IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ナックス株式会社の特許一覧

特許7096588タグピン受け構造およびこれを備えたタグピン取付構造、商品吊り下げ具
<>
  • 特許-タグピン受け構造およびこれを備えたタグピン取付構造、商品吊り下げ具 図1
  • 特許-タグピン受け構造およびこれを備えたタグピン取付構造、商品吊り下げ具 図2
  • 特許-タグピン受け構造およびこれを備えたタグピン取付構造、商品吊り下げ具 図3
  • 特許-タグピン受け構造およびこれを備えたタグピン取付構造、商品吊り下げ具 図4
  • 特許-タグピン受け構造およびこれを備えたタグピン取付構造、商品吊り下げ具 図5
  • 特許-タグピン受け構造およびこれを備えたタグピン取付構造、商品吊り下げ具 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-28
(45)【発行日】2022-07-06
(54)【発明の名称】タグピン受け構造およびこれを備えたタグピン取付構造、商品吊り下げ具
(51)【国際特許分類】
   A47F 7/00 20060101AFI20220629BHJP
【FI】
A47F7/00 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018193983
(22)【出願日】2018-10-15
(65)【公開番号】P2020062066
(43)【公開日】2020-04-23
【審査請求日】2021-10-04
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 展示会名 平成30年包装資材総合展示会 展示場所 東京国際展示会場(ビッグサイト) 展示日 平成30年10月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】390027915
【氏名又は名称】ナックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114030
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿島 義雄
(72)【発明者】
【氏名】小林 充知
【審査官】石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-169731(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0139494(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47F 5/00-8/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タグピンの鉤部を受け入れる中空部を備えた受け部材を有するタグピン受構造であって、
前記中空部の相対する側壁の一方に前記タグピンの鉤部を変形縮小させた姿勢で挿入できる受け孔が設けられ、他方の側壁に前記受け孔と同軸的な貫通孔が設けられており、
前記貫通孔は、前記タグピンの鉤部の外径よりも小さく形成され、当該貫通孔の内周面に前記タグピンの鉤部の通過を許す溝が設けられているタグピン受け構造。
【請求項2】
タグピンの鉤部を受け入れる中空部を備えた受け部材を有するタグピン受構造であって、
前記中空部の相対する側壁の一方に前記タグピンの鉤部を変形縮小させた姿勢で挿入できる受け孔が設けられ、他方の側壁に前記受け孔と同軸的な貫通孔が設けられており、
前記貫通孔は、前記タグピンの鉤部の外径よりも小さいが当該貫通孔から突き出た前記鉤部を引き込むことにより鉤部を弾性変形させて前記中空部に引き入れることが可能な大きさで形成されているタグピン受け構造。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のタグピン受構造と、前記タグピンとからなるタグピン取付構造であって、前記タグピンは、頭部から延びる軸部の先端に前記鉤部を備え、前記軸部並びに鉤部が弾性線条材によりTの字状に形成されているタグピン取付構造。
【請求項4】
請求項1~請求項2のいずれかに記載のタグピン受構造が一部に含まれるとともに、商品を吊り下げるフック部が設けられている商品吊り下げ具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、靴下やタオルなどの小物商品を吊り下げて陳列販売する商品吊り下げ具等に用いられるタグピン受け構造、並びにこの受け構造を備えた商品吊り下げ具に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、スーパーや百貨店等において、靴下やタオルなどの小物商品を樹脂製のタグピンを用いて吊り下げ具に取り付け、陳列棚に吊り下げて展示販売する方法が多く行われている。このような商品吊り下げ具として、例えば特許文献1の第6図や特許文献2で示すものが知られている。
【0003】
吊り下げ具に使用されるタグピンは、多くの場合、図1の符号1で示すように頭部2から延びる軸部3の先端にT型や矢印形の鉤部4を備え、このタグピンの鉤部を特許文献3で示すようなタグガンと呼ばれる打込み工具などを用いて商品と吊り下げ具本体の受孔を突き通すことにより、商品を吊り下げ具本体に保持するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実開昭56-174574号公報
【文献】特開2003-169731号公報
【文献】実登3080680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記タグピンの鉤部は、商品吊り下げ時に商品若しくは吊り下げ具本体の表面から露出するものであり、隣り合う商品の目地やパイルループへ鉤部が引っ掛かって当該商品を傷付け、商品価値を下げてしまうという欠点があった。
【0006】
そこで本発明は、商品吊り下げ時にタグピンの鉤部が外部に露出することをなくして上記した課題の解決を図ることのできるタグピン受け構造、並びにこの受け構造を備えた商品吊り下げ具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明では次のような技術的手段を講じた。即ち、本発明のタグピン受構造は、タグピンの鉤部を受け入れる中空部を備えた受け部材を有するタグピン受構造であって、前記中空部の相対する側壁の一方に前記タグピンの鉤部を変形縮小させた姿勢で挿入できる受け孔が設けられ、他方の側壁に前記受け孔と同軸的な貫通孔が設けられており、前記貫通孔は、前記タグピンの鉤部の外径よりも小さく形成され、当該貫通孔の内周面に前記タグピンの鉤部の通過を許す溝が設けられているタグピン受け構造の構成とした。
【0008】
また、本発明は、タグピンの鉤部を受け入れる中空部を備えた受け部材を有するタグピン受構造であって、前記中空部の相対する側壁の一方に前記鉤部を変形縮小させた姿勢で挿入できる受け孔が設けられ、他方の側壁に前記受け孔と同軸的な貫通孔が設けられており、前記貫通孔は、前記タグピンの鉤部の外径よりも小さいが当該貫通孔から突き出た前記鉤部を引き込むことにより鉤部を弾性変形させて前記中空部に引き入れることが可能な大きさで形成されているタグピン受け構造の構成も特徴とする。
【0009】
また、別の観点からなされて本発明のタグピン取付構造は、上記のタグピン受構造と、前記タグピンとからなるタグピン取付構造であって、前記タグピンは、頭部から延びる軸部の先端に前記鉤部を備え、前記軸部並びに鉤部が弾性線条材によりTの字状に形成されているタグピン取付構造を特徴とする。
【0010】
さらに別の観点からなされた本発明の商品吊下げ具は、上記のいずれかに記載のタグピン受構造が一部に含まれるとともに、商品を吊り下げるフック部が設けられていることを特徴とする商品吊り下げ具である。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、上記の構成とすることにより、タグピン使用時にタグピンの鉤部を受け部材の中空部に収納させて外部に露出することをなくすることができる。したがって、受け部材を靴下やタオルなどの小物商品陳列販売用の吊り下げ具として使用することにより、隣り合う商品の目地やパイルループへタグピンの鉤部が引っ掛かって商品を傷付けることを防止することができると共に、外観もスマートに保持することができるといった効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態である商品吊り下げ具(タグピン受構造を含む)の正面側から見た斜視図。
図2】上記商品吊り下げ具の背面側から見た斜視図。
図3】受け部材とタグピンの一部断面図。
図4】タグピンの取付過程を示す断面図。
図5】本発明の別実施例を示す断面図。
図6】本発明の更に別の実施例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明にかかるタグピンの受け構造(および取付構造)を、靴下やタオルなどの商品を吊り下げて陳列販売する商品吊り下げ具に実施した例に基いて詳細に説明する。
【0014】
本発明にかかる商品吊り下げ具Aは、図1並びに図3に示すように、タグピン1と、このタグピンを受ける合成樹脂製の受け部材5との組み合わせから構成される。
タグピン1は、大径の頭部2から延びる軸部3と、この軸部3の先端でTの字状となるように軸部3と直交して形成された鉤部4とを備えている。前記軸部3並びに鉤部4は弾性線条材により形成され、頭部2と共にポリエチレン等の合成樹脂材により一体成型されている。
【0015】
前記受け部材5は、ダグピン1の鉤部4を受け入れる中空部6と、掛け止め用のフック部7とが形成されている。中空部6の相対する側壁の一方の側壁8に、タグピンの鉤部4を軸部3に沿って略直線状に縮小変形させた姿勢(図4(a)参照)で挿入できる小さな受け孔9が設けられ、他方の側壁10に前記受け孔9と同軸的な貫通孔11が設けられている。
【0016】
前記貫通孔11の内径D1は、タグピン1の軸部3を中心とする鉤部4の外径D2よりもやや小さく形成されている。その寸法は、中空部6に収納された時に鉤部4が容易に脱出できない程度の大きさとするのがよい。更に、貫通孔11の内周面の相対する位置に2対の溝12が設けられている。この溝12は、タグピンの鉤部4の通過を許す深さで形成されている。即ち、相対する溝12の最深部を結ぶ直径D3が鉤部4の直径D2より大きく形成されている。
【0017】
使用の際は、図4(a)に示すように、タグピン1の鉤部4を軸部3に沿って略直線状に縮小変形させた姿勢でタグガンと呼ばれる打込み工具により靴下やタオルなどの商品Bを突き通して受け孔9並びに貫通孔11を貫通させる。貫通孔11を突き抜けた鉤部4は、図4(b)に示すように元の姿勢に弾性復帰する。
【0018】
次いで、タグピン1の鉤部4を溝12の位置にあわせて引き戻すことにより、図4(c)に示すように鉤部4を受け部材の中空部6内に収納する。これにより、鉤部4が外部に露出することがなくなって隣接する商品を引っかけて傷をつけることを防止することができるとともに、吊り下げ具をすっきりとした外観に保持できる。
なお、一度中空部6に収納された鉤部4が溝12を通って自然に外部に抜け出ることは
難しく、鉤部4の格納状態を継続して保持することができる。
【0019】
図5は、本発明にかかる商品吊り下げ具の別実施例を示すものである。この実施例では、貫通孔11の内径D4が、鉤部4の外径D2よりも小さいが、当該貫通孔11から突き出た鉤部4を引き込むことにより鉤部4を図示のように弾性変形させて中空部6に引き込むことが可能な大きさで形成されている。
これにより、鉤部4が貫通孔11の外側でどの位置にあっても容易に中空部に引き込むことができる。
なお、この実施例では先の実施例のような溝12を省略することができるが、溝12を合わせて形成することも可能である。
【0020】
また、図6に示すように、溝12の左右側壁部分を切り欠いて、溝12が受け部材外面側から順次狭くなるように左右対称的な傾斜ガイド面12a、12aを形成するのがよい。
これにより、貫通孔11から突出した鉤部4を中空部に引き戻す操作を容易に行うことができる。
【0021】
以上本発明の代表的な実施例について説明したが、本発明は必ずしも上記の実施形態に特定されるものではなく、本考案の目的を達成し、請求の範囲を逸脱しない範囲内で適宜修正、変更することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明は、靴下やタオルなどの小物商品を吊り下げて陳列販売する商品吊り下げ具に利用することができる。
【符号の説明】
【0023】
A 商品吊り下げ具
1 タグピン
2 頭部
3 軸部
4 鉤部
5 受け部材
6 中空部
7 フック部
8 中空部の一方の側壁
9 受け孔
10 中空部の他方の側壁
11 貫通孔
12 溝
12a 傾斜ガイド面
図1
図2
図3
図4
図5
図6