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特許7096446温度補償のためのワイヤレス信号強度センシングのコンテキスト補正
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-27
(45)【発行日】2022-07-05
(54)【発明の名称】温度補償のためのワイヤレス信号強度センシングのコンテキスト補正
(51)【国際特許分類】
   H04B 17/318 20150101AFI20220628BHJP
   H05B 47/19 20200101ALI20220628BHJP
【FI】
H04B17/318
H05B47/19
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021547369
(86)(22)【出願日】2020-02-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-10
(86)【国際出願番号】 EP2020052690
(87)【国際公開番号】W WO2020164957
(87)【国際公開日】2020-08-20
【審査請求日】2021-10-13
(31)【優先権主張番号】19157206.4
(32)【優先日】2019-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】シグニファイ ホールディング ビー ヴィ
【氏名又は名称原語表記】SIGNIFY HOLDING B.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 48,5656 AE Eindhoven,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】クラインツ ヒューゴ ホセ
(72)【発明者】
【氏名】ダイクスラー ペーター
(72)【発明者】
【氏名】スティーヴンス ヘンドリック
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-071115(JP,A)
【文献】特開平06-230050(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 17/318
H05B 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤレス信号の温度補償された受信信号強度インジケーション値を提供するための信号強度補償ユニットであって、
外部ワイヤレスレシーバによって外部ワイヤレストランスミッタから受信されるワイヤレス信号の受信信号強度インジケーション値を受けるための入力インターフェースと、
前記外部ワイヤレスレシーバのワイヤレス信号受信ユニット又は前記外部ワイヤレストランスミッタのワイヤレス信号送信ユニットのそれぞれの温度に影響を与えるのに適した少なくとも1つの現在の条件を示す動作条件データを把握するように構成されるステータス決定ユニットであって、前記動作条件データは、前記受信信号強度インジケーション値の量に組み込まれる前記外部ワイヤレスレシーバの前記ワイヤレス信号受信ユニット又は前記外部ワイヤレストランスミッタの前記ワイヤレス信号送信ユニットのそれぞれの温度によって及ぼされる効果を間接的にのみ示す、ステータス決定ユニットと、
1つ以上の信号強度補償パラメータを決定し提供するように構成される補償パラメータ決定ユニットであって、前記信号強度補償パラメータは、前記ワイヤレス信号受信ユニット又は前記ワイヤレス信号送信ユニットのそれぞれの温度に影響を与えるのに適した複数の条件のうちの少なくとも1つに関連する、補償パラメータ決定ユニットと、
前記受けた信号強度インジケーション値、前記把握された動作条件データ、及び前記決定された信号強度補償パラメータを用いて、温度補償された受信信号強度インジケーション値を決定する、及び、前記温度補償された受信信号強度インジケーション値を示す出力信号を提供するように構成される補償決定ユニットと、
を含む、信号強度補償ユニット。
【請求項2】
前記ステータス決定ユニットは、前記外部ワイヤレストランスミッタ又は前記外部ワイヤレスレシーバの現在の動作状態を示す動作ステータスデータの形態で前記動作条件データを把握するように構成され、
前記補償パラメータ決定ユニットは、前記把握された動作ステータスデータに依存して前記信号強度補償パラメータを決定し提供するように構成される、請求項1に記載の信号強度補償ユニット。
【請求項3】
前記ステータス決定ユニットは、前記ワイヤレス信号送信ユニット又は前記ワイヤレス信号受信ユニットにおけるエアフローの量又は光強度の量を示す環境条件データの形態で前記動作条件データを把握するように構成され、
前記補償パラメータ決定ユニットは、前記把握された環境条件データに依存して前記信号強度補償パラメータを決定し提供するように構成される、請求項1に記載の信号強度補償ユニット。
【請求項4】
前記ステータス決定ユニットは、現在の日付及び時刻を示す時間データの形態で前記動作条件データを把握するように構成され、
前記補償パラメータ決定ユニットは、前記把握された時間データに依存して前記信号強度補償パラメータを決定し提供するように構成される、請求項1に記載の信号強度補償ユニット。
【請求項5】
外部ワイヤレストランスミッタからワイヤレス信号を受信するように構成される信号レシーバユニットと、
前記受信したワイヤレス信号に関する受信信号強度インジケーション値を把握し提供するように構成される受信信号強度決定ユニットと、
請求項1に記載の信号強度補償ユニットであって、前記信号強度補償ユニットの前記入力インターフェースは、前記把握された受信信号強度インジケーション値を受ける、信号強度補償ユニットと、
を含む、ワイヤレスレシーバデバイス。
【請求項6】
当該ワイヤレスレシーバデバイスは、
複数の動作状態で動作されるように構成される機能ユニット、
を含み、
前記ステータス決定ユニットは、前記機能ユニットの現在の動作状態を示す現在の動作状態データの形態で前記動作条件データを把握するように構成され、
前記補償パラメータ決定ユニットは、前記現在の動作状態データに依存して前記信号強度補償パラメータを決定し提供するように構成される、
請求項5に記載のワイヤレスレシーバデバイス。
【請求項7】
ワイヤレス信号を送信するように構成される少なくとも1つのワイヤレストランスミッタデバイスと、
前記ワイヤレス信号を受信するように構成されるワイヤレスレシーバデバイスであって、前記受信したワイヤレス信号の受信信号強度を示す受信信号強度インジケーション値を把握し提供するように構成される受信信号強度決定ユニットを含む、ワイヤレスレシーバデバイスと、
請求項1に記載の信号強度補償ユニットであって、前記信号強度補償ユニットの前記入力インターフェースは、前記把握された受信信号強度インジケーション値を受ける、信号強度補償ユニットと、
を含む、ワイヤレスネットワーク構成。
【請求項8】
前記ワイヤレストランスミッタデバイス又は前記ワイヤレスレシーバデバイスは、屋外又は屋内照明のための照明ユニットを含み、前記照明ユニットは、オフ動作モード及びオン動作モードを含む少なくとも2つの動作モードで動作可能であり、
前記把握された動作条件データは、前記照明ユニットの現在の動作モードを示す、請求項7に記載のワイヤレスネットワーク構成。
【請求項9】
前記動作条件データは、前記照明ユニットによって発せられる現在の光強度、現在の動作モードで前記照明ユニットが動作されている期間、又は前記光強度及び前記期間の両方を示す、請求項8に記載のワイヤレスネットワーク構成。
【請求項10】
当該ワイヤレスネットワーク構成は、
前記動作条件データを示す動作条件信号を提供するように構成されるセンサユニットを含む少なくとも1つの動作条件センシングユニットを含む、請求項7に記載のワイヤレスネットワーク構成。
【請求項11】
前記ワイヤレストランスミッタデバイス、前記ワイヤレスレシーバデバイス、又は前記ワイヤレストランスミッタデバイス及び前記ワイヤレスレシーバデバイスの両方は、それぞれの動作条件センシングユニットを含む、請求項10に記載のワイヤレスネットワーク構成。
【請求項12】
参照環境における外来物の存在を検出するための存在決定構成であって、当該存在決定構成は、
前記参照環境に構成される請求項7に記載のワイヤレスネットワーク構成と、
前記信号強度補償ユニットの前記補償決定ユニットから、前記温度補償された受信信号強度インジケーション値を示す前記出力信号を受信する、
前記温度補償された受信信号強度インジケーション値が前記参照環境における外来物の存在と相関性があるかどうかを判断する、
前記判断に依存して存在検出信号を提供する、
ように構成される存在決定ユニットと、
を含む、存在決定構成。
【請求項13】
ワイヤレス信号の温度補償された受信信号強度インジケーション値を提供するための信号強度補償ユニットを動作する方法であって、
外部ワイヤレスレシーバによって外部ワイヤレストランスミッタから受信されるワイヤレス信号の受信信号強度インジケーション値を受けることと、
前記外部ワイヤレスレシーバのワイヤレス信号受信ユニット又は前記外部ワイヤレストランスミッタのワイヤレス信号送信ユニットのそれぞれの温度に影響を与えるのに適した少なくとも1つの現在の条件を示す動作条件データを把握することであって、前記動作条件データは、前記受信信号強度インジケーション値の量に組み込まれる前記外部ワイヤレスレシーバの前記ワイヤレス信号受信ユニット又は前記外部ワイヤレストランスミッタの前記ワイヤレス信号送信ユニットのそれぞれの温度によって及ぼされる効果を間接的にのみ示す、ことと、
少なくとも1つの信号強度補償パラメータを決定し提供することであって、前記信号強度補償パラメータは、前記ワイヤレス信号受信ユニット又は前記ワイヤレス信号送信ユニットのそれぞれの温度に影響を与えるのに適した複数の条件のうちの少なくとも1つに関連する、ことと、
前記受けた信号強度インジケーション値、前記把握された動作条件データ、及び前記決定された信号強度補償パラメータを用いて、温度補償された受信信号強度インジケーション値を決定することと、
前記温度補償された受信信号強度インジケーション値を示す出力信号を提供することと、
を含む、方法。
【請求項14】
コンピュータプログラムであって、当該コンピュータプログラムがコンピュータによって実行された場合、前記コンピュータに請求項13に記載の方法を実行させる命令を含む、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号強度補償ユニット、ワイヤレスレシーバデバイス、ワイヤレスネットワーク構成、存在決定構成、信号強度補償ユニットを動作する方法、及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
US 2014/0094133 A1は、受信信号強度インジケータ(RSSI:received signal strength indicator)の温度補正方法及び装置が述べられている。任意の温度におけるRSSIの入力信号の正確な電力値を実現するために、予め定義された3つの温度におけるRSSIの特性が測定され、補間法がRSSIの温度特性を補正するために使用される。温度補正装置は、現在の温度を測定するように構成される温度センサを含む。デジタル補正モジュールは、現在の温度に基づいて、予め記憶された常温温度、低温温度及び高温温度に対応する温度補正係数から温度補正係数を選択し、選択された温度補正係数に基づいてRSSI値の出力信号に対して温度補正を行うように構成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
温度補償された受信信号強度インジケーション値(temperature-compensated received-signal-strength indication value)を提供するための装置のハードウェアの複雑さを軽減することは有益である。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の第1の態様によれば、ワイヤレス信号の温度補償された受信信号強度インジケーション値を提供するための信号強度補償ユニットが開示される。信号強度補償ユニットは、外部ワイヤレスレシーバによって外部ワイヤレストランスミッタから受信されるワイヤレス信号の受信信号強度インジケーション値(以下、RSSI値とも称される)を受けるための入力インターフェースを含む。信号強度補償ユニットはさらに、外部ワイヤレスレシーバのワイヤレス信号受信ユニット又は外部ワイヤレストランスミッタのワイヤレス信号送信ユニットのそれぞれの温度に影響を与えるのに適した少なくとも1つの現在の条件を示す動作条件データ(operation condition data)を把握する(ascertain)ように構成されるステータス決定ユニット(status determination unit)を含む。斯くして、動作条件データは、受信信号強度インジケーション値の量に組み込まれる(incorporated)外部ワイヤレスレシーバのワイヤレス信号受信ユニット又は外部ワイヤレストランスミッタのワイヤレス信号送信ユニットのそれぞれの温度によって及ぼされる効果を間接的にのみ示す。
【0005】
信号強度補償ユニットはまた、1つ以上の信号強度補償パラメータを決定し提供するように構成される、補償パラメータ決定ユニットを含む。信号強度補償パラメータは、ワイヤレス信号受信ユニット又はワイヤレス信号送信ユニットのそれぞれの温度に影響を与えるのに適した複数の条件のうちの少なくとも1つに関連する。また、信号強度補償ユニットは、受けた信号強度インジケーション値、把握された動作条件データ、及び決定された信号強度補償パラメータを用いて、温度補償された受信信号強度インジケーション値を決定する、及び、温度補償された受信信号強度インジケーション値を示す出力信号を提供するように構成される補償決定ユニットを含む。
【0006】
当技術分野で知られているように、RSSI値は、特定の周波数チャネル又はバンドで受信される受信ワイヤレス信号に存在する電力量を示す値である。ワイヤレス信号は、ワイヤレス通信に適したスペクトル範囲内、例えば、無線周波数範囲(radio frequency range)内又は赤外線若しくは可視放射の範囲内の周波数を有する電磁信号である。RSSI値は、ワイヤレスレシーバによって決定される。本発明は、RSSI値が、受信側だけでなく、送信側でも温度効果(temperature effect)によって影響を受けるという認識に基づいている。さらに、本発明は、外部ワイヤレスレシーバのワイヤレス信号受信ユニット又は外部ワイヤレストランスミッタのワイヤレス信号送信ユニットの現在の温度自体が、受信側で決定されるRSSI値に影響を与えるようにワイヤレスレシーバユニット及びワイヤレストランスミッタユニットの動作に影響を与えるが、温度自体は、ステータス情報(status information)、すなわち、そのようなものとして知られている又は容易に決定されることができる現在の動作条件に関する情報から推測されることができる「間接的な」効果とも述べられることができることを認識している。この認識に基づいて、本発明は、RSSI値の温度補償を決定するために外部ワイヤレスレシーバのワイヤレス信号受信ユニット又は外部ワイヤレストランスミッタのワイヤレス信号送信ユニットのそれぞれの温度に影響を与えるのに適した現在の動作条件のそのような既存の又は容易に入手可能な情報を使用することを提案する。斯くして、本発明の信号強度補償ユニットは、有利なことに、直接測定することなく及び外部温度測定に頼ることなくワイヤレス信号の温度補償された受信信号強度インジケーション値を提供するように構成される。
【0007】
本発明によれば、受信信号強度インジケーション値に対する温度の効果は、外部ワイヤレスレシーバのワイヤレス信号受信ユニット又は外部ワイヤレストランスミッタのワイヤレス信号送信ユニットのそれぞれの温度に影響を与えるのに適した少なくとも1つの現在の条件を示す、把握された動作条件データに基づいて推定される。斯くして、動作条件データは、外部ワイヤレストランスミッタ又は外部ワイヤレスレシーバの動作の現在のコンテキスト(current context of operation)を示す。これは、例えば、サーミスタ、熱電対等において、温度の物理的効果をセンシングすることにより温度を測定するセンサによって決定される、温度の単位における温度を直接示すデータではない。したがって、本発明は、受信信号強度インジケーション値を補償するためにこのような温度センサを利用しない。
【0008】
把握された動作条件データに依存して、受信信号強度インジケーション値を、受信信号強度インジケーション値に組み込まれる予想される温度効果に対して補償する、信号強度補償パラメータが決定される。
【0009】
以下、本発明の第1の態様の信号強度補償ユニットの実施形態が述べられる。
【0010】
信号強度補償ユニットは、一実施形態では、ハードウェアで、好適には特定用途向け集積回路(ASIC:application-specific integrated circuit)の形態で実装される。
【0011】
信号強度補償ユニットは、一部の実施形態では、スタンドアロンユニットとして実装される。このようにして、信号強度補償ユニットは、ネットワーク構成での使用にとりわけ適している。また、信号強度補償ユニットを組み込むワイヤレスレシーバデバイスの実施形態が、本発明の第2の態様の文脈で以下にさらに述べられる。
【0012】
一部の実施形態では、信号強度補償ユニットは、信号強度補償ユニットを実装するための適切な実行可能コンピュータプログラムコードを備えるプログラマブルプロセッサによって実装される。適切なコンピュータプログラムは、本発明の第6の態様として以下にさらに述べられる。
【0013】
このような実施形態の変形例では、プログラマブルプロセッサは、信号強度補償ユニットの機能以外の機能を追加的に実装する処理ユニットを形成する。例えば、信号強度補償ユニットのこのような機能統合の好適な形態は、ワイヤレスレシーバデバイスで用いるベースバンド処理ユニットにある。この種の一部の実装では、ベースバンド処理ユニットは、外部信号受信ユニットによって受信されるワイヤレス信号のRSSI値を決定するように追加的に構成される。このような実装では、信号強度補償ユニットの入力インターフェースは、典型的には、RSSI値を生成することと、信号強度補償ユニットの機能性に従って温度補償された受信信号強度インジケーション値を決定することとの間の機能的な分離に過ぎない。
【0014】
補償前のRSSI値の決定は、当技術分野で既知の任意の方法に従って行われることができる。異なる方法は、異なるスケールで結果を提供する。斯くして、補償ファクタの詳細な量は、RSSI値を決定する選択された方法に適応される必要がある。一部の実施形態では、補償されるべき受信信号強度インジケーション値は、好ましくは、例えばIEEE 802.11k-2008プロトコルで定義される受信チャネル電力インジケータ(RCPI:received-channel-power-indicator)決定方法に従って決定される、選択された通信チャネルに存在するワイヤレス信号電力の量を示す。補償前のRSSI値は、典型的には、用いられる特定のハードウェア、例えば、ワイヤレストランスミッタのワイヤレス信号を送信するための及びワイヤレスレシーバのワイヤレス信号を受信するための特定の電気回路に依存する。
【0015】
特定の実施形態では、補償パラメータ決定ユニットは、温度に影響を与えるのに適した少なくとも1つの現在の条件のそれぞれの値又は値範囲に対応する1つ以上の信号強度補償ファクタを記憶するための記憶ユニットを含む。値は、特定の実施形態では、例えば、オン動作状態又はオフ動作状態を示すブール値である。値は、別の特定の実施形態では、代替的又は追加的に、数値である。別の実施形態では、温度補償された受信信号強度インジケーション値を決定するために必要な信号強度補償値は、外部ユニットによって提供される。他の実施形態では、信号強度補償値は、条件データを入力パラメータとして使用し、アルゴリズムを実行した出力として信号強度補償パラメータを提供する予め定義されたアルゴリズムを使用して決定される。
【0016】
好ましくは、温度補償されたRSSI値は、信号強度補償ユニットによって受信されるRSSI値に1つ以上の所定の数学的演算を適用することによって得られる。一実施形態では、信号強度補償パラメータは、温度補償された受信信号強度インジケーション値を決定するための線形関数のフレームにおいて受信信号強度インジケーション値のスケーリング又はシフティングファクタとして適用されるファクタである。別の実施形態では、信号強度補償パラメータは、温度補償された受信信号強度インジケーション値を決定するための非線形関数のフレームにおいて、例えば、指数値、対数ベース(logarithmic base)等として使用される。
【0017】
第1の態様の信号強度補償ユニットの別の実施形態では、ステータス決定ユニットは、外部ワイヤレストランスミッタ又は外部ワイヤレスレシーバの現在の動作状態(current operational state)を示す動作ステータスデータ(operation status data)の形態で動作条件データを把握するように構成される。これに対応して、この特定の実施形態の補償パラメータ決定ユニットは、そのように把握された動作ステータスデータに依存して信号強度補償パラメータを決定し提供するように構成される。
【0018】
とりわけ有利な変形例は、関連する機能デバイスに含まれる外部ワイヤレストランスミッタ又は外部ワイヤレスレシーバと組み合わせたアプリケーションに適している。機能デバイスは、ある例示的な実施形態では、照明機能を有する。他の実施形態では、機能デバイスは、暖房機能、又はワイヤレス信号送信ユニット若しくはワイヤレス信号受信ユニットの温度に影響を与えるのに適した他の機能を有する。
【0019】
このような実施形態では、ワイヤレストランスミッタ又はワイヤレスレシーバの動作状態は、好適には、照明機能等の関連する機能のそれぞれのオン状態及びそれぞれのオフ状態を含む。斯くして、ステータス決定ユニットは、機能デバイスの現在の動作状態を示すデータとして動作条件データを把握する、及び、現在の動作状態に依存した対応する信号強度補償パラメータを用いてRSSI値を補償するように構成される。別の変形例では、動作ステータスデータは、追加的に、照明機能の光強度量を示し、光強度量も、補償ファクタを決定する際に考慮される。
【0020】
別の実施形態では、動作ステータスデータは、追加的又は代替的に、ワイヤレストランスミッタ又はレシーバの当該関連する機能がそれぞれの現在の動作状態で動作されている期間(time span)を示す。例えば、照明器具等の照明デバイスが、例えばLED照明ユニットによって実装される照明機能と、ワイヤレストランスミッタ、レシーバ又はトランシーバとを組み込む場合、把握された動作条件データは、どのくらい照明デバイスが、例えば、その照明機能の現在のオン状態にあるかを示す。照明ユニットを動作することは熱エネルギを発生し、熱エネルギは、要因の中でもとりわけ、それぞれの異なる部品のそれぞれの形状、熱伝導率及び熱容量に従って照明器具の異なる部品に伝搬し、放散される。この結果、時定数によって述べられることができ、本実施形態において補償ファクタの決定で考慮される時間依存性を生じる。ワイヤレス信号送信ユニット又はワイヤレス信号受信ユニットのそれぞれの温度に影響を与えることで温度関連効果の時間依存性を考慮することは、RSSI補償の精度を向上させる。どのくらいワイヤレストランスミッタ又はレシーバに関連する照明ユニット又は他の機能ユニットがオン状態で動作されているかに関する情報は容易に入手可能であり、斯くして、実際の温度を決定することなくRSSIの温度補償に対するより精細度の高いアプローチ(more granular approach)を可能にする。照明ユニットを組み込む別の実施形態では、動作ステータスデータは、代替的又は追加的に、好ましくは時間の関数として、発せられた光の強度レベルを示す。
【0021】
動作ステータスデータは、別の実施形態では、代替的又は追加的に、当該関連する機能を提供するデバイスのタイプを示す。照明デバイスがワイヤレストランスミッタとそれに関連する照明機能とを有する場合、動作ステータスデータは、例えば、対応する光源、照明器具又はエンクロージャを示し、これらはすべてRSSIに影響を与える可能性がある。また、動作ステータスデータは、特定の実施形態では、照明デバイスに組み込まれるコネクタのタイプを示す。なぜなら、異なるコネクタのタイプは、熱放散の観点で異なる特性を有するからである。例えば、GU10コネクタを使用して接続される照明デバイスは、大型のペンダント型照明器具よりも少ない熱を放散することが予想される。
【0022】
第1の態様の信号強度補償ユニットの別の実施形態では、ステータス決定ユニットは、追加的又は代替的に、ワイヤレス信号送信ユニット又はワイヤレス信号受信ユニットにおけるエアフローの量又は光強度の量を示す環境条件データの形態で動作条件データを把握するように構成される。これに対応して、補償パラメータ決定ユニットは、把握された環境条件データに依存して信号強度補償パラメータを決定し提供するように構成される。環境条件データは、一実施形態では、ワイヤレス信号送信ユニット又はワイヤレス信号受信ユニット直接でのエアフローの量又は光強度の量を示す。別の実施形態では、環境条件は、ワイヤレス信号送信ユニット又はワイヤレス信号受信ユニットで直接決定されていないが、それにもかかわらず、ワイヤレストランスミッタ及びワイヤレスレシーバが配置される近くの環境に影響を与えるので、それらのそれぞれの温度に影響を与えるのに適したエアフローの量又は光強度の量を示す。
【0023】
さらに別の実施形態では、ステータス決定ユニットは、追加的又は代替的に、既存の暖房、換気又は空調デバイス(HVACデバイスと称される)に対するワイヤレストランスミッタ又はワイヤレスレシーバの設置位置に関するレイアウトデータの形態で環境条件データを把握するように構成される。これも、RSSIの温度補償に対するより精細度の高いアプローチを提供する。斯くして、レイアウトデータは、ワイヤレストランスミッタがHVACアウトレットに対してどのように設置されるかを示す。斯くして、HVACの現在の動作状態を考慮することに加えて、環境条件データは、ワイヤレストランスミッタとHVACアウトレットとの間の距離量、ワイヤレスレシーバとHVACアウトレットとの間の距離量、又はこれらの両方を示す。
【0024】
受けたRSSIに組み込まれる温度の効果は、特定の実施形態では、HVACを介して流れが強いられるのとは対照的な、特定のエリアにおけるエアフローの量に基づいて間接的に推定される。エアフローの量の変化を引き起こし得る状況の非限定的な例としては、例えばオフィスの受付エリアに人が入るために、ドアが開かれること、例えば倉庫で配送トラックが入るために、ガレージのドアが開かれること、例えば部屋で換気のために、窓が開かれること、さらには、例えば野外駐車場等の現場及びエリアアプリケーションで自然の風が吹くこと等が挙げられる。これらの状況に起因する突風は、外部ワイヤレスレシーバのワイヤレス信号受信ユニット又は外部ワイヤレストランスミッタのワイヤレス信号送信ユニットの温度に大きな影響を与え、斯くして、受信信号強度インジケーション値を決定する際に変動/ミス検出を導入することができる。
【0025】
これらの効果は、例えば、限定されるものではないが、開/閉センサ又は風速センサ等、温度以外の外部センサの現在の状態に基づく、環境条件データに依存することにより有利に補償されことができる。
【0026】
別の実施形態では、レイアウトデータは、追加的又は代替的に、ワイヤレストランスミッタデバイス又はワイヤレスレシーバデバイスが設置される環境又は部屋の床又は天井に対するワイヤレストランスミッタデバイス又はワイヤレスレシーバデバイスの設置位置を示す。斯くして、この特定のレイアウトデータは、ワイヤレストランスミッタ又はレシーバデバイスが動作している高さに関する情報を提供する。高さは、ワイヤレストランスミッタ又はレシーバデバイスにおける温度に影響を与えることができる量であり、斯くして、この特定の実施形態は、RSSI値の温度補償のための増加した精細度(increased granularity)を提供する。一実施形態では、ワイヤレストランスミッタデバイス、ワイヤレスレシーバデバイス、又はこれらの両方は、照明ユニットを備える自在吊り照明器具(free-hanging luminaire)に含まれる。設置後のコミッショニングステップ中、自在吊り照明器具が設置される高さに関するレイアウト情報が、該照明器具又は照明制御デバイス等の外部デバイスに格納される。動作ステータスデータは、この実施形態では、高さ値も示し、強度補償パラメータは、前記高さの値に依存する。
【0027】
別の実施形態では、ステータス決定ユニットは、追加的又は代替的に、現在の日付及び時刻を示す時間データ(time data)の形態で動作条件データを把握するように構成される。これに対応して、補償パラメータ決定ユニットは、把握された時間データに依存して信号強度補償パラメータを決定し提供するように構成される。例えば、外部ワイヤレスレシーバのワイヤレス信号受信ユニット又は外部ワイヤレストランスミッタのワイヤレス信号送信ユニットのそれぞれの温度に影響を与えるのに適した熱的効果は、現在の日時を示す時間データを用いても推測されることができる。より好ましくは、時間データは、光が入ってくることに起因する温度変化の予想される量がどうであり得るかを決定するために、例えば光センサによって提供されるデータに基づく、環境条件データと一緒に使用され、時間データは、同様の明るさの量ではあるが、例えば夏及び冬の間の時間経過に伴う異なる角度について補正する。
【0028】
第1の態様の信号強度補償ユニットは、一部の実施形態では、必要な入力データを受け、温度補償された受信信号強度インジケーション値を示すその出力信号を提供するのに適した構成で接続されることができるスタンドアロンデバイスである。以下でより詳細に述べられる他の実施形態では、信号強度補償ユニットは、ワイヤレスレシーバ等の別のデバイスに組み込まれる。
【0029】
斯くして、本発明の第2の態様によれば、ワイヤレスレシーバデバイスが述べられる。ワイヤレスレシーバデバイスは、外部ワイヤレストランスミッタからワイヤレス信号を受信するように構成される信号レシーバユニットを含む。また、ワイヤレスレシーバデバイスは、受信したワイヤレス信号に関する受信信号強度インジケーション値を把握し提供するように構成される受信信号強度決定ユニットと、本発明の第1の態様又はその任意の実施形態による信号強度補償ユニットとを含む。第2の態様のワイヤレスレシーバデバイスでは、信号強度補償ユニットの入力インターフェースは、把握された受信信号強度インジケーション値を受けるように構成される。
【0030】
第2の態様のワイヤレスレシーバデバイスは、第1の態様による信号強度補償ユニットを含み、斯くして、その利点又はその任意の実施形態の利点を共有する。
【0031】
以下では、第2の態様のワイヤレスレシーバデバイスの実施形態が述べられる。
【0032】
一実施形態では、ワイヤレスレシーバデバイスは、追加的に、ワイヤレス信号を送信するように構成されるワイヤレストランスミッタを組み込み、斯くして、ワイヤレス信号受信機能性を含む、ワイヤレストランシーバデバイスと述べられることができる。
【0033】
好ましい実施形態では、信号レシーバユニットはさらに、ステータス決定ユニットによって把握されるべき動作条件データを示す動作条件信号を受信するように構成される。特定の実施形態では、動作条件信号は、ワイヤレス信号を受信するのにも適しているワイヤレスレシーバのワイヤレス信号受信ユニットを介してワイヤレスで受信される。別の実施形態では、動作条件信号は、有線接続を介して受信される。別の実施形態では、動作条件信号は、ワイヤレスで且つ有線接続を介して受信される。
【0034】
第2の態様による一実施形態では、ワイヤレスレシーバデバイスはさらに、複数の動作状態で動作されるように構成される機能ユニットを含む。機能ユニットは、例えば、照明機能又は暖房機能を実行するのに適している。さらに、ステータス決定ユニットは、機能ユニットの現在の動作状態を示す現在の動作状態データの形態で動作条件データを把握するように構成され、補償パラメータ決定ユニットは、現在の動作状態データに依存して信号強度補償パラメータを決定し提供するように構成される。
【0035】
本発明の第1の態様を参照して述べられた動作状態データの例は、第2の態様のワイヤレスレシーバデバイスにも適用可能である。
【0036】
ワイヤレスレシーバデバイスの一実施形態は、ワイヤレス信号受信ユニットの温度に影響を与えるのに適した複数の条件のうちの少なくとも1つに関連する少なくとも1つの信号強度補償パラメータを決定し提供するように構成される、補償パラメータ決定ユニットを含む。斯くして、ステータス決定ユニットは、有利なことに、ワイヤレスレシーバデバイスの信号受信ユニットの温度に影響を与えるのに適した少なくとも1つの現在の条件を示す動作条件データを把握するように構成される。
【0037】
本発明の第3の態様によれば、ワイヤレスネットワーク構成(wireless network arrangement)が述べられる。ワイヤレスネットワーク構成は、ワイヤレス信号を送信するように構成される少なくとも1つのワイヤレストランスミッタデバイスと、ワイヤレス信号を受信するように構成されるワイヤレスレシーバデバイスであって、受信したワイヤレス信号の受信信号強度を示す受信信号強度インジケーション値(RSSI)を把握し提供するように構成される受信信号強度決定ユニットを含む、ワイヤレスレシーバデバイスとを含む。ワイヤレスネットワーク構成はまた、本発明の第1の態様による信号強度補償ユニットであって、信号強度補償ユニットの入力インターフェースは、把握された受信信号強度インジケーション値をワイヤレスレシーバから受ける、信号強度補償ユニットを含む。斯くして、ワイヤレスネットワーク構成は、第1の態様の又はその任意の実施形態の信号強度補償ユニットの利点を共有する。
【0038】
ワイヤレスネットワーク構成は、好適なことに、ワイヤレスネットワーク構成を形成する異なるデバイスが動作される条件に関するコンテキストデータ(contextual data)であり、温度情報を含まない動作条件データを使用して、信号強度補償ユニットが受ける受信信号強度インジケーション値を、受信信号強度インジケーション値の量に組み込まれる予想される温度に起因する効果(expected temperature-caused effect)に対して補償する。
【0039】
以下では、第3の態様のワイヤレスネットワーク構成の実施形態が述べられる。
【0040】
ワイヤレスネットワーク構成の一実施形態では、ワイヤレスレシーバデバイスは、本発明の第2の態様によるワイヤレスレシーバデバイスではなく、一般的なワイヤレスレシーバデバイス又はワイヤレストランシーバデバイスである。別の実施形態では、信号強度補償ユニットは、ワイヤレスレシーバデバイスに組み込まれ、斯くして、この特定の実施形態のワイヤレスレシーバデバイスは、本発明の第2の態様及びその任意の実施形態にしたがう。
【0041】
本発明のワイヤレスネットワーク構成の一実施形態では、ワイヤレストランスミッタデバイス又はワイヤレスレシーバデバイスは、屋外又は屋内照明のための照明ユニットを含み、照明ユニットは、オフ動作モード及びオン動作モードを含む少なくとも2つの動作モードで動作可能である。この実施形態では、把握された動作条件データは、照明ユニットの現在の動作モードを示し、斯くして、照明ユニットが現在熱を発生し、ワイヤレストランスミッタのワイヤレス信号送信ユニットの温度に影響を与えているかどうかを示す。この場合、補償決定ユニットは、有利なことに、動作条件データに依存して、斯くして、照明ユニットの現在の動作モードに依存して温度補償された受信信号強度インジケーション値を決定するように構成される。
【0042】
別の実施形態では、動作条件データはさらに、照明ユニットによって発せられる現在の光強度、照明ユニットが現在の動作モードで動作されている期間、又は光強度及び期間の両方を示し、補償決定ユニットは、有利なことに、現在の光強度、期間、又は光強度及び期間の両方にさらに依存して温度補償された受信信号強度インジケーション値を決定するように構成される。
【0043】
さらに別の実施形態では、第3の態様のワイヤレスネットワーク構成はさらに、前記動作条件データを示す動作条件信号を提供するように構成されるセンサユニットを含む少なくとも1つの動作条件センシングユニットを含む。一実施形態では、動作条件データは、ワイヤレストランスミッタデバイス又はワイヤレスレシーバデバイスの現在の動作状態を示す動作ステータスデータの形態である。別の実施形態では、動作条件データは、代替的又は追加的に、ワイヤレス信号送信ユニット又はワイヤレス信号受信ユニットにおけるエアフローの量又は光強度の量を示す環境条件データの形態である。
【0044】
一実施形態では、センサユニットは、ドア又は窓が閉じた状態にあるか開いた状態にあるかを判断するための位置センサ、エアフロー若しくは風センサ、光強度センサ、又はそれらの任意の組み合わせを含む。特定の実施形態では、ワイヤレストランスミッタデバイス、ワイヤレスレシーバデバイス、又はワイヤレストランスミッタデバイス及びワイヤレスレシーバデバイスの両方は、それぞれの動作条件センシングユニットを含む。
【0045】
別の実施形態では、ワイヤレス通信ネットワークは、それぞれのワイヤレスレシーバデバイスに組み込まれる、スタンドアロンデバイスとして、又はこれらの両方で、複数の信号強度補償ユニットを含む。トラフィック及び計算資源の両方を制限するために、すべてのワイヤレス接続されるデバイスが信号強度決定及び補償に参加する必要はない。例えば、照明機能を実行するようにも構成され、斯くして、照明器具である、本発明の第2の態様による複数のワイヤレスレシーバを含むワイヤレスネットワーク構成において、RSSI値決定及び補償の期待される精細度/密度に応じて、照明器具の総数の一部のみであり得る。一般に、RSSIの補償を実行することができるが、動作中、アクティブにそうしないワイヤレスレシーバデバイスの一部が存在することになる。
【0046】
これは、有利なことに、ワイヤレストランスミッタデバイス又はワイヤレスレシーバデバイスが熱問題に直面している場合の代替物を提供する。例えば、ワイヤレスレシーバデバイスの1つである、オフィスの天井照明器具が、冬に温風を吹き出すHVAC出口の近くにある場合、前述の熱効果のすべてを考慮して決定された信号強度補償パラメータに基づいて温度補償された受信信号強度インジケーション値を提供するのではなく、ワイヤレスネットワーク構成は、好適なことに、受けたRSSIの補償を実行するためにワイヤレスレシーバデバイスの別の1つを選択することができる。この選択は、一実施形態では、以下の考慮事項の任意の組み合わせに基づいてワイヤレスネットワーク構成の制御デバイスによって実行される。
- 選択されたワイヤレスレシーバデバイスの動作状態と、破棄(discard)されたワイヤレスレシーバデバイスの動作状態との比較、
- 両ワイヤレスレシーバデバイスの使用に関する履歴データ、
- 例えば、より低い外部光が入ってくるエリアに設けられる等、間接的な側面に起因する予想される熱問題、又は
- 選択されたワイヤレスレシーバデバイスと、ワイヤレスネットワーク構成の他の関連するワイヤレスレシーバデバイス又はトランスミッタデバイスとの間の近接性に関するロケーション情報。
【0047】
ワイヤレスネットワーク構成の他の実施形態は、例えば、複数のワイヤレス接続される照明デバイスを含む照明器具等、すぐ近くに配置される複数のワイヤレスレシーバデバイスを含む。このような照明器具の非限定的な例は、1つの器具に複数の管状LED(TLED)を搭載する蛍光トロファ(fluorescent troffer)である。ワイヤレスネットワーク構成で動作するアプリケーションが照明器具から特定のルクスレベルを要求する場合、これは、TLEDの異なる調光レベルを適用することによって達成されることができる。ワイヤレスネットワークシステムのこの実施形態は、有利なことに、受けたRSSIの補償を行うために、及び熱によるRSSIの歪みを低減するために、現在最も低い出力パワーレベルで動作しているワイヤレスレシーバデバイスを選択する一方、すぐ近くにある他のワイヤレスレシーバデバイスはより高い光出力、斯くして、温度で動作するように構成される。
【0048】
本発明の第4の態様によれば、存在決定構成(presence-determination arrangement)が提示される。存在決定構成は、参照環境における外来物(foreign object)の存在を検出するのに適し、本発明の第3の態様によるワイヤレスネットワーク構成と、信号強度補償ユニットの補償決定ユニットから、温度補償された受信信号強度インジケーション値を示す出力信号を受信する、温度補償された受信信号強度インジケーション値が参照環境における外来物の存在と相関性がある(correlatable)かどうかを判断する、及び、このことを示す存在検出信号を提供するように構成される存在決定ユニットとを含む。
【0049】
存在決定構成は、受信信号強度インジケーション値の変動の分析が、人間又は物体の動き又は準静的な(semi-static)存在にマッピングされることができる特徴を検出するのに適しているという事実に基づいている。しかしながら、受けるRSSI値は、受けたRSSI値に影響を与える可能性のある物体又は人間の存在又は動きにのみ依存するわけではない。ワイヤレスレシーバのワイヤレス信号受信ユニット又はワイヤレストランスミッタのワイヤレス信号送信ユニットのそれぞれの温度に影響を与える条件の変化は、RSSIの温度に起因する偏差をもたらす。斯くして、存在決定構成は、ワイヤレス信号の温度補償された受信信号強度インジケーション値を提供するための第1の態様による信号強度補償ユニットを含む。これは、単に、温度値を決定する又は確認することを伴わない動作条件データに基づいて、ワイヤレスレシーバのワイヤレス信号受信ユニット又はワイヤレストランスミッタのワイヤレス信号送信ユニットのそれぞれの温度に影響を与えるのに適した条件を考慮するための間接的な温度補償を提供する。
【0050】
とりわけ単純な実施形態では、温度補償された受信信号強度インジケーション値が参照環境における外来物の存在と相関性があるかどうかの判断は、受けた温度補償された受信信号強度インジケーション値を、少なくとも1つの予め規定された条件の下での参照環境内のワイヤレス信号の送信に関連する所定の検出閾値と比較することを含む。他の実施形態では、温度補償された受信信号強度インジケーション値を使用する代替的なアルゴリズムが、存在決定ユニットによって使用される。一実施形態では、アルゴリズムは、所定の検出閾値も使用する。
【0051】
所定の検出閾値は、予め規定された条件の下でワイヤレスレシーバデバイスによって決定される受信信号強度インジケーション値に関する。予め規定された条件は、参照環境においてワイヤレス信号受信ユニット又はワイヤレス信号送信ユニットの温度に影響を与えることが予想される条件の値又は値の範囲を知ることを伴い、例えば、トランスミッタ若しくはレシーバの基準の動作状態、ワイヤレス信号送信ユニット若しくはワイヤレス信号受信ユニットにおける基準のエアフローの量又は基準の光強度の量、又は基準の1日若しくは1年のうちの時間の任意の組み合わせを含んでもよい。これらの基準値又は値範囲からのずれは、把握された動作条件データ及びそれぞれの信号強度補償パラメータに依存して、信号強度補償ユニットによって補償されることが可能である。
【0052】
本発明の第5の態様によれば、受信信号強度インジケーション値に影響を与える温度効果を間接的に考慮する温度補償された受信信号強度インジケーション値を提供するための信号強度補償ユニットを動作する方法が提供される。方法は、
外部ワイヤレスレシーバから、外部ワイヤレスレシーバによって外部ワイヤレストランスミッタから受信されるワイヤレス信号の受信信号強度インジケーション値を受けることと、
外部ワイヤレスレシーバのワイヤレス信号受信ユニット又は外部ワイヤレストランスミッタのワイヤレス信号送信ユニットのそれぞれの温度に影響を与えるのに適した少なくとも1つの現在の条件を示す動作条件データを把握することであって、動作条件データは、受信信号強度インジケーション値の量に組み込まれる外部ワイヤレスレシーバのワイヤレス信号受信ユニット又は外部ワイヤレストランスミッタのワイヤレス信号送信ユニットのそれぞれの温度によって及ぼされる効果を間接的にのみ示す、ことと、
信号強度補償パラメータを決定し提供することであって、信号強度補償パラメータは、ワイヤレス信号受信ユニット又はワイヤレス信号送信ユニットのそれぞれの温度に影響を与えるのに適した複数の条件のうちの少なくとも1つに関連する、ことと、
受けた信号強度インジケーション値、把握された動作条件データ、及び決定された信号強度補償パラメータを用いて、温度補償された受信信号強度インジケーション値を決定することと、
温度補償された受信信号強度インジケーション値を示す出力信号を提供することと、
を含む。
【0053】
斯くして、第5の態様の方法は、第1の態様の又はその任意の実施形態の信号強度補償ユニットの利点を共有する。
【0054】
本発明の第6の態様によれば、コンピュータプログラムが述べられる。コンピュータプログラムは、プログラムがコンピュータによって実行された場合、コンピュータに第5の態様の方法を実行させる命令を含む。
【0055】
請求項1に記載の信号強度補償ユニット、請求項5に記載のワイヤレスレシーバデバイス、請求項7に記載のワイヤレスネットワーク構成、請求項12に記載の存在決定構成、請求項13に記載の方法、及び請求項14に記載のコンピュータプログラムは、同様及び/又は同一の好適な実施形態、とりわけ、従属請求項に記載されるような実施形態を有し得ることを理解されたい。
【0056】
本発明の好ましい実施形態は、従属請求項又は上記の実施形態とそれぞれの独立請求項との任意の組み合わせであり得ることも理解されたい。
【0057】
本発明のこれらの及び他の態様は、以下に述べられる実施形態を参照して明らかになり、解明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0058】
図1図1は、存在決定構成の一部であるのに適したワイヤレスネットワーク構成の一実施形態を表す概略ブロック図を示す。
図2図2は、存在決定構成の一部であるのに適したワイヤレスネットワーク構成の別の実施形態を表す概略ブロック図を示す。
図3図3A~Dは、異なる受信信号強度インジケーション値につながる4つの異なる状況を概略的に示す。
図4図4は、存在決定構成の一部であるのに適したワイヤレスネットワーク構成の他の実施形態を表す概略ブロック図を示す。
図5図5は、信号強度補償ユニットを動作する方法の一実施形態を表すフロー図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0059】
図1は、存在決定構成160の一部であるのに適したワイヤレスネットワーク構成140の一実施形態を表す概略ブロック図を示している。ワイヤレスネットワーク構成は、ワイヤレス信号Wを送信するように構成される1つのワイヤレストランスミッタデバイス106を含む。ワイヤレスネットワーク構成はまた、ワイヤレス信号Wを受信するように構成されるワイヤレスレシーバデバイス104を含む。ワイヤレス信号は、所定のワイヤレス通信プロトコルに従って送られ、必ずしもワイヤレスレシーバデバイス104に宛てられない。実際、ワイヤレス信号の情報コンテンツは、存在決定構成には特に関係しない。ワイヤレスレシーバデバイス104は、受信したワイヤレス信号Wの受信信号強度を示す受信信号強度インジケーション値を把握し提供するように構成される受信信号強度決定ユニット103を含む。
【0060】
ワイヤレスネットワーク構成はまた、ワイヤレス信号Wの温度補償された受信信号強度インジケーション値を提供するための信号強度補償ユニット100を含む。信号強度補償ユニット100は、ワイヤレスレシーバデバイス104から、ワイヤレスレシーバデバイスによってワイヤレストランスミッタデバイス106から受信されるワイヤレス信号Wの受信信号強度インジケーションRSSI値を受けるための入力インターフェース102を含む。信号強度補償ユニット100はまた、ワイヤレスレシーバデバイスのワイヤレス信号受信ユニット105又はワイヤレストランスミッタデバイスのワイヤレス信号送信ユニット107のそれぞれの温度に影響を与えるのに適した少なくとも1つの現在の条件を示す動作条件データを把握するように構成されるステータス決定ユニット108を含む。したがって、動作条件データは、受信信号強度インジケーション値の量に組み込まれるワイヤレス信号受信ユニット105又はワイヤレス信号送信ユニット107のそれぞれの温度によって及ぼされる効果を間接的にのみ示す。
【0061】
さらに、信号強度補償ユニット100は、信号強度補償パラメータを決定し提供するように構成される、補償パラメータ決定ユニット110を含み、信号強度補償パラメータは、ワイヤレス信号受信ユニット又はワイヤレス信号送信ユニットのそれぞれの温度に影響を与えるのに適した複数の条件のうちの少なくとも1つに関連する。さらに、信号強度補償ユニット100は、受けた受信信号強度インジケーション値、確認された動作条件データ、及び決定された信号強度補償パラメータを用いて、温度補償された受信信号強度インジケーション値を決定する、及び、温度補償された受信信号強度インジケーション値を示す出力信号Soutを提供するように構成される補償決定ユニット114を含む。
【0062】
ステータス決定ユニット108は、有利なことに、動作条件データを示す動作条件信号SOCを受信するように構成される。動作条件信号は、この特定の例示的なワイヤレスネットワーク構成140では、ワイヤレストランスミッタデバイス106及びワイヤレスレシーバデバイス104によって部分的に提供される。追加的に、又は代替的に、動作条件信号又はその一部は、動作条件センシングユニット116、又は、例えば、ワイヤレスネットワーク構成のスイッチングユニット、ルータ又はハブ等、ネットワーク構成制御デバイス117によって提供されることができる。
【0063】
ワイヤレストランスミッタデバイス106によって提供される動作条件信号SOCの一部は、例えば、外部ワイヤレストランスミッタの現在の動作状態を示す動作ステータスデータを含んでもよい。追加的に、又は代替的に、ワイヤレス信号送信ユニット107におけるエアフローの量若しくは光強度の量を示す環境条件データ、及び/又は、現在の日付及び時刻を示す時間データが含まれてもよい。
【0064】
これに対応して、ワイヤレスレシーバデバイス104によって提供される動作条件信号SOCの一部は、例えば、外部レシーバの現在の動作状態を示す動作ステータスデータを含んでもよい。追加的に、又は代替的に、ワイヤレス信号受信ユニット105におけるエアフローの量若しくは光強度の量を示す環境条件データ、及び/又は、現在の日付及び時刻を示す時間データが含まれてもよい。
【0065】
また、動作条件センシングユニット116によって提供される動作条件信号SOCの一部は、ワイヤレストランスミッタデバイス106、ワイヤレスレシーバデバイス104又はこれらの両方に関する動作ステータスデータ、環境条件データ、又は時間データを含んでもよい。
【0066】
動作条件信号SOC、又はその一部は、ワイヤレストランスミッタデバイス、ワイヤレスレシーバデバイス、又は動作条件センシングユニット116によってステータス決定ユニットに直接提供されることができる。代替的に、動作条件信号、又はその一部は、ネットワークワイヤレス構成を監視する、及び、ワイヤレス信号受信ユニット105又はワイヤレス信号送信ユニット107のそれぞれの温度に影響を与えるのに適した条件のうちの1つ以上の条件の現在のステータスを把握するように構成される、ネットワーク構成制御デバイス117によって提供されることができる。
【0067】
出力信号Soutは、有利なことに、存在決定構成160の存在決定ユニット118に提供されることができる。存在決定ユニットは、トランスミッタデバイス及びレシーバデバイスが設置される所定の参照環境における外来物の存在を検出するように構成される。決定された受信信号強度インジケーション値は、とりわけ、それらが設置される環境、すなわち、壁又は他の物体のロケーション、それらが作られている材料等に依存する。参照環境における外来物の存在は、ワイヤレスレシーバデバイスによって決定される受信信号強度インジケーション値に変化を引き起こし得る。斯くして、存在決定ユニットは、信号強度補償ユニット100の補償決定ユニット114から、温度補償された受信信号強度インジケーション値を示す出力信号を受信するように構成される。この場合、存在決定ユニットは、例えば、受けた温度補償された受信信号強度インジケーション値を、少なくとも1つの予め規定された条件の下での参照環境内のワイヤレス信号の送信に関連する所定の検出閾値と比較することにより、温度補償された受信信号強度インジケーション値が参照環境における外来物の存在と相関性があるかどうかを判断するように構成される。
【0068】
少なくとも1つの現在の状況(例えば、動作状態、環境条件、日時等)の値の、当該状況のそれぞれの基準値に対する所定のそれぞれのずれ閾値(deviation threshold)よりも大きなずれは、温度補償された受信信号強度インジケーション値をもたらすことになる受信信号強度インジケーション値の値を変化させるそれぞれの信号強度補償パラメータの提供をもたらし、参照環境における外来物の存在又は不在に起因する効果が、より容易に識別可能である。
【0069】
この場合、存在決定ユニットは、前記比較に依存して存在検出信号を提供するように構成される。これは、図3A~Dに示される例を参照してさらに説明される。
【0070】
図2は、存在決定構成260の一部であるのに適したワイヤレスネットワーク構成240の別の実施形態を表す概略ブロック図を示している。以下の議論は、図1のワイヤレスネットワーク構成140と図2のワイヤレスネットワーク構成240との間の相違点に焦点を当てる。変更されていないそれらの特徴は、図1のワイヤレスネットワーク構成140については「1」であり、図2のワイヤレスネットワーク構成240については「2」である、最初の桁を除いて同じ参照数字を使用して参照されている。
【0071】
ワイヤレスネットワーク構成において、信号強度補償ユニット200は、ワイヤレス受信デバイスの一体部分を形成するワイヤレスレシーバデバイス250に組み込まれる。ワイヤレスレシーバデバイス250は、ワイヤレストランスミッタデバイス206からワイヤレス信号Wを受信するように構成される信号レシーバユニット252を含む。ワイヤレスレシーバデバイス250はまた、受信したワイヤレス信号に関する受信信号強度インジケーション値RSSIを把握し提供するように構成される受信信号強度決定ユニット254を含む。ワイヤレスレシーバデバイス250はさらに、信号強度補償ユニット200を含み、信号強度補償ユニット200の入力インターフェース202は、把握された受信信号強度インジケーション値RSSIを受ける。
【0072】
信号強度補償ユニットは、ワイヤレス信号受信ユニット205又はワイヤレス信号送信ユニット207のそれぞれの温度に影響を与えるのに適した少なくとも1つの現在の条件を示す動作条件データを把握するように構成されるステータス決定ユニット208を含む。
【0073】
また、信号受信ユニット252は、動作条件信号SOCを、ワイヤレストランスミッタデバイス206から、動作条件センシングユニット216から、ネットワーク構成制御デバイス217から、又はそれらの任意の組み合わせから受信するように構成される。動作状況信号SOC又はその一部は、ワイヤレス信号受信ユニットを介してワイヤレスで、有線接続を介して、又はワイヤレス信号受信ユニット及び有線接続の両方を介して受信されることができる。追加的に、ワイヤレス信号受信ユニット205の温度に影響を与えるのに適した条件の動作条件データは、例示的なワイヤレスレシーバデバイスでは、動作条件信号SOCに基づかず、ステータス決定ユニット208によって直接把握される。
【0074】
さらに、破線で示されるように、ワイヤレスレシーバデバイスは、追加的に、複数の動作状態で動作されるように構成される機能ユニット256を含む。この特定の場合、補償パラメータ決定ユニット210はさらに、機能ユニットの現在の動作状態を示す現在の動作状態データの形態で動作条件データを把握する、及び、現在の動作状態データに依存して信号強度補償パラメータを決定するように構成される。
【0075】
例示的な構成では、機能ユニット256は、屋外又は屋内照明のための照明ユニットであり、照明ユニットは、オフ動作モード及びオン動作モードを含む少なくとも2つの動作モードで動作可能である。ここで、把握された動作条件データは、照明ユニットの現在の動作モードを示す。
【0076】
また、ワイヤレストランスミッタデバイスは、例えば、照明ユニット又は暖房ユニット等、機能ユニットを含むことができる。
【0077】
ワイヤレスレシーバデバイス又はワイヤレストランスミッタデバイスの機能ユニットの動作モードは、後述されるように、それぞれのワイヤレス信号受信ユニット又はワイヤレス信号送信ユニットの温度に影響を与え、斯くして、RSSI値に影響を与えることができる。
【0078】
図3A~Dは、異なる受信信号強度インジケーション値につながる4つの異なる状況を概略的に示している。図3A~Dは、信号強度補償ユニット(図示せず)を含むワイヤレスレシーバデバイス304とワイヤレストランスミッタデバイス306とを含むワイヤレスネットワーク構成340を示す。一般に、ワイヤレストランスミッタデバイス106、206、306及びワイヤレスレシーバデバイス104、204、304の両方は、ワイヤレス信号を受信及び送信するように構成される、ワイヤレストランシーバであることもできる。ワイヤレストランスミッタデバイス306及びワイヤレスレシーバデバイス304の両方は、部屋等、所定の参照環境における既知の固定位置に設置される。
【0079】
ワイヤレストランスミッタデバイス306は、照明ユニット356の形態の機能ユニットを含む。照明ユニットは、照明ユニットが照明のために光を発する、オン動作モードと、照明ユニットが光を発しない、オフ動作モードとを含む異なる動作モードで動作されることができる。図3A及び図3Cは、照明ユニット356がオフ動作モードで動作されていることを示し、図3B及び図3Dは、照明ユニット356がオン動作モードで動作されていることを示す。照明ユニット356及びワイヤレス信号送信ユニット307は互いに近くに位置しているため、照明ユニットがオン動作モードで動作される場合、ワイヤレス信号送信ユニットの温度は、照明ユニットがオフ動作モードにある場合の温度と比較して上昇する。照明ユニットがオフ動作モードで動作される場合、ワイヤレス信号送信ユニット307の定常温度は、Tによって与えられる。照明ユニットがオン動作モードにある場合、ワイヤレス信号送信ユニットの定常温度は、Tによって与えられる。
【0080】
受信信号強度インジケーション値RSSIの決定は、温度の関数として逸脱する(deviate)ことが知られている。これは、例えば、トラックアンテナの長さの変動につながる基板の膨張、選択されたバンドの中心周波数に対してずれたキャリア周波数につながるRFマッチング回路、水晶等の部品の値のサーマルシフト(thermal shift)等に起因し得る。場合によっては、変動は、ホット又はコールドエアーの局所的なポケット(localized pocket)にも起因し得る。RSSIの変化を引き起こすのに適した別の効果は、人間又は物体が存在しない基準状況と比較して、ワイヤレス信号Wのエネルギの一部を吸収し得る人間又は物体358の存在である。物体358は、図3C及び図3Dに示されている。これは、有利なことに、受けるRSSI値を用いて、受けるRSSI値と物体の存在がないことを示す基準RSSI値とを比較することにより、物体の存在を検出するために使用されることができる。
【0081】
しかしながら、上記で説明されたように、ワイヤレス信号送信ユニット307又はワイヤレス信号反射ユニットに影響を与える温度変化は、ワイヤレスレシーバデバイス305によって決定されるRSSI値も変更することができ、RSSI値の温度に起因する変化に対する補償が、物体の検出のための決定されたRSSI値の有意性を高めるために必要とされる。
【0082】
図3Aは、ワイヤレス信号送信ユニット307がその定常温度Tになるのに十分な長さの時間、照明ユニットがオフ状態になっている状況を示している。ワイヤレストランスミッタデバイスは、所定の信号強度を有するワイヤレス信号を供給する。ワイヤレス信号Wは、ワイヤレスレシーバデバイス304で受信され、とりわけ、ワイヤレス信号送信ユニット307の温度及び参照環境に依存するRSSI値RSSIが決定される。図3Cに示されるケースでは、物体358が、参照環境に入る。図3Aに示されるケースではワイヤレスレシーバデバイスに届く、ワイヤレス信号Wの信号エネルギの一部が、物体358によって吸収される。したがって、ワイヤレスレシーバデバイス304で受信されるワイヤレス信号は、図3Aに示されるケースより少ない信号エネルギを有し、決定されたRSSI値RSSIは、物体358がなかった場合に決定されるRSSI値、すなわち、RSSIよりも低くなる。
【0083】
斯くして、図1及び2の存在決定ユニット118又は218等の存在決定ユニットは、所定の検出閾値として、RSSIに基づく値、例えば、その値自体又は許容マージンを含む値を有し、決定されたRSSI値RSSIと所定の検出閾値とを比較して、参照環境に新たな物体又は外来物が存在するかどうかを判断することができる。
【0084】
しかしながら、ワイヤレスレシーバデバイスで決定される受信信号強度インジケーション値に対する同様の効果は、図3Bに示されるように、ワイヤレス信号送信ユニット307の温度の変化によってもたらされることができる。ここで、照明ユニット356は、ワイヤレス信号送信ユニットがTによって与えられる定常温度に到達しているのに十分な長さの期間、オン動作状態で動作されている。ワイヤレストランスミッタデバイスは、ワイヤレス信号送信ユニットの上昇した温度に起因して図3Aに示されるケースよりも低い信号強度を有するワイヤレス信号を送信する。参照環境は図3Aの参照環境と同じであるため、ワイヤレスレシーバデバイス305で決定される受信信号強度インジケーション値RSSIは、図3Aに示されるケースよりも低くなる。
【0085】
ワイヤレスレシーバデバイスの信号強度補償ユニットは、ワイヤレス信号送信ユニット307の温度に影響を与えるのに適した少なくとも1つの現在の条件を示す動作条件データを把握する。斯くして、動作条件データは、受信信号強度インジケーション値RSSIの量に組み込まれるワイヤレス信号送信ユニット307の温度によって及ぼされる効果を間接的にのみ示す。ステータス決定ユニットは、例えば、ワイヤレストランスミッタデバイス(図示せず)によって提供される動作条件信号に基づいて、照明ユニット356がオン動作モードであることを把握する。補償パラメータ決定ユニットは、照明ユニット356がオン動作状態にあることに関連する信号強度補償パラメータFを決定し、補償決定ユニットは、受けた信号強度インジケーション値RSSIと、決定された信号強度補償パラメータFとを用いて、温度補償された受信信号強度インジケーション値を決定し、この場合、この温度補償された受信信号強度インジケーション値は、存在決定ユニットによって、参照環境に新たな物体又は外来物が存在するかどうかを判断するために所定の検出閾値と比較されるのに適している。この場合、例えば、ファクタFは、RSSIの値を、ワイヤレス信号送信ユニットにおいて照明ユニットがオン動作状態であることによる温度効果に対して補償するために適用される場合、RSSIとして所定の検出閾値により近い温度補償された受信信号強度インジケーション値をもたらす。斯くして、この場合、存在決定ユニットは、存在が検出されていないことを示す存在検出信号を提供することになる。
【0086】
図3Dに示されるケースでは、ワイヤレスレシーバデバイス304によって決定される受信信号強度インジケーション値RSSIは、図1Aのケースで示されるRSSIの値と比較して、2つの異なる現象によって影響を受けている。一方では、ワイヤレス信号送信ユニット307は、提供された信号の信号強度に影響を与える、照明ユニットがオン動作モードで動作されていることに起因してより高い温度Tにある。他方では、参照環境に属さない、物体358の存在が、ワイヤレスレシーバデバイス304で決定されるRSSI値RSSIの低下を引き起こしている。信号強度補償ユニットは、有利なことに、照明ユニットがオン動作モードにあることを示す把握された動作条件データに基づいて、ワイヤレス信号送信ユニット307の実際の温度を決定することなく、決定された受信信号強度インジケーション値RSSIに対するTからTへ温度の上昇の予想される効果を補償するように構成される。
【0087】
同様のことは、ワイヤレス信号受信ユニット305(図示せず)の温度に起因する変化にも当てはまる。ワイヤレスレシーバデバイスはさらに、機能ユニットを含むことができ、機能ユニットの動作状態は、ワイヤレス信号受信ユニット305の温度に影響を与え得る。
【0088】
より精細度の高いアプローチが、例えば、照明ユニットによって発せられる光の異なる光強度量に対するそれぞれの信号強度補償関数を用い、強度量が高いほど温度効果が高くなることを考慮することによって実現されることができる。追加的に、又は代替的に、どのくらいの時間照明ユニットが現在の動作状態で動作されているかを示す動作条件データは、照明ユニットの動作モードの変更後の温度の増加又は減少の時定数を考慮するので、増加した精細度を提供する。
【0089】
さらに、とりわけ、HVACアウトレット等のホットエア又はコールドエア源に対する、参照環境におけるワイヤレストランスミッタデバイス及びワイヤレスレシーバデバイスの実際のポジショニング、又は、例えば開いた窓等、温度が1日又は1年の時間に統計的に依存する風源の実際のポジショニングは、ワイヤレス信号受信ユニット又はワイヤレス信号送信ユニットの温度に影響を与えることができる。
【0090】
有利なことに、上述の量(動作モード、光強度、エアフロー、一日又は一年の時間、それらの組み合わせ)のそれぞれの値又は値範囲に関連する信号強度補償パラメータは、信号強度補償ユニットの記憶ユニット又は他の外部デバイスに記憶されることができる。
【0091】
図4は、ネットワーク構成制御デバイスとして構成されるワイヤレストランシーバデバイス417と、照明機能ユニットも含む受信信号強度インジケーション値に関するワイヤレスレシーバデバイスである複数のワイヤレストランシーバデバイス404.1、404.2、及び404.3とを含むワイヤレスネットワーク構成440の別の実施形態の概略図を示している。ワイヤレスレシーバデバイスの各々は、信号強度補償ユニット(図示せず)を含み、各々は、各信号強度補償ユニットによって決定されるそれぞれの温度補償された受信信号強度インジケーション値を示すそれぞれの出力信号を提供するように構成される。
【0092】
ワイヤレスネットワーク構成のデバイスが設置される参照環境には、動作される場合、環境にホットエアフローを提供するように構成されるHVACアウトレット459がある。HVACアウトレットは、動作される場合、ホットエアフローが、ワイヤレスレシーバデバイス404.2及び404.3の温度T及びTよりも顕著にワイヤレスレシーバデバイスのワイヤレス信号受信ユニットの温度Tに影響を与えるようにワイヤレスレシーバデバイス404.1の近傍に配置されている。動作条件データは、HVACアウトレット459が現在ホットエアフローを提供しているか否かを示す。この特定の構成では、ネットワーク構成制御デバイスは、ワイヤレスレシーバデバイス404.1に対して、温度補償された受信信号強度インジケーション値を提供するのを停止するように、又は、この特定のワイヤレスレシーバデバイスによって提供される温度補償された受信信号強度インジケーション値を無視し、ワイヤレスレシーバデバイス404.2又は404.3によって決定され提供されるもののみを使用するように指示することができる。
【0093】
ワイヤレスレシーバデバイス404.2及び404.3は、単一の器具に配置される照明デバイスであり、ゆえに、アプリケーションが特定の光強度レベルを望む場合、これは、例えばネットワーク構成制御デバイスによって設定される個々の照明ユニットの異なる調光レベルを適用することによって達成されることができる。有利なワイヤレスネットワーク構成では、ネットワーク構成制御デバイス417は、温度補償された受信信号強度インジケーション値を現在提供している特定のワイヤレスレシーバデバイス404.2又は404.3に最高の調光レベルを設定するように構成される。斯くして、温度補償された受信信号強度インジケーション値の決定は、RSSI値の熱に起因する歪みを減少させるためにより低い出力パワーレベルで動作しているワイヤレスレシーバデバイスによって実行され、一方、同じ器具内の他の照明ユニットは、より高い光出力、したがって、温度で動作する。
【0094】
図5は、ワイヤレス信号の温度補償された受信信号強度インジケーション値を提供するための信号強度補償ユニットを動作する方法500の一実施形態のフロー図を示している。方法は、ステップ502において、外部ワイヤレスレシーバから、外部ワイヤレスレシーバによって外部ワイヤレストランスミッタから受信されるワイヤレス信号の受信信号強度インジケーションRSSI値を受けることを含む。方法はまた、ステップ504において、外部ワイヤレスレシーバのワイヤレス信号受信ユニット又は外部ワイヤレストランスミッタのワイヤレス信号送信ユニットのそれぞれの温度に影響を与えるのに適した少なくとも1つの現在の条件を示す動作条件データを把握することであって、斯くして、動作条件データは、受信信号強度インジケーション値の量に組み込まれる外部ワイヤレスレシーバのワイヤレス信号受信ユニット又は外部ワイヤレストランスミッタのワイヤレス信号送信ユニットのそれぞれの温度によって及ぼされる効果を間接的にのみ示す、ことを含む。方法500はまた、ステップ506において、信号強度補償パラメータを決定し提供することであって、信号強度補償パラメータは、ワイヤレス信号受信ユニット又はワイヤレス信号送信ユニットのそれぞれの温度に影響を与えるのに適した複数の条件のうちの少なくとも1つに関連する、ことを含む。
【0095】
方法500はまた、ステップ508において、受けた信号強度インジケーション値、把握された動作条件データ、及び決定された信号強度補償パラメータを用いて、温度補償された受信信号強度インジケーション値を決定することを含む。最後に、方法500は、ステップ510において、温度補償された受信信号強度インジケーション値を示す出力信号を提供することを含む。
【0096】
要約すると、本発明は、外部ワイヤレスレシーバによって外部ワイヤレストランスミッタから受信されるワイヤレス信号の温度補償された受信信号強度インジケーション値を提供するための信号強度補償ユニットに関する。信号強度補償ユニットは、外部ワイヤレスレシーバのワイヤレス信号受信ユニット又は外部ワイヤレストランスミッタのワイヤレス信号送信ユニットのそれぞれの温度に影響を与えるのに適した少なくとも1つの現在の条件を示す動作条件データを把握するように構成されるステータス決定ユニットと、ワイヤレス信号受信ユニット又はワイヤレス信号送信ユニットのそれぞれの温度に影響を与えるのに適した1つ以上の条件に関連する信号強度補償パラメータを決定し提供する、及び、温度値を直接決定することなく、これに基づいて温度補償された受信信号強度インジケーション値を決定するように構成される補償パラメータ決定ユニットとを含む。
【0097】
図面、本開示、及び添付の請求項の検討によって、開示される実施形態に対する他の変形形態が、当業者により理解されることができ、また、特許請求される発明を実施する際に実行されることができる。
【0098】
請求項では、単語「含む(comprising)」は、他の構成要素又はステップを排除するものではなく、不定冠詞「1つの(a)」又は「1つの(an)」は、複数を排除するものではない。
【0099】
単一のユニット又はデバイスが、請求項において列挙される、いくつかの項目の機能を果たしてもよい。特定の手段が、互いに異なる従属請求項内に列挙されているという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが、有利に使用され得ないことを示すものではない。
【0100】
コンピュータプログラムは、他のハードウェアと共に、又は他のハードウェアの一部として供給される、光学記憶媒体又は固体媒体等の、好適な媒体において記憶/頒布されてもよいが、インターネット、又は他の有線若しくは無線の電気通信システム等を介して、他の形態で頒布されてもよい。
【0101】
請求項中のいかなる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5