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特許7096429トランスポンダを備える空気入りタイヤを取り扱うためのフォークリフト
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-27
(45)【発行日】2022-07-05
(54)【発明の名称】トランスポンダを備える空気入りタイヤを取り扱うためのフォークリフト
(51)【国際特許分類】
   B66F 9/075 20060101AFI20220628BHJP
   B66F 9/24 20060101ALI20220628BHJP
【FI】
B66F9/075 Z
B66F9/24 P
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021516741
(86)(22)【出願日】2019-09-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-11
(86)【国際出願番号】 EP2019075522
(87)【国際公開番号】W WO2020064630
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-05-11
(31)【優先権主張番号】102018000008933
(32)【優先日】2018-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】518333177
【氏名又は名称】ブリヂストン ヨーロッパ エヌブイ/エスエイ
【氏名又は名称原語表記】BRIDGESTONE EUROPE NV/SA
【住所又は居所原語表記】Kleine Kloosterstraat 10, B-1932 Zaventem (BE)
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100174023
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 怜愛
(72)【発明者】
【氏名】フランチェスコ ヨツィア
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-38627(JP,A)
【文献】実開平2-104460(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2008/0297348(US,A1)
【文献】特開2008-179450(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-0911343(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66F 9/00- 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランスポンダ(8)を備える空気入りタイヤ(3)を取り扱うためのフォークリフト(1)であって、
それぞれ中央キャビティ(7)及びトランスポンダ(8)を有する空気入りタイヤ(3)のスタックを載荷可能とした把持装置(2)と、
アンテナ(11)を含み、空気入りタイヤ(3)におけるトランスポンダ(8)と通信可能な読み取り装置(9)と、
を備えるフォークリフト(1)において:
前記フォークリフト(1)が、少なくとも読み取り装置(9)におけるアンテナ(11)を支持する変位ユニット(12)を更に備え、該変位ユニット(12)は、該アンテナ(11)を、把持装置(2)により支持される空気入りタイヤ(3)のスタックから特定の間隔をおいて配置される待機位置と、把持装置(2)により支持される空気入りタイヤ(3)のスタックに近接して配置される作業位置との間で移動させるよう構成されていることを特徴とする、フォークリフト(1)。
【請求項2】
請求項1に記載のフォークリフト(1)であって、前記作業位置において、前記読み取り装置(9)のアンテナ(11)が、空気入りタイヤ(3)の中央キャビティ(7)内に配置される、フォークリフト(1)。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のフォークリフト(1)であって、前記変位ユニット(12)は、前記読み取り装置(9)のアンテナ(11)を、水平方向(D1)と、水平方向(D1)に対して垂直な鉛直方向(D2)の両者に沿って移動させるよう構成されている、フォークリフト(1)。
【請求項4】
請求項3に記載のフォークリフト(1)であって、前記変位ユニット(12)は、前記読み取り装置(9)のアンテナ(11)を空気入りタイヤ(3)のスタックに対して接近/離隔移動させるために前記読み取り装置(9)実質的に前記水平方向(D1)に沿って移動させ、前記読み取り装置(9)のアンテナ(11)を空気入りタイヤ(3)のスタックに沿ってスライド移動させるために前記垂直方向(D2)に沿って移動させるよう構成されている、フォークリフト(1)。
【請求項5】
請求項1~4の何れか一項に記載のフォークリフト(1)であって、前記変位ユニット(12)がアーム(13)を含み、該アーム(13)は、第1の端部において水平な回転軸線(15)周りで回転するようにヒンジ結合され、第1の端部とは反対側の第2の端部(16)において前記読み取り装置(9)を支持するよう構成されている、フォークリフト(1)。
【請求項6】
請求項5に記載のフォークリフト(1)であって、前記変位ユニット(12)は直線運動を与えるための伸縮部材(17)を含み、該伸縮部材が、前記アーム(13)の第2の端部(16)に取り付けられ、前記読み取り装置(9)のアンテナ(11)を直接支持するよう構成されている、フォークリフト(1)。
【請求項7】
請求項1~6の何れか一項に記載のフォークリフト(1)であって、前記変位ユニット(12)は、前記読み取り装置(9)のアンテナ(11)を、その長手方向軸線周りで回転させるよう構成されている、フォークリフト(1)。
【請求項8】
請求項1~7の何れか一項に記載のフォークリフト(1)であって、
頂部がルーフ(6)によって閉じられるドライバキャビン(5)を備え、
前記変位ユニット(12)は、前記ドライバキャビン(5)のルーフ(6)に取り付けられている、フォークリフト(1)。
【請求項9】
請求項1~7の何れか一項に記載のフォークリフト(1)であって、
支持体(4)を備え、該支持体上で前記把持装置(2)がスライド移動可能に取り付けられ、
前記変位ユニット(12)は、前記支持体(4)の頂部に取り付けられている、フォークリフト(1)。
【請求項10】
請求項1~9の何れか一項に記載のフォークリフト(1)であって:
前記読み取り装置(9)は、前記アンテナ(11)及び送信コンポーネント(10)を備え;
前記読み取り装置(9)のアンテナ(11)のみが、変位ユニット(12)自体によって前記待機位置と前記作業位置との間で移動するよう、前記変位ユニット(12)に取り付けられている、フォークリフト(1)。
【請求項11】
請求項1~9の何れか一項に記載のフォークリフト(1)であって:
前記読み取り装置(9)は、前記アンテナ(11)及び送信コンポーネント(10)を備え;
読み取り装置(9)全体が、前記変位ユニット(12)自体によって前記待機位置と前記作業位置との間で移動するよう、前記変位ユニット(12)に取り付けられている、フォークリフト(1)。
【請求項12】
請求項1~11の何れか一項に記載のフォークリフト(1)であって、前記読み取り装置(9)に隣接して配置されたカメラ(18)を備え、該カメラ(18)は、前記読み取り装置(9)が前記作業位置にある場合に、前記空気入りタイヤ(3)のスタックをフレーミングするよう構成されている、フォークリフト(1)。
【請求項13】
請求項1~12の何れか一項に記載のフォークリフト(1)であって、コンピュータ(19)を備え、該コンピュータ(9)は、フォークリフト(1)のオペレータから、前記把持装置(2)に載荷された空気入りタイヤ(3)の数を受信し、前記読み取り装置(9)から、読み取られたトランスポンダ(8)の数を受信し、前記把持装置(2)に載荷された空気入りタイヤ(3)の数が、読み取られたトランスポンダ(8)の数と等しいことを検証し、かつ、前記把持装置(2)に載荷された空気入りタイヤ(3)の数が、読み取られたトランスポンダ(8)の数と異なる場合にエラー信号を生成するよう構成されている、フォークリフト(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トランスポンダを備える空気入りタイヤを取り扱うためのフォークリフトに関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、空気入りタイヤを生産ラインの最後段階において(典型的には空気入りタイヤを輸送コンテナに積み込むため)、又は仕分け倉庫において取り扱うために、通常はパレット上に積載される空気入りタイヤの(少なくとも)1つのスタックを下側から持ち上げる一対のフォークを備えるフォークリフトが使用され、又は空気入りタイヤのスタックを側方から把持する一対のグリッパーを備えるその他の手段が使用されている。
【0003】
過去数年間で、空気入りタイヤの識別情報、特徴及び履歴を遠隔通信可能とするトランスポンダ(無線周波数により通信可能な電子デバイス)を備える「スマート」空気入りタイヤが出現している。
【0004】
この場合にオペレータは、フォークリフトによる空気入りタイヤの取り扱いに加えて、例えばオペレータが正しい空気入りタイヤで作業していることを確認するため、及び/又は空気入りタイヤの位置変更を電子レジスタ内に保存するために、空気入りタイヤに関連付けられたトランスポンダを適切な読み取り装置により読み取る必要がある。
【0005】
通常、フォークリフトを操作するオペレータには手動読み取り装置(携行が容易な軽量の読み取り装置)が装備されている。空気入りタイヤがフォークリフトに積載されると、オペレータはフォークリフトから降車し、読み取り装置を携えて空気入りタイヤに接近し、対応するトランスポンダを読み取って空気入りタイヤ自体を一定の確度で識別する。この操作手順では、かなりの時間的ロスが生じる。これは、オペレータがフォークリフトから降車する必要がある(フォークリフトを停止させて駐車モードとする必要がある)からであり、更には、手動読み取り装置を各空気入りタイヤまで携行して。対応するトランスポンダを読み取る必要がある(既知の手動読み取り装置は、空気入りタイヤのスタックにおける全ての空気入りタイヤのトランスポンダを同時に読み取ることができず、読み取り装置をスタックにおける個々の空気入りタイヤまで移動させる必要がある)からである。
【0006】
この点についての留意点は、個々の空気入りタイヤ内に埋め込まれたトランスポンダの最大読み取り距離が約1~2mであるのに対して、空気入りタイヤのスタックの高さが通常は3m以上であること(従って、最大読み取り距離を超えていること)である。更に、多数の空気入りタイヤが互いに密接している(積み重なっている)場合、金属部品によって遮蔽及び/又は反射が発生することがあり、これは空気入りタイヤ内に埋め込まれたトランスポンダの最大読み取り距離を一層減少させるものである。
【0007】
特許文献1:ヨーロッパ特許出願公開第2733639号公報には、長いアンテナを有する読み取り装置の実施例が記載されている。この実施例において、スタックにおける全ての空気入りタイヤのトランスポンダを同時に、すなわち一挙に読み取るためには、アンテナを空気入りタイヤのスタック内に挿入する必要がある。このような長いアンテナを有する読み取り装置は、オペレータが手動で使用することができる。この場合には、空気入りタイヤのスタックを固定した状態で読み取り装置を移動させる。また、読み取り装置を固定位置に配置し(床面上で下側から、又はポータル内で上側から)、フォークリフトを駆動して空気入りタイヤのスタックをアンテナに挿入する(この場合には、読み取り装置を固定した状態で空気入りタイヤのスタックを移動させる)こともできるしかしながら、特許文献1で提案されている構成は、いずれにせよ時間的ロスを生じるものである。アンテナを空気入りタイヤのスタックに挿入するためにオペレータがフォークリフトから降車する必要があり、あるいは、空気入りタイヤのスタックにアンテナを挿入するためには、オペレータが多分に複雑な操作を実行する必要がある(誤操作により空気入りタイヤがアンテナにぶつかれば、アンテナを損傷させかねない)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】ヨーロッパ特許出願公開第2733639号公報
【発明の概要】
【0009】
本発明の課題は、トランスポンダを備える空気入りタイヤを取り扱うためのフォークリフトとして、上述した欠点がなく、しかも容易かつ安価に実施することのできるフォークリフトを提供することである。
【0010】
本発明によれば、トランスポンダを備える空気入りタイヤを取り扱うための、添付の請求範囲に記載した特徴を有するフォークリフトが提供される。
【0011】
各請求項は、本説明の必須部分を構成する本発明の好適な実施形態を記載するものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
以下、本発明を、例示的な実施形態を非限定的に示す添付図面を参照して説明する。
図1】本発明に従って実施された、トランスポンダを備える空気入りタイヤを取り扱うためのフォークリフトの概略図である。
図2図1のフォークリフトで取り扱われる空気入りタイヤのトランスポンダと、同フォークリフトにおける読み取り装置を示す概略図である。
図3】読み取り装置がある位置を占める場合の図1のフォークリフトの概略図である。
図4】読み取り装置が他の位置を占める場合の図1のフォークリフトの概略図である。
図5】読み取り装置が更に他の位置を占める場合の図1のフォークリフトの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1において、参照数字1はフォークリフト全体を表している。
【0014】
フォークリフト1は、車輪を備える操作手段であり、電気、ディーゼル又はガスモータにより駆動され、把持装置2が前部に配置されて空気入りタイヤ3のスタックをピックアップする構成とされている。把持装置2は、支持体4自体に対して垂直に移動させるため、支持体4内にスライド可能に取り付けられている。すなわち、把持装置2は、支持体4に沿ってスライドすることにより上下動する。限定的ではないが、好適には、支持体4は、その垂直基準線に対する傾斜角(把持装置2の傾斜角)を可変とするために、フォークリフト1のフレーム上に可動に取り付けられる。
【0015】
添付図面に示す実施形態において、把持装置2は、一対のフォーク(添付図面はその一方のみを示す)を備え、空気圧タイヤ3のスタックを下側から持ち上げる(通常、空気圧タイヤ3のスタックはパレット上に載置される)構成とされている。。図示しない別の実施形態において、把持装置2は、空気入りタイヤ3のスタックを側方から把持する一対の把持部材を備える。すなわち、パレットは不要である。
【0016】
フォークリフト1は、ドライバが搭乗するドライバキャビン5を更に備え、その上部は水平ルーフ6(フォークリフト1が転倒し、上方の物体がフォークリフト上に落下してもドライバを適切に保護するよう、頑丈な構成とされる。)により包囲されている。
【0017】
各空気入りタイヤ3は、中央キャビティ7を有する環状形状とされている。更に、各空気入りタイヤ3は、トランスポンダ8、すなわち、情報を記憶することができ、無線周波数による通信が可能な電子デバイス(通常は、無電源の受動的デバイス)を備える。換言すれば、各トランスポンダ8は、空気入りタイヤ3と一体化された小型の「スマートラベル」であり、読み取り装置(照会装置)と称される特定の固定又は携帯装置からの遠隔照会に応答することができる。読み取り装置は、無線周波数を使用してトランスポンダ8と通信している間、照会中のトランスポンダ8に保存されている情報を読み取り、及び/又は変更することができる。すなわち、トランスポンダ8は、いわゆるRFID(無線周波数識別)技術に基づく無線読み取り及び/又は書き込みシステムの一部を構成する。
【0018】
フォークリフト1は、空気入りタイヤ3のトランスポンダ8と通信(相互作用)することのできる読み取り装置9を備える。読み取り装置9は、一般的には対応する空気入りタイヤ3を識別するためにトランスポンダ8におけるメモリの内容の読み取り専用とされるが、トランスポンダ8のメモリ内容を(部分的に)変更する構成とすることもできる。
【0019】
図2に示すように、読み取り装置9は、無線送信コンポーネント10(電磁波を利用するもの)と、電波を送受信するための少なくとも1つのアンテナ11とを備える。送信コンポーネント10は、複数(例えば2個、3個又は4個)のアンテナ11を含むことができる。
【0020】
図1に示すように、フォークリフト1は、読み取り装置9の少なくとも一部を支持するための変位ユニット12を備える。変位ユニット12は、読み取り装置9を、読み取り装置9が、把持装置2により支持される空気入りタイヤ3のスタックから、同スタックの移動を妨げないように所定距離だけ離隔させた待機位置(図1)と、読み取り装置9が、把持装置2により支持される空気入りタイヤ3のスタックに近接配置される作業位置(図4及び5)との間で移動させるものである。言うまでもなく、読み取り装置9は、待機位置(図1)において、スタックにおける空気入りタイヤ3のトランスポンダ8と通信することができない。他方、読み取り装置9は、作業位置(図4及び5)において、スタックにおける全ての空気入りタイヤ3のトランスポンダ8と通信することができる。
【0021】
添付図面に示す実施形態において、読み取り装置9は、作業位置(図4及び5)ではスタックの空気入りタイヤ3の中央キャビティ7内に配置される。図示しない別の実施形態において、読み取り装置9は、作業位置ではスタックの空気入りタイヤ3の外側に(又はスタックの空気入りタイヤ3のトレッドに近接させて)配置される。
【0022】
好適な実施形態において、変位ユニット12は、水平方向D1に沿って、及び水平方向D1に垂直な垂直方向D2に沿って、読み取り装置9を移動可能とされている。添付図面に示す実施形態において、水平方向D1に沿った変位は、(後述するように)回転により生じるものであり、その後に垂直方向D2に沿った変位が常に付加される。特に、変位ユニット12は、読み取り装置9を実質的に水平方向D1に沿って移動させて、空気入りタイヤ3のスタックに対して接近/離隔移動させる。図1及び3を比較すると、読み取り装置9は、本質的に水平方向D1に沿った移動により、空気入りタイヤ3のスタックに対して接近している。これと対比して、変位ユニット12は、読み取り装置9を垂直方向D2に沿って移動させることにより、空気入りタイヤ3のスタックに沿って、特に中央キャビティ7内でスライドさせる。図3、4及び5の対比から明かなとおり、読み取り装置9は、垂直方向D2に沿って空気入りタイヤ3のスタック内においてスライドするものである。
【0023】
添付図面に示す好適な(ただし非限定的な)実施形態において、変位ユニット12はアーム13を備える。アーム13は、第1の端部において水平回転軸線15周りで回転するようにベース14にヒンジ結合され、第1の端部とは反対側の第2の端部16において読み取り装置9を支持する。特に、変位ユニット12は、垂直方向D2に沿って直線運動を与えるための伸縮部材17を備える。伸縮部材17は、アーム13の端部16に取り付けられ、読み取り装置9(伸縮部材)を直接支持する(伸縮部材17は、アーム13と読み取り装置9との間に挿入される)。換言すれば、水平方向D1に沿った変位は、水平回転軸線15周りでの回転により生じるものであり、常に垂直方向D2に沿った変位と組み合わされる。対照的に、垂直方向D2に沿った変位は、直線変位により生じるものである。
【0024】
想定可能な実施形態において、変位ユニット12は、垂直方向D2に対して平行な長手方向軸線周りでも読み取り装置9を回転させる構成とされる。
【0025】
添付図面に示す実施形態において、変位ユニット12は、支持体4の頂部に取り付けられる(すなわち、変位ユニット12のベース14は支持体4の頂部に剛性的に取り付けられる)。図示しない代替的な実施形態において、変位ユニット12は、ドライバキャビン5のルーフ6上に取り付けられる(変位ユニット12のベース14は、ドライバキャビン5のルーフ6に対して剛固に取り付けられる)。この実施形態において、変位ユニット12は、(例えばアルミニウムやプラスチックから製作して)十分に軽量かつ変形可能とすべきである。これにより、変位ユニット12は、フォークリフト1が転倒した場合にルーフ6により圧し潰され、ドライバキャビン5のルーフ6を破損させることがなく、ひいてはドライバキャビン5自体を破損させることもない。
【0026】
前述したように、読み取り装置9は、送信コンポーネント10及びアンテナ11を備える。想定可能な実施形態では、読み取り装置9のアンテナ11のみが変位ユニット12に取り付けられ、変位ユニット12により、待機位置と作業位置との間で移動可能とされている。送信コンポーネント10は、フォークリフト1上の固定位置に配置され、移動することはない。この場合、送信コンポーネント10(アンテナ11から分離独立している)は、ドライバキャビン5内に収容し、(例えば部分的にコイル状の)延長同軸ケーブルによってアンテナ11に接続することができる。伝送コンポーネント10をアンテナ11に接続するための同軸ケーブルが非常に(過度に)長ければ、同軸ケーブル自体が信号電力の重大な損失を生じる可能性があるが、これは増幅器の挿入によって補償することができる。
【0027】
代替的な実施形態において、読み取り装置9全体は、変位ユニット12に取り付けられ、変位ユニット12によって待機位置と作業位置との間で移動可能とされる(すなわち、変位ユニット12は、送信コンポーネントと、これに対して不可分のユニットを形成するアンテナ11の両者を移動させる構成とされる)。
【0028】
想定可能な実施形態において、変位ユニット12は、ドライバキャビン5内に乗り込んだフォークリフト1のオペレータによって手動制御される。別の実施形態において、変位ユニット12は、自律的又は半自律的な態様で、待機位置(図1)と作業位置(図4及び5)との間の全ての移動を実行させることができる。この場合、変位ユニット12は、通常は読み取り装置9に隣接させて配置されるセンサを備え、空気入りタイヤ3(特に、空気入りタイヤ3の中央キャビティ7)の正確な位置を決定する構成とされる(すなわち、これらのセンサはアーム13の端部16に対応して取り付けられる)。これらのセンサは、カメラ18(光学センサ)及び/又は近接センサを含むことができる(その近接センサは、多くの場合には読み取り装置9に直接結合され、読み取り装置9自体と一体的に移動する)。フォークリフト1のオペレータが変位ユニット12を手動制御する場合にも、同じセンサ(特にカメラ18)を使用することができる。
【0029】
換言すれば、変位ユニット12を手動制御する場合と、変位ユニット12を独立制御する場合のいずれにおいても、好適には、カメラ18が読み取り装置9に隣接して配置され(すなわち、アーム13の端部16に取り付けられ)、読み取り装置9が作業位置(図4及び5)にあるときに空気入りタイヤ3のスタックのフレーミングを可能とする。
【0030】
添付図面に示す実施形態において、空気入りタイヤ3のスタックは、フォークリフト1の把持装置2上に配置され、垂直に向けられている。図示しない他の実施形態において、フォークリフト1の把持装置2上に配置された空気入りタイヤ3のスタック(又は特別なラックに積載された複数のスタック)は、水平に向けられている。これらの実施形態において、変位ユニット12は、水平軸線を有するアンテナ9が支持体4上で90°回転して1つ又は複数のスタックの中央に到達するまで、ラック又は他の手段によりスライド可能とされる。(この場合、空気入りタイヤ3を支持するラックの幅が支持体4の幅よりも大きければ、アーム13に加えて、別の延長アームを支持体4とベース14との間に追加することにより、アンテナ11を水平なスタック内に装入可能とする必要がある。)
【0031】
添付図面に示す実施形態は、フォークリフト1の把持装置2上に空気入りタイヤ3の単一のスタックを収容することを前提としている。図示しない他の実施形態において、フォークリフト1の把持装置2上には、空気入りタイヤ3の複数のスタック(2個、3個、4個…)を収容することができ、これらのスタックは互いに隣接して配置される(垂直又は水平に向けられる)。
【0032】
把持装置2によって支持されるスタックを構成する空気入りタイヤ3における全てのトランスポンダ8が読み取られたことをオペレータが迅速かつ安全に確認可能とするため、オペレータは、フォークリフト1の把持装置2に積載した空気入りタイヤ3の数を、その都度入力(タイプ入力)する必要がある。
【0033】
そのために、ドライバキャビン5内にはスクリーンが設置されている。このスクリーンは、入力装置(例えば、物理的キーボード又は物理的ポインティングデバイス、あるいはスクリーンがタッチ画面である場合の仮想キーボード等)を備えると共にコンピュータ19に接続され、そのコンピュータ19は読み取り装置9に接続されている。(全機能を単一の物理的構造に統合したタブレットコンピュータが使用できることは、言うまでもない。)コンピュータ19にインストールされたソフトウェアは、把持装置2により支持されるスタックを形成する空気入りタイヤ3の数の入力管理に加えて、読み取り装置により読み取られた全てのトランスポンダ8のコードも表示する。更に、コンピュータ19にインストールされたソフトウェアは、読み取り装置9により読み取られたトランスポンダ8の数が、フォークリフト1の把持デバイス2上の空気圧タイヤ3の数としてオペレータにより入力された数と一致する(等しい)ことを、継続的に検証する。一致する場合、ソフトウェアは、正の信号(例えば緑色ライト)を発生し、トランスポンダ8の読み取り操作が終了する。他方、不一致の場合、ソフトウェアは、負の信号(例えば赤色光及び可聴警報音)を生成し、トランスポンダ8の読み取り操作を繰り返す必要がある。
【0034】
コンピュータ19は、他の機能も実行する。例えば、コンピュータ19は、空気入りタイヤ3の倉庫の中央制御システムに(一般的には無線接続により)接続して在庫状況を、すなわち空気入りタイヤ3の受け入れ数、送り出し数及び現在庫数を、リアルタイムで更新することができる。
【0035】
本明細書に記載した実施形態は、本発明の保護範囲から逸脱することなく適宜に組み合わせることができる。
【0036】
上述したフォークリフト1は、多くの利点を有している。
【0037】
第一に、上記のフォークリフト1は、読み取り装置9(又は少なくとも読み取り装置9のアンテナ11)を把持装置2により支持されるスタックにおける全ての空気入りタイヤ3に対して近接させたときに、把持装置2で支持されるスタックにおける全ての空気入りタイヤ3のトランスポンダ8を、効果的かつ安全に(すなわち、エラーの可能性を最小限に抑えて)、そして効率的に読み取り可能とするものである。
【0038】
また、上述したフォークリフト1は、把持装置2により支持されるスタックにおける全ての空気入りタイヤ3のトランスポンダ8を、トランスポンダ8の読み取り中にフォークリフト1のオペレータがドライバキャビン5を離れることなく、簡単な方法で読み取り可能とするものである。更に、トランスポンダ8の読み取りは、フォークリフト1が移動している間(すなわち、安全上の理由から常に低速で実行されるフォークリフト1の通常運転中)に行うこともできる。
【0039】
最後に、上述したフォークリフト1は、製造が簡単で安価である。これは、比較的低コストで販売されており、非常に容易に市場調達できる部品のみを使用するからである。
【符号の説明】
【0040】
1 フォークリフト
2 把持装置
3 空気入りタイヤ
4 支持体
5 ドライバキャビン
6 ルーフ
7 中央キャビティ
8 トランスポンダ
9 読み取り装置
10 送信コンポーネント
11 アンテナ
12 変位ユニット
13 アーム
14 ベース
15 回転軸線
16 端部
17 伸縮部材
18 カメラ
19 コンピュータ
D1 水平方向
D2 垂直方向
図1
図2
図3
図4
図5