(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-28
(45)【発行日】2022-07-06
(54)【発明の名称】アルロースシロップ
(51)【国際特許分類】
A23L 29/30 20160101AFI20220629BHJP
A23L 2/60 20060101ALI20220629BHJP
A23L 2/00 20060101ALI20220629BHJP
A23L 27/20 20160101ALI20220629BHJP
A23L 27/00 20160101ALN20220629BHJP
【FI】
A23L29/30
A23L2/00 C
A23L2/00 G
A23L2/60
A23L27/20 D
A23L27/00 E
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020141468
(22)【出願日】2020-08-25
(62)【分割の表示】P 2017544758の分割
【原出願日】2016-02-19
【審査請求日】2020-09-23
(32)【優先日】2015-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2015-05-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522216798
【氏名又は名称】テート アンド ライル ソリューションズ ユーエスエー エルエルシー
(73)【特許権者】
【識別番号】509178806
【氏名又は名称】テート アンド ライル テクノロジー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】特許業務法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウッディヤー ライアン ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ロイド-ジョーンズ ピーター
【審査官】植原 克典
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-228687(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 29/00-29/30
A23L 33/00-33/29
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
-70重量%~80重量%の総乾燥固形分を有し、乾燥固形分に対して、少なくとも90重量%の量のアルロースを含むアルロースシロップであって、前記シロップのpHが、3.5~5.0である、アルロースシロップ;並びに
-香味料、着色料、アルロース以外の甘味料、食物繊維、酸味料、及びこれらの組み合わせからなる群から選択された少なくとも一つの追加の食品または飲料成分
を含む
、食品または飲料製品を製造するための成分。
【請求項2】
前記少なくとも一つの追加の食品または飲料成分が、可溶性食物繊維である、請求項1に記載の食品または飲料製品を製造するための成分。
【請求項3】
前記可溶性食物繊維が、可溶性トウモロコシ繊維またはポリデキストロースである、請求項2に記載の食品または飲料製品を製造するための成分。
【請求項4】
前記可溶性食物繊維が、可溶性トウモロコシ繊維である、請求項2または3に記載の食品または飲料製品を製造するための成分。
【請求項5】
前記アルロース以外の甘味料が、スクロース、フルクトース、アルロス、タガトース及び他の希少糖などの糖;スクラロース、アセスルファムK、サッカリン、アスパルテームなどの合成高強度甘味料;ステビア及びモンクフルーツ抽出物甘味料並びにその中に存在するテルペングリコシドなどの天然高強度甘味料からなる群から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の食品または飲料製品を製造するための成分。
【請求項6】
前記食品または飲料製品が、飲料製品である、請求項1~5のいずれか一項に記載の食品または飲料製品を製造するための成分。
【請求項7】
前記食品または飲料製品が、炭酸飲料製品である、請求項6に記載の食品または飲料製品を製造するための成分。
【請求項8】
前記食品または飲料製品が、非炭酸飲料製品である、請求項6に記載の食品または飲料製品を製造するための成分。
【請求項9】
70重量%~80重量%の総乾燥固形分を有し、乾燥固形分に対して、少なくとも90重量%の量のアルロースを含むアルロースシロップであって、前記シロップのpHが、3.5~5.0である、アルロースシロップ;並びに
香味料、着色料、アルロース以外の甘味料、食物繊維、酸味料、及びこれらの組み合わせからなる群から選択された少なくとも一つの追加の食品または飲料成分
の
、食品または飲料製品を製造するための成分としての使用。
【請求項10】
前記少なくとも一つの追加の食品または飲料成分が、可溶性食物繊維である、請求項9に記載のアルロースシロップ及び少なくとも一つの追加の食品または飲料成分の使用。
【請求項11】
前記可溶性食物繊維が、可溶性トウモロコシ繊維またはポリデキストロースである、請求項10に記載のアルロースシロップ及び少なくとも一つの追加の食品または飲料成分の使用。
【請求項12】
前記可溶性食物繊維が、可溶性トウモロコシ繊維である、請求項10または11に記載のアルロースシロップ及び少なくとも一つの追加の食品または飲料成分の使用。
【請求項13】
前記アルロース以外の甘味料が、スクロース、フルクトース、アルロス、タガトース及び他の希少糖などの糖;スクラロース、アセスルファムK、サッカリン、アスパルテームなどの合成高強度甘味料;ステビア及びモンクフルーツ抽出物甘味料並びにその中に存在するテルペングリコシドなどの天然高強度甘味料からなる群から選択される、請求項9~12のいずれか一項に記載のアルロースシロップ及び少なくとも一つの追加の食品または飲料成分の使用。
【請求項14】
前記食品または飲料製品が、飲料製品である、請求項9~13のいずれか一項に記載のアルロースシロップ及び少なくとも一つの追加の食品または飲料成分の使用。
【請求項15】
前記食品または飲料製品が、炭酸飲料製品である、請求項14に記載のアルロースシロップ及び少なくとも一つの追加の食品または飲料成分の使用。
【請求項16】
前記食品または飲料製品が、非炭酸飲料製品である、請求項14に記載のアルロースシロップ及び少なくとも一つの追加の食品または飲料成分の使用。
【請求項17】
-70重量%~80重量%の総乾燥固形分を有し、乾燥固形分に対して、少なくとも90重量%の量のアルロースを含むアルロースシロップであって、前記シロップのpHが、3.5~5.0である、アルロースシロップ;並びに
-香味料、着色料、アルロース以外の甘味料、食物繊維、酸味料、及びこれらの組み合わせからなる群から選択された少なくとも一つの追加の食品または飲料成分
を含む
、成分を用いて製造されることを特徴とする、食品または飲料製品の製造方法。
【請求項18】
前記少なくとも一つの追加の食品または飲料成分が、可溶性食物繊維である、請求項17に記載の食品または飲料製品の製造方法。
【請求項19】
前記可溶性食物繊維が、可溶性トウモロコシ繊維またはポリデキストロースである、請求項18に記載の食品または飲料製品の製造方法。
【請求項20】
前記可溶性食物繊維が、可溶性トウモロコシ繊維である、請求項17または18に記載の食品または飲料製品の製造方法。
【請求項21】
前記アルロース以外の甘味料が、スクロース、フルクトース、アルロス、タガトース及び他の希少糖などの糖;スクラロース、アセスルファムK、サッカリン、アスパルテームなどの合成高強度甘味料;ステビア及びモンクフルーツ抽出物甘味料並びにその中に存在するテルペングリコシドなどの天然高強度甘味料からなる群から選択される、請求項17~20のいずれか一項に記載の食品または飲料製品の製造方法。
【請求項22】
前記食品または飲料製品が、飲料製品である、請求項17~21のいずれか一項に記載の食品または飲料製品の製造方法。
【請求項23】
前記食品または飲料製品が、炭酸飲料製品である、請求項22に記載の食品または飲料製品の製造方法。
【請求項24】
前記食品または飲料製品が、非炭酸飲料製品である、請求項22に記載の食品または飲料製品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルロースシロップ、食品または飲料製品の製造におけるアルロースシロップの用途、及びアルロースシロップを使用して製造された食品及び飲料製品に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの食品及び飲料製品には、スクロース(一般に‘シュガー’または‘テーブルシュガー’と称される)、グルコース、フルクトース、コーンシロップ、高果糖コーンシロップなどのような栄養甘味料が含まれている。味及び機能的特性面で好ましいといっても、スクロースのような栄養甘味料の過多摂取は、長い間の肥満、心臓病、代謝障害及び歯の問題のような食習慣関連の健康問題の増加と関連されて来た。このような心配な傾向に従って、消費者は、より健康なライフスタイルを採用し、それらの献立からの栄養甘味料のレベルを下げることに対する重要性をますますより認識するようになった。
【0003】
この近年、特に低カロリーまたはゼロカロリー甘味料の開発に焦点を合わせた栄養甘味料の代替品の開発に対する動向があった。栄養甘味料の一つの提案された代替品には、アルロース(D-プシコースても知られている)がある。アルロースは、自然で極に少量に生成されるため、“希少糖”として知られている。アルロースは、スクロースの甘口の約70%を提供するが、カロリーの約5%(約0.2kcal/g)のみを提供する。従って、アルロースは、本質的に、‘ゼロカロリー’甘味料であると見なされ得る。
【0004】
自然界でその稀少性を考慮して、アルロースの生産は容易に利用可能なフルクトースのエピマー化に依存する。ケトース-3-エピメラーゼは、フルクトース及びアルロースを相互変換させることができ、このような変換を行うための様々なケトース-3-エピメラーゼが知られている。
【0005】
米国特許第8、030、035号及びPCT国際公報WO2011/040708には、D-フルクトースをアグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)由来され、プシコース3-エピメラーゼ活性を有するタンパク質と反応させ、D-プシコースを製造することができるということが開示されている。
【0006】
米国特許公開公報第2011/0275138号には、リゾビウム(Rhizobium)中の微生物由来のケトース3-エピメラーゼが開示されている。このようなタンパク質は、D-またはL-ケトペントーズ及びD-またはL-ケトヘキソース、特にD-フルクトース及びD-プシコースに対して高い特異性を示す。また、この特許文献には、前記タンパク質を使用してケトースを製造する方法が開示されている。
【0007】
韓国特許第10-0832339号は、フルクトースをプシコース(すなわち、アルロース)に変換させることができるシノリゾビウムYB-58菌株及びシノリゾビウムYB-58菌株の菌体を用いてプシコースを生産する方法を開示する。
【0008】
韓国特許出願第10-2009-0098938号は、大膓菌を使用してプシコースを生産する方法として、大膓菌がプシコース3-エピメラーゼをエンコーディングするポリヌクレオチドを発現する方法を開示する。
【0009】
アルロースは、加工砂糖黍及び砂糖大根糖蜜、蒸気処理コーヒー、小麦植物製品及び高果糖コーンシロップに存在する。D-アルロースは、D-フルクトースのC-3エピマー
であり、アルロースとフルクトースの構造的差は、アルロースがで人体で相当な程度に代謝されないようにして、“ゼロ”カロリーである。従って、アルロースは、本質的にカロリーがないので、栄養甘味料の代替品及び甘味増強剤として前途有望なものと考えられ、スクロースと同様の特性を維持しながら甘味を出すものとして報告されている。
【0010】
簡便なアルロース製品形態は、アルロースシロップ、すなわち、アルロース及び水を含むシロップである。アルロースシロップは、時間の経過に応じる分解(すなわち、アルロース含量が漸進的に減少する)、色形成、不純物(例えば、ヒドロキシメチルフルフラール-HMF)の形成、結晶化及び不適合な微生物の安全性によって、容易に影響を受けることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、前記問題点を解決するアルロースシロップを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
第1の態様によれば、本発明は、アルロースシロップとして、50重量%~80重量%の総乾燥固形分を有し、乾固形分に対して、少なくとも80重量%の量のアルロースを含み、前記シロップのpHが2.5~6.0であるアルロースシロップを提供する。
【0013】
一実施形態において、アルロースシロップは、50重量%~70重量%の総乾燥固形分を有し、乾固形分に対して、少なくとも80重量%の量のアルロースを含み、前記シロップのpHは、2.5~6.0である。
【0014】
一実施形態において、アルロースシロップは、70重量%~80重量%の総乾燥固形分を有し、乾固形分に対して、少なくとも90重量%の量のアルロースを含み、前記シロップのpHは、3.0~5.0である。
【0015】
一実施形態において、アルロースシロップの総乾燥固形分は、71重量%~78重量%である。また他の実施形態において、アルロースシロップの総乾燥固形分は、71重量%~73重量%である。また他の実施形態において、アルロースシロップの総乾燥固形分は、76重量%~78重量%である。また他の実施形態において、アルロースシロップの総乾燥固形分は、50重量%~71重量%である。
【0016】
一実施形態において、アルロースシロップのpHは、3.5~4.5である。一実施形態において、アルロースシロップのpHは、3.8~4.2である。
【0017】
一実施形態において、アルロースシロップは、乾固形分に対して、少なくとも95重量%の量のアルロースを含む。
【0018】
一実施形態において、アルロースシロップは、1000ppm未満のHMFを含む。
【0019】
一実施形態において、アルロースシロップは、0.1~20ppmの量の二酸化硫黄を含む。
【0020】
一実施形態において、アルロースシロップは、1~20ppmの量の二酸化硫黄を含む。
【0021】
一実施形態において、アルロースシロップは、10ppb(parts per billion)未満のイソバレルアルデヒドを含む。
【0022】
一実施形態において、アルロースシロップは、2ppb未満の2-アミノアセトフェノンを含む。
【0023】
一実施形態において、アルロースシロップは、一つ以上の添加剤をさらに含む。一実施形態において、前記一つ以上の添加剤は、安全性増進添加剤を含むことができる。一実施形態において、前記一つ以上の添加剤は、抗酸化剤を含むことができる。一実施形態において、前記一つ以上の添加剤は、緩衝剤を含むことができる。一実施形態において、前記一つ以上の添加剤は、アスコルビン酸またはその塩;イソアスコルビン酸(エリソルビン酸塩)またはその塩;クエン酸またはその塩;酢酸またはその塩;重亜硫酸塩またはメタ重亜硫酸塩;及び酢酸トコフェロールからなる群から選択され得る。
【0024】
一実施形態において、乾固形分に対して、80重量%超過のアルロース含量が維持されることによって定義されるものであって、アルロースシロップの貯蔵寿命は、少なくとも3、6、9、12ヶ月、または12ヶ月超過である。すなわち、アルロースシロップを少なくとも3、6、9、12ヶ月、または12ヶ月超過の間に貯蔵する場合、総乾固形分に対して、80重量%超過のアルロース含量が維持される。
【0025】
一実施形態において、乾固形分に対して、90重量%超過のアルロース含量が維持されることによって定義されるものであって、アルロースシロップの貯蔵寿命は、少なくとも3、6、9、12ヶ月、または12ヶ月超過である。
【0026】
一実施形態において、乾固形分に対して、95重量%超過のアルロース含量が維持されることによって定義されるものであって、アルロースシロップの貯蔵寿命は、少なくとも3、6、9、12ヶ月、または12ヶ月超過である。
【0027】
さらなる態様によれば、本発明は、第1の態様によるアルロースシロップの製造方法を提供する。アルロースシロップの製造方法は、下記のステップを含む:
-アルロースシロップを提供するステップ;
-アルロースシロップの乾燥固形分を50重量%~80重量%になるように調整するステップ;
-アルロースが、乾固形分に対して、少なくとも80重量%の量で存在するようにアルロースシロップのアルロース含量を調整するステップ;及び
-アルロースシロップのpHを2.5~6.0になるように調節するステップ。
【0028】
一実施形態において、前記方法は、下記のステップを含む:
-アルロースシロップを提供するステップ;
-アルロースシロップの乾燥固形分を60重量%~80重量%になるように調整するステップ;
-アルロースが、乾固形分に対して、少なくとも80重量%の量で存在するようにアルロースシロップのアルロース含量を調整するステップ;及び
-アルロースシロップのpHを2.5~6.0になるように調節するステップ。
【0029】
一実施形態において、前記方法は、下記のステップを含む:
-アルロースシロップを提供するステップ;
-アルロースシロップの乾燥固形分を70重量%~80重量%になるように調整するステップ;
-アルロースが、乾固形分に対して、少なくとも90重量%の量で存在するようにアルロースシロップのアルロース含量を調整するステップ;及び
-アルロースシロップのpHを3.0~5.0になるように調節するステップ。
【0030】
本方法の一実施形態において、前記乾燥固形分は、70重量%~78重量%であり、前記シロップのアルロース含量は、乾固形分に対して、少なくとも90重量%であり、pHは、3.5~4.5に調節される。
【0031】
また他の態様によれば、本発明は、食品または飲料製品の製造における第1の態様によるアルロースシロップの用途を提供する。
【0032】
また他の態様によれば、本発明は、第1の態様によるアルロースシロップ及び少なくとも一つの追加の食品または飲料成分を含む食品または飲料製品を提供する。
【0033】
一実施形態において、少なくとも一つの追加の食品または飲料成分は、香味料、着色料、アルロース以外の甘味料、食物繊維、酸味料、水及びこれらの組み合わせからなる群から選択された少なくとも一つの成分を含む。
【0034】
一実施形態において、アルロースシロップは、50重量%~80重量%の乾燥固形分及び乾燥固形分に対して、80重量%超過のアルロースを含み、pHは、2.5~6.0で測定され、貯蔵寿命は、少なくとも3ヶ月である。
【0035】
一実施形態において、アルロースシロップは、60重量%~80重量%の乾燥固形分及び乾燥固形分に対して、90%超過のアルロースを含み、pHは、3.0~5.0で測定され、貯蔵寿命は、少なくとも3ヶ月である。
【0036】
一実施形態において、アルロースシロップは、70重量%~80重量%の乾燥固形分及び乾燥固形分に対して、90重量%超過のアルロースを含み、pHは、3.0~5.0で測定され、貯蔵寿命は、少なくとも3ヶ月である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】25℃、30℃及び35℃で、アルロースシロップ組成物(初期pH3.4)の純度が時間の経過に応じて、どのように変化するかを示す。
【
図2】25℃、30℃及び35℃で、アルロースシロップ組成物(初期pH3.4)の色が時間の経過に応じて、どのように変化するかを示す。
【
図3】25℃、30℃及び35℃で、アルロースシロップ組成物(初期pH3.4)のHMFの量が時間の経過に応じて、どのように変化するかを示す。
【
図4】25℃、30℃及び35℃で、アルロースシロップ組成物(初期pH3.4)のpHが時間の経過に応じて、どのように変化するかを示す。25℃での貯蔵に対するデータ時点は、30℃での貯蔵と同一である。
【
図5】4℃、25℃、35℃及び50℃で、アルロースシロップ組成物(初期pH4.0)のpHが時間の経過に応じて、どのように変化するかを示す。
【
図6】4℃、25℃、35℃及び50℃で、アルロースシロップ組成物(初期pH4.0)の色が時間の経過に応じて、どのように変化するかを示す。
【
図7】4℃、25℃、35℃及び50℃で、アルロースシロップ組成物(初期pH4.0)のHMFの量が時間の経過に応じて、どのように変化するかを示す。
【
図8】4℃、25℃及び35℃で、アルロースシロップ組成物(初期pH4.0)の純度が時間の経過に応じて、どのように変化するかを示す。
【
図9】40℃で、実施例2のアルロースシロップ製品サンプルのpHが時間の経過に応じて、どのように変化するかを示す。
【
図10】50℃で、実施例2のアルロースシロップ製品サンプルのpHが時間の経過に応じて、どのように変化するかを示す。
【
図11】50℃で、実施例2のアルロースシロップ製品サンプル(開始pH4.0)のpHの変化を初期pHが3.9であるアルロースシロップ組成物と比較する。
【
図12】40℃で、実施例2のアルロースシロップ製品サンプルのアルロース純度が時間の経過に応じて、どのように変化するかを示す。
【
図13】50℃で、実施例2のアルロースシロップ製品サンプルのアルロース純度が時間の経過に応じて、どのように変化するかを示す。
【
図14】40℃で、実施例2のアルロースシロップ製品サンプルの色が時間の経過に応じて、どのように変化するかを示す。
【
図15】50℃で、実施例2のアルロースシロップ製品サンプルの色が時間の経過に応じて、どのように変化するかを示す。
【
図16】40℃で、実施例2のアルロースシロップ製品サンプルのHMF含量が時間の経過に応じて、どのように変化するかを示す。
【
図17】50℃で、実施例2のアルロースシロップ製品サンプルのHMF含量が時間の経過に応じて、どのように変化するかを示す。
【
図18】異なる温度、pH及びDS含量で、実施例5のアルロースシロップ製品サンプルのアルロース含量が時間の経過に応じて、どのように変化するかを示す。
【
図19】25℃で、実施例5のアルロースシロップ製品サンプルのアルロース含量が時間の経過に応じて、どのように変化するかを示す。
【
図20】35℃で、実施例5のアルロースシロップ製品サンプルのアルロース含量が時間の経過に応じて、どのように変化するかを示す。
【
図21】25℃で、実施例5のアルロースシロップ製品サンプルのHMF含量が時間の経過に応じて、どのように変化するかを示す。
【
図22】35℃で、実施例5のアルロースシロップ製品サンプルのHMF含量が時間の経過に応じて、どのように変化するかを示す。
【
図23】25℃で、実施例5のアルロースシロップ製品サンプルの色が時間の経過に応じて、どのように変化するかを示す。
【
図24】35℃で、実施例5のアルロースシロップ製品サンプルの色が時間の経過に応じて、どのように変化するかを示す。
【
図25】実施例6のアルロースシロップ製品サンプルのpHが時間の経過に応じて、添加剤によってどのように影響を受けるかを示す。
【
図26】実施例6のアルロースシロップ製品サンプルのアルロース純度が時間の経過に応じて、添加剤によってどのように影響を受けるかを示す。
【
図27】実施例6のアルロースシロップ製品サンプルのアルロース純度が時間の経過に応じて、アスコルビン酸塩とイソアスコルビン酸塩の添加によってどのように影響を受けるかを示す。
【
図28】実施例6のアルロースシロップ製品サンプルのアルロース純度が時間の経過に応じて、クエン酸塩と酢酸塩の添加によってどのように影響を受けるかを示す。
【
図29】実施例6のアルロースシロップ製品サンプルのHMF含量が時間の経過に応じて、アスコルビン酸塩及びイソアスコルビン酸塩の添加によってどのように影響を受けるかを示す。
【
図30】実施例7によるDOEソフトウェアを使用してモデル化されたように、77%DSでの6ヶ月目のアルロース含量の変化を示す(それぞれの等高線は、時間0からアルロース含量の変化の2%の減少を示す)。
【
図31】実施例7によるDOEソフトウェアを使用してモデル化されたように、25℃での6ヶ月目のアルロース含量の変化を示す。
【
図32】実施例7によるDOEソフトウェアを使用してモデル化されたように、77%DSでの6ヶ月目の色変化を示す。
【
図33】実施例7によるDOEソフトウェアを使用してモデル化されたように、25℃での6ヶ月目の色変化を示す。
【
図34】実施例7によるDOEソフトウェアを使用してモデル化されたように、77%DSでの6ヶ月目のHMF形成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明は、改善された貯蔵安全性を持つアルロースシロップが特定のパラメーターの注意深い調節によって製造され得るという知見に基づく。
【0039】
本明細書において使用される用語“アルロース”は、下記化学式Iのフィッシャー投影式として示した構造の単糖類糖を指す。これは、また“D-プシコース”としても知られている:
【0040】
【0041】
第1の態様によれば、本発明は、50重量%~80重量%の総乾燥固形分を有し、乾燥固形分に対して、少なくとも80重量%の量のアルロースを含むアルロースシロップであって、前記シロップのpHが2.5~6.0であるアルロースシロップを提供する。
【0042】
一実施形態によれば、アルロースシロップは、70重量%~80重量%の総乾燥固形分を有し、乾燥固形分に対して、少なくとも90重量%の量のアルロースを含み、前記シロップのpHは、3.0~5.0である。
【0043】
アルロースシロップの総乾燥固形分は、50重量%~80重量%である。例えば、総乾燥固形分は、50重量%、51重量%、52重量%、53重量%、54重量%、55重量%、56重量%、57重量%、58重量%、59重量%、60重量%、61重量%、62重量%、63重量%、64重量%、65重量%、66重量%、67重量%、68重量%、69重量%、70重量%、71重量%、72重量%、73重量%、74重量%、75重量%、76重量%、77重量%、78重量%、79重量%または80重量%だけでなく、すべての中間値であり得る。
【0044】
一実施形態において、アルロースシロップの総乾燥固形分は、70重量%~80重量%である。例えば、総乾燥固形分は、70重量%、71重量%、72重量%、73重量%、74重量%、75重量%、76重量%、77重量%、78重量%、79重量%または80重量%だけでなく、すべての中間値であり得る。一実施形態において、アルロースシロップの総乾燥固形分は、71重量%~78重量%である。また他の実施形態において、アルロースシロップの総乾燥固形分は、71重量%~73重量%である。また他の実施形態において、アルロースシロップの総乾燥固形分は、76重量%~78重量%である。
【0045】
また他の実施形態において、アルロースシロップの総乾燥固形分は、50重量%~70重量%である。
【0046】
アルロースシロップの組成安全性は、一般的に、本発明の総乾燥固形分範囲の下限で最も高いが、微生物安全性は、一般的に、本発明の総乾燥固形分範囲の上限で最も高いとい
うことが明かされた。従って、本発明の範囲内の適正な総乾燥固形分の選択は、特定の用途の主要属性によって行うことができる。
【0047】
アルロースシロップのpHは、2.5~6.0である。例えば、前記シロップのpHは、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5.0、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9または6.0だけでなく、すべての中間値であり得る。
【0048】
一実施形態において、アルロースシロップのpHは、3.0~5.0である。例えば、前記シロップのpHは、3.0、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9または5.0だけでなく、すべての中間値であり得る。
【0049】
一実施形態において、アルロースシロップのpHは、3.5~4.5である。例えば、前記シロップのpHは、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.1、4.2、4.3、4.4または4.5だけでなく、すべての中間値であり得る。一実施形態において、アルロースシロップのpHは、3.8~4.2である。一実施形態において、アルロースシロップのpHは、約4.0である。
【0050】
pHの増加によって、アルロース分解及びHMF形成を最小化することができるが、pHの増加によって、好ましくない色形成が促進されるということが明かされた。本発明によるpHは、アルロース分解及びHMF形成を最小化し、好ましくない色形成を最小化するという点ですべて最適であるというのが明かされた。
【0051】
単糖類シロップが従来に低いpH、例えば、2.2~3.0で最も安定したものと明かされたので(Smirnov V、 Geispits K; Stability of Monosaccharides in Solutions of Different pH; BioChem.Moscow、1957、22:849-854)、アルロースシロップが、前記pH範囲で最も安定したものと明かされたということは驚くべきである。
【0052】
アルロースシロップは、乾燥固形分に対して、少なくとも80重量%の量のアルロースを含む(すなわち、アルロースシロップに存在する総乾燥固形分の少なくとも80重量%がアルロースである)。例えば、アルロースシロップは、乾燥固形分に対して、80重量%、81重量%、82重量%、83重量%、84重量%、85重量%、86重量%、87重量%、88重量%、89重量%、90重量%、91重量%、92重量%、93重量%、94重量%、95重量%、96重量%、97重量%、98重量%、99重量%または100重量%だけでなく、すべての中間値の量のアルロースを含むことができる。
【0053】
一実施形態において、アルロースシロップは、乾燥固形分に対して、少なくとも90重量%の量のアルロースを含む(すなわち、アルロースシロップに存在する総乾燥固形分の少なくとも90重量%がアルロースである)。例えば、アルロースシロップは、乾燥固形分に対して、90重量%、91重量%、92重量%、93重量%、94重量%、95重量%、96重量%、97重量%、98重量%、99重量%または100重量%だけでなく、すべての中間値であり得る。一実施形態において、アルロースシロップは、乾燥固形分に対して、少なくとも95重量%の量のアルロースを含む。
【0054】
一実施形態において、アルロースシロップは、1000ppm未満のHMF(ヒドロキ
シメチルフルフラール)を含む。例えば、アルロースシロップは、900ppm未満、800ppm未満、700ppm未満、600ppm未満、500ppm未満、400ppm未満、300ppm未満、200ppm未満または100ppm未満のHMFを含むことができる。特定の実施形態において、アルロースシロップは、0.1ppm超過1000ppm未満、例えば、0.1ppm超過900ppm未満、0.1ppm超過800ppm未満、0.1ppm超過700ppm未満、0.1ppm超過600ppm未満、0.1ppm超過500ppm未満、0.1ppm超過400ppm未満、0.1ppm超過300ppm未満、0.1ppm超過及び200ppm未満、または0.1ppm超過100ppm未満のHMF(ヒドロキシメチルフルフラール)を含む。
【0055】
一実施形態において、アルロースシロップは、0.1~20ppmの量の二酸化硫黄を含む。
【0056】
一実施形態において、アルロースシロップは、1~20ppmの量の二酸化硫黄を含む。
【0057】
一実施形態において、アルロースシロップは、10ppbのイソバレルアルデヒドを含む。
【0058】
一実施形態において、アルロースシロップは、2ppb未満の2-アミノアセトフェノンを含む。
【0059】
一実施形態において、アルロースシロップは、一つ以上の添加剤をさらに含む。
【0060】
一実施形態において、前記一つ以上の添加剤は、安全性増進添加剤を含むことができる。一実施形態において、前記一つ以上の添加剤は、抗酸化剤を含むことができる。一実施形態において、前記一つ以上の添加剤は、緩衝剤を含むことができる。アルロースシロップに緩衝剤を混入させると、アルロースのpHがより長い時間の間に所望の範囲内に維持され、貯蔵安全性がさらに向上する。一実施形態において、安全性増進添加剤は、アルロースシロップの総重量を基準に、約0.01~2.0重量%で含まれる。
【0061】
一実施形態において、安全性増進添加剤は、アスコルビン酸及びその塩;イソアスコルビン酸(エリソルビン酸塩)及びその塩;クエン酸及びその塩;酢酸及びその塩;重亜硫酸塩及びメタ重亜硫酸塩;及び酢酸トコフェロールからなる群から選択され得る。塩の場合、適切な塩には、アルカリ金属塩、特にナトリウム及びカリウム塩、及び特にナトリウム塩が含まれる。本発明に有用な安全性増進添加剤の特定の例には、アスコルビン酸塩、イソアスコルビン酸塩、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、酢酸トコフェロール及びメタ亜硫酸塩が含まれる。一実施形態において、安全性増進添加剤は、アスコルビン酸またはその塩;イソアスコルビン酸(エリソルビン酸塩)またはその塩;クエン酸またはその塩;酢酸またはその塩;及び酢酸トコフェロールの場合、アルロースシロップの総重量を基準に、約0.2重量%で含まれる。一実施形態において、安全性増進添加剤は、重亜硫酸塩またはメタ亜硫酸塩の場合、アルロースシロップの総重量を基準に、約0.02重量%で含まれる。
【0062】
アルロースシロップに含まれる緩衝剤の濃度は、アルロースシロップの総重量を基準に、約0.01~2.0重量%であり得る。アルロースシロップに含まれる緩衝剤の濃度は、アスコルビン酸またはその塩;イソアスコルビン酸(エリソルビン酸塩)またはその塩;クエン酸またはその塩;酢酸またはその塩;及び酢酸トコフェロールの場合、アルロースシロップの総重量を基準に、約0.2重量%であり得る。アルロースシロップに含まれた緩衝剤の濃度は、重亜硫酸塩またはメタ亜硫酸塩の場合、アルロースシロップの総重量
を基準に、約0.02重量%であり得る。
【0063】
本発明のアルロースシロップは、少なくとも3ヶ月の貯蔵寿命を有する。特に、本発明のアルロースシロップは、少なくとも3ヶ月、好ましくは少なくとも6ヶ月、少なくとも9ヶ月、少なくとも12ヶ月または12ヶ月超過の間に乾燥固形分に対して、少なくとも80%のアルロース含量を維持する。
【0064】
本発明のアルロースシロップは、少なくとも3ヶ月の貯蔵寿命を有する。特に、本発明のアルロースシロップは、少なくとも3ヶ月、好ましくは少なくとも6ヶ月、少なくとも9ヶ月、少なくとも12ヶ月または12ヶ月超過の間に乾燥固形分に対して、少なくとも90%のアルロース含量を維持する。
【0065】
本発明のアルロースシロップは、好ましくは少なくとも6ヶ月の貯蔵寿命を有する。特に、本発明のアルロースシロップは、好ましくは少なくとも6ヶ月、好ましくは少なくとも9ヶ月、少なくとも12ヶ月または12ヶ月超過の間に乾燥固形分に対して、少なくとも95%のアルロース含量を維持する。アルロース含量は、トウモロコシ精製業者協会(http://corn.org/wp-content/uploads/2009/12/SACCH.03.pdf)で提示したSacch.03方法のような標準HPLC方法で測定される。
【0066】
好ましい乾燥固形分範囲には、60~80%、70~80%、71~78%、71~73%または76~78%が含まれる。好ましいpH範囲は、3.5~4.5または3.8~4.2である。好ましいアルロース含量は、乾燥固形分に対して、95%超過のアルロースである。好ましくは、前記シロップは、限定された量の下記の化合物を含む:1000ppm未満のヒドロキシメチルフルフラール(HMF);20ppm未満の濃度の二酸化硫黄;測定された濃度が10ppb未満のイソバレルアルデヒド;及び2ppb未満の濃度の2-アミノアセトフェノン。選択的に、前記シロップは、下記の化合物のうち、任意の一つを単独でまたは組み合わせ物で含むことができる:1)アスコルビン酸またはその塩、2)イソアスコルビン酸(エリソルビン酸塩)またはその塩、3)クエン酸またはその塩、4)酢酸またはその塩、5)重亜硫酸塩またはメタ重亜硫酸塩、及び/または6)酢酸トコフェロールのうちの一つ以上を含む安全性増進成分。アルロースシロップは、90%超過(例えば、95%超過)の濃度を有することができ、少なくとも3、6、9、12ヶ月または12ヶ月超過の貯蔵寿命を有することができる。
【0067】
さらなる態様によれば、本発明は、アルロースシロップの製造方法を提供する。前記方法は、下記のステップを含む:アルロースシロップを提供するステップ;アルロースシロップの乾燥固形分を50重量%~80重量%になるように調整するステップ;アルロースが乾燥固形分に対して、少なくとも80重量%の量で存在するようにアルロースシロップのアルロース含量を調整するステップ;及びアルロースシロップのpHを2.5~6.0になるように調節するステップ。
【0068】
一実施形態によれば、アルロースシロップを製造する方法は、下記のステップを含む:アルロースシロップを提供するステップ;アルロースシロップの乾燥固形分が60重量%~80重量%になるように調整するステップ;アルロースが乾燥固形分に対して、少なくとも80重量%の量で存在するようにアルロースシロップのアルロース含量を調整するステップ;アルロースシロップのpHを2.5~6.0になるように調整するステップ。
【0069】
一実施形態によれば、アルロースシロップを製造する方法は、下記のステップを含む:アルロースシロップを提供するステップ;アルロースシロップの乾燥固形分を70重量%~80重量%になるように調整するステップ;アルロースが乾燥固形分に対して、少なく
とも90重量%の量で存在するようにアルロースシロップのアルロース含量を調整するステップ;及びアルロースシロップのpHを3.0~5.0になるように調節するステップ。
【0070】
一実施形態によれば、アルロースシロップを製造する方法は、下記のステップを含む:アルロースシロップを提供するステップ;アルロースシロップの乾燥固形分を70重量%~78重量%になるように調整するステップ;アルロースが乾燥固形分に対して、少なくとも90重量%の量で存在するようにアルロースシロップのアルロース含量を調整するステップ;アルロースシロップのpHを3.5~4.5になるように調節するステップ。
【0071】
前記方法は、選択的に、その含量を1000ppm未満、より好ましくは100ppm未満に限定するために、HMFの生成を除去または回避するステップを含む。前記方法は、選択的に、その含量を10ppb未満に限定するために、イソバレルアルデヒドの生成を除去または回避するステップを含む。前記方法は、選択的に、その含量を2ppb未満に限定するために、アミノアセトフェノンの生成を除去または回避するステップを含む。前記方法は、選択的に、一つ以上の添加剤を前記シロップに添加するステップを含む。このような手順は、前記で言及したことと同一の順に行われる必要はない(例えば、pH調整は、乾燥固形分を調整する前に行われることができる)。
【0072】
本発明のアルロースシロップの実施形態の説明は、アルロースシロップの製造方法を準用する。
【0073】
さらなる態様によれば、本発明は、甘味料シロップを使用して製造された食品または飲料製品だけではなく、食品または飲料製品の製造における第1の態様によるアルロースシロップの用途を提供する。
【0074】
本発明と関連して考慮され得る食品または飲料製品には、焼き製品(製パン);甘いベーカリー製品(これに限定されるのではないが、ロール、ケーキ、パイ、ペストリー及びクッキー含み);甘いベーカリー製品の製造のために予め製造された甘いベーカリーミックス;パイフィリング及びその他の甘いフィリング(これに限定されるのではないが、果実パイフィリング及び堅果類パイフィリング、例えば、ピカンパイフィリングだけではなく、クッキー、ケーキ、ペストリー、菓子製品用のフィリング、例えば、脂肪ベースのクリームフィリングを含む);デザート、ゼラチン及びプディング;冷凍デザート(これに限定されるのではないが、冷凍乳製品デザート、例えば、アイスクリーム-一般アイスクリーム、ソフトアイスクリーム及びその他のすべてのタイプのアイスクリームを含み-及び冷凍非乳製品デザート、例えば、非乳製品アイスクリーム、シャーベットなどを含む);炭酸飲料(これに限定されるのではないが、ソフト炭酸飲料を含む);非炭酸飲料(これに限定されるのではないが、ソフト非炭酸飲料、例えば、香味をつけた水及びスイートティーまたはコーヒーベースの飲料を含む);飲料濃縮物(これに限定されるのではないが、液状濃縮物及びシロップだけではなく、凍結乾燥及び/または粉末製剤のような非液状‘濃縮物‘を含む);ヨーグルト(これに限定されるのではないが、全脂肪、低脂肪及び無脂肪乳製品ヨーグルトだけではなく、非乳製品及び無乳糖ヨーグルト及びこれらのすべての凍結均等物を含む);スナックバー(これに限定されるのではないが、シリアル、ナッツ、シート及び/またはフルーツバーを含む);パン製品(これに限定されるのではないが、醗酵及び非醗酵パン、イースト及び非イーストパン、例えば、ソーダパン、任意のタイプの小麦粉を含むパン、任意のタイプの非小麦粉(例えば、ジャガイモ、米及びライ麦粉)を含むパン、グルテンフリーパンを含み);パン製品の製造のために、予め製造されたパンミックス;ソース、シロップ及びドレッシング;スウィートスプレッド(これに限定されるのではないが、ゼリー、ジャム、バター、堅果類スプレッド及びその他のスプレッドブルプリザーブ(spreadable preserve)、コンサーブ(co
nserve)などを含む);菓子製品(これに限定されるのではないが、ゼリーキャンディー、ソフトキャンディー、ハードキャンディー、チョコレート及びガムを含む);朝食用甘味シリアル(これに限定されるのではないが、押し出し(キックスタイプ(kix
type))朝食用シリアル、フレーク朝食用シリアル及びパフ朝食用シリアルを含む);及び朝食用甘味シリアル製造で使用するためのシリアルコーティング組成物が含まれる。ここに言及されなかったが、通常的に、一つ以上の栄養甘味料を含む他のタイプの食品及び飲料製品がまた本発明と関連して考慮され得る。
【0075】
本発明によるアルロースシロップは、当業界に公知された任意の食品及び飲料成分を始めとする一つ以上の他の食品または飲料成分と組み合わせて使用され得る。このような追加の食品及び飲料成分には、これに限定されるのではないが、香味料、着色料、アルロース以外の甘味料(スクロース、フルクトース、アルロス、タガトース及び他の希少糖のような他の糖、合成高強度甘味料、例えば、スクラロース、アセスルファムK、サッカリン、アスパルテームなど、天然高強度甘味料、例えば、ステビア及びモンクフルーツ抽出物甘味料及びその中に存在するテルペングリコシドなどを含む)、食物繊維(可溶性トウモロコシ繊維及びポリデキストロースのような可溶性食物繊維を含む)、酸味料、水などが含まれる。
【0076】
本発明によるアルロースシロップを使用して製造され得る食品及び飲料製品の具体的な例示には、これに限定されるのではないが、下記のものが含まれる:
アルロースシロップ及びスクラロースのような一つ以上の合成高強度甘味料を含む炭酸飲料または非炭酸飲料またはジュース飲料のような飲料;
アルロースシロップ、天然高強度甘味料(例えば、ステビア甘味料)及び食物繊維(例えば、可溶性トウモロコシ繊維のような可溶性食物繊維)及び酸味料(例えば、クエン酸)を含む飲料濃縮物を含んだ飲料;
アルロースシロップ(人工甘味料が含まれないこともできる)を含むヨーグルト、例えば、ギリシャヨーグルト;
アルロースシロップ、食物繊維(例えば、可溶性トウモロコシ繊維のような可溶性食物繊維)、天然高強度甘味料(例えば、ステビア甘味料及び/またはモンクフルーツ抽出物甘味料)及び食品系安定剤を含む冷凍デザート;
アルロースシロップ及びトウモロコシ澱粉を含むチョコレートチップクッキーのようなクッキー;
アルロースシロップ及び天然高強度甘味料(例えば、ステビア甘味料)を含むグミキャンディー(gummy candy)のような菓子類;及び
アルロースシロップ、フルクトース及び酸味料(例えば、クエン酸)を含むメープル香味シロップのような香味シロップ。
【0077】
実施例:
本発明は、下記の実施例に基づいて、さらに記述され例示されるだろうが、これらは本発明を説明するためのものであり、決して本発明の範囲を限定するものではない。
【0078】
概要
一セットの条件で製造されたアルロースシロップが、他のセットの条件で製造されたアルロースシロップよりより速い純度低下を示すということが安全性実験から測定された(実施例1)。これらのシロップの間の主要差は、初期pHであった。加速安全性研究(実施例2)は、予測された狭い安全性範囲近所のpH値で添加剤によって、異なる乾燥固形分%で行った。71~77%の乾燥固形分及び約3.8~4.2のpHが、最適の貯蔵安全性を提供することと測定された。微生物安全性もまた調査した(実施例2)。アルロースシロップは、77%で非常に安定し、72%で不十分に安定した。前記の結果は、60%DSの微細安全性に対する下限を予測するのに使用され得る。また他の安全性研究は、
予測された安全性範囲近所の乾燥固形分及びpH値を使用して、周囲の貯蔵温度で行った(実施例3)。最後に、2つの異なる乾燥固形分レベル及び最適pHでの安全性に関する添加剤に対するより詳細な研究が行われた(実施例4)。一部の添加剤は、色、組成及びHMFの変化を減少させた。
【0079】
実施例1
各サンプルは、4クォート(4.54リットル)の正方形のプラスチック容器中の3500mLのアルロースシロップからなった。0ヶ月と2ヶ月目にサンプリングを実施した。
【0080】
分析
当業者に公知された方法を使用してサンプルを分析した。アルロース組成をトウモロコシ精製業者協会(http://corn.org/wp-content/uploads/2009/12/SACCH.03.pdf)によって設定されたSacch.03方法のような標準HPLC方法によって測定した。DSは、屈折率で測定し、pHは、40%未満の乾燥固形分が生成される希釈で測定し、前記シロップの450nmにおける吸光度を測定し、600nmでのバックグラウンドを差し引いた後、その結果をキュベッ経路長さで割ることによって、色を分析した。HMF、イソバレルアルデヒド、アミノアセトフェノンをUV検出による逆相HPLCを使用して分析した。
【0081】
図1に示したように、アルロース成分の純度は、2ヶ月の間で著しく低下した。温度が高いほど組成変化が大きくなるという傾向が明らかであった。
【0082】
色変化は、微々であった(
図2)。35℃で、前記シロップは、色がより速く増加した。しかし、25℃及び30℃で、色変化は、微々であり、2を超過しなかった。
【0083】
HMF含量は、各サンプルで、2ヶ月以上増加した(
図3)。35℃で、サンプルのHMF含量は、2ヶ月後に180ppmHMFに増加した。25℃と30℃のサンプルで、HMFの含量は、低かった。
【0084】
pH値は、各サンプルで、2ヶ月以上同様に減少した。下記で論議されるように、安全性が改善されたものとして、4.0pHで開始した従来研究材料よりも、このように製造された材料で、pHがより低くなり始めたことは注目に値する事実である。
【0085】
2つの製品の組成の主要差は、約0.6pH単位の初期pHの差である。また、第1の研究で、pHは、4℃、25℃及び35℃で最初の5ヶ月の間にpH3.5以上で維持されたが(
図5)、第2のの研究では、pHが常に3.5未満であった(
図4)。2ヶ月の間に25℃での第2の研究の発色(0.67)(
図2)は、同一の時間と温度の第1の研究(1.32)(
図6)に比べて、より小さかった。
【0086】
【0087】
低いpH安全性貯蔵研究中に示されたアルロース含量変化は、レールカー(Railcar)のバルク製品においてさらに確認された(表1)。組成変化は、貯蔵研究で、25℃で2ヶ月目よりもレールカーの3ヶ月目に僅か少なかった(すなわち、3ヶ月の2%対2ヶ月の3%)。1クォートの容器よりも300ガロンのトートがアルロース含量変化に不十分に敏感であったまた他の実施例において、容器容積の効果が立証された。容積率に対する表面積が小さいほど、より大きな容器でpHがより安定的であることができると説明することができる。他の説明では、より大きな容器で、平均温度が低いことができるが、これが直接的に観察されなかった。
【0088】
要約すると、初期pHが3.4である製造シロップのアルロース含量は、2ヶ月内に変化した。初期pHが4.0である製造シロップのアルロース含量も時間の経過に応じて、変化したが、その速度は、遅かった(
図5~8)。これらの2つのシロップの主要物理的差は、pHであることと見える。下記のさらなる実施例は、pHが組成安全性に大きな影響を及ぼすということを見せてくれる。
【0089】
実施例2-貯蔵安全性
最終アルロースシロップ製品サンプルを様々なpHと異なるDS及び温度に適用させた。また他の一連のサンプルに、メタ重亜硫酸ナトリウムとクエン酸ナトリウムを添加した。別途のサブサンプルを所定の間隔で採取して、その炭水化物組成、色、HMF、DS及びpHを分析した。
【0090】
【0091】
【0092】
方法
出発材料サンプルを採取した。pHとDSを測定して記録した。それぞれのサブサンプルのうちの一つをそのまま採取した後、希釈されたHClまたは炭酸ナトリウムを使用してpH3.6に調整し、他のものは、pH4.0に調整し、最後のものは、pH4.7に調整した。一つの出発材料サブセットを71%DSに希釈させた。また他のpH4.0バッチサブセットにクエン酸ナトリウムまたはメタ重亜硫酸ナトリウムを添加した。シールされたサンプル容器を40℃と50℃の互いに異なる温度のオーブンに配置した。それぞれのサンプルの抽出物を各オーブンから定期的に除去した。サンプルを氷浴で急速冷凍させた後、炭水化物組成、HMF、色及びpHを分析した。
【0093】
分析
サンプルを分析して、DS、pH、炭水化物組成、HMF含量及び色を測定した。サンプルを標準DSで、pH及び色について分析した。
【0094】
一般的に、pHは、実験過程の間に低下し、
図9及び
図10を参照する。高いpHで開始されたサンプルの場合、pHの低下がより顕著であり、高温でpHがより速く低下する。各サンプルのpHは、3.0~3.3付近の値でより安定するように示される。
【0095】
pH4.0で開始されるように調整されたもののうちの2つのサンプルに添加剤を添加した。第1のものは、75ppmのメタ重亜硫酸ナトリウム(MBS)であり、第2のものは、60ppmのクエン酸ナトリウム(NaCit)であった。
【0096】
pH4.0でのpHドリフトデータ(drift data)(
図9及び
図10)は、製品のpHが3.9で開始され、サンプルが50℃で貯蔵されたアルロースシロップ製品
の安全性研究と一致する(
図11で比較される)。
【0097】
アルロース含量は、温度が高いほど、pHが低いほど、期間の長いほど、アルロースがより速く損失される傾向に追従して、すべてのサンプルで低下した(
図12及び
図13)。添加剤が含まれたpH4.0サンプルは、添加剤が含まれないpH4.0サンプルと同様のアルロース損失率を示す。これは、前記で観察されたものと同様のpH変化と非常に低いレベルの添加剤によるものであると説明され得る。
【0098】
驚くべきことに、pH3.37で開始されたものであって、僅かに低いDS(71%対
77%)のサンプルは、77%DSの同一pHサンプルよりもずっと少ないアルロース損失を示した。71%DSのアルロース損失率は、77%DSの半分程度であり、これは、限定された範囲のDSがアルロースシロップ安全性に対して、劇的且つ予期しない効果があるということを立証する。グルコースまたは高果糖コーンシロップのような類似の単糖類シロップの場合、このような限定された範囲のDSで類似の効果が観察されない。
【0099】
色を測定し、時間に対して示した(
図14及び
図15)。高いpH、より長い時間及び高温が、色形成を増加させた。pHを増加させることにより、アルロース含量損失を緩和することが可能であるが、最終製品の色が増加することによって上限が制限される。これにより、アルロースシロップの長期貯蔵のために、驚くほど限定された範囲のpHが許容され得る。色及び組成安全性の両者を考慮するとき、このような範囲は、pH3.5~4.5であるものと示された。グルコースまたは高果糖コーンシロップのような類似の単糖類シロップの場合、このような限定されたpH範囲で同様の効果が観察されない。
【0100】
これらのサンプルに対する時間経過に応じるHMF変化を
図16及び
図17に示した。低pH、高温及びより長い時間が、HMF形成の増加に寄与した。
【0101】
実施例3-結晶化安全性
アルロースシロップを50、60、71、77及び85%DSで製造し、25℃、15℃及び4℃で平衡化した。これらのサンプルに、~0.1%結晶質アルロースをシード(seeding)した後、1ヶ月の貯蔵後のシロップ画分の乾燥固形分変化によって、結晶化を目視でモニターした。
【0102】
結果:
DSの変化を表4に示した。0より大きいDSの変化は、結晶化を示し、数字が大きいほどより多い量の結晶化を示す。77%DSでシード結晶がまた溶解しなかったとしても、25℃で77%DS以下は、その後結晶化されなかったし、これは、77%が25℃で大略的な溶解度の限界ということを示唆する。85%DSサンプルは、結晶化された。15℃で、71%DS以下のサンプルは、結晶化されなかったし、77%と85%は、結晶が形成された。4℃で、60%DS以下のサンプルは、結晶化されなかったし、71%DSサンプルは、バルクシロップDSにあまり影響を及ぼさないものであって、非常に少量結晶化された。従って、周囲温度及び減少した温度で結晶化安定シロップの貯蔵のために、77%乾燥固形分またはその以下が好ましい。クール(<25℃)温度の場合、71%乾燥固形分またはその以下がより好ましい。
【0103】
【0104】
実施例4-微生物安全性
微生物安全性を浸透圧性酵母(osmophilic yeast)及びカビ(mold)を使用したチャレンジ研究によって72%及び77%乾燥固形分で評価した。
【0105】
各DSレベル対照群サンプルの250グラムのアリコートを、2つの滅菌ガラスジャー(glass jar)に配置した(250グラム×2/各湿度レベル、総4つの容器)。各DSレベルサンプルの1、000グラムのアリコートを2つの滅菌ナルゲン容器(Nalgene container)に配置した(1、000グラム×2/各DSレベル、総4つの容器)。各1、000グラムのサンプル(総8個の容器)に浸透圧性カビ及び酵母をそれぞれ接種した(総容積の1%未満)。容器を混合し、室温で2~3時間インキュベートして、接種物を平衡化させた。次いて、250gの混合物を250mLの滅菌ガラスジャーに配置し、各試験条件(24×250mLガラスジャー)に対して3つずつ製造した。プレーティングのために、初期サンプル(T=0)を採取した後、25℃及び35℃でインキュベートを開始した。次に、プレーティングのために、予定された間隔でサンプルを採取した。
【0106】
77%DSで、浸透圧性酵母とカビは、速めに生存することができなくなった。しかし、72%DSで、アルロースシロップは、25℃ですべての生存酵母とカビを完全に死滅させるまで4週間かかった。
【0107】
微生物安全性を同一の方法を使用して、浸透圧性酵母及びカビを利用したチャレンジ研究によって、50%及び60%乾燥固形分で評価した。60%DSで、アルロースシロッ
プで浸透圧性酵母及びカビの生存率を完全に除去するのに2ヶ月間かかったし、50%DSの場合、酵母及びカビの生存率は、甚だしくは4ヶ月後にも完全に除去されなかった。これは、60%乾燥固形分が、微生物汚染による腐敗に対して、抵抗性であるものと合理的に考慮され得るアルロースシロップの最小乾燥固形分濃度であり、より理想的には、前記乾燥固形分濃度が70~77%ということを示唆する。
【0108】
下記の表5a~5e及び前記結晶化及び反応性実施例の結果に基づいて、最終製品安全性は、アルロースシロップに対してかなり限定された最適のDSを有する。低いDSは、すべてのパラメータの分解速度を減少させるが、60%DS未満の最終製品DSは、優れた微生物安全性を維持することができない。高いDSは、より速い分解及びまた結晶化をもたらす。従って、60~80%の最適DSが要求され、より好ましくは、71~78%のDSがアルロースシロップの長期間安全性に要求され、より好ましくは、71~73%のDSが最高の組み合わせアルロース含量安全性、微生物安全性及び結晶質安全性を持たなければならない。微生物安全性が必要な主要属性である場合、76~78%のDSは、最上の微生物安全性を持つだろう。また、最終製品安全性は、炭水化物安全性と色/HMF 形成との間の均衡を最適化するために、3.5~4.5の限定された範囲のpH、より好ましくは、3.8~4.2のpH範囲で最適化される。pHが低いほどアルロース含量損失及びHMF形成速度が増加することと示されたし、pHが高いほど色がより速く形成されることと示された。
【0109】
【0110】
【0111】
【0112】
【0113】
【0114】
実施例5-狭いpH範囲及び周囲貯蔵温度内でアルロースシロップの安全性
このような一連の実験は、25~35℃の周囲温度範囲で 狭い範囲のpH及びDS内
で、アルロースシロップの安全性を測定するために設定された。
【0115】
93.8%アルロース含量のアルロースシロップのサンプルを3.8、4.0及び4.2pH単位にpHを調整し、DSを77%と71%に調整し、25℃と35℃でインキュベートした。サンプルを定期的に分析した。
【0116】
結果
71~77%、25-35℃、開始pH3.8~4.2の範囲で一部組成発散が存在する(
図18)。より低いpH、より高いDS、より高い温度が全てアルロース含量の小さな変化に寄与する。
【0117】
すべての25℃(77゜F)のデータは、2ヶ月の間に組成の変化がほとんどなかったということを示す(
図19)。しかし、35℃のデータは、2ヶ月の間にアルロース含量が緩やかに減少したということを示す(pH及び%DSに依存的に、0.5~1.5%減少)(
図20)。より高いpHとより低いDSがより安定したものと示される。3.8~4.2の限定されたpH範囲内でも、より高いpHが35℃で、組成的により安定した。25℃では差が確認されない。このような結果は、アルロースシロップの安全性に必要な驚くほど限定された温度、pH及びDS条件を強調する。
【0118】
HMFは、単糖類シロップの好ましくない脱水製品である。ここで、温度が高いほどより多いHMF形成がもたらされることが分かる(
図21及び
図22)。このような結果は、pHが高いほど3.8~4.2の範囲でより小さいHMF形成がもたらされることを示唆する。
【0119】
色に対する温度の影響は急激であった(
図23及び
図24)。また、pHが高いほどより多くの色が生成されることから見て、色に対するpH効果は明らかであった。より低いDSで色の発色が小さいことから見て、DS%は、色に対して微々な影響を及ぼし;これは、高い温度でより顕著であった。これは、再び、色及びアルロース含量の安全性において、pH、DS及び温度がすべて相当な影響を及ぼす驚くほど狭い範囲が存在するということを立証する。
【0120】
このような結果は、25℃で試験した条件下での安全性を立証する。より高いDS及びより高いpHで最も速く色が発色され、より高いDS及びより低いpHでアルロース含量が最も速く変化することから見て、より高い温度で、甚だしくは狭い範囲のDS及びpHが顕著な効果を有する。25℃を超過する高い温度が発生する場合、pH4.0及び71%DSが色変化及びアルロース含量の変化調節を支援する。
【0121】
実施例6-シロップ添加剤による安全性の改善
添加剤は、安全性に対して影響を及ぼす。このような添加剤は、pHを緩衝させて、pH4.0での調節を支援し、また酸化を最小化することによって、前記シロップを安定化させることができる。
【0122】
一つの温度30℃(86゜F)を添加剤の安全性に対する影響を評価するのに使用した。
【0123】
【0124】
方法
各サンプルは、プラスチック容器中のシロップ1000mLで構成されている。このような材料2ガロンを1M炭酸ナトリウム(NaCO3)を使用して、ゆっくりと慎重に添加し、1:1希釈でpHを定期的に測定して、pHを4.0に調整した。次いで、この材料を2つの個別容器に分け、このうちの一つを71%DSで希釈させた(11.5lbs77%DSシロップ+0.97lbs水)。
【0125】
希釈後、前記サンプルを500mLプラスチック容器にサブサンプリングした。アスコルビン酸塩、イソアスコルビン酸塩、クエン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、1%酢酸トコフェロール及びメタ亜硫酸塩の新しい10%溶液(25mL)を製造した後、炭酸ナトリウムでpHを~4.0pHに調整した。これらの溶液10mLを添加した後、表6でのように、該当のサンプルと混合した。
【0126】
下記のサンプルを前記のように製造した後、30℃のオーブンに配置し、下記の表7のようにサンプリングする。
【0127】
【0128】
サンプリング及び試験日程は、表7に詳細に開示される。
【0129】
【0130】
結果
両方の対照群のいずれもpHが低くなる傾向が示されたが、2ヶ月目にpHの急激な変化は観察されなかった(
図25)。予想されたように、添加された緩衝化合物を含むサンプルの場合、pHが低下しない:アスコルビン酸塩、イソアスコルビン酸塩、クエン酸塩及び酢酸塩。
【0131】
組成の観点で30℃で3ヶ月の間に急激な変化は観察されなかったが(
図26)、微々な変化が存在した。添加されたMBSがより速いアルロース含量損失をもたらし得ることと示された。酢酸トコフェロールは、71%DS対照群よりも一定レベル良好な実行能を示し、77%DS対照群とはほぼ同一の実行能を示す。
【0132】
アスコルビン酸塩及びイソアスコルビン酸塩の両者の添加(
図27)及びクエン酸ナトリウム及び酢酸ナトリウムの両者の添加(
図28)は、30℃で3ヶ月の貯蔵後のアルロース含量の変化を調節した。
【0133】
すべてのサンプルにおいてHMFが増加した。しかし、一つの添加剤サンプルのサブセットは、HMF増加量が実質的により少なく示された。HMF増加が減少したサンプルは、アスコルビン酸塩またはイソアスコルビン酸塩を含むものであったし、対照群サンプルのHMF増加の半分未満を示した(
図29)。
【0134】
アスコルビン酸塩及びイソアスコルビン酸塩は、HMF形成を調節する能力を有するが、クエン酸ナトリウム及び酢酸ナトリウムは、pH及びアルロース含量の変化を調節することができることと示された。MBSまたは酢酸トコフェロールの添加は、顕著な利点を提供しなかった。
【0135】
実施例7-温度、pH及びDSの表面反応研究:
本研究の目的は、狭い範囲の製品の条件で製品の安全性に及ぼすpH、DS及び温度の影響と相互作用を測定するためのものであった。
【0136】
アルロースシロップを本研究に使用した。各サンプルは、1クォート(1.14リット
ル)の丸プラスチックHDPE容器中の1クォート(1.14リットル)のアルロースシロップで構成された。このような容器は、消費者の貯蔵用に使用されるISBTトートと同一の材料で製造された理由で選択された。毎時間/温度組み合わせごとに、単一のクォート容器がパッキング(packing)された。
【0137】
【0138】
DOEソフトウェアを使用して表8で関心のある変数範囲を有する3つの因子及び3つの反応をモデル化した。また、サンプル時点での結果的なpHを測定した。
【0139】
ボックスベーンケン設計によって、表9の下記の実験を生成した。
【0140】
【0141】
各容器からゼロ時間サンプルを採取して、色、HMF、DP1-4及びpH分析に提供した。次いで、元の容器を、表9の因子3列に指定されたように、25℃、30℃または35℃の適切な安全性チャンバに配置した。
【0142】
3週、6週、3ヶ月及び6ヶ月の間にインキュベーションした後、各容器のサンプルを色、HMF、DP1-4及びpH分析に提供した。結果は、DOEソフトウェアを使用して分析し、最適化条件の予測を生成した。アルロース含量、HMF及び色に対して等高線を生成した。
【0143】
このような反応表面研究の6ヶ月の間にアルロース含量に顕著な変化が存在した。
【0144】
図30に示されたように、6ヶ月目に77%DSで温度及びpHに関連してアルロース変化の反応表面を見ると、アルロース含量が2%を超過して変化された実質的な失敗空間が存在する。pHが4.0を超過し、温度が27℃未満の場合、最右側端に前記シロップのアルロース含量が顕著に変化しない、単に狭い窓が存在するということは、驚くべきことである。
【0145】
25℃で、DS及びpHに対するアルロース反応表面の変化を見ると(
図31)、DSが増加するにつれて、アルロース含量変化が小さい好ましい空間がますます減少するのが明らかである。DSが約60%DSで微細安全性でローエンドと結付され、78%DSで反応性及び結晶化でハイエンドと結付されるということを留意すると、アルロース含量変化が許容され得る狭い許容可能空間が存在するということが分かる。65%DS以上で、25℃及び約pH4.25が6ヶ月目の安全性に必須である。
【0146】
許容され得る安定した貯蔵条件は、色を考慮するとき、乾燥固形分、pH及び貯蔵温度の観点でさらに限定される。食品に使用するためには、無色の食品成分が好ましい。この実験において、600nmでバックグラウンドを差し引いた450nmでの吸光度で前記シロップの色を分析した。4を超過する色変化は、一般的に許容されることができないことと見なされる。77%DSアルロースシロップの色変化を温度及びpHについて6ヶ月の貯蔵後の反応表面としてモデル化した場合(
図32)、温度及びpHの両方が主要因子であるということが分かる。温度は、理想的には3.7~4.2のpHで25℃付近またはその未満に維持されるべきである。77%DSの結晶化は、25℃未満の温度で発生し始め、アルロース含量安全性は、4.0を超過するpHが必要であるということを留意すると、これは、pH4.0~4.2、25℃の温度で、このようなDSでの理想的な貯蔵空間が非常に限定的であるということを意味する。反応性及び微細安全性のために、DSを60~78の間にさらに限定する場合、pH及びDSモデル反応表面(
図33)から、DSが低いほど色生成がより安定的であるが、理想的なpHは依然として4.0付近であるということが明らかである。運送コストを減らし、食品応用分野で最も広範囲な用途を可能にすることができるものとして、最小量の水を含むシロップの経済的重要性をより深く考慮しようとすると、これは、実際に、貯蔵が安定的なアルロースシロップの経済的用途のための安定した空間が非常に限定的であるということを意味する。これは、他の公知の糖質シロップと実質的に異なり;例えば、デキストロースシロップは、実質的な色発色またはデキストロース含量の減少なく、様々な条件及び温度で比較的安定したものと知られている。
【0147】
ヒドロキシメチルフルフラール(HMF)は、単糖類シロップの好ましくない脱水製品である。
図34は、77%DSにおけるHMFの変化に対するモデル温度pH反応表面を示す。HMFの生成は、低いpH及び高い温度で最高であり、高いpH及び低い温度で最低である。一般的に、食品成分としては、100ppm未満のHMFが好ましい。従って、アルロースシロップに他のpH限界が設定され得る:25℃で貯蔵される場合、pH3.70以上でなければならない。
【0148】
最適化:モデル表面反応データを使用して、アルロース、HMF及び色の変化を最小化した。第1の場合には、pH、DS及び温度限定が設定されなかった。アルロース含量に
は、3の重要度を付与し、色及びHMFには、2の重要度を付与した。多くの溶液が同様の好ましさスコアを示したし、これらのすべてが3.8~3.9のpH範囲で、25℃の勧奨温度と、50%の勧奨DSを示した。しかし、DSが微生物安全範囲と経済的に実行可能な範囲である71~78%DSに限定される場合、好ましい溶液ですべて25℃の温度及び4.2~4.4のpH範囲が勧奨される。
【0149】
概要
反応表面研究結果と結晶化及び微生物安全性及び反応性研究結果を組み合わせれば、6ヶ月の間のアルロースシロップの安全性が非常に限定された温度、pH及びDS範囲に依存的であり、これは、一味違ってからも驚くべきことに糖質溶液の場合にも、限定的なものと示される。
【0150】
発明の利点:
より安定したシロップの形態は、長期間貯蔵が可能であり、依然として販売可能であり、広範囲な顧客訴える力を有し、長距離運送及び維持期間が必要な地理的位置に運送され得るという利点を有する。また、改善された製品安全性は、使用時に製品がハイクオリティーの組成と味を維持するということを意味する。これは、カロリー表示等級及び最終消費者製品品質等級に有利である。