(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-28
(45)【発行日】2022-07-06
(54)【発明の名称】印刷装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20220629BHJP
F26B 13/10 20060101ALI20220629BHJP
B41F 23/04 20060101ALI20220629BHJP
【FI】
B41J2/01 125
F26B13/10 C
B41J2/01 401
B41J2/01 451
B41J2/01 301
B41F23/04 A
(21)【出願番号】P 2019023890
(22)【出願日】2019-02-13
【審査請求日】2021-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000161057
【氏名又は名称】株式会社ミヤコシ
(74)【代理人】
【識別番号】100103805
【氏名又は名称】白崎 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100126516
【氏名又は名称】阿部 綽勝
(74)【代理人】
【識別番号】100132104
【氏名又は名称】勝木 俊晴
(74)【代理人】
【識別番号】100211753
【氏名又は名称】岡崎 紳吾
(72)【発明者】
【氏名】井沢 秀男
(72)【発明者】
【氏名】小松田 誠治
(72)【発明者】
【氏名】田村 瑛一
【審査官】長田 守夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-191303(JP,A)
【文献】特開2011-235479(JP,A)
【文献】特開2014-176980(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0215992(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
F26B 1/00-25/22
B41F 21/00-30/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被印刷体にインクを印刷する印刷部と、該インクが印刷された印刷体を加熱乾燥するための第1エアヒータ部及び第2エアヒータ部と、前記第1エアヒータ部及び前記第2エアヒータ部の加熱をON/OFF制御する制御部とを有する印刷装置において、
前記第1エアヒータ部及び前記第2エアヒータ部がそれぞれ、少なくとも1基以上のエアヒータからなるものであり、
前記エアヒータには、それぞれ、第1制御開始時の現在温度を測定するための温度検出部が取り付けられており、
前記制御部が、前記第1エアヒータ部をONの状態とすると同時に前記第2エアヒータ部をOFFの状態とする
前記第1制御と、前記第1エアヒータ部をOFFの状態とすると同時に前記第2エアヒータ部をONの状態とする第2制御と
、ONの状態とする前記エアヒータの前記現在温度から目標温度を引いた温度差に基づいて、該エアヒータを、前記一定時間が経過する前に、OFFの状態とする第3制御とを行うものであり、
前記第1制御と前記第2制御とが一定時間ごとに交互に切り替えられる
ものであり、
前記一定時間を継続して加熱することを100%デューティとした場合、
前記第3制御において、ONの状態とする前記エアヒータの前記現在温度が前記目標温度と同じである場合、X1%デューティに更新した更新デューティで加熱した後、該エアヒータをOFFの状態とするものであり、
ONの状態とする前記エアヒータの前記現在温度が前記目標温度よりも高い場合、X2%デューティに更新した更新デューティで加熱した後、該エアヒータをOFFの状態とするものであり、
ONの状態とする前記エアヒータの前記現在温度が前記目標温度よりも低い場合、X3%デューティに更新した更新デューティで加熱した後、該エアヒータをOFFの状態とするものであり、
前記X1が20~30であり、
前記X1、前記X2及び前記X3が、
X2<X1<X3
の関係式を満たす印刷装置。
【請求項2】
ONの状態とする前記エアヒータの前記温度差が0℃より大きく4℃未満である場合、X4%デューティに更新した更新デューティで加熱した後、該エアヒータをOFFの状態とするものであり、
ONの状態とする前記エアヒータの前記温度差が4℃以上である場合、X5%デューティに更新した更新デューティで加熱した後、該エアヒータをOFFの状態とするものであり、
前記X1、前記X4及び前記X5が、
X5<X4<X1
の関係式を満たす請求項
1記載の印刷装置。
【請求項3】
100%のデューティから前記更新デューティを引いた残り時間である分配デューティを、前記制御部が、OFFの状態である前記エアヒータに割り当てて該エアヒータを加熱する第4制御を行う請求項
1又は2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記第4制御において、前記温度差が-3℃以下であるエアヒータに対し、前記分配デューティを割り当てる請求項
3記載の印刷装置。
【請求項5】
前記第4制御において、前記現在温度が低いエアヒータから順に、前記分配デューティの大きいものを割り当てる請求項
3又は4に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記エアヒータが、エアを吹き付けるための開口部を有するハウジング部と、該ハウジング部に内蔵されたノズル部及びヒータ部とを有しており、
前記ノズル部が前記ハウジング部内部にエアを供給するものであり、
前記ヒータ部が前記ハウジング部内部のエアを加熱するものである請求項1~
5のいずれか1項に記載の印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアヒータの加熱をON/OFF制御する制御部を備えた印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷の分野においては、例えば、被印刷体に対して印刷を施した印刷体に対し、加熱したエアを吹き付けることにより、加熱乾燥が行われている。
このとき、印刷体を効率良く加熱乾燥させるため、加熱装置に対しては様々な加熱制御が行われている。
【0003】
例えば、電熱線によって加熱した空気を印刷基材の表面に吹き付ける乾燥部を有する液体塗布装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
かかる液体塗布装置においては、乾燥部が印刷基材に吹き付ける空気の温度(乾燥部の空気出口の温度)を、印刷基材の耐熱性に応じて制御部により設定するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の液体塗布装置においては、乾燥部が、吹き付ける空気(エア)の温度を、出力値の設定により制御しているため、エネルギーロスが大きくなるという欠点がある。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、エアの温度調整をシンプルに行うことができ、且つ、エネルギー効率にも優れる印刷装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者等は、上記課題を解決するため鋭意検討したところ、エアヒータ部の加熱をON/OFF制御する制御部を有するものとし、且つ、制御部が第1制御と第2制御とを交互に切り替えるようにすることで、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
本発明は、(1)被印刷体にインクを印刷する印刷部と、該インクが印刷された印刷体を加熱乾燥するための第1エアヒータ部及び第2エアヒータ部と、第1エアヒータ部及び第2エアヒータ部の加熱をON/OFF制御する制御部とを有する印刷装置において、第1エアヒータ部及び第2エアヒータ部がそれぞれ、少なくとも1基以上のエアヒータから
なるものであり、エアヒータには、それぞれ、第1制御開始時の現在温度を測定するための温度検出部が取り付けられており、制御部が、第1エアヒータ部をONの状態とすると同時に第2エアヒータ部をOFFの状態とする第1制御と、第1エアヒータ部をOFFの状態とすると同時に第2エアヒータ部をONの状態とする第2制御と、ONの状態とするエアヒータの現在温度から目標温度を引いた温度差に基づいて、該エアヒータを、一定時間が経過する前に、OFFの状態とする第3制御とを行うものであり、第1制御と第2制御とが一定時間ごとに交互に切り替えられるものであり、一定時間を継続して加熱することを100%デューティとした場合、第3制御において、ONの状態とするエアヒータの現在温度が目標温度と同じである場合、X1%デューティに更新した更新デューティで加熱した後、該エアヒータをOFFの状態とするものであり、ONの状態とするエアヒータの現在温度が目標温度よりも高い場合、X2%デューティに更新した更新デューティで加熱した後、該エアヒータをOFFの状態とするものであり、ONの状態とするエアヒータの現在温度が目標温度よりも低い場合、X3%デューティに更新した更新デューティで加熱した後、該エアヒータをOFFの状態とするものであり、X1が20~30であり、X1、X2及びX3が、
X2<X1<X3
の関係式を満たす印刷装置に存する。
【0011】
本発明は、(2)ONの状態とするエアヒータの温度差が0℃より大きく4℃未満である場合、X4%デューティに更新した更新デューティで加熱した後、該当エアヒータをOFFの状態とするものであり、ONの状態とするエアヒータの温度差が4℃以上である場合、X5%デューティに更新した更新デューティで加熱した後、該エアヒータをOFFの状態とするものであり、X1、X4及びX5が、
X5<X4<X1
の関係式を満たす上記(1)記載の印刷装置に存する。
【0012】
本発明は、(3)100%のデューティから更新デューティを引いた残り時間である分配デューティを、制御部が、OFFの状態であるエアヒータに割り当てて該エアヒータを加熱する第4制御を行う上記(1)又は(2)に記載の印刷装置に存する。
【0013】
本発明は、(4)第4制御において、温度差が-3℃以下であるエアヒータに対し、分配デューティを割り当てる上記(3)記載の印刷装置に存する。
【0014】
本発明は、(5)第4制御において、現在温度が低いエアヒータから順に、分配デューティの大きいものを割り当てる上記(3)又は(4)に記載の印刷装置に存する。
【0015】
本発明は、(6)エアヒータが、エアを吹き付けるための開口部を有するハウジング部と、該ハウジング部に内蔵されたノズル部及びヒータ部とを有しており、ノズル部がハウジング部内部にエアを供給するものであり、ヒータ部がハウジング部内部のエアを加熱するものである上記(1)~(5)のいずれか1つに記載の印刷装置に存する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の印刷装置においては、制御部がエアヒータ部の加熱をON/OFF制御するものであるので、エアの温度調整をシンプルに行うことができる。
また、上記印刷装置においては、制御部が、第1エアヒータ部をONの状態とすると同時に第2エアヒータ部をOFFの状態とする第1制御と、第1エアヒータ部をOFFの状態とすると同時に第2エアヒータ部をONの状態とする第2制御と、を行うものであり、且つ、これらを交互に切り替えるようにしているので、エネルギー効率にも優れるものとなる。
なお、第1エアヒータ部及び第2エアヒータ部を同時にONの状態とし、また、同時にOFFの状態とした場合は、両者を同時にONの状態としたときのエネルギー負荷が極めて大きくなるという欠点がある。
【0017】
本発明の印刷装置においては、制御部が、ONの状態とするエアヒータの現在温度から目標温度を引いた温度差に基づいて、該エアヒータを、一定時間が経過する前に、OFFの状態とする第3制御を更に行うことにより、不要な加熱を除外できるので、エネルギー効率により優れるものとなる。
【0018】
このとき、ONの状態とするエアヒータの現在温度が目標温度と同じである場合、X1%デューティに更新した更新デューティで加熱するものとし、現在温度が目標温度よりも高い場合、X2%デューティに更新した更新デューティで加熱した後、該エアヒータをOFFの状態とするものとし、現在温度が目標温度よりも低い場合、X3%デューティに更新した更新デューティで加熱した後、該エアヒータをOFFの状態とするものとし、X1が20~30であり、X1、X2及びX3が、
X2<X1<X3
の関係式を満たすものであることが好ましい。
また、現在温度が目標温度よりも高い場合においては、ONの状態とするエアヒータの温度差が0℃より大きく4℃未満である場合、X4%デューティに更新した更新デューティで加熱した後、該エアヒータをOFFの状態とするものとし、ONの状態とするエアヒータの温度差が4℃以上である場合、X5%デューティに更新した更新デューティで加熱した後、該エアヒータをOFFの状態とするものとし、X1、X4及びX5が、
X5<X4<X1
の関係式を満たすものであることがより好ましい。
これらの場合、エネルギー効率が更に優れるものとなる。
【0019】
本発明の印刷装置においては、制御部が、100%のデューティから更新デューティを引いた残り時間である分配デューティを、OFFの状態であるエアヒータに割り当てて該エアヒータを加熱する第4制御を行うことにより、エアヒータ同士間における温度差を極力小さくすることができる。
このとき、温度差が-3℃以下であるエアヒータに対し、分配デューティを割り当てるようにすることで、該当ヒータの温度のオーバーシュートを抑制することができる。
また、現在温度が低いエアヒータから順に、分配デューティの大きいものを割り当てるようにすることで、より短時間で効率良くエアヒータ同士間における温度差を小さくすることができる。
【0020】
本発明の印刷装置においては、エアヒータが、開口部を有するハウジング部と、ノズル部及びヒータ部とを有し、ノズル部がハウジング部内部にエアを供給するものであり、ヒータ部がハウジング部内部のエアを加熱するものである場合、エアの温度管理がし易いという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、本発明に係る印刷装置の一実施形態を示す概略側面図である。
【
図2(A)】
図2(A)は、本実施形態に係る印刷装置において並設された2基のエアヒータを示す透過斜視図である。
【
図2(B)】
図2(B)は、
図2(A)に示すエアヒータのヒータ部を示す上面図である。
【
図2(C)】
図2(C)は、
図2(A)に示すエアヒータをA-A線で切断した断面図である。
【
図2(D)】
図2(D)は、
図2(A)に示すエアヒータの下面図である。
【
図3(A)】
図3(A)は、本実施形態に係る印刷装置において制御部による第1制御及び第2制御が行われる場合を説明するための説明図である。
【
図3(B)】
図3(B)は、本実施形態に係る印刷装置において制御部による第1制御及び第2制御が行われる場合のフロー図である。
【
図4(A)】
図4(A)は、本実施形態に係る印刷装置において制御部による第1制御、第2制御及び第3制御が行われる場合を説明するための説明図である。
【
図4(B)】
図4(B)は、本実施形態に係る印刷装置において制御部による第1エアヒータ部の第1制御、第2制御及び第3制御が行われる場合のフロー図である。
【
図4(C)】
図4(C)は、本実施形態に係る印刷装置において制御部による第2エアヒータ部の第1制御、第2制御及び第3制御が行われる場合のフロー図である。
【
図5(A)】
図5(A)は、本実施形態に係る印刷装置において制御部による第1制御、第2制御、第3制御及び第4制御が行われる場合を説明するための説明図である。
【
図5(B)】
図5(B)は、本実施形態に係る印刷装置において制御部による第1エアヒータの第1制御、第2制御、第3制御及び第4制御が行われる場合のフロー図である。
【
図5(C)】
図5(C)は、本実施形態に係る印刷装置において制御部による第1エアヒータの第1制御、第2制御、第3制御及び第4制御が行われる場合のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、必要に応じて図面を参照しつつ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。更に、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0023】
図1は、本発明に係る印刷装置の一実施形態を示す概略側面図である。
図1に示すように、本実施形態に係る印刷装置100は、インクジェット方式でインクを付与するインクジェット印刷装置となっている。
印刷装置100は、被印刷体1にインクを印刷する印刷部5と、該インクが印刷された印刷体1aを巻き付けて搬送するためのドラム3と、該ドラム3に対向するように配置され、印刷体1aを加熱乾燥するための複数のエアヒータからなる第1エアヒータ部6a及び第2エアヒータ部6bと、全てのエアヒータ6の加熱をそれぞれ独立にON/OFF制御可能な制御部4と、被印刷体1又は印刷体1aを案内するための複数の案内ロール2とを有する。
【0024】
ここで、印刷装置100においては、第1エアヒータ部6a及び第2エアヒータ部6bは、それぞれ、少なくとも1基以上のエアヒータ6からなる。具体的には、上流側の18基のエアヒータ6を第1エアヒータ部6aとし、下流側の18基のエアヒータ6を第2エアヒータ部6bとしている。
また、第1エアヒータ部6aを構成するエアヒータ6と、第2エアヒータ部6bを構成するエアヒータ6とは同じものである。なお、エアヒータ6の詳細については後述する。
【0025】
印刷装置100においては、後述するように、制御部4が、全てエアヒータ6(第1エアヒータ部6a及び第2エアヒータ部6b)の加熱をON/OFF制御するものとなっている。
ちなみに、ON/OFF制御は、ON制御及びOFF制御であり、ON制御とは、停止状態のエアヒータ6を稼働状態にする制御であり、OFF制御とは、稼働状態のエアヒータ6を停止状態にする制御である。なお、制御部4の詳細については後述する。
これにより、印刷装置100においては、エアの温度調整をシンプルに行うことが可能となっている。
【0026】
印刷装置100においては、図示しない給紙部から導入された長尺状の被印刷体1が、複数の案内ロール2により案内され、印刷部5でインクが付与され印刷体1aとなる。
次に、印刷体1aは、更に複数の案内ロール2に案内され、ドラム3の外周面に巻き付くように接触して案内されると共に、エアヒータ6により一方の面側から加熱乾燥される。
ここで、案内ロール2は、回転量を適宜調整されながら駆動させる搬送ロールと、連れ周りをするガイドロールとから構成されており、印刷装置100の入口から乾燥ドラムを経て印刷装置100の出口までの区間において、被印刷体1及び印刷体1aを蛇行することなく所定のテンションを維持するような位置に適宜配置されている。
また、ドラム3は、その表面を加熱可能な加熱ドラムとなっているので、印刷体1の他方の面側がドラム3により加熱乾燥される。すなわち、印刷装置100においては、印刷体1aの両側が同時に加熱乾燥されることになる。
そして、加熱乾燥された印刷体1aは、案内ロール2により更に案内され、図示しない回収部で回収される。
【0027】
印刷装置100において、被印刷体1としては、例えば、紙、布帛、不織布、フィルム、金属箔等を採用することができる。なお、これらは、インクを受容するためのインク受容層が、インクを付与される側の表面に設けられていてもよい。
また、インクとしては、特に限定されないが、染料、顔料等の着色剤と、水系溶媒と、必要に応じて添加される公知の添加剤とを含むものが用いられる。
なお、印刷装置100においては、被印刷体1に、インクが所定の模様等となるように印刷されたものを印刷体1aとしている。
【0028】
印刷装置100において、印刷部5は、ラインヘッド式の印刷ヘッドを有している。すなわち、印刷装置100は、印刷部5の固定された印刷ヘッドが、走行する被印刷体1に印刷を行う方式となっている。このため、印刷装置100は、被印刷体を高速で搬送しながら、インクジェット印刷を施すことが可能となっている。
【0029】
ドラム3は、外観が円柱状であり、上述したように、印刷体1aと接する外周面が加熱されるようになっている。
印刷装置100において、ドラム3は、中空部を有する中空円柱状であり、図示しないバンドヒータが当該中空部に内蔵されている。
そして、バンドヒータがドラム3の内周面を加熱すると、熱が伝導して、ドラム3の外周面も加熱されるようになっている。なお、印刷体1aが擦れることによる印刷面の画質低下やドラム3の外周面への汚れを防止するため、印刷体1aは、印刷面の裏面がドラム3に接するように案内される。このため、印刷体1aは、ドラム3の外周面に接することにより、印刷面の裏面側から加熱乾燥されることになる。
【0030】
印刷装置100において、エアヒータ6は、印刷体1aを挟んで、ドラム3に対向するように複数が配置されている。すなわち、複数のエアヒータ6が、ドラム3の周方向に沿って並設されている。
エアヒータ6は、加熱されたエアを、印刷体1aに向けて吹き付けることが可能となっている。このため、印刷体1aは、エアヒータ6により、印刷面側から加熱乾燥されることになる。
【0031】
図2(A)は、本実施形態に係る印刷装置において並設された2基のエアヒータを示す透過斜視図であり、
図2(B)は、
図2(A)に示すエアヒータのヒータ部を示す上面図であり、
図2(C)は、
図2(A)に示すエアヒータをA-A線で切断した断面図であり、
図2(D)は、
図2(A)に示すエアヒータの下面図である。
図2(A)に示すように、エアヒータ6は、隣合う2基ずつが連結されている。
また、エアヒータ6は、ドラム3の幅に略一致するように、ドラム3の幅方向に延びる中空角柱状となっている。このため、エアヒータ6から吹き付けられる熱風は、ドラム3の全幅に及ぶことになる。
【0032】
エアヒータ6は、エアを吹き付けるための開口部を有するハウジング部63と、ハウジング部63に内蔵されたノズル部62及びヒータ部61と、ハウジングに取り付けられた温度検出部65(
図2(C)参照)とを有している。
印刷装置100において、ハウジング部63は、底板63bと、底板63bに取り付けられたヒータカバー63aとからなる。
したがって、ノズル部62及びヒータ部61は、底板63bの上側に配置され、ヒータカバー63aによって、これらの周囲が覆われている。
【0033】
ヒータ部61としては、例えば、シーズヒータ、電熱線を使用したドライヤ等を用いることができる。なお、印刷装置100においては、シーズヒータを採用している。
図2(B)に示すように、ヒータ部61は、上面視でU字状に屈曲しており、両側の端部に電極が設けられている。
ヒータ部61は、螺旋状の放熱部Rを有しているため、その表面積が大きくなっている。これにより、ヒータ部61は、ハウジング部63内部のエアを効果的に加熱することが可能となっている。
【0034】
図2(C)に示すように、ヒータ部61は、底板63bの上方に一定の距離を置いて配置される。
ヒータ部61は、上述したようにU字状であるため、
図2(A)のA-A線で切断すると、上流側と下流側に一列ずつ設けられていることになる。
【0035】
ノズル部62としては、例えば、ステンレス鋼管パイプや一般鋼管パイプの外周面所定位置に複数の開口穴(ノズル穴)を設けたノズルパイプ等を用いることができる。なお、印刷装置100においては、ノズルパイプを採用している。
ノズル部62は、両側のヒータ部61の間の上方に、ヒータ部61に向けてエアを吹き付け可能となるように配置される。
ノズル部62は、内部を圧縮されたエアが流通可能となっており、ノズル部62の下側に、両側のヒータ部61に向けて設けられた一対のノズル穴Nを有している。なお、かかるノズル穴Nは、ノズル部62の長さ方向に沿って複数設けられている(
図2(A)参照)。このため、ノズル部62は、ハウジング部63内部にノズル穴Nからエアを供給することが可能となっている。なお、供給されたエアは、上述したように、ヒータ部61により加熱される。
【0036】
このとき、ノズル穴Nの径は、ノズル部62のエアの流入口から離れるに従って徐々に小さくなっている。すなわち、ノズル部62のエアの流入口から最も離れた奥の部分では流入したエアのエア圧が大きくなり、ノズル部62のエアの流入口に近い部分では流入したエアのエア圧が小さくなるため、ノズル穴Nの径を奥に行くほど小さくすることにより、各ノズル穴Nからのエアの吹付け量を均一にすることができる。
【0037】
温度検出部65としては、例えば、熱電対、測温抵抗体等を用いることができる。なお、印刷装置100においては、熱電対を採用している。
温度検出部65は、ヒータ部61により加熱されたエアが充填されているハウジング部63内部である空間Vの温度を測定可能となっている。
また、温度検出部65は、後述する制御部4に、後述する現在温度からなる温度情報を送信可能となっている。
【0038】
図2(D)に示すように、エアヒータ6においては、底板63bに、ライン状のスリットSが、ドラム3の幅方向(底板63bの長手方向)に沿って、等間隔で複数設けられている。
また、2基のエアヒータ6においては、ドラムの周方向において、上流側のスリットSと下流側のスリットSとが同じ位置とならないように、互い違いに配置されている。これにより、底板63bの強度が低下することを抑制できると共に吹付け範囲のムラを軽減できる。なお、底板63bの強度が十分である場合には、ドラム3の幅方向全体に延びる1つのスリットとしてもよい。
【0039】
エアヒータ6においては、当該スリットSから、ドラム3の全幅に対して、加熱されたエアが吹き付けられることになる。
なお、かかるスリットSの幅H2は、吹付け幅及びエア圧の観点から、0.5mm~1.0mmであることが好ましい。
【0040】
図1に戻り、制御部4は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、外部記憶装置、入力部及び出力部を備え、通常のコンピュータと同様の構成を備えている。
【0041】
制御部4において、CPUは、マウスやキーボード等の入力部の操作に基づいて、第1エアヒータ部6a及び第2エアヒータ部6bを制御するための制御プログラムを実行する。
なお、かかる制御プログラムは、ハードディスクドライブ等の外部記憶装置や上記ROM等に格納されている。
【0042】
印刷装置100において、制御部4は、上記制御プログラムに基づいて、上流側の複数のエアヒータ6からなる第1エアヒータ部6a、及び、下流側の複数のエアヒータ6からなる第2エアヒータ部6b、に対し、少なくとも、以下に示す、第1制御、第2制御、第3制御及び第4制御を行う。
【0043】
ここで、第1制御は、第1エアヒータ部6aをONの状態とすると同時に第2エアヒータ部6bをOFFの状態とする制御であり、第2制御は、第1エアヒータ部6aをOFFの状態とすると同時に第2エアヒータ部6bをONの状態とする制御である。
また、第1制御及び第2制御を行うことを前提として、第3制御は、ONの状態とするエアヒータの現在温度から目標温度を引いた温度差に基づいて、該エアヒータを、一定時間が経過する前に、OFFの状態とする制御である。
また、第1制御、第2制御及び第3制御を行うことを前提として、第4制御は、100%のデューティから更新デューティを引いた残り時間である分配デューティを、OFFの状態であるエアヒータに割り当てて、該エアヒータを加熱する制御である。
【0044】
次に、第1エアヒータ部6aのエアヒータを、エアヒータA1、エアヒータA2、エアヒータA3とし、第2エアヒータ部6bのエアヒータを、エアヒータB1、エアヒータB2、エアヒータB3として、各制御について更に詳細に説明する。
【0045】
(制御の第1実施形態:第1制御及び第2制御を行う場合)
図3(A)は、本実施形態に係る印刷装置において制御部による第1制御及び第2制御が行われる場合を説明するための説明図であり、
図3(B)は、本実施形態に係る印刷装置において制御部による第1制御及び第2制御が行われる場合のフロー図である。
図3(A)及び
図3(B)に示すように、制御の第1実施形態においては、制御部4により、第1制御と第2制御とが一定時間Tごとに交互に切り替えられて行われる。
例えば、エアヒータA1、エアヒータA2及びエアヒータA3をONの状態とし、エアヒータB1、エアヒータB2及びエアヒータB3をOFFの状態とする第1制御が行われ、その状態で一定時間Tが経過した後、エアヒータA1、エアヒータA2及びエアヒータA3をOFFの状態とし、エアヒータB1、エアヒータB2及びエアヒータB3をONの状態とする第2制御が行われる。なお、第2制御が行われ、その状態で一定時間Tが経過した後、再び第1制御が行われる。
【0046】
ここで、第1制御を行う一定時間Tと、第2制御を行う一定時間Tとは同じ時間となっている。すなわち、一定時間Tを2倍した時間(2T)が1周期となる。
このとき、一定時間Tは、温度安定化と効率の観点から、0.1秒~3秒であることが好ましく、1秒~2秒であることがより好ましい。なお、一定時間Tの値は、条件によって変動するパラメータにより設定することが可能である。
【0047】
このように、印刷装置100においては、制御部4が少なくとも第1制御及び第2制御を行うものであり、且つ、これらを交互に切り替えるようにしているので、エネルギー効率にも優れるものとなる。
【0048】
(制御の第2実施形態:第1制御、第2制御及び第3制御を行う場合)
図4(A)は、本実施形態に係る印刷装置において制御部による第1制御、第2制御及び第3制御が行われる場合を説明するための説明図であり、
図4(B)は、本実施形態に係る印刷装置において制御部による第1エアヒータ部の第1制御、第2制御及び第3制御が行われる場合のフロー図であり、
図4(C)は、本実施形態に係る印刷装置において制御部による第2エアヒータ部の第1制御、第2制御及び第3制御が行われる場合のフロー図である。
図4(A)、
図4(B)及び
図4(C)に示すように、制御の第2実施形態においては、第1制御及び第2制御が行われることを前提として、制御部4により、第3制御が行われる。
なお、第1制御及び第2制御の説明は上述したことと同様であるので説明を省略する。
【0049】
図4(B)に示すように、制御の第2実施形態においては、まず、第1制御においてONの状態とした、第1エアヒータ部6aのエアヒータA1、エアヒータA2及びエアヒータA3に対し、温度差が所定の範囲内であるか否かを判定する。
【0050】
ここで、本明細書において、「現在温度」とは、第1制御開始時に測定され、その時の実際の温度を意味する。すなわち、印刷装置100においては、第1制御が開始される1周期(一定時間Tの2倍)毎に繰り返し、現在温度が測定される。
また、「目標温度」とは、予め設定される目標とする温度を意味する。なお、目標温度は任意に設定することができる。
また、「温度差」とは、現在温度から目標温度を引いた値を意味する。すなわち、温度差が正の値の場合は、現在温度が目標温度よりも高いことを意味し、温度差が負の値の場合は、現在温度が目標温度よりも低いことを意味し、温度差が0の場合は、現在温度と目標温度とが同じであることを意味する。
【0051】
そして、温度差が所定の範囲内であるエアヒータA2に対しては、一定時間Tが経過する前に、OFFの状態とする第3制御が行われる。
なお、温度差が所定の範囲内でないエアヒータA1及びエアヒータA3に対しては、第3制御は行われない。
その後、エアヒータA1、エアヒータA2及びエアヒータA3は、第2制御により、OFFの状態となる。
ちなみに、第1制御により、OFFの状態であるエアヒータB1、エアヒータB2及びエアヒータB3は、第1制御においてはOFFの状態が維持される。
【0052】
同様に、
図4(C)に示すように、制御の第2実施形態においては、第2制御においてONの状態とした、第2エアヒータ部6bのエアヒータB1、エアヒータB2及びエアヒータB3に対し、温度差が所定の範囲内であるか否かを判定する。
このとき、温度差が所定の範囲内であるエアヒータB3に対しては、一定時間Tが経過する前に、OFFの状態とする第3制御が行われる。
なお、温度差が所定の範囲内でないエアヒータB1及びエアヒータB2に対しては、第3制御は行われない。
その後、エアヒータB1、エアヒータB2及びエアヒータB3は、第1制御により、OFFの状態となる。
ちなみに、第2制御により、OFFの状態であるエアヒータA1、エアヒータA2及びエアヒータA3は、第2制御においてはOFFの状態が維持される。
【0053】
ここで、第3制御において、温度差と、加熱を継続する時間(OFFにするタイミング)について説明する。
まず、本明細書においては、一定時間Tを継続して加熱することを100%デューティとし、途中まで加熱することをデューティの割合で示す。ちなみに、50%デューティである場合は、一定時間Tに50%(0.5)を乗じた0.5Tが加熱時間となる。
【0054】
第3制御において、ONの状態とするエアヒータの現在温度が目標温度と同じである場合、X1%デューティに更新した更新デューティで加熱した後、該エアヒータをOFFの状態とする。
また、ONの状態とするエアヒータの現在温度が目標温度よりも高い場合、X2%デューティに更新した更新デューティで加熱した後、該エアヒータをOFFの状態とする。
また、ONの状態とするエアヒータの現在温度が目標温度よりも低い場合、X3%デューティに更新した更新デューティで加熱した後、該エアヒータをOFFの状態とする。
ちなみに、これらの加熱を開始するタイミングは、第1制御又は第2制御の切り替え時である。
【0055】
そして、X1、X2及びX3は、
X2<X1<X3
の関係式を満たす。
なお、X2は0より大きく、X3は100を超えない。
すなわち、X2%デューティは、X1%デューティよりも小さい値となるから、より短い時間、加熱することになる。また、X3%デューティは、X1%デューティよりも大きい値となるから、より長い時間、加熱することになる。
【0056】
具体的には、X1は、20~30であることが好ましい。換言すると、X1%デューティは、20%デューティ~30%デューティであることが好ましい。なお、かかる数値は、条件によって変動するパラメータにより任意に設定することが可能である。
例えば、X1を26とした場合、X2は0より大きく26より小さい値となり、X3は26より大きく100より小さい値となる。
【0057】
現在温度が目標温度よりも高い場合においては、X2%デューティを更に細分化して制御することが好ましい。
ONの状態とするエアヒータの温度差が0℃より大きく4℃未満である場合、X4%デューティに更新した更新デューティで加熱した後、該エアヒータをOFFの状態とし、ONの状態とするエアヒータの温度差が4℃以上である場合、X5%デューティに更新した更新デューティで加熱した後、該エアヒータをOFFの状態とすることが好ましい。
【0058】
そして、X1、X4及びX5は、
X5<X4<X1
の関係式を満たす。
なお、X5は0より大きい。
すなわち、X4%デューティは、X1%デューティよりも小さい値となるから、より短い時間、加熱することになる。また、X5%デューティは、X4%デューティよりも小さい値となるから、更に短い時間、加熱することになる。
【0059】
具体的には、X4とX5との境界は、12~13であることが好ましい。換言すると、X4とX5との境界は、12%デューティ~13%デューティであることが好ましい。なお、X4とX5との境界の数値は、条件によって変動するパラメータにより任意に設定することが可能である。
例えば、X1を26とし、X4とX5との境界を12.5とした場合、X4は12.5より大きく26より小さい値となり、X5は0より大きく12.5以下の値となる。
【0060】
このように、印刷装置100においては、制御部4が第1制御及び第2制御を前提として、第3制御を行うことにより、余分な加熱時間を削減できるので、エネルギー効率により優れるものとなる。
また、目標温度との温度差に応じてデューティを変更しているため、エアの温度の変動を最小限に抑えることができる。
【0061】
(制御の第3実施形態:第1制御、第2制御、第3制御及び第4制御を行う場合)
図5(A)は、本実施形態に係る印刷装置において制御部による第1制御、第2制御、第3制御及び第4制御が行われる場合を説明するための説明図であり、
図5(B)は、本実施形態に係る印刷装置において制御部による第1エアヒータ部の第1制御、第2制御、第3制御及び第4制御が行われる場合のフロー図であり、
図5(C)は、本実施形態に係る印刷装置において制御部による第2エアヒータ部の第1制御、第2制御、第3制御及び第4制御が行われる場合のフロー図である。
図5(A)、
図5(B)及び
図5(C)に示すように、制御の第3実施形態においては、第1制御、第2制御及び第3制御が行われることを前提として、制御部4により、第4制御が行われる。
なお、第1制御、第2制御及び第3制御の説明は上述したことと同様であるので説明を省略する。
また、第4制御は、第3制御と略同時に行われるので、フローの説明は省略する。
【0062】
図5(B)に示すように、制御の第3実施形態の第4制御においては、第3制御により、更新デューティで加熱されている第1エアヒータ部のエアヒータA2に対し、100%のデューティから当該更新デューティを引いた残り時間である分配デューティが取り出される。
そして、取り出された分配デューティを、
図5(C)に示すように、第1制御により、OFFの状態である第2エアヒータ部のエアヒータB1に割り当てて、該エアヒータB1を加熱する(
図5(A)参照)。
なお、第3制御によりOFFの状態としたエアヒータがない場合は、第4制御は行われない。
【0063】
同様に、
図5(C)に示すように、制御の第3実施形態の第4制御においては、第3制御により、更新デューティで加熱されている第2エアヒータ部のエアヒータB3に対し、100%のデューティから当該更新デューティを引いた残り時間である分配デューティが取り出される。
そして、取り出された分配デューティを、
図5(B)に示すように、第2制御により、OFFの状態である第1エアヒータ部のエアヒータA1に割り当てて、該エアヒータA1を加熱する(
図5(A)参照)。
【0064】
ここで、第4制御は、第3制御によりOFFの状態としたエアヒータのうち、温度差が-3℃以下であるエアヒータに対し、分配デューティを割り当てることが好ましい。すなわち、現在温度が目標温度よりも3℃以上低いエアヒータに対し、分配デューティを割り当てることが好ましい。この場合、上記温度差が-3℃より大きいエアヒータに対しては、第4制御は行われないことになる。これにより、該当ヒータの温度のオーバーシュートを抑制することができる。
また、第3制御によりOFFの状態としたエアヒータのうち、現在温度が低いエアヒータから順に、分配デューティの大きいものが割り当てられるようにすることが好ましい。すなわち、現在温度が最も低いエアヒータに、分配デューティが最も大きいものを割り当て、現在温度が最も低くないエアヒータに、分配デューティが最も小さいものを割り当てることが好ましい。この場合、より短時間で効率良くエアヒータ同士間における温度差を小さくすることできる。
【0065】
このように、印刷装置100においては、制御部4が第1制御、第2制御及び第3制御を前提として、第4制御を行うことにより、エネルギー効率により優れ、且つ、各エアヒータをより早く目標温度に到達させることが可能となる。
また、エアヒータ同士間における温度差を極力小さくすることができる。
また、目標温度との温度差に応じてデューティを変更しているため、エアの温度の変動を最小限に抑えることができる。
【0066】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0067】
本実施形態に係る印刷装置100は、インクジェット方式でインクを付与するインクジェット印刷装置としているが、オフセット印刷装置、グラビア印刷装置、フレキソ印刷装置、スクリーン印刷装置等であってもよい。
なお、インクジェット印刷装置である場合、印刷部5は、ラインヘッド式に限定されず、シリアルヘッド式であってもよい。
【0068】
本実施形態に係る印刷装置100は、複数のエアヒータからなる第1エアヒータ部6a及び第2エアヒータ部6bを備えているが、エアヒータ部の数は特に限定されない。
また、第1エアヒータ部6a又は第2エアヒータ部6bは、それぞれ、18基のエアヒータ6を含んでいるが、エアヒータの数は、特に限定されない。
【0069】
本実施形態に係る印刷装置100において、ドラム3は、その表面を加熱可能な加熱ドラムとなっているが、加熱は必ずしも必須ではない。すなわち、単なる案内ロールであってもよい。
【0070】
本実施形態に係る印刷装置100において、制御部4による第4制御は、温度差が-3℃以下であるエアヒータに対して行うことが好ましいとしているが、かかる温度差は-3℃に限定されず、適宜設定することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、被印刷体1に対し印刷を施すための印刷装置として利用できる。
本発明の印刷装置100によれば、エアの温度調整をシンプルに行うことができ、且つ、エネルギー効率にも優れる。
【符号の説明】
【0072】
1・・・被印刷体
1a・・・印刷体
100・・・ 印刷装置
2・・・案内ロール
3・・・ドラム
4・・・制御部
5・・・印刷部
6,A1,A2,A3,B1,B2,B3・・・エアヒータ
61・・・ヒータ部
62・・・ノズル部
63・・・ハウジング部
63a・・・ヒータカバー
63b・・・底板
65・・・温度検出部
6a・・・第1エアヒータ部
6b・・・第2エアヒータ部
N・・・ノズル穴
R・・・放熱部
S・・・スリット