(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-28
(45)【発行日】2022-07-06
(54)【発明の名称】燃料電池システム
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04 20160101AFI20220629BHJP
H01M 8/04701 20160101ALI20220629BHJP
H01M 8/04014 20160101ALI20220629BHJP
H01M 8/04029 20160101ALI20220629BHJP
F24H 9/02 20060101ALI20220629BHJP
F24H 1/00 20220101ALI20220629BHJP
【FI】
H01M8/04 Z
H01M8/04701
H01M8/04014
H01M8/04029
F24H9/02 302Z
F24H1/00 631A
(21)【出願番号】P 2018061433
(22)【出願日】2018-03-28
【審査請求日】2020-11-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000000284
【氏名又は名称】大阪瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092727
【氏名又は名称】岸本 忠昭
(72)【発明者】
【氏名】田中 雅士
【審査官】清水 康
(56)【参考文献】
【文献】特許第6198984(JP,B1)
【文献】特開2016-110723(JP,A)
【文献】特開2012-038538(JP,A)
【文献】国際公開第2011/067930(WO,A1)
【文献】特開2010-257580(JP,A)
【文献】特開2002-008687(JP,A)
【文献】国際公開第2018/030458(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0050574(US,A1)
【文献】特開2006-151303(JP,A)
【文献】特開2015-2093(JP,A)
【文献】特開2018-159519(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/04- 8/0668
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料極及び酸素極における燃料電池反応により発電を行う燃料電池本体と、前記燃料電池本体の排熱を温水として回収する貯湯装置と、前記燃料電池本体及び前記貯湯装置を収容する収容ハウジングと、を備えた燃料電池システムであって、
前記収容ハウジング
の一側壁の下部又は上部に、外部の空気を前記収容ハウジング内に吸入するための吸気口が設けられているとともに、
前記収容ハウジングの前記一側壁と対向する他側壁の上部又は下部に、前記収容ハウジング内の空気を外部に排出ための排気口が設けられ、前記排気口の
内側に、前記収容ハウジング内の空気を換気するための換気ファンが設けられており、
また、前記貯湯装置は、温水を貯めるための貯湯タンクと、前記燃料電池本体から流れる冷却水及び/又は排気ガスと前記貯湯タンクから流れる水との間で熱交換を行うための熱交換器と、前記熱交換器の上流側に配設されたラジエタと、前記貯湯タンク内の水を前記ラジエタ及び前記熱交換器を通して循環させるための熱回収循環流路と、を備え、
前記ラジエタは前記収容ハウジングの前記吸気口の内側に
配設されており、
前記換気ファンの作用によって前記吸気口を通して吸入された空気は、前記ラジエタの周囲を通って前記排気口に向けて斜めに流れて前記排気口から排出されることを特徴とする燃料電池システム。
【請求項2】
前記吸気口の近傍、或いは前記ラジエタ又はその近傍に、前記収容ハウジング内の温度を維持するための温度維持用加熱ヒータが配設されていることを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電を行う燃料電池本体と、この燃料電池本体の排熱を温水として回収するための貯湯装置とを備えた燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池システムとして、発電を行う燃料電池本体と、この燃料電池本体からの排熱を温水として貯えるための貯湯装置とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このような燃料電池システムでは、燃料電池本体には冷却水循環流路が設けられ、この冷却水循環流路を通して冷却水が循環される。また、貯湯装置は、温水を貯えるための貯湯タンクと、貯湯タンクからの水を循環するための熱回収循環流路とを備え、この熱回収循環流路に熱交換器が配設されている。更に、熱回収循環流路の一部をバイパスしてバイパス流路が設けられ、このバイパス流路にラジエタが設けられているとともに、バイパス流路と熱回収循環流路との接続部に三方弁が配設されている。
【0003】
このような燃料電池システムでは、通常、貯湯タンクからの水が熱回収循環流路及び熱交換器を通して循環され、この熱交換器にて熱回収循環流路を流れる水と冷却水循環流路を流れる冷却水との間で熱交換が行われ、この熱交換により加温された水が熱回収循環流路を通して貯湯タンクに貯められる。また、貯湯タンクが温水で満たされたときには、三方弁が切り替えられて熱回収循環流路とバイパス流路とが連通され、貯湯タンクからの温水がバイパス流路及びラジエタを通して流れ、このラジエタにて温度が下がった温水(水)が熱交換器に送給され、熱交換器にて温度の下がった温水と冷却水循環流路を流れる冷却水との間で熱交換が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した燃料電池システムでは、次のような問題がある。第1に、貯湯タンクから熱交換器に流れる水(温水)の流れを切り替えるための三方弁及びバイパス流路などを必要とするために、その構成が複雑になり、不具合の発生要因になるとともに、製造コストも高くなる問題がある。
【0006】
第2に、このような燃料電池システムでは、燃料電池本体及び貯湯装置などが収容ハウジングに収容されるが、この場合、収容ハウジング内が高温となるのを防止するために、収容ハウジングに換気口が設けられるとともに、この換気口に換気ファンが配設され、ラジエタに設けられるラジエタファンに加えて換気ファンを必要とし、このようなこと関連しても、その構成が複雑になるとともに、製造コストが高くなる問題がある。
【0007】
本発明の目的は、貯湯装置に関連してその構成の簡略化を図るとともに、製造コストの低減を図ることができる燃料電池システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1に記載の燃料電池システムは、燃料極及び酸素極における燃料電池反応により発電を行う燃料電池本体と、前記燃料電池本体の排熱を温水として回収する貯湯装置と、前記燃料電池本体及び前記貯湯装置を収容する収容ハウジングと、を備えた燃料電池システムであって、
前記収容ハウジングの一側壁の下部又は上部に、外部の空気を前記収容ハウジング内に吸入するための吸気口が設けられているとともに、前記収容ハウジングの前記一側壁と対向する他側壁の上部又は下部に、前記収容ハウジング内の空気を外部に排出ための排気口が設けられ、前記排気口の内側に、前記収容ハウジング内の空気を換気するための換気ファンが設けられており、
また、前記貯湯装置は、温水を貯めるための貯湯タンクと、前記燃料電池本体から流れる冷却水及び/又は排気ガスと前記貯湯タンクから流れる水との間で熱交換を行うための熱交換器と、前記熱交換器の上流側に配設されたラジエタと、前記貯湯タンク内の水を前記ラジエタ及び前記熱交換器を通して循環させるための熱回収循環流路と、を備え、前記ラジエタは前記収容ハウジングの前記吸気口の内側に配設されており、
前記換気ファンの作用によって前記吸気口を通して吸入された空気は、前記ラジエタの周囲を通って前記排気口に向けて斜めに流れて前記排気口から排出されることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の請求項2に記載の燃料電池システムでは、前記吸気口の近傍、或いは前記ラジエタ又はその近傍に、前記収容ハウジング内の温度を維持するための温度維持用加熱ヒータが配設されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の請求項1に記載の燃料電池システムによれば、収容ハウジングには吸気口及び排気口が設けられ、この排気口の内側に換気ファンが設けられている。また、貯湯装置は、温水を貯めるための貯湯タンクと、貯湯タンクからの水との間で熱交換を行う熱交換器と、熱交換器の上流側に配設されたラジエタと、貯湯タンク内の水を循環させるための熱回収循環流路とを備え、貯湯タンクからの水がラジエタ及び熱交換器を通して循環されるように構成されているので、選択的にラジエタを通して水(温水)を流すための三方弁及びバイパス流路を必要とせず、貯湯装置に関連する構成の簡略化を図って製造コストを低減することができる。また、このラジエタが収容ハウジングの吸気口の内側に配設され、換気ファンによる吸気口を通しての空気の流れによってラジエタが冷却されるために、ラジエタファンなども必要とせず、このことに関連しても貯湯装置に関連する構成の簡略化、製造コストの低減を図ることができる。更に、吸気口は収容ハウジングの一側壁の下部(又は上部)に設けられ、排気口は収容ハウジングの他側壁の上部(又は下部)に設けられているので、吸気口から流入した空気は、換気ファンの作用によって、ラジエタの周囲を通り、この収容ハウジング内を斜めに流れて排気口から排出され、この空気の流れを利用して収容ハウジング内の換気とラジエタの冷却とを行うことができる。
【0012】
また、本発明の請求項2に記載の燃料電池システムによれば、吸気口の近傍(或いはラジエタ又はその近傍)に、温度維持用加熱ヒータが配設されているので、冬季などの大気の温度が低いときに換気ファンを作動させて収容ハウジング内を換気する際においても、この温度維持用加熱ヒータを作動させることにより、ラジエタ及びその近傍での凍結を防止することができる。また、収容ハウジング内の温度を維持するための温度維持用加熱ヒータを用いて加熱するので、凍結防止のための専用の加熱ヒータを設ける必要がなく、このことに関連しても構成の簡略化、製造コストの低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明に従う燃料電池システムの一実施形態の全体を示す簡略図。
【
図2】
図1の燃料電池システムにおいて貯湯タンクが温水で満水になったときの運転状態を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明に従う燃料電池システムの一実施形態について説明する。
図1において、図示の燃料電池システムは、燃料電池本体2、改質器4及び貯湯装置6を備え、これら燃料電池本体2、改質器4及び貯湯装置6が箱状の収容ハウジング8内に所要の通りに収容されている。燃料電池本体2は、燃料極10及び空気極12を有し、燃料極10及び空気極12の酸化及び還元による燃料電池反応(所謂、電気化学反応)によって発電を行う。このような燃料電池本体2は、電解質として高分子電解質膜を用いる固体高分子形のもの(PEFC)、電解質としてイオン伝導性セラミックスを用いるもの(SOFC)などを用いることができる。
【0016】
この燃料電池本体2の燃料極10の導入側は、改質ガス送給流路14を介して改質器4に接続され、この改質器4は、燃料ガス供給流路16を介して燃料ガスを供給するための燃料ガス供給源(図示せず)に接続されている。この燃料ガス供給源としては、例えば、埋設管、貯蔵タンクなどであり、このような燃料ガス供給源から燃料ガスとしての例えば都市ガスが供給される。燃料ガス供給流路16には、燃料ガスを改質器4に向けて供給するための燃料供給ポンプ18が配設されているとともに、この燃料供給ポンプ18の上流側に、燃料ガスの供給、供給停止を行うための燃料開閉弁20が配設されている。
【0017】
また、改質器4は、改質水を気化させるための水蒸気発生部22と、燃料ガスを改質するための改質部24とを備え、改質部24には、燃料ガスを水蒸気改質するための改質触媒(図示せず)が充填されている。改質器4の水蒸気発生部22には燃料ガス供給流路16が接続され、その改質部24には改質ガス送給流路14が接続されている。また、改質器4の水蒸気発生部22は水供給流路26を介して水タンク28に接続され、この水供給流路28に改質水を改質器4に供給するための水供給ポンプ30が配設されている。
【0018】
このように構成されているので、水タンク28内の改質水は、水供給ポンプ30によって水供給流路26を通して改質器4の水蒸気発生部22に供給され、この水蒸気発生部22にて気化されて水蒸気となる。また、燃料ガス供給源(図示せず)からの燃料ガスは、燃料供給ポンプ18によって燃料ガス供給流路16を通して改質器4の水蒸気発生部22に供給され、この水蒸気発生部22にて水蒸気と混合され、この混合ガスが改質部24に送給される。改質器4の改質部24では、燃料ガスが水蒸気改質され、水蒸気改質された改質ガスが改質ガス送給流路14を通して燃料電池本体2の燃料極10側に送給される。
【0019】
また、燃料ガス本体2の空気極12の導入側は空気供給流路32を介して空気ブロア34に接続されている。尚、この空気ブロア34の配設部位に対応して、収容ハウジング8の所定部位、例えば一側壁36の上部に吸入口38が設けられている。このように構成されているので、外部の空気は、空気ブロア34により収容ハウジング8の吸入口38を通して吸入された後に、空気供給流路32を通して燃料電池本体2の空気極12側に供給される。
【0020】
燃料電池本体2の燃料極10側には上述したようにして改質ガスが送給され、またその空気極12側には上述したようにして空気が送給され、この燃料電池本体2の燃料極10及び空気極12の酸化及び還元による燃料電池反応(所謂、電気化学反応)によって発電が行われる。
【0021】
燃料電池本体2の燃料極10からの反応燃料ガスは、反応ガス排出流路40を通して大気中に排出される。また、その空気極12からの反応空気は、反応空気排出流路42を通して大気中に排出される。本明細書において「排気ガス」とは、反応燃料ガス及び反応空気を含む概念として用いている。
【0022】
この燃料電池システムでは、燃料電池本体2を冷却するための冷却手段46が設けられている。冷却手段46は、冷却水を収容する冷却水タンク48と、冷却水タンク48内の冷却水を燃料電池本体2の冷却部50を通して循環するための冷却水循環流路52とを備え、冷却水循環流路52に冷却水循環ポンプ54が配設されている。このように構成されているので、冷却水タンク48内の冷却水は、冷却水循環ポンプ54により冷却水循環流路52を通して循環され、かく循環される冷却水によって、燃料電池本体2の冷却部50が冷却される。
【0023】
貯湯装置6は、温水を貯めるための貯湯タンク56と、貯湯タンク56内の水(温水)を循環させて熱回収を行う熱回収循環流路58とを備え、この熱回収循環流路58に第1熱交換器60及び第2熱交換器62が配設され、更に貯湯タンク56内の水(温水)を送給するための水循環ポンプ64、熱回収開閉弁65及びラジエタ66が配設されている。第1熱交換器60は、冷却手段46に関連して設けられ、熱回収循環流路58を流れる水(温水)と冷却水循環流路52を流れる冷却水との間で熱交換する。また、第2熱交換器62は、燃料電池本体2の排出側に関連して設けられ、反応ガス排出流路40を通して流れる反応燃料ガス及び反応空気排出流路42を通して流れる反応空気(排気ガス)と熱回収循環流路58を流れる水(温水)との間で熱交換を行う。また、ラジエタ66は熱回収循環流路58を流れる水(温水)を後述する如く冷却し、熱回収開閉弁65は、貯湯タンク56からの水(温水)の送給、送給停止を行う。
【0024】
この貯湯タンク56の底部には、例えば水道水を供給するための水補給流路68が設けられ、この水補給流路68に補給開閉弁70が配設されている。また、貯湯タンク56の上端部には出湯流路72が接続され、貯湯タンク56内の温水が出湯流路72を通して出湯される。
【0025】
このように構成されているので、貯湯タンク56内の水(温水)は、水循環ポンプ64により熱回収循環流路58、ラジエタ66、第1熱交換器60及び第2熱交換器62を通して循環され、第1熱交換器60にて冷却水循環流路52を流れる冷却水との間での熱交換により加温され、また第2熱交換器62にて反応ガス排出流路40を通して流れる反応燃料ガス及び反応空気排出流路42を通して流れる反応空気との間の熱交換により加温され、このように加温された温水が貯湯タンク56に貯えられる。尚、第2熱交換器62での熱交換により、反応燃料ガス及び反応空気(排気ガス)に含まれる水分が凝縮され、かく凝縮した凝縮水は、水回収流路73を通して水タンク28に回収され、かく回収された凝縮水が改質水として用いられる。
【0026】
この燃料電池システムでは、更に、次のように構成されている。この実施形態では、収容ハウジング8の上記一側壁36の下部に吸気口74が設けられ、この吸気口74の内側にラジエタ66が配置されている。また、収容ハウジング8のこの一側壁36と対向する他側壁76の上部に排気口78が設けられ、この排気口78に関連して、この形態ではその内側に換気ファン80が配設されている。
【0027】
このように構成されているので、収容ハウジング8内の温度が上昇して空気の換気が必要になると、換気ファン80が作動して収容ハウジング8内の換気が行われる。
図2をも参照して、換気ファン80が作動すると、収容ハウジング8内の空気が矢印82で示すように排気口78を通して外部に排出され、これに伴い、矢印84で示すように吸気口74を通して外気が導入される。そして、吸気口74を通して導入された空気は、
図2に破線矢印で示すように排気口74に向けて斜め上方に流れ、かく流れる空気流によって収容ハウジング8内が所要の通りに換気冷却され、例えば収容ハウジング8内に内蔵された制御機器類85(制御基板類)などが冷却される。
【0028】
この実施形態では、更に、収容ハウジング8の温度を維持するための温度維持用加熱ヒータ86が設けられ、この温度維持用加熱ヒータ86が吸気口74の近傍(図示の形態では、収容ハウジング8の上記一側壁36の内側における吸気口74の下側)に配設されている。従って、収容ハウジング8内の温度が低いときには、この温度維持用加熱ヒータ86が付勢され、温度維持用加熱ヒータ86からの熱により収容ハウジング8内が温められる。この温度維持用加熱ヒータ86は、後に説明する理由により、ラジエタ66に直接的に取り付けるようにしてもよく、又はこのラジエタ66の近傍に配設するようにしてもよい。
【0029】
この燃料電池システムでは、貯湯タンク56内が温水により満水状態になると、貯湯タンク56から第1熱交換器60に流れる温水の温度を下げた後に排熱の回収が行われるように構成されている。即ち、このときには、換気ファン80が作動して収容ハウジング8内の換気が行われ、この換気の際に吸気口74からの空気は、ラジエタ66の周囲を通って下流側に流れる。従って、貯湯タンク56からの温水がラジエタ66を流れる際に、吸気口74から流入する空気により冷却され、このようにして温度が下がった温水が熱回収循環流路58、第1熱交換器60及び第2熱交換器52を通して流れる。それ故に、第1熱交換器60での上述した熱交換が可能となり、また第2熱交換器62での上述した熱交換が可能となり、貯湯タンク56が温水で満水状態であっても燃料電池本体2からの排熱の回収を所要の通りに行うことができる。
【0030】
このような排熱回収動作では、換気ファン80の作動により生じる空気流によって、ラジエタ66を流れる温水(即ち、貯湯タンク56からの温水)の温度を下げているので、従来のラジエタに設けられていたラジエタファンを省略することができ、貯湯装置6に関連する構成の簡略化、製造コストの低減を図ることができる。また、このようなラジエタ66の配置接続構造では、熱回収循環流路58をバイパスしてバイパス流路を設ける必要がなく、更に流路を選択的に切り替えるための三方弁なども必要とせず、これによっても、貯湯装置6に関連する構成の簡略化、製造コストの低減を図ることができる。加えて、このラジエタ66が収容ハウジング8の吸気口74の内側に配設されているので、吸気口74を通して流入する空気流によってラジエタ66を効果的に冷却することができる。
【0031】
また、冬季などの外気が冷たいときに換気ファン80を作動させて収容ハウジング8内を換気するときには、収容ハウジング8の吸気口74を通して流入する空気流によりラジエタ66が過冷却され、この過冷却により貯湯タンク56からの水がラジエタ66にて凍結するおそれがある。このような場合、温度維持用加熱ヒータ86が作動され、この温度維持用加熱ヒータ86からの熱によりラジエタ66が加熱され、このように制御することによって、ラジエタ66を流れる水が凍結するのを防止することができる。このような構成では、収容ハウジング8内の温度を維持するための温度維持用加熱ヒータ86を用いてラジエタ66での凍結防止を行っているので、凍結防止の専用ヒータを設ける必要はなく、このことに関連しても、構成の簡略化、製造コストの低減を図ることができる。
【0032】
以上、本発明に従う燃料電池システムの一実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変更乃至修正が可能である。
【0033】
例えば、上述した実施形態では、第1熱交換器60にて燃料電池本体2の冷却水との間で熱交換を行って排熱を回収するとともに、第2熱交換器62にて燃料電池本体2の反応燃料ガス及び反応空気(排気ガス)との間で熱交換を行って排熱を回収しているが、これらの排熱の一方、即ち冷却水からの排熱又は反応燃料ガス及び反応空気(排気ガス)からの排熱(排気ガスとして反応燃料ガス又は反応空気からの排熱でもよい)を回収するようにしてもよい。
【0034】
また、例えば、上述した実施形態では、燃料ガスとして例えば都市ガスを用いているために、収容ハウジング8の一側壁36の下部に吸気口74を設け、その他側壁76の上部に排気口78を設けているが、燃料ガスとして例えばLPガスを用いる場合、収容ハウジング8の一側壁36の上部に吸気口74が設けられ、その他側壁76の下部に排気口78が設けられる。
【0035】
更に、例えば上述した実施形態では、貯湯装置6の貯湯タンク56を収容ハウジング8内に収容されているが、燃料電池本体2を収容する収容ハウジング8と別個に貯湯ハウジング(図示せず)を設け、この貯湯ハウジング内に貯湯装置6の貯湯タンク56を収容するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0036】
2 燃料電池本体
4 改質器
6 貯湯装置
8 収容ハウジング
56 貯湯タンク
58 熱回収循環流路
60,62 熱交換器
66 ラジエタ
74 吸気口
76 排気口
80 換気ファン
86 温度維持用加熱ヒータ