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  • 特許-テンショナ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-27
(45)【発行日】2022-07-05
(54)【発明の名称】テンショナ
(51)【国際特許分類】
   F16H 7/12 20060101AFI20220628BHJP
【FI】
F16H7/12 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020543315
(86)(22)【出願日】2019-02-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-05-27
(86)【国際出願番号】 US2019017293
(87)【国際公開番号】W WO2019160764
(87)【国際公開日】2019-08-22
【審査請求日】2020-08-24
(31)【優先権主張番号】15/896,869
(32)【優先日】2018-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504005091
【氏名又は名称】ゲイツ コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100090169
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 孝
(74)【代理人】
【識別番号】100124497
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 洋樹
(72)【発明者】
【氏名】シン,スクディープ
(72)【発明者】
【氏名】コプサー,マイケル ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】バラ,アニル クマール
【審査官】小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-530553(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102011085546(DE,A1)
【文献】特開昭61-98767(JP,A)
【文献】特開2015-124056(JP,A)
【文献】特公平07-116343(JP,B2)
【文献】特表2007-502392(JP,A)
【文献】米国特許第8142314(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースと、
前記ベースに揺動自在に係合するピボットアームと、
前記ピボットアームに軸支されたプーリと、
前記ピボットアームを付勢するトーションスプリングとを備えたテンショナであって
前記トーションスプリングは巻き戻し方向に負荷を掛けられ、
前記トーションスプリングはダンピングシューに係合し、前記ダンピングシューは前記ベースに摩擦係合し、
前記ダンピングシューは樹脂マトリクス材料内に混合されたPTFEを備えたパッドを有し、前記PTFEは重量で前記樹脂マトリクス材料の2%から4%の間であり、
前記パッドが前記ベースの径方向内面に係合することにより、前記パッドの表面にPTFEの薄層が成形されて前記径方向内面に摺接する
テンショナ。
【請求項2】
前記樹脂マトリクス材料がナイロン66である請求項1に記載のテンショナ。
【請求項3】
前記ベースがさらに取付け孔を有する請求項1に記載のテンショナ。
【請求項4】
前記パッドが前記ベースに係合するために円弧形状を有する請求項1に記載のテンショナ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はテンショナに関し、特に、樹脂マトリクス材料の中に混合されたPTFEを備えたダンピングシューを有し、PTFEが重量で樹脂マトリクス材料の約2%と4%の間であるテンショナに関する。
【背景技術】
【0002】
可撓性ドライブシステムのための、特に内燃機関におけるアクセサリドライブシステムを備える可撓性ドライブシステムのためのテンショナが知られている。このようなテンショナは、可撓性ドライブ部材、典型的にはゴムベルトに向かって付勢されるプーリを含む。プーリは、スプリングによって可撓性ドライブ部材に向かって(緊張方向)付勢されるピボットアームに取付けられ、ピボットアームはまた、ピボットアームおよび/または可撓性ドライブ部材の振動を防止するため、減衰力を発生する手段を有する。摩擦減衰機構を有する従来のテンショナは典型的に、樹脂または金属のような材料から成るダンピング機構を用いて摩擦力を与える。
【0003】
従来のテンショナのピボットアームに用いられるブッシュは、動きを円滑にするためにPTFEを使用しているかもしれない。
【0004】
この技術の代表は米国特許第8,142,314号明細書であり、これは、好ましくは、ダイカストのような適当な製造方法によって製造され、機械加工の必要性をなくした、スピンドルとテンショナアームを用いたテンショナを開示している。テンショナの付勢スプリングは、非円形断面を有するワイヤで巻かれ、円形断面のワイヤで巻かれた同様なスプリングと比較したスプリングのスプリング力を増加させており、テンショナアームが可撓性ドライブ部材から離れるように動くとき、付勢スプリングの直径は拡大し、コイルはダンピングシューを、減衰力を発生するテンショナアームの壁面に接触させる方向に押圧する。テンショナは組立てることが単純で、発生する付勢力のために比較的小さい容積を必要とする。
【0005】
必要なものは、樹脂マトリクス材料の中に混合されたPTFEを備えたダンピングシューを有し、PTFEが重量で樹脂マトリクス材料の約2%と4%の間であるテンショナである。本発明はこの必要性に合致する。
【発明の概要】
【0006】
本発明の主な特徴は、樹脂マトリクス材料の中に混合されたPTFEを備えたダンピングシューを有し、PTFEが重量で樹脂マトリクス材料の2%と4%の間であるテンショナを提供することである。
【0007】
本発明の他の特徴は、本発明の次の記載と添付した図面により示され、明らかになる。
【0008】
本発明は、ベースと、ベースに揺動自在に係合するピボットアームと、ピボットアームに軸支されたプーリと、ピボットアームを付勢するトーションスプリングとを備え、トーションスプリングが巻き戻し方向に負荷を掛けられ、トーションスプリングがダンピングシューに係合し、ダンピングシューがベースに摩擦係合し、ダンピングシューが樹脂マトリクス材料内に混合されたPTFEを備えたダンピングシュー部分を有し、PTFEが重量で樹脂マトリクス材料の2%から4%の間であるテンショナである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
この明細書に組み込まれその一部を構成する添付図面は、本発明の好ましい実施形態を示し、説明とともに本発明の原理を説明するために用いられる。
図1】分解図である。
図2】断面図である。
図3】平面図である。
図4】ダンピングシューの斜視図である。
図5】ダンピングシューの斜視図である。
図6】摩擦面の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は分解図である。テンショナはベース10とピボットアーム20とプーリ30とトーションスプリング40とを備える。プーリ30は、ベアリング31においてピボットアーム20に軸支される。ボルト33はベアリング31を受容部21に取付ける。シャフト13はピボットアーム20をベース10に取付ける。ピボットアーム20はブッシュ14においてシャフト13の周りに揺動する。
【0011】
トーションスプリング40の端部42はベース10に係合する。トーションスプリング40の端部41はダンピングシュー50に係合する。ダンピングシュー50の摩擦面パッド53はベース10の内面15に摩擦係合する。
【0012】
図2は断面図である。トーションスプリング40の端部41はダンピングシュー50を面15に押圧する。摩擦力は、パッド53と面15の間の摩擦係数と、スプリング40により付与される垂直力との関数である。ピボットアームの揺動運動の減衰は、発生する摩擦力によって達成される。トーションスプリング40は巻き戻し方向に負荷を掛けられ、これによりスプリング40の直径を径方向に拡大させる。
【0013】
図3は平面図である。垂直方向の反力(NR)はスプリングの接触反力(SC)に対抗する。孔12は、テンショナを取付け面(図示せず)に取付けるため、ボルト(図示せず)を受容する。
【0014】
図4はダンピングシューの斜視図である。ダンピングシュー50は摩擦面パッド53を備える。パッド53はインターロック部54によってボディ51に固定される。受容部52はトーションスプリング40の端部41に係合する。パッド53はナイロン66マトリクスを有する。
【0015】
図5はダンピングシューの斜視図である。パッド53は円弧形状を有し、ベース10の面15に係合する。ボディ51は典型的には樹脂であるが、金属またはセラミック材料でもよい。
【0016】
図6は摩擦面の模式図である。PTFE60はシュー53を成型するとき、パッドのマトリクス材料に対して均一に混合される。マトリクス材料はナイロン66または他の同様な樹脂材料であってもよい。PTFEは全体的に挿入され、従来公知のほとんどの樹脂の形態に適合可能である。パッド53の中のPTFE内容物は重量で約2%から4%の範囲内にある。パッド53内のPTFE60は、例えば、水のような流体が存在する状態において、このダンピング機構のアンチ・スティック作用を高める。
【0017】
作動中またはならし運転において、パッド53はわずかに摩耗し、これはパッド53の表面にPTFEを露出させる。露出したPTFE層61は摩耗し、剪断変形して潤滑面を形成し、流体が存在する中、アンチ・スティック作用を高める。
【0018】
アンチ・スティック作用は摩擦係合と類似ではない。パッド53は面15に摩擦係合し、これによりピボットアーム20の運動を減衰させる。たとえそうでも、層61は係合の摩擦特性を低減させず、作動の間に発生するかもしれないスティック・スリップの挙動を単に低減させ、あるいは防止する。
【0019】
スティック・スリップは、相互にスティックとスリップを交互に繰り返す面であると説明することができる。典型的には、2つの面の間の静摩擦係数は動摩擦係数より大きい。付与される力が静摩擦に打ち勝つのに十分大きければ、動摩擦に対する静摩擦の減少は、2つの面の相対運動速度の突然の急増を引き起こす。
【0020】
テンショナが作用するとき、PTFEの薄層も面15に堆積する。堆積したPTFEの薄層は面15の摩耗を減少させ、これによりテンショナの動作寿命を延長させる。
【0021】
本発明の形態が説明されたが、当業者がここに記載された発明の精神と範囲から逸脱することなく、構成および、部分と方法の関係において変形を施すことは自明である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6