(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-27
(45)【発行日】2022-07-05
(54)【発明の名称】マスクシステムヘッドギア
(51)【国際特許分類】
A61M 16/06 20060101AFI20220628BHJP
【FI】
A61M16/06 A
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2021005534
(22)【出願日】2021-01-18
(62)【分割の表示】P 2017546199の分割
【原出願日】2016-03-03
【審査請求日】2021-02-12
(32)【優先日】2015-03-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513259285
【氏名又は名称】フィッシャー アンド ペイケル ヘルスケア リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100095898
【氏名又は名称】松下 満
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100171675
【氏名又は名称】丹澤 一成
(72)【発明者】
【氏名】ボーンホルト メリッサ キャサリン
(72)【発明者】
【氏名】ベターリッジ マックス レオン
(72)【発明者】
【氏名】オルセン グレゴリー ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】マクラレン マーク アービンド
(72)【発明者】
【氏名】イプ バーナード ツー ルン
(72)【発明者】
【氏名】ミッターマイヤー サイモン
【審査官】菊地 牧子
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-511297(JP,A)
【文献】特表2006-506109(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0060544(US,A1)
【文献】韓国公開特許第2009-0123802(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 16/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
呼吸マスクシステム用のフレームであって、前記呼吸マスクシステムは、前記フレームと、第1及び第2の前頭部ストラップを有するヘッドギアと、前頭部カプラを備え、前記前頭部カプラは、閉ループで前記第1及び第2の前頭部ストラップを合わせて接続し、前記第1及び第2の前頭部ストラップを前記フレームに取外し可能に接続するように構成され、前記前頭部カプラは、一対の横方向ストラップコネクタと、該ストラップコネクタを互いに連結するように構成されたフレームコネクタを備え、前記フレームコネクタは、クロスバーとリブスロットを備え、前記フレームは、カプラ接続部を有する前頭部支持体を備え、
前記カプラ接続部は、
フック部分であって、
前記フレームの前記前頭部支持体によって形成されたシャンクと、
前記シャンクに接続された曲げ部と、
前記曲げ部に接続された戻りアームと、
前記シャンクと前記戻りアームとの間に形成された喉状部分と、
前記シャンクから前記戻りアームに向かって、前記喉状部分内に延在するリブ
を備えるフック部分、を備える、
ことを特徴とする、フレーム。
【請求項2】
前記戻りアームが、前記曲げ部を中心に前記シャンクから離れるように曲がるように構成されている、請求項1に記載のフレーム。
【請求項3】
前記リブが、前記曲げ部および前記戻りアームから分離されている、請求項1または2に記載のフレーム。
【請求項4】
前記リブが、前記戻りアームよりも実質的に狭い幅を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のフレーム。
【請求項5】
前記戻りアームの端部が、前記シャンクに向かって延在して、前記戻りアームと前記シャンクとの間に喉状部分の開口部を画定し、前記戻りアームと前記シャンクとの間の前記喉状部分の開口部の幅が、前記戻りアームと前記シャンクとの間の前記喉状部分の幅より狭い、請求項1~4のいずれか一項に記載のフレーム。
【請求項6】
前記戻りアームの端部は出っ張りを備え、前記出っ張りの頂部が前記戻りアームと前記シャンクの間の前記喉状部分の開口部を形成する、請求項5に記載のフレーム。
【請求項7】
前記出っ張りの前記頂部は、前記戻りアームの端部からずれており、それにより、前記出っ張りは、前記喉状部分の開口部が前記戻りアームの端部に向かう方向において幅が狭くなるように、前記シャンクに向かって角度が付けられた面を有する、請求項6に記載のフレーム。
【請求項8】
前記出っ張りは、半径を有する隅肉によって丸くなっている、請求項6または7に記載のフレーム。
【請求項9】
前記リブと前記戻りアームとの間の距離は、前記戻りアームと前記シャンクとの間の前記喉状部分の開口部の幅と実質的に同様である、請求項3~8のいずれか一項に記載のフレーム。
【請求項10】
前記戻りアームと前記シャンクの間の前記喉状部分の開口部の幅は、前記第1及び第2の前頭部ストラップの厚さよりも狭い、請求項5~9のいずれか一項に記載のフレーム。
【請求項11】
前記喉状部分は、前記フレームコネクタの前記クロスバーを受け入れるように構成され、前記リブは、前記フレームコネクタの前記リブスロット内に配置されるように構成されている、請求項1~10のいずれか一項に記載のフレーム。
【請求項12】
前記リブは、前記リブスロットの幅と実質的に同じ幅である、請求項1~11のいずれか一項に記載のフレーム。
【請求項13】
前記フレームコネクタの前記クロスバーと前記シャンクと前記戻りアームとの間の締まり嵌めにより、前記フレームが前記クロスバーに対して移動または回転することを防止する、請求項1~12のいずれか一項に記載のフレーム。
【請求項14】
前記フレームが、複数の呼吸マスクサイズに適合するように構成された汎用フレームである、請求項1~13のいずれか一項に記載のフレーム。
【請求項15】
前記ストラップコネクタが、前記ストラップが接続される際に通る
ストラップアパーチャを含む、請求項14に記載のフレーム。
【請求項16】
前記
ストラップアパーチャに対する前記
フレームコネクタの位置が、小型呼吸マスクと大型呼吸マスクとの間で変化する、請求項15に記載のフレーム。
【請求項17】
相対的に、前記小型呼吸マスク用の前記
ストラップアパーチャに対する前記
フレームコネクタの前記位置が、前記大型呼吸マスク用の前記
ストラップアパーチャに対する前記
フレームコネクタより垂直方向に高く位置決めされ、それにより、前記小型呼吸マスク用の前記
ストラップアパーチャが、前記大型呼吸マスク用の
ストラップアパーチャより前記汎用フレームに対して低く位置決めされる、請求項16に記載のフレーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
優先権出願に対する参照による援用
本出願は、米国仮特許出願第62/128,434号明細書、米国仮特許出願第62/187,010号明細書および米国仮特許出願第62/268,341号明細書に関連しかつそれらに対する優先権を主張し、それら出願の全体が、参照により本明細書に組み込まれ、本開示の一部とされる。
【0002】
本開示は、概して、限定されないが持続的気道陽圧法(CPAP)および非侵襲的換気法(NIV)等の呼吸療法を提供するために使用されるマスクに関する。より詳細には、本開示は、フルフェイス、鼻、鼻ピロー、カニューレおよび他のマスクまたはインタフェースに対して、信頼性および使い易さを向上させるように構成された、ヘッドギア接続アセンブリに関する。
【背景技術】
【0003】
呼吸マスクは、限定されないがCPAPおよびNIVを含む種々の呼吸状態の治療のための療法を提供するために使用される。本開示は、CPAP療法に関連して記載するが、他の療法に等しく適用可能であり得ることが理解されるべきである。
【0004】
CPAP療法は、閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)、すなわち、睡眠中に喉の奥が、気道を狭くするかまたは完全に閉塞するほど弛緩する状態の治療に使用される。気道の狭窄または閉鎖により、呼吸が、数秒間以上、停止するかまたは非常に浅くなる可能性がある。CPAPスプリントは、マスク等のインタフェースを介して気道に加圧空気の一定の流れを提供することにより、気道を開放する。この療法が有効であるためには、理想的には、マスクと使用者の顔面との間に実質的に漏れのないシールが維持されるべきである。これを達成するために、ヘッドギアシステムを用いてマスクを使用者の顔面に固定することができる。本技術分野において、ヘッドギアとマスクとの間にヘッドギア接続アセンブリがあることが一般に知られている。ヘッドギアは、封止クッションが患者の顔面に対して適所に保持されるように、マスクと係合するように適合される。ヘッドギアは、広範な患者の頭囲に一致するようにヘッドギアのサイズを調整するための調整可能な頭頂部ストラップを含む複数のヘッドギアストラップを含むことが多い。頭頂部ストラップは、患者の頭頂部の中心に位置する箇所においてバックルによって互いに接合される2つのストラップ部分を含む場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のヘッドギア接続アセンブリにはいくつかの問題がある。たとえば、バックルは、患者の頭部でかさばりかつ/または堅い可能性がある。また、頭頂部ストラップの長さに対してどれくらい調整がなされたかを示すマーカがないため、調整が困難かつ不明瞭である可能性がある。これらの問題により、マスクおよびヘッドギアシステムの使い易さ、信頼性および/または快適さがなくなることになる可能性があり、それにより、使用者のコンプライアンスが不十分になる可能性がある。マスクが清掃のために分離されかつ再接続される度に、ヘッドギアおよびマスクを再適合させるように試行錯誤が必要である可能性がある。これは、時間がかかり、患者にとって不都合である可能性がある。以前の設計では、ストラップ部分の各々の調整が不均一になる可能性もあり、それにより、ヘッドギアは、患者の頭部で一方に傾いて位置する可能性があり、それによって、漏れが発生し治療の効力が損なわれることになる可能性がある。
【0006】
本技術分野では、快適であり、広範囲の患者に適合し、容易に調整されかつ組み立てられるヘッドギアが引き続き必要とされている。本技術分野では、こうしたヘッドギアのヘッドギアストラップが呼吸マスクのフレームに個別に組み付けられることが知られている。このように組み立てられるヘッドギアは、扱いにくく、かつ、取り付け、サイズを決め、調整し、組み立てるのに時間がかかる可能性があり、それは、患者の自身の治療のコンプライアンスに影響を与える可能性がある。
【0007】
本発明の目的は、これらの問題のうちの1つまたは複数に少なくとも部分的に対処することである。別法として、本発明の目的は、少なくとも、公衆に有用な選択肢を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の目的は、少なくとも、公衆に有用な選択肢を提供する呼吸マスクシステムを提供することである。
【0009】
本明細書に開示する構成のうちの少なくとも1つのいくつかの特徴、態様および利点によれば、呼吸マスクシステムが提供される。呼吸マスクシステムは、フレームと、患者の顔面と封止係合するための、フレームに設けられた封止クッションと、患者の頭部に呼吸マスクを保持するヘッドギアと、前頭部カプラとを備える。前頭部カプラは、一対のストラップコネクタ、フレームコネクタおよび可撓性連結部材を備え、ストラップコネクタは、それらの間に延在する可撓性連結部材によって、間隔を空けて配置されかつ接続されている。
【0010】
いくつかの構成では、ヘッドギアは、前頭部カプラのストラップコネクタに接続するための少なくとも2つの前頭部ストラップを備える。
【0011】
いくつかの構成では、前頭部ストラップおよび前頭部カプラは、患者の頭部の周囲に調整可能な閉ループを形成するように互いに接続する。
【0012】
いくつかの構成では、フレームは前頭部支持体を備え、前頭部支持体はカプラ接続部を備える。
【0013】
いくつかの構成では、カプラ接続部は、フレームコネクタを受け入れるアパーチャを備える。
【0014】
いくつかの構成では、フレームコネクタは、カプラ接続部に取外し可能に結合される。
【0015】
いくつかの構成では、前頭部カプラは、閉ループがそのままであり続けるように、フレームに取外し可能に取り付けられる。
【0016】
いくつかの構成では、可撓性連結部材は、各ストラップコネクタの独立した移動を可能にする。
【0017】
いくつかの構成では、可撓性連結部材は、使用時に患者の前頭部の形状に沿う。
【0018】
いくつかの構成では、フレームコネクタは舌状部を備え、カプラ接続部はフォークを備え、フレームと前頭部カプラとの間に舌状部およびフォークの接合部が形成されている。
【0019】
いくつかの構成では、前頭部カプラはT字型輪郭を備える。T字型輪郭は、フレームコネクタによって形成されている軸と、ストラップコネクタによって形成されている一対の横方向に延在するアームとを備える。
【0020】
本明細書に開示する構成のうちの別の1つのいくつかの特徴、態様および利点によれば、呼吸マスクシステムが提供される。呼吸マスクシステムは、フレーム、封止クッション、ヘッドギアおよび前頭部カプラを備える。フレームは、前頭部支持体を備える。封止クッションは、フレームに設けられ、患者の顔面と封止係合するように構成されている。ヘッドギアは、少なくとも2つの前頭部ストラップを有し、患者の頭部に呼吸マスクシステムを保持するように構成されている。前頭部カプラは、ストラップの使用長さが調整可能であるように、閉ループで前頭部ストラップを接続し、ストラップコネクタがフレームに対して2つ以上の方向に曲がることができるように、ヘッドギアを前頭部支持体に結合する。
【0021】
本明細書に開示する構成のうちのさらに別の1つのいくつかの特徴、態様および利点によれば、呼吸マスクにヘッドギアを接続するコネクタシステムが提供される。コネクタシステムは、呼吸マスクに接続されたフレームと、ヘッドギアに取り付けられた第1前頭部ストラップおよび第2前頭部ストラップとを備える。第1前頭部ストラップおよび第2前頭部ストラップは、フレームに取り付けられてヘッドギアを呼吸マスクに接続する。
【0022】
本明細書に開示する構成のうちのさらに別の1つのいくつかの特徴、態様および利点によれば、呼吸マスクのフレームにヘッドギアの第1前頭部ストラップおよび第2前頭部ストラップを締結するコネクタシステムが提供される。コネクタシステムは、フレームに配置されたスロットと、ストラップ接続部分およびフレームコネクタ部分を有する前頭部ストラップコネクタとを備える。ストラップ接続部分は、第1前頭部ストラップおよび第2前頭部ストラップに接続され、フレームコネクタ部分は、ストラップ接続部分から延在する。フレームコネクタ部分は、スロット内に配置され、フレームは、ヘッドギアがフレームに取り付けられるように、フレームコネクタ部分とストラップ接続部分との間に保持される。いくつかの構成では、ストラップ接続部分は少なくとも1つのストラップコネクタに取り付けられ、それを通して、第1前頭部ストラップおよび第2前頭部ストラップは前頭部ストラップコネクタに取り付けられる。
【0023】
いくつかの構成では、ストラップ接続部分は、ストラップ接続部分を通って延在するスロットを含み、そこを通して、第1前頭部ストラップおよび第2前頭部ストラップは、前頭部ストラップコネクタに取り付けられる。
【0024】
いくつかの構成では、前頭部ストラップコネクタのストラップ接続部分およびフレームコネクタ部分は、ファブリックストリップから一体的に形成され、フレームコネクタ部分は、ファブリックストリップの一部をそれ自体の上に重ねて融合させるかまたは他の方法で接続することによって形成される。
【0025】
いくつかの構成では、スロットの入口部分は、ストラップ接続部分の厚さより狭い幅を有する。
【0026】
本明細書に開示する構成のうちのさらに別の1つのいくつかの特徴、態様および利点によれば、呼吸マスクのフレームにヘッドギアの第1前頭部ストラップおよび第2前頭部ストラップを締結するコネクタシステムが提供される。コネクタシステムは、フレームに配置された接続部分と、前頭部ストラップコネクタとを備える。前頭部ストラップコネクタは、前頭部ストラップコネクタを通して延在するスロットであって、第1前頭部ストラップおよび第2前頭部ストラップがスロットを介して前頭部ストラップコネクタに取り付けられる、スロットと、ファブリックループであって、スロットの間で前頭部ストラップコネクタに取り付けられかつ前頭部ストラップコネクタから外側に延在しているファブリックループとをさらに備える。ファブリックループは、ヘッドギアがフレームに取り付けられるように接続部分に締結される。
【0027】
いくつかの構成では、前頭部ストラップコネクタは、各スロットの一部を画定する中心柱を有し、ファブリックループは閉ループであり、中心柱はファブリックループ内に配置される。
【0028】
いくつかの構成では、ファブリックループは、前頭部ストラップコネクタの一方の側に締結され、前頭部ストラップコネクタを通って延在し、前頭部ストラップコネクタの反対側から外側に延在する。
【0029】
いくつかの構成では、前頭部ストラップコネクタは、第1部分および第2部分に分離可能であるように構成され、第1部分は、第1スロットを含みかつ第1部分に取り付けられたファブリックループの端部を有し、第2部分は、第2スロットを含みかつ第2部分に取り付けられたファブリックループの端部を有し、第1部分は、第2部分に取外し可能に締結されるように構成され、ファブリックループは、第1部分が第2部分に締結されるときは閉ループであり、第1部分が第2部分から解除されるときは開ループである。
【0030】
いくつかの構成では、突起が、第1部分から外側に延在し、穴が、第2部分内に設けられ、突起は、穴内に配置されて第1部分および第2部分を締結する。
【0031】
いくつかの構成では、接続部分は細長いポストである。
【0032】
いくつかの構成では、接続部分は間隙であり、ファブリックループは、間隙内に配置されてヘッドギアをフレームに締結する。
【0033】
本明細書に開示する構成のうちの別の1つのいくつかの特徴、態様および利点によれば、呼吸マスクのフレームにヘッドギアの第1前頭部ストラップおよび第2前頭部ストラップを締結するコネクタシステムが提供される。コネクタシステムは、フレームに配置された接続部分と、前頭部ストラップコネクタとを備える。前頭部ストラップコネクタは、第2ファブリック層と接合される第1ファブリック層であって、第1ファブリック層および第2ファブリック層がそれらの端部で互いに接合されている、第1ファブリック層と、第1ファブリック層と第2ファブリック層との間に配置された接続空洞と、第1ファブリック層および第2ファブリック層の端部に配置されかつそれらを通って延在するスロットとをさらに備える。第1前頭部ストラップおよび第2前頭部ストラップは、スロットを介して前頭部ストラップコネクタに取り付けられ、前頭部ストラップコネクタは、ヘッドギアがフレームに取り付けられるように接続部分の上に配置される。
【0034】
いくつかの構成では、前頭部ストラップコネクタは、スロットストラップの外周部の周囲に形成されかつ第1ファブリック層および第2ファブリック層を通って延在する、オーバーモールドされたスロットライナをさらに備え、オーバーモールドされたスロットライナは、第1ファブリック層および第2ファブリック層をそれらの端部において接合する。
【0035】
いくつかの構成では、第1ファブリック層および第2ファブリック層の可撓性は、平面の間で変化する。
【0036】
いくつかの構成では、第1ファブリック層および第2ファブリック層は、ファブリックの厚さに対して平行な方向よりも、厚さに対して実質的に垂直な方向においてより可撓性が高い。
【0037】
いくつかの構成では、接続部分は間隙であり、ファブリックループは、間隙内に配置されてヘッドギアをフレームに締結する。
【0038】
本明細書に開示する構成のうちの別のいくつかの特徴、態様および利点によれば、呼吸マスクのフレームにヘッドギアの第1前頭部ストラップおよび第2前頭部ストラップを締結するコネクタシステムが提供される。コネクタシステムは、フレームに配置された接続部分と、前頭部ストラップコネクタとを備える。前頭部ストラップコネクタは、第2ファブリック層と接合される第1ファブリック層であって、第1ファブリック層および第2ファブリック層がそれらの端部で互いに接合されている、第1ファブリック層と、第1ファブリック層と第2ファブリック層との間に配置された接続空洞と、第1ファブリック層および第2ファブリック層の端部に配置されかつそれらを通って延在するスロットとをさらに備える。第1前頭部ストラップおよび第2前頭部ストラップは、スロットを介して前頭部ストラップコネクタに取り付けられ、前頭部ストラップコネクタは、ヘッドギアがフレームに取り付けられるように接続部分の上に配置される。
【0039】
いくつかの構成では、前頭部ストラップコネクタは、スロットストラップの外周部の周囲に形成されかつ第1ファブリック層および第2ファブリック層を通って延在する、オーバーモールドされたスロットライナをさらに備え、オーバーモールドされたスロットライナは、第1ファブリック層および第2ファブリック層をそれらの端部において接合する。
【0040】
いくつかの構成では、第1ファブリック層および第2ファブリック層の可撓性は、平面の間で変化する。
【0041】
いくつかの構成では、第1ファブリック層および第2ファブリック層は、ファブリックの厚さに対して平行な方向よりも、厚さに対して実質的に垂直な方向においてより可撓性が高い。
【0042】
本明細書に開示する構成のうちのさらに別の1つのいくつかの特徴、態様および利点によれば、呼吸マスクのフレームにヘッドギアの前頭部バンドを締結するコネクタシステムが提供される。コネクタシステムは、フレームに配置されたスロットと、前頭部バンドに配置された締結具とを備える。前頭部バンドは、スロットを通って延在し、前頭部バンドは、それ自体の上に重ねられかつ締結されて、ヘッドギアをフレームに締結する。
【0043】
いくつかの構成では、締結具は面ファスナである。
【0044】
本明細書に開示する構成のうちのさらに別の1つのいくつかの特徴、態様および利点によれば、フレームにヘッドギアの第1前頭部ストラップおよび第2前頭部ストラップを取外し可能に接続するコネクタシステムが提供される。コネクタシステムは、フレームに配置されたフックコネクタ部分と、第1前頭部ストラップおよび第2前頭部ストラップに接続されたストラップコネクタ部分とを備える。フックコネクタ部分は、フレームに接続されたシャンクと、シャンクに接続された曲げ部と、曲げ部に接続された戻りアームと、シャンクと戻りアームとの間に配置された喉状部分とをさらに含む。ストラップコネクタ部分は、喉状部分内に取外し可能に挿入されるように構成された取付部分を有する。取付部分は、シャンクと前記戻りアームとの間に挟挿され、それにより、ストラップコネクタ部分がフック接続部分に取外し可能に取り付けられる。
【0045】
いくつかの構成では、フックコネクタ部分は、シャンクから戻りアームに向かって喉状部分内に延在するリブを含む。ストラップコネクタ部分は、取付部分に配置されたリブスロットを含む。リブは、ストラップコネクタ部分がフック接続部分に取り付けられるとき、リブスロット内に配置され、リブとリブスロットとの間の接触が、フレームに対するストラップコネクタの回転を妨げる。
【0046】
いくつかの構成では、リブは、曲げ部および戻りアームと接触する。
【0047】
いくつかの構成では、リブは、曲げ部および戻りアームから分離されている。
【0048】
いくつかの構成では、取付部分は、取付部分の一方の側に配置された閉鎖部分を含む。閉鎖部分は、戻りアームと接触し、閉鎖部分が戻りアームに面するときにストラップコネクタ部分が喉状部分内に挿入されるのを妨げる。
【0049】
いくつかの構成では、戻りアームの端部が、シャンクに向かって延在して、戻りアームとシャンクとの間に喉状部分の開口部を画定している。戻りアームとシャンクとの間の喉状部分の開口部の幅は、戻りアームとシャンクとの間の喉状部の幅より狭い。
【0050】
いくつかの構成では、取付部分の第1端部の厚さが、喉状部分の開口部の幅より小さく、取付部分の第2端部の厚さが、喉状部分の開口部の幅の2倍より大きい。
【0051】
いくつかの構成では、ストラップコネクタは、ストラップが接続される際に通るスロットを含む。
【0052】
本明細書に開示する構成のうちのさらに別の1つのいくつかの特徴、態様および利点によれば、フレームにヘッドギアの第1前頭部ストラップおよび第2前頭部ストラップを取外し可能に接続するコネクタシステムが提供される。コネクタシステムは、フレームに配置されかつ受入部分を有するメス結合部分と、オス結合部分とを含む。オス結合部分は、第1前頭部ストラップおよび第2前頭部ストラップが取り付けられる際に通るスロットと、スロットの間に配置された取付部分とを含む。オス結合部分の取付部分は、メス結合部分の受入部分内に配置されて、第1前頭部ストラップおよび第2前頭部ストラップをフレームに接続する。
【0053】
いくつかの構成では、フレームは、複数の呼吸マスクサイズに適合するように構成された汎用フレームである。
【0054】
いくつかの構成では、スロットに対する取付部分の位置は、小型呼吸マスクと大型呼吸マスクとの間で変化する。
【0055】
いくつかの構成では、相対的に、小型呼吸マスク用のスロットに対する取付部分の位置は、大型呼吸マスク用のスロットに対する取付部分より垂直方向に高く位置決めされ、それにより、小型呼吸マスク用のスロットは、大型呼吸マスク用のスロットより汎用フレームに対して低く位置決めされる。
【0056】
本明細書に開示する構成のうちのさらに別の1つのいくつかの特徴、態様および利点によれば、異なる呼吸マスクサイズに対して汎用フレームを使用する方法が提供される。汎用フレームは、コネクタ要素に取外し可能に取付可能である。コネクタ要素は、ヘッドギアの第1前頭部ストラップおよび第2前頭部ストラップに取り付けられ、汎用フレームに取り付けられる取付部分を有する。本方法は、異なる呼吸マスクサイズに対して異なるコネクタ要素を提供するステップと、呼吸マスクサイズに従って異なるコネクタ要素における取付部分の位置を変更するステップとを含む。
【0057】
いくつかの構成では、呼吸マスクサイズに従って異なるコネクタ要素における取付部分の位置を変更するステップは、小型呼吸マスクの取付部分を、大型呼吸マスクの取付部分より、汎用フレームに対して垂直方向に高く位置決めし、それにより、小型呼吸マスク用の第1前頭部ストラップおよび第2前頭部ストラップが、大型呼吸マスク用の第1前頭部ストラップおよび第2前頭部ストラップより汎用フレームに対して低く位置決めされるようにすることを含む。
【0058】
いくつかの構成では、コネクタ要素は、第1前頭部ストラップおよび第2前頭部ストラップが取り付けられる際に通るスロットを有する。
【0059】
本明細書に開示する構成のうちのさらに別の1つのいくつかの特徴、態様および利点によれば、呼吸マスクのフレームにヘッドギアを取外し可能に締結するコネクタシステムであって、ヘッドギアの前頭部ストラップが、トップストラップを解除することなくフレームに対して接続および分離されることを可能にする、コネクタシステムが提供される。コネクタシステムは、フレームに配置された締結具部分と、前頭部ストラップに接続された前頭部ストラップコネクタとを備える。前頭部ストラップコネクタは、締結具係合部分をさらに備え、それは、前頭部ストラップコネクタに配置され、締結具部分に選択的に係合してトップストラップをフレームに対して接続および分離するように構成されている。
【0060】
いくつかの構成では、締結具部分は細長いポストを含み、締結具係合部分は可撓性ループを備え、可撓性ループは、ポストの上に取外し可能に取り付けられて、トップストラップをフレームに対して接続および分離する。
【0061】
いくつかの構成では、締結具部分はフック部分を含み、締結具係合部分はクロスバーを備え、クロスバーは、フック部分内に取外し可能に取り付けられて、トップストラップをフレームに対して接続および分離する。
【0062】
いくつかの構成では、締結具部分はスロットを含み、締結具係合部分は、前頭部ストラップコネクタから延在する首部分と、首部分の自由端部に配置された頭部分とを備え、首部分は、スロット内に取外し可能に配置されて、トップストラップをフレームに対して接続および分離する。
【0063】
本明細書に開示する構成のうちのさらに別の1つのいくつかの特徴、態様および利点によれば、呼吸マスクのフレームにヘッドギアを取外し可能に締結する方法であって、ヘッドギアの前頭部ストラップが、前頭部ストラップを解除することなくフレームに対して接続および分離されることを可能にする、方法が提供される。本方法は、フレームに取外し可能に締結可能な前頭部ストラップコネクタを提供するステップと、前頭部ストラップコネクタに前頭部ストラップを取り付けるステップと、前頭部ストラップコネクタをフレームに締結して前頭部ストラップをフレームに接続するステップと、フレームから前頭部ストラップコネクタを解除して前頭部ストラップをフレームから分離するステップとを含む。
【0064】
本明細書に開示する構成のうちのさらに別の1つのいくつかの特徴、態様および利点によれば、ヘッドギアのトップストラップに漸進的長さ調整を提供するトップストラップ接続アセンブリが提供される。トップストラップ接続アセンブリは、ヘッドギアに取り付けられたメスストラップ部分と、ヘッドギアに取り付けられたオスストラップ部分とを含む。メスストラップ部分は、メスストラップ部分を通って延在するアパーチャと、アパーチャとメスストラップ部分の端部との間でメスストラップの内面に配置された第1締結具部分とを含む。オスストラップ部分は、オスストラップ部分の外縁においてオスストラップ部分の長さに沿って配置された複数の切欠きと、複数の切欠きとオスストラップ部分の端部との間でオスストラップ部分の内面に配置された第2締結具部分とを含む。オスストラップは、複数の切欠きがアパーチャと係合するようにアパーチャ内に配置される。第1締結具部分は、オスストラップ部分の外面に締結され、第2締結具部分は、メスストラップ部分の外面に締結される。
【0065】
いくつかの構成では、第1締結具部分および第2締結具部分は、フック・ループ型ファスナ(面ファスナ)のフック部分である。
【0066】
いくつかの構成では、第1締結具部分および第2締結具部分は、メスストラップ部分およびオスストラップ部分の前記内面から突出する3次元突起を含む。
【0067】
いくつかの構成では、アパーチャは、第1締結具部分の一部を通って延在する。
【0068】
いくつかの構成では、メスストラップ部分の幅は、オスストラップ部分の幅におよそ等しい。
【0069】
いくつかの構成では、アパーチャは、直線状側部および湾曲側部を有する。
【0070】
いくつかの構成では、湾曲側部の外周部の長さは、オスストラップ部分の幅と実質的に等しい。
【0071】
いくつかの構成では、オスストラップ部分の外縁における複数の切欠きは、位置合せされた対で配置され、オスストラップ部分は、各位置合せされた切欠きの対の間の幅を含み、各位置合せされた切欠きの対の間の幅は、アパーチャの直線状側部の長さに実質的に等しい。
【0072】
いくつかの構成では、アパーチャは、オスストラップ部分の長さに沿って延在する高さを有し、アパーチャの高さは、アパーチャの直線状側部の長さより小さい。
【0073】
いくつかの構成では、オスストラップ部分の幅は、アパーチャの直線状側部の長さのおよそ1.5倍~2.5倍である。
【0074】
いくつかの構成では、アパーチャは、半円形状を有し、メスストラップ部分の長手方向軸に対して垂直に延在する直線状側部を含む。
【0075】
本明細書に開示する構成のうちのさらに別の1つのいくつかの特徴、態様および利点によれば、呼吸マスク用のヘッドギアアセンブリであって、ヘッドギアがオスストラップ部分およびメスストラップ部分を含む、ヘッドギアアセンブリが提供される。メスストラップ部分の自由端部分は、オスストラップ部分の自由端部分が通過するアパーチャを含み、オスストラップ部分は、アパーチャと係合して、全ストラップ長の漸進的調整を可能にする。いくつかの実施形態では、オスストラップ部分は、メスストラップ部分のアパーチャと係合する複数の切欠きを備える。
【0076】
いくつかの構成では、ヘッドギアアセンブリは、オスストラップ部分およびメスストラップ部分を有するトップストラップを備える。メスストラップ部分は、内部を通して延在するアパーチャを有する第1自由端部を備える。いくつかの実施形態では、アパーチャは、ストラップの第1自由端部の長さに沿って延在し、内面および外面を通して延在することを含む。メスストラップ部分はまた、自由端部においてメスストラップの内面によって支持される第1締結具部分も備える。オスストラップ部分は、第2自由端部と第2自由端部に隣接する複数の切欠きとを備える。切欠きは、アパーチャと係合し、オスストラップ部分が平坦にされるとき、アパーチャ内でオスストラップ部分の移動を制限するように構成されている。オスストラップ部分はまた、自由端部においてオスストラップ部分の内面によって支持される第2締結具も備えることができる。
【0077】
いくつかの好ましい実施形態では、ヘッドギアアセンブリは、フック・ループ型ファスナのフック部分である第1締結具および第2締結具を備える。いくつかの好ましい実施形態では、第1自由端部および第2自由端部の各々は3次元突起を含む。
【0078】
いくつかの好ましい実施形態では、ヘッドギアアセンブリは、1つの直線状側部および1つの湾曲側部を備えたアパーチャを有するメスストラップ部分を含む。いくつかの好ましい実施形態では、アパーチャは第1締結具部分の一部を通って延在する。
【0079】
すべての新規な態様で考慮すべきである本開示の主題のさらなる態様は、本発明の実際の応用の少なくとも1つの例を提供する以下の説明を読むことにより、当業者には明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【
図1】本開示の呼吸マスクとともに使用され得るように、持続的気道陽圧システム等、使用者に加熱加湿ガスを提供するシステムのブロック図である。
【
図2】本開示のいくつかの特徴、態様および利点に従って配置されかつ構成される呼吸マスクシステムの正面斜視図である。
【
図4】合わせて組み立てられた、
図2のヘッドギアおよび前頭部カプラの斜視図である。
【
図6】合せて組み立てられた、
図2のフレームおよび前頭部カプラの上面斜視図である。
【
図9A】前頭部ストラップに組み付けられた前頭部カプラの正面図である。
【
図14A】前頭部カプラから分離されたカプラ接続部の斜視図である。
【
図16A】非固定配置にあるフレーム接続部に対するヘッドギアの斜視図である。
【
図16B】固定配置にある
図16Aのフレーム接続部に対するヘッドギアの斜視図である。
【
図17A】カプラ接続部に組み付けられた前頭部カプラの斜視図である。
【
図18A】前頭部カプラおよびカプラ接続部の組立分解斜視図である。
【
図18D】
図18A~
図18Cの前頭部カプラおよびカプラ接続部の側断面図であり、前頭部カプラは、前頭部カプラとカプラ接続部との間の完全かつ正確な組立を可能にする唯一の向きにある。
【
図18E】
図18A~
図18Cの前頭部カプラおよびカプラ接続部の側断面図であり、前頭部カプラは、前頭部カプラとカプラ接続部との間の組立を可能にしない向きにある。
【
図18F】
図18A~
図18Cの前頭部カプラおよびカプラ接続部の側断面図であり、前頭部カプラは、前頭部カプラとカプラ接続部との間の組立を可能にしない向きにある。
【
図18G】
図18A~
図18Cの前頭部カプラおよびカプラ接続部の側断面図であり、前頭部カプラは、前頭部カプラとカプラ接続部との間の組立を可能にしない向きにある。
【
図20A】カプラ接続部に組み付けられた前頭部カプラの斜視図である。
【
図21A-B】小型前頭部カプラに接続された汎用フレームの正面図(21A)及び中型/大型前頭部カプラに接続された汎用フレームの正面図(21B)である。
【
図21C】汎用フレームに接続されたときに中型/大型前頭部カプラの上に重ねられた小型前頭部カプラの正面斜視図である。
【
図27】本開示のヘッドギアストラップの実施形態の底面図を示す。
【
図29】
図27のヘッドギアストラップのより厳密な上面図を示す。
【
図30】オス部分がメス部分のアパーチャに挿入されている際の
図27のヘッドギアストラップの上面図を示す。
【
図31】オス部分がメス部分のアパーチャ内に挿入されている際の
図27のヘッドギアストラップの斜視図を示す。
【
図35】ヘッドギアストラップの実施形態の上面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0081】
本明細書に記載する好ましい形態および代替形態の呼吸マスクシステムは、CPAP療法の送達において改善をもたらす。特に、従来技術と比較した場合、呼吸マスクの取付、サイズ決め調整および組立に関連して使い易さを向上させることができる、呼吸マスクシステムについて記載する。記載するような呼吸マスクは、一般に呼吸治療でまたは人工呼吸器とともに使用することができるが、加湿CPAPシステムでの使用に関して例示するように記載することが理解されよう。記載する好ましい形態および代替形態は、限定されないが、患者の鼻および口の周囲を封止するフルフェイスマスクと患者の鼻の周囲を封止する鼻マスクとを含む呼吸マスクの任意の形態に適用することができることも理解されよう。
【0082】
図1を参照すると、患者1が、加湿ガス搬送経路または吸気導管3に接続された呼吸マスク2を通して、加湿され加圧された呼吸用ガスを受け取っている、加湿持続的気道陽圧法(CPAP)システムが示されている。送達システムは、VPAP(可変気道陽圧法)およびBiPAP(二相性気道陽圧法)または他の多数の形態の呼吸療法でもあり得ることが理解されるべきである。
【0083】
吸気導管3は、水6を収容する加湿チャンバ5の出口4に接続されている。吸気導管3は、導管内の加湿ガスの結露を低減させるように導管の壁を加熱する、加熱手段またはヒータワイヤ(図示せず)を含むことができる。加湿チャンバ5は、好ましくはプラスチック材料から形成され、加湿器8のヒータプレート7と直接接触している高熱伝導性ベース(たとえば、アルミニウムベース)を有することができる。加湿器8には、関連するメモリに格納されたコンピュータソフトウェアコマンドを実行するマイクロプロセッサベースのコントローラを含むことができる、制御手段または電子コントローラ9が設けられている。
【0084】
コントローラ9は、装置の使用者が、たとえば、患者1に供給されるガスの湿度または温度の所定の必要な値(事前設定値)を設定することができる、ユーザ入力インタフェースまたはダイヤル10等の入力源から、入力を受け取る。コントローラはまた、コネクタ13およびヒータプレート温度センサ14を通して、他の入力源、たとえば、温度および/または流速センサ11および12から入力を受け取ることも可能である。コントローラ9は、ダイヤル10および他の入力部を介して入力される使用者が設定した湿度または温度値に応じて、加湿チャンバ5内の水6を加熱するようにヒータプレート7をいつ(またはどのレベルまで)通電するべきかを判断する。加湿チャンバ5内の水6が加熱されると、水蒸気が、水の表面の上方のチャンバの容積を充填し始め、入口16を通ってチャンバに入る、ガス供給源またはブロワ15から提供されるガス(たとえば、空気)の流れにより、加湿チャンバ5出口4から排出される。患者の口からの吐出ガスは、
図1の周囲環境に直接渡される。
【0085】
ブロワ15には、可変圧力調整器、またはブロワ入口17を通して空気または他のガスを引き込む可変速ファン21が設けられている。可変速ファン21の速度は、電子コントローラ18によって制御される(または別法として、コントローラ18の機能をコントローラ9が実施することができる)。コントローラは、任意の有用な基準に従って、ファンの速度または調整圧力を制御することができる。たとえば、コントローラは、コントローラ9からの入力、およびダイヤル19を介する使用者が設定した圧力またはファン速度の所定の必要な値(事前設定値)に応答することができる。
【0086】
図2は、加圧された呼吸用ガスの供給を患者の気道に提供するように構成された、本開示の呼吸マスクシステム100の限定しない例示的な実施形態を示す。呼吸マスクシステム100は、フレーム120、封止クッション140、ヘッドギア160および前頭部カプラ180を備える。
【0087】
図3に示すように、フレーム120は、実質的に三角形の構成要素を備え、それは、2つのヘッドギア接続部121(三角形の下の点を形成する)および前頭部支持体122(三角形の上の点を形成する)を有する。フレーム120は、加圧された呼吸用ガスを患者の気道に供給することができる中心ガス入口123と、封止クッション接続部124(図示せず)とをさらに備える。フレーム120は、インタフェース構成要素として作用し、封止クッション140、ヘッドギア160および前頭部カプラ180を合わせて接続するように構成されている。
【0088】
前頭部支持体122は、細長い部材を備え、それは、使用時、ヘッドギア接続部から離れる方に患者の前頭部に向かって上方に延在し、先端部125で終端する。先端部には、カプラ接続部126が位置している。カプラ接続部126は、細長いスロットの形態のアパーチャ127を備え、アパーチャの先端部に最も近い側からは開口部128が延出しており、それにより、アパーチャは完全に閉鎖されていない。アパーチャ127および開口部128は、前頭部支持体122に、2つのプロング(尖った先)129を有するフォークを形成している。開口部128は、狭い通路を提供するように構成され、そこを通して、カプラ接続部126に前頭部カプラ180を接続することができる。
【0089】
封止クッション140は、
図2に示すように、一体的に形成されたシールハウジング141および可撓性クッション142を備える。シールハウジング141は、患者の鼻および/または口の周囲に実質的に剛性の呼吸チャンバを提供し、フレーム120の封止クッション接続部124に取り付けられるように構成されている。可撓性クッション142は、患者の鼻、口、または鼻および口の周囲に実質的気密シールが形成されるように患者の顔面と係合するように構成されている。可撓性クッション142は、シリコーン、熱可塑性エラストマ、または患者の顔面形状に少なくとも部分的に沿うことができる他の任意の適切な材料から作製することができる。可撓性クッション142は、使用時に患者の鼻梁の基端側に位置する回動ブリッジ143を備える。全体として参照により本明細書に組み込まれる米国特許出願公開第2014/0096774号明細書に記載されているように、回動ブリッジ143は、可撓性クッションの上部が、可撓性クッションの下部に対する上部の蝶番式移動の間に回動することができるように構成されている。
【0090】
ヘッドギア160は、使用時、患者の頭部の周囲に延在するように構成され、その上で呼吸マスクシステム100を保持する。
図4に示すように、ヘッドギアは、後部161、2つのサイドストラップ162、2つの前頭部ストラップ163および2つのトップストラップ164を備える。代替実施形態では、より多いかまたは少ないサイドストラップ162、前頭部ストラップ163またはトップストラップ164があり得る。サイドストラップ162、前頭部ストラップ163およびトップストラップ164は、すべて、固定端部165および自由端部166を有する。サイドストラップ162および前頭部ストラップ163は、後部161に連結する固定端部165から横方向に延在し、トップストラップ164は、前頭部ストラップ163から角度をなして延在している。サイドストラップ162は、クリップ167を介してフレーム120のヘッドギア接続部121に連結し、前頭部ストラップ163は、前頭部カプラ180に連結する。トップストラップ164は、使用時、患者の頭部の頂部の上を通過するように構成され、バックル168を介して合わせて接続されている。トップストラップ164、前頭部ストラップ163またはサイドストラップ162を折り返し、限定されないが面ファスナ、クリップまたは留め金等の手段によって自由端部166を適所に固定することにより、ヘッドギアのサイズを調整することができる。これにより、トップストラップ164、前頭部ストラップ163またはサイドストラップ162の各々の使用長さが調整される。本明細書で用いる「使用長さ」という用語は、トップストラップ164、前頭部ストラップ163および/またはサイドストラップ162のうちの任意のものの、固定端部165と、それらがバックル168、クリップ167または前頭部カプラ180等の別の構成要素と連結する箇所との間の長さを意味するものとする。代替実施形態では、単一の固定長のトップストラップがあり得る。ヘッドギアは、Breath-o-prene
TMまたは他の任意の適切な材料等の層状ファブリックから作製することができ、弾性かつ/または非弾性であり得る。
【0091】
前頭部カプラ180は、前頭部ストラップ163およびフレーム120を互いに取外し可能に結合するように構成されている。互いに結合されると、前頭部ストラップ163および前頭部カプラ180は、患者の頭部の周囲にかつ患者の前頭部を横切って延在するように構成される閉ループを形成し、前頭部カプラ180は、患者の前頭部の中心の近くに位置決めされる。前頭部カプラ180は、フレーム120から取り除かれるときに閉ループがそのままであり続けるように、構成されている。すなわち、前頭部カプラ180により、使用者は、トップストラップのループの堅さ設定/接続を依然として維持しながら、1回の動作でフレーム120の前頭部支持体にトップストラップを接続するかまたはそこから分離することができる。これは、患者が、前頭部ストラップの適合を変更することなく呼吸マスクシステム100を取り除くことができるため有益であり、それにより、使い易さが向上し、患者の療法のコンプライアンスが向上することになり得る。
【0092】
図5Aおよび
図5Bに示すように、前頭部カプラ180は、一対のストラップコネクタ181、可撓性連結部材182およびフレームコネクタ183を備える。ストラップコネクタ181は、中心ポスト186によって対称的に分離された第1ストラップスロット184および第2ストラップスロット185を有する実質的に剛性のプラスチック構成要素を備える。ストラップスロットは、形状が実質的に矩形であり、ストラップを受け入れるように構成されている。第1ストラップスロット184は、前頭部ストラップ163のうちの1つを受け入れるように構成され、第2ストラップスロット185は、可撓性連結部材182の一端を受け入れるように構成されている。閉ループのサイズは、上述したように、前頭部ストラップ163の使用長さを調整することにより、患者の頭囲に一致するように調整することができる。
【0093】
可撓性連結部材182は、第1端部187、第2端部188および中心部分189を有するファブリックストラップを備える。第1端部187および第2端部188は、ストラップコネクタ181の第2ストラップスロット185を通過し、折り返されて、中心部分189に永久的に固定される。永久固定は、限定されないが、縫合、接着剤または溶接等の手段によって達成することができる。中心部分189は、一体的に形成された構成要素としてフレームコネクタ183を備え、それは、カプラ接続部126に取外し可能に結合され、ストラップコネクタ181が2つ以上の方向に互いおよびフレームコネクタ183とは無関係に曲がることができるように構成されている。可撓性連結部材182を構成するファブリックは、実質的に非弾性であり、それにより、閉ループおよびヘッドギア160のサイズは、使用中に意図せずに変化しない。ファブリックの可撓性により、可撓性連結部材182、したがって前頭部カプラ180が、患者の前頭部の形状に沿いかつフレーム120と患者との間の柔らかいまたはクッションのような接触面を提供するために、ねじれかつ曲がることができる。これは、呼吸マスクシステム100の適合および患者の快適さを向上させるために有利であり得る。代替実施形態では、可撓性がありかつ実質的に非弾性であるプラスチックフィルムまたはストラップから、可撓性連結部材182を作製することができる。
【0094】
前頭部カプラ180は、
図5Bに示すようにT字型輪郭を有するように構成されている。T字型輪郭は、軸190および一対のアーム191を備える。軸190は、フレームコネクタ183によって形成され、アーム191は、軸190から横方向に延在するストラップコネクタによって形成される。
【0095】
フレームコネクタ183は、可撓性連結部材182の中心部分189に一体的に形成されている。それは、可撓性連結部材182が半分に折り畳まれ、折り畳まれた層の間に永久的に接合されて、連結部分193を形成することによって、形成される。連結部分193は、カプラ接続部126の開口部を通過するように構成され、限定されないが、溶接、縫合または接着剤等の手段によって形成することができる。好ましくは、連結部分193におけるファブリックの層は、可撓性連結部材182のファブリックより薄くかつ剛性が高いように、接合手段によって圧縮され、それにより、連結部分193は、カプラ接続部126の開口部128を容易に通過することができる。連結部分193は、折畳み部の折目からずれており、それにより、可撓性連結部材182にループ194(本明細書では頭部分とも呼ぶ)が形成される。ループ194は、フレーム120のカプラ接続部126におけるアパーチャ127の幅より大きい直径を有し、アパーチャ127を通って引っ張ることができないように、ループ194の圧縮性を低減させる材料で充填することができる。
【0096】
連結部分193は、
図6に示すように、舌状部分または首部分を形成し、それは、舌状部分およびフォークの接合部においてフレーム120のカプラ接続部126と接合するように構成されている。カプラ接続部126のプロング129は、連結部分193がそれらの間を通過するときにたわむように構成されている。開口部128の幅は、連結部分193の厚さより狭く、それにより、前頭部カプラ180がフレーム120から意図せずに外れるのを阻止する摩擦力がある。
【0097】
代替実施形態では、ストラップコネクタ181は、第1ストラップスロット184のみを備えることができ、それを通して前頭部ストラップ163が接続される。ストラップコネクタ181は、限定されないが、オーバーモールド、溶接、接着剤または縫合等の手段により、可撓性連結部材182の第1端部187および第2端部188に永久的に接続することができる。
【0098】
図7は、上述した前頭部カプラ180の代替実施形態を示す。
図7の実施形態は、一体的に形成されたストラップコネクタ281を有する前頭部カプラ280を備える。ストラップコネクタ281は、可撓性連結部材282にオーバーモールドされるかまたは溶接されるプラスチック構成要素を備える。前頭部ストラップ163が通過するストラップスロット284が、ストラップコネクタ281および可撓性連結部材282の両方を通って延在する。ストラップコネクタ281は、容易に前頭部ストラップ163を接続しかつその使用長さを調整することができるように、可撓性連結部材282に対してストラップスロット284の周囲の構造を提供するように構成されている。ストラップコネクタ281は、前頭部カプラ280の全体的なかさを低減させながら、ストラップスロット284の変形を最小限にする。
【0099】
図8に、前頭部カプラ380の別の限定しない例示的な実施形態を示す。前頭部カプラ380は、永久的に接合される、ストラップコネクタ381および可撓性連結部材382を備える。可撓性連結部材382は、フレームコネクタ383と、第1端部387および第2端部388と、中心部分389とを備える。それは、フレームコネクタ383とストラップコネクタ381との間に可撓性接続部を提供するように構成されている。フレームコネクタ383は、先の実施形態に関連して記載したものと実質的に同じである。第1端部387および第2端部388は、中心部分389とともに、限定されないが、オーバーモールド、溶接または接着剤等の手段によって、ストラップコネクタ381に永久的に接続される。
【0100】
ストラップコネクタは、内面396および外面397を有する細長い構成要素と、各端部に位置するストラップスロット384とを備える。内面396は、使用時に患者の前頭部の近くにまたはそれに接して位置するように構成され、対応して、外面397は、患者の前頭部に対して遠位にあるように構成されている。外面397は凹部398を備え、それは、上述したように永久的接続で、可撓性連結部材382の第1端部387および第2端部388ならびに中心部分389を受け入れるように構成されている。ストラップコネクタ381は、可撓性がある場合もあればない場合もある、実質的に非弾性のプラスチックから作製されている。呼吸マスクシステム100に組み立てられると、前頭部ストラップ163は、前頭部カプラ380によって閉ループで互いに接続される。ストラップコネクタ381が非可撓性材料から作製される実施形態では、前頭部ストラップ163の端部は、互いに対して固定位置で保持されるが、フレームコネクタ383およびフレーム120に対して曲がることができる。ストラップスロット384は、ストラップコネクタ381および可撓性連結部材382の両方を通って延在するように構成されている。
【0101】
図9A、
図9Bおよび
図9Cは、前頭部カプラ480のさらなる実施形態を示す。前頭部カプラ480は、互いに永久的に取り付けられる、ストラップコネクタ481およびフレームコネクタ483を備える。ストラップコネクタ481は、裏側496、表側497、および各側部にあるストラップスロット484を有する、実質的に矩形のバックルを備え、ストラップスロット484は中心ポスト489によって分離されている。表側497は、使用時、患者の前頭部から離れる方に位置するように構成され、裏側496は、患者の前頭部に接触するかまたはより近くに位置するように構成されている。ストラップスロット484は、先の実施形態に関連して記載したように使用長さが調整可能であるように、前頭部ストラップ163を受け入れるように構成されている。ストラップスロット484の長さに沿って真向きに見ると、ストラップコネクタ481は、表側497が凹状であるように湾曲している。裏側496では、中心ポスト489は、ストラップコネクタ481にフレームコネクタ483を固定するように構成された1つまたは複数のリベット498を備える。
【0102】
フレームコネクタ483は、中心ポスト489の周囲に延在するように構成されているファブリックストラップから作製されたループを備え、それにより、中心ポスト489の表側497とフレームコネクタ483の内側との間に間隙がある。ストラップの端部は、1つまたは複数のリベット498によって、ストラップコネクタ481の裏側496の上に重ねられかつそれに固定される。ファブリックストラップの端部は、パイロット穴(図示せず)を備えることができ、リベット498は、変形する前にそこを通過して、フレームコネクタ483を適所に永久的に固定する。いくつかの実施形態では、リベット498は、フレームコネクタ483の材料に融合するように、溶接プロセスによって変形させることができる。フレームコネクタ483は、フレーム120の前頭部支持体122の一部を受け入れかつ保持するように構成されている。
【0103】
図10A、
図10Bおよび
図10Cは、
図9A、
図9Bおよび
図9Cの実施形態の別の変形を示し、そこでは、ストラップコネクタ481の表側497は凸状であり、フレームコネクタ483は、溶接またはオーバーモールド等の手段によって、ストラップコネクタ481に固定されている。ストラップコネクタ481は、第1ストラップスロット484および第2ストラップスロット485を備え、フレームコネクタ483は、ストラップコネクタ481に固定される前に第2ストラップスロット485を通過するように構成されている。
【0104】
図11A、
図11Bおよび
図11Cは、
図9A、
図9Bおよび
図9Cの前頭部カプラ480のさらなる変形を示す。この変形では、ストラップコネクタ481は、互いに繰返し接続および分離されるように構成されている2つの半体を備える。ストラップコネクタ481の各半体は、前頭部ストラップ163のうちの1つを受け入れるように構成された細長いストラップスロット484を備える。ストラップコネクタ481の2つの半体は、ボタンおよび穴型のスナップフィット締結具によって互いに接続される。他の実施形態では、他のタイプのスナップフィット締結具を使用することができ、かつ/または2つの半体の間の接続が永久的であり得ることが理解されるべきである。フレームコネクタ483は、2つの端部を有するファブリックのストラップを備え、端部の各々は、ストラップコネクタ481の一方の半体に永久的に固定される。フレームコネクタ483は、ストラップコネクタの2つの半体が互いに接合されるときにループを形成し、それにより、ループは、フレーム120の前頭部支持体122の一部を受け入れかつ/または保持することができる。
【0105】
図7~
図11Cの実施形態には、すべて、
図2~
図6の前頭部カプラ180に対応して番号が付されており、同様の特徴は、それらの参照数字に100が追加された値を有していた。たとえば、
図5Aでは、ストラップコネクタは181の参照数字を有し、
図7の実施形態では、ストラップコネクタは281の参照数字を有する。最後の2つの数字を共有する参照数字を有する特徴は、全体として、呼吸マスクシステムの一部として組み立てられたときに実質的に同様に機能する。
図12Aおよび
図12Bでは、このように厳密に番号が付されていない。完全な構成要素としての前頭部カプラのみが、
図2~
図6の実施形態に関して番号が付されている。
【0106】
図12Aおよび
図12Bは、前頭部カプラ580のさらに別の限定しない例示的な実施形態を示す。前頭部カプラ580は、2つの短縁582および2つの長縁583を有する、実質的に平坦かつ矩形のスリーブ581を備える。スリーブ581は、フレーム120の前頭部支持体122の一部を受け入れかつ保持するように構成されている。スリーブ581は、表層584、裏層585および2つのストラップスロット586を備える。ストラップスロット586は、短縁582に対して平行に伸び、かつその基端側にある。表層584および裏層585は、ストラップスロット586の外周部の周囲で、短縁582が互いに接合され、長縁583が開放しているように、互いに接合されている。ストラップスロット586は、表層584および裏層585の両方を通って延在し、前頭部ストラップ163を受け入れるように構成されている。短縁582は、オーバーモールドされたスロットライナ587によって互いに接合され、スロットライナ587は、ストラップスロット586の構造を補強するように構成される実質的に剛性のシースを備える。スロットライナ587は、ストラップスロット586の外周部の周囲に裏当てを形成し、表層584および裏層585を通って延在して、両側において、ストラップスロット586の各々の外周部から外側に延在するリップ588において終端する。スロットライナ587は、実質的に剛性の熱可塑性材料から作製され、スリーブ581の上にオーバーモールドされると、材料は、表層584および裏層585の材料に接合する。
【0107】
表層584および裏層585は、平面の間で変化する可撓性を有するファブリックから作製される。たとえば、ファブリックは、ファブリックの厚さに対して平行な方向よりも、ファブリックの厚さに対して実質的に垂直な方向における方が、可撓性が高い場合がある。これは、前頭部カプラ580が、フレーム120と前頭部カプラ580との間の接続部に束が形成されることなく患者の顔面形状に沿うのを可能にするため、有益であり得る。
【0108】
図9A~
図12Bの前頭部カプラは、
図2~
図8の実施形態に対して異なるカプラ接続部126により、フレーム120の前頭部支持体122に固定される。
図9A~
図12Bの実施形態は、前頭部カプラ480および580のフレームコネクタ483および583によって形成されたメス構成要素に接続するオス構成要素を備えるカプラ接続部と使用されるように構成されている。
図13A~
図15Bは、オス構成要素を備えるカプラ接続部600、700および800のいくつかの限定しない例示的な実施形態を示す。
図13A、
図13B、
図14Aおよび
図14B両方の実施形態は、フック610または710を備え、そこでは、フック610、710の少なくとも一部は、フレームコネクタ483またはスリーブ581を通過するように構成されている。
図13Aおよび
図13Bの実施形態では、フック610は、一般にボールペンの一部を形成するポケットクリップと実質的に同様であり、細長いシャンク611、戻りアーム612および喉状部613を備える。シャンク611は、前頭部支持体122によって形成され、戻りアーム612に移行する曲げ部614を通して延在するように構成されている。シャンク611および戻りアーム612は、それらの間に喉状部615が形成されるように、間隔を空けて配置されている。喉状部615は、曲げ部614とは反対側の端部において、狭い喉状部分の開口部616を備える。戻りアーム612は、フレームコネクタ483またはスリーブ581によって受け入れられかつ保持されるように構成されている細長い部材を備え、それにより、フレームコネクタ483またはスリーブ581の一部が喉状部613内に位置する。喉状部分の開口部616は、フレームコネクタ483またはスリーブ581のファブリックの厚さより狭いように構成されており、それにより、戻りアーム612は、フレームコネクタ483またはスリーブ581が喉状部分の開口部616を通過することができるように曲がる。喉状部分の開口部616の幅が狭いことは、フレームコネクタ483またはスリーブ581を、組み立てられると適所に保持するのに役立つ。使用時、戻りアーム612は、患者の前頭部に対して近位側に配置され、シャンク611は遠位側に配置される。
【0109】
図14Aおよび
図14Bは、フック710を備えかつ
図13Aおよび
図13Bの実施形態と同様である、カプラ接続部700の別の実施形態を示す。フック710は、曲げ部714によって互いに接続されているシャンク711および戻りアーム712を備える。シャンク711は、前頭部支持体122によって形成され、使用時、患者の前頭部に対して近位側に位置するように構成されている。戻りアーム712は、曲げ部714の短い延長部であり、
図13Aおよび
図13Bの実施形態よりこの実施形態の方が大幅に短い。シャンク711がフレームコネクタ483(またはスリーブ581)内に配置され、曲げ部714および戻りアーム712が、フレームコネクタ483(または、スリーブ581の表層584)を形成するファブリックループの縁の上に延在するように、フック710全体は、前頭部コネクタ483(または、いくつかの実施形態ではスリーブ581)を通過するように構成されている。曲げ部714および戻りアーム712は、前頭部カプラ483(またはスリーブ581)が前頭部支持体122の端部から滑り落ちるのを阻止するかまたは好ましくは防止する止め具として作用する。
【0110】
図15Aおよび
図15Bのカプラ接続部800は、端部止め具820を有するポスト810を備える。ポストは、前頭部支持体122の延長部を構成し、それは、端部止め具820で終端し、フレームコネクタ483内に挿入されるように構成されている。前頭部支持体の寸法が、段階的に低減し、ポスト810を形成するように小さくなる場所に、リップ830が形成されている。端部止め具820は、ポスト810の端部の周囲に球状頭部または高くなった隆起を備える。リップ830および端部止め具820は、フレームコネクタ483より大きいように構成され、それにより、フレームコネクタ483は、それらの間の適所に保持される。
【0111】
図16Aおよび
図16Bは、呼吸マスクシステム100用のヘッドギア・フレーム接続部の限定しない例示的な実施形態を示し、ヘッドギア900は、フレーム920に取外し可能に取り付けられている前頭部ストラップ910を備える。前頭部ストラップ910は、後部(図示せず)から患者の前頭部を横切って延在するように構成され、閉ループを形成するように中心接合部930において永久的に接続される一対のストラップを備える。前頭部ストラップ910の長さは、閉ループが患者の前頭部周囲より長くなるといったものである。中心接合部930は、限定されないが、縫合、溶接または接着剤等、本業界で既知である任意の手段によって形成することができる。代替実施形態では、前頭部ストラップ910は、後部の一方の側部から他方の側部まで延在して、中心接合部930なしに閉ループを形成する、単一のストラップを含むことができる。
【0112】
フレーム920は、Fisher & Paykel Healthcare Ltd.によって作製されるようなSimplus(商標)と実質的に同じであり得る。フレーム920は、一対の細長いストラップスロット960を画定する一対の横方向フックを有する前頭部支持体922の実質的に平坦な延長部をさらに備える、カプラ接続部940を備える。ストラップスロット960は、前頭部ストラップ910を受け入れるように構成され、前頭部ストラップ910は、カプラ接続部940の後側970からストラップスロット960を通り、カプラ接続部940の前側980を横切って他方のストラップスロット960を通るように戻る。前頭部支持体922が、前頭部ストラップ910の厚み分、患者の前頭部からわずかに離れて吊り下げられるように、前頭部ストラップ910の余分な長さを、ストラップスロット960を通して引っ張ることができる。そして、前頭部ストラップ910の余分な長さは、
図16Bに示すように、カプラ接続部940の前側980において一方の側に折り畳まれ、適所に固定される。前頭部ストラップ910の余分な長さは、限定されないが面ファスナ等の手段によって適所に固定される。
【0113】
図17A~
図17Eは、ヘッドギア160の前頭部ストラップ163を閉ループで合わせて接続しヘッドギア160をフレーム1001に接続するように構成された、前頭部カプラ1000の限定しない例示的な実施形態のさまざまな図を示す。前頭部カプラ1000は、バタフライ状の形状を有する実質的に剛性のバックルを備え、一対の横方向ストラップコネクタ1002によってウィングが形成され、ストラップコネクタ1002を合わせて連結するように構成されているフレームコネクタ1003によって、本体が形成されている。フレームコネクタ1003は、
図13Aおよび
図13Bのカプラ接続部600と実質的に同様であるフレーム1001のカプラ接続部1004に接続するように構成されている。
【0114】
ストラップコネクタ1002は、幾分か「D」字型の輪郭を有し、ヘッドギア160の前頭部ストラップ163を受け入れるように構成されたストラップアパーチャ1005と、前頭部ストラップ163を位置合せするように構成されたストラップガイド1006とを備える。ストラップアパーチャ1005は、実質的に「D」字型でありかつストラップコネクタ1002の輪郭からずれた輪郭を有する開口部を備え、「D」の直線状の縁は、ストラップガイド1006の内縁1007を形成し、湾曲した側部は、ストラップコネクタ1002とフレームコネクタ1003との間の境界を画定する。内縁1007の長さは、前頭部ストラップ163の幅と実質的に同じであり、それにより、前頭部ストラップ163は、ストラップアパーチャ1005を通過することができる。いくつかの構成では、前頭部ストラップ163とストラップアパーチャ1005との間に密な嵌合があり得る。こうした構成では、前頭部ストラップ163とストラップアパーチャ1005との間の摩擦により、前頭部ストラップは、自由端部166が固定されていないとき、摩擦力に打ち勝つ力が使用者によって加えられるまで、設定された使用長さで一時的に保持される。これは、意図的な力が加えられるまで使用長さが変化しないことを意味し、それは、呼吸マスクおよびヘッドギアの取付および調整中に有利であり得る。
【0115】
図17Cに示すように、前頭部カプラ1000は表側1008および裏側1009を有し、表側1008は、使用時に患者の顔面から離れる方に面するように構成され、裏側1009は、患者の顔面に向かう方に面するように構成されている。ストラップガイド1006は、ストラップアパーチャ1005によって形成された内縁1007から横方向に延在する平坦な実質的矩形部分を備える。表側1008では、内縁1007に対して垂直なストラップガイド1006の縁の各々に沿ってリップ1010が形成されるように、ストラップガイド1006は凹状に形成されている。リップ1010は、内縁1007の長さ分、間隔を空けて配置されている。リップは、前頭部カプラ1000の境界内で前頭部ストラップ163を配置しかつ位置合せするように構成されている。ストラップコネクタ1002は、前頭部ストラップ163が、ストラップガイド1006の裏側1009に沿って、ストラップアパーチャ1005を通り、ストラップガイド1006の表側1008の上に戻り、その後、適所に固定されるように、構成されている。前頭部ストラップ163の自由端部166は、先の実施形態に関連して記載した手段によって前頭部ストラップに固定される。
【0116】
フレームコネクタ1003は、クロスバー1011およびリブスロット1012を備える。
図17Bに示す図を参照すると、クロスバー1011は、ストラップコネクタ1002の下方の半体の間を水平に延在する中実ビームを含む。それは、フレーム1001のカプラ接続部1004によって受け入れられるように構成されている。ストラップコネクタ1002の上方の半体は、接続されておらず、リブスロット1012を形成する。リブスロット1012は、ストラップコネクタ1002の間に、クロスバー1011に対して実質的に垂直でありかつクロスバー1011から上向きの方向において外向きに湾曲する壁を有する間隙を含む。リブスロット1012の壁の外向き湾曲は、リブ1023をリブスロット1012内に案内する広くかつ平滑な開口部を提供し、それにより、前頭部カプラ1000をフレーム1001のカプラ接続部1004により容易に位置合せしかつ接続することができる。リブスロット1012は、カプラ接続部1004の一部を形成する対応するリブと係合するように構成されている。
【0117】
図17Dに示すように、クロスバー1011は、2つの平坦な側面1015によって接続されている第1端部1013および第2端部1014を備える断面輪郭を有し、第1端部1013および第2端部1014は半円形輪郭を有する。第1端部1013の直径は、第2端部1014の直径より小さく、それにより、クロスバー1011は端から端まで非対称であり、したがって、2つの平坦な側面1015の間に鋭角が形成される。第1端部1013の直径の方が小さくかつ平坦な側面1015に角度が付けられていることにより、フレームコネクタ1003をカプラ接続部1004に係合させるために必要な力を低減させる、導入部が提供される。平坦な側面1015の長さは、第2端部1014の直径より大きく、それにより、回転(すなわち、第1端部および第2端部を中心とする回転)が低減し、フレームコネクタ1003とカプラ接続部1004との間の接続の安定性が提供される。
【0118】
上方から見ると、
図17Cにおけるように、フレームコネクタ1003は、ストラップコネクタ1002から距離Oだけずれていることが分かる。これにより、ずれがカプラ接続部の深さDより大きいため、フレーム1001が使用中に患者の顔面と接触することになる可能性が低減するかまたは最小限になる。
【0119】
カプラ接続部1004は、
図13Aのカプラ接続部600と実質的に同様である。
図17Dおよび
図17Eに示すように、それは、シャンク1017を有するフック1016を備え、シャンク1017は、曲げ部1018にわたっておよそ180°、戻りアーム1019まで延在し、シャンク1017と戻りアーム1019との間に喉状部1020が形成されている。戻りアーム1019は、曲げ部1018とは反対側の端部に出っ張り1021を備え、出っ張り1021の頂部は、喉状部1020より狭い喉状部分の開口部1022を形成している。出っ張り1021の頂部は、戻りアーム1019の端部からずれており、それにより、出っ張り1021は、上向きの方向においてシャンク1017に向かって角度が付けられている下面1025を有する。下面1025は、クロスバー1011の喉状部分の開口部1022との位置合せを促進し、したがって、前頭部カプラ1000をカプラ接続部1004に組み付けることができる容易さを向上させる、導入部を形成する。リブスロット1012の外向きに湾曲している壁はまた、フック1016の曲げ部1018とストラップコネクタ1002との間の干渉を回避することにより、前頭部カプラ1000およびフレーム1001の組立中、フレームコネクタ1003を喉状部分の開口部1022と位置合せするのに役立つ。
【0120】
喉状部1020は、フレームコネクタ1003のクロスバー1011を受け入れるように構成されている。戻りアーム1019は、曲げ部1018を中心に、シャンク1017から離れる方に曲がるように構成されており、それにより、クロスバー1011は、クロスバー1011の第1端部1013および第2端部1014の両方の直径より幅の狭い、喉状部分の開口部1022を通過することができる。前頭部カプラ1000のクロスバー1011とフレーム1001との間(すなわち、クロスバー1011と戻りアーム1019との間)の締まり嵌めにより、接合部におけるスロップまたは自由な遊びが低減し、フレーム1001がクロスバー1011に対して移動するかまたは回転することが阻止または防止される。さらに、締り嵌めはまた、前頭部カプラ1000およびフレーム1001が互いに接続されるときに、可聴「クリック」音も提供する。可聴「クリック」音は、使用者が前頭部カプラ1000およびフレーム1001が適切に接続されていることを知るように、使用者に対してポジティブフィードバックを提供する。
【0121】
フック1016はリブ1023をさらに備え、リブ1023は、喉状部1020が曲げ部1018に対して基端側である端部において充填されるように、シャンク1017と戻りアーム1019との間に延在する、細長い実質的に矩形の押出部である。リブは、前頭部カプラ1000が、間違った向きでカプラ接続部1004に接続されるのを阻止または好ましくは防止するように構成され、フック1016の強度を増大させ、戻りアーム1019がシャンク1017から離脱する可能性を低減させる。リブ1023はまた、フレームコネクタ1003のリブスロット1012と係合することにより、前頭部カプラ1000とカプラ接続部1004との間の接続の安定性も向上させる。言い換えれば、リブ1023は、リブスロット1012の側壁と接触し、それにより、リブ1023の周囲におけるフレームコネクタ1003の回転を防止または阻止する。リブ1023は、クロスバー1011に対して垂直なリブスロット1012の部分と実質的に同じ幅であり、戻りアーム1019および出っ張り1021より実質的に狭い幅を有するように、構成されている。これにより、クロスバー1011が間違った向きで喉状部1020内に挿入されることが、少なくとも実質的に阻止されるかまたは好ましくは防止される。
【0122】
図18A~
図18Gは、前頭部カプラ1000と実質的に同様である前頭部カプラ1100の別の限定しない実施形態のさまざまな図を示す。前頭部カプラ1100は、ヘッドギア160の前頭部ストラップ163を閉ループで合わせて接続し、ヘッドギア160をフレーム1101に接続するように構成されている。前頭部カプラ1100は、バタフライ状の形状を有する実質的に剛性のバックルを備え、一対の横方向ストラップコネクタ1102によってウィングが形成され、ストラップコネクタ1102を互いに連結するように構成されているフレームコネクタ1103によって、本体が形成されている。フレームコネクタ1103は、
図13Aおよび
図13Bのカプラ接続部600と実質的に同様であるフレーム1101のカプラ接続部1104に接続するように構成されている。
【0123】
図18Aおよび
図18Bに示すように、ストラップコネクタ1102は、ストラップコネクタ1002と実質的に同様であり、ストラップアパーチャ1105およびストラップガイド1106を備える。前頭部カプラ1100は、表側1108および裏側1109を有し、表側1108は、使用時に患者の顔面から離れる方に面するように構成され、裏側1109は、患者の顔面に向かう方に面するように構成されている。フレームコネクタ1103は、クロスバー1111およびリブスロット1112を備えるという点で、フレームコネクタ1003と同様である。この実施形態では、クロスバー1111は、2つのストラップコネクタ1102の下方の半体の間に延在する円筒状ビームを備える。リブスロット1112は、クロスバー1111から(
図18Bに見えるように)上方に延在しかつ2つのストラップコネクタ1102の間に延在する薄いフランジ1113内に形成されている。
図18cに示すように、フランジ1113は、クロスバー1111の裏側1109から接線方向に延在し、クロスバー1111の半径より小さい厚さTを有し、したがって、フレームコネクタ1103の表側1108に凹部1114を形成する。リブスロット1112は、フランジ1113に、リブスロット1012と実質的に同じ形状である切取部を備える。
図18Bの図に基づくように、リブスロット1112は、水平方向の短縁1116によって分離された2つの実質的に垂直な長縁1115を備える。短縁1116は、クロスバー1111と平行に伸びる。2つの長縁1115は、短縁1116の端部から垂直に延在し、上向きの方向において外向きに湾曲する。2つの長縁1115の外向きの湾曲により、リブ1117をリブスロット1112内に案内する広くかつ平滑な開口部が提供され、それにより、前頭部カプラ1100をフレーム1101のカプラ接続部1104とより容易に位置合せしかつ接続することができる。リブスロット1112は、カプラ接続部1104の一部を形成する、対応するリブ1117と係合するように構成されている。リブ1117およびリブスロット1112は、前頭部カプラ1100とカプラ接続部1104との間の接続の安定性を向上させる。言い換えれば、リブ1117は、リブスロット1112の2つの長縁1115と接触する。この接触により、リブ1117の周囲でのフレームコネクタ1103の回転が防止または阻止される。
【0124】
カプラ接続部1104は、
図17A~
図17Eのカプラ接続部1004と実質的に同様である。それは、シャンク1119を有するフック1118を備え、シャンク1119は、曲げ部1120にわたっておよそ360°、戻りアーム1121まで延在し、シャンク1119と戻りアーム1121との間に、喉状部1122が形成されている。戻りアーム1121は、内面1123および外面1124を備え、外面1124は凸状に湾曲している。外面1124は、曲げ部1120とは反対側の端部で自由端部1125を形成する箇所で終端し、内面1123と接触する。自由端部1125とシャンク1119との間に喉状部分の開口部1126が形成されており、喉状部分の開口部1126は喉状部1122より幅が狭い。喉状部分の開口部1126は、
図18D~
図18Gに示すように、前頭部カプラ1100をカプラ接続部1104に間違って組み付けるのを阻止または好ましくは防止するために、クロスバー1111の半径より狭いように構成されている。フック1118は、リブ1117をさらに備え、リブ1117は、
図17Eに示す先の実施形態のリブ1023と実質的に同じである。
【0125】
図18Dは、前頭部カプラ1100とカプラ接続部1104との間の完全かつ正確な組立を可能にする唯一の向きを示す。前頭部カプラは、シャンク1119に対して基端側でクロスバー1111および凹部1114の上方にフランジ1113があるように向けなければならない。フランジ1113は、最初に喉状部分の開口部1126に入り、クロスバー1111が喉状部分の開口部1126を通過することができるように、戻りアーム1121をシャンク1119から離れるように曲げさせる楔を形成することが分かる。
図18Eは、戻りアーム1121に対して基端側でクロスバー1111および凹部1114の上方にフランジ1113があるように向けられたときに、前頭部カプラ1100を好ましくはカプラ接続部1104と組み立てることができないことを示す。これは、クロスバーが止め具として作用するように、自由端部1125の先端が凹部1114と係合するためである。フランジ1113の厚さがクロスバー1111の半径より小さいことは、凹部1114の基部において自由端部1125がクロスバー1111と係合することにより、戻りアーム1121がシャンク1119から離れるように曲がることがなく、したがって、クロスバー1111は、好ましくは、喉状部分の開口部1126を通過することができない、ということを意味する。
【0126】
図18Fおよび
図18Gは、カプラ接続部1104と組み立てられるのを可能にしないあと2つの向きにある前頭部カプラ1100を示す。前頭部カプラは、クロスバー1111が両方の配置でフランジ1113の上方にあるように向けられている。喉状部分の開口部1126がクロスバー1111の半径より幅が狭いため、自由端部1125の先端は、クロスバー1111が、戻りアーム1121をシャンク1119から離れるように曲げるいかなるてこの作用も発生させることができないように、クロスバー1111と係合する。戻りアーム1121はシャンク1119から離れるように曲げられないため、喉状部分の開口部1126は拡大されず、そのため、クロスバー1111は通過することができない。実質的に剛性がある前頭部カプラ1000、1100の場合、カプラ接続部1004、1104に1つの向きでしか組み付けることができないことが有利である。これは、使用者がマスクを不正確に組み立てる可能性(それにより、患者に提供される治療の効力が低下する可能性がある)を低減させるためである。
【0127】
図19A~
図19Eは、前頭部カプラ1000および1100と構成が同様である前頭部カプラ1200のさらなる限定しない例示的な実施形態の広範囲の図を示す。前頭部カプラ1200は、
図13Aおよび
図13Bに関連して実質的に記載したように、カプラ接続部600と接続するように構成されている。前頭部カプラ1200は、フレームコネクタ1202によって互いに接続される一対のストラップコネクタ1201を備える。ストラップコネクタはストラップアパーチャ1203を備え、ヘッドギア160の前頭部ストラップ163はそこを通過するように構成されている。
【0128】
フレームコネクタ1202は、2つのストラップアパーチャ1203の間の中実部分によって形成されている。
図19Cに示すように、カプラ接続部600に組み付けられると、ストラップコネクタが戻りアーム612と実質的に同一平面にあるように、フレームコネクタ1202は、前頭部ストラップコネクタ1201からずれている。この構成により、好ましくは、使用中に、戻りアーム612が患者の前頭部と接触することが防止され、それは、前頭部ストラップ163が、ストラップコネクタ1201と患者の前頭部との間に緩衝層を形成するためである。
図19Dに示すように、フレームコネクタは、円形下端部1204と楔状上端部1205とを備える細長い断面輪郭を有する。楔状上端部1205は、喉状部分の開口部616が拡大されて下端部1204が通過することができるように、喉状部分の開口部616を通過しかつシャンク611から離れるように戻りアーム612を曲げる、導入部として作用するように構成されている。下端部1204の円形断面は、喉状部分の開口部616の幅より大きい直径を有する。この構成により、カプラ接続部600内にフレームコネクタ1202を保持するスナップフィット接続が提供される。
【0129】
図19Bに示すように、ストラップコネクタ1201は、フレームコネクタ1202の上端部1205を越えて延在し、それにより、カプラ接続部600の曲げ部614は、使用時に、ストラップコネクタの上端部と実質的に同一平面になる。これにより、マスクの美的外観を向上させることができる。フレームコネクタ1202の(
図19Dに示すような)長さLにより、カプラ接続部600と前頭部カプラ1200との間の接続の回転安定性が向上する。
【0130】
図20A~
図20Iは、前頭部カプラ1300をフレーム1301に接続する、代替的なフレームコネクタおよびカプラ接続構成の広範囲な図を示す。前頭部カプラ1300は、閉ループでヘッドギア160の前頭部ストラップ163を合わせて接続し、ヘッドギア160をフレーム1301に接続するように構成されている。
図20Aおよび
図20Bに示すように、前頭部カプラ1300は、バタフライ状の形状を有する実質的に剛性のバックルを備え、一対の横方向ストラップコネクタ1302によってウィングが形成され、ストラップコネクタ1302を互いに連結するように構成されたフレームコネクタ1303によって、本体が形成されている。フレームコネクタ1303は、
図13Aおよび
図13Bのカプラ接続部600と実質的に同様であるフレーム1301のカプラ接続部1304に接続するように構成されている。
【0131】
図20Aおよび
図20Bに示すように、ストラップコネクタ1302は、ストラップコネクタ1002、1102と実質的に同様であり、ストラップアパーチャ1305およびストラップガイド1306を備える。前頭部カプラ1300は、表側1308および裏側1309を有し、表側1308は、使用時、患者の顔面から離れる方に面するように構成され、裏側1309は、患者の顔面に向かう方に面するように構成されている。フレームコネクタ1303は、クロスバー1011と同様のクロスバー1311とリブスロット1112と同様のリブスロット1312とを備えるという点で、フレームコネクタ1003、1103と同様である。
【0132】
クロスバー1011と同様に、クロスバー1311は、2つの平坦な側面1335によって接続されている第1端部1333および第2端部1334を備える断面輪郭を有し、第1端部1333および第2端部1334は半円形輪郭を有する。第1端部1333の直径は、第2端部1334の直径より小さく、したがって、2つの平坦な側面1335の間に鋭角が形成されている。第1端部1333の直径の方が小さくかつ平坦な側面1335に角度が付けられていることにより、フレームコネクタ1303をカプラ接続部1304と係合させるために必要な力が低減する。平坦な側面1335の長さは、第2端部1334の直径より大きく、それにより、回転(すなわち、第1端部および第2端部を中心とする回転)が低減し、フレームコネクタ1303とカプラ接続部1304との間の接続の安定性が与えられる。
図17Cのフレームコネクタ1003と同様に、フレームコネクタ1303は、
図20Fに示すように、ストラップコネクタ1302からずれている。これにより、フレーム1301が使用中に患者の前頭部と接触することになる可能性が低減しまたは最小限になる。
【0133】
リブスロット1112と同様に、リブスロット1312は、クロスバー1311から(
図20Cに見えるように)上方に延在しかつ2つのストラップ接続部1302の間に延在する薄いフランジ1313内に形成されている。
図20Eに示すように、フランジ1313は、クロスバー1311の裏側1309から接線方向に延在し、クロスバー1311の半径より小さい厚さTを有し、したがって、フレームコネクタ1303の表側1308に凹部1314を生成する。凹部1314は、
図18A~
図18Gにおける凹部1114と同様である。より具体的には、戻りアーム1319の自由端部1325は、凹部1314と係合して、前頭部カプラ1100およびカプラ接続部1104の1つの向きのみにおいて接続を許容する。すなわち、
図18Dと同様に、凹部1314が戻りアーム1319の自由端部1325から離れる方に面している状態で、前頭部カプラ1300がカプラ接続部1304内に挿入されると、フランジ1313は、最初に喉状部分の開口部1322に入り、クロスバー1311が喉状部分の開口部1322を通過することができるように戻りアーム1319をシャンク1317から離れるように曲げさせる楔を形成する。しかしながら、
図18Eと同様に、凹部1314が戻りアーム1319の自由端部1325に面している状態で、前頭部カプラ1300がカプラ接続部1304に挿入されると、自由端部1325は凹部1314と係合し、それによりクロスバー1311は止め具として作用する。フランジ1313の厚さがクロスバー1311の半径より小さいということは、自由端部1325が凹部1314の基部においてクロスバー1311と係合することにより、戻りアーム1319がシャンク1317から離れる方向に曲がることがなく、したがって、クロスバー1311が好ましくは喉状部分の開口部1322を通過することができないことを意味する。
【0134】
リブスロット1312は、フランジ1313に、リブスロット1012、1112と実質的に同じ形状である切取り部を備える。
図20B~
図20Dの図に基づくように、リブスロット1312は、水平な短縁1316によって分離された2つの実質的に垂直な長縁1315を備える。短縁1316は、クロスバー1311と平行に伸びる。2つの長縁1315は、短縁1316の端部から垂直に延在し、上向きの方向において外向きに湾曲する。2つの長縁1315の外向きの湾曲により、リブ1323をリブスロット1312内に案内する広くかつ平滑な開口部が提供され、それにより、前頭部カプラ1300をフレーム1301のカプラ接続部1304とより容易に位置合せしかつ接続することができる。リブスロット1312は、カプラ接続部1304の一部を形成する対応するリブ1323と係合するように構成されている。
【0135】
図20G~
図20Kに示すように、フレーム1301のカプラ接続部1304は、カプラ接続部1004および1104と構成が同様である。すなわち、カプラ接続部1004および1104と同様に、カプラ接続部1304は、シャンク1317を有するフックを備え、シャンク1317は、曲げ部1318にわたっておよそ180°、戻りアーム1319まで延在し、シャンク1317と戻りアーム1319との間に喉状部1320が形成されている。さらに、フックは、シャンク1317から戻りアーム1319に向かって延在する、細長い実質的に矩形の押出部であるリブ1323を備える。カプラ接続部1004および1104と同様に、動作時、喉状部1320は、フレームコネクタ1303のクロスバー1311を受け入れるように構成されている。戻りアーム1319は、曲げ部1318を中心にシャンク1317から離れるように曲がるように構成されており、それにより、クロスバー1011は、クロスバー1311の第1端部1313および第2端部1314の両方の直径より幅の狭い喉状部分の開口部1322を通過することができる。クロスバー1311が喉状部1320内に配置されると、リブ1323は、リブスロット1312内に配置され、それにより、前頭部カプラ1300とカプラ接続部1304との間の接続の安定性が向上する。言い換えれば、リブ1323は、リブスロット1312の2つの長縁1315と接触し、喉状部1320内のフレーム接続部1303の回転を防止または阻止するように、リブスロット1312内に位置する。すなわち、リブ1323の側部とリブスロット1312の2つの長縁1315との間の接触により、フレーム1301に対するフレームコネクタ1303の回転が妨げられる。リブ1323は、クロスバー1311に対して垂直なリブスロット1312の部分と実質的に同じ幅であり、戻りアーム1319および出っ張り1321より実質的に狭い幅を有するように、構成されている。これにより、クロスバー1311が間違った向きで喉状部1320内に挿入されるのが少なくとも実質的に阻止されるかまたは好ましくは防止される。さらに、前頭部カプラ1300のクロスバー1311とフレーム1301との間(すなわち、シャンク1317と戻りアーム1319との間)の締まり嵌めにより、接合部におけるスロップまたは自由な遊びが低減して、フレーム1301がクロスバー1311に対して移動または回転するのが防止される。さらに、締まり嵌めは、前頭部カプラ1300およびフレーム1301が互いに接続されるときに、可聴「クリック」音も提供する。可聴「クリック」音は、使用者が前頭部カプラ1300およびフレーム1301が適切に接続されていることを知るように、使用者に対してポジティブフィードバックを提供する。
【0136】
カプラ接続部1004、1104とは対照的に、カプラ接続部1304のリブ1323は、(
図20Iに示すような)間隙1328によって戻りアーム1319から分離されているが、リブ1023、1117は、シャンク1017、1119から喉状部1020、1122を通って戻りアーム1019、1121まで延在している。戻りアーム1319からリブ1323を分離することにより、戻りアーム1319の全長が曲げ部1318において曲がることができる。したがって、喉状部分の開口部1322を広げるために必要な力が、リブ1023、1117が取り付けられている戻りアーム1019、1121と比較して低減する。その結果、フレームコネクタ1303をフレーム1301に挿入するために必要な力が低減し(すなわち、前頭部カプラ1300をフレーム1301に接続しかつそこから分離するために必要な労力が低減し)、それにより、ヘッドギアの装着および取外しがより容易になる。曲げ部1318は、戻りアーム1319が破砕するかまたは非弾性的に(塑性的に)変形しないように、曲げ部1318内の応力を低減させる形状および/または厚さを有することができる。さらに、間隙1328(すなわち、リブ1323と戻りアーム1319との間の距離)は、喉状部分の開口部1322の幅と実質的に同様の幅を有することができる。同様に、間隙1328および喉状部分の開口部1322は、前頭部ストラップ163が間隙1328内に誤って配置される可能性がないように、ヘッドギア160の前頭部ストラップ163のファブリックの厚さより幅が狭いように構成されている。すなわち、間隙1328は、前頭部ストラップ163が間隙1328内に挿入されるには幅が狭すぎる。その結果、前頭部ストラップ163が間隙1328内に挿入されるのを防止することにより、使用者は、前頭部ストラップ163がフレーム1301に適切に取り付けられていると誤って想定する(すなわち、フレームコネクタ1303を用いることなく前頭部ストラップ163がフレーム1301に直接取り付けられる)可能性がない。いくつかの構成では、喉状部分の開口部1322は、
図20Kに示すように、1.45mmの幅Wを有する。
【0137】
戻りアーム1019、1121と同様に、戻りアーム1319は、曲げ部1318とは反対側の端部に出っ張り1321を備え、出っ張り1321の頂部は、喉状部1320より幅の狭い喉状部分の開口部1322を形成している。出っ張り1321の頂部は、戻りアーム1319の端部からずれており、それにより、出っ張り1321は、喉状部分の開口部1322が戻りアーム1319の端部に向かう方向において幅が狭くなるように、シャンク1317に向かって角度が付けられた面1326を有する。
図20Kに示すように、出っ張り1321は、半径Rを有する隅肉によって丸くすることができる。出っ張り1321を丸くすることにより、鋭利な縁が除去され、それにより、クロスバー1311が喉状部分の開口部1322を通過することができるように喉状部分の開口部1322が広がるのを防止することができる。したがって、フレーム1301から前頭部カプラ1300を取り除くために必要な力が低減し、ヘッドギアの有用性が向上する。いくつかの構成では、出っ張り1321は、2mmの半径Rを有することができる。さらに、いくつかの構成では、クロスバー1311の半円形の第2端部1334は、5.35mmの直径Dを有することができる。直径Dを有するクロスバー1311の第2端部1334は、半径Rの出っ張り1321と接触して、クロスバー1311が最初に喉状部分の開口部1322を通過する際に喉状部1320が平滑にかつ徐々に広がるのを可能にすることができる。
【0138】
図18Fおよび
図18Gにおけるクロスバー1111と同様に、クロスバー1311の半円形の第2端部1334の直径Dは、喉状部分の開口部1322の幅Wの2倍より大きい可能性があり、それにより、クロスバー1311は、第2端部1334から(すなわち、第2端部1334が第1端部1333より先に喉状部分の開口部1322に挿入される)いかなる向きでも喉状部分の開口部1322内に挿入することができない。喉状部分の開口部1322は、クロスバー1311の半径より幅が狭く、戻りアーム1319の自由端部1325は、クロスバー1311が、戻りアーム1319をシャンク1317から離れるように曲げるいかなるてこ作用も発生させることができないように、クロスバー1311の第2端部1334と係合する。戻りアーム1319は、シャンク1317から離れるように曲げられないため、喉状部分の開口部1322は拡大されず、そのため、クロスバー1311は喉状部1320を通過することができず、クロスバー1311を喉状部1320内に挿入することはできない。
【0139】
前頭部カプラ1300の非対称の形状および構成の結果として、フレーム1301のカプラ接続部1304に前頭部カプラ1300を、4つのあり得る向きのうちの1つのみで接続することができる。すなわち、凹部1314およびクロスバー1311により、フランジ1313が先行しかつ凹部1314が戻りアーム1319の自由端部1325から離れる方に面する唯一の向きで、前頭部カプラ1300を喉状部1320内に挿入することができる。言い換えれば、フランジ1313が先行しかつ凹部1314が戻りアーム1319の自由端部1325に面する向き、第2端部1334が先行しかつ凹部1314が自由端部1325から離れる方に面する向き、および第2端部1334が先行しかつ凹部1314が自由端部1325に面する向きで、喉状部1320内に前頭部カプラ1300を挿入することはできない。したがって、使用者は、前頭部カプラ1300をカプラ接続部1304内に裏返しに、逆に、または逆にかつ裏返しに挿入することが阻止または防止される。
【0140】
いくつかの構成では、異なるサイズの封止クッションとともに汎用フレームを使用することができる。すなわち、小型封止クッションおよび中型~大型封止クッションに、同じフレームを適合させることができる。したがって、フレームは、フレームのガス入口に中心がおかれるさまざまなサイズの封止クッションに適応しなければならない。さらには、フレームは、異なるサイズの使用者に対して適切な取付け(すなわち、快適さおよび封止可能性)を確実にするように各封止クッションサイズに適応する広範囲のサイズ調整可能性を提供しなければならない。1つの特定のタイプのサイズ調整は、封止クッションおよびフレームに対する前頭部ストラップの位置決めである。小型封止クッションを利用する小柄の使用者の場合、適切な取付けには、前頭部ストラップが、中間~大型封止クッションを利用するより大柄の使用者と比較して、封止クッションにより近接して配置されることが必要である可能性がある。言い換えれば、すべての封止クッションサイズに対して汎用フレームの同じ位置に前頭部ストラップがあることにより、使用者によっては取付けが不十分となる可能性がある。したがって、使用者の前頭部において前頭部ストラップとフレームとの間の接続部の位置決めが高すぎないことを確実にするために、小型の(すなわち、中型/大型に対して小さい)封止クッションに対して、前頭部ストラップがより低い位置でフレームに接続することが必要である可能性がある。
【0141】
したがって、
図21A~
図21Cは、さまざまなサイズの封止クッションに適応するように、交換可能な前頭部カプラ1300
S、1300
M/Lに接続された、汎用フレーム1301を示す。より具体的には、フレーム1301は、小さい封止クッションサイズで使用するために小型前頭部カプラ1300
Sに接続し、中間から大きい封止クッションサイズに対して中型/大型前頭部カプラ1300
M/Lに接続することができる。小型前頭部カプラ1300
Sは、中型/大型前頭部カプラ1300
M/Lと比較してフレーム1301および封止クッションに対して低い位置で、ヘッドギアの前頭部ストラップを位置決めするように構成されている。したがって、小型前頭部カプラ1300
Sおよび中型/大型前頭部カプラ1300
M/Lは、ストラップアパーチャ1305
Sが、小型前頭部カプラ1300
Sにおいて中型/大型前頭部カプラ1300
M/Lより低く位置決めされることを除き、実質的に同一である。言い換えれば、
図22A~
図25Bに示すように、ストラップアパーチャ1305
S、1305
M/L、クロスバー1311、リブスロット1312、フランジ1313および凹部1314のサイズ、形状および幾何学的形状は、前頭部カプラ1300
S、1300
M/Lの間で同一であり、それにより、前頭部カプラ1300
S、1300
M/Lの両方をフレーム1301とともに交換可能に使用することができる。
図21Aおよび
図21Bでは、ストラップアパーチャ1305
S、1305
M/Lの両方が同一の高さHを有するように示されている。しかしながら、クロスバー1311、リブスロット1312、フランジ1313および凹部1314に対するストラップアパーチャ1305
S、1305
M/Lの位置は、小型前頭部カプラ1300
Sと中型/大型前頭部カプラ1300
M/Lとの間で異なる。より具体的には、小型前頭部カプラ1300
Sのストラップアパーチャ1305
Sは、クロスバー1311、リブスロット1312、フランジ1313および凹部1314からのオフセット距離O
CBだけ、中型/大型前頭部カプラ1300
M/Lにおけるそれらの相対的な位置と比較して垂直にずれている。言い換えれば、小型前頭部カプラ1300
Sのストラップアパーチャ1305
Sは、ストラップアパーチャ1305
Sをクロスバー1311からオフセット距離O
CBだけ垂直にずらすことにより、中型/大型前頭部カプラ1300
M/Lのストラップアパーチャ1305
M/Lと比較して、フレーム1301および封止クッションに対して低く位置決めされる。したがって、フレーム1301に小型の封止クッションが取り付けられる場合、小型前頭部カプラ1300
Sは、中型/大型前頭部カプラ1300
M/Lよりフレーム1301に対して低くヘッドギアの前頭部ストラップを位置決めする。
【0142】
図22A~
図25Bは、小型前頭部カプラ1300Sおよび中型/大型前頭部カプラ1300
M/Lのさまざまな図を比較のために並べて示す。図示するように、クロスバー1311、リブスロット1312、フランジ1313および凹部1314は、前頭部カプラ1300
Sと前頭部カプラ1300
M/Lとの間で同一であり、ストラップアパーチャ1305
S、1305
M/Lに対するそれらの位置に関してのみ異なる。同一のクロスバー1311、リブスロット1312、フランジ1313および凹部1314を設けることにより、前頭部カプラ1300
S、1300
M/Lの間でフレーム1301に接続するために同一の接続構造が提供され、それにより、前頭部カプラ1300
S、1300
M/Lの間の互換性が可能になる。
【0143】
図25Aおよび
図25Bに示すように、クロスバー1311およびフランジ1313は、小型前頭部カプラ1300
Sおよび中型/大型前頭部カプラ1300
M/Lの両方において結合された縦長さLを有する。結合された縦長さLは、小型前頭部カプラ1300
Sおよび中型/大型前頭部カプラ1300
M/Lの両方において同一である。さらに、
図25Aにおいて、距離Xは、中型/大型前頭部カプラ1300
M/Lの最下縁でもあるクロスバー1311の最下縁から、ストラップアパーチャ1305
M/Lの最上内壁部分1340
M/Lまで測定される。同様に、
図25Bにおいて、距離Xは、小型前頭部カプラ1300Sの最下縁からストラップアパーチャ1305
Sの最上内壁部分1340
Sまで測定される。距離Xは、小型前頭部カプラ1300
Sおよび中型/大型前頭部カプラ1300
M/Lの両方において実質的に同一である。しかしながら、小型前頭部カプラ1300
Sのクロスバー1311およびフランジ1313は、中型/大型前頭部カプラ1300
M/Lと比較してオフセット距離O
CBだけ垂直方向上方にずれているという点で、小型前頭部カプラ1300
Sは中型/大型前頭部カプラ1300
M/Lとは異なる。すなわち、クロスバー1311およびフランジ1313は、小型前頭部カプラ1300
Sにおいてオフセット距離O
CBだけ垂直方向上向きにシフトしている。その結果、小型前頭部カプラ1300
Sがフレーム1301に取り付けられるとき、アパーチャ1305
Sはは、中型/大型前頭部カプラ1300
M/Lがフレーム1301に取り付けられるときのアパーチャ1305
M/Lより、フレーム1301において下方に位置決めされる。好ましくは、オフセット距離O
CBはおよそ5mmである。すなわち、アパーチャ1305
Sは、好ましくは、アパーチャ1305
M/Lよりおよそ5mm下方に位置決めされる。しかしながら、オフセット距離は、小型マスクサイズと中型/大型マスクサイズとの間のサイズの変動によって異なる可能性があることが当業者には理解されるはずである。さらに、フレーム1301および前頭部カプラ1300
Sおよび1300
M/Lは、ストラップアパーチャ1305
Sおよび1305
M/Lの最上内壁部分1340
Sおよび1340
M/Lに沿って前頭部ストラップによって吊り下げられかつ保持されるため、距離Xは、ストラップアパーチャ1305
Sおよび1305
M/Lの最上内壁部分1340
Sおよび1340
M/Lから測定されることが、当業者には理解されるはずである。言い換えれば、クロスバー1311(すなわち、または他の任意のフレームコネクタアセンブリ)に対するストラップアパーチャ1305
Sおよび1305
M/Lの最上内壁部分1340
S、1340
M/Lの位置は、概して、フレーム1301に対する前頭部ストラップの位置を確定するものであり、それは、前頭部カプラ1300
S、1300
M/Lは、ストラップアパーチャ1305
S、1305
M/Lの最上内壁部分1340
S、1340
M/Lによって前頭ストラップによって吊り下げられるためである。さらには、結合された縦長さLおよび距離Xを用いて、ストラップアパーチャ1305
S、1305
M/Lに対するクロスバー1311の相対的な位置が記述されることが、当業者には理解されるはずである。ストラップアパーチャ1305
S、1305
M/Lに対するクロスバー1311の位置を変更することにより、前頭部カプラ1300
S、1300
M/Lの互換性を依然として提供しながら、ストラップアパーチャ1305
S、1305
M/Lの位置を、前頭部カプラ1300
S、1300
M/Lの間で変更することができる。
【0144】
いくつかの呼吸マスクは、それらを患者の顔面に固定するためにヘッドギアを有する。ヘッドギアは、広範囲の患者頭囲と一致するようにヘッドギアのサイズを調整するための調整可能ストラップを含む。頭頂部ストラップが、患者の頭部の頂部における中心に位置する箇所においてバックルによって互いに接合される2つのストラップ部分を含むことができる。
図26は、マスク本体2104およびヘッドギア2106を備える従来の呼吸マスク2100の斜視図を示す。鼻マスクが示されているが、本明細書に開示する主題は、鼻ピロー、フルフェイスおよび鼻下等、他のマスクタイプに適用可能である。ヘッドギア2106は、マスク本体2104に対してヘッドギア2106の少なくとも一部を容易に接続しかつ分離する手段を提供するように構成されている。ヘッドギア2106は、トップストラップすなわち頭頂部ストラップ2110およびバックル部材2112を含む。バックル2112は、頭頂部ストラップ2110の2つの部分を結合するように配置することができる。頭頂部ストラップ2110のそれらの部分の各々は、好ましくは端部2114を有し、端部2114は、面ファスナ等の結合部材を有することができる。ストラップ部分は、バックル2112の少なくとも1つのアパーチャを通してねじ込まれ、折り返された後、適所に固定される。ストラップ部分は、通常、端部2114において面ファスナ(VELCRO(登録商標)等)によって適所に固定される。端部分2114に、ファスナのループ構成要素を形成する、ストラップ部分の材料に取り付けられるように構成されたファスナのフック構成要素を備えるタブ部分がある。
【0145】
図27~
図34は、一対のストラップを含み、それらが、それらの結合された長さが漸進的に調整可能であるように互いに連結されるように構成されている、ヘッドギア調整および接続システムの実施形態を示す。開示する実施形態は、頭頂部ストラップ、他のストラップ(上部および下部マスク取付ストラップ等)または他の任意のヘッドギア構成要素と使用することができる。たとえば、システムを、インタフェースのために、ヘッドギア頭頂部ストラップで利用することができる。ヘッドギアおよび/またはインタフェースのいくつかの部分は、
図1に示すヘッドギアおよびインタフェースアセンブリと同じかまたは同様とすることができ、または、別の好適な構成とすることができる。開示する実施形態により、バックルまたは他の追加の構成要素を使用することなく、2つのストラップ部分を結合することができる。好ましくは、2つのストラップ部分のうちの一方はアパーチャを含み、他方のストラップ部分は、ストラップ部分が確実に互いに結合されるとアパーチャと係合するように構成された1つまたは複数の切欠きを含む。いくつかの実施形態では、ストラップ部分の端部は各々、端部を他方のストラップ部分の表面に締結または結合するように構成されている、面ファスナ等の締結具を有する。
【0146】
図27~
図34に示すように、ヘッドギアストラップ2120は、メスストラップ部分2122およびオスストラップ部分2124を備える。メスストラップ部分2122は、自由端部2126および取付端部2141を含む。オスストラップ部分は、自由端部2128および取付端部2140を有する。好ましくは、取付端部2140および2141は、ヘッドギアの他の部分に永久的に取り付けられるかまたは一体的に形成されるように構成されている。他の実施形態では、取付端部2140および2141は、取外し可能に取り付けられるかまたは固定され得る。ストラップ部分2122および2124は、可撓性材料から作製することができ、弾性または非弾性であり得る。いくつかの実施形態では、ストラップ部分2122および2124の材料は、Breath-o-prene等、1種または複数種のポリマー、フォームまたはファブリックの積層を含む。いくつかの実施形態では、ストラップ部分2122および2124は、内側ファブリック層および外側ファブリック層と中心フォームまたはポリマー層とを有することができる。オスストラップ2124およびメスストラップ2122に対して、他の可撓性および耐久性のある材料が好適である場合がある。他の実施形態では、非伸縮性または低伸縮性の内側ファブリック層および外側ファブリック層とともに中心フォーム層から、ストラップ部分2122および2124を形成することができる。
【0147】
オスストラップ部分2124およびメスストラップ部分2122の自由端部2126および2128の各々は、好ましくは、ヘッドギアの接続および調整中に使用者によって把持されるように構成されたグリップ部材またはタブを画定する。自由端部2126および2128は、ストラップ部分2122および2124を互いに対して移動させるように、使用者の指によって係合され引っ張られるようなサイズおよび形状とすることができる。自由端部2126および2128によって画定されるグリップ部材またはタブはまた、ストラップ部分2122および2124が結合されるときに対向するストラップ部分に対して平坦に位置するように、薄くかつ実質的に平坦であるように構成することも可能である。
【0148】
メスストラップ部分2122は、内面2136および外面2152を有する。オスストラップ部分2124は、内面2134および外面2150を有する。メスストラップ部分2122の内面2136は、ファスナ2142を支持し、オスストラップ部分2124の内面2134は、ファスナ2144を支持する。好ましくは、ファスナ2142および2144は、オスストラップ部分2124およびメスストラップ部分2122の自由端部2126および2128を、対向するストラップ部分の外面に結合するかまたは保持するように構成されている。いくつかの実施形態では、ファスナ2142および2144は、面ファスナシステム(VELCRO(登録商標)等)を含む。好ましくは、外面2150および2152は、面ファスナのループ構成要素を形成する軟質かつ/または凹凸ファブリック材料を備える。ファスナ2142および2144は、自由端部2126および2128にまたはそれに隣接してオスストラップ2124およびメスストラップ2122の内面2134、2136に好ましくは固定されるかまたは永久的に取り付けられるプラスチックフック構成要素を含むことができる。自由端部2126および2128は、ストラップ部分の外面2150および2152に対して繰り返し結合しかつ分離することができる。
【0149】
ファスナ2142および2144は、好ましくは、ストラップ材料を越えて鋭利な縁が露出しないように、オスストラップ部分2124およびメスストラップ部分2122の自由端部2126および2128の外周部内に完全に位置する。例示する実施形態では、ファスナ2142は、およそ6ミリメートル~18ミリメートルの幅Aを有するフック構成要素を備える。他の実施形態では、幅Aは、およそ10ミリメートル~14ミリメートルである。別の好ましい実施形態では、幅Aはおよそ12ミリメートルである。オスストラップ部分2124および/またはメスストラップ部分2122の幅Bは、好ましくは、およそ10ミリメートル~24ミリメートルであり、いくつかの実施形態では、16ミリメートル~20ミリメートルである。別の好ましい実施形態では、幅Bはおよそ18ミリメートルである。好ましくは、幅AおよびBの差は、フック構成要素が各自由端部2126および2128の先端からわずかにずれていることと組み合わせて、自由端部2126および2128の縁が対向するストラップ部分に結合されるかまたは取り付けられないようにする。これにより、患者/使用者は、ストラップを調整するために自由端部2126および2128の縁をより容易に持ち上げることができる。フック構成要素は、オスストラップ部分およびメスストラップ部分両方に対して同じであり得る。
【0150】
ファスナ2142および2144は、溶接プロセス(超音波またはRF)、接着剤または他の任意の取付形態により、ストラップの適所に固定することができる。ストラップはまた、ストラップ部分2122および2124の自由端部2126および2128にまたはそれに隣接して3次元の特徴も含むことができる。いくつかの実施形態では、いくつかの領域においてファスナ2142および2144ならびにそれらのフック構成要素部分を溶接することにのみによって、ファスナ2142および2144の両方に、かつストラップ部分の外面2150および2152に、突出またはくぼみ面2148および2149を形成することができる。くぼみ面2148および2149は、締結具のフック構成要素およびストラップ材料が溶接プロセスによって圧縮されなかった場所において形成される。溶接プロセス中に圧縮されるファスナ2142および2144の領域では、フックは破砕されるかまたは変形する可能性があり、それにより、フックは、ストラップ面のループ構成要素の上に噛み合うことができなくなる。
【0151】
ファスナ2142および2144ならびにそれらのフック構成要素部分は、好ましくは、オスストラップ部分2124およびメスストラップ部分2122の両方に対して同じサイズおよび形状であり、ストラップに同様に取り付けることができる。これは、2つのストラップ部分2122および2124を単一のプロセスおよび工具を用いて製造することができるため有利である。これにより、製造時間およびコストが最小限になる。また、くぼみ面2148および2149を形成する3次元の特徴は、オスストラップ部分2124およびメスストラップ部分2122の自由端部2126および2128の触覚性能および有用性を向上させることができ、それにより、自由端部2126および2128をより容易に把持し結合/分離することができる。
【0152】
オスストラップ部分2124は、好ましくは、ストラップの1つまたは複数の縁に切り込まれた複数の切欠き2132を備える。いくつかの実施形態では、切欠き2132は対で配置され、ストラップ部分2124の一方の縁の切欠き2132がストラップ部分2124の反対側の縁の対応する切欠き2132と位置合せされる。好ましくは、複数の切欠き対2132が、自由端部2128に隣接して開始して取付端部2140に向かって延在して、オスストラップ部分2124の長さの一部に沿って均一に間隔を空けて配置されている。切欠き2132は、ヘッドギアストラップ2120の漸進的な長さ調整を可能にするように構成されている。図示する実施形態では、切欠き2132の2つの対があり、各切欠きは三角形または角度付き形状を有する。切欠き2132の第1対は、自由端部2128の先端からずれているかまたは間隔がおかれており、それにより、自由端部2128は、切欠き2132と自由端部2128の先端との間にタブまたは把持部分を画定することができる。他の実施形態では、わずか1つの対の切欠きがある場合があり、他の実施形態では、ストラップ接続に対するより多くの調整オプションを提供する3つ以上の切欠き対2132がある場合がある。いくつかの実施形態はまた、異なるサイズおよび形状の切欠きを有することも可能である。たとえば、いくつかの切欠きは、形状が矩形または円形とすることができ、ストラップの縁内により延在するかまたはそれほど延在しないことも可能である。他の実施形態では、ストラップ2124は、ストラップ2124の対向する縁に沿っていかなる切欠きもなしに、ストラップ2124の一方の縁に沿って複数の個々の切欠きを有することができる。こうした実施形態では、切欠き深さにより、ストラップ部分2124が開口部2130内に平坦に適合するのを可能にすることができる。単一の切欠きのみが、各サイズ設定において開口部2130と係合する。さらに他の実施形態では、ストラップ2124は、オスストラップ部分2124の長さに沿って側部の間で交互である複数の切欠きを含むことができる。こうした実施形態では、切欠き深さにより、ストラップ2124がアパーチャ2130内で平坦に適合するのを可能にすることができ、単一の切欠きが、各サイズ設定においてアパーチャと係合する。
【0153】
切欠き2132によって提供される漸進的調整により、従来技術のシステムによって提供される連続的調整と比較して、ヘッドギアサイズの制御された調整が可能になる。制御された漸進的調整は、繰り返し選択することができる正確なサイズ決め設定を提供するため、有益であり得る。ヘッドギアが清掃のためにマスクから取り外される場合、ヘッドギアのサイズ決めを喪失し所定の患者に再適合させなければならないという心配および不都合なしに、メスストラップ部分2122およびオスストラップ部分2124を分離することができる。
【0154】
メスストラップ部分2122は、メスストラップ部分2122の一部または長さを通して延在するアパーチャ2130を備える。好ましくは、アパーチャ2130は、自由端部2126を通って延在し、ストラップ部分2122の厚さを通して延在する。アパーチャ2130は、メスストラップ部分2122の内面2136および外面2152の両方を通って延在する切取り部または穴であり得る。好ましくは、アパーチャは、自由端部2126の先端からずれているかまたは間隔が置かれており、それにより、アパーチャ2130と先端との間で自由端部2126を把持することができる。アパーチャ2130は、オスストラップ部分2124の自由端部2128を受け入れるように構成され、したがって、ストラップ部分を互いに連結する。オスストラップ部分2124の切欠き2132は、オスストラップ部分2124がアパーチャ2130を通過するときに、アパーチャ2130と係合するように構成されている。オスストラップ部材2124の一部がアパーチャ2130と係合している状態で、オスストラップ部材2124がメスストラップ部分2122のアパーチャ2130を通って延在するこの構成は、オスストラップ部分2124およびメスストラップ部分2122を互いに直線状に位置合せして維持するのに役立つことができ、それにより、患者の顔面にマスクを支持するために一貫した力ベクトルが提供される。この構成はまた、調整中にストラップ部分2122および2124の間の接続を維持するのに役立つことができる。これにより、使用者は、長さを調整する間にヘッドギアを自身の頭部の適所に保持する必要がないため、調整がより容易になる。
【0155】
好ましくは、
図27に示すように、アパーチャ2130は、メスストラップ部分2122のファスナ2142の外周部内に位置し、その一部を通って延在する。ファスナ2142をストラップ部分2122に結合した後に、二次製造ステップとして、メスストラップ部分2122からアパーチャ2130を打ち抜くことができる。好ましくは、アパーチャ2130は、内面2136に(溶接プロセスまたは接着剤により)取り付けられるかまたは融合されるファスナ2142の領域内に配置され、それにより、ファスナ2142のフック構成要素は、アパーチャ2130の外周部全体に永久的に接合される。これにより、アパーチャ2130の外周部が補強される。いくつかの実施形態では、ファスナ2142のフック構成要素のフックは、アパーチャ2130の外周部において破砕されるかまたは変形する。補強された外周部は、アパーチャ2130に対して、オスストラップ部分2124がアパーチャ2130を通して引き抜かれることによって加えられる力の結果として実質的に変形するのを防止する構造を提供する。これにより、アパーチャ2130を通してオスストラップ部分2124を滑らかに引き抜くこともより容易になる。補強された外周部はまた、ヘッドギアサイズの調整中にオスストラップ部分2124の切欠きと係合するのにも役立つ。それはまた、調整中に触覚応答も提供し、それにより、使用者は、切欠き2132の各対が係合し、ヘッドギアのサイズが漸進的に調整されたときに感触を受けることができる。ファスナ2142のフック構成要素のフックがアパーチャ2130の外周部に隣接して破砕または変形することにより、オスストラップ部分2124が結合および組立中にフックに引っかかる可能性も最小限になる。これはまた、アパーチャ2130を通してオスストラップ部分2124を引き抜くときの容易さをも向上させることができる。
【0156】
好ましくは、アパーチャ2130は、オスストラップ部分2124が、アパーチャ2130を通過するためにその長手方向軸を中心に折り畳まれ、曲げられまたは湾曲するようなサイズおよび形状である。好ましくは、オスストラップ部分2124は、切欠き2132がアパーチャ2130と係合している位置に配置されたとき、アパーチャ2130内で平坦に位置するように構成されている。いくつかの実施形態では、オスストラップ部分2124およびその自由端部2128の幅Dは、アパーチャ2130の幅Cまたは高さHより大きい。図示するように、アパーチャ2130は、その外周部に直線状側部を有し、外周部に沿って湾曲部分も有するように構成することができる。直線状側部は、メスストラップ部分2122の長手方向軸に対して垂直に延在し、湾曲部分は、半円形の弧であり得る。他の好ましい実施形態では、アパーチャは、三角形または正方形の形状等、異なる形状を有することができ、アパーチャの高さおよび幅の寸法により、オスストラップ部分2124は折畳みまたは曲げ位置で通過することができる。好ましくは、オスストラップ部分2124の幅Dは、およそ10ミリメートル~24ミリメートルであり、アパーチャ2130の幅Cは、およそ5ミリメートル~14ミリメートルである。他の好ましい実施形態では、幅Dは、およそ16ミリメートル~20ミリメートルであり、幅Cは、およそ8ミリメートル~10ミリメートルである。1つの好ましい実施形態では、幅Dは、およそ18ミリメートルであり、幅Cは、およそ9ミリメートルである。いくつかの好ましい実施形態では、幅Dは、幅Cのおよそ1.5倍~2.5倍であり、1つの好ましい実施形態では、幅Dは、幅Cのおよそ2倍である。好ましくは、アパーチャ2130の高さHは、幅Cより小さく、オスストラップ部分2124の最大幅Dの半分以下である。
【0157】
切欠き2132の間のオスストラップ部分2124の幅Jは、アパーチャ2130の幅Cとおよそ同じである。これにより、切欠き2132がアパーチャ2130と位置合せされかつ係合しているとき、オスストラップ部分2124はアパーチャ2130内で平坦に延在することができる。他の好ましい実施形態では、幅Jは幅Cより小さい。アパーチャ2130の湾曲部分は、アパーチャ2130の直線状側部を除く、アパーチャ2130の外周部に沿って距離または長さを画定する外周部または弧の寸法Pを有する。寸法Pは、オスストラップ部分2124の幅Dとおよそ同じである。他の好ましい実施形態では、寸法Pは、わずかに幅Dより小さく、他の実施形態では、寸法Pは幅Dより大きい。好ましくは、メスストラップ部分2122の幅Bは、寸法Pおよび幅Dとおよそ同じである。オスストラップ部分2124およびメスストラップ部分2122は、同じ最大幅BおよびDを有することができ、それにより、ストラップ部分2122および2124が結合されると、それらの縁は、互いを越えて突出または延出せず、それにより、(
図33に見ることができるように)平滑かつ一貫した縁が提供される。1つの好ましい実施形態では、寸法Pはおよそ18ミリメートルである。
【0158】
アパーチャ2130の外周部寸法Pをオスストラップ部分2124の最大幅Dに一致させることにより、依然としてアパーチャ2130を通るストラップ部分2124の通過を可能にしながら、アパーチャ2130のサイズを最小限にすることができる。アパーチャ2130のサイズを最小限にすることは、メスストラップ部分2122の構造的完全性を維持するのに役立ち、オスストラップ部分2124とメスストラップ部分2122との間の密接嵌合結合を維持する。ストラップ部分2122および2124の間の密接嵌合は、ストラップの意図されない分離を防止する。一対の切欠き2132がアパーチャ2130と位置合せされるときにオスストラップ部分2124が平坦になるのを可能にすることにより、
図32に示すように、ストラップ2122および2124が結合されたときに薄さを維持することができる。切欠き2132はまた、端部止め具機構としても機能することができ、切欠き2132の外側のオスストラップ部分2124の幅により、それがアパーチャ2130を通って意図せずに滑ることが防止される。
【0159】
例示するように、アパーチャ2130は、
図29に示すように、オスストラップ部分2124の自由端部2128が通過することができるようなサイズおよび形状である。ストラップ部分2122および2124の両方が、およそ等しい最大幅BおよびDを有することができる。ストラップ部分2122および2124の長さに沿って一貫した最大幅が維持されるために、アパーチャ2130は、好ましくは、ストラップ部分2122および2124の最大幅BおよびDより狭い幅Cを有する。オスストラップ部分2124がより幅の狭いアパーチャ2130を通り抜けるためには、ストラップ部分2124は、その幅がアパーチャ2130の幅Cと一致するかまたはそれより小さいように低減するように、折り畳まれるかまたは曲げられる。オスストラップ部分2124を曲げるかまたは折り畳む際、その深さは増大するため、アパーチャ2130は、好ましくは、対応する深さまたは高さHを有する。アパーチャ2130の寸法は、ストラップ部分2124の増大した深さが通過することができるように選択することができる。好ましくは、面ファスナ2144のフック構成要素は、オスストラップ部分2124がアパーチャ2130を通り抜けるように折り畳まれるかまたは曲げられる可能性を制限する。
図30は、オスストラップ部分2124がアパーチャ2130を通過する際に折り畳まれるかまたは曲げられている状態を示す。ファスナ2144のフック構成要素は、曲がって丸まり、ストラップ部分2124をどれくらい細く曲げることができるかを制限することができ、それにより、開口部幅Cがどれくらい狭くなり得るかが制限される。
【0160】
図31に示すように、ヘッドギアアセンブリを調整しストラップ部分2122および2124を結合するために、オスストラップ部分2124の自由端部2128は、アパーチャ2130を通って延在し、切欠き2132はアパーチャ2130と係合する。この位置で、
図32~
図34に示すように、オスストラップ部分2124は、アパーチャ2130の直線状側部に対して平坦に位置することができ、2つのストラップ部分2122および2124を互いに対して平坦になるように押圧することができる。アパーチャ2130と係合する切欠き2132は、メスストラップ部分2122に対するオスストラップ部分2124の位置を維持するのに役立つ。メスストラップ部分2122のファスナ2142は、オスストラップ部分2124の外面2150と係合し、ファスナ2144は、メスストラップ部分2122の外面2152と係合する。ファスナ2142および2144は、ストラップ部分2122および2124に対して自由端部2126および2128を保持することができる。結合されたストラップ部分2122および2124は、固定して結合され、薄さを有することができる。このように、ヘッドギアストラップに対するサイズ調整は、ストラップ部分2122および2124に組み込まれる。ストラップ部分を結合するために、バックルまたはクリップ等の二次構成要素は不要である。ストラップ部分2124および2122は、互いに直接接続され、互いに対して調整可能である。ストラップ部分2122および2124の間のオーバラップの量により、ヘッドギアに対する調整されたサイズを決めることができる。この構成は、少なくとも、薄さを有しかつバックルよりかさばらないため、有利である。この構成はまた、ストラップ2122および2124のみが使用者と接触しており、不快をもたらす堅い部品がないため、患者の快適さも向上させる。構成要素も少なくなり、したがって、必要な組立も低減し、製造コストが削減される。それはまた、サイズを変更するために1回の調整のみが必要である(バックル構成では、ストラップ部分の各々を個別に調整しなければならない)ため有益であり、それは、マスクのより迅速かつ容易な取付けを意味する。
【0161】
図35は、一対のストラップを含み、それらが、それらの結合された長さが連続的に調整可能であるように互いに連結されるように構成されている、ヘッドギア調整および接続システムの実施形態を示す。ヘッドギアストラップアセンブリ2220は、メスストラップ部分2222およびオスストラップ部分2224を備える。メスストラップ部分2222は自由端部2226を含み、オスストラップ部分2224は自由端部2228を有する。好ましくは、ストラップ部分の他方の端部は、ヘッドギアの他の部分に永久的に取り付けられるかまたは取外し可能に取り付けられるように構成されている。上述した実施形態と同様に、ストラップ部分2222および2224は、可撓性材料から作製することができ、弾性または非弾性であり得る。いくつかの実施形態では、ストラップ部分2222および2224の材料は、Breath-o-prene等、1種または複数種のポリマー、フォームまたはファブリックの積層を含む。いくつかの実施形態では、ストラップ部分2222および2224は、内側ファブリック層および外側ファブリック層と中心フォームまたはポリマー層とを有することができる。
【0162】
オスストラップ部分2222の自由端部2226およびメスストラップ部分2224の自由端部2228の各々は、好ましくは、ヘッドギアの接続および調整中に使用者によって把持されるように構成されたグリップ部材またはタブを画定する。自由端部2226および2228によって画定されるグリップ部材またはタブはまた、ストラップ部分2222および2224が結合されるときに対向するストラップ部分に対して平坦に位置するように、薄くかつ実質的に平坦であるようにも構成することができる。
【0163】
図示する実施形態では、メスストラップ部分2222は、アパーチャ2230を備える。好ましくは、アパーチャ2230は、メスストラップ部分2222の一部または長さを通して延在する。好ましくは、アパーチャ2230は、自由端部2226を通って延在し、ストラップ部分2222の厚さを通して延在する。アパーチャ2230は、メスストラップ部分2222の内面および外面両方を通って延在する切取り部または穴であり得る。好ましくは、アパーチャ2230は、自由端部2226の先端からずれているかまたは間隔が置かれ、それにより、アパーチャ2230と先端との間で自由端部2226を把持することができる。アパーチャ2230は、オスストラップ部分2224の自由端部2228を受け入れ、したがって、ストラップ部分を互いに連結するように構成されている。
【0164】
オスストラップ部分2224は、オスストラップ部分2224の周囲の部分より好ましくは幅が狭い調整部分2232を含む。調整部分2232は、オスストラップ部分2224がアパーチャ2230を通過するときにアパーチャ2230に入りかつ/またはそれと係合するように構成されている。調整部分2232は長さLを有し、オスストラップ部分2224は、調整部分2232のその長さLに沿った任意の部分がアパーチャ2230と位置合せされる任意の位置において、メスストラップ部分2222に対して調整することができる。好ましくは、自由端部2226はファスナ2242を含み、自由端部2228はファスナ2244を含む。ファスナ2242および2244の各々は、先の実施形態に記載したように、対向するストラップ部分の外面と係合し締結するように構成されている。アパーチャ2230内の調整部分2232によりメスストラップ部分2222のアパーチャ2230を通して雄ストラップ部材2224が延在するこの構成は、オスストラップ部分2222およびメスストラップ部分2224を互いに直線状に位置合せして維持するのに役立つことができ、それにより、患者の顔面でマスクを支持するために一貫した力ベクトルが提供される。この構成はまた、調整中にストラップ部分2222および2224の間の接続を維持するのにも役立つことができる。この構成はさらに、長さLを通して互いに対してストラップ部分を連続して調整するのを可能にし、それにより、無数のサイズオプションを提供するように非常に小さい増分でストラップ部分を調整することができる。これによってまた、使用者は、長さを調整する間にヘッドギアを自身の頭部の適所に保持する必要がないため、調整がより容易になる。
【0165】
好ましくは、オスストラップ部分2224は、調整部分2232の端部に、ストラップ部分2222および2224の分離を阻止する止め具または係合面を提供するように構成された遷移部2266を含む。オスストラップ部分2224はまた、調整部分2232の反対側の端部にも遷移部2267を含むことができ、それは、アパーチャ2230のその箇所を越える移動を制限し、ストラップ部分の締め過ぎを阻止する、係合面または止め具を提供するように構成されている。
【0166】
図示するように、オスストラップ部分2224は幅Rを有し、調整部分2232は幅Qを有する。メスストラップ部分2222は幅Tを有し、アパーチャは幅Sを有する。好ましくは、ストラップ部分2222および2224の幅TおよびRは、実質的に同じである。1つの好ましい実施形態では、調整部分2232の幅Qは、アパーチャ2230の幅Sとおよそ同じである。こうした構成では、調整部分2232がアパーチャ2230を通過する際、調整部分2232とアパーチャ2230との間に摩擦または係合はほとんどまたはまったくない。しかしながら、ファスナ2242および2244は、対向するストラップ部分の表面と係合し、ストラップ部分の結合を保持する。
【0167】
別の好ましい実施形態では、ストラップ部分2222およびストラップ部分2224の幅RおよびTは、調整部分2232の幅Qより大きい。調整部分2232の幅Qはまた、アパーチャ2230の幅Sより大きい場合もある。こうした実施形態では、調整部分2232がアパーチャ2230を通過する際に調整部分2232とアパーチャ2230との間に摩擦または係合があり、それは、ストラップ部分2222および2224の結合の保持に役立つ。幅Sに対する幅Qが大きいほど、摩擦が大きくなり、ストラップ部分2222および2224を分離しまたはそれらを互いに対して調整するために必要な力が大きくなる。別の実施形態では、幅Qは、ストラップ部分2224の幅Rと実質的に同じである。こうした実施形態では、締め過ぎを制限するかまたはストラップ部分2222および2224の分離を阻止するために、調整部分2230の端部に遷移部はほとんどまたはまったくない。
【0168】
別段文脈から明らかに必要でない限り、明細書および特許請求の範囲を通して、「備える」、「備えている」等の用語は、排他的または網羅的な意味とは対照的に包括的な意味で、すなわち、「含むが限定されない」という意味で解釈されるべきである。
【0169】
上述した説明において、既知の均等物を有する完全体または構成要素について言及しているが、それらの完全体または構成要素は、個々に示されているかのように本明細書に組み込まれる。
【0170】
開示した方法、装置およびシステムはまた、本開示において個別にまたはまとめて言及されるかまたは示される部品、要素および特徴を、前記部品、要素または特徴のうちの2つ以上の任意のまたはすべての組合せで含むようにも広義に言うことができる。
【0171】
本明細書におけるいかなる先行技術に対する言及も、その先行技術が、世界中のいかなる国においても努力傾注分野において共通の一般知識の一部を形成するという承認またはいかなる形態の示唆でもなく、そのように解釈されるべきではない。
【0172】
本明細書で用いるような「およそ」、「約」、「概して」および「実質的に」という用語等、本明細書で用いる程度の文言は、所望の機能を依然として実行するかまたは所望の結果を達成する、述べられている値、量または特徴に近い値、量または特徴を表す。述べられている値、量または特徴からのずれは、たとえば、許容可能な公差、変換係数、四捨五入、測定誤差、または当業者には既知である他の要素を反映することができる。たとえば、「概して平行な」および「実質的に平行な」という用語は、15度、10度、5度、3度、1度、0.1度等以下、厳密に平行であることから逸脱することができる値、量または特徴を指す。
【0173】
いくつかの実施形態に関して本開示について記載したが、当業者には明らかである他の実施形態もまた、本開示の範囲内にある。したがって、本開示の趣旨および範囲から逸脱することなく、さまざまな変形および変更を行うことができる。たとえば、要求に応じてさまざまな構成要素を再配置することができる。さらに、本開示を実施するために、特徴、態様および利点の必ずしもすべてが必要であるとは限らない。したがって、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲によってのみ定義されるように意図されている。