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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-28
(45)【発行日】2022-07-06
(54)【発明の名称】抵抗性周囲電極
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/041 20060101AFI20220629BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20220629BHJP
【FI】
G06F3/041 430
G06F3/041 495
G06F3/044 110
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2017024441
(22)【出願日】2017-02-13
(65)【公開番号】P2017146970
(43)【公開日】2017-08-24
【審査請求日】2019-11-29
【審判番号】
【審判請求日】2021-07-20
(31)【優先権主張番号】P 2016026357
(32)【優先日】2016-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005511
【氏名又は名称】ぺんてる株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】誠真IP特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】小澤 欣一
【合議体】
【審判長】角田 慎治
【審判官】林 毅
【審判官】▲高▼瀬 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-59006(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F3/041-3/044
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材上の表面に設けられた面抵抗体膜と、前記基材の表面に形成された前記面抵抗体膜上に、前記面抵抗体膜を取り囲む様に形成された抵抗性周囲電極と、前記抵抗性周囲電極に引き出し線を接続する端子部を前記抵抗性周囲電極に設けた座標入力パネルの抵抗性周囲電極において、前記抵抗性周囲電極表面の導電性物質と非導電性物質の露出量で前記導電性物質が61パーセント以上、95パーセント未満で、前記非導電性物質がガラス粒子であり、また前記抵抗性周囲電極の膜厚が10μm以上で、前記抵抗性周囲電極表面の表面粗さ(Ra)が0.3μm以上1.0μm以下であることを特徴とする抵抗性周囲電極。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は座標入力パネルに関し、詳しくは、座標入力パネルの抵抗性周囲電極に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は静電容量結合方式の座標入力装置の例であり、座標入力パネル1の基材2の表面は均一な面抵抗体3を取り囲む抵抗性周囲電極4が配置されており、4頂点に引き出し線5が、座標検出回路7に設置されている。
従来の座標入力パネルは、基材2の表面に面抵抗体3として、スパッタ法によるITO(インジウム酸化物)膜あるいは、CVD法による酸化スズ膜などが形成されている。基材2は例えばソーダーガラスが使用される。面抵抗体3の上には、抵抗性周囲電極4が、形成されている。抵抗性周囲電極4は、適宜選択された抵抗値の被膜を印刷、焼成により形成する。また、必要に応じて各頂点部分には、引き出し線5を接続するための、はんだ付け可能な低抵抗の被膜を印刷・焼成する場合もある。
【0003】
抵抗性周囲電極4上に引き出し線5を接続するために、はんだ付け可能な低抵抗の被膜は、導電性物質を多く添加しているため、密着性を得るための非導電性物質(接着物質)が少なく周囲電極として密着性に問題があった。また、導電性物質として用いられている銀や銅等は、はんだの主成分であるスズに銀や銅が拡散していき、最終的には周囲電極側の銀や銅が消失してしまう、はんだくわれが生じ易いため、はんだ付けを行う場合、周囲電極膜質・周囲電極膜厚さ、はんだの種類、量、温度、時間、温度のかけ方等の注意が必要であった。また、基材にガラスを用いた場合、はんだ付けによる局部加熱によるガラスの割れといった問題があった。
【0004】
上記はんだくわれの問題を解決するために導電性物質である銀に代えて銀とパラジウムの混成金属粉末又は銀と白金の混成金属粉末を用いたり、特開2004-031355号公報(特許文献1)には、有機系金属化合物で銀、又は、銀主体の合金から成る微粒子をコーティングしたものを用いている。また、特開平8-315634号公報(特許文献2)にはセラミックコンデンサ用ではあるが、導電性物質と非導電性物質の配合組成比を変えたペーストについて開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2004-031355号公報
【文献】特開平8-315634号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
座標入力パネルの抵抗性周囲電極用に用いるためには、はんだ濡れ性、耐はんだくわれ性に加え、基材上の表面に設けられた面抵抗体膜への抵抗性周囲電極の接着力が必要である。また、座標入力パネルの抵抗性周囲電極として機能するための抵抗値調整が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、基材上の表面に設けられた面抵抗体膜と、前記基材の表面に形成された前記面抵抗体膜上に、前記面抵抗体膜を取り囲む様に形成された抵抗性周囲電極と、前記抵抗性周囲電極に引き出し線を接続する端子部が前記抵抗性周囲電極に設けた座標入力パネルの抵抗性周囲電極において、抵抗性周囲電極表面の導電性物質と非導電性物質の露出量で導電性物質が61パーセント以上、95パーセント未満で、非導電性物質がガラス粒子であり、また前記抵抗性周囲電極の膜厚が10μm以上で、前記抵抗性周囲電極表面の表面粗さ(Ra)が0.3μm以上1.0μm以下であることを特徴とする抵抗性周囲電極を第一の要旨とし、基材上の表面に設けられた面抵抗体膜と、前記基材の表面に形成された前記面抵抗体膜上に、前記面抵抗体膜を取り囲む様に形成された抵抗性周囲電極と、前記抵抗性周囲電極に引き出し線を接続する端子部が前記抵抗性周囲電極に設けた座標入力パネルの抵抗性周囲電極において、抵抗性周囲電極表面の導電性物質と非導電性物質の露出量で導電性物質が61パーセント以上、95パーセント未満で、非導電性物質がガラス粒子であり、また前記抵抗性周囲電極の膜厚が10μm以上で、前記抵抗性周囲電極表面の表面粗さ(Ra)が0.3μm以上1.0μm以下である座標入力パネルの抵抗性周囲電極の引き出し線端子部が1層以上形成され、且つ、前記周囲電極の引き出し線部の最上層以外のすべての層は、最上層より表面の導電性物質と非導電性物質の露出比率で導電性物質が少ないことを特徴とする抵抗性周囲電極を第二の要旨とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、座標入力パネルの抵抗性周囲電極において、抵抗性周囲電極表面の導電性物質と非導電性物質の露出量で導電性物質が61パーセント以上、95パーセント未満で、非導電性物質がガラス粒子であり、また前記抵抗性周囲電極の膜厚が10μm以上で、前記抵抗性周囲電極表面の表面粗さ(Ra)が0.3μm以上1.0μm以下であることにより、はんだ密着性を向上させ、はんだくわれを抑制し、且つ、抵抗値を適宜選択できる抵抗性周囲電極を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】静電容量結合式座標入力パネルの説明用平面図
図2】本発明による抵抗性周囲電極の位置及び形状の説明図
図3】抵抗性周囲電極の部分拡大図
図4】座標入力パネルの概略図
図5】抵抗性周囲電極の角部分拡大図
図6】実施例に用いた抵抗性周囲電極の寸法箇所
図7】実施例に用いた静電容量結合型の座標検出装置の説明図
【発明を実施するための形態】
【0010】
図2を使用して、本発明の構成を詳細に説明する。
基材2は、ガラス製の座標入力パネルの場合、ソーダガラスが多く用いられるが、特に材質が限定される物ではなく、例えば、任意のガラスを含む透明なセラミックス素材、あるいはアクリル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂などの透明な樹脂素材を使用できる。用途によっては不透明な絶縁性の基材を用いてもよい。
基材2の表面には、座標入力パネルと同様に面抵抗体膜3が形成される。
面抵抗体膜3の導電性薄膜の材料としては、一般に、酸化錫、アンチモンを添加した酸化錫(ATO)、酸化インジウム、錫を添加した酸化インジウム(ITO)、亜鉛を添加した酸化インジウム(IZO)、酸化亜鉛等が用いられる。また、被覆方法としては、例えば、物理的方法のスパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、また、化学的方法のスプレー法、ディップ法、化学気相成長法(CVD法)がある。
【0011】
基材2の表面に形成される抵抗性周囲電極4は、導電性物質と非導電性物質を適宜の割合で配合した導電性インクをスプレー法、インクジェット法、スクリーン法等といった手法によりパターンを形成する。また、形成された抵抗性周囲電極4の表面は導電性物質が面積換算で60パーセント以上、95パーセント未満露出しているようにする。これは、導電性物質が面積換算で60パーセント未満であるとはんだ乗り性が低下するからである。
また導電性物質が面積換算で95パーセント以上であると、耐はんだ食われの低下や、基材または、基材上の表面に設けられた面抵抗体膜と抵抗性周囲電極4との密着性が低下する。
さらに、抵抗性周囲電極4の膜厚は、はんだくわれによる導電性物質の損失を考慮し10μm以上(好ましくは15μm以上)が望ましい。
【0012】
基材2の抵抗性周囲電極4の非導電物質(バインダー)としては、ガラスや樹脂がある。ガラスはガラス粒子をバインダーとする導電性インクを用いて300℃~600℃で焼成される。樹脂は、120~200℃で加熱硬化する物が使われる。
基材2の表面に形成される抵抗性周囲電極4は各頂点間の抵抗値は面抵抗値に対して1:5~10になるように、インク及び印刷条件が設定される。
【0013】
また、抵抗性周囲電極4の表面は導電性物質が面積換算で60パーセント以上、95パーセント未満露出していることに加え、表面粗さ(Ra)が、0.3μm以上1.0μm以下であることが好ましい。これは、はんだが周囲電極4上に乗った際、周囲電極上に一定の凹凸があった方が、アンカー効果で密着強度を得ることができるためである。
【0014】
その後、基材2の表面の抵抗性周囲電極4の各頂点6-a、6-b、6-c、6-d(4カ所)には、信号線になる引き出し線5のケーブルをはんだ付け等の手段により、接続し、信号処理部7に接続される。
また、はんだ付けによる局部加熱によって生じるガラス基材の割れ、または、はんだ熱収縮によるガラス基材2またはガラス基材2に形成された面抵抗体膜3と抵抗性周囲電極4との接着力の低下を抑制するために抵抗性周囲電極4の各頂点6-a、6-b、6-c、6-d(4カ所)の下層に抵抗性周囲電極4より非導電性物質を多く添加した中間層8を1層以上形成してもよい。
【0015】
はんだ付けを行う際、非導電性物質の種類に合わせた、はんだを選択する必要がある。
特に非導電性物質が樹脂の場合、高融点はんだを用いると樹脂が炭化し抵抗性周囲電極4が破壊されてしまう。したがって、非導電性物質に樹脂を用いる場合、はんだは融点が低いスズ-ビスマス系あるいはスズ-インジウム系のはんだを選択することが好ましい。
非導電性物質がガラスの場合、はんだの熱収縮による影響によりガラスが破壊されないよう選択することが好ましい。例えば、スズ-銀系、スズ-銀-銅系、スズ-銀-ビスマス-銅系、スズ―インジウム―銀-ビスマス系、スズ-亜鉛系、スズ-亜鉛-ビスマス系等や、非導電性物質に樹脂の際に用いたはんだを用いる。
【0016】
(導電性物質)
導電性物質は、金、銀、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム等の貴金属粒子で形成されており、焼成後の抵抗体において電気導通経路を形成する。前記貴金属粉末を単体または2種類以上を混合して用いる。また、前記貴金属単体または混合物にニッケル、銅、スズ等を添加しても構わない。また、貴金属粒子および金属粒子の形状、粒径は、特に限定されない。
【0017】
(非導電性物質)
非導電性物質は、ガラス粒子または、樹脂を用いる。また、ガラス粒子は、基板などに対する濡れ性を高めて密着性を向上させるとともに、抵抗膜全体にわたって溶融固化することにより強靭な抵抗体を形成するために配合され、絶縁性であるため、抵抗調整の役割も有している。
【0018】
ガラス粒子の成分は、通常、酸化ケイ素に加えて、他の酸化物を含んでいる。他の酸化物としては、例えば、他の金属酸化物(例えば、酸化リチウム、酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ストロンチウム、酸化バリウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化クロム、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化スズ、酸化鉛、酸化ビスマスなど)、酸化ホウ素などがある。これらの他の酸化物は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。前記酸化物を用いたガラス粒子としては、例えば、ホウケイ酸系ガラス粒子、ホウケイ酸亜鉛系ガラス粒子、亜鉛系ガラス粒子、ビスマス系ガラス粒子などがある。ガラス粒子の形状、及び、中心粒径は、特に限定されず、導電性物質を基材に固定、且つ、周囲電極表面に露出できれば良い。
【0019】
樹脂は、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリオレフィン、エポキシ樹脂等がある。
【0020】
得られた抵抗性周囲電極の表面面積換算方法は、導電性物質と非導電性物質の面積を測定して得る。測定方法は適宜選択して行う。例えば、マイクロスコープにより拡大した画像から導電性物質と非導電性物質の面積を測定したり、走査型電子顕顕微鏡とエネルギー分散形X線分光器を用い、元素マッピングを行い、画像解析により導電性物質と非導電性物質との面積比率を算出する。
【実施例
【0021】
以下、実施例及び比較例により、本発明を説明する。本発明は、以下の実施例に限定されるものでなく、本発明の技術範囲において、種々の変形例を含むものである。
【0022】
(実施例1)
座標入力パネル1は、次のようにして作成した。基材として、ソーダガラス(厚さ3mm)を略469×375mmの大きさに切断したものを用い、基材の表面に、スパッタ法によってITO(錫を添加した酸化インジウム)膜(シート抵抗値300Ω/□)を形成して面抵抗体12とした。次に、抵抗性周囲電極3、及び、引き出し線接続用端子部6を、奥野製薬工業株式会社製導電性ペーストG3-6581に奥野製薬工業株式会社製ガラスフリットGF3410を重量比15:1で混練したペーストにて、スクリーン印刷後、焼成(450℃、保持時間5分間)することで形成した。
抵抗性周囲電極3のパターンは図3のパターンを用い、一片を図4の様な線対称の形状にし、四隅は図5に示したように少なくとの第二の階段状の導電性セグメント18bが、第一の直線状の導電性セグメント18aに近い段で、引き出し線接続用端子部6に直接接続させた。また、導電性セグメントは、表1の寸法条件(図6参照)で座標入力パネル1を作成した。
評価は、株式会社小島半田製造所製KS-218SUPER直径0.8mmを用い、引き出し線接続用端子部6へのはんだ乗り性、耐はんだくわれを目視にて行った。
また、抵抗性周囲電極3および引き出し線接続用端子部6の密着性確認は、密着性評価用引き出し線として三山電線株式会社製AWM1007、VW-1、26AWG、TR-64を予備はんだ後、引き出し線接続用端子部6に株式会社小島半田製造所製KS-218SUPER直径0.8mmにてはんだ付けした。この引き出し線を株式会社イマダ製デジタルフォースゲージDS2-50Nにて引っ張り、引き出し線がパネルから取れる値を測定し、引き出し線がとれた箇所を目視により確認した。
また、抵抗性周囲電極3の導電性物質と非導電性物質の面積比率は、日本電子データム株式会社製走査型電子顕顕微鏡JSM-6510LAとエネルギー分散形X線分光器JED-2300にて、元素マッピングを行い、元素マッピング画像を画像処理後、フリーソフトImageJを用いて面積計算し、導電性物質と非導電性物質との面積比率を算出した。
【0023】
【表1】
【0024】
(実施例2)
実施例1で用いた混錬するペースト(導電性ペーストとガラスフリット)の重量比を7.7:1に変更した。
抵抗性周囲電極3の導電性物質と非導電性物質の面積比率、及び、評価は、実施例1と同様に実施した。
【0025】
(実施例3)
実施例1で用いた混錬するペースト(導電性ペーストとガラスフリット)の重量比を5:1に変更した。
抵抗性周囲電極3の導電性物質と非導電性物質の面積比率、及び、評価は、実施例1と同様に実施した。
【0026】
(実施例4)
実施例1で用いた混錬するペースト(導電性ペーストとガラスフリット)の重量比を4.5:1に変更した。
抵抗性周囲電極3の導電性物質と非導電性物質の面積比率、及び、評価は、実施例1と同様に実施した。
【0027】
(実施例5)
実施例1で用いた混錬するペースト(導電性ペーストとガラスフリット)の重量比を2.5:1に変更した。
抵抗性周囲電極3の導電性物質と非導電性物質の面積比率、及び、評価は、実施例1と同様に実施した。
【0028】
(実施例6)
実施例1で用いた混錬するペースト(導電性ペーストとガラスフリット)の重量比を2.0:1に変更した。
抵抗性周囲電極3の導電性物質と非導電性物質の面積比率、及び、評価は、実施例1と同様に実施した。
【0029】
(比較例1)
実施例1で用いた混錬するペーストを奥野製薬工業製導電性ペーストG3-6581のみに変更した。
抵抗性周囲電極3の導電性物質と非導電性物質の面積比率、及び、評価は、実施例1と同様に実施した。
【0030】
(比較例2)
実施例1で用いた混錬するペースト(導電性ペーストとガラスフリット)の重量比を1.6:1に変更した。
抵抗性周囲電極3の導電性物質と非導電性物質の面積比率、及び、評価は、実施例1と同様に実施した。
【0031】
(比較例3)
実施例1で用いた混錬するペースト(導電性ペーストとガラスフリット)の重量比を1.3:1に変更した。
抵抗性周囲電極3の導電性物質と非導電性物質の面積比率、及び、評価は、実施例1と同様に実施した。
【0032】
(実施例7)
基材2を、アルミナセラミックス板(厚さ3mm)を略469×375mmに変更し、基材2の表面に、スパッタ法によってITO(錫を添加した酸化インジウム)膜(シート抵抗値300Ω/□)を形成して面抵抗体12とした。次に、実施例5で用いた混錬ペーストにて抵抗性周囲電極3、及び、引き出し線接続用端子部6をスクリーン印刷後、焼成(450℃、保持時間5分間)し座標入力パネル1を作成した。
また、抵抗性周囲電極3の導電性物質と非導電性物質の面積比率、及び、評価も、実施例1と同様に実施した。
【0033】
(実施例8)
比較例3に用いた混錬ペーストを引き出し線接続用端子部6の箇所にスクリーン印刷後、焼成(450℃、保持時間5分間)した。続いて、実施例5で用いた混錬するペーストを抵抗性周囲電極3、及び、引き出し線接続用端子部6にスクリーン印刷後、焼成(450℃、保持時間5分間)した。
抵抗性周囲電極3の導電性物質と非導電性物質の面積比率、及び、評価は、実施例1と同様に実施した。
【0034】
(実施例9)
比較例3に用いた混錬ペーストを引き出し線接続用端子部6の箇所にスクリーン印刷後、焼成(450℃、保持時間5分間)した。続いて、実施例3に用いた混錬ペーストを引き出し線接続用端子部6の箇所にスクリーン印刷後、焼成(450℃、保持時間5分間)した。さらに、実施例5で用いた混錬するペーストを抵抗性周囲電極3、及び、引き出し線接続用端子部6にスクリーン印刷後、焼成(450℃、保持時間5分間)した。
抵抗性周囲電極3の導電性物質と非導電性物質の面積比率、及び、評価は、実施例1と同様に実施した。
【0035】
【表2】
【0036】
はんだ乗り性:○良好、×不良
耐はんだくわれ性:○良好、△一部食われあり、×はんだくわれあり
ガラス基板接着力:○500g超、△150~500g、×150g未満
接着力評価後の状態において「線切れ」は、はんだ付け時配線の被覆部をとって露出した芯線部が切れた状態、「電極剥離」基材からはんだと電極がともに剥離した状態、「はんだ剥離」電極からはんだが剥離した状態である。
【0037】
表2の結果より、実施例1~9は抵抗性周囲電極へのはんだ乗り性、耐はんだくわれ性、および、基材上の表面に設けられた面抵抗体膜への抵抗性周囲電極の接着力が高いことが確認された。一方、比較例1は、はんだ乗り性は良いが、はんだ付け後、基材上の表面に設けられた面抵抗体膜との間に微小に浮いていること(剥離)が確認された。また、接着力も低くなっていた。比較例2は、はんだ乗り性が悪くはんだがはじかれた様な箇所が存在した。そのため、面抵抗体膜への抵抗性周囲電極の接着力確認時に抵抗性周囲電極とはんだとの間で剥離が発生した。さらに、比較例3は、はんだが乗らなかったため、はんだくわれ、基材上の表面に設けられた面抵抗体膜への抵抗性周囲電極の接着力を確認することができなかった。
【0038】
実施例1~9で作成した座標入力パネル1を、図7に示した構成図のように作成したハードウエアに接続した。また、CPU16から出力される座標データを、シリアル通信によってパソコンに取り込むようにした。
この座標入力システムを用いて座標入力パネル1を評価した。
その結果、すべての座標入力パネル1から座標データを取り込むことができ、座標入力パネルとして動作するこが確認された。
【符号の説明】
【0039】
1 座標入力パネル
2 基材
3 面抵抗体
4 抵抗性周囲電極
5 引き出し線
6 抵抗性周囲電極4の引き出し線接続用端子部
6-a、6-b、6-c、6-d 抵抗性周囲電極4の4角の各頂点及び引き出し線接続用端子部
7 座標検出回路
8 中間層
9 静電容量結合
10 座標指示ペン
11 ペンケーブル
12 スイッチa、b、c、d
13 AC信号発生器
14 バンドパスフィルターを含むアナログ信号処理部
15 A/Dコンバータ
16 プロセッサ(CPU)
17 制御基板
18a、18b 導電性セグメント
19 第一の直線状の導電性セグメントにおける破線線幅
20 第一の直線状の導電性セグメントにおける破線線長さA
21 第一の直線状の導電性セグメントにおける破線線長さB
22 第一の直線状の導電性セグメントにおける破線間隔
23 第二の階段状の導電性セグメントにおける階段線幅
24 第二の階段状の導電性セグメントにおける階段間隙
25 第二の階段状の導電性セグメントにおける階段の重なり長さ
26 第二の階段状の導電性セグメントにおける階段一段部の間隙
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7