こり及び/または上流に接続された吸引領域(33)の吸引速度v から主吸引領域(27)の吸引速度v までの連続的な絶え間のない遷移が起こることを条件に設計及び/または配置/及び/または方向付けされている、前記14.に記載の装置。
16.
第二の吸引領域(29)にまたはその上に、不織布(1)の予固定のための予固定化デバイスが配置されている、前記14.または15.に記載の装置。
17.
ディフューザ(19)の中央平面Mと予固定化デバイスとの間の距離Bが、100mm~1,000mm、とりわけ110mm~600mm、好ましくは120mm~550mmである、前記16.に記載の装置。
18.
繊維から、とりわけ熱可塑性プラスチック製の繊維から、好ましくは前記1.~17.のいずれか一つに記載の装置を用いて、不織布(1)を製造する方法であって、繊維を紡糸し、そして空気透過性堆積コンベア上に、特に堆積スクリーンベルト(20)上に堆積して不織布ウェブまたは不織布(1)とし、ここで、繊維の堆積領域(26)では、主吸引領域(27)において空気またはプロセス空気が下方から堆積コンベアを通して吸引され、そして主吸引領域(27)は、二つの吸引仕切り壁(28.1、28.2)によって画定され、
堆積コンベアの搬送方向に関して主吸引領域(27)または搬入側の吸引仕切り壁(28.1)の上流に接続された吸引領域(33)が設けられており、及び/または主吸引領域(27)または搬出側の吸引仕切り壁(28.2)の下流に接続された第二の吸引領域(29)が設けられており、
及び、上流に接続された吸引領域(33)において及び/または下流に接続された第二の吸引領域(29)において、主吸引領域(27)と比べて、空気が、より遅い吸引速度で堆積コンベアを通して吸引され、
及び、吸引仕切り壁(28.1、28.2)の少なくとも一つのコンベア側仕切り壁部分が、次を条件に、すなわち
堆積コンベアを通して吸引された空気の吸引速度が、上流に接続された吸引領域(33)から主吸引領域(27)まで、連続的に絶え間なく増加し、及び/または主吸引領域(27)から下流に接続された第二の吸引領域(29)まで連続的に絶え間なく減少することを条件に、
方向付けまたは角度付けされる、とりわけ、角度付けされたスポイラ部分(30)が、吸引仕切り壁(28.1、28.2)のコンベア側端部に配置または方向付けされている、前記方法。
19.
エンドレスフィラメント(2)から、とりわけ倦縮されたエンドレスフィラメント(2)からなるスパンボンド不織布が製造され、ここで、エンドレスフィラメント(2)は、特に、二成分フィラメントまたは多成分フィラメントとして紡糸され、及び好ましくは、偏心的なコア-シース構成を有する二成分フィラメントまたは多成分フィラメントが紡糸される、前記18.に記載の方法。
20.
主吸引領域(27)における吸引速度v が、上流に接続された吸引領域(33)における吸引速度v よりも及び/または下流に接続された第二の吸引領域(29)における吸引速度v よりも、1.2~5倍、特に1.5~4倍、好ましくは2~4倍、非常に好ましくは2.5~3.5倍速い、前記18.または19.に記載の方法。
21.
からv への吸引速度の低下が、機械方向(MD)でまたは不織布(1)の搬送方向で、10cm当たり1~8m/s、好ましくは2~6m/sの勾配を有する、前記18.~20.のいずれか一つに記載の方法。
22.
吸引速度が、主吸引領域(27)における吸引速度v から下流に接続される第二の吸引領域(29)における吸引速度v まで、少なくとも10cm、とりわけ少なくとも16cmの長さ、特に少なくとも18cmの長さの遷移領域において連続的に絶え間なくまたは線状に絶え間なく減少する、前記18.~21.のいずれか一つに記載の方法。
23.
吸引速度が、上流に接続された吸引領域(33)における吸引速度v から主吸引領域(27)における吸引速度v まで、少なくとも10cm、とりわけ少なくとも16cmの長さの遷移領域において連続的に絶え間なく増加する、前記18.~22.のいずれか一つに記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6