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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-28
(45)【発行日】2022-07-06
(54)【発明の名称】車両用筐体
(51)【国際特許分類】
   F21S 43/27 20180101AFI20220629BHJP
   F21S 41/29 20180101ALI20220629BHJP
   F21V 15/01 20060101ALI20220629BHJP
   F21W 102/10 20180101ALN20220629BHJP
   F21W 103/35 20180101ALN20220629BHJP
【FI】
F21S43/27
F21S41/29
F21V15/01
F21W102:10
F21W103:35
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018094206
(22)【出願日】2018-05-16
(65)【公開番号】P2019200897
(43)【公開日】2019-11-21
【審査請求日】2021-04-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000001133
【氏名又は名称】株式会社小糸製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100087826
【弁理士】
【氏名又は名称】八木 秀人
(72)【発明者】
【氏名】西崎 昌彦
(72)【発明者】
【氏名】影山 裕之
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-252590(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 43/27
F21S 41/29
F21V 15/01
F21W 102/10
F21W 103/35
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、前記ハウジングの前面に溶着一体化された前面カバーとを備えた長尺の車両用筐体であって、
前記前面カバーの長手方向の略中央には、前記ハウジングの長手方向の略中央位置に対応した、前記ハウジング取付け方向に向かって突出または陥没する、位置決め用の凸部または位置決め用の凹部が設けられており、
前記位置決め用の凸部または位置決め用の凹部は、前記ハウジングの長手方向の略中央に対応する位置に配置される、前記前面カバーに対して移動可能な位置決め治具に設けられた係合用の凹部または係合用の凸部に係合する、
ことを特徴とする車両用筐体。
【請求項2】
前記位置決め用の凸部または位置決め用の凹部は、前記ハウジング取付け方向に向けて厚み又は深さが増す形状である、
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用筐体。
【請求項3】
前記位置決め用の凸部または位置決め用の凹部は、前記前面カバーを正面視して視認されにくい該正面側の背面側に形成された、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用筐体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は車両用筐体、特に各パーツが溶着されることで室を画成する車両用筐体に関する。
【背景技術】
【0002】
車両部品として、樹脂部品によって室または灯室を画成する車両用灯具等の車両用筐体は、ハウジングの前面にカバーが溶着されることで形成される。ここでまず、従来の溶着の工程を説明する。
【0003】
図12-1および図12-2は、ハウジング130とカバー140を熱板溶着する熱板溶着工程を示す説明図である。熱板溶着は、ワークの溶着予定部位の部材を熱板により熱して融解させ、接合して一体化させるものである。
【0004】
ハウジング受治具150は、第1のワークであるハウジング130を搭載するためのものであり、上面にハウジング130の外形に合わせた凹部152が形成されている。
【0005】
ハウジング受治具150に対向して配置されているカバー保持具160は、第2のワークであるカバー140を保持するためのものであり、ハウジング受治具150の対向面である下面にカバー140の前面142の形状に合わせた凹部162が形成されている。
【0006】
カバー140は、下方へ突出するシール脚141が全周に渡って形成され、ハウジング130の開口部にはフランジ部131が全周に渡って形成されている。
【0007】
図12-1(a)に示すように、まず、ハウジング受治具150にハウジング130を、カバー保持具160にカバー140を、それぞれ搭載する。溶着が行われるカバー140のシール脚141とハウジング130のフランジ部131が対向して配置される。カバー保持具160の凹部162の底面には図示しない吸着機構が備えられており、カバー140はこの吸着機構により安定してカバー保持具160に保持される。フランジ部131がハウジング受治具150の上壁154に載置された状態で、ハウジング130はハウジング受治具150に保持される(図12-1(b)参照)。
【0008】
次に、ハウジング130とカバー140の間に熱板170が移動する(図12-1(c)参照)。さらに、カバー保持具160が下降し、ハウジング受治具150が上昇して、熱板170に接近する(図12-1(d)参照)。シール脚141およびフランジ部131が熱板170に近接した状態で保持され、赤外線の熱エネルギーにより、シール脚141の先端部とフランジ部131の上面部が融解する。
【0009】
その後、カバー保持具160が上昇、ハウジング受治具150が下降するとともに、熱板170がカバー140とハウジング130との間から除去される(図12-2(e)参照)。
【0010】
次に、カバー保持具160が下降し、シール脚141がフランジ部131に当接する。溶着予定面のシール脚141の先端部とフランジ部131の上面部が互いに圧着され結合する(図12-2(f)参照)。
【0011】
吸着機構(不図示)による吸着が解除され、カバー保持具160が上昇し、カバー140とハウジング130とが一体化した車両用筐体101が取り出される(図12-2(g)参照)。
【0012】
以上が溶着の工程であるが、車両用筐体においては、ハウジングとカバーが所望の位置で一体化されていることが重要である。このため、ハウジングとカバーが搭載される段階で両者の位置合わせが行われる。
【0013】
ハウジング受治具150の凹部152とカバー保持具160の凹部162は、それぞれハウジング130とカバー140の形状に合わせて形成されているが、着脱を容易にするための若干の隙を有する。従来は、図13(a)に示すように、各凹部(52、62)内で、カバー140とハウジング130を片側の壁に寄せて位置合わせを行っていた。また、特許文献1では、ずれなく両者を位置合わせする構造として、ハウジングの前面四方四箇所に位置決め凸部を設けている。
【0014】
このように位置合わせを行うことにより、所望の位置Aでカバー140とハウジング130とを溶着させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【文献】特開平10-308103号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかし、長尺な品、一例として800mm以上、あるいは射出成型の際に3点以上の多点ゲートを要するような品においては、成形収縮が顕著であり、長手方向の寸法がばらつくことが多い。特許文献1の構造では、四方四箇所に設けられた位置決め凸部を正確に所望の位置に形成すること自体が困難である。
【0017】
また、片側に寄せて位置合わせを行うと、誤差分が全て一方によってしまう。一方では所望の位置Aに配置させることができるが、もう一方ではカバー140とハウジング130の所望の位置Aと実際の位置A’のずれd(図13(b)参照)が、最悪ずれの許容範囲を超えてしまうこととなる。
【0018】
本発明は、このような事情に鑑みて、溶着時のハウジングとカバーとの相互位置のずれを抑えた車両用筐体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
前記目的を達成するために、本発明のある態様では、ハウジングと、前記ハウジングの前面に溶着一体化された前面カバーとを備えた長尺の車両用筐体であって、前記前面カバーの長手方向の略中央には、前記ハウジングの長手方向の略中央位置に対応した、前記ハウジング取付け方向に向かって突出または陥没する、位置決め用の凸部または位置決め用の凹部が設けられているよう構成した。
【0020】
この態様によれば、前面カバーとハウジングとを略中央位置に配置させることができる。両者を長手方向の端部に寄せ合わせて位置合わせすると、位置合わせした側とは反対側の端部に成形誤差が集中し、相互位置のズレ量が許容範囲を超える可能性が大きくなる。略中央に凸部を作り略中央で位置合わせすることで、誤差を長手方向の両側端部へ分散させることができ、全体としての相互位置のズレを抑えることができる。
【0021】
好ましくは、前記位置決め用の凸部または位置決め用の凹部は、前記ハウジングの長手方向の略中央に対応する位置に配置される、前記前面カバーに対して移動可能な位置決め治具に設けられた係合用の凹部または係合用の凸部に係合するものとする。
【0022】
位置決め用の凸部または位置決め用の凹部が、係合用の凹部または係合用の凸部に係合することで、カバーとハウジングの相互位置を中央で合わせることができる。
【0023】
ハウジングに直接凹部を設けるのではなく、ハウジング側の凹部は固定治具に設けることで、前面カバー側に凸部を形成するのみで位置合わせができ、見栄えへの影響を抑えることができる。
【0024】
好ましくは、前記位置決め用の凸部または位置決め用の凹部は、前記ハウジング取付け方向に向けて厚み又は深さが増す形状であるものとする。
【0025】
この態様によれば、前面カバーを凸部で位置合わせする際に、前面カバーを相手側の凹部に係合させやすく、また係合後抜き取りしやすい。取付け位置へ向かって厚みを増すため、逆の構成よりも目立たず、見栄えへの影響を抑えることができる。
【0026】
好ましくは、前記位置決め用の凸部または位置決め用の凹部は、前記前面カバーを正面視して視認されにくい該正面側の背面側に形成されるものとする。
【0027】
この態様によれば、視認されにくい箇所に凸部または凹部が形成されるため、見栄えへの影響を最小限に留めることができる。
【発明の効果】
【0028】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、溶着時のハウジングとカバーとの相互の位置ずれを抑えた車両用筐体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】第1の実施形態に係る車両用筐体、保持具、および受治具の斜視図である。
図2図1の正面図である。
図3図2の正面縦端面図である。
図4図1の右側面図である。
図5図1のA部拡大図である。
図6図1のB部拡大図である。
図7】位置決め凸部と移動具の係合を示す説明図である。
図8図7のC部拡大図である。
図9】カバーがカバー保持具に、ハウジングがハウジング受治具にそれぞれ搭載された状態の右側面図である。
図10】車両用筐体が車両に搭載された状態での使用者の視線と搭載位置との関係を示す説明図である。
図11】変形例である。
図12-1】ハウジングとカバーの溶着工程を示す説明図である。
図12-2】ハウジングとカバーの溶着工程を示す説明図である。
図13】ハウジングとカバーの配置のずれを示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の具体的な実施形態を、図面を参照しながら説明する。実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0031】
(実施形態)
図1は、本発明の実施形態に係る車両用筐体1を構成するハウジング30とカバー40、およびこれらを搭載するハウジング受治具50、カバー保持具60の斜視図である(図12-1(a)に対応する)。図2図1の正面図、図3図2の正面縦端面図、図4図1の右側面図、図5はA部拡大図、図6図1のB部拡大図である。
【0032】
図1図6に示すように、車両用筐体1は、ハウジング30とカバー40により構成される。車両用筐体1はハイマウントストップランプであり、左右方向に長い長尺品で、車両背面の上部に搭載されるものである。このため、ハウジング30およびカバー40は、一方向に長く形成されている。ハウジング30は一面が開口して内部に空間を有する箱形状であり、開口面に透明性のカバー40が溶着して一体化され、灯室を有する車両用筐体1が形成される。
【0033】
カバー40とハウジング30は対向して配置され、凹凸の少なく軽いカバー40が上側に配置されるが、配置は逆であってもよい。
【0034】
ハウジング30はABS系の樹脂成型品であり、開口部の全周にフランジ部31が形成されている。ハウジング受治具50の上面には、ハウジング30の外形に合わせた凹部52が形成されており、ハウジング30はこの凹部52に搭載される。ハウジング30がハウジング受治具50に搭載された状態で、フランジ部31はハウジング受治具50上面縁の上壁54に載置される。
【0035】
カバー40は透光性を有するアクリル樹脂品で、下方へ突出するシール脚41が全周に渡って下面に形成されている。長手方向にのびるシール脚41の前面側の外壁は、中央部分を除き角が全長に渡って斜めに切り取りとった切り欠き部43を有し、切りかかれずに残された部分が位置決め凸部42を形成している。
【0036】
図5に示すように、位置決め凸部42は三角柱形状で、下方および前方に向かって突出している。切りかかれずに残った正面壁と底面壁が二面を構成し、切りかかれた部分が側面を形成し、下方および正面に向かって厚みが増す形状となっている。周囲を凹ませることで相対的に凸部が形成されており、位置決め凸部42はシール脚41の下面壁や正面壁から突出していない構成となっている。
【0037】
位置決め凸部42は、ハウジング30との位置合わせのために形成される。シール脚41に凸部を追加して形成した場合、凸部がシール脚41から突出して形成されるため、見栄えの低下が懸念される。本実施形態のように、周囲を削ることで相対的に凸部を形成することで、凸部形成の見栄えへの影響を最小限に抑えることができる。位置決め凸部42は、壁から出っ張る凸部ではないため、射出成形で形成しやすい。
【0038】
また、位置決め凸部42は、下方に向かって突出しているが、シール脚41の下面からは突出しない形状となっており、カバー40とハウジング30溶着の邪魔をしない構造となっている。本実施形態では、位置決め凸部42は、カバー40の前面側に形成したが、背面側に形成しても構わない。
【0039】
カバー保持具60の正面の長手方向中央には、位置合わせ治具80が配置されている。位置合わせ治具80は、固定具81と移動具82から構成され、固定具81がカバー保持具60の長手方向中央に固定されている。本実施形態では、位置合わせ治具80はカバー保持具60に固定されているが、溶着を邪魔しない位置であれば周辺器具などに固定されてもよい。
【0040】
固定具81の下面には移動具82が保持されている。移動具82は図示しないエアシリンダによって固定具81に対して前後方向にスライド可能となっている。
【0041】
固定具81の背面は切り欠き部43の斜辺に応じた斜面84が形成され、その中央には係合凹部83が形成されている。係合凹部83は、その幅が位置決め凸部42の幅と等しく、かつその深さが位置決め凸部42の厚みに等しく、位置決め凸部42と係合するように形成されている。カバー40がカバー保持具60に搭載された状態で、位置決め凸部42は移動具82の係合凹部83に係合する。
【0042】
(カバーとハウジングの相互位置決め)
カバー40のハウジング30に対する相互位置の決定について詳しく説明する。図7はカバー40の係合の工程を示す説明図である。位置決め凸部42と移動具82の配置を明確にするため、固定具81は図示していない。図8図7のC部拡大図である。図9は、カバー40がカバー保持具60に、ハウジング30がハウジング受治具50にそれぞれ搭載された状態の右側面図である。
【0043】
まず、図7(a)に示すように、移動具82が背面へ移動した状態(図4の位置)で、カバー40はカバー保持具60に搭載される。移動具82はカバー保持具60の下面で背面側に突出しているが、シール脚41はカバー40の外壁より一回り小さく形成されているため、カバー40の搭載の邪魔をしない。
【0044】
移動具82が背面方向へ移動した状態で、カバー保持具60に搭載されたカバー40の位置決め凸部42と係合するよう、移動具82の上下方向の配置は調整されている。
【0045】
移動具82の長手方向の配置は、ハウジング30の長手方向の中央位置に対応する位置となっている。カバー40がカバー保持具60に搭載され、位置決め凸部42が係合凹部83に係合することで、カバー40のハウジング30に対する長手方向の相対的な位置が決定され、カバー40はハウジング30の長手方向の中央位置に配置される。
【0046】
カバー40がカバー保持具60に搭載された状態で、位置決め凸部42は、移動具82の係合凹部83に係合する(図7(b)参照)。位置決め凸部42によりカバー40の搭載位置が決定すると、図示しない吸着機構によってカバー40は固定され、移動具82はハウジング30との溶着を邪魔しないよう前方(図9の位置)へ移動する(図7(c)参照)。
【0047】
その後、カバー保持具60とハウジング受治具50の間に熱板が移動して溶着が開始され、カバー40はハウジング30に溶着して、車両用筐体1となる。(図12-1(c)~図12-2(g)の工程)。
【0048】
不図示の吸着機構によって、カバー40は固定されているため、ハウジング30との長手方向の相対的な位置関係は固定されたままとなる。位置決め凸部42がハウジング30の長手方向中央位置に対応する位置合わせ治具80に係合することにより、カバー40はハウジング30の長手方向の中央位置に配置され、カバー40とハウジング30は接することなく、位置合せがなされる。
【0049】
ハウジング30とカバー40は当接して一体化し、カバー40がカバー保持具60から外されると、図示しないセンサーがそれを検知して、次のカバー40の位置合わせのため、移動具82は再び背面方向へ移動する。
【0050】
(作用効果)
カバー40をカバー保持具60の左右どちらかの一方の壁に寄せて位置合わせを行うと、カバー40の寸法誤差、ハウジングの寸法誤差、ハウジングとの位置ずれなどの全ての誤差分が寄せられた壁とは逆側に偏ってしまうため、位置ずれの許容範囲を超えてしまうことがあり、品質のばらつきが大きくなる。特に、車両用筐体が長尺の場合、カバー40とハウジング30の寸法公差自体も大きく、また射出成型時の気温による収縮の変動の影響も大きい。
【0051】
カバー40の長手方向の中央に形成された位置決め凸部42と、ハウジング30の長手方向の中央位置に配置された位置合わせ治具80により、精度高くカバー40とハウジング30を中央で位置合わせできる。誤差を左右に半分ずつに分散させることができるため、溶着時のハウジング30とカバー40との相互のずれを抑えることができ、品質のばらつきがなくなり、車両用筐体としての品質が向上される。
【0052】
さらに、カバー40にのみ位置決め凸部42を形成して、係合側は別体の位置合わせ治具80に係合凹部83として形成され、両者で位置合わせが行われるため、ハウジング30側には凹部を形成する必要がなく、見栄えへの影響を最小限に抑えることができる。
【0053】
位置決め凸部42は、幅は一番長い部分で3~15mm、高さは3mm~10mm、厚み0.5~2mm程度が好ましい。カバーの寸法に対して非常に小さい係合部で高精度にハウジング30との相対的な位置合わせを行うことができ、見た目への影響が小さく、効果が高い。
【0054】
図10は、車両用筐体1が車両に搭載された状態での使用者の視線と搭載位置との関係を示す説明図である。図10に示すように、車両用筐体1はハイマウントストップランプであり、車両Vの背面上部に搭載される。位置決め凸部42は、車両に搭載された状態で上面となる位置に形成される。位置決め凸部42が、車両用筐体1が車両Vに搭載された状態で、視認されにくい上面に形成されることで、位置決め凸部42が形成されることの外見への影響を低減させることができる。
【0055】
また、車両用筐体1’のように、車両Vの比較的低位置に配置される場合(例えばバックランプなど)、位置決め凸部42’は下面に形成されることが好ましい。車両用筐体1’が車両Vに搭載された状態で正面視して視認されにくい正面側の背面側、即ち通常状態での使用者との対向面との反対側に形成されることで、見栄えへの影響を最小限に抑えることができる。
【0056】
(変形例)
上記実施形態に係る車両用筐体1の位置決め凸部42の形状は一例にすぎず、さまざまな形状を用いることができる。図11(a)~(e)は、位置決め凸部42の変形例を示す。
【0057】
図11(a)に示すように、位置決め凸部42Aの両側にテーパを設けて、移動具82Aに係合させやすいように形成しても好ましい。
【0058】
図11(b)に示すように、切り欠き部43Bを位置決め凸部42B周辺のみとし、見た目への影響を低減させても好ましい。
【0059】
図11(c)に示すように、切り欠き部を設けず、位置決め凸部42Cが壁より突出するよう形成してもよい。
【0060】
図11(d)や図11(e)に示すように、位置決め用に凸部ではなく、凹部を設けてもよい。
【0061】
各移動具82A~82Eには、それぞれの位置決め凸部(凹部)に係合するよう、係合用凹部(凸部)を形成する。
【0062】
本実施形態では、ハウマウントストップランプについて述べたが、本発明はこれに限定されず、ハウジングとカバーが溶着されることで室や灯室を形成する、ヘッドランプ、ストップランプ、コンビネーションランプなど、各種車両用筐体に幅広く適用することができる。
【0063】
以上、本発明の好ましい実施形態について述べたが、上記の実施形態や変形例は本発明の一例であり、これらを当業者の知識に基づいて組み合わせることが可能であり、そのような形態も本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0064】
1 車両用筐体
30 ハウジング
31 フランジ部
40 カバー
41 シール脚
42 位置決め凸部
43 切り欠き部
50 ハウジング受治具
60 カバー保持具
70 熱板
80 位置合わせ治具
83 係合凹部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12-1】
図12-2】
図13