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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-28
(45)【発行日】2022-07-06
(54)【発明の名称】乗物用シート
(51)【国際特許分類】
   B60N 2/18 20060101AFI20220629BHJP
   A47C 7/14 20060101ALI20220629BHJP
【FI】
B60N2/18
A47C7/14 C
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2017148268
(22)【出願日】2017-07-31
(65)【公開番号】P2019026113
(43)【公開日】2019-02-21
【審査請求日】2020-07-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000220066
【氏名又は名称】テイ・エス テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088580
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 敦
(74)【代理人】
【識別番号】100111109
【氏名又は名称】城田 百合子
(72)【発明者】
【氏名】阿部 龍三郎
(72)【発明者】
【氏名】檜山 宜久
【審査官】小林 睦
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-118706(JP,A)
【文献】特開2005-152607(JP,A)
【文献】特開2008-142120(JP,A)
【文献】特開2011-189783(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60N 2/18
A47C 7/14
B60N 2/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面が表皮によって覆われたシートクッションを備えた乗物用シートであって、
前記シートクッションは、該シートクッションの前端部を構成し、前記シートクッションの前後方向における長さを変更するために前後方向に沿って移動する移動部を有し、
該移動部は、
前記移動部の表面を覆う前記表皮中、前記乗物用シートの幅方向における前記移動部の端面を構成する部分の形状を保持するための保持部と、
前記移動部が前後方向に移動する際に、前記移動部の表面を覆う前記表皮及び前記保持部を連れながら、前記移動部の移動と共に前後方向に動く可動部と、
前記幅方向において前記保持部を貫通している貫通部と、を有し、
前記保持部には、前記可動部が動く際の経路に沿って形成されており前記貫通部が入り込んだ孔が設けられていることを特徴とする乗物用シート。
【請求項2】
表面が表皮によって覆われたシートバックを備えた乗物用シートであって、
前記シートバックは、該シートバックの上端部を構成し、前記シートバックの上下方向における長さを変更するために上下方向に沿って移動する移動部を有し、
該移動部は、
前記移動部の表面を覆う前記表皮中、前記乗物用シートの幅方向における前記移動部の端面を構成する部分の形状を保持するための保持部と、
前記移動部が上下方向に移動する際に、前記移動部の表面を覆う前記表皮及び前記保持部を連れながら、前記移動部の移動と共に上下方向に動く可動部と、
前記幅方向において前記保持部を貫通している貫通部と、を有し、
前記保持部には、前記可動部が動く際の経路に沿って形成されており前記貫通部が入り込んだ孔が設けられていることを特徴とする乗物用シート。
【請求項3】
前記保持部は、前記表皮中、前記移動部の端面を構成する部分よりも前記幅方向において内側で、前記移動部の端面を構成する部分に取り付けられている樹脂プレートであることを特徴とする請求項1又は2に記載の乗物用シート。
【請求項4】
前記可動部は、前記移動部が移動する際に、前記移動部の表面を覆う前記表皮及び前記保持部を連れながら前記幅方向に沿う中心軸周りに回動し、
前記孔は、前記可動部の回動経路に沿って形成された円弧状の孔であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の乗物用シート。
【請求項5】
前記可動部を支持する支持部と、
前記移動部の移動方向において前記移動部よりも手前側に位置して前記移動部を覆うカバー部材と、を有し、
該カバー部材は、前記幅方向における前記カバー部材の端部をなすカバー側部を有し、
前記保持部は、前記幅方向において前記カバー側部と前記支持部との間に位置し、
前記貫通部は、前記カバー側部を前記支持部に対して固定するために前記カバー側部及び前記支持部に留められる固定具であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の乗物用シート。
【請求項6】
前記孔中の延出方向端部における開口幅は、前記孔中の前記延出方向端部以外の部分における開口幅よりも大きいことを特徴とする請求項5に記載の乗物用シート。
【請求項7】
前記乗物用シートは、前記幅方向において前記移動部よりも外側に配置された非移動部を有し、
前記カバー側部は、前記幅方向において前記移動部と前記非移動部との間に位置していることを特徴とする請求項5又は6に記載の乗物用シート。
【請求項8】
前記保持部は、前記幅方向において前記カバー側部及び前記支持部の各々と隣り合う位置に配置されていることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか一項に記載の乗物用シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗物用シートに係り、特に、シートクッション及びシートバックのうちの少なくとも一方の長さを変更することが可能な乗物用シートに関する。
【背景技術】
【0002】
乗物用シートの中には、シートクッション及びシートバックのうちの少なくとも一方の長さを変更することが可能なシートが存在する。例えば、特許文献1に記載の車両用シートでは、シートクッションの前端部が前後方向に移動可能な構成となっており、これにより、シートクッションの前後長が変えられるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-118706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、シートクッションやシートバックは、通常、表面が表皮によって覆われている構成となっている。長さが可変となったシートクッションやシートバックにおいて長さを変えるために移動部(特許文献1では、シートクッションの前端部)が移動すると、表皮中、移動部を構成する部分(特に、移動部の側端に位置する部分)に皺が発生する。このような皺の発生は、シートの外観に影響を与えてしまうので、その対策としては、例えば、移動部の周りにカバーを配置して移動部(特に、移動部の側端)を覆うことが考えられる。ただし、移動部の周りにカバーを設ける場合には、移動部の移動動作にカバーを追従させる必要があるため、カバー自体が複雑な構造となる可能性がある。
【0005】
そこで、本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、移動部を有する構成において移動部を構成する表皮の外観を簡単且つ良好に維持することが可能な乗物用シートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題は、本発明の乗物用シートによれば、表面が表皮によって覆われたシートクッションを備えた乗物用シートであって、前記シートクッションは該シートクッションの前端部を構成し、前記シートクッション前後方向における長さを変更するために前後方向に沿って移動する移動部を有し、該移動部は、前記移動部の表面を覆う前記表皮中、前記乗物用シートの幅方向における前記移動部の端面を構成する部分の形状を保持するための保持部と、前記移動部が前後方向に移動する際に、前記移動部の表面を覆う前記表皮及び前記保持部を連れながら、前記移動部の移動と共に前後方向に動く可動部と、前記幅方向において前記保持部を貫通している貫通部と、を有し、前記保持部には、前記可動部が動く際の経路に沿って形成されており前記貫通部が入り込んだ孔が設けられていることにより解決される。
また、前記課題は、本発明の乗物用シートによれば、表面が表皮によって覆われたシートバックを備えた乗物用シートであって、前記シートバックは、該シートバックの上端部を構成し、前記シートバックの上下方向における長さを変更するために上下方向に沿って移動する移動部を有し、該移動部は、前記移動部の表面を覆う前記表皮中、前記乗物用シートの幅方向における前記移動部の端面を構成する部分の形状を保持するための保持部と、前記移動部が上下方向に移動する際に、前記移動部の表面を覆う前記表皮及び前記保持部を連れながら、前記移動部の移動と共に上下方向に動く可動部と、前記幅方向において前記保持部を貫通している貫通部と、を有し、前記保持部には、前記可動部が動く際の経路に沿って形成されており前記貫通部が入り込んだ孔が設けられていることにより解決される。
【0007】
上記のように構成された本発明の乗物用シートでは、移動部に設けられた保持部により、表皮中、移動部の側端面を構成する部分の形状を保持することが可能である。また、移動部が移動する際、保持部を貫通した貫通部が、保持部に形成された孔に沿って移動する(厳密には、保持部に対して相対的に移動する)。これにより、保持部は、貫通部に干渉されることなく、表皮中、移動部の側端面を構成する部分と共に動けるようになる。このような構成であれば、表皮中、移動部の側端面を構成する部分の形状を簡単且つ良好に維持することが可能となる。
また、上記の構成では、シートクッションの前端部が移動部である場合に、移動部(すなわち、シートクッションの前端部)を構成する表皮中、側端面の外観を簡単且つ良好に維持することが可能となる。
【0008】
また、上記の乗物用シートにおいて、前記保持部は、前記表皮中、前記移動部の端面を構成する部分よりも前記幅方向において内側で、前記移動部の端面を構成する部分に取り付けられている樹脂プレートであるとよい。
上記の構成では、保持部が樹脂プレートによって構成されているため、保持部の構成がより簡単なものになる。また、保持部としての樹脂プレートは、表皮中、移動部の側端面を構成する部分よりもシート幅方向の内側に配置されている。これにより、保持部を露出させることなく、表皮中、移動部の側端面を構成する部分の形状を良好に維持することが可能となる。
【0009】
また、上記の乗物用シートにおいて、前記可動部は、前記移動部が移動する際に、前記移動部の表面を覆う前記表皮及び前記保持部を連れながら前記幅方向に沿う中心軸周りに回動し、前記孔は、前記可動部の回動経路に沿って形成された円弧状の孔であるとよい。
上記の構成では、移動部が移動する際、可動部が移動部の表面を覆う表皮及び保持部を連れながら回動する。また、保持部に形成された孔は、可動部の回動経路に沿った円弧状の孔となっている。これにより、可動部の回動中、孔に入り込んだ貫通部は、孔内をスムーズに移動することが可能となる。この結果、よりスムーズに保持部を表皮中、移動部の側端面を構成する部分と共に回動させることが可能となる。
【0010】
また、上記の乗物用シートにおいて、前記可動部を支持する支持部と、前記移動部の移動方向において前記移動部よりも手前側に位置して前記移動部を覆うカバー部材と、を有し、該カバー部材は、前記幅方向における前記カバー部材の端部をなすカバー側部を有し、前記保持部は、前記幅方向において前記カバー側部と前記支持部との間に位置し、前記貫通部は、前記カバー側部を前記支持部に対して固定するために前記カバー側部及び前記支持部に留められる固定具であるとよい。
上記の構成では、カバー部材のカバー側部を固定具によって支持部に適切に固定することが可能となる。また、移動部が移動する際には、保持部を貫通する固定具が、保持部に形成された孔に沿って移動する(厳密には、保持部に対して相対的に移動する)。これにより、保持部は、固定具に干渉されることなく、表皮中、移動部の側端面を構成する部分と共に動けるようになる。
【0011】
また、上記の乗物用シートにおいて、前記孔中の延出方向端部における開口幅は、前記孔中の前記延出方向端部以外の部分における開口幅よりも大きいとよい。
上記の構成では、孔中の延出方向端部の開口幅が、それ以外の部分の開口幅よりも大きくなっている。このため、固定具の一部(具体的には、孔に入り込む部分)を孔内に入れ込む際、その部分を孔中の延出方向端部から入れ込めば、より容易に固定具を孔内に入れ込むことが可能となる。
【0012】
また、上記の乗物用シートにおいて、前記乗物用シートは、前記幅方向において前記移動部よりも外側に配置された非移動部を有し、前記カバー側部は、前記幅方向において前記移動部と前記非移動部との間に位置しているとよい。
上記の構成では、カバー側部がシート幅方向において移動部と非移動部との間に位置しているため、移動部と非移動部との間の隙間に異物が入り込むのを抑制することが可能となる。
【0013】
また、上記の乗物用シートにおいて、前記保持部は、前記幅方向において前記カバー側部及び前記支持部の各々と隣り合う位置に配置されているとよい。
上記の構成では、シート幅方向においてカバー側部及び支持部の間のスペースを利用して保持部を配置するため、保持部を設けることによるシートサイズの大型化を抑えることが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の乗物用シートによれば、移動部の側端面を構成する表皮の形状を簡単且つ良好に維持することが可能となる。
また、本発明の乗物用シートによれば、保持部の構成がより簡単なものとなる。また、表皮中、移動部の側端面を構成する部分の形状をより良好に維持することが可能となる。
また、本発明の乗物用シートによれば、可動部の回動中、保持部をよりスムーズに表皮中、移動部の側端面を構成する部分と共に回動させることが可能となる。
また、本発明の乗物用シートによれば、カバー部材のカバー側部を固定具によって支持部に適切に固定することが可能となる。また、移動部が移動する際には、保持部を貫通する固定具に干渉されずに、保持部が移動部の側端面を構成する表皮と共に動ける。
また、本発明の乗物用シートによれば、より容易に固定具を孔内に入れ込むことが可能となる。
また、本発明の乗物用シートによれば、カバー部材のカバー側部により、移動部と非移動部との間の隙間に異物が入り込むのを抑制することが可能となる。
また、本発明の乗物用シートによれば、シート幅方向においてカバー側部及び支持部の間のスペースを利用して保持部を配置することで、保持部を設けることによるシートサイズの大型化を抑えることが可能となる。
また、本発明の乗物用シートによれば、シートクッションの前端部が移動部である場合において、移動部を構成する表皮中、側端面の外観を簡単且つ良好に維持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態に係る乗物用シートの斜視図である。
図2】シートクッションの前側部分を上方から見た図である。
図3】シートクッションの前側部分を側方から見た図である。
図4図1中のX-X断面を示す模式図であり、移動部が通常位置にあるときの図である。
図5図1中のX-X断面を示す模式図であり、移動部が拡張位置にあるときの図である。
図6】移動部を動かす駆動機構の斜視図である。
図7】駆動機構を上方から見た図である。
図8】駆動機構を前方から見た図である。
図9図2中のY-Y断面を示す模式図である。
図10】カバー部材のカバー側部の裏側部分を示す図である。
図11】保持部の動きについての説明図であり、移動部が通常位置にあるときの図である。
図12】保持部の動きについての説明図であり、移動部が拡張位置にあるときの図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態(本実施形態)について説明する。以下では、本実施形態に係る乗物用シートとして、車両用シートを例に挙げて説明する。ただし、本発明の乗物用シートは、車両用シートのみに限定されず、車両以外の乗物に搭載されるシート、例えば、船舶や航空機に搭載されるシートであってもよい。また、以下に説明する実施形態は、本発明の理解を容易にするための一例であり、本発明を限定するものではない。すなわち、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
【0018】
また、以下の説明において、「前後方向」とは、着座者から見たときの前後方向であり、車両の走行方向と一致する方向である。また、「シート幅方向」とは、車両用シートの幅方向であり、着座者から見たときの左右方向に相当する。また、「上下方向」とは、車両内に搭載された状態にある車両用シートの上下方向であり、換言するとシート高さ方向である。
【0019】
<<本実施形態に係る車両用シートの基本構成>>
本実施形態に係る車両用シート1の基本構成について図1乃至図3を参照しながら説明する。本実施形態に係る車両用シート1は、図1に示すように、シートクッション2と、シートバック3と、ヘッドレスト4とを備えている。
【0020】
ここで、シートクッション2及びシートバック3の構成について説明すると、シートクッション2及びシートバック3の各々は、ウレタン等からなるパッド材7をフレームによって支持し、パッド材7の表面を表皮8で覆うことで構成されている。つまり、シートクッション2の表面(厳密には上面、前面、後面及び側面)、並びにシートバック3の表面(厳密には、前面、上面、下面及び側面)は、表皮8によって覆われている。
【0021】
また、本実施形態に係るシートクッション2は、シート着座者である乗員の臀部及び大腿部を支持するクッション本体2aと、クッション本体2aの両脇位置(すなわち、シート幅方向においてクッション本体2aよりも外側)に配置されており土手状に隆起した隆起部2bと、を備えている。さらに、クッション本体2aの前端部は、移動部10によって構成されている。移動部10は、前後方向に沿って移動することが可能である。これに対して、隆起部2bは、移動不能な非移動部である。なお、移動部10の構成については、後に詳述する。
【0022】
そして、移動部10を前後移動させることで、シートクッション2の前後方向における長さ(以下、「シートクッション2の前後長」という)を変更することが可能である。これにより、本実施形態では、シートクッション2の前後長を着座者の体格に応じて変更し、例えば、図2及び図3において破線にて示した位置までシートクッション2(厳密にはクッション本体2a)を拡張させることが可能である。なお、以下では、移動部10が最も後退したときの移動部10の位置を「通常位置」と呼ぶこととし、移動部10が最も前進したときの位置を「拡張位置」と呼ぶこととする。
【0023】
また、クッション本体2aの前端部の下部には、樹脂製のカバープレート9が取り付けられている。このカバープレート2aは、カバー部材に相当し、移動部10よりも前方(すなわち、移動部10の移動方向において移動部10よりも手前側)に位置して移動部10を覆っている。カバープレート9は、図1に示すように、クッション本体2aの前面に取り付けられるカバー前方部9aと、クッション本体2aの側面に取り付けられるカバー側部9bと、を有する。
【0024】
カバー前方部9aは、シート幅方向に沿って長く延びている板状部分である。カバー側部9bは、カバープレート9のシート幅方向端部をなしている。より詳しく説明すると、カバー側部9bは、カバー前方部9aのシート幅方向両端部と隣接する位置に一対設けられており、カバー前方部9aと交差している。
【0025】
なお、カバー側部9bは、シート幅方向においてクッション本体2aの前端部(すなわち、移動部10)と隆起部2bとの間に配置されている。かかる位置にカバー側部9bが設けられていることにより、クッション本体2aと隆起部2bとの間の隙間内に異物が入り込むのを抑えることが可能となる。
【0026】
<<移動部の構成について>>
次に、移動部10の構成について図4乃至図8を参照しながら説明する。
移動部10は、前述したように、クッション本体2aの前端部を構成しており、シートクッション2の前後長を変更するために前後移動する。また、移動部10を前後移動させるための機器として、図4図8に図示した各機器、具体的には回動軸11、軸支持ブラケット12、進退ロッド13、ガイドピラー14、トリムワイヤ15、ワイヤ支持ブラケット16、コイルばね17、及びモータ18がクッション本体2aの下部に設けられている。
【0027】
回動軸11は、可動部に相当し、軸方向に延出しているパイプによって構成されている。また、図4及び図5に示すように、回動軸11の外周部には、クッション本体2aの前端部(すなわち、移動部10)を構成するパッド材7及び表皮8が巻き付けられている。また、回動軸11は、その外周の周方向に回動しながら、前後移動することが可能である。具体的に説明すると、回転軸11は、図5中、矢印f1の向き(以下、第一向き)に回動しながら前進する。これにより、移動部10は、拡張位置に向かうようになる。このとき、回動軸11の外周部に巻き付けられたパッド材7及び表皮8の巻き付け量が変化し、具体的には、移動部10が通常位置から前進した分だけ減少する。
【0028】
反対に、回動軸11は、図5中、矢印f2の向き(以下、第二向き)に回動しながら後退する。これにより、移動部10は、通常位置に向かうようになる。このとき、回動軸11外周部に巻き付けられたパッド材7及び表皮8の巻き付け量は、移動部10が拡張位置から後退した分だけ増加する。
以上のように、回動軸11は、移動部10が移動する際に、移動部10の表面を覆う表皮8を連れながら動き、具体的には、シート幅方向に沿う中心軸周りに回動しながら前後移動する。
【0029】
軸支持ブラケット12は、回動軸11を回動自在に支持する支持部として機能し、シート幅方向において互いに離れた位置に一対設けられている。各軸支持ブラケット12は、クッション本体2aのシート幅方向端部に設けられており、金属板を加工することで成形されている。また、軸支持ブラケット12を構成している金属板は、図6に示すように、上方に向かって延出した部分(上方延出部12a)を有する。この上方延出部12aには、回動軸11を挿通されるための挿通穴(不図示)が形成されている。また、上方延出部12aの外縁部分は、図6に示すように、シート幅方向外側に折れ曲がることでフランジ部12bを形成している。さらに、上方延出部12aにおいて上記の挿通孔が形成されている箇所よりもやや下方に位置する部分には、図6に示すように、円弧状に形成されたガイド孔12cが設けられている。
【0030】
進退ロッド13は、金属製又は樹脂製の棒体からなり、シート幅方向において互いに離間した位置に一対設けられている。各進退ロッド13は、図7に示すように、前後方向に沿って長く延びている。また、各進退ロッド13の前端部は、シート幅方向外側に向かってL字状に屈曲している。そして、各進退ロッド13の、L字状に屈曲した部分における先端(すなわち、シート幅方向外側の端)は、図7に示すように、軸支持ブラケット12(厳密には、左右一対の軸支持ブラケット12のうち、より近い方の軸支持ブラケット12)に組み付けられている。
【0031】
ガイドピラー14は、進退ロッド13を挿抜自在に収容する筒状体であり、進退ロッド13と同様、シート幅方向において互いに離間した位置に一対設けられている。各ガイドピラー14は、前後方向に沿って長く延びている。また、各ガイドピラー14の内部には、進退ロッド13(厳密には、進退ロッド13のうち、前後方向に沿って延びている部分の一部)が前後方向に沿って進退可能な状態で挿入されている。また、各ガイドピラー14は、取り付けブラケット20を介して、クッション本体2aを構成するフレーム(不図示)の下端にボルト止めされている。
【0032】
進退ロッド13及びガイドピラー14の構造について付言しておくと、進退ロッド13の前後方向の進退動作を許容し、それ以外の方向における移動を規制するガイドピラー14の構造が採用されている。このような構造としては、例えば、一般的なヘッドレストのピラー部分及び当該ピラー部分が挿入されるピラーガイド部材を模した構造が利用可能である。
【0033】
そして、進退ロッド13が前後方向に沿って進退することで、進退ロッド13に固定された軸支持ブラケット12、及び、軸支持ブラケット12に支持された回動軸11が進退ロッド13と一体的に前後方向に移動するようになる。
【0034】
モータ18は、移動部10を移動させるために回転する回転電機である。より詳しく説明すると、本実施形態において、モータ18の回転は、ギア等の伝達機構に伝達される。この伝達機構を構成するギア輪列における最終段のギアは、左右一対の進退ロッド13のうちの一方の外周部に形成されたスクリューネジ部に螺合している。このような構成において、モータ18が回転すると、その回転力が一方の進退ロッド13まで伝達され、結果として、進退ロッド13が前後方向に進退するようになる。より詳しく説明すると、本実施形態では、モータ18が正逆両方向に回転可能となっており、進退ロッド13は、モータ18が正方向に回転したときに前進し、モータ18が逆方向に回転したときに後退する。
【0035】
なお、本実施形態において、移動部10を移動させるためのモータ18は、一つのみ設けられており、図8に示すように、左右一対のガイドピラー14のうち、スクリューネジ部が形成された進退ロッド13を収容する方のガイドピラー14の下部に取り付けられている。
【0036】
トリムワイヤ15は、移動部10の表面を覆う表皮8の端末部分を掛け留めておくために設けられた掛け留め部に相当し、金属製のワイヤによって構成されている。このトリムワイヤ15は、回動軸11よりも下方に配置されている。また、トリムワイヤ15は、シート幅方向に沿って延びた延出部分15aを備えており、図4及び図5に示すように、延出部分15aに移動部10の表面を覆う表皮8の端末部分が掛け留められている。
【0037】
より詳しく説明すると、延出部分15aは、図8に示すように、延出部分15aのシート幅方向両端部に位置する第一部分15bと、シート幅方向において延出部分15aよりも内側に位置する第二部分15cと、を有する。第一部分15bは、トリムワイヤ15のシート幅方向端部をなしており、第二部分15cは、トリムワイヤ15のシート幅方向中央部をなしている。また、第二部分15cは、第一部分15bよりも長く延びている。
【0038】
また、図8に示すように、トリムワイヤ15中、第一部分15bと第二部分15cとの間に位置する部分が折れ曲がって段差を形成している。換言すると、第一部分15bと第二部分15cとの間には、段差を形成しながら第一部分15b及び第二部分15cを連結する連結部分15dが設けられている。この連結部分15dが形成されていることにより、第二部分15cは、連結部分15dが形成された分だけ、第一部分15bよりも回動軸11から離れている。
【0039】
以上のように構成されたトリムワイヤ15のうち、第二部分15cに、移動部10の表面を覆う表皮8の端末部分が掛け留められており、具体的には、図4及び図5に示すように、当該端末部分に締結されたトリムコード8aが第二部分15cに引っ掛けられている。
【0040】
また、図6に示すように、第一部分15bのシート幅方向外側端部は、軸支持ブラケット12に形成されたガイド孔12c内に入り込んでいる。
【0041】
ワイヤ支持ブラケット16は、金属板からなる部材であり、トリムワイヤ15を支持する。ワイヤ支持ブラケット16は、図6に示すように、シート幅方向において互いに離間した位置に一対設けられている。また、ワイヤ支持ブラケット16は、軸支持ブラケット12よりもシート幅方向内側に配置されており、回動軸11に溶接されている。また、左右一対のワイヤ支持ブラケット16の各々には、トリムワイヤ15の第一部分15bが取り付けられている。具体的に説明すると、各ワイヤ支持ブラケット16にはシート幅方向に貫く貫通孔が設けられており、当該貫通孔にはトリムワイヤ15の第一部分15b(厳密には、左右一対の第一部分15bのうち、より近い方の第一部分15b)が挿通され、さらに、貫通孔の周辺部と溶接にて接合されている。
【0042】
以上のように本実施形態では、トリムワイヤ15が左右一対のワイヤ支持ブラケット16を介して回動軸11に取り付けられている。このため、回動軸11が動くと、トリムワイヤ15及びワイヤ支持ブラケット16が回動軸11と一体的に動くことになる。すなわち、回動軸11が前後方向に移動すると、トリムワイヤ15及びワイヤ支持ブラケット16が追従して前後方向に移動する。また、回動軸11が回動すると、トリムワイヤ15及びワイヤ支持ブラケット16が追従して回動軸11と一体的に回動する。換言すると、回動軸11は、移動部10の表面を覆う表皮8を連れながらトリムワイヤ15と共に回動する。
【0043】
また、トリムワイヤ15が回動軸11の回動動作に追従して回動する際、トリムワイヤ15の第一部分15bは、軸支持ブラケット12に形成されたガイド孔12c内に入り込んだ状態でガイド孔12cに沿って移動する(厳密には、軸支持ブラケット12に対して相対的に移動する)。ガイド孔12cは、回動軸11の回動経路に沿って形成されており、より詳しくは、回動軸11を中心とした円弧をなすように形成されている。
【0044】
なお、移動部10が通常位置にあるとき、トリムワイヤ15の第一部分15bは、ガイド孔12cの内壁面のうち、後端面(トリムワイヤ15が第二向きに回動することで第一部分15bと近付く側にある端面)によって係止されている。他方、移動部10が拡張位置にあるとき、トリムワイヤ15の第一部分15bは、ガイド孔12cの内壁面のうち、前端面(トリムワイヤ15が第一向きに回動することで第一部分15bと近付く側にある端面)によって係止されている。
【0045】
コイルばね17は、第二向きにトリムワイヤ15を付勢する部材である。ここで、第二向きとは、前述したように図5中、矢印f2の向きである。より詳しく説明すると、回動軸11の回動方向において互いに反対向きである第一向き及び第二向きのうち、シートクッション2の前後長を長くする際に回動軸11及びトリムワイヤ15が回動するときの向きが第一向きであり、その反対の向きが第二向きである。
【0046】
本実施形態において、コイルばね17は、図6図8に示すように、シート幅方向において互いに離間した位置に一対設けられている。具体的に説明すると、各コイルばね17は、シート幅方向において、軸支持ブラケット12とワイヤ支持ブラケット16との間に配置されている。また、本実施形態において、各コイルばね17は、当該各コイルばね17の内側に回動軸11の端部が入り込むことで回動軸11に支持されている。
【0047】
また、各コイルばね17の一端部は、軸支持ブラケット12に固定されており、他端部は、ワイヤ支持ブラケット16に固定されている。つまり、コイルばね17は、ワイヤ支持ブラケット16を第二向きに付勢することで、間接的にトリムワイヤ15を第二向きに付勢している。そして、コイルばね17によってトリムワイヤ15が付勢されていることで、トリムワイヤ15に掛け留めされた表皮8には、適度なテンション(具体的には、後方に表皮8を引く向きのテンション)が付与されるようになる。
【0048】
<<移動部の表面を覆う表皮の形状を保持するための構成について>>
本実施形態では、移動部10の表面を覆う表皮8の形状、特に、移動部10の側端面(シート幅方向における端面)を構成する部分の形状を良好に維持するために、移動部10に保持部が設けられている。以下、保持部及びその周辺機器について図9乃至図12を参照しながら説明する。なお、図11及び図12は、表皮8を取り外した状態の移動部10の側部及びカバー側部9bを示す模式図となっており、図11は、移動部10が通常位置に位置しているときの図であり、図12は、移動部10が拡張位置に位置しているときの図である。
【0049】
本実施形態では、保持部として、樹脂プレート(以下、トリムプレート19)が用いられている。このトリムプレート19は、図9に示すように、移動部10の表面を覆う表皮8中、移動部10の側端面を構成する部分(以下、側端面構成部分8x)よりもシート幅方向内側に位置し、側端面構成部分8xに取り付けられている。なお、本実施形態では、表皮8中の側端面構成部分8xにトリムプレート19が縫い付けられている。
【0050】
以上のように、比較的硬い板状部材であるトリムプレート19が表皮8の側端面構成部分8xの内側に配置されて側端面構成部分8xと隣接していることで、側端面構成部分8xの形状が良好に保持されるようになる。なお、本実施形態のトリムプレート19は、図11及び図12に示すように、側面視で略扇形状に成形されている。
【0051】
ところで、シートクッション2の前後長を変更するために移動部10を前後移動させる際、回動軸11が、移動部10を構成するパッド材7及び表皮8を連れながら回動する。このとき、トリムプレート19は、表皮8の側端面構成部分8xに縫い付けられているため、表皮8と共に回動することになる。換言すると、回動軸11は、移動部10が移動する際に、移動部10の表面を覆う表皮8及びトリムプレート19を連れながら回動する。
【0052】
一方、図9に示すように、トリムプレート19には、固定具としての固定クリップ30が貫通している。固定クリップ30について説明すると、固定クリップ30は、カバープレート9のカバー側部9bを軸支持ブラケット12に対して固定するために移動部10に設けられている。固定クリップ30は、カバー側部9b及び軸支持ブラケット12の双方に留められることにより、カバー側部9bを軸支持ブラケット12に対して固定する。
【0053】
より具体的に説明すると、固定クリップ30は、図9に示すように、矢型の先端部31と、鍔付き円柱型の末端部32と、を有する。先端部31は、軸支持ブラケット12に形成された挿入穴(不図示)内に、縮径するように弾性変形しながら挿入される。その後、挿入穴を通過した先端部31の径が元のサイズまで復元すると、先端部31が軸支持ブラケット12に係合するようになる。
【0054】
末端部32は、図9に示すように、カバー側部9bの裏壁面(シート幅方向内側の壁面)と係合する。具体的に説明すると、カバー側部9bの裏壁面には、ポケット状に隆起した部分が形成されており、このポケット状の隆起部分には、図10に示すようにスリット状の切り欠き9cが設けられている。このスリット9c内に固定クリップ30の末端部32の円柱状部分が入り込む。これにより、末端部32の鍔状部分がスリット9cの周辺部分に係止されるようになる。
【0055】
以上のようにして固定クリップ30が軸支持ブラケット12及びカバー側部9bに留められた状態では、図9に示すように、固定クリップ30中、先端部31と末端部32との間に位置する中間部33がトリムプレート19を貫通している。すなわち、トリムプレート19は、シート幅方向において軸支持ブラケット12とカバー側部9bとの間に位置しており、厳密には軸支持ブラケット12及びカバー側部9bの各々と隣り合う位置に配置されている。このため、固定クリップ30が軸支持ブラケット12及びカバー側部9bに留められた状態では、固定クリップ30の中間部33が必然的にトリムプレート19を貫通することになる。かかる意味で、中間部33は、シート幅方向においてトリムプレート19を貫通している貫通部に相当すると言える。
【0056】
これに対し、トリムプレート19には、図11及び図12に示すように、円弧状の孔(以下、スロット19a)が設けられている。このスロット19aには、固定クリップ30の中間部33が入り込んでいる(厳密には、挿通されている)。また、スロット19aは、回動軸11が動く際の経路、厳密には回動軸11の回動経路に沿って形成されている。このようなスロット19aがトリムプレート19に形成されていることにより、移動部10の移動中、トリムプレート19は、固定クリップ30に干渉されることなく、表皮8の側端面構成部分8xと共に回動軸11に従動して回動するようになる。
【0057】
移動部10が移動しているときのトリムプレート19と固定クリップ30との位置関係について図11及び図12を参照しながら詳しく説明すると、移動部10が通常位置にあるとき、トリムプレート19は、図11に示すように、トリムプレート19の前端がクッション本体2aの前端近くに位置した姿勢となっている。かかる状態から移動部10が拡張位置に向かって移動すると、回動軸11が前進しつつ、移動部10の表面を覆う表皮8及びトリムプレート19を連れながら第二向きに回動する。このとき、移動部10の表面を覆う表皮8、トリムプレート19、カバープレート9及び固定クリップ30は、回動軸11の前進量と同じ量だけ前進する。
【0058】
一方で、表皮8及びトリムプレート19は、回動軸11に従動して第二向きに回動する反面、カバープレート9及び固定クリップ30は、回動しない。この結果、トリムプレート19は、図12に図示の姿勢、すなわち、図11に図示の姿勢からやや後傾した姿勢となるように回動する。換言すると、固定クリップ30は、トリムプレート19に対して相対的に回動する。この際、トリムプレート19を貫通する固定クリップ30の中間部33は、図12に示すように、トリムプレート19に形成されたスロット19a内を移動する。また、スロット19aは、回動軸11の回動経路に沿って形成されている。このため、中間部33は、スロット19a内をスムーズに移動するようになる。この結果、上述したように、移動部10の移動中、トリムプレート19が固定クリップ30に干渉されることなく回動軸11に追従して回動するようになる。
【0059】
なお、本実施形態では、スロット19a中の延出方向端部19bにおける開口幅が、中スロット19a中の延出方向端部19b以外の部分における開口幅よりも大きくなっている。具体的に説明すると、スロット19a中の延出方向端部19b以外の部分では、開口幅が固定クリップ30の中間部33の外径よりも僅かに大きくなっているのに対し、スロット19a中の延出方向端部19bでは、開口幅が中間部33の外径よりも一回り以上大きくなっている。ここで、開口幅とは、スロット19aの内壁面のうち、互いに対向している一対の面の間の距離を意味している。
【0060】
以上のようにスロット19a中の延出方向端部19bにおける開口幅がより大きくなっていることにより、本実施形態では、固定クリップ30の取り付けをより容易に行うことが可能となる。具体的に説明すると、固定クリップ30を取り付けるにあたり、固定クリップ30の先端部31及び中間部33をトリムプレート19のスロット19aに挿通させることになるが、先端部31の外径は、中間部33の外径よりも大きくなっている。
【0061】
一方、前述したように、スロット19a中の延出方向端部19b以外の部分における開口幅が中間部33の外径よりも僅かに大きくなっているのに対し、スロット19a中の延出方向端部19bにおける開口幅は、中間部33の外径よりも十分大きくなっている。したがって、固定クリップ30の先端部31及び中間部33をスロット19aに挿通させる際、延出方向端部19bに挿通させれば、より容易に先端部31及び中間部33を挿通させることが可能となる。
【0062】
<<その他の実施形態>>
以上までに、本発明の乗物用シートの構成について一例を挙げて説明したが、上述の構成例は、あくまでも一例に過ぎず、他の例も考えられる。例えば、上記の実施形態では、シートクッション2に移動部10が設けられており、移動部10の移動によってシートクッション2の長さ(前後長)を変更する構成について説明した。ただし、これに限定されるものではなく、シートクッション2の代わりにシートバック3に移動部10が設けられてもよく、あるいは、シートクッション2及びシートバック3の双方に移動部10が設けられてもよい。シートバック3に移動部10を設ける構成では、シートバック3の上端部を移動部10によって構成することになる。なお、シートバック3に設けられる移動部10の構成については、シートクッション2に設けられる移動部10の構成、すなわち、上記の実施形態に係る移動部10の構成と同様であるため、説明を省略することとする。
【0063】
また、上記の実施形態では、樹脂プレート(具体的には、トリムプレート19)を保持部として用いることとしたが、これに限定されるものではない。例えば、金属製のプレートを保持部として用いてもよい。また、プレートよりも肉厚な部材(ボードやブロック)を保持部として用いてもよい。
【0064】
また、上記の実施形態では、モータ18の駆動力によって移動部10を移動させることとしたが、これに限定されるものではない。モータ18が無く移動部10を手動にて移動させる構成、例えば、シート着座者が操作レバー等を操作して当該レバーの動きによって移動部10が前後移動する構成であってもよい。
【符号の説明】
【0065】
1 車両用シート(乗物用シート)
2 シートクッション
2a クッション本体
2b 隆起部(非移動部)
3 シートバック
4 ヘッドレスト
7 パッド材
8 表皮
8a トリムコード
8x 側端面構成部分(移動部の端面を構成する部分)
9 カバープレート(カバー部材)
9a カバー前方部
9b カバー側部
9c スリット
10 移動部
11 回動軸(可動部)
12 軸支持ブラケット(支持部)
12a 上方延出部
12b フランジ部
12c ガイド孔
13 進退ロッド
14 ガイドピラー
15 トリムワイヤ(掛け留め部)
15a 延出部分
15b 第一部分
15c 第二部分
15d 連結部分
16 ワイヤ支持ブラケット
17 コイルばね
18 モータ
19 トリムプレート(保持部)
19a スロット(孔)
19b 延出方向端部
20 取り付けブラケット
30 固定クリップ(固定具)
31 先端部
32 末端部
33 中間部(貫通部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12