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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-28
(45)【発行日】2022-07-06
(54)【発明の名称】貯蔵設備
(51)【国際特許分類】
   B65D 90/00 20060101AFI20220629BHJP
   B63B 25/04 20060101ALI20220629BHJP
   B65D 90/54 20060101ALI20220629BHJP
【FI】
B65D90/00 H
B63B25/04 Z
B63B25/04 105
B65D90/54 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018173964
(22)【出願日】2018-09-18
(65)【公開番号】P2020045131
(43)【公開日】2020-03-26
【審査請求日】2021-04-22
(73)【特許権者】
【識別番号】300041192
【氏名又は名称】UBEマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091306
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 友一
(74)【代理人】
【識別番号】100174609
【弁理士】
【氏名又は名称】関 博
(72)【発明者】
【氏名】多田 淳
(72)【発明者】
【氏名】中野 航
【審査官】杉田 剛謙
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-203718(JP,A)
【文献】特開昭58-164494(JP,A)
【文献】特開昭49-119389(JP,A)
【文献】特公平6-10032(JP,B2)
【文献】米国特許第4085587(US,A)
【文献】特開2009-40544(JP,A)
【文献】特開平02-075999(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 88/00-90/66
B65G 53/00-53/66
B63B 25/04
B63B 27/25
F15B 20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のバースと複数のサイロの間で、1の前記バースに対して複数の前記サイロを繋ぐ搬送用エア経路を形成し、各搬送用エア経路には末端の各サイロ側に属する陸上設備の弁切替制御部による開動作で船舶からのエア搬送を受入可能とし、又は閉動作で前記船舶からのエア搬送の受入を停止するエア式受入切替弁を取り付けた貯蔵設備において、
前記エア式受入切替弁と前記弁切替制御部を繋ぐ切替用エア経路上に分岐点を設けて、全切替用エア経路の各分岐点に跨る接続経路を設け、前記接続経路上に経路の開放又は閉止の切替弁と、前記分岐点と前記弁切替制御部との間に経路の開放又は閉止の手動弁を設けたことを特徴とする貯蔵設備。
【請求項2】
請求項1に記載された貯蔵設備であって、
前記切替弁は、通常稼働時において閉止し、陸上設備の電源喪失時において開放することを特徴とする貯蔵設備。
【請求項3】
請求項2に記載の貯蔵設備であって、
前記切替用エア経路は、前記陸上設備の電源喪失時において、エア搬送を行う前記バースの船舶に接続して搬送エアを受入れ可能なことを特徴とする貯蔵設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はバースの船舶から陸上のサイロへ石灰石などの搬送物を圧縮エアで搬送する搬送用エア経路を備えた貯蔵設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バースに接岸する船舶から陸上のサイロ(タンクともいう)へ搬送物を搬送して一時的に貯蔵する貯蔵設備がある(特許文献1に開示)。
図3はバースとサイロの説明図である。図示のように、貯蔵設備は複数のバース(同図中にはバースA,Bの2箇所を示す)と、複数のサイロ(同図中には1号、2号サイロの2箇所を示す)と、バース及びサイロ間を接続する搬送用エア経路を設けている。
この搬送用エア経路は、1のバースから複数のサイロを繋ぐ経路であり、例えば、バースAから1号サイロと2号サイロの間、バースBから1号サイロと2号サイロの間を接続している。搬送用エア経路上にはエア式受入切替弁(同図中には1号受入切替弁A、1号受入切替弁B、2号受入切替弁A、2号受入切替弁Bを示す)を設けてあり、搬送工程中では1の経路のみ(例えば、バースAから1号サイロ、バースAから2号サイロ、バースBから1号サイロ、バースBから2号サイロのいずれか1)を用い、その他の経路は閉止している。
そして、各エア式受入切替弁は、搬送用エア経路の末端のサイロ側の陸上設備(同図中の1号サイロの陸上設備、2号サイロの陸上設備)の弁切替制御部による開動作でエア搬送の受入、又は閉動作でエア搬送の受入停止の制御を可能とする構成である。
【0003】
またエア式受入切替弁は、自然災害、人為的なトラブルなどによって陸上設備の電源が喪失した場合、自動的に閉止して過剰搬送、貯蔵物の逆流など設備全体の不具合を防止可能な構成を採用している。
しかしながら、従来のエア式受入切替弁は、陸上設備の電源喪失によって自動閉止したとき、時間と共にエアが抜けてしまい、閉止状態を維持できず経路が解放してしまうおそれがあった。そうすると他の電源供給可能なサイロへの搬送作業に不都合(例えば、バースAから1号サイロへ搬送物を搬送する際、2号サイロのエア式受入切替え弁が閉止から開放されて2号サイロ側に漏れてしまうなど)が生じる可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5089620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、上記従来技術の問題点に鑑み、陸上設備が一部電源喪失してもバースから適切にサイロへ搬送物を搬送可能な貯蔵設備を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記課題を解決するための第1の手段として、複数のバースと複数のサイロの間で、1の前記バースに対して複数の前記サイロを繋ぐ搬送用エア経路を形成し、各搬送用エア経路には末端の各サイロ側に属する陸上設備の弁切替制御部による開動作で船舶からのエア搬送を受入可能とし、又は閉動作で前記船舶からのエア搬送の受入を停止するエア式受入切替弁を取り付けた貯蔵設備において、
前記エア式受入切替弁と前記弁切替制御部を繋ぐ切替用エア経路上に分岐点を設けて、全切替用エア経路の各分岐点に跨る接続経路を設け、前記接続経路上に経路の開放又は閉止の切替弁と、前記分岐点と前記弁切替制御部との間に経路の開放又は閉止の手動弁を設けたことを特徴とする貯蔵設備を提供することにある。
上記第1の手段によれば、陸上設備が一部電源喪失してもバースから適切にサイロへ搬送物を搬送することができる。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するための第2の手段として、第1の手段において、前記切替弁は、通常稼働時において閉止し、陸上設備の電源喪失時において開放することを特徴とする貯蔵設備を提供することにある。
上記第2の手段によれば、通常の搬送工程を支障なく実現できる。陸上設備が一部電源喪失してもバースから適切にサイロへ搬送物を搬送することができる。
【0008】
本発明は、上記課題を解決するための第3の手段として、第2の手段において、前記切替用エア経路は、前記陸上設備の電源喪失時において、エア搬送を行う前記バースの船舶に接続して搬送エアを受入れ可能なことを特徴とする貯蔵設備を提供することにある。
上記第3の手段によれば、電源喪失に伴う圧縮空気喪失時に船舶の圧縮エアを利用できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、陸上設備が一部電源喪失してもバースから適切にサイロへ搬送物を搬送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の貯蔵設備の構成概略図である。
図2】貯蔵設備の運転モードの説明図である。
図3】バースとサイロの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の貯蔵設備の実施形態について、図面を参照しながら、以下詳細に説明する。
【0012】
[貯蔵設備10]
図1は、本発明の貯蔵設備の構成概略図である。本発明の貯蔵設備10の複数のバースと複数のサイロを繋ぐ搬送用エア経路の基本構成は、従来構成と同じであるが、切替用エア経路の構成が異なっている。
切替用エア経路20は、末端のサイロ側の陸上設備に属し、それぞれサイロごとに複数形成されている。各切替用エア経路20は一端が弁切替制御部30に接続し、他端がエア式受入切替弁40に接続しており、切替用エア経路20上に分岐点50を設けている。さらに各分岐点50に接続する接続経路60を設けている。接続経路60上には切替弁70を設けている。また切替用エア経路20は、弁切替制御部30に接続する一端側をバースの船舶と接続可能に構成して、船舶からの圧縮エアを供給可能にしている。これにより、電源喪失に伴う圧縮空気喪失時に船舶の圧縮エアを利用できる。
【0013】
エア式受入切替弁40の具体的な構成は、電磁弁42とバタフライ弁44を組み合わせている。弁切替制御部30による電磁弁42のOFF又はON動作の切替え及び、圧縮エアの供給によって電磁弁42からバタフライ弁44へ圧縮エアが供給されてバタフライ弁44の開放又は閉止動作により搬送用エア経路の搬送物の搬送又は停止の制御が実現できる。
切替弁70は手動式であり、搬送工程中(通常時)は閉止し、電源喪失時には開放可能な切り替え操作を行う。
切替用エア経路20上の分岐点50と弁切替制御部30の間に手動弁80を設けている。手動弁80は、搬送工程中(通常時)は開放し、電源喪失時には閉止可能な切り替え操作を行う。
【0014】
[作用]
図2は貯蔵設備の運転モードの説明図である。
(通常搬送工程)
同図の上から第2行目に示すバースAから1号サイロに搬送物を搬送する場合、1号受入切替弁Aを開放し、その他のエア式受入切替弁(1号受入切替弁B、2号受入切替弁A、2号受入切替弁B)を閉止する。また、通常搬送工程中は、手動弁80(1号及び2号手動弁)は開放し、切替弁70は閉止する。このような構成により搬送物を搬送している。
その他、バースBから1号サイロ、バースAから2号サイロ、バースBから2号サイロについても対応するエア式切替え弁の開閉操作によって実現できる。
【0015】
(陸上設備の電源喪失時)
同図の上から第6行目に示す2号サイロ側電源喪失時Aにおいて、バースAから1号サイロに搬送物を搬送する場合、電源供給可能な1号受入切替弁Aを開放し、1号受入切替弁Bを閉止する。2号受入切替弁A,Bはいずれも電源喪失による自動閉止動作によって閉止状態(F.C:Fail Close)となる。また、2号サイロ側電源喪失の際、切替弁70を開放する。さらに2号手動弁を閉止する。このような構成により電源供給可能な1号側の弁切替制御部30から1号受入切替弁Aの開放切替制御と共に、接続経路を介して自動閉止した2号受入切替弁A,Bにも圧縮エアが供給されて、閉止状態を維持できる。
その他、2号サイロ側電源喪失時B、1号サイロ側電源喪失時A、1号サイロ側電源喪失時Bについても対応するエア式エア式切替え弁の開閉操作によって実現できる。
なお、搬送工程停止(未受入時)中は、全エア式受入切替弁を閉止し、1号及び2号手動弁は開放し、エア切替え手動弁は閉止している。
【0016】
このような本発明によれば、電源喪失に伴う圧縮空気喪失時に船舶の圧縮エアを利用できる。
なお上記実施形態ではバースA,Bと1号及び2号サイロの構成で説明したが、この他、バースが3つ以上、サイロも3つ以上の構成についても適用することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明した。しかしながら、本発明は、上記実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の変更が可能である。
また、本発明は、実施形態において示された組み合わせに限定されることなく、種々の組み合わせによって実施可能である。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明は、特にバースに接岸する船舶から陸上のサイロ(タンクともいう)へ搬送物を搬送して一時的に貯蔵する貯蔵設備の分野おいて産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0018】
10 貯蔵設備
20 切替用エア経路
30 弁切替制御部
40 エア式受入切替弁
50 分岐点
60 接続経路
70 切替弁
80 手動弁
図1
図2
図3