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特許7096345漏電遮断器及びそれに着脱可能なアーク検出装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-27
(45)【発行日】2022-07-05
(54)【発明の名称】漏電遮断器及びそれに着脱可能なアーク検出装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 83/02 20060101AFI20220628BHJP
   H01H 9/50 20060101ALI20220628BHJP
   H02H 3/00 20060101ALI20220628BHJP
   H02H 3/33 20060101ALI20220628BHJP
   H01H 73/00 20060101ALI20220628BHJP
【FI】
H01H83/02 H
H01H83/02 E
H01H9/50
H02H3/00 N
H02H3/33
H01H73/00 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020543582
(86)(22)【出願日】2018-11-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-06-10
(86)【国際出願番号】 KR2018014326
(87)【国際公開番号】W WO2019172505
(87)【国際公開日】2019-09-12
【審査請求日】2020-08-14
(31)【優先権主張番号】10-2018-0027594
(32)【優先日】2018-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】593121379
【氏名又は名称】エルエス、エレクトリック、カンパニー、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】LS ELECTRIC CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】127,LS-ro,Dongan-gu,Anyang-si,Gyeonggi-do,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100140822
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 光広
(72)【発明者】
【氏名】ハム、スンジン
(72)【発明者】
【氏名】オ、ギファン
(72)【発明者】
【氏名】パク、ジンヨン
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102008004869(DE,A1)
【文献】特開2009-224285(JP,A)
【文献】特開2012-138263(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0324747(US,A1)
【文献】韓国登録特許第10-1227990(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 73/02 - 73/06
H01H 83/02 - 83/04
H01H 9/50
H02H 3/00
H02H 3/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
漏電遮断器本体と、
前記漏電遮断器本体に着脱可能に結合されてアーク電流を検出するアーク検出モジュールとを含み、
前記アーク検出モジュールは、
前記漏電遮断器本体の第1負荷側端子に接続され、線路に流れるアーク電流を検出するアーク検出部と、
前記アーク検出部から伝達されたアーク検出信号に基づいてアーク電流を判断する制御部と、
前記制御部の制御信号に基づいて信号又は電流を出力する出力部とを含み、
前記アーク検出モジュールは、一側に前記第1負荷側端子に接続される接続端子を備え、他側に前記接続端子と負荷を接続する第2負荷側端子を備え、
前記出力部のいずれか1つの出力端子が前記接続端子のいずれか1つの相に接続され、前記出力部の他の1つの出力端子が前記漏電遮断器本体の電源側端子の他の1つの相に接続され、
前記漏電遮断器本体の筐体には、前記第1負荷側端子が露出する第1負荷側端子孔が形成され、前記アーク検出モジュールの筐体には、前記第1負荷側端子孔に嵌合される結合突起が突設される、漏電遮断器及びアーク検出装置。
【請求項2】
前記漏電遮断器本体は、
線路を開閉する遮断部と、
前記遮断部を動作させるトリップコイルとを含み、
前記出力部から出力される信号又は電流により前記トリップコイルが動作することを特徴とする請求項1に記載の漏電遮断器及びアーク検出装置。
【請求項3】
前記アーク検出モジュールは、
前記制御部及び前記出力部に直流電源を供給する電源部をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の漏電遮断器及びアーク検出装置。
【請求項4】
前記出力部の他の1つの出力端子には、出力抵抗が備えられることを特徴とする請求項1に記載の漏電遮断器及びアーク検出装置。
【請求項5】
前記漏電遮断器本体には、漏れ電流検出機能試験のために模擬漏れ電流を発生する第1テスト部が備えられ、前記アーク検出モジュールには、アーク電流検出機能試験のために模擬アーク電流を発生する第2テスト部が備えられることを特徴とする請求項1に記載の漏電遮断器及びアーク検出装置。
【請求項6】
前記アーク検出モジュールには、前記制御部に接続されて線路に流れる電気の特性を表示する表示部が備えられることを特徴とする請求項1に記載の漏電遮断器及びアーク検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、漏電遮断器及びアーク検出装置に関し、より詳しくは、漏電遮断器及びそれに着脱可能なアーク検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、漏電遮断器(Earth Leakage Breaker)は、分電盤内に設けられて漏電による感電事故や火災及び過電流による各種事故を防止するために用いられる機器である。すなわち、漏電遮断器は、線路に発生する漏電を検知し、漏電量が設定値以上になると、トリップ信号をトリップコイルに送って遮断器をトリップさせる。
【0003】
線路に発生する事故のうち火災を発生させる主要因の一つとして、線路に発生するアークが注目されている。電気火災の原因を分析した結果、電気火災の先行要因としてアークが発生した事例が多いことが見出されたからである。
【0004】
従来の配線用/漏電遮断器は、定格電流の100%以上の事故電流(通常、過電流は定格電流の150%~500%、短絡電流(ショート電流)は定格電流の1,000%以上)が流れると迅速に線路を遮断する。
【0005】
しかし、負荷のある線路に発生するアーク電流はその大きさが通常定格電流以内である。アーク電流を直列アークと並列アークに分けてみると、負荷の断線や接触不良により発生する直列アークは、負荷を介して流れるので、その大きさが通常定格電流の範囲内であり、ショートによる短絡電流(並列アーク)が発生した場合は、通常ショート地点に所定量のインピーダンスがあるので、通常1kA未満の低い短絡電流が流れる。しかし、このような小さなアーク電流によっても、周辺に引火性物質がある場合は火災につながることがある。
【0006】
従来の配線用/漏電遮断器においては、このような低電流領域でのアーク電流を迅速に遮断できないので、電気火災が発生することがある。
【0007】
よって、このようなアークを検知してアーク電流発生時に線路を遮断する機能が漏電遮断器に実現されている。このようにアーク検出及び遮断機能を有する遮断器をAFCI(Arc Fault Circuit Interrupters)ともいう。
【0008】
図1は従来技術によるアーク/漏電兼用遮断器1の内部回路ブロック図である。
【0009】
従来技術によるアーク/漏電兼用遮断器1の構成は次の通りである。
【0010】
電源11と負荷2との間に遮断部3が設けられる。遮断部3は、トリップコイル4により動作する。
【0011】
トリップコイル4、制御部8及びその他の内部部品(素子)に電源を供給するための電源部(電源回路)5が設けられる。電源部5は、外部電源11からの電圧を各素子に印加するものであり、直流電源を供給するようにしてもよい。
【0012】
漏れ電流を検出するための漏れ電流検出部6が設けられる。漏れ電流検出部6は、通常零相変流器(Zero Current Transformer, ZCT)で構成される。アーク電流を検出するためのアーク電流検出部7が設けられる。アーク電流検出部7は、通常変流器(Current Transformer, CT)で構成される。
【0013】
また、各検出部(ZCT、CT)6、7から入力された信号に基づいて漏電電流とアーク電流を判別するための制御部8が設けられる。制御部は、通常ファームウェアが搭載されたMCU(Micro Control Unit)で構成される。
【0014】
また、異常信号(漏電又はアーク)発生時に遮断器を遮断する(トリップさせる)ためのトリップコイル4に電源を開閉する(オン/オフにする)ために、スイッチ素子10が設けられる。スイッチ素子10は、SCR(Silicon Controlled Rectifier)やFET(Field Effect Transistor)などの半導体制御素子で構成される。
【0015】
このような漏電検出機能及びアーク検出機能は、遮断器の内部に設けられるPCB基板上に統合して構成される。
【0016】
従来技術によるアーク/漏電兼用遮断器1の作用は次の通りである。
【0017】
電源部5は、外部電源11から交流電源(AC)が入力され、制御部8とその他の部品及び回路が動作できるように直流電圧を印加する。
【0018】
漏れ電流検出部6は、漏れ電流を検知してその信号を制御部8に伝達し、アーク電流検出部7は、アーク電流を検知してその信号を制御部8に伝達する。
【0019】
制御部8は、漏れ電流/アーク電流検出ファームウェア(アルゴリズム)によりその大きさと真であるか否かを判断し、事故電流であると判断すると、トリップコイル4を制御するためにスイッチ素子10をトリガする(オンにする)。
【0020】
一方、遮断器の正常な動作の確認のために、漏れ電流検出部6に1ターン以上巻回されたテスト巻線に模擬漏れ電流/アーク電流を発生させて遮断器が正常に動作するか否かを確認するテスト部9が設けられてもよい。
【0021】
しかし、このようなアーク/漏電兼用遮断器は、非常に高価であるので使用者にとって負担となる。また、従来用いられていた漏電遮断器自体を交換しなければならないので非効率的である。さらに、製品設置後に必要に応じてアーク検出機能を排除する分離機能が提供されないので不便である。さらに、遮断器の機構部内に漏電遮断器の検出機能とアーク遮断器の検出機能をどちらも実現すると製品の体積(サイズ)が大きくなるという問題もある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、アーク検出機能を有する独立したモジュールからなり、漏電遮断器に着脱可能に適用できるアーク検出装置を提供することにある。
【0023】
本発明の他の目的は、従来用いられていた漏電遮断器に変更を加えないか又は最小限の変更を加えて適用できるアーク検出装置を提供することにある。
【0024】
本発明のさらに他の目的は、安価なアーク検出装置を提供することにある。
【0025】
本発明のさらに他の目的は、漏電遮断器に装着した後に使用者の必要に応じてアーク検出機能を選択的に適用できるアーク検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明の一実施形態による漏電遮断器及びアーク検出装置は、漏電遮断器本体と、前記漏電遮断器本体に着脱可能に結合されてアーク電流を検出するアーク検出モジュールとを含み、前記アーク検出モジュールは、前記漏電遮断器本体の第1負荷側端子に接続され、線路に流れるアーク電流を検出するアーク検出部と、前記アーク検出部から伝達されたアーク検出信号に基づいてアーク電流を判断する制御部と、前記制御部の制御信号に基づいて信号又は電流を出力する出力部とを含む。
【0027】
ここで、前記漏電遮断器本体は、線路を開閉する遮断部と、前記遮断部を動作させるトリップコイルとを含み、前記出力部から出力される信号又は電流により前記トリップコイルが動作することを特徴とする。
【0028】
また、前記アーク検出モジュールは、一側に前記第1負荷側端子に接続される接続端子を備え、他側に前記接続端子と負荷を接続する第2負荷側端子を備えることを特徴とする。
【0029】
さらに、前記アーク検出モジュールは、前記制御部及び前記出力部に直流電源を供給する電源部をさらに含むことを特徴とする。
【0030】
さらに、前記出力部のいずれか1つの出力端子が前記接続端子のいずれか1つの相に接続され、前記出力部の他の1つの出力端子が前記漏電遮断器本体の電源側端子の他の1つの相に接続されることを特徴とする。
【0031】
さらに、前記出力部の他の1つの出力端子には、出力抵抗が備えられることを特徴とする。
【0032】
さらに、前記漏電遮断器本体には、漏れ電流検出機能試験のために模擬漏れ電流を発生する第1テスト部が備えられ、前記アーク検出モジュールには、アーク電流検出機能試験のために模擬アーク電流を発生する第2テスト部が備えられることを特徴とする。
【0033】
さらに、前記アーク検出モジュールには、前記制御部に接続されて線路に流れる電気の特性を表示する表示部が備えられることを特徴とする。
【0034】
さらに、前記漏電遮断器本体の筐体には、前記第1負荷側端子が露出する第1負荷側端子孔が形成され、前記アーク検出モジュールの筐体には、前記第1負荷側端子孔に嵌合される結合突起が突設されることを特徴とする。
【0035】
さらに、前記漏電遮断器本体の筐体には、前記第1テスト部に接続されるテスト端子が露出するテスト端子孔が形成され、前記アーク検出モジュールの筐体には、前記出力部の出力端子が露出して前記テスト端子に接続されるようにする端子孔が形成されることを特徴とする。
【0036】
さらに、前記漏電遮断器本体の筐体には、前記トリップコイルに接続される回路を開閉するスイッチ素子に接続されるスイッチ端子が露出するスイッチ端子孔が形成され、前記アーク検出モジュールの筐体には、前記出力部の出力端子が露出して前記スイッチ端子に接続されるようにする端子孔が形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0037】
本発明の各実施形態による漏電遮断器及びアーク検出装置においては、漏電遮断器に着脱可能でアーク検出機能を有するアーク検出モジュールが独立して備えられるので、漏電遮断器に選択的に適用することができる。
【0038】
このようなアーク検出モジュールは、従来用いられていた漏電遮断器に変更を加えないか、端子接続部を構成するなどの最小限の変更を加えることにより適用することができる。
【0039】
また、このようなアーク検出モジュールは、アーク検出機能のみを有するので、漏電/アーク検出機能を統合して備えた遮断器に比べて安価である。
【0040】
さらに、漏電遮断器に装着した後に使用者の必要に応じてアーク検出機能を選択的に用いることができるので便利である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】従来技術によるアーク/漏電兼用遮断器の内部回路ブロック図である。
図2】本発明の一実施形態による漏電遮断器及びアーク検出装置の斜視図であり、アーク検出装置が漏電遮断器に結合された状態を示す。
図3】本発明の一実施形態による漏電遮断器及びアーク検出装置の斜視図であり、アーク検出装置が漏電遮断器から分離された状態を示す。
図4図2の実施形態による漏電遮断器及びアーク検出装置の内部回路ブロック図である。
図5】本発明の他の実施形態による漏電遮断器及びアーク検出装置の斜視図である。
図6】本発明のさらに他の実施形態による漏電遮断器及びアーク検出装置の斜視図である。
図7】本発明のさらに他の実施形態による漏電遮断器及びアーク検出装置の内部回路ブロック図である。
図8】本発明のさらに他の実施形態による漏電遮断器及びアーク検出装置の斜視図である。
図9】本発明のさらに他の実施形態による漏電遮断器及びアーク検出装置の内部回路ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明の好ましい実施形態について添付図面を参照して説明するが、これは本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が本発明を容易に実施できる程度に詳細に説明するためのものであり、これにより本発明の技術的思想及び範囲が限定されるものではない。
【0043】
図面を参照して、本発明の各実施形態による漏電遮断器及びアーク検出装置について詳細に説明する。
【0044】
図2及び図3は本発明の一実施形態による漏電遮断器及びアーク検出装置の斜視図であり、それぞれアーク検出装置が漏電遮断器に結合された状態及び漏電遮断器から分離された状態を示す。また、図4図2の実施形態による漏電遮断器及びアーク検出装置の内部回路ブロック図である。
【0045】
本発明の一実施形態による漏電遮断器及びアーク検出装置は、線路を開閉する遮断部25及び遮断部25を動作させるトリップコイル26を有する漏電遮断器本体20と、漏電遮断器本体20に着脱可能に結合されてアーク電流を検出するアーク検出モジュール40とを含み、アーク検出モジュール40は、漏電遮断器本体20の第1負荷側端子21に接続されるアーク検出部60と、アーク検出部60から伝達されたアーク検出信号に基づいてアーク電流を判断する第2制御部50と、第2制御部50の制御信号に基づいて信号又は電流を出力してトリップコイル26を動作させる出力部55とを含む。
【0046】
本発明の一実施形態による漏電遮断器及びアーク検出装置は、漏電遮断器本体とアーク検出モジュール(アーク検出装置)とから構成される。ここで、漏電遮断器を漏電遮断器本体、あるいは単に本体という。また、単にモジュールという場合、モジュールとはアーク検出モジュールのことである。一方、電源部のように本体及びモジュールに共通に備えられる構成要素には、それらを区分するために「第1」、「第2」などの接頭語を用いる。ここで、「第1」は本体に備えられる構成要素に用い、「第2」はモジュールに備えられる構成要素に用いる。
【0047】
図2はアーク検出モジュール40が本体20に結合された状態を示し、図3はアーク検出モジュール40が本体20から分離された状態を示す。
【0048】
漏電遮断器本体20及びアーク検出モジュール40は、それぞれ箱状の筐体39、49を有する。
【0049】
アーク検出モジュール40は、本体20に結合するか又は本体20から分離することができる。ここで、アーク検出モジュール40は、本体20の一側に結合される。例えば、アーク検出モジュール40は、本体20の負荷側に結合されてもよい。ここで、本体20の第1筐体39の負荷側の一面とアーク検出モジュール40の第2筐体49の一面とが当接するように結合されてもよい。
【0050】
アーク検出モジュール40の接続端子41は、本体20の第1負荷側端子21に接続される。ここで、アーク検出モジュール40の接続端子41は、締結部材(例えば、ネジ)により本体20の第1負荷側端子21に結合される。このために、接続端子41にネジ孔41aを形成してもよい。このようなネジ締結作業は、本体20の第1負荷側端子21の上部に形成された第1締結孔37を介して行ってもよい。
【0051】
このように、本体20とアーク検出モジュール40との結合は、本体20の第1負荷側端子21及びアーク検出モジュール40の接続端子41により簡単に行うことができる。この場合、本体20の第1負荷側端子21及びアーク検出モジュール40の接続端子41は、本体20とアーク検出モジュール40間の電気的接続通路の役割を果たすと共に、機械的結合機能を果たす。よって、アーク検出モジュール40が本体20から離脱しなくなる。
【0052】
本体20の第1筐体39は、前面(図の左)に電源側端子孔24が形成され、背面に第1負荷側端子孔22が形成される。第1負荷側端子孔22の内部には第1負荷側端子21が配置され、電源側端子孔24の内部には電源側端子23が配置される。
【0053】
アーク検出モジュール40の第2筐体49は、前面に接続端子41が露出する接続端子孔42が形成され、背面に負荷90を接続するための第2負荷側端子孔44が形成される。
【0054】
負荷90は、第2負荷側端子43に接続される。アーク検出モジュール40の上部には、第2締結孔47が形成され、負荷90を第2負荷側端子43に結合するための作業空間が提供される。
【0055】
図4の内部回路ブロック図をさらに参照する。
【0056】
漏電遮断器本体20は、電源側端子23、第1負荷側端子21、遮断部25、第1電源部27、第1制御部28、スイッチ素子29、漏電検出部30などから構成される。
【0057】
電源側端子23には、電源が接続され、電流と電圧が供給される。ここで、電源として交流電源が供給されてもよい。電源側端子23は、複数備えられる。すなわち、電源側端子23は、複数の線(line)又は相にそれぞれ備えられる。
【0058】
電源側端子23と第1負荷側端子21との間に遮断部25が設けられる。遮断部25は、過電流、事故電流及び漏れ電流の発生時、トリップコイル26の作用により動作して回路(線路)を遮断する。遮断部25は、詳細には示していないが、ハンドル35に加わる使用者の操作力又はトリップコイル26に発生する電磁力により動作する開閉機構(図示せず)と、端子21、23に接続されて回路(線路)を直接開閉する接点部(図示せず)とを含む。
【0059】
第1電源部27が設けられる。第1電源部27は、電源側端子23を介して外部電源が入力され、第1制御部28とその他の構成部及び回路に電源を供給する。ここで、第1電源部27は、交流電源を直流電源に変換して各素子に供給するようにしてもよい。
【0060】
第1制御部28が設けられる。第1制御部28は、漏電検出部30から入力された信号を分析して漏れ電流が発生したか否かを判断する。その判断は、予め設定された基準電圧値との比較により行われてもよい。第1制御部28は、漏れ電流であると判断すると、トリップコイル26を動作させるためにトリップ制御信号をスイッチ素子29に送る。
【0061】
スイッチ素子29が設けられる。スイッチ素子29は、SCRやFETなどの半導体制御素子で構成されてもよい。よって、オン/オフ機能を実行することができる。
【0062】
スイッチ素子29は、第1制御部28のトリップ命令に従ってトリップコイル26を動作させる。以下、それについて具体的に説明する。
【0063】
第1制御部28からスイッチ素子29に送られるトリップ制御信号は、スイッチ素子29のゲート駆動信号として供給され、スイッチ素子29は、トリップ制御信号が供給されるとそれに応答してターンオンされる。
【0064】
スイッチ素子29がオンになると、第1電源部27、トリップコイル26及びスイッチ素子29間の回路が閉路され、第1電源部27からの直流電流がトリップコイル26に流れてトリップコイル26が励磁される。トリップコイル26が励磁されると、遮断部25がトリガされてトリップ位置に動作する。
【0065】
漏電検出部30は、零相変流器(ZCT)で構成されてもよい。漏電検出部30は、回路に流れる漏れ電流を検知してその信号を第1制御部28に送る。零相変流器は、各線路がコアの中心を貫通するように設けられ、各線路のいずれか1つでも漏電が発生すると前記コアに巻回された2次コイルに誘導電圧が誘起されるようになっており、当該誘導電圧信号は、漏電検出信号として第1制御部28に伝達される。ここで、漏電検出部30と第1制御部28との間には、感度選択回路が備えられ、前記漏電検出信号を区分して伝達するようにしてもよい。
【0066】
第1テスト部31は、本体20の漏電検出機能が正常に動作するか否かを確認するために設けられる。第1テスト部31は、試験信号、すなわち仮想の漏電検出信号(模擬漏れ電流)を発生して出力する回路部である。第1テスト部31は、発振回路ともいう。
【0067】
第1テスト部31は、第1テストボタン32と漏電検出部30との間に接続され、第1テストボタン32が押圧されるとそれに応答して試験信号を発生する。漏電検出部30は、それに応答して漏れ検出信号を第1制御部28に送る。第1テスト部31の第1テストボタン32は、本体20の外部に露出しているので、使用者が容易に操作することができる。
【0068】
アーク検出モジュール40は、接続端子41、第2負荷側端子43、第2電源部45、第2制御部50、出力部55、アーク検出部60、第2テスト部65、表示部70などから構成される。
【0069】
接続端子41と第2負荷側端子43は前述した通りである。接続端子41は本体20の第1負荷側端子21に接続され、第2負荷側端子43は負荷90に接続される。
【0070】
第2電源部45が設けられる。第2電源部45は、交流(AC)電源が入力され、アーク検出モジュール40内の第2制御部50とその他の構成部及び回路に電源を供給する。ここで、第2電源部45は、交流電源を直流電源に変換して各素子に供給するようにしてもよい。
【0071】
第2制御部50が設けられる。第2制御部50は、アーク検出部60から入力された信号を分析して真のアークであるか否かを判断する。その判断は、予め設定された基準値又は予め設定された波形との比較により行われてもよい。第2制御部50は、アーク検出部60から入力された信号値に基づいて真のアークであると判断すると、本体20のトリップコイル26を動作させるためにトリップ制御信号を出力部55に送る。
【0072】
出力部55が設けられる。出力部55は、半導体制御素子又はスイッチ素子で構成されてもよい。出力部55は、入力線及び出力線を有する。出力部55は、フォトカプラ、SCR、FETなどの素子で構成されてもよい。出力部55は、第2制御部50からのトリップ制御信号を本体20に出力する。出力部55は、第2制御部50からのトリップ制御信号に基づいて、本体20のトリップコイル26を動作させるための出力信号を発生するか又は出力電流を供給する。
【0073】
出力部55の出力信号は、本体20の電源側端子23、スイッチ素子29又は第1テスト部31などに供給され、トリップコイル26を動作させる。まず、本実施形態は、出力部55の出力信号が本体20の電源側端子23に供給されるケースである。
【0074】
出力部55の陽極(アノード)は、アーク検出モジュール40の内部のいずれか1つの相(例えば、接続端子のいずれか1つの相)に接続され、出力部55の陰極(カソード)は、出力線又は出力端子57を介して本体20の電源側端子23の他の1つの相に接続される。第2制御部50のトリップ信号により出力部55がオンになると、第2電源部45、出力部55、本体20の電源側端子23は閉路されて電流I1が流れる。漏電遮断器本体20の漏電検出部30はそれを漏れ電流として検出し、それによりトリップコイル26が動作して回路が遮断される。
【0075】
ここで、出力部55の陰極には、電流の発生又は分圧のために出力抵抗56が備えられてもよい。よって、漏れ電流量を設定することができる。
【0076】
本実施形態においては、出力部55から本体20の回路に電流を流すことにより、本体20において漏れ電流が流れていると判断して遮断部25を動作させるようにする。
【0077】
アーク検出部60は、回路に流れるアーク電流を検知してその信号を第2制御部50に送る。アーク検出部60は、回路のいずれかの相に設けられる変流器(CT)で構成されてもよい。アーク検出部60は、回路に流れるアーク電流を検知してその信号を第2制御部50に送る。変流器は、回路のいずれかの線路に設けられ、アーク電流が発生するとコアに巻回された2次コイルに誘導電圧が誘起されるようになっており、当該誘導電圧信号は、アーク検出信号として第2制御部50に伝達される。ここで、アーク検出部60と第2制御部50との間には、感度選択回路が備えられ、前記アーク検出信号を区分して伝達するようにしてもよい。
【0078】
第2テスト部65は、本体20のアーク検出機能が正常に動作するか否かを確認するために設けられる。第2テスト部65は、試験信号、すなわち仮想のアーク検出信号(模擬アーク電流)を発生して出力する回路部である。
【0079】
第2テスト部65は、第2テストボタン66とアーク検出部60との間に接続され、第2テストボタン66が押圧されるとそれに応答して試験信号を発生する。アーク検出部60は、それに応答してアーク検出信号を第2制御部50に送る。第2テスト部65の第2テストボタン66は、アーク検出モジュール40の外部に露出しているので、使用者が容易に操作することができる。
【0080】
アーク検出モジュール40の出力部55は、本体20の電源側端子23に接続される。アーク検出モジュール40は、アーク信号が発生すると、出力部55を介して本体20に模擬漏れ電流を流すように動作する。よって、本体20は漏れ電流が発生したと認識して遮断部25を動作させることになる。
【0081】
表示部70は、アーク検出モジュール40の状態を示す。表示部70は、第2筐体49から露出する。表示部70は、LCDディスプレイやLEDディスプレイなどで構成されてもよい。表示部70には、電気に関する各種情報が表示されるようにしてもよい。その情報には、電流、電圧、力率、電力量、電力品質、アーク発生の有無などが含まれる。その状態は、第2制御部50により選択的に表示されるようにしてもよい。
【0082】
また、その表示態様として、アラーム又は警報機能が含まれてもよい。そのアラーム又は警報機能は、音を用いて表示を行うようにしてもよい。この場合、表示部70は、音発生素子やスピーカを含んでもよい。
【0083】
もし、本実施形態において電源側端子23に接続される出力端子57が除去されると、アーク検出モジュール40は、単にアークを検出してその発生を表示及び通知する機能のみを実行する。
【0084】
本発明の一実施形態によるアーク検出装置においては、本体の負荷側端子にアーク検出モジュールの接続端子を接続し、本体の電源側端子のいずれか1つの相に出力端子を接続するので、結合が容易である。よって、本体20とアーク検出モジュール40との結合及び分離が容易になる。
【0085】
図5はアーク検出モジュール40の他の実施形態を示す。本実施形態においては、接続端子孔42に結合突起48がそれぞれ1つ以上形成される。よって、アーク検出モジュール40は本体20に嵌合される。アーク検出モジュール40の結合突起48が本体20の第1負荷側端子孔22に嵌合される。よって、本体20とアーク検出部60との結合力が増大する。また、端子間の連結による結合でないので、端子は機械的支持力を有する必要がなく、安定した通電が維持される。
【0086】
ここで、結合突起48は、合成樹脂などからなり、所定の弾性を有することが好ましい。よって、締まり嵌めが可能になる。結合突起48に係止部48aが形成され、本体20の第1負荷側端子孔22に挿入されると偶発的に離脱しなくなるようにしてもよい。
【0087】
図6及び図7は本発明のさらに他の実施形態による漏電遮断器本体120及びアーク検出モジュール140の斜視図及び内部回路ブロック図である。
【0088】
本体120及びアーク検出モジュール140の基本的な構成については、前述した実施形態と同様の場合はその詳細な説明を省略し、異なる部分を中心に説明する。
【0089】
漏電遮断器本体120は、電源側端子23、第1負荷側端子21、遮断部25、第1電源部27、第1制御部28、スイッチ素子29、漏電検出部30などから構成される。
【0090】
本体120の第1筐体39の一部には、テスト端子孔125が複数形成される。テスト端子孔125は、第1負荷側端子孔22の上方に形成されてもよい。テスト端子孔125には、テスト端子126、127がそれぞれ配置される。ここで、テスト端子126、127は、第1テスト部31の接点(スイッチ)の両端にそれぞれ接続される端子である。テスト端子126、127が第1テスト部31に接続されるので、テスト端子126、127に入力(電流)が発生すると、本体120の第1テストボタン32を作動させたことになる。
【0091】
アーク検出モジュール140の第2筐体49には、端子孔146が複数形成される。端子孔146は、接続端子孔42の上方に形成されてもよい。端子孔146には、出力端子157、158がそれぞれ配置される。ここで、アーク検出モジュール140の端子孔146は本体120のテスト端子孔125に対応し、アーク検出モジュール140の出力端子157、158は本体120のテスト端子126、127に対応する。よって、アーク検出モジュール140が本体120に結合されると、出力端子157、158が自動的にテスト端子126、127に接続される。
【0092】
アーク検出モジュール140は、接続端子41、第2負荷側端子43、第2電源部45、第2制御部50、出力部55、アーク検出部60、第2テスト部65、表示部70などから構成される。各構成部品については、前述した実施形態と同様の場合、個々の説明を省略する。
【0093】
出力部55が設けられる。出力部55の出力端子157、158は、それぞれ本体120のテスト端子126、127に接続される。例えば、出力部55の陰極出力端子157は本体120の第1テスト部31のいずれか1つの相のテスト端子126に接続され、出力部55の陽極出力端子158は本体120の第1テスト部31の他の1つの相のテスト端子127に接続される。よって、出力部55に出力信号が発生すると、本体120の第1テストボタン32を作動させたのと同様の効果が得られる。
【0094】
アーク検出モジュール140においてアークを検出して出力部55により出力信号を送ると、第2電源部45、出力部55、第1テスト部31は閉路されて電流I2が流れ、よって、本体120においては、漏れ電流が流れていると判断し、第1制御部28の命令に従ってトリップコイル26に電流が流れて磁化し、遮断部25が動作して回路が遮断される。
【0095】
図8及び図9は本発明のさらに他の実施形態による漏電遮断器本体220及びアーク検出モジュール240の斜視図及び内部回路ブロック図である。
【0096】
本体220及びアーク検出モジュール240の基本的な構成については、最初の実施形態と同様の場合はその詳細な説明を省略する。
【0097】
漏電遮断器本体220は、電源側端子23、第1負荷側端子21、遮断部25、第1電源部27、第1制御部28、スイッチ素子29、漏電検出部30などから構成される。
【0098】
本体220の第1筐体39の一部には、スイッチ端子孔225が形成される。スイッチ端子孔225は、第1負荷側端子孔22の上方に形成されてもよい。スイッチ端子孔225には、スイッチ端子226、227がそれぞれ配置される。ここで、スイッチ端子226、227は、スイッチ素子29の両端にそれぞれ接続される端子である。スイッチ端子226、227がスイッチ素子29に接続されるので、スイッチ端子226、227に入力(電流)が発生すると、本体220のスイッチ素子29を作動させることになる。
【0099】
アーク検出モジュール240の第2筐体49には、端子孔246が形成される。端子孔246は、接続端子孔42の上方に形成されてもよい。端子孔246には、出力端子257、258がそれぞれ配置される。ここで、アーク検出モジュール240の端子孔246は本体220のスイッチ端子孔225に対応し、アーク検出モジュール240の出力端子257、258は本体220のスイッチ端子226、227に対応する。よって、アーク検出モジュール240が本体220に結合されると、出力端子257、258が自動的にスイッチ端子226、227に接続される。
【0100】
アーク検出モジュール240は、接続端子41、第2負荷側端子43、第2電源部45、第2制御部50、出力部55、アーク検出部60、第2テスト部65、表示部70などから構成される。各構成部品の詳細については、前述した実施形態と同様の場合、個々の説明を省略する。
【0101】
出力部55が設けられる。出力部55の陽極はスイッチ素子29の陽極に接続され、出力部55の陰極はスイッチ素子29の陰極に接続される。すなわち、出力部55の陰極出力端子257は本体220の陰極スイッチ端子226に接続され、出力部55の陽極出力端子258は本体220の陽極スイッチ端子227に接続される。よって、出力部55に出力信号が発生すると、本体220のスイッチ素子29をオン動作させたのと同様の効果が得られる。よって、本体220はトリップコイル26を動作させることになる。
【0102】
アーク検出モジュール240においてアークを検出して出力部55により出力信号を送ると、第2電源部45、出力部55、スイッチ素子29は閉路されて電流I3が流れ、よって、本体220においては、トリップコイル26に電流が流れて磁化し、遮断部25が動作して回路が遮断される。
【0103】
本実施形態においては、前述した実施形態のようには模擬漏れ電流を発生したり第1テスト部を経由したりせず、漏れ電流判断過程が省略され、直接スイッチ素子を動作させるので、迅速な遮断が行われる。
【0104】
本発明の各実施形態による漏電遮断器及びアーク検出装置においては、漏電遮断器に着脱可能でアーク検出機能を有するアーク検出モジュールが独立して備えられるので、漏電遮断器に選択的に適用することができる。
【0105】
このようなアーク検出モジュールは、従来用いられていた漏電遮断器に変更を加えないか、端子接続部を構成するなどの最小限の変更を加えることにより適用することができる。
【0106】
また、このようなアーク検出モジュールは、アーク検出機能のみを有するので、漏電/アーク検出機能を統合して備えた遮断器に比べて安価である。
【0107】
さらに、漏電遮断器に装着した後に使用者の必要に応じてアーク検出機能を選択的に用いることができるので便利である。
【0108】
前述した実施形態は本発明を実現する実施形態であり、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の本質的な特性から逸脱しない範囲で様々な変更及び変形が可能である。よって、本発明に開示されている実施形態は、本発明の技術思想を限定するものではなく、説明するためのものであり、それらの実施形態により本発明の技術思想の範囲が限定されるものではない。すなわち、本発明の保護範囲は請求の範囲により解釈されるべきであり、それと同等の範囲内にあるあらゆる技術思想は本発明の権利範囲に含まれるものと解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9