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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-28
(45)【発行日】2022-07-06
(54)【発明の名称】洗浄度判定装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/59 20060101AFI20220629BHJP
   G01N 21/03 20060101ALI20220629BHJP
   B67D 1/07 20060101ALI20220629BHJP
   B67D 1/08 20060101ALI20220629BHJP
【FI】
G01N21/59 Z
G01N21/03 Z
B67D1/07
B67D1/08 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2018124671
(22)【出願日】2018-06-29
(65)【公開番号】P2020003403
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-05-10
(73)【特許権者】
【識別番号】311007202
【氏名又は名称】アサヒビール株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】501397920
【氏名又は名称】旭光電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二
(72)【発明者】
【氏名】倉部 泰宏
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 徹
(72)【発明者】
【氏名】和田 貴志
(72)【発明者】
【氏名】楠 健志
(72)【発明者】
【氏名】西尾 崇志
【審査官】大森 努
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-536713(JP,A)
【文献】特開2013-087178(JP,A)
【文献】特開2004-279069(JP,A)
【文献】特開2000-025896(JP,A)
【文献】特開平09-243553(JP,A)
【文献】特開2017-218226(JP,A)
【文献】特開2004-271472(JP,A)
【文献】国際公開第2010/027982(WO,A2)
【文献】米国特許第05083868(US,A)
【文献】特表2017-534854(JP,A)
【文献】特開平07-243964(JP,A)
【文献】特開2011-212366(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0135519(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00-21/61,
B67D 1/00-3/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵容器内の飲料を、加圧により供給管を通して注出装置へ供給し、該注出装置に備わる冷却装置にて冷却を行い、注出装置の注出口から飲用容器へ注出する液体供給システムにおける、上記貯蔵容器の出口から上記注出口までの管路の洗浄作業の良否を判定する洗浄度判定装置であって、
既定量の洗浄水を収納する液体収納部を有するサンプリング容器と、
対向配置した投光素子及び受光素子を有し上記サンプリング容器が着脱可能に装着される凹状の装着部、上記液体収納部の洗浄水に対して上記投光素子及び上記受光素子による透過光測定を行いその測定結果から洗浄作業の良否を判定する制御部、並びに、判定結果を表示する表示部を有する測定器と、
を備え
上記サンプリング容器は、上記液体収納部における結露防止構造として上記液体収納部の周囲に密閉した空気層を設けた二重構造を有する、
ことを特徴とする洗浄度判定装置。
【請求項2】
上記装着部は、上記投光素子及び上記受光素子を当該装着部の外側に装着可能な外壁であって上記投光素子及び上記受光素子間で光を通過させる2つの開口を有し遮光性部材で構成した外壁と、該外壁を覆い上記サンプリング容器と接し透光性部材で構成した内壁との二層壁で構成されている、請求項1に記載の洗浄度判定装置。
【請求項3】
上記液体収納部における洗浄水は、上記管路内にスポンジを通過させながら上記注出口から排出されたスポンジ洗浄水である、請求項1又は2に記載の洗浄度判定装置。
【請求項4】
上記サンプリング容器は、上記液体収納部の上方に着脱可能に装着され上記注出口から排出された上記スポンジ洗浄水を通過させ、スポンジを受け止めるバスケットを有する、請求項3に記載の洗浄度判定装置。
【請求項5】
上記空気層の厚みは、3mmを超え5mm以下である、請求項1から4のいずれかに記載の洗浄度判定装置。
【請求項6】
上記液体収納部の既定量は、50mlから80mlの間である、請求項1からのいずれかに記載の洗浄度判定装置。
【請求項7】
上記サンプリング容器は、容器外面に対して凹んだ容器側凹部と、上記投光素子及び上記受光素子による透過光の通過光路に対応して上記容器側凹部を位置決めさせる容器側位置決め部とを有する、請求項1からのいずれかに記載の洗浄度判定装置。
【請求項8】
上記サンプリング容器は、上記装着部に上記液体収納部を位置させ、かつ装着部への防滴を行うフランジを有する、請求項1からのいずれかに記載の洗浄度判定装置。
【請求項9】
上記サンプリング容器は、容器外面に対して凹んだ容器側凹部と、上記投光素子及び上記受光素子による透過光の通過光路に対応して上記容器側凹部を位置決めさせる容器側位置決め部とを有し、
上記装着部は、上記投光素子及び上記受光素子を当該装着部の外側に装着可能な外壁であって上記投光素子及び上記受光素子間で光を通過させる2つの開口を有し遮光性部材で構成した外壁と、該外壁を覆い上記サンプリング容器と接し透光性部材で構成した内壁との二層壁で構成されており、
上記内壁は、上記外壁における各開口に対応して設けられ当該内壁の周面に対して凹んだ装着部側凹部と、該装着部側凹部及び上記容器側凹部を対向させ、かつ上記容器側位置決め部と係合する装着部側位置決め部と有する、請求項1からのいずれかに記載の洗浄度判定装置。
【請求項10】
測定器における装着部の上記外壁は、上記投光素子に対向する投光側開口と、上記受光素子に対向した受光側開口とを有し、上記受光側開口と受光素子との間の距離は、上記投光側開口と投光素子との間の距離に比べて大きい、請求項に記載の洗浄度判定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄度判定装置に関し、詳しくは、液体供給システムの洗浄液における濁度を測定しその洗浄度を判定可能な洗浄度判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
飲食店等にて、液体、例えばビール等の飲料を提供する装置として、液体供給システムが一般的に使用されている。ビールを例に採った場合、該液体供給システムは、炭酸ガスボンベ、ビールが充填されたビール樽、供給管、及びビールディスペンサーを有し、炭酸ガスボンベの炭酸ガスにてビール樽内のビールを加圧し、供給管からビールディスペンサーへ圧送する。ビールディスペンサーは、冷却槽内に設置したビール冷却管、冷凍機、及び注出口を有し、冷却槽内の冷却水の一部を冷凍機にて氷結させ、注出口におけるレバー操作にてビール冷却管内を流しながらビールを冷却し、例えばジョッキ等の飲用容器へ注出する。
このようにしてビール樽内のビールは、顧客へ提供される。
【0003】
一方、液体供給システムでは、上述のようにビール冷却管を含めて、ビール樽出口から注出口までビールが流れる比較的長い管路が存在し、該管路の内部には、使用に伴い汚れが付着してくる。該汚れは、雑菌繁殖にもつながり雑味の発生等、美味しくないビールの提供につながる。
【0004】
したがって、衛生管理上、及び提供ビールの品質管理上の観点から、ビールメーカーは、定期的に例えば営業終了毎に、ビール樽出口から注出口間の管路を洗浄することを、液体供給システムの使用者(例えば飲食店)に指導し、衛生管理及び提供ビールの品質維持を図っている。この洗浄作業として、例えば毎日の営業終了時における洗浄水(水道水)の通水による水洗浄と、例えば一週間に一度程度の頻度にて、管路内に指定スポンジを通過させながら洗浄水を流す洗浄(以下、スポンジ洗浄と記す)とがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5393389号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、上述の洗浄が実行されているか否かの確認は、現状、次のように行っている。即ち、例えばビールメーカーの営業者等の作業者が例えば飲食店等を訪問した際に、上述のスポンジ洗浄を行い、そのときに排出された洗浄水(スポンジ洗浄水)を専用容器に採取(サンプリング)する。スポンジ洗浄水は、管路内面の汚れを含み、元の水道水に比して透明度が低下し、通常、濁った液体となる。作業者は、このようなスポンジ洗浄水が入った専用容器を紙に印刷された文字等の上に置き、専用容器の上方からスポンジ洗浄水を通してその文字等を見る。スポンジ洗浄水の濁り具合(濁度)に応じてその文字等の視認度が変化することから、作業者は、その文字等の見え方を基準として、洗浄作業の良否を判定している。
【0007】
このように現状行われている洗浄水の濁度判定つまり洗浄の良否判定は、人による目視判定であって定性的であることから、例えば明るさ等の作業場所の環境、並びに、作業者の例えば視力及び判断基準等によって、判定結果にバラツキが生じる可能性がある。
【0008】
尚、上記特許文献1は、管路内の空液状態から洗浄作業の有無を判断する内容を開示するものであり、洗浄水の濁り具合を判定する内容は開示していない。
【0009】
一方、特定容器に被測定液体を採取して、被測定液体における濁度を測定、分析する方法として、透過光方式と、散乱光方式とが存在する。透過光方式は、特定容器における被測定液体に光を通過させ、その光の透過度を測定する。また散乱光方式は、特定容器における被測定液体に光を通過させ、被測定液体における濁りの原因となる物質による散乱光を測定する。該散乱光方式は、主に高精度の分析用として用いられ、測定では外乱光の影響を防止する必要がある。よって、測定機器内に設けた測定室に特定容器を装填し、さらに該測定室を蓋で密閉して暗室状態を形成する必要がある。このため散乱光方式は、測定機器の構成が複雑化し高価になるという問題がある。
【0010】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、被測定液体の濁度、ひいては洗浄作業の良否を定量的に測定可能であり、簡易構成で安価な洗浄度判定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明は以下のように構成する。
即ち、本発明の一態様における洗浄度判定装置は、貯蔵容器内の飲料を、加圧により供給管を通して注出装置へ供給し、該注出装置に備わる冷却装置にて冷却を行い、注出装置の注出口から飲用容器へ注出する液体供給システムにおける、上記貯蔵容器の出口から上記注出口までの管路の洗浄作業の良否を判定する洗浄度判定装置であって、
既定量の洗浄水を収納する液体収納部を有するサンプリング容器と、
対向配置した投光素子及び受光素子を有し上記サンプリング容器が着脱可能に装着される凹状の装着部、上記液体収納部の洗浄水に対して上記投光素子及び上記受光素子による透過光測定を行いその測定結果から洗浄作業の良否を判定する制御部、並びに、判定結果を表示する表示部を有する測定器と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
上記一態様における洗浄度判定装置によれば、サンプリング容器と測定器とを備え、測定器において透過光方式によって洗浄液の濁度を測定し定量的に判定可能であることから、簡易で安価な構成とすることができ、さらに、定量的な濁度測定を基に洗浄作業の良否を定量的に測定可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1A】実施形態における洗浄度判定装置を構成する測定器の斜視図である。
図1B図1Aに示す測定器の装着部の概略構成を示す断面図である。
図1C図1Aに示す測定器における概略構成を示すブロック図である。
図1D図1Aに示す測定器における測定動作を説明するフローチャートである。
図2A】実施形態における洗浄度判定装置を構成するサンプリング容器の斜視図である。
図2B図2Aに示すサンプリング容器の断面図である。
図2C図2Aに示すサンプリング容器を図1Aに示す測定器の装着部に装填したときの状態を示す概略の断面図である。
図3】実施形態における洗浄度判定装置における被測定液体である洗浄水を採取する液体供給システムの概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態である洗浄度判定装置について、図を参照しながら以下に説明する。尚、各図において、同一又は同様の構成部分については同じ符号を付している。また、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け当業者の理解を容易にするため、既によく知られた事項の詳細説明及び実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。また、以下の説明及び添付図面の内容は、特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0015】
本実施形態における洗浄度判定装置は、一例として以下に説明する液体供給システムから採取した洗浄水を被測定液体とし、該洗浄水の濁度を測定し、さらには、その測定結果から液体供給システムにおける洗浄作業の良否を判定するものである。
以下の説明では、液体供給システムは、例えばビールを提供するシステムを例に採る。
まず、図3を参照して、このような液体供給システム70について説明する。
【0016】
液体供給システム70は、貯蔵容器10と、加圧源15と、供給管30と、注出装置50とを有し、貯蔵容器10内の飲料(例えばビール)20を、加圧源15による加圧によって供給管30を通して注出装置50へ供給つまり圧送し、注出装置50から飲用容器(例えばジョッキ)40へ注ぎ出すシステムである。ここで貯蔵容器10は、例えばビールメーカーにてビールが充填された、いわゆるビール樽と呼ばれるステンレス製容器であり、例えば5L、10L、19L等の内容量のものがある。加圧源15は、炭酸ガスボンベである。供給管30は、貯蔵容器10と注出装置50との間でビールの通液を可能にする、可撓性を有する例えばポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル等製の樹脂チューブである。供給管30から注出装置50における液体注出口54に至るまで、流体の通液管路の内径は、通液管路内のスポンジ洗浄を容易にするため全て同寸法にて設計されているのが好ましい。
【0017】
上述の注出装置50の一例として、上述のように本実施形態ではビールディスペンサー(「ビールサーバー」と称されることもある。)を例に採り説明を行う(よって以下では、ビールディスペンサー50と記す場合もある。)。上で既に説明したように、ビールディスペンサー50は、冷却槽51内に配置した液体冷却管(実施形態ではビール冷却管)52、冷凍機53、及び液体注出口54などを有し、冷凍機53には、冷媒用の圧縮機、凝縮器、冷却槽51内に配置した冷媒配管等が含まれ、冷却槽51内の冷却水55の一部が冷凍機53にて氷結される。このようなビールディスペンサー50では、注出口54におけるレバー56の操作により、加圧源15にて圧送されるビールは、ビール冷却管52内を通過し、冷却水55との熱交換により冷却され、例えばジョッキ等の飲用容器40へ注出されて、顧客に提供される。
【0018】
尚、ビールディスペンサー50は、一般には、外気温度が5℃以上、40℃以下である環境にて使用される。また、注出装置50が扱う飲料20はビールに限定されず、上述の飲料水等であってもよい。また、実施形態では、ビールディスペンサー50は、対象液体であるビールの冷却も行うが、実施形態に含まれる注出装置50は、対象液体を加熱あるは保温するものであってもよい。
【0019】
また、このような液体供給システム70では、貯蔵容器10の出口から注出装置50の液体注出口54までの通液管路に対して、上で既に説明した水洗浄を行うように指導がなされている。ここで水洗浄作業は、洗浄水として例えば水道水を入れた洗浄水タンクを貯蔵容器10と付け替えて供給管30へ供給する液体をビールから洗浄水に切り換え、炭酸ガスで洗浄水を圧送することで行う。この水洗浄作業によって、洗浄水タンクの出口から注出装置50の液体注出口54までの通液管路が水洗浄される。さらに、上述の洗浄水タンクの付け替えの際に、上で既に説明したように、指定の専用スポンジを供給管30へ挿入してスポンジと共に炭酸ガスで洗浄水を圧送するスポンジ洗浄も行われる。尚、スポンジ洗浄を行いスポンジにて削り取られた汚れを含みスポンジと共に排出された洗浄水を「スポンジ洗浄水」と記し、スポンジを使用せずに水道水の通水のみで排出された洗浄水を「単純洗浄水」と記す。
【0020】
また、ディスペンサーが扱う液体はビールに限定されず、発泡酒、リキュール、チューハイ、ウイスキー、ワイン等のアルコール飲料、飲料水、清涼飲料、炭酸飲料などであってもよい。よってこれらの液体を提供可能な各ディスペンサーにおける洗浄水の濁度を、本実施形態における洗浄度判定装置は測定するものである。
【0021】
次に、図1Aから図1D(総称して図1と記す場合もある)、及び図2Aから図2C(総称して図2と記す場合もある)を参照して、本実施形態における洗浄度判定装置101について説明する。
洗浄度判定装置101は、大別して、図1に示す測定器110と、図2に示すサンプリング容器130とを有し、測定器110における装着部112に装填されたサンプリング容器130内の被測定液体に対して透過光方式にて被測定液体の濁度の測定を行い、さらに洗浄作業の良否判断も行う装置である。
測定器110では、透過光方式にて被測定液体の濁度を測定することから、測定器110は、散乱光方式に比べて簡易で安価な構成が可能となる。
【0022】
このような洗浄度判定装置101は、以下では、ビールディスペンサー50における通液管路におけるスポンジ洗浄水あるいは単純洗浄水を被測定液体とし、該被測定液体の濁度を測定する。しかしながら本実施形態の洗浄度判定装置101は、被測定液体をスポンジ洗浄水あるいは単純洗浄水に限定する意図ではなく、原水に異物を含み濁りを有する被測定液体の測定用として使用可能である。尚、以下では、被測定液体としてスポンジ洗浄水を例に採る。
また、以下で説明するように当該洗浄度判定装置101は、被測定液体の濁度の測定結果から洗浄作業の良否判断も行うが、単に濁度を測定する濁度計として使用することも可能である。
以下には、測定器110及びサンプリング容器130について、順次説明を行う。
【0023】
測定器110は、図1Aに示すように大略直方体形状を有し、一例として約120mm×約90mm×約40mmの大きさであり、例えばビールメーカーの営業者等の作業者が携帯可能な形態を有する。また、測定器110は、図1A及び図1Cに示すように、装着部112、制御部114、及び表示部116を有し、また表面111にスイッチ部118を設け、電源113として電池を交換可能に収納している。
【0024】
装着部112は、図1A及び図1Bに示すように、表面111に形成した、本実施形態では周囲が円形でカップ状の凹部112aを有し、サンプリング容器130を着脱可能に装着でき、また凹部112aの直径方向112bにおいて対向配置した投光素子121及び受光素子122を有する。投光素子121及び受光素子122は、近赤外光の発光、受光を行う素子であり、直径方向112bに沿った光路124を形成する。尚、装着部112の形状は円形に限定されず、サンプリング容器130の形状に対応した形を採ることができる。
【0025】
このような装着部112は、外壁1122と内壁1124との二層壁で構成されている。外壁1122は、投光素子121及び受光素子122を凹部112aの外側にそれぞれ装着可能とする部材であり、投光素子121と受光素子122との間で光路124が形成可能なように光軸を中心とした2つの開口1123、つまり投光側開口1123a及び受光側開口1123b、を有し、例えば黒色等の樹脂製の遮光性部材で形成されている。本実施形態では、投光側開口1123a及び受光側開口1123bの直径は共に、一例として約2mmである。
【0026】
さらに装着部112は、各開口1123を通過する光路124の光軸を中心として外壁1122の外周面1122aから直径方向112bに沿って突設した投光素子設置座1125a及び受光素子設置座1125bを有する。投光素子設置座1125a及び受光素子設置座1125bは、それぞれ例えば円筒形状で樹脂製の遮光性部材にて外壁1122と一体成型される。このように投光素子設置座1125a及び受光素子設置座1125bの各一端は、外壁1122と接続され遮光性が確保されている。また投光素子設置座1125aの他端には、投光素子設置座1125aの内側に投光素子121を位置させて、投光素子121を実装した基板123が遮光状態にて密着されている。受光素子設置座1125bの他端も同様に、受光素子設置座1125bの内側に受光素子122を位置させて、基板123が遮光状態にて密着されている。よって、投光素子121から出射した光は、投光素子設置座1125aの内側を通り投光側開口1123aから出て、受光側開口1123bから入射した光は、受光素子設置座1125bの内側を通り受光素子122へ到達する。
【0027】
さらにまた、直径方向112bにおける受光素子設置座1125bの長さL2は、投光素子設置座1125aの長さL1に比べて約1.5倍長く設定している。これにより、受光側開口1123bと受光素子122との間の距離は、投光側開口1123aと投光素子121との間の距離に比べて大きい。長さL2が長いことで、外部から凹部112aを通して受光側開口1123bへ入射した外乱光が、さらに受光素子122へ到達するのを極力低減させることが可能となり、装着部112の全体を暗室状態に設定する必要性を排除することができる。
また、長さL1、L2の相違に起因して、受光側開口1123bに対する受光素子122の視野角は、投光素子121における視野角よりも狭くなる。この点によっても、外乱光の受光素子122への到達を低減させ、暗室状態の必要性を排除することができる。
尚、図1Bは概略を示し、長さL2等の図示と上述内容とは必ずしも一致していない。
【0028】
上述のように装着部112は、外壁1122が遮光性部材で形成され、外壁1122における、比較的小さな開口1123、及び、長さ調整した受光素子設置座1125bの構成によって、受光素子122への外乱光侵入を防止している。よって測定器110が散乱光方式における複雑な機器構成でもないことと相まって、この点からも簡易で安価な洗浄度判定装置101が提供可能となる。
【0029】
一方、内壁1124は、外壁1122に密接して外壁1122の全面を覆いサンプリング容器130と接する部材であり、例えばアクリル樹脂等の透光性部材で形成している。よって、投光素子121から投光素子設置座1125aの内側及び投光側開口1123aを通り出射した光は、内壁1124を通過して受光側開口1123b及び受光素子設置座1125bの内側を経て受光素子122へ到達する。尚、本実施形態では、内壁1124は、当該測定器110の表面111と一体成型されており、防水構造となっている。
【0030】
さらに内壁1124は、当該内壁1124の周面1124aに、装着部側凹部1126及び装着部側位置決め部1127を有する。
装着部側凹部1126は、外壁1122における投光側開口1123a及び受光側開口1123bにそれぞれ対応して設けた、周面1124aに対して僅かに凹んだ溝状の凹部であり、装着部112の凹部112aの全深さに渡り直線的に延在している。このような装着部側凹部1126は、以下の理由から設けられている。即ち、装着部112の凹部112aにはサンプリング容器130が着脱されることから、内壁1124の周面1124aは、例えば、サンプリング容器130の外面、詳しくは後述の外側容器132aの外面132cとの接触、等によって傷付く可能性がある。該傷は、投光素子121及び受光素子122間の、投受光に影響を与える可能性がある。そこで、装着部側凹部1126を設け、着脱の際にサンプリング容器130が直接に接触することを防止して、投受光への悪影響を避けるようにした。
【0031】
装着部側位置決め部1127は、装着部112に対して常に同位置及び同配向にてサンプリング容器130を配置させるための部分であり、本実施形態では、内壁1124の周面1124aに設けた、凹部112aの全深さに渡り直線的に延在する溝である。装着部側位置決め部1127を設けることで、サンプリング容器130における常に同位置にて投受光が行われることになる。よって、サンプリング容器130における測定場所が変化することに起因した濁度測定結果のバラツキを抑えることが可能になる。
装着部側位置決め部1127は、本実施形態では凹形状の溝にて形成しているが、内壁1124の周面1124aに対して凸部にて形成してもよい。
また以下で説明するように、これらの装着部側凹部1126及び装着部側位置決め部1127に対応して、サンプリング容器130にも容器側凹部及び容器側位置決め部が設けられる。
【0032】
次に、制御部114は、電源113、投光素子121、受光素子122、及び表示部116と電気的に接続され、機能的に、図1Cに示すように、測定部114a、補正、校正部114b、判定部114c、記憶部114dを有し、当該測定器110の動作制御を行う。また後述のように制御部114には、温度センサ115が電気的に接続されてもよい。ここで測定部114aは、投光素子121からスポンジ洗浄水を透過して受光素子122にて受光した光量からスポンジ洗浄水の濁度の測定を行い、補正、校正部114bは、濁度測定動作において校正及び補正を行い、判定部114cは、濁度測定結果から洗浄作業の良否判断を行い、及び、記憶部114dは、測定結果等の記憶を行う。このような制御部114は、マイクロコンピュータを用いて実現され、測定部114a、補正、校正部114b、及び判定部114cが実行するそれぞれの機能に対応するソフトウェアと、これを実行するためのCPU(中央演算処理装置)及びメモリ等のハードウェアとで構成されている。記憶部114dは、情報格納するメモリである。
【0033】
制御部114における各動作及び機能について、簡単に説明する。
濁度測定処理において、被測定液体の濁り具合と、受光素子122の出力信号(換言すると受光素子122における受光量)とは、ほぼ比例関係を有する。よって、一例として、予め求め格納している、受光素子122の出力信号の大きさと濁度との関係情報から、制御部114は、濁度測定結果を求めることができる。さらに一例として、予め求め格納している、濁度測定結果と洗浄度判定用基準値とを比較することで、制御部114は、洗浄作業の良否判断を行うことができる。
【0034】
また、投光素子121及び受光素子122は、温度特性を有することから、当該測定器110の使用環境温度の変化により、濁度測定結果には誤差が生じる。よって、本実施形態では、測定器110の内部に温度センサ115(図1C)を設けており、制御部114は、得られた温度情報に応じて測定結果の補正を行う。
【0035】
また、被測定液体の元となる原水の相違、サンプリング容器130における汚れあるいは傷等によっても測定結果は変化する。よって測定前に、使用するサンプリング容器130に原水を入れて原水測定を行うことで、制御部114は、受光素子122の出力信号の大きさと濁度との関係情報(検量線)の校正を行う。
【0036】
校正作業は、正確な濁度測定結果を得る観点から、基本的に被測定液体の測定毎に行うことが望ましい。しかしながら、同じサンプリング容器130を使用する限りその状態は測定毎に大きく変化するものではなく、また、原水自体の濁度は地域により差異があるものの、例えば常に同地域にて測定を行うような場合等の状況では、校正作業が煩わしくなることも予想される。そこで本実施形態では、上述した投光素子121及び受光素子122の温度特性と絡めて、前回校正時に対して、今回の測定時における作業温度が既定温度差以上、本実施形態では一例として3℃以上、である場合に限り、制御部114は、校正作業を促す警告表示を行う機能を有している。
【0037】
さらにまた制御部114は、データ番号、求めた濁度測定結果、洗浄度判定結果、校正の有無及び校正値、環境温度、測定日時、等の情報を記憶部114dに格納する。ここで上記校正値には、投光素子121が投光する光量の補正値、及び受光素子122の出力信号の補正値の少なくとも一方が相当し、本実施形態では、上記光量の補正値が相当する。
【0038】
次に、表示部116について図1Aを参照して説明する。表示部116として、本実施形態では、洗浄作業良否表示部116a、動作表示部116b、及び測定値等の表示部116cを有する。本実施形態では、洗浄作業良否表示部116a及び動作表示部116bは、測定器110の表面111に配置しており、表示部116cは、測定器110の側面に配置している。また、洗浄作業良否表示部116aは、本実施形態では、洗浄程度に応じて優良から不良まで一例として5段階で色別にLED表示する。動作表示部116bは、オン/オフ状態、測定状態、及び校正状態のうち現在の状態をそれぞれLED表示する。表示部116cは、濁度測定結果を数値にてLCDに表示する。尚、表示部116cの配置位置は、図示の側面に限定するものではない。
【0039】
次に、スイッチ部118について図1Aを参照して説明する。スイッチ部118として、本実施形態では、電源(オン/オフ)用、測定用、及び校正用の3つの押下スイッチを表面111に設けている。
上述の表示部116及びスイッチ部118は、防水構造を施している。
【0040】
次に、サンプリング容器130について、図2を参照して説明する。
サンプリング容器130は、コップ形状を有し被測定液体、本実施形態ではスポンジ洗浄水、を既定量収納する液体収納部131を有し、投光素子121及び受光素子122による投受光が可能なように透光性の素材、例えば樹脂材あるいはガラス材等にて成型された容器である。本実施形態では、サンプリング容器130は、樹脂材製である。またサンプリング容器130は、図2Cに示すように、上述の装着部112に対して着脱可能に装着される容器である。
【0041】
既に説明したように本実施形態では、被測定液体は、ビールディスペンサー50における液体冷却管52を通過して排出されるスポンジ洗浄水である。よって液体収納部131における既定量は、本実施形態におけるスポンジ洗浄水の濁度測定が確実にかつ効果的に行える適切な量であり、液体供給システム70における貯蔵容器10の出口から注出装置50の液体注出口54までの通液管路の内容量、及び出願人による実験等に基づいて求めた量であり、本実施形態では一例として、ほぼ50mlから80mlの間である。また、液体収納部131内のスポンジ洗浄水を通過する光路長は、約30mmから約40mmの間の長さに設定している。このような液体収納部131における既定量及び光路長によれば、濁度測定結果が顕著に現れ、かつサンプリング容器130を必要以上に大型化しないという効果が得られる。
【0042】
また本実施形態では、液体収納部131にスポンジ洗浄水を採取する際には、上記通液管路内へ挿入され該管路を通過してきたスポンジも共に排出される。よってサンプリング容器130は、図2Bに示すように、スポンジ洗浄水を通過させスポンジを受け止める、いわゆる「ざる」としてのバスケット134を有する。該バスケット134は、漏斗状の形状を有し、液体収納部131の上方に着脱可能に装着される。尚、図2Aでは、バスケット134の図示を省略している。
【0043】
また、本実施形態におけるスポンジ洗浄水も、既に説明したビールディスペンサー50における液体冷却管52を通過して排出されることから、その温度は約5℃となる。よって通常容器では、その外面に結露が発生する場合があり、その場合、投光素子121及び受光素子122による透過光測定に支障が生じる。そこでサンプリング容器130は、図2Bに示すように、液体収納部131における結露防止構造を有し、該結露防止構造の一例として、液体収納部131の周囲に密閉した空気層132を設けた二重構造を有する。
【0044】
具体的に本実施形態では、サンプリング容器130は、下部に液体収納部131を有し上部の開口にバスケット134が着脱可能な内側容器131aと、液体収納部131を包囲する大きさを有する外側容器132aとを有し、フランジ133の箇所にて、内側容器131aと外側容器132aとを溶着して、液体収納部131の外面と外側容器132aの内面との間に密封された空気層132を形成している。ここで、内側容器131aと外側容器132aとの接続は、溶着に限定されず、密封された空気層132の形成が可能な手法を採ることができる。空気層132を設けたことで、液体収納部131に冷却されたスポンジ洗浄水を収納した場合でも、液体収納部131の外面、勿論、外側容器132aの内、外面にも、結露の発生を抑制することができる。よって、投光素子121及び受光素子122による透過光測定に支障が生じることは殆どない。
【0045】
ここで、液体収納部131の外面及び外側容器132aの内面に互いに直角な方向における空気層132の厚みは、本実施形態では一例として、3mmを超え5mm以下の寸法である。該寸法は、出願人の実験等から求めたものであり、該寸法によれば、液体収納部131に結露を発生させず、かつサンプリング容器130を必要以上に大型化しないという効果が得られる。
【0046】
結露防止構造は、上述の空気層132を有する構造に限定されず、例えば液体収納部131の壁厚を大きくする構造、等を採ることもできる。
【0047】
一方、液体収納部131に収納される被測定液体が結露を発生させない液温である場合には、サンプリング容器130は、結露防止構造を有しない構造であってもよい。
【0048】
さらにまたサンプリング容器130は、容器外面、詳しくは外側容器132aの外面132cに、容器側凹部135及び容器側位置決め部136を有する。
容器側凹部135は、外側容器132aの外面132cに対してわずかに凹ませた凹部であり、外側容器132aの深さ方向に沿って溝状で直線的に延在し、投光素子121及び受光素子122がそれぞれ対向するように、外側容器132aの外面132cにおける対向位置に計2つ設けている。このような容器側凹部135は、以下の理由から設けられる。即ち、外側容器132aの外面132cは、物との接触により傷付く可能性があり、該傷は、投光素子121及び受光素子122間の、投受光に影響を与える可能性がある。そこで、容器側凹部135を設け、物が直接に接触するのを抑制して、投受光への悪影響を避けるようにした。
【0049】
容器側位置決め部136は、装着部112に設けた装着部側位置決め部1127と係合する部分であり、図2Cに示すように、装着部112にサンプリング容器130を装着するときに、常に同位置かつ同配向にサンプリング容器130を配置させるための部分である。このような容器側位置決め部136は、本実施形態では、外側容器132aの外面132cに設けた、上述のフランジ133から外側容器132aの全深さに渡り直線的に延在する突部である。
【0050】
容器側位置決め部136と、装着部側位置決め部1127とを係合させて装着部112にサンプリング容器130を装着することで、容器側凹部135と、装着部112に設けた装着部側凹部1126とが互いに対向して位置すると共に、サンプリング容器130における常に同位置にて投受光が行われることになる。よって、サンプリング容器130における測定場所が変化することに起因した濁度測定結果のバラツキを抑えることが可能になる。
【0051】
容器側位置決め部136は、本実施形態では、凹形状の装着部側位置決め部1127に対して突部にて形成しているが、装着部側位置決め部1127と係合可能な相補的な形状にて構成可能である。
【0052】
図2Cに示すように、装着部112に対してサンプリング容器130が装着されたとき、サンプリング容器130のフランジ133は、測定器110の表面111に当接して装着部112における光路124に対して液体収納部131を配置し、かつ装着部112の容器挿入口112c(図1B)を覆う。よってフランジ133は、装着部112に対する防滴作用を行うこともできる。
【0053】
以上説明したように構成された、測定器110及びサンプリング容器130を有する洗浄度判定装置101の動作について、図1Dを参照して以下に説明する。ここでは、飲食店等に備わる液体供給システム70におけるビールディスペンサー50に対して行ったスポンジ洗浄にて採取したスポンジ洗浄水の場合を例に採り、説明を行う。また、当該洗浄度判定装置101は、上述したように例えばビールメーカーの営業者等の作業者が飲食店等を訪問する際に携帯可能なものである。
【0054】
まず、ステップ1、2(S1、S2)にて、洗浄度判定装置101のスイッチ部118における電源スイッチを押下し、洗浄度判定装置101を起動する。
次に、濁度測定、さらに洗浄度判定の準備作業として、ステップ3(S3)にて、スポンジ洗浄に使用する水道水(原水)にて校正作業を行う。即ち、まず作業者は、上記水道水をサンプリング容器130の液体収納部131に採取し、当該サンプリング容器130を、測定器110の装着部112に装填する。装填は、上述したように、サンプリング容器130における容器側位置決め部136と、装着部112における装着部側位置決め部1127とを係合させて行う。そして、作業者は、洗浄度判定装置101のスイッチ部118における校正ボタンを押下する。これにより制御部114にて、受光素子122の出力信号の大きさと濁度との関係情報(検量線)の校正が自動的に行われる。
【0055】
既に説明したように、基本的には濁度測定作業毎に校正作業を行うのが好ましいが、ステップ3をスキップして、次のステップ4(S4)へ進むこともできる。
【0056】
校正作業終了後、ステップ4(S4)にて、スポンジ洗浄水の測定作業を行う。
即ち、まず作業者は、下準備として、液体供給システム70における貯蔵容器10の出口から注出装置50の液体注出口54までの通液管路に対して、停留しているビールの排出、校正作業を行った水道水による通水洗浄、及び、エアーブローを順次行う。そして作業者は、供給管30内へスポンジを装填後、加圧源15にて既定圧力を印加して注出口54におけるレバー56を操作し、注出口54から排出されてくるスポンジ洗浄水、及びスポンジを、バスケット134を装着したサンプリング容器130に採取つまりサンプリングする。説明したように、既定量のスポンジ洗浄水が液体収納部131に貯留され、スポンジはバスケット134に受け取られる。
【0057】
次に、スポンジ洗浄水を採取したサンプリング容器130を、測定器110の装着部112に装填する。上述したように装填は、サンプリング容器130における容器側位置決め部136と、装着部112における装着部側位置決め部1127とを係合させて行う。そして、作業者は、洗浄度判定装置101のスイッチ部118における測定ボタンを押下する。これにより、制御部114は、ステップ3にて校正された検量線を用い、受光素子122の出力信号の大きさから当該スポンジ洗浄水の濁度を求め、かつ温度センサ115から得られた温度情報に応じて、上述したように測定結果に対して温度補正を行う。そして、補正後の測定値を表示部116cに表示する。
【0058】
さらにまた制御部114は、濁度測定前における校正動作、及び、環境温度の相違による校正作業を促す警告動作も行う。
【0059】
さらにまた制御部114は、求めた濁度値と、通液管路の洗浄作業の良否を判断するための既定の洗浄度判定用基準値とを比較し、洗浄作業の良否判断を行う。制御部114は、本実施形態では複数の洗浄度判定用基準値を格納しており、洗浄程度に応じて優良から不良まで一例として5段階で色別に洗浄作業良否表示部116aにLED表示する。
【0060】
また制御部114は、上述したスポンジ洗浄水(被測定液体)の濁度測定に関する情報、例えば濁度測定結果、洗浄度判定結果、校正の有無及び校正値、環境温度、測定日時、等の情報を記憶部114dに格納する。
以上にて、測定動作(ステップ4)は終了する。
【0061】
次のステップ5(S5)では、作業者が測定器110の電源スイッチをオフすることにより、あるいは既定時間経過後、自動的に、測定器110は動作を停止する。これにより、洗浄度判定装置101による濁度測定及び洗浄度判定動作は終了する。
【0062】
以上説明したように、本実施形態における洗浄度判定装置101によれば、透過光方式によって被測定液体の濁度を測定することから、濁度を定量的に判定することが可能である。さらにまた該洗浄度判定装置101は、上述のように、液体供給システム70におけるスポンジ洗浄水のような結露可能性のある被測定液体に対して、濁度測定結果をもとに液体供給システム70の洗浄動作の良否判断を行うことができる。
【0063】
また、濁度計として、下記のように構成することも可能である。即ち、濁度計は、
既定量の液体を収納する液体収納部を有するサンプリング容器と、対向配置した投光素子及び受光素子を有し上記サンプリング容器が着脱可能に装着される凹状の装着部、上記液体収納部の液体に対して上記投光素子及び上記受光素子による透過光測定を行い上記液体の濁度を求める制御部、並びに、濁度結果を表示する表示部を有する測定器と、を備え、上記サンプリング容器は、容器外面に対して凹んだ容器側凹部と、上記投光素子及び上記受光素子による透過光の通過光路に対応して上記容器側凹部を位置決めさせる容器側位置決め部とを有し、上記装着部は、上記投光素子及び上記受光素子を当該装着部の外側に装着可能な外壁であって上記投光素子及び上記受光素子間で光を通過させる2つの開口を有し遮光性部材で構成した外壁と、該外壁を覆い上記サンプリング容器と接し透光性部材で構成した内壁との二層壁で構成しており、上記内壁は、上記外壁における各開口に対応して設けられ当該内壁の周面に対して凹んだ装着部側凹部と、該装着部側凹部及び上記容器側凹部を対向させ、かつ上記容器側位置決め部と係合する装着部側位置決め部と有するように構成可能である。
【0064】
このような濁度計によっても、サンプリング容器と測定器とを備え、測定器において透過光方式によって液体の濁度を測定することから、濁度を定量的に判定することが可能であり、また簡易で安価な構成とすることができる。さらに、測定器における装着部は、遮光性部材で構成した外壁を有する二層壁で構成し、光を通過させる開口を有することによっても、簡易で安価な構成とすることが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、被測定液体における濁度を測定する洗浄度判定装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0066】
101…洗浄度判定装置、110…測定器、112…装着部、114…制御部、
116…表示部、121…投光素子、122…受光素子、130…サンプリング容器、
131…液体収納部、132…空気層、134…バスケット、
135…容器側凹部、136…容器側位置決め部、
1122…外壁、1123…開口、1123a…投光側開口、
1123b…受光側開口、1124…内壁、1126…装着部側凹部、
1127…装着部側位置決め部。
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図3