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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-28
(45)【発行日】2022-07-06
(54)【発明の名称】整髪料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/81 20060101AFI20220629BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20220629BHJP
   A61Q 5/06 20060101ALI20220629BHJP
【FI】
A61K8/81
A61K8/92
A61Q5/06
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018088797
(22)【出願日】2018-05-02
(65)【公開番号】P2019194166
(43)【公開日】2019-11-07
【審査請求日】2021-03-19
(73)【特許権者】
【識別番号】595082283
【氏名又は名称】株式会社アリミノ
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】特許業務法人SSINPAT
(72)【発明者】
【氏名】志村 幸一郎
【審査官】松井 一泰
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-087097(JP,A)
【文献】特開2009-161488(JP,A)
【文献】特開2014-105165(JP,A)
【文献】特開2016-069307(JP,A)
【文献】特開2017-206478(JP,A)
【文献】特開2015-101556(JP,A)
【文献】特開2018-002643(JP,A)
【文献】特開2015-101564(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00- 90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス)コポリマー(A)0.05~0.6質量%と、
キャンデリラロウ(B)5~20質量%と、
被膜形成性樹脂(C)(但し、被膜形成性樹脂(C)には、(アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス)コポリマー(A)に該当する被膜形成性樹脂は含まない)を2.5~10質量%と、
ノニオン界面活性剤(D)と、液状油(E)とを含み、
液状油(E)と、キャンデリラロウ(B)との質量比(E/B)が、0.8~2である整髪料。
【請求項2】
前記液状油(E)が、エチルヘキサン酸セチル、流動パラフィン、およびデカメチルシクロペンタシロキサンから選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の整髪料。
【請求項3】
前記ノニオン界面活性剤(D)が、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット、モノオレイン酸ポリグリセリル、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、およびポリオキシエチレンセチルエーテルから選択される少なくとも1種である、請求項1または2に記載の整髪料。
【請求項4】
前記被膜形成性樹脂(C)が、酢酸ビニル-ビニルピロリドン共重合体、アクリル樹脂アルカノールアミン、およびポリビニルピロリドンから選択される少なくとも1種である、請求項1~3のいずれか1項に記載の整髪料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、整髪料に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘアワックスやヘアクリームなどの整髪料には、「立ち上げる」「まとめる」「保持する」といった整髪性を付与するために、従来からロウ類や炭化水素類などの室温で固形の油分が配合されている。しかしながら、整髪料に室温で固形の油分を多く配合すると、整髪性が得られる反面、油分のぎらつき感が際立ち、自然な艶感が得られにくいという問題があった。また、整髪料に室温で固形の油分が多く配合されていると、整髪後の洗い落ちが悪く、洗髪後でも毛髪に油分が残るといった問題もあった。
【0003】
これまでに、優れた整髪性を有しながら、自然で濡れたような艶感を得る方法が研究されており、例えば、特許文献1では、増粘剤、セット樹脂および/または液状油、ロウの分散液、および水が配合された整髪剤が開示されている。特許文献2では、ポリエーテル変性シリコーン、ブドウ種子油、キャンデリラロウ、およびマイクロクリスタリンワックスを配合した整髪料が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-101564号公報
【文献】特開2010-185374号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記のような従来の整髪料では、自然で濡れたような艶感、優れた整髪性、洗い落ちの良さを同時に叶えるには至っていない。本発明者は、油分のぎらつき感を解決する手段を検討する段階で、室温で固形の油分の代わりに室温で液状の油分を用いてみたところ、自然で濡れたような艶感は得られたが、再整髪性は低下したことから、艶感の改善と再整髪性の向上を両立できなかった。
【0006】
このようなことから、本発明は、自然で濡れたような艶感がありながら、優れた整髪性と洗い落ちの良さを有し、べたつきが少なく、再整髪性およびスタイルの持続性にも優れた整髪料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した。その結果、以下の構成を有する整髪料は上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、例えば以下の[1]~[4]である。
[1](アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス)コポリマー(A)0.05~0.6質量%と、キャンデリラロウ(B)5~20質量%と、被膜形成性樹脂(C)(但し、被膜形成性樹脂(C)には、(アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス)コポリマー(A)に該当する被膜形成性樹脂は含まない)を2.5~10質量%と、ノニオン界面活性剤(D)と、液状油(E)とを含み、液状油(E)と、キャンデリラロウ(B)との質量比(E/B)が、0.8~2である整髪料。
[2]前記液状油(E)が、エチルヘキサン酸セチル、流動パラフィン、およびデカメチルシクロペンタシロキサンから選択される少なくとも1種である、[1]に記載の整髪料。
[3]前記ノニオン界面活性剤(D)が、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット、モノオレイン酸ポリグリセリル、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、およびポリオキシエチレンセチルエーテルから選択される少なくとも1種である、[1]または[2]に記載の整髪料。
[4]前記被膜形成性樹脂(C)が、酢酸ビニル-ビニルピロリドン共重合体、アクリル樹脂アルカノールアミン、およびポリビニルピロリドンから選択される少なくとも1種である、[1]~[3]のいずれかに記載の整髪料。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、自然で濡れたような艶感がありながら、優れた整髪性と洗い落ちの良さを有し、べたつきが少なく、再整髪性およびスタイルの持続性にも優れた整髪料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に本発明の整髪料について具体的に説明する。
<整髪料>
本発明の整髪料は、(アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス)コポリマー(A)0.05~0.6質量%と、キャンデリラロウ(B)5~20質量%と、被膜形成性樹脂(C)(但し、被膜形成性樹脂(C)には、(アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス)コポリマー(A)に該当する被膜形成性樹脂は含まない)を2.5~10質量%と、ノニオン界面活性剤(D)と、液状油(E)とを含み、液状油(E)と、キャンデリラロウ(B)との質量比(E/B)が、0.8~2である。また、必要に応じてその他の成分を含んでいてもよい。
なお、上記の各成分の含有量は、整髪料を100質量%とした場合の含有量を示している。
【0010】
<(アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス)コポリマー(A)>
本発明の整髪料は、(アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス)コポリマー(A)を0.05~0.6質量%含む。また、本発明の整髪料は、(アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス)コポリマー(A)を0.15~0.6質量%含むことが好ましく、0.3~0.6質量%含むことがより好ましく、0.3~0.45質量%含むことが最も好ましい。
【0011】
本発明の整髪料は、(アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス)コポリマー(A)を上記の量含むことによって、優れた整髪性とヘアスタイルの持続性を得ることができる。また、(アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス)コポリマー(A)は、製剤とした際に、手のひらや毛髪での伸びのよさにも寄与している。
【0012】
(アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス)コポリマー(A)が、前記下限量より少ないと、整髪力が低く、ヘアスタイルが作りづらい。また、(アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス)コポリマー(A)が、前記上限量より多いと再整髪しづらくなる。
【0013】
(アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス)コポリマー(A)としては、(アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス-25)コポリマーが好ましい。
(アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス)コポリマー(A)は、1種単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0014】
<キャンデリラロウ(B)>
本発明の整髪料は、キャンデリラロウ(B)を5~20質量%含む。また、本発明の整髪料は、キャンデリラロウ(B)を7.5~20質量%含むことが好ましく、10~12.5質量%含むことがより好ましい。
【0015】
本発明の整髪料は、キャンデリラロウ(B)を上記の量含むことによって、毛髪の艶、および、優れた整髪性とヘアスタイルの持続性を得ることができる。キャンデリラロウ(B)が、前記下限量より少ないと、整髪性が低くなり、ヘアスタイルが作りづらい。また、キャンデリラロウ(B)が、前記上限量より多いとべたつきが生じる。
【0016】
<被膜形成性樹脂(C)>
本発明において、毛髪の表面に被膜を形成することができる樹脂のことを、被膜形成性樹脂と記す。
本発明の整髪料は、被膜形成性樹脂(C)を2.5~10質量%含む。また、本発明の整髪料は、被膜形成性樹脂(C)を2.5~6.5質量%含むことが好ましく、3.5~6.5質量%含むことがより好ましく、3.5~5質量%含むことが最も好ましい。なお、被膜形成性樹脂(C)には、(アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス)コポリマー(A)に該当する被膜形成性樹脂は含まない。
【0017】
本発明の整髪料は、被膜形成性樹脂(C)を上記の量含むことによって、優れた整髪性とヘアスタイルの持続性を得ることができる。被膜形成性樹脂(C)が、前記下限量より少ないと、ヘアスタイルの持続性が低い。また、被膜形成性樹脂(C)が、前記上限量より多いとべたつきが生じる。
【0018】
被膜形成性樹脂(C)として、例えば、アニオン性、両性、およびノニオン性の被膜形成性樹脂(C)が挙げられる。
アニオン性の被膜形成性樹脂(C)としては、例えば、アクリル樹脂アルカノールアミン、メチルビニルエーテル/無水マレイン酸アルキルハーフエステル共重合体、酢酸ビニル/クロトン酸共重合体、酢酸ビニル/クロトン酸/ネオデカン酸ビニル共重合体、酢酸ビニル/クロトン酸/プロピオン酸ビニル共重合体、酢酸ビニル/マレイン酸モノブチルエステル/イソボロニルアクリレート共重合体、アクリル酸/アクリル酸アルキルエステル/アルキルアクリルアミド共重合体、ポリビニルピロリドン/アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C1-18)/アルキル(C1-8)アクリルアミド)コポリマーAMP(「AMP」は、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノールを表す。以下においても同様である。)、(アクリル酸アルキル/ジアセトンアクリルアミド)コポリマーAMPが挙げられる。
【0019】
両性の被膜形成性樹脂(C)としては、例えば、ジアルキルアミノエチルメタクリレート/メタクリル酸アルキルエステル共重合体のモノクロル酢酸両性化物、アクリル酸ヒドロキシプロピル/メタクリル酸ブチルアミノエチル/アクリル酸オクチルアミド共重合体、(アクリレーツ/アクリル酸ラウリル/アクリル酸ステアリル/メタクリル酸エチルアミンオキシド)コポリマー、(オクチルアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシプロピル/メタクリル酸ブチルアミノエチル)コポリマーが挙げられる。
【0020】
ノニオン性の被膜形成性樹脂(C)としては、例えば、酢酸ビニル/ビニルピロリドン共重合体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニル/プロピオン酸ビニル三元共重合体、酢酸ビニル/N-ビニル-5-メチル-2-オキサゾリン共重合体、(ビニルピロリドン/VA)コポリマー(「VA」は、酢酸ビニルを表す。)が挙げられる。
【0021】
上記のアニオン性、両性、およびノニオン性の被膜形成性樹脂(C)の中でも、アニオン性、および、ノニオン性の被膜形成性樹脂が好ましく、アクリル樹脂アルカノールアミン、酢酸ビニル/ビニルピロリドン共重合体、ポリビニルピロリドンがより好ましく、アクリル樹脂アルカノールアミンが最も好ましい。
被膜形成性樹脂(C)は、1種単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0022】
<ノニオン界面活性剤(D)>
本発明の整髪料は、ノニオン界面活性剤(D)を含む。本発明の整髪料は、ノニオン界面活性剤(D)を、2~30質量%含むことが好ましい。
【0023】
ノニオン界面活性剤(D)としては、例えば、ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルが挙げられる。
【0024】
ノニオン界面活性剤(D)として、具体的には、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット、モノオレイン酸ポリグリセリル、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(6E.O.)、ポリオキシエチレンセチルエーテル、が挙げられる。これらの中でも、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット、モノオレイン酸ポリグリセリル、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(6E.O.)、ポリオキシエチレンセチルエーテルが好ましく、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビットが最も好ましい。
【0025】
なお、前記6E.O.は、オキシエチレン構造(‐O‐CH2‐CH2‐)の平均付加モル数が6であることを意味する。
ノニオン界面活性剤(D)は、1種単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0026】
<液状油(E)>
本発明の整髪料は、液状油(E)を含む。本発明の整髪料は、液状油(E)と、キャンデリラロウ(B)との質量比(E/B)が、0.8~2である。また、前記質量比(E/B)は、1~1.75であることが好ましい。
【0027】
前記質量比(E/B)が、0.8より少ないと、自然で濡れたようなきれいな艶感が損なわれ、2より大きいと、整髪性が低く、再整髪しづらくなる。
本発明の整髪料は、液状油(E)を4~40質量%含むことが好ましく、5~35質量%含むことがより好ましい。
【0028】
液状油(E)として、具体的には、ヤシ油、オリーブ油、グレープシード油、ツバキ油、セサミ油、ヒマワリ種子油、クルミ油などの植物油、流動パラフィン、ミネラルオイルなどの炭化水素油、エチルヘキサン酸セチル、2-エチルヘキサン酸ジエチル、ミリスチン酸イソプロピル、セバチン酸ジエチル、ヘキサン酸イソプロピル、ネオペンタン酸イソデシルなどのエステル油、デカメチルシクロペンタシロキサン、ジメチルポリシロキサン(300cst、10000cst)などのシリコーン、オレイルアルコールなどの高級アルコール、オレイン酸、イソステアリン酸などの高級脂肪酸、トリカプリル酸グリセリル、トリ(カプリル/カプリン酸)グリセリルなどのトリグリセリドが挙げられる。その中でも、エチルヘキサン酸セチル、流動パラフィン、デカメチルシクロペンタシロキサンが好ましく、軽い質感でスタイルの持続性が高いことから、エチルヘキサン酸セチルがより好ましい。
液状油(E)は、1種単独で用いても、2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0029】
<その他成分>
本発明の整髪料は、水を1~85質量%含むことが好ましい。
水として、具体的には、水道水、イオン交換水、蒸留水、精製水および天然水が挙げられ、殺菌済みのものが好ましい。
【0030】
本発明の整髪料は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記成分以外に、保湿剤、生薬類、pH調整剤、キレート剤、防腐剤、酸化防止剤、清涼剤、ビタミン類、タンパク質、香料、抗菌剤、および色素等の添加剤を含有することができる。
本発明の整髪料は、pH調整剤として、例えば、トリエタノールアミン、乳酸を用いることができる。
【0031】
<毛髪化粧料の製造等>
本発明の整髪料は、上述した各成分を上述の量で使用する以外は、例えば公知の方法で、撹拌、混合、加熱、溶解、分散等することによって製造することができ、製造方法は特に限定されない。製造方法としては各成分を均一に混合するために、加熱条件下で行ってもよい。加熱条件下で製造する場合の温度としては、例えば75~85℃が挙げられる。
【0032】
本発明の整髪料の状態としては、例えば、ミルク状、クリーム状、ジェル状、ローション状、ワックス状、フォーム状などが挙げられる。
本発明の整髪料の外観は、例えば、透明または不透明な外観が挙げられる。本発明の整髪料の各種配合成分を均一に混合する観点から、乳化状態であり、不透明な外観であることが好ましい。
【0033】
本発明の整髪料のpHは、皮膚への刺激を軽減すること、および、適度な粘度の剤型にできることから、pH6.0~8.0であることが好ましく、pH6.5~7.0であることがより好ましい。なお、pHの測定方法は特に限定されるものではなく、一般的なpHの測定法(例えばガラス電極法)を用いて、適切な測定条件において測定すればよい。
【0034】
本発明の整髪料は、毛髪に塗布して使用することができる。
本発明の整髪料は、自然で濡れたような艶感がありながら、優れた整髪性と洗い落ちの良さを有し、べたつきが少なく、再整髪性およびスタイルの持続性にも優れる。
【実施例
【0035】
次に本発明について実施例を示してさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
〔実施例1~28、比較例1~13〕
表1~4に示す処方で各成分を混合することにより整髪料を製造し、試料として以下の方法で評価した。表中の処方の数値は、整髪料を100質量%とした場合の、各成分の質量%を表している。結果を表1~4に示す。なお、表1~4に記載の各成分は以下の市販品を用いた。
【0036】
(アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス-25)コポリマー(アキュリン28:ダウケミカル社製)
(アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス-20)コポリマー(アキュリン22:ダウケミカル社製)
(アクリル酸/アクリル酸アルキル(C10-30))コポリマー (PEMULEN TR-2:Lubrizol社製)
カルボキシビニルポリマー(Carbopol 934:Lubrizol社製)
キャンデリラロウ(精製キャンデリラワックス R-2CG:綿半トレーディング株式会社製)
カルナバロウ(カルナバワックス1号:横関油脂工業株式会社製)
2-エチルヘキサン酸セチル(NIKKOL CIO:日光ケミカルズ株式会社製)
流動パラフィン(ハイコールK-230:カネダ株式会社製)
デカメチルシクロペンタシロキサン(KF-995:信越化学工業株式会社製)
テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット (NIKKOL GO-430NV:日光ケミカルズ株式会社製)
モノオレイン酸ポリグリセリル(NIKKOL Decaglyn 1-OVEX:日光ケミカルズ株式会社製)
モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(6E.O.)(NIKKOL TO-106V:日光ケミカルズ株式会社製)
ポリオキシエチレンセチルエーテル(EMALEX 120:日本エマルジョン株式会社製)
アクリル樹脂アルカノールアミン(プラスサイズL-6466:互応化学工業株式会社製)
乳酸(乳酸ハイピュアー90:ピューラック・ジャパン株式会社製)
トリエタノールアミン(トリエタノールアミン:三井化学株式会社製)
2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール(AMP-ULTRA PC1000:ダウケミカル日本株式会社製)
キャンデリラロウ分散液:キャンデリラロウと、POEセチルエーテル(10E.O.)と水とが配合されており、キャンデリラロウおよびPOEセチルエーテル(10E.O.)の配合量が、いずれも10%である。このキャンデリラロウ分散液は、キャンデリラロウとPOEセチルエーテル(10E.O.)とを混合して得られた油相を80℃程度に保ち、この油相を攪拌しながら水を徐々に添加した後に自然冷却することで調製した。
【0037】
〔官能評価〕
室温(25℃)の条件下で、専門パネラー(美容師)10名が1人ずつ、試料2gを手に取った後、トップ10cm、ネープ3cmのPAMS社製人毛ウィッグUNの毛髪に万遍なく塗布した。その後、直ちに毛流れ(ヘアスタイル)を作った。そして、毛流れ(ヘアスタイル)について、(1)~(6)に記載した評価項目と評価基準に従って官能評価を行った。各項目につき10名の評価点の平均を算出し、以下のとおり評価した。
◎:10人の専門パネラー(美容師)の評価点の平均が3.5点以上である。
○:10人の専門パネラー(美容師)の評価点の平均が2.5点以上3.5点未満である。
△:10人の専門パネラー(美容師)の評価点の平均が1.5点以上2.5点未満である。
×:10人の専門パネラー(美容師)の評価点の平均が1.5点未満である。
【0038】
〔評価項目および評価基準〕
(1)艶
毛流れ(ヘアスタイル)の艶を目視で評価した。
4点:自然でありながらも濡れたような綺麗な艶がある
3点:自然な艶がある
2点:あまり艶がない
1点:ギラつくような不自然な艶がある、または、艶がない
(2)整髪性
根元を立ち上げ、毛束を作った。その際の、ヘアスタイルの作りやすさを評価した。
4点:非常に作りやすい
3点:作りやすい
2点:やや作りづらい
1点:作れない
(3)再整髪性
毛流れ(ヘアスタイル)を作成し、3時間経過後の再整髪のしやすさを評価した。
4点:容易に再整髪できる
3点:再整髪できる
2点:再整髪しづらい
1点:再整髪できない
(4)ヘアスタイルの持続性
根元を立ち上げ、毛束を作り、立体的なヘアスタイルを作った。その後、湿度50%、28℃の室内で6時間放置し、ヘアスタイルが維持されているか目視で評価した。
4点:全体的にヘアスタイルがしっかりと維持されている
3点:全体的にヘアスタイルがほぼ維持されている
2点:部分的にヘアスタイルが維持されている
1点:全体的にボリュームダウンし、ヘアスタイルが維持されていない
(5)べたつきの少なさ
毛流れ(ヘアスタイル)を作成し、5分経過後のべたつきを触感で評価した。
4点:べたつきがない
3点:べたつきが少ない
2点:べたつきがある
1点:べたつきがあり、不快を感じる
(6)洗い落ち
毛髪に塗布した試料が充分に乾いた後、水で毛髪を濡らし、シャンプーを1.0g使用して30秒間洗い、水温38℃付近の水で1分間水洗した。その際の洗い落ちを触感で評価した。シャンプーはシェルパ デザインサプリ シャンプー D-2(アリミノ社製)を使用した。
4点:非常に洗い落ちが良い
3点:洗い落ちが良い
2点:洗い落ちが悪い
1点:非常に洗い落ちが悪い
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】
【表3】
【0042】
【表4】
【0043】
実施例1~28で製造した整髪料は、(1)~(6)の評価項目において良好な結果となった。
本発明の整髪料は、自然で濡れたような艶感がありながら、優れた整髪性と洗い落ちの良さを有し、べたつきが少なく、再整髪性およびスタイルの持続性にも優れていることがわかる。
【0044】
比較例1で製造した整髪料は、(アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス)コポリマー(A)の配合量が少ないため、べたつきがあり、整髪性とスタイルの持続性も低かった。
比較例2で製造した整髪料は、(アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス)コポリマー(A)の配合量が多いため、再整髪性が低かった。
【0045】
比較例3で製造した整髪料は、キャンデリラロウ(B)の配合量が少ないため、整髪性が低く、ヘアスタイルが作れなかった。また、再整髪性も低かった。
比較例4で製造した整髪料は、キャンデリラロウ(B)の配合量が多いため、べたつきがあり、洗い落ちも悪かった。
【0046】
比較例5で製造した整髪料は、液状油(E)と、キャンデリラロウ(B)との質量比(E/B)が、0.8より小さいため、あまり艶がなく、べたつきがあった。
比較例6で製造した整髪料は、液状油(E)と、キャンデリラロウ(B)との質量比(E/B)が2より大きいため、再整髪性が低く、再整髪できなかった。また、整髪性も低かった。
【0047】
比較例7で製造した整髪料は、被膜形成性樹脂(C)の配合量が少ないため、スタイルの持続性が低く、全体的にボリュームダウンし、ヘアスタイルが維持されていなかった。
比較例8で製造した整髪料は、被膜形成性樹脂(C)の配合量が多いため、べたつきがあった。
【0048】
比較例9で製造した整髪料は、(アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス)コポリマー(A)の代わりに(アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス-20)コポリマーを配合したため、再整髪性が低かった。
【0049】
比較例10で製造した整髪料は、(アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス)コポリマー(A)の代わりに(アクリル酸/アクリル酸アルキル(C10-30))コポリマーを配合したため、艶がなく、べたつきがあった。
【0050】
比較例11で製造した整髪料は、(アクリレーツ/メタクリル酸ベヘネス)コポリマー(A)の代わりにカルボキシビニルポリマーを配合したため、あまり艶が無く、べたつきがあった。
【0051】
比較例12で製造した整髪料は、キャンデリラロウ(B)の代わりにカルナバロウを配合したため、あまり艶がなく、整髪性、スタイルの持続性、再整髪性も低かった。
比較例13で製造した整髪料は、開示されている従来の整髪料の処方である。整髪性が低く、ヘアスタイルが作れず、スタイルの持続性も低かった。また、再整髪性が低く、再整髪できなかった。