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特許7096583流体機器設置方法及びそれに用いられる流体機器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-28
(45)【発行日】2022-07-06
(54)【発明の名称】流体機器設置方法及びそれに用いられる流体機器
(51)【国際特許分類】
   F16L 55/00 20060101AFI20220629BHJP
   F16L 41/16 20060101ALI20220629BHJP
   F16K 11/22 20060101ALI20220629BHJP
   F16K 1/22 20060101ALI20220629BHJP
   F16K 27/00 20060101ALI20220629BHJP
【FI】
F16L55/00 C
F16L55/00 M
F16L41/16
F16K11/22 Z
F16K1/22 A
F16K27/00 C
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018084936
(22)【出願日】2018-04-26
(65)【公開番号】P2019190582
(43)【公開日】2019-10-31
【審査請求日】2021-02-25
(73)【特許権者】
【識別番号】396020361
【氏名又は名称】株式会社水道技術開発機構
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【弁理士】
【氏名又は名称】宮地 正浩
(72)【発明者】
【氏名】山本 大介
(72)【発明者】
【氏名】東 修平
【審査官】渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-278984(JP,A)
【文献】特開2003-250927(JP,A)
【文献】特開平01-105091(JP,A)
【文献】特開平10-103572(JP,A)
【文献】特開平11-304068(JP,A)
【文献】米国特許第06216737(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 55/00
F16L 41/16
F16K 11/22
F16K 1/22
F16K 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
既設管の切断作業領域を密封するハウジング内において、不断流状態で切断された既設管の両切断管部間に、前記両切断管部に対向配置可能な両第1接続部と、前記既設管の管軸芯方向に対して交差方向に開口する第2接続部と、前記両第1接続部及び前記第2接続部に対する流体の流れ方向を切り換える流路切換部と、を備えた流体機器を配置し、前記既設管の前記両切断管部と前記流体機器とを接続する流体機器設置方法であって、
前記流体機器は、前記両第1接続部及び前記第2接続部を形成してある弁機能の無い分岐接続管を備え、
前記流路切換部は、1バタフライ弁及び第2バタフライ弁を備え、
前記第1バタフライ弁は、前記分岐接続管の一方の前記第1接続部と、一方の前記切断管部に接続するための管接続筒部を備えた第1管接続部材との間において密封状態で連結され、
前記第2バタフライ弁は、前記分岐接続管の前記第2接続部と、分岐管に接続するための管接続筒部を備えた第2管接続部材との間において密封状態で連結され、
前記流体機器の配置時には、前記第1バタフライ弁は、それの弁体が前記第1管接続部材の前記管接続筒部の外部に突出しないで流体の流れを維持できる開き角度の開弁状態に、且つ、前記第2バタフライ弁の弁体は閉弁状態に設定され、
前記流体機器の前記第1管接続部材の前記管接続筒部は、前記既設管の一方の前記切断管部に接続し、前記流体機器の他方の前記第1接続部は、前記既設管の他方の前記切断管部に接続する流体機器設置方法。
【請求項2】
前記第1管接続部材は、前記分岐接続管の一方の前記第1接続部に設けられている第1連結フランジに管軸芯方向からボルト連結される第4連結フランジと、一方の前記切断管部に装着されている継ぎ輪の連結フランジに管軸芯方向からボルト連結される第5連結フランジと、前記第5連結フランジの外方側から管軸芯方向に一体的に突出形成された前記管接続筒部と、を備え、前記第1管接続部材の前記管接続筒部は、前記継ぎ輪の前記流体機器側への移動操作により、該継ぎ輪と管軸芯方向から密封状態で嵌合接続される請求項1記載の流体機器設置方法。
【請求項3】
前記分岐接続管の他方の前記第1接続部には、他方の前記切断管部に接続するための管接続筒部が形成され、この管接続筒部は、他方の前記切断管部に装着されている継ぎ輪の前記流体機器側への移動操作により、該継ぎ輪と管軸芯方向から密封状態で嵌合接続される請求項1又は2記載の流体機器設置方法。
【請求項4】
前記第1バタフライ弁及び前記第2バタフライ弁の各々は、両接続端部がフランジレス構造に構成さている請求項1~3のいずれか1項に記載の流体機器設置方法。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の流体機器設置方法に用いられる前記流体機器であって、前記両第1接続部及び前記第2接続部を形成してある弁機能の無い前記分岐接続管を備え、前記流路切換部は、第1バタフライ弁及び第2バタフライ弁を備え、
前記第1バタフライ弁は、前記分岐接続管の一方の前記第1接続部と、一方の前記切断管部に接続するための前記管接続筒部を備えた前記第1管接続部材との間において密封状態で連結され、
前記第2バタフライ弁は、前記分岐接続管の前記第2接続部と、前記分岐管に接続するための前記管接続筒部を備えた前記第2管接続部材との間において密封状態で連結され、前記第1バタフライ弁の弁体は、前記第1管接続部材の内部を開閉作動可能で、且つ、前記第1管接続部材の前記管接続筒部の外部に突出しないで流体の流れを維持できる開き角度の開弁状態に設定可能に構成されている流体機器。
【請求項6】
前記第1管接続部材は、前記分岐接続管の一方の前記第1接続部に設けられている第1連結フランジに管軸芯方向からボルト連結される第4連結フランジと、一方の前記切断管部に装着されている継ぎ輪の連結フランジに管軸芯方向からボルト連結される第5連結フランジと、前記第5連結フランジの外方側から管軸芯方向に一体的に突出形成された前記管接続筒部と、を備えている請求項5記載の流体機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既設管の分岐形成部位に、不断流状態で切断される既設管の両切断管部に接続可能な両第1接続部と、前記既設管の管軸芯方向に対して交差方向に開口する第2接続部と、前記両第1接続部及び前記第2接続部に対する流体の流れ方向を切り換える流路切換部と、を備えた流体機器を設置して接続する流体機器設置方法及びそれに用いられる流体機器に関する。
【背景技術】
【0002】
上述の流体機器設置方法として、特許文献1に示す不断水工事用切換弁の取付方法が存在する。この取付方法では、流体機器が切換弁から構成されている。切換弁は、円筒状の弁室を形成する弁箱部と、弁箱部の管軸芯方向で相対向する部位に連通状態で連設され、且つ、先端側に第1接続部を形成してある両第1接続管部と、弁箱部の分岐相当部位に連通状態で連設され、且つ、先端側に第2接続部を形成してある第2接続管部と、を備えた略T字状の分岐接続管を有する。
【0003】
切換弁の流路切換部は、分岐接続管の弁箱部内に、両第1接続管部の管軸芯と第2接続管部の分岐軸芯との交差箇所を回動軸として流体管の半径よりも大きな半径で回動する円弧状の弁体を配置し、弁箱部の内面に弁座を形成して構成されている。弁体は、一方の第1接続管部の弁室側の開口を閉止する第1閉止位置と、他方の第1接続管部の弁室側の開口を閉止する第2閉止位置と、第2接続管部の弁室側の開口を閉止する第3閉止位置と、に択一的に回動切換自在に構成されている。弁体における回動半径方向外方側の閉止面には、第1閉止位置~第3閉止位置において、弁箱部の弁座と接触して密封するパッキンが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平8-193686号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の従来方法では、弁箱部に両第1接続管部及び第2接続管部が連接されている大きな分岐接続管の弁室内に弁座を形成するため、分岐接続管の製造コストが高騰化し易い。しかも、閉止位置にある弁体の閉止面に流体圧が掛かる逆圧状態になると、弁体には、弁箱部の弁座から離間する方向の流体圧が作用する。そのため、弁箱部の弁座に接触している弁体のパッキンの面圧が低下し、弁体の止水機能(密封機能)が低下する不都合がある。
【0006】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、分岐接続管の製造コストの低廉化及び施工の容易化を図り、且つ、両第1接続部及び第2接続部に対する流体の流れ方向を確実に切り換えながら、逆圧状態を考慮することなく全ての流れ方向で確実に密封することのできる流体機器設置方法及びそれに用いられる有用な流体機器を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1特徴構成は、既設管の切断作業領域を密封するハウジング内において、不断流状態で切断された既設管の両切断管部間に、前記両切断管部に対向配置可能な両第1接続部と、前記既設管の管軸芯方向に対して交差方向に開口する第2接続部と、前記両第1接続部及び前記第2接続部に対する流体の流れ方向を切り換える流路切換部と、を備えた流体機器を配置し、前記既設管の前記両切断管部と前記流体機器とを接続する流体機器設置方法であって、
前記流体機器は、前記両第1接続部及び前記第2接続部を形成してある分岐接続管を備え、
前記流路切換部は、前記分岐接続管の一方の前記第1接続部に連結された第1バタフライ弁と、前記分岐接続管の前記第2接続部に連結された第2バタフライ弁と、を備え、
前記流体機器の配置時には、前記第1バタフライ弁は開弁状態に、且つ、前記第2バタフライ弁は閉弁状態に設定され、
前記流体機器の前記第1バタフライ弁は、前記既設管の一方の前記切断管部に接続し、前記流体機器の他方の前記第1接続部は、前記既設管の他方の前記切断管部に接続する点にある。
【0008】
上記構成によれば、流体機器の分岐接続管の一方の第1接続部に連結した第1バタフライ弁の開閉操作と、分岐接続管の第2接続部に連結した第2バタフライ弁の開閉操作とにより、例えば、他方の第1接続部から一方の前記第1接続部に流体を流す状態と、他方の第1接続部から第2接続部に流体を流す状態と、他方の第1接続部から一方の前記第1接続部及び第2接続部に流体を流す状態と、に切り換えることができる。このとき、第1バタフライ弁及び第2バタフライ弁は、逆圧状態に関係なく密封状態を確実に維持することができる。
そして、既設管の両切断管部間に配置される流体機器の分岐接続管には、第1バタフライ弁と第2バタフライ弁が予め連結されているので、分岐接続管と第1バタフライ弁と第2バタフライ弁が既設管及び分岐管に分散状態で配設される場合に比して、既設管に対する1回の工事で施工することができる。
しかも、流体機器の配置時には、第1バタフライ弁は開弁状態に、且つ、第2バタフライ弁は閉弁状態にあるので、流体の流れを維持したまま既設管の両切断管部間への流体機器の配置を的確に行うことができる。また、第2バタフライ弁を利用して分岐接続管の第2接続部を閉止することができるので、第2接続部に閉止蓋を取付ける必要がない。
さらに、分岐接続管には弁機能がないので、分岐接続管の構造の簡素化によって製造コストの低廉化を図ることができる。
したがって、分岐接続管の製造コストの低廉化及び施工の容易化を図り、且つ、両第1接続部及び第2接続部に対する流体の流れ方向を確実に切り換えながら、逆圧状態を考慮することなく全ての流れ方向で確実に密封することができる。
【0009】
本発明の第2特徴構成は、前記第1バタフライ弁には、第1管接続部材が取付けられ、この第1管接続部材は、一方の前記切断管部に装着されている継ぎ輪の前記流体機器側への移動操作により、該継ぎ輪と管軸芯方向から密封状態で嵌合接続される点にある。
【0010】
上記構成によれば、既設管の両切断管部間に流体機器を配置したとき、第1バタフライ弁に取付けられている第1管接続部材に対して、一方の切断管部に装着されている継ぎ輪を流体機器側に移動操作することにより、継ぎ輪と第1管接続部材とが管軸芯方向から密封状態で嵌合接続される。したがって、第1バタフライ弁に第1管接続部材を予め取付けることにより、一方の切断管部に装着されている継ぎ輪を用いて能率良く接続することができる。
【0011】
本発明の第3特徴構成は、前記分岐接続管の他方の前記第1接続部には、管接続筒部が形成され、この管接続筒部は、他方の前記切断管部に装着されている継ぎ輪の前記流体機器側への移動操作により、該継ぎ輪と管軸芯方向から密封状態で嵌合接続される点にある。
【0012】
上記構成によれば、既設管の両切断管部間に流体機器を配置したとき、分岐接続管の他方の第1接続部に形成されている管接続筒部に対して、他方の切断管部に装着されている継ぎ輪を流体機器側に移動操作することにより、継ぎ輪と他方の第1接続部の管接続筒部とが管軸芯方向から密封状態で嵌合接続される。したがって、他方の第1接続部に管接続筒部を形成することにより、他方の切断管部に装着されている継ぎ輪を用いて能率良く接続することができる。
【0013】
本発明の第4特徴構成は、前記第1バタフライ弁は、両接続端部がフランジレス構造に構成され、前記流体機器の配置時には、前記分岐接続管の一方の前記第1接続部に設けられている第1連結フランジと前記第1管接続部材との間に、前記第1バタフライ弁が密封状態で挟持固定されている点にある。
【0014】
上記構成によれば、フランジレス構造の第1バタフライ弁を用いることにより、流体機器の管軸芯方向の全長を短くすることができ、既存のハウジングを使用することができる。しかも、第1バタフライ弁を一方の切断管部に継ぎ輪で接続するための第1管接続部材を利用して、この第1管接続部材と一方の第1接続部の第1連結フランジとの間で第1バタフライ弁を密封状態で挟持固定することができる。これにより、第1バタフライ弁と第1管接続部材の取付け構造の簡素化を図ることができる。
【0015】
本発明の第5特徴構成は、上述の第1特徴構成~第4特徴構成のいずれか1つに記載の流体機器設置方法に用いられる前記流体機器であって、前記両第1接続部及び前記第2接続部を形成してある前記分岐接続管を備え、前記分岐接続管の一方の前記第1接続部には、前記流路切換部の前記第1バタフライ弁が連結され、前記分岐接続管の前記第2接続部には、前記流路切換部の前記第2バタフライ弁が連結されている点にある。
【0016】
上記構成によれば、流体機器の分岐接続管の一方の第1接続部に連結した第1バタフライ弁の開閉操作と、分岐接続管の第2接続部に連結した第2バタフライ弁の開閉操作とにより、例えば、他方の第1接続部から一方の前記第1接続部に流体を流す状態と、他方の第1接続部から第2接続部に流体を流す状態と、他方の第1接続部から一方の前記第1接続部及び第2接続部に流体を流す状態と、に切り換えることができる。このとき、第1バタフライ弁及び第2バタフライ弁は、逆圧状態に関係なく全閉状態を確実に維持することができる。
そして、既設管の両切断管部間に配置される流体機器の分岐接続管には、第1バタフライ弁と第2バタフライ弁が予め連結されているので、分岐接続管と第1バタフライ弁と第2バタフライ弁が既設管及び分岐管に分散状態で配設される場合に比して、既設管に対する1回の工事で施工することができる。
さらに、分岐接続管には弁機能がないので、分岐接続管の構造の簡素化によって製造コストの低廉化を図ることができる。
したがって、分岐接続管の製造コストの低廉化及び施工の容易化を図り、且つ、両第1接続部及び第2接続部に対する流体の流れ方向を確実に切り換えながら、逆圧状態を考慮することなく全ての流れ方向で確実に止水することができる。
【0017】
本発明の第6特徴構成は、前記第1バタフライ弁及び前記第2バタフライ弁の各々は、両接続端部がフランジレス構造に構成され、前記第1バタフライ弁は、前記分岐接続管の一方の前記第1接続部に設けられている第1連結フランジと第1管接続部材との間に密封状態で挟持固定され、前記第2バタフライ弁は、前記分岐接続管の前記第2接続部に設けられている第2連結フランジと分岐管用の第2管接続部材との間に密封状態で挟持固定されている点にある。
【0018】
上記構成によれば、フランジレス構造の第1バタフライ弁を用いることにより、流体機器の管軸芯方向の全長を短くすることができる。また、フランジレス構造の第2バタフライ弁を用いることにより、流体機器の分岐軸芯方向の全長を短くすることができる。
しかも、第1バタフライ弁を一方の切断管部に接続するための第1管接続部材を利用して、この第1管接続部材と一方の第1接続部の第1連結フランジとの間で第1バタフライ弁を密封状態で挟持固定することができる。これにより、第1バタフライ弁と第1管接続部材の取付け構造の簡素化を図ることができる。
さらに、第2バタフライ弁を分岐管側に接続するための第2管接続部材を利用して、この第2管接続部材と分岐接続管の第2接続部に設けられている第2連結フランジとの間で第2バタフライ弁を密封状態で挟持固定することができる。これにより、第2バタフライ弁と第2管接続部材の取付け構造の簡素化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の流体機器設置方法に用いられる流体機器の平面図
図2】流体機器の分岐軸芯方向視での側面図
図3】流体機器の管軸芯方向視での正面図
図4図1におけるIV-IV線断面図
図5図1におけるV-V線断面図
図6】流体機器の設置作業時における管軸芯方向視での断面図
図7】流体機器の設置作業時における平面視での断面図
図8】継ぎ輪による接続時の要部の拡大断面図
図9】流体機器の施工完了時の平面図
図10】流体機器の施工完了時における分岐軸芯方向視での側面図
図11図9におけるXI-XI線断面図
図12】流体機器の通水切換状態の説明図
図13】流体機器の別の実施形態を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
〔第1実施形態〕
図1図5は、本発明の流体機器設置方法に用いられる流体機器Aを示す。流体機器設置方法の概要は、図6図7に示すように、既設管の一例である既設水道管1の切断作業領域を密封するハウジング(タンク)H内において、不断水状態(不断流状態)で切断された既設水道管1の残置側の両切断管部(切断残置管部)1A,1B間に、昇降装置Bに吊下げ支持されている流体機器Aを配置する。配置された流体機器Aは、図8図11に示すように、両切断管部1A,1Bに継ぎ輪Cで水密状態に接続される。その後、図9図11に示すように、流体機器Aと両継ぎ輪Cは第3固定手段10で固定連結され、各継ぎ輪Cと切断管部1A,1Bとは抜止め固定手段15で抜止め固定されている。
本実施形態の既設管(流体管)は、流体の一例である上水を輸送するための既設水道管1を構成する鋼管であるが、その他の鋳鉄管や樹脂管等を使用することができる。また、流体としても、上水以外に工業用水やガス等を挙げることができる。
【0021】
次に、流体機器Aについて詳述する。
流体機器Aは、図1図5に示すように、略T字状の鉄鋼製の分岐接続管2を備える。この分岐接続管2は、両切断管部1A,1Bに同芯状態で対向配置可能な両第1接続部21,22を両端側に形成してある本管部23と、既設水道管1の管軸芯X方向に対して直交する分岐軸芯Y方向(交差方向の一例)に開口する第2接続部24を先端側に形成してある分岐管部25と、を備える。本管部23と分岐管部25は、既設水道管1と同一の外径に形成されている。分岐管部25は、本管部23の管軸芯X方向の中央部に一体形成されている。
【0022】
本管部23の一方の第1接続部21の外周面の端部には、図4に示すように、多数のボルト挿通孔26aが所定ピッチで円周方向に沿って形成されている円環状の第1連結フランジ26が固着されている。この第1連結フランジ26のボルト挿通孔26aは、図1図2図4に示すように、後述の第1バタフライ弁V1の弁箱31を第1管接続部材3との間で挾持固定するときに用いられる。
本管部23における他方の第1接続部22の外周面には、図4図7に示すように、他方の切断管部1Bに装着されている継ぎ輪Cの流体機器A側への移動操作により、該継ぎ輪Cと管軸芯X方向から密封状態で嵌合接続される第2管接続筒部27が形成されている。他方の第1接続部22の外周面における第2管接続筒部27の基端位置には、図3図4に示すように、多数のボルト挿通孔28aが所定ピッチで円周方向に沿って形成されている円環状の第2連結フランジ28が固着されている。この第2連結フランジ28のボルト挿通孔28aは、図8図11に示すように、後述の継ぎ輪Cの第7連結フランジ54を固定連結するときに用いられる。
【0023】
分岐管部25における第2接続部24の外周面の端部には、図1図3図5に示すように、多数のボルト挿通孔29aが所定ピッチで円周方向に沿って形成されている円環状の第3連結フランジ29が固着されている。この第3連結フランジ29のボルト挿通孔29aは、図1図3図5に示すように、後述の第2バタフライ弁V2の弁箱31を第2管接続部材6の第6連結フランジ6Aとの間で挾持固定するときに用いられる。
【0024】
さらに、流体機器Aは、図1図5に示すように、分岐接続管2の両第1接続部21,22及び第2接続部24に対する流体の流れ方向を切り換える流路切換部Vを備える。この流路切換部Vは、分岐接続管2の一方の第1接続部21に連結された第1バタフライ弁V1と、分岐接続管2の第2接続部24に連結された第2バタフライ弁V2と、を備えている。
第1バタフライ弁V1と第2バタフライ弁V2の各々は、図1図3に示すように、両接続端部31a,31bがフランジレス構造に構成された弁箱31内に、円板状の弁体32を配置して構成されている。弁体32の上下の弁軸33は、弁箱31の上下の軸受け部34に縦軸芯周りで回転自在に支承されている。弁体32の上側の弁軸33は、弁箱31の上部に設けた歯車機構部35に連動され、歯車機構部35には回転操作軸36が突設されている。
【0025】
第1バタフライ弁V1の弁箱31の両接続端部31a,31bのうち、一方の切断管部1Aに対向配置可能な接続端部31bには、図8図11に示すように、一方の切断管部1Aに摺動自在に装着されている継ぎ輪Cの流体機器A側への移動操作により、該継ぎ輪Cと管軸芯X方向から密封状態で嵌合接続される円環状の第1管接続部材3が取付けられている。この第1管接続部材3は、図1図2図4に示すように、分岐接続管2の第1連結フランジ26のボルト挿通孔26aに管軸芯X方向で対応する部位にボルト挿通孔3aが形成されている第4連結フランジ3Aと、図8図11に示す継ぎ輪Cの第7連結フランジ54のボルト挿通孔54aに管軸芯X方向で対応する部位にボルト挿通孔3bが形成されている第5連結フランジ3Bと、を備える。第1管接続部材3における第5連結フランジ3Bの外方側には、継ぎ輪Cと管軸芯X方向から密封状態で嵌合接続される第1管接続筒部3Cが一体的に突出形成されている。
【0026】
第1バタフライ弁V1の弁箱31は、図1図2図4に示すように、分岐接続管2の第1連結フランジ26と第1管接続部材3の第4連結フランジ3Aとの間において第1固定手段4で挾持固定されている。第1固定手段4は、分岐接続管2における第1連結フランジ26のボルト挿通孔26aと第1管接続部材3における第4連結フランジ3Aのボルト挿通孔3aとに渡って挿通される第1ボルト4Aと、第1ボルト4Aの両端側の突出ネジ軸部にそれぞれ螺合した第1ナット4Bと、を備える。
また、図1図2図4に示すように、第1バタフライ弁V1の弁箱31における一方の接続端部31aと分岐接続管2の第1連結フランジ26との接合面間、及び、第1バタフライ弁V1の弁箱31における他方の接続端部31bと第1管接続部材3の第4連結フランジ3Aとの接合面間には、水密状態に密封するガスケット5が介装されている。
【0027】
図1図3図5に示すように、第2バタフライ弁V2の弁箱31の両接続端部31a,31bのうち、分岐管(図示省略)に対向配置可能な接続端部31bには、分岐管側に接続するための円環状の第2管接続部材6が設けられている。この第2管接続部材6は、分岐管部25の第3連結フランジ29のボルト挿通孔29aに分岐軸芯Y方向で対応する部位にボルト挿通孔6aが形成されている円環状の第6連結フランジ6Aを備える。この第6連結フランジ6Aの外方側には、分岐管側と分岐軸芯Y方向から密封状態で接続される第3管接続筒部6Bが一体的に突出形成されている。
また、第2管接続部材6の第6連結フランジ6Aには、図2に示すように、流体機器Aの接続作業後において、分岐管側の短管80(図9図10参照)の第9連結フランジ80Aをボルト81・ナット82で固定連結するための複数のネジ孔6bが形成されている。このネジ孔6bは、ボルト挿通孔6a(図5参照)に対して半ピッチずつ位置齟齬する状態で円周方向に配置されている。
【0028】
第2バタフライ弁V2の弁箱31は、図1図3図5に示すように、分岐管部25の第3連結フランジ29と第2管接続部材6の第6連結フランジ6Aとの間において第2固定手段7で挾持固定されている。第2固定手段7は、分岐管部25における第3連結フランジ29のボルト挿通孔29aと第2管接続部材6における第6連結フランジ6Aのボルト挿通孔6aとに渡って挿通される第2ボルト7Aと、第2ボルト7Aの両端側の突出ネジ軸部にそれぞれ螺合した第2ナット7Bと、を備える。
また、図1図3図5に示すように、第2バタフライ弁V2の弁箱31における一方の接続端部31aと分岐管部25の第3連結フランジ29との接合面間、及び、第2バタフライ弁V2の弁箱31における他方の接続端部31bと第2管接続部材6の第6連結フランジ6Aとの接合面間には、水密状態に密封するガスケット5が介装されている。
【0029】
分岐接続管2の本管部23の上面には、図1図2に示すように、流体機器Aの管軸芯X方向での重心相当位置において上方に突出する板状の被吊下げ部8が設けられている。この被吊下げ部8は、昇降装置Bの昇降軸41の下端部に吊下げ連結部42を介して取付けられる。
【0030】
各継ぎ輪Cは、図7図8図11に示すように、既設水道管1に対して管径方向の両側方から外嵌装着自在な管周方向で二分割された半円筒状の分割継ぎケース51から構成されている。両分割継ぎケース51の内周面における管軸芯X方向の両側部位に環状のシール取付け溝51a,51bが形成されている。そのうち、流体機器Aが存在する一端側のシール取付け溝51aには、第1管接続部材3の第1管接続筒部3Cの外周面又は分岐接続管2の第2管接続筒部27の外周面との間を密封する第1パッキン52が装着されている。他端側のシール取付け溝51bには、一方の切断管部1Aの外周面又は他方の切断管部1Bの外周面との間を密封する第2パッキン53が装着されている。
【0031】
また、両分割継ぎケース51の外周面における管軸芯X方向の一端部には、図8図11に示すように、第1管接続部材3における第5連結フランジ3Bのボルト挿通孔3b(図4図8参照)、又は、分岐接続管2における第2連結フランジ28のボルト挿通孔28a(図4参照)と管軸芯X方向で対応する部位にボルト挿通孔54aを有する第7連結フランジ54が一体形成されている。両分割継ぎケース51の外周面における管軸芯X方向の他端部には、多数のボルト挿通孔55aが所定ピッチで円周方向に沿って形成されている円環状の第8連結フランジ55が一体形成されている。
両分割継ぎケース51の内周面における管軸芯X方向の他端側には、図8に示すように、切断管部1A,1Bの外周面との間に第3パッキン56を装着するための外方広がりのテーパー内周面51cが形成されている。両分割継ぎケース51の第8連結フランジ55には、両分割継ぎケース51のテーパー内周面51cと一方の切断管部1Aの外周面又は他方の切断管部1Bの外周面との間に装着した第3パッキン56を管軸芯X方向から水密状態に圧縮する分割構造の押輪57が連結される。
また、両分割継ぎケース51には、図8に示すように、両パッキン52,53で密封された両分割継ぎケース51の内周面と既設水道管1の外周面との間の環状空間50に圧力水を供給する為の水密試験用の注水口58が形成され、この注水口58には、密封用のプラグ59が螺合装着されている。
【0032】
次に、本発明の流体機器設置方法で用いられるハウジングHについて詳述する。
図6に示すように、掘削して構築された作業ピット内に位置する既設水道管1のうち、切断機及び予め水圧試験済みの両継ぎ輪Cを含む作業対象領域の下半側を覆う下部カバー71の上側連結フランジ71Aと、作業対象領域の上半側を覆う下側中間カバー72の下側連結フランジ72Aとが水密状態で固定連結されている。この下側中間カバー72の上側フランジ部72Bには、作業用開閉弁V3の弁ケース73の下側連結フランジ73Aが水密状態で固定連結されている。作業用開閉弁V3の弁ケース73の上側連結フランジ73Bには、切断機と流体機器Aを択一的に収納可能な上側作業空間S2を形成する上側中間カバー74の下側連結フランジ74Aが水密状態で固定連結されている。この上側中間カバー74の上側連結フランジ74Bには、当該上側中間カバー74の上側開口を閉止する上部カバー75の連結フランジ75Aが水密状態で脱着自在に固定連結されている。
【0033】
また、図6図7に示すように、ハウジングHの内面のうち、流体機器Aの管軸芯X方向での重心相当位置において分岐軸芯Y方向で相対向する部位には、上下方向に沿う昇降ガイドレール76が設けられている。そのため、ハウジングHの上側作業空間S2内に搬入される流体機器Aの第2管接続部材6の第6連結フランジ6Aには、これに対面する一方の昇降ガイドレール76に移動自在に係合する第1昇降ガイド部43が設けられている。第2管接続部材6の存在側とは反対に位置する分岐接続管2の取付け座23Aには、これに対面する他方の昇降ガイドレール76に移動自在に係合する第2昇降ガイド部44が設けられている。
【0034】
さらに、ハウジングHの上部カバー75には、図6に示すように、流体機器Aの重心位置と昇降装置Bの昇降軸41の昇降中心位置とが合致又は略合致するように、ハウジングHに対する昇降軸41の水平方向での取付け位置を調節する取付け位置変更手段45が設けられている。取付け位置変更手段45は、既設水道管1の管軸芯Xを通る鉛直線上から流体機器A等の吊下げ対象機材の重心位置変動範囲(吊下げ位置調節操作範囲)までの可動領域に亘って昇降軸41の水平移動を許容する。
【0035】
次に、上述の流体機器Aを用いた流体機器設置方法について説明する。
[前作業工程]
図6図7に示す流体機器設置方法の前作業工程として、管切断作業工程(図示省略)が実行されている。この管切断作業工程では、ハウジングH内の既設水道管1に取付けた切断機(図示省略)により、不断水状態のまま既設水道管1の切断除去予定管部を輪切り状に切断する。切断機は、昇降装置Bの昇降軸41の下端部に予め連結されているので、管切断後において、昇降軸41をクレーン等の吊り上げ手段で吊り上げることにより、切断除去管部を抱持した切断機は、ハウジングH内の下側作業空間S1から上側作業空間S2に引き上げられ、最終的にはハウジングHの外部に吊下げ搬送して撤去される。
【0036】
[機器搬入工程]
切断機の撤去後に、本発明の流体機器設置方法の機器搬入工程(図示省略)が実行される。この機器搬入工程では、ハウジングHの上側中間カバー74が上方に開口し、作業用開閉弁V3は閉弁状態にある。昇降装置Bの昇降軸41の下端部には流体機器Aが連結され、昇降軸41には、上側中間カバー74の上側開口を閉止する上部カバー75が取付けられている。
そして、流体機器A及び上部カバー75を組付けてある昇降軸41をクレーン等の吊り上げ手段で吊下げ搬送し、流体機器Aを上側中間カバー74の上側開口から上側作業空間S2内に搬入する。搬入された流体機器Aの第1昇降ガイド部43及び第2昇降ガイド部44は、ハウジングHの内面のうち、分岐軸芯Y方向で相対向する部位に設けられている一対の昇降ガイドレール76に移動自在に係合される。その後、上部カバー75の連結フランジ75Aを、上部カバー75の連結フランジ75Aに水密状態で固定連結する。
【0037】
この機器搬入工程時には、図7に示すように、流体機器Aの第1バタフライ弁V1の弁体32は開弁状態に設定され、第1バタフライ弁V1の弁体32は閉弁状態に設定されている。第1バタフライ弁V1の弁体32の開き角度は、弁体32の一部が第1バタフライ弁V1側の第1管接続部材3の第1管接続筒部3Cから外部に突出しない開き角度に設定されている。
【0038】
また、図1図5に示すように、第1バタフライ弁V1の弁箱31と第2バタフライ弁V2の弁箱31の各々は、両接続端部31a,31bがフランジレス構造に構成されている。そのため、第1バタフライ弁V1の弁箱31は、図1図2に示すように、分岐接続管2の第1連結フランジ26と第1管接続部材3の第4連結フランジ3Aとの間で水密状態に挾持固定されている。また、第2バタフライ弁V2の弁箱31は、図1図3に示すように、分岐管部25の第3連結フランジ29と第2管接続部材6の第6連結フランジ6Aとの間で水密状態に挾持固定されている。
【0039】
上述のように、フランジレス構造の第1バタフライ弁V1を用いることにより、図1に示すように、流体機器Aの管軸芯X方向の全長を短くすることができる。また、フランジレス構造の第2バタフライ弁V2を用いることにより、流体機器Aの分岐軸芯Y方向の全長を短くすることができる。
しかも、図7に示すように、第1バタフライ弁V1を一方の切断管部1Aに接続するための第1管接続部材3を利用して、この第1管接続部材3と一方の第1接続部21の第1連結フランジ26との間で第1バタフライ弁V1を密封状態で挟持固定することができる。これにより、第1バタフライ弁V1と第1管接続部材3の取付け構造の簡素化を図ることができる。
さらに、図1図3に示すように、第2バタフライ弁V2を分岐管(図示省略)側に接続するための第2管接続部材6を利用して、この第2管接続部材6と分岐接続管2の第2接続部24に設けられている第2連結フランジ28との間で第2バタフライ弁V2を密封状態で挟持固定することができる。これにより、第2バタフライ弁V2と第2管接続部材6の取付け構造の簡素化を図ることができる。
【0040】
[機器設置工程]
図6に示すように、作業用開閉弁V3を開弁操作したのち、昇降装置Bの昇降軸41を下降させ、流体機器Aを既設水道管1の両切断管部1A,1B間に配置する。この状態では、流体機器Aの分岐接続管2の下端部に設けた脚部46がハウジングHの下部カバー71の底面に設けた受け部47に載置支持される。これにより、流体機器Aの第1バタフライ弁V1側の第1管接続部材3の第1管接続筒部3Cと一方の切断管部1Aとが同芯状態で対向する。同時に、流体機器Aの分岐接続管2における他方の第1接続部22に形成されている第2管接続筒部27と他方の切断管部1Aとが同芯状態で対向する。
【0041】
そして、図7図8に示すように、既設水道管1の両切断管部1A,1B間に配置される流体機器Aの分岐接続管2には、第1バタフライ弁V1と第2バタフライ弁V2が予め連結されているので、分岐接続管2と第1バタフライ弁V1と第2バタフライ弁V2が既設水道管1及び流体機器Aに接続される分岐管(図示省略)に分散状態で配設される場合に比して、既設水道管1に対する1回の工事で施工することができる。
しかも、図7に示すように、流体機器Aの配置時には、第1バタフライ弁V1は開弁状態に、且つ、第2バタフライ弁V2は閉弁状態に設定してあるので、上水の流れを維持したまま既設水道管1の両切断管部1A,1B間への流体機器Aの配置を的確に行うことができる。第2バタフライ弁V2を利用して分岐接続管2の第2接続部24を閉止することができるので、第2接続部24に閉止蓋を取付ける必要がない。
さらに、分岐接続管2には弁機能がないので、分岐接続管2の構造の簡素化によって製造コストの低廉化を図ることができる。
【0042】
[機器接続工程]
図7に示すように、両切断管部1A,1Bに装着されている継ぎ輪Cの各々は、前作業工程のハウジングHの組付け時に、継ぎ輪CをハウジングHの外部から接続位置に摺動操作する摺動操作具77に連結されている。この機器接続工程では、ハウジングHに取付けられている各摺動操作具77を押し込み操作する。これにより、一方の切断管部1Aに装着されている継ぎ輪Cは、流体機器Aの第1バタフライ弁V1側の第1管接続部材3の第1管接続筒部3Cに管軸芯X方向から嵌合接続される。他方の切断管部1Aに装着されている継ぎ輪Cは、流体機器Aの分岐接続管2における他方の第1接続部22に形成されている第2管接続筒部27に管軸芯X方向から嵌合接続される。
【0043】
図8図11に示すように、両継ぎ輪Cが所定の接続位置に嵌合接続された状態では、一方の継ぎ輪Cの第1パッキン52は、第1管接続部材3の第1管接続筒部3Cの外周面に接触する。一方の継ぎ輪Cの第2パッキン53は、一方の切断管部1Aの外周面に接触する。これにより、第1バタフライ弁V1側の第1管接続部材3と一方の切断管部1Aとの間が水密状態に密封される。
他方の継ぎ輪Cの第1パッキン52は、分岐接続管2の第2管接続筒部27の外周面に接触する。他方の継ぎ輪Cの第2パッキン53は、他方の切断管部1Bの外周面に接触する。これにより、分岐接続管2の第2管接続筒部27と他方の切断管部1Bとの間が水密状態に密封される。
【0044】
[機器固定工程]
図8図11に示すように、第1バタフライ弁V1側の第1管接続部材3の第5連結フランジ3Bと継ぎ輪Cの一端側の第7連結フランジ54とを、第3固定手段10を構成する複数本の第3ボルト10A・第3ナット10Bにより締結固定する。
また、図8図11に示すように、各継ぎ輪Cのテーパー内周面51cと切断管部1Aの外周面との間に第3パッキン56を装着し、各継ぎ輪Cの第8連結フランジ55のボルト挿通孔55aと押輪57のボルト挿通孔57aとにわたってT字状の第4ボルト11を挿通し、押輪57の背面に接触する状態で第4ボルト11に螺合した第4ナット12の締め込みにより、押輪57で第3パッキン56を水密状態に圧縮する。
図8図11に示すように、複数の第4ボルト11の先端部側が挿通されるボルト挿通孔13aを備えた分割構造の円環状の抜止めリング13を、各切断管部1A,1Bの外周面に溶接で固着する。この抜止めリング13のボルト挿通孔13aから突出する第4ボルト11の先端部に第5ナット14を螺合固定し、各継ぎ輪Cを各切断管部1A,1Bに抜止め固定されている。
この抜止めリング13と第4ボルト11と第5ナット14とをもって、両切断管部1A,1Bと流体機器Aとの相対離脱移動を阻止する抜止め固定手段15が構成されている。
【0045】
[短管連結工程]
図9図10に示すように、両切断管部1A,1Bに対する流体機器Aの接続後において、第2バタフライ弁V2に取付けられている第2管接続部材6の第6連結フランジ6Aの各ネジ孔6bに、ボルト81を螺合固定する。螺合固定されたボルト81に、分岐管側の短管80の第9連結フランジ80Aに形成されているボルト挿通孔(図示省略)を嵌め込み、ボルト81の突出端部に螺合したナット82の締め付け操作により、短管80を第2バタフライ弁V2側の第6連結フランジ6Aに水密状態で固定連結する。
【0046】
次に、上述の流体機器設置方法で接続された流体機器Aの通水切換状態の一例を、図12に基づいて説明する。
図12の(a)は、第1バタフライ弁V1の弁体32を全開操作し、第2バタフライ弁V2の弁体32を全閉操作した本管側通水状態を示す。この本管側通水状態では、矢印の水の流れに示すように、他方の切断管部1Bから流体機器Aの本管部23を経由して一方の切断管部1Aに上水が流れる。
図12の(b)は、第1バタフライ弁V1の弁体32を全閉操作し、第2バタフライ弁V2の弁体32を全開操作した分岐側通水状態を示す。この分岐側通水状態では、矢印の水の流れに示すように、他方の切断管部1Bから流体機器Aの分岐管部25を経由して分岐管側の短管80に上水が流れる。
図12の(c)は、第1バタフライ弁V1の弁体32を全開操作し、第2バタフライ弁V2の弁体32を全開操作した三方向通水状態を示す。この三方向通水状態では、矢印の水の流れに示すように、他方の切断管部1Bから流体機器Aの本管部23を経由して一方の切断管部1Aに上水が流れると同時に、他方の切断管部1Bから流体機器Aの分岐管部25を経由して分岐管側の短管80に上水が流れる。
【0047】
〔第2実施形態〕
図13は、第1バタフライ弁V1の弁箱31の両接続端部31a,31bのうち、一方の切断管部1Aに対向配置可能な接続端部31bに取付けられる第1管接続部材3の別実施形態を示す。この別実施形態の第1管接続部材3は、分岐接続管2の第1連結フランジ26のボルト挿通孔26aに管軸芯X方向で対応する部位にボルト挿通孔3dが形成されている第10連結フランジ3Dと、一方の切断管部1Aに装着されている継ぎ輪Cと管軸芯X方向から密封状態で嵌合接続される第1管接続筒部3Eと、を一体的に備える。
第10連結フランジ3Dには、継ぎ輪Cの第7連結フランジ54とボルト・ナットで固定連結するためのネジ孔(図示省略)が形成されている。このネジ孔は、ボルト挿通孔3dに対して半ピッチずつ位置齟齬する状態で円周方向に配置されている。
【0048】
第1バタフライ弁V1の弁箱31は、分岐接続管2の第1連結フランジ26と第1管接続部材3の第10連結フランジ3Dとの間において第1固定手段4で挾持固定されている。第1固定手段4は、分岐接続管2における第1連結フランジ26のボルト挿通孔26aと第1管接続部材3における第10連結フランジ3Dのボルト挿通孔3dとに渡って挿通される第1ボルト4Aと、第1ボルト4Aの両端側の突出ネジ軸部にそれぞれ螺合した第1ナット4Bと、を備える。
第1バタフライ弁V1の弁箱31における一方の接続端部31aと分岐接続管2の第1連結フランジ26との接合面間、及び、第1バタフライ弁V1の弁箱31における他方の接続端部31aと第1管接続部材3の第10連結フランジ3Dとの接合面間には、水密状態に密封するガスケット5が介装されている。
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0049】
〔その他の実施形態〕
(1)上述の第1実施形態では、第1バタフライ弁V1と第2バタフライ弁V2の各々をフランジレス構造に構成したが、第1バタフライ弁V1と第2バタフライ弁V2の各々をフランジ構造に構成してもよい。
【0050】
(2)上述の第1実施形態では、第2バタフライ弁V2に取付けられている第2管接続部材6の第6連結フランジ6Aに、分岐管側の管路構成部材の一例としての短管80を連結したが、NS形管やK形管等の他の管路構成部材を連結することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 既設管(既設水道管)
1A 切断管部
1B 切断管部
2 分岐接続管
3 第1管接続部材
3C 第1管接続筒部
6 第2管接続部材
21 第1接続部
22 第1接続部
24 第2接続部
26 第1連結フランジ
27 第2管接続筒部
31a 接続端部
31b 接続端部
A 流体機器
C 継ぎ輪
H ハウジング
V 流路切換部
V1 第1バタフライ弁
V2 第2バタフライ弁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13