(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-27
(45)【発行日】2022-07-05
(54)【発明の名称】カラーディスプレイデバイス
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1685 20190101AFI20220628BHJP
G02F 1/167 20190101ALI20220628BHJP
G02F 1/1681 20190101ALI20220628BHJP
G09G 3/34 20060101ALI20220628BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20220628BHJP
G09F 9/37 20060101ALI20220628BHJP
【FI】
G02F1/1685
G02F1/167
G02F1/1681
G09G3/34 C
G09G3/20 642J
G09G3/20 621A
G09F9/37
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020147225
(22)【出願日】2020-09-02
(62)【分割の表示】P 2019023171の分割
【原出願日】2013-10-01
【審査請求日】2020-09-30
(32)【優先日】2012-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2013-05-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514205768
【氏名又は名称】イー・インク・カリフォルニア・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】E INK CALIFORNIA,LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100138863
【氏名又は名称】言上 惠一
(74)【代理人】
【識別番号】100138885
【氏名又は名称】福政 充睦
(72)【発明者】
【氏名】ワン・ミン
(72)【発明者】
【氏名】リ・ユー
(72)【発明者】
【氏名】ドゥ・ホイ
(72)【発明者】
【氏名】シャオジア・ジャン
(72)【発明者】
【氏名】クレイグ・リン
【審査官】磯崎 忠昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-128505(JP,A)
【文献】特開2009-251032(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0132908(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2007-0082680(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/15-1/19
G09G 3/34
G09G 3/20
G09F 9/37
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過共通電極、ディスプレイセル、及び画素電極を含む、ディスプレイデバイスであって、
ディスプレイセルは、光透過共通電極と画素電極との間に配置され、
ディスプレイデバイスは、第1、第2及び第3ディスプレイセルを含み、
各々のディスプレイセルは、
白色の第1タイプの顔料粒子、
黒色の第2タイプの顔料粒子及び
白色でも黒色でもない着色した第3タイプの顔料粒子を含む電気泳動流体であって、それらの全ては、溶媒又は溶媒混合物に分散されている電気泳動流体を含み、
(a)第1タイプの顔料粒子と第2タイプの顔料粒子は、反対の極性の電荷を帯び;
(b)第3タイプの顔料粒子は、第2タイプの顔料粒子と同じ極性の電荷を帯びるが、より強度が低く;
(c)第2タイプの顔料粒子は、
5Vのしきい電圧を有し、
ディスプレイデバイスへの5V以下の電圧の印加は、第2タイプの顔料粒子が光透過共通電極に現れることを生じさせることがなく、
第1ディスプレイセルの
第3タイプの顔料粒子は、第2ディスプレイセルの
第3タイプの顔料粒子と色が異なり、第3ディスプレイセルの
第3タイプの顔料粒子は、第1ディスプレイセルの
第3タイプの顔料粒子又は第2ディスプレイセルの
第3タイプの顔料粒子と色が異なり、
各々のディスプレイセルの駆動方法は、
(i)
光透過共通電極で第1タイプの顔料粒子の色を表示するように電気泳動流体を駆動すること;及び
(ii)
5V以下の電圧を印加して
光透過共通電極で第3タイプの顔料粒子の色を表示するように電気泳動流体を駆動すること
を含む、ディスプレイデバイス。
【請求項2】
第1ディスプレイセルの
第3タイプの顔料粒子、第2ディスプレイセルの
第3タイプの顔料粒子、及び第3ディスプレイの
第3タイプの顔料粒子は、赤色、緑色、青色、イエロー、シアン及びマゼンタから選択される色である、請求項1に記載のディスプレイデバイス。
【請求項3】
第1ディスプレイセルの
第3タイプの顔料粒子は赤色であり、第2ディスプレイセルの
第3タイプの顔料粒子は緑色であり、及び第3ディスプレイの
第3タイプの顔料粒子は青色である、請求項2に記載のディスプレイデバイス。
【請求項4】
第3タイプの顔料粒子は、第1又は第2タイプの顔料粒子の電荷強度の約50%より小さい電荷レベルを有する、請求項1に記載のディスプレイデバイス。
【請求項5】
第3タイプの顔料粒子は、第1及び第2タイプの顔料粒子より大きい、請求項1に記載のディスプレイデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーディスプレイデバイス(カラー表示デバイス:color display device)であって、その中で各ディスプレイセルは、高品質カラー状態(又は色状態:color state)を表示することができるカラーディスプレイデバイス、及びそのような電気泳動ディスプレイ用の電気泳動流体に向けられている。
【背景技術】
【0002】
カラーディスプレイを達成するために、カラーフィルターがしばしば使用される。最も一般的なアプローチ(又はやり方)は、赤色、緑色及び青色を表示するために、画素(又はピクセル)で構成されたディスプレイの白/黒のサブピクセルのトップにカラーフィルターを付けることである。赤色を所望の場合、緑色と青色のサブピクセルは黒色状態に変えられ、唯一の教示される色は赤色である。黒色を所望の場合、全ての三種のサブピクセルを黒色状態に変える。白色を所望の場合、三種のサブピクセルは各々赤色、緑色及び青色に変えられ、その結果、白色状態が、観察者(見る人又は視聴者)に見られる。
【0003】
そのような技術の短所は、各々のサブピクセルは、所望の白色状態の約1/3の反射率を有するので、白色状態は、相当薄暗い。これを補償するために、白色状態及び黒色状態のみを表示可能な第四のサブピクセルを追加することができ、その結果、白色のレベルは、赤色、緑色又は青色レベルの犠牲で二倍になる(ここで、各サブピクセルは、ピクセルの領域の1/4のみである)。より明るい色を、白色ピクセルから光を加えることによって達成することができるが、これは、色域の犠牲で達成され、色が極めて明るく不飽和であることを生ずる。同様の結果を三種のサブピクセルの彩度を減少させることで達成することができる。これらのアプローチを用いたとしても、白色レベルは、通常実質的に、白黒ディスプレイのレベルの半分未満であり、そのことが、十分に読みとり可能な白黒の明るさとコントラストを要する、例えばe-リーダー(e-readers)又はディスプレイなどの、ディスプレイデバイス用に、許容できない選択肢にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発明の要約
本発明は、各ディスプレイセルが高度な飽和色状態(saturated color state)を表示することができるカラーディスプレイデバイスのための現実的な解を提供するのみならず、カラーフィルターの必要性を除去する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
より具体的には、本発明は、第1タイプの顔料粒子、第2タイプの顔料粒子及び第3タイプの顔料粒子を含む電気泳動流体であって、
それらの粒子の全ては、溶媒又は溶媒混合物に分散され、
(a)第1タイプの顔料粒子と第2タイプの顔料粒子は、反対の極性に帯電し;
(b)第3タイプの顔料粒子は、わずかに帯電し;
(c)三種の顔料粒子は、異なるレベルのしきい電圧、又は異なるレベルの移動性(mobility:モビリティー)、又は両方を有する、電気泳動流体に向けられている。
【0006】
一の態様において、第1タイプの顔料粒子と、第2タイプの顔料粒子は、各々、黒色及び白色である。
【0007】
一の態様において、第3タイプの顔料粒子は、白色でも、黒色でもない。
【0008】
一の態様において、第3タイプの顔料粒子は、赤色、緑色、青色、イエロー(又は黄色)、シアン及びマゼンタからなる群から選択される色である。
【0009】
一の態様において、三タイプの顔料粒子は、異なるレベルのしきい電圧を有する。第1タイプと第2タイプの粒子の一方は、しきい電圧を有することができる。第3タイプの粒子は、第1又は第2タイプの粒子より大きくなりえる。第3タイプの粒子は、第1又は第2タイプの粒子より、約2倍~約50倍大きくなりえる。第3タイプの粒子は、しきい電圧を有するタイプの粒子と同じ極性の電荷を帯びることができる。第3タイプの粒子は、第1タイプ又は第2タイプの粒子の電荷強度の50%より小さい電荷レベルを有することができる。
【0010】
一の態様において、三タイプの顔料粒子は、異なるレベルの移動性(又は移動度)を有する。第1タイプの顔料粒子の電荷強度は、第2タイプの顔料粒子の電荷強度の少なくとも約2倍であり得、第3タイプの粒子の電荷強度は、第2タイプの粒子の電荷強度の約50%未満であり得る。第3タイプの粒子は、第1又は第2タイプの粒子より大きくてよい。第3タイプの粒子は、第1又は第2タイプの粒子より約2倍~約50倍大きくてよい。
【0011】
一の態様において、本発明の流体は、ディスプレイセルに充填され、共通電極層と画素電極の層との間にサンドイッチされる(又は挟まれる)。ディスプレイセルは、マイクロカップ又はマイクロカプセルであり得る。
【0012】
一の態様において、ディスプレイセルは、画素電極と整列される。他の一の態様では、ディスプレイセルは、画素電極と整列されない。
【0013】
一の態様では、第3タイプの顔料粒子は、全てのディスプレイセルで同じ色である。他の一の態様では、第3タイプの顔料粒子は、ディスプレイセルで異なる色である。
【0014】
一の態様において、本発明の流体は、共通電極と画素電極(又はピクセル電極)との間の電位差によって駆動される。他の一の態様において、少なくとも三種の異なるレベルの電位差が共通電極層と画素電極に印加される。
【0015】
一の態様において、第1タイプの顔料粒子、第2タイプの顔料粒子及び第3タイプの顔料粒子を含み、その粒子の全てが溶媒又は溶媒混合物に分散された電気泳動流体で満たされたディスプレイセルを含む電気泳動ディスプレイの駆動方法(driving method)であって、
(a)第1タイプの顔料粒子と第2タイプの顔料粒子は、逆の極性の電荷を帯び;
(b)第3タイプの顔料粒子は、第2タイプの顔料粒子と同じ極性の電荷を帯びるが、より強度が小さい;及び
(c)第2タイプの顔料粒子は、しきい電圧を有し、
第2タイプの顔料粒子のしきい電圧と同じ又はより低い電圧を印加することによって、第1タイプの顔料粒子の色の状態(着色状態又はカラー状態:color state)から、第3タイプの顔料粒子の色の状態へ駆動することを含む、駆動方法。
【0016】
一の態様において、印加される電圧は、第2タイプの粒子と同じ極性を有する。
【0017】
一の態様において、方法は、ディスプレイを、第1タイプの顔料粒子の色の状態に駆動する前に、振動波形を印加することを更に含む。
【0018】
一の態様において、第3タイプの顔料粒子の色が視野側で見られる場合、第1タイプの粒子及び第2タイプの粒子は、視野側と反対側に集まり、第1タイプの粒子と第2タイプの粒子の色の中間の色を生ずる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本発明の電気泳動ディスプレイデバイスを示す。
【
図6】
図6は、ディスプレイセルが、画素電極と、各々、整列する又は整列していない、二つの選択肢を示す。
【
図7】
図7は、本発明のフルカラーディスプレイを、如何に実現するかを示す。
【
図8】
図8は、振動波形(又はシェイキング波形:shaking waveform)の例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明者等は、カラーディスプレイ用の新規な基本概念を提案した。
【0021】
本発明の電気泳動流体は、誘電溶媒又は溶媒混合物中に分散した3タイプの顔料粒子を含む。説明を容易にするために、
図1に示すように、白色粒子(11)、黒色粒子(12)及び着色粒子(色粒子又はカラー粒子:color particle)(13)として、3タイプの顔料粒子を参照することができる。しかし、3タイプの顔料粒子が、目視で対照的な色を有する限り、本発明の範囲は、いずれの色の顔料粒子も広範に含むことが理解される。
【0022】
二つの電極層の間にディスプレイ流体は、挟まれる。電極層の一つは、透明電極層(例えば、ITO)である共通電極(又はコモン電極:common electrode)(14)であり、ディスプレイデバイスの上面全体に広がる。他の電極層(15)は、画素電極(15a)の層である。流体によって表示される色の状態(着色状態又はカラーステイト:color state)は、共通電極と画素電極との間に印加される電圧によって決められる。
【0023】
画素電極は、米国特許第7,046,228号に記載されており、その内容は、参照することによって本明細書に組み込まれる。薄膜トランジスタ(TFT)バックプレーン(backplane)を用いるアクティブマトリックス駆動が、画素電極の層のために言及されているが、電極が所望の機能を果たす限り、本発明の範囲は、他のタイプの電極アドレッシング(electrode addressing)を含む。
【0024】
白色粒子(11)について、それらは、無機顔料、例えば、TiO2、ZrO2、ZnO、Al2O3、 Sb2O3、BaSO4、PbSO4などから作ることができる。
【0025】
黒色粒子(12)について、それらは、C.I.ピグメントブラック26又は28など(例えば、マンガンフェライトブラックスピネル又は銅クロマイトブラックスピネル)又はカーボンブラックから作ることができる。
【0026】
第3タイプの顔料粒子は、例えば、赤色(又はレッド)、緑色(又はグリーン)、青色(又はブルー)、マゼンタ、シアン又はイエロー(又は黄色)等の色であってよい。このタイプの粒子のための顔料は、C.I.ピグメントPR254、PR122、PR149、PG36、PG58、PG7、PB28、PB15:3、PY138、PY150、PY155又はPY20を含み得るが、これらに限定されるものではない。それらは、カラーインデックスハンドブックである“New Pigment Application Technology”(CMC Publishing Co, Ltd, 1986)及び“Printing Ink Technology”(CMC Publishing Co, Ltd, 1984)に記載の通常使用される有機顔料である。クラリアント社(Clariant)のホスタパーム(Hostaperm:商品名)Red D3G 70-EDS、ホスタパーム Pink E-EDS、 PV fast red D3G、ホスタパーム red D3G 70、ホスタパーム Blue B2G-EDS、ホスタパーム Yellow H4G-EDS、ホスタパーム Green GNX、BASF社 イルガジン(Irgazine)red L 3630、シンクアジア(Cinquasia)Red L 4100 HD、及びイルガジンRed L 3660 HD;サンケミカル社(Sun Chemical)フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ジアリライドイエロー(diarylide yellow)又はジアリアイドAAOTイエローを例示できる。
【0027】
流体中の3タイプの顔料粒子の割合は、様々であり得る。例えば、黒色粒子は、電気泳動流体の約0.1体積% ~ 10体積%であり、好ましくは 0.5体積% ~ 5体積%をとり得;白色粒子は、電気泳動流体の約1体積% ~ 50体積%であり、好ましくは 5体積% ~ 15体積%をとり得;及び着色粒子は、電気泳動流体の約2体積% ~ 20体積%であり、好ましくは 4体積% ~ 10体積%をとり得る。
【0028】
スイッチング速度、画像双安定性及び信頼性等のディスプレイデバイスの性能を向上させるために添加剤として含まれる流体中に他の粒状物質がありえる。
【0029】
3タイプの顔料粒子が分散される溶媒は、無色透明である。高い粒子移動度のために、低粘度で、約2~約30、好ましくは約2~約15の範囲の誘電率を有することが好ましい。適切な誘電溶媒の例は、炭化水素、例えば、イソパー(isopar)、デカヒドロナフタレン(デカリン)、5-エチリデン-2-ノルボルネン、脂肪油、パラフィンオイル、シリコン流体、芳香族炭化水素、例えば、トルエン、キシレン、フェニルキシリルエタン、ドデシルベンゼン又はアルキルナフタレン、ハロゲン溶媒、例えば、パーフルオロデカリン、パーフルオロトルエン、パーフルオロキシレン、ジクロロベンゾトリフルオリド、3,4,5-トリクロロベンゾトリフルオリド、クロロペンタフルオロベンゼン、ジクロロノナン又はペンタクロロベンゼン、及びパーフルオロ化(又は全フッ素置換)溶媒、例えば、ミネソタ州セントポールの3M社(3M Company, St. Paul MN)からFC-43, FC-70 又は FC-5060、オレゴン州ポートランドのTCIアメリカ社(TCI America, Portland, Oregon)から低分子量ハロゲン含有ポリマー、例えば、ポリ(パーフルオロプロピレンオキサイド)、ニュージャージー州リバーエッジのハロカーボンプロダクト社(Halocarbon Product Corp., River Edge, NJ)からポリ(クロロトリフルオロエチレン)、例えば、ハロカーボンオイル、アウジモント社(Ausimont)からパーフルオロポリアルキルエーテル、例えば、ガルデン(Galden)又はデラウエア州のデュポン社(DuPont, Delaware)からクライトックスオイル及びグリースK-流体シリーズ、ダウ-コーニング社(CD-200)からポリジメチルシロキサン系シリコンオイルを含む。
【0030】
3タイプの顔料粒子の2タイプは、逆の極性の電荷を帯び、第3タイプの顔料粒子は、わずかに(又は少し)電荷を帯びる。用語「わずかに(又は少し)電荷を帯びる(又は帯電する):slightly charged」は、下記のセクションで規定する。
【0031】
例えば、黒色粒子が正に帯電している場合、白色粒子は負に帯電しており、着色粒子はわずかに帯電している。言い換えれば、この例では、黒色粒子と白色粒子が帯びる電荷は、着色粒子が帯びる電荷より、強い。
【0032】
更に、わずかに電荷を帯びる第3タイプの粒子は、より強く帯電した他の2つのタイプの粒子のいずれか一つが帯びる電荷の極性と同じ極性の電荷を有する。
【0033】
3つのタイプの顔料粒子は、種々のサイズを有し得る。一の態様において、3つのタイプの顔料粒子の一つは、他の二つのタイプより大きい。
【0034】
3つのタイプの顔料粒子の中で、わずかに電荷を帯びる一つのタイプの粒子は、より大きなサイズを有することが好ましいことに注意されたい。
【0035】
例えば、黒色粒子及び白色粒子の両方とも相対的に小さく、それらのサイズ(動的光散乱によって測定される)は、約50nmから約800nm、より好ましくは約200nmから約700nmの範囲であり得、この例では、わずかに電荷を帯びる着色粒子は、黒色粒子及び白色粒子より、好ましくは、約2倍から約50倍、より好ましくは約2倍から約10倍大きい。
【0036】
本明細書において、用語「しきい電圧」とは、ディスプレイデバイスの視野側(視界側又は表示側)に顔料粒子が現れることを生じさせること無く、一群の顔料粒子に印加することができる最大のバイアス電圧として定義される。用語「視野側(viewing side)」とは、観察者(見る人:viewer)によって画像が見られるディスプレイデバイスの側をいう。
【0037】
本発明では、3つのタイプの顔料粒子の少なくとも一種は、トランアングル電圧駆動テスト下、しきい電圧を示し得る。
【0038】
しきい電圧は、帯電顔料粒子の固有の性質又は添加剤誘起性質(又は添加剤によって誘起される性質:additive-induced property)である。
【0039】
前者の場合、粒子間又は粒子とある基材表面との間のある引力に依存して、しきい電圧は生ずる。しきい電圧は、逆の極性の電荷を帯びた2タイプの粒子の相互作用によって、生じ得る。
【0040】
後者の場合、しきい電圧を達成するために、電気泳動流体のしきい値特性を誘起し又は向上するしきい剤(threshold agent)を添加することができる。しきい剤は、電気泳動流体の溶媒又は溶媒混合物中に溶解可能又は分散可能で、電荷を帯びた顔料粒子と逆の電荷を帯びる又は誘起するいずれの材料であってよい。しきい剤は、印加電圧の変化に敏感であっても敏感で無くともよい。用語「しきい剤」は、染料(又は色素)又は顔料、電解質又は高分子電解質(polyelectrolytes)、ポリマー、オリゴマー、界面活性剤、電荷制御剤などを広範に含み得る。
【0041】
しきい剤に関する更なる情報は、米国特許第8,115,729号にみることができる。その内容は、参照することで、本明細書に組み込まれる。
【0042】
以下は、本発明を説明する例である。
【実施例】
【0043】
例1(a)
この例は、
図2に示す。黒色粒子(22)は、5Vのしきい電圧を有すると仮定する。従って、黒色粒子(22)は、もし、印加電位差が5V以下ならば、視野側(視界側又は表示側:viewing side)に移動しないであろう。
【0044】
白色顔料粒子(21)は、負に帯電し、黒色顔料粒子(22)は、正に帯電し、両方のタイプの顔料粒子は、着色粒子(色粒子又はカラー粒子:color particle)(23)より小さい。
【0045】
着色粒子(23)は、しきい電圧を有する黒色粒子と同じ極性の電荷を帯びるが、わずかに(又は少し)電荷を帯びる。用語「わずかに(又は少し)電荷を帯びる(又は帯電する):slightly charged」は、粒子の電荷のレベルが、黒色粒子又は白色粒子の電荷の強さの約50%より低く、好ましくは約5%から約30%であることを意図する。その結果、印加電位差が、黒色粒子のしきい電圧より高い場合、黒色粒子が帯びるより強い電荷強度のために、黒色粒子は、着色粒子(23)より速く移動する。
【0046】
図2aでは、印加電位差が+15Vである。この場合、白色粒子(21)は、移動して画素電極(25)に又はその近傍に存在し、黒色粒子(22)と着色粒子(23)は、移動して共通電極(24)に又はその近傍に存在する。その結果、視野側で黒色が見られる。着色粒子(23)は、共通電極(24)の方に移動するが、それらのより低い電荷強度とより大きなサイズのために、それらは、黒色粒子より遅く移動する。
【0047】
図2bでは、-15Vの電位差を印加する場合、白色粒子(21)は、移動して共通電極(24)に又はその近傍に存在し、黒色粒子と着色粒子は、移動して画素電極(25)に又はその近傍に存在する。その結果、視野側で、白色が見られる。
【0048】
着色粒子(23)は、それらも正の電荷を帯びているので、画素電極の方に移動するが、より低い電荷強度及びより大きいサイズのために、黒色粒子より遅く移動する。
【0049】
図2cでは、印加電位差は、+5Vに変わる。この場合、負に帯電した白色粒子(21)は、画素電極(25)の方に移動する。黒色粒子(22)は、そのしきい電圧が5Vなので、ほとんど動かない。着色粒子(23)は、顕著なしきい電圧を有さないという事実から、移動して共通電極(24)に又はその近傍に存在し、その結果、視野側で着色粒子の色が見られる。
【0050】
図2bの白色状態から、
図2cの着色状態(色の状態又はカラー状態:color state)への駆動は、次のように要約することができる:
【0051】
第1タイプの顔料粒子、第2タイプの顔料粒子及び第3タイプの顔料粒子を含み、それらの全ては、溶媒又は溶媒混合物に分散される電気泳動流体で満たされたディスプレイセルを含む電気泳動ディスプレイの駆動方法であって、
(a)第1タイプの顔料粒子と第2タイプの顔料粒子は、反対の極性の電荷を帯び;
(b)第3タイプの顔料粒子は、第2タイプの顔料粒子と同じ極性の電荷を有するが、より低強度であり;
(c)第2タイプの顔料粒子は、しきい電圧を有し、
第1タイプの顔料粒子の色の状態から、第3タイプの顔料の色の状態に、第2タイプの顔料粒子のしきい電圧と同じ又はそれより低い電圧を印加することによって駆動することを含む、電気泳動ディスプレイの駆動方法。
【0052】
この方法では、
図2に示すように、第1タイプの顔料粒子(21)は、白色であり、第2タイプの顔料粒子(22)は、黒色であり、第3タイプの顔料粒子(23)は、赤色である。
【0053】
第3タイプの顔料の着色状態、即ち、赤色にディスプレイを駆動するために(
図2c参照)、第1タイプの顔料の色の状態から(
図2b参照)、方法は開始する。
【0054】
図2bでは、第1タイプの顔料粒子(即ち、白色)は、共通電極(24)に、又はその近傍に存在し、第2及び第3タイプの顔料粒子(即ち、黒色及び赤色)は、画素電極(25)に又はその近傍に存在する。第2タイプの顔料粒子(即ち、黒色)のしきい電圧と同じ又はより低い電圧を印加すると、第1タイプの顔料粒子(即ち、白色)は、下方に下がり、第3タイプの顔料粒子(即ち、赤色)は、共通電極(24)の方に上がり、視野側に到達し、そして、第2タイプの顔料粒子(即ち、黒色)は、そのしきい電圧のために、ほとんど移動しない。
【0055】
この状況で、第3タイプの粒子の色が視野側で見られる場合、他の二つのタイプの粒子は、非視野側(視野側と反対側)で、混合され、その結果、第1タイプの粒子の色と第2タイプの粒子の色の間の中間色状態を生ずる。もし、第1及び第2タイプの粒子が、黒色と白色で有り、第3タイプの粒子が赤色である場合、
図2(c)のように、赤色が視野側で見られる場合、灰色が非視野側で見られる。
【0056】
図2cの状況で、駆動方法は、理想的には、色の明度(即ち、黒色粒子が見えることを防止する)及び色の純度(即ち、白色粒子が見えることを防止する)の両方を確保するであろう。しかし、現実的には、この望ましい結果は、粒子サイズ分布、粒子電荷分布及び他の要因を含む、種々の理由のために、制御することが困難である。
【0057】
これに対する一つの解は、第1タイプの顔料粒子の色の状態(即ち、白色)から、第3タイプの顔料粒子の色の状態(即ち、赤色)に、駆動する前に、振動波形(shaking waveform)を使用することである。振動波形は、多くのサイクルの間に一組の反対の駆動パルスを繰り返すことからなる。例えば、振動波形は、20msecの間に+15Vのパルス及び20msecの間に-15Vのパルスからなり得、そのような一組のパルスが、50回繰り返される。そのような振動波形の合計の時間は、2000msecであろう(
図8参照)。
【0058】
実際のところ、少なくとも10回の繰り返し(即ち、10組の正のパルスと負のパルス)であり得る。
【0059】
駆動電圧を印加する前に、光学(又は視覚的)状態(黒色、白色又は赤色)にかかわらず、振動波形をディスプレイに印加することできる。振動波形を印加した後、光学状態は純粋な白色、純粋な黒色又は純粋な赤色では無いであろう。そのかわり、着色状態は、3タイプの顔料粒子の混合物からのものであろう。
【0060】
上述の方法のために、振動波形を第1タイプの顔料粒子の着色状態(即ち、白色)にディスプレイを駆動する前に印加する。この印加した振動波形を用いると、白色状態は、振動波形を用いない場合とたとえある程度同様であっても、第3タイプの顔料粒子の着色状態(即ち、赤色)は、振動波形を用いない場合より、色の明度と色の純度の両方に関して、著しく良好である。このことは、赤色粒子から黒色粒子の分離と同様、赤色粒子から白色粒子のより良好な分離を示す。
【0061】
振動波形中の各々の駆動パルスを、完全な黒色の状態(full black state)から完全な白色の状態(full white state)に、要する駆動時間の50%を超えない(又は30%、10%又は5%を超えない)時間、印加する。例えば、もし、完全黒色状態から完全白色状態に又は逆にディスプレイデバイスを駆動するために300msec要するならば、振動波形は、正の及び負のパルスからなり、各々150msec以下の時間印加され得る。実際、パルスはより短い方が好ましい。
【0062】
例1(b)
図3に示すような別の設計において、白色粒子(31)は、5Vのしきい電圧を有すると仮定する。従って、白色粒子(31)は、もし印加電位差が5V以下であれば、視野側に移動しないであろう。
【0063】
白色顔料粒子(31)は、負の電荷を帯び、黒色顔料粒子(32)は、正の電荷を帯び、両方のタイプの顔料粒子は、着色粒子(色粒子又はカラー粒子:color particle)(33)より小さい。
【0064】
着色粒子(33)は、しきい電圧を有する白色粒子と同じ極性の電荷を帯びるが、わずかに(又は少し)電荷を帯びる。用語「わずかに(又は少し)電荷を帯びる(又は帯電する):slightly charged」とは、上述の例1(a)で規定した通りである。その結果、白色粒子のしきい電圧より印加電位差がより高い場合、より強い電荷強度を帯びているので、白色粒子は着色粒子(33)より速く動く。
【0065】
図3aにおいて、印加電位差は-15Vである。この場合、黒色粒子(32)は、移動して画素電極(35)に又はその近傍に存在し、白色粒子(31)及び着色粒子(33)は、移動して共通電極(34)に又はその近傍に存在する。その結果、視野側で白色が見られる。着色粒子(33)は、共通電極(34)の方に移動するが、それらの低い電荷強度とより大きなサイズのため、それらは、白色粒子より遅く移動する。
【0066】
図3bにおいて、+15Vの電位差を印加すると、白色粒子(31)は、移動して画素電極(35)に又はその近傍に存在し、黒色粒子は、移動して共通電極(34)に又はその近傍に存在する。その結果、視野側で黒色が見られる。
【0067】
着色粒子(33)は、負の電荷を帯びるので、画素電極の方に移動する。しかし、それらの低い電荷強度とより大きなサイズのため、それらは、白色粒子より遅く移動する。
【0068】
図3cにおいて、印加電位差は-5Vに変わった。この場合、正に帯電した黒色粒子(32)は、画素電極(35)の方に移動する。白色粒子(32)は、5Vのしきい電圧のために、ほとんど移動しない。着色粒子(33)は顕著なしきい電圧を有さないという事実のために、それらは、共通電極(34)に又はその近傍に移動し、その結果、着色粒子の色が視野側から見られる。
【0069】
例1(c)
図4に示すように、しきい電圧を有する着色粒子(色粒子又はカラー粒子:color particle)を含むこともできる。この場合、印加電位差が5V以下であるならば、着色粒子(43)は、視野側に移動しないであろう。
【0070】
黒色顔料粒子(42)は、負に帯電し、着色顔料粒子(43)は、正に帯電し、両方のタイプの顔料粒子は、白色粒子(41)より小さい。
【0071】
白色粒子(41)は、しきい電圧を有する着色粒子と同じ極性の電荷を帯びるが、わずかに(又は少し)電荷を帯びる。用語「わずかに(又は少し)電荷を帯びる(又は帯電する):slightly charged」は、上述の例1(a)で規定した通りである。その結果、着色粒子のしきい電圧より印加電位差がより高い場合、より強い電荷強度を帯びるので、着色粒子は白色粒子(41)より速く動く。
【0072】
図4aにおいて、印加電位差は+15Vである。この場合、黒色粒子(42)は、移動して画素電極(45)に又はその近傍に存在し、白色粒子(41)及び着色粒子(43)は、移動して共通電極(44)に又はその近傍に存在する。その結果、視野側で着色粒子の色が見られる。白色粒子(41)は、共通電極(44)の方に移動するが、それらの低い電荷強度とより大きなサイズのため、それらは、着色粒子より遅く移動する。
【0073】
図4bにおいて、-15Vの電位差を印加する場合、着色粒子(43)は、移動して画素電極(45)に又はその近傍に存在し、黒色粒子は、移動して共通電極(44)に又はその近傍に存在する。その結果、視野側で黒色が見られる。
【0074】
白色粒子(41)は、正に帯電しているので、画素電極の方に移動する。しかし、それらの低い電荷強度とより大きなサイズのため、それらは、着色粒子より遅く移動する。
【0075】
図4cにおいて、印加電位差は+5Vに変わった。この場合、負に帯電した黒色粒子(42)は、画素電極(45)の方に移動する。着色粒子(43)は、5Vのしきい電圧のために、ほとんど移動しない。白色粒子(41)は顕著なしきい電圧を有さないという事実のために、それらは、移動して共通電極(44)に又はその近傍に存在し、その結果、白色が視野側から見える。
【0076】
本発明の他の態様において、全ての3つのタイプの顔料粒子は、異なるレベルの電荷強度を有し、従って、異なるレベルの移動度(又は移動性)を有する。
【0077】
例えば、第1及び第2タイプの粒子は、逆の極性の電荷を帯びる、そして第1タイプの粒子の電荷強度は、第2タイプの粒子の電荷強度の、少なくとも約2倍、好ましくは約3倍~約15倍であり、又はその逆である。第3タイプの粒子の電荷強度は、第1又は第2タイプの粒子の、どちらかより小さい電荷強度を有する粒子の電荷強度の、約50%より小さく、好ましくは約5%~約30%である。具体的な例では、もし黒色粒子が白色粒子の2倍の電荷強度を有するならば、着色粒子は白色粒子の電荷強度の50%より小さい電荷強度を有しえる。
【0078】
最も小さい電荷強度を帯びる粒子が、他の二つのタイプの粒子より大きいことが好ましい。
【0079】
異なるレベルの電荷強度のために、三タイプの顔料粒子は、異なるレベルの移動性を有するであろう。電荷強度が高いほど、粒子はより速く移動する。下記の例は、本発明のこの態様を説明する。
【0080】
例2
この例を、
図5に示す。黒色粒子(52)の電荷強度は、白色粒子(51)の2倍の電荷強度であり、従って、黒色粒子は白色粒子より2倍速く移動すると仮定する。着色粒子(53)は、白色粒子の50%の電荷強度より小さい電荷強度を有する。
【0081】
従って、黒色粒子が共通電極と画素電極の間(d)を移動するために駆動時間tを要し、同じ距離dを移動するために、白色粒子は2t要し、着色粒子は少なくとも4t要す。
【0082】
更に、黒色粒子は正に帯電し、白色粒子は負に帯電している。着色粒子は、最も大きな強度を有する粒子、即ち、この場合は黒色粒子、と同じ極性の電荷を帯びる。
【0083】
図5aにおいて、負の電位差を、共通電極(54)と画素電極(55)に印加する場合、2tの駆動時間後、白色顔料粒子(51)は共通電極(即ち、視野側)に又はその近傍に存在し、黒色顔料粒子(52)は、画素電極に又はその近傍に存在するであろう。その結果、白色状態が見られる。着色粒子(53)は、より大きなサイズ及びより低い電荷強度/より低い移動度のために、少し移動するであろう。更に、正に帯電しているので、画素電極(55)の方に移動するであろう。
【0084】
図5bにおいて、正の電位差を、共通電極(54)と画素電極(55)に印加する場合、2tの駆動時間後、黒色顔料粒子(52)は共通電極に又はその近傍に存在し、白色顔料粒子(51)は、画素電極に又はその近傍に存在するであろう。その結果。黒色状態が見られる。
【0085】
低電荷強度及び低移動性のため、着色粒子は、ほとんど移動しないであろう。黒色粒子と着色粒子は同じ極性の電荷を帯びているが、黒色粒子は、より高い電荷強度とよりサイズが小さいので、移動して共通電極のより近くに存在するであろう。
【0086】
図5cのステップの前に、白色粒子は画素電極(55)に又はその近傍に存在し、黒色粒子と着色粒子は共通電極(54)に又はその近傍に存在することが好ましい。
図5cにおいて、共通電極(54)と画素電極(55)の間に、負の電位差を印加すると、駆動時間tの後、底部の白色粒子(51)は、共通電極と画素電極の間の領域、およそ中間レベルの領域に移動し、一方、黒色粒子(52)は、全部の距離dを移動して、画素電極に又はその近傍に存在するであろう。着色粒子は、下方に短い距離を移動するであろうが、共通電極のより近くにとどまるであろう。その結果、着色粒子(53)の色が視野側で見られる。
【0087】
この例で示すように、三つの光学状態の間のスイッチングは、従って、駆動タイムフレーム(又は時間:driving time frame)、駆動強度(又は駆動の大きさ:driving amplitude)又はその両方を制御することによって達成することができる。
【0088】
この例でより大きくより遅く移動する粒子は、着色粒子である。しかし、設計は、ニーズに応じて種々変わり得る。黒色又は白色粒子を、より大きくより遅く移動する粒子にすることも可能である。
【0089】
電気泳動ディスプレイデバイスの電気泳動流体は、ディスプレイセル内に満たされる。ディスプレイセルは、米国特許第6,930,818に記載されたようなマイクロカップでありえる。その内容は、参照することによって本明細書に組み込まれる。ディスプレイセルは、形状やサイズにかかわらず、他のタイプのマイクロコンテナ、例えば、マイクロカプセル、マイクロチャンネル又は均等物でもありえる。これらの全ては、本願発明の範囲内にある。
【0090】
本発明の一の態様において、本発明の電気泳動流体を使用するディスプレイデバイスは、ハイライト(高光量又は高照度:high-light)ディスプレイデバイスであり、この態様において、着色粒子は、全てのディスプレイセル内で同じ色である。各ディスプレイセルは、そのようなハイライトディスプレイデバイス内で画素になるであろう。更に、
図6に示すように、ディスプレイセルは、画素電極と整列することができ(
図6a参照)、又は画素電極と整列しないこともできる(
図6b参照)。
【0091】
もう一つの態様において、本発明の電気泳動流体を用いるディスプレイデバイスは、多色(マルチカラー)ディスプレイデバイスでありえる。この態様において、着色粒子は、ディスプレイセルで色が異なる。この態様において、ディスプレイセルと画素電極は整列している。
【0092】
図7は、本発明のディスプレイデバイスを用いて、如何に多色を表示するかを示す。各々のディスプレイセルは、サブピクセル(sub-pixel)を意味し、各々のサブピクセルは、三つのサブピクセルを有する。三つのディスプレイセルは、各々サブピクセルを意味し、第3タイプの顔料粒子が、各々、赤色、緑色及び青色である本発明の電気泳動流体で満たされている。
【0093】
図7aにおいて、白色の画素を要する場合、全ての三つのサブピクセルは白色状態に変えられる。
図7bにおいて、黒色の画素を要する場合、全ての三つのサブピクセルは黒色状態に変えられる。
図7cにおいて、赤色の画素を要する場合、サブピクセルの一つは赤色に変えられ、残りの二つのサブピクセルは最大の彩度のために黒色状態に変えられる。同様に、
図7d及び
図7eは、各々緑色及び青色を表示する。別法では、
図7c、7d及び7eにおいて、サブピクセルの一つが、着色状態に駆動され、残りの二つは最大の明度(又は光度)のために(彩度を犠牲にして)白色状態に駆動される。更に、別法では、
図7c、7d及び7eにおいて、サブピクセルの一つが、着色状態に駆動され、残りの二つのサブピクセルは、各々黒色状態と白色状態に駆動される。
【0094】
本発明を、その具体的な態様を参照して説明したが、本発明の真の精神及び範囲から離れることなく、種々の変更が可能であり、均等物で置き換え可能であることを、当業者であれば、理解されるべきである。更に、本発明の目的及び範囲に、特定の状況、材料、組成物、プロセス、プロセスの工程又は複数の工程を適合させるために、多くの変更が可能である。全てのそのような変更は添付された特許請求の範囲内にあるように意図される。
本明細書の開示内容は、以下の態様を含み得る。
(態様1)
第1タイプの顔料粒子、第2タイプの顔料粒子及び第3タイプの顔料粒子を含む電気泳動流体であって、それらの全ては、溶媒又は溶媒混合物に分散され、
(a)第1タイプの顔料粒子と第2タイプの顔料粒子は、反対の極性の電荷を帯び;
(b)第3タイプの顔料粒子は、第2タイプの顔料粒子と同じ極性の電荷を帯びるが、より強度が低く;
(c)第2タイプの顔料粒子は、しきい電圧を有する、電気泳動流体。
(態様2)
第1タイプの顔料粒子と、第2タイプの顔料粒子は、各々、黒色及び白色である、態様1に記載の電気泳動流体。
(態様3)
第3タイプの顔料粒子は、白色でも、黒色でもない、態様1に記載の電気泳動流体。
(態様4)
第3タイプの顔料粒子は、赤色、緑色及び青色からなる群から選択される色である、態様3に記載の電気泳動流体。
(態様5)
第3タイプの顔料粒子は、第1タイプの顔料粒子又は第2タイプの顔料粒子より大きい、態様1に記載の電気泳動流体。
(態様6)
第3タイプの顔料粒子は、第1タイプの顔料粒子又は第2タイプの顔料粒子より、約2倍~約50倍大きい、態様5に記載の電気泳動流体。
(態様7)
第3タイプの粒子は、第1タイプの顔料粒子又は第2タイプの顔料粒子の電荷強度の約50%より小さい電荷レベルを有する、態様1に記載の電気泳動流体。
(態様8)
しきい電圧は、第2タイプの顔料粒子の固有の特性である、態様1に記載の電気泳動流体。
(態様9)
しきい電圧は、添加剤によって誘起される性質である、態様1に記載の電気泳動流体。
(態様10)
しきい電圧は、反対の電荷を帯びる粒子の相互作用による、態様1に記載の電気泳動流体。
(態様11)
態様1に記載の流体で満たされるディスプレイセルを含むディスプレイデバイスであって、
共通電極層と画素電極層との間に、ディスプレイセルが挟まれる、ディスプレイデバイス。
(態様12)
ディスプレイセルは、マイクロカップである、態様11に記載のディスプレイデバイス。
(態様13)
ディスプレイセルは、マイクロカプセルである、態様11に記載のディスプレイデバイス。
(態様14)
ディスプレイセルは、画素電極と整列する、態様11に記載のディスプレイデバイス。
(態様15)
ディスプレイセルは、画素電極と整列しない、態様11に記載のディスプレイデバイス。
(態様16)
第3タイプの顔料粒子は、全てのディスプレイセルで同色である、態様11に記載のディスプレイデバイス。
(態様17)
第3タイプの顔料粒子は、ディスプレイセルで異なる色である、態様11に記載のディスプレイデバイス。
(態様18)
第2タイプの顔料粒子のしきい電圧と同じ又は低い電圧を印加することによって、第1タイプの顔料粒子の色の状態から、第3タイプの顔料粒子の色の状態に駆動することを含む、態様11に記載のディスプレイデバイスの駆動方法。
(態様19)
第1タイプの顔料粒子と、第2タイプの顔料粒子は、各々、白色及び黒色である、態様18に記載の方法。
(態様20)
第3タイプの顔料粒子は、白色でも、黒色でもない、態様18に記載の方法。
(態様21)
第3タイプの顔料粒子は、赤色、緑色、青色、イエロー、シアン及びマゼンタからなる群から選択される色である、態様20に記載の方法。
(態様22)
第3タイプの粒子は、第1タイプの顔料粒子又は第2タイプの顔料粒子の電荷強度の50%より小さい電荷レベルを有する、態様18に記載の方法。
(態様23)
第3タイプの顔料粒子は、第1タイプの顔料粒子及び第2タイプの顔料粒子より大きい、態様18に記載の方法。
(態様24)
第3タイプの顔料粒子は、第1タイプの顔料粒子又は第2タイプの顔料粒子より、約2倍~約50倍大きい、態様23に記載の方法。
(態様25)
ディスプレイが、第1タイプの顔料粒子の色の状態に駆動される前に、振動波形を加えることを更に含む、態様18に記載の方法。
(態様26)
振動波形は、多くのサイクルの間に、一組の反対の駆動パルスを繰り返すことからなる、態様25に記載の方法。
(態様27)
第1タイプの顔料粒子の完全な色の状態から、第2タイプの顔料粒子の完全な色の状態に駆動するために、又はその逆のために、必要とされる時間の半分以下の時間、各々の駆動パルスを印加する、態様25に記載の方法。
(態様28)
第3タイプの粒子の色が、視野側で見られ、第1タイプの顔料粒子と、第2タイプの顔料粒子は、視野側と反対側に集まり、第1タイプの顔料粒子の色と、第2タイプの顔料粒子の色の中間色を生ずる、態様18に記載の方法。
(態様29)
印加電圧は、第2タイプの粒子と同じ極性を有する、態様18に記載の方法。