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  • 特許-型板 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-28
(45)【発行日】2022-07-06
(54)【発明の名称】型板
(51)【国際特許分類】
   B22D 11/055 20060101AFI20220629BHJP
【FI】
B22D11/055 A
B22D11/055 B
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021508278
(86)(22)【出願日】2019-08-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-16
(86)【国際出願番号】 DE2019100732
(87)【国際公開番号】W WO2020064045
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-08-23
(31)【優先権主張番号】102018123948.3
(32)【優先日】2018-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】522212088
【氏名又は名称】ケイエムイー・スペシャル・プロダクツ・アンド・ソリューションズ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(74)【代理人】
【識別番号】100221981
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 大成
(72)【発明者】
【氏名】ロルフ・トーマス
【審査官】池田 安希子
(56)【参考文献】
【文献】独国特許発明第102016124801(DE,B3)
【文献】特開2006-218536(JP,A)
【文献】特開平09-122834(JP,A)
【文献】実開昭63-157452(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 11/00-11/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋳造側(2)と、鋳造側(2)とは反対の背側(3)とを有する型板であって、背側(3)へ向けて開放された少なくとも1つの冷却通路(4,5)が背側(3)に配置されており、冷却通路(4,5)の流れ断面を低減するために、インサート(6~10)が冷却通路(4,5)に配置されている、型板において、
インサート(6~10)が閉鎖位置から開放位置へ旋回運動可能であるように、インサート(6~10)が旋回運動可能に型板(1)に固定されていることを特徴とする型板。
【請求項2】
インサート(6~10)の旋回運動のための旋回軸線()が、冷却通路(4,5)の長手方向(L)に対して垂直であることを特徴とする請求項1に記載の型板。
【請求項3】
インサート(6~10)が閉鎖位置から開放位置に下方へ旋回可能であるように、旋回軸線(S)が型板(1)の下端部に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の型板。
【請求項4】
背側(3)には、インサート(6~10)を閉鎖位置に保持するロック手段(11)が配置されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の型板。
【請求項5】
1つのロック手段(11)を用いて、隣り合う複数のインサート(6~10)を同時に閉鎖位置に固定可能であることを特徴とする請求項4に記載の型板。
【請求項6】
インサート(6~10)が、閉鎖位置において、その内面(21)でもって、冷却通路(4,5)の、鋳造側(2)とは反対の冷却面(20)に部分的に接触し、その結果、冷却面(20)と内面(21)の間に少なくとも1つの冷却隙間が形成されていることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の型板。
【請求項7】
インサート(6~10)が、その内面(21)において少なくとも1つの溝(22)を備えており、閉鎖位置では、型板(1)のウェブ(23)が溝にはまり込み、その結果、隣り合うウェブ(23)間に、インサート(6~10)と型板(1)の間の冷却隙間が生じることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の型板。
【請求項8】
インサート(6~10)が、取外し可能に型板(1)に結合されていることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の型板。
【請求項9】
インサート(6~10)と型板(1)の間に結合要素(24)が配置されていることを特徴とする請求項1~8のいずれか1項に記載の型板。
【請求項10】
結合要素(24)が、インサート(6~10)及び型板(1)に結合されたヒンジであることを特徴とする請求項9に記載の型板。
【請求項11】
旋回可能なインサート(6~10)が、冷却通路(4,5)に配置された突起部(12)のための少なくとも1つの貫通部(13)を備えており、突起部が、インサート(6~10)の閉鎖位置において貫通部(13)にはまり込むことを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の型板。
【請求項12】
型板(1)の固定点(16)が、隣り合うインサート(6~10)の間に配置されていることを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の型板。
【請求項13】
インサート(6~10)が、その長手方向側面(14)において、少なくとも1つのくぼみ部(15)を備えていることを特徴とする請求項12に記載の型板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分における特徴を有する型板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば薄スラブ連続鋳造設備のような連続鋳造のための鋳型は、水冷される型板を有している。型板は、特に伝導性の銅合金で構成されている。連続鋳造時には、かなりの熱負荷が型板内に生じる。冷却水は、1/10秒よりも短い間に、高い水圧によってのみ部分的に冷却水の沸騰を回避できるほど大きく加熱される。高温の冷却水及び大きな水量により、カルキ及び冷却水に溶解した他の成分が型板の冷却されるべき壁に堆積(沈殿)する。当該堆積物は、隔離的(断熱的)な作用を有するとともに、型板からの排熱にネガティブな影響を与えるものである。薄い堆積でも、型板の温度は当該範囲において高まり、これは、銅材料の軟化につながり得る。定期的な管理及び洗浄サイクルにより、堆積をわずかに維持することができ、あるいは必要に応じて除去することが可能である。洗浄サイクルは、型板の冷却面に到達するように、型板の取外しを伴うものである。
【0003】
冷却孔を有する型板の場合には、洗浄のために、孔をふさぐ栓を除去する必要がある。開放された孔は、酸ですすがれる。その後、全ての栓が再び取り付けられ、型板は、密閉度についてチェックされる必要がある。後方へ向けて開放した冷却通路を有する型板では、冷却通路の局所的な断面を低減するために、しばしばインサート部材が存在する。当該インサート部材は、洗浄のために個別にねじをゆるめて取り外される必要がある。このことは、大きな時間コストにつながるだけではない。これは、組立時に部材を忘れたり、又は取り違えてしまったりするというおそれもある。このことは、鋳造プロセスにおいて型板の破壊につながることがある。
【0004】
特許文献1には、固定のために複数の固定点を背側に備えた型板が開示されている。型板は、冷却通路に配置された背側のインサートを有している。インサートは、ウェブにおいて支持されているとともに、背側の高さまで延在している。インサートにより、隣接する冷却スリット内での流速が大きく高まる。インサートは、ネジ結合部を介して、及び部分的にクランプを介して背側において保持されている。
【0005】
特許文献2には、連続鋳造鋳型の型壁が開示されている。型内板は、ウォータケースに向いた側において、その間に延びる溝を有するウェブを有しており、溝内には、充填ピースが配置されている。型板をウォータケースに固定するために、溝がアンダーカット部を備えており、充填ピースが結合要素を備えており、充填ピースが取外し可能にアンダーカット部に係合し、ネジ結合部が充填ピースとウォータケースの間に配置されているようになっている。
【0006】
特許文献3には、幅側の背側における少なくとも1つの溝状の冷却通路を有する漏斗鋳型の型幅側が開示されている。冷却通路のほかに、型幅側の背側には凹部が設けられており、凹部を部分的に閉鎖する充填ピースが設けられている。凹部は、冷却通路の長手方向におけるその延長において冷却通路の一部分へ限定されている。凹部は、この方向において、長方形状の、及び/又はくさび状の断面を有している。これにより、型幅側における冷却通路の深さを、交差する凹部の範囲において段状に、及び/又は線形に変更すべきであるとともに、対応する充填ピースで埋めるべきである。
【0007】
特許文献4には、型板が固定ピンを用いてアダプタプレート又はウォータケースに結合されている、金属を連続鋳造するための、液体で冷却された鋳型が開示されている。固定ピンは、型板の冷却媒体側からアイランド状に突出したプラットフォームベースに固定されており、当該プラットフォームベースは、型板又はアダプタプレートあるいはウォータケースの間に形成された冷却媒体隙間内へ少なくとも部分的に突出しているとともに、冷却媒体の流れ方向に適合した流線状の形状を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】独国特許発明第102016124801号明細書
【文献】独国特許出願公開第19842674号明細書
【文献】欧州特許出願公開第1757385号明細書
【文献】独国特許出願公開第10237472号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の基礎となる課題は、背側において、インサートを有する、背側へ開放した冷却通路を備えた型板であって、インサートの範囲におけるメンテナンス作業が容易となる型板を提供することにある。
【0010】
当該課題は、請求項1の特徴を有する型板において解決される。
【0011】
従属請求項は、本発明の有利な発展形態に関するものである。
【0012】
本発明による型板は、鋳造側と、鋳造側とは反対の背側とを有している。背側には、背側へ開放した少なくとも1つの冷却通路が配置されている。冷却通路の流れ断面を縮小し、冷却水の流速を高めるために、冷却通路にはインサートが配置されている。流れ断面は、完全にブロックされるわけではなく、インサートに隣接した流入及び流出が阻害されないままであり、さらに、流入開口部と流出開口部の間で、冷却水を貫流させるための所望の冷却隙間が利用可能であるように、縮小される。
【0013】
本発明においては、インサートは旋回運動可能に型板に固定されるようになっている。
【0014】
少なくとも1つのインサートの旋回運動可能な固定は、検査、メンテナンス及び洗浄のためのインサートが折り畳まれることができるという利点を有している。これにより、一方では、型板の冷却側への阻止されないアクセスが可能となる。同時に、インサートの折畳みによって、インサートの内側が視認可能であるとともにアクセス可能であり、同様に容易に洗浄されることも可能である。別の利点は、旋回運動可能なインサートが基本的に型板に維持されることである。インサートはなくなることがない。これは、本質的な安全性向上である。なぜなら、型板の組立時の取付エラーが起きないためである。
【0015】
本発明による型板は、好ましくは複数の冷却通路を有しており、これに対応して複数のインサートも有している。例えば薄スラブ連続鋳造のための型板は、取付位置では、溶融物の重力により本質的に垂直に配置されている。好ましくは、冷却通路は、鋳造方向に対して平行に、すなわち型板の上端部から型板の下端部へ延びている。インサートの旋回軸線が少なくとも1つの冷却通路の長手方向に対して垂直となっていれば特に有利であるとみなされる。これにより、インサートは、長手方向において冷却通路内へ旋回されることが可能である。これにより、操作が単純化される。通常、冷却通路は幅よりも本質的に長いため、旋回軸線は、これによってより短くなる。
【0016】
特に、旋回軸線は、型板の下端部に配置されている。下端部における特に水平な旋回軸線によって、インサートが閉鎖位置から開放位置に下方へ折り畳まれることが可能である。重力により、インサートは自動的に開放位置に保持される。上側の旋回軸線では必要となるであろう、又は他の方向に向いた旋回軸線の場合のような、インサートの支持は不要である。洗浄の目的のために、インサートを有する型板は、機械工の前で、開かれた本、そのページのように配置されているか、あるいはインサートが下方へ折り畳まれている。好ましくは、インサートは、90°を超えて閉鎖位置から開放位置へ旋回可能である。これにより、型板が例えば水平に置かれる場合には、インサートは、開放位置にも保持されることが可能である。
【0017】
好ましくは、冷却通路が複数ある場合には、旋回可能な複数のインサートも設けられている。好ましくは、全てのインサートの旋回軸線は、共通の軸線に、及び特に型板の下端部に配置されている。
【0018】
好ましくは、型板が再びウォータケースにおいて取り付けられている場合には、インサートが閉鎖位置に保持されるように、背側にはロック手段が配置されている。当該ロック手段は、螺着可能であってよい。例えば、当該ロック手段は、型板との固定のための固定部分と、閉鎖位置においてインサートの背側に干渉するロック突起部とを備えたかんぬき(クロスバー)であり得る。このようなロック手段は、複数のロック突起部も備えることができ、この場合、同時に、互いに隣り合う複数のインサートが閉鎖位置で固定できる。好ましくは、隣り合う2つのインサートの間にはそれぞれ1つのロック手段が配置されている。好ましくは、各インサートには2つのロック手段が割り当てられており、そのうち1つは左側であり、もう1つは右側である。当該ロック手段は、旋回軸線からできる限り大きな間隔において配置されており、その結果、各インサートを閉鎖位置に保持するためにロック手段が大きな力を受ける必要がない。
【0019】
インサートは、閉鎖位置において型板に向いた内面を有している。当該内面は、冷却通路の冷却面に対向している。冷却面は、型板の鋳造側の対向する面である。冷却面と内面の間には、インサートによって冷却隙間が形成される。インサートは、その内側でもって、部分的に冷却面に接触することが可能である。当該接触は、一方では、突出部によってインサートに形成されることができるか、又は他方では、冷却面における突出部によっても形成されることが可能である。接触範囲は、互いに分離された冷却隙間が生じるように、冷却水のためのバリアを得るために設けられているため、接触範囲は、ある程度シールとして用いられる。型板の冷却側におけるウェブにより、型板の剛性を高めることが可能である。したがって、さねはぎ構造も接触範囲に生じ得る。このために、インサートはその内側において溝を備えることができ、当該溝には、閉鎖位置において型板のウェブがはまり込み、その結果、隣り合うウェブ間において、インサートと型板の間の所望の冷却隙間が生じる。各インサートは、複数の接触範囲あるいは複数の溝を備えることができ、又は逆に、この場合は型板の溝にはまり込む複数のウェブも備えることが可能である。
【0020】
個々のインサートにより形成される複数の冷却隙間へのインサートの分割により、旋回運動可能に支持されたインサートの数を削減することが可能である。例えば、個々のインサートが3つの溝を有しており、その結果、3つの溝あるいは型板のウェブと隣り合って4つの冷却通路が形成される。
【0021】
インサートは、その大きさにより、インサートブロックとも呼ばれることができるとともに、個々の冷却通路内において同時に複数の冷却隙間にまたがっている。このようなインサートブロックは、1つのみの旋回可能な結合部しか必要としない。完全なインサートブロックは、特に背側に取外し可能に結合されている。これにより、インサートを交換可能である。インサートは、型板の摩耗後、新たな型板において再利用可能である。
【0022】
型板とインサートの間の結合部は、定例的なメンテナンス作業については必ずしも取り外されるべきではない。旋回結合部の取外しは、これが必要な場合に可能である。このために、結合要素は、インサートと背側の間に配置されることが可能である。結合要素は、背側において支持された軸線であってよい。結合要素は、インサート及び型板に背側で結合されたヒンジであってもよい。結合要素は、案内される移動により、インサートが開放位置から閉鎖位置へ変位可能であることを保証する。これにより、同時に、位置決め問題が回避される。加えて、インサートが冷却通路にない場合には、純粋に視覚的に直接確認可能である。取付安全性は、本質的により高い。
【0023】
インサートは、その輪郭部において、型板の冷却側における実状に適合されている。インサートは、特にその基本形状において本質的に長方形状に構成されている。加えて、インサートは、冷却通路に配置された突起部のための貫通部を備えることができ、当該突起部は、インサートの閉鎖位置において貫通部にはまり込む。このような貫通部は、例えば固定ベースのような特別な支持点であってよい。型板は、固定ベースを介して直接支持プレートに結合されることが可能である。
【0024】
型板の固定点は、隣り合うインサート間に配置されている。鋳造方向に連続した固定点は、ウェブを介して互いに結合されることが可能である。固定点とウェブの連続は、個々の冷却通路を互いに分離している。固定点間のウェブは、同時にインサートのための側方の境界となっている。好ましくは、各インサートは、このような2つのウェブ間に配置されている。
【0025】
ウェブは、基本的には固定点よりも狭くなっていてよい。したがって、インサートは、その長手側の延長において連続することができ、その結果、ウェブあるいは固定点への一定の幅が生じる。好ましくは複数の固定点により、インサートは、その長手側において、各固定点についてのくぼみ部を備えることが可能である。
【0026】
本発明による型板においては、水入口及び水出口は、好ましくはインサートの下端部あるいは上端部に隣り合って配置されている。
【0027】
本発明により、型板の大幅に容易化されたメンテナンスが可能である。インサートと型板の間の結合部により、場合によってはアクセスがあまりよくない唯一の範囲は、ヒンジの下方の範囲である。しかしながら、当該わずかな面は、型板の大きさに鑑みて無視できるものである。改善されたアクセス性の利点ははるかに上回る。洗浄作業及び取付作業を本質的により迅速に実行することができるとともに、型板をより早期に再び動作させることが可能である。
【0028】
以下に、本発明を、概略的な図面に図示された実施例に基づいて詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】部分的に断面において型板1を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
型板1の背側3が図示されており、当該背側3のうち型板1の部分範囲のみが示されている。型板1は、背側3に対向する鋳造側2を有している。鋳造側2は、図示の範囲では、概略で描かれており、凹状のくぼみ部を有している。背側3は、詳細に図示されていない支持プレートに固定されている。
【0031】
型板1の背側3は冷却される。このために、冷却通路4,5が背側3に配置されている。冷却通路4,5は、鋳造方向に、すなわち紙面における上方から下方へ延在している。両中央の冷却通路4,5は開放されている。図1の下部範囲では、2つのインサート6,7を見て取ることができる。当該両インサート6,7は、旋回軸線Sを中心として旋回可能である。両インサート6,7の旋回軸線Sは、冷却通路4,5の長手方向Lに対して垂直となっている。すなわち、インサート6,7は、閉鎖位置から図示の開放位置へ下方へ旋回されることが可能である。重力により、両インサート6,7は開放位置へ保持される。両インサート6,7は、紙面における上方へ旋回されることで、互いに独立して閉鎖位置へ再び変位されることが可能である。そして、インサートは、各冷却通路4,5に配置される。図1の図示では、閉鎖位置にある別の3つのインサート8,9,10が図示されている。これらインサートは、その背側で型板1の背側3と一直線に途切れている。これらインサートも、同様に型板1の下端部において旋回軸線Sを中心として旋回可能である。閉鎖位置では、インサート6~10はロックされている。このために、型板1の上部1/5にはロック手段11が配置されており、当該ロック手段は、互いに隣り合うそれぞれ2つのインサート9,10を保持する。ロック手段11は、型板1に螺着されている。これにより、インサート6~10は、閉鎖位置からひとりでに開放位置へ至ることがない。
【0032】
型板1の使用中には、型板1は、全体として、詳細に図示されていない支持プレートにおいて支持されている。したがって、ロック手段11は、インサート6~10に作用する冷却液体の力を受け止めるために用いられるのではなく、単に、インサート6~10を閉鎖位置に保持するために用いられる。
【0033】
冷却通路4,5は、異なる構成となっている。例えば、冷却通路5では、下部範囲において突起部12が配置されている。突起部12は、インサート7の閉鎖位置において、インサート7の貫通部13へはまり込む。また、別のインサート9が、閉鎖位置において、隣り合うインサート10あるいは型板1の他の端部におけるインサート8とは異なる構成となっていることが分かる。各インサート6~10は、各冷却通路4,5における局所的な冷却要求に適合されている。これらインサートは、各冷却通路4,5内へぴったりとフィットするように旋回可能である。このために、インサート6~10は、その長手側14においてくぼみ部15を有しており、当該くぼみ部15は、閉鎖位置において、固定点16と隣接するように配置されており、固定点を介して、型板1は、組立状態において、詳細に図示されていない支持プレートに結合される。複数の固定点16は、互いに間隔をもった列において鋳造方向に連続している。隣り合う2つの固定点16の間には、型板1の背側3まで延在するウェブ17が配置されている。インサート6~10は、内側へ落下せず、冷却隙間を縮小/閉鎖することがないように、小さな縁部側の突出部26でもって、型板1のウェブ17における凹部25に位置している。
【0034】
動作中には、冷却水は、水入口18を介して各冷却通路4,5へ流入し、水出口19を介して再び流出することが可能である。このとき、冷却水は、型板1の冷却面20を介して流れ、冷却面20は、鋳造側2に対向している。閉鎖位置では、各インサート6~10の内面21は、冷却面20に対向している。この実施例では、内面21は、互いに対して平行に延び、かつ、互いに間隔をもって延びる複数の溝22を備えている。溝22は、冷却面20において突出し、背側3の方向へ向いたウェブ23を収容するために設けられている。各冷却隙間は、互いに隣り合うウェブ23の間で、かつ、冷却面20あるいは内面21で区画されて配置されている。当該冷却隙間のうち複数のものは互いに対して平行に延びており、冷却隙間内では、高い流速が得られる。
【0035】
この実施例では、インサート6~10は、詳細に図示されていない、結合要素としての軸線を介して、型板に結合されている。インサート6~10は、脱落不能に保持されている。それにもかかわらず、特に、型板1が摩耗しており、インサート6~10が新たな型板における別の用途を可能とする場合には、インサート6~10は、交換可能であるとともに、型板1から取り外されることが可能である。
【0036】
本発明による型板は特に薄壁状の型板であり、当該型板は、銅材料で構成されているとともに、定格動作において、3~7MW/m、特に5MW/mの熱負荷を受容することが可能である。冷却水によって生じる堆積物(沈殿物)は、0.01mmの厚さを上回らないものとなっており、0.5mmまでの厚さを有する堆積物が可能である。型板では、より厚い堆積物が除去されているべきである。このために、型板は、連続鋳造鋳型から取り外される。背側3が露出した後、ロック手段11が取り外され、インサートをメンテナンス及び洗浄するために、個々のインサート6~10が閉鎖位置から開放位置へ旋回される。洗浄後、インサート6~10は、再び閉鎖位置へ旋回されることが可能である。ロック手段11は取り付けられており、型板は、次のインサートのために準備ができている。
【0037】
インサート6~10が完全に除去される必要がある場合については、旋回軸線Sの範囲において型板1に螺着されている結合手段24を取り外すことが可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 型板
2 1の鋳造側
3 1の背側
4 3における冷却通路
5 3における冷却通路
6 インサート
7 インサート
8 インサート
9 インサート
10 インサート
11 ロック手段
12 突起部
13 貫通部
14 6~10の長手側
15 14におけるくぼみ部
16 1の固定点
17 16と16の間のウェブ
18 水入口
19 水出口
20 1の冷却面
21 6~10の内面
22 6,7における溝
23 20におけるウェブ
24 結合手段
25 17における凹部
26 6~10における突出部
L 4,5の長手軸線
S 旋回軸線
図1