(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-28
(45)【発行日】2022-07-06
(54)【発明の名称】航空機フロアパネルフローティング接続システム
(51)【国際特許分類】
B64C 1/18 20060101AFI20220629BHJP
B64C 1/00 20060101ALI20220629BHJP
F16B 5/06 20060101ALI20220629BHJP
【FI】
B64C1/18
B64C1/00 A
F16B5/06 Q
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018122709
(22)【出願日】2018-06-28
【審査請求日】2021-06-22
(32)【優先日】2017-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ミルズ, クリストファー ジェー.
(72)【発明者】
【氏名】ジョーンズ, ティモシー エム.
【審査官】川村 健一
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-509854(JP,A)
【文献】特表2009-517607(JP,A)
【文献】特開2011-052743(JP,A)
【文献】特開2009-051258(JP,A)
【文献】実開平02-084008(JP,U)
【文献】米国特許第06086018(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 1/00
B64C 1/18
F16B 5/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロアパネル接続システムであって、
側面エッジ部分(14)に沿って複数の開口部(18)を有する航空機の機体(16)と、
前記機体の前記側面エッジ部分(14)に重なり係合するように構成されたエッジ領域(12)であって、複数の孔(20)を有するエッジ領域(12)を有するフロアパネル(10)と、
前記フロアパネル(10)を前記機体に接続し、前記フロアパネル(10)に印加される横方向の力に大きく抵抗することなく、前記フロアパネル(10)の上部表面に垂直な方向で前記フロアパネル(10)に印加される力に耐えるように構成された垂直荷重抵抗連結装置(302、402、502)であって、前記複数の孔(20)の一又は複数の孔(20)に受容される垂直荷重抵抗連結装置(302、402、502)と、
前記垂直荷重抵抗連結装置(302、402、502)から分離された前記機体(16)に前記フロアパネル(10)を接続し、前記フロアパネル(10)に印加される垂直方向の力に大きく抵抗することなく、前記フロアパネル(10)の前記上部表面に平行な方向で前記パネル(10)に印加される力に耐えるように構成されたせん断荷重抵抗連結装置(102、202)であって、前記複数の孔(20)の少なくとも1つの孔(20)に受容されるせん断荷重抵抗連結装置(102、202)と
を備えるフロアパネル接続システム。
【請求項2】
前記せん断荷重抵抗連結装置(102、202)は、前記機体(16)の前記側面エッジ部分(14)と前記フロアパネル(10)の前記エッジ領域(12)との間に配置されるインサート(104、204)を含み、前記インサート(104、204)はベース(106)及びピン(108)を含み、前記ベース(106)は前記少なくとも1つの孔(20)に受容されるように構成され、前記ベース(106)は、(1)前記ピン(108)を受容し、(2)前記ピン(108)がパッセージ(118)に受容されるとき、前記フロアパネル(10)の前記上部表面に平行な第1及び第2の向かい合う方向に前記ピン(108)が移動するのを防止するようにサイズ決定された前記パッセージ(118)を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ベース(106)の前記パッセージ(118)は更に、前記ピン(108)が前記パッセージ(118)に受容されるとき、前記フロアパネル(10)の前記上部表面に平行で、かつ前記第1及び第2の方向に垂直な第3及び第4の向かい合う方向に前記ピン(108)を移動可能にするようにサイズ決定される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記せん断荷重抵抗連結装置(102、202)は、前記機体(16)の前記側面エッジ部分(14)と前記フロアパネル(10)の前記エッジ領域(12)との間に配置されたインサート(104、204)を含み、前記少なくとも1つの孔(20)は、第1の垂直軸を有する第1の孔を含み、前記インサートは、前記インサートが前記側面エッジ部分(14)と前記エッジ領域(12)との間に配置されるとき、前記フロアパネル(10)の前記上部表面に平行な、第1及び第2の向かい合う方向への運動を防止するように構成される第1及び第2のアーム(206、208)を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
前記第1のアーム(206)は、前記フロアパネル(10)の前記上部表面に平行で、かつ前記第1及び第2の方向に垂直な第3及び第4の向かい合う方向への、前記第1のアーム(206)に対する前記第2のアームの運動を可能にするため、前記第1の垂直軸に平行な第2の垂直軸の周りで、前記第2のアーム(208)が前記第1のアーム(206)に対して枢動できるように、前記第2のアーム(208)に枢動可能に連結されている、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1のアーム(206)は前記第1の孔の中へ延在するボス(216)を含み、前記第2のアーム(208)は、前記機体(16)の前記側面エッジ部分(14)の前記複数の開口部(18)のうちの1つの開口部(18)の中へ延在する第2のピン(226)を含む、請求項4又は5に記載のシステム。
【請求項7】
前記第1のアーム(206)は第1のカプラ(218)を含み、前記第2のアーム(208)は第2のカプラ(224)を含み、前記第1及び第2のカプラ(218、224)は前記第1及び第2のアーム(206、208)の間に枢動接続部(210)を形成するように接続され、前記少なくとも1つの孔(20)は第2の孔を含み、前記第1のボス(216)が前記第1の孔の中へ延在するとき、前記枢動接続部(210)は前記第2の孔に受容される、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記少なくとも1つの孔は第3の孔を含み、前記第2のアーム(208)は更に前記第2のピン(226)から対向するスティフナ(250)を含み、前記枢動接続部(210)が前記第2の孔に受容され、前記ボス(216)が前記第1の孔の中へ延在するとき、前記スティフナ(250)は前記第3の孔の中へ延在する、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記一又は複数の孔(20)は、垂直軸を有する非円形孔(314、416、526)を含み、前記垂直荷重結合装置(302、402、502)は、前記非円形孔(314、416、526)に受容されるように構成されたインサート(304、404、504)であって、少なくとも1つの締結具(328、420、534)を受容する開口部(326、406、532)を有するインサート(304、404、504)を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項10】
前記非円形孔(314、416、526)は、前記インサート(304、404、504)が前記フロアパネル(10)の前記上部表面に平行な第1及び第2の向かい合う方向に移動することができるようにサイズ決定され、前記非円形孔(314、416、526)は、前記インサート(304、404、504)が前記非円形孔(314、416、526)に受容されるとき、前記垂直軸の周りでの前記インサート(304、404、504)の回転を防止するように構成されている、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記開口部(326、406、532)は、前記締結具(328、420、534)が前記開口部(326、406、532)に受容されるとき、前記少なくとも1つの締結具(328、420、534)が、前記フロアパネル(10)の前記上部表面に平行な第1及び第2の向かい合う方向に移動することができるように、細長い形状になっている、請求項9に記載のシステム。
【請求項12】
前記インサート(504)はベース(506)とスリーブコネクタ(508)を含み、前記ベース(506)は前記非円形孔(526)に受容されるように構成され、凹部(510)を含み、前記スリーブコネクタ(508)は開口部(532)並びに前記凹部(510)の中へ延在するカラー(520)を含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項13】
前記凹部(510)は、前記スリーブコネクタ(508)が前記凹部(510)に受容されるとき、前記スリーブコネクタ(508)が、(1)前記フロアパネル(10)の前記上部表面に平行な方向に移動し、(2)前記垂直軸の周りに所定の量だけ回転できるように構成されている、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記凹部(510)は細長い形状で、前記カラー(520)は、前記スリーブコネクタ(508)が前記垂直軸の周りに所定の量だけ回転されると内面(512)に接触するように構成された、少なくとも1つのパドル(524)を含み、前記内面(512)は前記ベース(506)の前記凹部(510)を少なくとも部分的に画定する、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
フロアパネル接続システムであって、
側面エッジ部分(14)に沿って複数の開口部(18)を有する航空機の機体(16)と、
前記機体(16)の前記側面エッジ部分(14)に重なり係合するように構成されたエッジ領域(12)を有するフロアパネル(10)と、
前記フロアパネル(10)を前記機体(16)に接続する垂直荷重抵抗連結装置(302、402、502)であって、(1)前記フロアパネル(10)に印加された力が、前記フロアパネル(10)の上部表面に垂直な方向にあるときには、前記機体(16)に対する前記フロアパネル(10)の運動を防止し、(2)横方向の力が前記フロアパネル(10)に印加されるときには、前記機体(16)に対する前記フロアパネル(10)の運動を可能にするように構成される垂直荷重抵抗連結装置(302、402、502)と、
前記垂直荷重抵抗連結装置(302、402、502)から分離された前記機体(16)に前記フロアパネル(10)を接続する、せん断荷重抵抗連結装置(102、202)であって、(a)力が前記フロアパネル(10)の前記上部表面に平行な方向で前記フロアパネル(10)に印加されるときには、前記機体(16)に対する前記フロアパネル(10)の運動を防止し、(b)垂直な力が前記フロアパネル(10)に印加されるときには、前記機体(16)に対する前記フロアパネル(10)の運動を可能にするように構成されるせん断荷重抵抗連結装置(102、202)と
を備える、フロアパネル接続システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は締結具に関する。より具体的には、開示した実施例は、フロアパネルを航空機フロア支持構造体に締結するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
航空機のフロアは一般的に、シートトラックと称されるフロア構造体に締結されるハニカムコアサンドイッチフロアパネルからなる。航空機の運航中、フロアパネルは様々な力、又は荷重に順応する。これらには、空気圧差やフロア上を歩く人々などの荷重源からの垂直荷重、並びに、航空機の加速及び減速を被る据付座席などの荷重源からのせん断荷重の両方が含まれる。フロアパネルの機能の1つは、これらの荷重を航空機本体に受け渡すことである。
【0003】
航空機の一部の領域、例えば、翼ボックスでは、フロア構造体は運航中に屈曲する。シートトラックに対してフロアパネルが動くためには、ある方向への移動は可能であるが、他の方向の荷重には順応する接続システムが必要である。一又は複数の方向への限られた範囲内の動きを可能にするコネクタは、「フローティング」コネクタと称されている。
【0004】
現在の技術での典型的なフローティング接続システムには、インナースリーブインサート、アウタースリーブインサート、及びコレットとネジを備えた締結具が含まれる。2つのインサートが互いに2つの向かい合う方向にだけスライドするように、インナースリーブインサートはアウタースリーブインサート内に含まれる。アウタースリーブインサートは、次にフロアパネルの開口部に固定される。コレットとネジは2つのインサートに挿入され、フィンガーがシートトラックの下面に係合するように、ネジはコレットの複数のフィンガーを放射状に広げるために使用される。
【0005】
このような現在の技術を用いて、各締結具は垂直荷重とせん断荷重の両方に耐えるように構成されている。航空機フロア上のせん断荷重は一般的に垂直荷重よりも重要で、垂直荷重に対するよりも大きな全体容量が必要とされる結果となる。
【発明の概要】
【0006】
フロアパネルを機体に装着するためのフロアパネル接続システムが開示される。接続システムは、フロアパネルを機体に接続し、パネルと機体との間に印加される力に耐える、垂直荷重抵抗連結装置及びせん断荷重抵抗連結装置を含む。
【0007】
フロアパネルは機体の側方エッジ部分と重なるエッジ領域を有し、エッジ領域は複数の孔を有する。垂直荷重抵抗連結装置及びせん断荷重抵抗連結装置はそれぞれ、複数の孔のうちの一又は複数に受容される。
【0008】
垂直荷重抵抗連結装置は、横方向の力に大きく抵抗することなく、フロアパネルの上部表面に垂直な力に耐えるように構成されている。垂直荷重抵抗連結装置は、フロアパネルの上面に垂直に力が印加されるときには、フロアパネルが機体に対して移動するのを防止する。しかしながら、垂直荷重抵抗連結装置は、フロアパネルに横方向の力が印加されるときには、フロアパネルが機体に対して移動するのを可能にする。
【0009】
せん断荷重抵抗連結装置は、垂直な力に大きく抗抵することなく、フロアパネルの上部表面に平行な力に耐えるように構成されている。せん断荷重抵抗連結装置は、フロアパネルの上面に平行に力が印加されるときには、フロアパネルが機体に対して移動するのを防止する。
【0010】
本開示は、フロアパネル接続システムを提供する。幾つかの実施例では、フロアパネル接続システムは、垂直荷重抵抗連結装置及びせん断荷重抵抗連結装置を含みうる。幾つかの実施例では、せん断荷重抵抗連結装置は、ベースとコネクタを含みうる。幾つかの実施例では、せん断荷重抵抗連結装置は、第1のアーム及び枢動可能に連結された第2のアームを含みうる。幾つかの実施例では、垂直荷重抵抗連結装置は、非円形孔を受容するように構成されたインサートを含みうる。幾つかの実施例では、垂直荷重抵抗連結装置は、細長い開口部を有するインサートを含みうる。幾つかの実施例では、垂直荷重抵抗連結装置は、ベースと、シャフトなどの突出したエレメントを有するピンを含みうる。
【0011】
特徴、機能、及び利点は、本開示の様々な実施例で個別に実現されうるか、又は、後述の説明及び図面を参照してさらなる詳細が理解可能である、さらに別の実施例において組み合わされうる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】例示的な航空機客室の部分切り取り等角図である。
【
図2】例示的なせん断荷重コネクタの切り取り等角図である。
【
図3】フロアパネルとシートトラックを接続する
図2の連結装置の
図2のライン3-3に沿った断面図である。
【
図4】フロアパネルとシートトラックを接続する
図2の連結装置の
図2のライン4-4に沿った断面図である。
【
図5】別の例示的なせん断荷重コネクタの等角図である。
【
図6】
図5のコネクタの
図5のライン6-6に沿った断面図の概略表示である。
【
図7】別の例示的なせん断荷重コネクタの等角図である。
【
図8】フロアパネルに実装された
図7のコネクタ2個の等角図である。
【
図9】例示的な垂直荷重コネクタ、フロアパネル、及びシートトラックの分解等角図である。
【
図14】別の例示的な垂直荷重コネクタ、フロアパネル、及びシートトラックの部分分解等角図である。
【
図19】別の例示的な垂直荷重コネクタのインサート及びコレットの等角図である。
【
図20】別の垂直荷重コネクタ、フロアパネル、及びシートトラックの分解等角図である。
【
図22】フランジなしで示された
図20のインサートの上面図の略図である。
【
図23】フロアパネル上のせん断荷重に耐える方法を説明するフロー図の図表表現である。
【
図24】フロアパネル上のせん断荷重に耐える別の方法を説明するフロー図の図表表現である。
【
図25】フロアパネル上の垂直荷重に耐える方法を説明するフロー図の図表表現である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
概要
垂直荷重コネクタ及びせん断荷重コネクタを有するフロア接続システムの様々な実施例が以下で説明され、関連する図面に示されている。特別の定めのない限り、フロア接続システム、及び/又はその様々な構成要素は、本書で説明され、例示され、かつ/又は本書に組み込まれた、構造体、構成要素、機能、及び/又は変形例のうちの少なくとも1つを包含しうるが、それらを包含することが必要な訳ではない。更に、本教示に関連して本書に記載され、例示され、及び/または組み込まれた、構造体、構成要素、機能、及び/または変形例は、他の接続システムに含まれうるが、それらに含まれることが必要というわけではない。様々な実施例における下記の説明は、本質的に単なる例示であり、本開示、その用途又は利用を限定することを意図するものではない。加えて、実施例によって提供される利点は、後述のように、本質的に例示的であり、すべての実施例が同じ利点又は同程度の利点を提供するわけではない。
【0014】
図1は、複数のフロアパネルで組み立てられたフロアに座席が装着された、例示的な航空機の客室を示している。フロアパネルの下では、複数のシートトラックが客室を通って長手方向に延在し、各フロアパネルは1つのシートトラックから隣接する別のシートトラックにまたがっている。航空機の他の領域では、異なる機体構成要素が組み立てられたフロアパネルを支持してもよい。開示したフロアパネル接続システムは、航空機フロアパネルを、一又は複数の横方向エッジ領域に適切な寸法で、適切に離間された孔又は開口部のアレイを有する任意の機体構成要素に接続するために使用されうる。機体構成要素又は機体は、フロアパネル支持構造体、例えば、シートトラックの形態をとりうる。
【0015】
再び
図1を参照すると、客室フロアに垂直な方向は、「z軸に沿った方向」、「垂直な方向」、或いは「上下の方向」などと称されることがある。客室フロアに平行で、シートトラックの長手方向の広がりに垂直な方向は、「y軸の沿った方向」、「横方向」又は、「船内及び船外方向」などと称されることがある。客室フロアに平行で、シートトラックの長手方向の広がりに平行な方向は、「x軸に沿った方向」、「長手方向」、又は「前後方向」などと称されることがある。
【0016】
フロアパネル10は、シートトラック16の側面エッジ部分14に重なるエッジ領域12を含む。開示された実施例では、航空機の機体14は、フロアパネル10を支持するこれらのシートトラック14を含む。複数のシートトラック開口部18は側面エッジ部分14に沿って形成され、複数のフロアパネル孔又は開口部20はエッジ領域12に沿って形成される。フロアパネル孔20はシートトラック開口部18の一部又はすべてに対応し、対応する孔と開口部が整列するように、フロアパネル10はシートトラック16の上に配置される。
【0017】
幾つかの実施例では、複数のフロアパネル孔20は、シートトラック開口部18に対応しない幾つかの孔又は開口部を含みうる。また、対応する幾つかの孔は、整列されるのではなく、一定の距離だけオフセットされうる。複数の孔20のうちの幾つかの孔は、フロアパネル10を通って全体的に延在しうるが、他の孔20はフロアパネル10を通って部分的にのみ延在する。
【0018】
対応する孔又は開口部の中へ又はこれらを通って延在する複数の結合装置は、フロアパネル10をシートトラック16に接続する。結合装置は、せん断荷重に大きく抵抗することなく、垂直荷重に耐える垂直荷重抵抗連結装置、並びに、垂直荷重に大きく抵抗することなく、せん断荷重に耐えるせん断荷重抵抗連結装置を含む。結合装置は、「コネクタ」、「垂直荷重コネクタ」、又は「せん断荷重コネクト」と称されることがある。「垂直荷重」は、「客室フロアに垂直な方向でフロアパネル10に印加される力」と定義され、また、「せん断荷重」は、「客室フロアに平行な方向でパネルに印加される力」と定義される。
【0019】
航空機の運航中、機体が屈曲するには、フロアパネル10がシートトラック16に対して移動することが必要になりうる。したがって、各コネクタによって、フロアパネルとシートトラックとの間で、幾つかの軸に沿って向かい合う方向に運動の範囲を制限することができる。限られた範囲内の運動は「フロート」と称されることがある。コネクタに対する好ましいフロートは0.125インチであってよく、0.1インチから0.2インチの間であってよく、或いは0.25インチ未満であってよい。
【0020】
各軸に沿って、フロアパネル10とシートトラック16を接続するコネクタは荷重に順応するか、フロートを有するが、荷重に大きく抵抗することはない。コネクタが荷重に順応する場合には、コネクタはフロアパネル10とシートトラック16との間の相対運動を防止し、一方から他方へ力を受け渡す。コネクタがフロートを有する場合には、コネクタは所定の運動の範囲内で荷重に大きく抵抗することはない。
【0021】
垂直荷重コネクタはz軸に沿った荷重に順応し、x軸、y軸、又はその両方に沿ったフロートを有しうる。せん断荷重コネクタはz軸に沿った荷重に大きく抵抗することはなく、x軸に沿った荷重に順応し、y軸に沿ったフロートを有するか、y軸に沿った荷重に順応し、x軸に沿ったフロートを有する。
【0022】
運航中、フロアパネル10はある範囲内の荷重強度を受けうる。垂直荷重は爆発的減圧下で最大になりうる。また、せん断荷重は悪条件下では9Gの力にまで及ぶことがありうる。各コネクタは、このような荷重に耐える十分に強力な材料、例えば、金属、プラスチックなどで適切に製造されうる。
【0023】
各コネクタはまた、複数のフロアパネル孔20の孔又は開口部の中へ又はこれらを通って延在するインサートを含む。幾つかの実施例では、インサートはまた、複数のシートトラック開口部18の1つの開口部を通って延在しうる。他の実施例では、インサートは、締結具を受容するように構成されてもよく、締結具は複数のシートトラック開口部18の1つの開口部を通って延在しうる。
【0024】
フロアパネル10は、垂直荷重コネクタの一実施例及びせん断荷重コネクタの一実施例によって、シートトラック16に接続されうる。代替的に、フロアパネル10は、垂直荷重コネクタとせん断荷重コネクタの実施例の任意の適切な組み合わせによって、シートトラック16に接続されうる。フロアパネル10がシートトラック16に対して移動するためには、コネクタはすべてが同一方向にフロートを有するように使用されうる。
【0025】
実施例、コンポーネント及び代替手段
以下の各節は、例示的なフロアパネル接続システムの選択された態様、並びに関連するシステム及び/または方法を記載する。これらの節の実施例は、例示を目的としており、本開示の範囲全体を限定するものと解釈すべきではない。各節は、一又は複数の個々の発明、及び/または、状況から得られる、或いは、関連する情報、機能、及び/または構造体を含みうる。
【0026】
実施例1:
図2~
図4は、ベース106及びピン108を有するインサート104を含み、全体が102で示される、せん断荷重抵抗連結装置(本書では「せん断荷重コネクタ」又は「コネクタ」とも称される)の実施例である。
図2は、ラインBBに平行な荷重に順応し、ラインAAに平行なフロートを有するせん断荷重コネクタ102の切り取り等角図を示しており、ここでラインAAとラインBBは直交している。ベース106は、向かい合う2つの面上のピン108にぴったりと一致するように、また、そうでない場合にはピンから離間されるように構成されている。したがって、ピン108はベース106内でラインAAに平行な両方向にスライドしてもよいが、ベースはピンがラインBBに平行などちらかの方向に移動するのを防止する。
【0027】
ピン108は、本体110、フランジ付きヘッド112、及び丸い鈍端(blunt end)を備えたシャフト(本書では「突出エレメント」とも称される)114を有する。ベース106は、中心軸120によってパッセージ又は開口部118を定義するカラー116を含む。フランジ122は、パッセージ118の下端のカラー116に形成される。
【0028】
ピン108はパッセージ118を通って延在し、フランジ付きヘッド112及び本体110はパッセージ内に含まれる。パッセージ118は上端で半径を増し、フランジ付きヘッド112を収容する空洞124を形成する。フランジ付きヘッド112と空洞124は、概して円形の形状で、2つの向かい合う平坦なエッジと2つの湾曲したエッジを有する。空洞124は、2つの平坦なエッジに沿ってフランジ付きヘッド112にぴったりと一致し、空洞の内面は、2つの平坦なエッジに沿ってフランジ付きヘッドに接する。しかしながら、空洞124の内面は、2つの湾曲したエッジに沿って、フランジ付きヘッド112から離間されている。
【0029】
図示した実施例では、パッセージ118はベース106を通って全体的に延在し、ピン108のフランジ付きヘッド112はカラー116の上面と同一平面内にある。他の実施例では、パッセージ118がベース106を通って部分的にだけ延在することはなく、すなわち、カラー116はフランジ付きヘッド112を超えて延在する上面に形成されるリップを含みうる。ピン108の動きがy軸に沿って妨げられないならば、任意の適切な構造体がカラー116の上に含まれてもよい。
【0030】
図2を再度参照すると、パッセージ118は同様に、ピン108の本体110の第1の2つの向かい合うエッジにぴったりと一致し、本体の第2の2つの向かい合うエッジから離間されている。2つのコイルばね126は、本体110の第2の2つの向かい合うエッジ、並びに、パッセージ118の内面に装着されている。ピン108の本体110はばねの間に配置される。ばね126は、インサート104の「公称位置」とも称される中心軸120に揃うようにピン108を付勢する。ピン108に対してラインAAと平行に、またベース106に対して力が印加されない場合には、ピンは整列位置に戻る。
【0031】
変形されたときに、ピン108を付勢して公称位置に戻すように、他の機構又は付勢エレメントが使用されてもよい。幾つかの実施例では、ばねは、フランジ付きヘッド112及び空洞124の内面に接続されうる。他の実施例では、パッセージ118は圧縮性材料で裏打ちされてもよい。
【0032】
図2に示したように、パッセージ118はまた下端で半径が大きくなり、ワッシャ128を収容する凹部を形成する。ピン108のシャフト(突出エレメント)114はワッシャを通って延在し、ワッシャはシャフトに連結され、ベース106には接触しない。ワッシャは、ピン108の本体110に形成されるシャフト114のベースに配置されてもよい。これにより、本体110はワッシャ128がピンの上方に移動するのを防止しうる。
【0033】
ピン108は、ベース106内で、フランジ付きヘッド112によって一方向に、また、ワッシャ128によって反対方向に保持される。他の実施例では、ベース106上の他の構造体又はピン108はピンをベース内に保持しうる。例えば、カラー116は、ピン108のフランジ付きヘッド112の上面を保持する上面に形成されたリップを含むことがあり、また、貫入部又は突起は、フランジ付きヘッド112の底面を保持するパッセージ118の内面に形成されうる。ピンの動きがy軸に沿って妨げられないならば、ピンは任意の適切な方法で保持されうる。
【0034】
図3は、フロアパネル10とシートトラック16を接続するインサート104の、
図2のライン3-3に沿った断面図である。インサート104がフロアパネル10に挿入されると、ラインAA及びラインBBはフロアパネルの上部表面内にあり、ラインAAはy軸に平行で、ラインBBはx軸に平行になっている。インサート104により、フロアパネル10は、y軸に沿って矢印130で示される方向に移動することができる。許容される運動の範囲、すなわちフロートは、フランジ付きヘッド112の長さ132と空洞124の長さ134との間の差分によって決定される。例えば、長さ134が長さ132を約0.25インチ上回る場合には、フロアパネル10は約0.125インチ浮動する。幾何学的形状が異なる実施例では、フロートは他の長さによって決定されうる。
【0035】
インサート104は、フロアパネル10のエッジ領域12とシートトラック16の側面エッジ部分14との間に配置される。ベース106のカラー116はフロアパネル孔136の中へ延在し、フランジ122はフロアパネル10の底面に接触する。フランジ122はまた、シートトラック16の上面に接触し、ピン108のシャフト114はシートトラック開口部138を通って延在する。ワッシャ128は、フランジ122と同一平面上にあり、シートトラック16に接触する。
【0036】
フロアパネル孔136は丸く、フロアパネル10を通って、部分的にのみ延在する。孔136はカラー116を受容する十分な大きさがあり、これにより、フランジ122はフロアパネル10の底面と同一平面内に収まることができる。幾つかの実施例では、孔136は他の形状を有してもよく、フロアパネルを完全に貫通して延在してもよい。任意の有効な孔又は開口部が使用されうる。
【0037】
図3に示すように、フランジ122は非対称である。フランジは、一般的に円形の形状で、インサート104がエッジ領域12の外側エッジの近傍に実装され、フロアパネル10を越えて延在することがないように、平坦なエッジを有する。カラー116は、図示した平面内で、フランジ付きヘッド112、本体110、及びピン108のシャフト114から対称に離間されている。
【0038】
図4は、フロアパネル10とシートトラック16を接続するインサート104の、
図2のライン4-4に沿った断面図である。カラー116は、フランジ付きヘッド112及び本体110にぴったりと合っているが、図示した平面内では、ピン108のシャフト114から離間されている。ピン108は、フランジ付きヘッド112とベース106との間の接触によって、x軸に沿って動くことはできない。カラー116は、フランジ付きヘッドの2つの向かい合う平坦なエッジの両方に沿って、フランジ付きヘッド112に接触し、ピン108がx軸に沿っていずれかの方向に移動するのを防止する。すなわち、ピンはカラー116によって両端で捕捉され、x軸に沿って荷重に順応する。幾つかの実施例では、本体110はまたカラー116に接触し、ベース106に対するピン108の動きを防止する。
【0039】
フランジ122はフロアパネル10の底面に結合され、カラー116をフロアパネル孔136内に保持し、フロアパネル10とインサート104が一体とし操作できるようにしている。他の実施例では、ベース106の他の部分がフロアパネル10に結合されうる。例えば、カラー116の上面は孔136の平坦な上面に結合されうる。別の実施例では、カラー116は、孔136の湾曲した内面に結合されうる。インサート104は、フロア実装時にフロアパネル10に結合されてよく、或いは、フロアパネル10には、あらかじめ結合されたインサート104が提供されてもよい。
【0040】
ピン108とシートトラック開口部138との相互作用による最小限の摩擦抵抗を除外すれば、インサート104により、フロアパネル10は自由に持ち上げること、又は所定の位置に降ろすことが可能になる。実装又は交換中、インストーラは、ツールや他の装置の助けを必要とせずに、フロアパネル10とインサート104との組み合わせを持ち上げて、シートトラック16から取り除きうる。
【0041】
ピン108の丸い鈍端は、配置が正確でないときでも、下向きの力をシートトラック開口部138のピンの中心に向けることによって、実装を支援しうる。ばね126もまた、中心軸120に揃えられた公称位置にピン108を保つことによって、実装を支援しうる。複数のインサート104がフロアパネル10に実装される場合には、ピン108を公称位置に保つことは、複数のピンが複数のシートトラック開口部に揃えられるように、ピンの間に所望の間隔を維持しうる。
【0042】
実施例2:
図5~
図6は、204で全体的に示されているように、第1のアーム(「第1の固定アーム」とも称される)206及び第2のアーム(「第2の自由アーム」とも称される)208を有するインサートを含む、せん断荷重抵抗連結装置(「せん断荷重コネクタ」又は「コネクタ」)202の別の実施例を示す。
図5は、ラインCCに平行な荷重に順応し、ラインに垂直なフロートを有するコネクタ202の等角図を示しており、ラインCCは固定アーム206の長手方向の広がりに平行になっている。第2のアーム208は、第1のアーム206との枢動接続部210の周りに回転するように構成されている。十分に小さな回転は、第2のアーム208の遠位端のラインCCに垂直な方向への運動を近似する。
【0043】
第1のアーム206は平面的で、接続端212では一般的に矩形で、遠位端214では丸みを帯びている細長い矩形形状を有する。ボス216は遠位端214近くの上面に形成され、第1のカプラ218を形成するカラー218は、接続端212の上面に形成される。カラー218は、第1のアーム206を越えて外に延在する。
【0044】
図示されている実施例では、ボス216は円筒形で中空である。他の実施例では、ボス216は丸みのある又は平坦な上面を有するか、任意の適切な形状であってもよく、また、中空か、中実であるか、軽量の強化材料で充填されていてもよい。ボス216は、第1のアーム206の上面の任意の場所に配置されてよい。
【0045】
図5に示したように、第2のアーム208も平面的で、接続端220では一般的に矩形で、遠位端222では丸みを帯びている細長い矩形形状を有する。第2のカプラ224を形成する突起224は、接続端220に形成され、上向きに延在し、ピン226は遠位端222近くの第2のアームの下面に形成され、下向きに延在する。ピン226は丸い鈍端を有し、中空か、中実であるか、軽量の強化材料で充填されていてもよい。シートトラック16に係合するように構成された任意の突出エレメントは、ピン226の代わりに使用されてもよく、例えば、ボルト、ペグ、又はスタッドになりうる。
【0046】
接続端212及び220は互いに近接して配置され、カラー218を通って延在する突起224を有する。第1のアーム206の接続端212は、突起224を収容する凹部を含む。突起224とカラー26は共に、枢動軸228を画定する枢動接続部210を形成する。他の実施例では、枢動接続部210は他の機構によって形成されうる。効果的な枢動をもたらす任意の構造体が使用されうる。
【0047】
図示した実施例では、カラー218は、枢動軸228に向かって延在するタブを有する2つの向かい合うフィンガー230と、平坦な上面を有する更に2つの向かい合うフィンガー232とに分割されている。突起224は、枢動軸228から離れるように延在するタブを有する2つのフィンガー236の間に配置された中央コラム234を含む。中央コラム234は、カラーフィンガー230のタブを受容する2つのショルダーを有する。突起フィンガー236のタブは、カラーフィンガー232の上に位置する。突起224は、これによって、カラー218内に保持される。
【0048】
接続部の幾何形状はまた、第2のアーム208がラインCCに揃えられた公称位置に戻るように付勢する役割を果たす。第2のアーム208が枢動軸の周りで回転されると、カラーフィンガー230、232は突起224に係合し、第2のアームを整合位置に戻すように付勢する。他の実施例では、第2のアーム208を付勢するため、他の機構又は構造体が使用されうる。
【0049】
第2のアーム208は、枢動軸によって或いは第1のアーム206によって制限されるまで、枢動接続部210の周りに回転しうる。例えば、接続端220は第1のアーム206の接続端222に接触させられて、更なる枢動を防止し、運動の範囲を制限してもよい。代替的に、フィンガー230、232と突起224との間の係合は、第2のアーム208が枢動する角度を制限しうる。任意の適切な運動の範囲が許容されうる。例えば、運動の範囲が、第1のアーム206の長手方向の広がりによって画定される第1のラインと、第2のアーム208の長手方向の広がりによって画定される第2のラインとの間で測定される角度の場合には、第2のアームはいずれかの方向に最大5度まで枢動することができる。
【0050】
図6は、フロアパネル10とシートトラック16を接続するインサート204の、
図5のライン6-6に沿った断面図である。インサート104は、フロアパネル10のエッジ領域12とシートトラック16の側面エッジ部分14との間に配置される。
【0051】
フロアパネル10は2つの孔238、240を有し、孔240は垂直軸242を画定する。枢動軸228が垂直軸242に平行になるように、ボス216は孔238に受容され、枢動接続部210は孔240に受容される。固定アーム206と自由アーム208はフロアパネル10とシートトラック16との間に挟まれて、フロアパネル10の底面及びシートトラック16の上面に接触している。ピン226は、シートトラック16の開口部244を通って延在する。
【0052】
第1のアーム206はフロアパネル10の下面に結合され、ボス216をフロアパネル孔238内に保持し、フロアパネル10とインサート204が一体とし操作できるようにしている。他の実施例では、第1のアーム206又はボス216の他の部分がフロアパネル10に結合されうる。例えば、ボス216は孔238の内面に結合されうる。インサート204は、フロア実装時にフロアパネル10に結合されてよく、或いは、フロアパネル10には、あらかじめ結合されたインサート204が提供されてもよい。
【0053】
ピン226とシートトラック開口部240との相互作用による最小限の摩擦抵抗を除外すれば、インサート204により、フロアパネル10は自由に持ち上げること、又は所定の位置に降ろすことが可能になる。実装又は交換中、インストーラは、ツールや他の装置の助けを必要とせずに、フロアパネル10とインサート204との組み合わせを持ち上げて、シートトラック16から取り除きうる。
【0054】
ピン226の丸い鈍端は、配置が正確でないときでも、下向きの力をシートトラック開口部240のピンの中心に向けることによって、実装を支援しうる。枢動接続部210はまた、第1のアーム206に揃えられた公称位置に第2のアーム208を保つことによって、実装を支援しうる。
図6では、第2のアーム208が公称位置に示されている。公称位置では、ボス216が孔238の中へ延在するとき、また、エッジ領域12と側面エッジ部分14とが重ね合わされるとき、ピン226は開口部244の中へ延在する。
【0055】
図6に示したように、別のコネクタ205がエッジ領域12とエッジ部分14との間に配置されるとき、間隙がフロアパネル10とシートトラック16との間に形成される。第1のアーム206と第2のアーム208は、間隙の高さと等しくなりうる厚み246を共有する。すなわち、インサート204によってフロアパネル10とシートトラック16との間に形成される間隙は、コネクタ205によってフロアパネルとシートトラックとの間に形成される間隙と同じになりうる。コネクタ205は垂直荷重コネクタ、せん断荷重コネクタ、又はフロアパネル10をシートトラック16に接続するために使用される任意の種類のコネクタであってよい。
【0056】
図7はインサート204の代替的な実施例を示すもので、全体は248で示されている。分かりやすくするために、既に説明した実施例と同じ部分は、同じ参照番号で示される。インサート248はまた、第1のアーム206、第2のアーム208、ボス216、及びピン226を含む。
【0057】
スティフナ250は第2のアーム208の上面に形成される。追加の孔又は開口部は、スティフナを受容するようにフロアパネル10のエッジ領域12内に形成されうる。フロアパネルに対する第2のアーム208の運動を可能にするため、追加の孔はスティフナ250よりも長くなりうる。スティフナは任意の適切な形状であってよく、第2のアーム208の上面の任意の場所に配置されうる。
【0058】
図7に示したように、カラー252は第1のアーム206の上面に形成され、環状コラム254は第2のアーム208の端部に形成される。カラーとコラムは共に枢動接続部210を形成する。ばねクリップ256は、カラー252の上端のコラム254の周囲に配置される。カラー252の上端の2つの突起によって、ばねクリップ256が張力を受けた状態に保ち、カラーの上のタブ260がばねクリップをコラム254から引き離す。コラムは上端に2つのタブ262を含むが、これらはばねクリップ256の上方に配置され、ばねクリップ256を保持する。第1のアーム208の回転はばねクリップ256に張力を付加し、この張力は、第1のアーム206に揃えられた公称位置に、第2のアームを戻すように付勢する役割を果たす。
【0059】
第1のアーム206と第2のアーム208は、別のコネクタの寸法に対応しうる厚みを共有する。例えば、この厚みは、垂直荷重コネクタの厚みに等しくなりうる。すなわち、垂直荷重コネクタ、又は他の任意の種類のコネクタは、フロアパネルとシートトラックを接続するときに、フロアパネル10とシートトラック16との間に第1の間隙をもたらしうる。インサート248は、フロアパネルとシートトラックを接続するときに、フロアパネル10とシートトラック16との間に第2の間隙をもたらし、第1の間隙と第2の間隙は等しい高さになりうる。
【0060】
図8は、x軸に平行に、フロアパネル10に実装された2つのインサートを示している。フロアパネル10がシートトラック16に重ねられ、インサート248がシートトラック16に実装されると、インサートにより、フロアパネルはy軸に沿って矢印264で示された方向に移動することができる。枢動接続部210の周りの第2のアーム208の枢動は、y軸に沿ったフロアパネル10の運動に変換される。許容される運動の範囲すなわちフロートは、第2のアームの長さと枢動の角度との積によって大まかに決定されるが、枢動の角度は第1のアーム206の長手方向の広がりによって画定される第1のラインと、第2のアーム208の長手方向の広がりによって画定される第2のラインとの間で測定される。例えば、ピン226が枢動軸228から1.43インチ離れていて、第2のアームがいずれかの方向に最大5度の枢動角に制限されている場合には、フロアパネル10は約0.125インチ浮動しうる。
【0061】
実施例3:
図9~
図11は、全体として302で示される別の垂直荷重抵抗連結装置(「垂直荷重コネクタ」又は単純に「コネクタ」とも称される)を示しており、ベース306及びフランジ308を有する非円形インサート304を含む。
図9は、フロアパネル10とシートトラック16を接続するコネクタ302の分解等角図である。コネクタ302は、z軸に沿った、フロアパネル10の平面に垂直な荷重と、y軸に沿ったフロアパネル10の平面内の荷重の両方に順応する。上部表面は、パネル10に平行に延在する平面である。コネクタ302は、x軸に沿った、フロアパネル10の平面内のフロートを有する。
【0062】
コネクタのベース306は、外側カラー310と内側カラー312を有し、フロアパネル10のエッジ領域12内の非円形孔314に全体的に受容されるようにサイズ決定される。孔314は、x軸に沿って測定される幅316と、z軸に平行な垂直軸318を有する。
図10に示したように、外側カラー310は孔314に対応する非円形形状を有し、同様に幅320を有する。
【0063】
図9に示したように、ベース306が孔314に受容され、インサート304がx軸に沿ってフロアパネル10に対して移動しうるように、カラーの幅320は孔の幅316を下回る。すなわち、孔314は、インサート304がフロアパネル10の上部表面の2つの向かい合う方向に移動しうるようにサイズ決定される。別の言い方をするならば、インサート304により、フロアパネル10はx軸に沿って、矢印322によって示された方向に移動することができる。
【0064】
許容される運動の範囲すなわちフロートは、カラーの幅320と孔の幅316との差分によって決定される。例えば、孔の幅がカラーの幅より0.25インチ大きい場合には、フロアパネル10は約0.125インチ浮動しうる。
【0065】
これとは対照的に、外側カラー310はy軸に沿って孔314に一致している。インサート304とフロアパネル10は互いに対して移動することはなく、その結果、コネクタ302はy軸に沿った荷重に順応する。インサートの一部と孔の内面との間の接触に加えて、インサートの非円形形状と孔は、垂直軸318の周りのインサート304の回転を防止する。
【0066】
フランジ308はまた、
図10に示した幅に適合する非円形形状を有する。フランジの幅324は、カラーの幅320及び孔の幅316よりも大きい。
図9に示したように、ベース306が孔314に受容されるときには、フランジの幅は充分で、ベース306が孔の中心に位置していないときでも、フランジ308は孔を覆う。
【0067】
フランジ308は約0.02インチの厚みを有してよく、或いは、カーペットなどのフロア被覆材との相互作用を制限するのに適した、又はフロアパネル10の上を歩く人に気付かれない任意の厚みを有してもよい。フランジ308はフロアパネル10のエッジ領域12の上面に接触し、フロアパネルに対して平坦になる。フランジは、ベース306が孔によって受容されるとき、インサート304が孔314を通過するのを防止しうる。
【0068】
内部カラー312は、締結具328を受容するようにサイズ決定された開口部326を画定する。
図9に図示した実施例では、締結具はねじ330とコレット332を含む。締結具328は、ねじ330の頭部をインサート304に係合すること、及びコレット332の複数のフィンガーをシートトラック16の下面に係合することによって、垂直方向の荷重に耐える。フランジ308は次にフロアパネル10に係合し、これによって、フロアパネルをシートトラックに保持し、z軸に沿った相対運動を防止し、垂直荷重に順応する。この係合はまた、インサートをフロアパネルに結合することなく、インサート304のベース306をフロアパネル10の孔314の中に保持し、その結果、x軸に沿った運動を可能にする。
【0069】
内部カラー312は内面を有し、その一部は六角形に配置される6つの平面からなる。この形状はコレット332に係合するため、ねじ330が回されるとき、締結具328は回転に抵抗することができる。外部カラー310の非円形形状はまた、孔314に係合して回転に抵抗しうる。
【0070】
開口部326の上端では、ねじの頭部の下面に一致するように、内面は外に向かってより大きな円形状に広がる。開口部はこれによってねじ全体を収容し、ベース306の上面と同一平面上に位置しうる。
図11を参照すると、開口部326の底面で、内面は開口部326の中へ延在するリップ334を含む。リップはコレット332が開口部326を完全に通過するのを防止し、コレットの一部をベース306に保持する。
【0071】
内部カラー312は外部カラー310を越えて延在するが、ベース306が孔に受容されるときには、孔314を通り抜けて延在するほど充分に長いわけではない。したがって、フロアパネルがコネクタ302によってシートトラックに接続されるときには、フロアパネル10はシートトラック16に接触し、シートトラック16に対して平坦に位置する。他の実施例では、内部カラーは外部カラー310より短くてもよく、或いは、シートトラック16に接触し、フロアパネル10とシートトラックとの間に間隙をもたらすように、孔314を通って外へ延在してもよい。このような実施例では、もたらされる間隙は別のコネクタによってもたらされる間隙に適合してもよい。
【0072】
図12~
図13は、インサート304の代替的な実施例を示すもので、全体は336で示される。分かりやすくするために、既に説明した実施例と同じ部分は、同じ参照番号で示される。インサート336はまた、ベース306、フランジ308、及び開口部326を含む。
【0073】
ベース306は、外部カラー310と内部カラー312を含む。4つの丸いブリッジ338は内部カラー312を外部カラー310に接触させる。2つのブリッジはベース306の幅に沿って延在し、一方、別の2つのブリッジは垂直に延在する。ブリッジ338はベース306の構造を補強し強化する。他の実施例では、任意の数のブリッジが使用されうる。インサート336を構造的に強化するため、任意の点に他の形状の補強材が配置されてもよい。
【0074】
内部カラー312は、開口部326への突起がない滑らかな円形の内面を有する。締結具を収容するため、内面は開口部326の上端でより大きな直径になるように広がっている。例えば、構成要素を保持することによって、或いは、回転に抵抗するため、構成要素に係合することによって、内部カラー312はまた、締結具を収容し、締結具の実装を支援するように、任意の適切な形状を有しうる。
【0075】
実施例4:
図14~
図18は、細長い開口部406を有する楕円形のインサート404を含み、全体として402で示される、垂直荷重抵抗連結装置(「垂直荷重コネクタ」又は「コネクタ」)の別の実施例を示す。
図14は、フロアパネル10とシートトラック16を接続するコネクタ402の部分分解等角図である。コネクタ402は、z軸に沿った、フロアパネル10の上部表面に垂直な荷重と、y軸に沿ったフロアパネル10の平面内の荷重の両方に順応する。コネクタ402は、x軸に沿った、フロアパネル10の平面内のフロートを有する。
【0076】
図18は、開口部406の上端で、開口部406と凹部410を画定する本体408を更に含む、インサート404をより明瞭に示している。フランジ412は、本体の上端で本体408の上に形成される。一般的に矩形の複数の孔414が凹部410及び開口部406から開いている。
【0077】
図14に示されているように、本体408は、フロアパネル10のエッジ領域12の楕円形の孔416にぴったりと受容されるようにサイズ決定されており、一方、フランジ412は、エッジ領域12の上面に接触し、フロアパネルに対して平坦になる。孔416は、z軸に平行に、垂直軸418を画定する。孔416は本体408にぴったりと一致し、x軸又はy軸のどちらかに沿って、フロアパネルの平面内でフロアパネルに対して、インサートが移動するのを防止する。本体408が孔に受容されるとき、フランジ412はインサート404が孔416を通過するのを防止する。本体408はまた、孔416を通って延在せず、フロアパネル10のエッジ領域12がシートトラック16に接触し、シートトラック16に対して平坦になることを可能にする。
【0078】
開口部406と凹部410は、締結具420を受容するように構成されている。図示した実施例では、締結具は、ねじ422、並びに、楕円形のコレット本体426と複数のフィンガー428を有するコレット424を含む。任意のブラインド締結具が使用されてもよく、また、他の実施例では、開口部406及び凹部410は、選択された締結具の幾何形状を受容し、係合するように、別の方法で構成されてもよい。
【0079】
図15に示したように、コレット本体426は開口部406に配置され、一方、フィンガー428はインサート404を通って外へ延在する。
図16に示したように、ねじ422の頭部は凹部410に受容される。ねじは全体的にフランジ412の下方にあり、ねじの頭部は、凹部410が開口部406に合う点でインサート404の本体408に係合しうる。コレット本体426の楕円形の形状は、ねじ422がコレット424にねじ込まれるとき、開口部406の側面に接触することによって回転を防止する。
【0080】
コレット本体426の幅430と開口部406の幅432は
図15に示されている。コレット本体の幅430は開口部の幅432を下回り、コレット本体426並びに締結具420は、インサート404に対して向かい合う2つの方向に移動することができる。垂直方向では、コレット本体426は開口部406に一致するようにサイズ決定されており、これらの方向への運動を防止する。言い換えるならば、楕円形のコレット本体426は、細長い開口部406に沿って摺動するように成形されている。
【0081】
図14に示されているように、インサート404はフロアパネル10に実装され、締結具420はx軸に沿って限られた距離だけ移動しうる。すなわち、コネクタ402により、フロアパネル10は矢印434によって示された方向に移動することができる。許容される運動の範囲すなわちフロートは、コレット本体の幅430と開口部の幅406との差分によって決定される。例えば、開口部の幅がコレット本体の幅よりも約0.25インチ大きい場合には、フロアパネル10は約0.125インチ浮動しうる。
【0082】
締結具420は、コレット本体426と隣接する開口部406の側面との接触によって、y軸に沿った方向の移動が防止され、これによって、コネクタ402はy軸に沿って、フロアパネル10の平面内での荷重に耐えることができる。締結具420はまた、ねじ422の頭部をインサート404に係合すること、及びコレット424の複数のフィンガーをシートトラック16の下面に係合することによって、垂直方向の荷重に耐える。フランジ412は次にフロアパネル10に係合し、これによって、フロアパネルをシートトラックに保持し、z軸に沿った相対運動を防止し、垂直荷重に順応する。
【0083】
この係合はまた、インサートをフロアパネルに結合することなく、インサート404の本体408をフロアパネル10の孔416の中に保持する。他の実施例では、場合によっては、フロアパネルとインサートとの組み合わせが一体として操作可能となるように、また、場合によっては、事前に実装したインサート404がフロアパネル10にされるように、インサート404はフロアパネル10に結合されてもよい。他のブラインド締結具が使用されてもよく、また、他の機構によってインサート404に係合してもよく、或いは他の方法で垂直荷重に耐えてもよい。
【0084】
図14を再度参照すると、コネクタ402は更に、インサート404にスナップ適合するキャップ436を含む。一般的に、凹部410の孔414の中にスナップされ、キャップ436をインサート404の中に保持するように構成された、矩形の突起が外表面上に形成される。ペグ438はキャップの底面エッジから横切るように延在し、別の孔414に滑り込み、また、キャップ436をインサート404の中に保持する。他の実施例では、キャップ436は任意の適切な機構によって保持されうる。
【0085】
図17に示したように、キャップ436は、凹部410にぴったりと適合し、フランジ412と同一平面上に位置する。また、キャップ436内には、キャップの除去を容易にするためのツール切り欠き(tooling cutout)440が示されている。例えば、マイナススクリュードライバがキャップ436とねじ422との間に挿入され、てこを利用して凹部410からキャップをさっと取り出すことができる。
【0086】
図19はインサート404の代替的な実施例を示すもので、全体は442で示されている。分かりやすくするために、既に説明した実施例と同じ部分は、同じ参照番号で示される。インサート442はまた、細長い開口部406と凹部410を画定するフランジ412と本体408を含む。
【0087】
フランジ412は、本体の底面で本体408の上に形成される。本体408がフロアパネル孔416の中に受容されると、フランジ412はフロアパネル10の底面に接触する。フランジはフロアパネルの底面に結合され、インサート442とフロアパネル10の組み合わせを一体として操作することが可能になる。
【0088】
フランジ412はまた、シートトラック16に接触して平らに位置し、フロアパネル10のエッジ領域12とシートトラックとの間に配置される。したがって、フランジはフロアパネルとシートトラックとの間に間隙をもたらす。幾つかの実施例では、間隙は別のコネクタによってもたらされる間隙に適合しうる。
【0089】
実施例5:
図20~
図22は、ベース506及びスリーブコネクタ508を有するインサート504を含む、垂直荷重抵抗連結装置(「垂直荷重コネクタ」又は「コネクタ」)502の別の実施例を示す。
図20は、フロアパネル10とシートトラック16を接続するコネクタ502の分解等角図である。コネクタ502は、z軸に沿ったフロアパネル10の平面に垂直な荷重に順応し、x軸及びy軸の両方に沿ったフロアパネルの平面内のフロートを有する。
【0090】
図21に示したように、ベース506は一般的に、2つの平坦な側面と2つの丸い側面を有する。凹部510は、ベースを通って延在し、中央の円形領域が付加されたベース506の外形に適合する。ベース506は、凹部510を画定し、4つのコーナー514を含む内面512を有する。円形フランジ516が、凹部510の底面でベース506の上に形成され、2つの三角形の突起518が、2つの丸い側面に沿って、フランジに近接したベース506から延在する。
【0091】
スリーブ508は、凹部510の中に受容されるように構成されたカラー520、並びに、カラーの上端に形成された円形のフランジ522を含む。2つのパドル524は、カラー520の長さ方向に沿って、カラーから半径方向外に向かって延在する。
【0092】
図22は、ベース506の中に受容されるカラー520の上面図を概略的に示したもので、フランジ522は示されていない。スリーブ508とベース506は直接的には接続されておらず、互いに接触していない。凹部510はカラー520とパドル524を収容するが、余っている空間があるため、スリーブ508はベース506に対して任意の方向に移動し、垂直軸528の周りに限られた量だけ回転することができる。限られた回転範囲を超えると、パドル524は内面512のコーナー514に係合し、更なる回転を防止する。
【0093】
他の実施例では、カラー520、パドル524、及び凹部510の任意の実効的な幾何形状が使用されうる。例えば、凹部510は、内面512から延在する2つの突起を備えた矩形であってもよい。カラー520は、2つの突起と相互作用するように、各面から延在するペグを備えた正方形であってもよい。
【0094】
再び
図20を参照すると、ベース506は
図20に示されているように、フロアパネル10のエッジ領域12の非円形孔526の中にぴったりと受容されるようにサイズ決定される。孔526は、z軸に平行に、垂直軸528を画定する。三角形の突起518の傾斜した表面は、ベース506が孔の中へスナップ適合できるように、孔526のエッジに係合する。実装されると、三角形の突起518は孔526の内面を変形させ、孔の中にベースを保持し、フロアパネル10とベース506が一体として操作できるようにする。ベース506はフロア実装時にフロアパネル10にスナップ適合されてもよく、或いは、フロアパネル10にはあらかじめ実装されたベース506が提供されてもよい。ベース506は、任意の適切なスナップ適合機能を含みうる。幾つかの実施例では、ベース506はその代りに、フランジ516をフロアパネル10の底面に結合することによって、保持されてもよい。
【0095】
インサート504がフロアパネルに実装されるとき、ベース506はフロアパネル10の孔526に受容され、スリーブ508のカラー520は、ベースの凹部510に受容される。フランジ522はフロアパネル10の上面に接触し、フランジ516はフロアパネルの底面に接触する。図示した実施例では、フランジは円形であるが、フロアパネル10に充分な接触面積を提供する任意の形状のフランジが使用されうる。
【0096】
スリーブ508は、フロアパネル10の平面内で、ベース506に対して移動することができる。すなわち、インサート504によって、フロアパネルはx軸及びy軸に沿って、矢印530で示された4方向に移動することができる。許容される運動の範囲すなわちフロートは、カラー520及びパドル524の広がりと、任意の方向での凹部510の広がりとの差分によって、大まかに決定される。例えば、カラー520の半径が凹部510の中心円領域の半径を約0.25インチ下回る場合には、フロアパネル10はy軸に沿って約0.125インチ浮動しうる。
【0097】
カラー520は、締結具534を受容するようにサイズ決定される開口部532を画定する。
図20に図示した実施例では、締結具はねじ536とコレット538を含む。締結具534は、ねじ536の頭部をスリーブ508に係合すること、及びコレット538の複数のフィンガーをシートトラック16の下面に係合することによって、垂直方向の荷重に耐える。フランジ522は次にフロアパネル10に係合し、これによって、フロアパネルをシートトラックに保持し、z軸に沿った相対運動を防止し、垂直荷重に順応する。この係合はまた、スリーブをフロアパネルに結合することなく、インサート504のスリーブ508をフロアパネル10の孔526の中に保持し、その結果、フロアパネルの平面内の運動を可能にする。
【0098】
内部カラー520は内面を有し、その一部は六角形に配置される6つの平面からなる。この形状はコレット538に係合するため、ねじ536が回されるとき、締結具534は回転に抵抗することができる。パドル524はまた、回転に抵抗するため、内面512に係合する。
【0099】
開口部532の上端では、ねじの頭部の下面に一致するように、内面は外に向かってより大きな円形状に広がる。開口部はこれによってねじ全体を収容し、スリーブ508の上面と同一平面上に位置しうる。幾つかの実施例では、開口部532の底面で、内面は開口部に延在するリップを含みうる。リップはコレット538が開口部532を完全に通過するのを防止し、コレットの一部をスリーブ508内に保持しうる。
【0100】
動作/使用方法
図23は、フロアパネル上でせん断荷重に耐えるための例示的な方法600を説明している。この方法は、既に説明したせん断荷重コネクタの実施例のいずれかに関連して使用されうる。
【0101】
方法600の第1のステップ602は、せん断荷重コネクタのインサートをフロアパネルの孔の中に配置することを含む。孔は、フロアパネルのエッジ領域の複数の孔のうちの1つになりうる。ステップ604では、本方法は、インサートのフランジをフロアパネルに結合することを含む。インサートをホール内の位置に保持するため、フランジは、フロアパネルのエッジ領域の下面に結合されうる。
【0102】
ステップ606では、本方法は、フロアパネルを、複数の開口部を備える側面エッジ部分を有するシートトラックに重ね合わせることを含む。フロアパネルのエッジ領域の孔は、複数の開口部のうちの1つの開口部に揃えられてもよい。
【0103】
ステップ608では、本方法は、シートトラックの側面エッジ部分の開口部の中にせん断荷重コネクタのインサートのピンを受容することを含む。このステップはまた、シートトラックの開口部の中に受容されうる突出エレメントを有するインサートの任意の実施例に対して実施されうる。
【0104】
図24は、フロアパネル上でせん断荷重に耐えるための例示的な方法700を説明している。この方法は、既に説明したせん断荷重コネクタの実施例のいずれかに関連して使用されうる。
【0105】
方法700の第1のステップ702は、アームのボスがフロアパネルのエッジ領域の複数の孔の第1の孔の中へ延在するように、せん断荷重コネクタのインサートの第1のアームを配置することを含む。第1のアームは、インサートの第2のアームに枢動可能に結合されてもよい。ステップ704では、本方法は、第1のアームと第2のアームによって形成された枢動可能な接続部を、複数の孔のうちの第2の孔の中に受容することを含む。
【0106】
本方法のステップ706は、第1のアームをフロアパネルに結合することを含む。アームはフロアパネルの底面に結合されることがあり、第2のアームは結合されないことがある。せん断荷重コネクタの幾つかの実施例では、第2のアームはスティフナを含みうる。このような実施例に関しては、オプションのステップ708は、フロアパネルの複数の孔のうちの第3の孔の中へスティフナを延伸することを含む。
【0107】
ステップ710では、方法700は、フロアパネルを、複数の開口部を備える側面エッジ部分を有するシートトラックに重ね合わせることを含む。第1、第2、及び第3の孔は、複数の開口部のうちの任意の開口部に揃っていないことがありうる。しかしながら、第2のアームのピンが複数の開口部のうちの1つの開口部に揃えられるように、フロアパネルは重ね合わせられうる。
【0108】
本方法のステップ712は、シートトラックの開口部にピンを受容することを含む。このステップはまた、シートトラックの開口部に受容されうる第2のアームの任意の突出エレメントに対して実行されうる。
【0109】
図25は、フロアパネル上の垂直荷重に耐えるための例示的な方法800を説明している。この方法は、前述の垂直荷重コネクタの実施例のいずれかに関連して用いられる。
【0110】
方法800の第1のステップ802は、垂直荷重コネクタのインサートをフロアパネルの孔の中に配置することを含む。孔は非円形であってもよく、フロアパネルのエッジ部分に配置されてもよい。インサートはベース及びフランジを含んでもよく、インサートを配置することは孔の中にベースを受容することを含みうる。幾つかの実施例では、フランジはフロアパネルのエッジ領域の上面に接触しうる。垂直荷重コネクタの他の実施例では、フランジはフロアパネルのエッジ領域の下面に接触しうる。本方法のオプションのステップ804は、第2のインサートのフランジをフロアパネルに結合することを含む。
【0111】
幾つかの実施例では、インサートは第1の開口部を有するベースと第2の開口部を有するスリーブを含んでもよく、インサートは孔の垂直軸の周りに所定の量だけ回転できるように構成されている。このような実施例では、ステップ802は孔の中にベースを受容することを含んでもよく、更に第1の開口部の中にスリーブを受容することを含んでもよい。
【0112】
ステップ806では、本方法は、フロアパネルを、複数の開口部を備える側面エッジ部分を有するシートトラックに重ね合わせることを含む。フロアパネルのエッジ領域の孔は、複数の開口部のうちの1つの開口部に揃えられてもよい。
【0113】
方法800のステップ808は、フロアパネルをシートトラックに装着するため、フロアパネルの孔、インサートの開口部、及びシートトラックの開口部を通して締結具を挿入することを含む。前述の実施例を含め、任意の適切な締結具が使用されうる。第1及び第2の開口部を有するインサートの一実施例として、締結具は両方の開口部に挿入されうる。
【0114】
方法600、700及び800の様々なステップが前述され、
図23~
図25に示されているが、ステップは必ずしも全て実行される必要がある訳ではなく、場合によっては、図示された順番とは異なる順番で実行されてもよく、またある場合には同時に実行されてもよい。幾つかの実施例では、フロアパネル上で荷重に耐える方法は、説明されている2つ以上の方法のステップを含みうる。例えば、ある方法は、方法700のステップ702~ステップ710、及びステップ712、並びに方法800のステップ802~ステップ808を含みうる。垂直荷重とせん断荷重の両方に耐えるように、複数のせん断荷重コネクタ及び複数の垂直荷重コネクタを備えるシートトラックにフロアパネルを接続するため、2つの方法が組み合わされ、反復されてもよい。
【0115】
追加の実施例
この節では、実施形態のさらなる態様及び特徴が説明されるが、これらは、限定されずに一連の段落として提示され、一連の段落の一部または全部は、明確性及び効率性のために英数字で指定されうる。これらの段落の各々は、任意の好適な方法で、一又は複数の他の段落と、及び/又は、本願の他の部分の開示と、組み合わせることができる。以下の段落の幾つかは、明示的に他の段落に言及し、更に他の段落を限定することにより、非限定的に、好適な組み合わせの幾つかの例を提供するものである。
【0116】
A. フロアパネル接続システムであって、
側面エッジ部分に沿って複数の開口部を有する航空機の機体と、
前記機体の前記側面エッジ部分に重なり係合するように構成されたエッジ領域であって、複数の孔を有するエッジ領域を有するフロアパネルと、
前記フロアパネルを前記機体に接続し、前記フロアパネルに印加される横方向の力に大きく抵抗することなく、前記フロアパネルの上部表面に垂直な方向で前記パネルに印加される力に耐えるように構成された垂直荷重抵抗連結装置であって、前記複数の孔の一又は複数の孔に受容される垂直荷重抵抗連結装置と、
前記垂直荷重抵抗連結装置から分離された前記機体に前記フロアパネルを接続し、前記フロアパネルに印加される垂直方向の力に大きく抵抗することなく、前記フロアパネルの上部表面に平行な方向で前記パネルに印加される力に耐えるように構成されたせん断荷重抵抗連結装置であって、前記複数の孔の少なくとも1つの孔に受容されるせん断荷重抵抗連結装置と
を備えるフロアパネル接続システム。
【0117】
A1. 前記せん断荷重抵抗連結装置は、前記機体の前記側面エッジ部分と前記フロアパネルの前記エッジ領域との間に配置されるインサートを含む、Aに記載のシステム。
【0118】
A2. 前記インサートはベースとコネクタを含み、前記ベースは前記少なくとも1つの孔に受容されるように構成されており、前記ベースは、前記コネクタが前記開口部に受容されるときには、(1)前記コネクタを受容し、(2)前記フロアパネルの前記上部表面に平行な第1及び第2の向かい合う方向に、前記コネクタが動くのを防止するようにサイズ決定された開口部を含む、A1に記載のシステム。
【0119】
A3. 前記ベースの前記開口部は更に、前記コネクタが前記開口部に受容されるときには、前記フロアパネルの前記上部表面に平行で、かつ前記第1及び第2の方向に垂直な第3及び第4の向かい合う方向に、前記コネクタを移動することができるようにサイズ決定される、A2に記載のシステム。
【0120】
A4. 前記コネクタはヘッドと突出エレメントを含み、前記ヘッドは前記開口部に受容され、前記突出エレメントは、前記側面エッジ部分と前記エッジ領域が重なり係合するときに、前記機体の前記側面エッジ部分の前記複数の開口部のうちの1つの開口部の中へ延在する、A2に記載のシステム。
【0121】
A5. 前記コネクタは開口部を含まない、A4に記載のシステム。
【0122】
A6. 前記コネクタは公称位置を含み、前記コネクタが前記公称位置から離れるように動かされると、前記インサートは更に、前記公称位置に向かって前記コネクタを付勢するように構成されている少なくとも1つの付勢エレメントを含む、A4に記載のシステム。
【0123】
A7. 前記開口部は垂直軸を含み、前記突出エレメントは、前記側面エッジ部分と前記エッジ領域が重なり係合するときに、前記公称位置の前記垂直軸内にある、A6に記載のシステム。
【0124】
A8. 前記少なくとも1つの付勢エレメントは、前記ベースと前記コネクタに装着された第1及び第2のコイルばねを含み、前記コネクタは前記第1のコイルばねと前記第2のコイルばねとの間に配置される、A6に記載のシステム。
【0125】
A9. 前記少なくとも1つの孔は第1の垂直軸を有する第1の孔を含み、前記インサートは、前記インサートが前記側面エッジ部分と前記エッジ領域との間に配置されるとき、前記フロアパネルの前記上部表面に平行な第1及び第2の向かい合う方向での運動を防止するように構成される、第1及び第2のアームを含む、A1に記載のシステム。
【0126】
A10. 前記第1のアームは、前記フロアパネルの前記上部表面に平行で、かつ前記第1及び第2の方向に垂直な第3及び第4の向かい合う方向への、前記第1のアームに対する前記第2のアームの運動を可能にするため、前記第1の垂直軸に平行な第2の垂直軸の周りで、前記第2のアームが前記第1のアームに対して枢動できるように、前記第2のアームに枢動可能に連結されている、A9に記載のシステム。
【0127】
A11. 前記第1のアームは前記第1の孔の中へ延在する第1の突出エレメントを含み、前記第2のアームは、前記機体の前記側面エッジ部分の前記複数の開口部のうちの1つの開口部の中へ延在する第2の突出エレメントを含む、A10に記載のシステム。
【0128】
A12. 前記垂直荷重抵抗連結装置が前記フロアパネルを前記機体に接続すると、第1の高さを有する間隙が前記エッジ領域と前記側面エッジ部分との間に形成され、前記第1の突出エレメントが前記第1の孔の中へ延在し、前記第2の突出エレメントが前記側面エッジ部分の前記複数の開口部のうちの前記開口部の中へ延在するとき、前記第1及び第2のアームは前記エッジ領域と前記側面エッジ部分との間に第2の高さを有し、前記第2の高さは前記第1の高さに等しい、A11に記載のシステム。
【0129】
A13. 前記第2のアームは公称位置を含み、前記第2のアームが前記公称位置から離れるように動かされると、前記インサートは更に、前記公称位置に向かって前記第2のアームを付勢するように構成されている付勢エレメントを備える、A12に記載のシステム。
【0130】
A14. 前記公称位置では、前記第1の突出エレメントが前記第1の孔の中へ延在するとき、また、前記側面エッジ部分と前記エッジ領域が重なり係合するとき、前記第2の突出エレメントは前記開口部の中へ延在する、A13に記載のシステム。
【0131】
A15. 前記付勢エレメントはばねクリップを含む、A13に記載のシステム。
【0132】
A16. 前記第1のアームは前記フロアパネルの前記エッジ領域の下面に結合される、A11に記載のシステム。
【0133】
A17. 前記第2のアームは前記フロアパネルの前記エッジ領域に結合されていない、A16に記載のシステム。
【0134】
A18. 前記第1のアームは第1のカプラを含み、前記第2のアームは第2のカプラを含み、前記第1及び第2のカプラは、前記第1のアームと前記第2のアームとの間に枢動可能な接続部を形成するように接続される、A11に記載のシステム。
【0135】
A19. 前記少なくとも1つの孔は第2の孔を含み、前記第1の突出エレメントが前記第1の孔の中へ延在するとき、前記枢動可能な接続部は前記第2の孔に受容される、A18に記載のシステム。
【0136】
A20. 前記第2のアームは公称位置を含み、前記第2のアームが前記公称位置から離れるように動かされると、前記第1のカプラは前記公称位置に向かって前記第2のアームを付勢するように構成されている、A19に記載のシステム。
【0137】
A21. 前記少なくとも1つの孔は第3の孔を含み、前記第2のアームは更に、前記第2の突出エレメントから対向する第3の突出エレメントを含み、前記枢動可能な接続部が前記第2の孔に受容され、前記第1の突出エレメントが前記第1の孔の中へ延在するときには、前記第3の突出エレメントは前記第3の孔の中へ延在する、A19に記載のシステム。
【0138】
A22. 前記インサートは更に、前記第1及び第2のカプラによって形成された枢動可能な接続部を維持するように構成された保持エレメントを含む、A19に記載のシステム。
【0139】
A23. 前記第2のアームは公称位置を含み、前記第2のアームが前記公称位置から離れるように動かされると、前記保持エレメントは更に前記公称位置に向かって前記第2のアームを付勢するように構成されている、A22に記載のシステム。
【0140】
A24. 前記公称位置では、前記第1の突出エレメントが前記第1の孔の中へ延在し、前記枢動可能な接続部が前記第2の孔に受容されるとき、前記第2の突出エレメントは前記開口部の中へ延在する、A23に記載のシステム。
【0141】
A25. 前記一又は複数の孔は垂直軸を有する非円形孔を含み、前記垂直荷重結合装置は前記非円形孔に受容されるように構成されたインサートを含み、前記インサートは少なくとも1つの締結具を受容する開口部を有する、Aに記載のシステム。
【0142】
A26. 前記非円形孔は、前記インサートが前記フロアパネルの前記上部表面に平行な第1及び第2の向かい合う方向に移動することができるようにサイズ決定され、前記非円形孔は、前記インサートが前記非円形孔に受容されるとき、前記インサートが前記垂直軸の周りに回転するのを防止するように構成されている、A25に記載のシステム。
【0143】
A27. 前記インサートはベース部分とフランジ部分を含み、前記ベース部分は前記非円形孔に受容され、前記開口部を含み、前記ベース部分が前記非円形孔に受容されるとき、前記フランジ部分は前記フロアパネルの前記エッジ領域に接触する、A25に記載のシステム。
【0144】
A28. 前記フランジ部分は前記フロアパネルの前記エッジ領域の上面に接触する、A27に記載のシステム。
【0145】
A29. 前記非円形孔は楕円形である、A25に記載のシステム。
【0146】
A30. 前記開口部は、前記締結具が前記細長い開口部に受容されるとき、前記少なくとも1つの締結具が、前記フロアパネルの前記上部表面に平行な第1及び第2の向かい合う方向に移動することができるように、細長い形状になっている、A25に記載のシステム。
【0147】
A31. 前記インサートはベース部分とフランジ部分を含み、前記ベース部分は前記非円形孔に受容され、前記開口部を含み、前記ベース部分が前記非円形孔に受容されるとき、前記フランジ部分は前記フロアパネルの前記エッジ領域に接触する、A30に記載のシステム。
【0148】
A32. 前記フランジ部分は前記フロアパネルの前記エッジ領域の上面に接触する、A31に記載のシステム。
【0149】
A33. 前記フランジ部分は前記フロアパネルの前記エッジ領域の上面に接触する、A31に記載のシステム。
【0150】
A34. 前記インサートはベースとコネクタを含み、前記ベースは前記非円形孔に受容され、凹部を含むように構成され、前記コネクタは開口部並びに前記凹部の中へ延在する突出エレメントを含む、A25に記載のシステム。
【0151】
A35. 前記ベースは前記フロアパネルの前記エッジ領域の下面に接触するフランジ部分を含む、A34に記載のシステム。
【0152】
A36. 前記フランジ部分は前記フロアパネルの前記エッジ領域の下面に結合されていない、A35に記載のシステム。
【0153】
A37. 前記凹部は、前記コネクタが前記凹部に受容されるとき、前記コネクタが、(1)前記フロアパネルの前記上部表面に平行な方向に移動し、(2)前記垂直軸の周りに所定の量だけ回転できるように構成されている、A34に記載のシステム。
【0154】
A38. 前記凹部は細長い形状で、前記突出エレメントは内面に接触するように構成された少なくとも1つのパドルを含み、前記コネクタが前記垂直軸の周りに所定の量だけ回転されるとき、前記内面は前記ベースの前記凹部を少なくとも部分的に画定する、A37に記載のシステム。
【0155】
A39. 前記ベースは前記非円形孔にスナップ適合するように構成されている、A34に記載のシステム。
【0156】
A40. 前記せん断荷重抵抗連結装置は9Gの力に耐えることができる、Aに記載のシステム。
【0157】
A41. 前記機体はシートトラックである、Aに記載のシステム。
【0158】
B. 航空機のフロアパネルアセンブリであって、
上面、底面、エッジ領域、及び前記エッジ領域内の孔を有する平面的な広がりと、
ベースとコネクタを有するインサートとを備え、前記ベースは前記孔に受容されるように構成されており、前記ベースは、前記コネクタが前記開口部に受容されるときには、(1)前記コネクタを受容し、(2)前記フロアパネルの前記上部表面に平行な第1及び第2の向かい合う方向に、前記コネクタが動くのを防止するようにサイズ決定された開口部を含み、前記コネクタは、前記エッジ領域が機体の側面エッジ部分に重なり係合するときに、前記機体の前記側面エッジ部分の開口部の中へ延在する突出エレメントを含む、航空機のフロアパネルアセンブリ。
【0159】
B1. 前記開口部は更に、前記コネクタが前記開口部に受容されるときには、前記フロアパネルの前記上部表面に平行で、かつ前記第1及び第2の方向に垂直な第3及び第4の向かい合う方向に、前記コネクタを移動することができるようにサイズ決定される、Bに記載のアセンブリ。
【0160】
B2. 前記孔は垂直軸を含み、前記コネクタが前記垂直軸から離れるように動かされると、前記インサートは更に、前記垂直軸に向かって前記コネクタを付勢するように構成されている少なくとも1つの付勢エレメントを含む、Bに記載のアセンブリ。
【0161】
C. 航空機のフロアパネルアセンブリであって、
上面、底面、エッジ領域、及び前記エッジ領域内にあって第1の垂直軸を有する第1の孔を有する平面的な広がりと、
第1及び第2のアームを有するスイングアームとを備え、前記第1のアームは、前記第1の垂直軸に平行な第2の垂直軸の周りで、前記第2のアームが前記第1のアームに対して枢動できるように、前記第2のアームに枢動可能に連結され、前記第1のアームは、前記第1の孔の中へ延在する第1の突出エレメントを含み、前記第2のアームは、前記エッジ領域が機体の側面エッジ部分と重なり係合するとき、前記機体の前記側面エッジ部分の開口部の中へ延在する第2の突出エレメントを含む、航空機のフロアパネルアセンブリ。
【0162】
C1. 前記スイングアームは更に、(1)前記エッジ領域が前記機体の前記側面エッジ部分に重なり係合するとき、また、(2)前記第1の突出エレメントが前記第1の孔の中へ延在するとき、前記第2の突出エレメントが、前記開口部の中へ延在するように、前記第2のアームを前記第2の垂直軸に関して中心に配置するように構成された付勢エレメントを備える、Cに記載のアセンブリ。
【0163】
C2. 前記第1のアームは前記フロアパネルの前記エッジ領域の下面に結合され、前記第2のアームは前記フロアパネルの前記エッジ領域には結合されない、Cに記載のアセンブリ。
【0164】
C3. 前記フロアパネルの前記エッジ領域は第2の孔を含み、前記第1のアームは第1のカプラを含み、前記第2のアームは第2のカプラを含み、前記第1カプラと前記第2のカプラは、前記第1のアームと前記第2のアームとの間に枢動可能な接続部を形成するように接続され、前記第1の突出エレメントが前記第1の孔の中へ延在するとき、前記枢動可能な接続部は前記第2の孔の中に受容される、Cに記載のアセンブリ。
【0165】
C4. 前記第2のアームは公称位置を含み、前記第2のアームが前記公称位置から離れるように動かされると、第1のカプラは前記公称位置に向かって前記第2のアームを付勢するように構成されている、C3に記載のアセンブリ。
【0166】
C5. 前記フロアパネルの前記エッジ領域は第3の孔を含み、前記第2のアームは更に、前記第2の突出エレメントから対向する第3の突出エレメントを含み、前記枢動可能な接続部が前記第2の孔に受容され、前記第1の突出エレメントが前記第1の孔の中へ延在するときには、前記第3の突出エレメントは前記第3の孔の中へ延在する、C3に記載のアセンブリ。
【0167】
C6. 前記垂直荷重抵抗連結装置が前記フロアパネルを前記機体に接続すると、第1の高さを有する間隙が前記エッジ領域と前記側面エッジ部分との間に形成され、前記第1の突出エレメントが前記第1の孔の中へ延在し、前記第2の突出エレメントが前記側面エッジ部分の前記複数の開口部のうちの前記開口部の中へ延在するとき、前記第1及び第2のアームは前記エッジ領域と前記側面エッジ部分との間に第2の高さを有し、前記第2の高さは前記第1の高さに等しい、Cに記載のアセンブリ。
【0168】
D. 航空機フロアパネル上のせん断荷重に耐える方法であって、
インサートをフロアパネルのエッジ領域の孔に配置することであって、前記インサートはベースとコネクタを含み、前記ベースは前記孔に受容されるように構成され、前記ベースは、(1)前記コネクタを受容し、(2)前記コネクタが前記開口部に受容されるときには、前記フロアパネルの前記上部平面に平行な第1及び第2の向かい合う方向への前記コネクタの運動を防止し、(3)前記コネクタが前記開口部に受容されるときには、前記フロアパネルの前記上部表面に垂直で、かつ前記第1及び第2の方向に垂直な第3及び第4の向かい合う方向への前記コネクタの運動を可能にするようにサイズ決定された開口部を含む、配置することと、
前記コネクタの突出エレメントが前記側面エッジ部分の開口部に受容されるように、前記フロアパネルのエッジ領域を機体の側面エッジ部分に重ね合わせることと
を含む、航空機フロアパネル上のせん断荷重に耐える方法。
【0169】
D1. 垂直荷重抵抗連結装置によって、前記フロアパネルの前記エッジ領域を前記機体の前記側面エッジ部分に結合することを更に含む、Dに記載の方法。
【0170】
E. 航空機フロアパネル上のせん断荷重に耐える方法であって、
前記第1のアームの第1の突出エレメントがフロアパネルのエッジ領域の第1の孔の中へ延在するように、第2のアームに枢動可能に連結された第1のアームによってスイングアームを配置することと、
前記第2のアームの第2の突出エレメントが前記側面エッジ部分の開口部の中へ受容されるように、前記フロアパネルのエッジ領域を機体の側面エッジ部分に重ね合わせることと
を含む方法。
【0171】
E1. 前記スイングアームを配置することは、前記第1のアームを前記フロアパネルの底面に結合することを含む、Eに記載の方法。
【0172】
E2. 前記第1のアームを前記フロアパネルの底面に結合することは、前記第2のアームを前記底面に結合しないことを含む、E1に記載の方法。
【0173】
E3. 前記スイングアームを配置することは、フロアパネルのエッジ領域の第2の孔の中に、前記第1のアームの第1のカプラ及び前記第2のアームの第2のカプラによって形成された枢動可能な接続部を挿入することを含む、Eに記載の方法。
【0174】
E4. 前記スイングアームを配置することは、前記第2のアームの第3の突出エレメントを前記フロアパネルの前記エッジ領域の第3の孔の中へ挿入することを含む、E3に記載の方法。
【0175】
E5. 更に、垂直荷重抵抗連結装置によって、前記フロアパネルの前記エッジ領域を前記機体の前記側面エッジ部分に連結することを含む、Eに記載の方法。
【0176】
F. 航空機のフロアパネルアセンブリであって、
上面、底面、エッジ領域、及び前記エッジ領域内にあって垂直軸を有する非円形孔を有する平面的な広がりと、
ベース部分とフランジ部分を有するインサートとを備え、前記ベース部分は少なくとも1つの締結具を受容するための開口部を含み、前記ベース部分は非円形孔に受容されるように構成され、前記ベース部分が前記非円形孔に受容されるときには、前記フランジ部分は前記フロアパネルの前記エッジ領域に接触し、前記フロアパネルの前記エッジ領域が機体の側面エッジ部分と重なり係合にあるときには、前記ベース部分及び前記開口部のうちの1つは、前記フロアパネルの上部表面に平行な第1及び第2の向かい合う方向に、前記機体に対する前記フロアパネルの運動を可能にするように構成される、航空機のフロアパネルアセンブリ。
【0177】
F1. 前記ベース部分は、非円形孔に受容されるとき、前記ベース部分が前記第1及び第2の向かい合う方向に移動することができるようにサイズ決定され、前記ベース部分は、前記非円形孔に受容されるとき、前記ベース部分が前記垂直軸の周りに回転するのを防止するように構成されている、Fに記載のアセンブリ。
【0178】
F2. 前記開口部は、前記少なくとも1つの締結具が前記細長い開口部に受容されるとき、前記少なくとも1つの締結具が、前記第1及び第2の向かい合う方向に移動することができるように、細長い形状になっている、Fに記載のアセンブリ。
【0179】
F3. 前記フランジ部分は前記フロアパネルの上面に接触する、Fに記載のアセンブリ。
【0180】
F4. 前記フランジ部分は前記フロアパネルの底面に接触する、Fに記載のアセンブリ。
【0181】
F5. 前記フランジ部分は前記フロアパネルの底面に結合される、F4に記載のアセンブリ。
【0182】
F6. 更に、前記少なくとも1つの締結具を受容する開口部を有するコネクタを備え、前記ベース部分は更に、前記コネクタを受容するように構成された凹部を含み、前記コネクタが前記凹部に受容されるときには、前記コネクタを(1)前記フロアパネルの前記上部表面に平行な方向に移動し、(2)前記垂直軸の周りに所定の量だけ回転することができる、Fに記載のアセンブリ。
【0183】
F7. 前記フランジ部分は前記フロアパネルの前記底面に接触するが、前記底面には結合されていない、F6に記載のアセンブリ。
【0184】
G. 航空機フロアパネル上の垂直荷重に耐える方法であって、
少なくとも1つの締結具を受容する第1の開口部を有するインサートを、前記フロアパネルのエッジ領域の非円形孔に配置することであって、前記開口部は垂直軸を有する、配置することと、
前記第1の開口部が側面エッジ部分の開口部と揃えられるように、前記フロアパネルのエッジ領域を機体の前記側面エッジ部分に重ね合わせることと、
前記フロアパネルを前記機体に装着するため、前記第1の開口部及び前記開口部を通して挿入することであって、前記インサートは、前記フロアパネルの上部表面に平行な第1及び第2の向かい合う方向に、前記機体に対する前記フロアパネルの運動を可能にするように構成される、挿入することと
を含む、航空機フロアパネル上の垂直荷重に耐える方法。
【0185】
G1. 前記インサートはベース部分とフランジ部分を含み、インサートを配置することは、前記ベース部分が前記非円形孔に受容され、前記フランジ部分が前記フロアパネルの前記エッジ領域の上面に接触するように、前記インサートを配置することを含む、Gに記載の方法。
【0186】
G2. 前記インサートはベース部分とフランジ部分を含み、インサートを配置することは、前記ベース部分が前記非円形孔に受容され、前記フランジ部分が前記フロアパネルの前記エッジ領域の下面に接触するように、前記インサートを配置することを含む、Gに記載の方法。
【0187】
G3. 前記インサートを配置することは、前記フランジ部分を前記フロアパネルの前記エッジ領域の前記下面に結合することを含む、G2に記載の方法。
【0188】
G4. 前記インサートは前記第1の開口部とフランジ部分を有するベース部分を含み、更に、前記ベース部分の凹部内にコネクタを配置することを含み、前記コネクトは前記少なくとも1つの締結具を受容するように構成された第2の開口部を有し、前記凹部に受容されると前記第2の開口部に揃えられ、前記コネクタ及び前記凹部のうちの1つは、前記垂直軸の周りに所定の量だけ回転することができるように更に構成される、Gに記載の方法。
【0189】
G5. 締結具を挿入することは、前記機体に前記フロアパネルを装着するため、前記第1及び第2の開口部を通して締結具を挿入することを含む、G4に記載の方法。
【0190】
H. 側面エッジ部分に沿って複数の開口部を有する航空機の機体と、
前記機体の前記側面エッジと重なり係合するように構成されたエッジ領域を有するフロアパネルと、
前記機体に前記フロアパネルを接続する垂直荷重抵抗連結装置であって、(1)前記パネルに印加された力が、前記フロアパネルの上部表面に垂直な方向にあるときには、前記機体に対する前記フロアパネルの運動を防止し、(2)前記フロアパネルに横方向の力が印加されるときには、前記機体に対する前記フロアパネルの運動を可能にするように構成される垂直荷重抵抗連結装置と
を備える、フロアパネル接続システム。
【0191】
I. 側面エッジ部分に沿って複数の開口部を有する航空機の機体と、
前記機体の前記側面エッジと重なり係合するように構成されたエッジ領域を有するフロアパネルと、
前記垂直荷重抵抗連結装置から分離された前記機体に前記フロアパネルを接続する、せん断荷重抵抗連結装置であって、(a)力が前記フロアパネルの前記上部表面に平行な方向で前記フロアパネルに印加されるときには、前記機体に対する前記フロアパネルの運動を防止し、(b)垂直な力が前記フロアパネルに印加されるときには、前記機体に対する前記フロアパネルの運動を可能にするように構成されるせん断荷重抵抗連結装置と
を備える、フロアパネル接続システム。
【0192】
利点、特徴、便益
本書に記載のフロアパネル接続システムの種々の実施例は、航空機の機体にフロアパネルを接続するための既知の解決策を上回る幾つかの利点をもたらす。例えば、本書に記載のせん断荷重抵抗連結装置及び垂直荷重抵抗連結装置の例示的な実施例は、他の方向の荷重に順応する間に、選択された方向に限られた範囲内の運動を可能にする。更に、他の便益として、本書に記載のフロアパネル接続システムの例示的な実施例は、フロア上の荷重に順応するのに必要な結合装置の総数を低減する。特に航空機のアセンブリにおいては、既知のシステムやデバイスはこれらの機能を実行することはできない。したがって、本書に記載の例示的な実施例は、航空機の製造コストの低減に特に有効である。しかしながら、本書で説明されているすべての実施例が、同じ利点または同程度の利点を提供するわけではない。
【0193】
結論
上述の開示は、個別の有用性を備えた複数の個々の発明を包括しうる。これらの発明の各々は、その好ましい形態で開示されているが、本書で開示され、例示されている、それらの特定の実施例は、数多くの変形例が可能であることから、限定的な意味で捉えるべきものではない。節の見出しが本開示の範囲内で使用される限り、そのような見出しは、構成上の目的に過ぎず、本発明の請求の範囲を特徴付けるものではない。本発明の主題は、本書で開示されている様々な要素、特徴、機能、及び/または特性の、新規かつ非自明な組み合わせ及び部分的組み合わせのすべてを含む。下記の特許請求の範囲は、新規かつ非自明と見なされる、ある組み合わせ及び部分的組み合わせを特に指し示すものである。特徴、機能、要素、及び/または特性のその他の組み合わせ及び部分的組み合わせにおいて具現化される発明は、この出願または関連出願からの優先権を主張する出願において特許請求されうる。こうした特許請求の範囲はまた、異なる発明を対象とするか、または同一の発明を対象とするかに関わらず、かつ、出願当初の特許請求の範囲よりも広いか、狭いか、等しいか、またはそれと異なるかに関わらず、本開示の発明の主題の中に含まれると見なされる。