(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-27
(45)【発行日】2022-07-05
(54)【発明の名称】低カットオフの加熱式非燃焼タバコのタバコスティック
(51)【国際特許分類】
A24D 1/20 20200101AFI20220628BHJP
A24D 1/02 20060101ALI20220628BHJP
A24D 3/04 20060101ALI20220628BHJP
【FI】
A24D1/20
A24D1/02
A24D3/04
(21)【出願番号】P 2020551345
(86)(22)【出願日】2019-08-08
(86)【国際出願番号】 CN2019099836
(87)【国際公開番号】W WO2020220507
(87)【国際公開日】2020-11-05
【審査請求日】2020-12-04
(31)【優先権主張番号】201910356740.1
(32)【優先日】2019-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201910488102.5
(32)【優先日】2019-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517283640
【氏名又は名称】雲南中煙工業有限責任公司
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】申欽鵬
(72)【発明者】
【氏名】趙楊
(72)【発明者】
【氏名】楊柳
(72)【発明者】
【氏名】劉春波
(72)【発明者】
【氏名】段▲ゆあん▼杏
(72)【発明者】
【氏名】趙輝
(72)【発明者】
【氏名】楊継
(72)【発明者】
【氏名】▲こん▼為民
(72)【発明者】
【氏名】呉俊
(72)【発明者】
【氏名】孫志勇
(72)【発明者】
【氏名】陳永寛
(72)【発明者】
【氏名】▲みお▼明明
【審査官】根本 徳子
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-503335(JP,A)
【文献】国際公開第2019/063737(WO,A1)
【文献】特公昭54-003960(JP,B1)
【文献】特表2017-518041(JP,A)
【文献】特表2018-521649(JP,A)
【文献】特表2017-507660(JP,A)
【文献】特表平09-505990(JP,A)
【文献】特表2018-523981(JP,A)
【文献】実開昭50-109000(JP,U)
【文献】特開2017-060405(JP,A)
【文献】国際公開第2018/214953(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24D 3/04
A24D 1/02、 1/20
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
低カットオフの加熱式非燃焼タバコのタバコスティックであって、順に、発煙芯材セグメント(1)、支持セグメント(2)、及びフィルタチップセグメント(4)を含み、
前記支持セグメント(2)がチューブ壁(21)とチューブキャビティ(22)とを含み、前記チューブキャビティ(22)内には、前記チューブ壁(21)と接触している支持部材(23)が設けられ、前記支持部材(23)は第1の通気性紙材であり、
前記支持部材(23)は、前記チューブキャビティ(22)を複数の長手方向チャネルに分割しており、複数の前記長手方向チャネルの容積の合計は、前記チューブキャビティ(22)の容積の
80%~90%であり、
前記支持セグメント(2)と前記フィルタチップセグメント(4)とが成型紙で包まれることにより吸い口部を形成し、前記発煙芯材セグメント(1)と前記吸い口部とは接合紙によって接合され、
前記支持セグメント(2)の長さは、前記吸い口部の全長の1/3~3/4であり、
前記支持部材(23)の横断面が、コルゲート形状又は中空多角形であり、
前記支持部材(23)に増香材料層(231)が設けられ、前記第1の通気性紙材の通気性が50~10000CUであり、厚さが70~400μmであり、
前記支持セグメント(2)が、前記支持セグメント(2)の径方向に沿って前記チューブ壁(21)、前記成型紙(5)、及び前記接合紙(6)を貫通する、通気孔(24)を有
し、
前記支持セグメント(2)が、前記支持セグメント(2)の径方向に沿って前記チューブ壁(21)を貫通する通気ウインドウ(25)を有し、前記接合紙(6)の前記支持セグメント(2)を包む区域が換気孔(26)を有し、前記換気孔(26)の面積は、前記通気ウインドウ(25)の面積よりも小さく、前記換気孔(26)と前記通気ウインドウ(25)とは少なくとも部分的に重なり合っており、
前記成型紙(5)は、通気性が2000~32000CUである第2の通気性紙材又は通気性不織布であり、前記成型紙(5)には孔が開けられていない、ことを特徴とする、
加熱式非燃焼タバコのタバコスティック。
【請求項2】
前記支持部材(23)が前記支持セグメント(2)に沿って軸方向に延在し、複数の前記長手方向チャネルは互いに平行であることを特徴とする、請求項1に記載の加熱式非燃焼タバコのタバコスティック。
【請求項3】
前記支持部材(23)が前記支持セグメント(2)に沿って軸方向に、螺旋状に延在し、螺旋角は5°~30°であり、前記長手方向チャネルが前記支持セグメント(2)に沿って軸方向に、螺旋状に延在することを特徴とする、請求項1に記載の加熱式非燃焼タバコのタバコスティック。
【請求項4】
前記通気ウインドウ(25)が、前記タバコスティックの軸方向に沿って延在する長さは1~2mmであり、前記通気ウインドウ(25)が一又は複数のペイン(27)を含み、前記ペイン(27)は長方形、正方形、又は円形であることを特徴とする、請求項
1に記載の加熱式非燃焼タバコのタバコスティック。
【請求項5】
前記支持セグメント(2)と前記フィルタチップセグメント(4)との間には更に降温セグメント(3)が設けられ、前記支持セグメント(2)、前記降温セグメント(3)、及び前記フィルタチップセグメント(4)が前記成型紙で包まれることにより前記吸い口部を形成し、前記発煙芯材セグメント(1)と前記吸い口部とは前記接合紙によって接合され、前記支持セグメント(2)の長さは前記吸い口部の全長の1/3~3/4であることを特徴とする、請求項1に記載の加熱式非燃焼タバコのタバコスティック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の特許請求の範囲は、加熱式非燃焼タバコの製造という技術分野に関し、具体的には、低カットオフの加熱式非燃焼タバコのタバコスティックに関する。
【背景技術】
【0002】
消費者が健康問題を重要視するようになり、かつタバコ製品のパーソナライズされた体験に対する消費者の需要が高まるにつれて、タバコ業界は、消費者の要求のアップグレードに対応し続け、タール及び害が低減された各種のタバコスティックを開発してきた。加熱式で非燃焼型のタバコは、従来のタバコ製品とはタバコの加熱方式が異なるので、タバコ製品に対する消費者の感覚的ニーズを満たしつつ、より健康的な吸引体験を提供しうる。
【0003】
既存の加熱式非燃焼タバコのタバコスティックは、主に、発煙芯材セグメント、支持セグメント、降温セグメント、及びフィルタチップセグメントを含み、支持セグメントは、タバコスティックを支持する役割を果たすがそれだけでなく、更に重要なのは、燃焼ガスを収集し、降温セグメントと協働して燃焼ガスを降温させることである。従来技術では、オンラインレーザ穿孔法で支持セグメントのチューブ壁とチューブ壁を包む成型紙及び接合紙とに貫通孔を開けて、通気孔を形成することにより、外気を支持セグメントの内部に入れて燃焼ガスと混合させる。これにより、エアロゾル量が増加し、燃焼ガスの温度が効果的に低下するが、燃焼ガスに対する降温効果及び空気と燃焼ガスとを混合させる効果は良くないままである。その原因は、次の3点にある。
1.支持セグメントのチューブ壁の径方向支持力が不足し、チューブ壁が、外力を受けてチューブキャビティの中心に向かって収縮陥没
し、燃焼ガス及び空気の気流チャネルが塞がれて、エアロゾル量が不足すること、
2.燃焼ガスと支持セグメントのチューブ壁との接触面積が限られており、効果的な降温を実現できないこと、
3.燃焼ガス及び空気は、支持セグメント内に滞留する時間が短く、支持セグメントをただちに高速で通過して降温セグメントに入るので、十分な混合が達成できないこと。
そのため、燃焼ガスの更なる降温を実現するために、現在主に行われているのは、降温セグメントの降温材料に対して改良を行うこと、又は直接的に降温材料の使用量を増やすことである。しかし、降温材料の多くは相変化材料であり、何回か吸引した後には相変化材料が収縮陥没して気流チャネルを塞ぎ、吸引抵抗が大幅に上昇して、吸引体験に影響を与える。
【0004】
別の態様では、オンラインレーザ穿孔法を用いてタバコスティックの支持セグメントを穿孔するが、これには以下の問題がある。
1.オンラインレーザ穿孔のプロセスでは、支持セグメントのチューブ壁の材料と厚さに対して比較的高い要求がある。まず支持セグメントのチューブ壁の材料がオンラインレーザ穿孔のプロセスにおいて崩壊してはならないが、チューブ壁は、オンラインレーザ穿孔の時に貫通孔が開けられないほど、特に厚いものであってもならならない。
2.オンラインレーザ穿孔のプロセスでは、レーザ出力に対する要求も非常に高く、レーザ穿孔設備が支持セグメントのチューブ壁に貫通孔を開けることができなければ、加熱式非燃焼タバコのタバコスティックの生産が不合格になるという問題、及び燃焼ガスが熱すぎるという問題が発生しうる。
3.現在、支持セグメントと支持セグメントを包む成型紙及び接合紙とに貫通孔を開けることにより通気孔が形成され、外気が通気孔を通って直接支持セグメントの内部に入るので、通気孔が空気を導入する速度が速く、導入された空気と燃焼ガスとの接触面積が限られ、混合が不均一になる。消費者の口内に吸引される燃焼ガスの量は増加するものの燃焼ガスの濃度が低く、燃焼ガス中に大量の空気が混ざるのは明らかであり、喫煙品質が深刻に低下する。
4.現行のオンラインレーザ穿孔法では全て、支持セグメントの、タバコセグメントからの距離が14~15mm又は18~19mmのところで穿孔が行われることになるので、通気孔の位置が固定される。
【0005】
そのため、支持セグメントは、タバコスティック全体を支持する役割を比較的良好に果たすというだけでなく、更に燃焼ガスの温度を下げ、燃焼ガスを収集する役割についても考慮される必要がある。つまり、燃焼ガスの温度が適当であり、エアロゾルの量が十分でかつ燃焼ガスとの混合が均一であり、燃焼ガスの品質が高い、加熱式非燃焼タバコのタバコスティックを開発することが、求められている。
【0006】
上述した問題を解決するために、本発明を提示する。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、低カットオフの加熱式非燃焼タバコのタバコスティックであって、順に、発煙芯材セグメント1、支持セグメント2、及びフィルタチップセグメント4を含み、
支持セグメント2はチューブ壁21とチューブキャビティ22とを含み、チューブキャビティ22内には、チューブ壁21と接触している支持部材23が設けられ、支持部材23は第1の通気性紙材であり、
支持部材23が、チューブキャビティ22を複数の長手方向チャネルに分割しており、これらの複数の長手方向チャネルの容積の合計は、チューブキャビティ22の容積の50%~90%であり、
支持セグメント2及びフィルタチップセグメント4が成型紙に包まれることによって吸い口部を形成し、発煙芯材セグメント1とこの吸い口部とは接合紙により接合され、
支持セグメント2の長さは、吸い口部の全長の1/3~3/4である、加熱式非燃焼タバコのタバコスティックを提供する。
【0008】
好ましくは、支持部材23は支持セグメント2に沿って軸方向に延在し、複数の長手方向チャネルは互いに平行である。
【0009】
好ましくは、支持部材23は、支持セグメント2に沿って軸方向に、螺旋状に延在し、螺旋角は5°~30°であり、長手方向チャネルは、支持セグメント2に沿って軸方向に、螺旋状に延在する。
【0010】
螺旋角とは、この支持部材の終端部が、始端部に対して円周方向にねじれた角度のことである。好ましくは、支持部材23の横断面は、コルゲート形状(瓦楞形)又は中空多角形である。
【0011】
低カットオフの加熱式非燃焼タバコのタバコスティックとは、従来技術における通常の加熱式非燃焼タバコのタバコスティックと比較して、発煙芯材セグメント1から発生する燃焼ガスに対する、タバコスティックの吸い口部のカットオフ率が低くなっているもののことである。
【0012】
好ましくは、支持部材23の作製方法は、次に示すようなものである。
(1)支持性能が良好な紙材であって、平らに広げた時の幅が40mm~90mm、厚さが70μm~400μm、グラム重量が50g~200gである紙材を選択し、圧潰して多孔質構造にして、通気性が50~10000CUの第1の通気性紙材を得る。
(2)第1の通気性紙材の一方の面を選んで上に向け、この上を向いた面を正面とする。その後、第1の通気性紙材を、一方の側からもう一方の側に向かって正面方向と裏面方向とに順に折り畳むことで、コルゲート形状の第1の通気性紙材が得られる。このコルゲート形状の第1の通気性紙材を両側から寄せる
ことで、断面がコルゲート形状の支持部材23を得ることが可能になり、コルゲート形状の第1の通気性紙材を一方の側からもう一方の側まで巻くことで、横断面が中空多角形の支持部材23を得ることが可能になる。
【0013】
折り畳まれて成形された支持部材23の一端を、ある方向に回転させてから、他端に対して円周方向に5°~30°の角度で捻じ曲げると、支持部材23を、支持セグメント2の軸方向に沿って螺旋状に延在させることが可能になる。
【0014】
ステップ(1)においては、熱い燃焼ガスと空気とが支持セグメント2内で充分に混合されるように、かつ収縮陥没という問題が発生しないように、支持性能が良好な紙材を圧潰して多孔構造にすることにより第1の通気性紙材を形成する。一定の硬度を有し、折り畳んで成形するのが容易な紙材は全て(例えば普通A4用紙、大グラム重量の成型紙、又はクラフト紙など)、ステップ(1)に記載の支持性能が良好な紙材でありうる。
【0015】
好ましくは、支持部材23には増香材料層231が設けられる。エタノールと多価アルコールとの混合溶液を溶媒とし、この溶媒中の多価アルコールの含有量は50%を上回る。溶媒にタバコ抽出物及びタバコ香味物質を添加して、飽和溶液を調製する。折り畳まれて形成された支持部材23の第1の通気性紙材(すなわち、上述したステップ(1)で形成される第1の通気性紙材)に飽和溶液を噴霧することで、支持部材23上に増香材料層231を形成する。折り畳まれて形成された支持部材23の第1の通気性紙材1グラムあたり、上述した飽和溶液1~5mLを噴霧する。
【0016】
好ましくは、支持セグメント2は、支持セグメント2の径方向に沿ってチューブ壁21、成型紙5、及び接合紙6を貫通する、通気孔24を有する。
【0017】
別の好ましい実施形態では、支持セグメント2は、支持セグメント2の径方向に沿ってチューブ壁21を貫通する、通気ウインドウ25を有し、接合紙6の支持セグメント2を包む区域が換気孔26を有し、換気孔26の面積は通気ウインドウ25の面積よりも小さく、換気孔26は、通気ウインドウ25と少なくとも部分的に重なり合っている。
【0018】
好ましくは、通気ウインドウ25が、タバコスティックの軸方向に沿って延在する長さは1~2mmである。
【0019】
好ましくは、通気ウインドウ25は1つのペイン(窗格)27を含み、ペイン27は長方形、正方形、又は円形である。
【0020】
好ましくは、通気ウインドウ25は複数のペイン27を含み、複数のペイン27が断続的に配置されて通気ウインドウ25を形成し、ペイン27は長方形、正方形、又は円形である。
【0021】
好ましくは、成型紙5は、通気性が2000~32000CUである第2の通気性紙材又は通気性不織布である。
【0022】
好ましくは、成型紙5は、人為的に孔は開けられておらず、それ自体の通気性によってのみ通気する。
【0023】
好ましくは、支持セグメント2とフィルタチップセグメント4との間には更に降温セグメント3が設けられ、支持セグメント2、降温セグメント3、及びフィルタチップセグメント4が成型紙で包まれることにより吸い口部を形成し、発煙芯材セグメント1と吸い口部とは接合紙によって接合され、支持セグメント2の長さは吸い口部の全長の1/3~3/4である。
【0024】
支持セグメント2のチューブ壁21は紙材、高分子材料の不織布、又は押出成形された高分子材料で作製され、高分子材料は、アセテート繊維、ポリ乳酸、ポリエチレン、ポリプロピレン、改質デンプン、又はポリエチレンテレフタレートから選択される。この改質デンプンは、官能基団のカルボキシル基又はヒドロキシル基で処理されたデンプンである。
【0025】
支持セグメント2のチューブ壁が紙材又は高分子材料の不織布から選択される場合、まず裁断法によりチューブ壁21を形成する紙材又は高分子材料不織布を予め開孔することで、通気ウインドウ25が形成されてよく、その後更に、紙材又は高分子材料不織布をすぐに巻くか又は半分に折ってから巻くことで、支持セグメント2が形成される。高分子材料押出成形法で支持セグメント2が作製される場合、通気ウインドウ25は、支持セグメント2が高分子材料から押出成形されるプロセスにおいて形成される。換気孔26は、接合紙6が巻かれる前に、穿孔法で形成される。
【0026】
通気ウインドウ25は、支持セグメント2のチューブ壁21が高分子材料から押出成形されるプロセスにおいて形成されうる。又は、換気孔26は、加熱式非燃焼タバコのタバコスティックが形成された後に、オンラインレーザ穿孔法により成型紙5又は接合紙6の支持セグメント2を包む区域を穿孔することで形成されても、まず成型紙5又は接合紙6を予め穿孔することにより通気ウインドウ25又は換気孔26を形成した後に、成型紙5を用いて支持セグメント2、降温セグメント3、及びフィルタチップセグメント4を包んで吸い口部を形成し、かつ接合紙6を用いて発煙芯材セグメント1及び吸い口部を包んでタバコスティックを形成してもよく、後者の場合、成型紙5及び接合紙6は、支持セグメント2の予め穿孔された区域を包む。
【0027】
降温セグメント3は、凝集したポリ乳酸メッシュフィルム、ポリ乳酸トウ、又はポリ乳酸メッシュフィルムで包まれたアセテート繊維のトウである。
【0028】
フィルタセグメント4は、アセテート繊維のトウ、又はアセテート繊維とポリ乳酸とを混合して作製されたトウ、又はポリ乳酸フィルムで外包されたアセテート繊維のトウである。フィルタセグメント4がアセテート繊維とポリ乳酸とを混合して作製されたトウである場合、アセテート繊維のポリ乳酸に対する質量比率は50~90%であり、フィルタセグメント4がポリ乳酸フィルムで外包されたアセテート繊維のトウである場合、アセテート繊維のトウのポリ乳酸フィルムに対する体積比率は50~90%である。
【0029】
発煙芯材セグメント1は、発煙剤を含む刻み煙草、又は香味物質を含む再生タバコ葉がランダムに充填された、棒状の発煙芯である。
【0030】
本発明で説明している加熱式非燃焼タバコのタバコスティックは、従来のタバコと同じように点火吸引することもできる。
【0031】
本発明は、従来技術と比較すると、以下のような有益な効果を有している。
1.本発明の支持セグメント2には、支持力が良好な紙材の支持部材23が設けられる。支持部材23は、チューブ壁21と接触してチューブ壁21に径方向の支持力を提供しうるので、チューブ壁が外力を受けてチューブキャビティ22の中心に向かって収縮陥没し、燃焼ガスの気流チャネルが塞がれて、エアロゾル量が不足するという問題が避けられる。
2.本発明の支持セグメント2には、チューブキャビティ22を複数の気流チャネルに分割する支持部材23が設けられる。燃焼ガスが降温要素に入った後に支持部材23がひとまとまりの燃焼ガスを複数のコースに分けることにより、燃焼ガスと支持部材23との接触面積が増大する。これと共に、本発明の支持部材23は第1の空気透過性紙材料であり、通気孔24又は通気ウインドウ25を通じてチューブキャビティ22に入る空気が、第1の通気性紙材を通った後に長手方向チャネルの各々に分散され、長手方向チャネル内の燃焼ガスと完全に混合されるので、燃焼ガスの温度が更に降下する。
3.本発明の支持セグメント2内の長手方向チャネルの容積の合計がチューブキャビティ22の容積の50%~90%であることで、燃焼ガスの流れが円滑になる。すなわち、本発明の支持セグメント2により、燃焼ガスのカットオフを増加させずに、チューブキャビティ22内で燃焼ガスと空気とを十分に混合させることで、燃焼ガス温度が吸引に適しており、かつエアロゾル量が十分な、加熱式非燃焼タバコのタバコスティックが得られる。
4.本発明の好ましい実施形態では、支持部材23は、支持セグメント2に沿って軸方向に、螺旋状に延在しているが、この螺旋延在法を採用することで、長手方向チャネル内の燃焼ガス及び空気の気流経路を変更することが可能になるので、燃焼ガス及び空気が支持部材23内に滞留する時間が増大し、燃焼ガスと空気とが混合され、燃焼ガス及び空気がただちに高速で支持部材23を通過することが回避されて、燃焼ガスの更なる降温が実現される。
5.本発明の支持部材23は、相変化吸熱のプロセスにおいて収縮陥没することのない紙材であるので、数口吸引した後に相変化材料が収縮陥没して気流チャネルを塞ぎ、吸引抵抗が大幅に上昇して吸引体験に影響を与えることが避けられる。
6.本発明の好ましい実施形態では、まず支持セグメント2のチューブ壁21に通気ウインドウ25が形成され、接合紙6には換気孔26が予め穿孔形成される。その後更に、通気性不織布の形態の成型紙5を用いて支持セグメント2及びフィルタチップセグメント4を包んで吸い口部を形成し、接合紙6で発煙芯材セグメント1及び吸い口部を包んでタバコスティックを形成するが、このタバコスティックにおいては、接合紙6の換気孔26と支持セグメント2の通気ウインドウ25とが部分的に重ね合わされる。この方法により、タバコスティックの支持セグメント2と、支持セグメント2を包む成型紙5及び包装紙6とに対するオンラインレーザ穿孔が避けられるので、支持セグメント2のチューブ壁21の壁材料と壁厚に対する要求が低くなると共に、オンラインレーザ穿孔プロセスのレーザ出力に対する要求も低くなり、工業化された生産プロセスにおける実現が更に容易になる。
7.本発明の好ましい実施形態では、支持セグメント2の通気ウインドウ25の外側には通気性の成型紙5があり、それに続いて接合紙6の換気孔26がある。タバコスティックを吸引するプロセスにおいては、換気孔26、通気性の成型紙5、及び通気ウインドウ25を通って、外気が支持セグメント2の内部に入る。通気性成型紙5は、既存の窓における網戸と同様に機能する。換気孔26を通過した空気が支持セグメント2の内部に直接入るのではなく、一層の網戸を通過してから外気が支持セグメント2内に入るようにすることで、空気が支持セグメント2の内部に入る速度が更に緩和され、これにより燃焼ガスとの接触が更に良好になりうる。また、本発明の通気ウインドウ25の面積は換気孔26よりも大きく、支持セグメント2内に入った空気は、拡散が更に容易になり、かつ燃焼ガスとの接触面積が大きくなるので、燃焼ガスとの混合がさらに良好になる。そのため、消費者の口内に吸引される燃焼ガスの量は増加するものの燃焼ガスの濃度が低く、燃焼ガス中に明らかに大量の空気が混ざり、喫煙品質が深刻に低下するという問題が避けられる。
8.本発明の好ましい実施形態では、通気ウインドウ25と換気孔26はいずれも、巻いてタバコスティックを作製する前に予め形成されたものであり、通気ウインドウ25及び換気孔26は、その位置及び形状が限定されないので、支持セグメント2の任意の位置に形成されうる。これと共に、巻かれる前に支持セグメント2を開孔し、接合紙6を穿孔することは、巻いてタバコスティックを作製した後に支持セグメント2、成型紙5、及び接合紙6をオンライン穿孔することよりも、明らかに難度が低いので、この方法により、工業化された生産プロセスにおける実現が更に容易かつ有効になる。
9.本発明の好ましい実施形態では、支持部材23に増香材料層231が設けられるので、燃焼ガスを降温させつつ、燃焼ガスに香りを付加しうる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明の実施例1の、低カットオフの加熱式非燃焼タバコのタバコスティックの構造概略図である。
【
図2】本発明の実施例2の、低カットオフの加熱式非燃焼タバコのタバコスティックの構造概略図である。
【
図3】本発明の実施例3の、低カットオフの加熱式非燃焼タバコのタバコスティックの構造概略図である。
【
図4】本発明の実施例1の支持セグメント2の横断面図である。
【
図5】本発明の実施例2及び実施例3の、支持セグメント2の一端の横断面図である。
【
図6】本発明の実施例2及び実施例3の、支持セグメント2の他端の横断面図である。
【
図7】本発明の実施例3の支持セグメント2の展開平面図である。
【
図8】本発明の支持セグメント2の展開平面図である。
【
図9】本発明の支持セグメント2の展開平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
これより、実施例及び添付の図に関連付けて、本発明についてのより詳細な説明を行う。実施例は本発明を限定するものではなく、単に本発明を説明するものにすぎない。
【0034】
実施例1
図1に示しているように、本実施例は、低カットオフの加熱式非燃焼タバコのタバコスティックであって、順に、発煙芯材セグメント1、支持セグメント2、及びフィルタチップセグメント4を含み、
支持セグメント2はチューブ壁21とチューブキャビティ22とを含み、チューブキャビティ22内には、チューブ壁21と接触している支持部材23が設けられ、支持部材23は第1の通気性紙材であり、
支持部材23は、チューブキャビティ22を複数の長手方向チャネルに分割しており、これらの複数の長手方向チャネルの容積の合計は、チューブキャビティ22の容積の60%であり、
支持セグメント2とフィルタチップセグメント4とが成型紙で包まれることにより吸い口部を形成し、発煙芯材セグメント1と吸い口部とは接合紙によって接合され、
支持セグメント2の長さは、吸い口部の全長の2/3である、
加熱式非燃焼タバコのタバコスティックである。
支持部材23は支持セグメント2に沿って軸方向に延在し、複数の長手方向チャネルは互いに平行である。
支持部材23の横断面は、コルゲート形状である。
支持セグメント2は、支持セグメント2の径方向に沿ってチューブ壁21を貫通する、通気孔24を有する。
支持部材23の作製方法を次に示す。
(1)支持性能が良好な紙材であって、平らに広げた時の幅が50mm、厚さが200μm、グラム重量が150gである紙材を選択し、圧潰して多孔質構造にして、通気性が5000CUの第1の通気性紙材を得る。
(2)第1の通気性紙材の一方の面を選んで上に向け、この上を向いた面を正面とする。その後、第1の通気性紙材を、一方の側からもう一方の側に向かって正面方向と裏面方向とに順に折り畳むことで、コルゲート形状の第1の通気性紙材が得られる。このコルゲート形状の第1の通気性紙材を両側から寄せることで、
図3に示しているような、断面がコルゲート形状の支持部材23を得ることが可能になる。
ステップ(1)においては、熱い燃焼ガスと空気とが支持セグメント2内で充分に混合されるように、かつ収縮陥没という問題が発生しないように、支持性能が良好な紙材を圧潰して多孔構造にすることにより第1の通気性紙材を形成する。一定の硬度を有し、折り畳んで成形するのが容易な紙材は全て、ステップ(1)に記載の支持性能が良好な紙材でありうるが、本実施例ではクラフト紙が用いられる。
支持部材23には増香材料層231が設けられる。エタノールとグリセロールとの混合溶液を溶媒とし、この溶媒中のグリセロールの含有量は50%を上回る。溶媒にタバコ抽出物及びタバコ香味物質を添加して、飽和溶液を調製する。折り畳まれて形成された支持部材23の第1の通気性紙材(すなわち、上述したステップ(1)で形成された第1の通気性紙材)に飽和溶液を噴霧することで、支持部材23上に増香材料層231を形成する。折り畳まれて形成された支持部材23の第1の通気性紙材1グラムあたり、上述した飽和溶液3mLを噴霧する。
チューブ壁21の材料は紙材である。
フィルタチップセグメント4はアセテート繊維のトウである。
発煙芯材セグメント1は、発煙剤を含む刻み煙草がランダムに充填された、棒状の発煙芯である。
本実施例で作製される加熱式非燃焼タバコのタバコスティックを、タバコスティックサンプル1とし、本実施例のタバコスティックサンプル1に基づいてタバコスティック比較サンプル1を作製した。タバコスティック比較サンプル1は、支持セグメント2のチューブキャビティ22内に支持部材23が付加されていないだけで、その他の構造は本実施例のタバコスティックサンプル1の構造と同じである。2つのサンプルをそれぞれ、加熱式非燃焼タバコの喫煙具を用いて吸引した。タバコスティック比較サンプル1では、喫煙者の口内に入る燃焼ガスの温度は51℃であり、喫煙者は熱く感じ、喫煙感が悪いということが判明した。一方、本実施例のタバコスティックサンプル1では、喫煙者の口内に入る燃焼ガスの温度は37℃であり、喫煙者は、適切な温度であると感じ、吸引を実施できた。したがって、本実施例のタバコスティックサンプル1における支持セグメント2は、支持力が強く、燃焼ガスに対する降温効果を考慮可能なものであり、降温セクションを置換することも可能である。
【0035】
実施例2
図2に示しているように、本実施例は、低カットオフの加熱式非燃焼タバコのタバコスティックであって、順に、発煙芯材セグメント1、支持セグメント2、降温セグメント3、及びフィルタチップセグメント4を含み、
支持セグメント2はチューブ壁21とチューブキャビティ22とを含み、チューブキャビティ22内には、チューブ壁21と接触している支持部材23が設けられ、支持部材23は第1の通気性紙材であり、
支持部材23は、チューブキャビティ22を複数の長手方向チャネルに分割しており、これらの複数の長手方向チャネルの容積の合計は、チューブキャビティ22の容積の80%であり、
支持セグメント2、降温セグメント3、及びフィルタチップセグメント4が成型紙で包まれることにより吸い口部を形成し、発煙芯材セグメント1と吸い口部とは接合紙によって接合され、
支持セグメント2の長さは、吸い口部の全長の2/5である、加熱式非燃焼タバコのタバコスティックである。
支持部材23は、支持セグメント2に沿って軸方向に、螺旋状に延在し、螺旋角は10°であり、長手方向チャネルは、支持セグメント2に沿って軸方向に、螺旋状に延在し、複数の長手方向チャネルは互いに平行である。
螺旋角とは、支持部材23の終端部が、始端部に対して円周方向にねじれた角度のことである。支持部材23の横断面は、
図5及び
図6のような中空多角形である。
図5に示している支持セグメント2の一端の横断面図で視認できるように、支持セグメント2のチューブ壁21と支持部材23との交差部のうちの2つがAとBである。また、
図6に示している支持セグメント2の他端の横断面図では、交差部A、Bは交差部A’、B’であり、支持部材23が支持セグメント2の軸方向に、螺旋状に延在している螺旋角は、点Aから点A’に至る回転角度(10°)である。支持セグメント2は、支持セグメント2の径方向に沿ってチューブ壁21を貫通する、通気孔24を有する。
支持部材23の作製方法を次に示す。
(1)支持性能が良好な紙材であって、平らに広げた時の幅が50mm、厚さが200μm、グラム重量が150gである紙材を選択し、圧潰して多孔質構造にして、通気性が5000CUの第1の通気性紙材を得る。
(2)第1の通気性紙材の一方の面を選んで上に向け、この上を向いた面を正面とする。その後、第1の通気性紙材を、一方の側からもう一方の側に向かって正面方向と裏面方向とに順に折り畳むことで、コルゲート形状の第1の通気性紙材が得られる。このコルゲート形状の第1の通気性紙材を両側から寄せることで、断面がコルゲート形状の支持部材23を得ることが可能になり、コルゲート形状の第1の通気性紙材を一方の側からもう一方の側まで巻くことで、横断面が中空多角形の支持部材23を得ることが可能になる。折り畳まれて成形された支持部材23の一端を、ある方向に回転させてから、他端に対して円周方向に10°の角度で捻じ曲げると、支持部材23を、支持セグメント2の軸方向に沿って螺旋状に延在させることが可能になる。
ステップ(1)においては、熱い燃焼ガスと空気とが支持セグメント2内で充分に混合されるように、かつ収縮陥没という問題が発生しないように、支持性能が良好な紙材を圧潰して多孔構造にすることにより第1の通気性紙材を形成する。一定の硬度を有し、折り畳んで成形するのが容易な紙材は全て、ステップ(1)に記載の支持性能が良好な紙材でありうるが、本実施例では大グラム重量の成型紙が用いられる。
支持部材23には増香材料層231が設けられる。エタノールとグリセロールとの混合溶液を溶媒とし、この溶媒中のグリセロールの含有量は50%を上回る。溶媒にタバコ抽出物及びタバコ香味物質を添加して、飽和溶液を調製する。折り畳まれて形成された支持部材23の第1の通気性紙材(すなわち、上述したステップ(1)で形成された第1の通気性紙材)に飽和溶液を噴霧することで、支持部材23上に増香材料層231を形成する。折り畳まれて形成された支持部材23の第1の通気性紙材1グラムあたり、上述した飽和溶液3mLを噴霧する。
チューブ壁21の材料は紙材である。
降温セグメント3は、凝集したポリ乳酸メッシュフィルムである。
フィルタチップセグメント4はアセテート繊維のトウである。
発煙芯材セグメント1は、発煙剤を含む刻み煙草がランダムに充填された、棒状の発煙芯である。
本実施例で作製される加熱式非燃焼タバコのタバコスティックを、タバコスティックサンプル2とし、本実施例のタバコスティックサンプル2に基づいてタバコスティック比較サンプル2を作製した。タバコスティック比較サンプル2は、支持セグメント2のチューブキャビティ22内に支持部材が付加されていないだけで、その他の構造は本実施例のタバコスティックサンプル2の構造と同じである。2つのサンプルをそれぞれ、加熱式非燃焼タバコの喫煙具を用いて吸引した。タバコスティック比較サンプル2では、喫煙者の口内に入る燃焼ガスの温度は42℃であり、喫煙者は熱く感じ、喫煙感が悪いということが判明した。一方、本実施例のタバコスティックサンプル2では、喫煙者の口内に入る燃焼ガスの温度は35℃であり、吸引にちょうど適した温度であると喫煙者は感じた。
したがって、本実施例のタバコスティックサンプル2における支持セグメント2は、支持力が強く、燃焼ガスに対する降温効果を考慮可能なものである。
【0036】
実施例3
図3に示しているように、本実施例は、低カットオフの加熱式非燃焼タバコのタバコスティックであって、順に、発煙芯材セグメント1、支持セグメント2、降温セグメント3、及びフィルタチップセグメント4を含み、
支持セグメント2はチューブ壁21とチューブキャビティ22とを含み、チューブキャビティ22内には、チューブ壁21と接触している支持部材23が設けられ、支持部材23は第1の通気性紙材であり、
支持部材23は、チューブキャビティ22を複数の長手方向チャネルに分割しており、これらの複数の長手方向チャネルの容積の合計は、チューブキャビティ22の容積の80%であり、
支持セグメント2、降温セグメント3、及びフィルタチップセグメント4が成型紙で包まれることにより吸い口部を形成し、発煙芯材セグメント1と吸い口部とは接合紙によって接合され、
支持セグメント2の長さは、吸い口部の全長の2/5である、
加熱式非燃焼タバコのタバコスティックである。
支持部材23は、支持セグメント2に沿って軸方向に、螺旋状に延在し、螺旋角は10°であり、長手方向チャネルは、支持セグメント2に沿って軸方向に、螺旋状に延在し、複数の長手方向チャネルは互いに平行である。
螺旋角とは、支持部材23の終端部が、始端部に対して円周方向にねじれた角度のことである。支持部材23の横断面は、
図5及び
図6のような中空多角形である。
図5に示している支持セグメント2の一端の横断面図で視認できるように、支持セグメント2のチューブ壁21と支持部材23との交差部のうちの2つがAとBである。また、
図6に示している支持セグメント2の他端の横断面図では、交差部A、Bは交差部A’、B’であり、支持部材23が支持セグメント2の軸方向に、螺旋状に延在している螺旋角は、点Aから点A’に至る回転角度(10°)である。
支持セグメント2は、支持セグメント2の径方向に沿ってチューブ壁21を貫通する、通気ウインドウ25を有し、接合紙6の支持セグメント2を包む区域が換気孔26を有し、換気孔26の面積は、通気ウインドウ25の面積よりも小さく、換気孔26と通気ウインドウ25とは少なくとも部分的に重なり合っている。
通気ウインドウ25が、タバコスティックの軸方向に沿って延在する長さは1mmである。
通気ウインドウ25は3つのペイン27を含み、3つのペイン27が断続的に配置されて通気ウインドウ25を形成し、ペイン27は長方形である。
成型紙5は通気性不織布であり、この通気性不織布の通気性は5000CUである。
成型紙5は、人為的な孔は開けられておらず、それ自体の通気性によってのみ通気する。
支持部材23の作製方法を次に示す。
(1)支持性能が良好な紙材であって、平らに広げた時の幅が50mm、厚さが200μm、グラム重量が150gである紙材を選択し、圧潰して多孔質構造にして、通気性が5000CUの第1の通気性紙材を得る。
(2)第1の通気性紙材の一方の面を選んで上に向け、この上を向いた面を正面とする。その後、第1の通気性紙材を、一方の側からもう一方の側に向かって正面方向と裏面方向とに順に折り畳むことで、コルゲート形状の第1の通気性紙材が得られる。このコルゲート形状の第1の通気性紙材を両側から寄せることで、断面がコルゲート形状の支持部材23を得ることが可能になり、コルゲート形状の第1の通気性紙材を一方の側からもう一方の側まで巻くことで、横断面が中空多角形の支持部材23を得ることが可能になる。折り畳まれて成形された支持部材23の一端を、ある方向に回転させてから、他端に対して円周方向に10°の角度で捻じ曲げると、支持部材23を、支持セグメント2の軸方向に沿って螺旋状に延在させることが可能になる。
ステップ(1)においては、熱い燃焼ガスと空気とが支持セグメント2内で充分に混合されるように、かつ収縮陥没という問題が発生しないように、支持性能が良好な紙材を圧潰して多孔構造にすることにより第1の通気性紙材を形成する。一定の硬度を有し、折り畳んで成形するのが容易な紙材は全て、ステップ(1)に記載の支持性能が良好な紙材でありうるが、本実施例では大グラム重量の成型紙が用いられる。
支持部材23には増香材料層231が設けられる。エタノールとグリセロールとの混合溶液を溶媒とし、この溶媒中のグリセロールの含有量は50%を上回る。溶媒にタバコ抽出物及びタバコ香味物質を添加して、飽和溶液を調製する。折り畳まれて形成された支持部材23の第1の通気性紙材(すなわち、上述したステップ(1)で形成された第1の通気性紙材)に飽和溶液を噴霧することで、支持部材23上に増香材料層231を形成する。折り畳まれて形成された支持部材23の第1の通気性紙材1グラムあたり、上述した飽和溶液3mLを噴霧する。
チューブ壁21の材料は紙材である。
本実施例のタバコスティック作製プロセスを次に示す。最初に、裁断法によりチューブ壁21を形成する紙材を予め開孔してから、更に紙材を半分に折って巻くと、通気ウインドウ25が形成された支持セグメント2が形成される。その後接合紙6を予め穿孔することにより、換気孔26も形成される。作製プロセスでは、まず通気性不織布の形態の成型紙5を用いて支持セグメント2、降温セグメント3、及びフィルタチップセグメント4を包んで吸い口部を形成し、次いで接合紙6を用いて発煙芯材セグメント1と吸い口部とを包んで、タバコスティックを形成する。換気孔26と通気ウインドウ25とは部分的に重なり合う。
降温セグメント3は、凝集したポリ乳酸メッシュフィルムである。
フィルタチップセグメント4はアセテート繊維のトウである。
発煙芯材セグメント1は、発煙剤を含む刻み煙草がランダムに充填された、棒状の発煙芯である
【0037】
本実施例で作製した加熱式非燃焼タバコのタバコスティックをタバコスティックサンプル3とした。本発明の実施例3のタバコスティックサンプル3と実施例2のタバコスティックサンプル2とを比較すると、この2つは支持セグメント2の通気構造が異なるだけである。2つのサンプルをそれぞれ、加熱式非燃焼タバコの喫煙具を用いて吸引した。タバコスティックサンプル3では、喫煙者の口内に入る燃焼ガスの温度は33℃であり、この燃焼ガスの温度は、タバコスティックサンプル2で喫煙者の口内に入る燃焼ガスの温度よりやや低いが、複数の感覚評価吸引者がタバコスティックサンプル2とタバコスティックサンプル3とを吸引したことにより、以下のことが判明した。タバコスティックサンプル2の通気孔24とタバコスティックサンプル3の通気ウインドウ25の面積が同じである場合、タバコスティックサンプル2の吸引プロセスでは、燃焼ガス中の空気の濃度が高く、燃焼ガス中に大量の空気が混ざるのは明らかであるが、タバコスティックサンプル3の吸引プロセスでは、燃焼ガス中に空気が混入していることは感じられず、燃焼ガスと空気とが均一に混合されており、燃焼ガスの品質が高かった。
【符号の説明】
【0038】
1-発煙芯材セグメント
2-支持セグメント
3-降温セグメント
4-フィルタチップセグメント
21-チューブ壁
22-チューブキャビティ
23-支持部材
24-通気孔
25-通気ウインドウ
26-換気孔
27-ペイン
231-増香材料層