(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-27
(45)【発行日】2022-07-05
(54)【発明の名称】プレート熱交換器、熱交換用プレート、および海水などのフィードを処理する方法
(51)【国際特許分類】
F28D 9/00 20060101AFI20220628BHJP
F28F 3/00 20060101ALI20220628BHJP
C02F 1/04 20060101ALI20220628BHJP
B01D 1/00 20060101ALI20220628BHJP
B01D 5/00 20060101ALI20220628BHJP
【FI】
F28D9/00
F28F3/00 311
C02F1/04 A
B01D1/00 B
B01D5/00 D
(21)【出願番号】P 2020567793
(86)(22)【出願日】2019-06-04
(86)【国際出願番号】 EP2019064474
(87)【国際公開番号】W WO2019234015
(87)【国際公開日】2019-12-12
【審査請求日】2021-02-03
(32)【優先日】2018-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】509005513
【氏名又は名称】アルファ-ラヴァル・コーポレート・アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マッツ・アンデション
(72)【発明者】
【氏名】ヤルマル・ヨエンセン
(72)【発明者】
【氏名】ラルフ・ブロムグレン
(72)【発明者】
【氏名】ビョルン・ヴィルヘルムソン
(72)【発明者】
【氏名】ヨーナス・スロート
【審査官】藤原 弘
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第106587227(CN,A)
【文献】特表2008-534906(JP,A)
【文献】米国特許第06635150(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0055776(US,A1)
【文献】特表平05-501913(JP,A)
【文献】特開平04-244202(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 9/00
F28F 3/00
C02F 1/04
B01D 1/00
B01D 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
海水などのフィードを処理するためのプレート熱交換器であって、連続した順序で配置された複数の熱交換用プレートを備えるプレートパッケージを含み、
前記プレートパッケージが、加熱用媒体を受け入れるための加熱用容量部、冷却用媒体を受け入れるための冷却用容量部、および複数のプロセス容量部を画定し、
それぞれの容量
部が、前記プレートパッケージにおいて互いと流体的に分離され、
前記プロセス容量部のそれぞれが、
前記フィードの少なくとも一部の蒸発を可能にするように構成されている蒸発区域、
前記フィードの蒸発した部分から前記フィードの未蒸発の部分を分離させるように構成されている分離区域、および
前記フィードの前記蒸発した部分を凝縮させるように構成されている凝縮区域
を含み、
それぞれの熱交換用プレートが、前記加熱用容量部と前記複数のプロセス容量部のうちの第1のプロセス容量部
の蒸発区域との間の第1の熱的界面、前記冷却用容量部と前記複数のプロセス容量部のうちの第2のプロセス容量部
の凝縮区域との間の第2の熱的界面、および2つの隣接したプロセス容量部の蒸発区域と凝縮区域との間の少なくとも1つのさらなる熱的界面を画定
し、
前記プロセス容量部のそれぞれは、前記プレートパッケージが通常の使用位置に配設されている場合に、前記蒸発区域の底部に位置するフィード入口と、前記分離区域の下方に位置する未蒸発のフィード出口とを備えていることを特徴とする、プレート熱交換器。
【請求項2】
前記プレートパッケージは、2つの隣接したプロセス容量部が、それぞれの隣接した凝縮区域と蒸発区域との間の熱的界面を画定するように配置されている少なくとも2つのプロセス容量
部を画定する、請求項1に記載のプレート熱交換器。
【請求項3】
前記第2のプロセス容量部内の圧力と温度が、前記第1のプロセス容量部よりも低い、請求項1または2に記載のプレート熱交換器。
【請求項4】
前記容量部が、ガスケットを介して互いと流体的に分離されている、請求項1から3のいずれか一項に記載のプレート熱交換器。
【請求項5】
前記フィード入口が、前記第1のプロセス容量部以外の前記複数のプロセス容量部のうちの少なくとも1つのプロセス容量部のための各熱交換用プレートの中心軸に隣接して位置している、請求項
1から4のいずれか一項に記載のプレート熱交換器。
【請求項6】
前記未蒸発のフィード出口が、前記第1のプロセス容量部以外の前記複数のプロセス容量部のうちの少なくとも1つのプロセス容量部のための各熱交換用プレートの中心軸に隣接して位置している、請求項
1から5のいずれか一項に記載のプレート熱交換器。
【請求項7】
前記蒸発区域が、前記蒸発区域の上部に位置するフィード入口を備える、請求項1から
6のいずれか一項に記載のプレート熱交換器。
【請求項8】
少なくとも1つの熱交換用プレートが、少なくとも1つのプロセス容量部の前記分離区域において1つまたは複数の開口を画定する、請求項1から
7のいずれか一項に記載のプレート熱交換器。
【請求項9】
前記蒸発区域および前記凝縮区域が、少なくとも1つのプロセス容量部のための同じプレート間空隙内に配置され、および/または、前記蒸発区域および前記凝縮区域が、少なくとも1つのプロセス容量部のための対向プレート間空隙内に配置されている、請求項1から
8のいずれか一項に記載のプレート熱交換器。
【請求項10】
使用中、前記第2のプロセス容量部の前記凝縮区域が、前記第1のプロセス容量部の前記蒸発区域の上方に配設され、各プロセス容量部内で前記蒸発区域が、前記分離区域の下方に配設され、前記分離区域が、前記凝縮区域の下方に配設されている、請求項1から
9のいずれか一項に記載のプレート熱交換器。
【請求項11】
熱交換用プレートの数が、4~1000の範囲
の熱交換器プレートである、請求項1から
10のいずれか一項に記載のプレート熱交換器。
【請求項12】
前記プレートパッケージの2つの対向する側をカバーする1対の端部プレートをさらに備える、請求項1から
11のいずれか一項に記載のプレート熱交換器。
【請求項13】
海水などのフィードを処理するための熱交換器を製造する方法であって、
複数の熱交換用プレートを用意するステップであって、各熱交換用プレートが、第1の熱的界面、第2の熱的界面、および少なくとも1つのさらなる熱的界面を画定する、ステップと、
連続した順序で前記複数の熱交換用プレートを配置することによってプレートパッケージを形成するステップと、
を含み、
前記プレートパッケージが、加熱用媒体を受け入れるための加熱用容量部、冷却用媒体を受け入れるための冷却用容量部、および複数のプロセス容量部を画定し、
それぞれの容量
部が、前記プレートパッケージにおいて互いと流体的に分離され、
前記プロセス容量部のそれぞれが、
前記フィードの少なくとも一部の蒸発を可能にするように構成されている蒸発区域、
前記フィードの蒸発した部分から前記フィードの未蒸発の部分を分離させるように構成されている分離区域、および
前記フィードの前記蒸発した部分を凝縮させるように構成されている凝縮区域を含み、
前記第1の熱的界面が、前記加熱用容量部と前記複数のプロセス容量部のうちの第1のプロセス容量部
の蒸発区域との間に画定され、前記第2の熱的界面が、前記冷却用容量部と前記複数のプロセス容量部のうちの第2のプロセス容量部
の凝縮区域との間に画定され、前記少なくとも1つのさらなる熱的界面が、2つの隣接したプロセス容量部の蒸発区域と凝縮区域との間に画定され
、
前記プロセス容量部のそれぞれは、前記プレートパッケージが通常の使用位置に配設されている場合に、前記蒸発区域の底部に位置するフィード入口と、前記分離区域の下方に位置する未蒸発のフィード出口とを備えていることを特徴とする、方法。
【請求項14】
海水などのフィードを処理するためのプレート熱交換器のためのプレートであって、前記プレート熱交換器が、連続した順序で配置された複数の熱交換用プレートを備えるプレートパッケージを含み、
前記プレートパッケージが、加熱用媒体を受け入れるための加熱用容量部、冷却用媒体を受け入れるための冷却用容量部、および複数のプロセス容量部を画定し、
それぞれの容量
部が、前記プレートパッケージにおいて互いと流体的に分離され、
前記プロセス容量部のそれぞれが、
前記フィードの少なくとも一部の蒸発を可能にするように構成されている蒸発区域、
前記フィードの蒸発した部分から前記フィードの未蒸発の部分を分離させるように構成されている分離区域、および
前記フィードの前記蒸発した部分を凝縮させるように構成されている凝縮区域
を含み、
それぞれの熱交換用プレートが、前記加熱用容量部と前記複数のプロセス容量部のうちの第1のプロセス容量部
の蒸発区域との間の第1の熱的界面、前記冷却用容量部と前記複数のプロセス容量部のうちの第2のプロセス容量部
の凝縮区域との間の第2の熱的界面、および2つの隣接したプロセス容量部の蒸発区域と凝縮区域との間の少なくとも1つのさらなる熱的界面を画定
し、
前記プロセス容量部のそれぞれは、前記プレートパッケージが通常の使用位置に配設されている場合に、前記蒸発区域の底部に位置するフィード入口と、前記分離区域の下方に位置する未蒸発のフィード出口とを備えていることを特徴とする、プレート。
【請求項15】
前記プレートパッケージは、2つの隣接した前記プロセス容量部が、3、4、5、6、7、8、9、または10個のプロセス容量部を画定している、請求項2に記載のプレート熱交換器。
【請求項16】
前記熱交換用プレートの数が、10~100の範囲の熱交換器プレートである、請求項11に記載のプレート熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレート熱交換器、熱交換用プレート、および海水などのフィードを処理する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熱交換用プレートの1つまたはいくつかのプレートパッケージがプロセスの主要な構成要素を形成する海水脱塩用装置は、以前から製造されている。SE-B-464938には、シリンダ形のコンテナ内に設けられたプレートパッケージを備えるそのような脱塩プラントが開示されている。それらの熱交換用プレートは、水蒸気のためのポートを有しておらず、代わりに、プロセスの種類に応じて、熱交換用プレートの外側の空間(space)が水蒸気の流路として使用されている。用いられているプロセスは、いわゆる流下膜技術(falling film technology)に基づいており、ここでは、水膜が、プレートの幅にわたって分散され、プレート上を下向きに流れる。流下膜式のプレート蒸発器においては、プレート間空隙(interspace)が1つおきに、蒸発空間を構成し、一方、残りのプレート間空隙は、放熱媒体のための空間を構成している。コンテナは、略シリンダ形の圧力容器である。いくつかのプレートパッケージを含む大型のプラントにおいては、これらのプレートパッケージは、シリンダの長手方向に配置され得る。コンテナをいくつかプラント内に含むことがないとしても、コンテナは、ある程度、プラントの大きさを制限している。
【0003】
プラントの効率性を改善するために、プラントには多段を設けることができる。多段脱塩プラントの1つの例は、多段フラッシュ蒸発器について開示している米国特許第5133837号に見出すことができ、ここでは、蒸発すべき海水が、各段容器の底チャンバ内に通され、蒸気は、デミスタおよびチャネルを通って上向きに流れて、ディンプル付きのプレートと接触し、凝縮物は、薄膜としてプレートを流れ落ち、凝縮物トラフに集まる。米国特許第6635150号には、熱的系列で交互に組み付けられた複数のカスケード状の基本セルで構成されている蒸留プラントが開示されている。
【0004】
より小型のまたは中型のプラントの場合には少なくとも、コンテナの費用は、プラントの総費用の大部分を占めている。コンテナの製造と取付けはともに、複雑で時間がかかる。加えて、プラントの保守および熱交換用プレートの洗浄は、例としてプレートパッケージおよび熱交換用プレートでは、コンテナを開放した後にしか手が届かないので困難である。
【0005】
上記の問題に対する解決策については、Alfa Laval Corporate ABに譲渡された国際出願WO2006/104443A1に見出すことができる。この国際出願は、脱塩のためのプレート熱交換器について開示している。熱交換器は、蒸発区域、分離区域、および凝縮区域を有する。上述の熱交換器の利点は、海水の処理全体がプレートパッケージにおいて行われるので、この熱交換器には、コンテナがまったく必要でないことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】SE-B-464938
【文献】米国特許第5133837号
【文献】米国特許第6635150号
【文献】国際出願WO2006/104443A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の技術は、単一段のみを使用している。しかしながら、熱交換器の効率性は、多段を使用することによって改善可能になる。したがって、本発明の目的は、コンテナが必要でなく、多段を含んだ、脱塩のためのプレート熱交換器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的は、第1の態様においては、海水などのフィードを処理するためのプレート熱交換器によって達成され、このプレート熱交換器は、連続した順序で配置された複数の熱交換用プレートを備えるプレートパッケージを含み、プレートパッケージは、加熱用媒体を受け入れるための加熱用容量部、冷却用媒体を受け入れるための冷却用容量部、および複数のプロセス容量部を画定し、容量部のそれぞれが、プレートパッケージにおいて互いと流体的に分離され、プロセス容量部のそれぞれが、
フィードの少なくとも一部の蒸発を可能にするように構成されている蒸発区域、
フィードの蒸発した部分からフィードの未蒸発の部分を分離させるように構成されている分離区域、および
フィードの蒸発した部分を凝縮させるように構成されている凝縮区域
を含み、
各熱交換用プレートは、加熱用容量部と複数のプロセス容量部のうちの第1のプロセス容量部の蒸発区域との間の第1の熱的界面、冷却用容量部と複数のプロセス容量部のうちの第2のプロセス容量部の凝縮区域との間の第2の熱的界面、および2つの隣接したプロセス容量部の蒸発区域と凝縮区域との間の少なくとも1つのさらなる熱的界面を画定する。
【0009】
本熱交換器は、フィードの処理に使用される。フィードは、典型的には、液体媒体である。フィードは、主には、海水であり、処理は、典型的には、海水を脱塩して、淡水を得るという形態であるが、他の関連する適用例を排除するものではなく、いくつかのそのような関連の適用例については、詳細な説明で論じる。熱交換用プレートパッケージは、典型的には水平方向に沿って、連続的に向かい合わせで配置される実質的に等しい大きさの複数の熱交換用プレートを含む。各熱交換用プレートは、実質的に、熱交換器パッケージの全高および幅を画定し、水平方向は、熱交換器パッケージの奥行きを構成する。熱交換用プレートの縁部は、プレート間の平行なプレート間空隙を確立するように互いに封止される。熱交換用プレートは異なるタイプの表面を画定し、2つの種類のプレート間空隙、すなわち、第1のプレート間空隙および第2のプレート間空隙は、互いに向かい合って組み付けられる場合に、交互の順序で設置され、すなわち、第1のプレート間空隙は、もちろん水平方向に沿って最初と最後のプレート間空隙は除いて、2つの第2のプレート間空隙に隣り合って位置する。
【0010】
プロセス容量部もまた、互いに対して実質的に封止され、プレート間空隙内に収容される。プロセス容量部は、プレート間空隙内で別個の空間を構成する。すべてのプロセス容量部が、各プレートにおいて形成される。もちろん、プロセス容量部内には、たとえば、フィードを導入して蒸発させるための入口、および淡水およびブラインを除去するための出口がそれぞれ存在する。この場合、ブラインは、海水よりも高い塩分を有する水を意味すると理解される。プレートは、典型的には、プレートを保守に向けて取り外しできるように、プレートパッケージ内に一緒にボルト留めされる。熱交換用プレートは、典型的には、ステンレス鋼、アルミニウム、またはチタンなどの熱伝導耐食性材料で作製されている。
【0011】
典型的には海水を構成するフィードは、各プロセス容量部の蒸発区域におけるプレートパッケージに導入され、ここで、フィードの少なくとも一部が、熱交換用プレートの対向側の高温流体を使用して蒸発する。分離区域は、蒸発区域に隣接または蒸発区域の上方に位置しており、フィードの蒸発した部分を、未蒸発のフィード、すなわち、ブラインで基本的には構成される残りの一部から分離させる。分離区域は、典型的には、ロッド、バー、または波形部などを含み、これらに接して未蒸発のフィードが捕捉され、分離区域から外に導かれる。凝縮区域は、熱交換用プレートの対向側の冷却物質を使用して、蒸発したフィードを凝縮させることができる。淡水などの凝縮されたフィードは、熱交換器パッケージから外に導かれる。
【0012】
プレートパッケージ内の各熱交換用プレートは、熱交換用プレートの各側の空間で熱を交換するための熱的界面を画定する。熱的界面により、ステンレス鋼、アルミニウム、またはチタンなどの金属を使用することによってプレートを介した熱的接触が可能になるが、流体混合は防止される。第1のプロセス容量部の蒸発区域は、第1の熱的界面を介して加熱用容量部から加熱を受け取る。加熱用容量部においては、加熱用媒体が循環している。加熱用媒体は、たとえば、舶用機関からのジャケット水、または高温オイルなどの任意の他の熱源からの同様の加熱水などの液体とすることができる。また、加熱用媒体は、水蒸気および蒸気などの気体であってもよい。第2のプロセス容量部の凝縮区域は、熱交換用プレート上の第2の熱的界面を介して冷却用容量部から冷却を受け取る。冷却用容量部においては、冷却用媒体が循環している。冷却用媒体は、典型的には、自然冷水、好ましくは海水などの液体である。あるいは、他の冷却用媒体が使用されてもよい。したがって、各プレートは接触し合い、プレートパッケージのすべての異なる容量部とすべてのプロセス段との間のバリアの形成が同じプレートにおいて行われ得る。これにより、コンパクトな設計が可能になる。
【0013】
各熱交換用プレートはまた、2つの隣接したプロセス容量部の蒸発区域と凝縮区域との間に少なくとも1つのさらなる熱的界面を画定する。例としては、2つのプロセス容量部の場合においては、第1のプロセス容量部の凝縮区域は、第2のプロセス容量部の蒸発容量部に隣接して、熱的関係で位置している。3つ以上のプロセス容量部の場合においては、凝縮区域は、次のより高いプロセス容量部の蒸発区域に隣接して、熱的関係で位置し、それにより、より低いプロセス容量部の凝縮用エネルギーは、次のより高いプロセス容量部のための蒸発エネルギーとして使用可能になる。このようにして、エネルギーが保存される。各プロセス容量部はプロセス段であると見なすことができる。
【0014】
プロセス容量部内の圧力は、フィードを蒸発区域において蒸発させ、凝縮区域において適切な温度で凝縮させるのを可能にするように調整され得る。
【0015】
第1の態様のさらなる実施形態によれば、プレートパッケージは、2つの隣接したプロセス容量部が、それぞれの隣接した凝縮区域と蒸発区域との間の熱的界面を画定するように配置されている少なくとも2つのプロセス容量部、好ましくは、3、4、5、6、7、8、9、または10個のプロセス容量部を画定する。
【0016】
したがって、プロセス容量部は、熱的系列で熱的に連結されており、熱的系列とは、凝縮区域が隣りのプロセス容量部の蒸発区域と熱的連結していることを意味する。プロセス容量部の数は、原理上は、無限とすることができるが、実際には、プロセス容量部はすべて、異なる温度および圧力の範囲で動作するので、プロセス容量部の数は限定される。実際には、その数は、上述したものに限定され得る。最初のプロセス容量部を除く各プロセス容量部は、隣接したプロセス容量部からのエネルギーを利用し、したがって、エネルギー節約は、追加の容量部の数だけを向上する。
【0017】
第1の態様のさらなる実施形態によれば、熱交換用プレートは、圧縮成形されている。
【0018】
このようにして、プレートの表面構造は、波形にされて、表面積を増大させ、それによって、熱伝達を向上させることができる。
【0019】
第1の態様のさらなる実施形態によれば、第2のプロセス容量部における圧力と温度は、第1のプロセス容量部よりも低い。
【0020】
第1の容量部の凝縮区域が、第1の容量部のフィードを凝縮させながら、第2の容量部の蒸発区域を加熱し、第2の容量部内のフィードを蒸発させることをできるようにするには、第1のプロセス容量部内の圧力と温度は、第2のプロセス容量部内の圧力と温度よりも高くすべきである。
【0021】
3つ以上のプロセス容量部を使用する、すなわち、3つ以上のプロセス段を使用するとき、原理は同じである。隣接したより高いプロセス容量部における圧力と温度は、隣接したより低いプロセス容量部よりも低い。言い換えれば、圧力と温度は、第1のプロセス容量部からオプションの中間プロセス容量部を介して第2の容量部へと減少する。それによって、平衡が形成される。
【0022】
第1の態様のさらなる実施形態によれば、プロセス容量部は、ガスケットを介して互いと流体的に分離されている。
【0023】
ガスケット、たとえば、ゴムガスケットを使用することによって、プレートパッケージを適切に封止しながらも、プレートパッケージの個々の熱交換用プレートを容易に分離すること、すなわち、1つまたは複数の熱交換用プレートを取り外して洗浄および/または保守することを可能にすることができる。さらには、ガスケットを使用することにより、プレートを収容するためのタンクの必要性がなくなる。
【0024】
第1の態様のさらなる実施形態によれば、蒸発区域は、蒸発区域の上部に位置するフィード入口を備える。
【0025】
上記の構成は、フィードが上方から各界面の蒸発用区域へと供給される、いわゆる流下膜技法を使用することを暗示している。
【0026】
第1の態様のさらなる実施形態によれば、蒸発区域は、蒸発区域の底部に位置するフィード入口を備える。
【0027】
上記の構成は、フィードが下方から各界面の蒸発用区域へと供給される、いわゆる上昇膜技法を使用することを暗示している。したがって、典型的には、フィードのための入口は、蒸発区域の底部の小さい穴である。フィードの一部は、蒸発し、凝縮区域まで上昇し、ここで、凝縮される。
【0028】
第1の態様のさらなる実施形態によれば、プロセス容量部はそれぞれ、プレートパッケージが通常の使用位置に配設されている場合に、蒸発区域の底部に位置するフィード入口、および分離区域の下方に位置する未蒸発のフィード出口を備える。
【0029】
フィード入口は、フィード、たとえば、海水を蒸発区域内に導入するのに使用される。このようにして、フィードは、プロセス空間のそれぞれの蒸発区域に効率的に導入され得る。未蒸発のフィード出口は、ブラインまたは他の濃縮物を構成する未蒸発のフィードをプロセス空間のそれぞれの分離区域から除去するのに使用される。
【0030】
第1の態様のさらなる実施形態によれば、フィード入口は、第1のプロセス容量部以外の複数のプロセス容量部のうちの少なくとも1つのプロセス容量部のための各熱交換用プレートの中心軸に隣接して位置している。
【0031】
中心軸は、プレートパッケージが通常の使用位置に配設されている場合に、各熱交換用プレートの2つの側縁部間の実質的に中心に、および実質的に垂直に延びる。このようにして、第1のプロセス容量部以外の各プロセス容量部のためのフィード用の単一の中心入口導管が、第1のプロセス容量部において使用される対向プレート縁部における2つの別個の導管の代わりに使用され得る。第1のプロセス容量部においては、加熱用区域の入口および出口は、通常は、中心に位置しており、中心に位置する入口導管を実現不可能にする。そのため、第1のプロセス容量部以外のプロセス容量部ごとに1つの導管が節約される。さらには、プレートの縁部にフィード入口を有しないと、蒸発のためのより多くの空間が可能になる。
【0032】
第1の態様のさらなる実施形態によれば、未蒸発のフィード出口は、第1のプロセス容量部以外の複数のプロセス容量部のうちの少なくとも1つのプロセス容量部のための各熱交換用プレートの中心軸に隣接して位置している。
【0033】
中心軸は、プレートパッケージが通常の使用位置に配設されている場合に、各熱交換用プレートの2つの側縁部間の実質的に中心に、および実質的に垂直に延びる。中心に位置する未蒸発のフィード出口は、船上での横揺れにより、ブラインの除去に有益であり得る。さらには、プレートの縁部に未蒸発のフィード出口を有しないと、蒸発したフィードの通路のための、プレート上のより多くの空間が可能になる。
【0034】
第1の態様のさらなる実施形態によれば、少なくとも1つの熱交換用プレートは、少なくとも1つのプロセス容量部の分離区域における1つまたは複数の開口を画定する。
【0035】
このようにして、フィードは、プレートの両側で流れることができ、したがって、フィードの蒸発した部分とフィードの未蒸発の部分とを分離させるための活性表面積が増大する。
【0036】
第1の態様のさらなる実施形態によれば、蒸発区域および凝縮区域は、少なくとも1つのプロセス容量部のための同じプレート間空隙内に配置され、および/または、蒸発区域および凝縮区域は、少なくとも1つのプロセス容量部のための対向プレート間空隙内に配置されている。
【0037】
プレート間空隙は、2つの隣接した熱交換用プレートによって包囲された空間として画定される。蒸発区域および凝縮区域の位置は、変更してもよい。
【0038】
第1の態様のさらなる実施形態によれば、使用中、第2のプロセス容量部の凝縮区域は、第1のプロセス容量部の蒸発区域の上方に配設され、各プロセス容量部内で蒸発区域は、分離区域の下方に配設され、分離区域は、凝縮区域の下方に配設されている。
【0039】
海水は、フィード入口を介して蒸発区域に供給される。フィード入口への海水は冷却用水から取り込まれて、フィードをあらかじめ加熱することができる。このようにして、フィードの加熱に使用されるエネルギーはより少なくなる。分離区域の濃縮物出口連結部は、フィードの未蒸発の部分を受け入れる。淡水出口は、凝縮段から、凝縮された淡水を収集し、それをプラントから外に導出する。
【0040】
第1の態様のさらなる実施形態によれば、熱交換用プレートの数は、4~1000の範囲の、好ましくはたとえば10~100の範囲の熱交換器プレートである。
【0041】
プレートの数は、熱交換器の所望の出力に応じて、変動してもよい。
【0042】
第1の態様のさらなる実施形態によれば、熱交換器は、プレートパッケージの2つの対向する側をカバーする1対の端プレートをさらに備える。
【0043】
端プレートは、ボルトとともに使用されて、プレートパッケージの内部圧力を保持し、正確な組付け長さが達成および維持されることを確実にする。端プレートはまた、さらなる安定性を達成することにも寄与する。端プレートを、薄くされた熱交換用プレートよりも厚く、より剛性にして、熱伝達を高めるようにすることができる。
【0044】
プレートパッケージは、安定性の向上のための対向端プレートを含むことができる。
【0045】
上記の目的は、第2の態様においては、海水などのフィードを処理するための熱交換器を製造する方法によって達成され、この方法は、
複数の熱交換用プレートを用意するステップであって、各熱交換用プレートが、第1の熱的界面、第2の熱的界面、および少なくとも1つのさらなる熱的界面を画定する、ステップと、
連続した順序で複数の熱交換用プレートを配置することによってプレートパッケージを形成するステップであって、プレートパッケージが、加熱用媒体を受け入れるための加熱用容量部、冷却用媒体を受け入れるための冷却用容量部、および複数のプロセス容量部を画定し、容量部のそれぞれが、プレートパッケージにおいて互いと流体的に分離され、プロセス容量部のそれぞれが、
フィードの少なくとも一部の蒸発を可能にするように構成されている蒸発区域、
フィードの蒸発した部分からフィードの未蒸発の部分を分離させるように構成されている分離区域、および
フィードの蒸発した部分を凝縮させるように構成されている凝縮区域
を含む、ステップと
を含み、
第1の熱的界面は、加熱用容量部と複数のプロセス容量部のうちの第1のプロセス容量部の蒸発区域との間に画定され、第2の熱的界面は、冷却用容量部と複数のプロセス容量部のうちの第2のプロセス容量部の凝縮区域との間に画定され、少なくとも1つのさらなる熱的界面は、2つの隣接したプロセス容量部の蒸発区域と凝縮区域との間に画定される。
【0046】
第2の態様による上記の方法は、好ましくは、第1の態様によるプレート熱交換器の上記の実施形態のうちのいずれかとともに用いることができる。
【0047】
上記の目的は、第3の態様においては、海水などのフィードを処理するためのプレート熱交換器のためのプレートによって達成され、このプレート熱交換器は、連続した順序で配置された複数の熱交換用プレートを備えるプレートパッケージを含み、プレートパッケージは、加熱用媒体を受け入れるための加熱用容量部、冷却用媒体を受け入れるための冷却用容量部、および複数のプロセス容量部を画定し、容量部のそれぞれが、プレートパッケージにおいて互いと流体的に分離され、プロセス容量部のそれぞれが、
フィードの少なくとも一部の蒸発を可能にするように構成されている蒸発区域、
フィードの蒸発した部分からフィードの未蒸発の部分を分離させるように構成されている分離区域、および
フィードの蒸発した部分を凝縮させるように構成されている凝縮区域
を含み、
各熱交換用プレートは、加熱用容量部と複数のプロセス容量部のうちの第1のプロセス容量部の蒸発区域との間の第1の熱的界面、冷却用容量部と複数のプロセス容量部のうちの第2のプロセス容量部の凝縮区域との間の第2の熱的界面、および2つの隣接したプロセス容量部の蒸発区域と凝縮区域との間の少なくとも1つのさらなる熱的界面を画定する。
【0048】
このようにして、海水などのフィードを処理するための熱交換器のための熱交換用プレートが実現され、この熱交換用プレートは、加熱用容量部と第1のプロセス容量部の蒸発区域とを分離させるための第1の熱的界面、冷却用容量部と第2のプロセス容量部の凝縮区域とを分離させるための第2の熱的界面、および2つの隣接したプロセス容量部の蒸発区域と凝縮区域との間の少なくとも1つのさらなる熱的界面を画定する。
【0049】
第3の態様による上記の熱交換用プレートは、好ましくは、第1の態様によるプレート熱交換器の上記の実施形態のうちのいずれかとともに、および/または第1の態様による方法の上記の実施形態のうちのいずれかとともに用いることができる。
【0050】
プレートパッケージは、単一のプレートタイプで構成され得る。次いで、プレートパッケージにおけるプレートは1つおきに、180度回転して、異なるタイプの2つのプレート間空隙を確立する。あるいは、プレートパッケージは、プレートパッケージに交互の順序で組み付けられる、2つのプレートタイプなど、複数のプレートタイプで構成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【
図1】上昇膜技法を用いる本発明によるプレートパッケージを示す図である。
【
図3A】上記のプレートパッケージのプレートのうちの1つの正面図である。
【
図3B】プレートパッケージの上述のプレートの後面図である。
【
図4B】第1のプロセス容量部の作動原理を示す図である。
【
図4D】第2のプロセス容量部の作動原理を示す図である。
【
図5A】2つの隣接したプロセス容量部間の熱的交点に中心出口を有しない代替のプレートの正面図である。
【
図6A】4つのプロセス容量部を含むプレートパッケージのプレートの正面図である。
【
図6B】4つのプロセス容量部を含むプレートパッケージの上述したプレートの後面図である。
【
図7A】流下膜原理により動作している、熱交換器の形態での脱塩装置の熱交換用プレートのA側の正面図である。
【
図7B】
図7Aの熱交換用プレートの対向B側の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
図1は、本発明によるプレートパッケージを示している。プレートパッケージは、複数の熱交換用プレート43を含む。プレート43は、たとえば、ステンレス鋼、アルミニウム、またはチタンで作製され得る。ポートは、矢印によって概略的に示されている。ポート44は、冷却用媒体のための入口ポートである。ポート45は、冷却用媒体のための出口ポートである。ポート46は、加熱用媒体のための入口ポートである。ポート47は、加熱用媒体のための出口ポートである。ポート48は、フィードのための入口ポートである。フィードは、プレートパッケージが脱塩プラントにおいて使用される場合、主には海水であるが、果実濃縮物を生産するためのプラントの場合、生の果実絞り汁など、他のフィードも可能である。フィードはまた、冷却用媒体のための出口ポート45から取リ込まれてもよい。ポート49は、脱塩プラントの場合の淡水など、処理されたフィードのための出口ポートである。
【0053】
図2は、プレートパッケージ42の断面図を示している。プラントが船上に位置している場合のジャケット水などの高温流体は、加熱用容量部50内を循環する。プレート43は、加熱用容量部50と、第1のプロセス容量部53の隣接した蒸発区域52との間の熱的界面51を形成する。フィード54は、第1のプロセス容量部53の蒸発区域52の下部に導入される。フィードは、熱的界面51を通して加熱用容量部50内の加熱用媒体によって加熱され、それにより、フィード54の一部は、蒸発して、蒸気が形成され、この蒸気は、典型的にはたとえば脱塩プラントにおける水溶性フィードの場合の水蒸気である。水蒸気は、矢印によって示されているように上向きに移動しており、第1のプロセス容量部53の分離区域55に入る。分離区域55においては、未蒸発のフィードはすべて、除去される。次いで、水蒸気は、第1のプロセス容量部53の凝縮区域56に入る。凝縮区域56においては、水蒸気は、凝縮されて、淡水を構成する凝縮物57になる。淡水は、淡水出口ポートを通して外に導出される。通路58a/bは、分離区域55内のプレート43を通って形成される。
【0054】
第1のプロセス容量部53の凝縮区域56では、プレート43は、第2のプロセス容量部53’の隣接した蒸発区域52’との熱的界面59を形成する。フィード54’は、第2のプロセス容量部53’の蒸発区域52’の下部に導入される。第2のプロセス容量部53’においては、圧力と温度は、第1のプロセス容量部53よりも低い。したがって、第2のプロセス容量部53’内のフィード54’は、第1のプロセス用容量部53内のフィード54よりも低い温度で蒸発(および凝縮)することになる。フィード54’は、熱的界面59を通して第1のプロセス容量部53の凝縮区域56によって加熱され、それにより、フィード54’は、蒸発して水蒸気になり、第1のプロセス容量部53の凝縮区域56内の水蒸気は、凝縮して水になる。
【0055】
第2のプロセス容量部53’内の水蒸気は、矢印によって示されているように上向きに移動しており、第2のプロセス容量部53’の分離区域55’に入る。分離区域55’においては、未蒸発のフィードはすべて、除去される。次いで、水蒸気は、第2のプロセス容量部53’の凝縮区域56’に入る。凝縮区域56’においては、水蒸気は、凝縮されて、淡水を構成する凝縮物57’になる。淡水は、淡水出口ポートを通して外に導出される。通路58a/bは、分離区域55内のプレート43に形成される。
【0056】
冷却用容量部60が、プレートパッケージの上部に設けられる。冷却用容量部60内を冷却用媒体が循環する。冷却用媒体は、プレート43内の熱的界面61を介して第2のプロセス容量部53’の凝縮区域56’を冷却する。
【0057】
未蒸発のフィードは、高い塩分を有するブラインを構成し、プレートパッケージから外に導出される。他の適用例においては、未蒸発のフィードは、たとえば絞り汁濃縮物を生産するためのプラントの場合の製品とすることができ、フィードは、生の果実絞り汁であり、未蒸発のフィードは、絞り汁濃縮物を構成する。
【0058】
黒の太線62は、プレート間空隙を包囲し、容量部を分離するガスケットを形成する。ポートおよび通路は、プレート間空隙を相互連結して、それにより、加熱用容量部、冷却用容量部、第1のプロセス容量部、および第2のプロセス容量部のプレート間空隙はそれぞれ、それぞれの相互連結された空間を形成するようになる。
【0059】
図3Aは、プレートパッケージのプレート43のうちの1つの正面図を示している。冷却用媒体のためのポート44、45、および加熱用媒体のためのポート46、47は、プレートのこの側が封止され、それにより、第1のプレート間空隙が画定される。ポート48からのフィードは、第1のプロセス容量部内の入口穴48aを介して蒸発区域52に入る。蒸発した水蒸気は、蒸発区域52の上方に位置する分離区域55に流れ、プレート43を通って通路58a/bを介して隣りのプレート間空隙へと流れる。それによって、通路58aは、蒸発したフィードがプレート43の両方の側に到達することを確実にし、一方、通路58bは、凝縮が行われる間空隙へと蒸気を導くことになる。未蒸発のフィードは、未蒸発のフィード出口ポート63を介して流出する。未蒸発のフィードは、脱塩プラントにおけるブラインを構成するが、あるいは、絞り汁濃縮物などの製品濃縮物を構成してもよい。第1のプロセス容量部の凝縮区域は、プレートの対向側に位置し、したがって、この図には示されていない。
【0060】
蒸発はまた、第1のプロセス容量部の対向凝縮区域からの熱を用いて第2のプロセス容量部の蒸発区域52’において行われている(
図4Bとの関連で説明する)。フィードは、ポート48’および穴48a’を介して第2のプロセス容量部の蒸発区域52’に導入される。蒸発した水蒸気は、第2のプロセス容量部の分離区域55’を通って第2のプロセス容量部の凝縮区域56’に流れ、ここで、水蒸気は、凝縮して水になる。淡水は、ポート49’を介して凝縮区域56’から出る。
【0061】
フィードを第2のプロセス容量部に導入するためのポート48’は、プレート43上の中心に位置している。このようにして、第2のプロセス容量部内のフィード入口連結部の数は、第1のプロセス容量部と比較して2から1へと減少する。この結果、配管および切断の費用が減少し、プレート領域をより良好に利用することが可能になる。さらには、プレートの縁部にフィード入口を有しないと、蒸発のためのより多くの空間が可能になる。
【0062】
さらには、第2のプロセス容量部のための未蒸発のフィード出口ポート63’もまた、プレート43上の中心に位置している。このようにして、第2のプロセス容量部内の未蒸発のフィード出口連結部の数は、同様に、第1のプロセス容量部と比較して2から1へと減少し、プレートの縁部に未蒸発のフィード出口を有しないと、蒸発のためのより多くの空間、および蒸発したフィードの通路のためのより多くの空間がプレート上に可能になる。中心に位置する未蒸発のフィード出口は、船上での横揺れにより、有益である場合がある。
【0063】
図3Bは、プレートパッケージの上述のプレート43’の後面図を示している。この場合、加熱用媒体は、加熱用容量部50内を循環して、第1のプロセス容量部の対向蒸発区域を加熱し、冷却用媒体は、冷却用容量部60内を循環して、第2のプロセス容量部の対向凝縮区域を冷却している。
【0064】
凝縮区域56は、プレートの対向側に位置する第2のプロセス容量部の蒸発区域を加熱している。第1のプロセス容量部の蒸発区域からの水蒸気は、第1のプロセス容量部の分離区域55内の通路58bを通して受け入れられる。淡水は、ポート49を介して凝縮区域56から出る。ガスケット62は、黒の太線によって表されている。
【0065】
図4Aは、本発明の別の実施形態によるプレートパッケージ42を示している。この図は、矢印により、プレートパッケージへの加熱用媒体の導入、および加熱用容量部50におけるプレート間空隙内の加熱用媒体の循環を示している。
【0066】
図4Bは、
図4Aのプレートパッケージ42を示している。この図は、矢印により、第1のプロセス容量部内のポート48におけるプレートパッケージへのフィードの導入を示している。フィードは、第1のプロセス容量部の蒸発区域52に入り、対向加熱用容量部からの熱により蒸発する。蒸発したフィードは、分離区域55へと進み、ここで、未蒸発の部分が除去される。残りの水蒸気または蒸気は、凝縮区域において凝縮し、結果的に生じた水または液体は、ポート49を通して外に導出される。未蒸発のフィード(ブライン/濃縮物)は、未蒸発のフィード出口ポート63を通して外に導出される。
【0067】
図4Cは、
図4Aのプレートパッケージ42を示している。この図は、矢印により、プレートパッケージへの冷却用媒体の導入、および冷却用容量部60におけるプレート間空隙内の冷却用媒体の循環を示している。
【0068】
図4Dは、
図4Aのプレートパッケージ42を示している。この図は、矢印により、第2のプロセス容量部内のポート48’におけるプレートパッケージへのフィードの導入を示している。フィードは、第2のプロセス容量部の蒸発区域52’に入り、第1の容量部の対向凝縮区域からの熱により蒸発する。第2のプロセス容量部の蒸発区域における圧力と温度は、第1の容量部の凝縮区域よりも低く、それにより、凝縮と蒸発を行うことができる。蒸発したフィードは、分離区域55’へと進み、ここで、フィードの未蒸発の部分が除去される。残りの水蒸気または蒸気は、凝縮区域56’において凝縮し、結果的に生じた水また液体は、ポート49を通して外に導出される。フィードの未蒸発の部分、たとえば、ブラインまたは濃縮物は、未蒸発のフィード出口ポート63’を通して外に導出される。
【0069】
図5Aは、代替のプレートパッケージのための代替のプレートの正面図を示している。このプレートの正面と先のプレートの正面との唯一の違いは、第1のプロセス容量部においては、通路58a/bがプレート上の中心に位置していることであるが、淡水は、プレートの縁部に位置する2つのポート49において収集される。このようにして、プレートパッケージの2つの隣接したプロセス容量部間の熱的交点にポートを位置付けることが回避される。そこにポートを位置付けると、端部プレートに穴が必要になり、この穴は、端部プレートをより脆弱にさせることになる。
【0070】
図5Bは、代替のプレートパッケージの上述した代替のプレートの後面図を示している。このプレートの後面側の機能原理は、先のプレートの後面側と同一である。
【0071】
図6Aおよび
図6Bはそれぞれ、図に示されているように4つのプロセス容量部53、53’、53’’、53’’’(またはさらなるプロセス容量部)を含むプレートパッケージのプレート43の正面図および後面図を示している。機能原理は、2つではなく、4つのプロセス容量部53、53’、53’’、53’’’(またはさらなるプロセス容量部)が熱的系統で連結されていることを除いて、先のプレートと同じである。
【0072】
したがって、加熱用容量部は、第1のプロセス容量部の蒸発区域にプレート界面を介して熱的に連結されている。第1のプロセス容量部の凝縮区域は、第2のプロセス容量部の対向蒸発区域に熱的に連結されている。第2のプロセス容量部の凝縮区域は、第3のプロセス容量部の対向蒸発区域に熱的に連結されている。第3のプロセス容量部の凝縮区域は、第4のプロセス容量部の対向蒸発区域に熱的に連結されている。最後に、第4のプロセス容量部の凝縮区域は、冷却用容量部に熱的に連結されている。
【0073】
熱的連結部は、プレートにわたって熱的界面を介して確立される。圧力と温度は、第1のプロセス容量部から第4のプロセス容量部へと減少する。
【0074】
図7Aは、流下膜原理に従って動作している代替の実施形態の脱塩装置の熱交換用プレートのA側の正面図を示す一方、
図7Bは、熱交換用プレートの対向B側の正面図を示している。
【0075】
プレートは、プレートパッケージにおいて交互の構成で取り付けられ、単にプレートを180度回転することによって、2つの異なるプレート表面AまたはBのうちの一方が形成され得る。異なるガスケットがプレートの対向側に使用され、それにより、チャネルと区域との所望の組合せが達成されることになる。
【0076】
プレートの対向する短い端部のそれぞれにおいては、3つの大きいポート1~6が存在し、ポート1~6間には、プレート内の8つの熱的界面7~14が、水平の連続構成で設けられている。ポート1は、加熱用媒体、好ましくは、ジャケット水などの水のための入口であり、または代替として、水蒸気/蒸気などの気体が使用されてもよい。ポート2は、加熱用媒体のための出口ポートである。ポート3および4は、海水などのフィードのための入口ポートであり、ポート5および6はそれぞれ、冷却用媒体、好ましくは海水などの水のための入口ポートおよび出口ポートである。
【0077】
熱的界面7では、加熱用媒体は、熱交換用プレートの一方の側の加熱用容量部に流入しており、熱交換用プレートの対向側の蒸発区域17においては、フィード入口から穴19を通って入るフィードの蒸発が生じる。蒸発したフィードは、水蒸気を形成し、この水蒸気は、凝縮区域15aに流入し、ここで、水蒸気は、凝縮用区域15a内の温度がより低いので凝縮される。水蒸気は、分離区域20を通過し、ここで、液滴および未蒸発のフィードが収集され、ポート21に導かれ、ポート21は、余分なブラインを除去する。凝縮区域15aは、ガスケットによって囲まれている。ガスケットは、太線によって示されている。穴23を設けて、凝縮できない気体を排出してもよい。凝縮された水蒸気は、凝縮物出口24aを介して外に流出する。蒸発区域17、分離区域20、および凝縮区域15aは、第1のプロセス用容量部を形成する。
【0078】
水蒸気が凝縮区域15aにおいて凝縮すると、熱が蒸発区域14a内のフィードに伝達され、それにより、フィードは、蒸発し、凝縮区域15b内に流入する。蒸発区域14aおよび凝縮区域15bは、それらの間の分離区域(符号付けされていない)とともに、さらなるプロセス容量部を形成する。同じプロセスが、最後の凝縮用区域18まで、残りの界面において繰り返される。ポート4と6との間の凝縮区域18では、凝縮できない気体を排出するためのポート26を有する排出チャンバ25が存在する。フィード入口3および4は、穴30を介して相互連結されている分散チャネル27、28a~28f、29を介して相互連結されている。
【0079】
この熱交換器は、蒸発区域、分離区域、および凝縮区域をそれぞれが有する5つのプロセス用容量部を有するが、2つ以上の任意の数が実現可能とすることができる。より大きい数のプロセス用容量部が、より良好な熱的効率を生み出すことになるが、熱交換器の費用および複雑さも同様に高まることになり、したがって、選択された、たとえば最も経済的なプロセス数は、個別に異なることになり、加熱用容量部および冷却用容量部に加えて2つのプロセス用容量部のみを有する熱交換器とすることが非常によくあり得る。そのような場合においては、1つの熱的界面は、第1のプロセス用容量部の凝縮区域と第2のプロセス用容量部の蒸発区域との間の熱交換のために設けられる。
【0080】
本発明によるプレートパッケージは、主に、脱塩プランにおいて海水を脱塩するのに使用される一方、いくつかの他の使用領域が存在することが企図される。これらの使用領域には、限定するものではないが、廃水の浄化、および果実絞り汁などの製造など、凝縮物ではなく、濃縮物を使用する適用例が含まれる。そのような適用例においては、生の果実絞り汁は、フィードとして提供され、生の絞り汁の含水量の一部は、蒸発が可能になる。残りの濃縮物は、未蒸発のフィード出口において収集される。同様のプロセスは、エタノールなどの精製など、非水溶性フィードに使用されてもよい。
【符号の説明】
【0081】
1~6、21、26、44、45、46、47、48、48’、49、49’ ポート
7~14、51、59、61 熱的界面
14a、17、52、52’ 蒸発区域
15a、15b、18、56、56’ 凝縮区域
19、23、30、48a’ 穴
20、55、55’ 分離区域
24a 凝縮物出口
25 チャンバ
27、28a~28f、29 分散チャネル
42 プレートパッケージ
43、43’ プレート
50 加熱用容量部
53、53’、53’’、53’’’ プロセス容量部
54、54’ フィード
57、57’ 凝縮物
58a/b 通路
60 冷却用容量部
62 ガスケット
63、63’ フィード出口ポート