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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-28
(45)【発行日】2022-07-06
(54)【発明の名称】重量物の横取り移送方法及び装置
(51)【国際特許分類】
   E01D 21/00 20060101AFI20220629BHJP
【FI】
E01D21/00 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2017135241
(22)【出願日】2017-07-11
(65)【公開番号】P2019015149
(43)【公開日】2019-01-31
【審査請求日】2020-07-07
(73)【特許権者】
【識別番号】508036743
【氏名又は名称】株式会社横河ブリッジ
(73)【特許権者】
【識別番号】509338994
【氏名又は名称】株式会社IHIインフラシステム
(73)【特許権者】
【識別番号】592182573
【氏名又は名称】オックスジャッキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100076255
【弁理士】
【氏名又は名称】古澤 俊明
(72)【発明者】
【氏名】日比野 智明
(72)【発明者】
【氏名】兼田 武志
(72)【発明者】
【氏名】上甲 宏
(72)【発明者】
【氏名】武田 翔太
(72)【発明者】
【氏名】手塚 充宏
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 守
(72)【発明者】
【氏名】早田 知広
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 逸人
【審査官】富士 春奈
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-117468(JP,A)
【文献】特開2014-152490(JP,A)
【文献】特開2015-169015(JP,A)
【文献】特開2013-087441(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01D 1/00-24/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の横取りレールの上に、長尺の重量物を載せて、前記重量物を横取り移送する重量物の横取り移送装置において、
前記複数本の横取りレールは、前記重量物の移送方向と異なる方向に任意の間隔で設置され、
前記長尺の重量物の下面に、全長に亘って長手軸方向に前記複数本のすべての横取りレールの上で交差するように1本の長尺の橋軸レールを設け
前記複数本の横取りレールの上の前記橋軸レールとの交差位置にそれぞれ横取りシップを摺動自在に設け、
一端を前記横取りシップに連結し、他端を前記横取りレールに着脱する横取りクランプに連結し、前記横取りシップを前記横取りレールに沿って移送する横取り推進ジャッキを設け
前記複数本のすべての横取りレールと前記1本の長尺の橋軸レールとの交差部におけるすべての前記横取りシップの上にそれぞれ橋軸シップを密接して重ね、
この橋軸シップを長尺の前記橋軸レールの下面に摺動自在に設け、
一端を前記橋軸シップに連結し、他端を前記橋軸レールに着脱する橋軸クランプに連結し、前記橋軸シップを前記橋軸レールに沿って移送する橋軸推進ジャッキを設け、
この橋軸推進ジャッキにより前記橋軸シップを前記横取りシップの上に重ねた状態で前記橋軸シップの移動に連動して前記橋軸レールに沿って摺動し、
前記横取りシップに、前記重量物の下面のひずみに対応するための鉛直ジャッキを内蔵し、この鉛直ジャッキと前記橋軸シップを、球面座をもって嵌合し傾斜面に追随して密接して回転可能に重ねて設けた
ことを特徴とする重量物の横取り移送装置。
【請求項2】
複数本の横取りレールの上に、長尺の重量物を載せて、前記重量物を横取り移送する重量物の横取り移送装置において、
前記複数本の横取りレールは、前記重量物の横取り移送方向と異なる方向に任意の間隔で設置され、
前記長尺の重量物の下面に、全長に亘って長手軸方向に前記複数本のすべての横取りレールの上で交差するように1本の長尺の橋軸レールを設け、
前記複数本の横取りレールの上の前記橋軸レールとの交差位置にそれぞれ横取りシップを摺動自在に設け、
一端を前記横取りシップに連結し、他端を前記横取りレールに着脱する横取りクランプに連結し、前記横取りシップを前記横取りレールに沿って移送する横取り推進ジャッキを設け、
前記複数本のすべての横取りレールと前記1本の長尺の橋軸レールとの交差部におけるすべての前記横取りシップの上にそれぞれ橋軸シップを密接して重ね、
この橋軸シップを長尺の前記橋軸レールの下面に摺動自在に設け、
一端を前記橋軸シップに連結し、他端を前記橋軸レールに着脱する橋軸クランプに連結し、前記橋軸シップを前記橋軸レールに沿って移送する橋軸推進ジャッキを設け、
この橋軸推進ジャッキにより前記橋軸シップを前記横取りシップの上に重ねた状態で前記橋軸シップの移動に連動して前記橋軸レールに沿って摺動し、
前記横取りシップに、前記重量物の下面のひずみに対応するための鉛直ジャッキを内蔵し、この鉛直ジャッキと前記橋軸シップを、球面座をもって嵌合し傾斜面に追随して密接して回転可能に重ねて設け、
前記横取り推進ジャッキを駆動する横取り用ポンプに、前記横取り推進ジャッキによる前記横取りシップの横取り移動が許容範囲かどうかを検出するための横取り用のストロークセンサと絶対変位センサを結合し、
前記橋軸推進ジャッキを駆動する橋軸用ポンプに、前記橋軸推進ジャッキによる前記橋軸シップの移動が許容範囲かどうかを検出するための橋軸用のストロークセンサと絶対変位センサを結合し、
前記鉛直ジャッキを駆動する鉛直用ポンプに、前記重量物の桁たわみが許容範囲かどうかを検出するためのストロークセンサを結合し、
前記横取り用ポンプと前記橋軸用ポンプと前記鉛直用ポンプを、これらを制御する集中制御部に結合した
ことを特徴とする重量物の横取り移送装置。
【請求項3】
前記横取りレールと横取りシップの間に介在したステンレス板と低摩擦材と、前記橋軸レールと橋軸シップの間に介在したステンレス板と低摩擦材とをさらに具備したことを特徴とする請求項1又は2記載の重量物の横取り移送装置。
【請求項4】
横取りレールに並設したリスク管理レールと、重量物の下面の橋軸レールとの間に、緊急時にジャッキアップしてトラブルに対応するリスク管理ジャッキを設けたことを特徴とする請求項1、2又は3記載の重量物の横取り移送装置。
【請求項5】
複数本の横取りレールの上に、長尺の重量物を載せて、前記重量物を横取り移送する重量物の横取り移送装置において、
前記複数本の横取りレールは、前記重量物の移送方向と異なる方向に任意の間隔で設置され、
前記長尺の重量物の下面に、全長に亘って長手軸方向に前記複数本のすべての横取りレールの上で交差するように1本の長尺の橋軸レールを設け
前記複数本の横取りレールの上の前記橋軸レールとの交差位置にそれぞれ横取りシップを摺動自在に設け、
一端を前記横取りシップに連結し、他端を前記横取りレールに着脱する横取りクランプに連結し、前記横取りシップを前記横取りレールに沿って移送する横取り推進ジャッキを設け
前記複数本のすべての横取りレールと前記1本の長尺の橋軸レールとの交差部におけるすべての前記横取りシップの上にそれぞれ橋軸シップを密接して重ね、
この橋軸シップを長尺の前記橋軸レールの下面に摺動自在に設け、
一端を前記橋軸シップに連結し、他端を前記橋軸レールに着脱する橋軸クランプに連結し、前記橋軸シップを前記橋軸レールに沿って移送する橋軸推進ジャッキを設け、
この橋軸推進ジャッキにより前記橋軸シップを前記横取りシップの上に重ねた状態で前記橋軸シップの移動に連動して前記橋軸レールに沿って摺動し、
前記横取りシップに、前記重量物の下面のひずみに対応するための鉛直ジャッキを内蔵し、この鉛直ジャッキと前記橋軸シップを、球面座をもって嵌合し傾斜面に追随して密接して回転可能に重ねて設けた重量物の横取り移送装置が用いられ、
前記鉛直ジャッキと前記橋軸シップを、前記球面座をもって、前記重量物の下面のひずみに対応して傾斜面に追随して密接して回転しつつ、
前記重量物の横移動方向と、それぞれの横取りレールの設置方向とのなす角度を、それぞれの横取りレール毎に保持して前記横取り推進ジャッキと橋軸推進ジャッキの単位時間当たりの移送距離を連動して制御することにより前記横取りレールの移送方向と異なる方向に前記重量物を横取り移送するようにしたことを特徴とする重量物の横取り移送方法。
【請求項6】
前記横取り推進ジャッキを駆動する横取り用ポンプと、
前記橋軸推進ジャッキを駆動する橋軸用ポンプと、
これらの横取り用ポンプと橋軸用ポンプを制御する集中制御部とをさらに具備した重量物の横取り移送装置が用いられ、前記横取り推進ジャッキと橋軸推進ジャッキの単位時間当たりの移送距離を連動して行う制御は、前記集中制御部からの指令により行い、前記横取りレールの移送方向と異なる方向に前記重量物を横取り移送するようにしたことを特徴とする請求項5記載の重量物の横取り移送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、橋桁のような長尺の重量物を横取り移送する場合において、何らかの理由で横取り移送方向と異なる方向に敷設した横取りレールを用いて前記重量物を横取りレールの敷設方向と異なる方向に横取り移送するための重量物の横取り移送方法及びその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図8に示すように、重量物10を横取り移送する場合であって、移送路の途中に岩などの障害物11がある場合、一方のレール12aと他方のレール12bを非平行に敷設して重量物10を横取り移送する方法が知られている(特許文献1)。
この方法をさらに詳しく説明すると、他方のレール12bが重量物10の横取り移送方向に敷設されているものであるとし、一方のレール12aが重量物10の移送路の障害物11を避けるように重量物10の横取り方向に対し角度θだけ斜めに敷設したものとする。一方のレール12aと他方のレール12bからなるレール12の上には、図9に示すようにテフロン(登録商標)等の低摩擦材を介在して2台ずつスライド装置14が設置され、これらのスライド装置14の上には、テフロン(登録商標)等の低摩擦材を介在してエンドレスで回転する無限軌道帯からなる送り装置15が支点19を中心に揺動可能に据え付けられている。また、それぞれの一方のレール12aと他方のレール12bには、固定と開放可能なクランプ装置13が設けられ、このクランプ装置13とスライド装置14の間に水平ジャッキ装置17を介在し、2台のスライド装置14の間は連結杆18で連結し、前端のスライド装置14は、それぞれおしみ用クランプ装置16に連結杆18で連結されている。
【0003】
このような構成において、一方のレール12a上の送り装置15の無限軌道帯は、スライド装置14の上で重量物10の橋軸方向(縦断方向)と一致するように傾けて設置するが、重量物10が橋軸方向(縦断方向)に移動するのを阻止するために送り装置15の無限軌道帯が回転しないように固定する。また、他方のレール12bに設置された送り装置15は、傾けずに重量物10の軸方向と一致するようにし、かつ、送り装置15の無限軌道帯を橋軸方向(縦断方向)に回転可能な状態にしておく。
この状態で一方のレール12aと他方のレール12bのそれぞれの水平ジャッキ装置17を伸長して推進力を与えるとスライド装置14がそれぞれの一方のレール12aと他方のレール12bの上をスライドしながら横取りを行う。このとき、一方のレール12aのスライド装置14に搭載された送り装置15の無限軌道帯は回転しないように固定されているため、この一方のレール12a側の送り装置15の上の重量物10は固定されたまま位置を変えずに一方のレール12aに沿って移動する。他方、他方のレール12b側の送り装置15の無限軌道帯は回転可能であるため、重量物10はこの送り装置15の無限軌道帯の回転により図中右方向に移動しつつ鎖線位置方向へ移送される、と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-16795号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図8及び図9に示す方法は、障害物11を避けるために重量物10の軸方向に一方のレール12a側の送り装置15は固定したまま、他方のレール12b側の送り装置15を駆動して横取り移送するものである。
しかるに、この従来の方法は、何らかの理由で横取り移送方向と異なる方向に敷設した横取りレールを用いて前記重量物を横取りレールの敷設方向とは異なる方向に横取り移送する場合において、横取り用の一方のレール12aと他方のレール12bが重量物10と交差する位置のスライド装置14の上に、2台ずつの無限軌道帯からなる送り装置15を介在している。横取りレール12の数が多くなればそれだけ無限軌道帯からなる送り装置15も多くなる。この無限軌道帯からなる送り装置15は、数が多くなればなるほど駆動制御が困難を極め、また、価格が高くなる。それだけでなく、無限軌道帯は、荷受けする規模にもよるが、機高が700~900mmもあり、その分だけ転倒モーメントが大きくなるので転倒防止策を講じなければならないなど、安全性、経済性にも問題があった。
【0006】
本発明は、橋桁のような長尺の重量物を横取り移送する場合において、何らかの理由で横取り移送方向と異なる方向に敷設した横取りレールを用いて前記重量物を横取りレールの敷設方向と異なる方向に横取り移送するための重量物の横取り移送方法及びその装置であって、無限軌道帯を使用せず、その分だけ機高を低くでき、安全性、経済性に優れた方法及び装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、
複数本の横取りレール29の上に、長尺の重量物22を載せて、前記重量物22を横取り移送する重量物の横取り移送装置において、
前記複数本の横取りレール29のうち、前記重量物22の横移送方向と異なる方向に設置されたそれぞれの横取りレール29の上に摺動自在に設けられた横取りシップ35と、
一端をこの横取りシップ35に連結し、他端を前記横取りレール29に着脱する横取りクランプ34に連結し、前記横取りシップ35を前記横取りレール29に沿って移送する横取り推進ジャッキ33と、
前記重量物22の下面の長手軸方向に設けられた橋軸レール32と、
前記横取りシップ35の上に密接して重ねられ、前記橋軸レール32の下面に摺動自在に設けられた橋軸シップ37と、
一端をこの橋軸シップ37に連結し、他端を前記橋軸レール32に着脱する前記橋軸クランプ39に連結し、前記横取りシップ35の上に前記橋軸シップ37を重ねた状態で前記橋軸レール32に沿って摺動する橋軸推進ジャッキ38を具備し、
前記横取りシップ35と橋軸シップ37の少なくともいずれか一方が鉛直ジャッキを具備していることを特徴とする重量物の横取り移送装置である。
【0008】
前記横取り推進ジャッキ33を駆動する横取り用ポンプ48と、
前記橋軸推進ジャッキ38を駆動する橋軸用ポンプ50と、
これらの横取り用ポンプ48と橋軸用ポンプ50を制御する集中制御部45とをさらに具備することができる。
【0009】
前記横取りレール23と横取りシップ35の間に介在したステンレス板59と低摩擦材と、前記橋軸レール32と橋軸シップ37の間に介在したステンレス板40と低摩擦材とをさらに具備したことを特徴とする。
【0010】
横取りレール23に並設したリスク管理レール41と、重量物の下面の橋軸レール32との間に、緊急時にジャッキアップしてトラブルに対応するリスク管理ジャッキ42を設けたことを特徴とする。
【0011】
複数本の横取りレール29の上に、長尺の重量物22を載せて、前記重量物22を横取り移送する重量物の横取り移送方法において、
前記複数本の横取りレール29のうち、前記重量物22の横移送方向と異なる方向に設置された横取りレール29の上に摺動自在に設けられた横取りシップ35と、
一端をこの横取りシップ35に連結し、他端を前記横取りレール29に着脱する横取りクランプ34に連結し、前記横取りシップ35を前記横取りレール29に沿って移送する横取り推進ジャッキ33と、
前記重量物22の下面の長手軸方向に設けられた橋軸レール32と、
前記横取りシップ35の上に密接して重ねられ、前記橋軸レール32の下面に摺動自在に設けられた橋軸シップ37と、
一端をこの橋軸シップ37に連結し、他端を前記橋軸レール32に着脱する前記橋軸クランプ39に連結し、前記横取りシップ35の上に前記橋軸シップ37を重ねた状態で前記橋軸レール32に沿って摺動する橋軸推進ジャッキ38を具備し、
前記横取りシップ35と橋軸シップ37の少なくともいずれか一方が鉛直ジャッキからなる重量物の横取り移送装置が用いられ、
前記重量物22の横移動方向と、それぞれの横取りレール29の設置方向とのなす角度を、それぞれの横取りレール29毎に保持して前記横取り推進ジャッキ33と橋軸推進ジャッキ38の単位時間当たりの移送距離を連動して制御することにより前記横取りレール29の移送方向と異なる方向に前記重量物22を横取り移送するようにしたことを特徴とする重量物の横取り移送方法である。
【0012】
前記横取り推進ジャッキ33を駆動する横取り用ポンプ48と、
前記橋軸推進ジャッキ38を駆動する橋軸用ポンプ50と、
これらの横取り用ポンプ48と橋軸用ポンプ50を制御する集中制御部45とをさらに具備した重量物の横取り移送装置が用いられ、前記横取り推進ジャッキ33と橋軸推進ジャッキ38の単位時間当たりの移送距離を連動して行う制御は、前記集中制御部45からの指令により行い、前記横取りレール23の移送方向と異なる方向に前記新設橋桁22を横取り移送するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明は、
複数本の横取りレールの上に、長尺の重量物を載せて、前記重量物を横取り移送する重量物の横取り移送装置において、
前記複数本の横取りレールは、前記重量物の移送方向と異なる方向に任意の間隔で設置され、
前記長尺の重量物の下面に、全長に亘って長手軸方向に前記複数本のすべての横取りレールの上で交差するように1本の長尺の橋軸レールを設け
前記複数本の横取りレールの上の前記橋軸レールとの交差位置にそれぞれ横取りシップを摺動自在に設け、
一端を前記横取りシップに連結し、他端を前記横取りレールに着脱する横取りクランプに連結し、前記横取りシップを前記横取りレールに沿って移送する横取り推進ジャッキを設け
前記複数本のすべての横取りレールと前記1本の長尺の橋軸レールとの交差部におけるすべての前記横取りシップの上にそれぞれ橋軸シップを密接して重ね、
この橋軸シップを長尺の前記橋軸レールの下面に摺動自在に設け、
一端を前記橋軸シップに連結し、他端を前記橋軸レールに着脱する橋軸クランプに連結し、前記橋軸シップを前記橋軸レールに沿って移送する橋軸推進ジャッキを設け、
この橋軸推進ジャッキにより前記橋軸シップを前記横取りシップの上に重ねた状態で前記橋軸シップの移動に連動して前記橋軸レールに沿って摺動し、
前記横取りシップに、前記重量物の下面のひずみに対応するための鉛直ジャッキを内蔵し、この鉛直ジャッキと前記橋軸シップを、球面座をもって嵌合し傾斜面に追随して密接して回転可能に重ねて設けたので、重量物、橋軸レール、横取りレール等に移送中の歪や湾曲するなどが生じたとき、鉛直ジャッキで調整しながら安全に移送することができる。
また、鉛直ジャッキと球面座により、重量物の下面のひずみに伴う傾斜面が生じてもそれに追随して回転しつつ移送ができる。
【0014】
請求項2記載の発明は、
複数本の横取りレールの上に、長尺の重量物を載せて、前記重量物を横取り移送する重量物の横取り移送装置において、
前記複数本の横取りレールは、前記重量物の移送方向と異なる方向に任意の間隔で設置され、
前記長尺の重量物の下面に、全長に亘って長手軸方向に前記複数本のすべての横取りレールの上で交差するように1本の長尺の橋軸レールを設け、
前記複数本の横取りレールの上の前記橋軸レールとの交差位置にそれぞれ横取りシップを摺動自在に設け、
一端を前記横取りシップに連結し、他端を前記横取りレールに着脱する横取りクランプに連結し、前記横取りシップを前記横取りレールに沿って移送する横取り推進ジャッキを設け、
前記複数本のすべての横取りレールと前記1本の長尺の橋軸レールとの交差部におけるすべての前記横取りシップの上にそれぞれ橋軸シップを密接して重ね、
この橋軸シップを長尺の前記橋軸レールの下面に摺動自在に設け、
一端を前記橋軸シップに連結し、他端を前記橋軸レールに着脱する橋軸クランプに連結し、前記橋軸シップを前記橋軸レールに沿って移送する橋軸推進ジャッキを設け、
この橋軸推進ジャッキにより前記橋軸シップを前記横取りシップの上に重ねた状態で前記橋軸シップの移動に連動して前記橋軸レールに沿って摺動し、
前記横取りシップに、前記重量物の下面のひずみに対応するための鉛直ジャッキを内蔵し、この鉛直ジャッキと前記橋軸シップを、球面座をもって嵌合し傾斜面に追随して密接して回転可能に重ねて設け、
前記横取り推進ジャッキを駆動する横取り用ポンプに、前記横取り推進ジャッキによる前記横取りシップの横取り移動が許容範囲かどうかを検出するための横取り用のストロークセンサと絶対変位センサを結合し、
前記橋軸推進ジャッキを駆動する橋軸用ポンプに、前記橋軸推進ジャッキによる前記橋軸シップの移動が許容範囲かどうかを検出するための橋軸用のストロークセンサと絶対変位センサを結合し、
前記鉛直ジャッキを駆動する鉛直用ポンプに、前記重量物の桁たわみが許容範囲かどうかを検出するためのストロークセンサを結合し、
前記横取り用ポンプと前記橋軸用ポンプと前記鉛直用ポンプを、これらを制御する集中制御部に結合したので、以下の作用効果を有する。
重量物、橋軸レール、横取りレール等に移送中の歪や湾曲するなどが生じたとき、鉛直ジャッキで調整しながら安全に移送することができる。
また、鉛直ジャッキと球面座により、重量物の下面のひずみに伴う傾斜面が生じてもそれに追随して回転しつつ移送ができる。
さらに、横取り推進ジャッキによる横取り移動は、横取り用のストロークセンサと絶対変位センサで検出され、問題がないかどうかを判断し、問題があれば調整して、問題なければ次へ進むことができる。
同様に、橋軸推進ジャッキによる横取り移動は、橋軸用のストロークセンサと絶対変位センサで検出され、問題がないかどうか(あらかじめ設定した許容範囲かどうか)を判断し、問題があれば調整して、問題なければ次へ進むことができる。
鉛直用ポンプで鉛直ジャッキを駆動して、ストロークセンサで桁歪みを検出し、問題があれば鉛直ジャッキで桁歪を調整して、問題なければ次へ進むことができる。
【0015】
請求項3記載の発明は、
前記横取りレールと横取りシップの間に介在したステンレス板と低摩擦材と、前記橋軸レールと橋軸シップの間に介在したステンレス板と低摩擦材とをさらに具備したので、推進力の軽減効果を発揮でき、各部に生じる応力等を抑制することが可能となり、安全に施工することができる。
【0016】
請求項4の発明によれば、
横取りレールに並設したリスク管理レールと、重量物の下面の橋軸レールとの間に、緊急時にジャッキアップしてトラブルに対応するリスク管理ジャッキを設けたので、重量物の下面の傾斜面、歪み、架設桁、横取りレールの撓み等が生じても転倒などの事故を防止することができる。
【0017】
請求項5の発明によれば、
複数本の横取りレールの上に、長尺の重量物を載せて、前記重量物を横取り移送する重量物の横取り移送装置において、
前記複数本の横取りレールは、前記重量物の移送方向と異なる方向に任意の間隔で設置され、
前記長尺の重量物の下面に、全長に亘って長手軸方向に前記複数本のすべての横取りレールの上で交差するように1本の長尺の橋軸レールを設け、
前記複数本の横取りレールの上の前記橋軸レールとの交差位置にそれぞれ横取りシップを摺動自在に設け、
一端を前記横取りシップに連結し、他端を前記横取りレールに着脱する横取りクランプに連結し、前記横取りシップを前記横取りレールに沿って移送する横取り推進ジャッキを設け、
前記複数本のすべての横取りレールと前記1本の長尺の橋軸レールとの交差部におけるすべての前記横取りシップの上にそれぞれ橋軸シップを密接して重ね、
この橋軸シップを長尺の前記橋軸レールの下面に摺動自在に設け、
一端を前記橋軸シップに連結し、他端を前記橋軸レールに着脱する橋軸クランプに連結し、前記橋軸シップを前記橋軸レールに沿って移送する橋軸推進ジャッキを設け、
この橋軸推進ジャッキにより前記橋軸シップを前記横取りシップの上に重ねた状態で前記橋軸シップの移動に連動して前記橋軸レールに沿って摺動し、
前記横取りシップに、前記重量物の下面のひずみに対応するための鉛直ジャッキを内蔵し、この鉛直ジャッキと前記橋軸シップを、球面座をもって嵌合し傾斜面に追随して密接して回転可能に重ねて設けた重量物の横取り移送装置が用いられ、
前記鉛直ジャッキと前記橋軸シップを、前記球面座をもって、前記重量物の下面のひずみに対応して傾斜面に追随して密接して回転しつつ、
前記重量物の横移動方向と、それぞれの横取りレールの設置方向とのなす角度を、それぞれの横取りレール毎に保持して前記横取り推進ジャッキと橋軸推進ジャッキの単位時間当たりの移送距離を連動して制御することにより前記横取りレールの移送方向と異なる方向に前記重量物を横取り移送するようにしたので、次の作用効果を有する。
無限軌道帯を使用することがなく、全体の駆動制御が簡便になり、また、無限軌道帯を使用しないので、機高も低くでき、転倒防止対策を小さくでき、安全性、経済性にも優れた方法を提供できる。
また、鉛直ジャッキと球面座により、重量物の下面のひずみに伴う傾斜面が生じてもそれに追随して回転しつつ移送ができる。
【0018】
請求項6の記載によれば、
前記横取り推進ジャッキを駆動する横取り用ポンプと、
前記橋軸推進ジャッキを駆動する橋軸用ポンプと、
これらの横取り用ポンプと橋軸用ポンプを制御する集中制御部とをさらに具備した重量物の横取り移送方法において、前記横取り推進ジャッキと橋軸推進ジャッキの単位時間当たりの移送距離を連動して行う制御は、前記集中制御部からの指令により行い、前記横取りレールの移送方向と異なる方向に前記重量物を横取り移送するようにしたので、重量物をどのような方向にも安全に移送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明による重量物の横取り移送方法及び装置の実施例1の概略を説明する模式図である。
図2】本発明による重量物の横取り移送方法及び装置の作用を説明するフローチャートである。
図3】本発明による重量物の横取り移送方法及び装置の側方からみた横取り方法の説明図である。
図4】本発明による重量物の横取り移送方法及び装置における架設桁29と新設橋桁22が交差する位置での動作例を説明する平面図である。
図5】本発明の重量物の横取り移送方法及び装置を制御するための油圧回路図である。
図6】(a)は、図4におけるA-A線の側面図、(b)図4におけるB-B線の側面図である。
図7】(a)は、本発明による重量物の横取り移送方法及び装置の実施例2(新設橋桁22が一部湾曲している例)の概略を説明する模式図、(b)は、本発明による重量物の横取り移送方法及び装置の実施例3(複数本の横取りレール23が異なる方向に傾斜している例)の概略を説明する模式図である。
図8】従来の横取り装置を示す模式的な平面図である。
図9図8の一部の拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明は、
複数本の横取りレール29の上に、長尺の重量物22を載せて、前記重量物22を横取り移送する重量物の横取り移送装置において、
前記複数本の横取りレール29のうち、前記重量物22の横移送方向と異なる方向に設置されたそれぞれの横取りレール29の上に摺動自在に設けられた横取りシップ35と、
一端をこの横取りシップ35に連結し、他端を前記それぞれの横取りレール29にクランプする横取りクランプ34に連結し、前記横取りシップ35を前記横取りレール29に沿って移送する横取り推進ジャッキ33と、
前記重量物22の下面の長手軸方向に設けられた橋軸レール32と、
前記横取りシップ35の上に密接して重ねられ、前記橋軸レール32の下面に摺動自在に設けられた橋軸シップ37と、
一端をこの橋軸シップ37に連結し、他端を前記橋軸レール32にクランプする前記橋軸クランプ39に連結し、前記横取りシップ35の上に前記橋軸シップ37を重ねた状態で前記橋軸レール32に沿って摺動する橋軸推進ジャッキ38を具備し、
前記横取りシップ35と橋軸シップ37の少なくともいずれか一方が鉛直ジャッキを具備していることを特徴とする重量物の横取り移送装置である。
【0021】
本発明の装置は、
前記横取り推進ジャッキ33を駆動する横取り用ポンプ48と、
前記橋軸推進ジャッキ38を駆動する橋軸用ポンプ50と、
これらの横取り用ポンプ48と橋軸用ポンプ50を制御する集中制御部45とをさらに具備することができる。
前記横取りレール23と横取りシップ35の間に介在したステンレス板59と低摩擦材と、前記橋軸レール32と橋軸シップ37の間に介在したステンレス板40と低摩擦材とをさらに具備する。
【0022】
重量物の下面の傾斜面、ひずみ、架設桁、横取りレールのたわみ等が生じても転倒などの事故を防止し、工事の安全性をより向上させるために、横取りレール23に並設したリスク管理レール41と、重量物の下面の橋軸レール32との間に、緊急時にジャッキアップしてトラブルに対応するリスク管理ジャッキ42を設ける。
【0023】
本発明は、
複数本の横取りレール29の上に、長尺の重量物22を載せて、前記重量物22を横取り移送する重量物の横取り移送方法において、
前記複数本の横取りレール29のうち、前記重量物22の横移送方向と異なる方向に設置されたそれぞれの横取りレール29の上に摺動自在に設けられた横取りシップ35と、
一端をこの横取りシップ35に連結し、他端を前記それぞれの横取りレール29にクランプする横取りクランプ34に連結し、前記横取りシップ35を前記横取りレール29に沿って移送する横取り推進ジャッキ33と、
前記重量物22の下面の長手軸方向に設けられた橋軸レール32と、
前記横取りシップ35の上に密接して重ねられ、前記橋軸レール32の下面に摺動自在に設けられた橋軸シップ37と、
一端をこの橋軸シップ37に連結し、他端を前記橋軸レール32にクランプする前記橋軸クランプ39に連結し、前記横取りシップ35の上に前記橋軸シップ37を重ねた状態で前記橋軸レール32に沿って摺動する橋軸推進ジャッキ38を具備し、
前記横取りシップ35と橋軸シップ37の少なくともいずれか一方が鉛直ジャッキからなる重量物の横取り移送装置が用いられ、
前記重量物22の横移動方向と、それぞれの横取りレール29の設置方向とのなす角度を、それぞれの横取りレール29毎に保持して前記横取り推進ジャッキ33と橋軸推進ジャッキ38の単位時間当たりの移送距離を連動して制御することにより前記横取りレール29の移送方向と異なる方向に前記重量物22を横取り移送するようにしたことを特徴とする重量物の横取り移送方法である。
【0024】
本発明は、さらに、前記横取り推進ジャッキ33を駆動する横取り用ポンプ48と、
前記橋軸推進ジャッキ38を駆動する橋軸用ポンプ50と、
これらの横取り用ポンプ48と橋軸用ポンプ50を制御する集中制御部45とをさらに具備した重量物の横取り移送方法及び装置において、前記横取り推進ジャッキ33と橋軸推進ジャッキ38の単位時間当たりの移送距離を連動して行う制御は、前記集中制御部45からの指令により行い、前記横取りレール23の移送方向と異なる方向に前記新設橋桁重量物22を横取り移送する。
【実施例1】
【0025】
本発明の実施例1を図1ないし図6に基づき説明する。
図1において、既設路20が、岸辺24から川の上まで連続して建設されており、この既設路20の川の上の一部の旧橋桁21を撤去し、撤去した場所に新たな新設橋桁22を架設するものとする。前記旧橋桁21を撤去し、新設橋桁22を据え付けるには、既設路20と直交して架設桁29を設置し、その上に横取りレール23を取り付けることが望ましい。しかし、川の流れや河床の地形などから横取りレール23が既設路20に対して所定の角度θだけ傾けた方向27に設けざるを得ない場合において、本実施例1では、この横取りレール23の上で新設橋桁22を、この新設橋桁22の軸方向に対して90度の方向26に横取り移送するものとする。この横取り方向を橋桁と直交する方向26とすることが新設橋桁22の両端部の処理等を不要とするので好ましいことによる。また、複数本の横取りレール23は、すべて互いに平行に設置されているものとする。
なお、複数本の横取りレール23が互いに平行ではなく、新設橋桁22がこの新設橋桁22の軸方向に対して90度以外の方向に横取り移送する場合も本発明は利用可能であり、また、新設橋桁22が曲線を有するものでもよく、その例は、後述する。
【0026】
図1において、複数本の架設桁29は、前述のように、既設路20と交差する方向であって、図示例の角度θを持った方向27に設置する。これらの架設桁29は、図3に示すように河床にH杭30を打ち込み、その上に据え付けられる。これらの架設桁29の上にはステンレス板を張り付けた横取りレール23が取り付けられる。旧橋桁21は、横取りレール23の上に載せられて、横取り推進ジャッキ33で横取りレール23に沿って撤去場所まで滑りながら横取り移動して移送される。このとき、横取りレール23が角度を持っているので、旧橋桁21の先端の一部の移送に支障となる先端部58を切断して、撤去方向27で表した横取りレール23の方向に横取り移送するものとする。旧橋桁21は、先端部58の一部を切断しても撤去されるものであるから問題はない。
【0027】
旧橋桁21が撤去位置まで移送されたら、既設路20を挟んで撤去位置と反対側に、台船28に載せられて新設橋桁22が運ばれる。新設橋桁22の下面には、予めこの新設橋桁22の軸方向に橋軸レール32が取り付けられており、新設橋桁22は、この橋軸レール32と前記横取りレール23が交差するように載せられる。この新設橋桁22の横取り方向は、橋桁と直交する方向26とすることが両端部の処理等を不要とするので好ましいことは、前述のとおりである。この交差位置における詳細な構成を図6に基づき説明する。
【0028】
図6(a)(b)において、前記架設桁29の上には、横取りレール23が固定的に取り付けられ、この横取りレール23の上に、図6(a)のように、横取り推進ジャッキ33が横取りクランプ34により着脱自在に固定されている。この横取り推進ジャッキ33の先端には、連結材36の両端に連結された2台の横取りシップ35が横取りレール23の上のステンレス板59に摺動自在に載せられ、これら2台の横取りシップ35の両側の外れ防止凸部61で横取りレール23からの外れを防止している。これら2台の横取りシップ35は、前記横取りクランプ34の着脱と前記横取り推進ジャッキ33の進退動により尺取虫のように移動する。前記横取りシップ35には、新設橋桁22の下面のひずみに対応するための鉛直ジャッキ62を内蔵し、この鉛直ジャッキ62の上には、前記橋軸レール32側の橋軸シップ37が、図4に示すように、互いに角度θを持ち、かつ、密接して回転可能に重なって設けられている。すなわち、前記鉛直ジャッキ62の上面の円形凹部と、前記橋軸シップ37の下面の逆円錐台部が、嵌合するが、前記横取りシップ35側と、前記橋軸シップ37側の少なくともいずれか一方が傾斜しても、前記逆円錐台部は、球面座に嵌合しているので、傾斜面に追随して密接することができる。
【0029】
前記橋軸レール32の下のすべり面にも、ステンレス板40が張り付けられている。前記横取りレール23の上面のステンレス板59に接する前記横取りシップ35の下面との間と、前記橋軸レール32の下面のステンレス板40に接する前記橋軸シップ37の上面との間に円滑に摺動するための低摩擦材が設けられる。この低摩擦材は、例えば、バックメタルの鋼板に青銅粉末を焼結した多孔質焼結に、特殊充填剤の4フッ化エチレン樹脂を含浸させた3層構造のものが用いられ、耐荷重性が強く、放熱性がよく、無給油で使用できるものであり、バックメタルの鋼板には、耐食性向上のため鈴メッキが施してあるものが用いられる。
【0030】
この橋軸シップ37は、両側の外れ防止凸部60で橋軸レール32からのはずれを防止している。前記橋軸シップ37は、橋軸推進ジャッキ38に連結され、この橋軸推進ジャッキ38は、図6(b)のように、前記橋軸レール32の下面にて橋軸クランプ39に連結され、この橋軸クランプ39の着脱と橋軸推進ジャッキ38の進退動により尺取虫のように移動する。
前記架設桁29の上には、図6(b)のように、リスク管理レール41が取り付けられ、このリスク管理レール41と橋軸レール32の下面との間に、緊急時にジャッキアップしてトラブルに対応するリスク管理ジャッキ42が設置されている。
【0031】
図5に示す油圧制御回路において、総合管理室44のデータ表示及びメモリ46のデータに基づき、CPUなどの集中制御部45から制御信号が送られると、架設桁集中操作盤47を介して油圧回路56の前方用油圧回路56aの横取り用ポンプ48から横取り推進ジャッキ33と横取りクランプ34に油圧が送られ、鉛直用ポンプ49から前記横取りシップ35の内部に設けられた鉛直ジャッキ62に油圧が送られ、橋軸用ポンプ50から橋軸推進ジャッキ38と橋軸クランプ39に油圧が送られる。
また、前記横取り用ポンプ48に接続されたストロークセンサ51と絶対変位センサ52は、前記横取り推進ジャッキ33の検出用であり、前記鉛直用ポンプ49に接続されたストロークセンサ53は、前記鉛直ジャッキ62の検出用であり、前記橋軸用ポンプ50に接続されたストロークセンサ54と絶対変位センサ55は、前記橋軸推進ジャッキ38の検出用である。
後方用油圧回路56bについても前方用油圧回路56aと同様の構成である。
さらに、油圧回路56は、5本の横取りレール23についても同様の構成となっている。また、データ表示及びメモリ46により各データが表示され、集中管理を行う。
【0032】
以上の構成による作用を説明する。
(1)図1において、複数本の架設桁29は、既設路20と交差する方向に、かつ、既設路20の両側に伸びた状態で角度θを持って互いに平行に設置されているものとする。この状態で、旧橋桁21は、一部が既設路20から切断され、横取りレール23の上に載せられて、横取り推進ジャッキ33で撤去場所まで横取り移動して移送される。このとき、横取りレール23が角度を持っているので、旧橋桁21の先端の一部の移送に邪魔な先端部58を切断して、撤去方向27で表した横取りレール23と平行な方向に移送する。この旧橋桁21の撤去時には、先端部58を切断すれば、旧橋桁21の軸方向に移動する必要がないので、新設橋桁22が横取りシップ35に直接載せられた状態で横取りレール23に沿って横取り移送される。
【0033】
(2)旧橋桁21が撤去されたら、既設路20を挟んで撤去位置と反対側に、台船28に載せられて新設橋桁22が運ばれる。新設橋桁22の下面には、予めこの新設橋桁22の軸方向に橋軸レール32が取り付けられ、この橋軸レール32の下面には、ステンレス板40と低摩擦材を介して橋軸シップ37が取り付けられている。この新設橋桁22の橋軸シップ37が横取りレール23の上の横取りシップ35に、互いに密接しているが、水平方向に移動できない状態に載せられる。新設橋桁22の下面が水平でなく、傾斜面になっているようなときには、傾斜面が小さければ横取りシップ35が載せられている球面座で追従し、図6(b)に示すように、新設橋桁22の下面に大きな傾斜面や凹凸があれば、新設橋桁22と橋軸レール32との間に変断面対応ブラケット43を介在して水平にする。
なお、横取りレール23の横取りシップ35に、橋軸シップ37と橋軸レール32を予め載せておき、この橋軸レール32に新設橋桁22を載せて固定するようにすることもできる。
【0034】
(3)図4に示すように、新設橋桁22を横取りレール23の上に、横取りレール23と橋軸レール32が交差した状態で載せたら、総合管理室44からの指令により、横取り用ポンプ48と橋軸用ポンプ50に油圧信号を送り、横取り推進ジャッキ33と橋軸推進ジャッキ38を連動して駆動する。図4において、横取り推進ジャッキ33による横取りシップ35の単位時間当たりの駆動速度OAと、橋軸推進ジャッキ38の単位時間当たりの駆動速度ABは、新設橋桁22の単位時間当たりの横取り速度OB方向(この実施例1では、新設橋桁22と直交方向)となるように制御される。
図2に示すように、横取り推進ジャッキ33による横取り移動は、ストロークセンサ51と絶対変位センサ52で検出され、問題がないかどうかを判断し、問題があればNOとなり、調整して、YESになれば次へ進む。
同様に、橋軸推進ジャッキ38による横取り移動は、ストロークセンサ54と絶対変位センサ55で検出され、問題がないかどうか(あらかじめ設定した許容範囲かどうか)を判断し、問題があればNOとなり、調整して、YESになれば次へ進む。
鉛直用ポンプ49で鉛直ジャッキ62を駆動して、ストロークセンサ53で桁歪みを検出し、問題があればNOとなり、鉛直ジャッキ62で桁歪を調整して、YESになれば次へ進む。
【0035】
(4)横取りレール23の上での横移動は、横取りレール23と横取りシップ35の間にステンレス板59と低摩擦材が設けられ、また、橋軸レール32での新設橋桁22の軸方向移動は、橋軸レール32と橋軸シップ37の間にステンレス板40と低摩擦材が設けられているので、摩擦抵抗を低く抑えることができ、円滑な移動を可能とし、かつ、無限軌道帯を使用しないので、機高も低くでき、転倒対策を小さくでき、安全性、経済性も優れた方法を提供できる。
【0036】
(5)複数本の横取りレール23毎に新設橋桁22の橋軸レール32との交差位置で連動して以上の動作を繰り返すが、横取り推進ジャッキ33と橋軸推進ジャッキ38のストローク限界に達したら、横取りクランプ34,橋軸クランプ39を緩めて固定位置を変えて移送を繰り返す。新設橋桁22が既設路20の取り付け位置まで達したら新設橋桁22の移動を停止し、橋脚57に固定する。
橋脚57に固定したら新設橋桁22の橋軸レール32、橋軸推進ジャッキ38、橋軸シップ37等を撤去し、さらに、架設桁29の横取りレール23、横取り推進ジャッキ33、外れ防止凸部61等を撤去し、架設桁29,H杭30等を解体撤去する。
【0037】
前記図1の実施例では、新設橋桁22は、直線としたが、図7に示すように、一部または、全体が湾曲するものであっても利用することができる。この場合、新設橋桁22の横取り方向が平行移動するためには、新設橋桁22の両端の既設路の端部との嵌め込み角度が90度又は90度以下になることが望ましい。
【0038】
前記図1の実施例では、複数本の横取りレール23がすべて平行で、新設橋桁22の横取り方向が90度の方向とした場合について説明したが、複数本の横取りレール23がすべて又は一部が非平行で、新設橋桁22の横取り方向が橋軸方向に対して90度以外の方向とした場合についても本発明は利用できる。具体的には、図7(b)において、一方の横取りレール23aが新設橋桁22の橋軸方向に対して角度(α+β)で、他方の横取りレール23bが新設橋桁22の橋軸方向に対して角度(α+γ)であり、角度α方向に横取りしようとする場合、一方の横取りレール23aと新設橋桁22の交点O1に設置された横取り推進ジャッキ33と橋軸推進ジャッキ38の油圧制御と、他方の横取りレール23bと新設橋桁22の交点O2に設置された横取り推進ジャッキ33と橋軸推進ジャッキ38の油圧制御を、総合管理室44で個々に制御するように設定する。すなわち、O1における横取り推進ジャッキ33と橋軸推進ジャッキ38は、単位時間当たりの移動距離がO1A1とA1B1と設定し、O2における横取り推進ジャッキ33と橋軸推進ジャッキ38は、単位時間当たりの移動距離がO2A2とA2B2と設定することにより、横取りレール23aと23bの角度が違っていても新設橋桁22は、角度α方向に横移動することができる。
【0039】
前記実施例では、前記横取りシップ35に上向きの鉛直ジャッキ62を内蔵したが、前記橋軸シップ37に下向きの鉛直ジャッキを内蔵してもよく、さらに、前記横取りシップ35と前記橋軸シップ37の両方に鉛直ジャッキを内蔵して密接して重ねるようにすることもできる。
【符号の説明】
【0040】
10…重量物、11…障害物、12…レール、13…クランプ装置、14…スライド装置、15…送り装置、16…おしみ用クランプ装置、17…水平ジャッキ装置、18…連結杆、19…支点、20…既設路、21…旧橋桁、22…新設橋桁、23…横取りレール、24…岸辺、25…川の流れ方向、26…横取り方向、27…撤去方向、28…台船、29…架設桁、30…H杭、31…水面、32…橋軸レール、33…横取り推進ジャッキ、34…横取りクランプ、35…横取りシップ、36…連結材、37…橋軸シップ、38…橋軸推進ジャッキ、39…橋軸クランプ、40…ステンレス板、41…リスク管理レール、42…リスク管理ジャッキ、43…変断面対応ブラケット、44…総合管理室、45…CPUなどの集中制御部、46…データ表示及びメモリ、47…架設桁集中操作盤、48…横取り用ポンプ、49…鉛直用ポンプ、50…橋軸用ポンプ、51…ストロークセンサ、52…絶対変位センサ、53…ストロークセンサ、54…ストロークセンサ、55…絶対変位センサ、56…油圧回路、57…橋脚、58…先端部、59…ステンレス板、60…外れ防止凸部、61…外れ防止凸部、62…鉛直ジャッキ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9