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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-28
(45)【発行日】2022-07-06
(54)【発明の名称】ソケット、及びソケットを備える管継手
(51)【国際特許分類】
   F16L 37/23 20060101AFI20220629BHJP
   F16L 37/40 20060101ALI20220629BHJP
   F16J 15/10 20060101ALI20220629BHJP
【FI】
F16L37/23
F16L37/40
F16J15/10 L
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018031326
(22)【出願日】2018-02-23
(65)【公開番号】P2019143785
(43)【公開日】2019-08-29
【審査請求日】2021-01-29
(73)【特許権者】
【識別番号】301071893
【氏名又は名称】株式会社ハーマン
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】特許業務法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 直之
(72)【発明者】
【氏名】足立 康之
(72)【発明者】
【氏名】谷口 僚
【審査官】▲高▼藤 啓
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-249029(JP,A)
【文献】実開昭62-110688(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2010/0183361(US,A1)
【文献】実開昭48-102226(JP,U)
【文献】特開平6-147374(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 37/23
F16L 37/40
F16J 15/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラグが接続されることで、管継手を構成するソケットであって、
軸方向の第一側の開口から第二側に向けて前記プラグが挿入される主筒体と、
前記主筒体を径方向に貫通する貫通孔と、
前記主筒体の内側に位置し、前記主筒体に前記プラグが挿入されたときに、前記プラグに押されて第一位置から第二位置に移動する内筒体と、
前記内筒体を前記第一側に押すばねと、
前記貫通孔内に前記径方向に移動可能に位置し、前記主筒体に前記プラグが挿入されたときに、前記貫通孔から前記主筒体の径内側に一部が突出して前記プラグに引っ掛かるロック用部材と、
前記主筒体の内側に位置し、前記主筒体に前記プラグが挿入されたときに、前記プラグに接するシール部材と、を備え、
前記シール部材は、前記貫通孔よりも前記第二側に位置し、
前記シール部材は、前記主筒体に取り付けられる取付片と、前記取付片から前記径内側に突出した第一シール片と、前記第一シール片から前記第一側に突出した第二シール片と、を含み、
前記シール部材は、前記主筒体に前記プラグが挿入されたときに、前記プラグの先端面に前記第一シール片が当たり、かつ前記プラグの外周面に前記第二シール片が当たるように、弾性変形する、
ソケット。
【請求項2】
前記シール部材は、
前記内筒体が前記第一位置にあるとき、前記主筒体と前記内筒体の間に位置する、
請求項1のソケット。
【請求項3】
前記主筒体は、
前記主筒体の前記第一側の端部を構成する第一筒部と、前記第一筒部とは別体であり、前記主筒体の残りの部分を構成する第二筒部と、を有し、
前記貫通孔は、前記第一筒部に位置し、
前記シール部材は、前記第一筒部と前記第二筒部との間に挟まれている、
請求項1または2のソケット。
【請求項4】
前記取付片は、前記第一シール片よりも第二側に位置する部分を有し、
前記部分の前記径内側に、前記シール部材が弾性変形するための空間が形成される、
請求項1~3のいずれか一項のソケット。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項のソケットと、
前記ソケットに着脱可能に接続される前記プラグと、を備え、
前記プラグは、その外周面に溝を有し、
前記主筒体に前記プラグが挿入されたときに、前記溝に前記ロック用部材が引っ掛かることで、前記プラグの前記第一側への移動が規制される、
管継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソケット、及びソケットを備える管継手に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、プラグが接続されることで、管継手を構成するソケットが知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の継手部材(ソケット)は、その開口部分の内側にシール部材が配置されている。プラグと継手部材との間に形成される隙間は、このシール部材によって塞がれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-117582号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のソケットでは、その開口部分の内側に位置するシール部材に、埃等が付着しやすく、その結果、シール性能が低下するおそれがあった。
【0006】
また、特許文献1に記載のソケットでは、斜めに傾いた状態のプラグがシール部材に当たってシール部材に負荷がかかり、シール部材が欠けるおそれがあった。
【0007】
上記事情に鑑みて、本発明は、ソケットの内側にあるシール部材への埃等の付着を抑制することができ、かつプラグ挿入時のシール部材の欠けを抑制することができる、ソケット及びこのソケットを備えた管継手を提案することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る一態様のソケットは、プラグが接続されることで、管継手を構成するソケットである。一態様のソケットは、軸方向の第一側の開口から第二側に向けて前記プラグが挿入される主筒体と、前記主筒体を径方向に貫通する貫通孔と、前記主筒体の内側に位置し、前記主筒体に前記プラグが挿入されたときに、前記プラグに押されて第一位置から第二位置に移動する内筒体と、を備える。一態様のソケットはさらに、前記内筒体を前記第一側に押すばねと、前記貫通孔内に前記径方向に移動可能に位置し、前記主筒体に前記プラグが挿入されたときに、前記貫通孔から前記主筒体の径内側に一部が突出して前記プラグに引っ掛かるロック用部材と、前記主筒体の内側に位置し、前記主筒体に前記プラグが挿入されたときに、前記プラグに接するシール部材と、を備える。前記シール部材は、前記貫通孔よりも前記第二側に位置する。
【0009】
本発明に係る一態様の管継手は、前記ソケットと、前記ソケットに着脱可能に接続される前記プラグと、を備える。前記プラグは、その外周面に溝を有する。前記主筒体に前記プラグが挿入されたときに、前記溝に前記ロック用部材が引っ掛かることで、前記プラグの前記第一側への移動が規制される。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る一態様のソケット及びこのソケットを備える管継手では、ソケットの内側にあるシール部材への埃等の付着を抑制することができ、かつプラグ挿入時のシール部材の欠けを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態の管継手を示す断面図であり、ソケットにプラグが接続された状態を示す図である。
図2】同上のソケットを示す断面図であり、プラグが接続されていない状態を示す図である。
図3】同上のソケットの主筒体の分解斜視図である。
図4図1のA部を示す断面図である。
図5図2のB部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、ソケット、及びこのソケットを備える管継手に関し、詳しくは、プラグが接続されることで、管継手を構成するソケット、及びこのソケットを備える管継手に関する。
【0013】
[一実施形態]
1.概要
図1に示すように、一実施形態のソケット1は、プラグ2が接続されることで、管継手100を構成する。管継手100は、例えば、炊飯器・ガスストーブ・ガスファンヒータなどのガス機器と、都市ガスやLPガスなどの燃焼用ガスを供給するガス供給源との接続に用いられる。ガス供給源に接続されたガスチューブの端部にプラグ2が取り付けられ、ガス機器に接続されたガスチューブの端部にソケット1が取り付けられる。ガスチューブは、可撓性を有し、例えばゴムホースである。ソケット1にプラグ2が接続されることで、ガス供給源側のガスチューブとガス機器側のガスチューブとが連通接続される。
【0014】
ソケット1は、主筒体3、貫通孔30、内筒体4、ばね5、外筒体6、第二ばね7、ロック用部材8、シール部材9、カバー筒体10、支持筒体11、及び接続管12を備える。主筒体3の軸方向の第一側の開口31から第二側に向けてプラグ2が挿入される。
【0015】
以下では、図1に示す接続状態を基準にし、主筒体3の軸方向の第一側及び第二側と、主筒体3の径方向の径内側及び径外側を用いて、各構成についてさらに説明する。第二側は、プラグ2を挿入する向きであり、径内側は、径方向のうち、主筒体3の軸中心に向かう向きであり、径外側は、径方向のうち、主筒体3の軸中心から離れる向きである。
【0016】
2.各構成についての詳細
2-1.プラグ
図1には、プラグ2が概略的に示されている。プラグ2は、ソケット1に対して着脱可能である。プラグ2は、その内部に第一側の端から第二側の端まで延びた流通路20が形成されている。プラグ2は、その第二側の端部が、主筒体3内に挿入する部分となるプラグ先端部21である。なお、図示されていないが、プラグ2は、その第一側の端部に、ガスチューブに接続される取付部を備える。プラグ先端部21は、円筒状であり、その外周面22に周方向の全長にわたって溝23が形成されている。
【0017】
図4に示すように、プラグ先端部21の第二側を向く先端面24は、径内側に位置し、径方向に対して傾斜した第一押圧部240と、径外側に位置し、径方向に対して平行な第二押圧部241とを含む。第一押圧部240は、第二側の部分ほど径内側に位置するように傾斜した傾斜面である。第一押圧部240と第二押圧部241とは、連続している。プラグ2は、第一押圧部240によって、内筒体4を押し、第二押圧部241によって、シール部材9を押す。
【0018】
図1に示すように、プラグ2は、流通路20内に位置し、流通路20を開閉する開閉弁25を備えている。流通路20は、軸方向の一部に、径外側に広がった大径部26を有している。大径部26内に、開閉弁25を第二側に押すばね27が位置している。ばね27は、例えばコイルばねである。開閉弁25は、その一部が、ばね27によって大径部26の第二側の端面260に押し付けられることで、流通路20を塞ぐ。開閉弁25は、ばね27の弾性力に抗して第一側に押圧されると、大径部26の端面260から離れて、流通路20の閉塞を解除する。
【0019】
2-2.ソケット
2-2-1.主筒体
図2に示すように、主筒体3は、ソケット1の主体を構成する。主筒体3に、ソケット1のその他の構成が取り付けられる。
【0020】
主筒体3は、略円筒状である。主筒体3の第二側の端部には、接続管12の一端部が挿入されて取り付けられている。接続管12は、例えば金属製である。接続管12の他端部に、ガスチューブが接続される。
【0021】
主筒体3は、第一側の端部に、複数の貫通孔30が設けられている。複数の貫通孔30は、主筒体3を径方向に貫通している。複数の貫通孔30は、周方向に等間隔に配置されている。複数の貫通孔30のそれぞれは、円孔であり、径方向の全長にわたって、直径が略一定である。
【0022】
主筒体3は、図2及び図3に示すように、主筒体3の第一側の端部を構成する第一筒部32と、第一筒部32とは別体であり、主筒体3の残りの部分を構成する第二筒部33とを有する。複数の貫通孔30は、第一筒部32に位置する。第一筒部32と第二筒部33との間に、シール部材9が挟まれる。
【0023】
第一筒部32は、その第一側の端部に径外側に突出した鍔部320を有する。第一筒部32は、その第二側の端部に接続部321を有する。接続部321は、その内径が、第一筒部32のその他の部分の内径よりも大きい。
【0024】
第一筒部32は、鍔部320と接続部321との間の部分である中間部322に、複数の貫通孔30が形成されている。図5に示すように、中間部322の第二側を向く端面323には、シール部材9の一部が収容される凹部324が形成されている。凹部324は、径内側と第二側の両方に開放されている。
【0025】
図2及び図3に示すように、第二筒部33は、その第一側の端部に、第一筒部32の接続部321が接続される被接続部330を有する。被接続部330の外径は、接続部321の内径と略同じである。被接続部330の外周面には、凹部331が周方向の全長にわたって形成されている。凹部331には、接続部321と被接続部330との隙間を埋めるシール部材13が配置されている。シール部材13は、円環状であり、例えば合成ゴムなどで形成される。
【0026】
図5に示すように、被接続部330の第一側を向く面332には、シール部材9の一部が収容される凹部333が形成されている。凹部333は、径内側と第一側の両方に開放されている。
【0027】
図2に示すように、第二筒部33の第二側の端部に、接続管12が接続されている。図2及び図3に示すように、第二筒部33の外周面には、被接続部330よりも第二側に、径外側に突出した鍔部334が形成され、鍔部334から第二側に離れた位置に、カバー筒体10の取り付けに用いられる外取付凹部335が形成されている。第二筒部33の内周面には、接続管12の接続部位よりも第一側に、支持筒体11の取り付けに用いられる内取付凹部336が周方向の全長にわたって形成されている。
【0028】
図2に示すように、主筒体3の内側に、支持筒体11が取り付けられている。支持筒体11は、その第二側の端部を内取付凹部336に嵌め込むことで、第二筒部33に取り付けられる。支持筒体11は、略円筒状であり、第二筒部33と同心に配置されている。
【0029】
支持筒体11のうち第二側の端部を除いた残りの部分と第二筒部33とは、径方向に離間しており、この間が、第一側に開放された環状の収容部34となっている。収容部34に、内筒体4の一部とばね5とが収容される。収容部34の第二側の奥面と、内筒体4との間に、ばね5が配置されている。ばね5は、例えばコイルばねである。
【0030】
支持筒体11は、第一側の端部に径外側に突出した複数の鍔部110を有する。複数の鍔部110は、周方向に互いに離れて位置する。支持筒体11は、その径方向の中央部に、弁押圧片111が設けられている。弁押圧片111と、支持筒体11の第一側の端部とは、複数の連結片112(図では1つのみ表示)を介して連結されている。複数の連結片112は、周方向に互いに間隔をあけて位置し、支持筒体11の周方向の一部と一体である。
【0031】
弁押圧片111は、主筒体3の中心軸に沿って第一側に向けて延びており、弁押圧片111の先端は、第一筒部32の開口31より少し第二側に位置している。図1に示すように、弁押圧片111は、主筒体3内にプラグ2が挿入されたときに、プラグ2の開閉弁25を第一側に押圧し、これにより、開閉弁25を開く。
【0032】
図2に示すように、主筒体3の外側に、カバー筒体10が取り付けられている。カバー筒体10は、略円筒状であり、軸方向の中央部に、径内側に突出した嵌め込み部101を有する。カバー筒体10は、嵌め込み部101を外取付凹部335に嵌め込むことで、第二筒部33に取り付けられる。カバー筒体10は、第二筒部33の全体と、第一筒部32の貫通孔30よりも第二側の部分とを外周側から覆う。
【0033】
カバー筒体10のうち嵌め込み部101よりも第一側の部分と、第二筒部33及び第一筒部32とは、径方向に離間しており、この間が、第一側に開放された環状の外収容部35となっている。外収容部35に、外筒体6の一部と第二ばね7が収容される。外収容部35の第二側の奥面と、外筒体6との間に、第二ばね7が配置されている。第二ばね7は、例えばコイルばねである。
【0034】
2-2-2.内筒体
内筒体4は、主筒体3の内側に位置する。内筒体4は、主筒体3にプラグ2が挿入されたときに、プラグ2に押されて第一位置から第二位置に移動するように構成されている。
【0035】
図2に示すように、内筒体4は、略円筒状であり、収容部34にスライド移動可能に配置されている。内筒体4は、その第二側の端部が支持筒体11の外周面に接しており、支持筒体11と同軸上を軸方向に移動する。内筒体4は、その第二側に位置するばね5の弾性力によって、第一側に押されている。内筒体4は、その第二側の端部に、径内側に突出した係止突起40を有している。内筒体4は、係止突起40が支持筒体11の鍔部110に係止することで、第一側への抜け落ちが防がれる。
【0036】
内筒体4は、その第一側の端部に、第一筒部32の内周面及び第二筒部33の内周面に当接または近接対向するように、径外側に突出した作用部41が設けられている。作用部41の第二側を向く面に、ばね5の第一側の端部が当たっている。
【0037】
図5に示すように、作用部41の第一側の端部の内周面には、凹部42が周方向の全長にわたって形成されている。凹部42内には、シール部材14が配置されている。シール部材14は、円環状であり、例えば合成ゴムなどで形成される。プラグ2が挿入されたとき、シール部材14がプラグ2の先端面24に接する(図4参照)。
【0038】
図5に示すように、作用部41の第二側の部分の外周面には、凹部43が周方向の全長にわたって形成されている。凹部43には、シール部材15が配置されている。シール部材15は、内筒体4と第二筒部33のそれぞれに接する。シール部材15は、円環状であり、例えば合成ゴムなどで形成される。シール部材15は、周方向に直交する断面形状が略X字状である。これにより、内筒体4は、第二筒部33との間の気密的なシール状態を保ったまま、スライド移動が可能である。
【0039】
内筒体4は、プラグ2によって押されていない状態では、ばね5によって第一側に押されて、係止突起40が鍔部110に係止される第一位置に位置する。このとき、作用部41が、貫通孔30に対して径内側に並ぶように位置する。
【0040】
第一位置にある内筒体4は、プラグ2によって第二側に押されることで、図1に示す第二位置へ移動する。
【0041】
第二位置にある内筒体4は、ロック用部材8によってロックされて軸方向の移動が不可となっているときのプラグ2の先端面24に接しており、シール部材9(凹部333)よりも第二側に位置する。
【0042】
2-2-3.外筒体
外筒体6は、主筒体3の外側に位置する。外筒体6は、第三位置とこれよりも第一側の第四位置との間で軸方向に移動可能に構成されている。
【0043】
図2に示すように、外筒体6は、略円筒状であり、外収容部35にスライド移動可能に配置されている。外筒体6は、その内周面が主筒体3の第一筒部32及び第二筒部33の外周面に接しており、主筒体3と同軸上を軸方向に移動する。外筒体6は、その第二側に位置する第二ばね7の弾性力によって、第一側に押されている。
【0044】
図1及び図4に示すように、外筒体6は、その第二側の端部に、径内側に突出した係止突起60を有している。外筒体6は、係止突起60が第二筒部33の鍔部334に係止することで、第一側への抜け落ちが防がれる。
【0045】
外筒体6は、その第一側の端部に径外側に突出した膨出部61を有し、膨出部61と係止突起60との間に、径内側に突出した作用部62を有する。作用部62は、膨出部61から第二側に離れて位置する。外筒体6は、膨出部61と作用部62との間に中間部63を有する。係止突起60は、作用部62よりも径内側に突出している。外筒体6の第二側を向く面に、第二ばね7の第一側の端部が当たっている。
【0046】
作用部62の第一側を向く面は、ロック用部材8を押して径内側に移動させる押圧面620を構成している。押圧面620は、第一側の部分ほど径外側に位置するように傾斜した傾斜面である。
【0047】
図2及び図5に示すように、プラグ2が主筒体3に挿入されていない状態では、外筒体6は、押圧面620にロック用部材8が当たる第三位置に位置する。このとき、外筒体6の第一側への移動は、ロック用部材8によって規制されている。外筒体6が第三位置にあるとき、外筒体6のうち、押圧面620よりも第一側の部分が、カバー筒体10よりも第一側に位置して露出する。外筒体6が第三位置にあるとき、外筒体6の第一側の端面は、主筒体3の第一側の端面よりも僅かに第一側に位置し、係止突起60は、鍔部334から第二側に離れて位置する。
【0048】
図1及び図4に示すように、プラグ2が主筒体3に挿入された状態では、外筒体6は、係止突起60が鍔部334に係止される第四位置に位置する。このとき、外筒体6の第一側への移動は、鍔部334によって止められている。外筒体6が第四位置にあるとき、外筒体6のうち、押圧面620の第二側に隣接する部分64が、カバー筒体10よりも第一側に位置して露出する。外筒体6が第四位置にあるとき、作用部62が、貫通孔30に対して径外側に並ぶように位置する。本実施形態では、外筒体6が第四位置にあるとき、押圧面620が鍔部320に当たって係止される。
【0049】
2-2-4.ロック用部材
ロック用部材8は、貫通孔30内に径方向に移動可能に位置する。ロック用部材8は、主筒体3にプラグ2が挿入されたときに、貫通孔30から主筒体3の径内側に一部が突出してプラグ2に引っ掛かるように構成されている(図4参照)。さらにロック用部材8は、主筒体3にプラグ2が挿入されていないときに、貫通孔30から主筒体3の径外側に一部が突出して外筒体6に引っ掛かるように構成されている(図5参照)。
【0050】
ロック用部材8は、本実施形態では、球体である。ロック用部材8は、例えば、ステンレス鋼で形成された鋼球と、鋼球の外周面を覆うゴムなどのシール部材とで構成される。ロック用部材8の外径は、貫通孔30の外径と略同じであり、貫通孔30を気密的にシールしながら径方向に移動自在である。ロック用部材8の外径は、貫通孔30の径方向の長さよりも若干長い。そのため、ロック用部材8は、貫通孔30内に位置した状態で、一部が貫通孔30から径外側または径内側に突出する。
【0051】
2-2-5.シール部材
図1に示すように、シール部材9は、主筒体3の内側に位置する。シール部材9は、主筒体3にプラグ2が挿入されたときに、プラグ2に接するように構成されている。シール部材9は、貫通孔30よりも第二側に位置する。
【0052】
図3に示すように、シール部材9は、円環状であり、例えば合成ゴムなどで形成される。シール部材9は、周方向に直交する断面形状が、周方向の全長にわたって一定である。
【0053】
図5に示すように、シール部材9は、主筒体3に取り付けられる取付片90と、取付片90から径内側に突出した第一シール片91と、第一シール片91の径外側の部分から第一側に突出した第二シール片92と、を含む。
【0054】
第一シール片91は、取付片90の第一側の端部から径内側に突出している。取付片90は、第一シール片91よりも第二側に位置する部分を有し、この部分の径内側には、シール部材9が弾性変形するための空間93が形成されている。
【0055】
シール部材9は、取付片90が第一筒部32と第二筒部33との間に挟まれるように、主筒体3に取り付けられる。シール部材9は、主筒体3に取り付けられた状態で、第二シール片92が、凹部324に収容され、第一シール片91及び取付片90が、凹部333に収容される。第一シール片91の先端部(径内側の端部)は、凹部333よりも径内側に位置し、プラグ2の挿入経路上に位置する。
【0056】
シール部材9は、主筒体3にプラグ2が挿入されていない状態で、内筒体4の作用部41の外周面に当たっている。
【0057】
図4に示すように、主筒体3にプラグ2が挿入されたときに、プラグ2の先端面24に第一シール片91が当たり、プラグ2の外周面22に第二シール片92が当たるように、シール部材9が弾性変形する。
【0058】
詳しくは、プラグ2の先端面24の第二押圧部241によって第一シール片91の先端部が第二側に押されることで、第一シール片91が、第二側及び径外側に回転移動する。この第一シール片91の回転移動に伴って、第一シール片91と一体の第二シール片92が、第二側及び径内側に回転移動する。これにより、第一シール片91が、プラグ2の先端面24に当たった状態のまま、第二シール片92が、プラグ2の外周面22に押し当たる。
【0059】
3.ソケット
続いて、図2に示す、プラグ2が挿入されていない状態のソケット1について説明する。
【0060】
ソケット1では、主筒体3の内側に設けられた内筒体4が、ばね5の弾性力によって第一側に押されて、係止突起40が支持筒体11の鍔部110に接する第一位置に位置している。
【0061】
図5に示すように、内筒体4の作用部41は、貫通孔30の径内側に並ぶように位置する。作用部41の径外側の面には、貫通孔30内に配置されたロック用部材8が当たっており、ロック用部材8は、一部が貫通孔30から径外側に突出している。ロック用部材8の貫通孔30から突出した部分が、外筒体6の作用部62の押圧面620に当たっている。
【0062】
ここで、ロック用部材8は、押圧面620によって径内側に押されているが、ロック用部材8の径内側には作用部41が位置しているため、径内側への移動が不可となっている。そのため、第二ばね7によって第一側に押されている外筒体6は、第一側への移動が規制された状態となっており、外筒体6は押圧面620がロック用部材8に当たった第三位置で静止している。
【0063】
4.ソケットに対してプラグを着脱する方法
4-1.プラグの挿入
続いて、ソケット1にプラグ2を挿入する手順について説明する。
【0064】
ソケット1の主筒体3の開口31からプラグ2を第二側に挿入すると、プラグ2の先端面24の第一押圧部240が、第一位置にある内筒体4のシール部材14に接する。この状態から、ばね5の弾性力に抗してプラグ2を第二側にさらに押し込むと、内筒体4が第二側に移動し、プラグ先端部21の溝23が貫通孔30の径内側に位置する。すると、押圧面620によって径内側に押されていたロック用部材8が、径内側に移動して、プラグ先端部21の溝23に入り込み、プラグ2の軸方向の移動が規制される。このとき、内筒体4は、第二位置に位置する。
【0065】
ロック用部材8が径内側に移動すると、第三位置にある外筒体6は、ロック用部材8によって第一側への移動が規制されていた状態が解除され、第二ばね7の弾性力によって押されて、第一側に移動し、係止突起60が鍔部334に当たる第四位置で止まる。このとき、外筒体6の作用部62が、貫通孔30の径外側に位置して、ロック用部材8に当たる。
【0066】
この状態では、内筒体4を第一側に押すばね5の弾性力によって、プラグ2が第一側に押されているため、プラグ2の溝23の傾斜した側面によってロック用部材8が径外側に押される。しかし、貫通孔30の径外側には外筒体6の作用部62が位置しているため、ロック用部材8は移動不可となる。これにより、図1に示すように、プラグ2とソケット1とが接続された状態が、ロック用部材8によってロックされる。
【0067】
プラグ2とソケット1とが接続される際に、ソケット1の弁押圧片111がプラグ2の開閉弁25を第一側に押して開閉弁25を開き、プラグ2側のガスチューブとソケット1側のガスチューブとが連通する。
【0068】
4-2.プラグの抜き出し
続いて、ソケット1からプラグ2を抜き出す手順について説明する。
【0069】
まず、ソケット1の外筒体6を第二側に移動させる。外筒体6の作用部62が貫通孔30よりも第二側に位置すると、ロック用部材8は、プラグ2の溝23の傾斜した側面によって押されて径外側へ移動し、プラグ2をロックする状態を解除する。すると、内筒体4を介してばね5からの受ける弾性力によって、プラグ2は第一側に押し出される。このとき、内筒体4の作用部41は貫通孔30の径内側に移動し、ロック用部材8に当たる。貫通孔30から径外側に一部が突出したロック用部材8に外筒体6の押圧面620が当たり、外筒体6の第一側への移動が規制された状態となり、これにより、ソケット1は、プラグ2が挿入されていない状態に復帰する(図2参照)。このとき、弁押圧片111によって押されて開かれていたプラグ2の開閉弁25は、ソケット1からの離脱と同時に閉塞し、ガス供給源からの流体の流通を閉止する。
【0070】
5.変形例
以上説明したソケット1は、下記の変形例を採用可能である。
【0071】
主筒体3は、2部材(第一筒部32と第二筒部33)で構成されるものに限定されず、1部材で構成されてもよい。
【0072】
シール部材9は、周方向に直交する断面形状が、図に示す形状に限定されず、その他の形状であってもよく、例えば第二シール片92を備えなくてもよい。
【0073】
また、シール部材9は、取付片90が第一シール片91よりも第二側に位置する部分を有さなくてもよく、第一シール片91の第二側に、シール部材9が弾性変形可能な空間があればよい。
【0074】
ロック用部材8は、鋼球に限らず、材料及び形状を適宜選択可能である。例えば、ロック用部材8は、円柱状や角柱状などの棒状であってもよく、また、合成樹脂等で形成されてもよい。
【0075】
プラグ2及びソケット1のそれぞれは、ガスチューブを介さず、ガス供給源及びガス機器に直接取り付けてもよい。
【0076】
プラグ2及びソケット1の内部を流通する流体は、ガス等の気体に限らず、水等の液体であってもよい。
【0077】
6.まとめ
以上説明した一実施形態及びその変形例のソケット1のように、第一態様のソケット1は、下記の構成を備える。
【0078】
すなわち、第一態様のソケット1は、プラグ2が接続されることで、管継手100を構成するソケットである。第一態様のソケット1は、軸方向の第一側の開口31から第二側に向けてプラグ2が挿入される主筒体3と、主筒体3を径方向に貫通する貫通孔30と、主筒体3の内側に位置する内筒体4と、を備える。内筒体4は、主筒体3にプラグ2が挿入されたときに、プラグ2に押されて第一位置から第二位置に移動する。第一態様のソケット1はさらに、内筒体4を第一側に押すばね5と、貫通孔30内に径方向に移動可能に位置するロック用部材8と、主筒体3の内側に位置するシール部材9と、を備える。ロック用部材8は、主筒体3にプラグ2が挿入されたときに、貫通孔30から主筒体3の径内側に一部が突出してプラグ2に引っ掛かる。シール部材9は、主筒体3にプラグ2が挿入されたときに、プラグ2に接する。シール部材9は、貫通孔30よりも第二側に位置する。
【0079】
上記構成を備えることで、第一態様のソケット1では、主筒体3の内側のシール部材9が貫通孔30よりも第二側に位置するため、主筒体3の第一側の開口31からシール部材9までの距離が長くなり、シール部材9への埃等の付着を抑制することができる。また、第一態様のソケット1では、主筒体3の第一側の開口31からシール部材9までの距離が長くなるため、シール部材9に対してプラグ2が斜めに傾いた状態で当たりにくく、プラグ挿入時のシール部材9の欠けを抑制することができる。また、第一態様のソケット1では、挿入するプラグ2の勢いが、内筒体4を介してばね5から受ける弾性力によって抑えられるため、シール部材9に負荷がかかりにくくて欠けが生じにくい。
【0080】
また、第二態様のソケット1は、第一態様のソケット1の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0081】
すなわち、第二態様のソケット1では、シール部材9は、内筒体4が第一位置にあるとき、主筒体3と内筒体4の間に位置する。
【0082】
上記構成を備えることで、第二態様のソケット1では、プラグ2が挿入されていない状態(つまり内筒体4が第一位置にあるとき)では、シール部材9が主筒体3と内筒体4との間に位置して露出しない。これにより、第二態様のソケット1では、シール部材9への埃等の付着をさらに抑制することができる。
【0083】
また、第三態様のソケット1は、第一または第二態様のソケット1の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0084】
すなわち、第三態様のソケット1では、主筒体3は、主筒体3の第一側の端部を構成する第一筒部32と、第一筒部32とは別体であり、主筒体3の残りの部分を構成する第二筒部33と、を有する。貫通孔30は、第一筒部32に位置し、シール部材9は、第一筒部32と第二筒部33との間に挟まれている。
【0085】
上記構成を備えることで、第三態様のソケット1では、組み立ての際に、第一筒部32と第二筒部33との間にシール部材9を挟むことで、貫通孔30よりも第二側の箇所へシール部材9を取り付けることができる。そのため、第三態様のソケット1では、主筒体3の開口31から比較的離れた箇所(貫通孔30よりも第二側の箇所)へのシール部材9の取り付けが、簡単に行える。
【0086】
また、第四態様のソケット1は、第一~第三態様のいずれかのソケット1の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0087】
すなわち、第四態様のソケット1では、シール部材9は、主筒体3に取り付けられる取付片90と、取付片90から径内側に突出した第一シール片91と、第一シール片91から第一側に突出した第二シール片92と、を含む。シール部材9は、主筒体3にプラグ2が挿入されたときに、プラグ2の先端面24に第一シール片91が当たり、かつプラグ2の外周面22に第二シール片92が当たるように、弾性変形する。
【0088】
上記構成を備えることで、第四態様のソケット1では、挿入されたプラグ2に対して、第一シール片91と第二シール片92とで二重にシールすることが可能であり、シール性能が向上している。
【0089】
また、第五態様のソケット1は、第四態様のソケット1の構成に加えて、下記の構成を付加的に備える。
【0090】
すなわち、第五態様のソケット1では、取付片90は、第一シール片91よりも第二側に位置する部分を有し、この部分の径内側に、シール部材9が弾性変形するための空間93が形成される。
【0091】
上記構成を備えることで、第五態様のソケット1では、空間93においてシール部材9をより確実に弾性変形させることができ、第一シール片91と第二シール片92とによる二重のシールがより行いやすい。
【0092】
また、第六態様の管継手100は、第一~第五態様のいずれかの1つのソケット1と、ソケット1に着脱可能に接続されるプラグ2と、を備える。プラグ2は、その外周面22に溝23を有する。主筒体3にプラグ2が挿入されたときに、溝23にロック用部材8が引っ掛かることで、プラグ2の第一側への移動が規制される。
【0093】
上記構成を備えることで、第六態様の管継手100では、ソケット1内のシール部材9に埃等が付着しにくく、かつプラグ挿入時のシール部材9の欠けを抑制することができる管継手100を提供することができる。
【0094】
以上、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の意図する範囲内であれば、適宜の設計変更が可能である。
【符号の説明】
【0095】
1 ソケット
2 プラグ
22 外周面
23 溝
24 先端面
3 主筒体
30 貫通孔
31 開口
32 第一筒部
33 第二筒部
4 内筒体
5 ばね
8 ロック用部材
9 シール部材
90 取付片
91 第一シール片
92 第二シール片
93 空間
100 管継手
図1
図2
図3
図4
図5