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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-28
(45)【発行日】2022-07-06
(54)【発明の名称】増幅装置
(51)【国際特許分類】
   H03F 3/30 20060101AFI20220629BHJP
【FI】
H03F3/30
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017241395
(22)【出願日】2017-12-18
(65)【公開番号】P2019110413
(43)【公開日】2019-07-04
【審査請求日】2020-12-01
(73)【特許権者】
【識別番号】720009479
【氏名又は名称】オンキヨー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】吉田 誠
【審査官】渡井 高広
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2004/0090270(US,A1)
【文献】特開2005-217949(JP,A)
【文献】特開平02-033207(JP,A)
【文献】特開昭60-173912(JP,A)
【文献】特開昭60-038907(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0115465(US,A1)
【文献】特開平08-222974(JP,A)
【文献】特開平02-266690(JP,A)
【文献】特開昭60-055711(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03F 3/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力される信号を増幅するオペアンプと、
前記オペアンプにより増幅された信号が入力され、出力端子に前記オペアンプの出力端子が接続され、電流源に接続される電流源端子を有するダイヤモンドバッファ回路と
レントミラー回路と、を備え
前記カレントミラー回路の参照電流側の一方の端子は、前記オペアンプの電源端子に接続され、
前記カレントミラー回路の参照電流側の他方の端子は、電源に接続され、
前記カレントミラー回路のミラー電流側の一方の端子は、前記ダイヤモンドバッファ回路の電流源端子に接続され、
前記カレントミラー回路のミラー電流側の他方の端子は、電源に接続されていることを特徴とする増幅装置。
【請求項2】
前記カレントミラー回路は
1カレントミラー回路と
2カレントミラー回路と、を有し、
前記ダイヤモンドバッファ回路は、正側の電流源に接続される正側電流源端子と、負側の電流源に接続される負側電流源端子と、を有し、
前記第1カレントミラー回路の参照電流側の一方の端子は、前記オペアンプの正側の電源端子に接続され、
前記第1カレントミラー回路の参照電流側の他方の端子は、正側の電源に接続され、
前記第1カレントミラー回路のミラー電流側の一方の端子は、前記ダイヤモンドバッファ回路の正側電流源端子に接続され、
前記第1カレントミラー回路のミラー電流側の他方の端子は、正側の電源に接続され、
前記第2カレントミラー回路の参照電流側の一方の端子は、前記オペアンプの負側の電源端子に接続され、
前記第2カレントミラー回路の参照電流側の他方の端子は、負側の電源に接続され、
前記第2カレントミラー回路のミラー電流側の一方の端子は、前記ダイヤモンドバッファ回路の負側電流源端子に接続され
前記第2カレントミラー回路のミラー電流側の他方の端子は、負側の電源に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の増幅装置。
【請求項3】
前記ダイヤモンドバッファ回路は、
コレクタが、正側の電源に接続され、
エミッタが、第1抵抗を介して、負荷に接続され、
ベースが、第4抵抗を介して、第3バイポーラトランジスタのエミッタに接続された、npn型の第1バイポーラトランジスタと、
コレクタが、負側の電源に接続され、
エミッタが、第2抵抗を介して、前記負荷に接続され、
ベースが、第5抵抗を介して、第4バイポーラトランジスタのエミッタに接続された、pnp型の第2バイポーラトランジスタと、
コレクタが、負側の電源に接続され、
エミッタが、前記第4抵抗を介して、前記第1バイポーラトランジスタのベースと、前記第1カレントミラー回路のミラー電流側の一方の端子と、に接続され、
ベースが、前記オペアンプの出力端子に接続された、pnp型の前記第3バイポーラトランジスタと、
コレクタが、正側の電源に接続され、
エミッタが、前記第5抵抗を介して、前記第2バイポーラトランジスタのベースと、前記第2カレントミラー回路のミラー電流側の一方の端子と、に接続され、
ベースが、前記オペアンプの前記出力端子に接続された、npn型の前記第4バイポーラトランジスタと、を有し、
出力端子は、前記第1抵抗と前記第2抵抗との接続点であることを特徴とする請求項2に記載の増幅装置。
【請求項4】
前記第1カレントミラー回路は、
コレクタが、前記ダイヤモンドバッファ回路の正側電流源端子に接続され、
エミッタが、第13抵抗を介して、正側の電源に接続され、
ベースが、第6バイポーラトランジスタのベースとコレクタとに接続された、pnp型の第5バイポーラトランジスタと、
コレクタが、ベースと、前記オペアンプの正側の電源端子と、前記第5バイポーラトランジスタのベースと、に接続され、
エミッタが、第12抵抗を介して、正側の電源に接続され、
ベースが、コレクタと、前記第5バイポーラトランジスタのベースと、に接続された、pnp型の前記第6バイポーラトランジスタと、を有し、
前記第2カレントミラー回路は、
コレクタが、前記ダイヤモンドバッファ回路の負側電流源端子に接続され、
エミッタが、第15抵抗を介して、負側の電源に接続され、
ベースが、第8バイポーラトランジスタのベースとコレクタとに接続された、npn型の第7バイポーラトランジスタと、
コレクタが、ベースと、前記オペアンプの負側の電源端子と、前記第7バイポーラトランジスタのベースと、に接続され、
エミッタが、第14抵抗を介して、負側の電源に接続され、
ベースが、コレクタと、前記第7バイポーラトランジスタのベースと、に接続された、npn型の前記第8バイポーラトランジスタと、を有することを特徴とする請求項3に記載の増幅装置。
【請求項5】
前記オペアンプは、
負側の入力端子に、第11抵抗を介して、信号が入力され、
正側の入力端子が、基準電位に接続され、
出力端子が、負荷に接続され、
出力端子と負側の入力端子との間に第6抵抗が接続されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の増幅装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号を増幅する増幅装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図8は、ダイヤモンドバッファと呼ばれている回路の構成を示す図である(例えば、特許文献1の図5参照。)。図8に示すように、ダイヤモンドバッファ回路は、バイポーラトランジスタQ101~Q104、抵抗R101、R102、R104~R107を有する。R103は、負荷である。ダイヤモンドバッファ回路において、出力段ベース側のバイアス電流は、抵抗R106、R104を流れている。出力電圧が上昇し、負荷R103に流れる電流が増加したとき、バイポーラトランジスタQ101の出力電流が増え、ベース電流も増える。このため、バイアス電流は、これを供給するのに、十分な電流が望まれる。しかしながら、ベース側のバイアス電流は、これに反して減少する(図9参照。)。その理由は、入力電圧が上昇すると、バイポーラトランジスタQ103のベース電圧が上昇する。これに伴い、エミッタの電位が上昇し、+VCCとの電位差が小さくなる。バイアス電流は、バイポーラトランジスタQ103のエミッタ電位と+VCCの電位差と抵抗R104の値で決まる。このため、出力の振幅が大きければ大きいほど、減少が顕著になる。なお、図9において、上のグラフは、バイアス電流を示し、真ん中のグラフは、負荷電流を示し、下のグラフは、出力電圧を示している。
【0003】
図10は、上記した問題を解決した回路の構成を示す図である。図8と比較して、バイポーラトランジスタQ105、Q106、抵抗R106~R108、ダイオードD101~D104が追加されている。ダイオードD101、D103、抵抗R106、バイポーラトランジスタQ105は、定電流回路(定電流源)を構成している。また、ダイオードD102、D104、抵抗R107、バイポーラトランジスタQ106は、定電流回路(定電流源)を構成している。定電流回路により、バイアス電流の減少を抑えている。すなわち、予めバイアス電流を定電流で流し、その電流をベース電流に当てる。この場合、瞬間的な電流が必要になったときも、定電流であり、決められた電流以上を供給することができない(図10参照。)。また、十分な電流を供給するためには、無負荷時も常に予め負荷に対応できるだけの電流を流しておく必要があり、損失が多い。なお、図11において、上のグラフは、バイアス電流を示し、真ん中のグラフは、負荷電流を示し、下のグラフは、出力電圧を示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-182173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のとおり、従来のダイヤモンドバッファ回路は、出力負荷が大きくなったときほど、バイアス電流が減少し、十分なベース電流を流すことができないので、歪特性が悪化するという問題点を有する。この対策として、定電流源でバイアス電流を与える方式もあるが、歪を改善するためには、予め大きな電流を流せばよいが、無信号時のエネルギー消費が大きくなる課題があった。
【0006】
本発明の目的は、アイドリング時のエネルギー消費を小さくしつつ、歪特性を悪化させない増幅装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明の増幅装置は、入力される信号を増幅するオペアンプと、前記オペアンプにより増幅された信号が入力されるダイヤモンドバッファ回路と、電源と前記ダイヤモンドバッファ回路とに接続され、前記オペアンプの電源端子に接続されたカレントミラー回路と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明では、カレントミラー回路は、電源とダイヤモンドバッファ回路とに接続されている。また、カレントミラー回路は、オペアンプの電源端子に接続されている。オペアンプの電源電流は、入力信号に相似している。従って、入力信号が大きいときは、オペアンプの電源電流が大きくなり、カレントミラー回路により、ダイヤモンドバッファ回路に流れるバイアス電流が大きくなる。これにより、十分なバイアス電流を流すことができるため、歪特性が悪化することがない。
【0009】
また、入力信号が小さいときは、オペアンプの電源電流が小さくなり、カレントミラー回路により、ダイヤモンドバッファ回路に流れるバイアス電流が小さくなる。これにより、エネルギー消費が大きくなることがない。
【0010】
このように、本発明によれば、アイドリング時のエネルギー消費が大きくなることなく、歪特性が悪化することがない。
【0011】
第2の発明の増幅装置は、第1の発明の増幅装置において、前記カレントミラー回路は、正側の電源と前記ダイヤモンドバッファ回路とに接続され、前記オペアンプの正側の電源端子に接続された第1カレントミラー回路と、負側の電源と前記ダイヤモンドバッファ回路とに接続され、前記オペアンプの負側の電源端子に接続された第2カレントミラー回路と、を有することを特徴とする。
【0012】
第3の発明の増幅装置は、第2の発明の増幅装置において、前記ダイヤモンドバッファ回路は、コレクタが、正側の電源に接続され、エミッタが、第1抵抗を介して、負荷に接続され、ベースが、第4抵抗を介して、第3バイポーラトランジスタのエミッタに接続された、npn型の第1バイポーラトランジスタと、コレクタが、負側の電源に接続され、エミッタが、第2抵抗を介して、前記負荷に接続され、ベースが、第5抵抗を介して、第4バイポーラトランジスタのエミッタに接続された、pnp型の第2バイポーラトランジスタと、コレクタが、負側の電源に接続され、エミッタが、前記第4抵抗を介して、前記第1バイポーラトランジスタのベースと、前記第1カレントミラー回路と、に接続され、ベースが、前記オペアンプの出力端子に接続された、pnp型の前記第3バイポーラトランジスタと、コレクタが、正側の電源に接続され、エミッタが、前記第5抵抗を介して、前記第2バイポーラトランジスタのベースと、前記第2カレントミラー回路と、に接続され、ベースが、前記オペアンプの前記出力端子に接続された、npn型の前記第4バイポーラトランジスタと、を有することを特徴とする。
【0013】
第4の発明の増幅装置は、第3の発明の増幅装置において、前記第1カレントミラー回路は、コレクタが、前記ダイヤモンドバッファ回路に接続され、エミッタが、第13抵抗を介して、正側の電源に接続され、ベースが、第6バイポーラトランジスタのベースとコレクタとに接続された、pnp型の第5バイポーラトランジスタと、コレクタが、ベースと、前記オペアンプの正側の電源端子と、前記第5バイポーラトランジスタのベースと、に接続され、エミッタが、第12抵抗を介して、正側の電源に接続され、ベースが、コレクタと、前記第5バイポーラトランジスタのベースと、に接続された、pnp型の前記第6バイポーラトランジスタと、を有し、前記第2カレントミラー回路は、コレクタが、前記ダイヤモンドバッファ回路に接続され、エミッタが、第15抵抗を介して、負側の電源に接続され、ベースが、第8バイポーラトランジスタのベースとコレクタとに接続された、npn型の第7バイポーラトランジスタと、コレクタが、ベースと、前記オペアンプの負側の電源端子と、前記第7バイポーラトランジスタのベースと、に接続され、エミッタが、第14抵抗を介して、負側の電源に接続され、ベースが、コレクタと、前記第7バイポーラトランジスタのベースと、に接続された、npn型の前記第8バイポーラトランジスタと、を有することを特徴とする。
【0014】
第5の発明の増幅装置は、第1~第4のいずれかの発明の増幅装置において、前記オペアンプは、負側の入力端子に、第11抵抗を介して、信号が入力され、正側の入力端子が、基準電位に接続され、出力端子が、負荷に接続され、出力端子と負側の入力端子との間に第6抵抗が接続されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、エネルギー消費が大きくなることなく、歪特性が悪化することがない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態に係る増幅装置の回路構成を示す図である。
図2】バイポーラトランジスタQ3のベース-エミッタ間電圧等を示すグラフである。
図3】負荷に流れる電流等を示すグラフである。
図4】従来のダイヤモンドバッファ回路を用いた増幅装置の構成を示す図である
図5】従来の増幅装置での立ち上がりを示した図である。
図6】本実施形態の増幅装置での立ち上がりを示した図である。
図7】負荷に流れる電流等を示すグラフである。
図8】ダイヤモンドバッファ回路の構成を示す図である。
図9】負荷に流れる電流等を示すグラフである。
図10】ダイヤモンドバッファ回路を改良した回路の構成を示す図である。
図11】負荷に流れる電流等を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る増幅装置の回路構成を示す図である。図1に示すように、増幅装置1は、オペアンプU1と、ダイヤモンドバッファ回路2と、カレントミラー回路3、4と、を備える。
【0018】
オペアンプU1は、入力される信号を増幅する。オペアンプU1の負側の入力端子に、信号が入力される。また、オペアンプU1の負側の入力端子には、抵抗R11(第11抵抗)が接続されている。オペアンプU1の正側の入力端子は、基準電位(グラウンド)に接続されている。オペアンプU1の出力端子は、負荷R3(抵抗R1と抵抗R2との間)に接続されている。オペアンプU1の出力端子と、負側の入力端子と、の間に、抵抗R6(第6抵抗)が接続されている。すなわち、オペアンプU1と抵抗R6、R11とにより、反転増幅回路が構成されている。
【0019】
ダイヤモンドバッファ回路2は、オペアンプU1により増幅された信号が入力される。バイポーラトランジスタQ1~Q4、抵抗R1、R2、R4、R5を有する。バイポーラトランジスタQ1(第1バイポーラトランジスタ)は、npn型のバイポーラトランジスタである。バイポーラトランジスタQ1のコレクタは、正側の電源V1(+VCC)に接続されている。バイポーラトランジスタQ1のエミッタは、抵抗R1(第1抵抗)を介して、負荷R3に接続されている。バイポーラトランジスタQ1のベースは、抵抗R4(第4抵抗)を介して、パイポーラトランジスタQ3のエミッタに接続されている。
【0020】
バイポーラトランジスタQ2(第2バイポーラトランジスタ)は、pnp型のバイポーラトランジスタである。バイポーラトランジスタQ2(第2バイポーラトランジスタ)のコレクタは、負側の電源V2(-VCC)に接続されている。バイポーラトランジスタQ2のエミッタは、抵抗R2(第2抵抗)を介して、負荷R3に接続されている。バイポーラトランジスタQ2のベースは、抵抗R5(第5抵抗)を介して、バイポーラトランジスタQ4のエミッタに接続されている。
【0021】
バイポーラトランジスタQ3(第3バイポーラトランジスタ)は、pnp型のバイポーラトランジスタである。バイポーラトランジスタQ3のコレクタは、負側の電源V2(-VCC)に接続されている。バイポーラトランジスタQ3のエミッタは、抵抗R4を介して、バイポーラトランジスタQ1のベースと、カレントミラー回路3と、に接続されている。
【0022】
バイポーラトランジスタQ4(第4バイポーラトランジスタ)は、npn型のバイポーラトランジスタである。バイポーラトランジスタQ4のコレクタは、正側の電源V1(+VCC)に接続されている。バイポーラトランジスタQ4のエミッタが、抵抗R5を介して、バイポーラトランジスタQ2のベースと、カレントミラー回路4と、に接続されている。バイポーラトランジスタQ4のベースは、オペアンプU1の出力端子に接続されている。
【0023】
カレントミラー回路3(第1カレントミラー回路)は、正側の電源V1(+VCC)とダイヤモンドバッファ回路2とに接続されている。また、カレントミラー回路3は、オペアンプU1の正側の電源端子に接続されている。カレントミラー回路3は、バイポーラトランジスタQ5、Q6と、抵抗R12、R13と、を有する。
【0024】
バイポーラトランジスタQ5(第5バイポーラトランジスタ)は、pnp型のバイポーラトランジスタである。バイポーラトランジスタQ5のコレクタは、ダイヤモンドバッファ回路2(抵抗R4)に接続されている。バイポーラトランジスタQ5のエミッタは、抵抗R13(第13抵抗)を介して、正側の電源V1(+VCC)に接続されている。バイポーラトランジスタQ5のベースは、バイポーラトランジスタQ6のベースとコレクタとに接続されている。
【0025】
バイポーラトランジスタQ6(第6バイポーラトランジスタ)は、pnp型のバイポーラトランジスタである。バイポーラトランジスタQ6のコレクタは、ベースと、オペアンプU1の正側の電源端子と、バイポーラトランジスタQ5のベースと、に接続されている。バイポーラトランジスタQ6のエミッタは、抵抗R12(第12抵抗)を介して、正側の電源V1(+VCC)に接続されている。バイポーラトランジスタQ6のベースは、コレクタと、バイポーラトランジスタQ5のベースと、に接続されている。
【0026】
カレントミラー回路4(第2カレントミラー回路)は、負側の電源V2(-VCC)とダイヤモンドバッファ回路2とに接続されている。また、カレントミラー回路4は、オペアンプU1の負側の電源端子に接続されている。カレントミラー回路4は、バイポーラトランジスタQ7、Q8と、抵抗R14、R15と、を有する。
【0027】
バイポーラトランジスタQ7(第7バイポーラトランジスタ)は、npn型のバイポーラトランジスタである。バイポーラトランジスタQ7のコレクタは、ダイヤモンドバッファ回路2(抵抗R5)に接続されている。バイポーラトランジスタQ7のエミッタは、抵抗R15(第15抵抗)を介して、負側の電源V2(-VCC)に接続されている。バイポーラトランジスタQ7のベースは、バイポーラトランジスタQ8のベースとコレクタとに接続されている。
【0028】
バイポーラトランジスタQ8(第8バイポーラトランジスタ)は、npn型のバイポーラトランジスタである。バイポーラトランジスタQ8のコレクタは、ベースと、オペアンプU1の負側の電源端子と、バイポーラトランジスタQ7のベースと、に接続されている。バイポーラトランジスタQ8のエミッタは、抵抗R14(第14抵抗)を介して、負側の電源V2(-VCC)に接続されている。バイポーラトランジスタQ8のベースは、コレクタと、バイポーラトランジスタQ7のベースと、に接続されている。
【0029】
上述したように、カレントミラー回路3は、正側の電源V1(+VCC)とダイヤモンドバッファ回路2とに接続されている。また、カレントミラー回路3は、オペアンプU1の正側の電源端子に接続されている。ここで、オペアンプU1の電源電流は、入力信号に相似している。従って、入力信号が大きいときは、オペアンプU1の電源電流が大きくなる。このため、バイポーラトランジスタQ6に流れる電流が大きくなり、バイポーラトランジスタQ5に流れる電流も大きくなる。これにより、抵抗R13を流れるバイアス電流が大きくなり、バイポーラトランジスタQ1のベースに十分な電流を流すことができるため、無信号時のバイアス電流が小さくても、歪特性が悪化することがない。
【0030】
また、入力信号が小さいときは、オペアンプU1の電源電流が小さくなり、カレントミラー回路3により、抵抗R13を流れるバイアス電流が小さくなる。これにより、エネルギー消費が大きくなることがない。
【0031】
負側においても、カレントミラー回路4は、負側の電源V2(-VCC)とダイヤモンドバッファ回路2とに接続されている。また、カレントミラー回路3は、オペアンプU1の負側の電源端子に接続されている。このため、正側と同様の動きが発生する。
【0032】
図2は、バイポーラトランジスタQ3のベース-エミッタ間電圧等を示すグラフである。上から1番目のグラフは、バイポーラトランジスタQ3のベース-エミッタ間電圧を示している。2番目のグラフは、バイポーラトランジスタQ3のベース電流を示している。3番目のグラフは、バイポーラトランジスタQ3のコレクタ電流を示している。4番目のグラフは、バイポーラトランジスタQ1のベース電流を示している。5番目のグラフは、出力電圧を示している。
【0033】
上述したように、オペアンプU1の出力端子は、ダイヤモンドバッファ回路2の負荷R3への出力端子である抵抗R1と抵抗R2の接続点に接続されている。これにより、オペアンプU1の出力上昇とともに、バイポーラトランジスタQ3のベース電位が上昇し、バイポーラトランジスタQ3のベース-エミッタ間電圧は、下がる。このため、バイポーラトランジスタQ3のベース電流は低下し、バイポーラトランジスタQ3のコレクタ電流も低下する。一方、バイポーラトランジスタQ6とバイポーラトランジスタQ5とによるカレントミラー回路3は、オペアンプU1の電源電流に合わせて、電流を上昇させる。このとき、バイポーラトランジスタQ3のコレクタ電流は、減少しているため、カレントミラー回路3で供給された電流は、出力電圧の増加に伴い増えるバイポーラトランジスタQ1のベース電流を供給するために流しておくバイポーラトランジスタQ1のバイアス電流を効果的に増加させることができる。
【0034】
図3は、負荷電流等を示すグラフである。上のグラフは、抵抗R13に流れるバイアス電流を示している。真ん中のグラフは、負荷R3に流れる出力負荷電流を示している。下のグラフは、出力電圧を示している。図2に示すように、負荷電流が増加すると、バイアス電流も増加している。
【0035】
図4は、従来の定電流源を使用したダイヤモンドバッファ回路を用いた増幅装置の構成を示す図である。増幅装置101は、本実施形態の増幅装置1と比較して、オペアンプU1の正側の電源端子が、直接、正側の電源V1(+VCC)に接続されている点、オペアンプU1の負側の電源端子が、直接、負側の電源V2(-VCC)に接続されている点、カレントミラー回路3(バイポーラトランジスタQ6のコレクタ)が電流源I1に接続されている点、カレントミラー回路4(バイポーラトランジスタQ8のコレクタ)が電流源I2に接続されている点が異なる。
【0036】
ここで、負荷R3を比較的重い8Ω、5mWの負荷とし、増幅装置101では、バイアス電流を1.99mAとし、増幅装置1では、増幅装置101とほぼ同じか小さい値として、バイアス電流を1.95mAとした。このとき、増幅装置101において、バイポーラトランジスタQ1のコレクタ電流は、24mAであった。また、増幅装置1において、バイポーラトランジスタQ1のコレクタ電流は、それよりも小さい18.5mAであった。そして、増幅装置101の歪率は、0.003610%、増幅装置1の歪率は、0.000885%であった。
【0037】
バイアス電流が信号に応じて増減されることで、負荷への電流供給能力も、改善されていると考えられる。入力に方形波を用いて、立ち上がり(反転出力なので、立ち下がり)の時間を測定し、比較する。条件として、バイアス電流をそろえて比較している。図5は、従来の増幅装置での立ち上がりを示した図である。図6は、本実施形態の増幅装置での立ち上がりを示した図である。増幅装置101での立ち上がり時間は、4.6μS(10%-90%)である。増幅装置1での立ち上がり時間は、3.7μS(10%-90%)である。このように、増幅装置1では、増幅装置101よりも、出力の立ち下がりが高速化できている。
【0038】
また、増幅装置1と従来の増幅装置101とにおいて、同等負荷条件で、同等歪率のときの、抵抗R13を流れる電流を比較した。増幅装置101の抵抗R13を流れる電流は、1.99mAであった。一方、増幅装置1の抵抗R13を流れる電流は、それよりも小さい1.39mAであった。このように、増幅装置1は、従来回路と同等性能を維持しながら、無信号時の消費電力を抑えることができている。
【0039】
なお、オペアンプU1の出力端子は、負荷R3に接続されているが、負荷R3への電流は、ほとんど、バイポーラトランジスタQ1、Q2から供給されている(図7参照。)。図7において、上のグラフは、オペアンプ1からの負荷電流供給量を示し、真ん中のグラフは、バイポーラトランジスタQ1、Q2からの負荷電流供給量を示し、下のグラフは、負荷電流を示している。
【0040】
以上説明したように、本実施形態では、カレントミラー回路3、4は、電源とダイヤモンドバッファ回路2とに接続されている。また、カレントミラー回路3、4は、オペアンプU1の電源端子に接続されている。オペアンプU1の電源電流は、入力信号に相似している。従って、入力信号が大きいときは、オペアンプの電源電流が大きくなり、カレントミラー回路3、4により、ダイヤモンドバッファ回路2に流れる電流が大きくなる。これにより、十分な電流を流すことができるため、歪特性が悪化することがない。
【0041】
また、入力信号が小さいときは、オペアンプU1の電源電流が小さくなり、カレントミラー回路3、4により、ダイヤモンドバッファ回路2に流れる電流が小さくなる。これにより、エネルギー消費が大きくなることがない。
【0042】
このように、本実施形態によれば、エネルギー消費が大きくなることなく、歪特性が悪化することがない。
【0043】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明を適用可能な形態は、上述の実施形態には限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、信号を増幅する増幅装置に好適に採用され得る。
【符号の説明】
【0045】
1 増幅装置
2 ダイヤモンドバッファ回路
3 カレントミラー回路(第1カレントミラー回路)
4 カレントミラー回路(第2カレントミラー回路)
Q1 バイポーラトランジスタ(第1バイポーラトランジスタ)
Q2 バイポーラトランジスタ(第2バイポーラトランジスタ)
Q3 バイポーラトランジスタ(第3バイポーラトランジスタ)
Q4 バイポーラトランジスタ(第4バイポーラトランジスタ)
Q5 バイポーラトランジスタ(第5バイポーラトランジスタ)
Q6 バイポーラトランジスタ(第6バイポーラトランジスタ)
Q7 バイポーラトランジスタ(第7バイポーラトランジスタ)
Q8 バイポーラトランジスタ(第8バイポーラトランジスタ)
R1 抵抗(第1抵抗)
R2 抵抗(第2抵抗)
R3 負荷
R4 抵抗(第4抵抗)
R5 抵抗(第5抵抗)
R6 抵抗(第6抵抗)
R11 抵抗(第11抵抗)
R12 抵抗(第12抵抗)
R13 抵抗(第13抵抗)
R14 抵抗(第14抵抗)
R15 抵抗(第15抵抗)
R4 抵抗(第5抵抗)
R5 抵抗(第1抵抗)
R6 負荷
R7 抵抗(第2抵抗)
V1 正側の電源
V2 負側の電源
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11