(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-27
(45)【発行日】2022-07-05
(54)【発明の名称】整圧装置、及び整圧装置の稼働方法
(51)【国際特許分類】
G05D 16/20 20060101AFI20220628BHJP
F17D 5/02 20060101ALI20220628BHJP
【FI】
G05D16/20 C
F17D5/02
(21)【出願番号】P 2021203236
(22)【出願日】2021-12-15
【審査請求日】2021-12-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000142425
【氏名又は名称】アズビル金門株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】相澤 望
(72)【発明者】
【氏名】鳥海 良一
(72)【発明者】
【氏名】小浜 孝光
(72)【発明者】
【氏名】中村 靖
【審査官】藤崎 詔夫
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-282543(JP,A)
【文献】特開2000-222044(JP,A)
【文献】実開昭56-156106(JP,U)
【文献】特開平10-089509(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 16/20
F17D 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メイン配管に設けられ、前記メイン配管を流れるガスの一次圧力を二次圧力に減圧して送出する第1メインガバナと、
前記第1メインガバナより上流側で前記メイン配管から分岐する第1パイロットラインと、
前記第1メインガバナより下流側で前記メイン配管と連通された第1圧力検知ラインと、
前記第1パイロットライン及び前記第1圧力検知ラインと連通され、前記メイン配管の前記二次圧力が第1調整圧力になるように前記第1メインガバナの開度を調整する第1調整用ガバナと、
前記第1圧力検知ラインの前記第1調整用ガバナよりも下流側に設けられた第1開閉バルブと、
前記第1パイロットラインと連通され、前記第1圧力検知ラインと前記第1開閉バルブよりも下流側で連通され、前記メイン配管の前記二次圧力が前記第1調整圧力よりも低圧の第1サブ調整圧力になるように前記第1メインガバナの開度を調整する第1サブ調整用ガバナと、
前記メイン配管に対し、前記第1メインガバナと並列して設けられ、前記メイン配管を流れるガスの前記一次圧力を前記二次圧力に減圧する第2メインガバナと、
前記第2メインガバナより上流側で前記メイン配管から分岐する第2パイロットラインと、
前記第2メインガバナより下流側で前記メイン配管と連通された第2圧力検知ラインと、
前記第2パイロットライン及び前記第2圧力検知ラインと連通され、前記メイン配管の前記二次圧力が前記第1調整圧力よりも低圧の第2調整圧力になるように前記第2メインガバナの開度を調整する第2調整用ガバナと、
所定の閉鎖条件を満たしている状態で前記第1開閉バルブを閉鎖し、前記閉鎖条件を満たしていない場合に前記第1開閉バルブを開放する制御部と、
前記第2圧力検知ラインの前記第2調整用ガバナの下流側に設けられた第2開閉バルブと、
を備え、
前記第1サブ調整圧力は、前記第2調整圧力よりも低く設定されている、
整圧装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記閉鎖条件が満たされ、且つ、所定の第2閉鎖条件が満たされている状態で、前記第2開閉バルブを閉鎖する、
請求項1に記載の整圧装置。
【請求項3】
前記閉鎖条件として、予め定められた時間帯内が設定されている、
請求項1
または請求項2に記載の整圧装置。
【請求項4】
前記閉鎖条件として、前記メイン配管の下流側におけるガス需要が所定の第1低需要以下が設定される、
請求項1~
請求項3のいずれか1項に記載の整圧装置。
【請求項5】
メイン配管に設けられ、前記メイン配管を流れるガスの一次圧力を二次圧力に減圧して送出する第1メインガバナと、
前記第1メインガバナより上流側で前記メイン配管から分岐する第1パイロットラインと、
前記第1メインガバナより下流側で前記メイン配管と連通された第1圧力検知ラインと、
前記第1パイロットライン及び前記第1圧力検知ラインと連通され、前記メイン配管の前記二次圧力が第1調整圧力になるように前記第1メインガバナの開度を調整する第1調整用ガバナと、
前記第1圧力検知ラインの前記第1調整用ガバナよりも下流側に設けられた第1開閉バルブと、
前記第1パイロットラインと連通され、前記第1圧力検知ラインと前記第1開閉バルブよりも下流側で連通され、前記メイン配管の前記二次圧力が前記第1調整圧力よりも低圧の第1サブ調整圧力になるように前記第1メインガバナの開度を調整する第1サブ調整用ガバナと、
前記メイン配管に対し、前記第1メインガバナと並列して設けられ、前記メイン配管を流れるガスの前記一次圧力を前記二次圧力に減圧する第2メインガバナと、
前記第2メインガバナより上流側で前記メイン配管から分岐する第2パイロットラインと、
前記第2メインガバナより下流側で前記メイン配管と連通された第2圧力検知ラインと、
前記第2パイロットライン及び前記第2圧力検知ラインと連通され、前記メイン配管の前記二次圧力が前記第1調整圧力よりも低圧且つ前記第1サブ調整圧力よりも高圧の第2調整圧力になるように前記第2メインガバナの開度を調整する第2調整用ガバナと、
前記第2圧力検知ラインの前記第2調整用ガバナの下流側に設けられた第2開閉バルブと、
を備えた整圧装置の稼働方法であって、
所定の第1閉鎖時間内に前記第1開閉バルブを閉鎖し前記第2開閉バルブを開放して前記第2メインガバナの開度を前記二次圧力が前記第2調整圧力になるように調整し、所定の第2閉鎖時間内に前記第1開閉バルブ及び前記第2開閉バルブを閉鎖して前記第1メインガバナの開度を前記二次圧力が前記第1サブ調整圧力になるように調整する、
整圧装置の稼働方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、整圧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、都市ガス等の流体が内側を流れる流体導管としてのメイン配管(パイプライン)等に、需給の変動に応じて圧力を調整する整圧装置(整圧器)を設ける技術が知られている。例えば、特許文献1の整圧装置には、メイン配管を開閉可能なメインガバナが設けられていると共に、メイン配管から分岐するパイロットラインに、メインガバナの開度を調整する補助ガバナが設けられている。そして、パイロットラインには、さらにサブ補助ガバナが設けられ、補助ガバナ、サブ補助ガバナの2段階でメインガバナの圧力を調整することができる構成が開示されている。
【0003】
しかしながら、特許文献1の整圧装置では、メイン配管の圧力を1系統で調整しているため、メインガバナに不具合が生じた場合、ガスの供給停止が生じ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記した問題に着目して為されたものであって、段階的にメイン配管の二次圧力が調整可能であると共に、メインガバナに不具合が生じても、ガスの供給を継続可能な整圧装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の態様に係る整圧装置は、メイン配管に設けられ、前記メイン配管を流れるガスの一次圧力を二次圧力に減圧して送出する第1メインガバナと、前記第1メインガバナより上流側で前記メイン配管から分岐する第1パイロットラインと、前記第1メインガバナより下流側で前記メイン配管と連通された第1圧力検知ラインと、前記第1パイロットライン及び前記第1圧力検知ラインと連通され、前記メイン配管の前記二次圧力が第1調整圧力になるように前記第1メインガバナの開度を調整する第1調整用ガバナと、前記第1圧力検知ラインの前記第1調整用ガバナよりも下流側に設けられた第1開閉バルブと、前記第1パイロットラインと連通され、前記第1圧力検知ラインと前記第1開閉バルブよりも下流側で連通され、前記メイン配管の前記二次圧力が前記第1調整圧力よりも低圧の第1サブ調整圧力になるように前記第1メインガバナの開度を調整する第1サブ調整用ガバナと、前記メイン配管に対し、前記第1メインガバナと並列して設けられ、前記メイン配管を流れるガスの前記一次圧力を前記二次圧力に減圧する第2メインガバナと、前記第2メインガバナより上流側で前記メイン配管から分岐する第2パイロットラインと、前記第2メインガバナより下流側で前記メイン配管と連通された第2圧力検知ラインと、前記第2パイロットライン及び前記第2圧力検知ラインと連通され、前記メイン配管の前記二次圧力が前記第1調整圧力よりも低圧の第2調整圧力になるように前記第2メインガバナの開度を調整する第2調整用ガバナと、所定の閉鎖条件を満たしている状態で前記第1開閉バルブを閉鎖し、前記閉鎖条件を満たしていない場合に前記第1開閉バルブを開放する制御部と、を備えている。
【0007】
第1の態様に係る整圧装置は、メイン配管を流れるガスの圧力を減圧する第1メインガバナと、メイン配管に対し第1メインガバナと並列して設けられ、メイン配管を流れるガスの圧力を減圧する第2メインガバナと、を有している。したがって、第1メインガバナに不具合が生じても、第2メインガバナの稼働により、ガスの供給を継続することができる。
【0008】
また、所定の閉鎖条件を満たしていない状態では、制御部により第1開閉バルブが開放されているため、第1調整用ガバナにより二次圧力が第1調整圧力になるように第1メインガバナの開度が調整される。一方、所定の閉鎖条件を満たしている状態では、制御部により第1開閉バルブが閉鎖されることにより、第1サブ調整用ガバナまたは第2調整用ガバナへ流体が流れる。第1サブ調整用ガバナへ流体が流れる場合には、第1サブ調整用ガバナにより二次圧力が第1調整圧力よりも低圧の第1サブ調整圧力になるように第1メインガバナの開度が調整される。これにより、メイン配管の二次圧力を多段で設定することができる。
【0009】
一方、第2調整用ガバナへ流体が流れる場合には、第2メインガバナ側へ流体が流れて、第2調整用ガバナにより二次圧力が第1調整圧力よりも低圧の第2調整圧力になるように第2メインガバナの開度が調整される。したがって、閉鎖条件の設定により、第1メインガバナ側と第2メインガバナ側の両方に流体を流すことができ、いずれか一方にのみ流体を流し他方をバックアップ用に設置する場合と比較して、各部の負荷均衡化を図ることができる。
【0010】
第1の態様に係る整圧装置は、前記第1サブ調整圧力は、前記第2調整圧力よりも低く設定されている。
【0011】
第1の態様に係る整圧装置では、第1サブ調整用ガバナにより二次圧力が第2調整圧力よりも低い第1サブ調整圧力になるように第1メインガバナの開度が調整される。したがって、第1開閉バルブの閉鎖時に第2メインガバナ側に不具合が生じても、第1サブ調整用ガバナの作動により、第1メインガバナ側に流体を流し、流体の供給を継続することができる。
【0012】
第1の態様に係る整圧装置は、前記第2圧力検知ラインの前記第2調整用ガバナの下流側に設けられた第2開閉バルブを更に備えている。
【0013】
第1の態様に係る整圧装置によれば、第2開閉バルブが閉鎖されることにより、第1メインガバナ側へ流体が流れて、第1サブ調整用ガバナにより二次圧力が第1サブ調整圧力になるように第1メインガバナの開度を調整することができる。
【0014】
第2の態様に係る整圧装置は、前記制御部は、前記閉鎖条件が満たされ、且つ、所定の第2閉鎖条件が満たされている状態で、前記第2開閉バルブを閉鎖する。
【0015】
第2の態様に係る整圧装置によれば、所定の第2閉鎖条件を満たしている状態では、制御部により第2開閉バルブが閉鎖されることにより、第1メインガバナ側へ流体が流れて、第1サブ調整用ガバナにより、二次圧力を第1サブ調整圧力になるように第1メインガバナの開度を調整することができる。
【0016】
第3の態様に係る整圧装置は、前記閉鎖条件として、予め定められた時間帯内が設定されている。
【0017】
第3の態様に係る整圧装置によれば、予め定められた時間帯内に第1開閉バルブを閉鎖して、第2メインガバナ側へ流体を流し、二次圧力を第2調整圧力に調整することができ
る。
【0018】
第4の態様に係る整圧装置は、前記閉鎖条件として、前記メイン配管の下流側におけるガス需要が所定の第1低需要以下が設定される。
【0019】
第4の態様に係る整圧装置によれば、メイン配管の下流側におけるガス需要が低くなり、所定の第1低需要以下の場合に、第1調整圧力よりも低い圧力になるように二次圧力を調整することができる。
第5の態様に係る整圧装置の稼働方法は、メイン配管に設けられ、前記メイン配管を流れるガスの一次圧力を二次圧力に減圧して送出する第1メインガバナと、前記第1メインガバナより上流側で前記メイン配管から分岐する第1パイロットラインと、前記第1メインガバナより下流側で前記メイン配管と連通された第1圧力検知ラインと、前記第1パイロットライン及び前記第1圧力検知ラインと連通され、前記メイン配管の前記二次圧力が第1調整圧力になるように前記第1メインガバナの開度を調整する第1調整用ガバナと、前記第1圧力検知ラインの前記第1調整用ガバナよりも下流側に設けられた第1開閉バルブと、前記第1パイロットラインと連通され、前記第1圧力検知ラインと前記第1開閉バルブよりも下流側で連通され、前記メイン配管の前記二次圧力が前記第1調整圧力よりも低圧の第1サブ調整圧力になるように前記第1メインガバナの開度を調整する第1サブ調整用ガバナと、前記メイン配管に対し、前記第1メインガバナと並列して設けられ、前記メイン配管を流れるガスの前記一次圧力を前記二次圧力に減圧する第2メインガバナと、前記第2メインガバナより上流側で前記メイン配管から分岐する第2パイロットラインと、前記第2メインガバナより下流側で前記メイン配管と連通された第2圧力検知ラインと、前記第2パイロットライン及び前記第2圧力検知ラインと連通され、前記メイン配管の前記二次圧力が前記第1調整圧力よりも低圧且つ前記第1サブ調整圧力よりも高圧の第2調整圧力になるように前記第2メインガバナの開度を調整する第2調整用ガバナと、前記第2圧力検知ラインの前記第2調整用ガバナの下流側に設けられた第2開閉バルブと、を備えた整圧装置の稼働方法であって、所定の第1閉鎖時間内に前記第1開閉バルブを閉鎖し前記第2開閉バルブを開放して前記第2メインガバナの開度を前記二次圧力が前記第2調整圧力になるように調整し、所定の第2閉鎖時間内に前記第1開閉バルブ及び前記第2開閉バルブを閉鎖して前記第1メインガバナの開度を前記二次圧力が前記第1サブ調整圧力になるように調整する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、段階的にメイン配管の二次圧力を調整可能とすると共に、第1メインガバナに不具合が生じても、ガスの供給を継続可能な整圧装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本実施形態に係る整圧装置の構成を説明する図である。
【
図2】本実施形態に係る整圧装置の制御装置を説明する図である。
【
図3】本実施形態の設定圧切換プログラムのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。
図1には、本発明の実施形態に係る整圧装置10の概略構成が示されている。
【0023】
本発明の実施形態の整圧装置10は、 一例として、パイプラインによる都市ガス等の供給において、上流側の高圧流体を段階的に減圧して下流側に供給する用途に用いられる。以下の説明では、当該パイプラインを「メイン配管D」と称し、当該メイン配管Dの整圧装置10の上流側を「上流側メイン配管DA」、下流側を「下流側メイン配管DB」と称する。また、上流側メイン配管DAの内圧を「一次圧力P1」、下流側メイン配管DBの圧力を「二次圧力P2」と称する。
【0024】
図1に示されるように、整圧装置10は、上流側メイン配管DAと下流側メイン配管DBの間に装備され、第1メインガバナ12、第1パイロットラインL1、第1調整用ガバナ14、第1開閉バルブ16、第1サブ調整用ガバナ18、第1圧力検知ラインLP1、並列ラインDP、第2メインガバナ22、第2パイロットラインL2、第2圧力検知ラインLP2、第2調整用ガバナ24、第2開閉バルブ26を備えている。
【0025】
以下、第1メインガバナ12、第1パイロットラインL1、第1調整用ガバナ14、第1開閉バルブ16、第1サブ調整用ガバナ18、第1圧力検知ラインLP1に関するガス流路を「第1系統K1」と称し、並列ラインDP、第2メインガバナ22、第2パイロットラインL2、第2圧力検知ラインLP2、第2調整用ガバナ24、第2開閉バルブ26に関するガス流路を「第2系統K2」と称する。
【0026】
<第1系統K1>
第1メインガバナ12は、上流側メイン配管DAと下流側メイン配管DBの間に介在される開度調整可能な弁機構12A、及び、弁機構12Aを駆動させる駆動制御部12Bを有している。駆動制御部12Bは、後述する第1制御圧流路LC1の圧力に応じて、弁機構12Aに作用し、その開度を調整する。第1メインガバナ12としては、アキシャルフロー型、レイノルド型、PRAD型等を採用することができる。第1メインガバナ12は、上流側メイン配管DAを流れるガスの圧力(一次圧力P1)を減圧して下流側メイン配管DBへ送出する。
【0027】
第1パイロットラインL1は、上流側メイン配管DAから分岐して設けられている。第1圧力検知ラインLP1は、下流側メイン配管DBと連通されている。第1パイロットラインL1は、分岐部B1で第1高圧ラインL1Aと、第1低圧ラインL1Bに分岐されている。また、第1圧力検知ラインLP1の上流部には、第1高圧検知ラインLP1Aと第1低圧検知ラインLP1Bが合流される合流部G1が形成されている。
【0028】
第1調整用ガバナ14は、上流側(入口側)が第1高圧ラインL1Aと接続され、下流側(出口側)が、第1高圧検知ラインLP1Aと接続されている。すなわち、第1調整用ガバナ14は、第1高圧ラインL1Aを介して第1パイロットラインL1と接続され、第1高圧検知ラインLP1Aを介して、第1圧力検知ラインLP1と接続されている。第1高圧検知ラインLP1Aには、第1開閉バルブ16が設けられている。
【0029】
第1調整用ガバナ14は、第1調整弁14A及び第1調整制御部14Bを有している。第1調整用ガバナ14は、作動圧力が第1調整圧力PJ1に設定されており、下流側メイン配管DBの圧力である二次圧力P2が第1調整圧力PJ1を下回ると、第1調整制御部14Bに作用する圧力が低下して第1調整弁14Aが開き、第1パイロットラインL1を流れるガスの流量が増加する。第1調整用ガバナ14としては、スプリング式ガバナ、錘式ガバナ等を採用することができる。
【0030】
第1サブ調整用ガバナ18は、第1パイロットラインL1及び第1圧力検知ラインLP1に対して、第1調整用ガバナ14及び第1開閉バルブ16と並列的に配置されており、上流側(入口側)が第1低圧ラインL1Bと接続され、下流側(出口側)が、第1低圧検知ラインLP1Bと接続されている。すなわち、第1サブ調整用ガバナ18は、第1低圧ラインL1Bを介して第1パイロットラインL1と接続され、第1低圧検知ラインLP1Bを介して、第1圧力検知ラインLP1と接続されている。
【0031】
第1サブ調整用ガバナ18は、第1サブ調整弁18A及び第1サブ調整制御部18Bを有している。第1サブ調整用ガバナ18は、作動圧力が第3調整圧力PJ3に設定されており、下流側メイン配管DBの圧力である二次圧力P2が第3調整圧力PJ3を下回ると、第1サブ調整制御部18Bに作用する圧力が低下して第1サブ調整弁18Aが開き、第1パイロットラインL1を流れるガスの流量が増加する。第3調整圧力PJ3は、第1調整圧力PJ1よりも小さく設定されている。したがって、第1開閉バルブ16が開放状態のときには、第1サブ調整用ガバナ18は駆動されない。第1サブ調整用ガバナ18としては、スプリング式ガバナ、錘式ガバナ等を採用することができる。
【0032】
第1パイロットラインL1の分岐部B1よりも上流側には、第1抵抗部R1が設けられている。第1抵抗部R1により、第1パイロットラインL1を流れるガスの圧力損失が増幅されている。
【0033】
第1パイロットラインL1の第1抵抗部R1よりも下流側且つ分岐部B1よりも上流側には、第1制御圧流路LC1の一端が接続されている。第1制御圧流路LC1の他端は、第1メインガバナ12の駆動制御部12Bと接続されている。駆動制御部12Bは、第1制御圧流路LC1の圧力(以下「第1制御圧力CP1」と称する」に応じて、弁機構12Aに作用し、その開度を調整する。すなわち、第1パイロットラインL1を流れるガスの流量が増すと第1抵抗部R1による圧力損失が大きくなり、第1制御圧流路LC1の第1制御圧力CP1は低下し、駆動制御部12Bにより弁機構12Aの開度が大きくなるように制御される。
【0034】
<第2系統K2>
メイン配管Dには、並列ラインDPが接続されている。並列ラインDPは、バイパスラインであり、メイン配管Dに対し、第1メインガバナ12と並列的に設けられており、一端が上流側メイン配管DAと接続され、他端が下流側メイン配管DBと接続されている。
【0035】
並列ラインDPには、第2メインガバナ22が設けられている。第2メインガバナ22は、並列ラインDPを介して第1メインガバナ12と並列して設けられ、上流側メイン配管DAと下流側メイン配管DBの間に介在されている。第2メインガバナ22は、並列ラインDPに介在される開度調整可能な弁機構22A、及び、弁機構22Aを駆動させる駆動制御部22Bを有している。駆動制御部22Bは、後述する第2制御圧流路LC2の圧力に応じて、弁機構22Aに作用し、その開度を調整する。第2メインガバナ22としては、アキシャルフロー型、レイノルド型、PRAD型等を採用することができる。第2メインガバナ22は、上流側メイン配管DAを流れるガスの圧力(一次圧力P1)を減圧して下流側メイン配管DBへ送出する。
【0036】
第2パイロットラインL2は、第2メインガバナ22よりも上流側の並列ラインDPから分岐して設けられている。第2圧力検知ラインLP2は、第2メインガバナ22よりも下流側の並列ラインDPと連通されている。したがって、第2パイロットラインL2は、上流側メイン配管DAと連通し、第2圧力検知ラインLP2は、下流側メイン配管DBと連通されている。
【0037】
第2調整用ガバナ24は、上流側(入口側)が第2パイロットラインL2と接続され、下流側(出口側)が、第2圧力検知ラインLP2と接続されている。第2圧力検知ラインLP2の第2調整用ガバナ24よりも下流側には、第2開閉バルブ26が設けられている。
【0038】
第2調整用ガバナ24は、第2調整弁24A及び第2調整制御部24Bを有している。第2調整用ガバナ24は、作動圧力が第2調整圧力PJ2に設定されており、下流側メイン配管DBの圧力である二次圧力P2が第2調整圧力PJ2を下回ると、第2調整制御部24Bに作用する圧力が低下して第2調整弁24Aが開き、第2パイロットラインL2を流れるガスの流量が増加する。第2調整圧力PJ2は、第1調整圧力PJ1よりも小さく、第3調整圧力PJ3よりも大きく設定されている。したがって、第1開閉バルブ16が開放状態のときには、第2調整用ガバナ24は駆動されない。また、第2開閉バルブ26が開放状態のときには、第1サブ調整用ガバナ18は駆動されない。第2調整用ガバナ24としては、スプリング式ガバナ、錘式ガバナ等を採用することができる。
【0039】
第2パイロットラインL2には、第2抵抗部R2が設けられている。第2抵抗部R2により、第2パイロットラインL2を流れるガスの圧力損失が増幅されている。
【0040】
第2パイロットラインL2の第2抵抗部R2よりも下流側には、第2制御圧流路LC2の一端が接続されている。第2制御圧流路LC2の他端は、第2メインガバナ22の駆動制御部22Bと接続されている。駆動制御部22Bは、第2制御圧流路LC2の圧力(以下「第2制御圧力CP2」と称する」に応じて、弁機構22Aに作用し、その開度を調整する。すなわち、第2パイロットラインL2を流れるガスの流量が増すと第2抵抗部R2による圧力損失が大きくなり、第2制御圧流路LC2の第2制御圧力CP2は低下し、駆動制御部22Bにより弁機構22Aの開度が大きくなるように制御される。
【0041】
<制御装置>
図2に示されるように、第1開閉バルブ16、第2開閉バルブ26は、制御装置30と接続されている。制御装置30は、CPU(Central Processing Unit)31と、ROM(Read Only Memory)32と、RAM(Random Access Memory)33と、入出力インターフェース(I/F)34と、記憶部35と、を備えている。
【0042】
CPU31、ROM32、RAM33、及びI/F34は、バス36を介して各々接続されている。I/F34には、記憶部35を含む各機能部が接続されている。これらの各機能部は、I/F34を介して、CPU31と相互に通信可能とされる。
【0043】
記憶部35としては、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等が用いられる。記憶部35には、第1開閉バルブ16の閉鎖時間T1、第2開閉バルブ26の閉鎖時間T2など各種のデータ、第1開閉バルブ16、第2開閉バルブ26の開閉を実施して二次圧力の設定圧を変更するための、設定圧切換プログラム等が記憶される。なお、これらのデータ、プログラムは、ROM32に記憶されていてもよい。
【0044】
閉鎖時間T1は、第1開閉バルブ16を閉鎖状態に維持する時間であり、下流側メイン配管DBにおけるガス需要が所定の第1低需要DM1となる時間帯、一例として本実施形態では、1日の中で比較的ガス需要の低い0時~6時、及び、22時~24時に設定される。閉鎖時間T1が本実施形態において、所定の閉鎖条件となる。
【0045】
閉鎖時間T2は、第2開閉バルブ26を閉鎖状態に維持する時間であり、下流側メイン配管DBにおけるガス需要が第1低需要DM1よりも低くなる時間、一例として本実施形態では、1日の中で第1低需要DM1よりも更にガス需要が低い0時~4時に設定される。閉鎖時間T2が本実施形態において、所定の第2閉鎖条件となる。
【0046】
<作用効果>
次に、本実施形態の整圧装置10の作用効果について説明する。
【0047】
制御装置30は、整圧装置10の稼働時には、
図3に示す設定圧切換プログラムを実行する。初期段階では、第1開閉バルブ16及び第2開閉バルブ26は、開放状態とされている。
【0048】
ステップS12で、現在時間が閉鎖時間T1内かどうかを判断する。現在時間は、制御装置30に内蔵される時計(不図示)を参照することができる。判断が否定された場合には、現在時間が閉鎖時間T1になるまで待機する。
【0049】
現在時間が閉鎖時間T1外の時には、第1開閉バルブ16及び第2開閉バルブ26は、開放されている。したがって、二次圧力は、第1調整圧力PJ1になるように調整される。すなわち、二次圧力が第1調整圧力PJ1を下回ると、第1調整用ガバナ14において、第1調整制御部14Bに作用する圧力が低下して第1調整弁14Aが開き、第1パイロットラインL1を流れるガスの流量が増加する。これにより、第1抵抗部R1による圧力損失が大きくなり、第1制御圧流路LC1の第1制御圧力CP1は低下し、駆動制御部12Bにより、弁機構12Aの開度が大きくなり、第1メインガバナ12から送出されるガスの流量が増加し、二次圧力が上昇するように制御される。このとき、第1調整圧力PJ1>第2調整圧力PJ2のため、第2調整用ガバナ24は閉鎖されていることから、第2メインガバナ22は閉鎖状態となっている。なお、第1調整圧力PJ1>第3調整圧力PJ3のため、第1サブ調整用ガバナ18も閉鎖されている。
【0050】
ステップS12で、判断が肯定された場合には、ステップS14へ進み、第1開閉バルブ16を閉鎖する。そして、ステップS16で、現在時間が閉鎖時間T2内かどうかを判断する。判断が否定された場合には、現在時間が閉鎖時間T2になるまで待機する。
【0051】
現在時間が閉鎖時間T1内で閉鎖時間T2外の時には、第1開閉バルブ16は閉鎖され、第2開閉バルブ26は開放されている。したがって、二次圧力P2は、第2調整圧力PJ2になるように調整される。すなわち、二次圧力P2が第2調整圧力PJ2を下回ると、第2調整用ガバナ24において、第2調整制御部24Bに作用する圧力が低下して第2調整弁24Aが開き、第2パイロットラインL2を流れるガスの流量が増加する。これにより、第2抵抗部R2による圧力損失が大きくなり、第2制御圧流路LC2の第2制御圧力CP2は低下し、駆動制御部22Bにより、弁機構22Aが開放される。これにより、上流側メイン配管DAを流れるガスは、並列ラインDPへ流れ、第2メインガバナ22を介して下流側メイン配管DBへ送出される。そして、二次圧力P2が上昇するように制御される。このとき、第2調整圧力PJ2>第3調整圧力PJ3のため、第1サブ調整用ガバナ18は閉鎖され、且つ第1開閉バルブ16が閉鎖されていることから、第1メインガバナ12は閉鎖状態となっている。
【0052】
ステップS16で、判断が肯定された場合には、ステップS18へ進み、第2開閉バルブ26を閉鎖する。そして、ステップS20で、現在時間が閉鎖時間T2を出たかどうか、すなわち、閉鎖時間T2外かどうかを判断する。判断が否定された場合には、現在時間が閉鎖時間T2外になるまで待機する。
【0053】
現在時間が閉鎖時間T2内の時には、第1開閉バルブ16及び第2開閉バルブ16は閉鎖されている。したがって、二次P2は、第3調整圧力PJ3になるように調整される。すなわち、二次圧力P2が第3調整圧力PJ3を下回ると、第1サブ調整用ガバナ18において、第1サブ調整制御部18Bに作用する圧力が低下して第1サブ調整弁18Aが開き、第1パイロットラインL1を流れるガスの流量が増加する。これにより、第1抵抗部R1による圧力損失が大きくなり、第1制御圧流路LC1の第1制御圧力CP1は低下し、駆動制御部12Bにより、弁機構22Aが開放される。これにより、上流側メイン配管DAを流れるガスは、並列ラインDPへ流れず、第1メインガバナ12を介して下流側メイン配管DBへ送出される。そして、二次圧力P2が上昇するように制御される。
【0054】
ステップS20で、判断が肯定された場合には、ステップS22へ進み、第2開閉バルブ26を開放する。そして、ステップS24で、現在時間が閉鎖時間T1を出たかどうか、すなわち、閉鎖時間T1外かどうかを判断する。判断が否定された場合には、現在時間が閉鎖時間T1外になるまで待機する。
【0055】
現在時間が閉鎖時間T1内で閉鎖時間T2外の時には、第1開閉バルブ16は閉鎖され、第2開閉バルブ26は開放されている。したがって、前述のように、二次圧力P2は、第2調整圧力PJ2になるように調整される。
【0056】
ステップS24で、判断が肯定された場合には、ステップS26へ進み、第1開閉バルブ16を開放する。
【0057】
現在時間が閉鎖時間T1外の時には、第1開閉バルブ16及び第2開閉バルブ26は、開放されている。したがって、前述のように、二次圧力P2は、第1調整圧力PJ1になるように調整される。
【0058】
ステップS28で、整圧装置10の稼働を停止する指示があったかどうかを判断し、停止指示があった場合には、本処理を終了する。停止指示がない場合には、ステップS12へ戻り、処理を繰り返す。
【0059】
本実施形態の整圧装置10は、第1メインガバナ12の開度調整により二次圧力P2を調整する第1系統K1と、第2メインガバナ22の開度調整により二次圧力P2を調整する第2系統K2の2つを有しているので、一方の系統に不具合が生じても、他方の系統の稼働により、ガスの供給を継続することができる。
【0060】
また、第1メインガバナ12は、第1調整用ガバナ14により二次圧力P2が第1調整圧力PJ1になるように開度が調整され、第1サブ調整用ガバナ18により二次圧力P2が第1調整圧力PJ1よりも低い第3調整圧力PJ3になるように開度が調整される。したがって、第1開閉バルブ16の開閉動作により、二次圧力P2を少なくとも2段階で調整することができる。
【0061】
また、本実施形態の整圧装置10は、第2系統K2側の第2調整圧力PJ2が第1系統K1側の第1調整圧力PJ1よりも低く、第3調整圧力PJ3よりも高く設定されている。したがって、第1開閉バルブ16を閉鎖することにより、上流側メイン配管DAからのガスは、並列ラインDPを介して、第2メインガバナ22、第2調整用ガバナ24へ流れる。したがって、ガスの流通が行われず、単にバックアップのガバナとして使用される場合と比較して、第2メインガバナ22、第2調整用ガバナ24の劣化(不使用によるゴム部品の固着等)を抑制することができる。また、二次圧力P2を3段階で調整することができる。
また、時間に応じて、第1系統K1側と、第2系統K2側にガスを流通させるので、負荷均等化が図られ、第1系統K1側の第1メインガバナ12、第1調整用ガバナ14の継続使用による劣化(長期使用の継続によるゴム部品の変形等)も抑制することができる。
【0062】
さらに、本実施形態の整圧装置10は、第1開閉バルブ16を、ガス需要が少ない閉鎖時間T1(第1低需要の時)に閉鎖する。したがって、ガス需要が低い場合に、需要に応じた第1調整圧力PJ1よりも低い圧力になるように調整することができる。
【0063】
また、実施形態の整圧装置10は、第1開閉バルブ16及び第2開閉バルブ26を、ガス需要が閉鎖時間T1よりもさらに少ない閉鎖時間T2(第2低需要の時)に閉鎖する。したがって、ガス需要がさらに低い場合に、需要に応じた第2調整圧力PJ2よりも低い圧力になるように調整することができる。
【0064】
なお、本実施形態では、ガス需要に応じて閉鎖条件を設定したが、閉鎖条件として単に時間帯を設定してもよい。また、閉鎖条件として、月(例えば、6月~10月を閉鎖条件とする)、曜日(例えば、月曜日~金曜日を閉鎖条件とする)等を設定することもできる。
【0065】
本発明は上記の開示した実施の形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、本発明を限定するものであると理解すべきではない。本発明は、上記に記載していない様々な実施の形態等を含むと共に、本発明の技術的範囲は、上記の説明から妥当な特許請求の範囲の発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0066】
10 整圧装置
12 第1メインガバナ
14 第1調整用ガバナ
16 第1開閉バルブ
18 第1サブ調整用ガバナ
22 第2メインガバナ
24 第2調整用ガバナ
26 第2開閉バルブ
30 制御装置(制御部)
D メイン配管
L1 第1パイロットライン
L2 第2パイロットライン
LP1 第1圧力検知ライン
LP2 第2圧力検知ライン
P1 一次圧力
P2 二次圧力
PJ1 第1調整圧力
PJ2 第2調整圧力
PJ3 第3調整圧力(第1サブ調整圧力)
【要約】
【課題】メインガバナに不具合が生じても、ガスの供給を継続可能な整圧装置を提供する。
【解決手段】整圧装置10は、第1メインガバナと、メイン配管の二次圧力が第1調整圧力になるように第1メインガバナの開度を調整する第1調整用ガバナと、メイン配管の二次圧力が第1調整圧力よりも低い第1サブ調整圧力になるように第1メインガバナの開度を調整する第1サブ調整用ガバナと、を有している。また、メイン配管に対し、第1メインガバナと並列して設けられ、メイン配管ガス圧を一次圧力から二次圧力へ減圧する第2メインガバナと、メイン配管の二次圧力が第2調整圧力になるように第2メインガバナの開度を調整する第2調整用ガバナと、を備えている。制御装置30は、所定の閉鎖条件を満たしている状態で第1調整用ガバナの下流側に設けられた第1開閉バルブを閉鎖し、閉鎖条件を満たしていない場合に第1開閉バルブを開放する。
【選択図】
図1